説明

樹脂ペレットの除湿乾燥装置及びその方法

【課題】1台の装置で非結晶化樹脂ペレットと結晶化樹脂ペレットをそれぞれ効率的に除湿乾燥することができ、装置自体の小型化を図りながら樹脂ペレットを効率的に除湿乾燥する。
【解決手段】除湿乾燥装置の制御手段に、第1加熱部材を分割的に加熱制御すると共に第2加熱部材を均一に加熱制御して投入される非結晶化樹脂ペレットを徐々に加熱して結晶化させた後に結晶化した樹脂ペレットを全体に加熱して除湿乾燥する第1除湿乾燥モードと第1及び第2加熱部材を均一に加熱制御して投入される結晶化樹脂ペレットを除湿乾燥する第2除湿乾燥モードを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形機の成形原料である非結晶化樹脂ペレット又は結晶化樹脂ペレットに付着した水分や、含有された結合水を除湿乾燥する樹脂ペレットの除湿乾燥装置、詳しくは非結晶化樹脂ペレット及び結晶化樹脂ペレットの両方を有効に除湿乾燥することができる樹脂ペレットの除湿乾燥装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂ペレットを除湿乾燥する除湿乾燥装置として、例えば特許文献1に示す装置が知られている。この装置は、乾燥ホッパー内に投入された樹脂ペレットを減圧条件下で加熱して表面に付着した水分や含有された結合水を除湿乾燥している。
【0003】
この種の樹除湿乾燥装置は、結晶化された樹脂ペレットを除湿乾燥するのに有効であるが、例えばポリエステル系樹脂のように非結晶化樹脂ペレットを結晶化樹脂ペレットと同様な条件で除湿乾燥すると、樹脂ペレット自体が軟化したり、溶融したりする問題を有している。
【0004】
樹脂ペレットが軟化した場合にあっては、樹脂ペレット同士が付着し合ってブロック化し、樹脂ペレット単位で除湿乾燥できないと共にブロック化した樹脂ペレットでは、樹脂成形機の成形原料としてそのまま使用できなかった。また、樹脂ペレットが溶融した場合にあっては、そのままでは樹脂成形機の成形原料として使用できないのは元より、溶融した樹脂ペレットがホッパーの内面や、ホッパー内で樹脂ペレットを撹拌する撹拌羽根の表面に付着してホッパー内で他の樹脂ペレットが融着しあってブロック化して除湿乾燥させるのを不可能化したり、ホッパーの外面や撹拌羽根に付着した樹脂が断熱材になって樹脂ペレットを効率的に加熱して除湿乾燥するのを困難化している。
【0005】
特に、非結晶化樹脂ペレットにあっては、急激に加熱されると、溶融し易くなって樹脂ペレット相互が融着し合ってブロック化し易くなっている。
【0006】
上記欠点を解決するため、例えば特許文献2に示すように粒状の樹脂を結晶化させる結晶化ホッパーと、該結晶化ホッパーで結晶化させた樹脂を乾燥させる乾燥ホッパーとを備え、結晶化ホッパーの内部には、上下方向に配設されるとともに下端が開口された中空状の回転軸の外表面に撹拌翼を設け、回転軸を回転させると共に該回転軸を介して結晶化ホッパーの内部に熱風を供給する乾燥装置において、回転軸に断熱処理を施した乾燥装置が提案されている。
【0007】
しかし、この種の乾燥装置は、非結晶化樹脂ペレットを結晶化するための結晶化ホッパーと、結晶化した樹脂ペレットを乾燥するための乾燥ホッパーを別々に備えて専用機化する必要があり、装置自体が大型化すると共に高コスト化する問題を有している。
【特許文献1】特許第3233419号公報
【特許文献2】特開2005−28683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、非結晶化樹脂ペレットを除湿乾燥するには装置自体を専用機化する必要があり、装置自体が大型化及び高コスト化する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る樹脂ペレットの除湿乾燥装置は、内部に樹脂ペレットが導入される投入ホッパー部と、投入ホッパー部の上部開口を開閉する第1開閉部材と、投入ホッパー部の排出部に一方端部が連通して接続され、水平方向に軸線を有した中空部内にて第1移送スクリューが回転可能に支持された第1シリンダー部と、第1移送スクリューを所要の送り速度で回転させる第1電動モータと、第1シリンダー部を水平方向に対して分割的に加熱する第1加熱部材と、第1シリンダー部に対して並行配置され、第1