説明

樹脂収容容器、現像剤用カートリッジおよびトナー用カートリッジ

【課題】樹脂、トナーやキャリアより経時により発生する臭気成分を分解して消臭、脱臭する。
【解決手段】現像剤用またはトナー用カートリッジ20A(以下、両者を纏めて「カートリッジ20」と略す)には、微生物を内在させる表面孔付き中空撹拌部材である撹拌用回転軸22が設けられ、さらに、カートリッジ20Aの内壁に微生物担持体が塗着させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂由来の臭気成分を分解、消臭または脱臭する機能を有する樹脂収容容器、並びに複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置において、静電荷像の現像の為に使用する静電荷像現像用トナーおよびこれを用いた静電荷像現像剤に由来する臭気成分を分解、消臭または脱臭するカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂などの合成高分子樹脂の製造には、有機溶剤が用いられる。そのため、製造された合成高分子樹脂には、残留した極少量の該有機溶剤が含まれることがある。また、上記合成高分子樹脂には、微量の未反応重合性単量体や不純物が含まれることもある。このような合成高分子樹脂を長時間容器に収容すると、上述した微量の未反応重合性単量体や不純物、極少量の有機溶剤が徐々に揮発し、容器内に臭気成分が充満してしまう場合がある。
【0003】
また、電子写真法では、一般的には、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像を静電荷像現像用トナー(以下「トナー」と略す場合がある)を用いて現像しトナー像を形成した後、このトナー像を、場合により中間転写体を介して、紙等の被転写体表面に転写し、加熱、加圧、加熱加圧あるいは溶剤蒸気等により定着する、という複数の工程を経て、画像が形成される。また、感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再びトナー像の現像に利用される。
【0004】
トナー像を長期にわたって安定に形成するための現像剤の特性としては、例えば現像剤を構成するトナー、あるいは二成分現像剤の場合はキャリアの個々の材料特性、粒度分布等が知られ、これらを調整することで、適当な帯電量と帯電量分布を有する現像剤を得ることにより、該潜像にトナーを現像し、同時に非潜像にはトナーを付着させないといった現像剤の特性を得ることができる。
【0005】
上述したトナーは、一般に混練粉砕法や化学製法により製造され、上述した合成高分子樹脂と同様に、トナーには微量の未反応重合性単量体や不純物や製造時に残留した極少量の溶剤が含まれることがある。このため、トナー用カートリッジ内にトナーを充填し、一定時間経過すると、トナー用カートリッジ内に、トナーより揮発した微量の未反応モノマーや不純物、極少量の溶剤に由来する臭気成分が充満し、トナー用カートリッジの開封時に臭気成分が大気中に拡散し、不快感を与える場合がある。
【0006】
また、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置が動作時に発熱すると、電子写真装置に装填されたトナー用カートリッジが加温される。かかる場合、トナー用カートリッジ内に充填されたトナーから、微量の未反応重合性単量体や不純物、極少量の溶剤がより揮発し易くなり、これにより、トナー用カートリッジ内に揮発生成した臭気成分が徐々に大気中に放出され、使用者に不快感を与える可能性がある。
【0007】
また、上述した二成分現像剤に使用されるキャリアが樹脂被覆キャリアや磁性粉分散型キャリアである場合にも、上記同様、キャリアにも微量の未反応重合性単量体や不純物、製造時に残留した極少量の溶剤が含まれる。このため、現像剤用カートリッジ内にトナーのみならず上記キャリアを充填し、一定時間経過すると、現像剤用カートリッジ内に、トナーおよびキャリアから揮発した微量の未反応重合性単量体や不純物、極少量の溶剤に由来する臭気成分が充満し、現像剤用カートリッジの開封時に臭気成分が大気中に拡散し、不快感を与える場合がある。
【0008】
同様に、上記電子写真装置の動作時の発熱により、電子写真装置に装填された現像剤用カートリッジが加温されると、現像剤用カートリッジ内に充填されたトナーおよびキャリアから、微量の未反応重合性単量体や不純物、極少量の溶剤が揮発し始める。これにより、現像剤用カートリッジ内に揮発生成した臭気成分が徐々に大気中に放出され、上記同様、使用者に不快感を与える場合がある。
【0009】
上述した臭気成分を低減させるトナーの製造方法として、少なくとも重合性単量体を水系溶媒中で重合させて形成した樹脂と着色剤とを含有するトナー粒子を水系媒体から分離する以前に、フィトンチッド類やカテキン類の植物抽出成分、酵素、金属フタロシアニン類を含有する消臭剤により処理する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0010】
また、水系媒体中において、ラジカル重合性単量体、着色剤および連鎖移動剤を含有してなるラジカル重合性単量体組成物を懸濁重合することによって得られる生成物を洗浄する洗浄工程を有するトナーの製造方法において、上記洗浄工程にて、チオバチルス属に属する微生物と、当該微生物によって生成する硫黄酸化物を中和する中和剤とを含有する水を使用して臭気成分を低減させるトナーの製造方法が提案されている(例えば、特許文献2)。上記製造方法では、チオバチルス属に属する微生物によって、ラジカル重合性単量体組成物由来の硫黄系臭気成分を酸化して硫黄酸化物(例えば硫酸)に変え、消臭するととともに、生成した硫黄酸化物を中和剤によって中和して、微生物の酸化活性低下を抑制している。
【0011】
また、プリンタ、複写装置において用いられるトナーにおいて、トナー容器の開封時や、使用時において不快な臭気のないトナーを提供するために熱可塑性樹脂及び着色剤を含有するトナーにおいて、少なくとも使用開始時まで脱臭性を有する触媒物質として、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタンが添加された静電荷現像用トナーが提案されている(例えば、特許文献3)。
【0012】
また、通常のトナー製造方法においてごくわずかに残存する臭気物質や、製造後の保管環境等によってトナー成分の一部が分解して生ずる微量の臭気物質を十分に脱臭・除去した、トナー自体の臭いと定着時の臭気が少ないトナーを提供することために、少なくともトナー使用開始時点まで、消臭剤として硫酸第一鉄や鉄クロロフィルや銅クロロフィルなどの人工酵素が添加された静電潜像現像用トナーが提案されている(例えば、特許文献4)。
【0013】
【特許文献1】特開2002−123038号公報
【特許文献2】特開2003−149862号公報
【特許文献3】特開2000−029236号公報
【特許文献4】特開2000−330326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、樹脂由来の臭気成分、並びにトナーおよび現像剤由来の臭気成分を、容器またはカートリッジに内在された微生物により分解させ、消臭または脱臭する樹脂収容容器、現像剤用カートリッジおよびトナー用カートリッジを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す本発明を完成するに至った。本願発明は、以下の特徴を有する。
