説明

材料の画像化

対象物の画像を生成して表示するための装置は、放射線発生源および、相互間に走査ゾーンを定義するために、相互に間隔を隔てた、入射放射線を分光的に分解することができる少なくとも2つの一連のリニア放射線検出器;使用時に対象物を、前記走査ゾーンに対しておよび当該走査ゾーンを通って移動させる手段;この種の各画像が分光的に分解された入射放射線の表示を含むように、第1のリニア検出器の出力から少なくとも第1の画像、第2のリニア検出器の出力から第2の画像、および第3の画像を生成する画像生成装置;この種の少なくとも前記第1、第2および第3の画像を連続的に表示し、したがって前記画像間に単眼の運動視差を表示するのに適する画像ディスプレイ、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を検出し、画像化し、そして3次元空間で材料を特徴づける方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、それらの内部の中身および/または組成についての情報を得ることが望まれる対象物を走査するために、高エネルギー放射線(例えばX線またはガンマ線)を使用する装置および方法に関する。本発明は、特に、3次元の対象物が走査ゾーンを通って移動されるライン走査の原理に作用して、収集される情報を画像化する装置および方法に関する。これらの原理は、それらの内部の中身についての情報を得ることが望まれる対象物を走査するために、例えばセ刺激リティ産業において広く使用される。しかし、他の分野(例えば、これに限定されないが、医療の画像化、品質管理目的のための画像化、または構造の完全性を決定する目的、等)においても使用されてもよい。
【0003】
ライン走査の原理を使用する画像化装置は、周知である。概して、この種の装置は、X線発生源のような高エネルギー放射線発生源を含み、そして、本明細書における例示のために、さらなる考察を特にX線システムについて記述する。発生源のビームは、カーテン内へコリメートされてもよく(通常「カーテンビーム」と呼ばれる)、それから、例えばリニア・ホトダイオードアレイを含むリニア検出器アレイによって検出されてもよい。ビームに対して対象物のリニアに関係する運動(例えば直角に)を有することによって、そして、完全な画像フレームが編集されることができるリニアアレイに由来するX線伝送情報の連続的な走査を記憶することによって、画像情報が得られる。
【0004】
走査される対象物がX線放射を不均一に透過し、例えば、複数のより小さい対象物および/または異種の材料の構成要素からなるか、またはそれらを含んでいる場合、その内容物または構成要素が所定の場合において、その対象物の画像を形成することは可能である。画像は、それから、ビューイングスクリーンに表示されてもよい。この画像は、例えば、上述で概説した可能な応用に関連して有用であり得る。特に、容器の中身または対象部または本体の内部構造を決定することにおいて有用であり得る。
【0005】
それでも、この種のX線装置によって生成される画像は、制限される。せいぜい、それは、画像化される対象物の2次元の影絵(shadowgraph)を構成する。このことは、それを解釈することを困難にする。
【0006】
欧州特許第EP610084号は、見るための「2.5D」立体模型像(solid model picture)を作成する方法を記述する。X線の立体視ペア画像は、X線発生源に由来する2つの発散的なカーテンビームを使用して得られる。これらは、結果として生じるスライス情報から構成される複合スライスおよび2.5D画像に分離される。
【0007】
結果として生じる画像が完全な立体視装置によってよりはむしろ2次元のスクリーンに提示されるという理由から、その画像は厳密には3次元画像(しばしばそのように言及されるにもかかわらず)ではない。この種の2.5D表示は、事実、完全な3次元画像にとって要求される両眼視差または立体知覚として知られる完全な生理的深度刺激よりむしろ、リニア遠近法、干渉、陰影およびシャドーイングのような深度の心理的刺激を含む。
【0008】
欧州特許第EP610084号の方法は、さらに、回転されることができて、別々の方向から注目されることができる最終画像、そして、別々の対象物または複合物の相対的な位置に関しては相当な情報を与えることができる最終画像をユーザに提供する。しかしながら、それは、位置した品目の性質に関しては、情報を与えない。
【0009】
英国特許第UK2329817号および第UK2360685号は、完全な立体視ペア画像を発生するために用いることができる方法およびシステムの例である。それらは、最終的に、欧州特許第EP0261984号において述べられる原理に由来する。特に、それらは、第4欄第31〜48行で述べられる、検出器およびビーム発生源の形状(geometry)に相当な制約条件を課すという状況に制約される。立体視的な画像化が比較的強力な技術でありえるにもかかわらず、深度情報に関して完全な生理的刺激を利用すること、したがって、対象物または構成要素をいっそう直ちにそして明らかに識別するために、X線装置のユーザに対してポテンシャルを提供することは、実際的なオペレーションにおいて複雑でありえる。立体的な効果を利用するために、観察者は、各目で別々の画像を同時に受け入れることが必要である。これは、特別な装置の使用を必要とする。さらに、完全な立体視的な技術は、上記で識別される状況を考慮する画像収集プロセスの正確なコントロールを要求する。立体視ペア画像が有効である場合、それぞれの画像は、観察者の目によって許容される密に接近した視差によって収集されなければならない。これらの理由により、完全な立体視的な画像化は、この種の走査マシンにとって広く受け入れられていなかった。
【0010】
従来の非立体視的な装置および方法が、3次元において限られた情報を与えるという傾向があるだけでなく、それらが発生する画像もまた、材料の中身についての限られた情報を与える。本質的には、最も簡潔的にいえば、測定される全ては、X線の透過性である。
【0011】
最も実用的なシステムにおいてさえ、これは間接的に測定される。最も簡潔的にいえば、通常のリニアアレイX線検出器は、伝送されたX線に反応するシンチレータ材料を組み合わせで備えており、これは、次いで、低周波放射線および例えば光を、例えばこの低周波放射線に反応するシリコンまたはガリウムヒ素ベースの検出器などの半導体検出器と組み合わせて、可視領域中に、または可視領域周囲に放射する。この検出器は、振幅情報を単に収集するのみであり、分光的に弁別しない。
【0012】
しかしながら、伝送されるX線からの分光情報は、走査される対象物または構成要素の材料の中身についての追加情報を与えるために使用できることが知られている。このことは、X線放射の全スペクトルから低エネルギーバンドおよび高エネルギーバンドを別々に識別することができる、二重バンド検出器の開発に至った。この種の二重エネルギーセンサは、概して、それぞれの検出器が低エネルギーX線および高エネルギーX線の伝送を検出するように構成されるシンチレータ構成と連動する、半導体ホトダイオードアレイ等のサンドイッチペアを含む。任意の材料のX線吸収特性は分光的に変化することができ、そして、吸収特性の変化する量は特に原子番号に依存することが知られている。このことは、主に、より低い原子番号の元素を有する対象物と、より高い原子番号の元素を有する対象物とを一般に区別するために、二重エネルギー検出器によって利用される。
