説明

横シーラー、ピロー包装装置及びシュリンク包装体

【課題】 シュリンク包装体の横シール端部に角部を発生させないようにした横シーラーを提供する。
【解決手段】 ピロー包装工程において、被包装品3を筒状に包んだフィルムを、前記被包装品3の前後でフィルムの送り方向に直交する方向に溶断シールするための横シーラー6であって、加熱可能な切断刃14と受刃15を備え、前記切断刃14は、一対の直線部14a,14aの両端に、横シール端部12を面取り状に溶断シールするための面取部14b,14bを、外方に向けて互いに末広がり状となるように連設するように形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横シーラー、ピロー包装装置及びシュリンク包装体に係り、詳しくは、シュリンク工程で横シール端部に鋭利な角部を発生させないようにした横シーラー及びその横シーラーを備えたピロー包装装置と、そのピロー包装装置により製作される角部のないシュリンク包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シュリンク包装体を製作するためのピロー包装装置(横ピロー包装装置)では、例えば、図7に示すように、熱収縮フィルムをロール状に巻回してなる原反ロール1から調力調整装置1a及び繰出装置1bを経由してシート状に繰り出されたフィルムが製袋器2に供給され、製袋器2により被包装品3の形状に合わせて製袋を行いつつ被包装品3を定ピッチで投入し、縦シーラー(フィルム長手方向のヒートシーラー)4によりチューブ状に形成した後、送りコンベヤ5によって搬送し、横シーラー(フィルム幅方向のヒートシーラー)6により被包装品3の前後を溶断シール(シールと切断)することによって1個の包装体7を形成し、その後、包装体7をシュリンクトンネル8に通して加熱処理することにより最終製品としてのシュリンク包装体9を得ていた。
【0003】
上述の一連の工程は、連続的(間欠ではなく)かつ高速で行われるため、横シーラー6は、例えば、図8(a)に示すような回転式のもので直線状に溶断シールを行う機構が一般に採用されている。その切断刃10は直線状に形成され(図示紙面に垂直方向に延びる)、その刃先にはシールと切断を同時に行えるように小さな丸みが付けられている(図8(b)(c)参照)。受刃11の先端は、回転式の場合、軸心を中心とした回転半径rと同じ曲率の円弧状面に形成されており(図8(b)の11a参照)、ボックスモーション式では平面状となっている(図8(c)の11b参照)。このような横シーラー6では、フィルムの送り方向に対して直交する方向(フィルムの幅方向)に溶断シールが行われるため、包装体の横シール端部となるフィルム端部12は90°に溶断(カット)される(図8(d)参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来の横シーラーによる溶断シールでは、次工程で行われるシュリンク仕上げ後に、横シール端部12が被包装品3に密着できず、図9(a) 〜(d)に示すように、シュリンク包装体9の四方に先尖り状の角部13となって残ってしまう。これは、熱収縮フィルムの収縮率に限界(約50〜70%)があるため、横シーラー6にフィルムの幅方向に直線状に設けられている切断刃10と受刃11によって溶断された横シール端部12はシュリンク仕上げをした後の被包装品3の外面に完全に密着できないことによる。
【0005】
熱収縮フィルムは、その製造時に縦方向及び横方向に延伸されており加熱されることによって元の状態に戻る性質があり、この性質を利用してシュリンク包装が行われるが、上述のように、フィルムを送り方向に直交する方向に溶断すると、被包装品の形状の如何を問わず、横シール端部12は被包装品3の外面から最も離間した状態になる。そのため、収縮率の大きな熱収縮フィルムを使用しても横シール端部12を被包装品3に密着させることができず、収縮状態を良好に仕上げれば仕上げる程、その横シール端部12は鋭利な刃物の先端のように硬くて先尖り状の角部13になってしまう。
【0006】
