説明

枚葉式ウエハケース

【課題】薄いウエハの周縁部を確実に固定し収納する枚葉式ウエハケースを提供する。
【解決手段】下ケースに適合する上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえ、下ケースおよび上ケースから構成されるウエハケースにおいて、上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえによりウエハ周縁部を押さえ、それ以外のウエハ領域にはウエハケースやウエハ押さえは接触しない。上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえとウエハとの接触部は、ウエハ上面および下面で同一のウエハ内領域である。ウエハ押さえは弾性構造および/または弾性材料で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄い半導体基板、たとえば、薄くなったシリコンウエハや化合物半導体基板などの脆い半導体基板を損傷や破損もなく収納可能なウエハ収納容器(ウエハケース)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコンウエハや化合物半導体ウエハ(以下、ウエハと呼ぶ)などから製作された半導体チップ等を組み込んだ製品、たとえば、プリント基板やICパッケージなどは、最終製品の軽薄短小化に対応して、小型化および薄型化している。これらの薄いプリント基板やICパッケージなどを実現するために、その中に組み込まれる半導体チップ等の厚み、すなわちウエハの厚みも非常に薄いものが要求されている。たとえば、2インチウエハにおいては最終厚みが20μm〜200μmのもの、4インチ〜10インチウエハにおいては最終厚みが30μm〜300μmのものが要求されている。
【0003】
しかし、このような薄いウエハは強度が小さく、半導体や抵抗等のデバイス(素子)を製作するプロセスにおける処理や搬送等において、ウエハが損傷したり破損したりする可能性が高い。特にウエハが薄くなるのは、半導体素子等形成後のウエハ裏面研削工程以降であり、たとえば、電気特性測定工程やダイシング工程までのウエハプロセス、ウエハ搬送またはウエハ運搬等においてウエハを収納する容器(ウエハケース)には、特別の機構をつけたものを採用している。たとえば、薄いウエハの撓みを抑えるためにウエハの中央部を支持する中央支持部を設けたウエハケースが開示されている。(特開2006-332278)このように薄くなったウエハは、非常に脆くなり取り扱いに細心の注意が必要になっている。
【0004】
また、従来一般に用いられている枚葉式(1枚のウエハを収納する)ウエハケースは、図7(図7Aおよび図7B)に示すようなものである。図7Aはウエハを収納した状態で上ケース74を取り外した様子を示した斜視図で、図7Bはこの状態の側面断面図である。この枚葉式ウエハケースは上ケース74と下ケース71に分離できるようになっている。下ケース71の底板部75の中心部が下方に円錐状に窪んでいて、ウエハ1は下ケースの円錐状底板部75の外周部の側面に接触して載置される。ウエハ1の外周端が接触しているので、接触部分は円形の線接触になる。ウエハ1を下ケース71に載置した後で、ウエハの上面(下ケース側を向いたウエハの面を下面、その反対の面を上面とする)に八手状のリテーナ(押さえ)73を載せる。このリテーナ73は、中心部が上に凸の円錐形状をしていて、リテーナの手の先端だけがウエハと接触する構造である。また、リテーナは板ばね構造、すなわち弾性構造になっていて、上ケース74を下ケース71と合わせて固定したときに、上ケース74の天板部77によってリテーナ73の中心部を押圧することによって、リテーナ73の八手の先端部によってウエハ1を押さえてウエハ1をウエハケースに固定するようになっている。
【特許文献1】特開2006−332278
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7に示されるような従来から使用されている八手状リテーナを用いた枚葉式ウエハケースの場合、上下のウエハケースおよび八手状リテーナは単純な構造であり取り扱いも簡単であるというメリットがある。反面、上記説明したように、ウエハ下面はウエハ外周部で下ケースの底板傾斜面との線接触となり、ウエハ上面は八手状リテーナの手の先端部で接触していて、ウエハの上面と下面の接触部分が一致していない。このため下ケースからウエハにかかる力と八手状リテーナからウエハにかかる力がその力の支点が離れていてウエハ内で不均一になっている。ウエハが300μm以上と厚かったときにはウエハの強度も十分ありウエハにダメージが入ったり破損したりするという問題はなかったが、ウエハが20μm〜200μmに薄くなった場合には、ウエハの強度が小さくなり、上記のウエハ内の不均一な力によりウエハにダメージが入ったり、ウエハ内の歪みが局所的または不均一に発生しウエハが破損してしまうことがある。このように薄くなったウエハは、非常に脆くなり取り扱いに細心の注意が必要になっている。さらに、近年の半導体等の素子は非常に微細で複雑な構造となっているため、わずかなウエハ内の不均一な力の発生は、半導体素子の特性や信頼性に影響を及ぼしてしまう。
【0006】