シリンダー部の他方端部に連通して接続され、水平方向に軸線を有した中空部内にて第2移送スクリューが回転可能に支持された第2シリンダー部と、第2移送スクリューを所要の送り速度で回転させる第2電動モータと、第2シリンダー部を全体に加熱する第2加熱部材と、第2シリンダー部の一方端部に接続され、第1及び第2シリンダー部内を移送された樹脂ペレットを収容して樹脂成形機の原料供給部に排出する排出ホッパー部と、第2シリンダー部及び排出ホッパー部の接続部開口を開閉する第2開閉部材と、第1及び第2シリンダー部内の空気を排気して所要の減圧状態にする排気部材と、第1加熱部材を分割的に加熱制御すると共に第2加熱部材を均一に加熱制御して投入される非結晶化樹脂ペレットを結晶化した後に除湿乾燥する第1除湿乾燥モード及び第1及び第2加熱部材を均一に加熱制御して投入される結晶化樹脂ペレットを除湿乾燥する第2除湿乾燥モードを備えた制御手段とからなることを特徴とする。
【0010】
請求項6に係る樹脂ペレットの除湿乾燥方法は、上部開口が開閉可能で内部に樹脂ペレットが導入される投入ホッパー部、投入ホッパー部の下部に一方端部が接続され、水平方向に軸線を有した中空部内にて第1移送スクリューが回転可能に支持された第1シリンダー部、第1シリンダー部に対して並行配置された状態で第1シリンダー部の他方端部に接続され、水平方向に軸線を有した中空部内にて第2移送スクリューが回転可能に支持された第2シリンダー部、第2シリンダー部の一方端部に接続され、第1及び第2シリンダー部内を移送された樹脂ペレットを収容して樹脂成形機の原料供給部に排出する排出ホッパー部、第1及び第2シリンダー部内の空気を排気して所要の減圧状態にする排気部材を備えた樹脂ペレット除湿乾燥装置において、結晶化樹脂ペレットを除湿乾燥する際には、第1及び第2シリンダー部の全体を所要の温度で加熱して移送される樹脂ペレットを減圧状態化で除湿乾燥すると共に非結晶化樹脂ペレットを除湿乾燥する際には、第1シリンダー部を移送方向に向かって徐々に高温化するように加熱して移送される樹脂ペレットを結晶化させた後、第2シリンダー部の全体を所要の温度で加熱して移送される結晶化された樹脂ペレットを減圧状態下で除湿乾燥することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、1台の装置で非結晶化樹脂ペレットと結晶化樹脂ペレットをそれぞれ効率的に除湿乾燥することができ、装置自体の小型化を図りながら樹脂ペレットを効率的に除湿乾燥することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、樹脂ペレットの除湿乾燥装置の制御手段に、第1加熱部材を分割的に加熱制御すると共に第2加熱部材を均一に加熱制御して投入される非結晶化樹脂ペレットを結晶化した後に除湿乾燥する第1除湿乾燥モードと第1及び第2加熱部材を均一に加熱制御して投入される結晶化樹脂ペレットを除湿乾燥する第2除湿乾燥モードを備えことを最良の形態とする。
【実施例】
【0013】
以下に実施形態を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至図3において、除湿乾燥装置1は、投入ホッパー部3、第1シリンダー部5、第2シリンダー部7及び排出ポッパー部9から構成される。投入ホッパー部3は、ホッパー容器11の上部に上部開閉装置13を介してインテーク部15が取付けられ、インテーク部15に接続された導入ホース17により樹脂ペレットが導入される。
【0014】
上部開閉装置13は、ホッパー容器11の上部開口及びインテーク部15の下部開口間にて水平方向へ移動するように支持される開閉板13a、該開閉板13aを往復移動するエアーシリンダー等の作動部材13bとから構成される。開閉板13aは、例えば薄手状ステンレス板等の弾性変形可能な金属板からなり、その一部にホッパー容器11の上部及びインテーク部15間の開口に一致する大きさの開口部13cが形成されている。
【0015】
投入ホッパー部3の下部には水平方向に軸線を有した第1シリンダー部5の図示する左端部が、互いに連通するように取付けられている。該第1シリンダー部5は、水平方向に軸線を有した、例えばステンレス等の金属製の上段シリンダー19、該上段シリンダー19内にて回転可能に支持された第1移送スクリュー21及び該第1移送スクリュー21を所要の移送速度で回転する電動モータ23、上段シリンダー19及び第1移送スクリュー21を加熱する第1加熱部材25により構成される。
