説明

検索装置

【課題】音声認識結果に誤りがある場合であっても、利用者が所望する結果や情報を迅速に提供すること。
【解決手段】不正解キーワード選択部が、検索キーワード列に含まれる各検索キーワードを表示して修正対象となる検索キーワードを示す不正解キーワードを利用者に選択させ、予備検索部が、不正解キーワードが選択された場合に、選択されなかった検索キーワードを示す正解キーワードを検索条件としてデータベースを検索し、修正候補抽出部が、かかる予備検索結果を利用者へ提示するように検索装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、利用者による発声を音声認識することで得られた検索キーワード列を検索条件として所定のデータベースを検索する検索装置に関し、特に、音声認識結果に誤りがある場合であっても、利用者が所望する結果や情報を迅速に提供することができる検索装置を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来から、GPS(Global Positioning System)、ジャイロ、車速センサ等を利用して現在位置を算出し、自車位置と周辺の道路や建物についての地図情報とを合成してディスプレイへ表示するカーナビゲーションシステムが知られている。
【0003】
また、利用者の利便性を向上させる観点から、マイクロフォンを経由して取り込んだ利用者の声を音声認識し、音声認識結果に基づいてカーナビゲーションシステムを作動させることも行われている。
【0004】
たとえば、利用者が、「目的地はA市のB駅」と発声すると、カーナビゲーションシステムでは、予め用意された施設情報の一覧を検索する。そして、正当な目的地であることが確認されると、目的地をA市のB駅に設定する。
【0005】
しかし、音声認識の精度は向上してきているものの、利用者の声を正しく認識することができない場合も多い。このため、音声認識結果をディスプレイへ表示するなどして利用者へ提示し、テンキーなどの入力デバイスを介して音声認識結果を修正させることが行われている。なお、特許文献1には、音声入力とキーボード入力とを併用して音声認識を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−241829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1をはじめとする従来技術を用いた場合、音声認識結果の修正が完了するのを待って、再度、音声認識を行う必要があるため、正しい音声認識が完了するまでの所要時間がかさむという問題があった。
【0008】
たとえば、利用者が、「目的地はA市のB駅」と発声したにもかかわらず、システム側では「目的地はE市のB駅」と誤認識した場合、誤認識の結果がディスプレイに表示される。このため、利用者は、「E市」を「A市」と訂正する音声入力またはキーボード入力を行ったうえで、システム側に再検索を行わせる必要がある。
【0009】
ところが、実際には、A市にはB駅がない場合、システム側からは目的地は存在しない旨のエラー通知などがなされるので、利用者は、あらたな目的地を発声するなどして、システム側に音声認識を再度行わせる必要がある。このように、音声入力を行う場合には、利用者が所望する結果を得るまでに要する時間がかさむ傾向にあった。
【0010】
これらのことから、音声認識結果に誤りがある場合であっても、利用者が所望する結果や情報を迅速に提供することができる検索装置をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0011】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、音声認識結果に誤りがある場合であっても、利用者が所望する結果や情報を迅速に提供することができる検索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、利用者による発声を音声認識することで得られた検索キーワード列を検索条件として所定のデータベースを検索する検索装置であって、前記検索キーワード列に含まれる各検索キーワードを表示して修正対象となる検索キーワードを示す不正解キーワードを利用者に選択させる選択手段と、前記選択手段によって前記不正解キーワードが選択された場合に、前記選択手段によって選択されなかった検索キーワードを示す正解キーワードを検索条件として前記データベースを検索する予備検索手段と、前記予備検索手段による予備検索結果を利用者へ提示する予備検索結果提示手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、検索キーワード列に含まれる各検索キーワードを表示して修正対象となる検索キーワードを示す不正解キーワードを利用者に選択させ、不正解キーワードが選択された場合に、選択されなかった検索キーワードを示す正解キーワードを検索条件としてデータベースを検索し、かかる予備検索結果を利用者へ提示することとしたので、利用者が所望する結果や情報を迅速に提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明に係る検索手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る検索装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、音声認識部の構成例を示す図である。
