有機EL表示装置
【課題】本発明の目的は、検出精度が高い有機EL表示装置を提供することができる発光効率と受光効率を向上させた有機EL表示装置を提供することである。
【解決手段】有機薄膜素子を備えた有機EL表示装置において、前記有機薄膜素子には駆動TFTを介して電源線が接続され、前記駆動TFTのゲートには、階調信号に応じた電位が供給されるように信号線が接続され、前記信号線と前記有機薄膜素子との間を接続するスイッチを備え、信号線に階調信号が印加されない期間に、前記信号線と前記有機薄膜素子とを、有機薄膜素子で光電変換した電流を流すように前記スイッチを制御する。
【解決手段】有機薄膜素子を備えた有機EL表示装置において、前記有機薄膜素子には駆動TFTを介して電源線が接続され、前記駆動TFTのゲートには、階調信号に応じた電位が供給されるように信号線が接続され、前記信号線と前記有機薄膜素子との間を接続するスイッチを備え、信号線に階調信号が印加されない期間に、前記信号線と前記有機薄膜素子とを、有機薄膜素子で光電変換した電流を流すように前記スイッチを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子を備えた有機EL表示装置に係り、特に、受光素子を有機薄膜素子で構成している有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
受光素子を有機薄膜素子で構成している有機EL表示装置に関する従来技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1では、平面方向上下に並んでいる第1有機薄膜素子間に、第1有機薄膜素子と同じ積層構造の第2有機薄膜素子が配置され、第1有機薄膜素子と第2有機薄膜素子が異なる信号線に接続されている構造が開示されている。
【0004】
第1有機薄膜素子と第2有機薄膜素子の双方を発光素子として用いるか、第1有機薄膜素子と第2有機薄膜素子の一方を受光素子、他方を発光素子として用いるか、第1有機薄膜素子と第2有機薄膜素子の双方を受光素子として用いるかの3つのモードで制御可能な構成となっている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−75115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、画素回路として、いわゆる駆動TFTを電源線と有機薄膜素子の間に配置し、有機薄膜素子の光電変換によって発生する起電力を電源線を用いて表示領域外まで出力し、表示領域外でその大きさを検出している。このように、電源線を起電力の検出経路に用いると、負荷容量が大きいので、検出精度が低い。
【0007】
特許文献1には、検出信号線と電源線を兼ねた構造も開示されているが、発光制御が難しくなる。また、電源線を複数のラインで共通化することで、電源線の電圧降下を抑制するなどの設計が実質上不可能になる。全ラインで共通にした場合には、全ライン分、つまり1ライン分の寄生容量の数百倍の寄生容量が発生することになるからである。
【0008】
本願に含まれるある発明の目的は、外光検出精度を高めた有機EL表示装置を提供する点にある。また、特許文献1では、第1有機薄膜素子と第2有機薄膜素子は同じ層構造をしている。第1有機薄膜素子を発光素子として用い、第2有機薄膜素子を受光素子として用いる場合、それぞれ好ましい材料や層厚は全く異なる。
【0009】
従って、同じ層構造をしている特許文献1の場合、表示の特性と受光の特性のいずれかを犠牲にしている可能性がある。例えば、受光特性を向上させた結果、発光特性が犠牲になった場合、有機EL表示装置として寿命が低下することになる。本願に含まれる他の発明の目的は、表示特性と受光特性の両立を図った有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記最初の目的を達成可能な手段として、次の態様がある。
(第1手段)
電源線と有機薄膜素子との間に流れる電流量を、信号線の階調信号で制御する第1スイッチを備えた有機EL表示装置において、信号線に階調信号が供給されない期間に、信号線と有機薄膜素子とを接続するように制御される第2スイッチを配置する構造。
(第2手段)
電源線と有機薄膜素子との間に流れる電流量を、信号線の階調信号で制御するスイッチを備えた有機EL表示装置において、信号線には、第1期間に駆動回路からの階調信号が信号線に供給され、第1期間とは異なる第2期間に有機薄膜素子で発生する外光に応じた電圧が供給される構造。
【0011】
上記他の目的を達成可能な手段として、次の態様がある。
(第3手段)
発光素子を構成する有機層の層構造と受光素子を構成する有機層の層構造を異ならせたもの。
(第4手段)
発光素子と受光素子は有機層を備え、受光素子の有機層に自然光では発光しない材料を用いたもの。
【0012】
第3手段又は第4手段のいずれを採用しても、発光効率も受光効率も高い有機EL表示装置を提供することができるようになる。
【0013】
また、単に層構造を異ならせるのではなく、発光素子を構成する有機層の一部を用いれば、発光素子の製造プロセスの一部で同時に成膜できるので、効率的な生産が可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検出精度が高い有機EL表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
まず、本発明で用いる光検出メカニズムを説明する。ここでは、いわゆる、ボトムエミッション型、トップカソード型のアクティブ有機EL表示装置の有機薄膜素子を前提に説明するが、これに限らない。
【0016】
本実施例で前提となる構造は、基板上に、アクティブ素子に接続されたITOの画素電極(陽極204)を備えている。そして、陽極204上にホール注入層201、発光層202、電子輸送層203、アルミニウム対向電極(陰極205)が順次積層された構造である。
【0017】
図1に、暗所における有機薄膜素子のエネルギー準位の模式図を示す。この有機薄膜素子の陽極204と陰極205の間に電圧を印加すると、陽極204よりホール206、陰極205より電子207が注入される。ホール206は各層の最高占有軌道208を通じて発光層202へ輸送され、電子207は各層の最低空軌道209を通じて発光層202へ輸送される。この輸送過程において、ホール注入層201、電子輸送層203にトラップ準位210が存在すると、ホール206および電子207が捕獲され、素子全体に流れる電流量が低下する。トラップ準位210は一般に材料分解物などの不純物に起因して発生するものであるが、トラップ性の分子を有機層に意図的に混入させることでも同様の現象が観察される。
【0018】
図2は、有機薄膜素子に、外光(基板の外側、つまり、有機EL表示装置の外側から照射される光)を照射した場合のホール206、電子207の挙動を示している。有機薄膜素子に外光を照射すると、トラップ準位210に捕獲されていたホール206、電子207は、それぞれホール注入層201の最高占有軌道208、電子輸送層203の最低空軌道209へと遷移する。これは、ホール注入層201の最高占有軌道208とトラップ準位210とのエネルギー差、また電子輸送層203の最低空軌道209とトラップ準位210とのエネルギー差よりも大きいエネルギーを、外光照射によって得たためである。
【0019】
図3に、有機薄膜素子における電流/電圧特性の検出結果を示す。「NO LIGHT」として表示した検出結果は、暗所における検出結果(電流/電圧特性)である。「LIGHT」として表示した検出結果は、外光を照射した場合の検出結果(電流/電圧特性)である。この図からわかるように、外光が照射された場合、多くの電流量が検出される。つまり、有機EL表示装置の有機薄膜素子には、外光による光電変換機能があることがわかる。
【0020】
図1から図3では、陽極204上にホール注入層201、発光層202、電子輸送層203、陰極205が積層された場合を例として説明を行った。しかし、実験の結果、陽極204と陰極205の間にトラップ準位210を有する層が少なくとも1層積層された有機薄膜素子であれば、同様の効果が現れることがわかった。以下、この実験結果から特許文献1よりも、検出精度が高い有機EL表示装置の実施形態について説明する。
【0021】
実施例1を説明する前に、さらに前提となるアクティブマトリクス型の有機EL表示装置で適用した表示パネルの基本構成を説明する。図22に、表示パネルの基本構成図を示す。ガラス基板SUB上に、信号線駆動回路HDRVと走査線駆動回路VDRVと有効表示領域ARと外部接続端子PADがある。
【0022】
信号線駆動回路HDRVは、一般にドライバICと称される半導体ICチップであり、有効表示領域ARとガラス基板SUB1の一辺にある外部接続端子PADとの間にCOG(Chip on Glass)実装されている。走査線駆動回路VDRVは、低温ポリシリコン及び金属配線で構成された回路で、信号線駆動回路HDRVを配置したガラス基板SUB1の一辺を挟む二辺に配置されている。表示画素PXLは有効表示領域ARにある。また、基準画素は図示しないが、有効表示領域AR外の遮光領域にある。
【0023】
図21に、表示画素PXLの等価回路を示す。画素PXLは、発光素子兼受光素子となる表示素子11と、階調信号又は検出電圧が供給される信号線DATA、制御信号が供給される走査線SCAN、電流が供給される電源線POWER、制御信号が供給される検出制御線DET、信号線DATAと容量CAPの一方の端子に接続され、走査線SCANの制御信号で制御されるデータラッチスイッチTFT1、データラッチスイッチTFT1に一方の端子が電気的に接続され、他方の端子が電源線POWERに接続された容量CAP、容量CAPの当該一方の端子に接続され、その電位で制御される駆動スイッチTFT2、駆動スイッチTFT2を介して電源線POWERに電気的に接続された表示素子11と、表示素子11と信号線DATAの間に電気的に接続された画素検出スイッチTFT3とを備えている。データラッチスイッチTFT1、容量CAP、駆動スイッチTFT2、画素検出スイッチTFT3とで画素回路2が構成されている。データラッチスイッチTFT1、駆動スイッチTFT2、画素検出スイッチTFT3は、低温ポリシリコンの薄膜トランジスタで構成されている。
【0024】
この画素回路2は次のように駆動される。表示モードでは、データラッチスイッチTFT1は、走査線駆動回路VDRVから走査線SCANへ供給される制御信号によりオンとなり、信号線DATAから階調信号を取り込む。容量CAPは、取り込んだ階調信号に応じた電位差(階調信号と電源線POWERの電位との電位差)を保持する。駆動スイッチTFT2は、保持した電位差を含む電圧に応じた電流量を、電源線POWERから表示素子11に供給するように制御される。次に、検出モードでは、画素検出スイッチTFT3の制御端子へ接続された検出制御線DETへ制御信号が供給され、階調信号が信号線DATAに供給されないタイミングで、表示素子11において発生した電圧が信号線DATAに供給される。表示モードにおいては、電源線POWERには表示用電(圧)源7の電位が供給される。検出モードにおいては、データ線DATAに検出用電(流)源6を接続する。
【0025】
このように、表示モードでは、各画素で、信号線には、データラッチスイッチTFT1や容量CAPを介して、駆動スイッチTFT2を制御するために、階調信号が供給される。また、駆動スイッチTFT2の制御により、電源線POWERから表示素子11に階調信号に対応した電流量が供給される。
【0026】
また、検出モードでは、信号線DATAと電源線POWERとの間に設けた画素検出スイッチTFT3は、信号線DATAに階調信号が供給されない期間に、電源線POWERと表示素子11とを電気的に接続する配線と信号線DATAとが接続されるように制御される。従って、その画素検出スイッチTFT3を介して表示素子11から外光に応じた電圧が信号線DATAに出力されるようになる。また、検出回路5をドライバICに搭載しているので、信号線DATAと信号線駆動回路HDRVとは、信号線DATAとは異なる配線でドライバICに接続され、さらに、信号線DATAが接続された信号線駆動回路HDRVの端子とは異なる端子に接続される構成となっている。
【実施例1】
【0027】
図4に、実施例1の表示パネルにおける基本構成図を示す。実施例1の表示パネルは、画素回路2、表示制御部3−1、色選択回路3−2、検出スイッチ4、検出回路5、検出用電源6、表示用電源7、基準素子10、表示素子11、走査線駆動回路VDRVを備えている。
【0028】
表示制御部3−1と検出回路5と検出用電源6は、図22の信号線駆動回路HDRVに備えられている。信号線駆動回路HDRVの第1端子は検出スイッチ4に直接接続され、第1端子と異なる第2端子は、検出回路5を介して検出スイッチ4に接続されている。
【0029】
画素回路2は、前述の通り、信号線DATA、走査線SCAN、電源線POWER、検出制御線DETに接続されている。信号線DATAは、信号線駆動回路HDRVの第1端子と接続され、さらに、ドライバIC内の表示制御部3−1に電気的に接続されている。
【0030】
表示制御部3−1は、外部から、アナログ電源、デジタル電源、クロック、映像信号が入力され、表示モードで信号線DATAを介して色選択回路3−2へ階調信号を出力する。また、検出モードでは、検出回路5から補正信号が入力された場合、検出後、階調信号を補正信号に基づいて補正する。また、検出用電源6と検出スイッチ4を制御して、検出用電源6と電源線POWERの接続を制御する。
【0031】
画素回路2、色選択回路3−2、走査線駆動回路VDRVと検出スイッチ4は、ガラス基板SUB1上に形成した薄膜トランジスタ、低温ポリシリコン配線、ゲート金属配線、ソースドレイン金属配線、層間絶縁膜によって構成されている。
【0032】
色選択回路3−2は、図22の有効表示領域ARと信号線駆動回路HDRVの間に配置されている。色選択回路3−2は、表示制御部3−1から供給された階調信号を、どの色の信号線DATAに供給するかを選択する。また、どの画素の信号線DATAの検出電圧を検出回路5へ供給するか選択する。
【0033】
検出スイッチ4は、表示制御部3−1と画素回路2との間の接続と、検出回路5と画素回路2との間の接続と、を切り替える。この切り替えは、表示制御部3−1によりなされる。検出回路5は、検出スイッチ4による画素回路2との間の接続によって供給された電圧の大きさを検出し、その検出結果から補正信号を生成し、表示制御部3に供給する。検出用電源6は、検出時に駆動電流を画素回路2へ供給する電源である。発光用電源7は、発光時に駆動電流を画素回路2へ供給する電源である。
【0034】
次に、図4の動作を示す。信号の経路は大きく三種類あり、表示経路DISPLAY、検出経路DETECT、補正経路REVISEである。これらの経路は時間的に順次変わる。なお、本明細書では、光検出結果を任意の様式により表示状態に反映させる行為を“補正”と呼称する。
【0035】
