説明

検査方法及び検査装置

【課題】アルミニウム押出材を押出方向に対し垂直に切断して得られた被検査体の3次元的な形状精度を短時間で正確に検査する。
【解決手段】所定間隔を開けてそれぞれ対向配置した4組のレーザ変位計A1〜D1,A2〜D2の間に、被検査体4を押出方向が前記レーザ変位計のレーザビームの照射光軸に平行に向くように位置決めし、各レーザ変位計から前記被検査体の両切断端面4a,4bの各隅部にレーザビームを照射し、各レーザ変位計の検出信号に基づき、前記被検査体について各測定ポイントa1,a2,b1,b2,c1,c2,d1,d2毎に予め標準試料に対して設定された基準位置からの変位を求め、この変位に基づいて被検査体の形状精度を検査する。3次元的な形状精度として、切断長さ、両切断端面の平行度、各切断端面の押出方向に対する直角度(Y方向直角度及びZ方向直角度)が検査される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム押出材を押出方向に対し垂直に切断して得られた被検査体の形状精度を検査する検査方法及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のABS(アンチスキッド・ブレーキ・システム)のハウジング等は、アルミニウム合金鋳塊を押出加工した後、所定の寸法に切断して押出材半製品を得、これを必要に応じて鍛造した後、切削加工を行って最終製品に仕上げる。ABSのハウジング等は高い表面精度が要求されるため、押出材半製品の段階で押出材切断面を検査し、所定の形状精度を満たさないものは不良品として排除される。
【0003】
形状精度を検査する方法として、従来から接触式計測方法が使用されている。これは切断面に接触式のセンサを走査させて切断面上のポイント毎の3次元位置を測定し、切断長さ、両切断端面の平行度、及び各切断端面の押出方向に対する垂直度等の形状精度を検査する方法である。しかし、接触式計測方法は、被検査体の表面上の測定点毎にセンサを走査させて位置を測定するため測定に時間がかかる。従って、生産工程で検査による時間ロスを生じさせないため、すなわち生産性を損なわないため、全数検査ではなくサンプリング検査が行われているが、不良品の検査としては十分でない。
一方、レーザ変位計を用いた非接触式計測方法も知られているが(特許文献1〜3参照)、前記のような形状精度を知るには、いずれにしても被検査体自体をレーザ変位計の前で移動させるかレーザ変位系を走査させる必要があり、測定に時間がかかる点は同様である。
【0004】
【特許文献1】特許第2519375号公報
【特許文献2】特開平5−99636号公報
【特許文献3】特開平8−2333547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アルミニウム押出材を押出方向に対し垂直に切断して得られた被検査体の形状精度を検査する場合における前期従来技術の問題点にかんがみてなされたもので、ごく短時間で被検査体の形状精度を検査できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アルミニウム押出材を押出方向に対し垂直に切断して得られた被検査体の形状精度を検査する検査方法において、所定間隔を開けてそれぞれ対向配置したN(N:2以上の整数)組のレーザ変位計の間に、前記被検査体を押出方向が前記レーザ変位計のレーザビームの照射光軸に平行に向くように位置決めし、各レーザ変位計から前記被検査体の両切断端面にレーザビームを照射し、各レーザ変位計の検出信号に基づき、前記被検査体について各測定ポイント毎に予め標準試料に対して設定された基準位置からの変位を求め、この変位に基づいて前記被検査体の形状精度を検査することを特徴とする。この形状精度には、具体的には切断長さ、両切断端面の平行度、各切断端面の押出方向に対する直角度が含まれる。また、アルミニウム押出材には純アルミニウム及びアルミニウム合金が含まれる。
【0007】
本発明において、標準試料とは、長さ方向(被検査体の押出方向に相当)両端の端面(被検査体の切断端面に相当)が長さ方向に対し正確に垂直で、両端面間の長さが被検査体の目標値と正確に一致する試料である。被検査体の形状精度の検査に先立ち、各レーザ変位計のキャリブレーション(前記基準位置の設定)が行われる。