このような角部13が最終製品であるシュリンク包装体9の四方に突出していると、被包装品3の外形にそぐわず違和感が生じて見映えが損ねられる。特に、被包装品3が円形状であったり丸みを有する場合等には見映えの低下が著しい。また、その角部13によってシュリンク包装体9が嵩張るため、梱包・輸送・保管・陳列時に不利になる。そして、その鋭利な角部13に不用意に触れると怪我をすることも懸念される。また、その角部13によって他の物品等に疵が付けられることもある。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、シュリンク包装体の横シール端部に角部を発生させないようにした横シーラー、ピロー包装装置及びシュリンク包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の横シーラーは、ピロー包装工程において、被包装品3を筒状に包んだフィルムを、前記被包装品3の前後でフィルムの送り方向に直交する方向に溶断シールするための横シーラー6であって、
加熱可能な切断刃14と受刃15を備え、前記切断刃14の両端には、横シール端部12を面取り状に溶断シールするための面取部14b,14bが設けられていることを特徴とする横シーラー。
【0009】
このような構成によれば、面取部14b,14bによって、包装体7の横シール端部12,12が面取り状に溶断シールされるため、その後、包装体7をシュリンクトンネル8に通して加熱処理しても角部が発生しなくなる。なお、横シーラー6は、回転式であってもボックスモーション式であってもよい。
【0010】
(2)前記面取部14b,14bは、それぞれ外方に向けて互いに末拡がり状となるように形成されるのが好ましい。このように、面取部14b,14bを、それぞれ外方に向けて互いに末拡がり状となるように形成することで、良好な面取り効果が得られ、かつ、フィルムに多少位置ずれが発生しても、面取部14b,14bをフィルム端部に適切に対応させることができる。
【0011】
(3)前記切断刃14は、所定の間隔をおいて互いに平行に配設される一対の直線部14a,14aの両端にそれぞれ面取部14b,14bが連設されてなるのが好ましい。このようにすれば、切断刃14と受刃15に挟まれて溶断された部分がスクラップ17になるが、面取部14b,14bによって、包装体7の横シール端部12,12が面取り状に溶断シールされるため、その包装体7をシュリンクトンネル8に通して加熱処理しても角部が発生しなくなる。
【0012】
(4)前記受刃15には、前記切断刃14によって溶断されるスクラップ17を吸着するための吸引孔16が設けられていてもよい。横シーラー6でフィルムを溶断した際に発生するスクラップ17を吸引孔16に吸着させることで、スクラップ17を処理しやすくなる。
【0013】
(5)本発明のピロー包装装置は、原反ロール1から繰り出されるシート状のフィルムを被包装品3に合わせて製袋する製袋器2と、
前記被包装品3が投入されたフィルムを筒状に形成するためにフィルムを長手方向にシールする縦シーラー4と、
前記被包装品3をフィルムと共に搬送する搬送手段5と、
前記(1)乃至(4)項の何れかに記載の横シーラー6と、
前記被包装品3をフィルムでシール包装した包装体7を加熱処理するためのシュリンクトンネル8と、を備え、さらに、
前記横シーラー6の受刃15の吸引孔16を真空引きするための真空引手段50と、
前記吸引孔16に吸着されたスクラップ17を回収するための回収装置60と、を備えることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、熱収縮フィルムをロール状に巻回してなる原反ロール1からフィルムをシート状に引き出して、製袋器2により被包装品3の形状に合わせて製袋を行いつつ被包装品3を定ピッチで投入し、縦シーラー4によりフィルムをチューブ状に形成した後、搬送手段5で被包装品3をフィルムと共に搬送し、面取部14b,14bを備えた横シーラー6により被包装品3の前後を溶断シールすることによって1個の包装体7を形成し、その後、包装体7をシュリンクトンネル8に通して加熱処理することにより最終製品としての角部のないシュリンク包装体9を得ることができる。
このようなピロー包装工程にあって、横シーラー6による溶断シール工程では、スクラップ17が発生するが、受刃15に設けられている吸引孔16を真空引手段50によって真空引きすることにより、該吸引孔16にスクラップ17を吸着させた後、回収装置60によって回収することができる。
