説明

棒状物品整列投入装置

【課題】比較的簡素な構成のもとで、棒状物品を詰まりを生じさせることなく複数本ずつ確実に整列させてトレー等に落とし込むことができるようにされ、もって、装置コストを低く抑えたもとで効果的に省力化を図ることができるようにされた棒状物品整列投入装置を提供する。
【構成】底部に断面山形状の隔壁部材22が幅方向に棒状物品1の直径より若干大きな間隔をあけて並設され、多数の前記棒状物品1を段積み可能とされた角箱状容器20と、該角箱状容器20を浮かせた状態で支持する、少なくとも1本のばね部材30を含む複数本の支柱部材30、40と、前記棒状物品1の詰まりを防止すべく前記角箱状容器20に取り付けられ、該角箱状容器20に振動を発生させる振動発生機構50と、を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サラミ、ソーセージ等の棒状物品の整列投入装置に係り、特に、棒状物品を詰まりを生じさせることなく複数本ずつ確実に整列させてトレー等に落とし込むことができるようにされたホッパー型の棒状物品整列投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サラミ、ソーセージ等の棒状食品は、通常、包装機において一度に規定本数分(例えば1ダース分)ずつ包装するようにされているため、包装機に規定本数分の棒状食品を整列させて供給する必要があり、そのため、従来においては、例えば下記特許文献1に所載の如くの棒状物品整列供給装置が提案されている。
【特許文献1】実公昭57−24748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1に所載の棒状物品整列供給装置は、全自動化を図っているため、装置が大掛かりで複雑となって装置コストが非常に高くなる嫌いがある。また、棒状物品の詰まり、整列不良等が生じた場合には、装置全体を停止させる必要があり、さらに、品質検査、不良品の選別(大きさ、形が規定内かどうか、脂の溶出度合い等の検査、選別)等を行うことは実質的に不可能であり、不良品がそのまま包装機に搬送されてしまうといった問題が生じるおそれもある。
【0004】
そのため、現状は、棒状物品が落とし込まれる細長形状のトレーが幅方向に所定間隔をあけて複数列(例えば12列)並設されてなる並設トレー部を1ピッチずつ間欠的に前進させるコンベアを設け、このコンベアの両側に2〜3名の作業者が立って、手先で棒状物品を整列させながら各トレーに落とし込み、かつ、品質検査、不良品の選別等も行うようにしていた。
【0005】
この場合、作業者は、ケースから棒状物品を取り出してトレーに投入するという作業を繰り返し行うことになるが、一人の作業者が行える作業量は限られているのに対し、コンベアによる搬送は待ってくれないため、作業者の労力負担は相当大きいものであった。
【0006】
本発明は、前記した如くの事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、比較的簡素な構成のもとで、棒状物品を詰まりを生じさせることなく複数本ずつ確実に整列させてトレー等に落とし込むことができるようにされ、もって、装置コストを低く抑えたもとで効果的に省力化を図ることができるようにされた棒状物品整列投入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成すべく、本発明に係る棒状物品整列投入装置は、基本的には、底部に断面山形状の隔壁部材が幅方向に前記棒状物品の直径より若干大きな間隔をあけて並設され、多数の前記棒状物品を段積み可能とされた角箱状容器と、該角箱状容器を浮かせた状態で支持する、少なくとも1本のばね部材を含む複数本の支柱部材と、前記棒状物品の詰まりを防止すべく前記角箱状容器に取り付けられ、該角箱状容器に振動を発生させる振動発生機構と、を備える。
【0008】
より具体的な構成では、棒状物品が落とし込まれる細長形状のトレーが幅方向に所定間隔をあけて複数列並設されるとともに、該並設トレー部を1ピッチずつ間欠的に前進させるコンベア上に設置されるものとされ、一旦停止中の前記並設トレー部上に配在され、底部に断面山形状の隔壁部材が幅方向に前記棒状物品の直径より若干大きな間隔をあけて、前記並設トレー部のトレー数に対応した個数分並設され、多数の前記棒状物品を前記トレーの概略長手方向に沿わせて段積み可能とされた角箱状容器と、該角箱状容器を前記並設トレー部の上面から所定の間隙をあけて浮かせた状態で支持する、少なくとも1本のばね部材を含む複数本の支柱部材と、前記棒状物品の詰まりを防止すべく前記角箱状容器に取り付けられ、該角箱状容器に振動を発生させる振動発生機構と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