キャリブレーションでは、所定間隔を置いて対向配置されたN組のレーザ変位計の間に、標準試料を長さ方向が照射ビームに対し平行になるように位置決めし、レーザビームを照射して標準試料の両端面までの距離を測定し、この位置を各測定ポイントにおける基準位置(ゼロ点)として設定する。なお、標準試料の代わりに、両端の端面が長さ方向に対し正確に垂直で、両端面間の長さが標準試料とは異なるが既知の他の試料を用いて、標準試料に対応する基準位置を設定(補正が必要)することもできる。
【0008】
次に被検査体を押出方向を照射ビームの光軸に平行になるように位置決めし、前記各レーザ変位計からレーザビームを照射して、前記被検査体の両切断端面の各測定ポイント毎に、各基準位置(ゼロ点)からの変位を測定する。
図1(a)に示すように、標準試料1の長さをL、対向配置されたレーザ変位計2,3から標準試料1の端面までの距離をα,β、レーザ変位計2,3間の距離をWとしたとき、次式が成立する。
W=L+(α+β)・・・(1)
次に図1(b)に示すように、被検査体4の長さをL、被検査体4の端面までの距離をα,βとしたとき、次式が成立する。
W=L+(α+β)・・・(2)
(1)、(2)式より、次式が成立する。
L=L−{(α−α)+(β−β)}・・・(3)
【0009】
(α−α)と(β−β)は、それぞれ標準試料に対して設定された基準位置からの変位であるから、これをそれぞれΔα,Δβとすると、次式のようになる。
L=L−(Δα+Δβ)・・・(4)
このように、標準試料に対して設定された基準位置からの変位Δα,Δβに基づいて、被検査体4の押出方向に沿った長さ(切断長さ)を算出することができる。本発明では被検査体4の両切断端面にN組の測定ポイントが設定されるから、被検査体4の断面のN組の測定ポイントにおいて切断長さを算出することになる。なお、切断長さを求める場合、対向配置されたレーザ変位計は、照射光軸をなるべく正確に一直線上に置くようにすることが望ましい。続いて算出した切断長さLを基準値Lと比較し、当該被検査体4の切断長さLが予め設定した公差範囲内であるかどうかを判定する。
【0010】
前記切断端面が矩形(押出断面が矩形)の場合、N≧4とされ、それぞれの測定ポイントとして少なくとも各切断端面の4つの隅部が設定されることが望ましい。この場合、切断長さだけでなく、前記変位に基づいて、被検査体の両切断端面の平行度、及び/又は被検査体の各切断端面の押出方向に対する直角度を合わせて求めることができる。
両切断端面の平行度については、対向配置されたレーザ変位計に対応するN組の測定ポイント毎に、前記変位に基づいて前記被検査体の切断長さを求め、その最大値Lmaxと最小値LminからΔL=Lmax−Lminを両切断端面の平行度として算出する。必要に応じてΔLが公差範囲内(平行度の基準値は0)であるかどうかを判定する。
各切断端面の押出方向に対する直角度については、各切断端面の隅部に設定された4つの測定ポイントのうち、各切断端面の2組の対辺のうち一方の組の対辺の一方の辺の両側の隅部に設定された2つの測定ポイントの変位差と、前記一方の組の対辺の他方の辺の両側の隅部に設定された2つの測定ポイントの変位差を算出して、いずれか大きい方を被検査体の各切断端面の押出方向に対するY方向直角度として求め、このY方向直角度が公差範囲内(Y方向直角度の基準値はゼロ)であるかどうかを判定する。同時に、各切断端面の隅部に設定された4つの測定ポイントのうち、各切断端面の2組の対辺のうち他方の組の対辺の一方の辺の両側の隅部に設定された2つの測定ポイントの変位差と、前記他方の組の対辺の他方の辺の両側の隅部に設定された2つの測定ポイントの変位差を算出して、いずれか大きい方を被検査体の各切断端面の押出方向に対するZ方向直角度として求め、このZ方向直角度が公差範囲内(Z方向直角度の基準値はゼロ)であるかどうかを判定することもできる。Y方向及びZ方向は互いに垂直で、かついずれも被検査体の押出方向に垂直である。
なお、切断長さを求めるのでなければ、対向配置されたレーザ変位計は、必ずしも照射光軸を一直線上に置く必要はない。
【0011】
