説明

有機EL装置および電子機器

【課題】基板を通じて光を放出する構造を持ち画素内の電圧降下を抑制することが可能な有機EL装置を提供する。
【解決手段】有機EL装置は、透光性を有する基板10と、基板10上に形成された有機EL素子12とを備える。有機EL素子12は、透光性を有する画素電極16と、この画素電極16に対向する対向電極20と、それらの間に配置された発光機能層18を有し、有機EL素子12内の領域において、画素電極16には部分的に線状の導体15が接触しており、線状の導体15は画素電極16よりも抵抗率が小さい材料から形成されている。有機EL素子12内つまり画素内の領域において、導体15が画素電極16に接触しているために、画素内つまり有機EL素子12内の電圧降下を抑制することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置およびこれを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型で軽量なディスプレイを実現できる光源として、有機EL素子(organic electroluminescent device)つまりOLED(organic light emitting diode)素子が注目を集めている。有機EL素子は、電子写真方式の印刷装置の感光体ドラムに静電潜像を書き込む露光装置としても使用されうる。多数のEL素子が設けられた基板では、基板における位置によってEL素子に印加される電圧の降下がばらつきEL素子の輝度が位置によってばらつくおそれがある。有機EL素子をディスプレイまたは露光装置に搭載する場合には、画素つまり有機EL素子ごとに駆動する必要があるため、画素の一つ一つに配線やTFT(薄膜トランジスタ)が必要となる。ところが、画素が小さくかつ密集している場合には、配線が細くなる。また、大画面化などのために多数の有機EL素子を基板に設ける場合には、配線が長くなる。これらの理由で、配線抵抗の影響が大きくなると、電圧降下のばらつきも大きくなる 。最近、ディスプレイは高精細・大型化していく傾向が非常に強いので、今後、この問題はより深刻になっていくと予想される。このような問題を解決するため、特許文献1に記載の技術では、有機EL素子を駆動するTFTと外部電源との間には、できるだけ電気抵抗を小さくするよう、銅を主成分とする配線が配置されている。
【0003】
また、複数の有機EL素子に共通する共通電極が設けられ、共通電極が例えばITO(indium tin oxide)などの比較的抵抗率が高い材料から形成されている場合には、やはり位置によってEL素子に印加される電圧の降下がばらつきEL素子の輝度が位置によってばらつくおそれがある。そこで、特許文献2および特許文献3の各々に記載の技術では、共通電極に接触するようにアルミニウムなどの電気抵抗率の小さい材料を光の放出の邪魔にならない位置に配置し、共通電極側の抵抗を下げている。
【0004】
【特許文献1】特開2004-139057号公報
【特許文献2】特開2001-236027号公報
【特許文献3】特開2005-283922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の先行技術では、画素(有機EL素子)と電源の間の電圧降下についてのみ検討されてきたが、画素内の電極の抵抗の影響については議論されてこなかった。しかしながら、有機EL素子を駆動すると、各画素内においても、画素に給電する端子(つまり電極と導電体との接点)から遠ざかるに従い、電極の抵抗の影響で電圧降下が生じるため、画素内で輝度が均一にならない問題がある。特に、ボトムエミッション構造(基板を通じて光を放出する構造)においては、透明電極としてITOなどの比較的電気抵抗率の高い材料を採用するか、導電体を極めて薄く形成せざるを得ないため、この問題が顕著に現れていた。画素ひとつあたりの面積は非常に小さいことが多いため、人間の目で観測する限り表示品質または印刷品質に影響はないかもしれないが、端子周辺部に負荷(電子と正孔の結合)が集中し、その結果有機EL素子内の領域の一部が早く劣化し、短寿命になってしまうことが問題となっている。
【0006】
そこで、本発明は、基板を通じて光を放出する構造(つまりボトムエミッション構造またはデュアルエミッション構造)を持ち画素内の電圧降下を抑制することが可能な有機EL装置およびこれを有する電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る有機EL装置は、基板と、前記基板上に形成された発光素子とを備え、前記発光素子は、基板側電極と、この基板側電極に対向する対向電極と、それらの間に配置された発光層を有し、前記発光素子内の領域において、前記基板側電極には部分的にの導体が接触していることを特徴とする。本発明では、発光素子内つまり画素内の領域において、導体が基板側電極に接触しているために、基板側電極と導体の組合せの構造での抵抗値が減少し、画素内の電圧降下を抑制することが可能である。従って、発光素子の負荷が分散され、発光素子内の領域の一部が早く劣化する問題が抑制される。