前記振動発生機構は、好ましくは、前記角箱状容器の一側面部に、その回転軸を略鉛直に立てた姿勢で取り付けられモータと、前記回転軸に対して水平面内で偏心した状態で取り付けられた偏心重りと、を備える。
【0010】
前記複数本の支柱部材は、好ましくは、前記角箱状容器の第1対角線沿いに略鉛直に立てた姿勢で配在された一対のコイルばねと、前記角箱状容器の第2対角線沿いに配在された一対の柱状体と、からなる。
【0011】
前記振動発生機構は、好ましくは、前記片側のコイルばねと柱状体との間に配在される。
【0012】
さらに好ましい態様では、前記各支柱部材に、前記角箱状容器の高さ位置を調整するための高さ調節機構が設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る棒状物品整列投入装置では、角箱状容器が少なくとも1本のばね部材を含む複数本の支柱部材で浮遊支持されるとともに、該角箱状容器に振動発生機構が取り付けられているので、角箱状容器は振動発生機構により振動(縦揺れ)して自動ふるい機のように働き、このため、比較的簡素な構成のもとで、棒状物品を詰まりを生じさせることなく規定本数ずつ確実に整列させてトレー等に落とし込むことができ、その結果、装置コストを低く抑えたもとで効果的に省力化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の棒状物品整列投入装置の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1、図2、図3は、それぞれ本発明に係る棒状物品整列投入装置の一実施形態の平面図、部分切欠正面図、部分切欠側面図である。
【0015】
本実施形態の棒状物品整列投入装置10は、コンベア3上に設置されるもので、角箱状容器20と、支柱部材(30、40)と、振動発生機構50と、を備えている。
【0016】
前記コンベア3は、サラミ等の棒状物品1が落とし込まれる両端が半円形の細長形状のトレー(凹部)6が幅方向(X方向)に所定間隔をあけて複数列(ここでは12列)並設されてなる並設トレー部5が1ピッチずつ間隔をあけて所定数深絞り成形加工されてなる無端環状の搬送部材(可撓性を有する合成樹脂フィルム)4を備え、前記並設トレー部5を1ピッチずつ間欠的に前進させて、その中に投入された棒状物品1を包装機に搬送すべく搬送部材4を回転移動させるようになっている。なお、トレー(凹部)6は、棒状物品1に対応した断面半円形ないし楕円形とされ、図5、図6に示される如くに、その深さDが棒状物品1の直径dより若干小さくされるとともに、その上面開口幅Sbが棒状物品1の直径dより若干大きくされ、また、その長さLbは、棒状物品1の長さLsより若干長くされている。
【0017】
前記角箱状容器20は、一旦停止中の前記並設トレー部5上に配在されるもので、弾性撓曲可能な金属板を素材として上面が開口した角箱状に製作されており、底部には、合成樹脂製の断面山形状(断面二等辺三角形ないし半楕円状)の隔壁部材22が横幅方向(X方向)に前記棒状物品1の直径d(図2、図5参照)より若干大きな間隔Saをあけて、前記並設トレー部5のトレー6の数(ここでは12個)に対応した個数分(両端は半分ずつ)並設されており、図4に示される如くに、多数の前記棒状物品1を前記トレー6の概略長手方向に沿わせて段積み可能とされている。なお、角箱状容器20の縦幅(Y方向の幅)は、棒状物品1の長さLsより若干長いLaとなっている(図1参照)。
【0018】
前記支柱部材(30、40)は、前記搬送部材左右角箱状容器20を前記並設トレー部5の上面から所定の間隙α(図5参照)をあけて浮かせた状態で支持するためのもので、角箱状容器20の第1対角線沿いに略鉛直に立てた姿勢で配在された一対のコイルばね30、30と、角箱状容器20の第2対角線沿いに配在された一対の円柱状の合成樹脂製柱状体40、40と、を備えている。
【0019】
