説明

有機物の連続再資源化装置及び排水処理装置

【課題】 非衛生的で高含水率の変質し易い食品残渣や家畜糞尿及び下水汚泥を、ナノ過熱水蒸気を用いて、低コストでダイオキシン類を発生せず熱分解処理して、処理物が食品原料や家畜飼料など食材の他、フミン物及び炭化物など肥料や環境修復資材として有効利用できる連続再資源化装置及び排水処理装置を提供する。
【解決手段】 加熱した固定ジャケット4とナノ過熱水蒸気39により加熱する回転ジャケット6を配設した真空室5に、有機物71を圧搾挿入装置11で丸棒状に押し出して切断した造粒片72を挿入し、真空室の内部にナノ過熱水蒸気を回転ジャケットの噴出孔41から噴射して、造粒片を炭化物75に熱分解処理するとともに、蒸発した気液混合物76を微生物濾材66による浄化処理と、電気分解により酸性水79とアルカリイオン水80に分解する連続再資源化装置及び排水処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不衛生で高含水率の有機物及び有機性廃棄物を環境に負荷をかけず真空状態でナノ過熱水蒸気により乾燥又は熱分解し熱処理物や炭化物に再資源化し、蒸発した気液混合物を浄化処理する有機物の連続再資源化装置及び排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
再資源化する有機物として食堂や食品工場などからは、食品残渣(例えば、残飯やオカラなど)が大量に発生している、この有機性廃棄物を家畜の飼料として利用するため様々な方法や装置が提案されている。牛や豚など家畜の飼料として乾燥して利用するには病原菌に汚染された飼料による家畜への感染のおそれがあるため、殺菌に過酸化水素を添加しているが、家畜や環境に与える影響を考慮すると安全性に問題があった。その他、有機物を再資源化する熱処理時に発生する臭気の処理が必要であった。
【0003】
食品残渣や家畜糞尿及び汚泥などの有機物は、堆肥化処理され有機質肥料として大量に耕作地に投入されてきたが、その土中での分解率は年間30%程度で残余の70%は翌年に持ち越されるため、耕作地では養分の集積や物質循環機能が低下し、生物相の貧困化による劣化耕地現象が生じ過剰な環境負担が恒久化すると共に、下流流域では硝酸性窒素やクリプトスポリジュウム原虫による地下水の汚染とされ社会的問題となっている。
【0004】
又、食品残渣や家畜糞尿及び汚泥をメタン発酵槽に投入してメタン発酵菌によりメタンガスを発生しガス改質器で不純物を除去したガスを貯蔵しガスエンジンで発電する方法があるがメタン発酵した後の汚泥は投入量に対して減容しておらず、定期的にメタン発酵槽より汚泥を取り出して脱水し処理業者に委託して埋め立て処分するためランニングコストの削減と、メタン発酵後の汚泥を低コストで処理する方法が要求されていた。
【0005】
そして、乾燥槽と高温酸化脱臭炉が配管により接続され、乾燥槽で被乾燥物の乾燥により発生した臭気や蒸気が高温酸化脱臭炉に導かれて臭気成分を熱分解すると共に、高温多湿ガスで乾燥炉を加熱する汚泥処理方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。然し乍ら、この方式では処理物を間接的に外部より加熱するので熱効率が悪いことと、排気に粉塵が含まれるため排気ガス濾過装置が必要となりその改善が要求されていた。
【0006】
更に、加熱用ジャケットに混合攪拌機を備えた乾燥機に、蒸発水分を吸引して乾燥機の内部を負圧にするために真空ポンプを介して吸引した蒸気水分を凝縮させる回分式真空乾燥機で、蒸発して凝縮させる交換熱量を計測して、処理物の供給速度を制御する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。然し乍ら、この方式では処理物は乾燥機の側壁面による接触だけで加熱されていることで熱効率が悪いなどの問題があった。
【0007】
又更に、ガス化炉において可燃性ガスを生成してロ−タリ−エンジンを起動し発電した廃熱で炉を加熱し、過熱水蒸気で有機性廃棄物を加熱して熱処理する装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。然し乍ら、この方法は熱処理炉をエンジンの廃熱だけで加熱するため熱効率が悪く、過熱水蒸気の発生も電気やバ−ナ−の加熱であり、連続処理するには再資源化処理装置の密閉性が悪く、設備も高価で取り扱い操作も複雑であった。
