説明

有機電子デバイス、および、溶液プロセス技術を用いて有機電子デバイスを作製する方法

有機電子デバイスの製造方法であって、基板を用意することと、基板の上にウェル画定構造を形成することと、ウェル画定構造によって画定されたウェルに、有機半導体材料および/または有機導電材料の溶液を堆積させることとを含み、ウェル画定構造が、第1の絶縁材料と第2の絶縁材料との混合物を含む溶液を堆積させることにより形成され、第2の絶縁材料が第1の絶縁材料より低い濡れ性を有しており、第1の絶縁材料と第2の絶縁材料とを少なくとも部分的に相分離させて、第2の絶縁材料が基板から離れる方向に相分離している方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電子デバイス、および、溶液プロセス技術を用いて有機電子デバイスを作製する方法に関する。本発明の特定の実施形態は、有機薄膜トランジスター、有機光電子デバイス、有機発光ディスプレイデバイス、および溶液プロセス技術を用いてこれらを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性有機成分を溶液から堆積させるステップを含む有機電子デバイスの製造方法が、当技術分野で知られている。こうした方法には、基板を用意するステップが含まれ、この基板上に、1種または複数種の活性有機成分を堆積させることができる。溶液から活性有機成分を堆積させる場合、1つの問題は、基板の所望の領域に活性有機成分を封じ込める方法である。この問題の1つの解決策は、パターニング(パターン化)されたバンク層を含む基板を用意することである。この層は、活性有機成分を溶液で堆積させることができるウェルを画定している。このウェルは、溶液が乾燥する間これを封じ込めており、これにより、活性有機成分は、ウェルによって画定された基板の領域に残存することになる。
【0003】
上述の溶液プロセス方法は、溶液の有機材料を堆積させるのに特に有用であることが分かった。これらの有機材料は、導電性、半導電性、および/または光電活性を有するものとすることができる。これにより、電流が有機材料に流れると発光することができ、あるいは、光が有機材料に当たると電流を発生させることにより光を検出することができるようになる。これらの材料を利用するデバイスは、有機電子デバイス(有機ELデバイス)として知られている。一つの例は、有機トランジスターデバイスである。有機材料が発光材料である場合、デバイスは有機発光デバイスとして知られている。トランジスターおよび発光デバイスは以下により詳細に述べる。
【0004】
トランジスターは、バイポーラ接合トランジスターおよび電界効果トランジスターの2つの主要なタイプに分類することができる。両方のタイプとも、3つの電極を備え、これらの間に半導電材料がチャネル領域に配置されている共通の構造を有する。バイポーラ接合トランジスターの3つの電極は、エミッター、コレクタ、およびベースとして知られている。一方、電界効果トランジスターでは、3つの電極は、ソース、ドレイン、およびゲートとして知られている。バイポーラ接合トランジスターは電流動作型デバイスと記述することができる。何故ならば、エミッターとコレクタの間の電流が、ベースとエミッターの間を流れる電流によって制御されるからである。これに対して、電界効果トランジスターは電圧動作型デバイスと記述することができる。何故ならば、ソースとドレインの間を流れる電流が、ゲートとソースの間の電圧によって制御されるからである。
【0005】
トランジスターはp型およびn型と分類することもできる。これは、トランジスターが、それぞれ、正電荷キャリアー(正孔)を導電する半導電材料を含んでいるのか、または負電荷キャリアー(電子)を伝導する半導電材料を含んでいるのかによるものである。半導電材料は、電荷を受容し、伝導し、かつ供与するその能力に従って選択することができる。半導電材料が正孔または電子を受容し、伝導し、かつ供与する能力は、材料をドーピングすることにより高めることができる。ソース電極とドレイン電極に用いられる材料は、正孔または電子を受容しかつ注入するその能力に従って選択することができる。
【0006】
例えば、p型トランジスターデバイスは、効率的に正孔を受容し、伝導し、かつ供与する半導電材料を選択すること、ならびに、この半導電材料から効率的に正孔を注入し、かつ受容する、ソース電極とドレイン電極用の材料を選択することにより形成することができる。電極のフェルミ準位と半導電材料のHOMO準位のエネルギー準位を適切に合わせることにより、正孔の注入および受容を高めることができる。これに対して、n型トランジスターデバイスは、効率的に電子を受容し、伝導し、かつ供与する半導電材料を選択すること、ならびに、この半導電材料に効率的に電子を注入し、かつこの半導電材料から効率的に電子を受容する、ソース電極とドレイン電極用の材料を選択することにより形成することができる。電極のフェルミ準位と半導電材料のLUMO準位のエネルギー準位を適切に合わせることにより、電子の注入および受容を高めることができる。n型デバイスまたはp型デバイスとして機能することができる両極性デバイスも知られている。
【0007】
トランジスターは、成分を薄膜に堆積させて薄膜トランジスター(TFT)を形成することにより形成することができる。こうしたデバイス中で有機材料を半導電材料として用いる場合、これは有機薄膜トランジスター(OTFT)として知られている。
【0008】
有機薄膜トランジスター用の様々な配置が知られている。こうしたデバイスの1つは絶縁ゲート電界効果トランジスターである。これは、ソース電極とドレイン電極を備え、これらの間に半導電材料がチャネル領域に配置されており、この半導電材料に隣接して配置されたゲート電極、およびこのゲート電極とこの半導電材料との間のチャネル領域に配置された絶縁材料の層を備える。
【0009】
OTFTは、溶液プロセスなどの低コスト、低温の方法によって製造することができる。さらに、OTFTは、軟質プラスチック基板と相性がよく、ロールツーロール法でフレキシブル基板上にOTFTを大規模に製造できる可能性を提供する。
【0010】
こうした有機薄膜トランジスターの一例を図1に示す。図示の構造は、基板1上に堆積させることができ、ソース電極2およびドレイン電極4を備えている。これらの電極は一定間隔で配置されており、その間にチャネル領域6が設けられている。有機半導体(OSC)8が、チャネル領域6に堆積されており、ソース電極2およびドレイン電極4の少なくとも一部の上に延在することができる。誘電材料からなる絶縁層10が、有機半導体8の上に堆積されており、ソース電極2およびドレイン電極4の少なくとも一部の上に延在することができる。最後に、ゲート電極12を絶縁層10の上に堆積させる。ゲート電極12は、チャネル領域6の上に設けられており、ソース電極2およびドレイン電極4の少なくとも一部の上に延在することができる。
【0011】
上記の構造は、ゲートがデバイスの上側に設けられているので、トップゲート有機薄膜トランジスターとして知られている。別法として、ゲートをデバイスの下側に設けて、いわゆるボトムゲート有機薄膜トランジスターを形成することも知られている。
【0012】
こうしたボトムゲート有機薄膜トランジスターの一例を図2に示す。図1および図2に示した構造の関係をより明らかに示すために、対応する部位には同じ参照番号を付した。図2に示したボトムゲート構造は、基板1上に堆積させたゲート電極12を備えており、この上に誘電材料からなる絶縁層10が堆積されている。ソース電極2およびドレイン電極4が、誘電材料からなる絶縁層10の上に堆積されている。ソース電極2およびドレイン電極4が一定間隔で配置されており、その間にゲート電極を覆うようにチャネル領域6が設けられている。有機半導体(OSC)8が、チャネル領域6に堆積されており、ソース電極2およびドレイン電極4の少なくとも一部の上に延在することができる。
【0013】
前述の配置に関する1つの問題は、OSCを堆積させる場合にチャネル領域内にOSCを封じ込める方法である。この問題の解決策は、ウェルを画定する絶縁バンク材料14からなるパターニングされた層を設けることである。このウェルには、例えばインクジェット印刷によって溶液からOSC8を堆積させることができる。こうした配置を、それぞれボトムゲート有機薄膜トランジスターおよびトップゲート有機薄膜トランジスターについて、図3および図4に示した。さらに、図1および図2に示した構造と図3および図4に示した構造との関係をより明らかにするために、対応する部位には同じ参照番号を付した。
【0014】
絶縁材料14からなるパターニングされた層によって画定されたウェルの周辺部は、例えばインクジェット印刷によるOSC8の堆積を容易にするために、ソース電極2およびドレイン電極4の間に画定されたチャネル6の一部またはすべてを囲繞している。さらに、OSC8の堆積前に絶縁層14を堆積させるので、OSCを損傷せずにこれを堆積させ、パターニングすることができる。絶縁層14の構造は、ポジレジストまたはネガレジストなどのフォトリソグラフィー、ウェットエッチング、ドライエッチングなどの既知の堆積およびパターニング技術を用いて複製可能な方法で形成することができる。
【0015】
ウェル画定バンク材料のパターニングされた層を設けたとしても、チャネル領域内にOSCを封じ込め、OSCの堆積に溶液プロセス技術を用いてチャネル領域内にOSCの良好なフィルムを形成することには問題がやはり存在する。ウェル画定バンク層上のOSC溶液の接触角は通常低いので、ウェル画定バンク層の制御しがたい濡れが生じる可能性がある。最悪のケースでは、OSCがあふれ出る恐れがある。
【0016】
有機発光デバイスを、以下に、より詳細に述べる。
【0017】
OLED(有機発光デバイス)を用いて製作されるディスプレイは、他の平面パネル技術に対して多くの利点を備えている。このディスプレイは、明るく、カラフルで、高速スイッチングであり、視野角が広く、様々な基板上に製作するのが容易かつ安価である。有機(ここでは有機金属を含む)発光ダイオード(LED)は、ポリマー、低分子化合物およびデンドリマーを含めた材料を用いて、使用した材料に応じた一連の色に製作することができる。ポリマー系有機LEDの例は、WO90/13148、WO95/06400およびWO99/48160に記載されている。デンドリマー系材料の例は、WO99/21935およびWO02/067343に記載されている。いわゆる低分子化合物系のデバイスの例は、US4,539,507に記載されている。
