説明

検査装置および検査方法、並びに当該検査方法を用いた導光板の製造方法

【課題】 導光板を作製するときに用いられる導光板用シートや導光板自身の黄色味または透明度の程度を、効率よく検査することができる検査装置を提供する。
【解決手段】 光照射部2は、導光板用シート6の端面に光を照射する。受光部3は導光板用シート6を透過した透過光を受光しX値および輝度値を検出する。判定部42の第1判定部421は、第1記憶部411に記憶される相関関係αに基づいて受光部3により検出されたX値に対応するYI値が所定の閾値を超えているか否かを判定し、第2判定部422は、第2記憶部412に記憶される相関関係βに基づいて受光部3により検出された輝度値に対応する全光線透過率が所定の閾値未満であるか否かを判定する。出力部43は、判定部42による判定結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板を作製するときに用いられるシート状の導光板用シート又は導光板の検査装置および検査方法に関する。また、本発明は、当該検査方法を用いた導光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイの面光源として用いられるバックライトには、冷陰極管やLED(Light Emitting Diode)等の光源を底面に並べて光拡散板を介して光を出す直下型と、冷陰極管やLED等の光源を導光板と呼ばれる透明な板のエッジ部分に配して、導光板エッジから光を通して背面に設けられたドット印刷やパターン形状によって前面に光を出すエッジライト型とがある。これまでは、バックライトの輝度を高くできる観点から直下型が主流であったが、近年、光源として薄くて高輝度なLEDが多く使われるようになったことや、液晶ディスプレイの薄型化により、エッジライト方式の割合が増えてきている。
【0003】
たとえば、特許文献1,2には、射出成形で導光板を製造する方法が開示されている。また、薄くて面積の大きい導光板の製造方法として、射出成形に代えて押出成形によって導光板を製造する方法も提案されている。
【0004】
特許文献3には、バックライト用の導光板として、アクリル系樹脂等の透明樹脂中に微粒子が分散されてなる導光板が開示されている。このような導光板は、微粒子の含有によって光散乱させることができて輝度均一性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−131770号公報
【特許文献2】特開2008−20747号公報
【特許文献3】特開2001−76522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、導光板は、透過光が黄色味を帯びる、すなわちYI(イエローインデックス)値が大きくなる場合がある。このような導光板を用いて構成された液晶ディスプレイは、画像が黄色味を帯びて高品位な画像が得られない。また、導光板の透明度が低下した場合には、導光板を透過する光の透過率が低下して画像の輝度が低下する。そのため、過度に黄色味を帯びた導光板および透明度が低下した導光板を、不良品として排除する検査を行う必要がある。しかし、この検査は、導光板自身の黄色味および透明度の程度を目視により検査するのが実情であり、検査が効率的ではなかった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、導光板を作製するときに用いられるシート状の導光板用シートや導光板自身の黄色味又は透明度の程度を、導光板用シートや導光板からの透過光のX値又は輝度値に基づいて自動的に検査することにより、導光板用シートや導光板を効率よく検査することができる検査装置および検査方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、当該検査方法を用いた導光板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる検査装置は、透明樹脂で構成される導光板または導光板用シートである透明樹脂シートの黄色味および透明度の少なくとも一方の光学特性を、分光光度計により測定される測定値に基づいて検査する装置である。この検査装置は、光照射手段と、受光手段と、記憶手段と、判定手段と、出力手段とを備えている。光照射手段は、透明樹脂シートの端面に光を照射する。受光手段は、光照射手段によって照射されて透明樹脂シートを透過した透過光を受光し、受光した透過光のXYZ色空間におけるX値および輝度値の少なくとも一方を検出する。記憶手段は、第1記憶部、および、第2記憶部の少なくとも一方を有する。第1記憶部は、透明樹脂シートを透過した透過光のXYZ色空間におけるX値と、分光光度計により測定された測定値である透明樹脂シートのイエローインデックス値との第1の相関関係を予め記憶する。第2記憶部は、透明樹脂シートを透過した透過光の輝度値と、分光光度計により測定された測定値である透明樹脂シートの全光線透過率との第2の相関関係を予め記憶する。
【0009】
判定手段は、第1判定部、および、第2判定部の少なくとも一方を有する。第1判定部は、第1記憶部に予め記憶された第1の相関関係に基づいて、受光手段により検出されたX値に対応するイエローインデックス値が第1の閾値を超えているか否かを判定する。第2判定部は、第2記憶部に予め記憶された第2の相関関係に基づいて、受光手段により検出された輝度値に対応する全光線透過率が第2の閾値未満であるか否かを判定する。出力手段は、判定手段による判定結果を出力する。
【0010】
このように構成される検査装置では、導光板を作製するときに用いられるシート状の導光板用シートや導光板自身の黄色味または透明度の程度を、導光板用シートや導光板からの透過光のX値または輝度値に基づいて自動的に検査することが可能である。これにより、本発明によれば、導光板を作製するときに用いられる導光板用シートや導光板を効率よく検査することができる。
【0011】
上記検査装置において、記憶手段が第1記憶部を有し、かつ判定手段が第1判定部を有しており、第1判定部が、受光手段により検出されたX値に対応するイエローインデックス値が第1の閾値を超えていると判定した場合、出力手段は、透明樹脂シートが過度に黄色味を帯びたシートであることを示す信号を判定結果として出力するようにしてもよい。