【0013】
セ刺激リティまたは材料識別システムの一部として利用されるときに、有機材料は前者のカテゴリである傾向があり、そして大部分の無機材料は後者のカテゴリである傾向がある、非常におおざっぱな近似がなされることができる。しかしながら、この種のシステムでさえ、組成物についての限られた情報のみを与える。有機/無機の分割は、おおざっぱでおよび近似であり、対象物がX線パスにおいて重ね合わせられることによって直ちに混同されることが可能であり、対象物の結晶のまたは多結晶の性質に関して情報を与えない。
【0014】
英国特許第UK2329817号および英国特許第UK2360685号は、二重エネルギー伝送検出器を組み込む。それでも、装置によって与えられる構成情報は、例えば、低い/より高いエネルギーの二重性効果が、有機/無機の分割のおおざっぱな近似のみを与えることができて、それ自体、多結晶の材料を区別することができないという、なお制限がある。
【0015】
このために、言及は、追加の散乱検出器を含む。X線は、それらが通過する材料によって散乱され、そして、これらの散乱による信号は、散乱する材料を識別するために用いられてもよい情報を含むことができる。セ刺激リティ問題(例えば爆発物、麻薬および半導体物質)を起こす材料の多くが、多結晶の構造を有し、したがって良好な散乱信号を発生するので、これらの検出器にとって大きな適用可能性がある。追加の散乱検出器がシステムにより大きな複雑さを導入し、そして、散乱するビームは弱くてそれで処理能力が制限されるので、散乱信号から材料を識別するこの技術は、たとえ可能であるとしても、現在は商業的に用いられない。
【0016】
X線のライン走査技術は、複雑でそして変化する形状および組成の対象物の検出および分化が重要な特徴である、セ刺激リティの用途に広く使われている。特に組成がよりよく特徴を描写されることもできる場合、この種の対象物の3次元空間における正確な形状および位置のより良好な分解能は、現在の技術上の相当な進歩である。
【発明の概要】
【0017】
本発明の目的は、従来技術におけるライン走査システムの上記の不利点のいくつかまたは全てを軽減することである。
【0018】
本発明の特定の目的は、対象物の、そして特に、3次元空間におけるそれらの形状および/または位置についての追加情報を提供する、多数の対象物のまたは多数の構成要素を含む対象物のコンテナの、ライン走査のための方法および装置を提供することである。
【0019】
本発明の特定の目的は、特別の表示装置を必要とせず、しかし2次元の表示スクリーン上に効果的に提示されることが可能な、対象物の3次元空間における形状および/または位置についての情報を提供する画像を生成する、方法および装置を提供することである。
【0020】
本発明の特定の目的は、対象物の3次元空間における形状および/または位置の解明を支援するために、対象物の3次元空間における組成についての情報を提供する画像を生成する、方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明の一態様によれば、対象物の画像を生成して表示するための以下を含む装置が提供される:X線またはガンマ線発生源のような高エネルギー放射線発生源および、相互間に走査ゾーンを定義するために、相互に間隔を隔てた、入射放射線を分光的に分解することができる、X線またはガンマ線検出器のような適用可能な少なくとも2つでかつ好ましくは3つ以上の一連のリニア放射線検出器;使用時に対象物を、前記走査ゾーンに対しておよび当該走査ゾーンを通って移動させる手段;この種の各画像が分光的に分解された入射放射線の表示を含むように、第1のリニア検出器の出力から少なくとも第1の画像、第2のリニア検出器の出力から第2の画像、および第3の画像を生成する画像生成装置;この種の少なくとも前記第1、第2および第3の画像を連続的に表示し、したがって前記画像間に単眼の運動視差を表示するのに適する画像ディスプレイ。
【0022】
類推的に、本発明のさらなる態様によれば、対象物の画像を得るための以下のステップを含む方法が提供される:X線またはガンマ線発生源のような高エネルギー放射線発生源および、相互間に走査ゾーンを定義するために、相互に間隔を隔てた、入射放射線を分光的に分解することができる、X線またはガンマ線検出器のような適用可能な少なくとも2つでしかし好ましくは3つ以上の一連のリニア放射線検出器を設けるステップ;対象物を前記走査ゾーンに対しておよび当該走査ゾーンを通って移動させ、これにより、第1のリニア検出器の出力から少なくとも第1の、分光的に分解された入射放射線の表示を含む画像を生成するステップ;第2のリニア検出器の出力から少なくとも第2の、前記第1の画像とは異なる視点を有する、分光的に分解された入射放射線の表示を含む画像を生成するステップ;少なくとも第3の、これもまた分光的に分解された画像を生成するステップ;少なくともこの種の第1、第2および第3の画像を連続的に表示し、したがって前記画像間に単眼の運動視差を表示するステップ。
【0023】
さらに、画像は異なる既知のエネルギーで作成されることができるので、多くの別々のエネルギーで画像を得ることが可能である。単眼の運動視差効果は、各エネルギー準位から、または、多くのエネルギー準位の組合せから作成されることができる。
【0024】
したがって、本発明の第1および第2の態様の装置および方法によれば、対象物と発生源/検出器の装置との間で相対的運動が生じるので、連続的な画像が生成される。例えば対象物の取扱手段を含む適切な手段が、対象物と走査ゾーンとの相対的運動を生じさせるために提供される。対象物にとって、例えば適切な対象物の取扱手段またはコンベヤによって、静止した走査ゾーンを通って移動されることはしばしば便利であってもよいが、しかし、対象物を静止状態に保ち、相対的運動を作成するために検出器および発生源を平行移動することも有効であることはいうまでもない。
【0025】
少なくとも3つの画像が、X線または他の放射線のリニア検出器のうちの少なくとも1つの間隔を隔てたペア(および好ましくは一連の3つ)から生成される。本発明の2つの特有の特徴は、画像を分解する際に、そして特に、画像の複数の対象物、構成要素または部分を分解する際に、ユーザを支援するために、共同使用可能に動作する。第1に、複数の画像が生成されるにもかかわらず、画像は立体視的な効果を提供するつもりで、ペア画像として収集されて表示されるのではない。むしろ、本発明は、連続的な画像間に単眼の運動視差を利用する。第2に、各画像は、入射X線または他の放射線を分光的に分解することができるX線または他の放射線のリニア検出器を使用することによって、収集される区別された分光情報の表示を含む。この2つの効果は、画像解釈を支援する際に互いに補強する。
【0026】
単眼の運動視差は、任意のペア画像にとって効果があるとはいえ、連続的に連なる多数の画像が使用される場合に、3次元空間において位置する特に対象物に関して、それのみでいくつかの有効な生理的刺激を与えることができる。しかしながら、それは、完全な立体視システムにわたる多くの単純性の利点を有する。
【0027】