本発明に係る検査装置は、上記検査方法を実施可能な装置であり、前記被検査体の両切断端面にレーザビームを照射できるように所定間隔を開けてそれぞれ対向配置されたN(N:2以上の整数)組のレーザ変位計と、対向配置されたレーザ変位計の間で前記被検査体を載せる定盤と、前記被検査体の側面を当接させて押出方向が前記レーザ変位計のレーザビームの照射光軸に平行になるように前記被検査体を位置決めする位置決め部材と、定盤上に載せた被検査体を位置決めのため位置決め部材に当接させる当接部材と、各レーザ変位計の検出信号に基づき、前記被検査体について各測定ポイント毎に予め標準試料に対して設定された基準位置からの変位を求め、この変位に基づいて前記被検査体の形状精度を検査する制御装置を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、対向配置した複数組のレーザ変位計により、アルミニウム押出材を押出方向に対し垂直に切断して得られた被検査体における複数箇所の切断長さ、両切断端面の平行度、各切断端面の押出方向に対する直角度などの3次元的形状を正確に測定し、その形状精度を基準値と比較して公差範囲内かどうかを判定し、しかもこれをごく短時間に行うことができる。
検査工程が短時間で行えることから、例えば全数検査しても生産性が特に阻害されるようなこともなく、また、必要に応じて、検査結果に基づいて被検査体の良否判定を行い、直ちに良品と不良品を仕分けることもできるから、切断工程と検査工程、さらには鍛造、切削等の製品製造工程をインライン化することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図2〜6に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
図2は、断面矩形のアルミニウム合金押出材を押出方向に垂直に所定長さに切断した被検査体の形状精度を検査する方法及び装置を説明するもので、4組(計8個)のレーザ変位計A1−A2,B1−B2,C1−C2,D1−D2が,被検査体4の長さより所定間隔長い距離を置いて対向配置され、対向配置された(同じ組の)レーザ変位計(例えばA1とA2)はいずれもレーザビームの照射光軸がそれぞれ一直線上になるように設定されている。また、各レーザ変位計の測定ポイントa1,a2,b1,b2,c1,c2,d1,d2は、位置決めされた被検査体4の切断端面の各隅部に位置し、かつ各切断端面の測定ポイントa1,b1,c1,d1、及びa2,b2,c2,d2を仮に線分でつなぐと矩形となるように位置設定されている。
【0014】
図3〜図5に示すように、対向配置されたレーザ変位計A1〜D1とレーザ変位計A2〜D2の間に、被検査体4を載置する水平面を有する定盤5が配置され、その一端に前記レーザ変位計A1〜D1,A2〜D2の照射光軸に平行な位置決め面を有する位置決め部材6が設置され、その反対側に位置決め部材6に向けて進退する当接部材(プッシャー)7が設置されている。この当接部材7は、前進して被検査体4を押し、被検査体4の側面を位置決め部材6に当接させて、被検査体4の押出方向がレーザビームの照射光軸と平行になるように位置決めする機能を有する。レーザ変位計A1〜D1,A2〜D2はいずれも先に述べたように予め標準試料を用いてキャリブレーションされ、各々基準位置(ゼロ点)が設定されている。
【0015】
図示しない手段により定盤5上に被検査体4が載置されると、当接部材7が前進して被検査体4の側面を位置決め部材6の位置決め面に当接させ、ここでレーザ変位計A1〜D1,A2〜D2から両切断端面4a,4bにレーザビームが照射され、検出信号が制御装置8(図2参照)に送られ、その検出信号に基づき、各測定ポイントa1,a2,b1,b2,c1,c2,d1,d2毎に前記基準位置からの変位が求められ、さらにこの変位に基づいて被検査体4の形状精度が算出及び検査され、続いて当接部材7が後退し、図示しない手段により被検査体4が定盤5上から排出される。なお、図3〜5において9はレーザ変位計A1〜D1及びレーザ変位計A2〜D2を設置した共通のフレームである。
【0016】
前記制御装置8による一連の制御手順の例について、図6のフローチャート及び図2を参照して説明する。