【図4】図4は、音声認識処理およびキーワード抽出処理の概要を示す図である。
【図5】図5は、認識結果修正用画面を示す図である。
【図6】図6は、不正解キーワードの修正候補を示す図である。
【図7】図7は、検索装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、認識結果修正画面の変形例を示す図である。
【図9】図9は、現在位置情報を用いた検索例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る検索装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る検索手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る検索手法を適用した検索装置の実施例について説明することとする。
【0016】
図1は、本発明に係る検索手法の概要を示す図である。なお、同図の(A)には、従来技術に係る検索手法の検索手順について、同図の(B)には、本発明に係る検索手法の検索手順について、それぞれ示している。また、利用者による発声内容は、所定の音声認識処理によって単語に分解されるものとする。
【0017】
同図に示すように、利用者が、「神戸駅近くのBバーガー店でシェイク」と発声したとする。ここで、利用者は、「神戸駅」の近くにある「Bバーガー店」というファーストフード店で、「シェイク」と呼ばれる飲料を飲みたい旨を意図していると考えられる。
【0018】
所定の音声認識処理では、かかる発声内容を単語に分解し、文法辞書を用いることで助詞や形容詞といった単語を除去する。このようにすることで、同図に示したように、音声認識結果としては、「神戸駅」、「Eバーガー店」、「シェイク」という検索キーワードが抽出される。
【0019】
しかし、音声認識結果には、誤りが含まれることも多く、同図に示した場合には、利用者は「Bバーガー店」と発声したにもかかわらず、音声認識結果では「Eバーガー店」と誤認識されている。
【0020】
このため、従来は、同図の「(A)従来」に示したように、音声認識結果をディスプレイに表示し、利用者の修正を促していた。利用者は、「Eバーガー店」が誤認識されていることを確認すると、手入力などで「Bバーガー店」へと修正し、修正が完了したならば、検索ボタンを押下するなどして修正後の各キーワード「神戸駅」、「Bバーガー店」および「シェイク」を用いた検索を指示していた。
【0021】
このように、従来は、音声認識に誤りがあった場合、利用者による修正処理と、検索装置による検索処理が直列的に行われていた。このため、従来技術に係る検索手法には、利用者が修正操作を開始してから検索結果が出力されるまでの時間がかさむという問題があった。
【0022】
そこで、本発明に係る検索手法では、同図の「(B)本発明」に示したように、利用者が修正する意図を示したタイミングで、「予備検索」を行い、予備検索結果を利用者へ提示することとした。そして、予備検索結果を参照した利用者が、修正処理を完了したならば、修正後のキーワードで予備検索結果を検索する「本検索」を行うこととした。
【0023】
具体的には、利用者が、「Eバーガー店」を修正し始めたことを検知したならば、かかる検索キーワード(同図では「Eバーガー店」)を、誤認識されたキーワード(以下、「不正解キーワード」と記載する)と認定する。一方、その他の検索キーワード(同図では「神戸駅」および「シェイク」)については正しく認識されたキーワード(以下、「正解キーワード」と記載する)と認定する。
【0024】
このようにして、本発明に係る検索手法では、利用者が修正する意図を示したタイミングで正解キーワードを取得し(同図の(B−1)参照)、正解キーワード(同図では「神戸駅」および「シェイク」)を用いた「予備検索」を開始することとした(同図の(B−2)参照)。
【0025】
そして、予備検索処理が完了したならば、不正解キーワードの修正候補を表示することとした(同図の(B−3)参照)。ここで、修正候補とは、たとえば、「神戸駅」近くで「シェイク」を提供している店舗のリストである。
【0026】
