説明

材料試験装置と材料試験片

【課題】構造部材として必要な過酷な環境下における機械的強度特性や耐環境特性を高価な設備をかけることなく簡便に、しかも信頼性の高いデータを得ることができる材料試験装置とそれに使用する試験片を提供する。
【解決手段】試験片の内部に両端または一端のみが開放された微細な空隙を設けて、微細な空隙の開放された側からジョイント部を経由して高圧、低圧あるいは活性の高い気体等を注入した後、所定の温度にて微細な空隙を封じて、引張試験、圧縮試験、曲げ試験、ねじり試験、疲労試験、疲労亀裂進展試験、クリープ試験、破壊靭性試験、衝撃試験等の様々な試験を行い、試験片の引張特性、圧縮特性、曲げ特性、ねじり特性、疲労特性、疲労亀裂進展特性、クリープ特性、破壊靭性特性、衝撃特性等の環境の影響を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属、合金、セラミックス、樹脂等の各種材料の特性を評価するための試験装置と材料試験片に関するものであり、さらに詳しくは、任意の雰囲気流体の環境下で連続的または非連続的に材料試験を行なうことができる小型の材料試験装置と材料試験片に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新しい材料が開発された場合、または既存の材料であっても従来と異なる環境下で用いる場合には、使用される環境雰囲気に適応した材料の特性を正確に評価することが不可欠である。
特に用途が高度な機械的強度特性や耐環境特性が要求される構造材料である場合は様々な条件の環境下において優れた特性を有することが求められる。
優れた特性を有するとは、引張特性、疲労特性、疲労亀裂進展特性、クリープ特性、破壊靭性特性、衝撃特性等の機械的強度特性だけでなく、耐酸性、耐アルカリ性、耐酸化性、耐腐食性等の様々な耐環境特性についても優れていることが求められる。
しかも、過酷な条件下で使用される構造用材料に対してはこれらの種々の特性は常温や常圧というような温和な耐環境特性だけではなく、酸性やアルカリ性等の環境下での超高圧から極低圧の過酷な環境においても通常の環境で使用する時と同様に優れた耐環境特性を有することが求められる。
このため、様々な環境雰囲気下での材料特性の評価を行うために好適な装置や材料試験片を得ることが不可欠となる。
【0003】
従来では、材料の機械的強度特性や耐環境特性等の試験を過酷な環境下で行なうに際しては試験片を温度や圧力が任意に調整できる密閉された空間を有する装置に入れて装置全体、あるいは試験片が封入された試験装置の空間部全体の温度や圧力を調整する装置が採用されている(特許文献1および2)。
また、このような装置や空間部全体の環境を調整する装置とは別に、試験片の内部に設けた中空部から中空押え棒を用いて圧縮空気を流しながら押え棒で繰り返し荷重を付加する装置(特許文献3)や中空円筒型試験片の中空部に高圧熱流体を流しながら試験片の熱疲労試験を行なう熱疲労試験装置(特許文献4)等も本出願前に知られている。
【0004】
しかしながら、温度や圧力が任意に調整できる密閉された空間を有する装置に試験片を入れて機械的強度特性や耐環境特性の試験を行なう場合は、測定に必要な環境を創出して保持するための多大な設備と費用を必要とする。
また、このような大型の装置は試験のための荷重や試薬を正確に付与および保持することが難しく、材料試験装置としては未だ有効なデータを得る手段として確立されていない。
また、内部に中空が設けられた試験片を用いる試験装置においても中空試験片内の中空押え棒や取付け冶具の過熱を抑制するものや原子炉一次系配管における純水中熱疲労試験機という極めて特殊な用途に使用する装置において、試験片に局部的な熱応力を発生させないために圧縮空気や加熱水を圧入するのであり、汎用性のある材料試験装置として使用されているわけではない。
【特許文献1】: 特開平09−196844号公報
【特許文献2】: 特開2004−132752号公報
【特許文献3】: 特開平10−332562号公報
【特許文献4】: 特開平09−189651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は上記のとおりの背景から大きな負担を要することなく、構造材料の機械的強度特性や耐環境特性を特有の、しかも過酷な環境下で行なうに際して、簡便に測定評価することができる低コスト、安全で信頼性の高い材料試験装置と該材料試験装置に用いる材料試験片を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するものとして、発明1の材料試験装置は、前記試験片の内部に微細空隙が形成されていて、当該空隙の開放端部に密封状態で接合可能なジョイント部と、このジョイント部を介して環境雰囲気流体を前記空隙内に供給する流体供給部とを有することを特徴とする。
【0007】
発明2は、発明1の材料試験装置において、前記空隙の両端部が開放され、それぞれに密封状態で接合可能な2個のジョイント部と、両ジョイント部を介して環境雰囲気流体を前記空隙内に流通させる流体供給部とを有することを特徴とする。
【0008】
発明3は、発明1又は2の材料試験装置において、ジョイント部又は前記流体供給部に、前記空隙内の環境雰囲気流体を外部に流出させない閉止手段が設けてあることを特徴とする。
