説明

樹脂塗布方法及び樹脂塗布装置

【課題】本発明は樹脂内にボイドの発生を抑制しうる樹脂塗布方法および樹脂塗布装置に関し、塗布時間の短縮を図ることを課題とする。
【解決手段】低圧環境下の塗布チャンバ31Bで一番目の基板2に対してアンダーフィル材6を塗布する塗布工程と、搬送チャンバ31A内に次に処理される2番目の基板2を移動させた後に搬送チャンバ31A内を大気圧環境下から低圧環境に減圧する気圧調整工程と、前記塗布工程完了後に2枚目の基板2を塗布チャンバ31Bへ移動させ、1枚目の基板2を搬送チャンバ31Aへ移動させる移動工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂塗布方法及び樹脂塗布装置に係り、特に樹脂内にボイドの発生を抑制しうる樹脂塗布方法及び樹脂塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フリップチップにより半導体チッブを基板に実装する場合、バンプと電極との接合力のみでは十分な強度が得られない場合があり、よって半導体チップと基板との間にアンダーフィル材を充填して信頼性を高めることが行われている。図1(A)は、フリップチップにより半導体素子3(以下、単にチップという)を基板2に実装した半導体装置1を示している。尚、図1には基板2に対して一つのチップ3のみが実装された例を示しているが、基板2に対して複数のチップ3が実装されるものについても以下説明する事項は同様である。
【0003】
チップ3はバンプ4が設けられており、このバンプ4を接合材5により基板2の電極パッド9に接合することにより、チップ3は基板2に実装されている。また、バンプ4と電極パッド9との接続信頼性を高めるため、基板2とチップ3との間に電極パッド9が充填されている。
【0004】
一方、近年の半導体チップ3の高密度化により、バンプ間ピッチ(接続ピッチ)Pの微細化に伴い、アンダーフィル材9内のボイド7の発生が問題となっている。図1(B)は、バンプ間にボイド7が発生した状態を示している。このように、一対のバンプ4間にボイド7が発生すると、このボイド7はマイグレーションの原因となり、フィールドでの障害となる。
【0005】
このアンダーフィル材6内におけるバンプ間ボイド7の発生を抑制する方法として、低圧環境下で基板2とチップ3の間にアンダーフィル材6を塗布する方法が提案されている(特許文献1参照)。これについて、図2及び図3を用いて説明する。
【0006】
図2はアンダーフィル材6を塗布する工程を示しており、図3はアンダーフィル材6を塗布するための樹脂塗布装置10を示している。先ず、図2を用いて、低圧環境下でアンダーフィル材6を塗布することにより、ボイド7の発生を抑制できる理由について説明する。
【0007】
図2に示すように、チップ3を基板2に実装するには、先ず吸着アーム8を用いてチップ3を基板2に仮固定する。具体的には、予め電極パッド9に接合材5を塗布しておき、この接合材5を用いてバンプ4を電極パッド9に仮接着する。この際、基板2の中央位置にアンダーフィル材6を配設しておいてもよい。
【0008】
続いて、チップ3を仮固定した基板2を減圧チャンバ11内に装着し、続いて減圧チャンバ11を減圧する。その上で、塗布ノズル12を用いてチップ3の外周よりアンダーフィル材6を基板2とチップ3との間に充填する。この際、基板2の中央位置にアンダーフィル材6を配設しておくことにより、ある程度ボイド7の発生は抑制される。しかしながら、図2に示すようにボイド7が発生してしまうことは経験的に知られている。
【0009】
しかしながら、低圧環境下において基板2とチップ3との間にボイド7が発生しても、この半導体装置1を減圧チャンバ11から取り出し大気圧に戻すと、環境の気圧が上昇することによりボイド7の体積は小さくなる。これによりボイド7は微小化し、よってマイグレーションが発生を有効に抑制することができる。
【0010】
図3は、上記のようにアンダーフィル材6の塗布処理を低圧環境下で行う際に用いられる樹脂塗布装置10を示している。この樹脂塗布装置10は、大略すると減圧チャンバ11、塗布ノズル12、直交ロボット13、コントローラ14、基板ステージ16、基板搬送ステージ17,18、及び真空ポンプ19等を有している。
【0011】
減圧チャンバ11は、バルブ22を閉じた状態で真空ポンプ19が駆動させることにより減圧される。これにより、減圧チャンバ11内は、低圧環境とされる。また、バルブ22を開くことにより、減圧チャンバ11内は大気圧に戻される。
【0012】
この減圧チャンバ11には、搬入扉20及び排出扉21が設けられている。基板2は搬入扉20を開くことにより減圧チャンバ11内に搬入され、またアンダーフィル材6の塗布処理か終了すると、排出扉21を開いて基板2を減圧チャンバ11から搬出される。
【0013】
塗布ノズル12は、基板2とチップ3との間にアンダーフィル材6を塗布するノズルである。この塗布ノズル12は、減圧チャンバ11に固定されている。ステージ16〜18は、減圧チャンバ11内に配設されている。このステージ16〜18は、基板2を保持する機能と、基板2を図中矢印X方向に移動させる機能を有している。基板ステージ16は直交ロボット13に配設され、また基板搬送ステージ17,18は減圧チャンバ11の床面に固定されている。
【0014】
直交ロボット13は、基板ステージ16を二次元的に移動させる。この直交ロボット13は、コントローラ14により制御される。直交ロボット13により基板ステージ16が各基板搬送ステージ17,18と直線状に対向する位置まで移動すると、この状態で基板ステージ16と各基板搬送ステージ17,18との間で基板2の搬送が行われる。
【0015】
基板2が基板ステージ16に装着された状態で、減圧チャンバ11は減圧されて低圧環境とされている。この検圧環境下において、アンダーフィル材6を吐出しつつ塗布ノズル12が相対的に基板2に配設されたチップ3(図3には図示せず)の外周を移動することにより、基板2とチップ3との間にアンダーフィル材6が充填される。
【0016】
図4は、樹脂塗布装置10を用いて行われるアンダーフィル材6を塗布(充填)する際に行われる各工程を示している。同図では、上欄に減圧チャンバ11内で行われる各工程(A〜Gで示す工程)を示し、下欄に減圧チャンバ11内の気圧変化を示している。尚、チャンバ内処理の欄に実線で示すのは1枚目の基板2の工程であり、破線で示すのは2枚目の基板2の工程である。また、以下の説明において、基板2には既にチップ3が実装されているものとする。
【0017】
1枚目の基板2に対する塗布処理が開始されると、先ず搬入扉20が開かれて基板2が減圧チャンバ11内に搬入される(A工程)。この際、減圧チャンバ11内は大気圧とされている。
【0018】
基板2は減圧チャンバ11内に搬入されると、基板搬送ステージ17に保持される。排出扉21が搬送チャンバ31Aに搬入されると、真空ポンプ19が駆動されて減圧チャンバ11は減圧される(B工程)。減圧チャンバ11内が減圧されると、基板2は基板搬送ステージ17から直交ロボット13上の基板ステージ16に搬送される(C工程)。
【0019】
基板2が基板ステージ16に搬送されると、塗布ノズル12及び直交ロボット13が起動し、基板2とチップ3との間にアンダーフィル材6が塗布される(D工程)。このアンダーフィル材6の塗布処理は、前記したようにボイド7の影響を抑えるため、所定の低圧環境下で行われる。
【0020】
基板2とチップ3との間にアンダーフィル材6が塗布されると、続いて塗布されたアンダーフィル材6が基板2とチップ3との離間部分に浸透するのを待つ(固定E)。アンダーフィル材6は、毛細管現象により基板2とチップ3との微細な間隙内に浸透する。このアンダーフィル材6の浸透には、所定の時間(例えば、150秒)を要する。このアンダーフィル材6の浸透処理は、アンダーフィル材6の塗布処理と同様に、低圧環境下で行われる。
【0021】
上記のようにしてアンダーフィル材6の塗布及び浸透処理が終了すると、真空ポンプ19が停止されると共にバルブ22が開かれ、搬送チャンバ31A内の昇圧が行われる(F工程)。この昇圧過程において、前記したようにアンダーフィル材6に発生したボイド7は体積が小さくなる。
【0022】
搬送チャンバ31Aが大気圧となると、基板2は基板ステージ16から基板搬送ステージ18に移動される。そして、排出扉21が開かれ、基板2は基板搬送ステージ18から減圧チャンバ11の外部に搬出される(G工程)。
【0023】