【0012】
上記検査装置において、記憶手段が第2記憶部を有し、かつ判定手段が第2判定部を有しており、第2判定部が、受光手段により検出された輝度値に対応する全光線透過率が第2の閾値未満であると判定した場合、出力手段は、透明樹脂シートが透明度の低下したシートであることを示す信号を判定結果として出力するようにしてもよい。
【0013】
上記検査装置において、記憶手段が第1記憶部および第2記憶部を有し、かつ判定手段が第1判定部および第2判定部を有しており、第1判定部が、受光手段により検出されたX値に対応するイエローインデックス値が第1の閾値を超えていると判定し、かつ、第2判定部が、受光手段により検出された輝度値に対応する全光線透過率が第2の閾値未満であると判定した場合、出力手段は、透明樹脂シートが過度に黄色味を帯び、かつ透明度の低下したシートであることを示す信号を判定結果として出力するようにしてもよい。
【0014】
上記検査装置において、記憶手段が第1記憶部および第2記憶部を有し、かつ判定手段が第1判定部および第2判定部を有するようにしてもよい。この構成では、第1判定部が、受光手段により検出されたX値に対応するイエローインデックス値が第1の閾値を超えていると判定した場合、または、第2判定部が、受光手段により検出された輝度値に対応する全光線透過率が第2の閾値未満であると判定した場合に、出力手段は、透明樹脂シートが過度に黄色味を帯びた、または透明度の低下した不良品シートであることを示す信号を判定結果として出力する。
【0015】
上記検査装置は、光照射手段による光の照射方向と交差する方向に透明樹脂シートを搬送する搬送手段を更に備えてもよい。この場合において、光照射手段は、搬送手段により搬送される透明樹脂シートの端面に当該光を照射する。
【0016】
また、本発明にかかる検査方法は、透明樹脂で構成される導光板または導光板用シートである透明樹脂シートの黄色味および透明度の少なくとも一方の光学特性を、分光光度計により測定される測定値に基づいて検査する検査方法である。この検査方法は、取得工程と、光照射工程と、受光工程と、判定工程と、出力工程とを含んでいる。取得工程は、第1取得工程、および、第2取得工程の少なくとも一方を含む。第1取得工程では、透明樹脂シートを透過する透過光のXYZ色空間におけるX値と、分光光度計により測定された測定値である透明樹脂シートのイエローインデックス値との第1の相関関係を予め取得する。第2取得工程では、透明樹脂シートを透過する透過光の輝度値と、分光光度計により測定された測定値である透明樹脂シートの全光線透過率との第2の相関関係を予め取得する。
【0017】
光照射工程では、透明樹脂シートの端面に光を照射する。受光工程では、光照射工程で透明樹脂シートの端面に照射されて透明樹脂シートを透過した透過光を受光し、受光した透過光のXYZ色空間におけるX値および輝度値の少なくとも一方を検出する。判定工程は、第1判定工程、および、第2判定工程の少なくとも一方を含む。第1判定工程では、第1取得工程で予め取得した第1の相関関係に基づいて、受光工程において検出したX値に対応する透明樹脂シートのイエローインデックス値が第1の閾値を超えているか否かを判定する。第2判定工程では、第2取得工程で予め取得した第2の相関関係に基づいて、受光工程において検出した輝度値に対応する透明樹脂シートの全光線透過率が第2の閾値未満であるか否かを判定する。出力工程では、判定工程における判定結果を出力する。
【0018】
このように構成される検査方法では、導光板を作製するときに用いられるシート状の導光板用シートや導光板自身の黄色味または透明度の程度を、導光板用シートや導光板からの透過光のX値または輝度値に基づいて自動的に検査することが可能である。これにより、本発明によれば、導光板を作製するときに用いられる導光板用シートや導光板を効率よく検査することができる。
【0019】
上記検査方法では、取得工程が第1取得工程を有し、かつ判定工程が第1判定工程を有しており、第1判定工程において、受光工程において検出したX値に対応するイエローインデックス値が第1の閾値を超えていると判定された場合、出力工程において、透明樹脂シートが過度に黄色味を帯びたシートであることを示す信号を判定結果として出力するようにしてもよい。
【0020】
上記検査方法では、取得工程が第2取得工程を有し、かつ判定工程が第2判定工程を有しており、第2判定工程において、受光工程において検出した輝度値に対応する全光線透過率が第2の閾値未満であると判定された場合、出力工程において、透明樹脂シートが透明度の低下したシートであることを示す信号を判定結果として出力するようにしてもよい。
【0021】
上記検査方法では、取得工程が第1取得工程および第2取得工程を有し、かつ、判定工程が第1判定工程および第2判定工程を有しており、第1判定工程において、受光工程において検出したX値に対応するイエローインデックス値が第1の閾値を超えていると判定され、かつ、第2判定工程において、受光工程において検出した輝度値に対応する全光線透過率が第2の閾値未満であると判定された場合、出力工程において、透明樹脂シートが過度に黄色味を帯び、かつ透明度の低下したシートであることを示す信号を判定結果として出力するようにしてもよい。
【0022】
上記検査方法では、取得工程が第1取得工程および第2取得工程を有し、かつ、判定工程が第1判定工程および第2判定工程を有していてもよい。この検査方法では、第1判定工程において、受光工程において検出したX値に対応するイエローインデックス値が第1の閾値を超えていると判定された場合、または、第2判定工程において、受光工程において検出した輝度値に対応する全光線透過率が第2の閾値未満であると判定された場合に、出力工程において、透明樹脂シートが過度に黄色味を帯びた、または透明度の低下した不良品シートであることを示す信号を判定結果として出力する。
【0023】
上記検査方法は、光照射工程において照射する光の照射方向と交差する方向に透明樹脂シートを搬送する搬送工程を更に備えている。この場合において、光照射工程では、搬送工程によって搬送される透明樹脂シートの端面に当該光を照射するようにしてもよい。