表示を行う第1期間Display Periodに、表示制御部3−1は階調信号を信号線DATAへ出力する。それと並行して、検出スイッチ4を制御して、階調信号が色選択回路3−2へ供給されるようにする。さらに、色選択回路3−2を制御して所望の信号線DATAへ階調信号を供給する。表示制御部3−1は、走査線駆動回路VDRVを制御して特定画素の走査線SCANに制御信号を送り、データラッチスイッチTFT1をオンして特定の画素の画素回路2へ階調信号を供給する。
【0036】
この際、検出スイッチ4は、検出回路5と検出用電源6との接続を切っている。画素回路2は、表示用電源7から電源線POWERを介して表示素子11へ流れる電流量が、供給された階調信号に応じた電流量となるように制御する。つまり、表示素子11を、階調信号が示す階調で発光させる経路が表示時の電流と階調信号の経路DISPLAYである。
【0037】
第1期間と異なる第2期間であるブランキング期間Blanking Periodには、検出経路DETECTと補正経路REVISEの2つの経路で検出電圧が流れる。まず、表示制御部3−1は階調信号を供給しない。そして、検出スイッチ4を制御して、検出回路5及び検出用電源6を信号線DATAに電気的に接続する。この際、検出用電源6から、駆動電流が画素回路2へ供給される。
【0038】
そして、外光では発光しない表示素子11である表示素子11で光電変換された電圧を、画素回路2の画素検出スイッチTFT3と信号線DATAを介して検出スイッチ4へ出力させる。検出制御線DETにパルスを入力することによって、画素回路2の画素検出スイッチTFT3がオンになり、検出スイッチ4へ供給された検出電圧は検出回路5へ入力される。この経路が、検出経路DETECTである。また、基準素子10を検出用電源に接続し、検出回路5へ検出電圧を供給する。
【0039】
検出回路5は、検出電圧を基に補正信号を生成して表示制御部3−1に供給する。表示制御部3−1は、入力された補正信号から階調信号を補正する。この経路が補正経路REVISEである。
このように、表示制御部3−1から画素回路2への階調信号の供給経路である表示経路(DISPLAY)と、画素回路2から検出回路4への検出電圧と検出回路4から表示制御部3−1までの補正信号の供給経路(DETECT,REVISE)とは、検出スイッチ4と画素回路2の間は信号線DATA上の経路で共通しているが、検出スイッチ4から表示制御部3−1までの経路は異なり、信号駆動回路HDRVへの入出力端子も異なるように構成される。また、本実施例では電源の個数は、表示用電(圧)源7と検出用電(流)源6の二個であるが、構成によっては増減したり、電源の種類に対しても電流源と電圧源のいずれも選択可能である。
【0040】
図5に、図4のさらに詳細なシステム構成図を示す。この有機EL表示装置は、受光素子として機能させる基準素子10と、発光素子兼受光素子として機能させる表示素子11を備えている。図20に、これらの有機薄膜素子の層構造を示す。基準素子10は図20の受光素子構造309を備えた有機薄膜素子であり、表示素子11は図20の発光素子構造308を備えた有機薄膜素子である。
【0041】
受光素子構造309は、陽極AD、ホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、電子輸送層ETL、電子注入層EIL及び陰極CDを順にガラス基板SUB1上に形成した構造である。発光素子構造308は、陽極AD、ホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、有機発光層EML,電子輸送層ETL、電子注入層EIL及び陰極CDを順にガラス基板SUB1上に形成した構造である。図2や図3のように、ホール輸送層HTLはなくてもよい。
【0042】
このように、受光素子としてのみ使用する有機薄膜素子と、受光素子としてだけでなく、発光素子としても用いる有機薄膜素子とが同じ基板上に形成される場合にあっては、同じ層構造を採用することがプロセス上好ましいが、必ずしも同じ層構造にする必要はない。したがって、全く異なる層のみで構成してもよい。
【0043】
しかし、製造プロセスを簡略するためには、受光素子としてだけでなく、発光素子としても用いる有機薄膜素子を構成する有機層のいずれかの層を用いることが好ましく、全く同じ材料層を採用したとしても、その膜厚を異なる膜厚とすることで発光素子と受光素子の両方の光電変換効率を向上させることができる。また、受光素子としてのみ有機薄膜素子を用いる場合は、外光では発光しない有機層とすることが好ましく、特に、発光層に相当する材料層をなくすか、発光素子とは材料を替えるか、若しくは膜厚を替えることが好ましい、
基準素子10は、検出時にのみ使用する受光素子である。表示素子11のように、フレーム毎に使用するわけではない。使用頻度を少なくし、画素劣化を抑えた状態で基準電圧を検出できるようにしている。また、基準素子10は外部光が入射しない領域に配置されている。
【0044】
表示素子11は、有効表示領域ARにマトリクス状に配置される。本実施例の検出回路5は、基準素子10と表示素子11の2種類の有機薄膜素子の検出電圧を比較し、その差から外光による影響を求める。その結果を補正信号として表示制御部3−1へ送り、階調信号の補正量を演算し、表示にフィードバックする。なお、この図では基準素子10を設けているが、検出構成によっては、表示素子11を基準素子10に割り当てることもでき、基準素子10を設けずに予め基準電圧を保持していてもよい。
【0045】
駆動電源は、検出用と表示用とで独立した形態を持つ。検出時には、検出用電流源12(図4の検出用電源6に相当)を用い、表示時には、表示用電圧源13(図4の表示用電源7に相当)を用いる。検出用電流源12は、電流源に限らず電圧源を使用しても構わない。検出用電流源12と基準素子10とはスイッチ14で接続が制御されている。このスイッチ14は表示制御部3−1の制御信号により、検出時にオンになるものである。画素回路2と表示制御部3−1はスイッチ15で接続が制御されている。このスイッチ15は表示制御部の制御信号により、表示時にオンになるものである。検出用電流源12と表示素子11とはスイッチ16で接続が制御されている。このスイッチ15は表示制御部の制御信号により、検出時にオンになるものである。
【0046】
スイッチ15とスイッチ16は図4の検出スイッチ4に相当し、同時にオンになることはなく、2者択一的に動作する。表示制御部3−1は、各スイッチや電源の制御及び検出と補正を行う。シフトレジスタ18はスイッチ16を制御するものであるが、表示制御部3−1に組み込まれている。但し、ガラス基板SUB1上に独立した制御部として配置してもよいが、シフトレジスタ18の制御は表示制御部3−1が行う。スイッチ15は、表示制御部3−1が出力する制御信号21で制御される。スイッチ16は、表示制御部3−1が出力する制御信号22で制御される。検出用電流源12とスイッチ14は、検出線20で接続されている。
【0047】
信号線DATAは、表示時に表示制御部3−1から階調信号が供給され、検出時に検出回路5へ検出電圧が印加される共用線である。保持部23は、スイッチ24で検出線20に接続されている。スイッチ14とスイッチ24がオンの時、保持部23は基準素子10に印加される電圧を保持し、この値を基準電圧とする。このスイッチ14とスイッチ24は表示制御部3−1から出力される制御信号で制御される。
【0048】
検出回路5は、保持部23の基準電圧と検出線20を介して供給された表示素子11の検出電圧とを比較し、その比較結果から補正信号を生成し、表示制御部3−1に出力する。保持部23の出力データは電圧であるので、比較はコンパレータ等を使用することができる。また、電圧差が微小の場合、検出回路5にアンプを設けて検出電圧を増幅し、検出精度を上げることもできる。表示用電圧源13と表示素子11とは画素回路2で接続されている。なお、この図では検出用電流源12と表示用電圧源13のように電源を別々に設けているが、検出構成によっては、電流源または電圧源のどちらかの電源にまとめても良い。信号線DATAと表示素子11とは、画素検出スイッチTFT3で接続される。画素検出スイッチTFT3は、走査線駆動回路DRVから検出制御線DETに供給される制御信号28で制御する。
【0049】
図6は、表示モードにおける表示素子と他のシステムとの信号経路を示したパネルシステム構成図である。画素PXLは、表示素子11、画素回路2で構成される。画素回路2の画素検出スイッチTFT3は検出制御線DETに供給される制御信号で制御される。この実施例ではR、G、Bを時分割で制御する構成になっている。各画素の信号線DATAは色選択回路3−2(R選択スイッチ30、G選択スイッチ31、B選択スイッチ32)に接続されている。
【0050】
R選択スイッチ30はR選択信号33で制御される。G選択スイッチ31はG選択信号34で制御される。B選択スイッチ32はB選択信号35で制御される。Rの各画素とR選択スイッチ30は信号線36で接続されている。Gの各画素とG選択スイッチ31は信号線37で接続されている。Bの各画素とB選択スイッチ32は信号線38で接続されている。色選択回路3−2の制御信号(R選択信号33、G選択信号34、B選択信号35)は、この実施例では表示制御部3−1で制御しているが、他の独立した回路で制御しても良い。
【0051】
次に、図6の動作を示す。表示モードにおいて、表示制御部3−1からの制御信号21と制御信号22によって、スイッチ15がオン、スイッチ16がオフになる。この状態で信号線DATAには、表示制御部3−1からの階調信号が供給される。そして、Rの表示時は、時分割制御されたR選択スイッチ30がオン、G選択スイッチ31がオフ、B選択スイッチ32がオフ、全ての画素検出スイッチTFT3がオフの状態となる。そのとき、表示制御部3−1からの階調信号を基に、画素回路2が表示用電圧源13から表示素子11に流れる電流量を制御する。その結果、表示画素は、Rの階調信号が示す輝度で発光する。
【0052】
同様にG画素の表示時は、時分割制御されたG選択スイッチ31がオン、R選択スイッチ30がオフ、B選択スイッチ32がオフ、全ての画素の画素検出スイッチTFT3がオフの状態となる。そのとき、表示制御部3−1からの階調信号を基に、画素回路2が表示用電圧源13から表示素子(発光素子兼受光素子)11に流れる電流量を制御する。
【0053】
その結果、G画素は、Gの階調信号が示す輝度で発光する。更にBの表示時は、時分割制御されたB選択スイッチ32がオン、R選択スイッチ30がオフ、G選択スイッチ31がオフ、全ての画素検出スイッチTFT3がオフの状態となる。そのとき、表示制御部3−1からの階調信号を基に、画素回路2が表示用電圧源13から表示素子11に流れる電流量を制御する。その結果、表示素子11は、Bの階調信号が示す輝度で発光する。このように、各スイッチを制御して順次表示素子11を発光させる。
【0054】
図7は、検出モードにおける表示素子と他のシステムとの信号経路を示したパネルシステム構成図である。検出モードには、表示制御部3−1からの制御信号21と制御信号22によって、スイッチ15がオフ、スイッチ16がオンになる。この状態で、検出対象画素の信号線DATAと検出線20とが接続される。検出対称画素は、検出制御線DETから供給される制御信号で選択する。
【0055】
さらに、検出モードでは、検出対象画素の表示素子11の状態を読み出す必要があるので、表示制御部3−1は、画素回路2へ表示用電圧源13からの電圧が供給されるのを遮断する。この状態で、画素検出スイッチTFT3をオンにし、表示素子11を信号線DATAに接続することで、検出用電流源12から電流を供給し、光電変換による電圧を検出する。
【0056】
具体的に、Rの画素の受光量を検出する場合には、R選択スイッチ30をオンにし、検出対象画素の表示素子(発光素子兼受光素子)11の画素検出スイッチTFT3をオンにする。検出線20には、検出用電流源12が接続されており、検出対象画素の表示素子11の光電変換特性から信号線36には一定の電圧が生じ、表示素子11の状態(電圧)が検出線20に現れる。この際、表示素子11が発光してしまうと、コントラストが低下してパネルの表示品位を低下させてしまうため、検出用電流源12からの電流値は発光素子が非発光となる値に設定しておく。
【0057】
同様に、Gの画素を検出するには、G選択スイッチ31をオンにし、検出対象画素の画素検出スイッチをオンにすることで、検出対象画素の表示素子11の状態が信号線37を介して検出線20に現れる。また、Bの画素を検出するには、B選択スイッチ32をオンにし、検出対象画素の画素検出スイッチをオンにする。そのことにより、検出対象画素の表示素子11の状態が検出線20に現れる。
【0058】
図8は基準素子10も含めたパネルシステム構成図である。このパネルシステム構成図で、検出動作を説明する。この構成は検出スイッチ4等を省略して記載している。ここでは電流源を一つにし、基準素子55(図4の基準素子10に相当)を設け、その基準素子55の検出電圧と表示素子50、51、52(図4の表示素子11に相当)の検出電圧とを比較する。基準線60は、基準電圧を保持する保持部23と接続する。
【0059】
検出線20には、共通の検出用電流源12が接続されており、更に、表示素子50、表示素子51、表示素子52、その他全ての表示素子が各画素検出スイッチTFT3でそれぞれ接続できるようになっており、基準素子55がスイッチ14で接続でき、保持部23がスイッチ24で接続できるようになっている。画素検出スイッチTFT3、スイッチ14、スイッチ24は表示制御部3−1からの制御信号で制御される。
【0060】
次に、図8のパネルシステム構成の動作を示す。表示制御部3−1は、スイッチ14とスイッチ24をオンにし、画素検出スイッチTFT3を全てオフにする。この状態で、検出用電流源12と基準素子55が接続され、その時の電圧を保持部23に保持する。以後、表示制御部3−1の制御により、保持部23はこの値を保持し、基準線60にその値を出力し続ける。基準素子55の処理が済むと表示制御部3−1内のシフトレジスタ18を使用し、画素検出スイッチTFT3で表示素子50を検出線60に接続する。
【0061】
検出回路5は、基準線60と検出線20から供給された検出電圧の比較を行い、補正信号を生成し、表示制御部3−1に出力する。表示制御部3−1は検出回路5から補正信号が入力されたら、シフトレジスタ18で表示素子51を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。そして、検出回路5は基準線60と検出線20から比較を行い、補正信号を生成し、結果を表示制御部3−1に出力する。このように基準素子55から検出された電圧と全表示素子50、51、52から検出された電圧を順次比較していく。
【0062】
図9は、検出回路5の構成例を示している。検出回路5では基準線60から検出した基準電圧90及び基準電圧91と、検出線20から検出した表示素子の検出結果92(検出電圧)とを比較する。基準電圧90と基準電圧91は一方を基準線の値とし、もう一方をその値にオフセット値を加算または減算して求めた値とする。比較に用いる基準値94は基準電圧90と基準電圧91を抵抗ラダー93で分割した値とする。比較器95は検出結果92と基準値94を比較する。
【0063】