【0015】
(6)前記真空引手段50は、前記吸引孔16に接続される真空発生装置38と真空破壊弁41を備え、前記回収装置60は、前記受刃15から放出されたスクラップ17を移送するための吸引管42と、該吸引管42を負圧にするための吸引力発生手段46と、前記吸引管42に接続されるのスクラップ回収手段47を備えてもよい。このようにすれば、スクラップ17が発生するときには真空発生装置38により吸引孔を真空引きしてスクラップ17を受刃15に吸着させておき、適切なタイミングで真空破壊弁41によって吸引孔16を大気開放させてスクラップ17を放出させ、これを吸引力発生手段46で負圧とされた吸引管42を経由させてスクラップ回収手段47で回収することができる。
【0016】
(7)本発明のシュリンク包装体は、前記(5)又は(6)項の何れかに記載のピロー包装装置によって製作されるシュリンク包装体9であって、前記面取部14b,14bを有する切断刃14を備えた横シーラー6によって前記横シール端部12が溶断シールされることを特徴とする。
【0017】
このようなシュリンク包装体9では、横シール端部12に角部が存在しないため、被包装品3の見映えが向上する。また、嵩張ることもなく、梱包・輸送・保管・陳列時に不利になることはない。そして、不用意に触れて怪我をすることもない。また、他の物品等に疵を付けることもない。
【発明の効果】
【0018】
本発明の横シーラーは、加熱可能な切断刃に横シール端部を面取り状に溶断シールするための面取部を設けているので、横シール端部を面取り状に溶断シールすることができるため、その後、包装体をシュリンクトンネルに通して加熱処理しても角部が発生せず、角部のないシュリンク包装体を得ることができる。
【0019】
本発明のピロー包装装置は、面取部を備えた横シーラーにより被包装品の前後を溶断シールすることによって、最終製品として角部のないシュリンク包装体を得ることができ、横シーラーによる溶断シール工程で発生するスクラップを、真空引手段によって受刃に設けられている吸引孔を真空引きすることで吸着させた後、回収装置によって回収することができる。
【0020】
本発明のシュリンク包装体は、横シール端部に角部が存在しないので、見映えが向上する。また、嵩張ることもなく、梱包・輸送・保管・陳列時に不利になることはない。そして、不用意に触れて怪我をすることもない。また、他の物品等に疵を付けることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の最良の実施の形態に係る横シーラー、ピロー包装装置及びシュリンク包装体について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、ピロー包装装置の構成を示す。このピロー包装装置は、熱収縮フィルムをロール状に巻回してなる原反ロール1から繰り出されるシート状のフィルムを被包装品3に合わせて製袋する製袋器2と、被包装品3が投入されたフィルムを筒状に形成するためにフィルムを長手方向にシールする縦シーラー4と、被包装品3をフィルムと共に搬送するための例えばベルトコンベヤ等からなる搬送手段5と、面取部を有する加熱可能な切断刃と受刃を備えた回転式の横シーラー6と、被包装品3をフィルムでシール包装した包装体7を加熱処理するためのシュリンクトンネル8と、を備え、さらに、横シーラー6の受刃に設けられた吸引孔を真空引きするための真空引手段50と、吸引孔に吸着されたスクラップを回収するための回収装置60と、を備えている。
【0022】
このように構成されるピロー包装装置では、原反ロール1からフィルムをシート状に引き出して、製袋器2により被包装品3の形状に合わせて製袋を行いつつ被包装品3を定ピッチで投入し、縦シーラー4によりフィルムをチューブ状に形成した後、搬送手段5で被包装品3をフィルムと共に搬送し、面取部を備えた横シーラー6により被包装品3の前後を溶断シールすることによって1個の包装体7を形成し、その後、包装体7をシュリンクトンネル8に通して加熱処理することにより、例えば、図6(a)〜(d)に示すような横シール端部12に角部のないシュリンク包装体9を最終製品として得ることができる。