また前記基板及び前記基板側電極は透光性を有し、前記導体は線状であることが好ましい。画素内においてこの導体の配置された部分では、透光性を有する基板側電極だけの部分よりも発光層で発した光の透過性に劣るが、線状であって基板側電極に部分的に接触しているため、画素内において光が放出されない部分の面積を少なくすることができる。
【0008】
前記の導体は前記基板側電極よりも抵抗率が小さい材料から形成されていると好ましい。これにより、画素内の電圧降下を抑制することが容易である。
【0009】
前記の導体は前記基板側電極より熱伝導率が高いと好ましい。有機EL素子つまり発光素子においては、自発熱により有機EL素子自身が劣化してしまうという問題があり、この問題は熱のこもりやすい画素の中心部で特に顕著である。しかし、発光素子内の領域において、熱伝導率が高い線状の導体が基板側電極に接触していることにより、発光素子、特にその中心部から熱が逃げやすくなり、発光素子が早く劣化する問題が抑制される。
【0010】
前記基板と前記基板側電極の間に配置され、前記発光素子に給電するトランジスタをさらに備え、前記線状の導体が前記トランジスタの電極と前記基板側電極の間に介在していると好ましい。このように線状の導体がトランジスタの電極と基板側電極の間に介在することにより、発光素子で生じた熱が線状の導体を通じてトランジスタに伝導しやすくなる。従って、発光素子が早く劣化する問題が抑制される。
【0011】
前記線状の導体は、前記基板側電極のうち前記発光層と反対側の面に接触していると好ましい。有機EL装置の製造プロセスでは、例えばバンク(隔壁)を形成する工程などでエッチングを利用することが多い。基板側電極のうち発光層側の面に線状の導体を配置した場合には、ウェットエッチングによって基板側電極を露出させる工程で、導体がその材質によっては電食を起こすおそれがある。しかし、基板側電極のうち発光層と反対側の面に線状の導体が接触している場合には、ウェットエッチングで基板側電極を露出させる工程でも、その導体には影響がほとんどない。従って、導体の材料の選択肢が多くなる。
【0012】
前記基板と前記基板側電極の間に配置された絶縁体の層をさらに備え、前記絶縁体の層に凹部が形成されており、前記凹部に前記線状の導体が配置されていると好ましい。このように、凹部に線状の導体を配置することによって、これに重なる基板側電極に凹凸が生じることを低減または防止することができる。
【0013】
本発明に係る電子機器は、前記の有機EL装置を備えるので、画素内での電圧降下を抑制でき、有機EL素子の劣化が抑制される。そのような電子機器としては、例えば、有機EL装置を画像表示装置として備える各種の機器、または有機EL装置を露光装置として備える電子写真方式の印刷装置がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。なお、図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異なる。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る有機EL装置1を示す断面図である。有機EL装置1は、基板10と基板10上に形成された複数の有機EL素子(発光素子)12を備える。より具体的には、基板10の上には、有機EL素子12にそれぞれ給電して発光させるための複数のTFT(薄膜トランジスタ)32が形成されており、これらのTFT32を覆う無機絶縁体の層30が形成されている。また、基板10には、TFT32に給電して有機EL素子12を発光させるための配線が配置されているが、配線の図示は省略する。この実施の形態の有機EL装置1は、ボトムエミッションタイプまたはデュアルエミッションタイプであり、基板10は透光性材料、好ましくはガラスから形成されている。無機絶縁体の層30は、例えば酸化珪素または窒化珪素などから形成されている。
【0015】
無機絶縁体の層30の上には、例えば酸化珪素または窒化珪素などの無機絶縁体から形成された下地層34が形成されており、下地層34の上には、複数の有機EL素子12を互いに区分する隔壁(バンク)14が形成されている。隔壁14は、絶縁性の透光性樹脂材料、例えばアクリル、エポキシまたはポリイミドなどにより形成されている。図示しないが、隔壁14と下地層34の間には、アクリル、エポキシまたはポリイミドよりも有機EL素子12の発光機能層18(後述する)の材料液体に対する親液性が高い材料、例えば酸化珪素または窒化珪素から形成された親液層を設けてもよい。また、絶縁性の無機材料、例えば酸化珪素または窒化珪素を隔壁14の材料としてもよい。
【0016】
有機EL素子12の各々は、透光性を有する画素電極(基板側電極)16、発光機能層18および対向電極20を有する。画素電極16は、下地層34上に形成されており、その端部には隔壁14の一部が重なっている。画素電極16は、有機EL素子12の各々に設けられており、下地層34を貫通してTFT32まで延びる貫通孔36内に配置された導体によって、TFT32と接続されている。