本実施例では比較器95が四個の構成になっているが、この個数、及び、抵抗ラダー93の分割数は比較精度によって増減し決定する。比較器95で得られた検出結果は表示制御部3−1で処理され、表示素子1110の階調信号の割り当てる電圧値を補正することでフィードバックされる。
【0064】
図10は、検出のタイミングを示している。受光素子がない有機EL表示装置NORMALの1水平期間には、表示期間Display Periodと帰線期間Blanking Periodがある。検出方式A(DETECT RESULT A)では、表示期間Display Periodと帰線期間Blanking Periodの全ての期間を検出期間Detect Periodにするものである。この場合、検出中は表示を一切行わない。検出方式B(DETECT RESULT B)では、表示期間Display Periodはそのままとし、帰線期間Blanking Periodの全部または一部を検出期間Detect Periodに割り当てる。この場合、表示しながらの検出になるため、検出方式Aに対して、一画面全てを検出するのに時間がかかるが、表示期間に対しては影響がない。
【0065】
図11は表示制御部3−1及び検出回路5における検出フローのフローチャートである。処理100で検出処理が開始されると、表示制御部3−1は垂直カウンタをリセットする(処理111)。表示制御部3−1は検出期間か否か判定し(処理112)、検出期間になるとスイッチ23、24をオンにし、検出回路5に基準電圧を測定させ(処理113)、処理113の結果である基準電圧を保持部23に保持させる(処理114)。
【0066】
表示制御部3−1は、各画素を切り替えるシフトレジスタをセットし、スイッチ15をオフにし、スイッチ16をオンにし、走査線駆動回路VDRVから検出制御線DETへ制御信号を供給させて、画素検出スイッチTFT3をオンにし(処理115)、検出回路5は、対象画素の表示素子10で生じる電圧を検出する(処理116)。検出回路5からの応答を待機する(処理117)。検出回路5で検出されると検出状態を判定し(処理118)、検出できなかった場合、エラー処理をする(処理119)。
【0067】
表示制御部3−2は、処理118で検出が正常と判定されると1ラインの検出が終了したか判定し(処理120)、1ラインの途中であればシフトレジスタを動かし、残りを検出する(処理121)。処理116から処理120までを繰り返し、1ラインの検出が終了すると、検出回路5は補正信号を生成し、表示制御部3−1は補正処理を実施する(処理122)。表示制御部3−1は、画面の検出が終了したか判定し(処理123)、1画面の途中であれば垂直カウンタをカウントアップし、残りを検出する(処理124)。表示制御は処理124までを繰り返し、1画面の検出が終了すると検出を終了する(処理125)。
【0068】
上記の要領により、高価な光学系、機械系、センサ、照明等を別途付加することなく、光検出機能を備えた有機EL表示装置を作製することができる。このように、座標単位の外光検知システムにより、タッチパネル機能、または手書き入力機能、また外部照度により発光輝度が自動調整される機能を内蔵したOLEDモジュールという、付加価値の高いアプリケーションを提供することも可能となる。
【実施例2】
【0069】
図12は、基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例である。この構成では電流源を一つにし、複数の基準素子を設け、その基準素子と表示素子を比較する。また、素子を複数まとめて検出する構成である。同時に検出する個数をn個とすると、基準画素もn個用意し、電流源の電流供給量も一個検出に対してn倍になる。
【0070】
基準線60は基準電圧を保持する保持部23と接続する。検出線20には、共通の検出用電流源12が接続されており、更に表示素子50(図4の表示素子11に相当)、表示素子51(図4の表示素子11に相当)、表示素子52(図4の表示素子11に相当)、表示素子53(図4の表示素子11に相当)、その他全ての表示素子がそれぞれ個別に設けた画素検出スイッチTFT3で接続できるようになっており、基準素子56(図4の基準素子10)と基準素子57(図4の基準素子10)がスイッチ14で接続でき、保持部23がスイッチ24で接続できるようになっている。画素検出スイッチTFT3、スイッチ14,スイッチ24は表示制御部3−1で制御する。
【0071】
次に、図12の動作を示す。表示制御部3−1は、スイッチ14とスイッチ24をオンにし、画素検出スイッチTFT3を全てオフにする。この状態で、検出用電流源12と基準素子56、基準素子57が接続され、その時の電圧を保持部23に保持する。以後、表示制御部3−1の制御により、検出が一サイクル終わるまで、保持部23はこの値を保持し、基準線60にその値を出力し続ける。本例では基準素子が二個であるので、基準素子の特性が同等であれば検出用電流源12の電流は半分ずつ基準素子に流れるため、一個の場合とほぼ同じ検出量になる。また、特性が異なった場合は、平均特性になる。
【0072】
基準素子10の検出処理が済むと、表示制御部3−1内のシフトレジスタ18を使用し、画素検出スイッチTFT3をオンにし、表示素子50及び表示素子51を検出線20に接続する。検出量は各画素の平均量になる。検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20の検出電圧との比較を行い、比較結果から補正信号を生成し、補正信号を表示制御部3−1に出力する。表示制御部3−1は検出回路5から補正信号が入力されたら、次にシフトレジスタ18で表示素子52及び表示素子53を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。そして検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20の検出電圧との比較を行い、結果(補正信号)を表示制御部3−1に出力する。このようにして複数画素をまとめた比較検出をする。
【実施例3】
【0073】
図13は、基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例である。この構成では表示素子以外に基準素子を設け、その基準素子の検出電圧と表示素子の検出電圧を比較する。基準線20には基準素子55(図4の基準素子10に相当)と検出用電流源44(図4の検出用電流源6に相当)を接続している。本例では基準線60に基準画素を一種類しか接続していないが、数個の基準素子を基準線にスイッチで選択して接続できるようにした方が良い。
【0074】
表示素子50(図4の表示素子11に相当)、表示素子51(図4の表示素子11に相当)、表示素子52(図4の表示素子11に相当)は画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。また、検出線20には検出用電流源45が接続される。大きな特徴は、これまでの実施例の検出用電流源12を2つに分離し、基準素子と表示素子とで使い分けている点である。
【0075】
次に、図13の動作を示す。検出は基準素子55と表示素子50、基準素子55と表示素子51、基準素子55と表示素子52の順で比較する。基準素子55を基準線60に固定接続し、表示素子50,51,52を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。検出回路5は基準線60と検出線20の検出結果の電圧を比較し、比較結果である補正信号を表示制御部3−1に出力する。表示制御部3−1は検出回路5から結果が入力されたら、次に表示素子51を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。そして検出回路5は基準線60と検出線20から比較を行い、結果を表示制御部3−1に出力する。このように、基準素子55を基準として表示素子の検出電圧から補正信号を順次生成する。
【実施例4】
【0076】
図14は、基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例である。この構成では表示素子以外に基準素子を設け、その基準素子と表示素子を比較する。また、電流源を一つにする構成で、検出用電流源12を基準線60と検出線20で共通で使用する。基準線60には基準素子55(図4の基準素子10に相当)と抵抗47を通して電流源46を接続している。本例では基準線60に基準素子を一種類しか接続していないが、数個の基準画素を基準線にスイッチで選択して接続できるようにした方が良い。表示素子50(図4の表示素子11に相当)、表示素子51(図4の表示素子11に相当)、表示素子52(図4の表示素子11に相当)は画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。また、検出線20には抵抗48を通して検出用電流源12が接続されている。
【0077】
次に図14の動作を示す。検出は基準素子55と表示素子50、基準素子55と表示素子51、基準素子55と表示素子52の順で比較する。基準素子55を基準線60に固定接続し、表示素子50を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。検出用電流源12が共通していることから、基準素子55の電気特性と表示素子50の電気特性が等しくなければ、基準線60と検出線20の間には微小電圧差が生じる。基準素子55と表示素子50との電気特性が等しい場合は、基準線60と検出線20の間には電圧差は生じない。
【0078】
検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20の検出電圧との比較を行い、比較結果である補正信号を表示制御部3−1に出力する。表示制御部3−1は検出回路5からの結果(補正信号)が入力されたら、次に表示素子51を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。そして、検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20の検出電圧とから比較を行い、比較結果を表示制御部3−1に出力する。このようにして、順次、基準素子を、表示素子と比較していく。
【実施例5】
【0079】
図15は、基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例である。この例は表示素子をアノード接地になるように電(圧)源を接続した構成である。また、電流源の代わりに電圧源と定抵抗で動作させる。基準線60には基準素子85(図4の基準素子10に相当)と抵抗72が接続される。検出線20には、抵抗73が接続されており、更に表示素子80(図4の表示素子11に相当)、表示素子81(図4の表示素子11に相当)、表示素子82(図4の表示素子11に相当)、その他全ての表示素子が画素検出スイッチTFT3で接続できるようになっている。画素検出スイッチTFT3は表示制御部3−1で制御する。
【0080】
次に、図15の動作を示す。基準線60には基準素子85と抵抗72から基準電圧が表れる。検出は、基準素子85と表示素子80、基準素子85と表示素子81、基準素子85と表示素子82の順で比較する。表示制御部3−1により表示素子80を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20の検出電圧との比較を行い、比較結果である階調信号の補正信号を表示制御部3−1に出力する。
【0081】
表示制御部3−1は、検出回路5から比較結果である階調信号の補正信号が入力されたら、次に、表示素子81を画素検出スイッチTFT3で検出線71に接続する。そして検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20からの検出電圧との比較を行い、比較結果である階調信号の補正信号を表示制御部3−1に出力する。このように基準素子85を基準として表示素子と順次比較する。
【実施例6】
【0082】
図16は、受光素子と発光素子をセットで1画素とした場合の表示パネルにおける基本構成図である。符号は、特に、明記がない限り、実施例1と同じである。
【0083】
実施例6の表示パネルは、ガラス基板SUB1上に、基準素子10、受光専用素子110、表示素子11、画素回路200、表示制御部3−1、色選択回路3−2、検出スイッチ4、検出回路5、検出用電源6、表示用電源7、走査線駆動回路VDRVを備えている。
【0084】
表示素子11は、素子構造308の構造である。基板上SUB1の上に、陽極AD、ホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、有機発光層EML、電子輸送層ETL、電子注入層EIL、陰極CDの順に積層されている。基準素子10及び受光専用素子110は、素子構造309の構造である。つまり、基板上SUB1の上に、陽極AD、ホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、電子輸送層ETL、電子注入層EIL、陰極CDの順に積層されている。
【0085】
素子構造308と素子構造309の大きな相違点は、素子構造309が、素子構造308を構成する有機層のうち一部の層を用い、一部の層を用いていない点である。具体的には、素子構造309は、素子構造308を構成するホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、電子輸送層ETL、電子注入層EILは備えているが、有機発光層EMLは備えていない。
【0086】
このように有機発光層以外の層のいずれか1層以上を用いることで、製造プロセスが簡略化できる。また、有機発光層を用いないようにすることで、外光を光電変換することにより生じる電流で発光することを防止できる。また、素子構造308で用いた有機発光層EMLを素子構造309に用いる場合でも、その膜厚を素子構造308の膜厚とは異ならせることも好ましい。受光効率を高めることができるからである。
【0087】
さらに、素子構造308で用いた有機発光層EMLを素子構造309に用いる場合でも、外光、特に、自然光で発光しないように、ホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、有機発光層EML、電子輸送層ETL、電子注入層EILの材料及び膜厚を制御することが好ましい。また、素子構造308を構成する有機層のうち一部の層を用いる場合には、有機発光層EMLと同じパターンで成膜する層ではなく、全ての画素で共通とする、所謂ベタ膜で成膜する層を用いることが好ましい。
【0088】
図23に表示素子11の発光を制御する画素回路200の構成を示す。
【0089】
画素回路200は、データラッチスイッチTFT1、容量CAP、画素駆動スイッチTFT2で構成されている。データラッチスイッチTFT1の制御線は、走査線SCANで、信号線DATAと容量CAPの一端との接続を制御している。容量CAPの一端は、画素駆動スイッチTFT2の制御端とも接続されている。容量CAPの他端は、画素駆動スイッチTFT2と表示素子11との間に接続される。画素駆動スイッチTFT2は、電源線POWERと表示素子11との間の接続を制御している。