【0024】
また、本発明にかかる製造方法は、透明樹脂を所定の成形方法を用いて透明樹脂シートに成形する成形工程と、成形工程によって成形された透明樹脂シートを上記何れかの検査方法によって検査する検査工程と、検査工程において透明樹脂シートが光学特性を有していると判定された場合に、当該透明樹脂シートに切削および研磨の少なくとも一方の処理を行って導光板を取得する取得工程とを有している。
【0025】
このように構成される製造方法では、導光板を作製するときに用いられるシート状の導光板用シートや導光板自身の黄色味または透明度の程度を、導光板用シートや導光板からの透過光のX値または輝度値に基づいて自動的に検査できるので、導光板を作製するときに用いられる導光板用シートや導光板を効率よく検査することができる。このように効率的に光学特性を検査できるため、本製造方法によれば、導光板を効率的に製造することができる。
【0026】
上記製造方法は、検査工程において透明樹脂シートが光学特性を有していないと判定された場合に、当該透明樹脂シートを不良品として取り出す取出し工程を更に備えていてもよい。また、上記製造方法は、透明樹脂シートが導光板用シートであり、検査工程において導光板用シートが光学特性を有していると判定された場合に、導光板用シートを所定の矩形形状に切断処理する切断工程を更に備えていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、導光板を作製するときに用いられるシート状の導光板用シートや導光板自身の黄色味または透明度の程度を、導光板用シートや導光板からの透過光のX値または輝度値に基づいて自動的に検査することにより、導光板用シートや導光板を効率よく検査することができる。また、本発明によれば、導光板用シートや導光板を効率よく検査できるので、導光板の製造を効率化させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る検査装置1の構成の一実施形態を示す図である。
【図2】導光板用シート6を透過した透過光のX値と、導光板用シート6のYI値との相関関係を示すグラフである。
【図3】導光板用シート6を透過した透過光の輝度値と、導光板用シート6の全光線透過率との相関関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明に係る検査装置1の構成の一実施形態を示す図である。検査装置1は、矩形板状の導光板を作製するときの検査に用いられる装置である。検査装置1は、透明樹脂で構成されるシート状の導光板用シート6が過度に黄色味を帯びたものであるか否か、及び、透明度が低下したものであるか否かといった光学特性を検査する。導光板用シート6を所定の大きさの矩形板状に切断して、導光板が作製される。導光板は、例えば液晶ディスプレイの面光源となるバックライトに用いられる。
【0030】
導光板用シート6は、透明樹脂で構成されるシート状のものであれば特に限定されるものではない。透明樹脂としては、たとえば、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖低密度ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、セルロースアセテート樹脂、エチレン−ビニルアセテート樹脂、アクリル−アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリル−塩素化ポリエチレン樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、フッ素樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、脂環構造含有エチレン性不飽和単量体単位を含有する樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等の汎用またはエンジニアリングプラスチックの他に、ポリ塩化ビニル系エラストマー、塩素化ポリエチレン、エチレン−アクリル酸エチル樹脂、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレン・ブタジエンブロックポリマー、エチレン−プロピレンゴム、ポリブタジエン樹脂、アクリル系ゴム等のゴム状重合体が挙げられ、これらは1種または2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0031】
これらの樹脂の中で、導光板用シート6を構成する樹脂としては、メタクリル酸メチル系樹脂、スチレン系樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂から選ばれたものが好ましい。導光板用シート6を構成する樹脂は、1種類だけでなく、積層化して2種2層板としたり、2種3層板としてもよい。導光板用シート6には、たとえば板の主層に芳香族ポリカーボネート樹脂を用い、表層にメタクリル酸メチル系樹脂を積層したものも含まれる。導光板用シート6を構成する樹脂は、第二成分を混合したものであってもよく、たとえばポリカーボネート樹脂にメタクリル酸メチル系樹脂を微量加えたものも含まれる。
【0032】
導光板用シート6は、透明樹脂中に微粒子が分散された樹脂組成物により構成されたものであってもよい。微粒子としては、導光板用シート6を構成する透明樹脂と屈折率が相違する微粒子であって透過光を拡散し得るものであればよく、特に限定されない。微粒子としては、たとえば、ガラスビーズ、シリカ粒子、水酸化アルミニウム粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、酸化チタン粒子、タルク等の無機微粒子、スチレン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子等の樹脂粒子などが挙げられる。
【0033】
