説明

板状部材の支持装置

【課題】装置全体のコンパクト化、処理時間の短縮化を図ることができるようにすること。
【解決手段】支持装置10は、半導体ウエハWが載置される載置面17を有する載置手段11と、半導体ウエハWのVノッチNの位置を検出する検出手段12と、半導体ウエハWの外縁に当接可能な複数の当接手段22と、当接手段22を回転して半導体ウエハWを周方向に回転可能な回動モータ23と、当接手段22を介して支持された半導体ウエハWを載置面17に離間接近可能に設けられた昇降手段25と、載置面17と平行な方向に当接手段22を移動可能な移動手段26とを備えて構成されている。当接手段22、回動モータ23、昇降手段25及び移動手段26は、載置手段11に組み込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材の支持装置に係り、更に詳しくは、板状部材を精度良く位置決めして支持することができる板状部材の支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と称する場合がある)等の板状部材を支持する支持装置が広く利用されるに至っており、かかる支持装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1の支持装置は、ウエハの外縁に形成されたオリエンテーションフラットを利用して位置決め(アライメント)を行うアライメントステージと、アライメントステージの隣りに設けられるとともに、ウエハを吸着保持可能なチャックテーブルとを備え、アライメントステージでアライメントされたウエハが搬送装置を介してチャックテーブルに搬送される。チャックテーブル上では、保持したウエハに保護テープを貼付したり、当該保護テープをウエハの外縁に沿って切断したりする処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−123420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、アライメントステージとチャックテーブルとが並んで設けられるので、装置全体の複雑化や大型化を招来し、設備コストが上昇するという不都合を招来する。しかも、ウエハのアライメントを終えた後、アライメントステージからチャックテーブルにウエハを搬送することが必要となり、ウエハ1枚当たりの処理時間が長くなって処理効率を低下させてしまう、という不都合もある。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、装置全体のコンパクト化、処理時間の短縮化を図ることができる板状部材の支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、基準部を有する板状部材を載置可能な載置面を有する載置手段と、前記板状部材の基準部の位置を検出する検出手段と、前記板状部材の外縁に当接可能な複数の当接手段と、当該当接手段を回転して板状部材を周方向に回転可能な少なくとも1の駆動手段と、前記当接手段を介して支持された板状部材が載置面に離間接近する方向に当接手段を移動可能な昇降手段と、前記載置面と平行な方向に前記当接手段を移動可能な移動手段とを備え、前記当接手段、駆動手段、昇降手段及び移動手段は、前記載置手段に組み込まれる、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記載置手段は、前記板状部材を囲うリングフレームを支持可能に設けられる、という構成も好ましくは採用される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、板状部材を載置する載置手段に前述した各手段を組み込んだので、載置手段で板状部材のアライメントを行うことが可能となる。これにより、アライメント専用のステージと板状部材に所定処理を施すためのテーブルとの両方を設ける必要性の排除、つまり、一台の支持装置によってアライメントと、その後の処理とを行うことができ、装置全体の小型化、簡略化を達成することが可能となる。また、アライメント後に板状部材を搬送する工程を省略でき、処理効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る支持装置の概略平面図。
【図2】図1の概略A−A断面B矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書において、特に明示しない限り、「上」、「下」は、図2を基準として用いる。
【0011】
図1及び図2において、支持装置10は、外縁に基準部としてのVノッチNを備えた板状部材としての平面視略円形のウエハWが載置される載置手段11と、ウエハWの外縁領域を検出可能な検出手段12と、載置手段11に載置されたウエハWの周方向約120°間隔毎に3体設けられた支持ユニット14とを備えて構成されている。