被検査体4の位置決め後、ステップ1において、レーザ変位計A1〜D1,A2〜D2から両切断端面4a,4bにレーザビームを照射し、それぞれの検出信号に基づき、各測定ポイントa1,a2,b1,b2,c1,c2,d1,d2毎に基準位置からの変位(それぞれΔa1,Δa2,Δb1,Δb2,Δc1,Δc2,Δd1,Δd2とする)を求める。ステップ2において、対向配置されたレーザ変位計に対応する4組の測定ポイント(a1とa2,b1とb2,c1とc2,d1とd2)毎に、求めた変位(Δa1とΔa2,Δb1とΔb2,Δc1とΔc2,Δd1とΔd2)から切断長さを算出する。切断長さは4つ算出される。
【0017】
ステップ3において、算出した切断長さを基準長さと比較し、切断長さが予め設定した公差範囲内かどうかを判定する。NOと判定したとき、ステップ10においてこの被検査体を不良品と判定し、ステップ11において排出指令を出し、製品製造工程に供給することなくライン外に排出する。なお、ステップ3における判定の仕方として、例えば算出した4つの切断長さ毎に基準長さと比較し、あるいは4つの切断長さの平均値をとって基準長さと比較するなど、具体的な比較の仕方は適宜設定できる。
ステップ3においてYESのとき、ステップ4において、算出した切断長さに基づいて両切断端面の平行度を算出する。具体的には、切断長さの最大値Lmaxと最小値LminからΔL=Lmax−Lminを両切断端面の平行度として算出する。ステップ5において、算出した平行度ΔLが予め設定した公差範囲内であるかどうかを判定する。NOと判定したとき、ステップ10においてこの被検査体を不良品と判定し、ステップ11において排出指令を出し、製品製造工程に供給することなくライン外に排出する。
【0018】
ステップ5においてYESのとき、ステップ6において、各切断端面4a,4bのY方向直角度を算出する。なお、図2の例では、Y方向は、被検査体4の押出方向(X方向)に対し垂直、かつ押出方向に平行な2組の対面(4cと4d、4eと4f)のうち一方の組の対面(4eと4f)に平行な方向とされ、Z方向は、被検査体4の押出方向(X方向)に対し垂直、かつ押出方向に平行な2組の対面(4cと4d、4eと4f)のうち他方の組の対面(4cと4d)に平行な方向とされ、Y方向とZ方向は垂直である。
切断端面4aのY方向直角度は、切断端面4aに設定された4つの測定ポイントa1,b1,c1,d1のうち、切断端面4aのY方向に向く1組の対辺4ac,4adの一方の辺4acの両側の隅部に設定された2つの測定ポイントa1,c1で測定された変位Δa1,Δc1の差(変位差=|Δa1−Δc1|)を算出し、他方の辺4adの両側の隅部に設定された2つの測定ポイントb1,d1で測定された変位Δb1,Δd1の差(変位差=|Δb1−Δd1|)を算出し、2つの変位差を比較していずれか大きい方として求められる。一方、切断端面4bのY方向直角度は、切断端面4bに設定された4つの測定ポイントa2,b2,c2,d2のうち、切断端面のY方向に向く1組の対辺4bc,4bdの一方の辺4bcの両側の隅部に設定された2つの測定ポイントa2,c2で測定された変位Δa2,Δc2の差(変位差=|Δa2−Δc2|)を算出し、他方の辺4bdの両側の隅部に設定された2つの測定ポイントb2,d2で測定された変位Δb2,Δd2の差(変位差=|Δb2−Δd2|)を算出し、2つの変位差を比較していずれか大きい方として求められる。
【0019】
ステップ7において、算出した各切断端面4a,4bのY方向直角度がそれぞれ予め設定した公差範囲内であるかどうかを判定する。NOと判定したとき、ステップ10においてこの被検査体を不良品と判定し、ステップ11において排出指令を出し、製品製造工程に供給することなくライン外に排出する。
ステップ7においてYESのとき、ステップ8において、各切断端面4a,4bのZ方向直角度を算出する。切断端面4aのZ方向直角度は、切断端面4aに設定された4つの測定ポイントa1,b1,c1,d1のうち、切断端面のZ方向に向く1組の対辺4aa,4abの一方の辺4aaの両側の隅部に設定された2つの測定ポイントa1,b1で測定された変位Δa1,Δb1の差(変位差=|Δa1−Δb1|)を算出し、他方の辺4abの両側の隅部に設定された2つの測定ポイントc1,d1で測定された変位Δc1,Δd1の差(変位差=|Δc1−Δd1|)を算出し、2つの変位差を比較していずれか大きい方として求められる。一方、切断端面4bのZ方向直角度は、切断端面4bに設定された4つの測定ポイントa2,b2,c2,d2のうち、切断端面4bのZ方向に向く1組の対辺4ba,4bbの一方の辺4baの両側の隅部に設定された2つの測定ポイントa2,b2で測定された変位Δa2,Δb2の差(変位差=|Δa2−Δb2|)を算出し、他方の辺4bbの両側の隅部に設定された2つの測定ポイントc2,d2で測定された変位Δc2,Δd2の差(変位差=|Δc2−Δd2|)を算出し、2つの変位差を比較していずれか大きい方として求められる。