【0008】
【特許文献1】特開2002−153900号公報
【特許文献2】特開平7−301485号公報
【特許文献3】特開2002−80855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上述べた如く、食品残渣や家畜糞尿及び下水処理汚泥又はメタン発酵汚泥などの有機性廃棄物の堆肥化による処理方法では、毎日大量に発生する有機性廃棄物の増加と、堆肥の農耕地への大量散布による還元により農耕地は養分集積、物質循環機能の低下や生物層の貧困化などにより環境に対する過剰負担を恒久化させている。又、熱分解処理時にダイオキシンを発生させず資源として回収できる連続再資源化装置が要求されていた。
【0010】
従来公知の装置は、小規模な食品工場や畜産農家は設置する事が困難であったが、本発明の有機物の連続再資源化装置を提供することで、有機物や廃棄物を適正に処理して環境修復材や肥料などの熱処理物や炭化物が低コストで製造できる他、硝酸性窒素汚染の削減、クリプトスポリジュウム原虫の処理、排水の浄化も簡単に出来て地球環境保全に貢献する、小型の有機物を連続的に再資源化する装置及び排水処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記の目的を達成するために、外管体2及び内管体3から成る固定ジャケット4両側面の央部に設けた開口孔7の一端に回転ジャケット駆動軸8を軸着し、他端に回転ジャケット配管中空軸9を軸着して支承した回転ジャケット6と固定ジャケット4の内管体3とで形成した真空室5に、ホッパ−35に投入した有機物71を押し込む圧搾挿入装置11と蒸気ボイラ−47及びナノ過熱水蒸気発生機49とで構成されたものである。
【0012】
本発明の第2の課題解決手段による作用は、水蒸気で加熱した固定ジャケット4の内管体3と回転ジャケット6とで形成された真空室5内の有機物71に、蒸気をナノ過熱水蒸気発生機49で150℃〜550℃前後に超微細化したナノ過熱水蒸気39を、回転ジャケット6に設けた噴出孔41から真空室5内に噴射すると、有機物71は凝縮伝熱による凝縮過程・蒸発復元過程・蒸発乾燥過程・乾留ガス過程を経て減圧状態又は真空状態で熱処理され気液混合物76を発生して有機物71を連続的に再資源化するものである。
【0013】
本発明の第3の課題解決手段による作用は、下方一側端に燃焼バ−ナ−48と排気管56を備えた炉体33の上方両側の開口孔7に両側端が突出するよう回転ジャケット6を内挿した加熱缶体10を横架支承し、炉内34に蒸気ボイラ−47とナノ過熱水蒸気発生機49を装着して形成し、炉内34で発生したナノ過熱水蒸気39を回転ジャケット6に設けた噴出孔41から真空室5内の有機物71に噴射し、熱分解により炭化物75から発生した乾留ガスを排気管56を介して炉内34に吹き込み燃焼して消臭させたものである。
【0014】
本発明の第4の課題解決手段は、有機物71がホッパ−35の押込翼37又は圧搾挿入装置11の圧搾スクリュ−13で加圧し入口側の気密を維持しながら投入され、真空雰囲気で有機物71はナノ過熱水蒸気39で熱分解して熱処理物74や炭化物75に再資源化され、排出管24の第二開閉弁26上に堆積し設定位置に達すと検出装置27で確認し第一開閉弁25の閉弁後に第二開閉弁26を開弁し排出管24より排出し、第二開閉弁25の閉弁後に第一開閉弁26を開弁して排出側の気密維持したものである。
【0015】
本発明の第5の課題解決手段は、有機物71から圧搾した処理水78と造粒片72から蒸発した気液混合物76を処理する排水処理装置60と、固定ジャケット4又は加熱缶体10とを吸引管55で連結し、吸引管55に装着したエジエクタ−ポンプ61に水中ポンプ62を連結して送水管59の噴出圧力差による真空力で気液混合物76を処理水78中に水溶し、一側に冷却ファン52を設置した冷却器51を設け隔壁板65で区画した微生物濾材66により処理水78を連続的に浄化処理したものである。
【0016】
本発明の第6の課題解決手段による作用は、微生物で浄化した処理水78を、央部をイオン交換膜68で隔て片側に直流電源装置67と電気的に結線したプラス電極板69、他側にマイナス電極板70を設けた電解処理槽82に導入し、電気分解により分離した酸性水79は殺菌消毒に、アルカリイオン水80は蒸気ボイラ−47の給水に、排水処理装置60内の気体77は排気管56の吸引ブロワ−50を介して蒸気ボイラ−47又は炉体33下部に設けた燃焼バ−ナ−48部に噴射し熱分解して処理したものである。
