説明

構造化された担体ストリップ

本発明は、少なくとも1つの電子的な構成部分(12)またはマイクロマシニング型の構成部品(12)を保持するための担体ストリップ(11,31)から出発する。本発明の核心は、担体ストリップ(11,31)が少なくとも1つの第1の領域(21)で、他の領域(23)よりも僅かな厚さを有していることにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、少なくとも1つの電子的なかつ/またはマイクロマシニング型の構成部品を保持するための構造化された担体ストリップ(Traegerstreifen)から出発する。
【0002】
機械的なストレスに対して敏感な半導体構成素子およびマイクロマシニング型のセンサはしばしば、その構造および使用される材料に基づいてストレスをデカップリングするまたはストレスを回避するように働く特別なケース内にパッケージングされる。そのような特別なケースは例えばセラミックケースまたは前成形(英:プレモールド)されたプラスチックケースである。プラスチックケースの場合、少なくとも1つの、ケース内に装着されるチップは直接、ストレスを及ぼす注型材料により包囲されているわけではない。半導体構成素子またはマイクロマシニング型のセンサを保持するために、ストレスのデカップリングのため、しばしば担体ストリップ(英:リードフレーム)が使用される。担体ストリップは、シリコンに近似した熱膨張係数を有する材料、例えば合金NiFe42から成っている。合金NiFe42はしかし、電気伝導性および熱伝導性に関する欠点を有している。実質的に統一的な厚さの材料から成る担体ストリップは、構成素子の装着領域(英:ダイパッド)で全面的に構成されているか、またはアイランド状の、ほぼ互いに隔離された部分面に分割されている。
【0003】
発明の利点
本発明は、少なくとも1つの電子的な構成部品またはマイクロマシニング型の構成部品を保持するための担体ストリップから出発する。本発明の核心は、担体ストリップが少なくとも1つの第1の領域で、他の領域よりも僅かな厚さを有していることにある。有利には、その厚さ内で構造化された担体ストリップにより、その上に装着された電子的な構成部品またはマイクロマシニング型の構成部品への機械的なストレスが回避されるか、または少なくとも減じられる。有利には、外部からもたらされる機械的なストレスも、温度依存性のストレスも減じられ得る。
【0004】
本発明による担体ストリップの特に有利な構成は、僅かな厚さの領域が、電子的なかつ/またはマイクロマシニング型の構成素子に少なくとも部分的に配置されていることにある。有利にはこの場合、担体ストリップおよび構成素子の装着領域を介して、僅かな機械的なストレスが担体ストリップから構成素子に伝達され得る。有利にはさらに、担体ストリップおよび構成素子の全高が減じられ得る。それにより、コンパクトな構造形式が可能となる。
【0005】
本発明による担体ストリップの別の特に有利な構成は、担体ストリップが少なくとも1つの沈下部(Senke)を有しており、該沈下部内に電子的なかつ/またはマイクロマシニング型の構成部品が配置されていることにある。有利には、沈下部がヒンジ状の作用部材を形成する。このヒンジ状の作用部材を介して、担体ストリップに作用する機械的なストレスは、そこに装着された構成素子からデカップリングされ得る。有利にはさらに、沈下部内での配置により、担体ストリップから張り出す構成素子の構造高さが減じられ得る。
【0006】
有利な構成は、第1の領域が、担体ストリップに凹設された少なくとも1つの凹部により成されていることにある。別の有利な構成は、第1の領域が、担体ストリップの平面的な薄肉化部により成されていることにある。別の有利な構成は、第1の領域が、担体ストリップの構造化された薄肉化部により成されていることにある。有利には、これらの3つの構成が互いに任意に組み合わされてもよい。
【0007】