【0090】
走査線駆動回路VDRVから供給された制御信号が走査線SCANに印加され、データラッチスイッチTFT1がオンすると、階調信号に応じた電圧が容量CAPに取り込まれる。容量に保持された電圧によって画素駆動スイッチTFT2がオンされ、電源線POWERから発光素子308へ流れる電流量が制御される。電源線POWERは表示用電源7に接続されており、信号線DATAは色選択回路3−2を介して検出スイッチ4に接続されている。走査線SCANは走査線駆動回路VDRVに接続されている。
【0091】
表示制御部3−1は、図22の信号線駆動回路HDRVに備えられている。この表示パネルは、表示制御部3−1が、色選択回路3−2との間を導通させ、検出用電源6と受光専用素子110との間を非導通にするように、検出スイッチ4を制御する表示モードと、表示制御部3−1が、色選択回路3−2との間を非導通にし、検出用電源6と受光専用素子110との導通を可能にする検出モードとを備えている。
【0092】
表示モードでは、色選択回路3−2の制御も行い、所定の画素へ階調信号を供給する。また、検出モードでは、所定の画素からの電圧を検出回路5へ供給させる。さらに、検出モードでは検出回路5から補正信号が入力された場合、階調信号を補正信号に基づいて補正する。
【0093】
色選択回路3−2は、検出スイッチ4、画素回路200に接続されている。色選択回路3−2は、表示モード時に、階調信号を流す信号線DATAを選択する。表示制御部3−1と検出回路5と検出用電源6は、図22の信号線駆動回路HDRVに備えられている。信号線駆動回路HDRVの第1端子は検出スイッチ4を介して色選択回路3−2に接続され、第1端子と異なる第2端子は検出回路5を介して検出スイッチ4に接続されている。
【0094】
画素回路200、色選択回路3−2、検出スイッチ4、表示用電源7、走査線駆動回路VDRVは、ガラス基板SUB1上に形成した薄膜トランジスタ、低温ポリシリコン配線、ゲート金属配線、ソースドレイン金属配線、層間絶縁膜によって構成されている。
【0095】
検出スイッチ4は、表示制御部3−1からの制御信号により制御され、表示制御部3−1と色選択回路3−2との接続と、検出回路5及び検出用電源6と受光専用素子110との接続と、を切り替える。検出回路5は、検出スイッチ4による受光専用素子110との間の接続によって入力された電圧の大きさを検出し、補正信号を生成し、表示制御部3−1に供給する。表示用電源7は、駆動電流を画素回路200へ供給する。
【0096】
次に、図16の動作を示す。信号の経路は大きく三種類あり、表示経路DISPLAY、検出経路DETECT、補正経路REVISEである。これらの経路は時間的に順次変わる。なお、本明細書では、光検出結果を任意の様式により表示状態に反映させる行為を“補正”と呼称する。表示を行う第1期間Display Periodに、表示制御部3−1から出力された階調信号は、検出スイッチ4、色選択回路3−2、及び信号線DATAを介して画素回路200へ入力される。
【0097】
画素回路200は、表示用電源7から表示素子11へ流れる電流量が、階調信号に応じた電流量となるように制御する。つまり、表示素子11に階調信号が示す階調で発光させる経路が表示時の電流と階調信号の経路DISPLAYである。基準素子10と受光専用素子110で得た電圧の検出と階調信号の補正を行う第2期間Detect Periodに、基準素子10と受光専用素子110から(検出スイッチ4を介して)検出回路5に行く流れが検出経路DETECTである。検出回路5から表示制御部3−1に行き、階調信号を加工する流れが補正経路REVISEである。
【0098】
第1期間における表示素子11の駆動電源は発光用電圧源7であり、第2期間における基準素子10及び受光専用素子110の駆動電源は検出用電流源6である。本例では電源の個数は二個であるが、構成によっては増減し、電源の種類に対しても電流源や電圧源等が構成によって変化する。
【0099】
図17は、図16のシステム構成図の一例を示す図面である。装置内には、画素として、基準素子10と表示素子11と受光専用素子110がある。基準素子10は検出時にのみ使用する素子で、使用頻度を少なくし画素劣化を抑えた状態で検出比較の基準とする。また、この目的により、基準素子10は外部光が入射しない領域に必ず作製される必要がある。表示素子11は駆動時には常時使用する素子である。検出は、受光専用素子110と基準素子10の二つの画素を比較し、その差から画素の状態を求めるもので、その結果から制御部で補正量を演算し、表示画素にフィードバックする。なお、この図では基準素子10を設けているが、検出構成によっては、基準素子10を受光専用素子110に割り当てることもできる。
【0100】
画素の駆動電源は、検出時と表示時とで独立した形態を持つ。検出時には検出用電流源12(図16の検出用電源6に相当)を用い、表示時には表示用電圧源13(図16の表示用電源7に相当)を用いる。検出用電流源12は、電流源に限らず電圧源を使用しても構わない。検出用電流源12と基準素子10とはスイッチ14で接続されている。スイッチ15は表示時にオンになるものである。検出用電流源12と受光専用素子110とはスイッチ16及び画素検出スイッチTFT3で接続されている。ここで、スイッチ15とスイッチ16は同時にオンになることはない。
【0101】
表示制御部3−1は、各スイッチや電源の制御及び検出と補正を行う。シフトレジスタ18はスイッチ16を制御するものである。このシフトレジスタ18は表示制御部3−1の中に組み込まれても、独立した制御部として配置されても構わないが、制御は表示制御部3−1が行う。信号線DATAは、表示時で使用する線である。スイッチ15は、表示制御部3−1が出力する制御信号21で制御する。スイッチ16は、表示制御部3−1が出力する制御信号22で制御する。
【0102】
検出用電流源12とスイッチ14は検出線20で接続する。保持部23はスイッチ24で検出線20に接続する。スイッチ14とスイッチ24がオンの時、保持部23は基準素子10の電圧を保持し、この値を基準電圧とする。検出回路5は、保持部23から入力される検出電圧と検出線20から入力される検出電圧を比較し、結果を表示制御部3−1に出力する。比較は、検出データが電圧として検出されるので、コンパレータ等を使用することができる。また、検出結果が微小の場合、検出回路5にアンプを設けて検出電圧を増幅し、検出精度を上げることもできる。
【0103】
表示用電圧源13と表示素子11とは画素回路200で接続されている。なお、この図では検出用電流源12と表示用電圧源13のように電源を別々に設けているが、検出構成によっては、電流源または電圧源のどちらかの電源にまとめても良い。表示素子11を水平方向に走査するためのデータラッチスイッチTFT1は画素回路200に含まれており、表示制御部3−1が制御する制御信号が走査線SCANに入力されることで制御を行う。また、受光素子309を水平方向に走査するための画素検出スイッチTFT3は表示制御部3−1が制御する制御信号で制御を行う。
【0104】
図18及び図19は、信号線DATA周辺の構成例である。図18は、表示時の状態を示している。画素PIXELは、表示画素408と検出画素409から構成される。表示画素408は、表示素子11、画素回路200から構成される。なお図17で説明した通り、水平方向走査のためのデータラッチスイッチTFT1は画素回路200に含まれている。検出画素409は、受光専用素子110、画素検出スイッチTFT3から構成される。スイッチ15は、表示制御部3−1が出力する制御信号21で制御する。スイッチ16は、表示制御部3−1が出力する制御信号22で制御する。
【0105】
次に、図18の動作を示す。表示時には表示制御部3−1からの制御信号21と制御信号22によって、スイッチ15がオン、スイッチ16がオフになる。この状態で信号線DATAには、表示制御部3−1からの階調信号が表れる。そして、表示制御部3−1からの階調信号により、画素回路200が表示用電圧源13からの電圧を制御して表示素子11に電圧をかけ、表示画素408を発光させる。このように、各スイッチを制御して順次表示画素を発光させる。
【0106】
図19は検出時の動作を示している。検出時には、表示制御部3−1からの制御信号21と制御信号22によって、スイッチ15がオフ、スイッチ16がオンになる。検出線20には検出用電流源12が接続されており、受光専用素子110の特性から信号線DATAには一定の電圧が生じ、受光専用素子110の状態が検出線20に表れる。この際、受光専用素子110が発光してしまうと、コントラストが低下してパネルの表示品位を低下させてしまうため、検出用電流源12からの電流値は発光素子が非発光となる値に設定しておく必要がある。
【0107】
検出線と表示画素に関する構成例、検出回路5の構成例、検出のタイミング、表示制御における処理を示すフローチャートに関しては、それぞれ図8、図9、図10、図11で示したものを同様に適用できる。なお、これまでの実施例で記載した検出スイッチ4は、ドライバICに内臓することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】暗所における有機薄膜素子のエネルギー準位の模式図である。
【図2】有機薄膜素子に、外光(基板の外側、つまり、有機EL表示装置の外側から照射される光)を照射した場合のホール206、電子207の挙動を示す図である。
【図3】有機薄膜素子における電流/電圧特性の検出結果を示す図である。
【図4】実施例1の表示パネルにおける基本構成図を示す図である。
【図5】図4のさらに詳細なシステム構成図を示す図である。
【図6】表示モードにおける表示素子と他のシステムとの信号経路を示したパネルシステム構成図である。
【図7】検出モードにおける表示素子と他のシステムとの信号経路を示したパネルシステム構成図である。
【図8】基準素子10も含めたパネルシステム構成図である。
【図9】検出回路5の構成例である。
【図10】検出のタイミングを示す図である。
【図11】表示制御部3−1及び検出回路5における検出フローのフローチャートである。
【図12】基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例を示す図である。
【図13】基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例を示す図である。
【図14】基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例を示す図である。
【図15】基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例を示す図である。
【図16】受光素子と発光素子をセットで1画素とした場合の表示パネルにおける基本構成図である。
【図17】図16のシステム構成図の一例を示す図である。
【図18】信号線DATA周辺の構成例を示す図である。
【図19】信号線DATA周辺の構成例を示す図である。
【図20】有機薄膜素子の層構造を示す図である。
【図21】表示画素の画素回路の等価回路を示す図である。
【図22】表示パネルの基本構成図を示す図である。
【図23】に表示素子11の発光を制御する画素回路200の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
SUB・・・ガラス基板、2・・・画素回路、3−1・・・表示制御部、3−2・・・色選択回路、4・・・検出スイッチ、5・・・検出回路、6・・・検出用電源、7・・・表示用電源、10・・・基準素子、11・・・表示素子、、12・・・検出用電流源、13・・・表示用電圧源、
DATA・・・信号線、HDRV・・・信号線駆動回路、VDRV・・・走査線駆動回路、200・・・画素回路、110・・・受光専用素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子を備えた有機EL表示装置に係り、特に、受光素子を有機薄膜素子で構成している有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
受光素子を有機薄膜素子で構成している有機EL表示装置に関する従来技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1では、平面方向上下に並んでいる第1有機薄膜素子間に、第1有機薄膜素子と同じ積層構造の第2有機薄膜素子が配置され、第1有機薄膜素子と第2有機薄膜素子が異なる信号線に接続されている構造が開示されている。
【0004】
第1有機薄膜素子と第2有機薄膜素子の双方を発光素子として用いるか、第1有機薄膜素子と第2有機薄膜素子の一方を受光素子、他方を発光素子として用いるか、第1有機薄膜素子と第2有機薄膜素子の双方を受光素子として用いるかの3つのモードで制御可能な構成となっている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−75115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、画素回路として、いわゆる駆動TFTを電源線と有機薄膜素子の間に配置し、有機薄膜素子の光電変換によって発生する起電力を電源線を用いて表示領域外まで出力し、表示領域外でその大きさを検出している。このように、電源線を起電力の検出経路に用いると、負荷容量が大きいので、検出精度が低い。
【0007】
特許文献1には、検出信号線と電源線を兼ねた構造も開示されているが、発光制御が難しくなる。また、電源線を複数のラインで共通化することで、電源線の電圧降下を抑制するなどの設計が実質上不可能になる。全ラインで共通にした場合には、全ライン分、つまり1ライン分の寄生容量の数百倍の寄生容量が発生することになるからである。
【0008】
本願に含まれるある発明の目的は、外光検出精度を高めた有機EL表示装置を提供する点にある。また、特許文献1では、第1有機薄膜素子と第2有機薄膜素子は同じ層構造をしている。第1有機薄膜素子を発光素子として用い、第2有機薄膜素子を受光素子として用いる場合、それぞれ好ましい材料や層厚は全く異なる。
【0009】
従って、同じ層構造をしている特許文献1の場合、表示の特性と受光の特性のいずれかを犠牲にしている可能性がある。例えば、受光特性を向上させた結果、発光特性が犠牲になった場合、有機EL表示装置として寿命が低下することになる。本願に含まれる他の発明の目的は、表示特性と受光特性の両立を図った有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記最初の目的を達成可能な手段として、次の態様がある。
(第1手段)
電源線と有機薄膜素子との間に流れる電流量を、信号線の階調信号で制御する第1スイッチを備えた有機EL表示装置において、信号線に階調信号が供給されない期間に、信号線と有機薄膜素子とを接続するように制御される第2スイッチを配置する構造。
(第2手段)
