説明

板状部材に対する外装部材の取り付け構造

【課題】 外装部材側に広い取り付けスペースを要することなしに板状部材への取り付け固定が可能な板状部材に対する外装部材の取り付け構造の提供。
【解決手段】 外装部材を構成するフードモール2の裏面にクリップ貫通孔22を有する板状突起21が突出形成され、フードモール2が取り付けられる板状部材を構成するフードアウターパネル11の取付部には板状突起21を挿通可能な挿通孔111が形成され、挿通孔111に挿通された板状突起21のクリップ貫通孔22に対し、フードアウターパネル11の裏面側においてくさび型クリップ3を圧入係合させることによりフードモール2の取り付けがなされるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車におけるフードアウターパネル(板状部材)の先端縁部に沿ってフードモール(外装部材)の取り付けを行う場合のように、板状部材に対する外装部材の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フードアウターパネル(板状部材)の先端縁部に対するフードモール(外装部材)の取り付け構造としては、例えば、フードモールの裏面側に取付ボルト頭部を保持する取付ボルト保持部が一体に突出形成される一方、フードアウターパネルとフードインナーパネルを車両先端部においてヘミング部を介して接合された構造のフードパネルのヘミング部に取付孔が貫通形成されていて、この取付孔に取付ボルトを挿通してヘミング部の裏面側でナットを螺合して締結することにより、フードアウターパネルに対しフードモールの取り付け固定がなされるようにした構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開昭62−118756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来の技術にあっては、上述のように、ボルトによる取り付け構造では、フードモールの裏面側に取付ボルト頭部を保持する取付ボルト保持部を形成する必要があるため、フードモール側に広い取り付けスペースが必要になるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述のような従来の問題点に着目して成されたもので、外装部材側に広い取り付けスペースを要することなしに板状部材への取り付け固定が可能な板状部材に対する外装部材の取り付け構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本願請求項1に記載の板状部材に対する外装部材の取り付け構造は、外装部材の裏面にクリップ係合部を有する板状突起が突出形成され、前記外装部材が取り付けられる板状部材の取付部には前記板状突起を挿通可能な挿通孔が形成され、該挿通孔に挿通された前記板状突起のクリップ係合部に対し前記板状部材の裏面側においてクリップを係合させることにより前記外装部材の取り付けがなされるように構成されていることを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の板状部材に対する外装部材の取り付け構造では、上述のように、板状部材の挿通孔に挿通された板状突起のクリップ係合部に対し、板状部材の裏面側においてクリップを係合させることにより外装部材の取り付けがなされるように構成されることにより、外装部材の裏面側には板状突起を突出形成させるだけでよいため、外装部材の幅が狭くても板状突起の厚み以上であれば板状部材への取り付け固定が可能になるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0009】
この実施例の板状部材に対する外装部材の取り付け構造は、請求項1〜6に記載の発明に対応する。
図1はこの実施例の板状部材に対する外装部材の取り付け構造が適用されたフードパネルに対するフードモールの取り付け構造を示すフードパネルを省略した状態の斜視図、図2はこの実施例の板状部材に対する外装部材の取り付け構造が適用されたフードパネルに対するフードモールの取り付け構造を示すクリップ装着方向を示す斜視図、図3は図1におけるクリップ装着部の縦断面図、図4はクリップを示す底面図である。
【0010】
この実施例の板状部材に対する外装部材の取り付け構造は、板状部材を構成するフードパネル1と、外装部材を構成するフードモール2と、くさび型クリップ3と、ラジエータグリル4と、を備えている。
【0011】
さらに詳述すると、上記フードパネル1は板状部材を構成するもので、図3に示すように、フードアウターパネル11と、フードインナーパネル12とが先端ヘミング部13を介して接合することにより構成されている。このヘミング部13は、フードアウターパネル11の先端縁部を裏面側へ折り返し、この折り返した端部とフードアウターパネル11との間にフードインナーパネル12の先端縁部を挟持するように構成されている。
【0012】
上記フードモール2は、グリルを大きく見せるためにフードパネル1の先端縁部に取り付け固定される外装部材を構成するもので、少なくともその左右両端部をフードパネル1に固定することにより取り付けがなされるようになっており、このため、このフードモール2の両端部裏面には、左右方向に長い板状突起21が一体に突出形成され、この板状突起21にはくさび型クリップ3を圧入係合させるためのクリップ係合部を構成するクリップ貫通孔22が形成されている。
【0013】
そして、上記フードアウターパネル11には、各板状突起21を挿通可能な横長の挿通孔111が形成されると共に、この挿通孔111と対向するフードインナーパネル12には、板状突起21の貫通孔22にくさび型クリップ3の圧入係合部及び圧入係合作業空間を確保するための大きな開口部121が形成されている。
【0014】
上記くさび型クリップ3は、図2、4にその詳細を示すように、板状突起21に形成されたクリップ貫通孔22に圧入係合される差込部31と基部32とで構成され、該基部32は差込部31の幅より幅広の対向する端末面321、321を有する摘み部33に構成されている。そして、摘み部33にはその対向する端末面321、321の間をつなぐ連接面322が備えられた、左右方向に長い下面側を開放した箱状に形成されている。
そして、上記対向する端末面321、321の間をつなぐ連接面322が、クリップ3における差込部31と摘み部33をつなぐ部分においてその裏面側を目隠しする面を構成している。
【0015】
また、上記差込部31における先端部のフードアウターパネル11側の面にくさび傾斜部311が形成されている。
また、この差込部31には、略コ字状に切欠されていてクリップ貫通孔22に差込部31を圧入する際にフードアウターパネル11方向に撓んで圧入を可能にすると共に、圧入後は貫通孔22の開口縁部に係合して抜けを阻止する係合爪片312が形成されている。