支柱部材を構成するコイルばね30、30及び柱状体40、40は、その下部が、搬送部材4(の並設トレー部5)の左右に配在されたの台座11、12に固定設置された有底短円筒状の下側受け部材31、41に嵌合固定され、その上部が、角箱状容器20の両側面部上端から水平方向に張り出しているブラケット24の下面に固着された円筒状の上側受け部材32、42に摺動自在に嵌挿されている。
【0020】
また、コイルばね30、30及び柱状体40、40の上側には、角箱状容器20の高さ位置、つまり、前記並設トレー部5の上面からの間隙α(図5参照)を調整するための高さ調節機構60が設けられている。なお、前記間隙αは、棒状物品1の直径dの1/2より小さくなるようにされる。
【0021】
高さ調節機構60は、ブラケット24の上面に固着されたナット部材63と、このナット部材63に螺合せしめられた蝶ボルト61と、この蝶ボルト61の下端に固着されてコイルばね30、30及び柱状体40、40の上面に押し当てられた押し当て板62と、からなっており、一つの蝶ボルト61を回すことにより一つのブラケット24、すなわち、角箱状容器20の四隅のうちの一つが上下方向に移動せしめられる。
【0022】
前記振動発生機構50は、棒状物品1の詰まりを防止すべく角箱状容器20に振動を発生させるためのもので、右側のコイルばね30と柱状体40との間に配在されており、角箱状容器20の右側面部から上方に延設された上方突出板部25に溶接あるいはボルト類で取付固定されたケース51と、このケース51の底部下面側に、その回転軸53を略鉛直に立てた姿勢で前記ケース51内に臨ませた状態で取付固定されたモータ52と、前記回転軸53に対して水平面内で偏心した状態でアーム54を介して取り付けられた偏心重り55と、を備えている。
【0023】
かかる振動発生機構50では、モータ52(の回転軸53)が回転すると、偏心重り55が回転軸線Oを中心として水平面内で回転し、この偏心重り55の回転により角箱状容器20の前後左右に作用する荷重のバランスが崩れ、角箱状容器20が若干弾性撓曲する等して上下に揺れ、これにより、コイルばね30、30が伸縮し、角箱状容器20が偏心重りの回転に合わせて振動する。
【0024】
この振動により、該角箱状容器20は自動ふるい機のように働き、このため、図4に示される如くに、角箱状容器20内に投入された多数の棒状物品1は断面山形状の隔壁部材22−22間に順次落とし込まれ、この過程において前記トレー6の概略長手方向に沿うように整列されつつ段積みされていく。
【0025】
そして、隔壁部材22−22間に落とし込まれた最下段の棒状物品1は、その真下に来て一旦停止せしめられる並設トレー部5の各トレー6に落とし込まれる。この場合、図6、図7に示される如くに、トレー6の深さDより棒状物品1の直径dの方が若干大きくされているので、棒状物品1の上端部がトレー6の上面からはみ出た状態となり、このはみ出た上端部に次段の棒状物品1が乗ることになる。この状態では、次段の棒状物品1は、並設トレー部5の上面と角箱状容器20の底面との間隙α(図5参照)が、棒状物品1の直径dの1/2より小さくされているので、抜け出ることはない。
【0026】
続いて、搬送部材4(並設トレー部5)がY方向に1ピッチ前進せしめられると、それに伴い各トレー6に落とし込まれた棒状物品1も前方に送られるが、次段の棒状物品1は角箱状容器20の前側面下端部20a(図7参照)に係止されるので、そのまま残り、次の並設トレー部5が角箱状容器20の真下に来たとき、そのトレー6内に落とし込まれることになる。
【0027】
このように、本実施形態の棒状物品整列投入装置10では、角箱状容器20が対角配置された一対のコイルばね30、30及び柱状体40、40からなる支柱部材で浮遊支持されるとともに、角箱状容器20に振動発生機構50が取り付けられているので、角箱状容器20は振動発生機構50により振動(縦揺れ)して自動ふるい機のように働き、このため、比較的簡素な構成のもとで、棒状物品1を詰まりを生じさせることなく規定本数ずつ確実に整列させて各トレー6に落とし込むことができる。
【0028】
この場合、作業者は一人で済み、この作業者が一度に多数の棒状物品1を角箱状容器20に投入しておけば、トレー6への棒状物品1の投入は、棒状物品整列投入装置10がやってくれるので、後は品質検査、不良品の選別等を行うだけでよくなる。そのため、包装機へ品質不良品が送られたり、あるいは、棒状物品1が入っていない空のトレーまま送ってしまうような事態が生じがたくなり、その結果、装置コストを低く抑えたもとで効果的に省力化を図ることができる。
【0029】
