説明

有機電気装置のための封入方法および誘電体層

本開示は、障壁層および誘電体層を電子装置に封入するための使用に適した方法および材料を提供する。一実施形態では、たとえば、ケイ素含有結合材料およびセラミック材料の交互する層を含む誘電体層を備えた電気発光装置または他の電子装置を提供する。本方法は、たとえば、安定性および貯蔵寿命が増加した電子装置を提供する。本発明は、たとえばマイクロ電子装置の分野において有用である。また、本発明は、層状の電子装置中の誘電体層を作製するための方法および材料を提供することにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の援助に関する認知)
本発明は、the U.S. Department of Energyからの、助成金番号DE−FC26−06NT42936の助成金による、政府の援助によって一部なされた。したがって、政府は本発明に対して一定の権利を有し得る。
【0002】
(技術分野)
本発明は、有機電子装置用の封入層(encapsulation layer)および誘電体層に適した材料に関する。そのような方法によって作製した誘電体層および封入層を有する装置をさらに提供する。本発明は、たとえば電子工学の分野において有用性が見つかる。
【背景技術】
【0003】
(背景)
有機電子装置は様々な応用において幅広く使用されている。それらは発光ダイオード、トランジスタ、および光起電力電池などの電気装置であり、有機材料を装置の構成要素のうちの1つまたは複数(たとえば、誘電体層、電極層など)として使用することが含まれる。有機発光ダイオード(OLED)などの有機電気発光装置(ELD)は近年商業的に重要となっている。有機材料はその軽量および低価格に関して望ましい。残念ながら、多くの有機材料では、金属材料と比較して低い安定性および低い耐久性に悩まされる。
【0004】
有機電子装置は、典型的には2つの電極を用いて構築される。ELDの場合、電気発光材料が両方の電極と電気的に接触しており、電極間の導電経路を形成する。一方の電極は電子注入層として機能し、他方の電極は正孔注入層として機能する。ELDの構成要素層の一部の配置では、誘電体層が存在する。たとえば、誘電体層は、電極の全体または一部分の間に存在し得る。また、誘電体層は、トランジスタおよびコンデンサーなどの他の電子装置の重要な構成要素層でもある。
【0005】
有機電気装置(OED)の構築および作動において重要な態様は封入のプロセスであり、これにより、様々な構成要素層が水分および酸素などの環境中の危険から保護される。たとえば、OLEDの場合、OLEDの構成要素層(たとえば、有機材料およびカソード材料)を保護するために物理的障壁が必要であり得る。そのような障壁を作製するための一般的な方法は、トップガラス(または他の適切な材料)層を、通常は接触しないように、エポキシ縁取を備えたOLED装置の上部に物理的に組み合わせることを含む。ガラスは、そのエポキシ縁取と一緒になって、長寿命のOLED使用に必要な環境からの保護をもたらす。しかし、この方法には、エポキシ縁取の酸素/水分の透過性、製造の困難さ、およびガラストップ層の柔軟性における問題を含めたいくつかの制限がある。
【0006】
近年、OED、特にOLEDを封入するためのより安価な、より迅速な、かつより有効な方法を開発する試みがなされている。「直接薄膜」封入として知られる一方法では、有機材料および障壁層の交互かつ反復する層を使用する。典型的な有機材料はアクリレートなどであり、一方、典型的な障壁層は、スパッタ金属、金属酸化物または誘電体層を含む。
【0007】
直接薄膜封入方法の問題の1つは、障壁層がその表面に点欠陥(すなわちピンホール)を含有する場合に起こる。そのような欠陥は、障壁層を横切ることができる有害な汚染物質の量を増加させるため、障壁層の有用性を著しく低下させる。この問題の1つの解決法は、障壁全体を通って延びる欠陥を排除するために障壁層の厚さを増加させることである。残念ながら、より厚い障壁層は装置の重量および費用を増加させ、封入の透明度および柔軟性を低下させる。
【0008】
さらに、直接薄膜封入は特定の種類のELDにおいてさらなる欠点を有する。たとえば、特許文献1および特許文献2に記載されているものなどの一部のOLEDでは、カソード、誘電体、およびアノードの層を基材上に堆積させてOLEDスタックを形成する。層のそれぞれを部分的または完全に通って延びる空隙(cavity)を作り、発光ポリマー(LEP)層をOLEDスタック上に堆積させる。空隙内で、LEPがアノードおよびカソードの層と接触する。発光は、空隙領域中で電子および正孔がLEPを通ってアノードおよびカソードの層の間を流れた際に起こる。そのような装置では、LEP層がOLEDスタックの最外(すなわち基材から最も遠い)層を形成する。したがって、LEP層は、化学的または物理的堆積方法によって障壁層を堆積させることを含む封入方法に曝され、それによって潜在的に損傷を受ける。たとえば、LEP層は、封入層を金属スパッタリング、化学的蒸着、または溶液堆積方法によって堆積させた際に、反応性種または溶媒によって損傷を受ける場合がある。
【0009】
層状の電子装置によって悩まされるさらなる問題は誘電体層の破損または漏出であり、これは、電極間または一方の電極から接地までの、所望しない電流の流れをもたらす。一般的に、そのような破損または漏出は誘電体層中の欠陥が原因で起こる。欠陥には、誘電体層を堆積および/または硬化させた際に形成され得る亀裂およびピンホールが含まれる。そのような困難に打ち勝つための従来方法は、典型的には誘電体層の厚さを増加させることを含む。この手法は、より薄い誘電体層が必要な応用において特に望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,800,722号明細書
【特許文献2】米国特許第6,593,687号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
当分野では、上述の欠点に打ち勝つ必要性、ならびに一般にELDなどのOEDを有効に製造および保護するための新しい方法および材料を開発する必要性が、依然として存在する。理想的な封入の方法および材料では、容易に入手可能または容易に調製される材料を利用し、プロセスステップの数を最小限にし、ならびに/またはOED構成要素を損傷させずに再現性の高い結果および有効な障壁層を提供するであろう。同様に、誘電体層を形成するための理想的な材料および方法では、容易に入手可能な材料を利用し、最小限の欠陥を有する薄い誘電体層を生成することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、有機電子装置を封入するための方法および材料を提供することに関する。また、本発明は、層状の電子装置中の誘電体層を作製するための方法および材料を提供することにも関する。
【0013】
一態様では、(i)セラミック材料である障壁材料を基材上に直接的または間接的に堆積させることによって障壁層を形成するステップと、(ii)障壁層を酸化させて露出した官能基をもたらすステップと、(iii)ケイ素含有材料であり障壁層の官能基と反応することができる官能基を含む結合材料の層を、障壁層上に堆積させることによって結合層を形成するステップと、(iv)任意選択で結合層を酸化させて露出した官能基をもたらすステップと、(v)任意選択で(i)、(ii)、(iii)、および(iv)を繰り返すことによって、さらなる障壁層および結合層の1つまたは複数の対を形成するステップとを含む、電子装置中の誘電体層を形成する方法を提供する。
【0014】
別の態様では、基材上に配置された複数の構成要素層を含む電子装置、ならびに障壁材料および架橋結合した材料の少なくとも第1の対の層を含む誘電体層を提供し、障壁材料はセラミック材料であり、架橋結合した材料はケイ素含有ポリマーである。
【0015】
別の態様では、(a)基材およびその上に配置された電子装置を提供するステップと、(b)セラミック材料である障壁材料を電子装置上に直接的または間接的に堆積させることによって障壁層を形成するステップと、(c)障壁層を酸化させて露出した官能基をもたらすステップと、(d)ケイ素含有材料であり障壁層の官能基と反応することができる官能基を含む結合材料の層を、障壁層上に堆積させることによって結合層を形成するステップと、(e)任意選択で結合層を酸化させて露出した官能基をもたらすステップと、(f)任意選択で(b)、(c)、(d)、および(e)を繰り返すことによってさらなる障壁層および結合層の1つまたは複数の対を形成するステップとを含む、電子装置を封入する方法を提供する。
【0016】
別の態様では、基材上に配置された複数の構成要素層を含む電子装置と、障壁材料および架橋結合した材料の第1の対の層を含む封入部分とを含み、障壁材料がセラミック材料であり、架橋結合した材料がケイ素含有ポリマーである、封入された電子装置を提供する。
【0017】
本発明の他の態様は、特許請求の範囲および実施例を含めた以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】図1aは、本発明の封入および誘電体層の方法および材料の使用に適した代表的な有機電気装置を示す図である。
【図1b】図1bは、本発明の封入および誘電体層の方法および材料の使用に適した代表的な有機電気装置を示す図である。
【図1c】図1cは、本発明の封入および誘電体層の方法および材料の使用に適した代表的な有機電気装置を示す図である。
【図1d】図1dは、本発明の封入および誘電体層の方法および材料の使用に適した代表的な有機電気装置を示す図である。
【図1e】図1eは、本発明の封入および誘電体層の方法および材料の使用に適した代表的な有機電気装置を示す図である。
【図1f】図1fは、本発明の封入および誘電体層の方法および材料の使用に適した代表的な有機電気装置を示す図である。
【図1g】図1gは、本発明の封入および誘電体層の方法および材料の使用に適した代表的な有機電気装置を示す図である。