【0018】
典型的なOLEDデバイスは有機材料からなる2層を含む。その内の1つは、発光ポリマー(LEP)、オリゴマーまたは発光低分子材料などの発光材料の層であり、他の1つはポリチオフェン誘導体またはポリアニリン誘導体などの正孔注入材料の層である。
【0019】
OLEDは、これを基板上に画素のマトリックスとして堆積させてシングルカラーまたはマルチカラーの画素で構成されたディスプレイを形成することができる。マルチカラーディスプレイは、赤色、緑色、および青色を発光する画素の群を用いて構築することができる。いわゆるアクティブマトリックスディスプレイは、それぞれの画素に関連した記憶素子、通常は蓄積キャパシタおよび薄膜トランジスター(TFT)を有するが、パッシブマトリックスディスプレイは、こうした記憶素子を有しておらず、その代り、固定した画像の印象を与えるために反復してスキャンされる。他のパッシブディスプレイとしてはセグメントディスプレイが挙げられるが、このディスプレイでは、複数のセグメントが共通の電極を共有し、別の電極に電圧を印加することによって1つのセグメントを発光させることができる。単純なセグメントディスプレイは、これをスキャンする必要はないが、複数のセグメント領域を有するディスプレイでは、電極を多重化して(その数を減らし)、次いでスキャンすることができる。
【0020】
図5は、OLEDデバイス100の一例の垂直断面図を示す。アクティブマトリックスディスプレイでは、画素の領域の一部は関連する駆動回路(図5に示さず)によって占められている。デバイスの構造は、例示のために多少単純化されている。
【0021】
OLED100は基板102を含む。これは、通常は0.7mmもしくは1.1mmのガラスであるが、任意選択で透明なプラスチックまたはその他の実質的に透明な材料とすることができる。この基板上に、通常厚み約40〜150nmのITO(インジウムスズ酸化物)を含むアノード層104を堆積させる。この層の一部の上にコンタクトメタル層を設ける。通常、接触層は約500nmのアルミニウムまたは複数のクロム層の間にはさまれたアルミニウムの層を含み、これをアノードメタルと呼ぶことがある。ITOおよびコンタクトメタルでコーティングされたガラス基板は広く利用可能である。ITOを覆うコンタクトメタルは、特にデバイスへの外部コンタクト用に、アノード接続が透明である必要がない、抵抗が低い経路を設けるのに役立つ。コンタクトメタルは、所望されない場合、特に、除去しないとディスプレイを不鮮明にする場合は、フォトリソグラフィーの後エッチングする標準プロセスによってITOから除去される。
【0022】
実質的に透明な正孔注入層106が、アノード層の上に堆積され、その後エレクトロルミネッセンス層108およびカソード110が堆積される。エレクトロルミネッセンス層108は、例えば、PPV(ポリ(p−フェニレンビニレン))を含むことができ、正孔注入層106(アノード層104とエレクトロルミネッセンス層108の正孔エネルギー準位を整合させるのに役立つ)は、導電性透明ポリマー、例えば、ドイツのH.C.Starck社から市販されているPEDOT:PSS(ポリスチレン−スルホネートがドープされたポリエチレン−ジオキシチオフェン)を含むことができる。典型的なポリマー系デバイスでは、正孔輸送層106は約200nmのPEDOTを含むことができる。発光ポリマー層108の厚みは通常約70nmである。これらの有機層は、スピンコーティング(後で、プラズマエッチングまたはレーザアブレーションによって材料を不要な領域から除去する)またはインクジェット印刷によって堆積させることができる。後者の場合は、バンク112を、例えばフォトレジストを用いて基板上に形成して、その中に有機層を堆積させることができるウェルを画定することができる。こうしたウェルは、ディスプレイの発光領域または画素を画定する。
【0023】
カソード層110は、通常は(例えば、物理的蒸着によって堆積させた)カルシウムまたはバリウムなどの低仕事関数金属を含み、より厚いアルミニウムのキャッピング層で覆われている。任意選択で、電子エネルギー準位の整合を改善するために、エレクトロルミネッセンス層の真隣にフッ化リチウムの層などの追加の層を設けることができる。カソードセパレーター(図5には図示せず)を使用することにより、カソードラインの相互の電気的分離を達成または増強することができる。
【0024】
同じ基本構造を、低分子化合物のデバイスに使用することができる。
【0025】
通常は、多くのディスプレイを単一の基板上に製作し、製作工程の終わりに基板にけがきを入れる。そして、ディスプレイを分離した後、それぞれに封入ジャケットを取り付けて酸化および湿気の浸入を抑制する。あるいは、ディスプレイを封入した後、けがきを入れて分離することもできる。
【0026】
OLEDを発光させるためには、例えば図5に示したバッテリー118によって、アノードとカソードの間に電力を印加する。図5に示した例では、光は、透明陽極104および基板102を通して放出され、カソードは一般に反射性である。こうしたデバイスは「ボトムエミッター」と呼ばれる。カソードを通して発光するデバイス(「トップエミッター」)も、例えば、カソードが実質的に透明であるようにカソード層110の厚みを約50〜100nm未満に保持することにより、および/またはITOなどの透明カソード材料を用いることにより構築することができる。
【0027】
次に図5bを参照すると、この図は、パッシブマトリックスOLEDディスプレイデバイス150の単純化された断面を示す。ここで、図5と同じ要素は同じ参照番号で示した。図示のように、正孔輸送層106およびエレクトロルミネッセンス層108は、それぞれアノードメタル104およびカソード層110内に画定された相互に垂直なアノードラインとカソードラインの交点で複数の画素152に区分されている。この図では、カソード層110内に画定された導電性ライン154がこのページの中へ走っており、カソードラインに対して直角に走る複数のアノードライン158の内の1つを通る断面が示されている。カソードラインとアノードラインの交点におけるエレクトロルミネッセンス画素152は、関連するライン間に電圧を印加することによりアドレス指定することができる。アノードメタル層104は、ディスプレイ150に対する外部コンタクトを提供し、(アノードメタルリードアウトの上にカソード層パターンを走らせることによって)OLEDに対するアノード接続およびカソード接続の両方に用いることができる。
【0028】
上記のOLED材料、特に発光ポリマー材料およびカソードは、酸化および湿気に弱い。したがって、デバイスは、アノードメタル層104上にUV硬化性エポキシ接着剤113によって取り付けられた金属またはガラスのジャケット111に封入される。このアノードメタルコンタクトは、これがメタルジャケット111のリップの下を通るところを薄くして、硬化用UV光線への接着剤113の露光を容易にすることが好ましい。
【0029】
多大な努力が、フルカラー全プラスチック製ディスプレイの実現に払われた。この目標の達成に対する主要な課題は以下の通りであった:(1)3つの基本色、赤、緑、および青色を発光する共役ポリマーへのアクセス;ならびに、(2)この共役ポリマーはフルカラーディスプレイ構造へ加工し製作するのが容易でなければならない。ポリマー発光デバイス(PLED)は第1の要件を満たす点で有望である。何故ならば共役ポリマーの化学構造を変えることにより発光色を調節することができるからである。しかし、共役ポリマーの化学的性質の調節は、ラボスケールでは多くの場合容易かつ安価であるが、工業規模では高価で複雑なプロセスになることがある。フルカラーマトリックスデバイスの加工性および製作が容易であることの第2の要件は、いかにして微細なマルチカラーピクセルをマイクロパターニング(マイクロパターン化)するか、およびいかにしてフルカラー発光を達成するかという問題を提起する。インクジェット印刷およびハイブリッドインクジェット印刷技術は、PLEDデバイスのパターニング用に高い関心をもたれた(例えば、Science 1998、279、1135;Wudlら、Appl Phys.Lett.1998、73、2561;およびJ.Bharathan、Y.Yang、Appl.Phys.Lett.1998、72、2660を参照されたい)。
【0030】
フルカラーディスプレイの開発に寄与するために、直接的な色調整、優れた加工性および低コストの大規模製作の可能性を示す共役ポリマーが求められてきた。ポリ−2,7−フルオレンは、青色発光ポリマーを開発するための多くの研究の主題となっていた(例えば、A.W.Grice、D.D.C.Bradley、M.T.Bernius、M.Inbasekaran、W.W.Wu、およびE.P.Woo、Appl.Phys.Lett.1998、73、629;J.S.Kim、R.H.Friend、およびF.Cacialli、Appl.Phys.Lett.1999、74、3084;WO−A−00/55927およびM.Berniusら、Adv.Mater.、2000、12、No.23、1737を参照されたい)。
【0031】
個々の画素を制御するためのアクティブマトリックス回路および透明アノードを含むガラス基板上にエレクトロルミネッセンス画素およびカソードを堆積させたアクティブマトリックス有機発光デバイス(AMOLED)が当技術分野で知られている。このデバイスの光は、アノードおよびガラス基板を通して視聴者に向かって放出される(いわゆるボトムエミッション)。透明カソードを備えたデバイス(いわゆる「トップエミッティング」デバイス)がこの問題の解決策として開発されている。透明カソードは以下の特性を持たなければならない:透明性;導電性;および、デバイスのエレクトロルミネッセンス層のLUMOへ、または(存在するなら)電子輸送層へ効率的に電子注入するための低い仕事関数。