さらに、ウエハの歪みを抑えるために、上記説明したウエハの中心部を支持する構造を有するウエハケースの場合も反対面の中心部を押さえることができない(反対面には通常半導体等の素子が形成されている)ことにより、八手状リテーナ・ウエハケースの場合と同様に、ウエハの上面と下面の接触部分が一致していないため、ウエハにかかる力がウエハ内で不均一になっている。従って、ウエハが20μm〜200μmに薄くなった場合には、八手状リテーナ・ウエハケースの場合と同様の問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特に、薄くなった脆いウエハを損傷や破損もなく収納することが可能なウエハケースに関するものであり、上記課題を解決するために、本発明はウエハ周縁部をウエハ上面および下面から均等に押さえ、ウエハ周縁部より内側の部分、所謂ウエハ内の素子形成部分は押さえない構造とする。すなわち、ウエハ内の素子形成部分は、ウエハケース内においてどの部分とも接触せず浮いた状態となっている。さらにウエハ上面のウエハ押さえ部分およびウエハ下面のウエハ押さえ部分はウエハ上面およびウエハ下面においてほぼ同じ位置になっていて、力の作用する支点が一致するため、ウエハにかかる力が均等になり、ウエハに及ぼされる上方からの力と下方からの力が相殺される部分が大きくなり、ウエハ固定によるウエハ内の応力が小さくなる。これにより、ウエハへのダメージを発生させず、ウエハを損傷したり、ウエハを破損させたりしないようにしたものである。
【0008】
具体的には、以下の手段を用いている。
(1)ウエハの上面および下面でウエハ周縁部を押さえる部分を持ったウエハ押さえをウエハケースの上下にセットし、そのウエハ押さえによりウエハ周縁部をはさみこんでウエハの周縁部を均等に押さえる。
(2)上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえは、ウエハ周縁部の上面と下面の接触部分が一致する構造となっていて、ウエハ周縁部においてウエハの上下面で同じ接触(支持)面積を有する。
(3)上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえは、弾性を持たせた形状や構造(たとえば、その断面が少なくとも折り曲げられた部分を有する形状(たとえば、断面U字、V字、N字、W字、Z字)や傾斜形状)を有して構成されている。
(4)上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえは弾性物質(たとえば、ゴム、発泡体)で構成されている。
(7)ウエハ周縁部の押さえ領域は、ウエハ外周端から0.1mm〜5mmの範囲である。
(9)ウエハ周縁部の押さえ領域は、ウエハ周縁部の少なくとも半分以上である。(好ましくは、ウエハ周縁部全体)
(9)ウエハ押さえは上ケースおよび下ケースにスムーズに適合する大きさおよび形状を有している。
(10)ウエハ押さえは随時取り外し可能であり、適宜洗浄可能である。
(11)ウエハに接触しない部分とウエハに接触する部分の材質は異なっていても良い。
【発明の効果】
【0009】
上記の手段により本発明は次のような効果がある。
(1)上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえはウエハ上下面の周縁部のみ接触するので、ウエハ内素子領域への接触もなく、ウエハ素子領域へ力が作用することがないため、ウエハ内素子へのダメージが全くなく、ウエハ内素子の電気特性や物理的特性へ影響を与えることがない。
(2)ウエハ上下面周縁部において、上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえがウエハ(周縁部の)上下面に均等に接触し、その押さえによって発生するウエハ上下面に作用する力が均等に作用し、互いに打ち消す割合が大きくなる。この結果、ウエハにかかる力が均一になり、ウエハ固定によるウエハ内の応力が小さくなるので、ウエハにダメージを与えることもないし、ウエハを破損することもない。
(3)上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえは弾性を持たせた形状および構造を有しているので、上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえからウエハに及ぼす力は必要以上には大きくならない。この結果、ウエハにダメージを与えることもないし、ウエハを破損することもない。
(4)上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえは弾性物質で構成されているので、上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえからウエハに及ぼす力は必要以上には大きくならない。この結果、ウエハにダメージを与えることもないし、ウエハを損傷することもない。
(5)上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえとウエハとの接触領域は必要以上には大きくなく、上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえはウエハ内素子領域とは接触しないようになっている。たとえば、その接触領域は、ウエハ外周端から0.1〜5mmの範囲内にある。従って、ウエハ内素子領域にダメージを与えることもないし、ウエハ内素子を破損することもない。
(6)ウエハ周縁部におけるウエハ押さえとウエハ上下面との接触領域の一部に開口部がある場合は、ウエハ上下面の接触領域が一致しているので、上記(2)と同様の効果がある。
(7)従来から使用されている単純な形状の(上下に分離可能な)ウエハケースを使用できるので、非常に安価な費用でウエハを確実に固定できるウエハケースセット(ウエハケース+ウエハ押さえ)を提供できる。
(8)ウエハ押さえは単純な構造となっていてウエハケースと分離できるので、ウエハ押さえを繰り返し使用でき、また簡単に洗浄できる。ウエハ押さえばかりではなくウエハケースも単純な構造であるので、容易に洗浄できる。その結果、ウエハケース内を常にクリーンな状態に保持できるので、ウエハを汚染することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、ウエハ上下面においてウエハ周縁部を安全に確実に押さえることが可能な、上下2つに分離可能な上下のウエハケースの内部に配置し適合するウエハ押さえを有するウエハケースに関するものである。