導光板用シート6には、たとえば、紫外線吸収剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、光安定剤、蛍光増白剤、加工安定剤等の公知の各種添加剤を添加して含有させてもよい。
【0034】
導光板用シート6の厚さは、特に限定されないが、通常は0.05〜15mmであり、好ましくは0.1〜10mmであり、より好ましくは0.5〜5mmである。
【0035】
以上のように構成される導光板用シート6は、射出成形や押出成形などの公知の成形方法で製造することができる(成形工程)。本実施形態では、例えば導光板用シート6は押出成形により製造される。具体的には、基材となる透明樹脂を、押出機で加熱して溶融且つ混練しながら、ダイからシート状に押し出す。ダイから押出されたシート体を、3本ないし4本の冷却ロール52に挟み込んで冷却することにより、導光板用シート6が製造される。導光板用シート6の幅方向の長さL1は、ダイのサイズにもよるが、500〜5000mmであり、通常1000〜3000mmである。押出機としては、たとえば、一軸押出機、二軸押出機が挙げられる。ダイとしては、たとえばT型ダイスが用いられる。
【0036】
冷却ロール52により冷却された導光板用シート6は、検査装置1により検査される(検査工程)。本実施形態の検査装置1は、図1に示されるように、光照射部2(光照射手段)と、受光部3(受光手段)と、制御装置4と、搬送装置5(搬送手段)とを備えて構成される。制御装置4は、記憶部41、判定部42および出力部43を含む。検査装置1は、本実施形態に係る検査方法を実現する。具体的には、光照射部2が光照射工程を実行する。受光部3が受光工程を実行する。制御装置4の判定部42が判定工程を実行する。制御装置4の出力部43が出力工程を実行する。
【0037】
搬送装置5は、複数の搬送ロール51を含む。搬送装置5は、冷却ロール52により冷却された導光板用シート6を、光照射部2に向けて連続的に搬送方向Rに搬送する(搬送工程)。導光板用シート6が搬送される搬送方向Rは、導光板用シート6の幅方向に直交する。また、この搬送方向Rは、光照射部2による光の照射方向に直交(交差)する。冷却ロール52により冷却された導光板用シート6は、120℃以上の温度となっているが、搬送ロール51上でゆっくりと冷却されながら、光照射部2に向けて数10mの距離を搬送される。
【0038】
光照射部2は、搬送装置5により連続的に搬送される導光板用シート6の幅方向(搬送方向Rに直交する方向)の一端部の端面に向けて光を照射する(光照射工程)。光照射部2としては、たとえば、冷陰極管、熱陰極管等の線状光源の他、発光ダイオード(LED)等の点状光源などを用いることができる。本実施形態では、光照射部2は、たとえばLEDからなる。
【0039】
受光部3は、導光板用シート6の幅方向の他端部の端面に対向して配置される。受光部3としては、色彩輝度計カメラを使用することができる。受光部3は、搬送装置5により連続的に搬送される導光板用シート6の幅方向の一端部の端面から入射し、幅方向の他端部の端面から出射して導光板用シート6を透過した透過光を受光する(受光工程)。受光部3は、受光した透過光のXYZ色空間におけるX値(以下単に「X値」という)および輝度値を検出する(受光工程)。
【0040】
制御装置4は、記憶部41(記憶手段)、判定部42(判定手段)、および出力部43(出力手段)を含み、たとえばパーソナルコンピュータ(PC)などで実現される。パーソナルコンピュータは、CPU、RAM、ROMなどを備えている。
【0041】
記憶部41は、第1記憶部411と第2記憶部412とを含む。第1記憶部411は、導光板用シート6を透過した透過光のXYZ色空間におけるX値と、分光光度計により測定される導光板用シート6のイエローインデックス(YI)値との相関関係α(例えば図2を参照)を予め取得しておき記憶する(第1取得工程)。第2記憶部412は、導光板用シート6を透過した透過光の輝度値と、分光光度計により測定される導光板用シート6の全光線透過率との相関関係β(例えば図3を参照)を予め取得しておき記憶する(第2取得工程)。透過光のX値と導光板用シート6のYI値との相関関係α、透過光の輝度値と導光板用シート6の全光線透過率との相関関係βについては、導光板用シート6を構成する透明樹脂の種類、導光板用シート6の幅方向の長さや厚みなどに応じて適宜取り直すようにすればよい。
【0042】
ここで、導光板用シート6のYI値および全光線透過率は、分光光度計により波長380〜780nmの範囲において5nm刻みで各波長の光線透過率を測定し、得られた測定結果より算出することができる。
【0043】
判定部42は、第1判定部421と第2判定部422とを含む。第1判定部421は、第1記憶部411に予め記憶された相関関係αに基づいて、受光部3により検出されたX値に対応するイエローインデックス値が所定の閾値Sを超えているか否かを判定する(第1判定工程)。この閾値Sは、導光板用シート6が過度に黄色味を帯びたものであるか否かを示す指標である。閾値Sよりもイエローインデックス値が大きい場合、導光板用シート6は、過度に黄色味を帯びたものと判定される。第2判定部422は、第2記憶部412に予め記憶された相関関係βに基づいて、受光部3により検出された輝度値に対応する全光線透過率が所定の閾値S未満であるか否かを判定する(第2判定工程)。この閾値Sは、導光板用シート6の透明度が低下しているか否かを示す指標である。閾値Sよりも全光線透過率が低い場合、導光板用シート6は、透明度が低いものと判定される。
【0044】
出力部43は、判定部42による判定結果を出力する部分であり、イエローインデックス値が所定の閾値Sを超えていると第1判定部421が判定した場合に、導光板用シート6が過度に黄色味を帯びたものであることを示す信号(以下、「異常信号」という)を出力する(出力工程)。また、出力部43は、全光線透過率が所定の閾値S未満であると第2判定部422が判定した場合に、導光板用シート6が透明度の低下したものであることを示す信号(以下、「異常信号」という)を出力するようにしてもよい(出力工程)。また、出力部43は、イエローインデックス値が所定の閾値Sを超えていると第1判定部421が判定し、且つ、全光線透過率が所定の閾値S未満であると第2判定部422が判定した場合に、導光板用シート6が過度に黄色味を帯び且つ透明度の低下したものであることを示す信号(以下、「異常信号」という)を出力するようにしてもよい(出力工程)。このような出力部43としては、たとえば、異常信号として警報音を発する手段、異常信号として「過度に黄色味を帯び、透明度が低下した導光板用シートを検出しました」などのメッセージを表示する手段などが挙げられる。