【0017】
発光機能層18は、隔壁14で区画された各空間内に配置されている。換言すると、隔壁14は、複数の有機EL素子12の発光機能層18を区分している。発光機能層(発光に寄与する層)18は、少なくとも有機発光層を含み、有機発光層は正孔と電子が結合して発光する有機EL物質から形成されている。この実施の形態では、有機EL物質は高分子材料であって、例えば、その材料は、インクジェット法、ディスペンサ法などの液体供給方法で、隔壁14で区画された各空間内に供給される。発光機能層18を構成する他の層として、電子ブロック層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層および正孔ブロック層の一部または全部を備えていてもよい。但し、発光機能層18を構成する層は、低分子材料から形成されてもよく、例えば蒸着のような堆積法で形成されてもよい。
【0018】
対向電極20は、複数の有機EL素子12の発光機能層18に接触している。つまり、対向電極20は、複数の有機EL素子12に共通するように、隔壁14で画定された発光機能層18の区域および隔壁14上に広がっている。例えば真空蒸着法で対向電極20を形成することができる。
【0019】
この実施の形態では、画素電極16は陽極で、対向電極20は陰極だが、その逆であってもよい。対向電極20の材料および厚さは、エミッションタイプに応じて適宜選択されうる。つまり、ボトムエミッションタイプでは対向電極20は不透明な材料から形成される。デュアルエミッションタイプでは対向電極20の主成分として透光性材料、例えばITOが選択される。デュアルエミッションタイプでは、対向電極20の材料は、導電性が高い金属または合金であってもよいが、その場合には対向電極20は極めて薄く形成されて透光性を有する。
【0020】
透光性を有するな画素電極16は、例えばITOのような透光性材料を主成分として形成される。画素電極16の材料は、導電性が高い金属または合金であってもよいが、その場合には画素電極16は極めて薄く形成されて透光性を有する。
【0021】
図示しないが、有機EL素子12の発光機能層18を水分および酸素から保護するために、公知の封止膜で対向電極20を覆ってもよいし、公知の封止キャップを基板10に接合してもよい。また、この有機EL装置1をカラー画像表示装置として使用する場合、発光色の色度を改善するために、光が放出される側にカラーフィルタを配置してもよい。
【0022】
図2は一つの有機EL素子12の画素電極16の平面図であり、図3は第1の実施の形態に係る有機EL装置1を示す他の断面図である。具体的には、図1は図2のA−A線矢視断面図であり、図3は図2のB−B線矢視断面図である。図1〜図3に示すように、この有機EL装置1では、各々の有機EL素子12内の領域において、画素電極16には部分的に線状の導体15が接触している。この実施の形態では、導体15は、下地層34の上に形成された線状の導体15aと、同様に下地層34の上に形成され導体15aと交叉する線状の導体15bを備える。これらの導体15a,15bの上に画素電極16が重なっている。つまり、線状の導体15は、画素電極16のうち発光機能層18と反対側の面に接触している。
【0023】
この実施の形態では、有機EL素子12内つまり画素内の領域において、導体15が画素電極16に接触しているために、画素電極16と導体15の組合せの構造での抵抗値が減少し、画素内の電圧降下を抑制することが可能である。従って、有機EL素子12の負荷(電子と正孔の結合)が分散され、有機EL素子12内の領域の一部が早く劣化する問題が抑制される。
【0024】
導体15の材料としては、電気抵抗の低い材料が好ましい。例えば、導体15a,15bの各々は、アルミニウムの単層膜として形成してもよいし、チタンとアルミニウムの積層膜として形成してもよい。画素電極16が金属または合金から薄く透光性を有するように形成される場合、導体15と画素電極16の材料は同じでもよい。但し、多くの場合(例えば画素電極16が酸化透光性材料から形成されている場合)には、導体15は画素電極16よりも抵抗率が小さい材料から形成されていることが好ましい。導体15の抵抗率が小さいことにより、画素内の電圧降下を抑制することが容易である。
【0025】
また、線状の導体15は画素電極16より熱伝導率が高いと好ましい。有機EL素子においては、自発熱により有機EL素子自身が劣化してしまうという問題があり、この問題は熱のこもりやすい画素の中心部で特に顕著である。しかし、有機EL素子12内の領域において、熱伝導率が高い線状の導体15が画素電極16に接触していることにより、有機EL素子12、特にその中心部から熱が逃げやすくなり、有機EL素子12が早く劣化する問題が抑制される。
【0026】
