説明

横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板および横電界方式のLCD表示パネル

【課題】 表示パネル形成に際してのラビング時の静電気対策を主の目的としたカラーフィルタ形成基板の裏面の透明導電層のダメージの不具合を解決でき、且つ、表示用パネルに用いられた際に、横電界の乱れを抑制して、確実に液晶の配向の乱れを抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板を提供する。
【解決手段】 透明基板側から、ブラックマトリクス層、各色のカラーフィルタ用の着色層、オーバーコート層、柱状物の順として、且つ、前記透明基板と前記オーバーコート層との間に、全面に、透明導電層を配しており、前記透明導電層は、少なくとも前記カラーフィルタ用の各色の着色層形成領域の一部を開口する開口部を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板と該カラーフィルタ形成基板を用いた横電界方式のLCD表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイの中で、現在もっとも広く使用されているのが液晶表示装置(LCDとも言う)である。
特に、TFT形成基板(TFT基板とも言う)とカラーフィルタ形成基板(カラーフィルタ基板とも言う)とを所定の間隔の間隙をあけ、該間隔に、液晶を配した形態のTFT方式のLCD(TFT−LCDとも言う)用の表示パネル(LCD表示パネルとも言う)は、パーソナルコンピュータ、ワープロ、OA機器などの民生用機器や携帯テレビジョン等の家電機器への応用により、市場の一層の拡大が期待されている。
TN型TFT−LCDの製造技術は格段の進歩を遂げ、正面でのコントラスト・色再現性などはCRTを凌駕するまでに至ったが、このTN型TFT−LCDには視野角が狭いという大きな欠点があり、用途が限定されるため、近年、TN型TFT−LCDの表示状態に視角依存が生じる欠点を解決するため、IPS(IPS:In Plane Switching)型と呼ばれる方式のLCD用の表示パネルが提案されている。
IPS型のLCD表示パネルは、通常、TFT形成基板に2つのスリット状電極を1組として複数形成し、各組毎に2つのスリット電極間に位置するTFT形成基板とカラーフィルタ形成基板との間隙部(ギャップ部とも言う)の液晶分子を横電界によって駆動させるものである。
例えば、図5に示すような断面構造のIPS型のLCD用の表示パネルは、TFT形成基板120に形成した共通電極122と画素電極123との間に電圧を印加することにより、カラーフィルタ形成基板110又はTFT形成基板120の界面とほぼ平行に電界を形成し、両基板の間隙部内の液晶分子がカラーフィルタ形成基板110及びTFT形成基板120と平行な面内で偏向されて回転し、光源からの光の偏向軸を回転させ、この画素が点灯状態となる。
このように、各色に着色された画素それぞれについてカラーフィルタ形成基板110の背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
ここでは、電界を印加しない時には、液晶分子の長軸を上記各組の電極の長手方向に対してほぼ平行にホモジニアス配向させるように、配向膜をラビングしている。
尚、IPS型の方式では液晶層制御の応答速度(スイッチング速度)が遅いため、実際のパネルでは、応答速度を改善するために、例えば、電圧印加時における液晶分子の配向方向の変化方向(回転方向)を一定とするように、液晶分子をスリット電極の長手方向に対して15°の方位にホモジニアス配向している。
以下、ここでは、上記IPS型のLCD表示パネルのように、液晶の配向を電界により駆動して制御する方式のLCD表示パネルを、横電界方式あるいは横電界モードのLCD表示パネルとも言う。
【0003】
一般的に、横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の構成は、図4(a)にその断面を示すように、ラビング時の静電気対策を主の目的として裏面に透明導電層(通常ITO層)14が形成されている。
尚、図4(a)に示すように、横電界方式のLCD用のカラーフィルタ形成基板10は、透明基板の一面側に各色カラーフィルタ用の着色層13R、13G、13B、ブラックマトリクス(BMとも言う)12を配し、更に、これら着色層、BMを覆うようにオーバーコート層(OC層あるいは保護層とも言う)15を配しており、ここでは前記一面側を表面、該一面側でない他面を裏面と言う。
しかし、カラーフィルタ形成基板の裏面に形成された透明導電層14が液晶表示パネルの製造工程上での搬送、冶具等でダメージを受ける。
また、モバイル用途では、パネル組後、スリミング工程( ガラスを削る工程) によりガラスの板厚を薄膜化するため、スリミング後に透明電極膜を形成するための追加工程が必要となるため、製造工程が増え、手間がかかることとなり、これが、取り扱いの不備を生じる原因ともなっている。
【0004】
一方、特開2009−186885号公報(特許文献2)には、ラビング時等の静電気対策ができ、形成された透明導電層14が液晶表示パネルの製造工程上での搬送、冶具等でダメージを受けないように、図4(b)に示すように、透明基板11の一面側に順次、透明導電層(ITO)14、ブラックマトリクス層12、カラーフィルタ用の各色の着色層13R、13G、13B、オーバーコート層15を配したカラーフィルタ形成基板が記載されている。
しかし、ここに記載のカラーフィルタ形成基板のように、単にこのような位置に透明導電層を設けただけでは、先に述べた透明導電層を裏面に形成したカラーフィルタ形成基板の場合(図4(a)参照)に比べて、横電界方式のLCD表示パネルに用いられた際には、カラーフィルタ形成基板の透明導電層(ITO)とTFTの電極との距離が、縮まるため、該透明導電層(ITO)に起因して、横電界を乱す縦方向の電界が生じて、結果、配向の乱れを生じるという問題があった。