【0045】
以上のように構成される検査装置1では、出力部43は、YI値が所定の閾値Sを超えていると判定された場合に、導光板用シート6が過度に黄色味を帯びたものであることを示す信号を出力する。また、出力部43は、全光線透過率が所定の閾値S未満であると判定された場合に、導光板用シート6が透明度の低下したものであることを示す信号を出力する。また、出力部43は、YI値が所定の閾値Sを超えていると判定され且つ全光線透過率が所定の閾値S未満であると判定された場合に、導光板用シート6が過度に黄色味を帯び且つ透明度の低下したものであることを示す信号を出力する。そのため、導光板用シート6自身の黄色味および透明度の程度を、導光板用シート6からの透過光のX値および輝度値に基づいて自動的に検査することが可能になる。これにより、検査装置1によれば、導光板用シート6を効率よく検査することができる。
【0046】
また、出力部43を次のように構成することができる。すなわち、出力部43は、判定部42による判定結果を出力する部分であり、イエローインデックス値が所定の閾値Sを超えていると第1判定部421が判定した場合に、導光板用シート6が過度に黄色味を帯びたものであることを示す異常信号を出力する。また、出力部43は、前記全光線透過率が所定の閾値S未満であると第2判定部422が判定した場合に、導光板用シート6が透明度の低下したものであることを示す異常信号を出力する(出力工程)。このような出力部43としては、たとえば、異常信号として警報音を発する手段、異常信号として「過度に黄色味を帯び、透明度が低下した導光板用シートを検出しました」などのメッセージを表示する手段などが挙げられる。
【0047】
以上のように構成される検査装置1では、出力部43は、YI値が所定の閾値Sを超えていると判定された場合、または、全光線透過率が所定の閾値S未満であると判定された場合に、導光板用シート6が過度に黄色味を帯びたものであることを示す異常信号、または、導光板用シート6が透明度の低下したものであることを示す異常信号を出力する。そのため、導光板用シート6自身の黄色味および透明度の程度を、導光板用シート6からの透過光のX値および輝度値に基づいて自動的に検査することが可能になる。これにより、検査装置1によれば、導光板用シート6を効率よく検査することができる。
【0048】
検査装置1により検査された導光板用シート6は、搬送装置5により更に搬送され、検査装置1よりも搬送方向Rの下流側において、所定の大きさの矩形板状に切断処理(幅サイズを揃えるサイドカット処理、および長手サイズを揃えるクロスカット処理)される(切断工程)。さらに、4つの端面(エッジ)が所定の形状に切削加工された後、研磨処理され、通常は片表面に印刷、もしくは表面切削加工が施されて、導光板が完成する(取得工程)。
【0049】
検査装置1の出力部43から出力された異常信号に基づいて、導光板用シート6において過度に黄色味を帯びた、あるいは透明度が低下したと判定された部分を含む導光板を、色目不良品として自動的にはね出し処理するように、検査装置1を構成することもできる(取出工程)。また、検査装置1では、透明樹脂シートであれば上述した検査を行うことができるので、導光板用シート6だけでなく、透明樹脂シートである導光板に対しても、上述した検査を行うことができる。すなわち、導光板用シート6を矩形板状に切断処理した後の板状体の導光板について、導光板用シート6と同様に、導光板の幅方向の一端面に光照射部2から光を照射し、導光板の他端面から出射した光を受光部3により受光するように検査装置1を構成してもよい。この場合には、搬送装置5により搬送される複数の導光板において、隣接する導光板間の空間部分を測定することがないように、搬送される導光板が光照射部2に到達するタイミングに合わせて、断続的に測定するようにすればよい。
【0050】
検査装置1は、導光板用シート6の黄色味および透明度を検査するように構成されていたが、導光板用シート6の黄色味および透明度をそれぞれ独立で検査するように構成することもできる。すなわち、検査装置1は、導光板用シート6の黄色味又は透明度の少なくとも一方を検査する構成でもよい。
【0051】
まず、検査装置1を、導光板用シート6の黄色味を検査するように構成した場合について説明する。
【0052】
光照射部2は、搬送装置5により搬送される導光板用シート6の端面に光を照射する。受光部3は、導光板用シート6を透過した透過光を受光し、受光した透過光のX値を検出する。記憶部41の第1記憶部411は、導光板用シート6を透過した透過光のX値とYI値との相関関係αを予め記憶する。記憶部41の第2記憶部412は機能しない。判定部42の第1判定部421は、第1記憶部411に予め記憶された相関関係αに基づいて、受光部3により検出されたX値に対応するYI値が所定の閾値Sを超えているか否かを判定する。判定部42の第2判定部422は機能しない。出力部43は、YI値が所定の閾値Sを超えていると判定された場合に、過度に黄色味を帯びた導光板用シート6であることを示す信号を出力する。
【0053】
検査装置1を上記のように構成した場合には、導光板用シート6自身の黄色味の程度を、導光板用シート6からの透過光のX値に基づいて自動的に検査することが可能である。これにより、導光板用シート6を効率よく検査することができる。
【0054】
次に、検査装置1を、導光板用シート6の透明度を検査するように構成した場合について説明する。
【0055】