【0009】
発明4は、発明3の材料試験装置において、前記閉止手段が、前記ジョイント部が空隙に一端を固定した中継コネクタとこれに密封状態で接合されるジョイントとからなり、前記コネクタ内に、これを非可逆的に閉止する閉止部材を配してなるものであることを特徴とする。
【0010】
発明5は、発明4の材料試験装置において、前記閉止手段が、前記コネクタの空隙に近い側にU字形状の溜まり部が形成され、閉止部材として熱可塑性のシール材が前記溜まり部内に配置されてなるもので、当該溜まり部を融点以上に加熱することにより、前記シール材が溶融して、溜まり部を封止するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
発明6は、発明4の材料試験装置において、前記閉止手段が、前記コネクタ内に加圧にて変形可能な圧力可塑性シール材が配されてなるもので、前記コネクタの前記シール材配置箇所を圧迫してコネクタとともに前記シール材をも変形させて閉止するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
発明7は、発明1から6のいずれかの材料試験装置において、前記試験片が外周部における環境を制御する外部環境制御部が設けてあることを特徴とする。
【0013】
発明8は、発明1から7のいずれかの材料試験装置に用いる試験片であって、試験片に設けられている微細な空隙が直径2.0mm以下の柱状であることを特徴とする。
【0014】
発明9は、発明8の材料試験片において、柱状の空隙の長さ方向の中間部に、直径を大きくした切り欠き部が形成してあることを特徴とする。
【0015】
発明10は、発明8の材料試験片において、圧縮又は引っ張り方向に平行な柱状の空隙であって、その内面に接触する突起が前記空隙内に宙づり状に保持してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
発明1の試験装置によれば、環境設定のための大きな設備を必要とすることなく、また試験機の近くに圧力環境を設定する装置がなくても、簡便に、様々な条件の環境下での信頼性の高い機械的強度特性や耐環境特性を測定評価することができる。
【0017】
発明2の試験装置によれば、発明1と同様な効果を奏するのみならず、環境雰囲気流体の流動状態における影響をも試験することができるものである。
【0018】
発明3の試験装置によれば、発明1と同様な効果を奏するのみならず、高圧や真空などの状態を維持しながらの試験が可能になった。また、試験片が試験により破壊し、前記空隙から環境維持流体が流出したとしても、従来に比べ周辺に及ぼす影響はわずかなもので済む。
【0019】
発明4から6の試験装置によれば、発明3による状態維持能力並びに周辺への影響の低減効果をより確実に発揮させることが出来た。さらに、空隙内部の環境流体の漏れは実質上無いに等しく、試験片破損による危険をほとんど無くし得るに至った。
【0020】
発明7の試験装置によれば、前記各発明の効果を有しながらも、さらに複雑な内外の双方の環境変化による試験片に対する影響を把握できるようになった。
【0021】
発明9の試験装置によれば、環境中に使用される材料に切欠のような欠陥が有る場合の材料特性を空隙内に切欠を形成することにより求めることができる。
【0022】
発明10の試験装置によれば、材料が擦れ合う環境の疲労特性を求める擦れ冶具を、空隙内に容易に設置できる。
【0023】
以上要するに本発明は、従来危険とされた特殊な材料試験であっても、平易な装置により、その危険性を極めて少なく、場合によっては完全に無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、金属、合金、セラミックス、樹脂、あるいはそれらの2種以上の複合材を含む各種材料からなる試験片に外部と連通した微細な空隙を形成して外部から空隙内に活性の高い流体をジョイント部を通して任意の圧力で導入して密封した状態で試験片の外部から負荷をかけて引張試験、圧縮試験、曲げ試験、ねじり試験、疲労試験、疲労亀裂進展試験、クリープ試験、破壊靱性試験、衝撃試験等の様々な試験を行い、引張特性、圧縮特性、曲げ特性、ねじり特性、疲労特性、疲労亀裂進展特性、クリープ特性、破壊靱性特性、衝撃特性等の所定の様々な条件の環境雰囲気下での材料特性を評価するものであるが発明の詳細について以下に説明する。
【0025】
本願発明における試験片内部の空隙内の環境雰囲気の制御は活性を有する流体の種類と圧力を調整することによって調整されるが、この活性を有する流体とは、気体、液体あるいは気体や液体に固体の微粉末が混合したもの等の形態があり種々の部材に対して腐蝕、脆化、劣化等の作用を及ぼすあらゆる流動体が包含される。
【0026】
たとえば、気体では、水素、酸素、ハロゲンガス、酸性気体、塩基性気体、水蒸気、SF6、硫黄化合物、およびその混合物等が構造用材料に対する腐蝕、脆化流体として例示される。
また、液体では、酸、アルカリ、塩化物、海水、体液、水、液体と気体との各種の混合物(ミスト)および液体や気体と固体の微粉末の混合物(ミスト)等が代表的な構造用材料に対する腐蝕、脆化流体として例として考慮される。なお、前記効果の比較のため、活性が無い流体についても行われる。