【0012】
前記載置手段11は、ウエハWを載置可能な内側載置面17と、当該内側載置面17の外側でウエハWを囲うようにリングフレームRFを載置可能な外側載置面18とを上面に備えている。これらの載置面17、18は、図示しない切替弁を介して減圧ポンプ等の減圧手段に接続され、内側載置面17でウエハWを、外側載置面18でリングフレームRFを吸着保持可能となっている。内側載置面17と外側載置面18との間には、支持ユニット14を受容する凹状の陥没部11Aが形成されている。また、外側載置面18には、リングフレームRFの外周2箇所に形成されたV字状のノッチRF1に係合し、当該リングフレームRFを位置決め可能な位置決めピン19が設けられている。
【0013】
前記検出手段12は、VノッチNの位置を検出可能なカメラからなる。検出手段12は、VノッチNの位置データを図示しない制御手段に出力可能に設けられている。図示しない制御手段は、パーソナルコンピュータやシーケンサ等が例示でき、検出手段12から入力された位置データを処理することで、ウエハWのVノッチNの位置を特定し、更に、支持ユニット14を所定制御することで、ウエハWのVノッチNの位置を所定の位置に位置決め可能となっている。
【0014】
前記各支持ユニット14は、ウエハWの外縁に当接可能な当接手段22と、当該当接手段22を回転可能な駆動機器であって駆動手段としての回動モータ23と、前記当接手段22を上下方向に移動可能な昇降手段25と、内側載置面17と平行な方向に当接手段22を移動可能な移動手段26とをそれぞれ備えている。各支持ユニット14は、陥没部11A内に受容されるように設置され、これにより、各支持ユニット14が載置手段11に組み込まれることとなる。
【0015】
前記当接手段22は、回転中心軸が上下方向に向けられ、ウエハWの外縁側を受容可能な周溝22Aを外周面に有する円柱を変形した形状に設けられている。周溝22Aの底部は、ウエハWの外縁に沿って当接するよう円弧状に形成されている。これにより、各当接手段22によりウエハWの外縁を受容して支持しつつ、回動モータ23を介して回転することで、ウエハWを周方向に回転可能となっている。
【0016】
前記昇降手段25は、先端で回動モータ23を支持する出力軸25Aを備えた駆動機器としての直動モータからなる。昇降手段25は、出力軸25Aを進退して当接手段22を上下方向に移動可能に設けられ、当接手段22を介して支持したウエハWを内側載置面17に離間接近可能となっている。また、昇降手段25は、当該当接手段22をウエハWの上面から出没可能に設けられている。
【0017】
前記移動手段26は、平面視でウエハWの径方向に延びる駆動機器としての直動モータからなり、昇降手段25が当該直動モータのスライダ28に支持されている。これにより、3体の当接手段22によって、ウエハWを外縁から挟み込んで把持可能となり、且つ、平面視で各当接手段22がウエハWと重ならない位置に退避可能となっている。
【0018】
次に、本実施形態におけるウエハWの支持方法について説明する。
【0019】
初めに、当接手段22が図2中二点鎖線で示される退避位置に配置されるように各支持ユニット14を所定制御する。次いで、図示しない搬送装置を介して外側載置面18上にリングフレームRFを搬送し、位置決めピン19で位置決めして載置するとともに、図示しない切替弁を介して減圧手段で当該リングフレームRFを吸着保持する。これと前後して、図示しない搬送装置を介して図示しない接着シートが貼付されたウエハWの接着シート側を内側載置面17上に載置させる。この状態を保ちながら、各支持ユニット14の移動手段26及び昇降手段25を作動し、3体の当接手段22の周溝22AでウエハWを受容させ、ウエハWを内側載置面17から所定距離離れた位置まで持ち上げる。
【0020】
次いで、各回動モータ23を作動して当接手段22を回転することにより、ウエハWを周方向に回転させる。この回転中、検出手段12によりウエハWのVノッチNの位置が認識され、その位置データが図示しない制御手段に出力される。図示しない制御手段は、位置データに基づいて、VノッチNの位置を検出して回動モータ23を作動し、VノッチNが所定の位置に配置されるようにウエハWの位置決めを行う。
【0021】
その後、昇降手段25を作動し、ウエハWをゆっくりと下降して内側載置面17に接近させ、当該内側載置面17上にウエハWを載置するとともに、図示しない切替弁を介して減圧手段で当該ウエハWを吸着保持する。この吸着保持後、昇降手段25及び移動手段26の作動により当接手段22をウエハW及びリングフレームRFの上面よりも下方であって、平面視でウエハWと重ならない位置つまり、図2中二点鎖線で示される退避位置に退避させる。これにより、ウエハWは、その面方向の位置決めと、VノッチNの位置決めとが行われ、リングフレームRFに対して所定の位置で所定の姿勢となった状態で内側載置面17上に載置されることとなる。
