説明

検査装置

【課題】1次元イメージセンサカメラ利用の検査装置において全検査ウィンドウの均一条件下自動検査を実現する。
【解決手段】
1次元イメージセンサカメラで基板を撮像し、基板上の部品の実装位置とサイズと実装方向に従って部品領域を設定し、部品領域を周囲に自動拡大して検査ウィンドウを作成する際の拡大率を教示し、基準基板全面画像の検査ウィンドウ内画素値と、検体基板全面画像の対応する検査ウィンドウ内画素値とを、全検査ウィンドウについて均一の画素密度で差分画像処理し、均一の良否判定基準で品質を判定することにより、簡単な教示で過検出を最少化した実装基板の自動検査ができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロニクス工場等において、1次元イメージセンサカメラにより部品実装基板を撮像して外観検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装基板の実装品質を検査するための検査装置には、2次元のエリアイメージセンサカメラを用いるものと1次元イメージセンサカメラを利用するものとに大別される。後者は、スキャナのように画像を取込むために、高速化が図れる点で優れているが、実装部品の種類やはんだ付の良否を検査するために、部品搭載領域だけに限って画像検査を行うために、検査ウィンドウを設定することが一般的であり、この点ではエリアイメージセンサカメラ利用検査機と同様であった。検査ウィンドウの設定やウィンドウごと、あるいは部品やはんだ接合の種類ごとに検査アルゴリズムを張りつける検査データ作成は、手間がかかるばかりでなく、多分に操作者のスキルにも依存するので、実用的な自動検査パフォーマンスがなかなか実現しない、などの問題があった。
【0003】
これに対して出願人は、1次元イメージセンサカメラ利用の検査機において、検査ウィンドウの設定を省略する技術をすでに開示している(特許文献1〜5参照)。これは、基準基板の全面画像と検査基板の全面画像とを差画像処理により比較するものであり、上記教示の手間や要求スキルの大幅な軽減を目的とするものである。
【特許文献1】特開2004−296564
【特許文献2】特開2005−265493
【特許文献3】特開2006−242873
【特許文献4】特開2007−101415
【特許文献5】特開2007−147320
【0004】
ところが、基板全面画像を均一の画像処理条件で差画像処理すると、部品の実装品質にかかわらない基板上の印刷やその他の微小な変動までもすべて検出し、いわゆる過検出の多発もしばしば発生する。このために、1次元イメージセンサカメラ利用の検査機においても、上述のように検査ウィンドウを設定することが、必要とされていた。
しかしながら、1次元イメージセンサカメラ利用の検査機において、その操作簡易化はなお強く要望されていて、課題として残されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、1次元イメージセンサカメラ利用の検査装置において、検査ウィンドウの教示を必要としない基板全面の差画像処理の長所を生かそうとすると、品質に無関係の箇所に過検出が発生していた点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1次元イメージセンサカメラに対して、イメージセンサのピクセル配置に直交する方向に基板を相対移動することによって基板画像を獲得する検査装置において、基板上の部品の実装位置とサイズと実装方向に従って部品領域を設定し、部品領域を周囲に自動拡大して検査ウィンドウを作成する際の拡大率を教示し、差分画像処理に適用する画素密度と良否判定基準を設定し、基準基板全面画像の検査ウィンドウ内画素値と、検体基板全面画像の対応する検査ウィンドウ内画素値とを差分画像処理し、全検査ウィンドウについて均一の画素密度と良否判定基準で部品の実装品質とはんだ付品質を判定することを主要な特徴とする。
また本発明は、1次元イメージセンサカメラに対して、イメージセンサのピクセル配置に直交する方向に基板を相対移動することによって基板画像を獲得する検査装置において、良否判定基準として差分画素値の閾値あるいは検査ウィンドウと部品領域に囲まれた部品周辺域における異常画像の許容範囲を設定することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の検査装置は、1次元イメージセンサカメラが基板画像を獲得する検査装置において、部品領域を周囲に自動拡大して検査ウィンドウを作成する際の拡大率を教示し、基準基板全面画像の検査ウィンドウ内画素値と、検体基板全面画像の対応する検査ウィンドウ内画素値とを、全検査ウィンドウについて均一の画素密度で差分画像処理し、かつ均一の良否判定基準で品質を判定するので、検査データの教示を部品領域教示のみに極小化して部品実装品質が検査できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
検査データ教示が簡易でかつ過検出の少ない1次元イメージセンサカメラ利用の検査装置を実現するという目的を、部品領域を周囲に自動拡大して検査ウィンドウを作成する際の拡大率を教示し、基準基板全面画像の検査ウィンドウ内画素値と、検体基板全面画像の対応する検査ウィンドウ内画素値とを、全検査ウィンドウについて均一の画素密度で差分画像処理し、かつ均一の良否判定基準で品質を判定することによって実現した。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明検査装置実施例の全体構成図であって、基板1上には部品2がはんだ付され、基板1はテーブル3に保持されている。基板1の上方には、1次元イメージセンサカメラ4が配置されている。
【0010】
1次元イメージセンサカメラ4は、制御装置5に接続され、制御装置5は、1次元センサ撮像ユニット6、画像保存ユニット7、画像処理演算ユニット8、システム全体を制御する統合システム制御ユニット9、教示ユニット10、および良否判定ユニット11を有し、6〜11の各ユニットは、バス16を通じてデータの交換を行う。
【0011】
また、制御装置5には、教示データ等の入力を行う入力ユニット12と、検査結果等を印字する出力ユニット13と、外部装置との間でデータ送受を行う通信ユニット14と、画像や検査結果等を表示する表示ユニット15が接続されている。
【0012】
次に、図2(A)のフロー図に従って、この実施例検査装置の教示ステップを説明する。まず基準基板1(図1)をテーブル3に装填し(ST1)、基板のIDデータを教示し(ST2)、その後基準基板をテーブル3で移動して1次元イメージセンサカメラ4でスキャン撮像する(ST3)。獲得した基準基板の全面画像を画像保存ユニット7に保存し(ST4)、表示ユニット15に表示する(ST5)(図示せず)。
【0013】