【0027】
また、本願発明における制御可能な温度としては−269℃〜1000℃の範囲が、また、制御可能な圧力としては300MPa〜10-10Paの範囲が考慮されている。
本願発明における試験片内に設けられる微細空隙とは、具体的には試験片の内部に連通した直径が2.0mm以下、好ましくは1.0mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下であり該試験片に設けられた空隙内に圧力調整と密閉が可能なジョイント部を介して空隙内の、圧力、温度、湿度等を任意に設定した後に密封する。
【0028】
そして、試験片の外部から力学的な試験荷重、たとえば引張力、圧縮力、曲げ、衝撃等を加えることで様々な過酷な環境雰囲気下における材料特性を測定することも可能となる。
なお、本願発明の試験片の両端に連通した微細空隙が設けられた試験片を用いる場合には、ジョイント部から空隙内に同種または異種の流体を連続的または間歇的に注入して環境雰囲気を経時的に変化させながら試験片に負荷をかけて様々な過酷な環境雰囲気下における材料特性を測定することも可能としている。
【0029】
本願発明では試験片に設けられた微細空隙の形状や数を適宜選定することにより、効率的に引張特性、圧縮特性、曲げ特性、ねじり特性、疲労特性、疲労亀裂進展特性、クリープ特性、破壊靱性特性、衝撃特性等の所定の様々な条件の環境雰囲気下での材料特性を評価することを可能にすることができる。
本願発明における微細空隙の形状としては加工が簡単にできるように断面形状が円形または円形に近い形状が好ましく、微細空隙を設ける位置は力学的な負荷や周囲からの影響が均等になるように試験片の断面の中央部に設けることが好ましい。
なお、試験片に設ける微細空隙の形成手段については、小さな加工に好適なドリル加工や放電加工等と研磨仕上げが好ましい態様として考慮される。
【0030】
このように、この出願の発明の試験装置ではジョイント部あるいは配管のバルブ等によって試験片内の微細空隙内の環境雰囲気を密封し特定の条件に保持することができるため、任意に設定した試験片内の空隙部における過酷な環境雰囲気下と試験片外部の大気圧あるいは減圧の環境下にある試験を行なうことができるため試験片の内部と外部の環境雰囲気の違いによる差異を同時に対比できるという効果をも有している。
本願発明に用いる試験片の作製に際しては、所望の形状に成形した後でドリル加工や放電加工等で空隙部を設けることはもちろん、試験片を縦方向に分割し、空隙部を設けた後に再度貼り合わせたり、空隙の表面に試験すべき材料の薄膜を設けた後に貼り合わせたりする方法や形成された空隙部の表面を鋭利な刃で切り欠いたりする等の種々の態様が可能である。
また、本願発明の装置を用いて図7に示されているように、試験片の空隙内表面に切り欠きを付与して応力が集中させた部分の試験や空隙の内表面を擦る突起を有する棒を装填して外部から負荷をかけることが可能であることも本願発明の重要な態様となっている。
なお、この出願の発明は樹脂やセラミックス、あるいはこれらと金属系との複合材料等の種々の材料の試験片にも適用可能であり特に用途が制限されるものではないが、金属、合金等の金属系材料を主とする構造用材料を環境雰囲気制御する材料試験装置およびその試験材料として好適である。
【0031】
本願発明を図1〜図31に従って説明すると、図1は一方の端部だけが開放された試験を用いる材料試験装置を模式的に示したものであり、図2は両端部が開放された試験片を用いる材料試験装置を模式的に示したものである。
図1および図2には外部と連通した直径が2.0mm以下の空隙(A2)が設けられた試験片(A1)を用いて試験を行っている態様が示されている。
なお、試験片(A1)に設ける空隙(A2)の直径は可能な限り微細な方が好ましいが、これは「環境雰囲気流体」の量が少なく、たとえ事故の場合でも影響が最小限に食い止められる効果と空隙の試験片内応力分布への影響を無視できる効果がある。
したがって、試験片に設ける空隙の直径は2.0mm以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、さらに0.5mm以下がより好ましい。
図1に示されているように試験片(A1)の開口された端部は冶具(A3)が設けられており、固定ナット(A4)およびロックナット(A5)によりジョイント部(A6)と結合されている。
そして、試験片(A1)の内部には外部から環境雰囲気を任意に調整できるように軸芯に沿って空隙(A2)が設けられており、この試験片(A1)に設けられた空隙(A2)内はジョイント部(A6)を介して最高で300MPa程度の高圧あるいは真空に近い減圧にすることができる構造となっている。
図1に示されている試験片(A1)の空隙(A2)の端部に固定されている治具(A4)には試験片(A1)の端部と図3に示されている環境雰囲気流体を供給および排出するためのジョイント管(A62)との着脱を容易にするためのジョイント部(A6)が設けられている。
そして、試験片(A1)の内部に設けられた空隙(A2)内はジョイント部(A6)を介して、最高で300MPa程度の高圧あるいは真空に近い減圧にすることができるとともに、試験片(A1)の周囲の温度調整を加熱器(A13)および断熱冷却容器(A14)により−269℃〜1000℃の範囲で高温や低温にすることが可能となっている。