【0016】
次に、実施例の作用・効果について説明する。
この実施例の板状部材に対する外装部材の取り付け構造では、上述のように構成されるため、まず、フードモール2の両端部裏面に突出形成された板状突起21を、フードアウターパネル11の先端縁部に形成された挿通孔111に挿通させ、次に、クリップ3における対向する端末面321、321を有する摘み部33を構成する基部32を摘んで、図2に示すようにフードアウターパネル11の先端側から差込部31斜め上方へ向けて板状突起21に形成されたクリップ貫通孔22に対し圧入させることにより、図3に示すようにフードアウターパネル11に対するフードモール2の取り付け固定を完了すると共に、クリップ貫通孔22の開口縁部に係合爪片312が係合してクリップ3の抜けが阻止された状態となる。
【0017】
以上詳細に説明してきたように、この実施例の板状部材に対する外装部材の取り付け構造では、上述のように、フードアウターパネル11の挿通孔111に挿通された板状突起21のクリップ貫通孔22に対し、フードアウターパネル11の裏面側においてくさび型クリップ3を圧入係合させることによりフードモール2の取り付けがなされるように構成されることにより、フードモール2の裏面側には板状突起21を突出形成させるだけでよいため、フードモール2の幅が狭くても板状突起21の厚み以上であればフードアウターパネル11への取り付け固定が可能になる。
従って、外装部材側に広い取り付けスペースを要することなしに板状部材への取り付け固定が可能になるという効果が得られる。
【0018】
また、クリップ3の差込部31における先端部のフードアウターパネル11側の面にくさび傾斜部311が形成されることにより、クリップ貫通孔22に対する差込部31の差し込み操作が容易に行えるようになる。
【0019】
また、クリップ3における差込部31の基部32側に該差込部31の幅より幅広の摘み部33が形成されることにより、クリップ貫通孔22に対する差込部31の差し込み操作が容易に行えるようになる。
【0020】
また、クリップ3の摘み部33はその対向する端末面321、321と、その間をつなぐ連接面322が備えられている構成とすることにより、該連接面322が、クリップ3における差込部31と摘み部33をつなぐ部分においてその裏面側を目隠しする面を構成し、その裏側に位置するフードアウターパネル11部分を覆い隠すことができるため、フードパネル1を開けた際の見栄えをよくすることができるようになる。
【0021】
また、フードアウターパネル11の先端縁部に対すフードモール2の取付構造に適用されることにより、フードモール2の両端部を中央部より細く形成することが可能で、デザインの自由度を高めることができるようになる。
【0022】
以上、本発明の実施例を図面に基づき説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、実施例では、本発明をフードアウターパネル11の先端縁部に対するフードモール2の取付構造に適用した例を示したが、板状部材に対する外装部材の取付に全て適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例の板状部材に対する外装部材の取り付け構造が適用されたフードパネルに対すフードモールの取り付け構造を示すフードパネルを省略した状態の斜視図である。
【図2】実施例の板状部材に対する外装部材の取り付け構造が適用されたフードパネルに対すフードモールの取り付け構造を示すクリップ装着方向を示す斜視図である。
【図3】図1におけるクリップ装着部の縦断面図である。
【図4】クリップを示す底面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 フードパネル(板状部材)
11 フードアウターパネル
111 挿通孔
12 フードインナーパネル
121 開口部
13 ヘミング部
2 フードモール(外装部材)
21 板状突起
22 クリップ貫通孔(クリップ係合部)
3 くさび型クリップ
31 差込部
311 くさび傾斜部
312 係合爪部
32 基部
321 端末面
322 連接面
33 摘み部
4 ラジエータグリル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装部材の裏面にクリップ係合部を有する板状突起が突出形成され、
前記外装部材が取り付けられる板状部材の取付部には前記板状突起を挿通可能な挿通孔が形成され、
該挿通孔に挿通された前記板状突起のクリップ係合部に対し前記板状部材の裏面側においてクリップを係合させることにより前記外装部材の取り付けがなされるように構成されていることを特徴とする板状部材に対する外装部材の取り付け構造。
【請求項2】
前記クリップ係合部が、クリップを差込み可能なクリップ貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載の板状部材に対する外装部材の取り付け構造。
【請求項3】
前記クリップの差込部における先端部の板状部材側の面に傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の板状部材に対する外装部材の取り付け構造。
【請求項4】
前記クリップにおける差込部の基部側に該差込部の幅より幅広の摘み部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の板状部材に対する外装部材の取り付け構造。
【請求項5】
前記摘み部は、幅方向に対向する端末面とそれらの端末面をつなぐ連接面が備えられていることを特徴とする請求項4に記載の板状部材に対する外装部材の取り付け構造。
【請求項6】
前記板状部材がフードアウターパネルで、前記外装部材が前記フードアウターパネルの先端縁部に取り付け固定されるフードモールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の板状部材に対する外装部材の取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−38946(P2007−38946A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227447(P2005−227447)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000226600)株式会社アルティア橋本 (48)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】