【0016】
上段シリンダー19には図示する左端側に空気導入口19aが、また図示する中央部及び右端側に空気排出口19bがそれぞれ設けられ、空気導入口19aには給気ホース19cが、また各排出口19bには排気ホース19dがそれぞれ接続されている。
【0017】
第1加熱部材25は第1移送スクリュー21の軸内に、水平方向へ挿入される複数のシーズヒータ25a及び上段シリンダー19の外周面に対して水平方向へ分割的に取付けられる複数の面状ヒータ25bからなる。これら複数個のシーズヒータ25a及び面状ヒータ25bはそれぞれに印加されるそれぞれの電流を通電制御し、上段シリンダー19を全体的に加熱したり、図示する左側から右側に向って温度が徐々に高くなるように加熱する。
【0018】
第1シリンダー部5の図示する右端下部には水平方向に軸線を有した第2シリンダー部7が連通しして第1シリンダー部5と反対の水平方向へ延出するように取付けられている。第1シリンダー部5及び第2シリンダー部7の接続口部5a・7aは上段シリンダー19の内径に一致する大きさの開口に形成されている。
【0019】
第2シリンダー部7は水平方向に軸線を有し、上段シリンダー19と一致する内径で、ステンレス等の金属製からなる下段シリンダー27、該下段シリンダー27内に回転可能に軸支される第2移送スクリュー29、該第2移送スクリュー29を所要の送り速度で回転する電動モータ30と、下段シリンダー27及び第2移送スクリュー29を所要の温度に加熱する第2加熱部材31により構成される。
【0020】
下段シリンダー27の図示する左端側、中央部及び右側には、排気口27aがそれぞれ形成され、これら排気口27aには排気ホース27bがそれぞれ接続されている。
【0021】
第2加熱部材31は第2移送スクリュー29の軸内に挿入されるシーズヒータ31a及び下段シリンダー27の外周面全体にわたって巻付けられる面状ヒータ31bからなる。上記第2加熱部材31は下段シリンダー27をほぼ均一に加熱するように通電制御される。
【0022】
上記した上段シリンダー19における空気導入口19aには空気供給装置33が給気ホース19cを介して、また各排出口19b・27aにはブロアー又は真空ポンプ等の排気装置35が排気ホース19d・27bを介して接続されている。空気供給装置33としては除湿された乾燥空気を供給する構造が望ましい。また、第1及び第2シリンダー19・27の外周面にはグラスウール等の断熱材37が巻き付けられる。
【0023】
第2シリンダー部7の図示する左側下部には排出ホッパー部9が取付けられている。該排出ホッパー部9はバッファーホッパー39、該バッファーホッパー39の下部に下部開閉装置43を介して取付けられる排出ホッパー41により構成される。
【0024】
バッファーホッパー39は、第2シリンダー部7から排出される除温された樹脂ペレットを一時的に溜めるものである。また、下部開閉装置43はバッファーホッパー39及び排出ホッパー41間にて水平方向へ移動するように支持され、弾性変形容易な薄手状ステンレス板等の金属製からなる開閉板43a及び該開閉板43aを水平方向へ選択的に移動するエアーシリンダー等の作動部材43bからなり、開閉板43aの一部にはバッファーホッパー39及び排出ホッパー41間の通路に応じた大きさの開口部43cが形成されている。
【0025】
排出ホッパー41は除温乾燥された樹脂ペレットを樹脂成形機の原料供給部へ供給する際に、樹脂ペレットを一時的に溜めるものであり、排出ホッパー41の下部にはエゼクタ部45が取付けられている。
【0026】
上記したインテーク部15には圧気装置47からの排気ホース47aが、またエゼクタ部45には圧気装置47からの給気ホース47bがそれぞれ接続されている。圧気装置47は、例えばブロアーにより構成され、切換バルブ49により給気及び排気を切換えてインテーク部15内を負圧形成することにより樹脂ペレットをポッパー容器11内に導入させると共にエゼクタ部45内に圧気を供給して除湿乾燥された樹脂ペレットを樹脂成形機の原料供給部(図示せず)へ導入させる。
【0027】
