説明

栄養投与単位

栄養サプリメントシステムは、消化管中の有利な場所で服用者に栄養素を供給する。投与単位の一類型は、上部胃腸器官系の胃及び腸中にてビタミンB12を放出するように調剤されており、好ましくはビタミンB12のDV(1日の摂取量)レベルよりも多い又は数倍量で放出するように調剤されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2007年8月3日付け出願の米国仮出願第60/953,934号及び2007年8月3日付け出願の米国の仮出願第60/953,944号の優先権を主張し、両者を参照することによってここに組込む。
【背景技術】
【0002】
ここに記載されるのは、被験者の健康を維持するために、ビタミン、ミネラル及びプロバイオティクスを送達するための栄養サプリメントシステムである。
【0003】
特に、ここに記載されるのは、ビタミンB12を被験者に送達するためのシステムである。
【0004】
ビタミン及びミネラルの調合剤は、一般の栄養サプリメントとして普通に投与されている。微量栄養素とは、食品及びハーブ中に少量又は微量存在する元素又は化合物である。これらとして、ビタミン、ミネラル又は他の元素、及び食品中で見出される物質が挙げられる。主要栄養素とは、炭水化物、脂肪及びタンパク質からなり、栄養とカロリーを供給する。カルシウム、ナトリウム、カリウム、塩素及びリンなどのいくつかの元素は比較的大量に消費され、鉄、ヨウ素及び亜鉛などの多くは少ない量で消費される。ビタミンB12や葉酸などのビタミン、ミネラルである銅、セレン及びクロムはごく少量又は微量で消費される。
【0005】
人体は人体に必須の多数の化合物を合成しないため、特定のビタミン、ミネラル及びその他の栄養素を、食品及びサプリメントという2つの供給源からしか得ることができない。全ての栄養素の最も重要な供給源は食品である。しかしながら、多くの人々は、食した食品から、必須化合物や元素を最適量で摂取しない。そこで、栄養サプリメントが健康を保つ方法として一般に認められるようになった。
【0006】
プロバイオティクスサプリメントの消費もまた人の健康に有益であろう。一時的又は慢性的な消化器系の症状が損傷した又は病気の腸内細菌叢によって起こりうることが認められるようになってきた。しばしば、適切な微生物を含む栄養サプリメント調合剤を消費することが、病気の又は損傷した腸内細菌叢によって起こった症状を軽減し又は取り除くのに十分である。
【0007】
本明細書中において「プロバイオティクス」とは生きた微生物であって、食品サプリメント中にあって送達され、腸内細菌のバランスを改善することで宿主動物に有益に作用するものをいう。抗生物質やその他関連する化合物はこの定義には含まない。(J. Nutr. 1995;125:1401−12)。ヒトには、普通、乳酸菌がプロバイオティクスとして、一種類又は他の培養細菌と混合した状態で提供される。利用される他属の細菌としては、ビフィズス菌及び連鎖球菌がある。「プレバイオティクス」とは消化されない食品成分であって、大腸内の細菌の成長及び/又は活性化に選択的に刺激を与えることで宿主に有益に作用するものをいう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の栄養サプリメントシステムの多くには、不十分な栄養しか供給できない、又は服用者にバランスのとれた且つ時間が適切に調節された栄養素の送達を実現するためには多様な服用量の栄養素を多くの異なった時間に服用しなければならないという問題があった。従来の栄養サプリメントシステムでは、消化器系に栄養素を送達すると、そこでは栄養素が効果的に吸収されるが、服用者に苦痛を与える場合があった。他の場合では、人体が摂取するのに最適ではない場所で1種以上の栄養素が放出される。好ましくない場所で栄養素やプロバイオティクスが放出されると、生物学的な活性が弱まる結果となりうる。例えば、プロバイオティクスは胃酸に曝されるとだいたいは生き残らない。
【0009】
ビタミンB12を送達するためのサプリメントの調合における特有の問題として、ビタミンB12の吸収には、胃の内面の細胞から「内因子」として知られる糖タンパク質を分泌することが必要であることが見出された。通常、ビタミンB12は大腸に通じる小腸の最後の部分(回腸)で直ちに吸収さる。しかし、吸収されるためには、ビタミンと内因子が結合しなければならない。胃を経る結果として、ビタミンB12は移動のため内因子と結合する。そして、このビタミンと内因子の結合体を、回腸の受容体が「捕獲」できる。内因子なしでは、かなりの量のビタミンB12が腸に留まることができ、大便として排泄される。従来、ビタミンB12の吸収を最大にするため、内因子との結合を最大化して、内因子/ビタミンB12複合体の吸収を最適化するように、ビタミンB12を胃中に送達するようにサプリメントを調剤すべきだと考えられていた。しかし、サプリメントが胃中でビタミンB12を急速に放出するのは難しい。
【0010】