電源線と有機薄膜素子との間に流れる電流量を、信号線の階調信号で制御するスイッチを備えた有機EL表示装置において、信号線には、第1期間に駆動回路からの階調信号が信号線に供給され、第1期間とは異なる第2期間に有機薄膜素子で発生する外光に応じた電圧が供給される構造。
【0011】
上記他の目的を達成可能な手段として、次の態様がある。
(第3手段)
発光素子を構成する有機層の層構造と受光素子を構成する有機層の層構造を異ならせたもの。
(第4手段)
発光素子と受光素子は有機層を備え、受光素子の有機層に自然光では発光しない材料を用いたもの。
【0012】
第3手段又は第4手段のいずれを採用しても、発光効率も受光効率も高い有機EL表示装置を提供することができるようになる。
【0013】
また、単に層構造を異ならせるのではなく、発光素子を構成する有機層の一部を用いれば、発光素子の製造プロセスの一部で同時に成膜できるので、効率的な生産が可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検出精度が高い有機EL表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
まず、本発明で用いる光検出メカニズムを説明する。ここでは、いわゆる、ボトムエミッション型、トップカソード型のアクティブ有機EL表示装置の有機薄膜素子を前提に説明するが、これに限らない。
【0016】
本実施例で前提となる構造は、基板上に、アクティブ素子に接続されたITOの画素電極(陽極204)を備えている。そして、陽極204上にホール注入層201、発光層202、電子輸送層203、アルミニウム対向電極(陰極205)が順次積層された構造である。
【0017】
図1に、暗所における有機薄膜素子のエネルギー準位の模式図を示す。この有機薄膜素子の陽極204と陰極205の間に電圧を印加すると、陽極204よりホール206、陰極205より電子207が注入される。ホール206は各層の最高占有軌道208を通じて発光層202へ輸送され、電子207は各層の最低空軌道209を通じて発光層202へ輸送される。この輸送過程において、ホール注入層201、電子輸送層203にトラップ準位210が存在すると、ホール206および電子207が捕獲され、素子全体に流れる電流量が低下する。トラップ準位210は一般に材料分解物などの不純物に起因して発生するものであるが、トラップ性の分子を有機層に意図的に混入させることでも同様の現象が観察される。
【0018】
図2は、有機薄膜素子に、外光(基板の外側、つまり、有機EL表示装置の外側から照射される光)を照射した場合のホール206、電子207の挙動を示している。有機薄膜素子に外光を照射すると、トラップ準位210に捕獲されていたホール206、電子207は、それぞれホール注入層201の最高占有軌道208、電子輸送層203の最低空軌道209へと遷移する。これは、ホール注入層201の最高占有軌道208とトラップ準位210とのエネルギー差、また電子輸送層203の最低空軌道209とトラップ準位210とのエネルギー差よりも大きいエネルギーを、外光照射によって得たためである。
【0019】
図3に、有機薄膜素子における電流/電圧特性の検出結果を示す。「NO LIGHT」として表示した検出結果は、暗所における検出結果(電流/電圧特性)である。「LIGHT」として表示した検出結果は、外光を照射した場合の検出結果(電流/電圧特性)である。この図からわかるように、外光が照射された場合、多くの電流量が検出される。つまり、有機EL表示装置の有機薄膜素子には、外光による光電変換機能があることがわかる。
【0020】
図1から図3では、陽極204上にホール注入層201、発光層202、電子輸送層203、陰極205が積層された場合を例として説明を行った。しかし、実験の結果、陽極204と陰極205の間にトラップ準位210を有する層が少なくとも1層積層された有機薄膜素子であれば、同様の効果が現れることがわかった。以下、この実験結果から特許文献1よりも、検出精度が高い有機EL表示装置の実施形態について説明する。
【0021】
実施例1を説明する前に、さらに前提となるアクティブマトリクス型の有機EL表示装置で適用した表示パネルの基本構成を説明する。図22に、表示パネルの基本構成図を示す。ガラス基板SUB上に、信号線駆動回路HDRVと走査線駆動回路VDRVと有効表示領域ARと外部接続端子PADがある。
【0022】
信号線駆動回路HDRVは、一般にドライバICと称される半導体ICチップであり、有効表示領域ARとガラス基板SUB1の一辺にある外部接続端子PADとの間にCOG(Chip on Glass)実装されている。走査線駆動回路VDRVは、低温ポリシリコン及び金属配線で構成された回路で、信号線駆動回路HDRVを配置したガラス基板SUB1の一辺を挟む二辺に配置されている。表示画素PXLは有効表示領域ARにある。また、基準画素は図示しないが、有効表示領域AR外の遮光領域にある。
【0023】
図21に、表示画素PXLの等価回路を示す。画素PXLは、発光素子兼受光素子となる表示素子11と、階調信号又は検出電圧が供給される信号線DATA、制御信号が供給される走査線SCAN、電流が供給される電源線POWER、制御信号が供給される検出制御線DET、信号線DATAと容量CAPの一方の端子に接続され、走査線SCANの制御信号で制御されるデータラッチスイッチTFT1、データラッチスイッチTFT1に一方の端子が電気的に接続され、他方の端子が電源線POWERに接続された容量CAP、容量CAPの当該一方の端子に接続され、その電位で制御される駆動スイッチTFT2、駆動スイッチTFT2を介して電源線POWERに電気的に接続された表示素子11と、表示素子11と信号線DATAの間に電気的に接続された画素検出スイッチTFT3とを備えている。データラッチスイッチTFT1、容量CAP、駆動スイッチTFT2、画素検出スイッチTFT3とで画素回路2が構成されている。データラッチスイッチTFT1、駆動スイッチTFT2、画素検出スイッチTFT3は、低温ポリシリコンの薄膜トランジスタで構成されている。
【0024】
この画素回路2は次のように駆動される。表示モードでは、データラッチスイッチTFT1は、走査線駆動回路VDRVから走査線SCANへ供給される制御信号によりオンとなり、信号線DATAから階調信号を取り込む。容量CAPは、取り込んだ階調信号に応じた電位差(階調信号と電源線POWERの電位との電位差)を保持する。駆動スイッチTFT2は、保持した電位差を含む電圧に応じた電流量を、電源線POWERから表示素子11に供給するように制御される。次に、検出モードでは、画素検出スイッチTFT3の制御端子へ接続された検出制御線DETへ制御信号が供給され、階調信号が信号線DATAに供給されないタイミングで、表示素子11において発生した電圧が信号線DATAに供給される。表示モードにおいては、電源線POWERには表示用電(圧)源7の電位が供給される。検出モードにおいては、データ線DATAに検出用電(流)源6を接続する。
【0025】
このように、表示モードでは、各画素で、信号線には、データラッチスイッチTFT1や容量CAPを介して、駆動スイッチTFT2を制御するために、階調信号が供給される。また、駆動スイッチTFT2の制御により、電源線POWERから表示素子11に階調信号に対応した電流量が供給される。
【0026】
また、検出モードでは、信号線DATAと電源線POWERとの間に設けた画素検出スイッチTFT3は、信号線DATAに階調信号が供給されない期間に、電源線POWERと表示素子11とを電気的に接続する配線と信号線DATAとが接続されるように制御される。従って、その画素検出スイッチTFT3を介して表示素子11から外光に応じた電圧が信号線DATAに出力されるようになる。また、検出回路5をドライバICに搭載しているので、信号線DATAと信号線駆動回路HDRVとは、信号線DATAとは異なる配線でドライバICに接続され、さらに、信号線DATAが接続された信号線駆動回路HDRVの端子とは異なる端子に接続される構成となっている。
【実施例1】
【0027】
図4に、実施例1の表示パネルにおける基本構成図を示す。実施例1の表示パネルは、画素回路2、表示制御部3−1、色選択回路3−2、検出スイッチ4、検出回路5、検出用電源6、表示用電源7、基準素子10、表示素子11、走査線駆動回路VDRVを備えている。
【0028】
表示制御部3−1と検出回路5と検出用電源6は、図22の信号線駆動回路HDRVに備えられている。信号線駆動回路HDRVの第1端子は検出スイッチ4に直接接続され、第1端子と異なる第2端子は、検出回路5を介して検出スイッチ4に接続されている。
【0029】
画素回路2は、前述の通り、信号線DATA、走査線SCAN、電源線POWER、検出制御線DETに接続されている。信号線DATAは、信号線駆動回路HDRVの第1端子と接続され、さらに、ドライバIC内の表示制御部3−1に電気的に接続されている。
【0030】
表示制御部3−1は、外部から、アナログ電源、デジタル電源、クロック、映像信号が入力され、表示モードで信号線DATAを介して色選択回路3−2へ階調信号を出力する。また、検出モードでは、検出回路5から補正信号が入力された場合、検出後、階調信号を補正信号に基づいて補正する。また、検出用電源6と検出スイッチ4を制御して、検出用電源6と電源線POWERの接続を制御する。
【0031】
画素回路2、色選択回路3−2、走査線駆動回路VDRVと検出スイッチ4は、ガラス基板SUB1上に形成した薄膜トランジスタ、低温ポリシリコン配線、ゲート金属配線、ソースドレイン金属配線、層間絶縁膜によって構成されている。
【0032】
色選択回路3−2は、図22の有効表示領域ARと信号線駆動回路HDRVの間に配置されている。色選択回路3−2は、表示制御部3−1から供給された階調信号を、どの色の信号線DATAに供給するかを選択する。また、どの画素の信号線DATAの検出電圧を検出回路5へ供給するか選択する。
【0033】
検出スイッチ4は、表示制御部3−1と画素回路2との間の接続と、検出回路5と画素回路2との間の接続と、を切り替える。この切り替えは、表示制御部3−1によりなされる。検出回路5は、検出スイッチ4による画素回路2との間の接続によって供給された電圧の大きさを検出し、その検出結果から補正信号を生成し、表示制御部3に供給する。検出用電源6は、検出時に駆動電流を画素回路2へ供給する電源である。発光用電源7は、発光時に駆動電流を画素回路2へ供給する電源である。
【0034】
次に、図4の動作を示す。信号の経路は大きく三種類あり、表示経路DISPLAY、検出経路DETECT、補正経路REVISEである。これらの経路は時間的に順次変わる。なお、本明細書では、光検出結果を任意の様式により表示状態に反映させる行為を“補正”と呼称する。
【0035】
表示を行う第1期間Display Periodに、表示制御部3−1は階調信号を信号線DATAへ出力する。それと並行して、検出スイッチ4を制御して、階調信号が色選択回路3−2へ供給されるようにする。さらに、色選択回路3−2を制御して所望の信号線DATAへ階調信号を供給する。表示制御部3−1は、走査線駆動回路VDRVを制御して特定画素の走査線SCANに制御信号を送り、データラッチスイッチTFT1をオンして特定の画素の画素回路2へ階調信号を供給する。
【0036】
この際、検出スイッチ4は、検出回路5と検出用電源6との接続を切っている。画素回路2は、表示用電源7から電源線POWERを介して表示素子11へ流れる電流量が、供給された階調信号に応じた電流量となるように制御する。つまり、表示素子11を、階調信号が示す階調で発光させる経路が表示時の電流と階調信号の経路DISPLAYである。
【0037】
第1期間と異なる第2期間であるブランキング期間Blanking Periodには、検出経路DETECTと補正経路REVISEの2つの経路で検出電圧が流れる。まず、表示制御部3−1は階調信号を供給しない。そして、検出スイッチ4を制御して、検出回路5及び検出用電源6を信号線DATAに電気的に接続する。この際、検出用電源6から、駆動電流が画素回路2へ供給される。
【0038】
そして、外光では発光しない表示素子11である表示素子11で光電変換された電圧を、画素回路2の画素検出スイッチTFT3と信号線DATAを介して検出スイッチ4へ出力させる。検出制御線DETにパルスを入力することによって、画素回路2の画素検出スイッチTFT3がオンになり、検出スイッチ4へ供給された検出電圧は検出回路5へ入力される。この経路が、検出経路DETECTである。また、基準素子10を検出用電源に接続し、検出回路5へ検出電圧を供給する。
【0039】
検出回路5は、検出電圧を基に補正信号を生成して表示制御部3−1に供給する。表示制御部3−1は、入力された補正信号から階調信号を補正する。この経路が補正経路REVISEである。
このように、表示制御部3−1から画素回路2への階調信号の供給経路である表示経路(DISPLAY)と、画素回路2から検出回路4への検出電圧と検出回路4から表示制御部3−1までの補正信号の供給経路(DETECT,REVISE)とは、検出スイッチ4と画素回路2の間は信号線DATA上の経路で共通しているが、検出スイッチ4から表示制御部3−1までの経路は異なり、信号駆動回路HDRVへの入出力端子も異なるように構成される。また、本実施例では電源の個数は、表示用電(圧)源7と検出用電(流)源6の二個であるが、構成によっては増減したり、電源の種類に対しても電流源と電圧源のいずれも選択可能である。
【0040】
図5に、図4のさらに詳細なシステム構成図を示す。この有機EL表示装置は、受光素子として機能させる基準素子10と、発光素子兼受光素子として機能させる表示素子11を備えている。図20に、これらの有機薄膜素子の層構造を示す。基準素子10は図20の受光素子構造309を備えた有機薄膜素子であり、表示素子11は図20の発光素子構造308を備えた有機薄膜素子である。
【0041】
受光素子構造309は、陽極AD、ホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、電子輸送層ETL、電子注入層EIL及び陰極CDを順にガラス基板SUB1上に形成した構造である。発光素子構造308は、陽極AD、ホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、有機発光層EML,電子輸送層ETL、電子注入層EIL及び陰極CDを順にガラス基板SUB1上に形成した構造である。図2や図3のように、ホール輸送層HTLはなくてもよい。
【0042】
このように、受光素子としてのみ使用する有機薄膜素子と、受光素子としてだけでなく、発光素子としても用いる有機薄膜素子とが同じ基板上に形成される場合にあっては、同じ層構造を採用することがプロセス上好ましいが、必ずしも同じ層構造にする必要はない。したがって、全く異なる層のみで構成してもよい。
【0043】
しかし、製造プロセスを簡略するためには、受光素子としてだけでなく、発光素子としても用いる有機薄膜素子を構成する有機層のいずれかの層を用いることが好ましく、全く同じ材料層を採用したとしても、その膜厚を異なる膜厚とすることで発光素子と受光素子の両方の光電変換効率を向上させることができる。また、受光素子としてのみ有機薄膜素子を用いる場合は、外光では発光しない有機層とすることが好ましく、特に、発光層に相当する材料層をなくすか、発光素子とは材料を替えるか、若しくは膜厚を替えることが好ましい、