【図2】図2は、本発明の封入および誘電体層の方法および材料の使用が適した有機電気装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を詳細に説明する前に、本明細書中に記載の装置、構造、材料、または作製方法は変動し得るため、別段に指定しない限りは、本発明は、本明細書中に記載のどのような特定の装置、構造、材料、または作製方法にも限定されないことを理解されたい。また、本明細書中で使用する用語は特定の実施形態を説明する目的だけのものであり、限定することを意図しないことも理解されたい。本明細書中で提供する定義は相互排他的であることを意味しない。たとえば、一部の化学基は1つより多くの定義に当てはまり得ることを理解されたい。
【0020】
本明細書中で使用する用語「アルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシルなどの、必ずしもではないが典型的には1〜約24個の炭素原子を含有する、分枝状または非分枝状の飽和炭化水素基、ならびにシクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基をいう。一般に、ここでも必ずしもではないが、本明細書中のアルキル基は1〜約18個の炭素原子を含有していてもよく、そのような基は、1〜約12個の炭素原子を含有していてもよい。用語「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子のアルキル基を意図する。「置換アルキル」とは、1つまたは複数の置換基で置換されたアルキルをいい、用語「ヘテロ原子含有アルキル」および「ヘテロアルキル」とは、以下にさらに詳述するように、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアルキル置換基をいう。別段に指定しない限りは、用語「アルキル」および「低級アルキル」には、それぞれ直鎖状、分枝状、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有のアルキルまたは低級アルキルが含まれる。
【0021】
本明細書中で使用する用語「アルケニル」とは、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、テトラコセニルなどの、少なくとも1つの二重結合を含有する2〜約24個の炭素原子の直鎖状、分枝状または環状の炭化水素基をいう。一般に、ここでも必ずしもではないが、本明細書中のアルケニル基は、2〜約18個の炭素原子を含有していてもよく、たとえば2〜12個の炭素原子を含有していてもよい。用語「低級アルケニル」とは、2〜6個の炭素原子のアルケニル基を意図する。用語「置換アルケニル」とは、1つまたは複数の置換基で置換されたアルケニルをいい、用語「ヘテロ原子含有アルケニル」および「ヘテロアルケニル」とは、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアルケニルをいう。別段に指定しない限りは、用語「アルケニル」および「低級アルケニル」には、それぞれ直鎖状、分枝状、環状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有のアルケニルおよび低級アルケニルが含まれる。
【0022】
本明細書中で使用する用語「アルキニル」とは、エチニル、n−プロピニルなどの、少なくとも1つの三重結合を含有する2〜24個の炭素原子の直鎖状または分枝状の炭化水素基をいう。一般に、ここでも必ずしもではないが、本明細書中のアルキニル基は、2〜約18個の炭素原子を含有していてもよく、そのような基は、2〜12個の炭素原子をさらに含有していてもよい。用語「低級アルキニル」とは、2〜6個の炭素原子のアルキニル基を意図する。用語「置換アルキニル」とは、1つまたは複数の置換基で置換されたアルキニルをいい、用語「ヘテロ原子含有アルキニル」および「ヘテロアルキニル」とは、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアルキニルをいう。別段に指定しない限りは、用語「アルキニル」および「低級アルキニル」には、それぞれ直鎖状、分枝状、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有のアルキニルおよび低級アルキニルが含まれる。
【0023】
別段に指定しない限りは、用語「不飽和アルキル」には、アルケニルおよびアルキニルならびにその組合せが含まれる。
【0024】
本明細書中で使用する用語「アルコキシ」とは、単一の末端エーテル結合を介して結合したアルキル基を意図する、すなわち、「アルコキシ」基は、−O−アルキルとして表し得る[式中、アルキルは上記定義したとおりである]。「低級アルコキシ」基とは、1〜6個の炭素原子を含有するアルコキシ基を意図し、たとえば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、t−ブチルオキシなどが含まれる。本明細書中で「C〜Cアルコキシ」または「低級アルコキシ」と同定された置換基は、たとえば1〜3個の炭素原子を含有していてもよく、さらなる例として、そのような置換基は1または2個の炭素原子を含有していてもよい(すなわちメトキシおよびエトキシ)。
【0025】
別段に指定しない限りは、本明細書中で使用する用語「アリール」とは、一般に、必ずしもではないが、5〜30個の炭素原子を含有し、単一の芳香環、あるいは、一緒に縮合した、直接連結した、または(異なる芳香環がメチレンもしくはエチレン部分などの共通の基と結合しているように)間接的に連結した複数の芳香環(1〜3個の環など)を含有する、芳香族置換基をいう。アリール基は、たとえば5〜20個の炭素原子を含有していてもよく、さらなる例として、アリール基は、5〜12個の炭素原子を含有していてもよい。たとえば、アリール基は、1つの芳香環または2つの縮合もしくは連結した芳香環、たとえば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、ベンゾフェノンなどを含有していてもよい。「置換アリール」とは、1つまたは複数の置換基で置換されたアリール部分をいい、用語「ヘテロ原子含有アリール」および「ヘテロアリール」とは、以下にさらに詳述するように、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアリール置換基をいう。別段に指定しない限りは、用語「アリール」には、非置換、置換、および/またはヘテロ原子含有のアリール置換基が含まれる。
【0026】
用語「アラルキル」とは、アリール置換基を有するアルキル基をいい、用語「アルカリール」とは、アルキル置換基を有するアリール基をいい、「アルキル」および「アリール」は上記定義したとおりである。一般に、本明細書中のアラルキルおよびアルカリール基は、6〜30個の炭素原子を含有する。アラルキルおよびアルカリール基は、たとえば6〜20個の炭素原子を含有していてもよく、さらなる例として、そのような基は、6〜12個の炭素原子を含有していてもよい。
【0027】
用語「オレフィン基」とは、2〜12個の炭素原子のモノ不飽和またはジ不飽和の炭化水素基を意図する。このクラス内の好ましいオレフィン基は、本明細書中で時々「低級オレフィン基」と呼び、単一の末端二重結合を含有する2〜6個の炭素原子の炭化水素部分を意図する。後者の部分は「低級アルケニル」とも呼ばれ得る。
【0028】
本明細書中で使用する用語「アルキレン」とは、1〜24個の炭素原子を含有する二官能性の飽和の分枝状または非分枝状の炭化水素鎖をいう。「低級アルキレン」とは、1〜6個の炭素原子を含有するアルキレン連結をいい、たとえば、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン(−CHCHCH−)、2−メチルプロピレン(−CH−CH(CH)−CH−)、ヘキシレン(−(CH−)などが含まれる。
【0029】
本明細書中で使用する用語「アミノ」とは、−NZ基をいい、式中、ZおよびZは水素または非水素置換基であり、非水素置換基には、たとえば、アルキル、アリール、アルケニル、アラルキル、ならびにその置換および/またはヘテロ原子含有変形体が含まれる。
【0030】
「ヘテロ原子含有アルキル基」(「ヘテロアルキル」基とも呼ばれる)または「ヘテロ原子含有アリール基」(「ヘテロアリール」基とも呼ばれる)において見られるような用語「ヘテロ原子含有」とは、1つまたは複数の炭素原子が炭素以外の原子、たとえば、窒素、酸素、硫黄、リンまたはケイ素、典型的には窒素、酸素または硫黄で置き換えられている、分子、連結または置換基をいう。同様に、用語「ヘテロアルキル」とは、ヘテロ原子含有であるアルキル置換基をいい、用語「複素環式」とは、ヘテロ原子含有である環状置換基をいい、用語「ヘテロアリール」および「芳香族複素環式」とは、それぞれヘテロ原子含有である「アリール」および「芳香族」置換基をいう、などである。ヘテロアルキル基の例には、アルコキシアリール、アルキルスルファニル置換アルキル、N−アルキル化アミノアルキルなどが含まれる。ヘテロアリール置換基の例には、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、キノリニル、インドリル、フリル、ピリミジニル、イミダゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリルなどが含まれ、ヘテロ原子含有脂環基の例は、ピロリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノ、テトラヒドロフラニルなどである。
【0031】
「ヒドロカルビル」とは、1〜約30個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基をいい、1〜約24個の炭素原子が含まれ、さらに1〜約18個の炭素原子が含まれ、さらに約1〜12個の炭素原子が含まれ、アルキル基、アルケニル基、アリール基などの直鎖状、分枝状、環状、飽和および不飽和の種が含まれる。「置換ヒドロカルビル」とは、1つまたは複数の置換基で置換されたヒドロカルビルをいい、用語「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」とは、少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているヒドロカルビルをいう。別段に指定しない限りは、用語「ヒドロカルビル」には、非置換、置換、ヘテロ原子含有、および置換ヘテロ原子含有のヒドロカルビル部分が含まれると解釈される。