そこで、人体に有益な物質を効果的に送達するための服用者に優しいシステムに対する要求が引き続き存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この要求に対する解決策として、消化器系内の適切な場所に栄養素を供給する栄養サプリメントシステムを提供する。
【0012】
特には、投与単位は、上部胃腸器官系の胃及び腸中の両方において、長時間にわたってビタミンB12を放出するように調剤される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
4成分の経口栄養サプリメントシステムは、効果的な栄養素の利用と服用者の快適さと便利さのため、被験者の消化器系を通じ最適な場所で、栄養素及び/又はプロバイオティクスの組み合わせを有利に供給することができる。
【0014】
システムは、被験者の胃中で1種以上の栄養素を急速に放出するように調剤された第一投与単位を含む。この投与単位は、胃中に放出され胃酸に曝されることで有利になる、又はそのような放出や暴露によって悪影響を受けない、及び/又は上部胃腸器官系では吸収がさらに低化するため、最適な吸収のため胃中に正確に分散される、ビタミンやミネラル又は他の食物性サプリメント成分を含むことが好適である。本投与単位は、好適には錠剤又はカプレットの形状に加圧成形される。錠剤を胃中で特に急速に送達すのが最善である1種以上の栄養素を含む層により被覆してもよい。一般的に、第一投与単位は、胃で耐えられない又は胃の酸性雰囲気で害を受ける物質を含むべきではなく、そのような物質は明細書中に記す他の投与単位の1つにより送達されるべきである。
【0015】
第二投与単位は、効果的に消化吸収されるために胃中に放出して胃酸に曝す必要がない栄養素を含むように製剤され、胃中での放出や胃酸への曝露は耐性問題(嘔吐、胃のむかつき、吐き気)を引き起こしたり、胃中に放出された場合に生物学的活性が喪失されたりする。本投与単位は、好適には特定の栄養油分、特に魚油成分、他にオメガ−3脂肪酸を含む油分を送達するのに使われ、ビタミンA、D、E、カロチノイドのような胃の消化を必要としない脂溶性の微量栄養素を含んでもよい。本投与単位は、好適にはゼラチンでカプセル封止され、カプセル化された栄養素を放出する前に胃を通過できる。
【0016】
特に重要なことは、第三投与単位は、水溶性栄養素及びその他の栄養素を含有するように調剤され、典型的には非常に急速に吸収され、長時間、体内で高濃度が維持されるように持続放出によって最もよく送達される。この投与単位はゆっくりと、通常は線形的にビタミンB12を放出するように設計されている。また、この投与単位は、1種以上の水溶性栄養素、特には、他のビタミンB類及びビタミンCも放出するように調剤することもできる。これらの栄養素は最初に胃中に放出され、上部胃腸器官系である腸内にて持続される。
【0017】
第四投与単位は、胃酸又は胃の消化に曝されると悪影響を受けるプロバイオティクスなどの栄養素及び/又は他のサプリメント成分を含み、大腸中で十分な活性があるように小腸の下流部に送達されるべきである。この投与単位は、胃を通過する間に、潜在的に致死的な酸暴露からプロバイオティクス細菌を保護するように製剤されている。それは、三層カプセルの形状が好適である。
【0018】
投与単位は、多様な放出の最適速度で、多様なビタミン及びミネラルサプリメントを送達するため、添加剤又は被覆の即時放出に加えて、添加剤又は被覆の長期放出の多様な形態を採用することが好適である。例えば、胃に入ってから数分でマルチビタミン及びミネラルサプリメントから葉酸が放出されるように、葉酸のマイクロ被覆を使用することができる。12時間以上の間ビタミンB及びCの腸での吸収を最大化するのに、ゲル拡散技術を用いることができる。魚油を遅延性放出カプセルに入れて提供することで、上部胃腸器官系の腸中での急速放出が可能となり、生物化学的利用能を最大にしかつ胃の不快感を最小にする。そして、三層カプセル化システムによりプロバイオティクスを下部胃腸器官系へ標的放出できる。
【0019】
一般に、多様に異なった放出特性の投与単位を製剤する方法は当業者に公知である。栄養サプリメントの投与単位は、限定される訳ではないが、即時放出、長期放出、パルス放出、可変的放出、制御放出、時限式放出、持続放出、遅延性放出、長期間活性及びそれらの組合せ等の1以上の放出形態を採用できる。周知の手順及び技術を用いて、多様な形式で放出するようにできる。
【0020】
層中にある添加剤又は被覆剤のいずれかを修飾することを含めた、層の成分を修飾することで、成分の放出の時限性放出特性を変えることができる。例えば、外皮層又は被覆層の組成又は量を変えることで、成分の放出を制御できる。同様に、特定のマトリックス材料を含有することで修飾した放出が促進される場合には、修飾した放出に用いたマトリックス材料の選択と量を制御することによって、活性成分の放出を制御することができる。マトリックス材料は、組成物の個々の成分の周囲や組成物の層を覆った状態のいずれかで存在することができ、所望の時限式放出又は成分ごとの放出の時間差が十分にできるどのような量で存在することもできる。