【0017】
本発明の第7の課題解決手段による作用は、造粒片72から蒸発した気液混合物76を処理水78と気体77とに分離す凝縮器45と固定ジャケット4又は加熱缶体10とを吸引管55で連結し、分離した処理水78は排水又は蒸気ボイラ−47への給水に、気体77(臭気や乾留ガスなど)は排気管56の吸引ブロワ−50を介して蒸気ボイラ−47又は炉体33の下部の燃焼バ−ナ−48部に噴射し熱分解して処理したものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のナノ過熱水蒸気39による連続再資源化装置1は、有機物71を圧搾挿入装置11で粒状化し表面積を増した事と、真空にして有機物71の水分沸騰蒸発達成温度を降下させ、遠赤外線の放射機能を持つナノ過熱水蒸気39の噴射とにより熱分解処理するためダイオキシン類や悪臭などの公害が発生しない連続再資源化装置1が提供できた。
【0019】
そして、家畜糞尿及び下水処理汚泥やメタン発酵汚泥など有機物71を連続再資源化装置1で処理した熱処理物74はフミン物(例えば、落葉が分解した褐色の天然物質など)と同等の含有成分物、炭化物75は(例えば、脱臭剤、燃料など)の資源とし再生する。他、オカラなどの食品加工残渣を処理した熱処理物74は(例えば、食品原材料、家畜飼料など)に再生できるため生態系調和型の資源リサイクルシステムが確立した。
【0020】
更に、燃焼バ−ナ−48の燃料は(例えば、灯油・重油など)に限定されず、連続再資源化装置1で処理した炭化物75との複合燃焼も可能である。更に、炭化時に発生した気液混合物76を凝縮器45で分離した乾留ガスは3000Kcal/kg前後の発熱量があり、直接ガスエンジン発電機の燃料として用いてランニングコストの大幅な削減ができた。
【0021】
その他、有機物71から蒸発分離した気液混合物76は臭気・有機物・粉塵が介在しているがエジェクタ−ポンプ61での真空吸引では消耗部品がなく保守管理が容易である。又、エジェクタ−ポンプ61の吸引作用で大量の気泡が処理水78に混入して溶存酸素が増加し、好気性微生物により連続的に浄化する排水処理装置60が提供できた。
【0022】
更に、気液混合物76から分離された処理水78は電気分解により処理され、酸性水79は家畜糞尿に含有するクリプトスポリジュウム原虫やサルモネラ菌など病原菌や器械装置の殺菌消毒に用いる。アルカリイオン水80は蒸気ボイラ−47の給水の他、酸性水79洗浄による殺菌後の中和処理などに利用するため作業環境の改善が確立できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
有機性の廃棄物を食品原料や飼料、肥料や炭化物として適正に処理するという目的を、ナノ過熱水蒸気による連続再資源化装置及び排水処理装置を提供することで実現した。
【実施例1】
【0024】
本発明であるナノ過熱水蒸気による連続再資源化装置1及び排水処理装置60実施例を図1及び図2に基づき具体的に説明する。本発明はこれによって限定されるものでなく、連続再資源化装置1を分割して縦方向(図示せず)に段積するなど適宜に変更できる。
【0025】
ナノ過熱水蒸気39を用いた連続再資源化装置1は、架台83を介して地盤面に設置した固定ジャケット4の外管体2と内管体3の両側面の央部に設けた開口孔7を貫通して、ベアリング30とオイルシ−ル31を介して回転自在に密封保持された大容積の回転ジャケット6の一側端部に、回転ジャケット6を1分間に約2から10回転させる減速機を内装した回転ジャケット駆動モ−タ−16がカップリング32を介して回転ジャケット駆動軸8が回転ジャケット6に軸着し、他側端部にナノ過熱水蒸気39を回転しながら供給する配管中空軸9を回転ジャケット6に軸着して真空室5が構成されている。
【0026】
蒸気ボイラ−47で発生した水蒸気38は蒸気供給管43によりスチ−ムトラップ57に供給され、スチ−ムトラップ57で蒸気ドレン46を排出して高い乾き度で安定した圧力の蒸気を固定ジャケット4の上側面上から、外側を真空断熱材29で包んで外気と断熱して保温された外管体2と内管体3とで構成された固定ジャケット4の内部に送り、水蒸気38の保有する凝縮潜熱により真空室5の内部を加熱し蒸気ドレン46として固定ジャケット4の下側面から蒸気戻管44により、ドレンフイルタ−58を介して濾過された凝縮水が蒸気ボイラ−47の補充水として循環利用される。
