説明

樹脂粒子分散体

【課題】本発明の課題は、塗膜に対する負荷がかかった時に樹脂粒子が破壊されず、かつ塗工された被塗工面を傷付けることのない塗膜が得られる粒子分散体を提供することである。
【解決手段】架橋構造を有するポリウレタン樹脂(a)からなるポリウレタン樹脂粒子(A)、樹脂前駆体(B1)又は熱可塑性樹脂(B2)、及び分散媒体(U)を必須成分としてなることを特徴とする樹脂粒子分散液を使用する。ポリウレタン樹脂粒子(A)としては、厚みが0.01〜0.2μmであり、熱可塑性樹脂(D)からなる外殻層(C)、及び架橋構造を有するポリウレタン樹脂(a)からなる内殻(E)からなるものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン樹脂粒子が分散媒体中に分散した粒子分散体、及び該粒子分散体を塗工して得られる塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
懸濁重合法や乳化重合、および溶液樹脂懸濁法により製造される樹脂粒子は、バインダー成分として例えば熱硬化性樹脂とともに分散媒体中に分散させることで塗料化でき、塗工後に乾燥、硬化させることで、表面に樹脂粒子によって形成された凹凸を有する塗膜とすることができる。凹凸を有する塗膜は、例えば艶消し塗料、特定の触感を有するコーティング物(例えば自動車内装部材)等として使用されている。
これらの製造法で得られた塗膜の物性は、一般的には樹脂粒子の物性に大きく影響され、摩擦試験時の樹脂粒子の剥離や、垂直負荷を加えた時の樹脂粒子破壊、あるいは被塗工面の傷付けが発生する等の問題点がある。
【0003】
これら問題点の解決策として、表面摩擦係数を1.0以下とすることで、耐摩擦性を確保する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されているが、この方法では、摩擦試験時の樹脂粒子剥離は低減できるものの、垂直負荷による樹脂粒子破壊や基板の傷付けを防止できないという問題がある。
【特許文献1】特開2001−342434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、塗膜に対する負荷がかかった時に樹脂粒子が破壊されず、かつ塗工された被塗工面を傷付けることのない塗膜が得られる粒子分散体を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、架橋構造を有するポリウレタン樹脂(a)からなるポリウレタン樹脂粒子(A)、樹脂前駆体(B1)又は熱可塑性樹脂(B2)、及び分散媒体(U)を必須成分としてなることを特徴とする樹脂粒子分散液、及び該樹脂粒子分散液を、樹脂前駆体(B1)を使用した場合は、塗工後、樹脂前駆体(B1)を反応させることで得られ、熱可塑性樹脂(B2)を使用した場合は、塗工後得られる、樹脂粒子により塗膜表面が凹凸形状となった弾性塗膜である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の樹脂粒子分散液を塗工して得られる塗膜は、塗膜に対する負荷がかかった時に樹脂粒子が破壊されず、かつ塗工された被塗工面を傷付けることがない効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の樹脂粒子分散液に使用するポリウレタン樹脂粒子(A)はポリウレタン樹脂(a)からなる。該ポリウレタン樹脂(a)は高弾性を有するため、圧力印加によりスペーサが破壊または歪むという問題が少ない。
【0008】
樹脂粒子の強度および耐熱性の観点から、ポリウレタン樹脂(a)は、架橋樹脂であることが好ましい。
架橋樹脂の架橋構造は、共有結合性、配位結合性、イオン結合性、水素結合性等、いずれの架橋形態であってもよいが、共有結合性の架橋形態であることが好ましい。
【0009】
共有結合性の架橋形態を持つポリウレタン樹脂(a)を製造する方法は、特に限定されないが、例えば以下の(1)〜(3)が挙げられる。
(1)炭素−炭素2重結合を1個以上有するウレタン樹脂(a1)と、ウレタン結合を有さず数平均分子量が100〜1000であって炭素−炭素2重結合を2個以上有する化合物(B02)との共重合により製造する方法。
(2)炭素−炭素2重結合を2個以上有するウレタン樹脂(a2)と、ウレタン結合を有さず数平均分子量が100〜1000であって炭素−炭素2重結合を1個以上有する化合物(B01)との共重合により製造する方法。
(3)炭素−炭素2重結合を2個以上有するウレタン樹脂(a2)の重合により製造する方法。
【0010】
炭素−炭素2重結合を1個以上有するウレタン樹脂(a1)としては、例えば、
(1)ウレタンプレポリマー(c)及びジイソシアネート3量体(h)の少なくとも一方、
(2)炭素−炭素2重結合を1個以上有するウレタンプレポリマー(d)及び炭素−炭素2重結合を1個以上有するジイソシアネート3量体(k)の少なくとも一方、並びに
(3)鎖伸長剤(e)からなるウレタン樹脂を挙げることができる。
ウレタンプレポリマー(c)及びジイソシアネート3量体(h)の混合物である場合は、(c):(h)の重量比は好ましくは20:80〜50:50である。
同様に(d)と(k)の混合物である場合は、(d):(k)の重量比は好ましくは20:80〜50:50である。
【0011】
ウレタン樹脂(a1)が1個以上有する炭素−炭素2重結合としては、例えば(メタ)アクリロイル基が挙げられる。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、メタアクリロイル基及びアクリロイル基を指すものとする。
【0012】
ウレタンプレポリマー(c)は、過剰のポリイソシアネート(b)と高分子ポリオール(m1)および必要により低分子ポリオール(m2)とから誘導されるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーである。
ウレタンプレポリマー(c)を形成する際の(b)、(m1)および(m2)のモル比は(b)1モルに対し(m1)は、好ましくは0.1〜0.9モル、より好ましくは0.3〜0.8モル、(m2)は好ましくは0〜0.9モル、より好ましくは0.05〜0.8モルである。また、ウレタンプレポリマー(c)の遊離イソシアネート基含量は好ましくは0.5〜45重量%、より好ましくは1〜35重量%である。
【0013】