これにより、本来意図していた「Bバーガー店」が修正候補に含まれていれば、かかるリストから「Bバーガー店」を選択することで、いち早く不正解キーワードの修正を完了することができる。また、利用者が、「神戸駅」近くで「シェイク」を飲むことができればどの店舗でもよいと考えていた場合には、かかるリストから所望する店舗を選択することもできる。
【0027】
つづいて、利用者による修正処理が完了したならば、修正後の各検索キーワードを用いた「本検索」が行われる(同図の(B−4)参照)。ここで、本検索の検索対象は、予備検索の検索結果としたので、予備検索で絞り込んだ情報の中から、さらに絞り込みを行うこととすれば足りる。すなわち、予備検索結果を本検索の検索対象とすることで本検索の所要時間を短縮することができる。
【0028】
このように、本発明に係る検索手法では、利用者が検索キーワードの修正意図を示した段階で予備検索を実行することとしたので、利用者による修正処理と並行した検索処理を行うことができる。したがって、従来技術に係る検索手法と比較して、最終的な検索結果を出力するまでの所要時間を短縮することができる。すなわち、利用者が所望する結果や情報を迅速に提供することが可能となる。
【0029】
以下では、本発明に係る検索手法を適用した検索装置の実施例について説明する。なお、以下に示す実施例では、検索装置が自動車などの車両に搭載される場合について説明することとする。
【実施例】
【0030】
図2は、本実施例に係る検索装置10の構成を示すブロック図である。同図に示すように、検索装置10は、マイク11と、タッチパネルディスプレイ12と、制御部13と、記憶部14とを備えている。
【0031】
また、制御部13は、音声認識部13aと、キーワード抽出部13bと、不正解キーワード選択部13cと、予備検索部13dと、修正候補抽出部13eと、修正受付部13fと、本検索部13gと、地図情報合成部13hとをさらに備えている。そして、記憶部14は、データベース14aと、予備検索結果14bと、地図情報14cとを記憶する。
【0032】
マイク11は、利用者の発声内容を取得するマイクロフォンであり、取得した発声内容をデジタル信号へ変換したうえで、制御部13の音声認識部13aへ通知する。また、タッチパネルディスプレイ12は、液晶ディスプレイの表面に入力用のタッチパネルを重ねた入出力デバイスであり、音声認識結果や検索結果を含んだ各種画面、テンキーを摸した入力用画面などを表示するとともに、利用者による入力操作を受け付ける。
【0033】
なお、本実施例では、入出力デバイスとしてタッチパネルディスプレイ12を用いる場合について示したが、ディスプレイなどの出力デバイスと、操作ボタンなどの入力デバイスとを用いることとしてもよい。
【0034】
制御部13は、マイク11から通知された発声内容を音声認識するとともに、音声認識結果から検索キーワードを抽出し、検索キーワードの修正受付と並行して検索処理を実行する処理を行う処理部である。
【0035】
音声認識部13aは、マイク11から受け取った発声内容を音声認識して単語列へ変換し、キーワード抽出部13bへ通知する処理を行う処理部である。ここで、音声認識部13aの構成例について図3を用いて説明しておく。図3は、音声認識部13aの構成例を示す図である。
【0036】
図3に示すように、音声認識部13aは、雑音処理部31と、特徴抽出部32と、音素照合部33と、単語照合部34とを備えている。なお、同図に示す音素辞書35および単語/文法辞書36は、たとえば、記憶部14に記憶されているものとする。
【0037】
雑音処理部31は、マイク11から受け取ったデジタル信号をフィルタリングすることでデジタル信号に含まれる雑音(ノイズ)を補正する処理を行う処理部である。特徴抽出部32は、雑音処理部31によって雑音が補正された信号について、イントネーションなどの音声の高低や音声の長さといった分析を行うことで音声特徴を抽出する処理を行う処理部である。
【0038】
また、音素照合部33は、音素辞書35にあらかじめ登録されている音素(たとえば、「あ」、「い」など)と、特徴抽出部32から受け取った信号とを照合することで、音声信号に含まれる各音素を、文字へ変換する処理を行う処理部である。
【0039】
そして、単語照合部34は、音素照合部33によって生成された文字の集合を、単語/文法辞書36にあらかじめ登録されている単語と照合することで、単語列へと変換する処理を行う。また、単語照合部34は、単語/文法辞書36にあらかじめ登録されている文法を単語列に対して適用することで、単語列に含まれる助詞などの単語を、検索キーワードとすべき単語と区別してキーワード抽出部13bへ通知する。
【0040】
ここで、単語/文法辞書36の内容は、後述するデータベース14aを用いて更新することが可能であり、単語/文法辞書36の更新内容は、音素辞書35にも反映される。たとえば、データベース14aにあらたな店舗名や施設名が追加された場合には、追加された店舗名や施設名があらたな単語として単語/文法辞書36へ追加される。
【0041】