尚、上記したホッパー容器11、バッファーホッパー39の投入上限位置及び排出ホッパー41の下限位置には内部の樹脂ペレット量を検出するレベルセンサー55,57,59がそれぞれ取付けられ、内部にて樹脂ペレットが所要量になった際に検出信号をそれぞれ出力する。また、上段シリンダー19及び下段シリンダー27には水平方向に向かって複数個の温度センサー61・63及び真空センサー65・66がそれぞれ取付けられている。
【0028】
図4において、制御手段67の入力側には、上記した各種レベルセンサー55,57,59,61・63,65・66が入力制御回路68を介して接続されている。そしてレベルセンサー55はホッパー容器11内に、未乾燥の非結晶化樹脂ペレット又は結晶化樹脂ペレットが所要量投入されたときに投入完了信号を制御手段67へ出力する。また、レベルセンサー57はバッファーホッパー39内に除湿乾燥された樹脂ペレットが所要量投入されたときに排出完了信号を制御手段67へ出力する。更に、レベルセンサー59は、排出ホッパー41内に導入された除湿乾燥後の所要量の樹脂ペレットが樹脂成形機の原料供給部へ供給完了したときに、供給完了信号を制御手段67へ出力する。
【0029】
上段シリンダー19に取付けられた複数の温度センサー61は、上段シリンダー19における水平方向の各位置、例えば図示する左側、中央部及び右側における上段シリンダー19の温度をそれぞれ検出して制御手段67へ出力する。また、下段シリンダー27に取付けられた温度センサー63は下段シリンダー27の温度を検出して制御手段67へ出力する。
【0030】
上段シリンダー19及び下段シリンダー27に取付けられた真空センサー65・66は、上段シリンダー19及び下段シリンダー27内の真空度を検出して制御手段67へ出力する。
【0031】
制御手段67の出力側には、バルブ駆動回路69が接続され、レベルセンサー55及び59からの信号に基づいてバルブ駆動回路69に接続された切換バルブ49を給気又は排気へ切換制御する。
【0032】
制御手段67の出力側には、開閉駆動回路71が接続され、起動スイッチ(図示せず)又は各レベルセンサー55・57・59からの信号に基づいてそれぞれの作動部材13b・43bを選択的に開作動及び閉作動させる。
【0033】
制御手段67の出力側には、加熱制御回路73が接続され、温度センサー61・63からの検出信号に基づいて第1及び第2加熱部材25・31への印加電流を制御して上段シリンダー19及び下段シリンダー27による樹脂ペレットの加熱温度を制御する。
【0034】
制御手段67の出力側には、排気駆動回路75が接続され、該排気駆動回路75は真空センサー65からの信号に基づいて排気装置35を駆動制御して上段シリンダー19及び下段シリンダー27内を所要の減圧状態に保たせる。
【0035】
制御手段67の出力側には、給気駆動回路77が接続され、接続された空気供給装置33を駆動して少なくとも上段シリンダー19内に所要量の空気を供給させる。
【0036】
制御手段67の出力側には、モータ制御回路79が接続され、接続された電動モータ23及び30を駆動制御して上段及び下段シリンダー19・27内にて樹脂ペレットを所要の移送速度で移送させる。
【0037】
次に、上記のように構成された除湿乾燥装置1による樹脂ペレットの除湿乾燥作用を説明する。
先ず、結晶化樹脂ペレットの除湿乾燥作用を説明すると、起動スイッチがON操作されると、作動部材13bを開作動してホッパー容器11の上部開口を開放させると共に作動部材43bを閉鎖動してバッファーホッパー39と排出ホッパー41間を閉鎖させた後、切換バルブ49を排気側に切換えてインテーク部15内を排気することにより導入ホース17を介して未乾燥の結晶化樹脂ペレットCRPをホッパー容器11内に負圧吸引して導入させる。(図5参照)
【0038】
そしてホッパー容器11内に導入された結晶化樹脂ペレットCRPが所要量に達してレベルセンサー55から導入完了信号が入力されると、作動部材13bを閉鎖方向へ作動してホッパー容器11の上部開口を閉鎖させる。
【0039】
上記動作時においては、第1加熱部材25におけるそれぞれのシーズヒータ25a及び面状ヒータ25bを、上段シリンダー19が水平方向に対してほぼ全体が一定の温度になるように通電制御すると共に第2加熱部材31のシーズヒータ31a及び面状ヒータ31bを、下段シリンダー27の全体が上段シリンダー19と同様の加熱温度になるように通電制御して所要の温度に加熱される。また、空気供給装置33を作動して少なくとも上段シリンダー19内に所要量の空気を導入しながら排気装置35を作動して上段シリンダー19及び下段シリンダー27内を排気して内部を所要の減圧状態にさせる。