【0027】
水蒸気は133℃以上で飽和水蒸気となり、更に温度を上げると乾燥能力が高まるため150℃前後から550℃前後のナノ過熱水蒸気39が乾燥速度が早くなるため、水蒸気38を従来公知による加熱(例えば、燃焼バ−ナ−加熱方式、電気加熱方式、電磁誘導加熱方式など)によるナノ過熱水蒸気発生機49に供給して、常圧又は高圧状態の粒子直径を1ナノ(10億分の1mm)に超微細化したナノ過熱水蒸気39を発生させ、ナノ過熱水蒸気供給管40からロ−タリ−バルブ28により回転させながら配管中空軸9を介して供給して回転ジャケット6を加熱させて噴出孔41より真空室5の内部に噴射させる。
【0028】
含水率80%前後の有機物71(例えば、食品廃棄物、食品残渣、家畜糞尿、下水処理汚泥、製紙汚泥など)を、ベルトコンベアなどの搬送置(図示せず)を用いて圧搾挿入装置11のホッパ−35内に投入し、ホッパ−35下部で水平方向で回転する押込翼37で有機物71は圧搾挿入装置11の圧搾スクリュ−13内に押し込まれ、スクリュ−駆動モ−タ−14に軸着した圧搾スクリュ−13の回転により圧搾挿入装置11の先端の直径15mmの加圧成形孔12から丸棒状に圧搾して押し出し、回転ジャケット6の一側に設けた16枚の切断ナイフ20で20mm前後に切断した造粒片72を真空室5に落下させ、有機物71を圧搾して分離された処理水78は、排水管21を介して外部に排出される。
【0029】
造粒片72にされて表面積が増したことで乾燥が促進され、造粒片72の保有水を除去するため150℃前後から550℃前後のナノ過熱水蒸気39の噴射により定率乾燥工程(有機性廃棄物への流入熱量が全て水分蒸発に費やされる工程)から真空乾燥工程(有機性廃棄物の温度が上昇する工程)に移り、ナノ過熱水蒸気39による凝縮過程・蒸発復元過程・蒸発乾燥過程により、造粒片72や乾燥物73から蒸発分離した気液混合物76(乾留ガスなど)は、固定ジャケット4の上部に接続した吸引管55を介して排水処理装置60に設けたエジエクタ−ポンプ61の吸引により真空室5から排出させる。
【0030】
造粒片72から熱処理物74や炭化物75への化学反応は、分子密度(真空度)と処理温度(真空室内)が高いほど分子同士の衝突頻度が高くなり乾燥が早く進行するため、熱分解に必要な熱を造粒片72に効率良く供給するため、回転ジャケット6の外周に設けたスクリュ−掛揚翼19で造粒片72を固定ジャケット4の内管体3に接触し斜め上方向に移動しながらの加熱、回転ジャケット6との接触による加熱、ナノ過熱水蒸気39の噴射による遠赤外線の放射による複合加熱と、真空雰囲気のため(例えば、ダイオキシンの発生、(酸化ガスの発生など)有害物質を発生させず連続的に再資源化処理される。
【0031】
造粒片72から蒸発した、粉塵やアンモニア性の臭気を含んだ気液混合物76は、固定ジャケット4の上部に接続された吸引管55を介して排水処理装置60に送られ、エジエクタ−ポンプ61で水中ポンプ62の送水管59による噴出圧力差による真空力で気液混合物76を処理水78中に排出して水溶化される。処理水78より脱泡して蒸発したアンモニア性の臭気を含んだ気体77は排水処理装置60の上部に設けた吸引ブロワ−50で吸引され排気管56を介して蒸気ボイラ−47内の燃焼部54に噴射され、燃焼バ−ナ−48の火炎による熱分解により消臭処理され上部の煙突84から大気中に放出される。
【0032】
真空室5の内部で造粒片72は、加熱された内管体3の壁面に接触しながらの加熱と、ナノ過熱水蒸気39の噴出による暴露で乾燥を促進しながらスクリュ−掛揚翼19による摺動移動で横上方向に移動してスクリュ−掛揚翼19から回転ジャケット6に設けたジャケット翼15の間に落下する際に微細化し、回転ジャケット6に回転リング支持柱17により剛接合された回転リング18による停留効果により乾燥物73は真空室5内での横方向の移動が制限されて停留し、前記回転リング18より溢れた乾燥物73は回転リング支持柱17の間から次工程に移動されながら加熱され熱処理物74や炭化物75になり、回転ジャケット6端部の網目回転リング22の透過孔23から排出管24に落下する。
【0033】