このように基板2が減圧チャンバ11から搬出されると同時に、搬入扉20が開かれて次に処理される基板2(アンダーフィル材6が塗布されてない基板)が減圧チャンバ11内に搬入される(A工程)。続いて、この次に処理される基板2について、上記したA〜Gの各工程が実施され、これに伴い減圧チャンバ11に対して減圧及び昇圧処理が行われる。
【特許文献1】特許第3558905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、従来のアンダーフィル材6の塗布方法及びこれに用いる樹脂塗布装置10では、一つの減圧チャンバ11内で基板2の減圧チャンバ11内への搬入出処理及びアンダーフィル材6の塗布及び浸透処理を行っていた。このため、基板2減圧チャンバ11内への搬入出処理時には大きな容積を有する減圧チャンバ11を大気圧とし、また塗布及び浸透処理時には大きな容積を有する減圧チャンバ11を減圧する必要が生じる。よって、塗布時間以外に長い減圧及び昇圧時間が発生し、タクトタイムが伸びてしまいアンダーフィル材6の塗布処理の効率が低下するという問題点があった。
【0025】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、基板に樹脂を塗布するのに要する時間短縮を図りうる樹脂塗布方法及び樹脂塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の課題は、本発明の第1の観点からは、第1気圧下の塗布室内で、第1の電子部品に対して樹脂を塗布する塗布工程と、気圧調節室内に第2の電子部品を移動させ、前記気圧調節室内を第2気圧下から前記第1気圧下に調節する第1気圧調整工程と前記塗布工程完了後、前記第2の電子部品を前記塗布室へ移動させ、前記第1の電子部品を前記気圧調節室へ移動させる第1移動工程とを有することを特徴とする樹脂塗布方法により解決することができる。
【0027】
また上記の課題は、本発明の他の観点からは、第1気圧下において電子部品に対して樹脂を塗布する塗布室と、前記電子部品を格納し、前記塗布室に前記電子部品を供給し、かつ第2気圧下から前記第1気圧へ気圧を調整する気圧調節室と、前記塗布室内で第1の電子部品に対して樹脂を塗布する際に、前記気圧調節室内に第2の電子部品を移動させ、前記気圧調節室内を第2気圧下から前記第1気圧下に調節する制御部とを有する樹脂塗布装置により解決することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、樹脂内にボイドが発生することを抑制しつつ、樹脂の塗布に要する時間の短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0030】
図5は、本発明の一実施例である樹脂塗布装置30を示す構成図である。この樹脂塗布装置30は、半導体装置1(図1(A)参照)の製造工程において、基板2とチップ3との間にアンダーフィル材6を塗布(充填)する処理を行うものである。この樹脂塗布装置30は、大略すると搬送チャンバ31A(請求項に記載の気圧調整室に相当する)、塗布チャンバ31B(請求項に記載の塗布室に相当する)、塗布ノズル32、直交ロボット33、コントローラ34(請求項に記載の制御部に相当する)、及び基板搬送ユニット35等を有している。
【0031】
樹脂塗布装置30は、搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bの二つのチャンバを有している。この搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bは一体的に形成されているが、隔壁44により画成されている。この隔壁44には移送扉43により開閉される移送開口44aが形成されている。
【0032】
移送扉43は、扉開閉モータ50(図6,図7参照)により開閉する。移送扉43が開蓋することにより、搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bは連通する。また、移送扉43が閉蓋することにより、搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bは気密に画成される。
【0033】
よって、搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bは、その内部気圧をそれぞれ異なる気圧に設定することが可能な構成となっている。また、扉開閉モータ50はコントローラ34に接続されており、よって移送扉43の開閉はコントローラ34により制御される。
【0034】
搬送チャンバ31Aは、図中矢印X2方向側の壁部に搬入開口84が形成され、また搬入開口84と対向する図中矢印X1方向側の壁部に搬出開口85が形成さている。搬入開口84には搬入扉40が設けられており、搬入扉40が開蓋されることにより、基板2が搬入開口84より搬送チャンバ31A内に搬入される。また、搬入扉40が閉蓋されることにより、搬入開口84は気密に封止される。
【0035】
一方,搬出開口85には排出扉41が設けられており、排出扉41が開蓋されることにより、後述する樹脂封止工程が終了しアンダーフィル材6が配設された基板2が搬送チャンバ31Aから搬出される。また、排出扉41が閉蓋されることにより、搬出開口85は気密に封止される。上記の搬入扉40及び排出扉41は、図示しない扉開閉モータにより開閉される。この扉開閉モータはコントローラ34に接続されており、よって搬入扉40及び排出扉41は、コントローラ34により開閉が制御される。
【0036】
搬送チャンバ31Aは、真空ポンプ39A及びバルブ42Aを有している。バルブ42Aが閉じられた状態で真空ポンプ39Aが駆動することにより、搬送チャンバ31Aは減圧される。また、減圧状態においてバルブ42Aが開かれることにより、搬送チャンバ31Aは昇圧して大気圧とされる。
【0037】
塗布チャンバ31Bは、真空ポンプ39B及びバルブ42Bを有している。バルブ42Bが閉じられた状態で真空ポンプ39Bが駆動することにより、塗布チャンバ31Bは減圧される。また、減圧状態においてバルブ42Bが開かれることにより、塗布チャンバ31Bは昇圧して大気圧とされる。
【0038】
上記の真空ポンプ39A,39Bは、コントローラ34に接続されている。よって、搬送チャンバ31A及び塗布チャンバ31B内の気圧は、コントローラ34により制御される。
【0039】
搬送チャンバ31A内には、基板搬送ユニット35が設けられている。この基板搬送ユニット35は、基板ステージ36、基板搬送ステージ37,38、及び基板移動装置45を有している。基板搬送ステージ37は搬送チャンバ31Aの搬入開口84の近傍位置に設けられており、基板搬送ステージ38は搬送チャンバ31Aの搬出開口85の近傍位置に設けられている。
【0040】
この基板搬送ステージ37と基板搬送ステージ38との間で、移送用開口44aと対向する部分には、後述するように直交ロボット33により基板ステージ36が移動してくるため空間部が形成されている。更に、基板移動装置45は、基板搬送ステージ37,38の図中矢印Y2側の側部に、基板2の搬送方向(X1,X2方向)に沿って設けられている。
【0041】
一方、塗布チャンバ31B内には、塗布ノズル32、直交ロボット33、及び基板ステージ36等が設けられている。塗布ノズル32は塗布チャンバ31Bの天板に固定されており、下端部(Z2方向の端部)からアンダーフィル材6を吐出する構成とされている。この塗布ノズル32は、上下方向(図中矢印Z1,Z2方向に)伸縮可能な構成とされている。塗布ノズル32はコントローラ34に接続されており、よって塗布ノズル32の伸縮動作はコントローラ34により制御される。
【0042】
直交ロボット33は、図6及び図7に示すように、X方向移動ステージ47及びY方向モータ48を有している。X方向移動ステージ47はX方向モータ46により駆動されるステージであり、その上部に配設されるY方向移動ステージ49を矢印X1,X2に移動させるものである。また、Y方向移動ステージ49はY方向モータ48により駆動されるステージであり、その上部に配設される基板ステージ36を矢印Y1,Y2に移動させるものである。X方向モータ46及びY方向モータ48はコントローラ34に接続されており、よって直交ロボット33の駆動はコントローラ34により制御される。
【0043】