特に、画像は、個々の2次元画像として連続的に表示され、そして特別の装置を必要としない。システムは、単眼視差を利用する。立体視の場合のように、ユーザの目の各々のための別々の画像を同時に生成することは必要でない。両眼用または他の複合の立体視装置は、要求されない。単純な単眼のディスプレイで充分である。さらに、両眼視差を有効に利用するのに必要な画像制作での比較的厳しい管理は、適用しない。例えば、有効な両眼視差のペア画像にとって、画像は、両者間の視差が人間の観察者によって耐えられる程度に密接にマッチするように生成されることを必要とする。対照的に、3次元における運動の有効な単眼視差の錯覚は、より大きな範囲の連続的な画像によって発生されることができる。欧州特許第EP0261984号において上で数値的に述べたように、従来技術の立体視的な画像化に適用されるビーム形状(beam geometry)の狭い条件に対応することは必要でない。この技術は、したがって、実際には潜在的にずっと強靱である。
【0028】
本発明の第1および第2の態様に従ったシステムおよび方法は、従って、両眼の方法および装置よりも、多くの実際の状況において、潜在的に簡素であり、重要なことに、本発明は、限定された変更を有しつつも、現行の装置および技術に対する応用により適する。例えば、X線検出器のリニアアレイを用いたX線ライン走査が広範に用いられているセ刺激リティ業界において、本発明の方法に従って作製された画像は2次元のビデオ表示スクリーン上に表示可能であり、情報は、そのような画像から、実質的に従来の方法においてそのようなスクリーンの所に着座したユーザによって取得可能である。
【0029】
単眼の運動視差効果は、画像ペアにおける理論において存在しており、ユーザが対象物を分解可能である3次元における視覚的刺激、および特に、走査されるその個々の中身および/または構成要素は、かような簡素な画像ペアから取得可能である。しかしながら、その効果は向上され、特に、一連の2つ以上の連続した画像が生成され、表示される場合、3次元における動きのより効果的な影響が得られる。本発明によれば、少なくとも3つの画像が生成される。より好ましくは少なくとも5つの、さらにもっと好ましくは少なくとも6つの画像が生成される。
【0030】
追加的な画像が生成されることのできる2つの方法がある。第1に、横方向に間隔を置かれた2つ以上の一連のX線または他の放射線のリニア検出器(例えば少なくとも3つの検出器、より好ましくは少なくとも5つの検出器)が、提供されてもよい。この種の検出器の各出力は、それから、その検出器で収集されるデータの画像表現を生成するために、単独で用いられてもよい。
【0031】
横方向に間隔を置かれた複数の一連のリニア検出器が備わる場合には、それら相互間の間隔は好ましくは一般に一定であり、例えば、一連の検出器の隣接する各ペアが、実質的に等しく横に間隔を隔てるおよび/または、X線または他の放射線発生源に対して実質的に等しい角度間隔にある。
【0032】
横方向に間隔を置かれた一連に並ぶX線または他の放射線のリニア検出器は、好ましくは一般に平行である。それらは、共通の平面にまたは共通の円弧に沿って配置されてもよい。X線または他の放射線の各リニア検出器は、任意の適切な構成、例えば従来の単純なまたは折り畳みの構成であってもよい。
【0033】
好ましくは、横方向に間隔を置かれた一連に並ぶリニア検出器は、それら相互間の距離が、各アレイ間の一定の角度分離を維持するために変更するように配置される。このことは、多くの走査産業において一般に見られるL字状の検出器のためにきわめて重要である。この革新はまた、放射線の発生源が各アレイの中心点に置かれないときにきわめて重要である。
【0034】
好ましくは、装置は、上述されるように、各リニア検出器の配列を可能にさせる位置合わせ手段を含む。
【0035】
好ましくはこの装置は、好ましくは単一のX線または他の放射線発生源からの複数の光線を分配する手段を含む。例えば、ビームは各リニア検出器に導かれる。好ましくは、複数の光線を分配する手段によって、ユーザは、複数のアレイにおける検出器の数に対応する所望数の光線を選択することができる。都合の良いことに、この装置は、ユーザが単一の放射線発生源から2つ〜5つの光線を選択することができるのに適するコリメータを含む。
【0036】
加えて、またはあるいは、さらなる画像が、隣接するリニア検出器から収集される画像ペアの補間によって生成されてもよい。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、方法はさらに以下を含む。検出器の出力または検出器の隣接するペアの出力を処理することによって、そして2つの検出された出力間の中間の出力の画像表現を生成することによって、リニア検出器のうちの少なくとも1つの隣接するペアから少なくとも1つの中間画像を生成し、および可能であれば、好ましくは、リニア検出器の複数の隣接するペア、そして例えば各々の隣接するペアから、少なくとも1つの中間画像を生成する。
【0037】
本発明の装置は、好ましくは、この機能を有する手段を含む中間画像生成器を含む。
【0038】
単一の中間画像が検出画像の隣接するペア間で生成される場合には、中間画像は好ましくは、2つの検出画像上の等価な画像点間の中点に、中間画像上の画像点を外挿する。ペアの検出画像間に複数の中間画像が提供される場合には、これらは好ましくは、同様の、均等に間隔を隔てた外挿に基づく。さらに好ましくは、検出器の相対的間隔および中間画像生成器の構成は、すべての画像がほぼ同じ相対的運動間隔によって生成されるようなものである。例えば、検出器は均等に間隔を隔てられ、そして、複数のアレイの各ペア間に同数の中間画像が生成される。
【0039】
前述によれば、いずれか一方または双方のアプローチは、事実上別々の位置に達する走査ゾーンにおける対象物の一連の画像を生成するために使用される。第1のアプローチにおいて、複数の間隔を隔てた検出器は、対応する複数の直接画像を発生する。第2のアプローチにおいて、隣接するリニア検出器からの実際データは、直接画像に対する中間の、したがって対象物の中間の位置を表す間接画像を生成するために用いられる。
【0040】
いずれか片方または両方法は、連続的な画像の各ペア間の単眼の運動視差によって、3次元に関する情報および、特に3次元を通しての運動の印象が得られることができる、連続的な一連の画像を生成するために用いられてもよい。比較的少ない数の画像が、単純な2次元のスクリーンを観察するユーザによって3次元の効果的な動画に似た動きを発生することを要求される。
【0041】
本発明によれば、少なくとも3つの画像が生成される。前述に従って、第3の画像が、第3の直接画像を生成するために第3の検出器を使用するか、または、単一の検出器ペアの出力から第3の間接画像を生成するために補間法を使用するか、いずれかを必要とすることが認識される。実際には、両方の効果は一緒に利用されてもよく、そして、より多くの複数の画像(例えば、直接におよび補間法によって、少なくとも5つの画像を生成する少なくとも3つの検出器)が好ましくてもよい。しかしながら、多数の検出器は、必ずしも望ましいものではなく、より複雑な装置を必要とするかもしれない。例えば、検出器の個数よりも多くの画像を生成するために、5つまたはより少ない検出器を提供することが望ましいかもしれない。