真空室5内の気密を維持しながら連続再資源化装置1で熱分解して排出させる方法は、有機物71が熱処理物74及び炭化物75に熱分解処理される過程では、排出管24に設けた第二開閉弁26が閉弁して第一開閉弁25が開弁されており、熱処理された熱処理物74及び炭化物75が第二開閉弁26上に堆積して規定された位置に達すると検出装置27を介して検出された信号により制御装置(図示せず)で演算して第一開閉弁25を閉弁させた後に第二開閉弁26が開弁して熱処理物74を落下排出させることによる、繰り返し操作により真空室5の気密が常に維持されている。
【0034】
第一開閉弁25の閉弁した信号による制御装置(図示せず)の指示により、押込翼37が回転して有機物71が圧搾挿入装置11の内部に圧送され、スクリュ−駆動モ−タ−14が起動して圧搾スクリュ−13が回転して加圧成形孔12より真空室5内部に丸棒状に押し出され、内部で回転する回転ジャケット6の周囲に設けられた16枚の切断ナイフ20により切断されて造粒片72にされ、回転ジャケット6の内部に落下することで造粒片72が連続的に供給される。
【0035】
連続再資源化装置1のA−A断面は図3、B−B断面は図4、C−C断面は図5で熱分解処理する主要部の詳細な縦断面説明図である。
【0036】
連続再資源化装置1に投入する機構は図3の如く、制御装置の信号で有機物71はホッパ−35内の下部で上下方向に回転する押込翼37により、圧搾挿入装置11の回転する圧搾スクリュ−13の間に押し込まれて有機物71は圧搾されながら脱水され、絞られた水は排水管21(図示せず)を介して排水処理装置に排出されて浄化処理される。脱水された有機物71は圧搾スクリュ−13で更に加圧されながら先端に設けた直径15mm前後の加圧成形孔12から丸棒状に真空室5の内部に押し出される。
【0037】
丸棒状の有機物71は加圧成形孔12の直下で、回転ジャケット6の一側に設けた16枚の切断ナイフ20により長さ20mm前後切断して体積を小さく表面積を広くした造粒片72になり、回転ジャケット6の回転に伴って内缶体3の下部壁面に落下し、加熱された内缶体3の伝導伝熱による壁面放射とナノ過熱水蒸気39による対流伝熱との複合熱処理により乾燥が促進されながらスクリュ−掛揚翼19で斜め上方向に移動して回転リング18部で停留され溢れた造粒片72が回転リング18の内側を越えて排出側に移動される。
【0038】
蒸気ボイラ−47で加熱した水蒸気38を、真空断熱材29で断熱された外缶体2及び内缶体3で構成された固定ジャケット4の内部に送り真空室5を加熱する。固定ジャケット4の中央に設置された回転ジャケット6に、水蒸気38をナノ過熱水蒸気発生機49で加熱して、粒子直径1ナノメ−トルに微細化した150℃から550℃前後で5kg/m圧力のナノ過熱水蒸気39を固定ジャケット4の内部で回転している回転ジャケット6にロ−タリ−バルブ28を介して回転ジャケット配管中空軸9から供給して加熱させる。
【0039】
連続再資源化装置1の真空室5内での熱処理工程は図4の、回転ジャケット6の周囲には8分割した回転リング支持柱17により回転リング18が軸着しており、相互の回転リング18の間にはスクリュ−掛揚翼19が横架支承されており、造粒片72・乾燥物73・熱処理物74・炭化物75などを真空室5の内部で斜め横上方向に搬送するスクリュ−掛揚翼19がかけ渡してあり、造粒片72は真空室5の内部で回転移動されながら真空状態で蒸気で加熱した固定ジャケット4の内缶体3との接触加熱で乾燥が促進される。
【0040】
真空室5の内で加熱され造粒片72は回転リング18を越えて、更に蒸気をナノ過熱水蒸気発生器49で昇温し微細化した150℃から550℃前後のナノ過熱水蒸気39を、回転ジャケット6に設けた噴出孔41から真空室5の内部にナノ過熱水蒸気39を噴射するため酸素が存在しない無酸素状態で造粒片72は、乾燥初期では凝縮熱伝により造粒片72の表面で水蒸気が凝縮しそのあと凝縮水が再び造粒片72より気液混合物76の蒸発が始まる。尚、処理する有機物の性状により下方向の位置だけ噴射することもできる。
【0041】
真空室5の内部で造粒片72は、内管体3との接触による加熱と、減圧された真空雰囲気のナノ過熱水蒸気39による乾燥を促進させながらスクリュ−掛揚翼19により横斜め上方向に摺動移動により上昇して回転ジャケット6に設けたジャケット翼15の間に落下を繰り返しながら粉砕される、ナノ過熱水蒸気雰囲気で凝縮により造粒片72から全ての水分が蒸発して内部温度が100℃になるまで徐々に水分が減少し乾燥物73になる。更に、蒸発乾燥過程が進行して熱処理物74及び炭化物75になり、蒸発した気液混合物76は真空室5の上部の吸引管55を介して強制的に排水処理装置60に排出される。