【0011】
上述したように、従来の枚葉式ウエハケースはウエハを押さえて固定するときに、ウエハ上下面を押さえる部分が、ウエハ上下面で異なっていた。このためウエハ押さえ等からウエハに及ぼす力がウエハ内で均一でないために、20〜200μmにウエハ厚みが薄くなった場合に、ウエハにダメージを与えたりウエハを破損したりすることがあった。しかし、本発明者は、ウエハ上下面を押さえる部分をウエハ上下面で一致させる(同じ領域とする)ことにより、ウエハにダメージを与えたりウエハを破損したりすることが殆どなくなることを見出した。これは、上側のウエハ押さえからウエハ上面に作用する力と下側のウエハ押さえからウエハ下面に作用する力とが均等に働き、互いの力の打ち消し合う割合が大きくなり、この結果、ウエハにかかる力が均一になり、ウエハ固定によるウエハ内の応力が小さくなるためである。
【0012】
さらに、ウエハ押さえからウエハへ及ぼす力を必要以上に大きくせずしかも確実に押さえるために、ウエハ押さえに弾性的性能を持たせることにより、すなわち、ウエハ押さえの構造を弾性的構造にしたり、ウエハ押さえを弾性材料で構成したりすることにより、ウエハに与えるダメージやウエハの破損を防止する効果を飛躍的に向上できることを見出した。
【0013】
以下に、具体的実施例をもとに説明する。
図1(図1A〜図1C)は、本発明の第1の実施形態を示す図で、傾斜面を有した中空型円板形状のウエハ押さえおよびU字(またはV字)型円環状ウエハ押さえを有するウエハケースを表す図である。図1Aは、ウエハケースへ搭載されるウエハおよびウエハ押さえの搭載関係を示す図である。図1Bは、ウエハをウエハケース内に載置した状態を示す側面断面図である。図1Cは、上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえによりウエハを固定したときの様子が良く分かるように、図1Bの一部を拡大したものである。
ウエハケース10は上下に分離可能な上ケース14および下ケース11からなり、ウエハケース10内には上側ウエハ押さえ13および下側ウエハ押さえ12が配置され、ウエハ1は上側ウエハ押さえ13、下側ウエハ押さえ12の間に挟持される。下ケース11は、底板部15、底板部外周部を囲む円筒状側壁部(下ケース側壁部16)および(下ケース)外周足部19からなる。上ケース14は、(上ケース)天板部17および天板部外周部を囲む円筒状側壁部(上ケース側壁部18)からなる。
【0014】
図1Aにおいて、下ケース11の底板部15は中央部に向かって下方へ傾斜した円錐状の形状をしている。図1Bの側面断面図がこの傾斜状態を良く表している。下ケース側壁部16は円筒形状をしていて、下側ウエハ押さえ12は、下ケース側壁部16と底板部15の境界部分にうまく適合するように作製されている。ウエハ1も、円筒形状の下ケース側壁部16の内側に適合し、下側ウエハ押さえ12の上に載置される。
【0015】
次に上側ウエハ押さえ13をウエハ1の上に載せる。上側ウエハ押さえ13は、下ケース側壁部16の内側に適合するように作製されている。次に、上ケース14を下ケース11と合わせて上ケース14および下ケース11を固定する。上ケース14の側壁部(上ケース側壁部18)の内側は、下ケース側壁部16の外側にうまく適合するように作製されているので、上ケース14および下ケース11を固定できる。下ケース11の内側に下側ウエハ押さえ12、ウエハ1および上側ウエハ押さえ13を自然に載置(重力に適応してすきまなく載置)し、その後で上ケース14を下ケース11と合わせたときに、上側ウエハ押さえ13の最上部は上ケース14の天板部17の内側に当接するように作製されている。また、下側ウエハ押さえ12も上側ウエハ押さえ13もウエハ周縁部のみに接触するように作製されている。これにより、ウエハ1は、ウエハの周縁部において下側ウエハ押さえ12と上側ウエハ押さえ13との間に挟まれて押さえつけられるので、ウエハ1が確実にウエハケース10に固定される。上側ウエハ押さえ13の最上部が下ケース11の下ケース側壁部16の最上部よりはみ出ている場合は、天板部17が下ケース側壁部16の最上部よりさらに上部にあっても、天板部17が上側ウエハ押さえ13を押し付ける。しかし、上側ウエハ押さえ13の最上部が下ケース11の下ケース側壁部16の最上部よりはみ出ていない場合は、天板部17の部分で上側ウエハ押さえ13の最上部に接触するために天板部17のその接触部分を下ケース11の下ケース側壁部16の最上部より低くして上側ウエハ押さえ13の最上部に接触させるように作製し、天板部17が上側ウエハ押さえ13を押し付けることができるようにする。或いは、この目的のために天板部17に上側ウエハ押さえ当接部分を取り付けても良い。
【0016】
第1の実施形態においては、図1Aおよび図1Bから分かるように、下側ウエハ押さえ12は、その断面部がU字またはV字形状をした円環形状をしている。U字またはV字の開放側が下ケース側壁部16の内側に当接し、適合するように配置される。このU字またはV字構造は一種の弾性構造であり、U字またはV字の一端が(ウエハ1によって押されると)U字またはV字形状部分が弾性的に変形する。一方、上側ウエハ押さえ13は、図1Aおよび図1Bから分かるように、中心部上方へ傾斜した中心側が中空の円板形状をしている。この傾斜を有した円板形状の上側ウエハ押さえ13も一種の弾性構造になっていて、上側ウエハ押さえ13の上部が(上ケース14の天板部17によって押されると)傾斜した中空の円板形状が弾性的に変形する。上述したように、下ケース11に適合して上側ウエハ押さえ13を載置したときに、上側ウエハ押さえ13の最上部は、通常下ケース側壁部16の最上部より上側へはみ出ている。従って、上ケース14が下ケース11と合わさり固定したときに、上ケース14の天板部17により上側ウエハ押さえ13の上部が押され弾性的に変形するとともに、天板部17によって押される力が伝達し、ウエハ1と上側ウエハ押さえ13との接触部において、ウエハ1を押しつける。さらに、ウエハ1を押しつけた力は、ウエハ1と下側ウエハ押さえ12との接触部において、下側ウエハ押さえ12を弾性的に変形させる。