Y方向移動ステージ49には基台部52が固定されており、この基台部52の先端部(Y2方向側の端部)には基板ステージ36が取り付けられている。この基板ステージ36及び搬送チャンバ31A内に配設される基板搬送ステージ37,38は、略同一構成とされている。このため、図8乃至図9を用いて各ステージ36,37,38について一括的に説明する。尚、基板ステージ36及び基板搬送ステージ37,38を総括的に示す場合、「ステージ36,37,38」と示して説明するものとする。
【0044】
図8はホットプレート63が上昇した状態のステージ36,37,38を示しており、図9はホットプレート63が下降した状態のステージ36,37,38を示している。ステージ36,37,38は、大略すると基台部51,52、ガイドロッド53、昇降フレーム54、ガイドレール55、ガイド押さえ56、板カム58、リニアガイド59、及びエアシリンダ61等により構成されている。
【0045】
基台部51は基板搬送ステージ37,38の基台となるものであり、基台部52は基板ステージ36の基台となるものである。基台部51は、固定台78に固定される。これにより、基板搬送ステージ37,38は搬送チャンバ31A内に固定される。また、基台部52は、前記のように直交ロボット33に配設される。これにより、基板ステージ36は、直交ロボット33により二次元的に移動可能(X,Y方向に移動可能)な構成となっている。
【0046】
また図6に示すように、移送扉43が開かれた状態において、基板ステージ36は直交ロボット33により移送用開口44aを介して塗布チャンバ31Bから搬送チャンバ31A内に移動可能な構成となっている。基板ステージ36が搬送チャンバ31A内に移動した状態において、後述するように、基板搬送ステージ37と基板ステージ36との間及び基板ステージ36と基板搬送ステージ38との間で基板2を搬送する。
【0047】
ガイドロッド53は、基台部51,52に立設されている。本実施例では4本のガイドロッド53が設けられており、基台部51,52の長辺(X1,X2方向に延在する辺)に沿って2本ずつ設けられている。この2本一対のガイドロッド53には、それぞれ昇降フレーム54が昇降可能に取り付けられる。この一対の昇降フレーム54の対向する面(内側の面)には、ローラ57及び係合部60が設けられている。
【0048】
ガイドレール55及びガイド押さえ56は、ガイドロッド53の上端部に配設されている。このガイドレール55とガイド押さえ56は、図中矢印X1,X2方向(基板2が搬送される方向)に長く延出した形状とされている。ガイドレール55及びガイド押さえ56は、図10に示すように、基板搬送時において基板2の長辺側の両側縁と係合し、基板2の搬送に伴う移動を案内する。尚、図10は、ステージ36,37,38を平面視した要部構成図である。
【0049】
ガイド押さえ56はガイドレール55の上部にこれと重なるように配設されており、基板2の搬送時においては基板2がガイドロッド53から上方に離脱しないようガイドを行う。また、後述すように基板2にホットプレート63は昇降動作(Z1,Z2方向に移動)を行うが、ホットプレート63が上昇した際に基板2はガイド押さえ56とホットプレート63との間で挟持される。これにより、基板2はステージ36,37,38に保持される。
【0050】
また、ホットプレート63はその下部にヒータ64が設けられている。また、ホットプレート63はガイド押さえ56との間に基板2を挟持した状態で、基板2の略全面と接した状態となっている(図10参照)。このため、基板2はホットプレート63を介してヒータ64により加熱される(基板2がヒータ64により加熱される詳細については、後述するものとする)。
【0051】
板カム58は、基台部51,52上にその長手方向(矢印X1,X2方向)に移動可能に設けられている。具体的には、基台部51,2の上面には矢印X1,X2方向に延在するリニアガイド59が形成さけており、板カム58に設けられた係合部60はこのリニアガイド59に移動可能に係合している(図8(C),図9(C)に詳しい)。よって、板カム58は、リニアガイド59に案内されてX1,X2方向に精度よく移動しうる。
【0052】
板カム58は、上端縁に二つの傾斜カム部58aが形成されている。この2つの傾斜カム部58aは同一構成であり、それぞれには昇降フレーム54に設けられたローラ57が係合している。この傾斜カム部58aは、基台部51,52の表面に対し、矢印X1方向に向かうに従い漸次高くなる傾斜面とされている(図8(B),図9(B)参照)。また、前記のように昇降フレーム54はガイドロッド53により上下方向に昇降可能な構成とされている。
【0053】
よって、板カム58が矢印X2方向に移動することにより、ローラ57は傾斜カム部58a上を転動し、これにより昇降フレーム54は上昇(Z1方向に移動)する。逆に、板カム58が矢印X1方向に移動することにより、昇降フレーム54は下降(Z2方向に移動)する。また前記したように、ホットプレート63は昇降フレーム54に固定されている。よって、板カム58が矢印X1,X2方向に移動するにより昇降フレーム54が昇降動作すると、これに伴いホットプレート63も昇降動作を行う。
【0054】
エアシリンダ61は、基台部51,52上の一対の板カム58の間に挟まれた略中央位置に設けられている。このエアシリンダ61のシリンダシャフト61aは、一対の板カム58の間に配設されたサイドアーム62に接続されている。
【0055】
よって、エアシリンダ61の駆動によりシリンダシャフト61aが伸縮することにより、サイドアーム62は矢印X1,X2方向に移動付勢され、これにより一対の板カム58が矢印X1,X2方向に移動する。このエアシリンダ61はコントローラ34に接続されており、よって板カム58の移動及びこれに伴うホットプレート63の昇降動作はコントローラ34により制御される。
【0056】
次に、主に図11及び図12を用いて、基板移動装置45について説明する。この基板移動装置45は、上記の各ステージ36,37,38間で基板2を搬送する機能を奏するものである。
【0057】
尚、図11は基板搬送ユニット35の全体構成を示す平面図及び正面図であり、直交ロボット33(図11では図示を省略)により基板ステージ36が搬送チャンバ31A内に移動して、各ステージ36,37,38がX1,X2方向に直線状に並んだ状態を示している。また、図12は基板搬送ユニット35を拡大して示す側面図である。
【0058】
基板移動装置45は、単軸ロボット65、第1乃至第3アーム66〜68、第1乃至第3送りピン69〜71、エアシリンダ74〜76、及び移動台79等を有している。
【0059】
単軸ロボット65は、搬送チャンバ31Aの床面に矢印X1,X2方向に長く延在した形状を有している。この単軸ロボット65は、搬送モータ72とボールネジ73とを有している。ボールネジ73は、搬送モータ72が駆動することにより回転する。このボールネジ73には移動台79が係合しており、よってボールネジ73が回転することにより移動台79は図中矢印X1,X2方向に移動する。
【0060】
この移動台79の移動距離は、搬送モータ72の回転量により決まる。また、搬送モータ72はコントローラ34に接続されており、よって搬送モータ72の回転量はコントローラ34により制御される。従って、移動台79の移動は、コントローラ34により制御される。
【0061】
移動台79の上面には、移動台79のX2方向端部からX1方向に向け第1アーム66、第2アーム67、及び第3アーム68が所定の距離離間して順に固定されている。この第1乃至第3アーム66〜68は、図11(A)に示すように、平面視でいずれも略L字形状を有している。この第1乃至第3アーム66〜68の移動台側の端部はエアシリンダ74〜76を介して移動台79に固定されている。また、第1乃至第3アーム66〜68の移動台から離れた側の端部には第1乃至第3送りピン69〜71が配設されている。
【0062】
尚、以下の説明において第1乃至第3アーム66〜68を総称する場合には単にアーム66〜68といい、第1乃至第3送りピン69〜71を総称する場合には送りピン69〜71というものとする。
【0063】
エアシリンダ74〜76は、アーム66〜68を矢印Z1,Z2方向に移動(昇降動作)させるものである。具体的には、エアシリンダ74は第1アーム66を昇降動作させ、これにより第1アーム66に設けられた第1送りピン69も昇降動作する。また、エアシリンダ75は第2アーム67を昇降動作させ、これにより第2アーム67に設けられた第2送りピン70も昇降動作する。更に、エアシリンダ75は第3アーム68を昇降動作させ、これにより第3アーム68に設けられた第3送りピン71も昇降動作する。
