説明

構造体

【課題】熱伝導性無機充填粉末などの無機充填粉末を高密度で均一な分散状態で安定に保持することができ、しかも高い形態保持性を有し、凹凸面に対しても密着性にも優れた構造体を提供する。
【解決手段】三次元方向に伸びる針状部または片状部を有する針状または細片状の無機基材粉末と、この無機基材粉末と同じか、あるいは無機基材粉末よりも小さい粒径を有する無機充填粉末との混合物からなり、この混合物は前記無機基材粉末および無機充填粉末のそれぞれ単独での合計体積よりも70%以下に体積が減嵩されており、かつ形態保持性を有する構造体6であり、前記無機基材粉末と無機充填粉末との予備混合物を振とうして得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他面上への形態追従性およびマット状やシート状などの形態保持性を有する構造体、特に熱伝導性構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電機・電子部品に関わる業界では省エネ・クリーンエネルギーの活用など地球環境への貢献につながる製品開発の流れが加速する一方、技術面では電子部品素子の高集積化・高密度化、及び高機能化・高効率化が要求されている。
【0003】
電子部品素子は、より多くの電力を扱う傾向にあり、発生する熱や余分な熱を効率良く放熱し、電子部品素子の温度上昇を少なくすることが重要な課題である。例えば、家電製品(エアコン、ノート・パソコンや光ディスク装置、プロジェクター、携帯情報端末等の各種デバイス、電源装置、パワートランジスタなど)、照明・表示装置(LED照明、液晶ディスプレイパネルやプラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイなど)、電気自動車用インバータ、太陽電池モジュールなど、多くの機器の筐体内の電子部品素子や光発電装置などでは、放熱および均熱化が重要な課題となっている。電子部品素子や光発電装置は温度が上昇するにつれて劣化、誤動作、故障、性能効率の悪化などにつながり、また温度の不均一化によって破損するためである。そのため発熱するこれらの電子部品素子や光発電装置から放熱して負荷を軽減したり、電子機器内や装置内での温度差をなくし均熱化を促すための各種ヒートシンクや放熱板、あるいはハウジング等に熱を伝える熱伝導性材料が使用されている。
【0004】
この熱伝導性材料に求められる性能は、熱伝導性の他にも密着性、柔軟性、耐久・耐熱性、難燃性などが挙げられる。また、温度上昇・放熱を繰り返す部材との間の熱変形歪みに対する緩和性も求められる。このような熱伝導性材料としては、従来から様々なものが提案されている。
【0005】
特許文献1〜4には、熱伝導性充填材を樹脂またはゴムに含有させた熱伝導材が開示されている。上記樹脂またはゴムはバインダとして、または構造材として機能するものである。
【0006】
特許文献5には、ヒートシンク等の物体の表面に凹穴または凹溝を形成し、この凹穴や凹溝の寸法よりも小寸の超微粒子を直接前記物体の表面に摺圧または押圧することにより、バインダを用いることなく物体の表面に超微粒子を固着させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−121393号公報
【特許文献2】特開2003−183498号公報
【特許文献3】特開2004−143368号公報
【特許文献4】特開2006−057064号公報
【特許文献5】特開2004−031373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜4に開示されている熱伝導材は、熱伝導性充填材を樹脂またはゴムによって固着したものであるが、充分な熱伝導経路を形成するためには熱伝導性充填材を均一にかつ高密度で充填し、使用する樹脂またはゴム量は少なくする必要がある。しかし、樹脂またはゴム量は少なくすると、熱伝導性充填材を安定な分散状態で維持することが困難になるほか、流動性の低下や成形性の低下を引き起こす。そのため、樹脂またはゴム量を低減することには限界があり、充分な熱伝導経路を形成するのが困難である。
【0009】
また、多くの場合、熱伝導性充填材を樹脂またはゴムによって固着した熱伝導材は、あらかじめシート状などに成形されており、これを所定形状にカットするなどして、例えば、CPU(中央処理装置)の発熱面とヒートシンクとの間に介在させている。しかし、凹凸のある面に対して隙間なく密着させるのは困難であるため、熱伝導性が損なわれるという問題がある。
