説明

有機系廃棄物の処理装置

【課題】 有機系廃棄物、特に敷き藁や医療廃棄物を、それらに繁殖又は付着した微生物や病原菌を滅菌乃至死滅させ無菌化,無害化した上で処分することができる従来にない新たな有機系廃棄物の処理装置を提供すること。
【解決手段】 耐圧容器1内において有機系廃棄物を高温・高圧の環境下で攪拌しながら加水分解すると共に、熱分解し、炭化して処理する廃棄物の処理装置において、前記容器1内に高熱の飽和水蒸気を供給する水蒸気供給手段9と、該容器1内の圧力を開閉弁により調節する圧力調節手段10と、投入された廃棄物を前記容器内で攪拌するため軸7が当該容器1内を貫通して設けられた攪拌手段6を少なくとも備え、前記廃棄物を当該容器1内の温度を230℃以上、圧力を3MPaに調節して攪拌することにより乾燥させて前記処理をすると共に、前記圧力調節手段10により前記容器1内の圧力を大気圧以下に調節して処理後の前記廃棄物を排出するようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却や埋立てなどにより処理されていた従来の有機系廃棄物を、水蒸気による高温・高圧の環境下で分解処理する廃棄物処理装置に関し、特に使用済みの敷き藁や医療廃棄物の分解処理に際しそれらに付着している病原菌や微生物、ウィルス,細菌,雑菌を滅菌乃至死滅させることができる有機系廃棄物の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から有機系廃棄物、例えば、古紙や紙屑などの紙類、使用済みのプラスチック製容器や袋,ペットボトルなどのプラスチック類、レストランや食堂,各家庭などからでる生ゴミ類、或は、廃タイヤなどのゴム類等は、リサイクルシステムがある程度完成している新聞古紙や分別された廃プラスチックなどの場合は別として、通常は、焼却炉で焼却処分したり、焼却できないものは地中に埋設して処分されていた。
【0003】
また、上記以外の有機系廃棄物として、馬や牛、或は、豚などを移送,運搬するときにコンテナ内や車輌内の床面に敷く敷き藁があるが、馬などが敷き藁に直接排便等するため、敷き藁を処分するときに糞や尿も一緒に処分する必要がある。しかし、このような敷き藁には微生物や雑菌が繁殖しているため、焼却炉で焼却処分すると、微生物が死滅しないで、排煙と一緒に大気中に放出されたり、焼却灰中に残っているおそれがある。
【0004】
更に、有機系廃棄物として、上記以外に、病院などの医療機関,医療現場から出る使用済みの包帯,綿,おむつ,シーツなどがある。これらは専門の業者が回収しているが、回収されたものをそのまま焼却炉で焼却すると、敷き藁の場合と同様、病原菌や雑菌,ウィルスなどが大気中に放出されたり、焼却灰中に残っているおそれがあるため、焼却前に消毒や殺菌処理をする必要がある。
【0005】
しかし、最近は地球環境保全の観点から、有機系廃棄物の焼却炉による焼却処分に対する風当たりが強く、また、焼却炉による廃プラスチック等の焼却処分は焼却炉を傷めたりダイオキシンなどの有害物質が発生するおそれがあるため、法令や条例などにより、焼却炉による焼却処分が厳しく規制されている。
【0006】
従って、有機系廃棄物を焼却炉による焼却以外の方法で処分する方法と装置の開発が急務とされている。本発明の発明者は先にそのための方法と装置を開発し既に特許出願(特許文献1)している。また、特許文献2や特許文献3,特許文献4においても、同様の方法と装置が提案されている。
【0007】
特許文献1に開示されているシステムは、廃棄物その他の一般材料を高温・高圧の環境下で発熱成型体として再利用できるように処理するためのもので、優れたシステムではあるが、処理後に耐圧容器を開いたとき内部のガスや蒸気等が外部に放出されてしまうため、病原菌や微生物、雑菌などが残存していたとき一緒に大気中に拡散されてしまうおそれがあり、この点で改良の余地があった。また、特許文献2に開示されている分解処理方法,装置も水熱反応を利用し、臨界圧力以下の温度で難分解性廃棄物を分解処理するものであるが、連続式であるため、装置が複雑になってしまうという問題があった。更に、特許文献3に開示されている有機性廃棄物の処理方法は、水の超臨界温度以上で超臨界圧力未満に設定された高温高圧水蒸気中で酸化処理する方法であるが、設定温度が500℃以上、圧力が5MPa〜22MPaと高いため、それに耐え得る装置の開発が難しく、コストもかかるという問題があった。次に、特許文献4に開示されている高温高圧処理装置は、超臨界水又は亜臨界水の状態下で有機性廃棄物を連続的に酸化処理するものであるが、酸化分解反応に好ましい亜臨界水の処理条件は、温度250℃以上、処理圧力5〜10MPaであるため、この条件で連続的に酸化処理するための装置の開発が難しく、コストがかかり過ぎるという問題があった。