本願発明では、試験片(A1)の空隙(A2)内に過酷な圧力と温度を伴う環境雰囲気が調整され、材料特性に及ぼす環境雰囲気流体の圧力と温度の影響による差異等が観察される。
【0032】
そして、この試験片(A1)の空隙(A2)部は通常は密閉可能に設けられているジョイント部(A6)または配管に設けたバルブ(A9)等により密閉された状態で保持されている。
なお、本願発明の材料試験装置の概要を図1および図2に従って説明したが、本願発明の装置は図3に示されているような形態をはじめとして各種のバリエーションが可能であり、冶具への取り付けはネジ式またはボタンヘッド型丸棒試験片、あるいはその他試験片でもよく、ジョイント部(A6)は密封用ジョイントに限らず脱着が可能なコネクタ類もしくは溶接によるジョイントやバルブを伴う方式等の様々な形態も可能である。
図4は試験片の空隙部に開口された一方の端部から環境雰囲気流体を注入している態様を模式的に示したものである。
【0033】
なお、図4は一方の端部が開放された試験片に環境雰囲気流体を注入している態様の典型的な例を示したものであるが、環境雰囲気流体の注入する方法はこの方法に限定されないことはいうまでもない。
そして、空隙内に環境雰囲気流体を注入して後、密封用ジョイントで密封された試験片は加熱炉(A13)または冷却装置(A13)によって−269℃〜1000℃の範囲で高温や低温にすることが可能となっている。
さらに繰り返し荷重負荷により発熱するような試験片を、試験片内に流体を通すことで効率よく冷却することができる。
このように、本願発明は試験片(A1)に設けられた微細な空隙(A2)内のみを任意の環境雰囲気に設定した後、環境雰囲気を密封し保持して、引張試験、圧縮試験、曲げ試験、ねじり試験、疲労試験、疲労亀裂進展試験、衝撃試験、クリープ試験、破壊靭性試験等の試験を行い、種々の環境雰囲気の影響を受けた引張特性、圧縮特性、曲げ特性、ねじり特性、疲労特性、疲労亀裂進展特性、衝撃特性、クリープ特性、破壊靭性特性等を測定する。
なお、本願発明は環境雰囲気流体(A10)を封入した後、試験片(A1)の端部を密閉することにより外部環境を変えるだけで様々な環境雰囲気下での試験ができる試験片(A1)としても好適に利用できる。
【0034】
図5および図6は本願発明における試験片(A1)の空隙部(A2)を密封する態様を模式的に示したものである。
図5は溶融法であり、図6は圧着法であるが、溶融法では予めジョイント部(A6)に接続するジョイント管(A62)に挿入しておいた固形のシール材(A63)を加熱(A64)して溶かした後、冷却してジョイント管(A62)を封じる。
これに対して、圧着法ではジョイント管(A62)の内面の圧着を容易にするために、シール材(A63)を挿入しておく方法や圧着する部分の内径や外径を細くしておく方法がある。
そして、当該部分を適当な器具を用いて圧着(A65)してジョイント管(A62)を封じる。
このジョイント部(A6)を試験片に設置するには、このジョイント部(A6)を試験片(A1)端部に付加する形式と試験片(A1)と一体で加工する形式がある。
なお、溶融法の場合は試験温度においても密閉できること、圧着法においては圧着時の変形後も内圧に耐える構造にすることは言うまでもない。
また、密封する部位は試験片(A1)直近にある方が試験片(A1)の取り回しが容易であるとともに環境雰囲気流体の封入量が少なく都合が良いが、試験の形態により配管のどの部分にあっても構わない。
また、低温にて高圧環境を封入した場合は、試験に至るまで試験片を冷却しておくことが望ましい。
【0035】
本願発明では、試験片(A1)の空隙(A2)内のように環境雰囲気が過酷に調整されている部分と試験片(A1)の外部表面部の大気圧あるいは減圧下にある部分との差異や異なる環境雰囲気による差異等が観察されることにより試験片(A1)内部と外部の特性の比較試験を同時に行なうこともできる。
なお、図7は他の態様であり試験片の空隙内表面に切り欠きを付与して(7A)応力が集中させた試験や試験中の試験片の伸縮により空隙の内表面を擦る突起を有する棒を装填して(7B、C)負荷をかける試験を行うようにしたものである。
【0036】
このように、本発明の方法では試験片に設けられた空隙内だけの環境雰囲気を制御することで様々な環境雰囲気下での材料の特性を測定することが可能となる。
しかも、この試験方法は試験片に設けられた空隙にのみ気体や液体を充填するため、管理と処理に対する負担がきわめて少ないという優れた特徴を有している。
【0037】
この出願の発明の材料試験装置と試験片の構造を下記にさらに詳しく説明する。
【0038】
図8は本願発明を実施するために好適な引張試験機の概要を示したものである。
【0039】
本引張試験機は基盤(101)とクロスヘッド(103)とを支柱(102)にて連結して強固な枠構造を構成してある。
前記クロスヘッド(103)から吊り下げてある治具定盤(113)には、プルロッド(121)が上下に移動自在に保持してありこのプルロッド(121)の一端に上部治具(124)が設けてある。
また、前記治具定盤(113)には、支柱(112)を介して下部治具(111)を固定してある。
プルロッド(121)の上端はアクチュエータ(123)に接続されておりこのアクチュエータ(123)の作動により上下に移動するようにしてある。