図2の説明に戻りキーワード抽出部13bについて説明する。キーワード抽出部13bは、音声認識部13aから受け取った単語列から、単語列に含まれる助詞などの単語を除去することで、検索キーワードを抽出する処理を行う処理部である。また、抽出した各検索キーワードを「スロット」と呼ばれる格納エリアへそれぞれ格納する。
【0042】
ここで、音声認識部13aによって行われる音声認識処理およびキーワード抽出部13bによって行われるキーワード抽出処理の概要について図4を用いて説明しておく。図4は、音声認識処理およびキーワード抽出処理の概要を示す図である。
【0043】
図4に示すように、利用者が「神戸駅近くのBバーガー店でシェイク」と発声した場合、音声認識部13aは、発声内容を単語へ分解したうえで各単語を文字と対応付ける。たとえば、同図に示したように、音声認識部13aは、「神戸駅」、「近くの」、「Eバーガー店」、「で」および「シェイク」という文字へ変換する。
【0044】
ここで、音声認識部13aは、本来なら「Bバーガー店」であるところを、「Eバーガー店」と誤認識したものとする。なお、「近くの」および「で」についてはキーワードとすべきではない旨をキーワード抽出部13bへ通知する。
【0045】
音声認識部13aからの通知を受けたキーワード抽出部13bは、単語列の中から、「神戸駅」、「Eバーガー店」および「シェイク」を検索キーワードとして抽出する。そして、キーワード抽出部13bは、抽出した各検索キーワードを同図に示すスロットへそれぞれ格納する。
【0046】
図2の説明に戻り、不正解キーワード選択部13cについて説明する。不正解キーワード選択部13cは、キーワード抽出部13bによって抽出された各検索キーワードを、タッチパネルディスプレイ12へ表示するとともに、利用者が修正の意図を示した検索キーワードを「不正解キーワード」として取得する処理を行う処理部である。また、不正解キーワード選択部13cは、不正解キーワード以外の検索キーワードを「正解キーワード」として予備検索部13dへ通知する処理を併せて行う。
【0047】
予備検索部13dは、不正解キーワード選択部13cから通知された正解キーワードを用いてデータベース14aを検索する処理を行う処理部である。ここで、データベース14aは、検索対象となる飲食店などの施設名や、各施設の住所や位置といった位置情報、各施設が提供する商品などの情報を関連付けて記憶しているものとする。なお、予備検索部13dは、正解キーワードでデータベース14aを検索した結果を予備検索結果14bとして記憶部14へ記憶させる処理を併せて行う。
【0048】
修正候補抽出部13eは、予備検索結果14bから不正解キーワードの修正候補を抽出する処理を行うとともに、修正候補の順位付けを行う処理部である。たとえば、不正解キーワード選択部13cが、検索キーワードとして「神戸駅」、「Eバーガー店」および「シェイク」をタッチパネルディスプレイ12へ表示し、「Eバーガー店」が不正解キーワードとして選択された場合、予備検索部13dは、正解キーワードである「神戸駅」および「シェイク」を検索キーとしてデータベース14aを検索する。
【0049】
そして、神戸駅周辺でシェイクを提供する店舗名が予備検索結果14bに複数含まれていたとすると、修正候補抽出部13eは、抽出された各店舗名を不正解キーワード(Eバーガー店)の修正候補としてタッチパネルディスプレイ12へ表示することになる。また、修正候補の表示順序については、神戸駅に近い順序としたり、シェイクの種類が多い順序としたりすることができる。
【0050】
ここで、不正解キーワード選択部13cによってタッチパネルディスプレイ12へ表示される認識結果修正用画面の例について図5および図6を用いて説明する。図5は、認識結果修正用画面を示す図である。同図の(A)に示すように、認識結果修正用画面51は、検索キーワード表示エリア52と、修正ボタン53と、検索ボタン54とを含んでいる。
【0051】
検索キーワード表示エリア52には、キーワード抽出部13bによって各スロットへ格納された検索キーワードが、たとえば、選択可能なボタンとして表示される。なお、「神戸駅」ボタン52aは、図4においてスロット1へ格納された検索キーワードに対応しており、「Eバーガー店」ボタン52bは、同じくスロット2へ格納された検索キーワードに対応している。また、「シェイク」ボタン52cは、同じくスロット3へ格納された検索キーワードと対応している。
【0052】
また、修正ボタン53は、利用者が、修正すべき検索キーワードを選択し、選択した検索キーワードを修正する意志を表示する場合に押下される。たとえば、同図の(B)に示したように、利用者が「Eバーガー店」ボタン52bを選択したうえで、修正ボタン53を選択すると、不正解キーワード選択部13cは、上記した正解キーワードおよび不正解キーワードを認識する。
【0053】