【0010】
特許文献5は、ヒートシンク等の物体の表面に凹穴または凹溝を形成し、この凹穴や凹溝内に超微粒子を物理的な加圧によって埋め込むものである。従って、精密電子部品素子に対しては、素子の破損につながるため適用が難しい。また、超微粒子はそれ自体で形態保持性を有しないものであるため、例えばCPUの放熱面全面を超微粒子で覆うことはできない。
【0011】
本発明の主たる課題は、熱伝導性無機充填粉末などの無機充填粉末を高密度で均一な分散状態で安定に保持することができ、しかも高い形態保持性を有し、凹凸面に対しても密着性にも優れた構造体を提供することである。
本発明の他の課題は、熱伝導性無機充填粉末を高密度で均一な分散状態で安定に保持し、効率的に熱伝導経路が形成でき、しかも凹凸のある発熱面または吸熱面に対する密着性にも優れた熱伝導性構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、三次元方向に伸びる針状部または片状部を有する針状または細片状の無機基材粉末と、この無機基材粉末よりも粒径の小さい無機充填粉末とを混合する場合は、小粒径の前記無機充填粉末が高密度で均一に分散され、かつ安定な分散状態を維持しうる高い形態保持性を有する構造体が得られること、および当該構造体は無機基材粉末と無機充填粉末とを混合することにより形成されるものであるため、たとえ凹凸のある他面であっても密着性に優れており、そのため熱伝導材等に使用するのに最適であるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の構造体は以下の構成からなる。
(1)三次元方向に伸びる針状部または片状部を有する針状または細片状の無機基材粉末と、この無機基材粉末と同じか、あるいは無機基材粉末よりも小さい粒径を有する無機充填粉末との混合物からなり、形態保持性を有することを特徴とする構造体。
(2)前記混合物は、前記無機基材粉末および無機充填粉末のそれぞれ単独での合計体積よりも70%以下に体積が減嵩されている(1)に記載の構造体。
(3)前記無機基材粉末は嵩密度0.3g/cm3以下である(1)または(2)に記載の構造体。
(4)前記無機基材粉末が、テトラポット形状の粉末である(1)〜(3)のいずれかに記載の構造体。
(5)前記無機基材粉末が、多孔性粒子を粉砕した不規則な細片状の粉末である(1)〜(4)のいずれかに記載の構造体。
(6)前記無機基材粉末100体積部に対して前記無機充填粉末が25〜100体積部の割合で混合される(1)〜(5)のいずれかに記載の構造体。
(7)前記混合物が、前記無機基材粉末と無機充填粉末との予備混合物を振とうして得られるものである(1)〜(6)のいずれかに記載の構造体。
【0014】
また、本発明の熱伝導性構造体は以下の構成からなる。
(8)三次元方向に伸びる針状部または片状部を有する針状または細片状の無機基材粉末と、この無機基材粉末と同じか、あるいは無機基材粉末よりも小さい粒径を有する熱伝導性無機充填粉末との混合物からなり、かつ形態保持性を有することを特徴とする熱伝導性構造体。
(9)前記混合物は、前記無機基材粉末および熱伝導性無機充填粉末のそれぞれ単独での合計体積よりも70%以下に体積が減嵩されている(8)に記載の構造体。
(10)前記基材粉末100体積部に対して前記熱伝導性無機充填粉末が25〜100体積部の割合で混合される(8)または(9)に記載の熱伝導性構造体。
(11)前記無機充填粉末が2.0W/m・K以上の熱伝導率を有する(9)または(10)に記載の熱伝導性構造体。
【0015】
本発明に係る熱伝導性構造体の製造方法は以下の構成からなる。
(12)三次元方向に伸びる針状部または片状部を有する針状または細片状の無機基材粉末と、この無機基材粉末と同じか、あるいは無機基材粉末よりも小さい粒径を有する熱伝導性無機充填粉末とを混合した予備混合物を発熱面上または吸熱面上に適用し、ついで振とうして、形態保持性を有する熱伝導性構造体を得ることを特徴とする熱伝導性構造体の製造方法。
(13)振とう後の前記混合物の体積が、前記無機基材粉末および熱伝導性無機充填粉末のそれぞれ単独での合計体積よりも70%以下に体積を減嵩される(12)に記載の熱伝導性構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構造体は、熱伝導性無機充填粉末などの無機充填粉末を高密度で均一な分散状態で安定に保持することができ、しかも高い形態保持性を有し、凹凸面に対しても密着性に優れているという効果がある。