【0042】
従って、好ましい実施例において、中間画像生成器は、全部で5つ以上のおよび好ましくは6つ以上の画像が、5つまたはより少ない検出器から生成されるように、そして、いずれにしても検出器の個数よりも多くの画像が生成されるように、構成される。この好ましい実施形態において、装置は以下を含む。横方向に間隔を置かれた5つ以下の一連のX線または他の放射線リニア検出器、少なくとも1つおよび好ましくは各リニア検出器の出力から画像を生成するように構成される直接画像生成装置、ならびに、少なくとも1つおよび好ましくは各隣接するリニア検出器から少なくとも1つの中間画像を生成するように構成されて、全部で少なくとも5つおよび好ましくは少なくとも6つ以上の画像が生成されるのに適する中間画像生成装置。この好ましい実施形態において、方法は以下を含む。全部で少なくとも5つおよび好ましくは少なくとも6つの中間画像が生成されるように;少なくとも1つまたは各隣接するリニア検出器の出力を処理すること、および、2つの検出器の出力間の中間の出力を表す画像を生成することによって、少なくとも1つおよび好ましくは各リニア検出器の出力から直接画像を生成するステップ;少なくとも1つおよび好ましくは各隣接するリニア検出器から少なくとも1つの中間画像を生成するステップ。
【0043】
充分な中間画像が、全部(すなわち、各検出器の直接検出する出力から直接画像が収集されるとき、補間によって生成される中間画像が合計される)で少なくとも5つおよび好ましくは少なくとも6つの画像を作成するために生成される。所望であれば、必要な数の画像に結びつくために、付加的な画像が、検出器の充分なペア間に複数の仮想的に間隔を隔てた中間画像を合成することによって作成される。中間の画像生成器は、それから、検出器のまたは検出器のうちの少なくとも1つの隣接するペアの出力を処理すること、および2つの前記検出器の出力間の移行を表す画像を生成することによって、隣接するペアによって発生される画像間の段階的移行を示す、隣接するペアから2つ以上の中間画像を生成するように構成される。
【0044】
このように、実施形態は、人間の観察者によって、視差効果の最適な分解能に対して、少なくとも5つの、および好ましくは6つの画像を生成するが、すべての場合において、好ましくは5つ以下のリニア検出器アレイを有する。充分な視覚化情報が、単純な装置から生成される。
【0045】
視差効果は、画像における分光情報を別々に提示すること(および、したがって、組成との関係を別々に有する情報を提示すること)によって、画像の別々の対象物、構成要素または部分の分解を支援する第2の効果により、本発明に従って補完される。
【0046】
先行技術の従来のシンチレータ・半導体検出器は、伝送されるX線のスペクトルについていかなる真の分光情報も与えない。これらの単純な検出器は、伝送されるX線が存在するか否かを単に検出するだけである。二重エネルギー検出器でさえも、最終的には同じ原理で作動するが、それらは、スペクトルの2つの異なるバンド内のX線が存在するか否かを検出する。
【0047】
しかしながら、本発明によれば、一連のリニア検出器の少なくともいくつかは、伝送されるX線または他の放射線についての分光情報を生成することができる検出器を含む。すなわち、検出器は、分光情報が読み出されることができるスペクトルの少なくとも実質的な部分全体の分光的に可変の応答を呈する。
【0048】
分光情報の適切な分解能は、2つの利点を与える。それは、例えば、生成された画像においてそれらを異なるように(例えば異なる色で)表示することにより(これは、画像の異なる対象物、構成要素またはその一部の分解能を支援する)、異なる組成の対象物間、構成要素間または部分間を区別することによって、その画像の異なる構成要素または対象物の組成、あるいは画像の一部を直接に特徴付ける能力を提供する。
【0049】
しかしながら、本発明によれば、伝送されたX線またはこの種の各リニア検出器の出力から得られた他の放射線の分光的分解能は、生成される画像において表される。例えば、収集したデータの分光的弁別は、区別された色、陰影またはマーキングとして、画像において表される。例えば、機能的マッピングが、検出器および視覚スペクトルによって集められる分光情報と、この機能的関係に由来する着色した画像表示との間に作成される。あるいは、領域ごとに分ける(banded)マッピングが用いられ、スペクトルが、例えば、4つから8つなどの複数の領域に分割され、異なる色を用いて、表示された画像内にそのような領域を示すことに用いられる。装置は都合の良いことに、このマッピングを生じさせるために適切な画像処理手段を含む。また、前述のように、画像は、単一のエネルギーバンドとして、または複数のエネルギーバンドの組合せとして、表示されることができる。
【0050】
検出器システムが、データ処理装置によって分光的に分解可能である方法で放射線を検出することを可能にされることは、必要である。好ましくは、本発明によるリニア検出器システム、または、本発明によるマルチ要素検出器システムを構成するいくつかのまたはすべての個別の検出器要素は、それが直接の分光器応答を呈するという点で、分光器分解能を発生するのに本質的に適していてもよい。特に、システムまたは要素は、選択された材料から製造されて、発生源スペクトルの異なる部分に対して、直接の材料の性質として、直接可変の電気的な、および例えば光電子的反応を本質的に示す。例えば、検出器システムまたは要素は、広い直接のバンドギャップ半導体物質を含む。例えば、検出器システムまたは要素は、バルク状クリスタルとして、および例えばバルク状単結晶として(この文脈におけるバルク状クリスタルが少なくとも500μmの、そして好ましくは少なくとも1mmの厚さを示す)、好ましくは形成される半導体物質または材料を含む。半導体を構成する材料は、テルル化カドミウム、カドミウム・テルル化亜鉛(CZT)、カドミウム・マンガン・テルル化物(CMT)、ゲルマニウム、ランタン臭化物、トリウム臭化物から好ましくは選択される。グループII−VI半導体および特にリストされるそれらは、特にこの点に関して好まれる。半導体を構成する材料は、テルル化カドミウム、カドミウム・テルル化亜鉛(CZT)、カドミウム・マンガン・テルル化物(CMT)、およびそれらの合金から好ましくは選択されて、例えば、結晶体Cd1−(a+b)MnZnTe(aおよび/またはbはゼロでもよい)を含む。
【0051】
これらの組合せおよびこの種の任意の他の材料は、単に伝送される放射線の振幅を検出するだけであるよりはむしろ、いずれが分光器検出を与えるかについて考慮されてもよい。
【0052】
本発明による十分な分光学的情報を与えるリニアアレイ検出器の使用は、分光法からの所定の組成情報の固有な利点に加えて、材料を識別するこのような能力が、3次元における複数の対象物、構成要素、または画像要素の分解能をさらに支援するために、単眼運動視差を介して、3次元的刺激を取得する能力と協動して作動するので、重要な向上である。
【0053】
一連のアレイにおける少なくとも2つのリニアアレイ、および好ましくは、複数の画像を生成でき、これらを動画的な連続として観察することを可能にする複数のリニアアレイを備える基本的形状は、対象物の形状および外形を解釈する向上した能力を提供するという点において本発明に必須のものである。