【0008】
また、上記特許文献1〜4に開示されている発明は、水熱反応を用いて有機系廃棄物を分解するという点で共通しているが、有機系廃棄物に病原菌や微生物,雑菌が付着し,繁殖している場合なとに対する対策が充分になされておらず、例えば、敷き藁に繁殖した微生物や雑菌、医療廃棄物に付着した病原菌を滅菌乃至殺菌することまでは検証されておらず、これらを大気中に拡散させないような装置構成にはなっていない。
【特許文献1】特開2004−321855号公報
【特許文献2】特開平10−147662号公報
【特許文献3】特許第3440835号公報
【特許文献4】特開2004−290819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の有機系廃棄物の処理装置には上記のような問題点があることに鑑み、有機系廃棄物、特に敷き藁や医療廃棄物を、それらに繁殖又は付着した微生物や病原菌を滅菌乃至死滅させ無菌化,無害化した上で処分することができる従来にない新たな有機系廃棄物の処理装置を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明の構成は、耐圧容器内において有機系廃棄物を高温・高圧の環境下で攪拌しながら加水分解すると共に、熱分解し、炭化して処理する廃棄物の処理装置において、前記容器内に高熱の飽和水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、該容器内の圧力を開閉弁により調節する圧力調節手段と、投入された廃棄物を前記容器内で攪拌するため軸が当該容器内を貫通して設けられた攪拌手段を少なくとも備え、前記廃棄物を当該容器内の温度を230℃以上、圧力を3MPaに調節して攪拌することにより乾燥させて前記処理をすると共に、前記圧力調節手段により前記容器内の圧力を大気圧以下に調節して処理後の前記廃棄物を排出するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明は、上記構成において、水蒸気を強制的に排出する強制排出手段を設け、乾燥時に発生する水蒸気を耐圧容器外に排出するようにする構成にすることができる。
【0012】
本発明装置で処理する有機系廃棄物としては、使用済みの敷き藁、及び/又は、医療廃棄物、又は、肉,野菜,魚の残渣や売れ残りの弁当などの生ゴミ、又は、包装紙,段ボール,プラスチック製の容器や袋,ペットボトル,発泡スチロールなどのプラスチック類、若しくは、木材片や伐採された樹木、草など、或は、医療廃棄物、若しくは、汚泥又は畜産廃棄物などが挙げられる。
【0013】
ここで、本発明の処理原理について説明すると、本発明装置は、高温・高圧滅菌装置であるが、処理対象を有機系廃棄物のうち敷き藁や医療廃棄物など分解し易いものに限定しその無菌化・無害化処理をするので、超臨界水条件下での処理は必要なく、亜臨界水条件下での水熱反応で充分である。処理に当たっては装置内に飽和水蒸気を供給することで、亜臨界条件下で処理を行なう。即ち、高温・高圧水中での処理となる。一般に、水は高い解離度と大きな誘電率を持つことが特徴であるが、常温の水では、水素イオンの濃度によって酸性やアルカリ性といった性質が発現する。また、水自身の水素イオンと水酸化物イオンがそれぞれ反応して物質を分解する反応は加水分解として知られている。無機化合物でも有機化合物でも酸素を挟んだ結合、有機化合物ではエステルやエーテル結合、無機化合物では酸化物は、水によって相互に水酸化物を橋にして分解する。
【0014】
また、高温・高圧の状態では、水の解離度は温度の上昇とともに進行し250℃付近で最大に達してから下降する。これは温度の変化によって水の酸或はアルカリとしての性質も大きく影響を受けることを意味する。即ち、亜臨界の飽和蒸気圧下では、水の解離度が大きいため、酸・アルカリの性質が強く、反応活性な溶媒となる。従って、亜臨界水中では反応活性な水分子による加水分解反応が起こり、300℃前後で最も反応が激しくなる。