【0042】
真空室5の気密を維持しながら排出する方法は図5に示す如く、2組の回転リング18の外周面に網目回転リング22が装着されており、粉砕して微細化された熱処理物74が固定ジャケット4と回転ジャケット6及びジャケット翼15との接触加熱により更に熱処理されながらスクリュ−掛揚翼19により横移動しながら最終端部の網目回転リング22の内部に搬送されると、前記網目回転リング22に設けた透過孔23から熱処理物74及び炭化物75が通過して排出管24に設けた第二開閉弁26の上に落下して積載する。
【0043】
排出管24には上部に第一開閉弁25その直下には検出装置27が設置され最下部には第二開閉弁26が設けてあり、連続再資源化装置1の運転時は常に第二開閉弁26は閉弁して真空を保持しているが、熱処理物74及び炭化物75が設定された定位置まで積載すると検出装置27により検出して信号を送り制御装置(図示せず)の演算処理で上部の第一開閉弁25が開弁し、その確認の後第二開閉弁26が開弁して熱処理物74及び炭化物75は連続再資源化装置1の真空室5内から外部に排出される。
【0044】
連続再資源化装置1に投入された有機物71は、真空状態で過熱と温熱の両方の性質をもったナノ過熱水蒸気39により約1/10に減容されて熱処理物74及び炭化物75となり、第一開閉弁25又は第二開閉弁26の開閉作動を検出して約10倍の有機物71をホッパ−35により計量して投入し圧搾挿入装置11の運転制御により連続再資源化装置1の真空室5の内部の真空度が常に保たれ連続して熱分解処理が可能な構造である。
【0045】
真空にするため設けた図6の排水処理装置60は、真空室5の内部でナノ過熱水蒸気39による熱分解で有機物71から蒸発した粉塵や臭気を含んだ気液混合物76を、生物処理槽81の内底部に設けた水中ポンプ62により処理水78を吸い込んで送水管59を介してエジェクタ−ポンプ61に給水される。前記エジェクタ−ポンプ61から噴出する際の圧力により発生する強い吸引力により吸引管55の先端部が真空になる作用を利用して真空室5から吸引された気液混合物76を処理水78中に噴出して水溶化させる。
【0046】
生物処理槽81内の処理水78は、高温の気液混合物76の供給で常に加熱され好気性微生物による浄化を妨げるため冷却器51に導いて冷却ファン52で降温させている。生物処理槽81は液面レベル64までの隔壁板65と下方を開放した隔壁板65とにより区画され、アンモニア性の臭気を溶存した処理水78はエジェクタ−ポンプ61の噴流で隔壁板65と下方から微生物濾材66(例えば、牡蠣殻など)に生成した好気性微生物により浄化で処理されて液面レベル64から溢れて次工程に流入する際、送水管59の下側に設けた散水シャワ−63により液面レベル64より上の気体77をシャワ−水圧により処理水78に混入し微生物処理で脱臭する高度な複合浄化で環境の保全をしている。
【0047】
好気性微生物による生物浄化の脱臭処理した清浄な排気は大気中に放出されるが、熱分解の条件により生物浄化の脱臭処理でも気体77に臭気が残る場合は、排水処理装置60の上部に設けた吸引ブロワ−50に接続した排気管56を介して、蒸気ボイラ−47の燃焼部54に噴射させて燃焼バ−ナ−48による熱分解により消臭処理させて蒸気ボイラ−47の煙突84から大気中に清浄な燃焼ガスとして放出し環境汚染に配慮している。
【0048】
微生物濾材66で浄化処理されて溢れた処理水78は、直流電源装置67を用いたイオン交換膜68による電解作用で+電極板69側には酸性水79と−電極板70側にはアルカリイオン水80とに分離される。アルカリイオン水80は作業場内の洗浄や、連続再資源化装置1の酸性水79による殺菌洗浄後の中和処理水として利用され他作業場内の消臭、食品残渣や家畜糞尿及び汚泥に混入した(例えば、腸炎ビフリオ菌、サルモネラ菌、病原性大腸菌など)汚染した作業施設の殺菌消毒や作業従事者の手洗消毒に用いる。
【実施例2】
【0049】
本発明の加熱缶体10を燃焼バ−ナ−48で加熱する連続再資源化装置1の全体構造を図7で示すが、これによって限定されるものでなく用途に応じて適宜変更しても良い。
【0050】