【0032】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードをいい、有機化合物中の水素原子のハロ置換に関連する。ハロのうち、クロロおよびフルオロが一般に好ましい。
【0033】
前述の定義の一部で暗示したように「置換ヒドロカルビル」、「置換アルキル」、「置換アリール」などにおいて見られるような「置換」とは、ヒドロカルビル、アルキル、アリール、または他の部分中、炭素(または他の)原子と結合した少なくとも1つの水素原子が1つまたは複数の非水素置換基で置き換えられていることを意味する。そのような置換基の例には、以下に限定されないが、ハロ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C〜C24アルコキシ、C〜C24アルケニルオキシ、C〜C24アルキニルオキシ、C〜C20アリールオキシ、アシル(C〜C24アルキルカルボニル(−CO−アルキル)およびC〜C20アリールカルボニル(−CO−アリール)が含まれる)、アシルオキシ(−O−アシル)、C〜C24アルコキシカルボニル(−(CO)−O−アルキル)、C〜C20アリールオキシカルボニル(−(CO)−O−アリール)、ハロゲン化カルボニル(−CO)−X[式中、Xはハロである])、C〜C24アルキルカルボナト(−O−(CO)−O−アルキル)、C〜C20アリールカルボナト(−O−(CO)−O−アリール)、カルボキシ(−COOH)、カルボキシラト(−COO)、カルバモイル(−(CO)−NH)、一置換C〜C24アルキルカルバモイル(−(CO)−NH(C〜C24アルキル))、二置換アルキルカルバモイル(−(CO)−N(C〜C24アルキル))、一置換アリールカルバモイル(−(CO)−NH−アリール)、チオカルバモイル(−(CS)−NH)、カルバミド(−NH−(CO)−NH)、シアノ(−C≡N)、イソシアノ(−N≡C)、シアナト(−O−C≡N)、イソシアナト(−O−N≡C)、イソチオシアナト(−S−C≡N)、アジド(−N=N=N)、ホルミル(−(CO)−H)、チオホルミル(−(CS)−H)、アミノ(−NH)、一およびニ(C〜C24アルキル)置換アミノ、一および二(C〜C20アリール)置換アミノ、C〜C24アルキルアミド(−NH−(CO)−アルキル)、C〜C20アリールアミド(−NH−(CO)−アリール)、イミノ(−CR=NH[式中、R=水素、C〜C24アルキル、C〜C20アリール、C〜C20アルカリール、C〜C20アラルキルなどである])、アルキルイミノ(−CR=N(アルキル)[式中、R=水素、アルキル、アリール、アルカリールなどである])、アリールイミノ(−CR=N(アリール)[式中、R=水素、アルキル、アリール、アルカリールなどである])、ニトロ(−NO)、ニトロソ(−NO)、スルホ(−SO−OH)、スルホナト(−SO−O)、C〜C24アルキルスルファニル(−S−アルキル、「アルキルチオ」とも呼ばれる)、アリールスルファニル(−S−アリール、「アリールチオ」とも呼ばれる)、C〜C24アルキルスルフィニル(−(SO)−アルキル)、C〜C20アリールスルフィニル(−(SO)−アリール)、C〜C24アルキルスルホニル(−SO−アルキル)、C〜C20アリールスルホニル(−SO−アリール)、ホスホノ(−P(O)(OH))、ホスホナト(−P(O)(O)、ホスフィナト(−P(O)(O))、ホスホ(−PO)、ホスフィノ(−PH)、一および二(C〜C24アルキル)置換ホスフィノ、一および二(C〜C20アリール)置換ホスフィノ、ならびにヒドロカルビル部分C〜C24アルキル(C〜C18アルキルが含まれ、C〜C12アルキルがさらに含まれ、C〜Cアルキルがさらに含まれる)、C〜C24アルケニル(C〜C18アルケニルが含まれ、C〜C12アルケニルがさらに含まれ、C〜Cアルケニルがさらに含まれる)、C〜C24アルキニル(C〜C18アルキニルが含まれ、C〜C12アルキニルがさらに含まれ、C〜Cアルキニルがさらに含まれる)、C〜C30アリール(C〜C20アリールが含まれ、C〜C12アリールがさらに含まれる)、およびC〜C30アラルキル(C〜C20アラルキルが含まれ、C〜C12アラルキルがさらに含まれる)等の官能基が含まれる。さらに、特定の基が許容される場合は、前述の官能基は、上記で具体的に列挙したものなどの1つもしくは複数の追加の官能基または1つもしくは複数のヒドロカルビル部分でさらに置換されていてもよい。同様に、上述のヒドロカルビル部分は、具体的に列挙したものなどの1つもしくは複数の官能基または追加のヒドロカルビル部分でさらに置換されていてもよい。
【0034】
用語「置換」が可能な置換基の列挙の前に現れる場合、この用語は、その基のすべてのメンバーに適用されることを意図する。たとえば、語句「置換アルキルおよびアリール」は「置換アルキルおよび置換アリール」として解釈される。
【0035】
別段に指定しない限りは、原子への言及にはその原子の同位体が含まれることを意味する。たとえば、Hへの言及にはH、H(すなわちD)およびH(すなわちT)が含まれることを意味し、Cへの言及には、12Cおよび炭素のすべての同位体(13Cなど)が含まれることを意味する。
【0036】
本発明の方法および材料は、有機電気発光装置などの封入された有機電気装置(OED)を作製するために適している。本発明の封入の方法および材料を使用して、環境中の反応性化学物質への曝露が原因の分解に対するOEDの安定性を増加させ得る。たとえば、本発明の封入方法を用いて、他の封入方法を用いたOEDと比較して、様々な環境条件下でより長い貯蔵寿命を有するOEDを作製することができる。あるいは、またはそれに加えて、本発明の封入方法は、ガラスプレートおよびエポキシ封入の方法に関連する特定の欠点に影響されない。一部の実施形態では、たとえば、本発明の封入されたOEDは、従来の封入方法を用いたOEDよりも柔軟であり、軽量であり、および/または環境毒に対して耐性がある。
【0037】
さらに、本発明の方法および材料は、OED中の誘電体層を作製するために適している。好ましい実施形態では、本発明に従って作製した誘電体層は、同様の厚さの従来の誘電体層よりも少ない欠陥を含有する。そのような誘電体層により、任意の所与の厚さにおいて向上した装置性能を有するOEDの作製が可能となる。本発明による誘電体層は、任意のトポロジー上に堆積させられ得る。
【0038】
様々な構造の有機電子装置を、本発明の封入方法と併せて使用することができる。たとえば、電気発光装置、光起電力装置、およびトランジスタ装置が本発明の範囲内にある。一部の好ましいOEDは、2008年8月25日に出願のPCT/US2008/010075号、2008年1月24日に出願のPCT/US2008/001025号、2007年8月23日に出願の米国仮特許出願第60/957,481号、2007年9月11日に出願の米国出願第11/900,478号、および2003年7月15日に発行の米国特許第6,593,687号中に提供されている。それらに開示されている、OEDに関するこれらの参考文献の内容は、本明細書中に参考として組み込まれている。
【0039】
本発明の方法を用いた誘電体層の封入および/または取り込みに適したOEDは、有機発光ダイオード(OLED)などの電気発光装置であり得る(別段に指定しない限りは、本明細書中で使用する用語、OLEDにはポリマー発光ダイオード(PLED)が含まれる)。典型的なOLED装置は、中間層によって隔てられた2つの電極を含む。電極の一方は基材として機能し、それにより、他の層をその上に配置する構造要素およびOLEDの機能的要素の両方として働く場合がある。これは、電極が酸化インジウム錫などの透明な導電性材料から作製されている場合に特に適している。あるいは、電極とは別の構成要素である基材を使用してもよい。2つの電極は、電子注入電極または正孔注入電極のどちらかとして個々に機能する。また、これらは本明細書中でアノードおよびカソードとも呼ばれ得る。さらに、本明細書中に記載のOEDは、正孔注入層が基材に最も近いまたは電子注入層が基材に最も近いように構成され得るため、電極は、本明細書中で上部電極および下部電極と呼ばれ得る。言い換えれば、基材に対する電極の配置を入れ替えてもよい。したがって、本明細書中に提供する例は、1つの特定の配向(たとえばアノードが基材に最も近い)のみを示すということに限っては、限定することを意味せず、例示目的としてのみ提供することを理解されたい。
【0040】
一部の実施形態では、中間層は、電気発光材料を含む電気発光層である。たとえば、図1aはOLED装置の例示を提供する。図1aでは、基材10は下部電極20によって覆われている。電気発光材料は電気発光層40を形成し、下部電極20上に配置されている。電気発光層40は下部電極20と共有結合していてもよいが、好ましい実施形態では、結合はファンデルワールス力によるものである。上部電極50は電気発光層40と接触している。典型的には、必ずしもではないが、様々な構成要素層(すなわち、アノード、EL材料、およびカソード)は、基材全体にわたって実質的に均一の厚さおよび組成である。
【0041】
他の実施形態では、中間層は誘電体材料を含む誘電体層であり、別個の電気発光層も存在する。そのような実施形態の例は、複数の空隙が少なくとも1つの電極および誘電体層を通って延びる、空隙有機発光ダイオード(COLED)などの空隙ELDである。図1b、1c、1d、および1eはCOLED装置の構造の例を提供する。これらおよび他のOED中の誘電体層は、慣用の材料を用いて慣用の方法(たとえばスピンコーティングなど)に従って作製してもよく、または、これらは本明細書中に開示される交互する障壁層/結合層に従って作製してもよい。
【0042】
図1bでは、装置100は、層状構造を通って延びる空隙11を有する基材10上の層状構造から構築されている。層状構造は下部電極層20、誘電体層35、および上部電極層50を含み、誘電体層は下部電極層および上部電極層の間に置かれている。空隙11は開口部12から層状構造の全体にわたって延び、基材10で終結する。空隙11の横断面は、たとえば円形、四角形、三角形、もしくは他の形状である場合があり、または、空隙は特定の形状を有さない場合がある。空隙11は約0.1μm〜約5.0μm、または約0.3μm〜約2.0μmの範囲の直径を有し得る。電気発光材料40は、内部空隙表面内で装置のそれぞれの層と接触して示されている。内部空隙のそれぞれの領域とのコンフォーマルな接触が好ましい。しかし、最低限でも、電気発光材料40は両電極との電気的な接触を提供し、その間に導電経路を形成しなければならない。