【0032】
トップエミッティングデバイスの一例を図6に示す。トップエミッティングデバイスは基板202を含み、その上に絶縁平坦化層204が配置されている。バイアホールがこの平坦化層204に設けられており、アノードをその関連するTFT(図示せず)に接続することができる。アノード206がこの平坦化層204に配置されており、この上にウェル画定バンク208が設けられている。アノード206は反射性であることが好ましい。エレクトロルミネッセンス材料210がバンクによって画定されたウェルに配置され、透明カソード212がウェルおよびバンクの上に堆積され連続層を形成している。
【0033】
エレクトロルミネッセンス配合物のインクジェット印刷はパターニングデバイスを形成する安価で有効な方法である。EP−A−0880303に開示されているように、これは、画素を画定するウェルを形成するためにフォトリソグラフィーの使用を必要とする。この画素に、有機エレクトロルミネッセンス材料をインクジェット印刷によって堆積させる。
【0034】
ウェル画定バンク材料のパターニングされた層を設けたとしても、ウェル内に有機電荷注入材料、有機電荷輸送材料、および/または有機エレクトロルミネッセンス材料を封じ込め、有機材料の堆積に溶液プロセス技術を用いて有機層の良好なフィルムを形成することにはやはり問題が存在する。通常、ウェル画定バンク層上の有機溶液の接触角は小さいので、ウェル画定バンク層の制御しがたい濡れが生じる可能性がある。最悪のケースでは、ウェルから有機材料があふれ出る恐れがある。
【0035】
前述の問題に対する既知の解決策の1つは、フッ素系プラズマを用いてウェル画定層を処理し、ウェル画定バンク層の上部表面の濡れ性を低下させることである。しかし、本出願人は、こうした処理に関連していくつかの問題があることを見出した。絶縁バンク層の濡れ性を低下させる処理は一般に不安定であり、特に、処理面をさらなる加工ステップにかけると、時が経つにつれ、この処理面はその元の濡れ性に戻ってしまう傾向がある。したがって、パターニングしてウェルを形成する前に、その表面濡れ性を低下させるために絶縁層を処理する場合は、ウェルが形成されて活性有機材料を堆積させる準備ができる迄に、この表面がその元の濡れ性に戻ってしまっている傾向がある。また、ウェルを初めに形成し、次いで表面処理を施した場合は、こうした表面処理がウェルに露出した回路部品を損傷することが分かった。
【0036】
これらの課題を特定したことにより、本出願人は、ウェル画定ダブルバンク構造を使用することによりこれらの課題を解決できることに気付いた。このウェル画定ダブルバンク構造は、同時係属している出願GB 0724773.7に記載されているように、絶縁材料からなる第1層を堆積させた後、この上に絶縁材料からなる第2層を堆積させることにより形成されており、絶縁材料からなる第2層は絶縁材料からなる第1層より低い濡れ性を有する。この第2層は、本質的に低い濡れ性(高接触角)を有する材料から形成されており、第1層の処理面に対して別個の明瞭な層を形成している。ここでは、第1層の表面の化学的性質が変性されている。こうしたウェル画定ダブルバンク構造は、より頑強な低濡れ性の上部表面を提供し、ウェルに露出した回路部品を損傷する表面処理を回避するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】国際公開第90/13148号
【特許文献2】国際公開第95/06400号
【特許文献3】国際公開第99/48160号
【特許文献4】国際公開第99/21935号
【特許文献5】国際公開第02/067343号
【特許文献6】米国特許第4,539,507号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
上記のデバイスおよび製造方法を改善することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0039】
前述のウェル画定ダブルバンク構造はプラズマ処理法に関連した課題のいくつかを解決するにもかかわらず、本出願人は、ウェル画定ダブルバンク構造に関連したいくつかの課題を特定した。ウェル画定ダブルバンク構造は、第1層および第2層を形成するために2つの堆積ステップを必要とするので、ウェル画定シングルバンク構造と比較したとき、製造工程の時間、複雑性および経費が増加する。さらに、本出願人は、ダブルバンク構造中の複数の材料からなる2層間の接着性が不十分になる恐れがあることを見い出した。これは、第2層に使用された低濡れ性材料のくっつかない性質によるものであり、これらの層の層間剥離をもたらして、有機電子デバイスの頑強性および寿命を低下させる恐れがある。したがって、本出願人は、これら2層間に接着剤層を設けることが有利な可能性があることを見出した。しかし、これにより、さらに別の堆積ステップが必要になるので、製造工程の時間、複雑性および経費がさらに増加することになる。
【0040】
これらの問題を特定したことにより、本出願人は、上述の追加の堆積ステップも回避しつつダブルバンク構造中の層の不十分な接着性および層間剥離の課題を解決することを試みた。
【0041】
上記に鑑みて、本発明の第1の態様によれば、有機電子デバイスの製造方法であって、基板を用意するステップと、前記基板の上にウェル画定構造を形成するステップと、前記ウェル画定構造によって画定されたウェルに、有機半導体材料および/または有機導電材料の溶液を堆積させるステップとを含み、前記ウェル画定構造が、第1の絶縁材料と第2の絶縁材料との混合物を含む溶液を堆積させることにより形成され、前記第2の絶縁材料が前記第1の絶縁材料より低い濡れ性を有しており、前記第1の絶縁材料と第2の絶縁材料とを少なくとも部分的に相分離させ、前記第2の絶縁材料が基板から離れる方向に相分離している方法が提供される。
【0042】
第2の絶縁材料は、より低い濡れ性を有しており、上部表面すなわち基板から離れる方向に向かって相分離している。この結果、ウェル画定構造の上部はウェル画定構造の下部より低い濡れ性を有している。本出願人は、このようにして形成されたウェル画定構造が、有機半導体材料および/または有機導電材料の溶液を封じ込めるのに申し分なく機能することを見出した。さらに、本出願人は、有機半導体材料および/または有機導電材料の優れた均一な膜が、このようにして形成されたウェル画定構造に形成されることを見出した。さらにまた、本出願人は、このようにしてウェル画定構造を形成することによって、層を別々に堆積させた場合と比較して、第1の材料と第2の材料とをより強く接着させることができること、ならびに不十分な接着性および層間剥離の課題が低減または解消されることを見出した。
【0043】
ウェル画定構造を形成するためにたった1つの堆積ステップを用いて、前述の有利な特徴をすべて達成することができ、製造工程の時間、複雑性および経費を低減することができる。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の材料と第2の材料は、2つの明瞭な別個の層を形成するように完全に相分離してしている。他の実施形態によれば、前記第1の材料と第2の材料は、前記ウェル画定構造の少なくとも一部分が前記第1の材料と第2の材料の混合物を含むように部分的に相分離している。ウェル画定構造の上部表面(基板の反対側にある)は、第1の絶縁材料を実質的に含まなくてもよい。ウェル画定構造の下部表面(基板に隣接している)は、第2の絶縁材料を実質的に含まなくてもよい。中間領域は、第1の絶縁材料と第2の絶縁材料の混合物を含むことができる。こうした中間領域の1つの有利な特徴は、中間領域が上部領域と下部領域を結合して、第1の絶縁材料と第2の絶縁材料の層間剥離を防ぐのに役立つことである。
【0045】
第1の絶縁材料と第2の絶縁材料を相分離させるステップは、ウェル画定構造にウェルを形成する前に行うことができる。あるいは、第1の絶縁材料と第2の絶縁材料の混合物を堆積させた後、相分離前にウェルを形成することもできる。しかし、こうすると、低い濡れ性を有する材料が相分離して、ウェル画定構造の上部表面だけでなくウェルの側部も覆うという結果になりやすく、これにより、ウェルに堆積した活性有機材料の溶液がウェルの側部を十分に濡らさない場合、ウェル内のフィルム形成が不十分になる恐れがある。この場合、活性有機材料をウェルに堆積させる前に、ウェルの側部から低濡れ性材料の一部を除去することが必要となろう。この理由から、ウェル画定構造にウェルを形成する前に、第1の絶縁材料と第2の絶縁材料を相分離させることが有利である可能性がある。
【0046】
ベーキングステップを使用して、前述の方法のどれを利用したかに応じて、ウェルを形成する前または後に、第1の絶縁材料と第2の絶縁材料とが相分離するのを促進することができる。
【0047】
濡れる側壁とディウェッティング上面とを有するウェル画定構造を形成するためには、絶縁材料の接触角(濡れ性)が重要である。絶縁材料の濡れ性も材料の相分離に影響を与える。第1の材料と水との接触角は、60°未満、好ましくは50°未満、より好ましくは40°未満、最も好ましくは30°未満とすることができる。第2の材料と水との接触角は、60°より大きく、好ましくは70°より大きく、より好ましくは80°より大きく、最も好ましくは90°より大きくすることができる。好ましくは、第1の材料と水との接触角と、第2の材料と水との接触角の差は、少なくとも20°である。濡れ性のこの差は相分離を促進する。
【0048】
好ましくは、第1の絶縁材料および/または第2の絶縁材料は、有機材料であり、最も好ましくはポリマー材料である。
【0049】
第1の絶縁材料は、ポリイミド、スピンオングラスまたはBCBなどの光パターン形成性レジストとすることができる。
【0050】
第2の絶縁材料は、フッ素化ポリマーとすることができる。フッ素含有基は、ポリマーバックボーンの反復単位に、ポリマーバックボーンにぶら下がった側鎖に、または末端基に設けることができる。好適なポリマーの例としては、フルオロアルキルメタクリレートポリマーおよびフルオロアルコールメタクリレートポリマーが挙げられる。こうした材料は低い濡れ性を有している。