【0064】
ここで、第1乃至第3送りピン69〜71の動作について、図12を用いて更に説明する。図12は基板搬送ユニット35の右側面を示す要部構成図である。
【0065】
この図12(A),(B)に示されるステージ36,37,38は、ホットプレート63が下降した状態とされている。この状態において、基板2はガイドレール55上に載置されており、またガイドレール55とガイド押さえ56との間に間隙が形成されている。よって、基板2は固定されておらず、X1,X2方向(図12においては、紙面に対して垂直方向)に移動可能な状態となっている。
【0066】
図12(A)は、エアシリンダ74〜76によりアーム66〜68が上昇した状態を示している。この上昇状態において、アーム66〜68に設けられた送りピン69〜71も上昇した状態となっている。この上昇状態において、送りピン69〜71は基板2から離間した状態となっている。従って、送りピン69〜71が上昇した状態において単軸ロボット65が駆動して移動台79が矢印X1,X2方向に移動したとしても、送りピン69〜71は基板2の上部で移動するため、基板2が移動することはない。
【0067】
これに対して図12(B)は、エアシリンダ74〜76によりアーム66〜68が下降した状態を示している。この下降状態において、アーム66〜68に設けられた送りピン69〜71も下降した状態となっている。この下降状態において、送りピン69〜71は基板2の矢印X2側の短辺と係合可能な状態となっている(図11参照)。
【0068】
従って、この下降状態において単軸ロボット65を駆動して移動台79が矢印X1方向に移動すると、送りピン69〜71は基板2と係合して基板2を矢印X1方向に移動付勢する。よって、送りピン69〜71の移動により基板2はステージ36,37,38に案内されつつ矢印X1方向に移動する。この際、前記のように基板2の両側縁はガイドレール55及びガイド押さえ56に保持(ガイド)されており、また送りピン69〜71は基板2の短辺の略中央位置と係合する構成とされているため、基板2を安定して移動させることができる。
【0069】
次に図13乃至図18を用い、基板2が搬送チャンバ31A内で搬送されるときの、上記構成とされた基板搬送ユニット35の具体的な動作について説明する。
【0070】
図13乃至図18は、基板搬送ユニット35及び基板移動装置45主要構成のみを示しており、また基板ステージ36が搬送チャンバ31A内に移動してステージ36,37,38がX1,X2方向に並んだ状態を示している。尚、以下の説明においては、基板2が基板搬送ステージ37に搬送された以降の動作について説明する。
【0071】
先ず、基板搬送ステージ37に保持されている基板2を基板ステージ36に搬送する動作について説明する。この基板2を基板ステージ36に搬送する動作は、コントローラ34により制御されている。
【0072】
基板2を基板ステージ36に搬送するには、コントローラ34は基板移動装置45の搬送モータ72を駆動し、移動台79を矢印X2方向の端部まで移動させる。この移動の際、全ての送りピン69〜71は、エアシリンダ74〜76により基板2の保持位置よりも高い上昇状態とされている。よって移動台79が移動し、これに伴い送りアーム66〜68に設けられたピン69〜71がX2方向に移動したとしても、送りピン69〜71が基板2と衝突するようなことはない。
【0073】
移動台79が矢印X2方向の端部まで移動すると、コントローラ34はエアシリンダ74を駆動し、第1送りピン69のみを下降させる。これにより、送りピン69〜71の内、第1送りピン69のみが基板2と係合可能な状態となる。図13は、第1送りピン69が下降した状態を示している。
【0074】
続いて、コントローラ34は搬送モータ72を駆動することにより、移動台79を矢印X1方向に移動させる。これにより、第1アーム66も矢印X1方向に移動し、第1送りピン69は基板2と係合する。更に移動台79が移動することにより、基板2は第1送りピン69に付勢されて矢印X1方向への移動を開始する。そして、基板2が基板搬送ステージ37から基板ステージ36に搬送された時点で、コントローラ34は搬送モータ72を停止させる。これにより、基板2は基板搬送ステージ37から基板ステージ36に搬送される。図14は、基板2が基板ステージ36に搬送された状態を示している。
【0075】
後述するように、基板2が基板ステージ36に搬送されると、基板ステージ36は塗布チャンバ31Bに移送されてアンダーフィル材6の塗布処理等が行われる。そして、アンダーフィル材6の塗布処理が終了し、再び基板ステージ36が搬送チャンバ31Aに移送されると、基板2を基板搬送ステージ38に搬送する処理が行われる。
【0076】
基板2を基板ステージ36から基板搬送ステージ38に搬送するには、コントローラ34は搬送モータ72を駆動することにより、第2アーム67に設けられた第2送りピン70が基板ステージ36に保持された基板2のX2方向側の短辺と対向する位置まで移動台79を移動させる。
【0077】
この移動の際も、全ての送りピン69〜71は、エアシリンダ74〜76により基板2の保持位置よりも高い上昇状態とする。よって移動台79が移動する際、送りピン69〜71が基板2と衝突することはない。
【0078】
第2送りピン70が基板2の上記短辺と対向する位置まで移動すると、コントローラ34はエアシリンダ75を駆動し、第2送りピン70のみを下降させる。これにより、送りピン69〜71の内、第2送りピン70のみが基板2と係合可能な状態となる。図15は、第2送りピン70が下降した状態を示している。
【0079】
続いて、コントローラ34は搬送モータ72を駆動することにより、移動台79を矢印X1方向に移動させる。これにより、第2アーム67も矢印X1方向に移動し、第2送りピン70は基板2と係合する。更に移動台79が移動することにより、基板2は第2送りピン70に付勢されて矢印X1方向への移動を開始する。そして、基板2が基板ステージ36から基板搬送ステージ38に搬送された時点で、コントローラ34は搬送モータ72を停止させる。これにより、基板2は基板ステージ36から基板搬送ステージ38に搬送される。図16は、基板2が基板搬送ステージ38に搬送された状態を示している。
【0080】
基板搬送ステージ38に保持された基板2を搬送チャンバ31Aから外部に搬出するには、コントローラ34は搬送モータ72を駆動することにより、第3アーム68に設けられた第3送りピン71が基板ステージ36に保持された基板2のX2方向側の短辺と対向する位置まで移動台79を移動させる。
【0081】
この移動の際も、全ての送りピン69〜71は、エアシリンダ74〜76により基板2の保持位置よりも高い上昇状態とする。よって移動台79が移動する際、送りピン69〜71が基板2と衝突することはない。
【0082】
第3送りピン71が基板2の上記短辺と対向する位置まで移動すると、コントローラ34はエアシリンダ75を駆動し、第3送りピン71のみを下降させる。これにより、送りピン69〜71の内、第3送りピン71のみが基板2と係合可能な状態となる。図17は、第3送りピン71が下降した状態を示している。尚、図17及び図18では、図13乃至図16と異なり、基板移動装置45のみを図示している。
【0083】
続いて、コントローラ34は、排出扉41を開くと共に搬送モータ72を駆動する。排出扉41を開くことにより、搬出開口85を介して基板2を搬送チャンバ31Aの外部に搬出することが可能となる。また、搬送モータ72が駆動することにより、移動台79は矢印X1方向に移動する。
【0084】
移動台79の移動に伴い、第3アーム68は矢印X1方向に移動して第3送りピン71は基板2と係合する。更に移動台79が移動することにより、基板2は第3送りピン71に付勢されて矢印X1方向への移動を開始する。これにより、基板2は基板搬送ステージ38から離脱して搬出開口85を介して搬送チャンバ31Aの外部に搬出される。図18は、第3送りピン71により基板2が矢印X1方向に移動付勢されている状態を示している。
【0085】