【0043】
電気発光材料40が空隙を完全に満たし、さらに電極50をコーティングする、空隙放出(cavity−emission)ELDのさらなる例示的な実施形態を図1cに示す。
【0044】
空隙放出ELD構造のさらなる例を図1dに示す。装置200は、層状構造の一部分を通って延びる空隙11を有する基材10上の層状構造から構築されている。層状構造は、下部電極層20、誘電体層35、上部電極層50、および電気発光材料層40を含む。電子が空隙11を通るように方向づけるために、誘電体層は下部電極および電気発光材料の間に置かれている。
【0045】
空隙放出ELD構造のさらなる例を図1eに示す。装置210は、上部電極50および誘電体層35を通って延びる空隙11を有する基材10上の層状構造である。空隙11は下部電極20で終結する。電気発光材料が電気発光層40を形成し、これは空隙11を満たし、下部電極20および上部電極50のどちらとも接触する。図1eのCOLED装置は、空隙が下部電極を通って延びない以外は図1cのそれと類似である。そのようなCOLED装置(すなわち空隙が下部電極を通って延びない)は、図1bおよび1dに示す配置を使用しても構築し得ることを理解されたい。
【0046】
空隙放出ELD構造のさらなる例を図1fに示す。装置220は、基材10およびその上に配置された下部電極20を含む。下部電極20は透明な(transparent)材料(たとえばITOまたはIZOなど)から形成され、基材10も透明な材料(有機ポリマーまたは二酸化ケイ素など)から形成される。誘電体層35、電気発光層40、および上部電極50、ならびに空隙11が存在する。図1fに示す装置では、空隙11は透明な下部電極層20を通って延びる。空隙11が下部の透明な電極層20を通って延びない、代替の装置230を図1gに示す。下部の透明な電極層20が電極層の構造的安定性を損なう空隙を含有しないため、別個の基材は任意選択である(そして図1gに示されていない)。
【0047】
本明細書中に記載したものなどのCOLED装置は、装置全体にわたって複数の空隙(すなわちアレイ)を有することを理解されたい。
【0048】
上述のOLED装置では、2008年8月25日に出願の同時係属中のPCT出願PCT/US2008/010075号に記載のように、電子注入電極は、電子受容部分およびケイ素含有接着材料を任意選択で含み得る(図中に示さず)。たとえば、電子注入電極の表面は、ヒドロキシ官能基化シロキサン材料(下記にさらに詳述するシロキサン材料など)との酸素結合を介して共有結合し、電子受容部分とさらに共有結合していてもよい。適切な電子受容部分には、たとえば、金属ジケトネートを含むもの(たとえば、リチウムアセチルアセトネート、バリウムアセチルアセトネート、ベリリウムアセチルアセトネート、カルシウムアセチルアセトネート、マグネシウムアセチルアセトネート、ナトリウムアセチルアセトネート、カリウムアセチルアセトネート、セシウムアセチルアセトネート、ストロンチウムアセチルアセトネート、ホウ素アセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、ガリウムアセチルアセトネート、インジウムアセチルアセトネート、もしくは銀アセチルアセトネート、またはその組合せ)、あるいは多環式部分(たとえば、フタル酸無水物、1,8−ナフタル酸無水物、フタル酸、1,8−ナフタル酸、またはフタルイミドなどのその窒素類似体であって、その任意のものが非置換であるかまたはハロもしくはニトロなどの1つもしくは複数の電子吸引性置換基で置換されている)が含まれるヘテロ原子含有芳香族部分が含まれる。ケイ素含有接着部分および電子受容部分は、電子が電子注入電極から電気発光材料内へと移動した際により効率的なエネルギーの伝達をもたらす中間層を形成する。
【0049】
また、OEDは有機トランジスタであってもよい。そのような装置には、たとえば、図2に示す装置300などの有機薄膜トランジスタ(TFT)が含まれる。図2では、ゲート電極21は、基材10上に配置されており、誘電体層35で覆われている。ソース電極22およびドレイン電極23は誘電体35上に配置されており、活性層60(ペンタセン、オリゴチオフェン、またはポリチオフェンなどの半導体材料を含む)は、電極間の電流の経路を形成する。また、OEDは有機光起電力装置であってもよい。
【0050】
本明細書中で使用する用語「OED」、「装置」などとは、そのような装置に関連して上述した、基材および装置構成要素をいう。典型的には、そのような装置構成要素には、図1a〜1gおよび図2に示した層が含まれる。
【0051】
図1a〜1gおよび図2に示した誘電体層は、本発明の方法に従って(すなわち、保護層を備えたもしくは備えない、交互する障壁層および結合層を用いて)作製してもよく、または、慣用の材料および方法を用いて作製してもよいことを理解されたい。さらに、本明細書中に記載の封入層は、図中に示すOED構造のうちの任意のもの、および本明細書中に記載したものなどの他の適切なOED構造と共に使用し得ることを理解されたい。
【0052】
上述のOEDに適した材料には、上記の特許および特許出願の参考文献中に記載されているように、様々な有機材料および無機材料が含まれる。基材は、任意の適切な材料、たとえば、二酸化ケイ素、ソーダ石灰ガラスおよびホウケイ酸ガラスなどの様々なケイ素系ガラス、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、塩化ナトリウム、ダイアモンド、および/または同様なもの等の無機材料であり得る。放出された放射線を伝達するための透明または半透明のポリマー材料の例には、以下に限定されないが、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート(polymethacryate)が含まれる。基材は強固または柔軟であってもよく、任意の適切な形状および立体配置であってもよい。したがって、特定の実施形態では、柔軟なポリマー基材を提供する。任意選択で、絶縁層を基材および/またはOEDの他の層のうちの1つもしくは複数の間に含めてもよい。さらに、特定の実施形態では、基材はケイ素または酸化インジウム錫などの半導体材料であってもよく、超小型回路をさらに含有していてもよく、その場合は、電気発光装置は、超小型回路に駆動される装置の集積された部分を含み得る。たとえば、一部の実施形態では、基材はOEDの電極の1つとして機能し得る。
【0053】
電極は、金属およびコンジュゲート化有機化合物などの任意の適切な材料から作製し得る。ドープ化半導体および透明な材料も適切な電極材料である。電極材料の例には、アルミニウム、チタン、銅、タングステン、銀、ケイ素、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ペンタセン、オリゴチオフェン、およびポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)などのポリチオフェン、ならびにカーボンナノチューブ等が含まれる。
【0054】
慣用の方法に従って作製した場合、誘電体層は、電気障壁を提供し、電極層間の電気ショートを防止するための、電極間の障壁として役割を果たすことができる任意の適切な材料であってもよい。材料には、たとえば、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、もしくはケイ化物(障壁材料について以下に記載)を含めた無機材料、またはポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、パリレンなどの有機材料、ならびに様々なゾル−ゲル材料およびプレセラミックポリマーが含まれる。特定の実施形態では、誘電体層にはピンホールが実質的になく、約10ohm−cm以上、好ましくは約1012ohm−cm以上の電気抵抗を有する高抵抗性材料から構成される。適切な高抵抗性材料のさらなる具体的な例には、以下に限定されないが、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムが含まれる。
【0055】
既に言及したように、特定の実施形態では、OEDには、電気発光材料、たとえば電気発光層が含まれる。COLEDでは、電気発光材料は装置の空隙中に少なくとも部分的に配置されている。たとえば、特定の実施形態では、電気発光材料は、装置の空隙を実質的または完全に満たす。やはり既に言及したように、特定の実施形態では、電気発光材料は拡張層を形成する、たとえば、電気発光材料は、空隙の寸法を満たし得るだけでなく、電極層(たとえば電子注入層)を誘電体層から隔てる追加の層も形成し得る。
【0056】
電気発光材料は、正孔を正孔注入層から受け取り、電子を電子注入層から受け取り、注入された正孔および電子が組み合わさった際に電磁波(たとえば光)を放出することができる、任意の適切な材料から構成され得る。したがって、特定の実施形態では、電気発光材料には、いくつかの有機もしくは無機化合物またはその混合物、たとえば、複数層の有機物もしくは低分子などのうちの、任意のものが含まれ得る。たとえば、電気発光層には、ポリマー材料が含まれ得るか、またはそれは1つもしくは複数の低分子材料から構成され得る。しかし、材料は、少なくとも1つの電気発光化合物、たとえば、有機、無機または低分子の電気発光化合物を含有していなければならない。特定の実施形態では、電気発光化合物には、単純な有機分子または複合ポリマーもしくはコポリマーが含まれ得る。たとえば、単純な有機発光分子には、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)−アルミニウムまたはペリレンが含まれ得る。
【0057】