【0051】
別の課題は、特定の低濡れ性材料が、ウェル画定構造の上部からウェルの中へ移動することが分かったことである。ウェル内にディウェッティング材料があることは望ましくない。何故ならば、ディウェッティング材料があると、ウェル内のフィルム形成または活性有機材料に悪影響を及ぼす恐れがあるからである。前述の第2の絶縁材料用の材料は比較的移動せず、ウェル画定構造の上部に残る。
【0052】
ウェルは、ポジまたはネガレジストなどのフォトリソグラフィー、ウェットエッチング、ドライエッチング(例えば、プラズマエッチング)などの既知のパターニング技術を使用して形成することができる。
【0053】
ウェル画定構造にウェルを形成する前に第1の絶縁材料と第2の絶縁材料とを相分離させることに関して起こり得る1つの課題は、特定の低濡れ性材料はパターニングするのが難しい可能性があるということである。例えば、UV露光および現像を伴う光パターン形成技術を使用してウェルを形成する場合、特定の現像液は、UV露光後、ウェルの形成に十分な程度には、低濡れ性材料を濡らさない可能性がある。この場合、相分離後に、低い濡れ性を有する材料の薄い層しかウェル画定構造上に形成されないように、混合物中の低濡れ性材料の濃度を低下させることができる。例えば、ウェル画定構造は、20重量%以下の第2の絶縁材料を含むことができ、またはさらに10重量%以下の第2の絶縁材料、例えば1〜5重量%を含むこともできる。ウェル画定構造の厚みは、100nm〜10μmとすることができる。低濡れ性材料を含むウェル画定構造の上部は、30nm、20nm、またはさらに10nm以下の厚みを有することができる。
【0054】
別法としてまたは追加的に、現像液が、ウェル画定構造の形成に十分な程度に低濡れ性材料を濡らすように、しかし、この低濡れ性材料が、ウェル内に活性有機材料を封じ込めるためのディウェッティング表面として作用するには十分に低い濡れであるように、現像液および/または低濡れ性材料を選択することができる。フルオロアルキルメタクリレートポリマーおよびフルオロアルコールメタクリレートポリマーは、こうした低濡れ性材料として想定される例である。低濡れ性材料は、現像液への溶解度を高めるために可溶化基を含むことができる。可溶化基は、ポリマーバックボーンの反復単位に、ポリマーバックボーンにぶら下がった側鎖に、または末端基に設けることができる。好適な可溶化基としては、アルキル鎖、炭素環式の酸、およびエステルが挙げられる。低濡れ性材料上の現像液の有効接触角を低下させて濡れを促進し現像を向上させるために、現像液に界面活性剤を加えることもできる。
【0055】
有機半導体/導電材料は、水溶液で堆積させることができる。あるいは、有機溶媒を用いることもできる。インクジェット印刷は、ウェル画定ダブルバンク構造によって画定されたウェルに有機半導体/導電材料の溶液を堆積させる好ましい方法である。しかし、最上層が非常に低い濡れ性(非常に大きい接触角)を有するウェル画定構造を用いれば、他の溶液プロセス技術も可能である。例えば、あまり区別しない方法、例えばフラッド印刷で、基板の上に溶液を堆積させることができる。このとき、バンク構造の最上層は接触角が非常に大きいので、溶液は確実にウェルに流れ込み、その結果、この溶液がバンク構造の上に残ることはない。
【0056】
本出願人は、サイトップなどの特定のフッ素化ポリマーが、他のフッ素化ポリマーより非常に大きい、例えば80°より大きい接触角を有し、したがってその濡れ性は非常に低いことを見出した。本出願人は、これらの非常に大きい接触角を有するポリマーを単一層バンク構造に使用する場合、特定の欠点を有することを見出した。すなわち、これらのポリマーから得られる活性有機フィルムの厚みは上記のように均一ではない。さらに、これらのポリマーを別個の層として堆積させてウェル画定ダブルバンク構造を形成した場合は層間剥離する恐れがある。しかし、これらのポリマーは、本発明の実施形態に従って相分離したウェル画定構造に使用することにより、前述の欠点を回避することができる。
【0057】
前述の非常に低い濡れ性を有する材料を使用すると、第2の絶縁材料の接触角は100°以上にすることができる。接触角が非常に大きい材料の例としては、Aldrichから市販されているサイトップ型の材料が挙げられる。サイトップ型の材料の一例は、ポリ−1,1,2,4,4,5,5,6,7,7−デカフルオロ−3−オキサ−1,6−ヘプタジエンであり、これは約135°の接触角を有する。この材料は、パーフルオロトリアルキルアミンからなる溶媒中に含まれた材料として提供することができる。他の例としては、旭硝子のサイトップ、デュポンのテフロンAF、およびソルベイ ソレクシスのフルオロリンク材料が挙げられる。こうした材料は、水溶液(例えば導電性ポリマー、特にPEDOTなどの正孔注入ポリマーの水溶液)から堆積させた有機材料の封じ込めに有用であることが分かった。さらに、こうした材料は有機溶媒から堆積させた有機材料の封じ込めにも有用である。それゆえ、こうした材料を含むウェル画定構造は、例えば、水溶液から正孔注入層を堆積させる場合、および有機溶媒から発光層を堆積させて有機発光デバイスを形成する場合に用いることができる。
【0058】
本出願人は、ベーキングにより第2の絶縁材料の濡れ性を低下させることができることをさらに見出した。それゆえ、溶液から活性有機材料を堆積させる前にベーキングステップを設けることが有用であることが分かった。ベーキングは、100〜250°、より好ましくは100〜200°、最も好ましくは100〜170°の範囲の温度で行うことができる。ベーキングは、Nなどの不活性雰囲気または大気で行われ得る。
【0059】
本出願人が明らかにしたさらに別の課題は、バンク構造にウェルを形成した後、Oまたはオゾンプラズマ処理などの洗浄ステップを設けることが望ましいということである。こうしたステップは、ウェルの表面を洗浄し、そこに有機材料を堆積させる前にこの表面の濡れ性を高めるものである。しかし、本出願人は、こうしたステップがバンクの表面の濡れ性を大幅に上昇させることを見出した。このバンク表面は、その濡れ性を低下させるために例えばフッ素系プラズマ処理で以前に処理されたものである。実際、こうした処理面の接触角は、こうした洗浄ステップの後では10°未満に低下することがある。それゆえ、ウェル内に有機材料を封じ込めることが課題であった場合、こうした洗浄ステップは回避しなければならなかった。これに対して、本出願人は、本明細書に記載のウェル画定構造を用いると、バンクを覆う優れたディウェッティング特性を保持しながら洗浄ステップを行うことができることを見出した。
【0060】
特定の一実施形態では、上記のベーキングステップは、洗浄ステップの後、かつウェル画定ダブルバンク構造によって画定されたウェルに有機材料の溶液を堆積させる前に行われる。ベーキングステップは、例えばOまたはオゾンプラズマを使用して洗浄した後のバンクの低濡れ性の表面を再生成することが分かった。
【0061】
本出願人は、第1の絶縁材料と第2の絶縁材料がウェルの周りにステップ構造を画定するようにウェル画定構造を形成することが特定の状況において有利であることをさらに見出した。こうしたステップ構造にすると、ウェルに溶液を入れ過ぎることも可能である。こうした構造は、さらに、ウェル中に堆積された異なる流体について、2つの異なるピニングポイントを提供することもできる。1つはウェルの周りの第1層の縁部であり、1つはウェルから引っ込んだ第2層の縁部である。これにより、例えば、乾燥すると、ウェル内に堆積させた第2の材料が、ウェル内、特にウェルの縁部の周りに堆積させた第1の材料を完全に確実に覆うことができる。異なる流体は、異なる濡れ特性を有するように選択することができる。例えば、流体の一方は水溶液とすることができ、液体の他方は有機溶媒を含むことができる。
【0062】
本発明の別の実施形態によれば、ウェル画定構造は、隣接するウェルの周囲に延在することなく、少なくとも1個のウェルの周囲を画定する個別リングを含むことができる。このいわゆる「リングバンク」配置は、バンク材料の複数の個別リングを含み、本出願人の同時係属出願PCT/GB2007/003595に記載されている。この配置は、基本的に連続シートであってその中に複数の孔(ウェル)が形成されている従来のバンク構造とは異なる。
【0063】
本発明の第2の態様によれば、基板と、前記基板の上に配置されたウェル画定構造と、前記ウェル画定構造によって画定されたウェルに配置された有機半導体材料および/または有機導電材料とを含み、前記ウェル画定構造が第1の絶縁材料および第2の絶縁材料を含み、前記第2の絶縁材料が前記第1の絶縁材料より低い濡れ性を有しており、前記第2の絶縁材料が、前記基板から離れる方向に上昇する濃度を有する、電子デバイスが提供される。
【0064】
好ましい実施形態によれば、このウェル画定構造は、回路素子を含む電子基板の上に活性有機材料を堆積させるためのものである。何故ならば、プラズマ処理などの濡れ性を低下させる他の方法は、ウェルに露出した、基板の下にある電子回路を損傷することが見出されているからである。
【0065】
有機半導体材料は、OTFTの活性層またはOLEDの活性層を形成することができる。
【0066】
OTFTの場合には、電子基板の回路素子はソース電極とドレイン電極を含む。これらの上にダブルバンク構造が配置され、チャネル領域がソース電極とドレイン電極の間に画定されている。ボトムゲートOTFTの場合は、電子基板はさらにゲート電極を含み、この上にゲート誘電体が配置されている。ソース電極とドレイン電極はゲート誘電体の上に配置されている。本発明はボトムゲートOTFTに特に有用であることが分かった。何故ならば、バンク構造によって画定されたウェルに露出したチャネル領域中のゲート誘電体は、フッ素系プラズマ処理などの別の処理方法の影響を特に受けやすいことが本出願人によって見出されたからである。
【0067】
OLEDの場合には、電子基板の回路素子はOLEDの下部電極を含む。アクティブマトリックスOLEDディスプレイデバイスでは、電子基板の回路素子はさらにOTFT(それ自体を、本発明のダブルバンク構造を用いて形成することができる)を含む。