基準素子10は、検出時にのみ使用する受光素子である。表示素子11のように、フレーム毎に使用するわけではない。使用頻度を少なくし、画素劣化を抑えた状態で基準電圧を検出できるようにしている。また、基準素子10は外部光が入射しない領域に配置されている。
【0044】
表示素子11は、有効表示領域ARにマトリクス状に配置される。本実施例の検出回路5は、基準素子10と表示素子11の2種類の有機薄膜素子の検出電圧を比較し、その差から外光による影響を求める。その結果を補正信号として表示制御部3−1へ送り、階調信号の補正量を演算し、表示にフィードバックする。なお、この図では基準素子10を設けているが、検出構成によっては、表示素子11を基準素子10に割り当てることもでき、基準素子10を設けずに予め基準電圧を保持していてもよい。
【0045】
駆動電源は、検出用と表示用とで独立した形態を持つ。検出時には、検出用電流源12(図4の検出用電源6に相当)を用い、表示時には、表示用電圧源13(図4の表示用電源7に相当)を用いる。検出用電流源12は、電流源に限らず電圧源を使用しても構わない。検出用電流源12と基準素子10とはスイッチ14で接続が制御されている。このスイッチ14は表示制御部3−1の制御信号により、検出時にオンになるものである。画素回路2と表示制御部3−1はスイッチ15で接続が制御されている。このスイッチ15は表示制御部の制御信号により、表示時にオンになるものである。検出用電流源12と表示素子11とはスイッチ16で接続が制御されている。このスイッチ15は表示制御部の制御信号により、検出時にオンになるものである。
【0046】
スイッチ15とスイッチ16は図4の検出スイッチ4に相当し、同時にオンになることはなく、2者択一的に動作する。表示制御部3−1は、各スイッチや電源の制御及び検出と補正を行う。シフトレジスタ18はスイッチ16を制御するものであるが、表示制御部3−1に組み込まれている。但し、ガラス基板SUB1上に独立した制御部として配置してもよいが、シフトレジスタ18の制御は表示制御部3−1が行う。スイッチ15は、表示制御部3−1が出力する制御信号21で制御される。スイッチ16は、表示制御部3−1が出力する制御信号22で制御される。検出用電流源12とスイッチ14は、検出線20で接続されている。
【0047】
信号線DATAは、表示時に表示制御部3−1から階調信号が供給され、検出時に検出回路5へ検出電圧が印加される共用線である。保持部23は、スイッチ24で検出線20に接続されている。スイッチ14とスイッチ24がオンの時、保持部23は基準素子10に印加される電圧を保持し、この値を基準電圧とする。このスイッチ14とスイッチ24は表示制御部3−1から出力される制御信号で制御される。
【0048】
検出回路5は、保持部23の基準電圧と検出線20を介して供給された表示素子11の検出電圧とを比較し、その比較結果から補正信号を生成し、表示制御部3−1に出力する。保持部23の出力データは電圧であるので、比較はコンパレータ等を使用することができる。また、電圧差が微小の場合、検出回路5にアンプを設けて検出電圧を増幅し、検出精度を上げることもできる。表示用電圧源13と表示素子11とは画素回路2で接続されている。なお、この図では検出用電流源12と表示用電圧源13のように電源を別々に設けているが、検出構成によっては、電流源または電圧源のどちらかの電源にまとめても良い。信号線DATAと表示素子11とは、画素検出スイッチTFT3で接続される。画素検出スイッチTFT3は、走査線駆動回路DRVから検出制御線DETに供給される制御信号28で制御する。
【0049】
図6は、表示モードにおける表示素子と他のシステムとの信号経路を示したパネルシステム構成図である。画素PXLは、表示素子11、画素回路2で構成される。画素回路2の画素検出スイッチTFT3は検出制御線DETに供給される制御信号で制御される。この実施例ではR、G、Bを時分割で制御する構成になっている。各画素の信号線DATAは色選択回路3−2(R選択スイッチ30、G選択スイッチ31、B選択スイッチ32)に接続されている。
【0050】
R選択スイッチ30はR選択信号33で制御される。G選択スイッチ31はG選択信号34で制御される。B選択スイッチ32はB選択信号35で制御される。Rの各画素とR選択スイッチ30は信号線36で接続されている。Gの各画素とG選択スイッチ31は信号線37で接続されている。Bの各画素とB選択スイッチ32は信号線38で接続されている。色選択回路3−2の制御信号(R選択信号33、G選択信号34、B選択信号35)は、この実施例では表示制御部3−1で制御しているが、他の独立した回路で制御しても良い。
【0051】
次に、図6の動作を示す。表示モードにおいて、表示制御部3−1からの制御信号21と制御信号22によって、スイッチ15がオン、スイッチ16がオフになる。この状態で信号線DATAには、表示制御部3−1からの階調信号が供給される。そして、Rの表示時は、時分割制御されたR選択スイッチ30がオン、G選択スイッチ31がオフ、B選択スイッチ32がオフ、全ての画素検出スイッチTFT3がオフの状態となる。そのとき、表示制御部3−1からの階調信号を基に、画素回路2が表示用電圧源13から表示素子11に流れる電流量を制御する。その結果、表示画素は、Rの階調信号が示す輝度で発光する。
【0052】
同様にG画素の表示時は、時分割制御されたG選択スイッチ31がオン、R選択スイッチ30がオフ、B選択スイッチ32がオフ、全ての画素の画素検出スイッチTFT3がオフの状態となる。そのとき、表示制御部3−1からの階調信号を基に、画素回路2が表示用電圧源13から表示素子(発光素子兼受光素子)11に流れる電流量を制御する。
【0053】
その結果、G画素は、Gの階調信号が示す輝度で発光する。更にBの表示時は、時分割制御されたB選択スイッチ32がオン、R選択スイッチ30がオフ、G選択スイッチ31がオフ、全ての画素検出スイッチTFT3がオフの状態となる。そのとき、表示制御部3−1からの階調信号を基に、画素回路2が表示用電圧源13から表示素子11に流れる電流量を制御する。その結果、表示素子11は、Bの階調信号が示す輝度で発光する。このように、各スイッチを制御して順次表示素子11を発光させる。
【0054】
図7は、検出モードにおける表示素子と他のシステムとの信号経路を示したパネルシステム構成図である。検出モードには、表示制御部3−1からの制御信号21と制御信号22によって、スイッチ15がオフ、スイッチ16がオンになる。この状態で、検出対象画素の信号線DATAと検出線20とが接続される。検出対称画素は、検出制御線DETから供給される制御信号で選択する。
【0055】
さらに、検出モードでは、検出対象画素の表示素子11の状態を読み出す必要があるので、表示制御部3−1は、画素回路2へ表示用電圧源13からの電圧が供給されるのを遮断する。この状態で、画素検出スイッチTFT3をオンにし、表示素子11を信号線DATAに接続することで、検出用電流源12から電流を供給し、光電変換による電圧を検出する。
【0056】
具体的に、Rの画素の受光量を検出する場合には、R選択スイッチ30をオンにし、検出対象画素の表示素子(発光素子兼受光素子)11の画素検出スイッチTFT3をオンにする。検出線20には、検出用電流源12が接続されており、検出対象画素の表示素子11の光電変換特性から信号線36には一定の電圧が生じ、表示素子11の状態(電圧)が検出線20に現れる。この際、表示素子11が発光してしまうと、コントラストが低下してパネルの表示品位を低下させてしまうため、検出用電流源12からの電流値は発光素子が非発光となる値に設定しておく。
【0057】
同様に、Gの画素を検出するには、G選択スイッチ31をオンにし、検出対象画素の画素検出スイッチをオンにすることで、検出対象画素の表示素子11の状態が信号線37を介して検出線20に現れる。また、Bの画素を検出するには、B選択スイッチ32をオンにし、検出対象画素の画素検出スイッチをオンにする。そのことにより、検出対象画素の表示素子11の状態が検出線20に現れる。
【0058】
図8は基準素子10も含めたパネルシステム構成図である。このパネルシステム構成図で、検出動作を説明する。この構成は検出スイッチ4等を省略して記載している。ここでは電流源を一つにし、基準素子55(図4の基準素子10に相当)を設け、その基準素子55の検出電圧と表示素子50、51、52(図4の表示素子11に相当)の検出電圧とを比較する。基準線60は、基準電圧を保持する保持部23と接続する。
【0059】
検出線20には、共通の検出用電流源12が接続されており、更に、表示素子50、表示素子51、表示素子52、その他全ての表示素子が各画素検出スイッチTFT3でそれぞれ接続できるようになっており、基準素子55がスイッチ14で接続でき、保持部23がスイッチ24で接続できるようになっている。画素検出スイッチTFT3、スイッチ14、スイッチ24は表示制御部3−1からの制御信号で制御される。
【0060】
次に、図8のパネルシステム構成の動作を示す。表示制御部3−1は、スイッチ14とスイッチ24をオンにし、画素検出スイッチTFT3を全てオフにする。この状態で、検出用電流源12と基準素子55が接続され、その時の電圧を保持部23に保持する。以後、表示制御部3−1の制御により、保持部23はこの値を保持し、基準線60にその値を出力し続ける。基準素子55の処理が済むと表示制御部3−1内のシフトレジスタ18を使用し、画素検出スイッチTFT3で表示素子50を検出線60に接続する。
【0061】
検出回路5は、基準線60と検出線20から供給された検出電圧の比較を行い、補正信号を生成し、表示制御部3−1に出力する。表示制御部3−1は検出回路5から補正信号が入力されたら、シフトレジスタ18で表示素子51を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。そして、検出回路5は基準線60と検出線20から比較を行い、補正信号を生成し、結果を表示制御部3−1に出力する。このように基準素子55から検出された電圧と全表示素子50、51、52から検出された電圧を順次比較していく。
【0062】
図9は、検出回路5の構成例を示している。検出回路5では基準線60から検出した基準電圧90及び基準電圧91と、検出線20から検出した表示素子の検出結果92(検出電圧)とを比較する。基準電圧90と基準電圧91は一方を基準線の値とし、もう一方をその値にオフセット値を加算または減算して求めた値とする。比較に用いる基準値94は基準電圧90と基準電圧91を抵抗ラダー93で分割した値とする。比較器95は検出結果92と基準値94を比較する。
【0063】
本実施例では比較器95が四個の構成になっているが、この個数、及び、抵抗ラダー93の分割数は比較精度によって増減し決定する。比較器95で得られた検出結果は表示制御部3−1で処理され、表示素子1110の階調信号の割り当てる電圧値を補正することでフィードバックされる。
【0064】
図10は、検出のタイミングを示している。受光素子がない有機EL表示装置NORMALの1水平期間には、表示期間Display Periodと帰線期間Blanking Periodがある。検出方式A(DETECT RESULT A)では、表示期間Display Periodと帰線期間Blanking Periodの全ての期間を検出期間Detect Periodにするものである。この場合、検出中は表示を一切行わない。検出方式B(DETECT RESULT B)では、表示期間Display Periodはそのままとし、帰線期間Blanking Periodの全部または一部を検出期間Detect Periodに割り当てる。この場合、表示しながらの検出になるため、検出方式Aに対して、一画面全てを検出するのに時間がかかるが、表示期間に対しては影響がない。
【0065】
図11は表示制御部3−1及び検出回路5における検出フローのフローチャートである。処理100で検出処理が開始されると、表示制御部3−1は垂直カウンタをリセットする(処理111)。表示制御部3−1は検出期間か否か判定し(処理112)、検出期間になるとスイッチ23、24をオンにし、検出回路5に基準電圧を測定させ(処理113)、処理113の結果である基準電圧を保持部23に保持させる(処理114)。
【0066】
表示制御部3−1は、各画素を切り替えるシフトレジスタをセットし、スイッチ15をオフにし、スイッチ16をオンにし、走査線駆動回路VDRVから検出制御線DETへ制御信号を供給させて、画素検出スイッチTFT3をオンにし(処理115)、検出回路5は、対象画素の表示素子10で生じる電圧を検出する(処理116)。検出回路5からの応答を待機する(処理117)。検出回路5で検出されると検出状態を判定し(処理118)、検出できなかった場合、エラー処理をする(処理119)。
【0067】
表示制御部3−2は、処理118で検出が正常と判定されると1ラインの検出が終了したか判定し(処理120)、1ラインの途中であればシフトレジスタを動かし、残りを検出する(処理121)。処理116から処理120までを繰り返し、1ラインの検出が終了すると、検出回路5は補正信号を生成し、表示制御部3−1は補正処理を実施する(処理122)。表示制御部3−1は、画面の検出が終了したか判定し(処理123)、1画面の途中であれば垂直カウンタをカウントアップし、残りを検出する(処理124)。表示制御は処理124までを繰り返し、1画面の検出が終了すると検出を終了する(処理125)。
【0068】
上記の要領により、高価な光学系、機械系、センサ、照明等を別途付加することなく、光検出機能を備えた有機EL表示装置を作製することができる。このように、座標単位の外光検知システムにより、タッチパネル機能、または手書き入力機能、また外部照度により発光輝度が自動調整される機能を内蔵したOLEDモジュールという、付加価値の高いアプリケーションを提供することも可能となる。
【実施例2】
【0069】
図12は、基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例である。この構成では電流源を一つにし、複数の基準素子を設け、その基準素子と表示素子を比較する。また、素子を複数まとめて検出する構成である。同時に検出する個数をn個とすると、基準画素もn個用意し、電流源の電流供給量も一個検出に対してn倍になる。
【0070】
基準線60は基準電圧を保持する保持部23と接続する。検出線20には、共通の検出用電流源12が接続されており、更に表示素子50(図4の表示素子11に相当)、表示素子51(図4の表示素子11に相当)、表示素子52(図4の表示素子11に相当)、表示素子53(図4の表示素子11に相当)、その他全ての表示素子がそれぞれ個別に設けた画素検出スイッチTFT3で接続できるようになっており、基準素子56(図4の基準素子10)と基準素子57(図4の基準素子10)がスイッチ14で接続でき、保持部23がスイッチ24で接続できるようになっている。画素検出スイッチTFT3、スイッチ14,スイッチ24は表示制御部3−1で制御する。