また、図4(a)、図4(b)に示す形態のように全面ベタで透明導電層14を配した場合には、透明導電14層を設けることにより、光透過率が下がるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−252480号公報
【特許文献2】特開2009−186885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、一般的に、横電界モードのLCD用のカラーフィルタ形成基板においては、パネル形成に際してのラビング時の静電気対策を主の目的として裏面に透明導電層(通常ITO層)を形成しているが、該透明導電層が液晶表示パネルの製造工程上での搬送、冶具等でダメージを受け、これが問題となっていた。
特に、モバイル用途では、ガラスの板厚を薄膜化するスリミング工程を行う必要があるため工程が一層複雑化し、問題となっていた。
また、裏面とは反対側に透明導電層を配したカラーフィルタ形成基板の場合には、横電界方式のLCD表示パネルに用いられた際には、カラーフィルタ形成基板の透明導電層(ITO)とTFTの電極との距離が、縮まるため、該透明導電層(ITO)に起因して、横電界を乱す縦方向の電界が生じて、結果、配向の乱れを生じるという問題があった。
更にまた、図4(a)、図4(b)に示す形態のように全面ベタで透明導電層14を配した場合には、透明導電14層を設けることにより、光透過率が下がるという問題もあった。
本発明は、これらに対応するもので、従来問題となっていた、横電界方式のLCD表示パネル形成に際してのラビング時の静電気対策を主の目的としたカラーフィルタ形成基板の裏面の透明導電層(通常、ITO層:インジウム錫酸化物層)のダメージの不具合を解決でき、且つ、横電界方式の表示用パネルに用いられた際に、横電界の乱れを抑制して、液晶の配向の乱れを抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、光透過率の低下を抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板を提供しようとするものです。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板は、横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、透明基板側から、ブラックマトリクス層、各色のカラーフィルタ用の着色層、オーバーコート層の順として、且つ、前記透明基板と前記オーバーコート層との間に、全面に、透明導電層を配して、前記透明基板の一面側に、前記ブラックマトリクス層、カラーフィルタ用の各色の着色層、オーバーコート層の各層と前記透明導電層とを積層して配し、更に前記オーバーコート層上に、横電界方式の表示パネルを作製する際のTFT形成基板との間隙を保つための柱状物を配したものであり、前記透明導電層は、少なくとも前記カラーフィルタ用の各色の着色層形成領域の一部を開口する開口部を有して全面にわたり電気的に導通していることを特徴とするものである。
そして、上記の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、前記透明導電層は、全面に、メッシュ状であることを特徴とするものであり、前記透明導電層は、前記各色の着色層形成領域全体を開口して、メッシュ状であることを特徴とするものである。
【0008】
そして、上記いずれかの横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、透明基板の一面側に、基板側から順に、前記ブラックマトリクス層、カラーフィルタ用の各色の着色層、透明導電層を配していることを特徴とするものである。
あるいは、上記いずれかの横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、基板側から順に、前記ブラックマトリクス層、透明導電層、前記各色の着色層を配していることを特徴とするものである。
あるいはまた、上記いずれかの横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、基板側から順に、前記透明導電層、前記ブラックマトリクス層、カラーフィルタ用の各色の着色層を配していることを特徴とするものである。
【0009】
また、上記いずれかの横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、前記オーバーコート層の膜厚を1.0μm〜5.0μmの範囲としていることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、前記オーバーコート層の比誘電率値は、周波数が60Hz〜1kHzにおいて5以下であることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、ブラックマトリクスが、各色の着色層を重ねて形成されていることを特徴とするものである。
また、上記いずれかの横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、前記透明導電層がITO層(インジウム錫酸化物層)であることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の横電界方式のLCD表示パネルは、横電界方式のLCD表示パネルであって、上記のいずれかの横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板を用いていることを特徴とするものである。
【0011】
(作用)
本発明の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板は、このような構成にすることにより、従来問題となっていた、横電界方式のLCD表示パネル形成に際してのラビング時の静電気対策を主の目的としたカラーフィルタ形成基板の裏面の透明導電層(通常ITO層)のダメージの不具合を解決でき、且つ、横電界方式の表示用パネルに用いられた際に、横電界の乱れを抑制して、液晶の配向の乱れを抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、光透過率の低下を抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の提供を可能としている。