【0068】
好ましい実施形態によれば、上記の構造および方法に従って製造された有機薄膜トランジスターまたは有機発光デバイスが提供される。特定の実施形態によれば、アクティブマトリックス有機光学デバイスおよびこれを作製する方法が提供される。このとき、有機薄膜トランジスターおよび有機発光デバイスは上記の構造および方法に従って提供される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】既知のトップゲート有機薄膜トランジスター配置を示す図である。
【図2】既知のトップゲート有機薄膜トランジスター配置を示す図である。
【図3】有機半導体を封じ込めるウェルを有するボトムゲート有機薄膜トランジスター配置を示す図である。
【図4】有機半導体を封じ込めるウェルを有するボトムゲート有機薄膜トランジスター配置を示す図である。
【図5a】先行技術によるボトム発光型有機発光デバイスを示す図である。
【図5b】先行技術によるボトム発光型有機発光ディスプレイを示す図である。
【図6】先行技術によるトップ発光型有機発光デバイスを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態によるウェル画定構造を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態によるダブルバンク構造の形成に含まれる方法ステップを示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による別のウェル画定構造を示す図である。
【図10】有機薄膜トランジスターおよび有機発光デバイスを含むアクティブマトリックス有機発光ディスプレイの一部を示す図である。
【図11】有機薄膜トランジスターおよび有機発光デバイスを含む別のアクティブマトリックス有機発光ディスプレイ配置の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
次に、本発明を、添付図面を参照して、単に一例としてさらに詳細に説明する。
【0071】
本発明の実施形態は、パターニングされたウェル画定バンク構造を含む、印刷された有機電子デバイスに関する。実施形態は、ウェルの側壁は濡れているがバンク構造の上部は濡れていないバンク構造を提供しようとするものである。実施形態は、さらに、ウェルに露出した回路素子またはデバイス層を損傷させることが分かっているフッ素系気体システムを用いたプラズマプロセスを含まない製造方法を提供しようとするものである。実施形態は、溶液からデバイスの活性有機材料を堆積している間最適の印刷性能を保持しつつ優れたデバイス性能を得る可能性を有する。
【0072】
図7は、本発明の一実施形態によるウェル画定構造を示す。このウェル画定構造は、電子基板701上に配置され、濡れ性を有する材料からなる下部700と、本質的に低い濡れ性(大きい接触角)を有する材料からなる上部702とを含む。ウェル画定構造のこれら2つの部分は、濡れ性を有する材料と低濡れ性材料の混合物を含む溶液を堆積させ、これらの材料を相分離させてウェル画定構造の上部および下部を形成することにより形成される。ウェル704は、シングルリソグラフィープロセスを使用してウェル画定構造に形成することができ、自動的に自己整合される。
【0073】
図8は、本発明の一実施形態よるウェル画定構造の形成に含まれる方法ステップを示す。最初に、濡れ性を有する材料と低濡れ性材料の混合物を含む溶液802を、例えば、スピンコーティングによって、電子基板801上に堆積させる。次に、これらの材料を相分離させて、下部の濡れ領域802aおよび上部のディウェッティング領域802bを形成する。この構造は、任意選択でベーキングして相分離を促進することもできる。次いで、この相分離した層にウェル804を形成する。濡れ性を有する材料は、任意選択で、例えばUVフラッド露光によって架橋させることができる。
【0074】
ウェルの形成には様々な可能性を利用することができる。例えば、濡れを促進するために、任意選択で、相分離した層をOまたはオゾンプラズマ処理にさらすことができる。また、レジストの厚い層を、スピンコートし、UV露光し、現像してマスクを画定することができる。次いで、Oプラズマエッチングを使用してウェルを形成することができる。マスクからのどんな過剰な材料も除去することができる。活性層をウェルに堆積させる直前に、この構造体をOプラズマにさらして構造体の表面を洗浄した後、例えば大気中150°Cで高温硬化して疎水性表面を再生成することができる。
【0075】
上記の別法として、相分離した層を光パターン形成することによりウェルを形成することができる。この光パターン形成には、UV露光と、相分離した層を溶解除去してウェルを形成する現像とが含まれる。
【0076】
図9は、本発明の別の実施形態による、基板902上のウェル画定構造を示す。このウェル画定構造は、3つの領域:前記基板に隣接する、第2の絶縁材料を実質的に含まない下部領域904;前記基板の反対側にある、第1の絶縁材料を実質的に含まない上部領域908;ならびに前記第1の絶縁材料と第2の絶縁材料との混合物を含む中間領域906を含む。
【0077】
本発明の実施形態によるOTFTの形成に好適な材料およびプロセスを、以下にさらに詳細に述べる。
【0078】
<基板>
基板は、リジッドであっても、またはフレキシブルであってもよい。リジッド基板はガラスまたはケイ素から選択することができ、フレキシブル基板は薄いガラスまたはポリ(エチレン−テレフタレート)(PET)、ポリ(エチレン−ナフタレート)PEN、ポリカーボネートおよびポリイミドなどのプラスチックを含むことができる。
【0079】
有機半導体材料は、適切な溶媒の使用によって溶液プロセスで加工可能にすることができる。代表的な溶媒としては、以下ものが挙げられる:トルエンおよびキシレンなどのモノ−またはポリ−アルキルベンゼン;テトラリン;およびクロロホルム。好ましい溶液堆積技術としては、スピンコーティングおよびインクジェット印刷が挙げられる。他の溶液堆積技術としては、浸せきコーティング、ロール印刷およびスクリーン印刷が挙げられる。
【0080】
<有機半導体材料>
好ましい有機半導体材料としては、以下ものが挙げられる:任意選択で置換されたペンタセンなどの低分子化合物;ポリアリーレン、特にポリフルオレンおよびポリチオフェンなどの任意選択で置換されたポリマー;ならびにオリゴマー。異なるタイプの材料のブレンド(例えば、ポリマーと低分子化合物のブレンド)を含めて、材料のブレンドを用いることもできる。
【0081】
<ソース電極とドレイン電極>
pチャネルOTFTについては、ソース電極とドレイン電極は、3.5eVを超える仕事関数を有する高仕事関数の材料、好ましくは金属、例えば、金、白金、パラジウム、モリブデン、タングステン、またはクロムを含むことが好ましい。より好ましくは、この金属は、4.5〜5.5eVの範囲の仕事関数を有する。他の好適な化合物、合金および酸化物、例えば三酸化モリブデンおよびインジウムスズ酸化物を使用することもできる。ソース電極とドレイン電極は、熱蒸着によって堆積させ、当技術分野で知られている標準フォトリソグラフィーおよびリフトオフ技法を用いてパターニングすることができる。
【0082】
また、導電性ポリマーをソース電極とドレイン電極として堆積させることができる。こうした導電性ポリマーの一例はポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)であるが、他の導電性ポリマーも当技術分野で知られている。こうした導電性ポリマーは、例えばスピンコーティングまたはインクジェット印刷技術および先に述べた他の溶液堆積技術を用いて、溶液から堆積させることができる。
【0083】
nチャネルOTFTについては、ソース電極とドレイン電極は、3.5eV未満の仕事関数を有する材料、例えばカルシウムまたはバリウムなどの金属、あるいは金属化合物の薄層、特にアルカリまたはアルカリ土類金属の酸化物またはフッ化物、例えばフッ化リチウム、フッ化バリウムおよび酸化バリウムを含むことが好ましい。あるいは、導電性ポリマーをソース電極とドレイン電極として堆積させることもできる。
【0084】
ソース電極とドレイン電極は、製造を容易にするために同じ材料から形成することが好ましい。しかし、ソース電極とドレイン電極は、電荷注入および注出をそれぞれ最適化するために異なる材料から形成することもあることは十分に理解されよう。
【0085】
ソース電極とドレイン電極の間に画定されるチャネルの長さは、500マイクロメートル以内とすることができるが、この長さは、好ましくは200マイクロメートル未満、より好ましくは100マイクロメートル未満、最も好ましくは20マイクロメートル未満である。
【0086】
<ゲート電極>
ゲート電極は、広範囲の導電材料、例えば金属(例えば金)または金属化合物(例えばインジウムスズ酸化物)から選択することができる。あるいは、導電性ポリマーをゲート電極として堆積させることができる。こうした導電性ポリマーは、例えばスピンコーティングまたはインクジェット印刷技術および先に述べた他の溶液堆積技術を用いて、溶液から堆積させることができる。
【0087】
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の厚みは、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)で測定して、5〜200nmの範囲とすることができるが、通常は50nmである。
【0088】
<ゲート誘電体>
ゲート誘電体は、高い抵抗率を有する絶縁材料から選択された誘電材料を含む。誘電体の誘電率kは通常約2〜3であるが、k値の高い材料が望ましい。何故ならば、OTFTで達成可能な静電容量はkに正比例し、ドレイン電流Iは静電容量に正比例するからである。したがって、低い動作電圧で高いドレイン電流を得るためには、チャネル領域内に薄い誘電体層を有するOTFTが好ましい。
【0089】