特定の実施形態では、電気発光材料にはポリマーまたはコポリマーが含まれる。適切なポリマーまたはコポリマーの分子構造には、炭素系またはケイ素系の主鎖が含まれ得る。ポリマーおよびコポリマーは、直鎖状、分枝状、架橋結合している、またはその任意の組合せであってもよく、約5000と低くから1,000,000を超えるまでの広範囲の分子量を有し得る。コポリマーの場合、コポリマーは、交互、ブロック、ランダム、グラフトコポリマー、またはその組合せであり得る。本発明と併せて有用な適切な電気発光ポリマーの例には、以下に限定されないが、コンジュゲートポリマー、たとえば、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニルビニレン、ポリフルオレン、1,3,4−オキサジアゾール含有ポリマー、ならびにその様々な誘導体およびコポリマーが含まれる。
【0058】
例示的な電気発光ポリマーは、一般構造−Ar−C(R10)=C(R11)−[式中、Arは、1〜3個の芳香環を含有するアリーレン、ヘテロアリーレン、置換アリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、R10およびR11は、ヒドリド、ハロ、シアノ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロ原子含有ヒドロカルビル、および置換ヘテロ原子含有ヒドロカルビルからなる群から独立して選択されるか、または、R10およびR11は、一緒になって三重結合を形成し得る]を有するポリ(アリーレン−ビニレン)ポリマーである。さらに、Arは、たとえばアミンまたはアリールアミン置換基で置換されていてもよい。R10およびR11上の置換基は一般にヒドリドであるが、ハロ(特にクロロもしくはフルオロ)またはシアノ、あるいは置換または非置換のアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリールおよびヘテロアリールであってもよい。
【0059】
米国特許第6,414,104号に記載されている別の例示的な電気発光ポリマー材料は、以下の一般構造:
【0060】
【化1】

[式中、X、YおよびZは、N、CHおよびCR12からなる群から独立して選択され、R12は、ハロ、シアノ、アルキル、置換アルキル、ヘテロ原子含有アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、もしくは置換ヘテロアリールであるか、または、隣接する炭素原子上の2つのR12部分は、連結して追加の環状基を形成していてもよく、Arは上記定義したとおりであり、ArおよびArは、1個または2個の芳香環を含有するアリール、ヘテロアリール、置換アリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、R10およびR11は上記定義したとおりである]を有する単量体単位を含有するアリールアミン置換ポリ(アリーレン−ビニレン)ポリマーである。
【0061】
上記式で、X、YおよびZがすべてCHである場合、ポリマーはポリ(フェニレンビニレン)誘導体である。X、YおよびZのうちの少なくとも1つがNである場合、芳香環は、たとえば、置換または非置換のピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,4−トリアジニル、または1,2,3−トリアジニルとなる。たとえば、X、YおよびZのうちの1つはCHであってもよく、他の2つはCHまたはCR12のどちらかであってもよく、R12は、ヘテロ原子含有アルキル、たとえばアルコキシ、またはポリエーテル置換基−CH(OCHCHOCHもしくは−(OCHCHOCH基[式中、nは、1〜12、たとえば1〜6、たとえば1〜3である]であり得る。
【0062】
ポリマーは、少なくとも1つの追加の種類の単量体単位を有するホモポリマーまたはコポリマーであり得る。たとえば、ポリマーがコポリマーである場合、追加の単量体単位はアリーレン−ビニレン単量体単位であってもよい。具体的なポリマーの例は、ポリ(2−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−1,4−フェニレンビニレンおよびポリ(2−(3−ジフェニルアミノフェニル)−1,4−フェニレンビニレンである。米国特許第6,414,104号に開示されている具体的なポリマーの例は、ポリ(2−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−1,4−フェニレンビニレンおよびポリ(2−(3−ジフェニルアミノフェニル)−1,4−フェニレンビニレンである。また、本発明での使用に適した電気発光ポリマーは、(電気発光ポリマーに関する)その開示が本明細書中に参考として組み込まれている、米国特許第6,723,828号、第6,800,722号、および第7,098,297号にも記載されている。これらの言及した特許中では、以下の構造:
【0063】
【化2】

[式中、ArおよびArは、単環、二環および多環のアリーレン、ヘテロアリーレン、置換アリーレンならびに置換ヘテロアリーレン基からなる群から独立して選択され、Lは、アルキレン、アルケニレン、置換アルキレン、置換アルケニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、置換ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、置換アリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、mは0または1であり、nは0または1であり、QおよびQは、H、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、アルキル、および置換アルキルからなる群から独立して選択され、Qは、アルキルおよび置換アルキルからなる群から選択され、ただし、mが1である場合、QおよびQはH以外であり、Aは負荷電の対イオンである]を有する単量体単位を含有するコンジュゲートポリマーが開示されている。
【0064】
また、電気発光材料には、ポリマーの混合物、たとえば、上述のものと他のポリマーおよび様々なコポリマーとの混合物も含まれ得る。
【0065】
本発明の方法は、上述の装置のうちの任意のものなどのOEDを提供することを含む。「提供する」とは、OEDを一般供給者から得る(たとえば購入)してもよく、または、OEDを本発明の方法で使用するために具体的にあつらえて作製してもよいことを意味する。この方法は、OEDを封入することをさらに含む。これは、OEDの最上の層(すなわち、基材に最も遠い層)が有機材料を含む場合に特に望ましい。たとえば、上述のように、図1bおよび1c中の電気発光材料40は有機電気発光材料を含み得る。さらに、図1a、1b、および1d中の電極50は、本明細書中に記載のように有機導電材料または半導体材料を含み得る。さらに、図1e中の活性層60は有機半導体材料を含み得る。そのような有機材料は、空気および水などの環境因子への曝露からの分解を受けやすい。封入は、適切な装置の性能における重要度はより低いが、金属電極材料が最上のOED構成要素層を形成する事例においてでも有用な場合がある(たとえば図1aに示すものなど)。
【0066】
本明細書中で使用する用語「封入部分」、「封入」などとは、典型的にはOEDを水分および酸素などの環境因子から保護するために、OED上に堆積させられた不活性の構成要素をいう。一般に、そのような封入の構成要素には、障壁層、結合層、および保護層から選択される1つまたは複数の層が含まれる。
【0067】
好ましい実施形態では、OEDの封入は、障壁層および結合層を堆積させることによって提供し、障壁層は障壁材料から形成され、結合層は結合材料から形成される。本明細書中で使用する用語「封入対」とは、互いに接触した一対の層、すなわち1つの障壁層および1つの結合層をいう。一部の実施形態では、最下の封入層を最高のOED構成要素層(複数可)上に直接堆積させる。他の実施形態では、保護層が最下の封入層を最高のOED構成要素層(複数可)から隔てる。「最下」とは、基材に最も近い層を意味する。典型的には、最下の封入層は、OEDを提供した後に最初に堆積させられる層である。「最高」(および「最上」)とは、基材に最も遠い層(複数可)を意味する。最高のOED構成要素層は、たとえば、電極層、電気発光層、またはその組合せであり得る(たとえば、それぞれ図1a、1c、または1bに示す)。
【0068】
障壁材料とは、酸素、水、UV照射、オゾンなどの1つまたは複数の反応性環境構成要素に対する障壁を提供することができる非導電性材料である。適切な障壁材料の例には、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、チタン酸化物、タングステン酸化物、マグネシウム酸化物、ジルコニウム酸化物、またはカルシウム酸化物、ケイ素窒化物、タングステン窒化物、アルミニウム窒化物、ジルコニウム窒化物、クロム窒化物、チタン窒化物、タンタル窒化物、モリブデン窒化物、ガリウム窒化物、またはホウ素窒化物、ケイ素炭化物、チタン炭化物、バナジウム炭化物、ジルコニウム炭化物、鉄炭化物、またはホウ素炭化物、チタンホウ化物または鉄ホウ化物、ならびにタングステンケイ化物およびチタンケイ化物から選択されるセラミック材料が含まれる。たとえば、障壁材料は、Al、SiO、TiO、ZrO、TiN、Si、AlN、GaN、BN、TiB、TiB、TaB、SiC、およびTiSiなどであり得る。また、そのようなセラミックの変形体および誘導体も本開示の範囲内にあり、炭窒化チタン(TiCN)および窒化チタンアルミニウム(TiAlN)などの化合物が含まれる。
【0069】
一部の実施形態では、封入部分中の障壁層(複数可)は可能な限り薄いことが望ましい。しかし、多くの場合、そのようなセラミック材料の薄層(たとえば10nm〜1000nm)での堆積は、ピンホールおよび亀裂などの欠陥を含有する層をもたらす。そのような欠陥は、下部のOEDを環境因子から保護する障壁層の能力の低下をもたらし得るため、一般に望ましくない。本発明は、以下により詳述するように、障壁層の欠陥を「埋める」結合材料を用いることによってこの困難に打ち勝つ。
【0070】
一部の実施形態では、障壁材料と結合材料との間の最良の可能な接着をもたらすために、結合材料と共有結合を形成することができる官能基が障壁材料上に存在する。たとえば、ヒドロキシル基、カルボン酸基、およびそのような基の保護された形(たとえば、エーテル、エステル、アミドなど)が障壁材料上に存在し得る。一部の実施形態では、官能基は、障壁材料の堆積後官能基化を介して得られる。たとえば、障壁層は、酸化剤(たとえば、酸素、ペルオキシド、もしくはプラズマ酸化)を用いた反応、またはエネルギーの適用(たとえばUV照射)を介して酸化し得る。
