説明

横格子体

【課題】子供が横格子に足を掛けて登ることを防止できると共に、外観の見栄えが良い横格子体とする。
【解決手段】支柱1の外側面1aに複数の横格子2を上下方向に間隔を置いて取付けた横格子体であって、この横格子2の内側部分2aの高さHは外側部分2bの高さHよりも大きく、上下に隣接した横格子2の内側部分2a間の隙間Sを小さくして、子供が横格子2に足を掛けて登ることを防止し、前記上下に隣接した横格子2の外側部分2b間の隙間Sを、前記外側部分2bの高さHと同一として外観の見栄えを良くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルコニーの手摺、階段の手摺、フェンスなどに用いる横格子体に関する。
【背景技術】
【0002】
階段の手すりとして用いる横格子体が特許文献1に開示されている。
この横格子体は、支柱に横格子(横桟)を上下方向に間隔を置いて複数取付けたものである。
【特許文献1】実開平2−113644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来の横格子体は、階段を歩行する人が転落しないようにする保護棚としての機能を有するが、子供が横格子に足を掛けて登ることがあり、危険である。
このことを防止するには、上下に隣接した横格子の間隔を小さくして子供が横格子に足を掛けることができないようにすることが考えられる。
しかし、このようにすると横格子体を外側から見た時に、複数の横格子が見えると共に、その上下に隣接した横格子間に小さな隙間が見え、外観の見栄えが悪いものとなる。
しかも、前述のようにした横格子体であると、支柱に取付ける横格子の本数が多く、コストが高いものとなる。
【0004】
本発明の目的は、子供が登ることができないと共に、外観の見栄えが良く、しかも支柱に取付ける横格子の本数を少なくできるようにした横格子体とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、支柱に複数の横格子を上下方向に間隔を置いて取付けた横格子体であって、
前記横格子の支柱に取付ける内側部分の高さは、支柱から張り出しする外側部分の高さよりも大きく、
前記上下に隣接した横格子の内側部分間の隙間は小さく、
前記上下に隣接した横格子の外側部分間の隙間は前記内側部分間の隙間よりも大きく、前記横格子の外側部分の高さと同一であることを特徴とする横格子体である。
【0006】
本発明においては、横格子の下面と上面の少なくともいずれか一方における内側部分と外側部分を連続する部分を、傾斜した空気ガイド面とすることができる。
このようにすれば、上下に隣接した横格子の隙間を、外側から内側に向けて空気が流通する時に発生する風切音を低減できる。
【0007】
本発明においては、横格子は、その外側面よりも外側に突出した突片部を有するようにできる。
このようにすれば、各横格子の外側部分に沿ってふとんなどの物を上下に移動する際に、その物が突片部に接して横格子の外側面には接しないから、横格子の外側面に付着した汚れで物を汚すことがない。
【0008】
本発明においては、横格子の突片部は、その横格子の上部に設けることができる。
このようにすれば、横格子体を下から見上げた時に突片部が邪魔にならずに横格子の外側面が見える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上下に隣接した横格子の内側部分間の隙間が小さく、その隙間に子供が足の指を入れることができないから、横格子に足を掛けて登ることを防止できる。
また、上下に隣接した横格子の外側部分間の隙間は、その横格子の外側部分の高さと同一であるから、横格子体を外側から見た時に、横格子が、その高さと同一の隙間を有して上下に連続して見えるので、外観の見栄えが良い。
また、支柱に取付ける横格子の数を少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示すように、複数の支柱1に亘って複数の横格子2を上下方向に間隔を置いて取付けて横格子体としてある。
この実施の形態においては、前記各支柱1はバルコニー躯体の立上り部3に立設され、その各支柱1の上端部間に亘って笠木4が取付けてあると共に、バルコニー躯体の立上り部3の上部に平笠木5が取付けてある。これによって、前述の横格子体はバルコニーの手摺としてある。
【0011】
前記横格子2は図2に示すように、所定の厚さ(図2で左右方向の寸法)と高さ(図2で上下方向の寸法)を有する略矩形断面の長尺形状である。
前記横格子2は支柱1の外側面1aに固着して取付けられ、この横格子2は支柱1の外側面1aよりも外側に張り出している。なお、外側とはバルコニーの人が立つ部分と反対側である。つまり、人が立つ部分を内側、人が立つ部分と反対側を外側としている。
【0012】
前記横格子2の支柱1に取付けられた内側部分(厚さ方向一側部分)2aの高さ(上下方向の寸法)Hは、支柱1よりも張り出した外側部分(厚さ方向他側部分)2bの高さ(上下方向の寸法)Hよりも大きい。
前記上下に隣接した横格子2の内側部分2a間の隙間(上下方向の間隔)Sは、その上下に隣接した横格子2の内側部分2a間に子供の足を入れることができないように小さい。例えば、前記隙間Sは16mm以下である。
これによって、バルコニーの内側から子供が横格子2に足を掛けて登ることを防止できる。
【0013】
前記上下に隣接した横格子2の外側部分2b間の隙間(上下方向の間隔)Sは、前記内側部分2a間の隙間Sよりも大きく、前記横格子2の外側部分2bの高さHと同一である。
このようであるから、外側から見た時に複数の横格子2が、その横格子2の高さ(外側部分2bの高さH)と同一の隙間を有して上下に連続して見えるから、外観の見栄えが良い。また、横格子2の数を少なくできる。
前記隙間Sと高さHが同一であるとは、全く同一の場合、どちらか一方が他方よりも若干大きい場合を含むことである。
【0014】