誘電材料は、有機であってもよく、無機であってもよい。好ましい無機材料としては、Si02、SiNxおよびスピンオングラス(SOG)が挙げられる。好ましい有機材料は一般にポリマーであり、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリジン(PVP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル酸エステル、ダウコーニングから市販されているベンゾクロロブタン(BCB)などの絶縁ポリマーが挙げられる。絶縁層は、材料のブレンドから形成してもよく、または多層構造を含むこともできる。
【0090】
誘電材料は、当技術分野で知られているように、熱蒸着、真空加工または積層技術によって堆積させることができる。あるいは、誘電材料は、例えばスピンコーティングまたはインクジェット印刷技術および先に述べた他の溶液堆積技術を用いて、溶液から堆積させることができる。
【0091】
誘電材料を有機半導体上に溶液から堆積させる場合、これが結果的に有機半導体の分解をもたらすことは望ましくない。同様に、有機半導体を溶液から誘電材料上に堆積させる場合も、誘電材料が分解されることは望ましくない。こうした分解を回避する技術としては、以下が挙げられる:直交溶媒の使用、すなわち、最上層を堆積させるために、下にある層を分解させない溶媒を使用すること;ならびに、下にある層の架橋。
【0092】
ゲート誘電体層の厚みは、好ましくは2マイクロメートル未満、より好ましくは500nm未満である。
【0093】
<その他の層>
他の層をデバイスアーキテクチャに含めることができる。例えば、必要とされた場合、自己組織化単分子膜(SAM)を、ゲート、ソースまたはドレイン電極、基板、絶縁層および有機半導体材料上に堆積させて、結晶化を促進し、接触抵抗を低下させ、表面特性を修復し、密着性を向上させることができる。特に、チャネル領域内の誘導体表面に結合領域および有機領域を含む単分子層を設け、特に高k誘導体表面について、例えば有機半導体の形態(特にポリマーの配列および結晶化度)を改善することにより、かつ電荷トラップを覆うことによりデバイス性能を改善することができる。こうした単分子層の代表的な材料としては、長いアルキル鎖を有するクロロ−またはアルコキシ−シラン、例えばオクタデシルトリクロロシランが挙げられる。同様に、ソース電極とドレイン電極にSAMを設けて、有機半導体と電極の間の接触を改善することができる。例えば、金のSD電極に、チオール結合基および接触を改善するための基(高い双極子モーメント、ドーパント、または共役部分を有する基とすることができる)を含むSAMを設けることができる。
【0094】
<OTFTの用途>
本発明の実施形態によるOTFTは広範囲の可能性のある用途を有する。こうした用途の1つは、光学デバイス、好ましくは有機光学デバイスにおいて画素を駆動することである。こうした光学デバイスの例としては、光応答性デバイス、特に光検出器、および発光デバイス、特に有機発光デバイスが挙げられる。OTFTは、アクティブマトリックス有機発光デバイスと共に使用(例えばディスプレイ用途で使用)するのに特に適している。
【0095】
図10は、共通基板21上に製作された、有機薄膜トランジスターおよび隣接する有機発光デバイスを含む画素を示す。OTFTは、ゲート電極22、誘電体層24、ソース電極23sおよびドレイン電極23d、ならびにOSC層25を含む。OLEDは、アノード27、カソード29およびアノードとカソードの間に設けられたエレクトロルミネッセンス層28を含む。電荷輸送、電荷注入または電荷阻止層などのその他の層を、アノードとカソードの間に設置することができる。図10の実施形態では、カソード材料の層がOTFTとOLEDの両方を横切って延在しており、絶縁層26がOSC層25からカソード層29を電気的に分離するために設けられている。この実施形態では、ドレイン電極23dは、有機発光デバイスの発光と非発光状態を切り替えるために有機発光デバイスのアノードに直接接続されている。
【0096】
OTFTとOLEDの活性領域は共通のバンク材料によって画定されている。この共通バンク材料は、基板21上にフォトレジストの層を堆積させ、これをパターニングして基板上にOTFTとOLEDの領域を画定することにより形成される。本発明の一実施形態によれば、この共通バンクは上記のウェル画定構造を有する。
【0097】
図11に示した別の配置では、有機薄膜トランジスターは、有機発光デバイスに対して積み重ねられた関係に製作することができる。こうした実施形態では、有機薄膜トランジスターは、トップまたはボトムゲート構造に、上記のように作製される。図10の実施形態と同じく、OTFTとOLEDの活性領域はフォトレジスト33のパターニングされた層によって画定されている。しかし、この積み重ねられた配置では、2つの別個のバンク構造33がある。1つはOLEDのためのものであり、1つはOTFTのためのものである。本発明の一実施形態によれば、これら2つの別個のバンク構造はそれぞれ上記のウェル画定構造を有する。
【0098】
平坦化層31(不活性化層としても知られている)が、OTFTの上に堆積されている。代表的な不動態化層としてはBCBおよびパリレンが挙げられる。有機発光デバイスが、不活性化層の上に製作されている。有機発光デバイスのアノード34は、不活性化層31およびバンク層33を通る導電性バイア32によって、有機薄膜トランジスターのドレイン電極に電気的に接続されている。
【0099】
OTFTおよび光学活性領域(例えば、発光または光感知領域)を含む画素回路が別の要素を含むことができることが十分に理解されよう。特に、図10および図11のOLED画素回路は、典型的には、図示の駆動トランジスターに加えて少なくとも1つの別のトランジスター、および少なくとも1つのコンデンサーを含む。
【0100】
本明細書に記載の有機発光デバイスが、トップ発光デバイスであってもよく、ボトム発光デバイスであってもよいことが十分に理解されよう。すなわち、これらのデバイスは、デバイスのアノード側またはカソード側を通して発光することができる。透明なデバイスでは、アノードおよびカソードの両方が透明である。透明カソードデバイスが透明アノードを有する必要がないこと(もちろん、完全に透明なデバイスを所望しない場合)、したがって、ボトム発光デバイスに用いられる透明アノードは、アルミニウムの層などの反射性材料の層と置き換えることができるか、またはこれに反射性材料の層を追加することができることは十分に理解されよう。
【0101】
透明カソードは、アクティブマトリクッスデバイスには特に有利である。何故ならば、こうしたデバイスにおいて透明アノードを通る発光は、図11に示した実施形態から見ることができるように、発光性画素の下に設置されたOTFT駆動回路によって少なくとも部分的にブロックされる恐れがあるからである。
【0102】
本発明の実施形態に従ってOLEDを形成するのに好適な材料およびプロセスを、以下にさらに詳細に述べる。
【0103】
<全般的なデバイスアーキテクチャ>
本発明の一実施形態によるエレクトロルミネッセンスデバイスのアーキテクチャは、透明性ガラスまたはプラスチック製基板、アノードおよびカソードを含む。エレクトロルミネッセンス層が、アノードとカソードの間に設けられている。
【0104】
実用的なデバイスでは、電極の少なくとも1つは、光が吸収されてもよく(OLEDの場合)、放出されてもよい(光応答性デバイスの場合)ように半透明である。アノードが透明な場合は、アノードは通常インジウムスズ酸化物を含む。
【0105】
<電荷輸送層>
電荷輸送層、電荷注入層または電荷阻止層などのその他の層を、アノードとカソードの間に設置することができる。
【0106】
特に、導電性正孔注入層を設けることが望ましい。この層は、導電性有機または無機原料から形成され、アノードとエレクトロルミネセッンス層の間に設けられており、アノードから半導体ポリマーの1層または複数層への正孔注入を支援することができる。ドープされた有機正孔注入材料の例としては、ドープされたポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、特にEP0901176およびEP0947123に開示されているポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリアクリル酸、またはフッ素で処理されたスルホン酸(例えばナフィオン(登録商標))などの電荷平衡化ポリ酸でドープされたPEDT、US5723873およびUS5798170に開示されているポリアニリン;ならびに、ポリ(チエノチオフェン)が挙げられる。導電性無機原料の例としては、Journal of Physics D: Applied Physics(1996)、29(11)、2750〜2753に開示されているVOx MoOxおよびRuOxなどの遷移金属酸化物が挙げられる。
【0107】
存在する場合には、アノードとエレクトロルミネッセンス層の間に設置される正孔輸送層は、好ましくは5.5eV以下、より好ましくは約4.8〜5.5eVのHOMO準位を有する。HOMO準位は、例えば、サイクリックボルタンメトリーで測定することができる。
【0108】
存在する場合には、エレクトロルミネッセンス層3とカソード4の間に設置される電子輸送層のLUMO準位は、好ましくは約3〜3.5eVである。
【0109】
<エレクトロルミネッセンス層>
エレクトロルミネッセンス層は、エレクトロルミネッセンス材料のみからなることもあり、またはエレクトロルミネッセンス材料を1種または複数種のその他の材料と組み合わせて含むこともできる。特に、エレクトロルミネッセンス材料は、例えばWO99/48160に開示されているような正孔および/または電子輸送材料とブレンドすることもでき、あるいは、半導体ホストマトリックス中にルミネッセンスドーパントを含むこともできる。あるいは、エレクトロルミネッセンス材料は、電荷輸送材料および/またはホスト材料に共有結合されていてもよい。
【0110】