【0071】
結合材料(本明細書中でプレ接着材料またはプレセラミック材料とも呼ぶ)とは、架橋結合したポリマーネットワークを形成することができる非導電性材料である。一部の実施形態では、結合材料は、有機または完全に無機であり得るケイ素含有材料である。
【0072】
好ましい実施形態では、結合材料には、障壁層の官能基と共有結合を形成することができる優遇の(complimentary)反応基がさらに含まれる。そのような反応基はOED上への堆積の前に結合材料中に存在していてもよく、または、結合材料に対して実施する堆積後の修飾反応によって作製してもよい。
【0073】
一例として、結合材料は、1993年9月21日に発行のBlumの米国特許第5,246,738号(「セラミック生成物の前駆体としてのヒドリドシロキサン(Hydridosiloxanes as Precursors to Ceramic Products)」)、および12/8/08に出願の同時係属中の米国特許出願第12/330,319号に記載されているプレセラミック材料の構造を有していてもよく、それらに開示されている方法によって合成され得る。そのような材料および方法に関するこれらの文書の開示は、本明細書中に参考として組み込まれている。
【0074】
たとえば、結合材料は、式(II)の構造:
【0075】
【化3】

[式中、RおよびRは、H、OH、C〜C30ヒドロカルビル、有機金属、ハロカルビル、および有機シリルから独立して選択され、そのそれぞれが任意選択で置換されていてもよく、任意選択でヘテロ原子を含有していてもよく、Xは、−O−および−NR−から選択され、Rはヒドロカルビルである]を有する反復単位を含み得る。たとえば、それぞれのRおよびRは、H、OH、またはヒドロカルビルであり得る。好ましい実施形態では、RおよびRは、H、OH、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20アルコキシ、C〜C20アリール、C〜C20アリールオキシ、C〜C20アラルキル、およびC〜C20アルカリールから選択される。さらなる好ましい実施形態では、RおよびRは、置換または非置換のC〜C20アルキル、置換または非置換のヘテロ原子含有C〜C20アルキル、置換または非置換のC〜C20アルケニル、置換または非置換のヘテロ原子含有C〜C20アルケニル、置換または非置換のC〜C20アルキニル、置換または非置換のヘテロ原子含有C〜C20アルキニル、置換または非置換のC〜C20アリール、置換または非置換のC〜C20ヘテロアリール、置換または非置換のC〜C20アラルキル、置換または非置換のヘテロ原子含有C〜C20アラルキル、置換または非置換のC〜C20アルカリール、および置換または非置換のヘテロ原子含有C〜C20アルカリールから選択される。一部の実施形態では、RはOHであり、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、およびアルカリールから選択され、そのうちの任意のものがヘテロ原子を含有してもよく、そのうちの任意のものが、非置換であるかまたはハロ、ヒドロキシル、アルキル、およびアリールから選択される1つもしくは複数の基で置換されていてもよい。一部の実施形態では、Rはメチルまたはエチルなどの低級アルキルであり、RはH、OH、またはC〜C20アルコキシである。一部の好ましい実施形態では、結合材料がシロキサンまたはポリシロキサン材料であるように、Xは−O−である。
【0076】
さらに、式(I)では、nは1以上の整数である。したがって、単量体、二量体、三量体、またはオリゴマーおよびポリマーなどの高次の材料が適切である。結合材料は、それぞれが式(I)の構造を有するが様々なnの値を有する反復単位を含む、様々な化合物の混合物を含み得ることを理解されたい。
【0077】
たとえば、結合材料は、式[RSi(OH)O]、[RSi(OR2a)O]、および/または[RSi(H)O]{式中、Rは上記定義したとおりであり、R2aは、ヒドロカルビルおよび有機シリルから選択される}を有する反復単位を含み得る。
【0078】
硬化の後、結合材料は、構造−[Si(R)(X)1.5]−{式中、Rは、H、ヒドロキシル、フルオロカルビル、およびヒドロカルビルから選択され、Xは、−O−および−NR−から選択され、Rは、アルキルおよびアリールから選択される}を有する架橋結合した単位を含み得る。たとえば、Xは−O−であり、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、およびアルカリールから選択され、そのうちの任意のものがヘテロ原子を含有してもよく、そのうちの任意のものが、非置換であるかまたはハロ、ヒドロキシル、アルキル、およびアリールから選択される1つもしくは複数の基で置換されていてもよい。硬化した結合材料のさらなる詳細は、本明細書中で以下に提供する。
【0079】
結合材料は、たとえば、米国第12/330,319号に記載されているデヒドロカップリング反応および/またはヒドロシリル化反応を用いて作製し得る。たとえば、結合材料は、Ru(CO)12、HPtClなどの遷移金属触媒の存在下におけるポリヒドリドメチルシロキサン(PHMS)と水および/またはアルコールとの反応によって作製し得る。結合材料は、これを作製した後に、当分野で典型的であるように、たとえば、シリカゲルまたは木炭のカラムを用いて遷移金属触媒を含まないように精製することができる。
【0080】
障壁材料および結合材料の堆積は、任意の適切な方法によって達成することができる。たとえば、障壁材料および結合材料は、化学的蒸着(CVD)、物理的蒸着(PVD)、分子線エピタキシー(MBE)、原子層堆積(ALD)、またはスパッタリングなどを使用して、真空堆積させられ得る。他の方法には、ゾル−ゲル処理、浸漬コーティング、スピンコーティング、スプレーコーティングなどの化学的溶液堆積方法が含まれる。選択された材料、および選択された堆積方法に応じて、障壁層および/または結合層は、堆積の後またはその間に、障壁材料および/または結合材料へと(自発的にまたは適切な条件および/もしくは試薬に曝された際に)変換される前駆材料から形成し得ることを理解されたい。
【0081】
たとえば、Alは、アルミナ粒子のスパッタリングを用いて、または物理的蒸着によって(必ずしもではないが)好都合に堆積させられ、SiOは、CVDを用いて(必ずしもではないが)好都合に堆積させられる。当分野で知られている前駆化合物のうちの任意のものを、本明細書中に記載の障壁材料の作製に使用し得る。
【0082】
好ましい実施形態では、結合材料を架橋結合可能な材料として堆積させる。結合材料の硬化により架橋結合した層が作られる。硬化は、結合材料の架橋結合に有効な任意の方法を用いて実施することができる。たとえば、熱および/またはUV照射を所定時間の期間適用することが、高温および/または照射への曝露で架橋結合する結合材料を硬化させる有効な方法である。あるいは、またはそれに加えて、有機アミンまたは別の有機塩基などの架橋結合触媒を用いて結合材料を架橋結合させ得る。一部の事例では、反応が自発的に起こるために硬化反応を誘導する(たとえば熱の適用)必要がないことを理解されたい。好ましい実施形態では、硬化反応から生じる任意の副産物は、溶媒洗浄によって好都合に除去される低分子(たとえば、水、メタノールなど)である。
【0083】
複数の結合層を1つのOED上に堆積させる場合(以下の複数の封入対の記述を参照)、それぞれの堆積の後に結合材料の硬化を実施し得る。あるいは、すべての堆積が完了した後に、すべての結合層を一度に硬化させ得る。あるいは、これらの選択肢の一部の組合せ(すなわち、複数回の硬化であるが、結合材料の堆積の数よりも少ない回数)も適切である。
【0084】
結合材料がポリシロキサンおよび/またはポリシランである場合、結合材料の硬化により、典型的には、式(V)の構造:
(V) [RSiO1.5
[式中、Rは既に定義したとおりである]を有する反復単位を含む架橋結合した材料が形成される。結合材料が式(IV)の構造を有する反復単位を含んでいた場合は、架橋結合した材料もそのような単位を有することを理解されたい。
【0085】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの封入対を堆積させて封入部分を形成する。一部の実施形態では、封入部分は複数の封入対を含み得る。たとえば、封入部分は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10層の障壁層と交互する2、3、4、5、6、7、8、9、または10層の結合層に対応する、2、3、4、5、6、7、8、9、または10対の封入対を含み得る。好ましい実施形態では、障壁層および結合層が交互になるように、それぞれの障壁層の堆積に障壁層の堆積が続く。この方法によって、それぞれの障壁層は少なくとも1つの結合層と接触している。
【0086】
たとえば、1〜10層のさらなる障壁層および結合層が形成されるように、第1の封入対を形成した後に、封入対を形成するために必要なステップをさらに1〜10回繰り返し得る。
【0087】
複数の封入対を堆積させる場合、本発明の方法は、さらなる障壁層のすべての続く堆積を行う前に、結合層上に官能基を提供するために官能基化反応を実施することをさらに含み得る。結合材料がアルキル基を含むシロキサンまたはポリシロキサン材料である場合、たとえば、そのような官能基化反応は、アルキル基を酸化してヒドロキシル基を提供することを含み得る。それにより作製されるヒドロキシル基は、上に載せる障壁層との結合に適切であり得る。したがって、一部の好ましい実施形態では、封入部分のそれぞれの結合層および障壁層(最上のOED層または保護層が存在する場合は保護層のどちらかと接触する、最も下の層は除外する)は、すぐ上の層および/またはすぐ下の層と結合している。
【0088】