上記のように、基板2は基板搬送ユニット35により基板搬送ステージ37から基板ステージ36への搬送、基板ステージ36から基板搬送ステージ38への搬送、及び基板搬送ステージ38から搬送チャンバ31Aの外部への搬送が行われる。この搬送処理は、一つの移動台79に送りピン69〜71及びエアシリンダ74〜76を有した3つのアーム66〜68を離間配置し、この移動台79を移動させることにより、送りピン69〜71を選択的に使用して行われる。上記の如く基板搬送ユニット35を構成することにより、構成の簡単化及び移動台79の移動距離の短縮を図ることができ、よって基板搬送ユニット35の小型化及び搬送チャンバ31Aの小型化を図ることができる。
【0086】
次に、図19を用いて、上記構成とされた樹脂塗布装置30を用いてアンダーフィル材6を基板2に塗布する方法について説明する。
【0087】
図19では、最上欄に塗布チャンバ31Bの気圧を示し、その下欄に塗布チャンバ31B内で行われる各工程を示し、その下欄には搬送チャンバ31Aで行われる各工程を示し、その下欄には搬送チャンバ31Aの気圧変化を示し、更にその下欄には基板2の温度変化を示している。
【0088】
また、図中の搬送チャンバ31A及び塗布チャンバ31B内で行われる工程を示す欄において、実線で示すのは今回処理される2枚目の基板2の工程であり、一点鎖線で示すのはこの2枚目の基板2の前に処理が行われる1枚目の基板の工程であり、更に破線で示すのは2枚目の基板2の後に処理が行われる3枚目の基板2の工程である。
【0089】
更に、図中A〜Hで示すのはチャンバ内で行われる各工程であり、また、これに付載された1〜3の数字は何枚目に処理がされる基板かを示している。よって、例えば「A2」と示されている場合には、2枚目に処理される基板2に対して搬送チャンバ31Aへの基板搬入処理の工程が行われていることを示している。
【0090】
尚、請求項に記載の「第1の電子部品」は以下説明における1枚目の基板に対応し、請求項に記載の「第2の電子部品」は以下説明における2枚目の基板に対応し、請求項に記載の「第3の電子部品」は以下説明における3枚目の基板に対応する。
【0091】
本実施例で使用する樹脂塗布装置30は、前記のように搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bとを有し、それぞれのチャンバ31A,31Bは内部気圧を別箇に設定することが可能な構成となっている。このため、塗布チャンバ31Bは、搬送チャンバ31A内の気圧に拘らず、常に低圧状態とされている。ここで低圧とは、この低圧環境下でアンダーフィル材6を塗布した後、これを再び大気圧に戻した際にボイド7の体積が収縮しボイド7の影響を抑制できる気圧をいうものとする(具体的には、10Pa〜1000Pa)。尚、低圧環境下は請求項に記載の「第1気圧下」に相当し、大気圧環境下は請求項に記載の「第2気圧下」に相当する。
【0092】
図19は、1枚目の基板に対してアンダーフィル材6の塗布工程(D1工程)を実施している状態からを示している。この1枚目の基板2に対してアンダーフィル材6の塗布工程(D1工程)が終了すると、1枚目の基板2に対してアンダーフィル材6の浸透待ち工程(E1工程)が実施される。
【0093】
尚、このアンダーフィル材6の浸透待ち工程は、広義ではアンダーフィル材6の塗布工程に含まれるものであるが、図19ではアンダーフィル材6の塗布処理をより詳細に説明するために塗布工程と浸透待ち工程を別箇に示している。請求項に記載した「塗布工程」は広義の塗布工程を意味しており、よって請求項に記載した「塗布工程」には、図19に記載されている「塗布工程D1,D2,D3」と「浸透待ち工程E1,E2」とを含んでいる。
【0094】
2枚目の基板2の搬送チャンバ31A内への搬入は、搬送チャンバ31Aが大気圧状態において行われる(A2工程)。この際、塗布チャンバ31Bでは、この2枚目の基板2の処理に先立って樹脂塗布装置30に装着されている1枚目の基板に対し、塗布チャンバ31B内においてアンダーフィル材6の塗布工程(D1工程)またはアンダーフィル材6の浸透待ち工程(E1工程)が行われている。
【0095】
アンダーフィル材6の塗布処理の工程(D1工程)及びアンダーフィル材6の浸透待ち処理(E1工程)は低圧環境下で行う必要がある。これに対し、上記のように基板2の樹脂塗布装置30内への搬入処理は大気圧環境下で行う必要がある。しかしながら、樹脂塗布装置30は搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bを異なる気圧環境下とすることができ、搬送チャンバ31Aは大気圧環境下、塗布チャンバ31Bは低圧環境下としている。
【0096】
これにより、搬送チャンバ31A内に2枚目の基板2を搬入する工程(A2工程)と、広義の意味である塗布工程(1枚目の基板2に対してアンダーフィル材6の塗布工程(D1工程)及びアンダーフィル材6の浸透待ち工程(E1工程))を同時に平行して行うことができる。尚、本実施例では、2枚目の基板2の搬送チャンバ31Aへの搬入は、アンダーフィル材6の浸透待ち工程(E1工程)において行っている。また、搬送チャンバ31A内へ搬入された状態において、2枚目の基板2は基板搬送ステージ37に保持された状態となっている。
【0097】
上記のように搬送チャンバ31A内に2枚目の基板2が搬入されると、コントローラ34により搬送チャンバ31Aの搬入扉40が閉じられ、バルブ42Aが閉じられ、かつ真空ポンプ39Aが起動する。これにより、搬送チャンバ31Aに対する減圧処理が開始され、搬送チャンバ31A内の気圧は大気圧から前記した低圧となるよう調整される(請求項に記載の第1気圧調整工程に相当する)。この減圧処理は、1枚目の基板2に対する浸透待ち工程(E1工程;広義の塗布工程)が完了するまでに所定の低圧となるよう実施される。
【0098】
また、搬送チャンバ31Aが低圧となるまで、基板2は塗布チャンバ31Bに移送されることはなく、搬送チャンバ31A内に待機している(B2工程)。この搬入待機時において、コントローラ34はエアシリンダ61を駆動し、搬送チャンバ31A内に配設された基板搬送ステージ37に設けられたホットプレート63を上昇させる(図9参照)。これにより、ホットプレート63は2枚目の基板2と当接し、ヒータ64で生成される熱はホットプレート63を介して第2の基板2に熱伝達される。これにより、2枚目の基板2は加熱される。
【0099】
後述するアンダーフィル材6の塗布工程(D2工程)及びアンダーフィル材6の浸透待ち工程(E2工程)においては、アンダーフィル材6となる樹脂に流動性を持たせるため流動可能な温度(流動可能温度という)まで加熱する必要がある。従来では、基板2を加熱する処理は、基板2が基板ステージ16(図3参照)に装着された後に行われていた。このため、アンダーフィル材6の塗布開始直後においては基板2は流動可能温度に達しておらず、アンダーフィル材6の適正な塗布処理を行うことができなかった。
【0100】
これに対して本実施例では、2枚目の基板2が搬送チャンバ31A内に待機しているB2工程においてから加熱処理が行われるため、後述するアンダーフィル材6の塗布工程(D2工程)の開始時においては確実に流動可能温度まで加熱することができる(図19の第2の基板温度変化の欄参照)。
【0101】
1枚目の基板2に対する塗布工程が終了すると共に搬送チャンバ31A内が所定の低圧環境下となると、コントローラ34により移送扉43が開かれ、搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bは移送用開口44aにより連通した状態となる。しかしながら、搬送チャンバ31Aは減圧されて低圧環境となっているため、各チャンバ31A,31Bが連通しても塗布チャンバ31B内の気圧が昇圧するようなことはない。
【0102】
上記のように各チャンバ31A,31Bが連通されると、直交ロボット33はアンダーフィル材6が塗布された1枚目の基板2を保持した基板ステージ36を移送用開口44aを介して搬送チャンバ31Aに移送する。そして、直交ロボット33は、基板ステージ36を基板搬送ステージ37と基板搬送ステージ38との空間部に位置決めする(F1工程)。
【0103】
続いて、前記した基板搬送ユニット35の基板移動装置45が起動し、基板ステージ36に保持されていた1枚目の基板2を基板搬送ステージ38に搬送する。これにより、1枚目の基板2は基板搬送ステージ38に保持された状態となる。
【0104】
一方、1枚目の基板2が基板搬送ステージ38に搬送され、基板ステージ36に基板が未装着状態となると、次にコントローラ34は基板移動装置45を駆動して基板搬送ステージ37に保持されていた2枚目の基板2を基板ステージ36に搬送する。この際、コントローラ34はC2工程に先立ち、基板搬送ステージ37のエアシリンダ61を駆動し、ホットプレート63を予め下降させている。