【0071】
次に、図12の動作を示す。表示制御部3−1は、スイッチ14とスイッチ24をオンにし、画素検出スイッチTFT3を全てオフにする。この状態で、検出用電流源12と基準素子56、基準素子57が接続され、その時の電圧を保持部23に保持する。以後、表示制御部3−1の制御により、検出が一サイクル終わるまで、保持部23はこの値を保持し、基準線60にその値を出力し続ける。本例では基準素子が二個であるので、基準素子の特性が同等であれば検出用電流源12の電流は半分ずつ基準素子に流れるため、一個の場合とほぼ同じ検出量になる。また、特性が異なった場合は、平均特性になる。
【0072】
基準素子10の検出処理が済むと、表示制御部3−1内のシフトレジスタ18を使用し、画素検出スイッチTFT3をオンにし、表示素子50及び表示素子51を検出線20に接続する。検出量は各画素の平均量になる。検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20の検出電圧との比較を行い、比較結果から補正信号を生成し、補正信号を表示制御部3−1に出力する。表示制御部3−1は検出回路5から補正信号が入力されたら、次にシフトレジスタ18で表示素子52及び表示素子53を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。そして検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20の検出電圧との比較を行い、結果(補正信号)を表示制御部3−1に出力する。このようにして複数画素をまとめた比較検出をする。
【実施例3】
【0073】
図13は、基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例である。この構成では表示素子以外に基準素子を設け、その基準素子の検出電圧と表示素子の検出電圧を比較する。基準線20には基準素子55(図4の基準素子10に相当)と検出用電流源44(図4の検出用電流源6に相当)を接続している。本例では基準線60に基準画素を一種類しか接続していないが、数個の基準素子を基準線にスイッチで選択して接続できるようにした方が良い。
【0074】
表示素子50(図4の表示素子11に相当)、表示素子51(図4の表示素子11に相当)、表示素子52(図4の表示素子11に相当)は画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。また、検出線20には検出用電流源45が接続される。大きな特徴は、これまでの実施例の検出用電流源12を2つに分離し、基準素子と表示素子とで使い分けている点である。
【0075】
次に、図13の動作を示す。検出は基準素子55と表示素子50、基準素子55と表示素子51、基準素子55と表示素子52の順で比較する。基準素子55を基準線60に固定接続し、表示素子50,51,52を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。検出回路5は基準線60と検出線20の検出結果の電圧を比較し、比較結果である補正信号を表示制御部3−1に出力する。表示制御部3−1は検出回路5から結果が入力されたら、次に表示素子51を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。そして検出回路5は基準線60と検出線20から比較を行い、結果を表示制御部3−1に出力する。このように、基準素子55を基準として表示素子の検出電圧から補正信号を順次生成する。
【実施例4】
【0076】
図14は、基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例である。この構成では表示素子以外に基準素子を設け、その基準素子と表示素子を比較する。また、電流源を一つにする構成で、検出用電流源12を基準線60と検出線20で共通で使用する。基準線60には基準素子55(図4の基準素子10に相当)と抵抗47を通して電流源46を接続している。本例では基準線60に基準素子を一種類しか接続していないが、数個の基準画素を基準線にスイッチで選択して接続できるようにした方が良い。表示素子50(図4の表示素子11に相当)、表示素子51(図4の表示素子11に相当)、表示素子52(図4の表示素子11に相当)は画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。また、検出線20には抵抗48を通して検出用電流源12が接続されている。
【0077】
次に図14の動作を示す。検出は基準素子55と表示素子50、基準素子55と表示素子51、基準素子55と表示素子52の順で比較する。基準素子55を基準線60に固定接続し、表示素子50を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。検出用電流源12が共通していることから、基準素子55の電気特性と表示素子50の電気特性が等しくなければ、基準線60と検出線20の間には微小電圧差が生じる。基準素子55と表示素子50との電気特性が等しい場合は、基準線60と検出線20の間には電圧差は生じない。
【0078】
検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20の検出電圧との比較を行い、比較結果である補正信号を表示制御部3−1に出力する。表示制御部3−1は検出回路5からの結果(補正信号)が入力されたら、次に表示素子51を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。そして、検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20の検出電圧とから比較を行い、比較結果を表示制御部3−1に出力する。このようにして、順次、基準素子を、表示素子と比較していく。
【実施例5】
【0079】
図15は、基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例である。この例は表示素子をアノード接地になるように電(圧)源を接続した構成である。また、電流源の代わりに電圧源と定抵抗で動作させる。基準線60には基準素子85(図4の基準素子10に相当)と抵抗72が接続される。検出線20には、抵抗73が接続されており、更に表示素子80(図4の表示素子11に相当)、表示素子81(図4の表示素子11に相当)、表示素子82(図4の表示素子11に相当)、その他全ての表示素子が画素検出スイッチTFT3で接続できるようになっている。画素検出スイッチTFT3は表示制御部3−1で制御する。
【0080】
次に、図15の動作を示す。基準線60には基準素子85と抵抗72から基準電圧が表れる。検出は、基準素子85と表示素子80、基準素子85と表示素子81、基準素子85と表示素子82の順で比較する。表示制御部3−1により表示素子80を画素検出スイッチTFT3で検出線20に接続する。検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20の検出電圧との比較を行い、比較結果である階調信号の補正信号を表示制御部3−1に出力する。
【0081】
表示制御部3−1は、検出回路5から比較結果である階調信号の補正信号が入力されたら、次に、表示素子81を画素検出スイッチTFT3で検出線71に接続する。そして検出回路5は基準線60の検出電圧と検出線20からの検出電圧との比較を行い、比較結果である階調信号の補正信号を表示制御部3−1に出力する。このように基準素子85を基準として表示素子と順次比較する。
【実施例6】
【0082】
図16は、受光素子と発光素子をセットで1画素とした場合の表示パネルにおける基本構成図である。符号は、特に、明記がない限り、実施例1と同じである。
【0083】
実施例6の表示パネルは、ガラス基板SUB1上に、基準素子10、受光専用素子110、表示素子11、画素回路200、表示制御部3−1、色選択回路3−2、検出スイッチ4、検出回路5、検出用電源6、表示用電源7、走査線駆動回路VDRVを備えている。
【0084】
表示素子11は、素子構造308の構造である。基板上SUB1の上に、陽極AD、ホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、有機発光層EML、電子輸送層ETL、電子注入層EIL、陰極CDの順に積層されている。基準素子10及び受光専用素子110は、素子構造309の構造である。つまり、基板上SUB1の上に、陽極AD、ホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、電子輸送層ETL、電子注入層EIL、陰極CDの順に積層されている。
【0085】
素子構造308と素子構造309の大きな相違点は、素子構造309が、素子構造308を構成する有機層のうち一部の層を用い、一部の層を用いていない点である。具体的には、素子構造309は、素子構造308を構成するホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、電子輸送層ETL、電子注入層EILは備えているが、有機発光層EMLは備えていない。
【0086】
このように有機発光層以外の層のいずれか1層以上を用いることで、製造プロセスが簡略化できる。また、有機発光層を用いないようにすることで、外光を光電変換することにより生じる電流で発光することを防止できる。また、素子構造308で用いた有機発光層EMLを素子構造309に用いる場合でも、その膜厚を素子構造308の膜厚とは異ならせることも好ましい。受光効率を高めることができるからである。
【0087】
さらに、素子構造308で用いた有機発光層EMLを素子構造309に用いる場合でも、外光、特に、自然光で発光しないように、ホール注入層HIL、ホール輸送層HTL、有機発光層EML、電子輸送層ETL、電子注入層EILの材料及び膜厚を制御することが好ましい。また、素子構造308を構成する有機層のうち一部の層を用いる場合には、有機発光層EMLと同じパターンで成膜する層ではなく、全ての画素で共通とする、所謂ベタ膜で成膜する層を用いることが好ましい。
【0088】
図23に表示素子11の発光を制御する画素回路200の構成を示す。
【0089】
画素回路200は、データラッチスイッチTFT1、容量CAP、画素駆動スイッチTFT2で構成されている。データラッチスイッチTFT1の制御線は、走査線SCANで、信号線DATAと容量CAPの一端との接続を制御している。容量CAPの一端は、画素駆動スイッチTFT2の制御端とも接続されている。容量CAPの他端は、画素駆動スイッチTFT2と表示素子11との間に接続される。画素駆動スイッチTFT2は、電源線POWERと表示素子11との間の接続を制御している。
【0090】
走査線駆動回路VDRVから供給された制御信号が走査線SCANに印加され、データラッチスイッチTFT1がオンすると、階調信号に応じた電圧が容量CAPに取り込まれる。容量に保持された電圧によって画素駆動スイッチTFT2がオンされ、電源線POWERから発光素子308へ流れる電流量が制御される。電源線POWERは表示用電源7に接続されており、信号線DATAは色選択回路3−2を介して検出スイッチ4に接続されている。走査線SCANは走査線駆動回路VDRVに接続されている。
【0091】
表示制御部3−1は、図22の信号線駆動回路HDRVに備えられている。この表示パネルは、表示制御部3−1が、色選択回路3−2との間を導通させ、検出用電源6と受光専用素子110との間を非導通にするように、検出スイッチ4を制御する表示モードと、表示制御部3−1が、色選択回路3−2との間を非導通にし、検出用電源6と受光専用素子110との導通を可能にする検出モードとを備えている。
【0092】
表示モードでは、色選択回路3−2の制御も行い、所定の画素へ階調信号を供給する。また、検出モードでは、所定の画素からの電圧を検出回路5へ供給させる。さらに、検出モードでは検出回路5から補正信号が入力された場合、階調信号を補正信号に基づいて補正する。
【0093】
色選択回路3−2は、検出スイッチ4、画素回路200に接続されている。色選択回路3−2は、表示モード時に、階調信号を流す信号線DATAを選択する。表示制御部3−1と検出回路5と検出用電源6は、図22の信号線駆動回路HDRVに備えられている。信号線駆動回路HDRVの第1端子は検出スイッチ4を介して色選択回路3−2に接続され、第1端子と異なる第2端子は検出回路5を介して検出スイッチ4に接続されている。
【0094】
画素回路200、色選択回路3−2、検出スイッチ4、表示用電源7、走査線駆動回路VDRVは、ガラス基板SUB1上に形成した薄膜トランジスタ、低温ポリシリコン配線、ゲート金属配線、ソースドレイン金属配線、層間絶縁膜によって構成されている。
【0095】
検出スイッチ4は、表示制御部3−1からの制御信号により制御され、表示制御部3−1と色選択回路3−2との接続と、検出回路5及び検出用電源6と受光専用素子110との接続と、を切り替える。検出回路5は、検出スイッチ4による受光専用素子110との間の接続によって入力された電圧の大きさを検出し、補正信号を生成し、表示制御部3−1に供給する。表示用電源7は、駆動電流を画素回路200へ供給する。
【0096】
次に、図16の動作を示す。信号の経路は大きく三種類あり、表示経路DISPLAY、検出経路DETECT、補正経路REVISEである。これらの経路は時間的に順次変わる。なお、本明細書では、光検出結果を任意の様式により表示状態に反映させる行為を“補正”と呼称する。表示を行う第1期間Display Periodに、表示制御部3−1から出力された階調信号は、検出スイッチ4、色選択回路3−2、及び信号線DATAを介して画素回路200へ入力される。
【0097】
画素回路200は、表示用電源7から表示素子11へ流れる電流量が、階調信号に応じた電流量となるように制御する。つまり、表示素子11に階調信号が示す階調で発光させる経路が表示時の電流と階調信号の経路DISPLAYである。基準素子10と受光専用素子110で得た電圧の検出と階調信号の補正を行う第2期間Detect Periodに、基準素子10と受光専用素子110から(検出スイッチ4を介して)検出回路5に行く流れが検出経路DETECTである。検出回路5から表示制御部3−1に行き、階調信号を加工する流れが補正経路REVISEである。
【0098】
第1期間における表示素子11の駆動電源は発光用電圧源7であり、第2期間における基準素子10及び受光専用素子110の駆動電源は検出用電流源6である。本例では電源の個数は二個であるが、構成によっては増減し、電源の種類に対しても電流源や電圧源等が構成によって変化する。
【0099】