【0022】
このように、ウエハW及びリングフレームRFが支持装置10に位置決めされて支持された後、例えば、シート貼付装置によって、支持されたウエハW及びリングフレームRFの上面に、リングフレームRFの開口部を覆う大きさに予め切断されたマウント用のシート等が貼付される処理が例示できる。この場合、マウント用シートにより一体化されたウエハW及びリングフレームRFは、図示しない搬送装置を介して後工程に搬送される。
【0023】
従って、このような実施形態によれば、単一の支持装置10において、ウエハWのアライメントと、ウエハW等へのマウント用シートの貼付との両方を行うことができる。これにより、アライメントとシート貼付とで別々に載置手段を設けなくてもよくなり、装置全体の小型化を通じて設備コストの削減を図ることが可能となる。また、アライメント終了後、マウント用シートを貼付するために、ウエハWを搬送する工程を省略でき、ウエハW1枚あたりの処理時間を短縮することが可能となる。
【0024】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0025】
例えば、載置手段11において、リングフレームRFを載置せず、接着シートが未貼付のウエハWにおける回路面を上向きとして当該ウエハWを支持してもよい。この場合、ウエハWを支持した後、シート貼付装置によって、支持されたウエハWの回路面に帯状の接着シートを貼付し、当該接着シートをウエハの外縁に沿って切断する処理が例示できる。この際、接着シートが貼付されたウエハWを再度当接手段22で挟み込んで支持し、昇降手段25の作動によってウエハWを内側載置面17から離間した後、図示しない搬送装置に受け渡すような制御も可能となる。
【0026】
更に、前述のようにウエハWを支持し得る限りにおいて、支持ユニット14の設置数を増減したり、設置位置を変更したりしてもよい。
また、回動モータ23は、全ての当接手段22に対応させて設けることはなく、少なくとも1の当接手段22が回転可能であれば、他の当接手段22はそれに追従して回転可能に設ければよい。
更に、前記検出手段12は、カメラ以外に、接触型、非接触型のセンサや、光反射型、投受光型のセンサや、ラインセンサ、超音波型のセンサ等の他の検出手段を採用してもよい。
また、板状部材の基準部としては、VノッチN以外にオリエンテーションフラットや、板状部材の面内に貫通された貫通孔等であってもよい。基準部がオリエンテーションフラットの場合、支持ユニット14は、4体以上設ける方がよい。
【0027】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【0028】
更に、本発明において、板状部材は、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他の被着体も対象とすることができ、半導体ウエハは、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
10 支持装置
11 載置手段
12 検出手段
17 内側載置面
22 当接手段
23 回動モータ(駆動手段)
25 昇降手段
26 移動手段
N Vノッチ(基準部)
RF リングフレーム
W 半導体ウエハ(板状部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準部を有する板状部材を載置可能な載置面を有する載置手段と、前記板状部材の基準部の位置を検出する検出手段と、前記板状部材の外縁に当接可能な複数の当接手段と、当該当接手段を回転して板状部材を周方向に回転可能な少なくとも1の駆動手段と、前記当接手段を介して支持された板状部材が載置面に離間接近する方向に当接手段を移動可能な昇降手段と、前記載置面と平行な方向に前記当接手段を移動可能な移動手段とを備え、
前記当接手段、駆動手段、昇降手段及び移動手段は、前記載置手段に組み込まれていることを特徴とする板状部材の支持装置。
【請求項2】
前記載置手段は、前記板状部材を囲うリングフレームを支持可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の板状部材の支持装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−156421(P2012−156421A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15991(P2011−15991)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】