【0023】
このようなピロー包装工程にあって、横シーラー6による溶断シール工程では、横シーラー6が、図2(a)及び(d)に示すような加熱可能な一対の直線部14a,14aと、その直線部14a,14aに連なりそれぞれ外方に向けて互いに末拡がり状となる面取部14b,14bと、からなる切断刃14を備えているため、各包装体7,7間でスクラップ17が発生するが、受刃15に設けられている吸引孔16を真空引手段50によって真空引きすることにより該吸引孔16にスクラップ17を吸着させた後、適切なタイミングで吸引孔16を大気開放してスクラップ17を放出させ、これを回収装置60によって回収することができる。
【0024】
さらに詳細に説明すると、原反ロール1は、装置に設けた支持手段(図示省略)に着脱自在かつ回転自在に支持され、原反ロール1から調力調整装置1a及び繰出装置1bを経由して繰り出されたフィルムが製袋器2に供給される。製袋器2では、被包装品3の形状に合わせてフィルムを上から被せるような製袋作業(フォーミング作業)が行われ、ベルトコンベヤ等によって搬送される被包装品3が所定のタイミングで袋状にフォーミングされたフィルムに投入される。次いで、縦シーラー4によりフィルムの両側部が被包装品3の下部で溶着されフィルムがチューブ状に形成される。
【0025】
次に行われる溶断シール工程で用いられる横シーラー6は、フィルムを挟んで上下に対応して互いに同期してフィルムの送り方向に回転駆動される2つの回転体6A,6B(図4参照)に、例えば、図2(a)及び(d)に示すような切断刃14と、図2(c)及び(e)に示すような受刃15と、をネジ止め等により着脱自在に取り付けて構成される。このような構成により、被包装品3の形状が異なりフィルム折幅が変化した場合、適切なサイズの切断刃14に取り替えることができる。なお、通常、受刃15は交換する必要はない。
【0026】
上側の回転体6Aに取り付けられる切断刃14は、図2(a)及び(d)に示すように、所定の間隔をおいて互いに平行に配設される一対の直線部14a,14aの両端に、それぞれ面取部14b,14bを連設してなり、その面取部14b,14bは、フィルム折幅の両端に対応するように、それぞれ外方に向けて互いに末拡がり状となるように形成されている。一方、下側の回転体6Bに取り付けられる受刃15の中心線上には、図2(c)に示すように、複数の吸引孔16が所定の間隔をおいて配列されている。吸引孔16は、例えば、2〜3mmφ程度に形成されるのが好ましいが、その大きさは特に限定されるものではない。
【0027】
このような直線部14a,14aと面取部14b,14bを備えた切断刃14と、受刃15によって横シール端部12となるフィルム端部を溶断シールすると、面取部14b,14bによって、包装体7の横シール端部12を面取り状に形成することができるため、前述したように、シュリンクトンネル8を通過させた後のシュリンク包装体9に角部が発生しなくなる(図6(a)〜(d)参照)。
【0028】
面取りを可能とする切断刃14は、例えば図3(a)(b)に示す参考例のように構成することも考えられる。図3(a)に実線で示す切断刃14c,14cのように、全体を比較的に小さな半径の円弧状に形成すると、スクラップになるフィルム長Xが大となり歩留りの低下が甚だしくなる。また、受刃15の面積が大きくなるという問題もある。一方、図3(a)に二点鎖線で示す切断刃14d,14dのように、全体を比較的に大きな半径の円弧状に形成すると、フィルム端部が送り方向に直交する方向に溶断される従来の場合と殆ど変わらず、充分な面取り効果が得られなくなる。
【0029】
また、図3(b)に示すように、面取部14e,14eを曲率の大きなR状に形成すると、フィルムの幅方向の位置ずれに対処できないことがある。即ち、溶断シール工程では、フィルムが送り方向に直交する方向(幅方向)に多少位置ずれすることがあり、面取部14e,14eが曲率の大きなR状に形成されていると、その位置ずれ対応幅が狭くなるため、フィルムを溶断できない場合が発生する。また、図3(a)(b)に示すように、切断刃14を円弧状に形成すると、刃先の微妙な丸み加工が難しくなるという製作上の問題もある。
【0030】