具体的には、透明基板側から、ブラックマトリクス層、各色のカラーフィルタ用の着色層、オーバーコート層の順として、且つ、前記透明基板と前記オーバーコート層との間に、全面に、透明導電層を配して、前記透明基板の一面側に、前記ブラックマトリクス層、カラーフィルタ用の各色の着色層、オーバーコート層の各層と前記透明導電層とを積層して配し、更に前記オーバーコート層上に、横電界方式の表示パネルを作製する際のTFT形成基板との間隙を保つための柱状物を配したものであり、前記透明導電層は、少なくとも前記カラーフィルタ用の各色の着色層形成領域の一部を開口する開口部を有して全面にわたり電気的に導通していることにより、これを達成している。
詳しくは、前記透明基板と前記オーバーコート層との間に、全面に、透明導電層を配していることにより、該透明導電層が外部に露出されないため、横電界方式のLCD表示パネル形成に際してのラビング時の静電気対策を主の目的としたカラーフィルタ形成基板の裏面の透明導電層(通常ITO層)のダメージの不具合を解決できるものとしており、また、前記透明導電層は、少なくとも各色の着色層形成領域の一部を開口する開口部を有して全面にわたり電気的に導通していることにより、開口部においては、透明導電層に開口があるため、表示パネルとした際、該透明導電層があることにより、液晶駆動における電界に乱れを生じることが少なくなり、液晶の配向の乱れを抑制することができるものとしている。
更に、透明導電層を、全面に、メッシュ状とする形態が挙げられるが、特に、各色の着色層形成領域を全体を開口して、メッシュ状である場合には、表示パネルとした際、該透明導電層があることにより、液晶駆動における電界に乱れを生じることはほとんどなくなり、結果、液晶の配向の乱れを抑制することができるものとしている。
更に具体的には、透明基板の一面側に、基板側から順に、前記ブラックマトリクス層、カラーフィルタ用の各色の着色層、透明導電層を配している請求項4の発明の態様、あるいは、基板側から順に、前記ブラックマトリクス層、透明導電層、前記各色の着色層を配している請求項5の発明の態様、あるいはまた、基板側から順に、前記透明導電層、前記ブラックマトリクス層、カラーフィルタ用の各色の着色層を配している請求項6の発明の態様を挙げることができる。
【0012】
また、前記オーバーコート層の膜厚を1.0μm〜5.0μmの範囲としている第7の発明の態様とすることにより、着色層の平坦性の向上、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの信頼性の向上、バリア性を確保でき、且つ、良好なコーティング性、透明性を確保できるものとしている。
着色層の平坦性の向上、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの信頼性の向上、バリア性の向上からは、0.05μm以上、好ましくは1.0μm以上で、良好なコーティング性、透明性からは、10μm以下、好ましくは5μm以下である。
また、前記オーバーコート層の比誘電率値は、周波数が60Hz〜1kHzにおいて5以下である第8の発明の態様とすることにより、残像を抑制できる横電界方式のLCD表示パネルの形成を可能としている。
TFTにて駆動されるLCD表示パネルに使用される液晶の比誘電率の最大成分は、通常8〜12程度(すくなくとも5.0以上)であり、オーバーコート層の比誘電率は液晶の比誘電率以下であることが好ましく、5以下としている。
尚、膜厚2μm、比誘電率5程度の一般的なオーバーコート層(OC層) を用いた場合、柱状物の高さが3μmより大となることが好ましいが、メッシュ状の導電層のメッシュの開口形状や開口率を適宜選択することにより、オーバーコート層の膜厚、比誘電率や柱状物の高さの許容範囲を広いものでき、オーバーコート層と柱状物の高さの和を5μmより小とすることや、柱状物の高さを3μmより低くすることもできる。
【0013】
また、ブラックマトリクスが、各色の着色層を重ねて形成されている態様も挙げられる。
また、前記透明導電層としては、汎用のITO層であるが挙げられるが、横電界方式の表示パネルに用いられた際の表示品質や機能を満足できるものであれば、これに限定はされない。
例えば、非晶質であるIZO層(インジウム亜鉛酸化物層)等を用いても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、このように、従来問題となっていた、横電界方式のLCD表示パネル形成に際してのラビング時の静電気対策を主の目的としたカラーフィルタ形成基板の裏面の透明導電層(通常ITO層)のダメージの不具合を解決でき、且つ、横電界方式の表示用パネルに用いられた際に、横電界の乱れを抑制して、確実に液晶の配向の乱れを抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、光透過率の低下を抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の提供を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)は、本発明の実施の形態の第1の例の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板を用いて、表示パネルとした際の概略断面図で、図1(b)はその透明導電層の一部を示した平面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施の形態の第2の例の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板を用いて、表示パネルとした際の概略断面図で、図2(b)はその透明導電層の一部を示した平面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の実施の形態の第3の例の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板を用いて、表示パネルとした際の概略断面図で、図3(b)はその透明導電層の一部を示した平面図である。