【0017】
この状態を拡大して良く分かるように示したものが図1Cである。上述したように上側ウエハ押さえ13は中心部に向かい上方へ傾斜しているので、上ケース天板部17と上側ウエハ押さえ13との接触部3において、上ケース天板部17が上側ウエハ押さえ13を押しつける。上側ウエハ押さえ13は上ケース天板部17によって下方へ押され弾性変形すると同時に、上ケース天板部17からの押圧力がウエハ1とウエハ押さえとの接触部2へ伝達し、その接触部2において、ウエハ1は上側ウエハ押さえ13と下側ウエハ押さえ12により挟持されしっかりと固定される。この図からも良く分かるように、上側ウエハ押さえ13とウエハ1との接触部の少なくとも1部(接触部全体も含む)は、下側ウエハ押さえ12とウエハ1との接触部と裏表の関係になっていてウエハの上面および下面において重なり合っている。すなわち、上側ウエハ押さえ13とウエハ1との接触部の少なくとも1部(接触部全体も含む)は、下側ウエハ押さえ12とウエハ1との接触部とウエハ上面およびウエハ下面において同じ位置またはほぼ同じ位置にある。従って、上側ウエハ押さえ13からウエハ1を下方へ押す力と下側ウエハ押さえ12からウエハ1を上方へ押す力は互いに打ち消し合う割合が大きくなり、ウエハに及ぼす力は均一になる。このことはウエハへのせん断的な力またはウエハ面に対して垂直方向以外の力が非常に小さくなることを表している。すなわち、ウエハ1と上側ウエハ押さえ13および下側ウエハ押さえ12との接触部2以外のウエハ内領域、特にウエハ内の素子領域にはほとんど力が作用しないため、ウエハにダメージを与えることはないし、当然にウエハを破損することもない。
【0018】
図1Bおよび図1Cのような断面からみると、ウエハ1は上側ウエハ押さえ13および下側ウエハ押さえ12と点接触しているように見えるが、上側ウエハ押さえ13および下側ウエハ押さえ12は弾性構造を有していると同時に弾性材料から構成される弾性体でもあるので、実際にはウエハ1は上側ウエハ押さえ13および下側ウエハ押さえ12と線接触(円板状または円環状であるから、実際には面接触)している。この接触部分は大きい方が接触部分における単位面積あたりの力が小さくなるので、ウエハ1の接触部分へのダメージは小さくなる。しかし、接触部分が大きいとウエハ内の素子部に接触してしまい、好ましくはない。ウエハ1を確実に保持できる程度の接触領域であれば良いので、接触領域はウエハ外周部から5mm以内が望ましい。ただし、ウエハ外周部から5mm以内にも素子が形成される場合は、それよりも外側にウエハ1と上側ウエハ押さえ13および下側ウエハ押さえ12との接触部2が来るように上側ウエハ押さえ13および下側ウエハ押さえ12の大きさや材質を調整する。たとえば、上側ウエハ押さえ13の傾斜角度、径、大きさ、形状、厚み、下ケース側壁部16の最上部からのはみ出し量を接触領域に合わせて調整すればよい。また、上側ウエハ押さえ13の材質、特に弾性率を変化させても良い。下側ウエハ押さえ12についても、たとえば、U字またはV字の開き角度、形状、大きさ、厚み、材質を接触領域に合わせて調整すればよい。
【0019】
図2(図2A〜図2C)は、本発明の第2の実施形態を示す図である。第2の実施形態において、上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえともウエハ周縁部と平坦面で接触する構造となっている。図2Aは、ウエハケースへ搭載されるウエハおよびウエハ押さえの搭載関係を示す図である。図2Bは、ウエハをウエハケース内に載置した状態を示す側面断面図である。図2Cは、上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえによりウエハを固定したときの様子が良く分かるように、図2Bの一部を拡大したものである。
【0020】
図2Aから分かるように、ウエハケースへ搭載されるウエハおよびウエハ押さえの搭載関係は図1Aと同じである。ただし、下側ウエハ押さえ22および上側ウエハ押さえ23は第1の実施形態とは異なっている。図2Bから分かるように、下側ウエハ押さえ22のウエハと接触する部分は、ウエハ周縁部の外周面である。すなわち、下側ウエハ押さえ22はその断面がL字状の形状をした円環状である。ウエハ1はこの下側ウエハ押さえ22のL字状の平坦部に配置される。また、上側ウエハ押さえ23は、下側ウエハ押さえ22の平坦部に適合するように、外周部に円筒状側壁部を有した円板構造となっている。上側ウエハ押さえ23の側壁部の平坦部が下側ウエハ押さえ22のL字状の平坦部と適合する。ウエハ1の周縁部は、図2Bに示すように下側ウエハ押さえの22の平坦部と上側ウエハ押さえ23の側壁の平坦部との間におさまり、互いに平坦面で接触している。上側ウエハ押さえ23の天井板23Aは、上ケース24を載せないときには、通常下ケース側壁部26の最上部より上にはみ出ている。従って、上ケース24を配置して下ケース21と合わせて固定したときには、上ケース24によって上側ウエハ押さえ23の天井板23Aが押される。その力が上側ウエハ押さえ23の側壁部23Bに作用して、ウエハ1と上側ウエハ押さえ23の側壁部23Bの平坦部との接触面(従って平面となる)において、上側ウエハ押さえ23の側壁部23Bに作用する力によって、ウエハ1の周縁部の接触面においてウエハ1を下方に押し付ける。その力がさらに下側ウエハ押さえ22のウエハ受け部(平坦部)22B(図1Cに示す)を押し付ける。以上によりウエハ1は下側ウエハ押さえ22と上側ウエハ押さえ23の間に挟持され固定される。
【0021】