【0016】
(1)多孔質撹拌部材または表面孔付き中空撹拌部材に微生物を内在させる樹脂収容容器である。
【0017】
(2)上記(1)に記載の樹脂収容容器において、さらに、樹脂収容容器の内壁に微生物担持体を塗着させる樹脂収容容器である。
【0018】
(3)上記(1)または(2)に記載の樹脂収容容器において、前記微生物は、温度60℃の環境下で生存可能な微生物である樹脂収容容器である。
【0019】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の樹脂収容容器が現像剤用カートリッジである現像剤用カートリッジである。
【0020】
(5)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の樹脂収容容器がトナー用カートリッジであるトナー用カートリッジである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、開封前の容器または開封前のカートリッジに充満した樹脂由来の臭気成分を容器またはカートリッジに内在された微生物により分解して消臭または脱臭させるだけでなく、特に、電子写真装置の動作時の発熱により、電子写真装置に装填されたトナー用カートリッジや現像剤用カートリッジ内に充填されたトナーやキャリアから揮発する微量の未反応重合性単量体や不純物、極少量の溶剤に由来する臭気成分を随時分解して、消臭または脱臭することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態における樹脂収容容器、現像剤用カートリッジおよびトナー用カートリッジついて、以下説明する。
【0023】
[樹脂収容容器]
図1に、本実施の形態における樹脂収容容器の一例の構造を示す。図1に示すように、樹脂収容容器10Aの内部に、細孔14が複数設けられ且つ微生物が内包された棒状の撹拌部材12aが設けられ、この撹拌部材12aは回転軸を介して駆動源16に接続されている。ここで、細孔14は、樹脂収容容器10Aの内部の気体と撹拌部材12aの気体とを流通可能にするために設けられ、主に、樹脂収容容器10Aの内部の臭気成分を含む気体や湿気を撹拌部材12a内に通気および通湿させるとともに、撹拌部材12aにより浄化された気体を樹脂収容容器10A内に放出するために設けられている。また、駆動源16は、例えばモータなどを用いることができる。なお、図1では、樹脂収容容器10Aの中央部に撹拌部材12aを設置しているが、これに限るものではなく、樹脂から揮発する臭気成分を分解し消臭、脱臭可能であれば、樹脂収容容器10Aの内部であれば、如何なる個所に設置してもよく、図1では、撹拌部材12aは、表面孔付き中空撹拌部材を例に取って説明したが、これに限るものではなく、多孔質撹拌部材であってもよい。
【0024】
図2には、本実施の形態における樹脂収容容器の他の例の構造が示されている。なお、図1と同一の構成には同一の符号を付しその説明を省略する。図2に示すように、樹脂収容容器10Bの内部に、細孔14が複数設けられ且つ微生物が内包された螺旋状の撹拌部材12bが設けられ、この撹拌部材12bは回転軸を介して駆動源16に接続されている。上記螺旋状の撹拌部材12bの細孔14については、上述した図1に示す細孔14塗同様の機能を有する。なお、図2では、樹脂収容容器10Bの中央部に撹拌部材12bを設置しているが、これに限るものではなく、樹脂から揮発する臭気成分を分解し消臭、脱臭可能であれば、樹脂収容容器10Bの内部であれば、如何なる個所に設置してもよく、図2では、撹拌部材12bは、表面孔付き中空撹拌部材を例に取って説明したが、これに限るものではなく、多孔質撹拌部材であってもよい。
【0025】
図3には、本実施の形態における樹脂収容容器の他の例の構造が示されている。なお、図1と同一の構成には同一の符号を付しその説明を省略する。樹脂収容容器10Cの内壁の少なくとも一部に、上述した細孔14が複数設けられ且つ微生物が内包された棒状の撹拌部材12aの他に、微生物が内包された内包体又は微生物が担持された担持体のいずれかからなる消臭脱臭塗膜18が設けられている。なお、消臭脱臭塗膜18の詳細については後述する。また、図1では、樹脂収容容器10Cの一側面に消臭脱臭塗膜18を設けているが、これに限るものではなく、樹脂から揮発する臭気成分を分解し消臭、脱臭可能であれば、樹脂収容容器10Cの内部のいずれの内壁面またはいずれの複数内壁面に消臭脱臭塗膜18を設けてもよく、また消臭脱臭塗膜18は、樹脂収容容器10のある内壁面の全面であっても一部であってもよい。但し、臭気成分が空気より軽い場合には、樹脂収容容器10Cの上内壁面に消臭脱臭塗膜18を設けることが好ましい。また、図3では、微生物内包の棒状の撹拌部材12aが設けられているが、これに限るものではなく、図2に示すような微生物内包の螺旋状の撹拌部材12bを用いてもよい。
【0026】
図1から図3に示す撹拌部材12a,12bにより常時撹拌してもよいが、断続的に撹拌してもよく、またその撹拌速度は、5rpmから50rpmである。
【0027】
[現像剤用カートリッジおよびトナー用カートリッジ]
図4,図5には、本実施の形態における現像剤用カートリッジおよびトナー用カートリッジ(以下、両者を纏めて「カートリッジ」と略す場合がある)の例が模式的に示されている。
【0028】
図4に模式的に示すカートリッジ20Aは、撹拌式カートリッジにおける一例であって、ブラシ26が植毛された撹拌用回転軸22自体が微生物を内在する撹拌部材になっている。撹拌用回転軸22には微生物が内包され、さらに撹拌用回転軸22の表面には複数の細孔24が設けられている。この細孔24は、カートリッジ20Aの内部の気体と撹拌用回転軸22内の気体とを流通可能にするために設けられ、主に、カートリッジ20Aの内部の気体および湿気を微生物が封入された撹拌用回転軸22内へ通気および通湿させるとともに、撹拌用回転軸22内の微生物により浄化された気体をカートリッジ20A内に放出するために設けられている。
【0029】
図5に模式的に示すカートリッジ20Bは、図4に示す微生物を内在する撹拌用回転軸22(図5にて図示せず)に加え、さらにカートリッジ20Bの内壁の少なくとも一部には、微生物が担持された消臭脱臭塗膜28が設けられている。なお、消臭脱臭塗膜28の詳細については、後述する。また、図5では、消臭脱臭塗膜28は、カートリッジ20Bが電子写真装置に装填された際に、カートリッジ20Bの内壁上方に設置されることが好ましい。通常、装填されたカートリッジ20Bの下方部に現像剤のトナーやキャリアから滞留していることから、カートリッジ20Bの上方に空間が形成され易い。そして、上記空間には、トナーやキャリアより揮発した臭気成分の大部分が存在することから、カートリッジ20Bの内壁上方に消臭脱臭塗膜28を設置することにより、効率良く臭気成分が分解され消臭、脱臭される。
【0030】
図4,図5に示す撹拌用回転軸22により常時撹拌してもよいが、断続的に撹拌してもよく、またその撹拌速度は、5rpmから50rpmである。
【0031】
[撹拌部材]