【0105】
2枚目の基板2が基板ステージ36に保持されると、コントローラ34は直交ロボット33を駆動して基板ステージ36を再び塗布チャンバ31B内に移動させると共に移送扉43を閉じる(C2工程)。これにより、再び搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bは気密に画成された状態となる。この状態で、塗布ノズル32及び直交ロボット33が駆動し、2枚目の基板2と、これに実装されているチップ3(図示せず)との間にアンダーフィル材6を塗布する(D2工程)。
【0106】
このD2工程を実施する際、2枚目の基板2は基板ステージ36に保持される。この際も、コントローラ34はエアシリンダ61を駆動して基板ステージ36のホットプレート63を上昇させ、2枚目の基板2に当接させる。よって、2枚目の基板2はホットプレート63を介してヒータ64により加熱され前記の流動可能温度を維持するため、塗布ノズル32から吐出されたアンダーフィル材6に塗布開始直後から流動性を持たせることができ、良好な塗布処理を行うことができる。
【0107】
上記のように塗布チャンバ31Bにおいて2枚目の基板2に対してアンダーフィル材6の塗布工程(D2工程)が開始されると、コントローラ34によりバルブ42Aが開かれ搬送チャンバ31Aでは昇圧処理が開始される。これにより、搬送チャンバ31Aは、内部が大気圧となるよう気圧調整がされる(請求項に記載の第2気圧調整工程に相当する)。
【0108】
搬送チャンバ31A内の気圧が昇圧して大気圧となると、前記したように基板2に塗布されたアンダーフィル材6に発生したボイド7はその体積がマイグレーションが発生しない程度の大きさまで小さくなる。
【0109】
尚、この昇圧処理が実施されている間、アンダーフィル材6の塗布が終了した1枚目の基板2は、基板搬送ステージ38に保持された状態を維持する(G1工程)。この際、ホットプレート63は下降した状態を維持しており、よって2枚目の基板2がヒータ64により加熱されることはない。
【0110】
上記のように搬送チャンバ31A内の気圧が大気圧となると、コントローラ34は排出扉41を開蓋すると共に基板移動装置45を駆動して基板搬送ステージ38に保持されていた1枚目の基板2を搬出開口85を介して搬送チャンバ31Aの外部に搬出する(H1工程)。
【0111】
上記のように本実施例では、(A)塗布チャンバ31B内においてアンダーフィル材6の塗布処理が終了した1枚目の基板2を搬送チャンバ31Aの基板搬送ステージ38に移送する処理、及び(B)搬送チャンバ31Aの基板搬送ステージ37に保持されていた2枚目の基板2を塗布チャンバ31B内に移送する処理は、共に低圧環境下とされた各チャンバ31A,31Bを移送扉43を開くことにより移送用開口44aで連通して行う。よって、上記の(A)及び(B)の処理を連続的に行うことができ、(A)及び(B)の処理の間に減圧チャンバ11の昇圧及び減圧処理を必要とした従来の塗布方法に比べ、タクトタイムの短縮を図ることができる。
【0112】
また、2枚目の基板2を塗布チャンバ31Bに移送するために行う搬送チャンバ31Aの減圧処理は、塗布チャンバ31B内において1枚目の基板2に対して塗布工程(D1,E1工程)が行われている間に実施される。また、塗布処理が終了した1枚目の基板2を搬送チャンバ31Aから外部に搬出するために行う搬送チャンバ31Aの昇圧処理も、塗布チャンバ31B内において2枚目の基板2に対して塗布工程(D2工程)が行われている間に実施される。
【0113】
このように本実施例では、搬送チャンバ31A内の気圧調整処理(減圧及び昇圧処理)を塗布チャンバ31Bにおける基板処理と分離して平行して行うことができる。このため、従来のように樹脂塗布装置10内に一つの減圧チャンバ11しか有しない構成に比べ、気圧調整処理に要する時間を短縮でき、これによってもタクトタイムの短縮を図ることができる。
【0114】
一方、上記のように塗布処理が終了した1枚目の基板2を搬送チャンバ31Aから搬出した状態では、搬送チャンバ31Aは大気圧環境下となっており、また基板搬送ステージ37は基板2を保持していない状態となっている。よって、1枚目の基板2の搬送チャンバ31Aから搬出工程(H1工程)が終了した後、コントローラ34は基板搬送ステージ37に対して、前記した2枚目の基板2の次に処理を行う3枚目の基板2を搬送チャンバ31A内に搬入する処理を実施する(A3工程)。
【0115】
この3枚目の基板2を搬送チャンバ31A内への搬入する工程(A3工程)では、先ずコントローラ34により搬入扉40が開かれ、続いて樹脂塗布装置30の外部に配設された搬送用ロボット(図示せず)により、基板2が搬入開口84を介して基板搬送ステージ37に装着される。この装着処理が終了すると、搬入扉40は閉じられ搬送チャンバ31Aは再び気密状態となる。
【0116】
この3枚目の基板2の搬入処理は、2枚目の基板2に対する広義の塗布工程内(塗布工程(D2工程)或いは浸透待ち工程(E2)の間)に行われる。上記した1枚目の基板2を搬送チャンバ31Aから搬出する工程と、3枚目の基板2を搬送チャンバ31A内に搬入する工程は、請求項に記載の第2移動工程に相当する。尚、本実施例では、3枚目の基板2の搬送チャンバ31Aへの搬入は、2枚目の基板2に対するアンダーフィル材6の浸透待ち工程(E2工程)において行っている。
【0117】
上記のように搬送チャンバ31A内に3枚目の基板2が搬入されると、コントローラ34はバルブ42Aを閉じると共に、真空ポンプ39Aを起動させる。これにより、搬送チャンバ31Aに対する減圧処理が開始され、搬送チャンバ31A内の気圧は大気圧から前記した低圧となるよう調整される(第1気圧調整工程)。この減圧処理は、2枚目の基板2に対する浸透待ち工程(E1工程;広義の塗布工程)が完了するまでに所定の低圧となるよう実施される。
【0118】
この際、3枚目の基板2は、搬送チャンバ31Aが低圧となるまで塗布チャンバ31Bに移送されることはなく、搬送チャンバ31A内に待機する(B3工程)。この搬入待機時において、コントローラ34は基板搬送ステージ37に設けられたホットプレート63を上昇させ、ヒータ64及びホットプレート63により3枚目の基板2を加熱する。これにより、前記した2枚目の基板2と同様に、塗布工程(D3工程)の開始時において3枚目の基板2は既に流動可能温度に達しており、よって塗布処理開始直後よりアンダーフィル材6の適正な塗布処理を行うことができる。
【0119】
1枚目の基板2に対する塗布工程が終了すると共に搬送チャンバ31A内が所定の低圧環境下となると、コントローラ34により移送扉43が開かれ、搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bは移送用開口44aにより連通される。続いて直交ロボット33はアンダーフィル材6が塗布された第2の基板2を保持した基板ステージ36を搬送チャンバ31A内に移送し、基板搬送ステージ37と基板搬送ステージ38との空間部に位置決めする(F2工程)。
【0120】
続いて、コントローラ34により基板移動装置45が起動され、基板ステージ36に保持されていた2枚目の基板2を基板搬送ステージ38に搬送する。これにより、2枚目の基板2は基板搬送ステージ38に保持された状態となる。
【0121】
一方、2枚目の基板2が基板搬送ステージ38に搬送され、基板ステージ36が基板未装着状態となると、次にコントローラ34は基板移動装置45を駆動して基板搬送ステージ37に保持されていた3枚目の基板2を基板ステージ36に搬送する。2枚目の基板2が基板ステージ36に保持されると、コントローラ34は直交ロボット33を駆動して基板ステージ36を再び塗布チャンバ31B内に移動させると共に移送扉43を閉じる(C3工程)。
これにより、再び搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bは気密に画成された状態となる。この状態で、塗布ノズル32及び直交ロボット33が駆動し、3枚目の基板2と、これに実装されているチップ3(図示せず)との間にアンダーフィル材6を塗布する(D3工程)。
【0122】
このD3工程を実施する際、3枚目の基板2は基板ステージ36に保持される。この際も、コントローラ34はエアシリンダ61を駆動して基板ステージ36のホットプレート63を上昇させ、3枚目の基板2に当接させる。よって、3枚目の基板2も、前記した2杯目の基板2と同様に流動可能温度を維持し、アンダーフィル材6の塗布開始直後から確実に塗布処理を実施することができる。