【0040】
また、プルロッド(121)の中央には応力の変化を測定するロードセル(122)が設けてある。
下部治具(111)は、棒状試験片(11)の一端が下方に突出して、抜け止めナット(115)にて抜け止め出来るように貫通孔(111a)が形成してある。
図9および図10で示されている棒状試験片(11)は、上下両端に前記上下治具(124)(111)に取り付けるためにネジが形成してあり、内部にパイプ状の空隙(15)が形成してある。
この空隙(15)の一端は環境雰囲気流体の供給構造と管継手(250)により密封接合する口部(15a)が形成してある。
【0041】
前記管継手(250)は前記口部(15a)に固定される中継コネクタ(250a)とこのコネクタ(250a)に密封状に嵌り込むジョイント(250c)とこれを前記コネクタ(250a)に押し込む袋ナット(250b)とにより構成されている。
この試験片(11)の一端には前記抜け止めナット(115)がねじ込めるオネジが形成してある。
前記空隙(15)はパイプ状であって棒状の中心部に形成してある。
前記環境流体供給構造は、ガスボンベ(202)と前記管継手(250)とこれらを繋ぐメイン流路(201)とより構成されている。
前記メイン流路(201)には、余剰ガス排気管(204)が分岐されている。
また、配管内の気体を置換するための真空ポンプ(208)へ繋がる流路も分岐され、いずれの分岐流路にも、開閉弁(205)(207)が設けてある。
また、メイン流路(201)中の前記分岐箇所の上手と下手にも開閉弁(203)(206)が設けてある。
【0042】
下手側の開閉弁(206)はその近くに設けた圧力センサー(209)による圧力測定の結果が急速な減圧を示したとき自動的に閉止するように設定してある。
この圧力センサー(209)よりも下手側には、メイン流路(201)内を流れる流体の温度を調整する温度調整装置(256)が設けてある。
さらに、下手には、手元開閉弁(255)が設けてある。
このようにして、開閉弁(203)(206)(255)を開くことによりガスボンベ(202)に詰められたガス(例えば、高圧水素、高圧酸素など)を管継手(250)から前記空隙(15)内に流れ込み、試験片(11)の空隙(15)内面を所望の環境に暴露されているのと同様な状態にすることができる。
この状態で開閉弁(255)を閉じておけば、前記空隙(15)内の流体は外部との接触のない状態となる。
開閉弁(255)を閉じたまま、引張り試験を行うため、その結果として空隙(15)が破裂したとしても、ボンベからのガス供給が絶たれているので、試験機周辺が環境雰囲気流体で埋まるようなことはない。
【0043】
また、開閉弁(206)は圧力センサー(209)により自動閉止するので、仮に手元開閉弁(255)が開いている状態で試験片の破断が生じたとしても、それ以上のガス供給が停止される。
なお、レギュレター等の圧力調整機構がガスボンベ(202)に設置されているがこれらは従来周知の事項であるから説明を省略する。また14MPa程度のボンベ圧より高い圧力での試験を行う場合は、ガスボンベ(202)と開閉弁(203)の間に昇圧器を入れる。
【0044】
図11は、環境雰囲気流体供給構造からの供給を管継手(250)から間接的に供給するための供給口(251)の形態を示したものである。
供給口(251)は下部治具(211)にボルト(251a)により一体的に取り付けた構造を有している。
前記下部治具(211)には、試験片(21)の一端に設けたネジ部に結合するネジ孔(211a)が形成してある。
このネジ孔(211a)にねじ込まれた試験片(21)の一端面には前記空隙(15)の一端(25a)が開放してある。
供給口(251)の中央には、管継手(250)の中継コネクタ(250a)が接合されたチャンバー室(251c)が形成してある。
このチャンバー室(251c)の周囲にはOリング(251b)が設けてあり、前記試験片(21)の一端面の空隙一端(25a)周囲とそれ以外の箇所をこのOリング(251b)により密閉するようにしてある。
その他の点は前記の構造と同様なので説明を省略する。
【0045】
図12の(a)は空隙(25)を3本形成した例を示したものである。
3本の空隙(25)は、棒状試験片(31)の中央から均等に離れた箇所に配置してある。
なお、空隙の数は2本又は4本以上でも可能である。
これらの空隙(25)の一端にて一つの入口に繋がり、同じ環境雰囲気流体を供給されるようになっている。
また、図12の(b)は、本実施例は、チューブ状の試験片(41)に空隙(35)を3本形成した例を示したものであるが、空隙(35)は肉部に均等に形成してある。
【0046】
図13は流体供給構造を使用する場合において、前記図12の(b)に示すような中空試験片の場合は、その内部の中空部分に環境雰囲気流体が流入するのを阻止するために、栓(43b)を用いて内部中空部の一端を閉止している態様を示したものである。
図14は板状又は角軸状の試験片に本発明を適用する場合の例を示したものであり、板状の試験片(51)は上下に外れ止め用の幅広部分が形成してあり、上下の治具(224)(311)には、これを保持する溝が形成してある。