この様子を拡大して示した図が図2Cである。断面がL字状の下側ウエハ押さえ22は下ケース21の下ケース側壁部26および底板部25の内側に適合する構造となっている。ウエハ1の周縁部は、下側ウエハ押さえ22の平坦部22Bに載置され、上側ウエハ押さえ23の側壁部23Bの平坦部に接触する。この場合、ウエハ1と下側ウエハ押さえ22との接触面は、ウエハ1と上側ウエハ押さえ23との接触面と同じ領域であることが望ましい。そのように作製することにより、ウエハ内の他の領域、特に素子の存在する領域へ作用する力が非常に小さくなる。この結果、ウエハがダメージを受けたり、破損したりすることはない。
【0022】
上側ウエハ押さえ23の天井板23Aは中心部に向かって上方へ傾斜する構造となっていても良い。この構造は1種の弾性構造である。この場合は、天井板23Aの一部が下ケース側壁部26の最上部より上にはみ出ていて、上ケース24の天板部27によってこのはみ出ている天井板23Aの部分が押され、その力が上側ウエハ押さえ23の側壁部23Bへ作用する。
【0023】
上側ウエハ押さえ23の天井板23Aが平板の場合には、天井板23A全体が下ケース側壁部26の最上部より上にはみ出ているので、上側ウエハ押さえ23や下側ウエハ押さえ22が弾性的に変形することにより、ウエハ1を固定する。たとえば、上側ウエハ押さえ23および下側ウエハ押さえ22は弾性材料で構成されているので、押圧によりこれらの弾性材料が変形する。
【0024】
第2の実施形態を示す図2においては、上側ウエハ押さえ23の天井板23Aは完全な円板状で示されているが、中空の円板状であっても良いし、八手状の形状であっても良い。
【0025】
図3は、断面が共にU字(またはV字)状の下側ウエハ押さえおよび上側ウエハ押さえを有するウエハケースの第3の実施形態を示す図である。第3の実施形態においては、その構造が良く分かるように側面断面図のみ示す。ウエハ1は下側ウエハ押さえ32と上側ウエハ押さえ33に挟まれて固定される。上ケース34が固定されていない状態では、U字(またはV字)状の上側ウエハ押さえ33の1部は下ケース側壁部36の最上部よりはみ出ていて、下ケース31と上ケース34を合わせて固定したときに、上ケース34の天板部37によって、U字(またはV字)状の上側ウエハ押さえ33が押される。U字(またはV字)状の上側ウエハ押さえ33は1種の弾性構造であるから、その一端が押されてU字(またはV字)形状が弾性変形するとともに、上側ウエハ押さえ33はウエハ1を押し付ける。さらに、ウエハ1を経由してU字(またはV字)状の下側ウエハ押さえ32が押される。U字(またはV字)状の下側ウエハ押さえ32も1種の弾性構造であるから、その一端が押されてU字(またはV字)形状が弾性変形するとともに、その反作用としてウエハ1を上方へ押す。上側ウエハ押さえ33とウエハ1との接触部分および下側ウエハ押さえ32とウエハ1との接触部分とをウエハ内で同じ領域とすることにより、ウエハ1を押す力同士(上側ウエハ押さえがウエハ1の上面を押す力と下側ウエハ押さえがウエハ1の下面を押す力)を均等にすることができるとともに互いに打ち消す割合を大きくすることができる。この結果、たとえウエハが20μm〜200μmと薄くなったとしても、ウエハ1の接触部分4以外の領域、特に素子領域にダメージを与えることもないし、ウエハを破損することもない。尚、上ケース34と下ケース31を固定したときに、上述したように上ケース34は上側ウエハ押さえ33を押し付けるが、上ケース34と下ケース31を固定した状態において、上側ウエハ押さえ33の最上部は必ずしも下ケース側壁部36の最上部と一致またはそれ以下になるわけではない。上側ウエハ押さえ33の最上部の位置は、上ケース側壁部38および下ケース側壁部39を合わせた位置で決定する場合もある。或いは、上側ウエハ押さえ33からの反作用力によって決まる場合もあるし、ストッパーなどの抑えによって決まる場合もある。
【0026】
図4は、上側ウエハ押さえの断面がU字(またはV字)状で、下側ウエハ押さえの断面が中心部下方に向かって傾斜した構造を持つ中空の円板形状である場合の第4の実施形態である。第4の実施形態においては、その構造が良く分かるように側面断面図のみ示す。どちらの構造も1種の弾性構造である。上側ウエハ押さえ43については第3の実施形態と同じである。ウエハ1と上側ウエハ押さえ43および下側ウエハ押さえ42とは接触部5において接触している。上側ウエハ押さえ43からのウエハ1を経由した力は、下側ウエハ押さえ42とウエハ1との接触面で下方に作用する。下側ウエハ押さえ42も一種の弾性構造であるから、下側ウエハ押さえ42は下方へ弾性変形する。ウエハ1と上側ウエハ押さえ43との接触部分およびウエハ1と下側ウエハ押さえ42との接触部分は、ウエハ内で同一部分となるように作製されている。この結果、この接触部分以外のウエハ領域、特に素子領域には作用する力は非常に小さくなるので、ウエハにダメージを与えたり、ウエハを破損したりすることはない。
【0027】
図5は、上側ウエハ押さえも下側ウエハ押さえもその断面が中心部に向かって傾斜した中空の円板状である場合の第5の実施形態である。第5の実施形態においては、その構造が良く分かるように断面側面図のみ示す。第1の実施形態で示した上側ウエハ押さえと第4の実施形態で示した下側ウエハ押さえを組み合わせたものと考えることもできる。上側ウエハ押さえ53は、中心部上方へ傾斜した中空の円板状であるが、その一部が下ケース側壁部56より上にはみ出ている。下ケース51が上ケース54と合わさり固定されたときに、上ケース54の天板部57が下ケース側壁部56のそのはみ出し部分を下方へ押す。上側ウエハ押さえ53は下方へ弾性的に変形するが、その力がウエハ1と上側ウエハ押さえ53の接触面に作用し、ウエハ1を下方に押す。(ウエハ1と上側ウエハ押さえ53および下側ウエハ押さえ52との接触部は6である。)ウエハ1と上側ウエハ押さえ53との接触部分およびウエハ1と下側ウエハ押さえ52との接触部分が、ウエハ内で同一部分になるように作製されているので、この力がウエハ1を介して下側ウエハ押さえ52に作用し、下側ウエハ押さえ52は下方へ弾性的に変形する。このときの下側ウエハ押さえ52からウエハ1へ作用する(反作用)力と上側ウエハ押さえ53からウエハ1へかかる力は互いに打ち消し合う割合が大きくなり、ウエハに及ぼす全体の力は非常に小さくなる。この結果、この接触部分6以外のウエハ領域、特に素子領域には作用する力が非常に小さくなるので、ウエハにダメージを与えたり、ウエハを破損したりすることはない。