特に有利な構成は、担体ストリップがケース、特に従来慣用の射出成形ケース(モールドケース)内に配置されていることにある。そのようなケースは、背景技術において、ストレスにあまり敏感でない集積回路のためにも使用される。この種の射出成形ケースは一般にプラスチックから成っており、担体ストリップと、担体ストリップに装着された構成部品とを直接包み込む。本発明により構成された担体ストリップの、ストレスをデカップリングする特性は、射出成形ケースにおいて特に有利である。それというのも、射出成形ケースは、その変形可能性およびその完全な充填に基づいて簡単に、外部から作用する機械的なストレスを担体ストリップと、ケースの内部の構成素子とに伝達してしまうからである。さらに、射出成形ケース内では、しばしば内的なストレスもしくは材料同士の機械的な緊張が発生する。この内的なストレスは例えば製作プロセスにおいて、構成部品を担体ストリップに固定するチップ接着剤の硬化時または射出成形材料の冷却時に発生する。有利にはここで、本発明による担体ストリップの、ストレスを減じる特性が真価を発揮する。この特性は、構成部品を、簡単に製作可能な担体ストリップ上に、ひいては安価な射出成形ケース内に装着することを可能にする。
【0008】
別の有利な構成は従属請求項に見て取れる。
【0009】
図面
本発明の実施例を図面に示し、以下に詳説する。
図1は、構成部品を保持するための、背景技術による担体ストリップを示す。
図2Aは、構成部品を保持するための、上面から減じられた厚さを有する本発明による担体ストリップを示す。
図2Bは、構成部品を保持するための、下面から減じられた厚さを有する本発明による担体ストリップを示す。
図2Cは、構成部品を保持するための、両面から減じられた厚さを有する本発明による担体ストリップを示す。
図3は、構成部品を保持するための、沈下部を備えた背景技術による担体ストリップを示す。
図4Aは、構成部品を保持するための、上面から減じられた厚さを有する沈下部を備えた本発明による担体ストリップを示す。
図4Bは、構成部品を保持するための、下面から減じられた厚さを有する沈下部を備えた本発明による担体ストリップを示す。
図4Cは、構成部品を保持するための、両面から減じられた厚さを有する沈下部を備えた本発明による担体ストリップを示す。
図5Aおよび図5Bは、僅かな厚さの複数の第1の領域を有する本発明による担体ストリップを示す。
【0010】
実施例の説明
以下に示す実施形態をもとに本発明について詳細に説明する。
【0011】
図1は、構成部品を保持するための、背景技術による担体ストリップを示す。実質的に均等な厚さを有する平坦で真っ直ぐな担体ストリップ10と、この担体ストリップ10上に装着された構成部品12と、この構成部品12の電気的なコンタクト形成のためのボンディングワイヤ14とが示されている。
【0012】
図2Aは、構成部品を保持するための、上面から減じられた厚さを有する本発明による担体ストリップを示す。本発明による担体ストリップ11は、減じられた厚さを有する第1の領域21と、完全な厚さを有する別の領域23とを有している。第1の領域21はこの例では、担体ストリップ11の上面に配置された凹部20により形成されている。凹部20はエンボシングまたは別の機械的な加工法により製作されているか、またはエッチングにより製作されていることもできる。凹部20は大きさおよび形状の点で、構成素子12が専ら担体ストリップ11の第1の領域21に装着されているように構成されている。担体ストリップ上への構成素子の装着時またはコンポーネントのそれぞれ異なる熱膨張の結果、担体ストリップ11には、構成素子12に伝達される応力が発生し得る。第1の領域21は本発明により、より薄弱に寸法設定されている。それゆえ、第1の領域21は緊張時にそれ程大きな復原力を構成素子20に及ぼし得ない。第1の領域21に設けられた凹部20内に構成素子12を装着したことにより、構成素子20および担体ストリップ11の全高は、背景技術に比して減じられる。
【0013】
図2Bは、構成部品を保持するための、下面から減じられた厚さを有する本発明による担体ストリップを示す。ここに示した実施形態は、図2Aに示した実施形態とは、第1の領域21が、担体ストリップ11の下面に配置された凹部22により形成されている点で区別される。第1の領域21は本発明により、より薄弱に寸法設定されている。それゆえ、第1の領域21は緊張時にそれ程大きな復原力を構成素子20に及ぼし得ない。図示の実施形態では、構成素子12が完全に第1の領域21に配置されている。凹部22はそのために形状および大きさの点で整合されて構成されており、正確に構成素子12に対して配置されている。しかし、凹部22を別の形状および大きさで構成することも可能である。さらに、凹部22を備えた第1の領域21と構成素子12とを互いにずらして配置することが可能である。構成素子12はこの場合、一部が第1の領域21に、一部が別の領域23に配置される。第1の領域21および構成素子12はこの場合、部分的にのみオーバラップする。
【0014】