また、本発明の構造体は、前記無機基材粉末と無機充填粉末との混合物を振とうして得られるものであり、バインダ等の樹脂を必要とせず、無機材料のみで構成することができるので、柔軟性を有し、耐熱性や耐久性、難燃性等に優れているという効果がある。
本発明の熱伝導性構造体は、熱伝導性無機充填粉末を高密度で均一な分散状態で安定に保持し、効率的に熱伝導経路が形成でき、しかも凹凸のある発熱面または吸熱面に対する密着性にも優れているので、高い熱伝導性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る熱伝導性構造体を形成する方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、熱伝導性構造体を例に挙げて本発明の構造体を詳細に説明する。本発明の構造体は、針状または細片状の無機基材粉末と、熱伝導性無機充填粉末との混合物からなり、バインダ材等の樹脂を使用することなく、それ自体で形態保持性を有するものである。
【0019】
針状の無機基材粉末(以下、単に「基材粉末」ということがある)としては、三次元方向に伸びる複数の針状部を有するものであり、例えば針状部が4方向に伸びたテトラポット形状を有する酸化亜鉛の針状結晶体が挙げられる。このような針状結晶体としては「パナテトラ」((株)アムテック製)が挙げられ、各種グレード品が使用可能である。
【0020】
細片状の基材粉末としては、三次元方向に伸びる片状部を有するものであり、例えば無機発泡体粉砕物、無機中空ビーズ粉砕物、多孔質材料(ゼオライト、活性炭等)の粉砕物などが挙げられる。具体例をあげると、シリカを主成分とする多孔性天然火山ガラス(真珠岩、松脂岩等)の加熱発泡破砕物であるロカヘルプ(三井金属鉱業(株)製)が挙げられ、各種グレード品が使用可能である。
これらの基材粉末は、嵩密度0.3g/cm3以下であり、単独では高い空隙率を有している。
【0021】
熱伝導性無機充填粉末(以下、「熱伝導性充填粉末」ということがある)としては、例えば各種金属、セラミックスの他、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、カーボンブラックのような炭素材料等の熱伝導率が2.0W/m・K以上の微小粒子径フィラーが挙げられる。
【0022】
本発明に係る形態保持性を有する構造体を得るためには、上記した前記基材粉末および熱伝導性充填粉末の所定量を予備混合後、これを振とうすればよい。これにより、基材粉末と熱伝導性充填粉末とが密に充填された構造体が形成され、フィルム状、マット状などの任意な形態を保持することができる。予備混合は、熱伝導性充填粉末が基材粉末に均一に分散できるものであれば特に制限されない。
【0023】
図1は、このような構造体を得るための具体例を示しており、基板1の表面にはICやCPUなどの各種電子部品3が実装されている。これらの電子部品3は使用中に発熱するので、これを冷却するためにアルミニウム等の金属製の板などからなるヒートシンク4が発熱面側に配置される。
【0024】
本実施形態では、電子部品3を実装した基板1の表面に前記基材粉末と熱伝導性充填粉末とを均一に混合した予備混合物5を載置し、さらに、その上面にヒートシンク4を載置した後、超音波加振機等の振とう機を用いて振とう沈下する。これにより、予備混合物5は沈下・圧縮され、密充填化して嵩が低くなり、この過程で放熱体やヒートシンク等の凹凸面に密着した構造体6が得られる。同時に、密充填化により構造体6中の熱伝導性充填粉末同士が隣接し熱伝導経路を形成する。従って、この熱伝導経路を通じて発熱体である電子部品3からヒートシンク4へ伝わる熱の伝導率が向上し、電子部品3(放熱体)が発生する熱をヒートシンク4に効果的に放熱させることができる。
また、構造体中の無機充填粉末は、緩衝材として機能する無機基材粉末中に分散しているため、温度上昇・放熱を繰り返す部材との間の熱変形歪みに対する緩和性にも優れている。
【0025】