エレクトロルミネッセンス層は、パターニングされてもよく、パターニングされなくてもよい。パターニングされない層を含むデバイスは、例えば照明源として用いることができる。白色光発光デバイスは、この目的に特に好適である。パターニングされた層を含むデバイスは、例えばアクティブマトリックスディスプレイまたはパッシブマトリックスディスプレイとすることができる。アクティブマトリックスディスプレイの場合には、パターニングされたエレクトロルミネッセンス層は、通常、パターニングされたアノード層および非パターニングされたカソードと組み合わせて用いられる。パッシブマトリックスディスプレイの場合には、アノード層は、アノード材料からなる平行ストライプから形成されており、エレクトロルミネッセンス材料およびカソード材料からなる平行ストライプがアノード材料に垂直に配置されている。このとき、エレクトロルミネッセンス材料およびカソード材料からなるストライプは、通常、フォトリソグラフィーによって形成された絶縁材料(「カソードセパレーター」)からなるストライプによって分離されている。
【0111】
エレクトロルミネッセンス層で使用される好適な材料としては、低分子化合物、ポリマー材料、およびデンドリマー材料、ならびにこれらの組成物が挙げられる。好適なエレクトロルミネッセンスポリマーとしては、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(アリーレンビニレン)、ならびに以下のポリアリーレンが挙げられる:ポリフルオレン、特に2、7−結合9,9ジアルキルポリフルオレンまたは2,7−結合9,9ジアリールポリフルオレン;ポリスピロフルオレン、特に2、7−結合ポリ−9,9−スピロフルオレン;ポリインデノフルオレン、特に2,7−結合ポリインデノフルオレン;ポリフェニレン、特にアルキルまたはアルコキシ置換ポリ−1,4−フェニレン。こうしたポリマーは、例えば、Adv.Mater.2000 12(23)1737〜1750およびその中の文献に開示されている。好適なエレクトロルミネッセンスデンドリマーとしては、例えばWO02/066552に開示されているデンドリマー基を担うエレクトロルミネッセンス金属錯体が挙げられる。
【0112】
<カソード>
カソードは、エレクトロルミネッセンス層への電子の注入を可能にする仕事関数を有する材料から選択される。その他の要因、例えばカソードとエレクトロルミネッセンス材料との有害な相互作用の可能性などもカソードの選択に影響を及ぼす。カソードは、アルミニウムの層などの単一の材料から構成することができる。あるいは、カソードは、複数の金属、例えばWO98/10621に開示されている低仕事関数材料と高仕事関数材料、例えばカルシウムとアルミニウムの2重層;WO98/57381、Appl.Phys.Lett.2002、81(4)、634およびWO02/84759に開示されている元素バリウム;あるいは、WO00/48258に開示されているような、電子注入を支援する金属化合物、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物またはフッ化物の薄層、例えばフッ化リチウム;Appl.Phys.Lett.2001、79(5)、2001に開示されているフッ化バリウム;ならびに、酸化バリウムを含むことができる。デバイス内へ電子を効率的に注入するためには、カソードの仕事関数は、好ましくは3.5eV未満、より好ましくは3.2eV未満、最も好ましくは3eV未満である。金属の仕事関数は、例えば、Michaelson,J.Appl.Phys.48(11)、4729、1977で見ることができる。カソードは、不透明であってもよく、透明であってもよい。透明カソードはアクティブマトリクッスデバイスには特に有利である。何故ならば、こうしたデバイスにおいて透明アノードを通過する発光は、発光性画素の下に設置された駆動回路によって少なくとも部分的にブロックされるからである。透明カソードは、透明であるために十分に薄い電子注入材料の層を含む。通常、この層の側面の導電性はその薄さにより低くなる。この場合、電子注入材料の層は、インジウムスズ酸化物などの透明導電材料のより厚い層と組み合わせて用いられる。
【0113】
透明カソードデバイスが透明アノードを有する必要がないこと(もちろん、完全に透明なデバイスを所望しない場合)、したがって、ボトム発光デバイスに用いられる透明アノードは、アルミニウムの層などの反射性材料の層と置き換えることができるか、またはこれに反射性材料の層を追加することができることは十分に理解されよう。透明カソードデバイスの例は、例えばGB2348316に開示されている。
【0114】
<封入>
光学デバイスは、湿気および酸素の影響を受けやすい傾向がある。したがって、基板は、デバイス内への湿気および酸素の浸入を防止する優れたバリヤー性を有することが好ましい。基板は一般にガラスである。しかし、特にデバイスの可撓性が望ましい場合には、別の基板を用いることができる。例えば、基板は、US6268695(この特許はプラスチックとバリヤー層とが交互になった基板を開示している)にあるようなプラスチック、またはEP0949850に開示されているような薄いガラスとプラスチックとの積層物を含むことができる。
【0115】
デバイスは、湿気および酸素の浸入を防ぐために、封入材で封入することが好ましい。好適な封入材としては、1枚のガラス、ポリマーと誘電体とを交互に積み重ねたものなどの適切なバリヤー性を有するフィルム、例えばWO01/81649に開示されたもの、あるいは、例えばWO01/19142に開示された密閉容器が挙げられる。基板または封入材を通って浸透することがあるいかなる大気水分および/または酸素をも吸収するためのゲッタ材料を、基板と上記封入材の間に配置することができる。
【0116】
<溶液プロセス>
単一のポリマーまたは複数のポリマーを溶液から堆積させることができる。ポリアリーレン、特にポリフルオレンの好適な溶媒としては、トルエンおよびキシレンなどのモノ−またはポリ−アルキルベンゼンが挙げられる。特に好ましい溶液堆積技術は、スピンコーティングおよびインクジェット印刷である。
【0117】
スピンコーティングは、エレクトロルミネッセンス材料のパターニングが不要であるデバイス−例えば照明用途または単純なモノクロセグメントディスプレイに特に好適である。
【0118】
インクジェット印刷は、高情報量ディスプレイ、特にフルカラーディスプレイに特に好適である。OLEDのインクジェット印刷は、例えばEP0880303に記載されている。
【0119】
他の溶液堆積技術としては、浸せきコーティング、ロール印刷およびスクリーン印刷が挙げられる。
【0120】
溶液プロセスによってデバイスの複数層が形成される場合は、当分野の技術者は、次の層を堆積させる前に1つの層を架橋することによって、あるいは隣接層の材料を選択することによって、隣接層との相互混合を防ぐ技術を知っているであろう。これにより、これらの層の内の第1層を形成する材料は、第2層を堆積させるために使用する溶媒に溶けることがない。
【0121】
<燐光性エミッターのホスト>
多数のホストが先行技術に記載されており、これには以下の「低分子化合物」ホストが含まれる:Ikaiら、Appl.Phys.Lett.、79no.2、2001、156に開示されており、CBPとして知られている4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、およびTCTAとして知られている(4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン);ならびにMTDATAとして知られているトリス−4−(N−3−メチルフェニル−N−フェニル)フェニルアミンなどのトリアリールアミン。ポリマー、特に以下のホモポリマーもホストとして知られている:例えばAppl.Phys.Lett.2000、77(15)、2280に開示されているポリ(ビニルカルバゾール);Synth.Met.2001、116、379,Phys.Rev.B 2001、63、235206およびAppl.Phys.Lett.2003、82(7)、1006に開示されているポリフルオレン;Adv.Mater.1999、11(4)、285に開示されているポリ[4−(N−4−ビニルベンジルオキシエチル,N−メチルアミノ)−N−(2,5−ジ−tert−ブチルフェニルナフタルイミド];および、J.Mater.Chem.2003、13、50〜55に開示されているポリ(パラ−フェニレン)。コポリマーもホストとして知られている。
【0122】
<金属錯体(主として燐光性であるが、最後は蛍光性を含む)>
好ましい金属錯体は、式:MLからなる、任意選択で置換された錯体を含む。式中、Mは金属であり;L、LおよびLはそれぞれ配位基であり;qは整数であり;rおよびsはそれぞれ独立に0または整数であり;かつ、(a.q)+(b.r)+(c.s)の合計はMで利用可能な配位部位の数と等しい。ただし、aはL上の配位部位の数、bはL上の配位部位の数、cはL上の配位部位の数である。
【0123】
重元素Mが強いスピン軌道結合を引き起こし、三重項またはより高い状態(燐光)からの迅速な項間交差および発光を可能にする。好適な重金属Mとしては以下のものが挙げられる:
−セリウム、サマリウム、ユウロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、ツリウム、エルビウムおよびネオジムなどのランタニド金属;ならびに
−d−ブロック金属、特に第2列および第3列金属、すなわち、原子番号39〜48および72〜80の元素、特に、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金および金。
【0124】
f−ブロック金属の適切な配位基としては、カルボン酸、1、3−ジケトナート、ヒドロキシカルボン酸、アシルフェノールおよびイミノアシル基を含むシッフ塩基などの酸素または窒素ドナー系が挙げられる。公知のように、発光ランタニド金属錯体は、金属イオンの第1励起状態より高い三重項励起エネルギー準位を有する1つまたは複数の増感基を必要とする。発光は金属のf−f遷移からである。したがって、発光色は金属を選択することで決まる。このシャープな発光は一般に狭く、ディスプレイ用途に有用な純粋な色の発光が得られる。