図2Cは、構成部品を保持するための、両面から減じられた厚さを有する本発明による担体ストリップを示す。図2Aおよび図2Bに示した実施例がこの実施形態では組み合わされている。第1の領域21は、担体11の上面および下面に配置されたそれぞれ1つの凹部24,26により形成されている。第1の領域21は本発明により、より薄弱に寸法設定されている。それゆえ、第1の領域21は緊張時にそれ程大きな復原力を構成素子20に及ぼし得ない。第1の領域21に設けられた凹部24内に構成素子12を装着したことにより、構成素子20および担体ストリップ11の全高は、背景技術に比して減じられる。
【0015】
図3は、構成部品を保持するための、沈下部を備えた背景技術による担体ストリップを示す。実質的に均等な厚さを有する平坦で真っ直ぐな担体ストリップ30と、この担体ストリップ30上に装着された構成部品12と、この構成部品12の電気的なコンタクト形成のためのボンディングワイヤ14とが示されている。担体ストリップは沈下部40を有している。沈下部40内には構成素子12が装着されている。沈下部40はとりわけ、担体ストリップ30から張り出す構成素子12の構造高さを減じるために役立つ。
【0016】
図4Aは、構成部品を保持するための、上面から減じられた厚さを有する沈下部を備えた本発明による担体ストリップを示す。本発明による担体ストリップ31は、減じられた厚さを有する第1の領域21と、完全な厚さを有する別の領域23とを有している。第1の領域21はこの例では、担体ストリップ31の上面に配置された凹部20により形成されている。凹部20は、背景技術から公知のあらゆる適当な加工法により製作されていることができる。凹部20は大きさおよび形状の点で、構成素子12が専ら担体ストリップ31の第1の領域21に装着されているように構成されている。本発明による担体ストリップ31は側面42を備えた沈下部40を有している。第1の領域21は沈下部40内に配置されている。外部から機械的なストレスが担体ストリップ31に導入されると、側面42は、領域21への移行部にヒンジを有する脚片のように作用する。作用する機械的な負荷は側面42の位置の変化に至る。機械的なストレスはそれにより減じられ、少なくとも部分的に構成部品12からデカップリング、すなわち連結解除される。さらに、第1の領域21は本発明により、より薄弱に寸法設定されている。それゆえ、第1の領域21は緊張時にそれ程大きな復原力を構成素子20に及ぼし得ない。凹部20を担体ストリップ31の上面、沈下部40の底に配置したことは、担体ストリップ31から張り出す構成部品12の構造高さを背景技術に比してさらに減じることができる。
【0017】
図4Bは、構成部品を保持するための、下面から減じられた厚さを有する沈下部を備えた本発明による担体ストリップを示す。図4Aに示した実施形態とは異なり、ここでは第1の領域21が、担体ストリップ31が下面から薄肉化されることにより形成されている。このことは材料除去により行われ得る。しかし、第1の領域21での担体ストリップ31の僅かな厚さが、材料除去を伴わない加工、例えばエンボシングまたは別の変形加工技術により形成されていることも考えられる。材料除去もしくは変形加工の結果は平坦部44として示されている。この配置は、図4Aで説明したように、ストレスを減じるように働く。
【0018】
図4Cは、構成部品を保持するための、両面から減じられた厚さを有する沈下部を備えた本発明による担体ストリップを示す。図4Aおよび図4Bに示した実施例がこの実施形態では組み合わされている。第1の領域21は、担体31の上面に配置された凹部24と、下面に設けられた、担体31の平坦部46とにより形成されている。この配置は、図4Aで説明したように、ストレスを減じるように働く。第1の領域21に設けられた凹部24内に構成素子12を装着したことにより、さらに、構成素子20と担体ストリップ11との全高が、背景技術に比して減じられる。
【0019】
図5Aおよび図5Bは、僅かな厚さの複数の第1の領域を有する本発明による担体ストリップを示す。図5Aは上から見た透視図で本発明による担体ストリップ51を、担体ストリップ51上に装着された構成部品12と、下面に設けられた複数の僅かな厚さの第1の領域21と共に示す。図5Bは同じ対象物を断面AA′で、若干異なるスケールで示す。第1の領域21は担体ストリップ51の下面に設けられた凹部52により形成されている。第1の領域21の配置、個数および形状は、概略的かつ例示的に示したにすぎない。これらのパラメータは種々異なる要求を満たすために選択され得る。それにより例えば、担体ストリップ51上での構成部品12の配置に対して相補的な第1の領域21を設けることが考えられる。この配置は、図2Aで説明したように、ストレスを減じるように働く。図5Aおよび図5Bに示した本発明による担体ストリップ11は、沈下部と共に構成されてもよい。