すなわち、前記した振とう沈下・圧縮工程により、三次元方向に伸びる針状部または片状部を有する針状または細片状の基材粉末は、構造体の骨組みを構成する構造材として機能し、三次元的に連続した毛細管状空隙を形成し、この毛細管状空隙内に熱伝導性充填粉末が充填されることにより、該熱伝導性充填粉末同士が互いに隣接して熱伝導経路を効率的に形成するものと推測される。このような構造体6は、圧力や熱による負荷によっては形成することができない。
【0026】
振とうは、振動と同義であり、予備混合物を圧縮できる限りにおいて、振とうあるいは振動の大きさは適宜決定できるものであり、例えば、微細な振動のみで沈下・圧縮させることもできる。振とうの方向は鉛直方向であるのが好ましいが、これに限定されるものではない。また、振とう時に加圧もしくは減圧または加熱といった操作は特に必要としない。
【0027】
このような振とうによって得られる構造体は、基材粉末および熱伝導性充填粉末のそれぞれ単独での合計体積よりも70%以下、好ましくは50%以下に体積が圧縮減嵩されているのが好ましい。
【0028】
本発明において熱伝導性充填粉末は、構造体の骨組みを構成する基材粉末の粒子径と同等またはそれよりも小さい粒子径であるのがよい。この理由は、熱伝導性充填粉末が基材粉末の粒子径よりも大きい場合は、振とう圧縮工程において、基材粉末同士が互いに係合して形成する3次元連続空隙内に熱伝導性充填粉末が配列せず、粒子分散混合物の体積圧縮・密充填化が進まないおそれがある。好ましくは、熱伝導性充填粉末の粒子径は、基材粉末の粒子径よりも小さいのが好ましい。
【0029】
具体的には、前記基材粉末の平均粒子径が5〜50μmであり、熱伝導性充填粉末の平均粒子径が基材粉末の平均粒子径よりも98%以下であるのが好ましく、70%以下であるのがより好ましい。なお、熱伝導性充填粉末の平均粒子径の下限は特に限定されないが、無機基材粉末の平均粒子径の10%程度であればよい。
【0030】
前記基材粉末100体積部に対して前記熱伝導性充填粉末が25〜100体積部、好ましくは50〜100体積部の割合で混合されるのがよく、これにより熱伝導率が2.0W/m・K以上、好ましくは3.0W/m・K以上の構造体を形成できるようになる。
【0031】
熱伝導性充填粉末の含有量が100体積部を超えると、後に続く振とう圧縮工程において、基材粉末同士の係合による安定な構造を形成できないおそれがある。すなわち、充分な形状安定性を有する構造体が得られないおそれがある。また、熱伝導性充填粉末の含有量が25体積部を下回ると、得られる構造体の熱伝導率が低下する傾向にある。
【0032】
以上説明したように、本発明では、低密度な基材粉末を骨格となる構造材として使用することにより、熱伝導性充填粉末を高密度で容易に均一分散することが可能となり、高い熱伝導が期待される(均一分散効果)。また、基材粉末は互いに絡み合うようにして三次元構造を維持するので、熱伝導性充填粉末の安定な分散状態を維持することができる(アンカー効果)。
【0033】
さらに、熱伝導性充填粉末は、基材粉末によって形成された三次元的に連続した毛細管状空隙内に充填されるため、熱伝導経路を効率的に形成することができ、高い熱伝導性が達成される(毛細管状空隙効果)。
【0034】
また、本発明に係る構造体は、圧力や熱による負荷もなく、また特別なバインダ材を使用することなく、微細な振動のみで高い形態安定性および形態保持性を有する構造体を形成させることができる。すなわち、熱伝導性混合粉層が密充填化して嵩が低くなる。この過程で放熱体やヒートシンク等の接面の凹凸に沿って密着する密着性に優れ、熱伝導率が向上する(圧縮効果)。
【0035】
以上の説明では、熱伝導性充填粉末を用いた熱伝導性構造体について説明したが、本発明は、その他の機能性充填粉末を用いることもでき、例えば絶縁性充填粉末を用いて絶縁性構造体を形成したり、導電性充填粉末を用いて導電性構造体を形成したりすることもでき、さらにこれらを積層し様々な機能を持った積層構造体を形成することもできる。
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明の構造体を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
ロカヘルプ(三井金属鉱業(株)製、銘柄4259、平均粒径21.0μm)の1.0g(約6cm3)をサンプル瓶に秤量した。一方、アルミニウム粉末(ミナルコ(株)製、平均粒径3.25μm)の6.0g(約6cm3)を秤量し、上記ロカヘルプ1.0gを量り入れたサンプル瓶に添加した。次に、ロカヘルプ(白色)とアルミニウム粉末(灰色)が均一に混ざり合うように予備混合した後、このサンプル瓶により微細な振動を加えて振とう沈下・密充填化させた。