前記横格子2は、上面2cと下面2dと内側面2eと外側面2fを有し、その内側面2eの上下寸法が前述の内側部分2aの高さHで、前記外側面2fの上下寸法が前述の外側部分2bの高さHである。
前記下面2dにおける内側部分2aと外側部分2bとを連続する部分を空気ガイド面2gとしてある。
この空気ガイド面2gは、外側部分2bから内側部分2aに向けて順次下方に向かう下向きの傾斜面で、この空気ガイド面2gは内側面2eの下端部と連続している。
前記空気ガイド面2gの傾斜面は、直線状でも良いし、滑らかに湾曲した曲線状であっても良い。
【0015】
このようであるから、上下に隣接した横格子2間の隙間に空気が流通する際に、大きな隙間Sから流入した空気の一部が空気ガイド面2gに沿って流れて小さな隙間Sから流出するので、風切音が低減する。
【0016】
前記横格子2の上面2cと内側面2eは直角である。その下面2dは、上面2cと平行な外側寄り下面と、上面2cと平行に対して下向きに傾斜した内側寄り下面でへの字形状である。この内側寄り下面が前述の空気ガイド面2gである。
すなわち、横格子2の外側部分2bは上面と下面が平行で、内側部分2aの上面は外側部分2bの上面と一直線状に連続し、かつ下面は傾斜面となっている。
【0017】
前記空気ガイド面2gを上面2cに設けても良い。例えば、前述の横格子2を上下反転した形状とする。
また、図3に示すように空気ガイド面2gを上面2cと下面2dにそれぞれ設けても良い。
この場合には、空気ガイド面2gの上下方向の寸法を図2に示す空気ガイド面2gの上下方向の寸法の半分として横格子2の内側部分2aの高さHを前述の図2に示すものと同一としてある。
要するに、横格子2の下面2dと上面2cの少なくとも一方における内側部分2aと外側部分2bを連続する部分を傾斜面として空気ガイド面2gとすれば良い。
【0018】
前記横格子2は、その外側面2fよりも外側に突出した突片部2hを有している。
この突片部2hは横格子2の高さ方向の任意の位置に設けることができるが、横格子2の上部に設けることが好ましく、より好ましくは横格子2の上面2cと一直線状に連続して設ける。
このようであるから、各横格子2の外側部分2bに沿って物を滑らせて移動した時に、その物は突片部2hに接触しながら移動して外側面2fには接触しないようにでき、前記横格子2の外側面2fに付着している汚れによって物が汚れることがない。
例えば、バルコニーの手摺においては、その手摺にふとんを掛けて日干しすることがあり、その場合にはふとんが各横格子2の外側面2fに接触しながら移動すると、その外側面2fに付着した汚れでふとんが汚れることがあるが、前述のように突片部2hを設けることでふとんが突片部2hに接触して外側面2fに接触しないようにできる。
【0019】
前記突片部2hを上部に設けることで、人が横格子2を下から見上げた時に、その突片部2hが邪魔にならずに横格子2の外側面2fを目視することができる。
【0020】
次に前記格子2の具体形状を説明する。
前記横格子2は、本体10と、この本体10に取付けた装飾体20を備えている。
前記本体10はアルミ押出形材で、内側の中空部11と外側の凹条溝12を有していると共に、突出片13を有している。
前記凹条溝12は長手方向に連続し、かつ外側に向けて開口している。
前記本体10は、その中空部11を形成する内側縦板14(内側面2e)を支柱1の外側面1aにビス15で固着して取付けられる。
前記装飾体20は再生木によって製作され、その内側部21が前記凹条溝12に長手方向からスライドして挿入されてビス22で固着して取付けられる。
この装飾体20の外側部23の表面が前述の外側面2fで、その外側部23の表面よりも前記突出片13が外側に突出し、その突出片13が前述の突片部2hである。
【0021】
前記横格子2は前述の本体10と装飾体20を一体とした形状であっても良い。例えば、図4に示すようにアルミ押出形材の一体形状とする。
この場合には、突片部2hを二点鎖線で示すように外側面2fの上下中間に設けることができる。
【0022】
前述した実施の形態では横格子体をバルコニーの手摺としたが、階段の手摺、フェンスなどとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態を示すバルコニーの手摺の外観図である。
【図2】図1のA−A拡大断面図である。
【図3】横格子の第2の実施の形態を示す取付け状態の断面図である。
【図4】横格子の第3の実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1…支柱、1a…外側面、2…横格子、2a…内側部分、2b…外側部分、2c…上面、2d…下面、2e…内側面、2f…外側面、2g…空気ガイド面、2h…突片部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に複数の横格子を上下方向に間隔を置いて取付けた横格子体であって、
前記横格子の支柱に取付ける内側部分の高さは、支柱から張り出しする外側部分の高さよりも大きく、
前記上下に隣接した横格子の内側部分間の隙間は小さく、
前記上下に隣接した横格子の外側部分間の隙間は前記内側部分間の隙間よりも大きく、前記横格子の外側部分の高さと同一であることを特徴とする横格子体。
【請求項2】
横格子の下面と上面の少なくともいずれか一方における内側部分と外側部分を連続する部分を、傾斜した空気ガイド面とした請求項1記載の横格子体。
【請求項3】
横格子は、その外側面よりも外側に突出した突片部を有する請求項1又は2記載の横格子体。
【請求項4】
横格子の突片部は、その横格子の上部に設けてある請求項3記載の横格子体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−175016(P2008−175016A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10978(P2007−10978)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】