【0021】
多様な被覆材料を所望の方法で成分の放出を修飾するのに使うことができる。特に、実際の実施に適した被覆材料としては、ポリマー被覆材料に限定する訳ではないが、ヒドロゲル、ゲル形成材料、親水性ポリマーが挙げられる。好適なポリマー被覆材料としては、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリマレテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、Eudragit(登録商標)RS及びRLなどのアミノメタクリレートコポリマー、Eudragit(登録商標)S及びLなどのポリアクリル酸とポリアクリレートとメタクリレートのコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシナート及びシェラックが挙げられる。
【0022】
好適なハイドロゲル及びゲル形成材料として、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、デンプン、及び水の吸収とポリマーマトリックスの膨潤を容易にするように架橋度が低いセルロース系の架橋ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、架橋デンプン、結晶セルロース、キチン、アミノアクリル−メタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)RS−PM)、プルラン、コラーゲン、カゼイン、寒天、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)(分子量約5k〜5,000k)、ポリビニルピロリドン(分子量約10k〜360k)、陽イオン性及び陰イオン性ヒドロゲルなどの膨潤可能な親水性ポリマー、少量のアセテート残基をもつポリビニルアルコール、寒天とカルボキシメチルセルロースの膨潤可能な混合物、無水マレイン酸とスチレン、エチレン、プロピレン又はイソブチレンペクチンのコポリマー(分子量約30k〜300k)、寒天、アカシア、カラヤゴム、トラガカントゴム、アルギン酸及びグアールゴムなどの多糖類、Polyox(登録商標)ポリエチレンオキサイド(分子量約100k〜5,000k)、AquaKeep(登録商標)アクリレートポリマー、ポリグルカンのジエステル、架橋ポリビニルアルコールとポリN−ビニル−2−ピロリドン及びグリコール酸デンプンナトリウム(例えばExplotab(登録商標))が挙げられる。
【0023】
好適な親水性ポリマーとしては、多糖類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はカルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、ポリエチレンオキサイド(例えばPolyox(登録商標) Union Carbide社製)、メチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、マルトデキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、グリセリン脂肪エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、メタクリル酸コポリマー又はメタクリル酸(たとえばEudragit(登録商標))、その他のアクリル酸誘導体、ソルビタンエステル、天然ゴム、レクチン、ペクチン、アルギン酸塩、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸プロピレングリコール、寒天、アラビアゴム、カラヤゴム、イナゴ豆、トラガカントゴム、カラゲーン、グアールゴム、キサンタンゴム、硬化性グルカンなどのゴム及びそれらの混合物及び配合物が挙げられる。
【0024】
可塑剤、潤滑剤、溶剤等の添加剤も被覆剤に添加できる。好適な可塑剤としては、例えば、ヒドロキシル化大豆レシチン、アセチル化モノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコレート、酒石酸ジブチル、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、シトレート、トリプロピオイン、ジアセチン、ジブチルフタレート、アセチルモノグリセリド、ポリエチレングリコール、カストロール油、クエン酸トリエチル、多価アルコール、グリセロール、アセテートエステル、グリセロールトリアセテート、クエン酸アセチルトリエチル、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジオクチルアゼレート、エポキシ化タレート、トリイソオクチルトリメリテート、ジエチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−i−オクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジ−n−ウンデシルフタレート、ジ−n−トリデシルフタレート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジブチルセバケートが挙げられる。