【0054】
しかしながら、分光的リニア検出器を使用することによって与えられる、著しく改善された材料識別性能は、対象物の組成を識別するための固有の能力、および追加及び補強可能である多くの工程を介して、画像内の異なる対象物の分解能の両方を向上させる。
【0055】
特に、例えば、分光検出器は、エネルギー選択的な方法において動作可能であり、標準的な従来技術の二重エネルギー検出器から利用可能である2つのエネルギーバンドと比較して、著しく増加した数のX線または他の放射線エネルギーバンドに分解された画像を提示する能力を生じる。この情報は、現在可能であるものよりも、はるかに高度な材料識別を提供するために用いることが可能であり、また、複合画像内における異なる組成の対象物を別個に識別することによって、かような対象物の分解能を改善するために用いることができる。
【0056】
さらなる効果として、その形状が、走査ゾーンに亘って連続して配置された複数のリニア検出器で配置される方法は、個々の検出器によって見られる放射線経路の各々が異なることを意味する。再び、分光検出器は、これらの異なる経路を介して、さらに多くの情報を得ることができる。一部の類似が、標準的なCT技術において用いられる、複数の放射線経路技術に対して存在し得る。
【0057】
適切なアルゴリズムを用いて分光的な分解能の上述の2つの態様の両方の効果を組み合わせることによって、走査される材料のタイプのさらに多くの正確な解釈が達成可能である。
【0058】
都合の良いことに、連続的な画像は、例えば、ユーザがコントロール下で連続的な画像の表示をすることができるためにコントロール手段が備えられるという点において、および、一連の画像から3次元刺激の有効な操作を作成するために、例えば選択した速度でおよび/または、画像表示手段上で正順または逆順に、観察者のコントロール下で表示される。例えば、このことによって、ユーザは、各画像間に人間の観察者のためのなめらかな移行を可能にするために可変速度で連続的な画像を表示すること、および/または画像を正順および逆順で走らせることができる。本発明の方法によれば、連続的な画像は、したがって、解釈を容易にするために、観察者のコントロール下で習慣定義可能なリフレッシュ速度および方向で表示される。
【0059】
表示手段は、都合の良いことに、単純な2次元の表示スクリーン(例えば従来のビデオ表示スクリーン(この用語は、任意の陰極線管、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、シリコン液晶ディスプレイ、LEDディスプレイまたは同様の技術、を利用する任意のダイレクト・ディスプレイまたはプロジェクション・システムを含むことを意図する))である。それは、この方法が、例えばセ刺激リティおよび医療の画像化分野に見合う既存のシステムの標準表示画面と一緒の使用を想定されることができることの、および本発明の装置が、その既存のシステムの標準表示画面に組み込まれることの、特定の利点である。
【0060】
X線または他の放射線発生源は、従来のライン走査装置からよく知られているカーテンビーム発生源であることが特に好ましい。この放射線発生源は、例えば、適切なビーム分割装置によって、適切な角度分離において、横方向に間隔を置かれた一連のアレイにおいて、各リニア検出器に、位置合わせされて入射するカーテンビームなどの一連のビームを生成するように適合された単一の1次発生源を含んでもよい。あるいは、複数の発生源が提供されてもよく、その各々は、一連のアレイにおけるリニア検出器上に入射するカーテンビームなどのビームを生成する。発生源は、前述の原理の両方を組み合わせる発生源を含んでもよい。
【0061】
横方向に間隔を置かれた一連の各リニア検出器は、伝送されるX線または他の放射線の検出のための検出器である。例えば、各検出器は、伝送されるX線または他の発生源放射線に応答して電気的インパルスを生成するのに適して、したがって、対象物が走査ゾーンを通って移動させられるにつれて、収集されるデータから画像が作られることを可能にする。各検出器は、都合の良いことに光電子応答を呈して、例えばホトダイオード・セルのリニアアレイを含んでもよい。
【0062】
動作のそれらの1次モードにおいて、横方向に間隔を置かれて並んだリニアアレイ検出器は、例えば、単一のX線または他の放射線発生源からであってもよい発生源からの複数のビームを受け取るように構成される。動作のこのモードの特定の実施形態において、1つ以上の発生源は、一連の入射ビームを生成するために利用されてもよく、例えば、別個のリニア検出器の分配に適切である相対的な角度においてカーテンビームを生成するために用いられてもよい。動作のこのモードにおいて、本発明の方法および装置は、前述の利点を利用してもよい。
【0063】
その形状はまた、動作の代替的なモードを許容する。この代替的なオペレーションモードによれば、単一の1次カーテンビームが生成され、例えば、横方向に間隔を置かれて並んだリニアアレイ検出器の中間位置にほぼ向けられて、および特に、その並びの中間位置またはその周囲のリニア検出器の方向に向けられる。本発明の装置は、好ましくは、X線または他の放射線発生源の出力をコリメートするための適切なコリメータを備え、そのような1次ビームを生成する。
【0064】
適切な位置に対象物を有して、この単一の1次ビームは、一連の検出器内の中央のリニア検出器に対して向けられる。これらの状況において、この検出器は、伝送されたX線を検出するが、他の検出器は、回折された二次ビームを検出することができるのみである。適切な較正に従い、二次検出器上に現れた信号は、散乱したX線に関するさらなる情報を与える。散乱は、多結晶材料に特徴的なものであり、この構造は、セ刺激リティ検出器装置が識別において方向付けられ得る爆発物およびそのような材料の多くに関して関連するものである。従って、動作のこのモードにおいて、かような物品の検出可能性の著しい向上が提供される。これは、二次的な散乱検出器の必要性なく、むしろ、動作の二次モードからデータの適切な処理によって達成される。
【0065】
特に好ましい実施形態において、動作の両方のモードが、順次に、連続的に接近して、または同時に効果的に、最大の情報を収集するように適合されてもよい。すなわち、複数の画像が、並んだリニア検出器によって作成された走査ゾーン全体を通して向けられた単一の1次ビームを用いて形成され得、そして、順次に、連続的に接近して、または同時に効果的に、単一のコリメートされた1次ビームが、個々のリニア検出器(例えば、並んだ検出器のうちのほぼ中央に配置されたリニア検出器など)において向けられてもよく、散乱情報は他の検出器から収集される。
【0066】
分光的に情報を分解することができる検出器が用いられることが、本発明の特有の利点であり、これらの2つの方法によって収集されたデータは、より正確に分解されることができ、システムの動作によって取得可能な組成情報に対して著しい向上性を与える。
【0067】