試験片(51)の中央にはパイプ状の空隙(45)が形成してあり、その一端には、管継手(250)をねじ込める入口部(45a)が設けてある。
前記下部治具(311)には、管継手(250)を挿入する孔(311b)が設けてある。
このようにして、板状の試験片にも空隙を形成して、本発明の方法を実施できるようにしてある。
図15の(a)は板状の試験片(51)に空隙(45)を形成したものであり、図15の(b)は板状の試験片(61)に3本の空隙(55)を形成した例を示したものである。
3本の空隙を板状の中央部に等間隔で配置した。
【0047】
なお、空隙の本数は、2本又は4本以上での可能である。
図15の(c)は角柱状の試験片(71)にパイプ状の空隙(65)を中央に形成した例を示したものである。
【0048】
図15の(d)は角柱状の試験片(81)に4本の空隙(75)を形成した例を示したものであり、空隙(75)は角柱の均等4分の1を一区画とし、それぞれの区画の中央に空隙が配置されている。
なお、空隙の数は2本、3本または5本以上であっても良い。
図16は衝撃試験用の試験片(511)に空隙(315)を形成した例を示したものであるが、衝撃試験片(511)の中央に空隙(315)を形成して、その一端を入口パイプ(315a)に連結してある。
このパイプ(315a)の遊端には管継手(250)が接続可能にしてある。
このように、本願発明は従来使用されている衝撃試験機には手を加えずに特殊環境下での衝撃試験を可能にした。
【0049】
図17は破壊靱性・疲労亀裂進展試験に適用するための試験片の例を示した模式図である。
試験片(411)は破壊靱性・疲労亀裂進展試験用の試験片であって、その亀裂起点用溝(412)に平行にして亀裂予定箇所の上下にパイプ状の空隙(415)(416)が形成してある。
この空隙(415)(416)の一端部には、それぞれ入口パイプ(415a)(416a)を介して分配器(417)に接続してある。
図18は分配器(417)を示したもので管継手(250)に接続され、同一の環境構成隆流体を各空隙(415)(416)に分配供給するものである。
【0050】
このようにして、破壊靱性・疲労亀裂進展試験においても本発明を実施可能にした。
図19はガスボンベ(202)の代わりに貯留タンク(202a)内に貯留した液体を環境雰囲気流体とするための供給構造を示したものである。
図19に示されるように貯留タンク(202a)の出口に設けた吐出ポンプ(202b)から管継手(250)に至るメイン流路(201)の途中に開閉弁(206)と圧力センサー(209)が設けてある。
また、圧力センサー(209)より下手側に温度調整装置(256)と手元開閉弁(255)が設けてある。
このようにして、貯留タンク(202a)に入れた水、酸、水酸化物、塩水などの流体を、吐出ポンプ(202b)により所定の圧力で試験片の空隙に供給し、手元開閉弁(255)の操作で空隙内に特殊な環境を作り得るようにした。
図20は試験片の空隙内に環境雰囲気流体を通過させながら試験が可能なようにする例を示したものである。
図19に示されている供給構造に戻り口(260)から前記貯留タンク(202a)に至る戻り流路(210)を追加する。
この戻り口(260)の接合は、前記管継手と同様な構成を利用したものである。
前記戻り流路(210)の途中には、開閉弁(210a)を設け、戻りを阻止することが出来るようにしてある。
また、試験片(11)の上端には空隙(15)の上端に繋がる流出口(15d)を形成し、上部治具(224)には流出口(15d)にOリング(260b)により密封状態で繋がる流出通路(260a)が形成してある。
この流出流路(260a)には戻り口(260)に接合可能にしてある。
このようにして、前記貯留タンク(202a)に貯めた液体を空隙(15)内を通して貯留タンク(202a)に戻すようにされている。
【0051】
図21に示される試験片(51)の上端に、空隙(45)に繋がり正面に開放した流出口(45d)が設けられている。
そして、上部治具(324)の正面には流出口(45d)にOリング(324c)により密封状態で繋がる流出通路(324d)が形成してある。
(324a)は試験片(51)の上部を正面に向かって押さえつける押え板であってボルト(324b)により上部治具(324)に取り付けられている。
【0052】
図22は複数の空隙にそれぞれ別の環境雰囲気流体を入れて実験する改良法を示したものであり、図23は図22の試験片の底面図である。
試験片(11’)には3本の空隙(15)(15’)(15’’)が形成されており、それぞれにはパイプ状の口部(15a)(15a’)(15a’’)が試験片の一端部(13a)に連結されている。
そして、この口部(15a)(15a’)(15a’’)は管継手(250)(250’)(250’’)により、それぞれ別系統の環境雰囲気流体供給構造のメイン流路(201)(201’)(201’’)に接続可能にしてある。
【0053】
この出願の発明はこのような装置および試験片を用いることにより、水素ガス、酸素ガス、高圧水をはじめ種々の環境雰囲気流体を種々の条件で用いた時の影響を同一の試験片で同時に評価することを可能にするものである。
【0054】
本願発明の材料試験装置および試験片を用いて実際に行った結果を以下に示す。
【0055】