ポリイソシアネート(b)としては、(1)炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族ジイソシアネート[エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等];(2)炭素数4〜15の脂環族ジイソシアート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロへキセン等];(3)炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート[m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等];(4)芳香族ジイソシアネート[2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’-ジイソシアネート(TDI)等];(5)これらのジイソシアネートの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ウレア基等を有するジイソシアネート);およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
このうち好ましいものは、脂環族ジイソシアネート及び芳香脂肪族ジイソシアネートであり、特に好ましいものはIPDI、XDI、TMXDIおよび水添MDIである。
【0014】
高分子ポリオール(m1)としては、ポリエステルポリオール(m11)、ポリエーテルポリオール(m12)、ポリエーテルエステルポリオール(m13)、ポリカーボネートポリオール(m14)、及びシリコーンポリオール(m15)からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
(m1)の官能基数は2が好ましい。
(m1)の数平均分子量(以下、Mnと記載。)は1000〜8000が好ましく、2000〜6000がさらに好ましい。
【0015】
(m1)の数平均分子量Mnは、ヒドロキシル価から得られる値である。
【0016】
上記ポリエステルポリオール(m11)としては、例えば(1)低分子ジオールとジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル、酸ハライド等]との縮合重合によるもの;(2)低分子ジオールを開始剤としてラクトンモノマーを開環重合したもの;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0017】
上記低分子ジオールの具体例としては炭素数4〜12またはそれ以上の脂肪族ジオール[直鎖ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)、分岐鎖を有するジオール(プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−もしくは2,3−ブタンジオールなど)など];環状基を有するジオール[たとえば特公昭45−1474号公報記載のもの;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−またはp−キシリレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(分子量500未満)など]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは分岐鎖を有する脂肪族ジオールである。
【0018】
上記(1)のジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体の具体例としては、炭素数4〜15の脂肪族ジカルボン酸[コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸など]、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸[テレフタル酸、イソフタル酸など]、これらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル、ジエチルエステルなど)、酸ハライド(酸クロライド等)など]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0019】
上記(2)のラクトンモノマーとしてはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−バレルラクトン、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0020】
上記ポリエーテルポリオール(m12)としては、2個の水酸基含有化合物(たとえば前記低分子ジオール、2価のフェノール類など)にアルキレンオキサイドが付加した構造の化合物が挙げられる。
【0021】
上記2価のフェノール類としてはビスフェノール類[ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど]、単環フェノール類[カテコール、ハイドロキノンなど]などが挙げられる。
【0022】
上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、1,2−、1,3−、1,4もしくは2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、炭素数5〜10またはそれ以上のα−オレフンオキサイド、エピクロルヒドリンおよびこれらの2種以上の混合物(ブロックまたはランダム付加)が挙げられる。
【0023】
これらのうち好ましいものは、低分子ジオールにアルキレンオキサイドが付加したものであり、さらに好ましいものは脂肪族ジオールにPOが付加したものである。
【0024】
また、ポリエーテルエステルポリオール(m13)としては、上記ポリエーテルポリオールの1種以上と前記ポリエリエステルポリオールの原料として例示したジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体の1種以上とを縮重合させて得られるものが挙げられる。
【0025】
ポリカーボネートポリオール(m14)としては、下記の一般式(1)で示されるポリオールが挙げられる。
HO−[−(CHm0−OCOO]n−(CHm1−OH (1)
式中、m0およびm1は、2〜10の整数であらわされる。
【0026】
シリコーンポリオール(m15)としては、例えばシリコーン樹脂の末端に水酸基を有するジオールなどが挙げられる。
【0027】