上述した図1から図3に示す撹拌部材12a,12bおよび図4,5に示す撹拌用回転軸22に、微生物を内在させる方法としては、例えば、微生物を内包または担持するための吸水性ゲルを撹拌部材12a,12bおよび撹拌用回転軸22内に充填する方法、または、微生物を内包または担持するための吸水性ゲルをパルプモールド、紙、布などに担持させた担持体を撹拌部材12a,12bおよび撹拌用回転軸22内に充填する方法、さらに上記担持体をさらに通気性を有する不織布に内包しそののち撹拌部材12a,12bおよび撹拌用回転軸22内に充填する方法などが挙げられる。
【0032】
[吸水性ゲル]
上記微生物を内包または担持するための吸水性ゲルとしては、吸水性のある高分子吸水性樹脂、吸水性パルプ、パルプモールド、紙、布、セルロースビーズ、多孔質ビーズ、シリカゲルなどが挙げられ、高分子吸水性樹脂としては、ポリアクリル酸塩系、アクリル酸とアクリル酸ナトリウムの共重合物、PVA(ポリビニルアルコール樹脂)、澱粉とアクリル酸グラフト化物などを挙げる。さらに、天然由来高分子として、例えば、−OH、−COOHなどの親水性官能基を多く有するゲルを形成可能なゼラチン、アルギン酸、キトサン等が挙げられる。上記高分子吸収性樹脂としては、例えば、重量平均分子量が5万から50万、好ましくは重量平均分子量が10万から50万であって、−OH、−COOHなどの親水性官能基を多く有するものを用いる。
【0033】
上記吸水性ゲル中に、以下に示す60℃の環境下でも生存可能な微生物を、ゲル内に注入またはゲル表面付近に担持させる。
【0034】
[微生物]
上述した吸水ゲルに注入または担持させる微生物としては、例えば、メルカプタン類、硫化水素、アンモニアおよびアミン類の消臭、脱臭に極めて優れた効果を有する、アスペルギルスグラウカス(Aspergillus glaucus )、アスペルギルスオチラセウス(Aspergillus ochraceus )、アスペルギルスルーバー(Aspergillus ruber )、アスペルギルステレウス(Aspergillus terreus )、ペニシリウムグラウカム(Penicillium glaucum)、またはリゾプスオリゴスポラス(Rhizopus oligospolus)などが挙げられ、また、アンモニア濃度が低下する微生物であれば使用できるが、例えばウレアーゼ陰性のBacillus amyloliquefaciやEnterobacter aerogenesなどの微生物が挙げられ、さらに、硫黄系悪臭成分を酸化することによって硫酸を産生して分解するチオバチルス属系微生物としては、チオバチルス・チオオキシダンス、チオバチルス・フェロオキシダンス、チオバチルス・チオパルス、チオバチルス・デニトリフィガンス、チオバチルス・ネアポリタナス、チオバチルス・テピタリアス、チオバチルス・ベルサタス、チオバチルス・インターメディアスなどが挙げられる。これらのチオバチルス属系微生物は単独あるいは組み合わせて使用することができる。なお、チオバチルス属系微生物を用いる場合には、後述する担体に、中和剤として、例えば、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸水素塩を添加する必要があり、具体的には、アルカリ土類金属の炭酸塩としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウムなどが好適に用いられ、また、アルカリ土類金属としては、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素ストロンチウムなどが好適に用いられる。
【0035】
[微生物を担体である吸水性ゲルに担持させる方法]
上述した吸水性ゲルを微生物を分散させた混合液にビーズ状になるように剪断撹拌することにより、吸水性ゲル中に微生物を内包または吸収性ゲル表面付近に微生物を担持させる。ここで、上記吸水性ゲルのビーズの平均粒径は0.01mmから0.5mmであり、1つのビーズあたり微生物が平均で10個以上100個以下で存在するように調製する。し、不織布1cm2あたり1000個の微生物が存在するように調製する。または、上記ビーズ状に加工した吸水性ゲルの表面に、微生物含有溶液を噴霧したり塗布したりすることにより、微生物を植菌する。なお、上記ビーズの平均粒径は、100個のビーズに関し画像解析を行い、平均粒径を求めている。
【0036】
[微生物担持吸水性ゲルを用いた他の担持体の製造方法]
本実施の形態では、上記有機質担体を用いる場合には、上記有機質担体を水溶液中に分散させて、高粘度溶液の溶液に微生物を分散させた混合液を作成する。次いで、この混合液に、ポリエステル樹脂等の合成樹脂繊維からなる不織布(繊維間の目の大きさは平均100μm)を浸漬させたのち、引き揚げながらローラで絞り、50℃から70℃の雰囲気下で乾燥させて微生物を包含するカプセルを繊維間に含有するシートを形成する。ここで、微生物は、カプセル内に平均で10個以上100個以下で存在し、不織布1cm2あたり1000個の微生物が存在するように調製する。一方、上記無機質担体を用いる場合には、微生物含有溶液を無機質担体に噴霧したり塗布したりすることにより、無機質担体に微生物を植菌する。
【0037】
[消臭脱臭塗膜]
また、上述した図3,図5に示す消臭脱臭塗膜18、28は、微生物と、微生物を担持する無機質担体と、保水性を有し塗着性の高い有機高分子化合物とを含む。消臭脱臭塗膜18,28は、微生物を担持させた無機質担体と、有機高分子化合物と、これらを希釈するための溶媒(例えば、水、アルコール類)とを含む溶液を、スプレー、はけ、バーコータ等の塗布手段を用いて塗布することにより形成される。
【0038】
上記無機質担体としては、例えば、親水性無機質粒子が好ましく、親水性無機質粒子としては、ゼオライト、ケイソウ土、活性炭、アンスラサイトなど、臭気成分を分解する微生物が付着する程度の親水性を有する無機質の粒子が好ましい。ゼオライト、ケイソウ土、活性炭のように多孔質のものが好ましいが、アンスラサイトのように必ずしも多孔質でなくてもよい。これらの粒子の比重は特に制限されないが、1.0〜5.0、好ましくは2.0〜3.0のものが望ましい。また粒径は10〜100μm、好ましくは10〜50μmのものが望ましい。
【0039】
特に、無機質担体として、ゼオライトが好ましい。ゼオライトは、沸石とも呼ばれ、一般式、MxO・Al23・ySiO2・zH2O(Mは金属元素、x、y、zは整数)で表される結晶性含水アルミノけい酸のアルカリ(土類)金属塩である。
【0040】
ゼオライトは、イオン交換能と可逆的に水を保持する性質とを有し、吸着剤、調湿剤、イオン交換材料等として広く用いられている。また大きく分けて、鉱物資源として得られる天然ゼオライト、シリカ、アルミナ等を原料として合成される合成ゼオライト、石灰灰等を処理して得られる人工ゼオライトがある。本実施形態で用いられるゼオライトとしては特に制限はないが、吸着性能、イオン交換能等に優れた合成ゼオライトまたは人工ゼオライトが好ましい。具体的にはゼオラム(東ソー株式会社製)、HSZシリーズ(東ソー株式会社製)、ゼオスター(日本化学工業株式会社製)、シーキュラス(中部電力株式会社製)等が挙げられる。
【0041】
無機質担体に担持させる微生物は、上述したものと同じものを用いることができる。
【0042】
一方、保湿性を有し塗着性の高い有機高分子化合物としては、例えば、重量平均分子量が500から10万のエポキシ樹脂、重量平均分子量が1,000から1万の(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルとの重合体、イソブチレン−無水マレイン酸Na・Ca共重合体、またはこれらの混合物を用いる。特に、イソブチレン−無水マレイン酸Na・Ca共重合体の場合、その保湿性と塗着性を考慮し、無水マレイン酸Na・Caの比は、50:50から90:10が好ましい。また、上記有機高分子化合物は、例えばトナーカートリッジ内のブラシによる摩擦等の機械強度にも耐えるものが好ましい。