このようなことから、本実施の形態では、前述したように、図2(a)及び(d)に示すように直線部分同士の組み合わせ(直線部14aと面取部14b)で切断刃14を形成することにより、発生するスクラップの面積を小さくし歩留りの低下を抑えることができる。また、面取部14b,14bの位置ずれ対応幅を広く確保できるため、フィルムに多少位置ずれが発生しても面取部14b,14bをフィルム端部に対応させることができ確実な面取り加工が可能となる。そして、面取部14b,14bをもストレートに形成したことで、刃先の微妙な丸み加工が容易となる。
【0031】
なお、図3(b)に示すように、切断刃14を、単一の直線部の両側に末広がり状の面取部を形成するように構成する場合、その面取部を、図2(a)の面取部14b,14bのような直線状乃至は曲率の小さい湾曲状等に形成する場合には、図2(a)に示す切断刃14と同様の面取り効果を得ることができる。この場合、スクラップは、フィルムの両側にできるため、受刃15の両端からスクラップを回収できるように回収装置を構成すればよい。また、スクラップの面積が小さいので歩留りの低下が少ない。
【0032】
図4は横シーラー6の構成を示し、図5は空圧回路図を示す。これらの図にて、切断刃14が取り付けられる回転体6Aは、フレームFに軸受け24a,24aを介して回転自在に支持されるシーラー軸20aと、そのシーラー軸20aに固定される本体部18aとからなり、受刃15が取り付けられる回転体6Bは、フレームFに軸受け24b,24bを介して回転自在に支持されるシーラー軸20bと、そのシーラー軸20aに固定される本体部18bとからなり、そのシーラー軸20a,20bは、図示省略の歯車伝動機構を介して駆動源に連結され、互いに同期してフィルムの送り方向に回転駆動され、切断刃14と受刃15が所定のタイミングで(一回転毎に)噛み合いフィルムを幅方向に溶断シールする。
【0033】
その本体部18a,18b内にはプレート状やカートリッジ状のヒータ19a,19bが装着され、そのヒータ19a,19bは、シーラー軸20a,20bの一部に形成された孔21a,21bに装入されたヒーター線22a,22bを経由してシーラー軸20a,20bの軸端に設けられた給電装置23a,23bにそれぞれ接続され、切断刃14と受刃15が加熱されるようになっている。
【0034】
受刃15に設けられた複数の吸引孔16は、その直下に穿設されている一本の貫通孔25に連通し、その貫通孔25の両端は栓体26,26により密栓されており、その貫通孔25の中間部は、本体部18b及びシーラー軸20bを貫通して埋設された吸排気用パイプ27の一端に接続され、吸排気用パイプ27の他端は、ホース28を介して、シーラー軸20bの軸端に軸心方向に穿設された吸排気用横孔29の一端に連通し、吸排気用横孔29の他端は栓体30によって密栓されており、吸排気用横孔29の中間部には、吸着用孔31と排気用孔32が明けられている。
【0035】
その吸着用孔31と排気用孔32は、シーラー軸20bに被嵌されてフレームFに固定される固定リング33の内部に装着されたOリング34等により、それぞれ各独立に密封状態に仕切られている。固定リング33には、吸着用孔31と排気用孔32に対応するジョイント35,36が180°位相を異にして装着されている。吸着用孔31に対応するジョイント35は、ホース37を介して、真空発生装置(真空エジェクター又は真空ポンプ)38及び供給弁(電磁弁)39に接続され、排気用孔32に対応するジョイント36は、ホース40を介して、真空破壊弁(電磁弁)41に接続されている。なお、真空発生装置38と供給弁39及び真空破壊弁41で本発明の真空引手段50を構成している。
【0036】
一方、回転体6Bの受刃15が真下に対応する位置には、受刃15の複数の吸引孔16に吸着されたスクラップ17を回収するための回収装置60が配設される。この回収装置60は、スクラップ17を移送するための吸引管42と、該吸引管42に接続される風管44と、該風管44に設けられるブロア(本発明の吸引力発生手段)46と、スクラップ回収箱(本発明のスクラップ回収手段)47と、を備えている。吸引管42の一端側には、受刃15に対応してスクラップ17を吸引可能に形成された開口部42aが形成され、吸引管42の他端側は、風管44の吸気側接続口45に接続されている。