これら高分子ポリオール(m1)のうちで好ましいものは、シリコーンポリオール、ポリエステルジオールまたはポリカーボネートジオールである。
【0028】
低分子ポリオール(m2)としては、上記低分子ジオールが挙げられる。
【0029】
ジイソシアネート3量体(h)とは、上記ジイソシアネートの3量体で、イソシアヌレート環を有しかつイソシアネート基を3個有する化合物であって、好ましくは脂肪族ジイソシアネートの3量体、脂環式ジイソシアネートの3量体、脂肪芳香族ジイソシアネートの3量体である。脂肪族ジイソシアネートの好ましい例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどの脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。脂環式ジイソシアネートの好ましい例としては、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)などが挙げられる。脂肪芳香族ジイソシアネートの好ましい例としては、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。これらの中で特に好ましいのは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の3量体、及びイソフォロンジイソシアネート(IPDI)の3量体である。
【0030】
炭素−炭素2重結合を1個以上有するウレタンプレポリマー(d)としては、ウレタンプレポリマー(c)と炭素−炭素2重結合及びイソシネート基と反応可能な活性水素基の両者を有する化合物(f)の付加物が挙げられる。
(f)としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、HEAと記す。)、及び2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(以下、HEMAと記す。)が挙げられる。
(d)において、2官能のウレタンプレポリマー(c)1モルに対し、(f)の付加モル数は、好ましくは(f)0.2〜1.8モル、より好ましくは0.2〜1モルである。
【0031】
炭素−炭素2重結合を1個以上有するジイソシアネート3量体(h)としては、ジイソシアネート3量体(h)と(f)の付加物が挙げられる。
(h)において、3官能のジイソシアネート3量体(h)1モルに対し、(f)の付加モル数は、好ましくは(f)0.2〜2.8モル、より好ましくは0.5〜2.5モル、さらに好ましくは0.5〜1.5モルである。
【0032】
鎖伸長剤(e)としては、ジアミン、低分子ジオール等が挙げられる。
ジアミンとしては、脂環族ジアミン[4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等];脂肪族ジアミン[エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等];芳香脂肪族ジアミン[キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジアミン等];芳香族ジアミン[メチレンジアニリン、m-フェニレンジアミン等]が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂環族ジアミンであり、特に好ましいものはイソホロンジアミンである。
鎖伸長剤(e)はブロック化された鎖伸長剤(e1)として使用するのが好ましい。(e1)としては、ジアミンのジケチミン等が挙げられる。上記ジアミンのメチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンのジケチミンが好ましい。
低分子ジオールとしては上記に挙げた低分子ジオールが挙げられる。
上記のうちでジアミンが好ましい。
【0033】
炭素−炭素2重結合を2個以上有するウレタン樹脂(a2)は、上記(a1)のうち、炭素−炭素2重結合を2個以上有するウレタン樹脂を指す。
【0034】
ウレタン結合を有さず数平均分子量が100〜1000であって炭素−炭素2重結合を2個以上有する化合物(B02)の1分子中の炭素−炭素2重結合の数は、2〜8が好ましく、高い圧縮変形回復性を有するという観点から5〜7がさらに好ましい。
化合物(B02)の数平均分子量が100以上であれば架橋反応の際の硬化収縮が大きくなく、1000以下であれば粘度が高くなく、他材料との混合性等、取扱いが容易となる。
化合物(B02)の数平均分子量は好ましくは170〜1000であり、より好ましくは170〜700である。
【0035】
(B02)の具体例としては、(メタ)アクリル酸と多価アルコール類とのエステル[例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等];(メタ)アリルアルコールと多価カルボン酸類とのエステル[例えばジアリルフタレート、トリメリット酸トリアリルエステル等];多価アルコール類のポリ(メタ)アリルエーテル[例えばペンタエリスリトールトリ(メタ)アリルエーテル等];多価アルコール類のポリビニルエーテル[例えばエチレングリコールジビニルエーテル等];多価アルコール類のポリプロペニルエーテル[例えばエチレングリコールジプロペニルエーテル等];マレイン酸とジオールとのエステル[例えばエチレンジマレエート等];イタコン酸とジオールとのエステル[例えばエチレンジイタコネート等]が挙げられる。これらのうち好ましいものは、(メタ)アクリル酸と多価アルコール類とのエステルであり、特に好ましいものはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートである。
【0036】
ウレタン結合を有さず数平均分子量が100〜1000であって炭素−炭素2重結合を2個以上有する化合物(B02)は、上記(B02)のうち、炭素−炭素2重結合を1個以上有するウレタン樹脂を指す。
【0037】
ポリウレタン樹脂粒子(A)の体積平均粒子径は1〜300μm、好ましくは1〜200μm、さらに好ましくは1〜50μmである。体積平均粒子径の測定法は、電子顕微鏡測定、沈降法、エレクトロゾーン法、動的光散乱法等があるが、測定粒度範囲の適合性より、動的光散乱法での測定が好ましい。
【0038】
ポリウレタン樹脂粒子(A)の粒子直径10%変位時の25℃における圧縮弾性率は、基板の傷付き防止の観点から好ましくは100〜2400MPa、さらに好ましくは200〜2000MPaである。
ポリウレタン樹脂粒子(A)の25℃における圧縮変形回復率は、塗膜の耐久性の観点から好ましくは65〜100%、さらに好ましくは75〜100%である。