次に、表示された基準基板画像上に部品領域を設定する(ST6)。部品領域の設定は、表示画像を見ながらマニュアル操作で部品画像を囲むようにして設定してもよいし、また基板の設計データ(CADデータ)あるいはマウンタ・データ等を利用することもできる。すべての部品領域が正しく設定されたら、検査ウィンドウの教示に進む(ST7)。検査ウィンドウは、指示された拡大比率に従って各部品領域を自動拡大して作成する(図3参照)。この自動拡大は、画像処理演算ユニット8が備える検査ウィンドウ設定プログラムが、個々の部品領域の重心位置を算定し、部品領域の長辺と短辺に応じて定率で拡大し、検査ウィンドウとして設定する。拡大率は、あらかじめ入力することができる。拡大領域を設定する理由は、部品の搭載ずれ不良やはんだブリッジを、検査ウィンドウと部品領域に囲まれた部品周辺域における異常画像として検出するためである。
【0014】
次に、テスト基板をテーブル3に装填して(ST8)、スキャン撮像し(ST9)、得られたテスト基板画像と基準基板画像との差画像処理を画像処理演算ユニット8が行う(ST10)。この差画像処理は、デフォルトの画素密度と良否判定基準で試行する。この差分結果を表示ユニット15に表示し(ST11)、不良の見逃しまたは良品の見過ぎなどの誤判定があれば、デフォルトの差分画像処理に利用する画素密度あるいは良否判定基準を調節することにより、この基板に最適な画像処理条件を設定する(ST12)。
【0015】
次に、この実施例における自動検査の動作を、図2(B)のフロー図に沿って説明する。
まず、図1において検体基板1をテーブル3に装填し(ST21)、検体基板のIDデータを入力するか又は読取ると(ST22)、制御装置5の指令で検体基板1を1次元移動し、1次元センサ撮像ユニット6の制御によって1次元イメージセンサカメラ4が検体基板1の全面をスキャン撮像する(ST23)。このとき、画像保存ユニット7が検体基板の全面画像を保存した後、以降のプロセスに進んでもよい。
【0016】
そこで画像処理演算ユニット8が、基準基板画像と検体基板画像の各検査ウィンドウ内画素について、差分画像処理を行い(ST24)、不良画像が発生した検査ウィンドウがあれば、ウィンドウ枠を指示表示してその存在を示し、検査ウィンドウのアドレスとともに検査結果データを報告し(ST25)、検体基板をステージ3より除去する(ST26)。
【0017】
本実施例は、差分画像処理の画素密度の設定、あるいは差分画素値の閾値の設定、あるいは検査ウィンドウと部品領域に囲まれた部品周辺域における異常画像の許容範囲の設定ができるようにしているので、全検査ウィンドウを均一の条件で自動検査できるようになった。
【産業上の利用可能性】
【0018】
1次元イメージセンサカメラで基板を撮像し、基板上の部品の実装位置とサイズと実装方向に従って部品領域を設定し、部品領域を周囲に自動拡大して検査ウィンドウを作成する際の拡大率を教示し、基準基板全面画像の検査ウィンドウ内画素値と、検体基板全面画像の対応する検査ウィンドウ内画素値とを、全検査ウィンドウについて均一の画素密度で差分画像処理し、均一の良否判定基準で品質を判定して、検査ウィンドウ単位の検査結果を報告する検査装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】検査装置の全体構成を示した説明図である。
【図2】検査装置における教示と自動検査の動作を示したフロー図である。
【図3】検査装置における部品領域と検査ウィンドウの設定を説明する図である。
【符号の説明】
【0020】
1 基板
2 部品
4 1次元イメージセンサカメラ
5 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次元イメージセンサカメラに対して、イメージセンサのピクセル配置に直交する方向に基板を相対移動することによって基板画像を獲得する撮像手段と、
基板上の部品の実装位置とサイズと実装方向に従って部品領域を設定する領域設定手段と、
部品領域を周囲に自動拡大して検査ウィンドウを作成する際の拡大率を教示し、差分画像処理に適用する画素密度と良否判定基準を設定する教示手段と、
基準基板全面画像の検査ウィンドウ内画素値と、検体基板全面画像の対応する検査ウィンドウ内画素値とを、差分画像処理する画像処理手段と、
全検査ウィンドウについて均一の画素密度と良否判定基準で部品の実装品質とはんだ付品質を判定する判定手段と
より成る検査装置。
【請求項2】
前記教示手段が設定する良否判定基準は、差分画素値の閾値あるいは検査ウィンドウと部品領域に囲まれた部品周辺域における異常画像の許容範囲であることを特徴とする請求項1記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−115479(P2009−115479A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285812(P2007−285812)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(594077024)
【Fターム(参考)】