光照射部2は、搬送装置5により搬送される導光板用シート6の端面に光を照射する。受光部3は、導光板用シート6を透過した透過光を受光し、受光した透過光の輝度値を検出する。記憶部41の第2記憶部412は、導光板用シート6を透過した透過光の輝度値と全光線透過率との相関関係βを予め記憶する。記憶部41の第1記憶部411は機能しない。判定部42の第2判定部422は、第2記憶部412に予め記憶された相関関係βに基づいて、受光部3により検出された輝度値に対応する全光線透過率が所定の閾値S未満であるか否かを判定する。判定部42の第1判定部421は機能しない。そして、出力部43は、全光線透過率が所定の閾値S未満であると判定された場合に、透明度が低下した導光板用シート6であることを示す信号を出力する。
【0056】
検査装置1を上記のように構成した場合には、導光板用シート6自身の透明度の程度を、導光板用シート6からの透過光の輝度値に基づいて自動的に検査することが可能である。これにより、導光板を作製するときに用いられる導光板用シート6を効率よく検査することができる。
【実施例】
【0057】
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
<導光板用シート>
透明樹脂としてメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)(スミペックスEXN、住友化学株式会社製)を、スクリュー径250mmの一軸押出機(Breyer社製)で溶融且つ混練して樹脂温度265℃でT型ダイスから押し出した。T型ダイスから押し出されたシート体を、一対の表面が平滑な金属製の冷却ロールに挟み込んで冷却して、導光板用シート6を作製した。このようにして作製された導光板用シート6を切断処理することで、厚さ4mm、短辺方向の長さ50mm、長辺方向の長さ250mmの矩形状の板状体を作製した。得られた板状体の各端面を、研磨機(プラビューティーPB500、メガロテクニカ株式会社製)で研磨処理して、導光板用シート6のYI値および全光線透過率を測定するための評価用試験片を作製した。
【0059】
<導光板用シートのYI値および全光線透過率の測定>
評価用試験片を、分光光度計(U−4100型分光光度計、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で、波長380〜780nmの範囲において5nm刻みで各波長の光線透過率を測定した。得られた測定結果より、装置付属の黄変度計算ソフトを用いて全光線透過率(%)を求め、JIS Z−8722に準拠して、XYZ色空間のX値、Y値およびZ値を求め、JIS K−7105に準拠して、イエローインデックス(YI)値を求めた。
【0060】
<検査装置>
[光照射部2]
光照射部2として、LED光源(LDA8D−A1/D、パナソニック電工株式会社製)を、導光板用シート6の幅方向の一端部の端面に対向して配置した。
【0061】
[受光部3]
受光部3として、色彩輝度計カメラ(CS−100A、コニカミノルタ株式会社製)を、導光板用シート6の幅方向の他端部の端面に対向して配置し、ファインダを覗きながら焦点および視野中心の測定円を導光板用シート6の端面に合わせた。この色彩輝度計カメラは、導光板用シート6を幅方向の一端部から他端部にわたって透過した透過光を受光し、受光した透過光のX値および輝度値(cd/m)を検出する。
【0062】
[導光板用シートを透過した透過光の黄色味のX値と、導光板用シートのYI値との相関関係]
図2は、実施例1において、搬送装置5により連続的に搬送される導光板用シート6を透過した透過光のX値と、導光板用シート6のYI値との相関関係αを示すグラフである。図2において、横軸は導光板用シート6のYI値を示し、縦軸は導光板用シート6を透過した透過光のX値を示す。図2において、線Aは、透過光のX値と導光板用シート6のYI値との相関関係αを示す直線である。実施例1では、透過光のX値と導光板用シート6のYI値とは、線Aで示される下記の式(1)の相関関係αを有する。
y=0.008x+0.3105 …(1)
(式中、xは導光板用シート6のYI値を示し、yは透過光のX値を示す。)
【0063】
そして、実施例1では、導光板用シート6のYI値の閾値Sを「3.5」に設定した。この閾値Sを上記式(1)の「x」に代入すると、閾値Sに対応する透過光のX値の閾値S11は、「0.3385」となる。
【0064】
記憶部41の第1記憶部411は、上記式(1)で示される相関関係α、閾値Sおよび閾値S11を予め記憶する。
【0065】
[導光板用シートを透過した透過光の輝度値と、導光板用シートの全光線透過率との相関関係]
図3は、実施例1において、搬送装置5により連続的に搬送される導光板用シート6を透過した透過光の輝度値と、導光板用シート6の全光線透過率との相関関係βを示すグラフである。図3において、横軸は導光板用シート6の全光線透過率(%)を示し、縦軸は導光板用シート6を透過した透過光の輝度値(cd/m)を示す。図3において、線Bは、透過光の輝度値と導光板用シート6の全光線透過率との相関関係βを示す直線である。実施例1では、透過光の輝度値と導光板用シート6の全光線透過率とは、線Bで示される下記の式(2)の相関関係を有する。
y=32.025x−2320.3 …(2)
(式中、xは導光板用シート6の全光線透過率(%)を示し、yは透過光の輝度値(cd/m)を示す。)
【0066】
そして、実施例1では、導光板用シート6の全光線透過率の閾値Sを「86.5%」に設定した。この閾値Sを上記式(2)の「x」に代入すると、閾値Sに対応する透過光の輝度値の閾値S21は、「449.8625cd/m」となる。
【0067】
記憶部41の第2記憶部412は、上記式(2)で示される相関関係β、閾値Sおよび閾値S21を予め記憶する。
【0068】
[判定部42]
判定部42の第1判定部421は、第1記憶部411に予め記憶された式(1)で示される相関関係αに基づいて、受光部3により検出されたX値に対応するYI値が所定の閾値Sを超えているか否かを判定する。第2判定部422は、第2記憶部412に予め記憶された式(2)で示される相関関係βに基づいて、受光部3により検出された輝度値に対応する全光線透過率が所定の閾値S未満であるか否かを判定する。
【0069】
[出力部43]