具体的には、同図の(C)に示したように、不正解キーワード選択部13cは、「Eバーガー店」が不正解キーワードである旨を認識するととともに(同図の56参照)、正解キーワードが「神戸駅」および「シェイク」である旨を認識する(同図の55参照)。そそして、同図の55に示した正解キーワードを予備検索部13dへ通知する。
【0054】
なお、図5では、不正解キーワードが1つだけ選択された場合について示したが、複数の不正解キーワードを選択させることとしてもよい。また、同図に示した検索ボタン54は、不正解キーワードがない場合に押下され、検索ボタン54が押下されると、後述する本検索処理が本検索部13gによって行われる。
【0055】
図6は、不正解キーワードの修正候補を示す図である。ここで、同図に示したのは、不正解キーワード(図5では「Eバーガー店」ボタン52b)が選択されたうえで、修正ボタン53が押下され(図5の(B)参照)、予備検索部13dによる予備検索処理および修正候補抽出部13eによる修正候補抽出処理が完了した時点における認識結果修正用画面61である。なお、図6では、図5に示した表示要素と同一の要素には、同一の符号を付している。
【0056】
図6に示したように、認識結果修正用画面61では、図5における「Eバーガー店」ボタン52bに対応する位置に、修正エリア62が表示されている。利用者は、同図に示した文字入力キー64を用いて「Eバーガー店」という店舗名を、手入力で「Bバーガー店」へ修正する処理を行うことになる。
【0057】
ここで、同図に示したように、認識結果修正用画面61には、修正候補表示エリア63が表示される。この修正候補表示エリア63に表示される情報は、修正候補抽出部13eが予備検索結果14bから抽出した修正候補であり、不正解キーワード(Eバーガー店)の修正候補として用いられる。
【0058】
ここで、予備検索処理に要する時間は、利用者による修正操作に要する時間よりも短いので、利用者が修正エリア63に対する入力を行おうとした段階で、修正候補表示エリア63には、不正解キーワード(Eバーガー店)の修正候補が表示されることになる。
【0059】
そして、同図に示した場合には、利用者が意図していた「Bバーガー店」が修正エリア63に含まれているので、利用者は、修正エリア63に表示された修正候補の中から「Bバーガー店」を選択することで修正操作を完了させることができる。
【0060】
そして、検索ボタン54を押下すると、利用者が本来意図していた「神戸駅」、「Bバーガー店」および「シェイク」を検索キーワードとして本検索処理が行われることになる。なお、修正エリア63に示した左右の矢印は、修正候補が多い場合に、修正候補表示エリア63へ表示させる修正候補をスライドさせるために用いられる。
【0061】
図2の説明に戻り、修正受付部13fについて説明する。修正受付部13fは、タッチパネルディスプレイ12で不正解キーワードの修正が完了した場合に、修正後の正しい検索キーワード列を受け取る処理を行う処理部である。たとえば、図6に示した場合では、修正受付部13fは、修正エリア62から「Bバーガー店」が選択されることで確定した正しい検索キーワード列(「神戸駅」、「Bバーガー店」および「シェイク」)を受け付ける。
【0062】
本検索部13gは、修正受付部13fから受け取った正しい検索キーワード列で予備検索結果14bを検索する処理を行う処理部である。このように、予備検索部13dによる予備検索結果14bを検索対象とすることで、本検索処理の所要時間を短縮することができる。なお、本検索部13gは、本検索結果を地図情報合成部13hへ通知する処理を併せて行う。また、本実施例では、本検索部13gが予備検索結果14bを検索する場合について示したが、データベース14aを検索することとしてもよい。
【0063】
地図情報合成部13hは、本検索部13gから受け取った本検索結果と、記憶部14の地図情報14cとを合成する処理を行う処理部である。たとえば、本検索結果として「神戸駅」の近くにある「Bバーガー店」の所在位置や、住所、メニュー一覧が通知された場合、地図情報合成部13hは、神戸駅周辺の地図に、「Bバーガー店」の所在位置を示すマークを合成してタッチパネルディスプレイ12へ表示する。そして、利用者が「Bバーガー店」を示すマークをタッチした場合には、「Bバーガー店」の住所やメニュー一覧を表示する。
【0064】
記憶部14は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、データベース14aと、予備検索結果14bと、地図情報14cとを記憶する。データベース14aは、検索対象となる飲食店などの施設名や、各施設の住所や位置といった位置情報、各施設が提供する商品などの情報を関連付けたデータベースである。
【0065】
予備検索結果14bは、予備検索部13dがデータベース14aを検索した検索結果であり、予備検索部13dが、予備検索処理を行うたびに更新される。また、地図情報14cは、道路や施設、地名などが含まれたマップ情報である。