図24は本願発明の装置により空隙内を1MPaAr(アルゴン)ガス雰囲気並びに1MPa水素雰囲気にした場合の引張荷重と伸びについて、SUS304試験片の室温における結果を例示したものであるが、試験片の伸びと破断の差異を明瞭に評価できることがわかる。
また、試験片の破面においても、上記の水素ガスの場合には、平坦かつ割れがある脆性破面が明瞭に観察されていることが確認されている。
【0056】
図25および図26は空隙内が大気雰囲気の場合と1MPa水素雰囲気の場合の各々の破面とその拡大を例示したものであるが、1MPa水素雰囲気の場合には平坦かつ割れがある脆性破面が観察されるのに対し、大気雰囲気下では細かいディンプルの延性破面が観察される。
さらに、図27は−80℃においてSUS304の内部空隙に10MPa水素ガスを導入して引張試験を行った場合と内部空隙内を大気あるいは10MPaのヘリウムガスとした場合を比較したものであるが、荷重−伸び曲線から高圧水素中では大気あるいはヘリウムガス中の曲線に比較して、中途で破断していることが示されており、使用する環境雰囲気流体の違いによる試験片の伸びと破断の特性の差は極めて明瞭に把握されている。
図28は試験片としてSUS304の内部空隙にヘリウムガスを封入して引張試験を行った時の破断面の写真であり図29はその顕微鏡写真である。
また、図30は試験片としてSUS304の内部空隙に水素ガスを封入して引張試験を行った時の破断面の写真であり図31はその顕微鏡写真である。
ヘリウムガスを用いた場合の図28と図29は飴がのびたようなディンプル状の延性的な様相を示しているのに対して、水素ガスを用いた場合の図30と図31は煎餅が割れたように、平坦かつ割れがある脆性破面が明瞭に観察される。
【0057】
このように、本願発明の装置では試験片に設けられたきわめて微細な空隙内に任意の気体や液体を注入した後、該微細な空隙内だけの環境雰囲気を制御するだけで大きな負担を要することなく、過酷な環境雰囲気下での材料の様々な試験を行なうことが可能となる。
しかも、本発明のこの試験装置は試験片に設けられた微細な空隙にのみガスや液体を充填するため、管理と処理に対する負担がきわめて少ないという優れた特徴を有している。
また、本願発明の他の特徴としては、たとえば、試験片に設けられる微細空隙の容積が0.01cc(空隙の内径で1mm程度)であれば1000気圧で圧入されたガスは常圧に換算すると10cc程度であり、たとえ漏れても事故は最小限に抑制することができるという優れた特徴を有している。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】試験片内の空隙が一方の端部と連通した試験片を用いて試験をしている状態を示した模式図である。
【図2】試験片内の空隙が両端と連通した試験片を用いて試験をしている状態を示した模式図である。
【図3】異なった形式の材料試験装置を用いて試験をしている状態を示した模式図である。
【図4】試験片の空隙内に環境雰囲気流体を注入する態様を示した模式図である。
【図5】環境雰囲気流体を溶融法で密封している状態を示した模式図である。
【図6】環境雰囲気流体を圧着法で密封している状態を示した模式図である。
【図7】空隙部に切り欠きが付与されている態様を示した模式図である
【図8】本願発明の材料試験装置と環境雰囲気流体供給構造の模式図である。
【図9】材料試験装置の要部を示す断面図である。
【図10】試験片のA−A断面図である。
【図11】材料試験装置の要部を示す断面図である。
【図12】空隙を3本設けた試験片の断面図である。
【図13】環境雰囲気流体が流入するのを防ぐために栓を設けた状態の態様を示した断面図である。
【図14】中央にパイプ状の空隙が設けてあり一端に管継手が設けてある状態を示した断面図である。
【図15】板状および角軸状の試験片の上下中間部を示す断面図である。
【図16】衝撃試験用の試験片に空隙を設けた断面図である。
【図17】破壊靭性・疲労亀裂進展用試験片の断面図である。
【図18】破壊靭性・疲労亀裂進展用試験片の平面図である。
【図19】貯留タンクに液体を用いる材料試験装置の模式図である。
【図20】空隙内に環境雰囲気流体を供給する態様を示した断面図である。
【図21】板状試験片を用いた時の態様を示した断面図である。
【図22】空隙内に異なった環境流体を用いた時の態様を示した断面図である。
【図23】図25の試験片の一端面を示す底面図である。
【図24】引張試験の結果を、荷重と伸びの関係をしめした図である。
【図25】破断面の写真である。
【図26】破断面の拡大写真である。
【図27】SUS304のヘリウムガス中と水素中の荷重−伸び曲線を示したものである。
【図28】空隙にヘリウムガスを封入した試験片SUS304の引張試験の破断面を示した写真である。
【図29】図28の拡大顕微鏡写真である。
【図30】空隙に高圧水素を封入した試験片SUS304の引張試験の破断面を示した写真である。
【図31】図30の拡大顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0059】
A1 試験片
A2 空隙
A3 冶具
A4 固定ナット
A5 ロックナット
A6 ジョイント部
A7 冶具
A8 荷重
A9 バルブ
A10 環境雰囲気流体
A11 試験片固定冶具
A12 コネクタ
A13 加熱器
A14 断熱冷却容器