出力部43は、YI値が所定の閾値Sを超えていると第1判定部421が判定し且つ全光線透過率が所定の閾値S未満であると第2判定部422が判定した場合に、導光板用シート6が過度に黄色味を帯びたものであり且つ導光板用シート6が透明度の低下したものであることを示す信号を出力する。
【0070】
<結果>
実施例1の検査装置によれば、出力部43は、YI値が所定の閾値Sを超えていると判定され且つ全光線透過率が所定の閾値S未満であると判定された場合に、導光板用シート6が過度に黄色味を帯びたものであり且つ導光板用シート6が透明度の低下したものであることを示す信号を出力する。これにより、導光板用シート6自身の黄色味および透明度の程度を、導光板用シート6からの透過光のX値および輝度値に基づいて自動的に検査することができ、その結果、導光板用シート6を効率よく検査することができる。かかる検査方法を用いて導光板を製造する場合においても、導光板用シートや導光板を効率よく検査できるので、導光板の製造を効率化させることが可能である。
【0071】
(実施例2)
出力部43を以下のように構成すること以外は、実施例1と同様にした。
【0072】
[出力部43]
出力部43は、YI値が所定の閾値Sを超えていると第1判定部421が判定した場合、または、全光線透過率が所定の閾値S未満であると第2判定部422が判定した場合に、導光板用シート6が過度に黄色味を帯びた不良品である、または、導光板用シート6が透明度の低下した不良品であることを示す異常信号を出力する。
【0073】
<結果>
実施例2の検査装置によれば、出力部43は、YI値が所定の閾値Sを超えていると判定された場合、または、全光線透過率が所定の閾値S未満であると判定された場合に、導光板用シート6が過度に黄色味を帯びた不良品である、または、導光板用シート6が透明度の低下した不良品であることを示す異常信号を出力する。これにより、導光板用シート6自身の黄色味および透明度の程度を、導光板用シート6からの透過光のX値および輝度値に基づいて自動的に検査することができ、その結果、導光板用シート6を効率よく検査することができる。かかる検査方法を用いて導光板を製造する場合においても、導光板用シートや導光板を効率よく検査できるので、導光板の製造を効率化させることが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…検査装置、2…光照射部、3…受光部、4…制御装置、5…搬送装置、6…導光板用シート、41…記憶部、42…判定部、43…出力部、411…第1記憶部、412…第2記憶部、421…第1判定部、422…第2判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂で構成される導光板または導光板用シートである、透明樹脂シートの黄色味および透明度の少なくとも一方の光学特性を、分光光度計により測定される測定値に基づいて検査する検査装置であって、
前記透明樹脂シートの端面に光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段によって照射されて前記透明樹脂シートを透過した透過光を受光し、受光した透過光のXYZ色空間におけるX値および輝度値の少なくとも一方を検出する受光手段と、
前記透明樹脂シートを透過した透過光のXYZ色空間におけるX値と、前記分光光度計により測定された測定値である前記透明樹脂シートのイエローインデックス値との第1の相関関係を予め記憶する第1記憶部、および、前記透明樹脂シートを透過した透過光の輝度値と、前記分光光度計により測定された測定値である前記透明樹脂シートの全光線透過率との第2の相関関係を予め記憶する第2記憶部の少なくとも一方を有する記憶手段と、
前記第1記憶部に予め記憶された第1の相関関係に基づいて、前記受光手段により検出された前記X値に対応するイエローインデックス値が第1の閾値を超えているか否かを判定する第1判定部、および、前記第2記憶部に予め記憶された第2の相関関係に基づいて、前記受光手段により検出された前記輝度値に対応する全光線透過率が第2の閾値未満であるか否かを判定する第2判定部の少なくとも一方を有する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を備える検査装置。
【請求項2】
前記記憶手段が前記第1記憶部を有し、かつ前記判定手段が前記第1判定部を有し、
前記第1判定部が、前記受光手段により検出された前記X値に対応するイエローインデックス値が前記第1の閾値を超えていると判定した場合、前記出力手段は、前記透明樹脂シートが過度に黄色味を帯びたシートであることを示す信号を前記判定結果として出力する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記記憶手段が前記第2記憶部を有し、かつ前記判定手段が前記第2判定部を有し、
前記第2判定部が、前記受光手段により検出された前記輝度値に対応する全光線透過率が前記第2の閾値未満であると判定した場合、前記出力手段は、前記透明樹脂シートが透明度の低下したシートであることを示す信号を前記判定結果として出力する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記記憶手段が前記第1記憶部および前記第2記憶部を有し、かつ前記判定手段が前記第1判定部および前記第2判定部を有し、
前記第1判定部が、前記受光手段により検出された前記X値に対応するイエローインデックス値が前記第1の閾値を超えていると判定し、かつ、前記第2判定部が、前記受光手段により検出された前記輝度値に対応する全光線透過率が前記第2の閾値未満であると判定した場合、前記出力手段は、前記透明樹脂シートが過度に黄色味を帯び、かつ透明度の低下したシートであることを示す信号を前記判定結果として出力する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
前記記憶手段が前記第1記憶部および前記第2記憶部を有し、かつ前記判定手段が前記第1判定部および前記第2判定部を有し、