【図4】図4(a)、図4(b)は、それぞれ、従来のカラーフィルタ形成基板を表示パネルとした際の概略断面図である。
【図5】IPS方式のLCD表示パネルの概略構成を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
先ず、本発明の電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の実施の形態の第1の例を、図1に基づいて説明する。
尚、図1(a)は、第1の例の電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の一部断面図で、図1(b)は、透明導電層のみを示した平面図である。
第1の例の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板は、図1(a)に示すように、透明基板11の一面側に、透明基板11側から順に、ブラックマトリクス層12、カラーフィルタ用の各色の着色層13R、13G、13B、透明導電層14、オーバーコート層15を積層して配し、更にオーバーコート層15上に、横電界方式の表示パネルを作製する際のTFT形成基板20との間隙を保つための柱状物16を配したものである。
そして、横電界方式の表示パネルを作製した際に、オーバーコート層15と柱状物16だけで、透明導電層14とTFT形成基板20の電極の絶縁性不足に起因する横電界方式による液晶30の配向制御における液晶30の配向不良の発生を抑制できる絶縁性を確保できるように、透明導電層14は、少なくとも着色層領域の一部を開口する開口部を有して全面にわたり電気的に導通している。
特に、第1の例の電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板では、図1(b)に示すように、透明導電層14としてITOを各色の着色層13R、13G、13B上にメッシュ状に形成しており、これにより、従来問題となっていた、横電界方式のLCD表示パネル形成に際してのラビング時の静電気対策を主の目的としたカラーフィルタ形成基板の裏面の透明導電層(通常ITO層)のダメージの不具合を解決でき、且つ、横電界方式の表示用パネルに用いられた際に、横電界の乱れを抑制して、確実に液晶の配向の乱れを抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、光透過率の低下を抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の提供を可能としている。
尚、第1の例では、メッシュ14Mの各開口14Tはひし形で、例えば、透明導電層14でカラーフィルタ用の各色の着色層形成領域を30%程度覆い、各画素となる領域の透明導電層14で覆われていない割合である開口率を70%程度とする。
また、図1(a)では、配向層を便宜上、省略して示しているが、カラーフィルタ形成基板10の液晶30と接する面、TFT形成基板20の液晶30と接する面には配設されている。
また、図1(a)では明示していないが、透明導電層14は、接地電位になるように接続されている。
【0017】
本例では、オーバーコート層15の膜厚を1.0μm〜5.0μmの範囲としており、これにより、着色層の平坦性の向上、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの信頼性の向上、バリア性を確保でき、且つ、良好なコーティング性、透明性を確保できるものとしている。 尚、着色層の平坦性の向上、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの信頼性の向上、バリア性の向上からは、0.05μm以上、好ましくは1.0μm以上で、良好なコーティング性、透明性からは、10μm以下、好ましくは5μm以下である。
【0018】
また、本例においては、オーバーコート層15の比誘電率値は、周波数が60Hz〜1kHzにおいて5以下としており、これにより、残像を抑制できる横電界方式のLCD表示パネルの形成を可能としている。
TFTにて駆動されるLCD表示パネルに使用される液晶の比誘電率の最大成分は、通常8〜12程度(すくなくとも5.0以上)であり、オーバーコート層の比誘電率は液晶の比誘電率以下であることが好ましく、5以下としている。
【0019】
以下、各部について簡単に述べる。
<透明基板11>
透明基板11としては、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。
この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、IPS液晶モードの液晶表示パネル用のカラーフィルタ形成基板には適している。
【0020】
<ブラックマトリクス層12>
遮光するためのブラックマトリックス層12は、高電気抵抗とするため金属膜でなく、樹脂中に遮光剤を分散したいわゆる樹脂ブラックマトリックスが用いられている。
カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を形成し、この樹脂層を直接パターニングして形成したもの、および、カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層をフォトリソ法によりパターニングして形成したもの等、遮光性を有するものを用いることができる。
フォトリソ法の場合、樹脂ブラックマトリクス用材料の遮光剤を分散した組成物を透明基板に塗布した後、選択的にパターン露光し、現像して、形成する。