【0125】
d−ブロック金属は、三重項励起状態からの発光に特に好適である。これらの金属は、ポルフィリンまたは次式の二座配位子などの炭素または窒素ドナーと有機金属錯体を形成する:
【化1】

式中、ArおよびArは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、任意選択で置換されているアリールまたはヘテロアリールから選択され;XおよびYは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素または窒素から選択され;かつ、ArとArは縮合してもよい。Xが炭素であり、Yが窒素である配位子が特に好ましい。
【0126】
二座配位子の例を以下に示す:
【化2】

【0127】
ArおよびArはそれぞれ1つまたは複数の置換基を持つことができる。これらの置換基の2つ以上を結合して環、例えば芳香環を形成することができる。特に好ましい置換基としては、フッ素またはトリフルオロメチル(WO02/45466、WO02/44189、US2002−117662およびUS2002−182441に開示されており、錯体の発光を青方偏移するために用いられる);JP2002−324679に開示されているアルキルまたはアルコキシ基;カルバゾール(WO02/81448に開示されており、電子放出物質として用いられた場合、これを用いて錯体への正孔輸送を支援することができる);臭素、塩素またはヨウ素(WO02/68435およびEP1245659に開示されており、別の基を結合させるために配位子を官能化する役割を果たすことができる);ならびに、デンドロン(WO02/66552に開示されており、これを用いて金属錯体の溶液加工性を得ることができ、あるいはこれを高めることができる)。
【0128】
発光デンドリマーは、通常、1つまたは複数のデンドロンに結合した発光コアを含む。そこでは、デンドロンはそれぞれ1つの分岐ポイントと2本以上のデンドリマー分岐とを含む。好ましくは、デンドロンは少なくとも部分的に共役しており、このコアとデンドリマー分岐の少なくとも1つはアリールまたはヘテロアリール基を含む。1つの好ましい実施形態では、この分岐基は含んでいる。
【0129】
d−ブロック元素と共に使用するのに好適な他の配位子としては、ジケトナート、特にアセチルアセトナート(acac);トリアリールホスフィンおよびピリジンが挙げられる。これらはそれぞれ置換されていてもよい。
【0130】
主族金属錯体は、配位子に基づく発光、または電荷移動発光を示す。これらの錯体については、発光色は、金属のみならず配位子の選択によっても決まる。
【0131】
ホスト材料と金属錯体は、物理的なブレンドの形で組み合わせることができる。あるいは、金属錯体は、ホスト材料に化学結合させることもできる。高分子ホストの場合には、金属錯体は、例えばEP1245659、WO02/31896、WO03/18653およびWO03/22908に開示されているように、ポリマー主鎖に結合した置換基として化学結合することができるか、繰り返しユニットとしてポリマー主鎖に組み込むことができるか、あるいは、ポリマー末端基として形成することができる。
【0132】
広範な蛍光性低分子量金属錯体が知られており、有機発光デバイスにおいて実証されている(例えば、Macromol.Sym.125(1997)1〜48、US−A5,150,006、US−A6,083,634およびUS−A5,432,014を参照されたい)。二価または三価の金属に適した配位子としては、オキシノイド、例えば酸素−窒素もしくは酸素−酸素供与性原子を有するものが挙げられ、一般には置換基酸素原子を有する環窒素原子、または置換基酸素原子を有する置換基窒素原子もしくは置換基酸素原子、例えば、8−ヒドロキシキノレートおよびヒドロキシキノキサリノール−10−ヒドロキシベンゾ(h)キノリナート(II)、ベンザゾール(III)、シッフ塩基、アゾインドール、クロモン誘導体、3−ヒドロキシフラボン、ならびにサリチラトアミノカルボキシレートおよびカルボン酸エステルなどのカルボン酸が挙げられる。任意選択の置換基としては、発光色を変えることができる(ヘテロ)芳香族環上のハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、アミノ、アミド、スルホニル、カルボニル、アリール、またはヘテロアリールが挙げられる。
【0133】
本発明を、その好ましい実施形態に関して詳細に図示し、かつ記述したが、当業者は、添付した特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱することなしに、その形態および細部に様々な変更を加えることができることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機電子デバイスの製造方法であって、
基板を用意することと、
前記基板上にウェル画定構造を形成することと、
前記ウェル画定構造によって画定されたウェルに、有機半導体材料および/または有機導電材料の溶液を堆積させることと、
を含み、
前記ウェル画定構造が、第1の絶縁材料と第2の絶縁材料との混合物を含む溶液を堆積させることにより形成され、前記第2の絶縁材料が前記第1の絶縁材料より低い濡れ性を有しており、
前記第1の絶縁材料と前記第2の絶縁材料とを少なくとも部分的に相分離させて、前記第2の絶縁材料が基板から離れる方向に相分離していることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の絶縁材料と前記第2の絶縁材料が、完全に相分離して、2つの明瞭な別個の層を形成している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の絶縁材料と前記第2の絶縁材料が、部分的に相分離して、前記ウェル画定構造の少なくとも一部分が、前記第1の材料と第2の材料の混合物を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の絶縁材料と前記第2の絶縁材料が、部分的に相分離して、3つの領域を形成しており、前記3つの領域は、前記基板に隣接する領域であって前記第2の絶縁材料を実質的に含まない下部領域、前記基板の反対側にある領域であって前記第1の絶縁材料を実質的に含まない上部領域、および、前記第1の絶縁材料と前記第2の絶縁材料との混合物を含む中間領域である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の絶縁材料と前記第2の絶縁材料とを少なくとも部分的に相分離させた後、前記ウェルが形成される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1の絶縁材料と前記第2の絶縁材料を含む溶液を堆積させた後、ベーキングを行って、前記第1の材料と前記第2の材料とが相分離するのを促進する、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の材料と水との接触角が、60°未満、好ましくは50°未満、より好ましくは40°未満、最も好ましくは30°未満である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第2の材料と水との接触角が、60°より大きく、好ましくは70°より大きく、より好ましくは80°より大きく、最も好ましくは90°より大きい、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1の材料と水との接触角と、前記第2の材料と水との接触角の差が、少なくとも20°である、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第1の絶縁材料がポリマーレジスト材料である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第2の絶縁材料がフッ素化ポリマーである、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記フッ素化ポリマーが可溶化基を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ウェル画定構造が、20重量%以下の前記第2の絶縁材料を含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
基板と、
前記基板の上に配置されたウェル画定構造と、
前記ウェル画定構造によって画定されたウェルに配置された有機半導体材料および/または有機導電材料と
を備え、
前記ウェル画定構造が第1の絶縁材料および第2の絶縁材料を含み、前記第2の絶縁材料が前記第1の絶縁材料より低い濡れ性を有しており、
前記第2の絶縁材料が、前記基板から離れる方向に上昇する濃度を有し、前記ウェル画定構造の少なくとも一部分が、前記第1の材料と前記第2の材料の混合物を含むことを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項15】
前記ウェル画定構造が、3つの領域を備え、前記3つの領域は、前記基板に隣接する領域であって前記第2の絶縁材料を実質的に含まない下部領域、前記基板の反対側にある領域であって前記第1の絶縁材料を実質的に含まない上部領域、および、前記第1の絶縁材料と第2の絶縁材料との混合物を含む中間領域をである、請求項14に記載の有機電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−500488(P2012−500488A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523450(P2011−523450)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002044
【国際公開番号】WO2010/020790
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】