【0123】
上記のように塗布チャンバ31Bにおいて3枚目の基板2に対してアンダーフィル材6の塗布工程(D3工程)が開始されると、コントローラ34によりバルブ42Aが開かれ搬送チャンバ31Aでは昇圧処理が開始される。これにより、搬送チャンバ31Aは、内部が大気圧となるよう気圧調整がされる(第2気圧調整工程)。また、この昇圧処理が実施されている間、アンダーフィル材6の塗布が終了した2枚目の基板2は、基板搬送ステージ38に保持された状態を維持する(G2工程)。
【0124】
搬送チャンバ31A内の気圧が昇圧して大気圧となる、前記したようにアンダーフィル材6に発生したボイド7は、その体積がマイグレーションが発生しない程度の大きさまで小さくなる。また、搬送チャンバ31A内の気圧が大気圧となると、コントローラ34は排出扉41を開蓋すると共に基板移動装置45を駆動して基板搬送ステージ38に保持されていた2枚目の基板2を搬出開口85を介して搬送チャンバ31Aの外部に搬出する(H2工程)。
【0125】
上記のように2枚目の基板2においても、(A)塗布チャンバ31B内においてアンダーフィル材6の塗布処理が終了した2枚目の基板2を搬送チャンバ31Aの基板搬送ステージ38に移送する処理、及び(B)搬送チャンバ31Aの基板搬送ステージ37に保持されていた3枚目の基板2を塗布チャンバ31B内に移送する処理は、共に低圧とされたチャンバ31A,31B間で行われる。よって、(A)及び(B)の処理を連続的に行うことができ、タクトタイムの短縮を図ることができる。
【0126】
また本実施例に係る塗布方法では、2枚目の基板2に対してアンダーフィル材6の塗布工程(D2工程)及び浸透待ち工程(E2工程)を行っている間に、即ち2枚目の基板2に対して広義の塗布工程が終了する前に、(C)1枚目の基板2を搬送チャンバ31Aから搬出するための昇圧工程と、及び(D)3枚目の基板2を塗布チャンバ31Bに搬入するための減圧工程との二つの工程を実施している。これにより、従来に比べて同数の基板2に対してアンダーフィル材6の塗布を行う場合、必要とされる昇圧工程及び減圧工程の実施数を少なくすることができ、これによってもタクトタイムの短縮を図ることができる。
【0127】
更に、本実施例ではチャンバを搬送チャンバ31Aと塗布チャンバ31Bとに分離したため、搬送チャンバ31Aの容積を従来の減圧チャンバ11(図3参照)に比べて小さくすることかできる。よって、同一出力を有した真空ポンプ39Aを用いた場合、昇圧工程及び減圧工程に要する時間を従来に比べて短くすることができ、これによってもタクトタイムの短縮を図ることができる。
【0128】
図20は、図5に示した樹脂塗布装置30の変形例である樹脂塗布装置80を示している。尚、図20において、図5に示した構成と対応する構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0129】
図5に示した樹脂塗布装置30では、搬送チャンバ31Aを減圧する真空ポンプ39Aと、塗布チャンバ31Bを減圧する真空ポンプ39Bを別箇に設けた構成としていた。これに対して本変形例に係る樹脂塗布装置80は、一台の真空ポンプ39で搬送チャンバ31A及び塗布チャンバ31Bの双方のチャンバを減圧処理できるようにしたものである。
【0130】
真空ポンプ39は、切替バルブ81を経由して各チャンバ31A,31Bに接続されている。具体的には、切替バルブ81は真空配管82を介して搬送チャンバ31Aに接続されると共に、真空配管83を介して塗布チャンバ31Bに接続されている。また、切替バルブ81は、コントローラ34に接続されている。よって、コントローラ34により切替バルブ81が制御されることにより、真空ポンプ39と各チャンバ31A,31Bとの接続状態は切替られる。
【0131】
上記のように本変形例では、形状の大なる真空ポンプ39を1台のみ設けることで各チャンバ31A,31B内の気圧調整を行うため、樹脂塗布装置80の小型化を図ることができる。また、切替バルブ81を用いて搬送チャンバ31Aに対する減圧処理を行うため、予め基板搬送ステージ38を起動させた状態で減圧処理の切り替えができる。よって、減圧処理の開始時に真空ポンプ39Aを起動する構成に比べ、応答性を高めることができる。
【0132】
また上記した実施例では、樹脂塗布装置30(80)によりアンダーフィル材6を塗布する対象として、図1(A)に示したように、基板2にチップ3をフリップチップにより実装し、この基板2とチップ3との間にアンダーフィル材6を塗布する構成のものを例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、基板に半導体素子を実装し、この半導体素子に樹脂を塗布する場合にも適用することができる。
【0133】
図21は、基板92上にチップ93(半導体素子)を実装した半導体装置90を示している。チップ93と基板92は、バンプ94が電極パッド99に接続することにより電気的に接続されている。また、半導体装置90は、チップ93の上部に樹脂95が配設されており、ヒートシンク98が樹脂95によりチップ93に固定されている。この樹脂95は、樹脂塗布装置30(80)を用いて上記した塗布方法を用いて塗布される。このように、ヒートシンク98とチップ93との間に樹脂95を塗布(充填)する場合においても、本実施例に係る樹脂塗布装置30(80)及び塗布方法を適用することができる。
【0134】
尚、図21に示す半導体装置90は、基板92とチップ93との間にアンダーフィル材96が塗布(充填)されている。このアンダーフィル材96の塗布についても、本実施例に係る樹脂塗布装置30(80)を適用することができる。
【0135】
また、本発明の適用は半導体素子を基板に実装する構造のみに限定されるものではなく、半導体素子以外の電子部品についても広く適用が可能なものである。具体的には、アンテナ、センサー、及びスイッチ等の電子部品を樹脂で被覆するような場合においても、本実施例に係る樹脂塗布装置30(80)を適用することができる。この際、使用する基板2は特に限定されるものではなく、プリント板、セラミック基板、フレキシブル基板等の種々の基板の適用が可能である。
【0136】
更に、本発明の適用は、基板に実装される電子部品及び半導体素子(チップ)の数は単数に限定されるものではなく、複数設けた場合においても適用できることは勿論である。
【0137】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0138】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
第1気圧下の塗布室内で、第1の電子部品に対して樹脂を塗布する塗布工程と、
気圧調節室内に第2の電子部品を移動させ、前記気圧調節室内を第2気圧下から前記第1気圧下に調節する第1気圧調整工程と
前記塗布工程完了後、前記第2の電子部品を前記塗布室へ移動させ、前記第1の電子部品を前記気圧調節室へ移動させる第1移動工程とを有することを特徴とする樹脂塗布方法。
(付記2)
前記第2の電子部品に対する前記塗布工程中に、前記気圧調節室内を第2気圧下に調節する第2気圧調整工程と、
前記第2の電子部品に対する前記塗布工程中に、前記気圧調節室内に第3の電子部品を移動させ、前記第1の電子部品を前記気圧調節室外に移動させる第2移動工程とを有することを特徴とする付記1記載の樹脂塗布方法。
(付記3)
前記第1気圧調整工程において、前記第2の電子部品を加熱することを特徴とする付記1または2記載の樹脂塗布方法。
(付記4)
前記第1の電子部品、前記第2の電子部品及び前記第3の電子部品は、少なくとも一つの電子部品をプリント板に実装した基板ユニットであり、
前記樹脂は、前記電子部品に対して塗布されることを特徴とする付記1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂塗布方法。
(付記5)
前記第1の電子部品、前記第2の電子部品及び前記第3の電子部品は、少なくとも一つの半導体素子を基板に実装した半導体部品であり、
前記樹脂は、前記半導体素子に塗布されることを特徴とする付記1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂塗布方法。
(付記6)
第1気圧調整工程及び第2気圧調整工程において、