【0025】
被覆層によって、いずれかの放出マトリックス材料又は放出マトリックス材料の組合せを好適に修飾できる。そのような材料は、当業者には公知である。本発明の実施に好適な修飾した放出性マトリックス材料としては、限定される訳ではないが、結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース)、ポリエチレンオキサイド、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロースやエチルセルロース)、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリアルキルメタクリレート、ポリビニルアセテート及びその混合物が挙げられる。
【0026】
投与形態の溶解特性は、当業者に公知のように、完成した投与形態中の添加剤の量や完成した投与形態の寸法を通じてだけでなく、所与のポリマーの多様な分子量の思慮深い選択や調合によっても操作できる。
【0027】
フィルム被覆錠剤は、錠剤上に切れ目のないフィルムを堆積する、回転パン被覆法又はエアサスペンション法などの技術を用いて錠剤を被覆して調製することができる。この処置によって、しばしば錠剤の美的外観が改善できるが、それだけでなく、不快な臭いや味を隠すことで、錠剤の嚥下性も改善し、見栄えのしない被覆なしの錠剤の通常の特性も改善できる。加圧した錠剤は、例えば、限定される訳ではないが、結合や崩壊特性を加えることを意図した添加剤と、成分を混合することで調製することができる。直接混合物を加圧する、又は、顆粒化してから加圧するのだが、使用する方法及び装置は、本産業では周知である。
【0028】
本明細書中に記載した栄養サプリメントシステムの1以上の投与単位はプレバイオティクスを送達するのに使うことができる。プレバイオティクスの例としては、グルコース、フルクトース、キシロース、ガラクトース、ラクトース、マンノース、アラビノース、D−フコース、L−フコース、ラムノース、アクティライト、バイオトース、パラチノース、IMO、セロビオース、ゲンチオビオース、レバン、マルトデキストリン、麦芽糖、メリビオース、ラフィノース、乳糖、パノリッチ、メレジトース、ラフティライン、ラフティロース、スタキオース、ショ糖、タガトース、キシラン、フルクトオリゴ糖(FOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、大豆オリゴ糖、ラクトスクロース、マルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イヌリン及び分画イヌリンなどのオリゴ糖だけでなく、ココヤシ(ココヤシの内胚乳繊維を含む)、ビートパルプ(テンサイパルプを含む)、チコリー(チコリーパルプを含む)、オート麦ふすま濃縮物、米ぬか、イナゴ豆、タルハーガム(gum talhar)及びグアールゴムなどの1種以上の食物繊維成分が挙げられる。
【0029】
投与単位を調製する特定の手順を詳述する以下の特定の議論及び実施例を参照することで、栄養サプリメントシステムがよりよく理解できる。すべての言及は特定の実施例を説明する目的でなされている。本発明の範囲や性質を限定するよう考慮してはならない。
【0030】
第三投与単位は、1種以上の水溶性の栄養素及び/又は他の栄養素を含有するように調剤され、典型的には非常に急速に吸収され、長時間、体内で高濃度が維持されるように持続放出によって最もよく送達される。
【0031】
特定の急速に吸収される、典型的には水溶性の栄養素が持続放出によって最もよく送達され、長時間、体内で高濃度が維持される。この栄養素にはビタミンB及びCが挙げられる。投与単位が即時放出により与えられるならば、このようなビタミンの体内での濃度は初期ピークの後急速に低下する。その上、投与単位の即時放出がもたらした高濃度の腸内栄養素によって、腸壁での吸収部位及び栄養素吸収機構がのみ込まれ、体が吸収できる全体量が減少するとことが知られている。このようなビタミンの投与単位を持続投与することでこのような問題を克服してきた。しかし、内因子と結合できるようにビタミンB12の全投与量を胃に送達する必要があると理解されているため、このようなビタミンを持続放出する投与単位から一般的にビタミンB12は除かれている。
【実施例】
【0032】