【0043】
また、図1から図5における微生物の量は、樹脂収容用器またはカートリッジの内容積に対し少なくとも50万〜2500万個である。微生物の量が50万個未満の場合には、所定の消臭効果が望めず、微生物の量が2500万個を超えると、充填量が多くなりすぎて撹拌部材12a,12bまたは撹拌用回転軸22の撹拌効率が減少する可能性がある。
【0044】
[樹脂]
図1に示す樹脂収容容器10に収容される樹脂は、如何なる樹脂でも良いが、例えば、ポリエステル樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ウレタン樹脂、スチレン−アクリル系樹脂などが挙げられる。
【0045】
[現像剤]
図2から図5に示すカートリッジ20A,20Bに封入される現像剤は、静電荷像現像用トナーが、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。また、二成分現像剤として用いる場合には、後述するキャリアと混合して使用される。そこで、まず、本実施の形態の静電荷像現像用トナーについて以下に説明する。
【0046】
本実施の形態の静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)の製造方法としては、例えば、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が使用できる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。
【0047】
使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等をあげることができる。
【0048】
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
【0049】
離型剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
また、本実施の形態の静電潜像現像用トナーには、必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。本発明におけるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
【0051】
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0052】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
【0055】
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
【0056】
一般に、キャリアは適度な電気抵抗値を有することが必要であり、具体的には108〜1014Ωcm程度の電気抵抗値が求められている。例えば、鉄粉キャリアのように電気抵抗値が106Ωcmと低い場合には、スリーブからの電荷注入によりキャリアが感光体の画像部へ付着したり、潜像電荷がキャリアを介して逃げ、潜像の乱れや画像の欠損等を生じたりする等の問題が生じる。一方、絶縁性の樹脂を厚く被覆してしまうと電気抵抗値が高くなりすぎ、キャリア電荷がリークしにくくなり、その結果エッジの効いた画像にはなるが、反面大面積の画像面では中央部の画像濃度が非常に薄くなるというエッジ効果という問題が生じる。そのためキャリアの抵抗調整のために樹脂被覆層中に導電性微粉末を分散させることが好ましい。
【0057】
キャリア抵抗は、2枚の極板電極の間にキャリア粒子を挟み、電圧を印加した時の電流を測定する、通常の極板間式電気抵抗測定法により求め、103.8V/cmの電界下での抵抗で評価する。
【0058】
導電粉自身の電気抵抗は108Ωcm以下が好ましく、105Ωcm以下がより好ましい。導電粉の具体例としては、金、銀、銅のような金属;カーボンブラック;酸化チタン、酸化亜鉛のような導電性の金属酸化物単体系;酸化チタン、酸化亜鉛、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ等の粒子の表面を導電性の金属酸化物で被覆した複合系などが挙げられる。製造安定性、コスト、電気抵抗の低さという観点からカーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックの種類は特に限定されないが、製造安定性の良いDBP(ジブチルフタレート)吸油量が50〜300ml/100gの範囲のものが好適である。導電粉の体積平均粒径は0.1μm以下が好ましく、分散のためには体積平均一次粒径が50nm以下のものが好ましい。
【0059】
上記樹脂被覆層を、キャリア芯材の表面に形成する方法としては、例えば、キャリア芯材の粉末を被膜層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被膜層形成用溶液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被膜層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリア芯材と被膜層形成用溶液を混合し溶剤を除去するニーダーコーター法、被膜樹脂を粒子化し被膜樹脂の融点以上でキャリア芯材とニーダーコーター中で混合し冷却して被膜させるパウダーコート法が挙げられるが、ニーダーコーター法及びパウダーコート法が特に好ましく用いられる。
【0060】
本実施の形態の静電潜像現像用キャリアにおいて用いられる芯材(キャリア芯材)としては、特に制限はなく、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、又は、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、磁気ブラシ法を用いる観点からは、磁性キャリアであるのが望ましい。キャリア芯材の平均粒径としては、一般的には10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。
【0061】
前記二成分現像剤における本実施の形態の静電荷現像用トナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
【実施例】
【0062】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「重量部」を意味する。
【0063】
[樹脂ペレットAの調製]
(共重合ポリエステル樹脂ペレットの製造)
テレフタル酸1661g(100モル部)、トリエチレングリコール1352g(90モル部)、エチレングリコール341g(55モル部)、ビスフェノールAエチレングリコール付加物316g(10モル部)からなる混合物を、攪拌しながら、オートクレーブ中で240℃で3時間加熱してエステル化反応を行った。次いで、260℃に昇温し、触媒として酢酸亜鉛1.3gを投入し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとし、重縮合反応を行った。4時間後、得られたものをポリエステル樹脂とし、このポリエステル樹脂を重合した後、直接、払出し弁を通じて、水中カッタに押し流し、ペレット 化した。循環水には、平均粒子径7μmの酢酸ビニル水性分散体(三井化学社製ケミパールV200)を循環水に樹脂分濃度が5質量%になるように添加し、循環水の温度は10℃、ペレット の冷却時間は10分になるようにした。ペレット を10℃の冷風によって乾燥を行った。