尚、これ以外に、ブラックマトリクス層を、カラーフィルタ形成の各色の着色層を重ねて形成する形態も挙げられる。
【0021】
<着色層>
各色の着色層13R、13G、13Bとしては、ここでは、樹脂中に顔料や染料等の着色剤を分散または溶解させた層が用いられる。
各色の着色層の形成方法としては、インクジェット法、印刷法、フォトリソ法等のいずれの方法で形成しても構わないが、高精細さや分光特性の面からは、透明な樹脂中に、光開始剤、重合性モノマー、溶剤等とともに各色形成のための顔料を分散させた着色組成物(感光性樹脂とも言う)を透明基板に塗布した後、選択的にパターン露光し、現像して、形成するフォトリソ法が好ましい。
フォトリソ法に用いる着色組成物(感光性樹脂とも言う)としては、ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれも用いることができるが、通常はネガ型感光性樹脂が用いられる。
このネガ型感光性樹脂としては、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有するもの等が挙げられる。
尚、赤色着色層13Rに用いられる着色剤としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられるが、これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑色画素層13Gに用いられる着色剤としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられるが、これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青色画素層13Bに用いられる着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられるが、これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
赤色着色層13R、緑色着色層13Gおよび青色着色層13Bの厚さは、通常は1〜5μmの範囲で設定される。
【0022】
<透明導電層14>
透明導電層14としては、横電界方式の表示パネルに用いられた際の表示品質を満足でき、帯電防止でき、且つ、液晶の配向の乱れを生じさせないことが要求されるが、これらを満たすものであれば、特に限定はされない。
ここでは、厚さが1000Å、面積抵抗100Ω/□程度の汎用のITOをマスキングして、直接、メッシュ状にスパッタ形成して用いている。
ITO以外では、例えば、非晶質であるIZO層(インジウム亜鉛酸化物層)等を用いても良い。
【0023】
<オーバーコート層15>
オーバーコート層15は、透明性、表面平滑性、上下隣接層との密着性、耐光性、耐熱性、耐薬品性等の幅広い特性が要求され、これを形成するオーバーコート材としては、従来高電気抵抗の光又は熱硬化アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリグリシジルメタクリレート系樹脂、エポキシ樹脂等が用いられている。
【0024】
<柱状物16>
柱状物16は、カラーフィルタ形成基板とTFT基板(対向基板)との間隙(ギャップ)制御機能を行うもので、所望の間隙(ギャップ)に応じて適宜調整されるが、通常は2.5〜5.0μmの範囲で設定され、好ましくは2.5〜4.5μmの範囲で設定され、さらに好ましくは3.0〜4.0μmの範囲で設定される。
例えば、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂のいずれかを主成分とするものが用いられるが、これらに限定はされない。
【0025】
先にも述べたように、図1(a)では、配向層を便宜上、省略して示しているが、カラーフィルタ形成基板10の液晶30と接する面、TFT形成基板20の液晶30と接する面には配設されている。
配向膜の材料としては、ラビング処理により異方性が付与されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどを挙げることができる。
この中でも、ポリイミドを用いることが特に好ましい。
これらの材料は、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
配向膜の厚さは適宜設定することができるが、透明基板11上に設けられた赤色着色層13R、緑色着色層13Gまたは青色着色層13Bを覆うオーバーコート層15上に形成される配向膜の好ましい厚さは0.1〜0.15μmである。
【0026】
次に、本発明の電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の実施の形態の第2の例を、図2に基づいて説明する。
尚、図2(a)は、第2の例の電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の一部断面図で、図2(b)は、透明導電層のみを示した平面図である。
第2の例は、第1の例の透明導電層14の位置を透明基板11上に変え、且つ、透明導電層のメッシュ14Mの開口の形状を、各色の着色層領域に沿う長い四角形として、各色の着色層領域を跨ぐ透明導電層14のブリッジ14Gを隣接する各色の着色層領域毎に互い違いにずらしたものです。
第2の例は、透明導電層14の位置および透明導電層14のメッシュ14Mの開口14Tの形状が異なる点以外は第1の例と同じで、これにより、従来問題となっていた、横電界方式のLCD表示パネル形成に際してのラビング時の静電気対策を主の目的としたカラーフィルタ形成基板の裏面の透明導電層(通常ITO層)のダメージの不具合を解決でき、且つ、横電界方式の表示用パネルに用いられた際に、横電界の乱れを抑制して、確実に液晶の配向の乱れを抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、光透過率の低下を抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の提供を可能としている。