【0028】
図6は、別のウエハ押さえを示す図である。図7に示す従来の八手状のウエハ押さえを本発明に適合するように改良したものである。すなわち、八手状の先端を円形状につなぎ、ウエハを押さえたときに、八手状の円形の先端部分がウエハの周縁部に接触するような構造となっている。このウエハ押さえ61をこれまで説明した第1〜第5の実施形態におけるように、上側ウエハ押さえや下側ウエハ押さえとして用いることができる。上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえの両方に用いても良いし、一方だけに用いて、他方には別の形状の押さえを用いることもできる。この八手状のウエハ押さえ61は、八手状の先端部(ウエハ押さえ61の外周部)63から中心へ向かって傾斜している。このときもウエハを固定したときに、ウエハと接触するのは、八手状の先端部(ウエハ押さえ61の外周部)63の一部であるが、その接触部がもう一方のウエハ面の接触部と一致するように作製する。このことによって、ウエハ押さえ61の中心部64が上ケースの天板部によって下方に押され弾性変形するとともに、天板部からの力がウエハ押さえ61の外周部からウエハを押して、上側ウエハ押さえと下側ウエハ押さえとの間でウエハが固定される。この結果、これまで説明してきたように、ウエハ内の接触領域以外の領域には力が作用しないので、ウエハにダメージを与えたり、ウエハを破損したりすることはない。尚、八手状ではなく、中心部に向かって傾斜した完全に円板状にした形状のものでも同様の効果がある。
【0029】
尚、「八手」としているが、「手」が文字通りに八個あることを意味しているわけではなく、手が幾つか(八個も含む)に分かれているという意味であることは言うまでもない。
【0030】
以上、幾つかの実施形態について説明してきたが、これまで説明したウエハ押さえを上側に使っても良いし、下側へ使っても良い。重要なことは、ウエハ周縁部だけをウエハ押さえと接触させ、それ以外のウエハ領域をウエハケースのいかなる部分とも接触させないこと、および上側ウエハ押さえとウエハとの接触部分および下側ウエハ押さえとウエハとの接触部分をウエハ内で一致(あるいは、ほぼ一致)させることにより、この接触部分におけるウエハに作用する力が非常に小さくなる。すなわち、ウエハ上下からウエハに均等に力を及ぼすような構造にする。この結果、接触部分以外のウエハ領域には力を与えないので(または、作用する力が非常に小さくなるので)、ウエハへのダメージがなく、ウエハを破損することがない。
【0031】
尚、ウエハとウエハ押さえとの接触部分は円状が好ましいが、下側ウエハ押さえとウエハ下面との接触部分がウエハ周縁部の一部である場合にも、上側ウエハ押さえとウエハ上面との接触部分を下側ウエハ押さえとウエハ下面との接触部分と一致させるかほぼ一致させることが重要であることは、これまで説明した通りである。
ウエハ押さえの弾性構造として、本明細書において説明した以外にも種々の構造がある。
【0032】
たとえば、断面がW字(E字)やN字(Z字)状の構造の円環状のウエハ押さえも使用できる。また、リング形状の押さえも使用できる。さらに、他の弾性構造も考えられることは言うまでもない。
【0033】
さらに、本発明はウエハの厚みが20μm〜200μmあるいは50μm〜300μmと薄くなったウエハに用いた場合に、従来の方法や構造のウエハケースを用いた場合に比較して、飛躍的にウエハのダメージや破損を防止する効果があることはこれまで説明した通りであるが、上記よりも厚いウエハにも用いることができることも言うまでもない。また、特に詳細には説明しなかったが、ウエハ周縁部以外のウエハ内領域には接触していないので、ウエハの表裏を逆にしてウエハケースに保持することも全く問題なく可能である。
【0034】
ウエハ押さえの材質として、弾性力のある樹脂である弾性高分子材料を使うことが望ましい。材質として弾性変形するので、ウエハに作用する力を軽減できる。また、衝撃を外部から受けたときに、ウエハへの緩衝効果も期待できる。弾性高分子材料して、熱可塑性エラストマーや発泡高分子やフッ素樹脂がある。熱可塑性エラストマーとして、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEE(ポリエステルエラストマー)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PBTE(ポリブチレンテレフタレートエラストマー),PBNE(ポリブチレンナフタレート)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PUE(ポリウレタンエラストマー)等がある。フッ素樹脂として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)が挙げられる。発泡高分子として、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)、発泡PE(ポリエチレン)発泡PU(ポリウレタン)や発泡PS(ポリスチレン)等が挙げられる。また、PC(ポリカーボネート),PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂等の高分子材料も使用できる。上記の高分子材料は単独でも良いし、複数を含む材料でも良い。ウエハに接触する部分に上記高分子材料を用い、それ以外の部分に別の材料、たとえば、金属やガラスなどの無機材料も用いることもできる。また、金属やガラスなどの無機材料の周りを上記高分子材料で被覆したウエハ押さえも用いることができる。たとえば、金属を上記高分子材料で被覆したウエハ押さえは、高い弾性作用および耐久性などの金属の優れた特徴と柔軟性や清浄性などの高分子材料の優れた特徴を有する。金属としては、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、白金、マグネシウム、チタニウム、クロム、マンガン、タングステンなどや、これらの合金や他の微量元素を含んだものが挙げられる。特にウエハと接触する部分だけを上記高分子材料で被覆したウエハ押さえも用いることができる。