A61 試験片端部
A62 ジョイント管
A63 シール材
A64 加熱
A65 圧着
d 直径
11 棒状試験片
11' 試験片
13a 一端部
15 空隙
15’ 空隙
15’’ 空隙
15a 口部
15a’ 口部
15a’’ 口部
15d 流出口
21 試験片
25 空隙
25a 空隙端部
31 棒状試験片
35 空隙
41 試験片
43b 栓
45 空隙
45a 入口部
45d 流出口
51 試験片
55 空隙
61 試験片
65 空隙
71 試験片
75 空隙
81 試験片
101 基盤
102 支柱
103 クロスヘッド
111 下部治具
111a 貫通孔
112 支柱
113 治具定盤
115 抜け止めナット
121 プルロッド
122 ロードセル
123 アクチュエータ
124 上部治具
201 メイン流路
201’ メイン流路
201’’ メイン流路
202 ガスボンベ
202a 貯留タンク
202b 吐出ポンプ
203 開閉弁
204 余剰ガス排気管
205 開閉弁
206 開閉弁
207 開閉弁
208 真空ポンプ
209 圧力センサー
210 戻り流路
210a 開閉弁
211 下部治具
211a ネジ孔
224 治具
250 管継手
250’ 管継手
250’’ 管継手
250a 中継コネクタ
250b 袋ナット
250c ジョイント
251 供給口
251a ボルト
251b Oリング
251c チャンバー室
255 開閉弁
256 温度調整装置
260a 流出流路
260b Oリング
260 戻り口
311 下部治具
311b 孔
315a 入口パイプ
315 空隙
324 上部治具
324a 押さえ板
324b ボルト
324c Oリング
411 試験片
412 亀裂起点用溝
415 空隙
415a 入口パイプ
416 空隙
416a 入口パイプ
417 分配器
511 衝撃試験片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片に荷重を負荷する荷重負荷部を具備する材料試験装置であって、前記試験片の内部に微細空隙が形成されていて、当該空隙の開放端部に密封状態で接合可能なジョイント部と、このジョイント部を介して環境雰囲気流体を前記空隙内に供給する流体供給部とを有する、ことを特徴とする材料試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載の材料試験装置において、前記空隙の両端部が開放され、それぞれに密封状態で接合可能な2個のジョイント部と、両ジョイント部を介して環境雰囲気流体を前記空隙内に流通させる流体供給部とを有することを特徴とする材料試験装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の材料試験装置において、ジョイント部又は前記流体供給部に、前記空隙内の環境雰囲気流体を外部に流出させない閉止手段が設けてあることを特徴とする材料試験装置。
【請求項4】
請求項3に記載の材料試験装置において、前記閉止手段が、前記ジョイント部が空隙に一端が固定された中継コネクタとこれに密封状態で接合されるジョイントとからなり、前記コネクタ内に、これを非可逆的に閉止する閉止部材を配してなるものであることを特徴とする材料試験装置。
【請求項5】
請求項4に記載の材料試験装置において、前記閉止手段が、前記コネクタの空隙に近い側にU字形状の溜まり部が形成され、閉止部材として熱可塑性のシール材が前記溜まり部内に配置されてなるもので、当該溜まり部を融点以上に加熱することにより、前記シール材が溶融して、溜まり部を封止するようにしてあることを特徴とする材料試験装置。
【請求項6】
請求項4に記載の材料試験装置において、前記閉止手段が、前記コネクタ内に加圧にて変形可能な圧力可塑性シール材が配されてなるもので、前記コネクタの前記シール材配置箇所を圧迫してコネクタとともに前記シール材をも変形させて閉止するようにしてあることを特徴とする材料試験装置。
【請求項7】
請求項1から6に記載のいずれかに記載の材料試験装置において、前記試験片が外周部における環境を制御する外部環境制御部が設けてあることを特徴とする材料試験装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の材料試験装置に用いる試験片であって、試験片に設けられている微細な空隙が直径2.0mm以下の柱状であることを特徴とする材料試験片。
【請求項9】
請求項8に記載の材料試験片において、柱状の空隙の長さ方向の中間部に、直径を大きくした切り欠き部が形成してあることを特徴とする材料試験片。
【請求項10】
請求項8に記載の材料試験片において、圧縮又は引張方向に平行な柱状の空隙であって、その内面に接触する突起が前記空隙内に宙づり状に保持してあることを特徴とする疲労試験用の材料試験片。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−286036(P2007−286036A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320281(P2006−320281)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】