第2の例では、例えば、透明導電層14でカラーフィルタ用の各色の着色層形成領域を5%程度覆い、各画素となる領域の透明導電層14で覆われていない割合である開口率を95%程度とする。
尚、図1(b)では、配向層を便宜上、省略して示しているが、カラーフィルタ形成基板10の液晶30と接する面、TFT形成基板20の液晶30と接する面には配設されている。
また、図1(b)では明示していないが、透明導電層14は、接地電位になるように接続されている。
【0027】
次に、本発明の電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の実施の形態の第3の例を、図3に基づいて説明する。
尚、図3(a)は、第3の例の電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の一部断面図で、図3(b)は、透明導電層のみを示した平面図である。
第3の例は、第1の例の透明導電層14の位置をブラックマトリクス層12上に変え、且つ、透明導電層のメッシュ14Mの開口の形状を、各色の着色層領域に沿う長い四角形として、各色の着色層領域を跨ぐ透明導電層14のブリッジ14Gを隣接する各色の着色層領域毎に互い違いにずらさずに配列させたものです。
第3の例は、透明導電層14の位置および透明導電層14のメッシュ14Mの開口14Tの形状が異なる点以外は第1の例、第2の例と同じで、これにより、従来問題となっていた、横電界方式のLCD表示パネル形成に際してのラビング時の静電気対策を主の目的としたカラーフィルタ形成基板の裏面の透明導電層(通常ITO層)のダメージの不具合を解決でき、且つ、横電界方式の表示用パネルに用いられた際に、横電界の乱れを抑制して、確実に液晶の配向の乱れを抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、光透過率の低下を抑制できる横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板の提供を可能としている。
第3の例では、例えば、透明導電層14でカラーフィルタ用の各色の着色層形成領域をほとんど覆っておらず、ほぼ、カラーフィルタ用の各色の着色層形成領域をメッシュ14Mの開口領域とする。
尚、図1(c)では、配向層を便宜上、省略して示しているが、カラーフィルタ形成基板10の液晶30と接する面、TFT形成基板20の液晶30と接する面には配設されている。
また、図1(c)では明示していないが、透明導電層14は、接地電位になるように接続されている。
【0028】
次に実施例を挙げて、本発明を説明する。
(実施例1)
実施例1のカラーフィルタ形成基板は、第1の例の実施の形態例のカラーフィルタ形成基板において、オーバーコート層15の厚さを4μm、比誘電率を5.0、柱状物の高さを3μmとし、下記のようにして形成したもので、このカラーフィルタ形成基板を用いて実際に表示パネルを作製して、配向の乱れの有無評価したが、配向の乱れは見られなかった。
また、透過率特性も良好であった。
ここでは、液晶の駆動周波数を60Hzと1kHzで行い、光の透過性により評価した。
比誘電率は、60Hzにおけるものである。
ここでの評価は、パネル組み後、パネルに所定の周波数(60Hz、1kHz)にて5Vの電圧を印加し、光の透過が安定的に確認できたものを○、光の透過が不安定であったものを×とした。
具体的には、表示パネルを点灯して目視レベルでちらつきが見えないレベルを○とし、未点灯もしくは点灯して目視レベルでちらつきが見え、点灯が不安定なレベルを×とした。
【0029】
<実施例1のカラーフィルタ形成基板の作製>
透明基板11の一面側に、順に、ブラックマトリクス層12、カラーフィルタ形成用の各色の着色層13R、13G、13B、透明導電層14、オーバーコート層15を積層形成し、更に、オーバーコート層15上への柱状物16の形成は、以下のようにして行った。
先ず、透明基板11として石英ガラスを用い、また、樹脂ブラックマトリクス用材料としては、黒顔料:TMブラック#9550(大日精化工業製)、分散剤:(Disperbyk111(ビックケミー製)、重合体:VR60(昭和高分子製)、光硬化性化合物:SR399E(日本化薬製)、添加剤:L−20(総研化学製)、重合開始剤:イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカル製)、溶剤:エチレングリコールモノブチルエーテル等を用いて作製されたものを用いて、透明基板11の一面に、樹脂ブラックマトリクス用材料を塗布した後、露光用のマスクを用いて選択的にパターン露光し、現像するフォトリソ工程により、ブラックマトリクス層12を形成した。
次いで、透明基板11のブラックマトリクス層12が形成された側に、赤色の着色層13R、緑色の着色層13G、青色の着色層13Bの各色形成用の着色組成物として、それぞれ、表1、表2、表3に示すような組成の着色組成物を用いて、同様にして、フォトリソ工程により、赤色の着色層13R、緑色の着色層13G、青色の着色層13Bを形成した。
【表1】

【表2】

【表3】

【0030】
次いで、透明基板11の各色の着色層が形成された側全体を覆うように、全面に、ITOを厚さ1000Åにしてスパッタ形成した。
ITOの面積抵抗100Ω/□程度であった。
ここでは、マスキングして、直接メッシュ状にスパッタ形成した。
ここでは、メッシュ14Mの各開口14Tはひし形で、透明導電層14でカラーフィルタ用の各色の着色層形成領域を30%覆い、各画素となる領域の透明導電層14で覆われていない割合である開口率を70%とした。
尚、上記のように、メッシュ14Mを形成したが、形成方法はこれに限定はされない。 例えば、スパッタ形成されたベタ状のITO上にレジスト製版して所定形状にレジストの開口を形成して、開口から露出したITO部分をエッチング除去し、その後レジストを剥離してメッシュ14Mを形成する方法もある。
【0031】