今回の試験によって、ビタミンB12を持続放出で送達することで、即時放出で胃中に送達した場合と比較すると、ビタミンB12の生物学的利用能を改善できることを示す。実施された特定の試験においては、9.8mgのビタミンB1、11.5mgのビタミンB、13.1mgのビタミンB、90μgのビタミンB12及び518mgのビタミンCを含有する錠剤を対象者に与えた。ビタミンBについては、即時放出調剤では摂取後2時間でB1、B、及びBの血漿中濃度がピークを形成し、血清中のビタミンB12は摂取後3時間でピークを形成した。その後、ビタミンB濃度はピーク濃度からすぐに減少し、B1及びBは6時間で、B及びB12は12時間で、ベースラインに戻った。これに対して、持続放出調剤での摂取により血清及び血漿中濃度は、B1及びBでは4時間以降、B及びB12では5時間以降へとピークが遅延した。持続放出性の錠剤で送達することで、即時放出で送達した場合と比較すると、ビタミンC及びビタミンB12を含む少なくとも3種類のビタミンBの生物学的利用能を改善することが見出された。
【0033】
そこで、第三投与単位が胃及び腸という上部胃腸器官系中でビタミンB12を放出するように製剤し、好ましくはビタミンB12のDV(1日の摂取量)レベルよりも多い又は数倍量で放出するように調剤する。それは、3mcg〜500mcgの量のビタミンB12を含有することで達成でき、6mcg〜500mcgの量のビタミンB12で最善の結果が得られる。
【0034】
37℃、撹拌速度50RPMの0.1N HCl 900ml中にUSP溶解装置で測定した、投与単位が6時間の間、連続的にそして全般的に線形的にビタミンB12を放出すると、最もよくビタミンB12を送達することができる。37℃の0.1N HCl 900ml中にビタミンB12の15%以上が1時間で溶解するように投与単位を製剤することが特に好適である。この投与形態によって対象者に摂取後ビタミンB12の血漿中濃度が12時間保持される。例えば、20mcg〜100mcgのビタミンB12を含有し、5%〜20質量%のHPMC K100/E15を含有する全重量350mg〜1500mgの錠剤によってうまくビタミンB12を送達することができる。9.5%〜14%のHPMC K100/E15を有する錠剤によって優れた結果が得られる。
【0035】
第三投与単位は、また1種以上の水溶性栄養素、特に他のビタミンB類及びビタミンCを送達するのに使うことができ、好適には効用がある場合、DVs(1日の摂取量)レベルで、又はそれよりも多く、又は数倍量で使うことができる。そこで、該投与単位は、好適には30mg〜750mgのビタミンCと、1mg〜40mgのビタミンB1と、1mg〜40mgのビタミンB2と、10mg〜300mgのナイアシンと、10mg〜300mgのビタミンB5と、1mg〜40mgのビタミンB6を含む。特に、有効な調剤は30mg〜750mgのビタミンCと、25mg〜400mgのカルシウムと、1mg〜40mgのビタミンB1と、1mg〜40mgのビタミンB2と、10mg〜300mgのビタミンB5と、1mg〜40mgのビタミンB6と、6mcg〜500mcgのビタミンB12と、1mg〜100mgのバイオフラボノイド複合体及び5mg〜300mgのケルセチンを含む。
【0036】
第三投与単位はゆっくり、一般には、線形的にこのような1種以上の水溶性の栄養素を放出する。水溶性の栄養素の放出は一般に胃及び小腸(十二指腸、空腸及び回腸)内で起こる。
【0037】
一般に、普通推奨されるとおり、食事と一緒にサプリメントを摂取する場合、胃と腸を通過するのに6〜12時間かかる。そこで、第三投与単位から水溶性ビタミンを放出するのは少なくとも摂取後3時間まで、好ましくは摂取後12時間まで延ばすべきである。また、ビタミンB12の血漿中濃度が少なくとも6時間保持されるように第三投与単位が調合されることが好ましく、最高の結果が得られるのはビタミンB12の血漿中濃度が摂取後30分〜24時間の期間中保持されるように調合された場合である。
【0038】
第三栄養サプリメント投与単位の調合例を、持続放出錠剤の形態として以下の表に示す。
【0039】
【表1】



【0040】
錠剤の内容物を混合し、得られた混合物を錠剤に成形する。被覆成分を混合し、得られた混合物を錠剤の被覆に用いる。
【0041】
開示された本発明の原理が適用できる多数の実施形態があるという観点から、説明した実施形態は本発明の好適例を説明したに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。その代わりに、本発明の範囲は以下の請求項によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者に用いられる経口栄養サプリメント投与単位であって、
前記投与単位がビタミンB12を含んでおり、
前記投与単位が、所定期間にわたって被験者の胃から始まり小腸まで引き続きビタミンB12を持続放出して提供する持続放出性の投与単位である、経口栄養サプリメント投与単位。
【請求項2】
摂取後12時間以上の期間、ビタミンB12を高い血漿中濃度で提供するように製剤されていることを特徴とする請求項1に記載の投与単位。
【請求項3】
37℃の0.1N HCl 900ml中にビタミンB12の15%以上が1時間で溶解するよう製剤されていることを特徴とする請求項1に記載の投与単位。