ナノ過熱水蒸気39を用いた連続再資源化装置1は、加熱缶体10の両端が炉体33から突出して設置され下側に燃焼バ−ナ−48と排気管56及び送水管59を設けている。炉内34には蒸気ボイラ−47とナノ過熱水蒸気発生機49が内装されており、加熱缶体10の両側面の央部に設けた開口孔7を貫通して、ベアリング30とオイルシ−ル31を介して回転自在に密封保持された回転ジャケット6を内装した構造で、一側端部に回転ジャケット6を回転させる回転ジャケット駆動モ−タ−16がカップリング32を介して回転ジャケット駆動軸8が回転ジャケット6に軸着し、他側端部にナノ過熱水蒸気39を回転しながら供給する回転ジャケット配管中空軸9が回転ジャケット6に軸着している。
【0051】
含水率80%前後の有機物71を搬送装置(図示せず)を用いて圧搾挿入装置11のホッパ−35に投入し、ホッパ−35下部で水平方向で回転する押込翼37で有機物71は圧搾挿入装置11の圧搾スクリュ−13内に押し込み、スクリュ−駆動モ−タ−14の駆動で回転する圧搾スクリュ−13で圧搾挿入装置11内の有機物71を圧搾して脱水し、更に圧縮して先端の直径15mm加圧成形孔12から丸棒状に押し出し、回転リング支持柱17の側面で20mm前後に切断して造粒片72が連続成形され真空室5内に落下する。
【0052】
蒸気ボイラ−47の蒸気をナノ過熱水蒸気発生機49に供給し、微細化した150℃から550℃前後のナノ過熱水蒸気39を、ナノ過熱水蒸気供給管40からロ−タリ−バルブ28を介し回転ジャケット6を回転させながら噴出孔41から真空室5内の造粒片72に噴射すると、造粒片72及び乾燥物73は凝縮熱伝導による凝縮過程・蒸発復元過程・蒸発乾燥過程による対流・ガス放射・壁面放射の3種類の熱エネルギ−が加わった複合熱処理により、乾燥物73から熱処理物74さらには炭化物75に熱分解処理される。
【0053】
真空室5の内部で有機物71から蒸発分離され粉塵や臭気を含んだ気液混合物76は吸引管55を介して吸引ブロワ−50により吸引されて、凝縮器45により分離され連続再資源化装置1から処理水78として排出される。処理水78の一部は送水管59を介しドレンフイルタ−58で濾過され蒸気ボイラ−47の給水に混入される。分離された気体77は排気管56を介して炉内34の燃焼部54に噴射され、燃焼バ−ナ−48の火炎により熱分解により消臭処理されて上部に設置した煙突84を介し大気中に放出される。
【0054】
真空室5の気密を維持させながら連続再資源化装置1で熱分解して排出する方法は、有機物71を熱分解して熱処理物74にされる過程では、第二開閉弁26が閉弁して第一開閉弁25が開弁されており、熱処理された熱処理物74及び炭化物75が第二開閉弁26上に堆積して規定された位置に達すると検出装置27を介して検出された信号により第一開閉弁25を閉弁させた後に第二開閉弁26が開弁して連続再資源化装置1から熱処理物74や炭化物75を落下排出させることで真空室5の排出側の気密を維持している。
【0055】
第一開閉弁25又は第二開閉弁26の開閉作動を検出した信号を制御装置に入力して、演算処理された指示により、ホッパ−35内の押込翼37が回転し熱処理物74や炭化物75の約10から20倍の有機物71(食品残渣・家畜糞尿・下水処理汚泥・製紙汚泥・重金属廃液・スラリ−など)を押込翼37により圧搾挿入装置11の内部に圧送されることで真空室5挿入側の気密を維持して連続再資源化装置1の処理能力が維持される。
【0056】
その他、連続再資源化装置1で有機物71をナノ過熱水蒸気39により炭化物75に熱処理する過程で蒸発分離した乾留ガスを、吸引管55に接続した吸引ブロワ−50で吸引し排気管56から炉内34に吹き込み燃焼させる。その他、乾留ガスは3000Kcal/kg前後の可燃性ガスのため、直接コ−ジェネレ−ション(図示せず)のガスエンジン発電機の燃料として用いることで電気エネルギ−として回収することができた。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態を示す連続再資源化装置の断面図
【図2】同連続再資源化装置及び排水処理装置の全体概要図
【図3】図1のA−A線断面図
【図4】図1のB−B線断面図
【図5】図1のC−C線断面図
【図6】排水処理装置の断面図
【図7】第2実施形態の連続再資源化装置の断面図
【符号の説明】
【0058】
4 固定ジャケット
10 加熱缶体