【0020】
上で図1〜図5に示した、そこに装着された構成部品20を備えた本発明による担体ストリップ11,31は、ケース内に装着されていることができる。ケースは特に射出成形ケース(モールドケース)であり得る。そのために、担体ストリップ11,31は構成部品20と共に型内で、射出成形されるプラスチックにより包囲される。結果、集積回路の従来慣用のパッケージ内の電子的な構成素子が得られる。
【0021】
その他に、別の実施例も考えられる。特に、図示の実施例の特徴が互いに組み合わされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】構成部品を保持するための、背景技術による担体ストリップを示す図である。
【図2A】構成部品を保持するための、上面から減じられた厚さを有する本発明による担体ストリップを示す図である。
【図2B】構成部品を保持するための、下面から減じられた厚さを有する本発明による担体ストリップを示す図である。
【図2C】構成部品を保持するための、両面から減じられた厚さを有する本発明による担体ストリップを示す図である。
【図3】構成部品を保持するための、沈下部を備えた背景技術による担体ストリップを示す図である。
【図4A】構成部品を保持するための、上面から減じられた厚さを有する沈下部を備えた本発明による担体ストリップを示す図である。
【図4B】構成部品を保持するための、下面から減じられた厚さを有する沈下部を備えた本発明による担体ストリップを示す図である。
【図4C】構成部品を保持するための、両面から減じられた厚さを有する沈下部を備えた本発明による担体ストリップを示す図である。
【図5A】僅かな厚さの複数の第1の領域を有する本発明による担体ストリップを示す図である。
【図5B】僅かな厚さの複数の第1の領域を有する本発明による担体ストリップを示す断面図AA′である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電子的なかつ/またはマイクロマシニング型の構成部品(12)を保持するための構造化された担体ストリップ(11,31)において、担体ストリップ(11,31)が少なくとも1つの第1の領域(21)で、他の領域(23)よりも僅かな厚さを有していることを特徴とする、構造化された担体ストリップ。
【請求項2】
僅かな厚さの第1の領域(21)が、電子的なかつ/またはマイクロマシニング型の構成素子(20)に少なくとも部分的に配置されている、請求項1記載の構造化された担体ストリップ(11,31)。
【請求項3】
担体ストリップ(31)が少なくとも1つの沈下部(40)を有しており、該沈下部(40)内に電子的なかつ/またはマイクロマシニング型の構成部品(20)が配置されている、請求項1記載の構造化された担体ストリップ(31)。
【請求項4】
第1の領域(21)が、担体ストリップ(11,31)に凹設された少なくとも1つの凹部(20,22,24,26)により成されている、請求項1記載の構造化された担体ストリップ(11,31)。
【請求項5】
第1の領域(21)が、担体ストリップ(31)の平面的な薄肉化部(44)により成されている、請求項1記載の構造化された担体ストリップ(31)。
【請求項6】
第1の領域(21)が、担体ストリップ(31)の構造化された薄肉化部(52)により成されている、請求項1記載の構造化された担体ストリップ(31)。
【請求項7】
担体ストリップ(11,31)がケース、特に射出成形ケース内に配置されている、請求項1記載の構造化された担体ストリップ(11,31)。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate


【公表番号】特表2008−525207(P2008−525207A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548778(P2007−548778)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055081
【国際公開番号】WO2006/072474
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】