【0015】
また、飽和蒸気圧下ということは気相と液相が混在している状態なので、液相では加水分解反応が、気相では脱水縮合反応が優先する。一般に、亜臨界の飽和蒸気圧下における液相中ではイオン反応や加水分解反応の加速化、気相中ではラジカル反応が優先するとされている。このような亜臨界水や超臨界水での反応は水熱反応として知られている。
【0016】
本発明装置は、上記の通り、亜臨界の飽和蒸気圧下における水熱反応を利用しており、処理前に内部空気の排出を行なわない。そのため処理は酸素の存在下で行なわれるが、230℃程度の低温域では酸素の存在によって酸化反応を伴う。酸化反応は電子を奪う反応であるが、一般に水を媒介とした場合には電子の授受がより容易となる。このような水熱条件のもとでの酸化反応は水熱酸化反応として知られている。
【0017】
本発明装置は、有機系廃棄物のうち、分解され易い、敷き藁や医療廃棄物を主な処理対象としているが、廃プラスチックなども処理することができる。主な廃プラスチックであるポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルは一般に温度に依存した熱分解性を示す。しかし、これらのプラスチックの熱安定性はポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオレフィンの順で強くなることで知られ、真空中の揮発率は200℃程度ではきわめて低いことが知られており、本発明装置における処理に当たっても熱分解の寄与は低いと考えられる。本発明装置では、230℃の亜臨界水条件下で上述のようにな亜臨界水での反応機構から液相中では加水分解反応やイオン反応、気相中では脱水縮合反応やラジカル反応、熱分解及び水熱酸化により廃プラスチックが分解されるものと推定される。また、処理残渣は未分解の廃プラスチックと推定される。このような分解物は蒸気とともに本発明装置内から排出され、サイクロンを経由して粉塵等が分離され、残りの蒸気はエジェクターで冷却水との気液接触によりその大部分は冷却液化し、微生物処理及び活性炭によって廃水処理される。また、余剰ガス中の未分解物は燃焼方式により二次処理されて排出される。
【発明の効果】
【0018】
本発明装置は、有機系廃棄物のうち、分解され易い、敷き藁や医療廃棄物を主な処理対象とし、亜臨界水条件下での水熱反応を利用しているので、装置の製作が容易であるという効果がある。また、本発明装置は敷き藁に繁殖している微生物や雑菌、医療廃棄物に付着している病原菌を水蒸気による高温・高圧条件下の水熱酸化反応により滅菌,死滅させることができるので、従来、消毒や殺菌処理等を施してからでなければ処理できなかった廃棄物を容易に処理できるという格別の効果が得られる。
【0019】
また、本発明装置は密閉された容器内で分解等の処理を行なうため、生ゴミや畜産廃棄物などであっても処理中に悪臭を外部に発散させることがないという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態例を図に拠り説明する。図1は本発明の一例の有機系廃棄物処理装置の断面図である。図1において、1は耐熱耐圧容器で、ここでは内部温度600℃、内部圧力5MPaに耐え得る容器を用いている。2はこの容器1内に有機系廃棄物を投入するための廃棄物投入口、3は耐熱耐圧容器1の機密性を保持しつつ廃棄物投入口2に投入する有機系廃棄物を貯留しこの容器1内に投入する装置である。4は廃棄物処理後の炭化物等の取出口、5は耐熱耐圧容器1の機密性を保持しつつ取出口4から取出した炭化物等を一旦貯留する処理済貯留部である。
【0021】
6は耐熱耐圧容器1内に設けられている攪拌手段としてのスクリュウ羽根でこの容器1内に貫通して設けられている軸7に取り付けられ、モータ8によって回転させられる。耐熱耐圧容器1内に投入された廃棄物は、このスクリュウ羽根6によって攪拌されると共に、モータ8の正逆回転制御によってこの容器1内を前後に移動させられるようになっている。
【0022】
9は水蒸気供給装置で、ここで発生した高熱の飽和水蒸気を供給管9aにより耐熱耐圧容器1内に供給する。10は圧力調整装置で、接続管10aにより耐熱耐圧容器1に接続し、この容器1内の圧力を開閉弁(図示せず)により調節して所定の圧力に調整する。
【0023】