その結果、振とう混合前の2種類粉末の総和体積(約12cm3)は、振とう沈下後の2種類粉末の総和体積(約6cm3)まで約50%圧縮され密充填化された構造体が得られた。
【0038】
(実施例2)
平均粒径=3.25μmのアルミニウム粉末に代えて、平均粒径=15.0μmのアルミニウム粉末(ミナルコ(株)製)6.0g(約6cm3)を使用した他は、実施例1と同様にして予備混合し、振とうした場合、実施例1よりもやや時間を要したが、体積が約50%まで圧縮された構造体が得られた。
【0039】
(実施例3)
平均粒径=3.25μmのアルミニウム粉末に代えて、平均粒径=24.0μmのアルミニウム粉末(ミナルコ(株)製)6.0g(約6cm3)を使用した他は、実施例1と同様にして予備混合し、振とうした場合、体積が約70%まで圧縮された構造体が得られた。
【符号の説明】
【0040】
1 基板
3 電子部品
4 ヒートシンク
5 予備混合物
6 構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元方向に伸びる針状部または片状部を有する針状または細片状の無機基材粉末と、この無機基材粉末と同じか、あるいは無機基材粉末よりも小さい粒径を有する無機充填粉末との混合物からなり、形態保持性を有することを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記混合物は、前記無機基材粉末および無機充填粉末のそれぞれ単独での合計体積よりも70%以下に体積が減嵩されている請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記無機基材粉末は嵩密度0.3g/cm3以下である請求項1または2に記載の構造体。
【請求項4】
前記無機基材粉末が、テトラポット形状の粉末である請求項1〜3のいずれかに記載の構造体。
【請求項5】
前記無機基材粉末が、多孔性粒子を粉砕した不規則な細片状の粉末である請求項1〜4のいずれかに記載の構造体。
【請求項6】
前記無機基材粉末100体積部に対して前記無機充填粉末が25〜100体積部の割合で混合される請求項1〜5のいずれかに記載の構造体。
【請求項7】
前記混合物が、前記無機基材粉末と無機充填粉末との予備混合物を振とうして得られるものである請求項1〜6のいずれかに記載の構造体。
【請求項8】
三次元方向に伸びる針状部または片状部を有する針状または細片状の無機基材粉末と、この無機基材粉末と同じか、あるいは無機基材粉末よりも小さい粒径を有する熱伝導性無機充填粉末との混合物からなり、かつ形態保持性を有することを特徴とする熱伝導性構造体。
【請求項9】
前記混合物は、前記無機基材粉末および熱伝導性無機充填粉末のそれぞれ単独での合計体積よりも70%以下に体積が減嵩されている請求項8に記載の構造体。
【請求項10】
前記基材粉末100体積部に対して前記熱伝導性無機充填粉末が25〜100体積部の割合で混合される請求項8または9に記載の熱伝導性構造体。
【請求項11】
前記無機充填粉末が、2.0W/m・K以上の熱伝導率を有する請求項9または10に記載の熱伝導性構造体。
【請求項12】
三次元方向に伸びる針状部または片状部を有する針状または細片状の無機基材粉末と、この無機基材粉末と同じか、あるいは無機基材粉末よりも小さい粒径を有する熱伝導性無機充填粉末とを混合した予備混合物を発熱面上または吸熱面上に適用し、ついで振とうして、形態保持性を有する熱伝導性構造体を得ることを特徴とする熱伝導性構造体の製造方法。
【請求項13】
振とう後の前記混合物の体積が、前記無機基材粉末および熱伝導性無機充填粉末のそれぞれ単独での合計体積よりも70%以下に体積を減嵩される請求項12に記載の熱伝導性構造体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−46922(P2011−46922A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114127(P2010−114127)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000233860)ハリマ化成株式会社 (167)
【Fターム(参考)】