なお、上記実施形態では、支柱部材として一対のコイルばね30、30及び柱状体40、40を対角配置しているが、必ずしもかかる構成とする必要はなく、コイルばね30を1本3本、あるいは4本用いる等してもよい。しかしながら、振動が最も安定して最良の整列効果が得られるのは、上記のように一対のコイルばね30、30及び柱状体40、40を対角配置した場合である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る棒状物品整列投入装置の一実施形態を示す平面図。
【図2】図1に示される棒状物品整列投入装置の部分切欠正面図。
【図3】図1に示される棒状物品整列投入装置の部分切欠側面図。
【図4】図1に示される棒状物品整列投入装置の構成、動作、作用、効果の説明に供される部分切欠正面図。
【図5】図1に示される棒状物品整列投入装置の構成、動作、作用、効果の説明に供される要部拡大断面図。
【図6】図1に示される棒状物品整列投入装置の構成、動作、作用、効果の説明に供される図であって、(A)は要部平面図、(B)は要部正面図。
【符号の説明】
【0031】
1…棒状物品
3…コンベア
4…搬送部材
5…並設トレー部
6…トレー
10…棒状物品整列投入装置
20…角箱状容器
22…隔壁部材
30…コイルばね(支柱部材)
40…柱状体(支柱部材)
50…振動発生機構
52…モータ
53…回転軸
55…偏心重り
60…高さ調節機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に断面山形状の隔壁部材が幅方向に棒状物品の直径より若干大きな間隔をあけて並設され、多数の前記棒状物品を段積み可能とされた角箱状容器と、該角箱状容器を浮かせた状態で支持する、少なくとも1本のばね部材を含む複数本の支柱部材と、前記棒状物品の詰まりを防止すべく前記角箱状容器に取り付けられ、該角箱状容器に振動を発生させる振動発生機構と、を備えた棒状物品整列投入装置。
【請求項2】
棒状物品が落とし込まれる細長形状のトレーが幅方向に所定間隔をあけて複数列並設されるとともに、該並設トレー部を1ピッチずつ間欠的に前進させるコンベア上に設置される棒状物品整列投入装置であって、
一旦停止中の前記並設トレー部上に配在され、底部に断面山形状の隔壁部材が幅方向に前記棒状物品の直径より若干大きな間隔をあけて、前記並設トレー部のトレー数に対応した個数分並設され、多数の前記棒状物品を前記トレーの概略長手方向に沿わせて段積み可能とされた角箱状容器と、該角箱状容器を前記並設トレー部の上面から所定の間隙をあけて浮かせた状態で支持する、少なくとも1本のばね部材を含む複数本の支柱部材と、前記棒状物品の詰まりを防止すべく前記角箱状容器に取り付けられ、該角箱状容器に振動を発生させる振動発生機構と、を備えていることを特徴とする棒状物品整列投入装置。
【請求項3】
前記振動発生機構は、前記角箱状容器の一側面部に、その回転軸を略鉛直に立てた姿勢で取り付けられモータと、前記回転軸に対して水平面内で偏心した状態で取り付けられた偏心重りと、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の棒状物品整列投入装置。
【請求項4】
前記複数本の支柱部材は、前記角箱状容器の第1対角線沿いに略鉛直に立てた姿勢で配在された一対のコイルばねと、前記角箱状容器の第2対角線沿いに配在された一対の柱状体と、からなっていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の棒状物品整列投入装置。
【請求項5】
前記振動発生機構は、前記片側のコイルばねと柱状体との間に配在されていることを特徴とする請求項4に記載の棒状物品整列投入装置。
【請求項6】
前記各支柱部材に、前記角箱状容器の高さ位置を調整するための高さ調節機構が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の棒状物品整列投入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−145380(P2007−145380A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344392(P2005−344392)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000118497)伊藤ハム株式会社 (57)
【Fターム(参考)】