【0037】
以上のように構成される横シーラー6では、切断刃14と受刃15が噛み合う前後のある回転角度範囲では、受刃15の吸引孔16は、貫通孔25、吸排気用パイプ27、ホース28、吸排気用横孔29、吸着用孔31、ジョイント35を介して、真空発生装置38と連通して負圧とされ吸着可能な状態となり、溶断されたスクラップ17を吸着することができる。受刃15の吸引孔16にスクラップ17を吸着させた状態にて、両回転体6A,回転体6Bが回転し、受刃15が噛み合い側と180°反対側(真下側)のある角度範囲になると、吸排気用横孔29はジョイント36に接続され、真空発生装置38を作動させる供給弁39はオフ状態(閉止状態)となり吸着状態が解除される。
【0038】
このように吸着状態が解除されても、スクラップ17は受刃15の吸引孔16に吸着さたままの状態となるため、真空破壊弁41をオン操作し、受刃15の吸引孔16、貫通孔25、吸排気用パイプ27、ホース28、吸排気用横孔29を正圧状態(大気解放状態)とする。これにより、スクラップ17を受刃15から放出させることができる。一方、ブロア46が常時オンの状態で風管44の内部の空気はスクラップ回収箱47に向けて常時流れているため、吸引管42及びホース43の内部は常時負圧になっている。従って、受刃15から放出されたスクラップ17は、開口部42aから吸引管42に吸い込まれホース43を経由して風管44の内部に入り、スクラップ回収箱47に回収される。
【0039】
以上説明したように、本発明の横シーラー6は、加熱可能な切断刃14に横シール端部12を面取り状に溶断シールするための面取部14b,14bを設けているので、横シール端部12を面取り状に溶断シールすることができるため、その後、包装体7をシュリンクトンネル8に通して加熱処理しても角部が発生せず、角部のないシュリンク包装体9を得ることができる。
【0040】
また、本発明のピロー包装装置は、面取部14b,14bを備えた横シーラー6により被包装品3の前後を溶断シールすることによって、最終製品として角部のないシュリンク包装体9を得ることができ、横シーラー6による溶断シール工程で発生するスクラップ17を、真空引手段50によって受刃15に設けられている吸引孔16を真空引きすることで吸着させた後、回収装置60によって回収することができる。
【0041】
そして、本発明のシュリンク包装体は、横シール端部12に角部が存在しないので、見映えが向上する。また、嵩張ることもなく、梱包・輸送・保管・陳列時に不利になることはない。そして、不用意に触れて怪我をすることもない。また、他の物品等に疵を付けることもない。
【0042】
なお、本発明は、実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜、必要に応じて、設計変更や改良等を行うのは自由であり、例えば、横シーラー6は回転式に限られることなくボックスモーション式であってもよい。面取部14b,14bは必ずしも直線状に形成されなくてもよく若干湾曲していてもよい。実施の形態では、切断刃14を、一対の直線部14a,14aの両端に末広がり状の面取部14b,14bを連設した構成としているが、単一の直線部の両端に末広がり状の面取部を連設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係るピロー包装装置の構成図である。
【図2】(a)同横シーラーの切断刃の平面図、(b)スクラップの平面図、(c)受刃の平面図、(d)切断刃の断面図、(e)受刃の断面図である。
【図3】(a)参考例としての切断刃の平面図、(b)別の参考例としての切断刃の平面図である。
【図4】同横シーラーの部分的な断面を示す構成図である。
【図5】同真空引手段の空圧回路図である。
【図6】(a)同箱状のシュリンク包装体の斜視図、(b)同横断面図、(c)同円筒状のシュリンク包装体の斜視図、(d)同円盤状のシュリンク包装体の斜視図である。
【図7】従来のピロー包装装置の構成図である。
【図8】(a)同切断刃と受刃の対応図、(b)同切断刃と受刃の拡大対応図、(c)同切断刃と受刃の異なる拡大対応図、(d)同包装体の平面図である。