次いで、オーバーコート層形成用の材料の調製を、下記のようにして、重合体Aを合成して得た後、それぞれ、前記重合体Aに、光硬化性化合物、エポキシ樹脂、重合開始剤等を加え、これらの組成を変えて、混合し、撹拌して、所望の比誘電率のオーバーコート層形成用の材料を形成し、形成されたオーバーコート層形成用の材料を、透明基板11の各色の着色層が形成された側全体を覆うように塗布して、硬化させて、厚さ4μm、比誘電率5のオーバーコート層を平坦にして形成した。
(重合体Aの合成)
重合槽中にベンジルメタクリレートを15.6重量部、スチレンを37.0重量部、アクリル酸を30.5重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを16.9重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を200重量部、仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2 '−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.8重量部、添加し、均一に溶解させた。
その後、窒素気流下で、85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間反応させた。さらに得られた溶液に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9重量部、トリエチルアミンを0.5重量部、及び、ハイドロキノンを0.1重量部、添加し、100℃で5時間攪拌し、目的とする重合体1(固形分37.2%)を得る。
【0032】
次いで、表4に示す柱状物16形成用の光硬化性の組成物を、オーバーコート層上に塗布して、選択的にパターン露光して、現像するフォトリソ工程により、3μmの高さに柱状物16を形成した。
【表4】

このようにして、実施例1のカラーフィルタ形成基板を作製した。
【0033】
(実施例2)
実施例2のラーフィルタ形成基板は、第1の例の実施の形態例のカラーフィルタ形成基板において、オーバーコート層15の厚さを2μm、比誘電率を2.5、柱状物の高さを3μmとし、メッシュを図3(b)に示す実施形態の第3の例の形態のものとしたもので、このカラーフィルタ形成基板を用いて実際に表示パネルを作製して、配向の乱れの有無評価したが、配向の乱れは見られなかった。
ここでは、液晶の駆動周波数を60Hzと1kHzで行い、光の透過性により評価した。
比誘電率は、60Hzにおけるものである。
実施例2のラーフィルタ形成基板の作製は、ほぼ、実施例1の場合と同様であるが、オーバーコート層15の厚さを2μm、比誘電率を2.5と実施例1とは異なるようにするため、オーバーコート層形成用の材料の調製における組成を変えている。
実施例1で用いた重合体Aに対して、添加剤や、構成組成(成分)を変えることにより、所望の比誘電率、厚さで、オーバーコート層を形成した。
【0034】
(実施例3)
実施例3のラーフィルタ形成基板は、第1の例の実施の形態例のカラーフィルタ形成基板において、オーバーコート層15の厚さを2μm、比誘電率を5.0、柱状物の高さを3μmとしたもので、このカラーフィルタ形成基板を用いて実際に表示パネルを作製して、配向の乱れの有無評価したが、配向の乱れは見られなかった。
ここでは、液晶の駆動周波数を60Hzと1kHzで行い、光の透過性により評価した。
尚、比誘電率は、60Hzにおけるものである。
実施例3のラーフィルタ形成基板の作製は、ほぼ、実施例1の場合と同様であるが、オーバーコート層15の厚さを2μm、比誘電率を5.0と実施例1とは異なるようにするため、オーバーコート層形成用の材料の調製における組成を変えている。
実施例3の場合も、実施例1で用いた重合体Aに対して、添加剤や、構成組成(成分)を変えることにより、所望の比誘電率、厚さで、オーバーコート層を形成した。
【0035】
(比較例1)
比較例1のラーフィルタ形成基板は、実施例3において、透明導電層14をベタ状に設けたもので、実施例3と同様、オーバーコート層15の厚さを2μm、比誘電率を5.0、柱状物の高さを3μmとしたもので、このカラーフィルタ形成基板を用いて実際に表示パネルを作製して、配向の乱れの有無評価したが、配向の乱れが見られた。
ここでは、液晶の駆動周波数を60Hzと1kHzで行い、光の透過性により評価した。
尚、比誘電率は、60Hzにおけるものである。
比較例1のラーフィルタ形成基板の作製は、ほぼ、実施例1の場合と同様であるが、オーバーコート層15の厚さを2μm、比誘電率を5.0と実施例1とは異なるようにするため、オーバーコート層形成用の材料の調製における組成を変えている。
比較例1の場合も、実施例1で用いた重合体Aに対して、添加剤や、構成組成(成分)を変えることにより、所望の比誘電率、厚さで、オーバーコート層を形成した。
【0036】
以下、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1についてのパラメータと評価結果を表5に示しておく。
表5中、メッシュA、メッシュBは、それぞれ、図1(b)、図3(b)に示すメッシュの形態を意味している。
また、ここでの評価は、パネル組み後、パネルに所定の周波数(60Hz、1kHz)にて5Vの電圧を印加し、光の透過が安定的に確認できたものを○、光の透過が不安定であったものを×とした。
具体的には、パネルを点灯して目視レベルでちらつきが見えないレベルを○とし、未点灯もしくは点灯して目視レベルでちらつきが見え、点灯が不安定なレベルを×とした。
【表5】

ここでは、比較例1に示すように、膜厚2μm、比誘電率5の一般的なオーバーコート層(OC層) を用いて、導電層をベタ状とした場合、柱状物の高さが3μmで評価×となっているが、実施例1では、オーバーコート層の比誘電率が5であっても、オーバーコート層の厚みを4μmと厚くし、且つ導電層をメッシュAとすることにより、柱状物の高さが3μmで評価を○とすることができることを示している。