11は耐熱耐圧容器1内の温度を所望の温度に調整するための温度調節装置で、ここでは耐熱耐圧容器1の外側に加熱コイル11aを巻回すように設け、この加熱コイル11aへの通電を制御することによりこの容器1内の温度を制御している。なお、耐熱耐圧容器1内の温度調整は、加熱コイル11aによるほか、ガスによる燃焼加熱によることもある。
【0024】
12はサイクロンで、開閉弁12aを介して耐熱耐圧容器1に接続し、有機系廃棄物の分解により発生した余剰ガスを取出して粉塵等を分離し、残りのガスや蒸気をエジェクタ13において冷却水との気液接触によりその大部分を冷却液化し、微生物処理及び活性炭によって廃水処理する。14は耐熱耐圧容器1内の水蒸気を強制的に排出する強制排出装置である。
【0025】
15は圧力センサ、16は温度センサで、これらによって耐熱耐圧容器1内の圧力と温度を有機系廃棄物の処理中に監視する。17は中央制御装置で、これらの圧力センサ15,温度センサ16による圧力と温度の測定結果に基づき、制御信号ケーブルにより、耐熱耐圧容器1に設けられたすべての装置、即ち、廃棄物投入口2に設けられた有機系廃棄物の貯留投入装置3、取出口4に設けられた廃棄物の処理済貯留部5、スクリュウ羽根6を回転させるモータ8、耐熱耐圧容器1内に高熱の飽和水蒸気を供給する水蒸気供給装置9、耐熱耐圧容器1内の圧力を調整する圧力調整装置10、耐熱耐圧容器1内の温度を調節する温度調節装置11、開閉弁12a、乾燥時に発生する水蒸気を耐熱耐圧容器1の外に排出するための強制排出装置14の作動を制御する。
【0026】
本発明装置では、中央制御装置17で上記の各装置の作動を制御しながら、耐熱耐圧容器1内の温度を230℃以上、圧力を3MPaに調節し上記スクリュウ羽根6を回転させて有機系廃棄物をこの容器1内で攪拌することにより乾燥させて有機系廃棄物を加水分解すると共に、熱分解し、炭化して処理する。なお、乾燥時には強制排出装置14により発生する水蒸気を耐熱耐圧容器1外に放出するが、圧力調整装置10により容器1内の圧力が3MPaより低くならないようにする。
【0027】
耐熱耐圧容器1内の圧力は、有機系廃棄物の処理中に発生するガスによっても高くなるので、開閉弁12aの開閉を調節して余剰ガスを容器1外に取り出すことによっても圧力を調節する。取り出すに際しては、サイクロン12を経由して粉塵等を分離する。
【0028】
また、上記の圧力調節装置10によって、有機系廃棄物の処理後に残留物を取出口4から処理済貯留部5に取り出すとき、この容器1内の圧力が大気圧以下になるように調節する。このようにしないと耐熱耐圧容器1内の水蒸気やガスが大気中に一気に放出されてしまい、微生物や病原菌が死滅しないで処理後の残留物に残っている場合はこれらも一緒に大気中に放出されてしまうからである。
【0029】
温度調節装置11は、圧力3MPaにおいて耐熱耐圧容器1内の温度を230℃以上に調節するためのものであり、容器1内の温度が230℃より低くなったときは加熱コイル11aに通電して加熱するが、温度が高くなり過ぎたときは、水蒸気供給装置9からの高熱の飽和水蒸気の供給を制限したり、水蒸気を強制排出装置14により外部に放出するなどして調節する。なお、本発明装置では、上述の通り亜臨界水条件下での水熱反応を利用して廃棄物を分解等するので、耐熱耐圧容器1内の温度が500℃以上にならないように調節する。
【0030】
本発明装置の一例は上記構成であるが、本発明装置で5リューベタイプで実際に約3トンの微生物が繁殖している敷き藁を耐熱耐圧容器1内に投入し、容器1内の圧力を3MPa、温度を230℃にし、スクリュウ羽根6を1分間約36回転の速度で正逆回転させながら処理したところ、約30分間ですべて炭化処理することができた。また、取出口4から取り出した廃棄物の処理済貯留部5内の残留物を調べたところ、微生物や雑菌は全く検出されなかった。
【0031】
また、同様に、本発明装置で回収業者から試験的に譲り受けた包帯や綿、シートなどの有機系医療廃棄物で、注射器などの無機物をも含む廃棄物を耐熱耐圧容器1内に投入し、容器1内の圧力を3MPa、温度を260℃にし、スクリュウ羽根6を1分間約36回転の速度で正逆回転させながら処理したところ、約40分間で、注射器を除き他のすべて炭化処理することができた。また、取出口4から取り出した廃棄物の処理済貯留部5内の残留物を調べたところ、病原菌は全く検出されず、また、残った注射器からも病原菌は検出されなかった。
【0032】