【0020】
ステップ9において、算出した各切断端面4a,4bのZ方向直角度がそれぞれ予め設定した公差範囲内であるかどうかを判定する。NOと判定したとき、ステップ10においてこの被検査体を不良品と判定し、ステップ11において排出指令を出し、製品製造工程に供給することなくライン外に排出する。
ステップ9においてYESと判定したとき、この被検査体4はステップ12において良品と判定し、ステップ13において製品製造工程に供給する。
なお、各被検査物毎にスタートからエンドまでの制御が行われる。また、この検査方法では、切断長さ、両切断端面の平行度、各切断端面のY方向垂直度及びZ方向垂直度の全てについて形状精度を算出し、その3次元的形状精度が予め設定した公差の範囲内かどうかを判定したが、これらの一部のみについて算出及び判定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】被検査物の切断端面の基準位置からの変位の意味について説明する図である。
【図2】本発明に係る検査装置の構成を示す斜視図である。
【図3】その平面図である。
【図4】同じく側面断面図である。
【図5】同じく正面断面図である。
【図6】本発明に係る検査方法における処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
1 標準試料
2,3 レーザ変位計
4 被検査体
5 定盤
6 位置決め部材
7 当接部材(プッシャー)
8 制御装置
A1〜D1,A2〜D2 レーザ変位計
a1,a2,b1,b2,c1,c2,d1,d2 測定ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム押出材を押出方向に対し垂直に切断して得られた被検査体の形状精度を検査する検査方法において、所定間隔を開けてそれぞれ対向配置したN(N:2以上の整数)組のレーザ変位計の間に、前記被検査体を押出方向が前記レーザ変位計のレーザビームの照射光軸に平行に向くように位置決めし、各レーザ変位計から前記被検査体の両切断端面にレーザビームを照射し、各レーザ変位計の検出信号に基づき、前記被検査体について各測定ポイント毎に予め標準試料に対して設定された基準位置からの変位を求め、この変位に基づいて前記被検査体の形状精度を検査することを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記被検査体を、前記レーザビームの照射光軸に平行に設置した定盤の面上に置き、次いで前記被検査体の側面を位置決め部材に当接させて位置決めすることを特徴とする請求項1に記載された検査方法。
【請求項3】
対向配置されたレーザ変位計に対応するN組の測定ポイント毎に、前記変位に基づいて前記被検査体の切断長さを算出し、切断長さの基準値と比較して公差範囲内であるかどうかを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載された検査方法。
【請求項4】
前記切断端面が矩形であり、N≧4であり、それぞれの測定ポイントとして少なくとも各切断端面の4つの隅部近傍が設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された検査方法。
【請求項5】
対向配置されたレーザ変位計に対応するN組の測定ポイント毎に、前記変位に基づいて前記被検査体の切断長さを求め、その最大値Lmaxと最小値LminからΔL=Lmax−Lminを両切断端面の平行度として算出し、このΔLが平行度の公差範囲内であるかどうかを判定することを特徴とする請求項4に記載された検査方法。
【請求項6】