【図9】(a)同箱状のシュリンク包装体の斜視図、(b)同横断面図、(c)同円筒状のシュリンク包装体の斜視図、(d)同円盤状のシュリンク包装体の斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1…原反ロール、2…製袋器、3…被包装品、4…縦シーラー、5…搬送手段、6…横シーラー、7…包装体、8…シュリンクトンネル、9…シュリンク包装体、12…横シール端部、14…切断刃、14a…直線部、14b…面取部、15…受刃、16…吸引孔、17…スクラップ、38…真空発生装置、41…真空破壊弁、42…吸引管、46…吸引力発生手段、47…スクラップ回収手段、50…真空引手段、60…回収装置、α…開き角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロー包装工程において、被包装品(3)を筒状に包んだフィルムを、前記被包装品(3)の前後でフィルムの送り方向に直交する方向に溶断シールするための横シーラー(6)であって、
加熱可能な切断刃(14)と受刃(15)を備え、前記切断刃(14)の両端には、横シール端部(12)を面取り状に溶断シールするための面取部(14b)(14b)が設けられていることを特徴とする横シーラー。
【請求項2】
前記面取部(14b)(14b)は、それぞれ外方に向けて互いに末拡がり状となるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の横シーラー。
【請求項3】
前記切断刃(14)は、所定の間隔をおいて互いに平行に配設される一対の直線部(14a)(14a)の両端にそれぞれ前記面取部(14b)(14b)が連設されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の横シーラー。
【請求項4】
前記受刃(15)には、前記切断刃(14)によって溶断されるスクラップ(17)を吸着するための吸引孔(16)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の横シーラー。
【請求項5】
原反ロール(1)から繰り出されるシート状のフィルムを被包装品(3)に合わせて製袋する製袋器(2)と、
前記被包装品(3)が投入されたフィルムを筒状に形成するためにフィルムを長手方向にシールする縦シーラー(4)と、
前記被包装品(3)をフィルムと共に搬送する搬送手段(5)と、
請求項1乃至4の何れかに記載の横シーラー(6)と、
前記被包装品(3)をフィルムでシール包装した包装体(7)を加熱処理するためのシュリンクトンネル(8)と、を備え、さらに、
前記横シーラー(6)の受刃(15)の吸引孔(16)を真空引きするための真空引手段(50)と、
前記吸引孔(16)に吸着されたスクラップ(17)を回収するための回収装置(60)と、を備えることを特徴とするピロー包装装置。
【請求項6】
前記真空引手段(50)は、前記吸引孔(16)に接続される真空発生装置(38)と真空破壊弁(41)を備え、
前記回収装置(60)は、前記受刃(15)から放出されたスクラップ(17)を移送するための吸引管(42)と、該吸引管(42)を負圧にするための吸引力発生手段(46)と、前記吸引管(42)に接続されるスクラップ回収手段(47)を備えることを特徴とする請求項5に記載のピロー包装装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のピロー包装装置によって製作されるシュリンク包装体(9)であって、前記面取部(14b)(14b)を有する切断刃(14)を備えた横シーラー(6)によって前記横シール端部(12)が溶断シールされることを特徴とするシュリンク包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−106423(P2007−106423A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296423(P2005−296423)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000110125)トキワ工業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】