理論に束縛されることを望まずに、結合層を架橋結合前に堆積させるため、流動性のある結合材料は下部の障壁層の表面に沿い、ピンホールおよび亀裂などの凹凸または欠陥をすべて埋めると仮説が立てられている。したがって、封入対の表面は比較的滑らかであり、欠陥を有さない。この、結合層によって障壁層中の欠陥を「埋めること」により、本発明の封入部分の障壁特性が向上する。複数の封入対の使用により、封入部分の障壁特性がさらに向上する。したがって、一部の実施形態では、少なくとも2つの封入対を本明細書中に記載のOEDと共に使用し、一部の実施形態では、少なくとも3つの封入対を使用する。
【0089】
障壁層および結合層の厚さは、封入部分の障壁特性を最適化するために独立して選択し得る。障壁層中の欠陥は、上に載せる結合層を堆積させた際に「埋められる」ため、超薄障壁層が本明細書中に記載の装置に適している。たとえば、それぞれの障壁層の厚さは、約10nm〜約1000nm、または約100nm〜500nmの範囲内である。それぞれの障壁層は、たとえば、1000nm未満、または500nm未満、または250nm未満であり得る。また、たとえば、それぞれの結合層の厚さは、約1nm〜約500nm、または約10nm〜約250nmの範囲内である。それぞれの結合層は、たとえば、500nm未満、または300nm未満、または100nm未満、または50nm未満、または10nm未満であり得る。全体的な封入パッケージの厚さはそれぞれの封入対の数および厚さに依存して変動するが、典型的には約50nm〜約5000nmの範囲内である。
【0090】
封入層としての使用に代わって、またはそれに加えて、本明細書中に記載の障壁層および結合層は、誘電体層としてさらに用い得る。誘電体層として用いる場合、結合層および障壁層は、一緒になって、装置の電極間、または一方の電極と接地との間の電気的に非導電性の障壁を形成する。既に記載したように、障壁層および結合層の複数の交互する対を誘電体層として使用し得る。それぞれの障壁層の厚さは、好ましくは約100nm未満であるか、または約5nm〜約100nmの範囲内である。それぞれの障壁層は、たとえば、80nm未満、または50nm未満、または25nm未満であり得る。それぞれの結合層の厚さは、好ましくは約100nm未満であるか、または約1nm〜約100nmの範囲内である。それぞれの結合層は、たとえば、100nm未満、または50nm未満、または25nm未満であり得る。全体的に、誘電体層の厚さは、好ましくは約2000nm未満であるか、または約6nm〜約2000nmの範囲内である。たとえば、誘電体層の全体的な厚さは、2000nm未満、または1500nm未満、または1000nm未満、または500nm未満、または100nm未満、または50nm未満、または25nm未満であり得る。やはり既に記載したように、それぞれの結合層を個別に硬化させてもよく、または、すべての結合層を1つの単一の硬化ステップで硬化させてもよい。OED内の誘電体層の位置は装置の構造に依存することを理解されたい。したがって、一部の実施形態では、誘電体層は下部電極上に直接配置されている。
【0091】
一部の実施形態では、障壁材料を電子装置上に直接堆積させる(すなわち、OEDの最上の層である)。しかし、一部の実施形態では、最上のOED層は、下の封入層の堆積プロセスによって分解または損傷を受けやすい場合がある。たとえば、最上のOED層は、封入部分を堆積させる際に、スパッタ(またはCVD)プロセスに直接曝されるか、あるいは溶液処理用の化学物質(シロキサンもしくはポリシロキサン、および/または溶媒など)に曝される。最上のOED層が、発光ポリマー(LEP)または他の電気発光材料などの分解に感受性のある材料である場合は、シロキサン分子のOH基などの反応性種、またはスパッタもしくはCVDプロセスによって生じた気相反応性イオンおよびUV照射と直接接触することが原因で、装置の寿命および効率が低下し得る。この効果は、たとえば、より厚いLEP層を使用することによって軽減させることができる。厚いLEP層を使用することが望ましくない場合は、本発明の装置に、保護材料から形成され、最上のOED構成要素層と封入部分との間に配置された保護層を含め得る。好ましい実施形態では、保護層は、OED構成要素層を封入層の堆積中のUV照射および/または反応性化学種から遮蔽する。したがって、本発明の方法には、最下の障壁層を堆積させる前に保護材料を電子装置上に堆積させることによって、電子装置と最下の障壁層との間に保護層を形成することが含まれ得る。保護材料は、電子装置と封入層の第1の対との間に堆積させられる。
【0092】
保護材料は、OED構成要素層に損傷を与える厳しいまたは反応性の条件を使用せずに堆積させられ得る材料である。一実施形態では、保護材料は、単量体分子を最外のOED構成要素層上に堆積させる際にオリゴマー(たとえば、二量体、三量体など)またはポリマーを形成する材料である。一部の好ましい実施形態では、保護材料はUV照射に対して少なくとも部分的に透過性である。
【0093】
保護材料は、OEDの最上の層を顕著に損傷させずに保護層をもたらす任意の方法によって堆積させられ得る。そのような損傷は、装置の性能または寿命の対応する減少によって決定することができる。保護材料の堆積の好ましい方法には、真空下での物理的蒸着(すなわち熱蒸発)が含まれる。
【0094】
たとえば、パリレンは適切な保護材料である。パリレン薄膜はパリレン二量体からの熱蒸発によって作製される。約650℃まで加熱した場合、結晶性の二量体分子が単量体へと切断され、気体状態へと昇華する。単量体分子を室温で基材および/または最外のOED層上に堆積させた場合、これらは高度に結晶性の直鎖状ポリマーを形成する。異なる特性を有するパリレン−C、パリレン−D、およびパリレン−Nなどのいくつかのパリレン誘導体が開発されており、保護材料として適している。
【0095】
パリレンはフェニル基を含有するため、これは有効なUV照射障壁として役割を果たすことができる。スパッタリングまたはCVDプロセスで生じた反応性イオン種は、最初はパリレンポリマーへのある程度の化学的分解をもたらし得るが、新しい障壁層(Al層など)が形成されるにつれてパリレン層のさらなる分解は防止される。したがって、パリレン層の厚さがスパッタまたはCVDプロセスによる最初の攻撃に耐えるために十分である場合は、これはLEP材料の有効な保護層として役割を果たすことができる。さらに、パリレンは比較的安価であり、可視光に対して透過性である。
【0096】
ポリイミドは、保護材料および保護層の形成に適した別の材料である。ポリイミドは、通常、ジアミンと有機酸または有機酸無水物との間のイミド化反応から誘導される。反応によりポリマー前駆体(時々「ポリ(アミド酸)(poly(amic acid))」と呼ばれる)が形成され、これは続いてポリイミドへと変換される。ポリイミドへの変換は、熱を適用しない場合でさえも起こり得る。ポリイミドは、たとえば、ポリイミド溶液をOED上にスピンコーティングすることによって付与することができる。しかし、好ましい実施形態では、蒸気相重合または蒸気相堆積を用いて保護ポリイミド層を堆積させる。一部の実施形態では、ポリイミド保護層の作製には、ポリイミド層の硬化を可能にするために十分な温度および時間の、堆積後の焼成ステップが含まれる。
【0097】
保護層の厚さは、OED構成要素層を封入層の堆積から保護するために十分であるべきである。一部の実施形態では、保護層は、約100nm〜約10μm、または約500nm〜約3μmの厚さを有する。装置の性能および寿命の定量は、保護層を含めた様々な層の適切な厚さを決定するため、および保護層が装置に必要/有益であるかどうかを決定するための1つの好都合な方法である。
【0098】
保護層は任意選択であり、本明細書中に記載の装置の多くは、許容され得る装置性能を達成するために保護層を必要としない場合があることを理解されたい。たとえば、最上のOED層が金属電極であるが、それでも封入部分が所望される場合は、装置は封入層を堆積させる前に保護層を必要としない場合がある。既に記載したように、保護層が必要または所望されるかどうかの決定は、たとえば、装置の性能および装置の寿命を定量することによって達成することができる。
【0099】
障壁層および結合層を誘電体層として使用する場合、一部の実施形態では、第1の障壁層を堆積させる前に保護層を堆積させることが必要であり得る。たとえば、有機材料を下部電極として使用する場合、保護層が、第1の障壁層を堆積させる際に電極層の完全性を維持することを助ける場合がある。ここでも、本発明によるOEDの一部の実施形態は保護層を必要としないことを理解されたい。
【0100】
本明細書中に記載のOEDは、パターン形成した電極および誘電体層などのパターン形成した構成要素層をさらに含み得る。また、封入部分および/または誘電体層として使用した場合に保護層、障壁層、および結合層をパターン形成することも、本発明の範囲内にある。たとえば、最上のOED層のパターン形成と一致するように保護層をパターン形成し得る。封入層のパターン形成は、標準の方法(たとえば、マスキング、エッチングなど)を用いて達成することができる。しかし、一部の実施形態では、封入部分はパターン形成しない。
【0101】
したがって、本明細書中では、基材と、基材上に配置された第1の電極層と、存在する場合は、第1の電極層と共有結合しており、ケイ素含有の、接着性の架橋結合可能な部分および電子受容部分を含む、任意選択の中間層と、第1の電極層または存在する場合は中間層上に配置されている、誘電体層と、誘電体層上に配置された第2の電極層と、第2の電極層上に配置された電気発光層と、電気発光層上に配置された任意選択の保護層と、1つまたは複数の障壁材料および架橋結合した材料の対の層を含む封入層とを含む、電気発光装置(ELD)を記載する。
【0102】
さらに、本明細書中では、(a)層状の電気装置上に少なくとも1つのセラミック障壁材料の層およびケイ素含有材料を含む少なくとも1つの架橋結合可能な材料の層を堆積させるステップと、(b)架橋結合可能な材料を硬化させるステップとを含む、層状の電気装置を保護する方法を記載する。
【0103】
本明細書中に開示した方法および装置は、以前に知られているものを超える1つまたは複数の利点を有する。そのような利点には、たとえば、増加した耐久性およびより長い装置の寿命が含まれる。ガラスを用いた封入方法とは異なり、本明細書中に開示した封入方法は柔軟な封入部分の作製を可能にし、それにより、柔軟であるが耐久性のあるOEDの作製が可能となる。本明細書中に開示した方法は、様々な材料を用いた高品質な封入部分の作製をさらに可能にする。一部の実施形態では、本発明の封入方法では、シロキサン結合材料と反応してそれと結合するように官能基化されたセラミック障壁層を使用する。障壁層上の官能基(たとえばヒドロキシル基)とシロキサン結合材料上のそれとの間の反応は、安定かつ有効な封入部分の提供においてエネルギー的に有利、迅速かつ効率的である。