【0064】
[樹脂ペレットBの調製]
ABS樹脂(ダイセル化学社製:セビアンV−450)を用いて、2軸押出機(40mm径、L/D=30、シリンダー温度260〜280℃)で溶融混練を行い、ABS樹脂ペレット (サイズ:φ2mm×3mm)を作製した。
【0065】
[トナーAの調製]
<各分散液の調製>
−結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液の調製−
加熱乾燥した三口フラスコに、1,12−ドデカンジカルボン酸269部、および1,10−デカンジオール167部と、触媒としてテトラブトキシチタネートを0.035部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて220℃まで徐々に昇温を行い2.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところで樹脂酸価を測定し、樹脂酸価が13.9 mgKOH/gになったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
【0066】
得られた結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)を後述の方法にて測定したところ12000であった。また、得られた結晶性ポリエステル樹脂の融点を、前述の測定方法により示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ72℃であった。
【0067】
ついで、この結晶性ポリエステル樹脂を180部及び、脱イオン水585部をステンレスビーカーに入れ、温浴につけ、95℃に加熱した。結晶性ポリエステル樹脂1が溶融した時点で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて8000rpmで攪拌し、同時に希アンモニア水を添加しpHを7.0に調整した。ついでアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンR)0.8部を希釈した水溶液20部を滴下しながら、乳化分散を行ない、体積平均粒径が0.24μmの結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液[樹脂微粒子濃度:12.4%]を調製した。
【0068】
−非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液の調製−
加熱乾燥した二口フラスコに、アジピン酸ジメチル74部、テレフタル酸ジメチル192部、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物216部、エチレングリコール38部と、触媒としてテトラブトキシチタネート0.037部とを入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150〜230℃で約12時間共縮重合反応させ、その後、210〜250℃で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂を合成した。
【0069】
得られた非晶性ポリエステルのガラス転移温度を、前述の測定方法により示差走査熱量系(DSC)を用いて測定したところ、62℃であった。また、得られた非晶性ポリエステル1の分子量を前述の測定方法によりGPCを用いて測定したところ、重量平均分子量(Mw)が10000、数平均分子量(Mn)が5500であった。また、得られた非晶性ポリエステル1の酸価を測定したところ、15.1 KOHmg/gであった。
【0070】
次いで、この非晶性ポリエステル樹脂を115部と、脱イオン水180部と、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンR)5部とを混合して120℃に加熱した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)にて十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を1時間行うことにより、非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(樹脂粒子濃度:40重量%)を調製した。
【0071】
−黒着色剤分散液の調製−
カーボンブラック リーガル330:(キャボット社製)99重量部と、アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)15重量部と、イオン交換水300重量部とを混合し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した後、循環式超音波分散機(日本精機製作所製、RUS−600TCVP)にかけることによって黒着色剤分散液を得た。
【0072】
得られた、黒着色剤分散液内における着色剤(カーボンブラック)の体積平均粒径を、前述の測定方法によりレーザー回折粒度測定器を用いて測定したところ、体積平均粒径は0.25μmであった。また、黒着色剤分散液の固形分比率は24重量%であった。
【0073】
−離型剤分散液の調製−
フィッシャートロプシュワックスFNP92(融点92℃:日本精鑞社製)100重量部と、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR)3.6重量部と、イオン交換水400重量部とを混合し、100℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)にて十分分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、離型剤分散液を得た。
【0074】
得られた、離型剤分散液内における離型剤の体積平均粒径を、前述の測定方法によりレーザー回折粒度測定器を用いて測定したところ、体積平均粒径は0.23μmであった。また、離型剤分散液の固形分比率は20重量%であった。
【0075】
<トナーの製造>
−トナーAの製造−
結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液を105部と、非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液を336部と、黒着色剤分散液45部と、離型剤分散液115部と、脱イオン水402部とを丸型ステンレス製フラスコ中に入れて、ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した。
【0076】