図17は、図16のシステム構成図の一例を示す図面である。装置内には、画素として、基準素子10と表示素子11と受光専用素子110がある。基準素子10は検出時にのみ使用する素子で、使用頻度を少なくし画素劣化を抑えた状態で検出比較の基準とする。また、この目的により、基準素子10は外部光が入射しない領域に必ず作製される必要がある。表示素子11は駆動時には常時使用する素子である。検出は、受光専用素子110と基準素子10の二つの画素を比較し、その差から画素の状態を求めるもので、その結果から制御部で補正量を演算し、表示画素にフィードバックする。なお、この図では基準素子10を設けているが、検出構成によっては、基準素子10を受光専用素子110に割り当てることもできる。
【0100】
画素の駆動電源は、検出時と表示時とで独立した形態を持つ。検出時には検出用電流源12(図16の検出用電源6に相当)を用い、表示時には表示用電圧源13(図16の表示用電源7に相当)を用いる。検出用電流源12は、電流源に限らず電圧源を使用しても構わない。検出用電流源12と基準素子10とはスイッチ14で接続されている。スイッチ15は表示時にオンになるものである。検出用電流源12と受光専用素子110とはスイッチ16及び画素検出スイッチTFT3で接続されている。ここで、スイッチ15とスイッチ16は同時にオンになることはない。
【0101】
表示制御部3−1は、各スイッチや電源の制御及び検出と補正を行う。シフトレジスタ18はスイッチ16を制御するものである。このシフトレジスタ18は表示制御部3−1の中に組み込まれても、独立した制御部として配置されても構わないが、制御は表示制御部3−1が行う。信号線DATAは、表示時で使用する線である。スイッチ15は、表示制御部3−1が出力する制御信号21で制御する。スイッチ16は、表示制御部3−1が出力する制御信号22で制御する。
【0102】
検出用電流源12とスイッチ14は検出線20で接続する。保持部23はスイッチ24で検出線20に接続する。スイッチ14とスイッチ24がオンの時、保持部23は基準素子10の電圧を保持し、この値を基準電圧とする。検出回路5は、保持部23から入力される検出電圧と検出線20から入力される検出電圧を比較し、結果を表示制御部3−1に出力する。比較は、検出データが電圧として検出されるので、コンパレータ等を使用することができる。また、検出結果が微小の場合、検出回路5にアンプを設けて検出電圧を増幅し、検出精度を上げることもできる。
【0103】
表示用電圧源13と表示素子11とは画素回路200で接続されている。なお、この図では検出用電流源12と表示用電圧源13のように電源を別々に設けているが、検出構成によっては、電流源または電圧源のどちらかの電源にまとめても良い。表示素子11を水平方向に走査するためのデータラッチスイッチTFT1は画素回路200に含まれており、表示制御部3−1が制御する制御信号が走査線SCANに入力されることで制御を行う。また、受光素子309を水平方向に走査するための画素検出スイッチTFT3は表示制御部3−1が制御する制御信号で制御を行う。
【0104】
図18及び図19は、信号線DATA周辺の構成例である。図18は、表示時の状態を示している。画素PIXELは、表示画素408と検出画素409から構成される。表示画素408は、表示素子11、画素回路200から構成される。なお図17で説明した通り、水平方向走査のためのデータラッチスイッチTFT1は画素回路200に含まれている。検出画素409は、受光専用素子110、画素検出スイッチTFT3から構成される。スイッチ15は、表示制御部3−1が出力する制御信号21で制御する。スイッチ16は、表示制御部3−1が出力する制御信号22で制御する。
【0105】
次に、図18の動作を示す。表示時には表示制御部3−1からの制御信号21と制御信号22によって、スイッチ15がオン、スイッチ16がオフになる。この状態で信号線DATAには、表示制御部3−1からの階調信号が表れる。そして、表示制御部3−1からの階調信号により、画素回路200が表示用電圧源13からの電圧を制御して表示素子11に電圧をかけ、表示画素408を発光させる。このように、各スイッチを制御して順次表示画素を発光させる。
【0106】
図19は検出時の動作を示している。検出時には、表示制御部3−1からの制御信号21と制御信号22によって、スイッチ15がオフ、スイッチ16がオンになる。検出線20には検出用電流源12が接続されており、受光専用素子110の特性から信号線DATAには一定の電圧が生じ、受光専用素子110の状態が検出線20に表れる。この際、受光専用素子110が発光してしまうと、コントラストが低下してパネルの表示品位を低下させてしまうため、検出用電流源12からの電流値は発光素子が非発光となる値に設定しておく必要がある。
【0107】
検出線と表示画素に関する構成例、検出回路5の構成例、検出のタイミング、表示制御における処理を示すフローチャートに関しては、それぞれ図8、図9、図10、図11で示したものを同様に適用できる。なお、これまでの実施例で記載した検出スイッチ4は、ドライバICに内臓することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】暗所における有機薄膜素子のエネルギー準位の模式図である。
【図2】有機薄膜素子に、外光(基板の外側、つまり、有機EL表示装置の外側から照射される光)を照射した場合のホール206、電子207の挙動を示す図である。
【図3】有機薄膜素子における電流/電圧特性の検出結果を示す図である。
【図4】実施例1の表示パネルにおける基本構成図を示す図である。
【図5】図4のさらに詳細なシステム構成図を示す図である。
【図6】表示モードにおける表示素子と他のシステムとの信号経路を示したパネルシステム構成図である。
【図7】検出モードにおける表示素子と他のシステムとの信号経路を示したパネルシステム構成図である。
【図8】基準素子10も含めたパネルシステム構成図である。
【図9】検出回路5の構成例である。
【図10】検出のタイミングを示す図である。
【図11】表示制御部3−1及び検出回路5における検出フローのフローチャートである。
【図12】基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例を示す図である。
【図13】基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例を示す図である。
【図14】基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例を示す図である。
【図15】基準素子、検出線及び表示素子に関する一構成例を示す図である。
【図16】受光素子と発光素子をセットで1画素とした場合の表示パネルにおける基本構成図である。
【図17】図16のシステム構成図の一例を示す図である。
【図18】信号線DATA周辺の構成例を示す図である。
【図19】信号線DATA周辺の構成例を示す図である。
【図20】有機薄膜素子の層構造を示す図である。
【図21】表示画素の画素回路の等価回路を示す図である。
【図22】表示パネルの基本構成図を示す図である。
【図23】に表示素子11の発光を制御する画素回路200の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
SUB・・・ガラス基板、2・・・画素回路、3−1・・・表示制御部、3−2・・・色選択回路、4・・・検出スイッチ、5・・・検出回路、6・・・検出用電源、7・・・表示用電源、10・・・基準素子、11・・・表示素子、、12・・・検出用電流源、13・・・表示用電圧源、
DATA・・・信号線、HDRV・・・信号線駆動回路、VDRV・・・走査線駆動回路、200・・・画素回路、110・・・受光専用素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域に複数の画素を備え、
前記画素は、信号線と、容量と、第1スイッチと、第2スイッチと、電源線と、有機薄膜素子とを備え、
前記有機薄膜素子は、各画素毎に分離されている画素電極と、画素電極と重なる対向電極と、前記画素電極と前記対向電極とで挟まれた有機層を備え、
前記信号線には、階調信号が供給され、
前記容量には、前記階調信号に応じた電位差が保持され、
前記電源線と前記有機薄膜素子との間に、前記容量に保持した電位差に応じて流れる電流量が制御される第1スイッチが接続され、
前記信号線と前記電源線との間に第2スイッチをが接続され、
前記第2スイッチは、前記信号線に階調信号が供給されない期間に、信号線と有機薄膜素子とを接続するように制御されることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
表示領域外にあり、階調信号を出力する駆動回路と、
表示領域外から表示領域内へ伸びている信号線と、
表示領域外から表示領域内へ伸びている電源線と、
表示領域内にある複数の画素と、
を備え、
前記画素は、薄膜トランジスタである第1スイッチ及び第2スイッチと、有機薄膜素子とを備え、
前記有機薄膜素子は、各画素毎に分離されている画素電極と、複数の画素電極と重なる対向電極と、前記画素電極と前記対向電極とで挟まれた有機層を備え、
前記電源線は、前記第1スイッチを介して前記有機薄膜素子に電気的に接続され、
前記信号線は、前記第1スイッチの制御端子に電気的に接続され、
前記信号線は、前記第2スイッチを介して前記有機薄膜素子に電気的に接続され、
前記信号線には、
第1期間に、前記駆動回路からの階調信号が供給され、
第1期間とは異なる第2期間に、前記第2スイッチがオンになり、前記有機薄膜素子から、外光に応じた信号が供給されることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項3】
発光素子と受光素子とを備えた有機EL表示装置において、
前記発光素子は、一対の電極と、その一対の電極に挟まれた有機層を備え、
前記受光素子は、一対の電極と、その一対の電極に挟まれた有機層を備え、
前記発光素子の有機層と前記受光素子の有機層とは層構造が異なることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記受光素子の有機層は、外光で発光しない層であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記受光素子の有機層は、前記発光素子の有機層の一部と同じ材料層を備えていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項6】
請求項3において、
前記受光素子は、前記発光素子で囲まれた表示領域内にマトリクス状に配置されていることとを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項7】
請求項3において、
前記受光素子は、前記発光素子で囲まれた有効表示領域外にあることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項8】
請求項3において、
前記発光素子の有機層は、有機発光層を備え、
前記受光素子の有機層は、前記有機発光層と異なる材料層のみで構成されているか、前記有機発光層と同じ材料かつ前記有機発光層と異なる層厚の材料層を備えていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項1】
表示領域に複数の画素を備え、
前記画素は、信号線と、容量と、第1スイッチと、第2スイッチと、電源線と、有機薄膜素子とを備え、
前記有機薄膜素子は、各画素毎に分離されている画素電極と、画素電極と重なる対向電極と、前記画素電極と前記対向電極とで挟まれた有機層を備え、
前記信号線には、階調信号が供給され、
前記容量には、前記階調信号に応じた電位差が保持され、
前記電源線と前記有機薄膜素子との間に、前記容量に保持した電位差に応じて流れる電流量が制御される第1スイッチが接続され、
前記信号線と前記電源線との間に第2スイッチをが接続され、
前記第2スイッチは、前記信号線に階調信号が供給されない期間に、信号線と有機薄膜素子とを接続するように制御されることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
表示領域外にあり、階調信号を出力する駆動回路と、
表示領域外から表示領域内へ伸びている信号線と、
表示領域外から表示領域内へ伸びている電源線と、
表示領域内にある複数の画素と、
を備え、
前記画素は、薄膜トランジスタである第1スイッチ及び第2スイッチと、有機薄膜素子とを備え、
前記有機薄膜素子は、各画素毎に分離されている画素電極と、複数の画素電極と重なる対向電極と、前記画素電極と前記対向電極とで挟まれた有機層を備え、
前記電源線は、前記第1スイッチを介して前記有機薄膜素子に電気的に接続され、
前記信号線は、前記第1スイッチの制御端子に電気的に接続され、
前記信号線は、前記第2スイッチを介して前記有機薄膜素子に電気的に接続され、
前記信号線には、
第1期間に、前記駆動回路からの階調信号が供給され、
第1期間とは異なる第2期間に、前記第2スイッチがオンになり、前記有機薄膜素子から、外光に応じた信号が供給されることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項3】
発光素子と受光素子とを備えた有機EL表示装置において、
前記発光素子は、一対の電極と、その一対の電極に挟まれた有機層を備え、
前記受光素子は、一対の電極と、その一対の電極に挟まれた有機層を備え、
前記発光素子の有機層と前記受光素子の有機層とは層構造が異なることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記受光素子の有機層は、外光で発光しない層であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記受光素子の有機層は、前記発光素子の有機層の一部と同じ材料層を備えていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項6】
請求項3において、
前記受光素子は、前記発光素子で囲まれた表示領域内にマトリクス状に配置されていることとを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項7】
請求項3において、
前記受光素子は、前記発光素子で囲まれた有効表示領域外にあることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項8】
請求項3において、
前記発光素子の有機層は、有機発光層を備え、
前記受光素子の有機層は、前記有機発光層と異なる材料層のみで構成されているか、前記有機発光層と同じ材料かつ前記有機発光層と異なる層厚の材料層を備えていることを特徴とする有機EL表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2008−262176(P2008−262176A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59938(P2008−59938)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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