各切断端面の隅部に設定された4つの測定ポイントのうち、各切断端面の2組の対辺のうち一方の組の対辺の一方の辺の両側の隅部に設定された2つの測定ポイントの変位差と、前記一方の組の対辺の他方の辺の両側の隅部に設定された2つの測定ポイントの変位差を算出して、いずれか大きい方を被検査体の各切断端面の押出方向に対するY方向直角度として求め、このY方向直角度が公差範囲内であるかどうかを判定することを特徴とする請求項4又は5に記載された検査方法。
【請求項7】
各切断端面の隅部に設定された4つの測定ポイントのうち、各切断端面の2組の対辺のうち他方の組の対辺の一方の辺の両側の隅部に設定された2つの測定ポイントの変位差と、前記他方の組の対辺の他方の辺の両側の隅部に設定された2つの測定ポイントの変位差を算出して、いずれか大きい方を被検査体の各切断端面の押出方向に対するZ方向直角度として求め、このZ方向直角度が公差範囲内であるかどうかを判定することを特徴とする請求項6に記載された検査方法。
【請求項8】
アルミニウム押出材を押出方向に対し垂直に切断して得られた被検査体の形状精度を検査する検査装置において、前記被検査体の両切断端面にレーザビームを照射できるように所定間隔を開けてそれぞれ対向配置されたN(N:2以上の整数)組のレーザ変位計と、対向配置されたレーザ変位計の間で前記被検査体を載せる定盤と、前記被検査体の側面を当接させて押出方向が前記レーザ変位計のレーザビームの照射光軸に平行になるように前記被検査体を位置決めする位置決め部材と、定盤上に載せた被検査体を位置決めのため位置決め部材に当接させる当接部材と、各レーザ変位計の検出信号に基づき、前記被検査体について各測定ポイント毎に予め標準試料に対して設定された基準位置からの変位を求め、この変位に基づいて前記被検査体の形状精度を検査する制御装置を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項9】
前記制御装置が、対向配置されたレーザ変位計に対応するN組の測定ポイント毎に、前記変位に基づいて前記被検査体の切断長さを算出し、切断長さの基準値と比較して公差範囲内であるかどうかを判定するものであることを特徴とする請求項8に記載された検査装置。
【請求項10】
前記被検査体の切断端面が矩形であり、N≧4であり、それぞれの測定ポイントとして少なくとも各切断端面の4つの隅部が設定されていることを特徴とする請求項8又は9に記載された検査装置。
【請求項11】
前記制御装置が、対向配置されたレーザ変位計に対応するN組の測定ポイント毎に、前記変位に基づいて前記被検査体の切断長さを求め、その最大値Lmaxと最小値LminからΔL=Lmax−Lminを両切断端面の平行度として算出し、このΔLが平行度の公差範囲内であるかどうかを判定するものであることを特徴とする請求項10に記載された検査装置。
【請求項12】
前記制御装置が、各切断端面の隅部に設定された4つの測定ポイントのうち、各切断端面の2組の対辺のうち一方の組の対辺の一方の辺の両側の隅部に設定された2つの測定ポイントの変位差と、前記一方の組の対辺の他方の辺の両側に設定された2つの測定ポイントの変位差を算出して、いずれか大きい方を被検査体の各切断端面の押出方向に対するY方向直角度として求め、このY方向直角度が公差範囲内であるかどうかを判定するものであることを特徴とする請求項10又は11に記載された検査装置。
【請求項13】
前記制御装置が、各切断端面の隅部に設定された4つの測定ポイントのうち、各切断端面の2組の対辺のうち他方の組の対辺の一方の辺の両側の隅部に設定された2つの測定ポイントの変位差と、前記他方の組の対辺の他方の辺の両側に設定された2つの測定ポイントの変位差を算出して、いずれか大きい方を被検査体の各切断端面の押出方向に対するZ方向直角度として求め、このZ方向直角度が公差範囲内であるかどうかを判定するものであることを特徴とする請求項12に記載された検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−229321(P2009−229321A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76858(P2008−76858)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】