更に、本発明装置で、肉,野菜,魚などの食品残渣や売れ残りの弁当などの生ゴミ類についても、また、包装紙や紙屑などの紙類についても、更に、段ボール,プラスチック製の容器や袋,ペットボトル,発泡スチロールなどのプラスチック類についても、それぞれ
耐熱耐圧容器1内に投入して試験を行なったが、ほぼすべてを分解することができ、また、プラスチック類の場合は、メタン,エチレン,プロピレンといった燃焼性のガスや液体を燃料ガスや燃料油として回収することができた。
【0033】
また、本発明装置は、木材片や伐採された樹木、草などや汚泥や畜産廃棄物をも処理することができ、これらを容器1内の圧力を3MPa、温度を260℃にし、スクリュウ羽根6を1分間約36回転の速度で正逆回転させながら処理したところ、悪臭を発生することなく、大部分を分解等処理することができ、分解されないものにはダイオキシンなどの有害物質は全くないのでそのまま土壌に廃棄しても安全であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の有機系廃棄物の処理装置は、従来処分が難しいとされていた微生物や雑菌が繁殖した敷き藁や病原菌が付着した医療廃棄物を、これらの微生物や雑菌,病原菌を滅菌乃至殺菌すると同時に分解等して処分することができ、また、その他の生ゴミや畜産廃棄物,汚泥なども悪臭を発散することなく分解等して炭化処理することができるので、きわめて有用である。また、本発明装置は、廃プラスチック類や廃ゴム類も燃焼させずに分解等して処分することができるので、燃焼に伴うダイオキシンなどの有害物質を発生させることなく、安全な装置であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一例の有機系廃棄物処理装置の断面図。
【符号の説明】
【0036】
1 耐熱耐圧容器
2 廃棄物投入口
3 廃棄物投入装置
3 ガスバリア性フィルム
4 取出口
5 処理済貯留部
6 スクリュウ羽根
9 水蒸気供給装置
10 圧力調節装置
11 温度調節装置
11a 加熱コイル
12 サイクロン
12a 開閉弁
14 水蒸気の強制排出装置
15 圧力センサ
16 温度センサ
17 中央制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧容器内において有機系廃棄物を高温・高圧の環境下で攪拌しながら加水分解すると共に、熱分解し、炭化して処理する廃棄物の処理装置において、前記容器内に高熱の飽和水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、該容器内の圧力を開閉弁により調節する圧力調節手段と、投入された廃棄物を前記容器内で攪拌するため軸が当該容器内を貫通して設けられた攪拌手段を少なくとも備え、前記廃棄物を当該容器内の温度を230℃以上、圧力を3MPaに調節して攪拌することにより乾燥させて前記処理をすると共に、前記圧力調節手段により前記容器内の圧力を大気圧以下に調節して処理後の前記廃棄物を排出するようにしたことを特徴とする有機系廃棄物の処理装置。
【請求項2】
水蒸気を強制的に排出する強制排出手段を設け、乾燥時に発生する水蒸気を耐圧容器外に排出するようにした請求項1の有機系廃棄物の処理装置。
【請求項3】
有機系廃棄物は、使用済みの敷き藁、及び/又は、医療廃棄物である請求項1又は2の有機系廃棄物の処理装置。
【請求項4】
有機系廃棄物は、肉,野菜,魚などの食品残渣や売れ残りの弁当などの生ゴミ、又は、包装紙,段ボール,プラスチック製の容器や袋,ペットボトル,発泡スチロールなどのプラスチック類、若しくは、木材片や伐採された樹木、草などである請求項1又は2の有機系廃棄物の処理装置。
【請求項5】
有機系廃棄物は、汚泥又は畜産廃棄物である請求項1又は2の有機系廃棄物の処理装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−7622(P2007−7622A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194794(P2005−194794)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(503147099)エコマテリアル株式会社 (3)
【出願人】(503451332)株式会社ガイアクリーン22 (1)
【Fターム(参考)】