【0040】
次に、上記状態にて電動モータ23・30を駆動して第1及び第2移送スクリュー21・29を所要の送り速度で回転させることによりホッパー容器11内の結晶化樹脂ペレットCRPを上段シリンダー19の図示する左側から右側へ、また下段シリンダー27の図示する右側から左側へ移送及び撹拌しながら上記した減圧状態下で加熱し、付着した水分や含有された結合水を除湿乾燥させる。このとき、結晶化樹脂ペレットCRPは樹脂が結晶化して高い耐熱性を有しているため、上段シリンダー19内への導入当初から高温で加熱しても軟化したり、溶融することなく、所要の温度に加熱される。また、結晶化樹脂ペレットCRPから放出された水蒸気は、空気導入口19aからそれぞれの空気排出口19b及び排気口27aに向う空気流に乗って排気される。(図6参照)
【0041】
そして図7に示すように下段シリンダー27内の図示する左側へ移送された除湿乾燥後の結晶化樹脂ペレットCRPはバッファーホッパー39内に自重落下して溜められ、バッファーホッパー39内の結晶化樹脂ペレットCRPが所要量に達してレベルセンサー57から排出完了信号が出力されると、電動モータ23・30の駆動、空気供給装置33及び排気装置35の駆動をそれぞれ中断させた後、作動部材43bを開作動してバッファーホッパー39内に溜められた結晶化樹脂ペレットCRPを排出ホッパー41へ自重落下させる。そして排出ホッパー41内の結晶化樹脂ペレットCRPを、給気側へ切換えられる切換バルブ49により給気される圧気によりを樹脂成形機の原料供給部へ圧送させる。(図8参照)
【0042】
尚、上記した動作と並行して作動部材13bを開作動してホッパー容器11内に、次に除湿乾燥される結晶化樹脂ペレットCRPを導入可能にさせてもよい。
【0043】
そして排出ホッパー41内の結晶化樹脂ペレットCRPが圧送されてレベルセンサー59から圧送完了信号が出力されると、作動部材43bを閉作動してバッファーホッパー39及び排出ホッパー41間の通路を閉鎖させた後、切換バルブ49を排気側へ切換えて次に除温乾燥する結晶化樹脂ペレットCRPをホッパー容器11内へ導入させる。
【0044】
次に、例えばPETやPEN等のポリエステル系の非結晶化樹脂ペレットNCRPを除湿乾燥する際の作用を説明する。
【0045】
上記したように非結晶化樹脂ペレットNCRPは、結晶化樹脂ペレットCRPに比べて急激に加熱されると、軟化したり、溶融する特性を有している。このため、ホッパー容器11内に非結晶化樹脂ペレットNCRPを導入するに先立って、上段シリンダー19に設けられた第1加熱部材25のそれぞれのシーズヒータ25a及び面状ヒータ25bを、上段シリンダー19の図示する左側を低温域、中間部を中温域、右側を高温域になるように分割的に通電制御して加熱させる。この通電制御は、上段シリンダー19のそれぞれの箇所に設けられた各温度センサー61からの温度検出信号に基づいて実行する。
【0046】
尚、他方の下段シリンダー27にあっては、水平方向の全体においてほぼ均一な温度になるようにシーズヒータ31a及び面状ヒータ31bを通電制御して加熱させる。
【0047】
上記状態において、ホッパー容器11内に所定量の非結晶化樹脂ペレットNCRPを導入した状態で電動モータ23を所要の移送量で回転駆動すると、図9に示すように第1移送スクリュー21の回転に伴って上段シリンダー19の図示する左側に導入された非結晶化樹脂ペレットNCRPを、図示する左側から右側に向って低温加熱領域、中温加熱領域及び高温加熱領域を通過させることにより徐々に加熱して結晶化し、その耐熱性を高める。
【0048】
尚、上段シリンダー19の図示する左側に導入される空気を、図示する中央部及び右側にて排気させることにより空気流が形成されるため、この空気流によりに非結晶化樹脂ペレットNCRPが過度に加熱されるのを回避して軟化したり、溶融したりするのを防止する。
【0049】