【0035】
上ケースおよび下ケースに関しては、既存のウエハケースを用いることもできる。それらのケースおよびそこに収納されるウエハ(大きさ、厚みや形状など)に適合するように、本発明に従った上側ウエハ押さえおよび下側ウエハ押さえを作製すれば良い。本発明においては、ウエハケースは直接ウエハに接触することはないので、金属、合金、ガラス類やSiC等の材質のウエハケースも使用できる。従って、これらの材料を用いたウエハケースを極めて強固なものとすることができる。
【0036】
本発明は、ウエハだけではなく、薄くおよび/または脆い板材を収納できる枚葉ケースに適用できるので、半導体等のプロセスに限られず、液晶プロセスや有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)等の表示体形成プロセスにも適用できる。また、本実施形態においては、円形状のウエハを対象として説明したが、ウエハが円形状ではなく、矩形状その他の形状に適用できることも明らかである。
【0037】
さらに、本発明は一枚ずつ収納可能な枚葉式ウエハケースを対象として説明してきたが、「枚葉式」という言葉に関係なく、多段にこのウエハケースを積み重ねて固定すれば、多数枚収納のウエハケースになることも明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、半導体プロセス等におけるウエハ処理や運搬・搬送工程やウエハ保管において、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施形態を示す図で、ウエハケースへ搭載されるウエハおよびウエハ押さえの搭載関係を示す図である。
【図1B】図1Bは、本発明の第1の実施形態を示す図で、ウエハをウエハケース内に載置した状態を示す側面断面図である。
【図1C】図1Cは、本発明の第1の実施形態を示す図で、図1Bの一部を拡大した図である。
【図2A】図2Aは、本発明の第2の実施形態を示す図で、ウエハケースへ搭載されるウエハおよびウエハ押さえの搭載関係を示す図である。
【図2B】図2Bは、本発明の第2の実施形態を示す図で、ウエハをウエハケース内に載置した状態を示す側面断面図である。
【図2C】図2Cは、本発明の第2の実施形態を示す図で、図2Bの一部を拡大したものである。
【図3】図3は、断面が共にU字(またはV字)状の下側ウエハ押さえおよび上側ウエハ押さえを有するウエハケースの第3の実施形態を示す図である。
【図4】図4は、上側ウエハ押さえの断面がU字(またはV字)状で、下側ウエハ押さえの断面が中心部下方に向かって傾斜した構造を持つ中空の円板形状である場合の第4の実施形態である。
【図5】図5は、上側ウエハ押さえも下側ウエハ押さえもその断面が中心部に向かって傾斜した中空の円板状である場合の第5の実施形態である。
【図6】図6は、別のウエハ押さえを示す図である。
【図7A】図7Aは、従来の枚葉式ウエハケースを示す斜視図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示す従来の枚葉式ウエハケースの側面断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1・・・ウエハ、2、4、5、6・・・ウエハ1とウエハ押さえとの接触部、
3・・・天板部と上側ウエハ押さえとの接触部、
10・・・ウエハケース、11・・・下ケース、
12・・・下側ウエハ押さえ、13・・・上側ウエハ押さえ、
14・・・上ケース、15・・・底板部、16・・下ケース側壁部、
17・・・(上ケース)天板部、18・・・上ケース側壁部、
19・・・(下ケース)外周足部、21・・・下ケース、22・・下側ウエハ押さえ、
22B・・・下側ウエハ押さえ受け部、23・・・上側ウエハ押さえ、
23A・・・(上側ウエハ押さえ)天井板、23B・・・上側ウエハ押さえ側壁部、
24・・・上ケース、25・・・底板部、26・・・下ケース側壁部、
27・・・(上ケース)天板部、28・・・上ケース側壁部、
29・・・(下ケース)外周足部、30・・・ウエハケース、
31・・下ケース、32・・下側ウエハ押さえ、33・・上側ウエハ押さえ、
34・・・上ケース、35・・・底板部、36・・・下ケース側壁部、
37・・・(上ケース)天板部、38・・上ケース側壁部、39・・(下ケース)外周足部、41・・下ケース、42・・下側ウエハ押さえ、43・・上側ウエハ押さえ、
44・・・上ケース、45・・・底板部、46・・・下ケース側壁部、
47・・・(上ケース)天板部、48・・上ケース側壁部、49・・(下ケース)外周足部、51・・・下ケース、52・・・下側ウエハ押さえ、
53・・・上側ウエハ押さえ、54・・・上ケース、55・・・底板部、
56・・・下ケース側壁部、57・・・(上ケース)天板部、58・・・上ケース側壁部、
59・・・(下ケース)外周足部、61・・・ウエハ押さえ、
63・・ウエハ押さえ外周部、64・・・ウエハ押さえ中心部、
71・・・下ケース、73・・・リテーナ(八手状ウエハ押さえ)、74・・・上ケース、