本発明の方法の動作のために、走査される対象物を、走査ゾーンに対して移動させ、通過させるように、走査される対象物と装置との間の相対移動を生じさせる必要がある。実際には、多くの実際的な目的のために、対象物は、静止状態にある走査ゾーンに対して移動される。例えば、本発明の装置は、走査される対象物を走査ゾーンを通って搬送する対象物搬送手段を備える。この対象物搬送手段は、例えば、平面コンベヤを備えてもよく、これは、好ましくは、一連のリニアアレイ検出器が配置されている面に対して並行する面において対象物を搬送する。例えば、コンベヤは、無端ベルトコンベヤ等である。しかしながら、対象物を静止したままにしておくこと、および、検出器および発生源を移動させて相対移動を生成することもまた有効である。
【0068】
発生源は、エネルギーの分布を発生しなければならない。好ましくは、発生源はX線発生源である。タングステンは最適な目標であるが、しかし、他の人が使用できる。多重発生源が、エネルギーの望ましい分布を発生するために用いられてもよい。
【0069】
本発明のこれらの特徴の1つ以上は、改良された情報をオペレータに提供するために組み合わされることができ、そして、後述する特定の実施形態はこの種の組合せを示す。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明は、添付図面を参照して一例として記述される。
【図1】図1は、本発明の実施形態を表す側面図である。
【図2】図2は、図1の実施形態によって生成される連続的な画像によって作成される効果を示す図である。
【図3】図3は、代替の動作モードにおける本発明の実施形態の側面図である。
【図4】図4は、画像処理およびディスプレイシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1を参照すると、適切なX線発生源1が、走査ゾーンを介して3つのリニア検出器アレイ3a〜3cの方向にX線を導くために使用される。
【0072】
本実施形態において、リニア検出器アレイ3a〜3cは、入射X線の分光分解能の能力がある材料を含み、そして具体例として、当業者は他の材料選択が適切かもしれないと認識するにもかかわらず、テルル化カドミウムを含む。この分光分解能を活用するために、X線発生源は、広いエネルギースペクトルにわたるX線を発する。例として、当業者は他の材料が適切かもしれないと認識するにもかかわらず、タングステン発生源が用いられる。
【0073】
入射線のパス5a〜5cが、X線発生源1と、検出器3a〜3cそれぞれとの間の走査ゾーンを通って示される。
【0074】
無端ベルトコンベヤ7は、走査される対象物9を、走査ゾーンにおける線パス5a〜5cをさえぎるためにd方向へ移動させる。本発明のこの実施形態の想定される用途は、危険物探査装置である。そして、対象物9は、概して、組成的に特徴づけて、そして3次元で有効に見ることが役立ちかつ望まれる、さまざまな異なる対象物を収容していると予想される、容器であるとみなされることができる。しかしながら、当業者は、同じ原理が、例えば、内部検査目的のための対象物の走査に、医療の走査に、および同様の用途に、適用されることができると直ちに認識する。
【0075】
画像は、3つの検出器3a〜3cの各々から伝送される情報を積み上げることによって生成される。画像処理システムは、図4に概略的に示される。
【0076】
図4を参照すると、対象物が走査ゾーンを通過するにつれて、3つの検出器アレイ3a〜3cからデータが収集されて、データ収集・処理ユニット21に伝送される。データ収集・処理ユニット21は、そのデータをまとめて、照合して、したがって、各検出器から収集されたデータに特有の個々の画像を発生する。これらは、画像記憶レジスタ22へ送られる。
【0077】
データ収集・処理ユニット21は、例えば適切な処理ソフトウェアの形態において、直接画像モジュールおよび中間画像モジュール(独立して識別されない)を含む。直接画像モジュールは、3つの検出器アレイ3a〜3cの各々での入射情報データセットを表す画像データセットを生成する。中間画像モジュールは、検出器アレイ3a〜3cの隣接する各ペアの入射情報データセットの数値処理に基づく仮想画像データセットを生成する。図示の実施形態において、中間画像生成器は、検出器の出力または検出器の隣接する各ペアの出力を処理すること、そして2つの前記検出した出力間の移行の画像表現を生成することによって、隣接する各ペアによって発生される直接画像間の段階的移行を示す、隣接する各ペアから2つ以上の中間画像を生成するように構成される。
【0078】
本発明によって想定されるように、画像の解釈の鍵は、画像が表示される方法にある。この例では、2次元のビデオ表示スクリーンを含む単純なディスプレイ25が設けられる。画像は、画像レジスタ22からディスプレイ上へ連続的かつ順次に送られる。この連続的で順次の表示の結果は、スクリーン25を見る観察者が、連続する画像から情報を収集すること、特に、画像間の単眼の運動視差によって3次元の刺激を収集することが可能なことである。
【0079】
このことの特定の特徴は、図2によって示される。対象物9が入射線パス5a〜5c(図2a参照)を通過するにつれて、対象物がX線発生源1と相対的に異なる向きにある3つの画像が生成される。これらの画像の連続する表示によって、図2bに示すように、回転するように見える対象物が生じる。
【0080】
3次元において事実上回転可能である対象物の見方を事実上得るこの能力は、ボリューム表現されるCT画像に見られる視覚の利点に類似していると見られることができる。疑似3Dで対象物を見る能力は、人間の観察者が視野内の対象物について正しい仮定を作成するのを支援する。本発明にしたがって生成される画像は、装置によって、しかし典型的なCTマシンよりも少ない複雑な形態を提供されるマルチプルな線パスの結果としてのこれらの利点を示し、そして、例えば、セ刺激リティ走査システムで使用される単純なリニアコンベヤ上で容易に実現されてもよい。
【0081】
図2は、直接収集画像のみを示す。実施形態が3つの検出器を有するので、対象物の別々の位置における3つの直接収集画像が生成されることができる。しかしながら、好ましい実施形態では、直接得られた画像に加えて、画像処理ユニット21は、直接収集されるデータの外挿法によって中間画像を生成するのに適している。
【0082】
1つの可能な実施形態において、単一の中間画像が、収集されるペアごとに生成される。したがって、データレジスタ22は、順次表示されることが可能な5つの画像を保存する。第2の可能な実施形態において、2つの仮想的に間隔を隔てた中間画像が、収集されるペアごとに生成される。したがって、データレジスタ22は、順次表示されることが可能な少なくとも7つの画像を保存する。他の配列および中間画像プロトコルが、適用されてもよい。
【0083】
もちろん、本発明の原理は、3つのリニア検出器に制限されず、および、各隣接するペアによって生成される1つまたは2つの中間画像に制限されないが、特に5つまたはより少ない検出器から生成される場合に、事実上、連続的に様々な位置をとる対象物を示す3つ以上の、そして特に好ましくは6つ以上の、任意の一連の画像にもあてはまる。
【0084】
スクリーン25上での画像の順次表示は、コントロール手段27によってユーザのコントロール下にある。このことによって、ユーザは、データレジスタ22に保存される画像の連続物から動画のシーケンスを生成することができて、収集されるデータから有意の3次元刺激を得るために画像の収集を有効に操作することができる。必要に応じてこれをさらに改良するために、コントロール手段27は、コンベアベルト7を操作するために作動して、不確実の場合に対象物自体が走査ゾーンを通過しおよび再通過することを許容する、ベルトドライブをコントロールする手段29を含む。