【0066】
次に、本実施例に係る検索装置10が実行する処理手順について図7を用いて説明する。図7は、検索装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、音声認識部13aが音声認識した検索キーワードを、キーワード抽出部13bが各スロット(図4参照)へ格納する(ステップS101)。
【0067】
つづいて、不正解キーワード選択部13cは、認識結果修正用画面51(図5参照)をタッチパネルディスプレイ12へ表示したうえで、検索ボタン54が押下されたか否かを判定する(ステップS102)。
【0068】
そして、検索ボタンが押下された場合には(ステップS102,Yes)、ステップS103〜ステップS109の処理を行うことなく、各キーワードを本検索部13gへ通知し(ステップS110)、本検索部13gは、予備検索結果14bに基づく本検索処理を行って(ステップS111)処理を終了する。
【0069】
なお、この場合、予備検索は行われていないので、予備検索結果14bがない状態で本検索処理が実行される。一方、ステップS102の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS102,No)、つづいて、修正ボタン53が押下されたか否かを判定する(ステップS103)。
【0070】
そして、修正ボタン53が押下された場合には(ステップS103,Yes)、利用者によって選択された不正解キーワードがあるか否かを判定する(ステップS104)。なお、ステップS103の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS103,No)、ステップS102以降の処理を繰り返す。
【0071】
そして、不正解キーワードがあった場合には(ステップS104,Yes)、不正解キーワード選択部13cは、正解キーワードを予備検索部13dへ通知する(ステップS105)。なお、ステップS104の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS104,No)、ステップS105〜ステップS109の処理を行うことなくステップS110の処理を行う。
【0072】
ステップS105につづき、予備検索部13dは、予備検索処理を行い(ステップS106)、予備検索結果14bを参照した修正候補抽出部13eは、不正解キーワードの修正候補をタッチパネルディスプレイ12へ表示する(ステップS107)。
【0073】
つづいて、認識結果修正用画面61(図6参照)が不正解キーワードの修正入力受付を行い(ステップS108)、検索ボタン54が押下されたか否かを判定する(ステップS109)。そして、検索ボタン54が押下された場合には(ステップS109,Yes)、修正受付部13fは、修正完了後の各キーワードを本検索部13gへ通知する(ステップS110)。そして、本検索部13gは、予備検索結果14bに基づく本検索処理を行って(ステップS111)処理を終了する。
【0074】
なお、ステップS109の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS109,No)、ステップS108以降の処理を繰り返す。また、本検索部13による本検索結果は、地図情報合成部13hによって地図情報14cと合成されたうえで、タッチパネルディスプレイ12へ表示されることになる。
【0075】
ところで、図5では、検索キーワード表示エリア52と、修正ボタン53と、検索ボタン54とを含んだ認識結果修正用画面51を示したが、複数の音声認識結果を表示することとしてもよい。図8は、認識結果修正画面の変形例を示す図である。なお、図8では、図5に示した表示要素と同一の要素には、同一の符号を付している。
【0076】
図8に示したように、認識結果修正画面81には、検索キーワード表示エリア52とは別に、認識結果候補エリア82が設けられている。なお、認識結果候補エリア82における各候補の左側に示した数字は、候補の優先順位を示している。すなわち、最も確からしい音声認識結果は、検索キーワード表示エリア52に表示され、次に確からしい音声認識結果が、認識結果候補エリア82の最上位に表示される。
【0077】
このように、認識結果の候補を複数種類表示することで、利用者による修正処理を支援することができる。たとえば、認識結果修正画面81を見た利用者が、「Eバーガー店」が間違いであることに気付いた場合、認識結果候補エリア82の最上位に表示された「甲南駅」、「Bバーガー店」、「シェイク」から、本来意図していた「Bバーガー店」を選択することで、「Eバーガー店」を「Bバーガー店」へ修正することが可能となる。
【0078】