次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.37部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。さらに加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら52℃まで加熱した。52℃で3時間保持した後、ここに非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液1を緩やかに175部追加した。
【0077】
その後、0.5N水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを8.5にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら90℃まで加熱し、3時間保持した。
【0078】
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3Lに再分散し、15分間、300rpmで攪拌・洗浄した。
【0079】
これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7.00、電気伝導度8.7μS/cm、表面張力が7.08Nmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5Aろ紙を用いて固液分離を行い、次いで真空乾燥を12時間実施し、トナー母粒子Aを得た。
【0080】
次にトナー母粒子Aの100重量部に対し、疎水性シリカ(キャボット製、TS720)を1.5重量部添加し、ヘンシェルミキサーにて3000rpmで5分間ブレンドしてトナーAを得た。
【0081】
[トナーBの調製]
−樹脂粒子分散液の作製−
スチレン(和光純薬社製、特級) 78重量部
アクリル酸n−ブチル (試薬一級:和光純薬社製) 22重量部
アクリル酸(和光純薬社製)) 2重量部
ドデカンチオール(和光純薬社製) 1.5重量部
【0082】
上記成分を予め混合し、溶解して溶液を調製しておき、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックスA211)4重量部をイオン交換水100重量部に溶解した界面活性剤溶液をフラスコに収容し、上記の溶液103.5重量部を投入して分散し乳化して10分間ゆっくりと攪拌・混合しながら、過硫酸アンモニウム3重量部を溶解したイオン交換水50重量部を投入した。次いで、系内を窒素で十分に置換した後、フラスコを攪拌しながらオイルバスで系内が68℃になるまで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続して樹脂粒子分散液(1)を得た。樹脂粒子分散液から樹脂粒子を分離して物性を調べたところ、中心径は200nm、分散液中の固形分量は40%、ガラス転移点は52℃、酸価は14mgKOH/g、重量平均分子量Mwは33000であった。
【0083】
[着色剤分散液]
カーボンブラック(R330キャボット社製) 50重量部
イオン性界面活性剤ネオゲンSC(第一工業製薬社製) 5重量部
イオン交換水 195重量部
【0084】
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA ウルトラタラックス)により10分間分散し、次いで超音波分散機を用いて、28KHzの超音波を10分間照射し、固形分20%、中心粒径125nmの着色剤分散液1を得た。
【0085】
[離型剤分散液]
ポリエチレンワックス 50重量部
(東洋ペトロライト社製、PolyWax725:融点103℃)
イオン性界面活性剤ネオゲンSC(第一工業製薬社製) 5重量部
イオン交換水 195重量部
【0086】
上記成分を120℃に加熱し、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理して、固形分20%、中心粒径226nmの離型剤分散液を得た。
【0087】
(トナーB作製法)
樹脂粒子分散液 285重量部
着色剤分散液 60重量部
離型剤分散液 80重量部
ポリ塩化アルミニウム 2.0重量部
イオン交換水 1097重量部
【0088】
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら47℃まで加熱し、47℃で45分間保持して凝集粒子分散液を調製した。この凝集粒子分散液に上記の樹脂粒子分散液を緩やかに145重量部追加し30分放置した。
【0089】
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して系内のpHを6.5に調整した後、攪拌を継続しながら96℃まで加熱して1時間経過した後、1モル/リットルの硝酸水溶液を添加し、pHを5.0に調整して5時間保持した。冷却後濾過した後、3リットルのイオン交換水に再分散してヌッチェ式吸引ろ過により固液分離することを6回繰り返して固形物を得た。次いで真空乾燥を40℃で12時間行って平均体積粒径5.2μmのトナー母粒子Bを得た。
【0090】
次にトナー母粒子100重量部に対し、疎水性シリカ(キャボット製、TS720)を1.5重量部添加し、ヘンシェルミキサーにて3000rpmで5分間ブレンドしてトナーBを得た。
【0091】
[キャリアAの調製]
Mn−Mg系フェライト粒子 100重量部
(真比重4.6g/cm3、体積平均粒径35μm、飽和磁化65emu/g)
トルエン 11重量部
ジエチルアミノエチルメタクリレート−スチレン−メチルメタクリレート共重合体
(共重合比2:20:78、重量平均分子量60,000、Mw10,000以下の成分が25%) 2重量部
カーボンブラック(キャボット社製、R330R) 0.2重量部
(体積平均粒径25nm、DBP値71ml/100g、抵抗10Ωcm以下)
【0092】
フェライト粒子を除く上記成分とガラスビーズ(粒径1mm、トルエンと同量)を関西ペイント社製サンドミルに投入し、回転速度1200rpmで30分間攪拌して被覆樹脂層形成用溶液を調製した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃を保って10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去することにより被覆樹脂層を形成してキャリアを得た。被覆樹脂層の厚みは1μmであった。103.8V/cmの電界下でのキャリア抵抗は4×1010Ωcmであった。なお、飽和磁化値は、振動試料型磁力計(東英工業社製)を用いて、印加磁界3000(Oe)という条件のもと、測定して得られたものである。
【0093】
[キャリアBの調製]
ヘンシェルミキサーに平均粒子径0.40μmの球状マグネタイト粒子粉末(戸田工業社製、磁化値64emu/g(1kOe))500部を投入し、十分に攪拌した後、チタネート系カップリング剤(味の素(株)社製「プレンアクトTTS」)3.0部を添加し、約100℃まで昇温し30分間良く混合攪拌することにより上記チタネート系カップリング剤で被覆された球状マグネタイト粒子を得た。次に、1Lのフラスコに、フェノール40部、40%ホルマリン60部、親油化処理されたマグネタイト粒子600部と30%アンモニア水10部、水50部を攪拌混合した。次に、0.8℃/minの昇温速度で昇温し、マグネタイト粒子を含有するゲル状の球状複合体核粒子が形成された時点で(47℃)、更に水50部を攪拌混合した。その後、1℃/minの昇温速度で90℃まで昇温し、4時間反応及び硬化させて、球形複合粒子の生成を行った。その後、25℃まで冷却し、500mlの水を添加した後、上澄み液を除去し、複合粒子を含む沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下、50〜60℃で乾燥して複合磁性粒子Bを得た。