【0104】
本明細書中で言及したすべての特許、特許出願、および出版物は、本明細書中にその全体で参考として組み込まれている。しかし、明白な定義を含有する特許、特許出願、または出版物が参考として組み込まれている場合は、これらの明白な定義は、それらが見つかる、組み込まれている特許、特許出願、または出版物に適用され、本出願の残りの本文、特に本出願の特許請求の範囲には適用されないことを理解されたい。
【0105】
本発明を、その好ましい具体的な実施形態と併せて説明したが、前述の説明および以下の実施例は本発明の範囲を例示することを意図し、限定しないことを理解されたい。本発明の範囲から逸脱せずに様々な変更を行ってもよく、均等物で置き換えられてもよく、さらに、他の態様、利点および改変は本発明が関連する分野の技術者に明らかであることが、当業者には理解されよう。
【実施例】
【0106】
一般的プロセス。導電性金属層などの基材上に、10nmのAlなどの酸化物障壁材料をスパッタ堆積させる。その後、基材を、プレセラミックポリマー(たとえばPHMS−OH)を含有する溶液中に浸し、約1分間超音波処理する。その後、基材をプレセラミックポリマー溶液から取り出し、エタノールまたはイソプロパノールなどの溶媒ですすいで、基材の表面と共有的に反応しなかった過剰のプレセラミックポリマーを除去する。その後、基材を続いて乾燥させ、120℃で約30分間硬化させる。追加の誘電体層(たとえばSi)を化学的蒸着(CVD)によって続いて堆積させる。
【0107】
(実施例1)
上述の一般手順を用いて作製した誘電体層の品質を、電気的破壊電位≧20Vを有する装置の歩留りによって評価した。
【0108】
以下の表は、従来のプロセス(「対照プロセス」)および本明細書中に記載のプロセス(「試験プロセス」)の誘電体層の歩留りおよび全厚を記載する。本明細書中に記載のプロセスを用いて生成した装置は有意により良好な品質を有する、すなわち、より薄い誘電体層全厚(117.9nm)であり、より高い歩留り(91.3%)を達成した。
【0109】
【表1】

上記プロセスでは、PVD(物理的蒸着)またはCVD堆積した金属酸化物(Al、HfOなど)、金属窒化物、SiO、およびSiの任意の組合せを使用して、高い電気強度を有する超薄誘電体層を作製することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)セラミック材料である障壁材料を基材上に直接的または間接的に堆積させることによって障壁層を形成するステップと、
(ii)該障壁層を酸化させて露出した官能基をもたらすステップと、
(iii)ケイ素含有材料であり該障壁層の該官能基と反応することができる官能基を含む結合材料の層を、該障壁層上に堆積させることによって結合層を形成するステップと、
(iv)任意選択で該結合層を酸化させて露出した官能基をもたらすステップと、
(v)任意選択で(i)、(ii)、(iii)、および(iv)を繰り返すことによって、さらなる障壁層および結合層の1つまたは複数の対を形成するステップと
を含む、電子装置中の誘電体層を形成する方法。
【請求項2】
前記障壁材料が、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、チタン酸化物、タングステン酸化物、マグネシウム酸化物、ジルコニウム酸化物、またはカルシウム酸化物、ケイ素窒化物、タングステン窒化物、アルミニウム窒化物、ジルコニウム窒化物、クロム窒化物、チタン窒化物、タンタル窒化物、モリブデン窒化物、ガリウム窒化物、またはホウ素窒化物、ケイ素炭化物、チタン炭化物、バナジウム炭化物、ジルコニウム炭化物、鉄炭化物、またはホウ素炭化物、チタンホウ化物または鉄ホウ化物、ならびにタングステンケイ化物およびチタンケイ化物から選択されるセラミック材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ケイ素含有材料が、式(I)の構造:
【化4】

[式中、
およびRは、H、OH、C〜C30ヒドロカルビル、有機金属、ハロカルビル、および有機シリルから独立して選択され、そのそれぞれが任意選択で置換されていてもよく、任意選択でヘテロ原子を含有していてもよく、
Xは、−O−および−NR−から選択され、
は、ヒドロカルビルであり、
nは、1以上の整数である]
を有する単量体単位を含むシロキサンまたはポリシロキサンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1〜10層のさらなる障壁層および結合層が形成されるように(i)、(ii)、(iii)、および(iv)をさらに1〜10回繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
硬化を高温で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
硬化をそれぞれの結合層の形成の後に実施する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
硬化をすべての結合層が形成された後に実施する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記電子装置が、OLED、有機薄膜トランジスタ、および有機光起電力装置から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
それぞれの結合層が約1nm〜約100nmの範囲の厚さを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
それぞれの障壁層が約5nm〜約100nmの範囲の厚さを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記誘電体層が6nm〜2000nmの全厚を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記障壁層を下部電極上に堆積させる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記下部電極が基材上に配置された導電性材料の層であるか、または前記下部電極が導電性基材である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
基材上に配置された複数の構成要素層と、
セラミック材料である障壁材料およびケイ素含有ポリマーである架橋結合した材料の少なくとも第1の対の層を含む誘電体層と
を含む、電子装置。
【請求項15】
前記誘電体層が、追加の1〜10対の、前記障壁材料および前記架橋結合した材料の交互する層をさらに含む、請求項14に記載の電子装置。
【請求項16】
前記障壁材料が、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、チタン酸化物、タングステン酸化物、マグネシウム酸化物、ジルコニウム酸化物、またはカルシウム酸化物、ケイ素窒化物、タングステン窒化物、アルミニウム窒化物、ジルコニウム窒化物、クロム窒化物、チタン窒化物、タンタル窒化物、モリブデン窒化物、ガリウム窒化物、またはホウ素窒化物、ケイ素炭化物、チタン炭化物、バナジウム炭化物、ジルコニウム炭化物、鉄炭化物、またはホウ素炭化物、チタンホウ化物または鉄ホウ化物、ならびにタングステンケイ化物およびチタンケイ化物から選択されるセラミック材料である、請求項14に記載の電子装置。
【請求項17】
前記ケイ素含有ポリマーが、構造−[Si(R)(X)1.5]−
[式中、Rは、H、ヒドロキシル、フルオロカルビル、およびヒドロカルビルから選択され、
Xは、−O−および−NR−から選択され、
は、アルキルおよびアリールから選択される]
を有する架橋結合した単位を含む、請求項14に記載の電子装置。
【請求項18】
Xが−O−であり、Rが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、およびアルカリールから選択され、そのうちの任意のものがヘテロ原子を含有してもよく、そのうちの任意のものが、非置換であるかまたはハロ、ヒドロキシル、アルキル、およびアリールから選択される1つもしくは複数の基で置換されていてもよい、請求項17に記載の電子装置。
【請求項19】
下部電極を含み、前記第1の対の層の前記障壁材料が該下部電極と直接接触している、請求項14に記載の電子装置。
【請求項20】
OLED、有機薄膜トランジスタ、および有機光起電力装置から選択される、請求項14に記載の電子装置。
【請求項21】
前記第1の対の層の前記障壁材料が共有結合によって前記第1の対の層の前記結合材料と結合している、請求項14に記載の電子装置。
【請求項22】
それぞれの障壁層の障壁材料が任意の隣接する障壁層の結合材料と共有結合している、請求項15に記載の電子装置。
【請求項23】
前記誘電体層が6nm〜2000nmの全厚を有する、請求項14に記載の電子装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図1f】
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【図1g】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−519937(P2012−519937A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552915(P2011−552915)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/001397
【国際公開番号】WO2010/101543
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(501228071)エスアールアイ インターナショナル (66)
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
【Fターム(参考)】