11 圧搾挿入装置
49 ナノ過熱水蒸気発生機
60 排水処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管体2及び内管体3から成る固定ジャケット4両側面の央部に設けた開口孔7の一端に回転ジャケット駆動軸8を軸着し、他端に回転ジャケット配管中空軸9を軸着して支承した回転ジャケット6と固定ジャケット4の内管体3とで形成した真空室5に、ホッパ−35に投入された有機物71を押し込む圧搾挿入装置11と蒸気ボイラ−47及びナノ過熱水蒸気発生機49とで構成されたことを特徴とする有機物の連続再資源化装置
【請求項2】
水蒸気で加熱した固定ジャケット4の内管体3と回転ジャケット6とで形成した真空室5内の有機物71に、蒸気をナノ過熱水蒸気発生機49で150℃から550℃前後に超微細化したナノ過熱水蒸気39を回転ジャケット6に設けた噴出孔41から真空室5内に噴射し、有機物71は凝縮伝熱による凝縮過程・蒸発復元過程・蒸発乾燥過程・乾留ガス過程を経て熱処理され気液混合物76を発生したことを特徴とする有機物の連続再資源化装置
【請求項3】
下方一側端に燃焼バ−ナ−48と排気管56を備えた炉体33の上方両側の開口孔7に両側端が突出するよう回転ジャケット6を内挿した加熱缶体10を横架支承し、炉内34に蒸気ボイラ−47とナノ過熱水蒸気発生機49を装着して形成し、炉内34で発生したナノ過熱水蒸気39を回転ジャケット6に設けた噴出孔41から真空室5内の有機物71に噴射して乾燥し、熱分解して炭化物75から発生した乾留ガスを排気管56を介して炉内34に吹き込み燃焼して処理したことを特徴とする有機物の連続再資源化装置
【請求項4】
有機物71が投入ホッパ−35内の押込翼37又は圧搾挿入装置11の圧搾スクリュ−13で加圧し気密を維持しながら投入され、真空雰囲気で有機物71はナノ過熱水蒸気39で熱分解して熱処理物74や炭化物75に再資源化され、排出管24の第二開閉弁26上に堆積し設定位置に達すと検出装置27で確認し第一開閉弁25の閉弁後に第二開閉弁26を開弁し排出管24より排出し、第二開閉弁25の閉弁後に第一開閉弁26を開弁して排出側の気密維持をしたことを特徴とする有機物の連続再資源化装置。
【請求項5】
有機物71から圧搾した処理水78と造粒片72から蒸発した気液混合物76を処理する排水処理装置60と固定ジャケット4又は加熱缶体10とを吸引管55で連結し、吸引管55に装着したエジエクタ−ポンプ61に水中ポンプ62を連結して送水管59の噴出圧力差による真空力で気液混合物76を処理水78中に水溶し、一側に冷却ファン52を設置した冷却器51を設け隔壁板65で区画した微生物濾材66通過時に好気性微生物により浄化処理したことを特徴とする請求項1乃至4記載の排水処理装置
【請求項6】
微生物で浄化した処理水78を、央部をイオン交換膜68で隔て片側に直流電源装置67と電気的に結線したプラス電極板69、他側にマイナス電極板70を設けた電解処理槽82に導入し、電気分解により分離した酸性水79は殺菌消毒に、アルカリイオン水80は蒸気ボイラ−47の給水に、排水処理装置60内の気体77は排気管56の吸引ブロワ−50を介して蒸気ボイラ−47又は炉体33の下部に設けた燃焼バ−ナ−48部に噴射して熱分解して処理したことを特徴とする請求項1乃至4記載の排水処理装置
【請求項7】
造粒片72から蒸発した気液混合物76を処理水78と気体77とに分離する凝縮器45と固定ジャケット4又は加熱缶体10とを吸引管55で連結し、分離した処理水78は排水又は蒸気ボイラ−47への給水に、気体77は排気管56の吸引ブロワ−50を介して蒸気ボイラ−47又は炉体33の下部に設けた燃焼バ−ナ−48部に噴射して熱分解して処理したことを特徴とする請求項1乃至4記載の有機物の連続再資源化装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−75807(P2007−75807A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299374(P2005−299374)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000183680)
【出願人】(303010681)
【出願人】(304001040)株式会社環境技術総合研究所 (7)
【Fターム(参考)】