また、実施例2では、オーバーコート層の膜厚を2μmとしても、オーバーコート層の比誘電率を5より小の2.5とし、且つ導電層をメッシュBとすることにより、柱状物の高さが3μmで評価○となることを示している。
また、実施例3では、オーバーコート層の膜厚を2μmとしても、オーバーコート層の比誘電率を5とし、且つ導電層をメッシュAとすることにより、柱状物の高さが3μmで評価○となることを示している。
尚、ここでは、柱状物の高さを3μmとして、オーバーコート層と柱状物の高さの和を5μm以上としているが、メッシュ状の導電層のメッシュの開口形状や開口率を適宜選択することにより、オーバーコート層の膜厚、比誘電率や柱状物の高さの許容範囲を広いものとでき、オーバーコート層と柱状物の高さの和を5μmより小とすることや、柱状物の高さを3μmより低くすることもできる。
【符号の説明】
【0037】
10、10A、10B カラーフィルタ形成基板(単にカラーフィルタ基板とも言う)
10a、10b カラーフィルタ形成基板
11 透明基板
12 ブラックマトリクス層(樹脂ブラックマトリクスとも言う)
13R 第1の着色層(赤色の着色層)
13G 第2の着色層(緑色の着色層)
13B 第3の着色層(青色の着色層)
14 透明導電層
14M メッシュ
14T 開口
14B ブリッジ(繋ぎ部とも言う)
15 オーバーコート層(OC層あるいは保護層とも言う)
16 柱状物
20 TFT形成基板(単にTFT基板とも言う)
30 液晶
110 カラーフィルタ基板
111 透明基板
112 ブラックマトリクス層(樹脂ブラックマトリクスとも言う)
113R 第1の着色層(赤色の着色層)
113G 第2の着色層(緑色の着色層)
113B 第3の着色層(青色の着色層)
115 オーバーコート層(保護層とも言う)
200 液晶表示パネル
120 TFT基板
121 透明基板
122 共通電極
123 画素電極
124 絶縁層
125 保護層
130 液晶
140、141 配向膜
150、151 偏光板
160 電界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、透明基板側から、ブラックマトリクス層、各色のカラーフィルタ用の着色層、オーバーコート層の順として、且つ、前記透明基板と前記オーバーコート層との間に、全面に、透明導電層を配して、前記透明基板の一面側に、前記ブラックマトリクス層、カラーフィルタ用の各色の着色層、オーバーコート層の各層と前記透明導電層とを積層して配し、更に前記オーバーコート層上に、横電界方式の表示パネルを作製する際のTFT形成基板との間隙を保つための柱状物を配したものであり、前記透明導電層は、少なくとも前記カラーフィルタ用の各色の着色層形成領域の一部を開口する開口部を有して全面にわたり電気的に導通していることを特徴とする横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板。
【請求項2】
請求項1に記載の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、前記透明導電層は、全面に、メッシュ状であることを特徴とする横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板。
【請求項3】
請求項2に記載の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、前記透明導電層は、前記各色の着色層形成領域全体を開口して、メッシュ状であることを特徴とする横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、透明基板の一面側に、基板側から順に、前記ブラックマトリクス層、カラーフィルタ用の各色の着色層、透明導電層を配していることを特徴とする横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、基板側から順に、前記ブラックマトリクス層、透明導電層、前記各色の着色層を配していることを特徴とする横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、基板側から順に、前記透明導電層、前記ブラックマトリクス層、カラーフィルタ用の各色の着色層を配していることを特徴とする横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、前記オーバーコート層の膜厚を1.0μm〜5.0μmの範囲としていることを特徴とする横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、前記オーバーコート層の比誘電率値は、周波数が60Hz〜1kHzにおいて5以下であることを特徴とする横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、ブラックマトリクスが、各色の着色層を重ねて形成されていることを特徴とする横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板であって、前記透明導電層がITO層であることを特徴とする横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板。
【請求項11】
横電界方式のLCD表示パネルであって、 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の横電界方式のLCD表示パネル用のカラーフィルタ形成基板を用いていることを特徴とする横電界方式のLCD表示パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−3290(P2013−3290A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132993(P2011−132993)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】