導体15は、画素電極16と導体15の組合せの構造での抵抗値を減少させる目的で設けられているので、画素電極16以外の導体または半導体に接触している必要は必ずしもない。但し、この実施の形態では、線状の導体15がTFT32の電極と画素電極16の間に介在しており、導体15のうち導体15bが貫通孔36内に配置された導体に直接的に接触している。このように線状の導体15がTFT32の電極と画素電極16の間に介在し、さらにTFT32の電極と導体を介して接続されていることにより、有機EL素子12で生じた熱が線状の導体15を通じてTFT32に伝導しやすくなる。従って、有機EL素子12が早く劣化する問題が抑制される。
【0027】
また、この実施の形態では、上記の通り、線状の導体15は、画素電極16のうち発光機能層18と反対側の面に接触している。有機EL装置の製造プロセスでは、例えばバンク(隔壁)を形成する工程などでエッチングを利用することが多い。画素電極16のうち発光機能層18側の面に線状の導体15を配置した場合には、ウェットエッチングによって画素電極16を露出させる工程で、導体15がその材質によっては電食を起こすおそれがある。しかし、画素電極16のうち発光機能層18と反対側の面に線状の導体15が接触している場合には、ウェットエッチングで画素電極16を露出させる工程でも、導体15には影響がほとんどない。従って、導体15の材料の選択肢が多くなる。
【0028】
但し、図示しないが、線状の導体15は、画素電極16のうち発光機能層18側の面に接触していてもよい。例えば、上記のようなウェットエッチングを使用しない場合、およびウェットエッチングの代わりにドライエッチングなどの他の技術を使用する場合には、導体15をこのように配置しても電食の問題は生じない。また、ウェットエッチングの液に対して耐食性がある材料を導体15として使用する場合には、導体15をこのように配置しても電食の問題は生じないか極めて少ない。
【0029】
導体15は、透光性を有する画素電極16よりも発光機能層18で発した光の透過性に劣るが、線状であって画素電極16に部分的に接触しているため、画素内において光が放出されない部分の面積を少なくすることができる。つまり開口率を極端に小さくしないで済む。例えば、一つの実施例として、有機EL素子12が図2のようなトラック形状であって、長軸150μm、短軸50μmである場合に、導体15a,15bの線幅をおよそ5μmとして形成した。このような例では、表示品質を損なわず、抵抗と発熱の影響を抑えることができた。
【0030】
導体15a,15bの厚さは、発光機能層18の成膜に悪影響を及ぼさない限り、特に限定されない。例えば、一つの実施例として、導体15a,15bの厚さを10nmとして形成したところ、段差の影響がほとんどなく発光機能層18を成膜することができた。この場合の発光機能層18の全体の厚さは、100nm〜200nm程度であった。
【0031】
<第2の実施の形態>
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る有機EL装置を示す断面図であり、図5は、第2の実施の形態に係る有機EL装置を示す他の断面図である。第1の実施の形態と共通する構成要素を示すために、図4および図5では図1ないし図3と同一の符号を使用し、それらを詳細には説明しない。一つの有機EL素子12の画素電極16の平面図は図2と同じであり、図4は図2のA−A線矢視断面図にあたるもの、図5は図2のB−B線矢視断面図にあたるものである。
【0032】
図1および図3に示すように第1の実施の形態では、画素電極16の上面に導体15由来の凹凸つまり段差が微小とはいえ生じている。第2の実施の形態では、図4および図5に示すように、下地層34に導体15a,15bを受け入れる凹部が形成されている。あるいは、下地層34上に、そのような凹部を持つ別の層を形成してもよい。このように、凹部に線状の導体15a,15bを配置することによって、これに重なる画素電極16に凹凸が生じることを低減または防止することができる。
【0033】
<他の変形>
図6は、線状の導体の各種の変形パターンを示す平面図である。第1および第2の実施の形態では、導体15は、図2に示すように、短い線状の導体15aと長い線状の導体15bが十字形に配置された構成である。しかし、導体15のパターンつまりレイアウトは、図2に限定されるのではなく任意である。例えば、図6(A)に示すように、ほぼ長円形で長手方向両端から直線状の部分が延びるレイアウトが考えられる。また、図6(B)に示すように、平行な複数の線状の部分を持つレイアウトも考えられる。さらに、図6(C)に示すように、複数の短い線状の導体が一つの長い線状の導体に直交するレイアウト、図6(D)に示すように、二つの線状の導体が互いに斜めに交叉するレイアウトが考えられる。図6に示すレイアウトの他のレイアウトを使用してもよい。また、複数の有機EL素子12において、異なる導体のレイアウトを使用してもよい。
【0034】
<応用>
次に、本発明に係る有機EL装置を適用した電子機器について説明する。図7は、上記実施形態に係る有機EL装置1または2を画像表示装置に利用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての有機EL装置1と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。