【0085】
図示の実施形態では、伝送されるX線を分光的に分解することができる検出器が、使用される。この分解される分光情報は、画像における対象物の識別材料を提供するためにその後処理されるデータの一部を形成する。
【0086】
より複雑な立体視システムを通じた本発明の特定の利点は、図1および図4によく示される。単なる2次元のスクリーン25以外に、特定の立体視表示装置は必要でない。システムの外形は、それ自身を単にベルトコンベア装置に添えるだけであり、したがって本発明のシステムは、従来のX線スキャナと比較したとき、基本的な装置の機能または使用方法において、基本的な変更をほとんど必要としない。しかしながら、それは、特に図2に示す効果のおかげで、3次元における対象物の分解能および物質的な特徴描写の双方を改良する有意な能力を提供する。
【0087】
図3は、スキャナに対する代替の動作モードを表し、走査ゾーンに位置する対象物9を図示する。
【0088】
X線発生源1の出力は、コリメータ11によって、単一のカーテンビーム13にコリメートされる。単一のパスビームは、中央の検出器3bに導かれる。中央の検出器3bは、線パス15bを介して、伝送されるX線を受け止める。他の検出器3aおよび3cは、線パス15aおよび15cをそれぞれ介して、散乱するX線を受け止める。したがって、本発明の装置は、伝送されるX線および散乱するX線の双方を同時に検出するために、そして、多結晶の材料を特徴づけるのにそこから導き出せる情報を使用するために、この動作モードを介して容易に適応されることができる。別個の散乱検出器は、必要ではない。伝送されるX線および散乱するX線の分解能は、実施形態では、テルル化カドミウム検出器により与えられる分光分解能によって支援される。
【0089】
図3に示される動作モードからのデータは、収集されることができ、そして、図4に概略的に示されるように図1に示される動作モードからのデータと一緒に処理されることができる。例えば、2つの動作モードは、画像化される対象物の組成に対する改良された特徴描写の情報を提供するために、順次に、連続的に接近して、または同時に、操作されてもよい。
【0090】
例示の実施形態によれば、3つのリニア検出器アレイは、一連に図示される。検出器のペアでさえ、単眼の運動視差が得られることのできるペアの画像を生成すること、そして、実際のシステムでは、より多数の検出器を一連に有することが望ましいこと、が理解される。3つの検出器は、例示のみの目的で提示される。それにもかかわらず、収集したデータから中間画像を生成するために画像化システム内で適切なアルゴリズムが使用される場合は特に、有効な操作が可能な、および動画が可能な一連の画像が、比較的少ない個数の一連のリニア検出器から得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の画像を生成して表示するための装置であって、以下を含む:
放射線発生源および、相互間に走査ゾーンを定義するために、相互に間隔を隔てた、入射放射線を分光的に分解することができる少なくとも2つの一連のリニア放射線検出器;
使用時に対象物を、前記走査ゾーンに対しておよび当該走査ゾーンを通って移動させる手段;
この種の各画像が分光的に分解された入射放射線の表示を含むように、第1のリニア検出器の出力から少なくとも第1の画像、第2のリニア検出器の出力から第2の画像、および第3の画像を生成する画像生成装置;
この種の少なくとも前記第1、第2および第3の画像を連続的に表示し、したがって前記画像間に単眼の運動視差を表示するのに適する画像ディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記画像ディスプレイが、個々の2次元画像として画像を連続的に表示するのに適する単眼のディスプレイである。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記画像ディスプレイが、2次元のビデオ表示スクリーンである。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の装置において、横方向に間隔を置かれた一連に並ぶ前記リニア検出器が、概して平行である。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項記載の装置において、横方向に間隔を置かれた一連に並ぶ前記リニア検出器が、それら相互間の距離が各アレイ間に一定の角度分離を維持するために変更するように配置される。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、請求項5による各リニア検出器の配列を可能にさせる位置合わせ手段をさらに含む。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の装置であって、連続的な表示のための少なくとも3つの一連の画像を生成するために、横方向に間隔を置かれた少なくとも3つの一連のリニア検出器が設けられる。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の装置であって、リニア検出器のうちの少なくとも1つのまたは各隣接するペアの出力を処理すること、および2つの前記検出された出力間の中間の出力を表す画像を生成することによって、前記検出器の前記少なくとも1つのペアから少なくとも1つの中間画像を生成するように、および適用できる場合は、好ましくは、前記検出器の複数の、そして例えば各隣接するペアから少なくとも1つの中間画像を生成するように、構成される中間画像生成器をさらに含む。
【請求項9】
請求項6に記載の装置であって、横方向に間隔を置かれた5つ以下の一連のリニア検出器、および、リニア検出器の各隣接するペアから少なくとも1つの中間画像を生成するように構成され、全部で少なくとも5つの画像が生成されるように適する中間画像生成器を含む。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の装置において、前記中間画像生成器が、検出器のうちの少なくとも1つの隣接するペアの出力を処理すること、および2つの前記検出された出力間の移行を表す画像を生成することによって、検出器の前記隣接するペアによって発生される画像間の段階的移行を示す、検出器の前記ペアから2つ以上の中間画像を生成するように構成される。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載の装置であって、人間の観察者にとって各画像間のおよび/または正順と逆順との間のなめらかな移行を可能にするために、ユーザが可変速度で連続的な画像を表示することができるコントロール手段をさらに含む。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項記載の装置において、前記横方向に間隔を置かれた一連の各リニア検出器が、ホトダイオード・セルのリニアアレイを含む。