前記気圧調節室の気圧を制御するポンプは、切り替えバルブを経由して塗布室の気圧を制御することを特徴とする付記1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂塗布方法。
(付記7)
前記第1の電子部品、前記第2の電子部品及び前記第3の電子部品は、少なくとも一つの半導体素子を基板に実装した半導体部品であり、
前記樹脂は、前記半導体素子と基板間に塗布されることを特徴とする付記1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂塗布方法。
(付記8)
第1気圧下において電子部品に対して樹脂を塗布する塗布室と、
前記電子部品を格納し、前記塗布室に前記電子部品を供給し、かつ第2気圧下から前記第1気圧へ気圧を調整する気圧調節室と、
前記塗布室内で第1の電子部品に対して樹脂を塗布する際に、前記気圧調節室内に第2の電子部品を移動させ、前記気圧調節室内を第2気圧下から前記第1気圧下に調節する制御部とを有する樹脂塗布装置。
(付記9)
前記制御部は、前記第1の電子部品に対する塗布が完了後、前記第1の電子部品を前記気圧調節室内に移動させ、前記第2の電子部品を塗布室に移動後、前記第2の電子部品に対する塗布を行い、前記第2の電子部品に対する塗布が完了する前に、前記気圧調節室内を第2気圧下に調節し、前記気圧調節室内に第3の電子部品を移動させ、前記第1の電子部品を前記気圧調節室外に移動させることを特徴とする付記8記載の樹脂塗布装置。
(付記10)
前記気圧調節室内に前記電子部品を加熱する加熱装置とを有することを特徴とする付記8または9記載の樹脂塗布装置。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】図1は、半導体装置のアンダーフィル材に発生するボイドを説明するための図である。
【図2】図2は、ボイドの発生を抑制しうるアンダーフィル材の塗布方法を説明するための図である。
【図3】図3は、従来の一例である樹脂塗布装置を示す構成図である。
【図4】図4は、従来の一例である樹脂塗布装置のアンダーフィル材の塗布工程を示すタイミングチャートである。
【図5】図5は、本発明の一実施例である樹脂塗布装置の構成図である。
【図6】図6は、図5におけるA−A線に沿う断面図であり、基板ステージが搬送チャンバ内に位置した状態を示す図である。
【図7】図7は、図5におけるA−A線に沿う断面図であり、塗布チャンバと搬送チャンバが移送扉により隔離された状態を示す図である。
【図8】図8は、ホットプレートが上昇した基板ステージ、基板搬送ステージを示す図であり、(A)はホットプレートを取り外した状態の平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
【図9】図9は、ホットプレートが下降した基板ステージ、基板搬送ステージを示す図であり、(A)はホットプレートを取り外した状態の平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
【図10】図10は、ホットプレートが取り付けられた状態の基板ステージ、基板搬送ステージの平面図である。
【図11】図11(A)は基板搬送ユニットの平面図であり、図11(B)は基板移動装置の正面図である。
【図12】図12(A)は待機状態にある基板搬送ユニットの右側面図であり、図12(B)は搬送状態にある基板搬送ユニットの右側面図である。
【図13】図13は基板の搬送処理を説明するための図(その1)であり、(A)は基板移動装置の正面図、(B)は基板搬送ユニットの平面図である。
【図14】図14は基板の搬送処理を説明するための図(その2)であり、(A)は基板移動装置の正面図、(B)は基板搬送ユニットの平面図である。
【図15】図15は基板の搬送処理を説明するための図(その3)であり、(A)は基板移動装置の正面図、(B)は基板搬送ユニットの平面図である。
【図16】図16は基板の搬送処理を説明するための図(その4)であり、(A)は基板移動装置の正面図、(B)は基板搬送ユニットの平面図である。
【図17】図17は基板の搬送処理を説明するための図(その5)であり、基板移動装置の正面図である。
【図18】図18は基板の搬送処理を説明するための図(その6)であり、基板移動装置の正面図である。
【図19】図19は、本発明の一実施例である樹脂塗布装置のアンダーフィル材の塗布工程を示すタイミングチャートである。
【図20】図20は、図1に示した樹脂塗布装置の変形例である樹脂塗布装置を示す構成図である。
【図21】図21は、本発明を適用できる他の半導体装置を示す図である。
【符号の説明】
【0140】
1,90 半導体装置
2.92 基板
3,93 チップ
4,94 バンプ
5 接合材
6 アンダーフィル材
7 ボイド
8 吸着アーム
9,99 電極パッド
30,80 樹脂塗布装置
31A 搬送チャンバ
31B 塗布チャンバ
32 塗布ノズル
33 直交ロボット
34 コントローラ
35 基板搬送ユニット
36 基板ステージ
37,38 基板搬送ステージ
39,39A,39B 真空ポンプ
40 搬入扉
41 排出扉
42A,42B バルブ
43 移送扉
45 基板移動装置
46 X方向モータ
47 X方向移動ステージ
48 Y方向モータ
49 Y方向移動ステージ
50 扉開閉モータ
53 ガイドロッド
54 昇降フレーム
55 ガイドレール
56 ガイド押さえ
57 ローラ
58 板カム
58a 傾斜カム部
59 リニアガイド
60 係合部
61 エアシリンダ
61a シリンダシャフト
62 サイドアーム
63 ホットプレート
64 ヒータ
65 単軸ロボット
66 第1アーム
67 第2アーム
68 第3アーム
69 第1送りピン
70 第2送りピン
71 第3送りピン
72 搬送モータ
74,75,76 エアシリンダ
77 ベース
81 切り替えバルブ
82,83 真空配管
95 第1のアンダーフィル材
96 第2のアンダーフィル材
98 ヒートシンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1気圧下の塗布室内で、第1の電子部品に対して樹脂を塗布する塗布工程と、
気圧調節室内に第2の電子部品を移動させ、前記気圧調節室内を第2気圧下から前記第1気圧下に調節する第1気圧調整工程と、
前記塗布工程完了後、前記第2の電子部品を前記塗布室へ移動させ、前記第1の電子部品を前記気圧調節室へ移動させる第1移動工程とを有することを特徴とする樹脂塗布方法。
【請求項2】
前記第2の電子部品に対する前記塗布工程中に、前記気圧調節室内を第2気圧下に調節する第2気圧調整工程と、
前記第2の電子部品に対する前記塗布工程中に、前記気圧調節室内に第3の電子部品を移動させ、前記第1の電子部品を前記気圧調節室外に移動させる第2移動工程とを有することを特徴とする請求項1記載の樹脂塗布方法。
【請求項3】
前記第1気圧調整工程において、前記第2の電子部品を加熱することを特徴とする請求項1または2記載の樹脂塗布方法。
【請求項4】
第1気圧下において電子部品に対して樹脂を塗布する塗布室と、
前記電子部品を格納し、前記塗布室に前記電子部品を供給し、かつ第2気圧下から前記第1気圧へ気圧を調整する気圧調節室と、
前記塗布室内で第1の電子部品に対して樹脂を塗布する際に、前記気圧調節室内に第2の電子部品を移動させ、前記気圧調節室内を第2気圧下から前記第1気圧下に調節する制御部とを有する樹脂塗布装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の電子部品に対する塗布が完了後、前記第1の電子部品を前記気圧調節室内に移動させ、前記第2の電子部品を塗布室に移動後、前記第2の電子部品に対する塗布を行い、前記第2の電子部品に対する塗布が完了する前に、前記気圧調節室内を第2気圧下に調節し、前記気圧調節室内に第3の電子部品を移動させ、前記第1の電子部品を前記気圧調節室外に移動させることを特徴とする請求項4記載の樹脂塗布装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−119952(P2010−119952A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295496(P2008−295496)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】