また、図9に示したように、検索装置10の現在位置や進行方向といった現在位置情報を、予備検索における検索条件として付加することとしてもよい。図9は、現在位置情報を用いた検索例を示す図である。なお、同図の(A)には、現在位置を用いる場合について、同図の(B)には、現在位置および進行方向を用いる場合について、それぞれ示している。また、同図に示した各店舗名は、図6の修正エリア63に示した修正候補にそれぞれ対応している。
【0079】
たとえば、図9の(A)に示したように、現在位置を予備検索条件として用いる場合、各店舗の所在位置と現在位置との距離が算出される。そして、現在位置に近いほうから、「Bバーガー店」、「Eコーヒー店」、「Cコンビニ」の順で、各修正候補を修正エリア63へ表示することができる。
【0080】
また、同図の(A)に実線の円で示した範囲内に含まれる「Bバーガー店」および「Eコーヒー店」のみを修正候補として表示することとしてもよい。このようにすることで、修正エリア63へ表示すべき修正候補の数を絞り込むことが可能となる。
【0081】
また、同図の(B)に示したように、現在位置および進行方向を予備検索条件として用いることとすれば、進行方向に存在する「Eコーヒー店」および「Cコンビニ」のみを修正候補として表示することができる。なお、現在位置および進行方向については、GPS(Global Positioning System)、ジャイロ、車速センサ等の出力を利用して取得することができる。
【0082】
上述してきたように、本実施例では、不正解キーワード選択部が、検索キーワード列に含まれる各検索キーワードを表示して修正対象となる検索キーワードを示す不正解キーワードを利用者に選択させ、予備検索部が、不正解キーワードが選択された場合に、選択されなかった検索キーワードを示す正解キーワードを検索条件としてデータベースを検索し、修正候補抽出部が、かかる予備検索結果を利用者へ提示するように検索装置を構成したので、音声認識結果に誤りがある場合であっても、利用者が所望する結果や情報を迅速に提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明に係る検索装置は、音声認識結果に誤りがある場合であっても、利用者が所望する結果や情報を迅速に提供したい場合に有用であり、特に、カーナビゲーションシステムにおける音声認識に適している。
【符号の説明】
【0084】
10 検索装置
11 マイク
12 タッチパネルディスプレイ
13 制御部
13a 音声認識部
13b キーワード抽出部
13c 不正解キーワード選択部
13d 予備検索部
13e 修正候補抽出部
13f 修正受付部
13g 本検索部
13h 地図情報合成部
14 記憶部
14a データベース
14b 予備検索結果
14c 地図情報
31 雑音処理部
32 特徴抽出部
33 音素照合部
34 単語照合部
35 音素辞書
36 単語/文法辞書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者による発声を音声認識することで得られた検索キーワード列を検索条件として所定のデータベースを検索する検索装置であって、
前記検索キーワード列に含まれる各検索キーワードを表示して修正対象となる検索キーワードを示す不正解キーワードを利用者に選択させる選択手段と、
前記選択手段によって前記不正解キーワードが選択された場合に、前記選択手段によって選択されなかった検索キーワードを示す正解キーワードを検索条件として前記データベースを検索する予備検索手段と、
前記予備検索手段による予備検索結果を利用者へ提示する予備検索結果提示手段と
を備えたことを特徴とする検索装置。
【請求項2】
前記予備検索手段は、
前記予備検索結果の中から前記不正解キーワードの修正候補を抽出し、
前記予備検索結果提示手段は、
前記予備検索手段によって抽出された前記修正候補を利用者へ提示することを特徴とする請求項1に記載の検索装置。
【請求項3】
前記不正解キーワードの修正を受け付ける修正受付手段と、
前記修正受付手段によって修正された修正後の前記不正解キーワードおよび前記正解キーワードを用いて前記予備検索結果を検索する本検索手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の検索装置。
【請求項4】
前記検索装置の現在位置を取得する現在位置取得手段
をさらに備え、
前記予備検索手段は、
前記現在位置取得手段によって取得された前記現在位置を検索条件にさらに付加して前記データベースを検索することを特徴とする請求項1、2または3に記載の検索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−230918(P2010−230918A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77364(P2009−77364)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】