上記した上段シリンダー19内の図示する右側へ移送された非結晶化樹脂ペレットNCRPは、上記した加熱により結晶化させられてその耐熱性が高められた状態になり、導入される下段シリンダー27内にて回転する第2移送スクリュー29により図示する左側に向って移送されながら内部の空気が排気口27aを介して排気されることによる所要の減圧状態下で第2加熱部材31により加熱されて付着した水分や内部の結合水を除湿乾燥させる。
【0050】
このとき、下段シリンダー27内においても、空気導入口19aを介して供給される空気の一部が排気口27aから排気されることにより空気流が形成されるため、除湿された水蒸気をこの空気流に乗せて外部へ排出させることにより除湿乾燥を効率的に行わせる。
【0051】
本実施例は、制御手段67により第1及び第2加熱部材25・31を、結晶化樹脂ペレットCRPを除湿乾燥する際には、上段シリンダー19及び下段シリンダー27の全体を所要の温度になるように通電制御して加熱して除湿乾燥する一方、非結晶化樹脂ペレットNCRPを除湿乾燥する際には、第1加熱部材25を、上段シリンダー19の移送方向に向かって徐々に高温化するように通電制御することにより非結晶化樹脂ペレットNCRPを結晶化して耐熱性を高めた後に全体が所要の温度に加熱された下段シリンダー27により加熱して除湿乾燥することができ、1台の除湿乾燥装置1で、非結晶化樹脂ペレットNCRPと結晶化樹脂ペレットCRPの双方を効率的に除湿乾燥することができる。
【0052】
上記説明は、非結晶化樹脂ペレットNCRPを除湿乾燥する際には、上段シリンダー19により樹脂ペレットを結晶化して耐熱性を高めた後に下段シリンダー27により除湿乾燥する構成としたが、上段シリンダー、1基だけでは充分に結晶化できない場合や、同様に下段シリンダー27、1基だけでは結晶化された樹脂ペレットを有効に除湿乾燥できない場合がある。この場合にあっては、図10に示すように結晶化用の第1シリンダー81部及び除湿乾燥用の第2シリンダー83部をそれぞれ多段構成(図示の例では各2段とする。)としてもよい。尚、図においては、実施例と同一の部材に付いては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
上記説明は、第1シリンダー部5の移送方向上手側から内部に空気を導入して第1及び第2シリンダー部内に移送方向に向かう空気流を形成して除湿された水蒸気を、この空気流により外部へ排出可能にしたが、非結晶化樹脂ペレットNCRPを除湿乾燥する際には、第1シリンダー部内には空気を導入させずに第2シリンダー部の移送方向上手側から空気を導入して空気流を形成する構成としてもよい。また、非結晶化樹脂ペレットNCRPを除湿乾燥する際に、第1シリンダー部内に導入する気体としては、空気以外の窒素ガス等の不活性ガスとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】樹脂ペレットの除湿乾燥装置の全体斜視図である。
【図2】樹脂ペレットの除湿乾燥装置の一部略体中央縦断面図である。
【図3】上部シリンダー及び下部シリンダーの拡大断面図である。
【図4】除湿乾燥装置1の制御概略を示す電気的ブロック図である。
【図5】樹脂ペレットの導入状態を示す説明図である。
【図6】除湿乾燥状態を示す説明図である。
【図7】バッファーホッパーへの排出状態を示す説明図である。
【図8】樹脂成形機に対する樹脂ペレットの供給状態を示す説明図である。
【図9】第1シリンダー部における非結晶化樹脂ペレットの加熱状態を示す説明図である。
【図10】各シリンダー部を多段構成とした例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 除湿乾燥装置
3 投入ホッパー部
5 第1シリンダー部
7 第2シリンダー部
9 排出ホッパー部
19 上段シリンダー
21 第1移送スクリュー
25 第1加熱部材
25a シーズヒータ
25b 面状ヒータ
25 下段シリンダー
29 第2移送スクリュー
31 第2加熱部材
31a シーズヒータ
31b 面状ヒータ
35 排気装置
67 制御手段
CRP 結晶化樹脂ペレット