【0094】
複合磁性粒子Bを除く下記成分からなる樹脂被覆層形成用溶液とガラスビーズ(粒径1mm、トルエンと同量)を関西ペイント社製サンドミルに投入し、回転速度12000rpmで30分間攪拌して被覆樹脂層形成用溶液を調整した。次に、この被覆樹脂層形成用溶液Aと複合磁性粒子Aを真空脱気型ニーダーに入れ、温度を60℃を保って10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去することにより被覆樹脂層を形成したキャリアBを得た。
【0095】
<樹脂被覆層形成原料溶液>
複合磁性粒子B: 100重量部
トルエン: 11重量部
スチレン−メタクリレート共重合体(成分比30:70): 2重量部
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製): 0.2重量部
【0096】
[トナーとキャリアの測定方法]
上記トナーA,Bおよびキャリアの物性値は以下の方法により測定される。
【0097】
(粒度および粒度分布測定方法)
本発明における粒度および粒度分布測定について述べる。本発明において測定する粒子が2μm以上の場合、測定装置としてはコールターマルチサイザー−II型(ベックマンーコールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマンーコールター社製)を使用した。
【0098】
測定法としては分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを前記電解液100〜150ml中に添加した。
【0099】
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求めた。測定する粒子数は50000であった。
【0100】
また本発明におけるトナーの粒度分布は以下の方法により求めた。測定された粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、粒度の小さいほうから体積累積分布を描き、累積16%となる体積平均粒径をD16と定義し、累積50%となる体積平均粒径をD50と定義する。さらに累積84%となる体積平均粒径をD84と定義する。
【0101】
本発明における体積平均粒径は該D50であり、GSDは以下の式によって算出した。
GSD=(D84/D16)0.5
【0102】
同様に、測定された粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、粒度の小さいほうから数累積分布を描き、累積50%となる粒径を数平均粒径と定義する。
【0103】
また、本発明において測定する粒子が2μm未満の場合、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
【0104】
(トナーの重量平均分子量の測定方法)
本発明の静電荷象現像用トナーの重量平均分子量は、以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
【0105】
(トナーのガラス転移温度の測定方法)
本発明のトナーの融点およびガラス転移温度は、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。
【0106】
主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いることができる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
【0107】
[撹拌部材用の微生物担体の調製]
重量平均分子量Mwが100,000のアクリル酸とアクリル酸ナトリウムの共重合物(共重合比:80:20)50重量部をイオン交換水100重量部に分散させて、100cPの高粘度溶液を作成し、この高粘度水溶液に表1に示す微生物をそれぞれ分散させた混合液を作製した。次いで、この混合液に、ポリエステル繊維からなる不織布(繊維間の目の大きさは平均100μm)を浸漬させたのち、引き揚げながらローラで絞り、70℃の雰囲気下で乾燥させて微生物を包含するカプセルを繊維間に含有するシートを形成する。ここで、カプセル内には、平均で50個の微生物が存在し、不織布1cm2あたり1000個の微生物が存在するように作製した。
【0108】
[塗着性が高い有機高分子化合物]
重量平均分子量Mwが5,000のイソブチレン−無水マレイン酸Na・Ca共重合体(共重合比:50:50、無水マレイン酸Na・Caの比は、60:40)を用いた。
【0109】
[無機質担体への微生物の植菌]
無機質担体としてゼオライト(ゼオラム、東ソー株式会社製)に、微生物と重量平均分子量Mwが50,000のアクリル酸とアクリル酸ナトリウムの共重合物(共重合比:80:20)と50重量部をイオン交換水100重量部に分散させ、上記ゼオライトを100重量部に対して、この微生物含有溶液を10重量部噴霧して、1つのゼオライトあたり微生物が平均で50個で存在するように微生物を植菌して調製した。
【0110】
[消臭脱臭塗膜形成用溶液の調製]
微生物が植菌された無機質担体を、上記塗着性が高い有機高分子化合物が分散された水溶液中に撹拌により分散させた。ここで、上記無機質担体と塗着性が高い有機高分子化合物との重量比は、40:60であった。
【0111】
実施例1.
樹脂ペレットAの200gと、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図1に示す樹脂収容容器(内容積:4500cm3)内の撹拌部材12aに収容し、撹拌部材12aを常時10rpmで撹拌した。
【0112】
実施例2.
樹脂ペレットAの200gと、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図3に示す樹脂収容容器(内容積:4500cm3)内の撹拌部材12aに収容し、撹拌部材12aを常時10rpmで撹拌した。さらに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、消臭脱臭塗膜形成用溶液の調製に基づき得られた溶液を、図3に示す樹脂収容容器(内容積:4500cm3)の内壁面に2000cm2の消臭脱臭塗膜塗なるように形成した。
【0113】
実施例3.
樹脂ペレットBの200gと、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図1に示す樹脂収容容器(内容積:4500cm3)内の撹拌部材12aに収容し、撹拌部材12aを常時10rpmで撹拌した。
【0114】
実施例4.
樹脂ペレットBの200gと、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図3に示す樹脂収容容器(内容積:4500cm3)内の撹拌部材12aに収容し、撹拌部材12aを常時10rpmで撹拌した。さらに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、消臭脱臭塗膜形成用溶液の調製に基づき得られた溶液を、図3に示す樹脂収容容器(内容積:4500cm3)の内壁面に2000cm2の消臭脱臭塗膜塗なるように形成した。
【0115】
実施例5.