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の装置であって、生成される画像における発生源スペクトルの分光分解能を表すのに適する画像処理手段を含む。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、前記画像処理手段が、分光的に分解されたデータを複数のバンドに処理して、そして、生成される画像におけるこの種の各バンドを表するために別々の色を適用することに適している。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項記載の装置において、前記リニア検出器は、それが、直接的な材料特性として、発生源スペクトルの別々の部分に対して、直接可変の電気的なおよび例えば光電子的な応答を本質的に示すように選択される材料から作られるという点で、直接的な分光器応答を呈する。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、前記検出器が、テルル化カドミウム、カドミウム・テルル化亜鉛(CZT)、カドミウム・マンガン・テルル化物(CMT)、ゲルマニウム、ランタン臭化物、トリウム臭化物から選択される単一材料または複数材料を含む。
【請求項17】
請求項15または16に記載の装置において、前記検出器が、グループII−VIの半導体物質を含むバルク結晶として形成される半導体物質または材料を含む。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項記載の装置であって、一連のリニアアレイ検出器が配置されている面に対して並行する面における対象物を搬送するために平面コンベヤの形態の、走査される対象物を走査ゾーンを通って搬送する対象物搬送手段を含む。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項記載の装置であって、X線発生源および、相互に間隔を隔てた少なくとも2つでかつ5つ以下のリニア放射線検出器を含む。
【請求項20】
請求項19に記載の装置であって、タングステンX線発生源を含む。
【請求項21】
対象物の画像を得るための方法であって、以下のステップを含む:
放射線発生源および、相互間に走査ゾーンを定義するために、相互に間隔を隔てた、入射放射線を分光的に分解することができる少なくとも2つの一連のリニア放射線検出器を設けるステップ;
対象物を前記走査ゾーンに対しておよび当該走査ゾーンを通って移動させ;これにより
第1のリニア検出器の出力から少なくとも第1の、分光的に分解された入射放射線の表示を含む画像を生成するステップ;
第2のリニア検出器の出力から少なくとも第2の、分光的に分解された入射放射線の表示を含む画像を生成するステップ;
少なくとも第3の、分光的に分解された入射放射線の表示を含む画像を生成するステップ;
少なくともこの種の第1、第2および第3の画像を連続的に表示し、したがって前記画像間に単眼の運動視差を表示するステップ。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、画像が個々の2次元画像として連続的に表示されるステップをさらに含む。
【請求項23】
請求項21または22に記載の方法であって、横方向に間隔を置かれた少なくとも3つの一連のリニア検出器が、連続的な表示のための少なくとも3つの一連の画像を生成するために設けられる。
【請求項24】
請求項21〜23のいずれか1項記載の方法であって、前記方法が、リニア検出器のうちの隣接するペアまたは隣接する各ペアの出力を処理することによって、および2つの前記検出された出力間の中間の出力を表す画像を生成することによって、リニア検出器のうちの少なくとも1つの隣接するペアから少なくとも2つの中間画像を生成する、そして適用できる場合には、好ましくは、複数の隣接するペア、例えば隣接する各ペアから、少なくとも1つの中間画像を生成する、ステップをさらに含む。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、全部で少なくとも5つの画像が生成されるように;各リニア検出器の出力から直接画像を生成する、横方向に間隔を置かれた5つ以下の一連のリニアX線検出器を設けるステップ;リニア検出器の各隣接するペアから少なくとも1つの中間画像を生成するステップ。
【請求項26】
請求項21〜25のいずれか1項記載の方法において、前記連続的な画像が、解釈を容易にするために、観察者のコントロール下で特別の定義可能なリフレッシュ速度および方向で表示される。
【請求項27】
請求項21〜26のいずれか1項記載の方法において、X線スペクトルが複数のバンドに分けられ、そして、表示される画像においてこの種の各バンドを表すために別々の色が用いられるという点で、バンド区分されたマッピングは、生成される画像における分光的分解能を表すために使用される。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、単眼の運動視差効果が、単一のエネルギーバンドからの一連の画像を用いて作成される。
【請求項29】
請求項27または28に記載の方法において、単眼の運動視差効果が、複数のエネルギーバンドの組合せからの画像を用いて作成される。
【請求項30】
請求項21〜29のいずれか1項記載の方法であって、以下を含む:
第1の動作モードにおいて、任意の先行する請求項でのように横方向に間隔を置かれた一連のリニア検出器アレイからの複数の画像を生成するステップ;さらに
第2の動作モードにおいて、前記一連の検出器の中で特定のリニア検出器に導かれる、単一のコリメートされた1次カーテンビームを生成するステップ、
回析される二次ビームを検出するために他の検出器を使用して、散乱されるX線に関する追加情報を与えるために、前記他の検出器からのこの情報を処理するステップ。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、両方の動作モードが、順次に、または連続的に接近して、または事実上同時に、適用される。
【請求項32】
請求項21〜31のいずれか1項記載の方法であって、X線放射線発生源および、少なくとも2つでかつ5つ以下の一連のリニアX線検出器を提供するステップを含む。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−522877(P2010−522877A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500360(P2010−500360)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001108
【国際公開番号】WO2008/119969
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(507282783)ダーハム サイエンティフィック クリスタルズ リミテッド (23)
【氏名又は名称原語表記】DURHAM SCIENTIFIC CRYSTALS LIMITED
【住所又は居所原語表記】NetPark Incubator, Thomas Wright Way, Sedgefield, County Durham TS21 3FD (GB)
【Fターム(参考)】