NCRP 非結晶化樹脂ペレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に樹脂ペレットが導入される投入ホッパー部と、投入ホッパー部の上部開口を開閉する第1開閉部材と、投入ホッパー部の排出部に一方端部が連通して接続され、水平方向に軸線を有した中空部内にて第1移送スクリューが回転可能に支持された第1シリンダー部と、第1移送スクリューを所要の送り速度で回転させる第1電動モータと、第1シリンダー部を水平方向に対して分割的に加熱する第1加熱部材と、第1シリンダー部に対して並行配置され、第1シリンダー部の他方端部に連通して接続され、水平方向に軸線を有した中空部内にて第2移送スクリューが回転可能に支持された第2シリンダー部と、第2移送スクリューを所要の送り速度で回転させる第2電動モータと、第2シリンダー部を全体に加熱する第2加熱部材と、第2シリンダー部の一方端部に接続され、第1及び第2シリンダー部内を移送された樹脂ペレットを収容して樹脂成形機の原料供給部に排出する排出ホッパー部と、第2シリンダー部及び排出ホッパー部の接続部開口を開閉する第2開閉部材と、第1及び第2シリンダー部内の空気を排気して所要の減圧状態にする排気部材と、第1加熱部材を分割的に加熱制御すると共に第2加熱部材を均一に加熱制御して投入される非結晶化樹脂ペレットを結晶化した後に除湿乾燥する第1除湿乾燥モード及び第1及び第2加熱部材を均一に加熱制御して投入される結晶化樹脂ペレットを除湿乾燥する第2除湿乾燥モードを備えた制御手段とからなる樹脂ペレットの除湿乾燥装置。
【請求項2】
請求項1の第1加熱部材は、第1移送スクリューの軸内に挿入される複数の軸ヒータ及び第1シリンダー部の外面に取付けられる複数の面状ヒータの少なくともいずれかからなる樹脂ペレットの除湿乾燥装置。
【請求項3】
請求項1の制御手段は、第1除湿乾燥モード時に第1加熱部材を、第1シリンダー部内を移送される樹脂ペレットを、その移送方向に向かって徐々に高温加熱するように多段階的に通電制御すると共に第2除湿乾燥モード時に第1加熱部材を、第1シリンダー部内を移送される樹脂ペレットを、ほぼ一定の温度で加熱するように通電制御する樹脂ペレットの除湿乾燥装置。
【請求項4】
請求項1において、少なくとも第1シリンダー部の移送方向上手側に空気導入部を設け、第1及び第2シリンダー部内に樹脂ペレットの移送方向に向かう空気流を形成可能にした樹脂ペレットの除湿乾燥装置。
【請求項5】
請求項1において、少なくとも第2シリンダー部を折返し状の多段とした樹脂ペレットの除湿乾燥装置。
【請求項6】
上部開口が開閉可能で内部に樹脂ペレットが導入される投入ホッパー部、投入ホッパー部の下部に一方端部が接続され、水平方向に軸線を有した中空部内にて第1移送スクリューが回転可能に支持された第1シリンダー部、第1シリンダー部に対して並行配置された状態で第1シリンダー部の他方端部に接続され、水平方向に軸線を有した中空部内にて第2移送スクリューが回転可能に支持された第2シリンダー部、第2シリンダー部の一方端部に接続され、第1及び第2シリンダー部内を移送された樹脂ペレットを収容して樹脂成形機の原料供給部に排出する排出ホッパー部、第1及び第2シリンダー部内の空気を排気して所要の減圧状態にする排気部材を備えた樹脂ペレット除湿乾燥装置において、結晶化樹脂ペレットを除湿乾燥する際には、第1及び第2シリンダー部の全体を所要の温度で加熱して移送される樹脂ペレットを減圧状態化で除湿乾燥すると共に非結晶化樹脂ペレットを除湿乾燥する際には、第1シリンダー部を移送方向に向かって徐々に高温化するように加熱して移送される樹脂ペレットを結晶化させた後、第2シリンダー部の全体を所要の温度で加熱して移送される結晶化された樹脂ペレットを減圧状態下で除湿乾燥する樹脂ペレットの除湿乾燥方法。
【請求項7】
請求項6において、第1シリンダー部内を移送される非結晶化樹脂ペレットを結晶化する際に、該第1シリンダー部内を所要の減圧状態とした樹脂ペレットの除湿乾燥方法。
【請求項8】
請求項6において、第1シリンダー部の移送方向上手側から空気を導入して排気されることにより空気流を形成し、該空気流に除湿された水蒸気を排出可能にした樹脂ペレットの除湿乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−160581(P2007−160581A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357122(P2005−357122)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000132231)株式会社スター精機 (47)
【Fターム(参考)】