トナーAの200gを図4に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収容するとともに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図4に示すカートリッジの撹拌用回転軸22に収容し、撹拌用回転軸22を常時10rpmで撹拌した。
【0116】
実施例6.
トナーAの200gを図5に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収容するとともに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図5に示すカートリッジの撹拌用回転軸22に収容し、撹拌用回転軸22を常時10rpmで撹拌した。さらに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、消臭脱臭塗膜形成用溶液の調製に基づき得られた溶液を、図5に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)の内壁面に1000cm2の消臭脱臭塗膜塗なるように形成した。
【0117】
実施例7.
トナーBの200gを図4に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収容するとともに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図4に示すカートリッジの撹拌用回転軸22に収容し、撹拌用回転軸22を常時10rpmで撹拌した。
【0118】
実施例8.
トナーBの200gを図5に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収容するとともに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図5に示すカートリッジの撹拌用回転軸22に収容し、撹拌用回転軸22を常時10rpmで撹拌した。さらに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、消臭脱臭塗膜形成用溶液の調製に基づき得られた溶液を、図5に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)の内壁面に1000cm2の消臭脱臭塗膜塗なるように形成した。
【0119】
実施例9.
キャリアAの200gを図4に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収容するとともに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図4に示すカートリッジの撹拌用回転軸22に収容し、撹拌用回転軸22を常時10rpmで撹拌した。
【0120】
実施例10.
キャリアAの200gを図5に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収容するとともに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図5に示すカートリッジの撹拌用回転軸22に収容し、撹拌用回転軸22を常時10rpmで撹拌した。さらに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、消臭脱臭塗膜形成用溶液の調製に基づき得られた溶液を、図5に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)の内壁面に1000cm2の消臭脱臭塗膜塗なるように形成した。
【0121】
実施例11.
キャリアBの200gを図4に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収容するとともに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図4に示すカートリッジの撹拌用回転軸22に収容し、撹拌用回転軸22を常時10rpmで撹拌した。
【0122】
実施例12.
キャリアBの200gを図5に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収容するとともに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、上記撹拌部材用の微生物担体の調製により得られた15cm×30cmのシートを10枚、微生物として、450万個を図5に示すカートリッジの撹拌用回転軸22に収容し、撹拌用回転軸22を常時10rpmで撹拌した。さらに、微生物としてチオバチルス・チオオキシダンスを用い、消臭脱臭塗膜形成用溶液の調製に基づき得られた溶液を、図5に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)の内壁面に1000cm2の消臭脱臭塗膜塗なるように形成した。
【0123】
比較例1.
微生物を樹脂収容容器内に存在させない以外は、実施例1と同様に樹脂ペレットAを図1に示す樹脂収容容器に収納した。
【0124】
比較例2.
微生物を樹脂収容容器内に存在させない以外は、実施例3と同様に樹脂ペレットBを図1に示す樹脂収容容器に収納した。
【0125】
比較例3.
微生物をカートリッジ内に存在させない以外は、実施例5と同様にトナーAを図4に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収納した。
【0126】
比較例4.
微生物をカートリッジ内に存在させない以外は、実施例7と同様にトナーBを図4に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収納した。
【0127】
比較例5.
微生物をカートリッジ内に存在させない以外は、実施例9と同様にキャリアAを図4に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収納した。
【0128】
比較例6.
微生物を樹脂収容容器内に存在させない以外は、実施例11と同様にキャリアBを図4に示すカートリッジ(内容積:2000cm3)に収納した。
【0129】
[臭気評価]
臭気成分の定量分析方法:
実施例1から実施例142および比較例1から比較例6における最も臭気成分の強いものとして、樹脂ペレットAではアリルフェノールに着目し、樹脂ペレットBではクメンに着目し、トナーAではアリルフェノールに着目し、トナーBではクメンに着目し、キャリアAではクメンに着目し、またキャリアBではホルムアルデヒドに着目し、それぞれ樹脂収容容器内またはカートリッジ内の気体を一旦密閉性の高いビニール袋に取り、その中の気体をマイクロシリンジより10μl取って、ガスクロマトグラフに注入し分析を実施した。ガスクロマトグラフは島津製作所製GC−17Aを用い、以下の条件で実施した。
カラム:TC−1 60m
注入口温度:200℃
昇温条件:40℃で5分、4℃/minで140℃に加熱
検出器:FID
【0130】
上述した各注目臭気成分について、クロマトグラフのピーク面積値をそれぞれ1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、10.0、12.0、15.0、20.0ppm含有する試料からあらかじめ検量し、作成しておいた各着目臭気成分の検量線データを用いて各着目臭気成分を定量した。
【0131】
なお、臭気評価では、相対湿度が90%において25℃と60℃においてそれぞれ評価を行い、実施例1から実施例12および比較例1から比較例6においては、収納時と、収納から2週間後、1ヶ月後の臭気について評価を行った。
【0132】
【表1】

【0133】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明の活用例として、樹脂搬送用容器、また電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置へのカートリッジへの適用がある。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の実施の形態における樹脂収容容器の一例の構造を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態における樹脂収容容器の他の例の構造を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態における樹脂収容容器の他の一例の構造を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態における現像剤用またはトナー用カートリッジの構造の一例を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態における現像剤用またはトナー用カートリッジの構造の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0136】
10A,10B,10C 樹脂収容容器、12a,12b 撹拌部材、14,24 細孔、16 駆動源、18,28 消臭脱臭塗膜、20A,20B カートリッジ、22 撹拌用回転軸、26 ブラシ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質撹拌部材または表面孔付き中空撹拌部材に微生物を内在させることを特徴とする樹脂収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂収容容器において、
さらに、樹脂収容容器の内壁に微生物担持体を塗着させることを特徴とする樹脂収容容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の樹脂収容容器において、
前記微生物は、温度60℃の環境下で生存可能な微生物であることを特徴とする樹脂収容容器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂収容容器が現像剤用カートリッジであることを特徴とする現像剤用カートリッジ。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂収容容器がトナー用カートリッジであることを特徴とするトナー用カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−286448(P2009−286448A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142259(P2008−142259)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】