前記第1判定部が、前記受光手段により検出された前記X値に対応するイエローインデックス値が前記第1の閾値を超えていると判定した場合、または、前記第2判定部が、前記受光手段により検出された前記輝度値に対応する全光線透過率が前記第2の閾値未満であると判定した場合、前記出力手段は、前記透明樹脂シートが過度に黄色味を帯びた、または、透明度の低下した不良品シートであることを示す信号を前記判定結果として出力する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
前記光照射手段による光の照射方向と交差する方向に前記透明樹脂シートを搬送する搬送手段を更に備え、
前記光照射手段は、前記搬送手段により搬送される前記透明樹脂シートの端面に当該光を照射する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の検査装置。
【請求項7】
透明樹脂で構成される導光板または導光板用シートである、透明樹脂シートの黄色味および透明度の少なくとも一方の光学特性を、分光光度計により測定される測定値に基づいて検査する検査方法であって、
前記透明樹脂シートを透過する透過光のXYZ色空間におけるX値と、前記分光光度計により測定された測定値である前記透明樹脂シートのイエローインデックス値との第1の相関関係を予め取得する第1取得工程、および、前記透明樹脂シートを透過する透過光の輝度値と、前記分光光度計により測定された測定値である前記透明樹脂シートの全光線透過率との第2の相関関係を予め取得する第2取得工程の少なくとも一方を含む取得工程と、
前記透明樹脂シートの端面に光を照射する光照射工程と、
前記光照射工程で前記透明樹脂シートの端面に照射されて前記透明樹脂シートを透過した透過光を受光し、受光した透過光のXYZ色空間におけるX値および輝度値の少なくとも一方を検出する受光工程と、
前記第1取得工程で予め取得した第1の相関関係に基づいて、前記受光工程において検出した前記X値に対応する前記透明樹脂シートのイエローインデックス値が第1の閾値を超えているか否かを判定する第1判定工程、および、前記第2取得工程で予め取得した第2の相関関係に基づいて、前記受光工程において検出した前記輝度値に対応する前記透明樹脂シートの全光線透過率が第2の閾値未満であるか否かを判定する第2判定工程の少なくとも一方を含む判定工程と、
前記判定工程における判定結果を出力する出力工程と、を備えた検査方法。
【請求項8】
前記取得工程が前記第1取得工程を有し、かつ前記判定工程が前記第1判定工程を有し、
前記第1判定工程において、前記受光工程において検出した前記X値に対応するイエローインデックス値が前記第1の閾値を超えていると判定された場合、前記出力工程において、前記透明樹脂シートが過度に黄色味を帯びたシートであることを示す信号を前記判定結果として出力する、請求項7に記載の検査方法。
【請求項9】
前記取得工程が前記第2取得工程を有し、かつ前記判定工程が前記第2判定工程を有し、
前記第2判定工程において、前記受光工程において検出した前記輝度値に対応する全光線透過率が前記第2の閾値未満であると判定された場合、前記出力工程において、前記透明樹脂シートが透明度の低下したシートであることを示す信号を前記判定結果として出力する、請求項7に記載の検査方法。
【請求項10】
前記取得工程が前記第1取得工程および前記第2取得工程を有し、かつ、前記判定工程が前記第1判定工程および前記第2判定工程を有し、
前記第1判定工程において、前記受光工程において検出した前記X値に対応するイエローインデックス値が前記第1の閾値を超えていると判定され、かつ、前記第2判定工程において、前記受光工程において検出した前記輝度値に対応する全光線透過率が前記第2の閾値未満であると判定された場合、前記出力工程において、前記透明樹脂シートが過度に黄色味を帯び、かつ透明度の低下したシートであることを示す信号を前記判定結果として出力する、請求項7に記載の検査方法。
【請求項11】
前記取得工程が前記第1取得工程および前記第2取得工程を有し、かつ、前記判定工程が前記第1判定工程および前記第2判定工程を有し、
前記第1判定工程において、前記受光工程において検出した前記X値に対応するイエローインデックス値が前記第1の閾値を超えていると判定された場合、または、前記第2判定工程において、前記受光工程において検出した前記輝度値に対応する全光線透過率が前記第2の閾値未満であると判定された場合、前記出力工程において、前記透明樹脂シートが過度に黄色味を帯びた、または、透明度の低下した不良品シートであることを示す信号を前記判定結果として出力する、請求項7に記載の検査方法。
【請求項12】
前記光照射工程において照射する光の照射方向と交差する方向に前記透明樹脂シートを搬送する搬送工程を更に備え、
前記光照射工程では、前記搬送工程によって搬送される前記透明樹脂シートの端面に当該光を照射する、請求項7〜11のいずれか1つに記載の検査方法。
【請求項13】
透明樹脂を所定の成形方法を用いて前記透明樹脂シートに成形する成形工程と、
前記成形工程によって成形された前記透明樹脂シートを請求項7〜12のいずれか1つに記載の検査方法によって検査する検査工程と、
前記検査工程において前記透明樹脂シートが前記光学特性を有していると判定された場合に、当該透明樹脂シートに切削および研磨の少なくとも一方の処理を行って導光板を取得する取得工程と、を備えた導光板の製造方法。
【請求項14】
前記検査工程において前記透明樹脂シートが前記光学特性を有していないと判定された場合に、当該透明樹脂シートを不良品として取り出す取出工程を、更に備える請求項13に記載の導光板の製造方法。
【請求項15】
前記透明樹脂シートが前記導光板用シートであり、前記検査工程において前記導光板用シートが前記光学特性を有していると判定された場合に、前記導光板用シートを所定の矩形形状に切断処理する切断工程を、更に備える請求項13または14に記載の導光板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−185157(P2012−185157A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−33323(P2012−33323)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】