75・・・(下ケース)底板部、77・・・(上ケース)天板部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下ケース内側に適合する下側ウエハ押さえと上側ウエハ押さえとを有する下ケースおよび下ケースに合わせ込んで下ケースに固定可能な上ケースからなる枚葉式ウエハケースにおいて、ウエハを収納したときにウエハ周縁部が下側ウエハ押さえおよび上側ウエハ押さえにより挟持されることにより、ウエハが前記ウエハケースに固定され保持されることを特徴とするウエハケース。
【請求項2】
前記下ケースは中心部下方に傾斜した円錐状の底板および底板外周端において底板部の周囲に設けられた円筒状の下ケース側壁部を有していて、前記上ケースは天板部および天板部周囲に設けられた円筒状の上ケース側壁部を有していて、前記下側ウエハ押さえは前記底板外周端および前記下ケース側壁部内側に適合するように配置され、前記下側ウエハ押さえの上にウエハが載置される構造を有していることを特徴とし、上側ウエハ押さえは前記ウエハ上面に載置されるとともに前記下ケース側壁部内側に適合するように配置され、前記上ケース側壁部の内側が前記下ケース側壁部の外側に適合して固定するように配置される構造であることを特徴とする請求項1記載のウエハケース。
【請求項3】
上ケース天板部が上側ウエハ押さえを押しつけることにより、ウエハが下側ウエハ押さえと上側ウエハ押さえとの間で挟持されることを特徴とする、請求項2に記載のウエハケース。
【請求項4】
ウエハは、ウエハ周縁部のみ挟持され、ウエハ周縁部の内側のウエハ内領域は何とも接触せず浮いた状態で保持されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載のウエハケース。
【請求項5】
下ケース、下側ウエハ押さえ、上側ウエハ押さえおよび上ケースはそれぞれ分離可能であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載のウエハケース。
【請求項6】
ウエハ下面と下側ウエハ押さえとの接触部分は、ウエハ上面と上側ウエハ押さえとの接触部分の少なくとも1部とウエハ上面およびウエハ下面において同じ位置になっていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載のウエハケース。
【請求項7】
ウエハと下側ウエハ押さえおよび上側ウエハ押さえとの接触部分が断続的である場合において、前記接触部分の円周方向領域は、円周全体の半分以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項に記載のウエハケース。
【請求項8】
ウエハと下側ウエハ押さえおよび上側ウエハ押さえとの接触部分は、ウエハ周縁部の円周全体であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項に記載のウエハケース。
【請求項9】
上側ウエハ押さえおよび/または下側ウエハ押さえは、弾性構造を有していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの項に記載のウエハケース。
【請求項10】
上側ウエハ押さえおよび/または下側ウエハ押さえは、ウエハケース中心部に向かいウエハとは逆方向へ傾斜している中空状の円板形状であることを特徴とする、請求項9に記載のウエハケース。
【請求項11】
上側ウエハ押さえおよび/または下側ウエハ押さえは、その断面が少なくとも折り曲げられた部分を有する形状の円環状であることを特徴とする、請求項9に記載のウエハケース。
【請求項12】
上側ウエハ押さえおよび/または下側ウエハ押さえは、円板状の片面の外周部に側壁部分を有し、ウエハは側壁部分の平坦な端面に接触して挟持されることを特徴とする、請求項9に記載のウエハケース。
【請求項13】
ウエハ押さえの一方は円板状の片面の外周部に側壁部分を有し、ウエハ押さえの他方は前記側壁部分の平坦な端面を受ける平坦な面を有するL字型断面の円環状を有し、ウエハの一方の面は前記側壁部の平坦な端面に接触し、ウエハの他方の面はL字型の平坦な面に接触して、双方のウエハ押さえによってウエハが挟持されることを特徴とする、請求項9に記載のウエハケース。
【請求項14】
上側ウエハ押さえおよび/または下側ウエハ押さえは、弾性材料から構成されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかの項に記載のウエハケース。
【請求項15】
弾性材料は、弾性高分子材料であることを特徴とする、請求項14に記載のウエハケース。
【請求項16】
上側ウエハ押さえおよび/または下側ウエハ押さえは、金属を被覆した弾性高分子材料から構成されることを特徴とする、請求項14に記載のウエハケース。
【請求項17】
上側ウエハ押さえおよび/または下側ウエハ押さえのウエハと接触する部分およびその近傍部分は弾性高分子材料であり、それ以外の部分は金属であることを特徴とする、請求項14に記載のウエハケース。
【請求項18】
上側ウエハ押さえおよび/または下側ウエハ押さえのウエハと接触する部分およびその近傍部分は金属を被覆した弾性高分子材料であり、それ以外の部分は金属であることを特徴とする、請求項14に記載のウエハケース。
【請求項19】
上ケースおよび/または下ケースが金属で構成されていることを特徴とする、請求項1〜18のいずれかの項に記載のウエハケース。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2009−43862(P2009−43862A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206140(P2007−206140)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】