図8に、上記実施形態に係る有機EL装置1または2を適用した携帯電話機を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての有機EL装置1を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、有機EL装置1に表示される画面がスクロールされる。
図9に、上記実施形態に係る有機EL装置1または2を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての有機EL装置1を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が有機EL装置1に表示される。
【0035】
本発明に係る有機EL装置が適用される電子機器としては、図7から図9に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。ほかに、像担持体に光を照射して静電潜像を形成するプリンタヘッドのような発光源に有機EL装置1または2を用いた、電子写真方式を利用した画像印刷装置も、そのような電子機器に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る有機EL装置を示す断面図である。
【図2】図1の有機EL装置のうち、一つの有機EL素子の画素電極と線状の導体の平面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る有機EL装置を示す他の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る有機EL装置を示す断面図である。
【図5】第2の実施の形態に係る有機EL装置を示す他の断面図である。
【図6】線状の導体の各種の変形パターンを示す平面図である。
【図7】本発明に係る有機EL装置を有するパーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る有機EL装置を有する携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る有機EL装置を有する携帯情報端末の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1,2 有機EL装置、10 基板、12 有機EL素子(発光素子)、15,15a,15b 導体、16 画素電極(基板側電極)、18 発光機能層、20 対向電極、30 絶縁体の層、32 TFT(薄膜トランジスタ)、34 下地層、36 貫通孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された発光素子とを備え、
前記発光素子は、基板側電極と、この基板側電極に対向する対向電極と、それらの間に配置された発光層を有し、
前記発光素子内の領域において、前記基板側電極には部分的に導体が接触していることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記基板及び前記基板側電極は透光性を有し、前記導体は線状であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記導体は前記基板側電極よりも抵抗率が小さい材料から形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記導体は前記基板側電極より熱伝導率が高いことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記基板と前記基板側電極の間に配置され、前記発光素子に給電するトランジスタをさらに備え、
前記導体が前記トランジスタの電極と前記基板側電極の間に介在していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記導体は、前記基板側電極のうち前記発光層と反対側の面に接触していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記基板と前記基板側電極の間に配置された絶縁体の層をさらに備え、
前記絶縁体の層に凹部が形成されており、前記凹部に前記の導体が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の有機EL装置を備える電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−310099(P2008−310099A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158353(P2007−158353)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】