【請求項4】
更に1種以上の追加のビタミンB類及びビタミンCを含むことを特徴とする請求項1に記載の投与単位。
【請求項5】
30mg〜750mgのビタミンCと、
25mg〜400mgのカルシウムと、
1mg〜40mgのビタミンB1と、
1mg〜40mgのビタミンB2と、
10mg〜300mgのビタミンB5と、
1mg〜40mgのビタミンB6と、
6mcg〜500mcgのビタミンB12と、
1mg〜100mgのバイオフラボノイド複合体と、
5mg〜300mgのケルセチン
を含むことを特徴とする請求項1に記載の投与単位。
【請求項6】
37℃の0.1N HCl 900ml中にビタミンB類及びビタミンCの15%以上が1時間で溶解するよう製剤されていることを特徴とする請求項5に記載の投与単位。
【請求項7】
錠剤又はカプレットの形状であることを特徴とする請求項1に記載の投与単位。
【請求項8】
更に外側フィルム被覆を具えることを特徴とする請求項7に記載の投与単位。
【請求項9】
被験者に用いられる経口栄養サプリメント投与単位であって、
前記投与単位が、
30mg〜750mgのビタミンCと、
25mg〜400mgのカルシウムと、
1mg〜40mgのビタミンB1と、
1mg〜40mgのビタミンB2と、
10mg〜300mgのビタミンB5と、
1mg〜40mgのビタミンB6と、
6mcg〜500mcgのビタミンB12と、
1mg〜100mgのバイオフラボノイド複合体と、
5mg〜300mgのケルセチンと、
を含む、錠剤又はカプレットであって、
前記投与単位が、摂取後12時間以上の期間、ビタミンB12を高い血漿中濃度で提供するのに十分な期間にわたって被験者の胃から始まり小腸まで引き続きビタミンB12を持続放出して提供する持続放出性の投与単位である、経口栄養サプリメント投与単位。
【請求項10】
被験者にビタミンB12を送達する方法であって、
前記方法が被験者に持続放出性栄養サプリメント投与単位を経口投与する工程を含み、
前記投与単位が、ビタミンB12を含み、
前記投与単位が、胃から始まり上部腸器官系まで引き続きビタミンB12を放出するように製剤されている、ビタミンB12の送達方法。
【請求項11】
前記投与単位が、摂取後12時間以上の期間、ビタミンB12を高い血漿中濃度で提供するように製剤されていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記投与単位が、37℃の0.1N HCl 900ml中にビタミンB12の15%以上が1時間で溶解するよう製剤されていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記投与単位が、更に1種以上の追加のビタミンB類及びビタミンCを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記投与単位が、37℃の0.1N HCl 900ml中にビタミンB類及びビタミンCの15%以上が1時間で溶解するよう製剤されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記投与単位が錠剤又はカプレットの形状であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記投与単位が外側フィルム被覆を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
被験者にビタミンB12を送達する方法であって、
該方法が持続放出性栄養サプリメント投与単位を被験者に経口投与する工程を含み、
前記投与単位が、
30mg〜750mgのビタミンCと、
25mg〜400mgのカルシウムと、
1mg〜40mgのビタミンB1と、
1mg〜40mgのビタミンB2と、
10mg〜300mgのビタミンB5と、
1mg〜40mgのビタミンB6と、
6mcg〜500mcgのビタミンB12と、
1mg〜100mgのバイオフラボノイド複合体と、
5mg〜300mgのケルセチンと、
を含む、錠剤又はカプレットであって、
前記投与単位が、摂取後12時間以上の期間、胃から始まり上部腸器官系まで引き続き、ビタミンB12を高い血漿中濃度で提供するのに十分にビタミンB12を放出するように製剤されている、ビタミンB12の送達方法。

【公表番号】特表2010−535767(P2010−535767A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519969(P2010−519969)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/009402
【国際公開番号】WO2009/035496
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510030892)シャクリー コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】