【0039】
ポリウレタン樹脂粒子(A)は、塗膜への密着性の観点から表面に小さな窪みを有することが好ましい。この表面形状は、形状係数(SF−2)、および粒子表面中心線平均粗さ(r)で表すことができる。
【0040】
ポリウレタン樹脂粒子(A)の粒子表面中心線平均粗さ(r)は0.005〜30μmであり、好ましくは0.010〜1.0μmである。
【0041】
ポリウレタン樹脂粒子(A)の(SF−2)は好ましくは110〜300であり、より好ましくは120〜200である。
【0042】
ポリウレタン樹脂粒子(A)の形状係数(SF−2)は、電子顕微鏡(例えば、日立製作所製FE−SEM(S−800)等が挙げられ、以下同様である。)を用い倍率500倍に拡大した樹脂粒子の像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して画像解析装置[例えば、nexusNEW CUBE ver.2.5(NEXUS社製)及びLuzexIII(ニコレ社製)等が挙げられ、以下同様である。]に導入し解析を行い、式(1)より算出し得られた値である。
(SF−2)=100×(P)2/{4π×(Y)} (1)
〔式中、(P)は樹脂粒子の周囲長を示し、(Y)は樹脂粒子の投影面積を示す。〕
【0043】
本発明においてポリウレタン樹脂粒子(A)の表面中心線平均粗さは、走査型プローブ顕微鏡システム(AFM、たとえば東洋テクニカ社製が挙げられる。)により測定することができる。
【0044】
ポリウレタン樹脂粒子(A)は外殻層(C)と内殻(E)とからなることが好ましい。
ポリウレタン樹脂粒子(A)の外殻層(C)を構成する熱可塑性樹脂(D)としては、ビニル樹脂(D1)、付加重合系樹脂(D2)、重縮合系樹脂(D3)、重付加系樹脂(D4)および開環重合系樹脂(D5)の樹脂などが挙げられる。内殻(E)は架橋構造を有するポリウレタン樹脂(a)からなる。
【0045】
ビニル樹脂(D1)は、ビニル系モノマーを単独重合または共重合したポリマーである。ビニル系モノマーとしては、下記(1)〜(13)が挙げられる。
(1)ビニル系炭化水素
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー
(6)含窒素ビニル系モノマー
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー
(8)ハロゲン元素含有ビニル系モノマー
(9)ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン類
(10)アルキル(メタ)アクリレート
(11)ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー
(12)ポリ(メタ)アクリレート類
(13)その他のビニル系モノマー
【0046】
以下上記(1)〜(13)の具体例を挙げる。
(1)ビニル系炭化水素
((1)−1)脂肪族ビニル系炭化水素:エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、前記以外のα−オレフィン等
((1)−2)脂環式ビニル系炭化水素:シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等
((1)−3)芳香族ビニル系炭化水素:スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルケトン、トリビニルベンゼン等
【0047】
(2)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩
(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー;並びに、これらのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アミン塩もしくはアンモニウム塩
【0048】
(3)スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩
ビニルスルホン酸(塩)、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、メチルビニルスルフォネート、スチレンスルホン酸(塩)、α−メチルスチレンスルホン酸(塩)、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸(塩)、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(塩)、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル化物(塩)[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル化物(塩)等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル(塩)
【0049】
(4)燐酸基含有ビニル系モノマー
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリル酸アルキルホスホン酸類、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸(塩)
【0050】
(5)ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル、等
【0051】
(6)含窒素ビニル系モノマー
((6)−1)アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチルα−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、これらの塩等
((6)−2)アミド基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等
((6)−3)ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン等
((6)−4)4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)
((6)−5)ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等
【0052】
(7)エポキシ基含有ビニル系モノマー
グルシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等
【0053】
(8)ハロゲン元素含有ビニル系モノマー
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン、クロロプレン等
【0054】
(9)ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン類
酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル2−エチルメルカプトエチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン、ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等
【0055】
(10)アルキル(メタ)アクリレート
炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等
【0056】
(11)ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー
ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等
【0057】
(12)ポリ(メタ)アクリレート類
多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ
)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等
【0058】
(13)その他のビニル系モノマー
アセトキシスチレン、フェノキシスチレン、エチルα−エトキシアクリレート、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、シアノアクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルメチルベンジルイソシアネート等
【0059】
付加重合系樹脂(D2)としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリーp-キシリレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリブタジエンなどのジエン系ポリマーなどが挙げられる。
重縮合系樹脂(D3)としてはポリアミド、熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホンなどが挙げられる。
重付加系樹脂(D4)としては熱可塑性ポリウレタンなどが挙げられる。
【0060】
開環重合系樹脂(D5)としてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシド重合体、ポリアセタールなどが挙げられる。
【0061】
熱可塑性樹脂(D)がビニル樹脂(D1)であることが好ましい。
【0062】
熱可塑性樹脂(D)が親水性基を有することが好ましく、親水性基を有する前駆体(D0)を重合することで得られる。
親水性基を有する前駆体(D0)としては、例えば、ポリエチレングリコール鎖を有する前駆体、ヒドロキシル基を有する前駆体、スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩、ビニルスルホン酸(塩)、(メタ)アリルスルホン酸(塩)カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。
【0063】
親水性基を有する前駆体(D0)の濃度は、全前駆体の重量に対して、好ましくは1〜70重量%、さらに好ましくは5〜60重量%である。
親水性基を有する前駆体(D0)の濃度が1重量%以上であれば、樹脂(D)が内殻(A1)中に埋没し粒子(A)が真球化してしまわないために好ましい。また、親水性基を有する前駆体(D0)の濃度が70重量%以下であれば、適度な親水性であり、外殻層(C)を形成することができ好ましい。
【0064】
外殻層(C)の厚みは、0.01〜0.2μmであり、好ましくは0.02〜0.15μmである。
【0065】
本発明で使用する樹脂前駆体(B1)は、分散媒体(U)に溶解してなり、ポリウレタン樹脂粒子(A)が樹脂前駆体(B1)の分散媒体(U)の溶液中に分散してなる。
【0066】
本発明で使用する分散媒体(U)は、特に限定されないが、たとえば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式炭化水素系溶剤;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系またはエステルエーテル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、N−メチルピロリドンなどの複素環式化合物系溶剤、純水ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
【0067】
上記分散媒体(U)の中から、基板との親和性や樹脂粒子濃度、塗装、乾燥、硬化条件により適当な分散媒体が選択されるが、粒子沈降防止の観点から、ポリウレタン樹脂粒子(A)との比重差が0〜0.04であることが好ましい。
【0068】
本発明の樹脂粒子分散液中のポリウレタン樹脂粒子(A)の濃度は、樹脂粒子分散液の重量に対して好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。また、樹脂粒子分散液中の樹脂前駆体(B1)の濃度は、樹脂粒子分散液の重量に対して好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。
また、樹脂粒子分散液中の分散媒体(U)の濃度は、樹脂粒子分散液の重量に対して好ましくは60〜99.8重量%、さらに好ましくは80〜99重量%である。
【0069】
本発明で使用する樹脂前駆体(B1)は、モノマー(B11)、オリゴマー(B12)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる。
【0070】
モノマー(B11)は特に限定されないが、ビニル系モノマーが好ましい。
ビニル系モノマーとしては、上記ビニル系モノマーおよび上記化合物(B0)が使用できる。
【0071】
オリゴマー(B12)は反応性基を有していても、有していなくてもよい。
反応性基を有していないオリゴマー(B12)としては、例えば、上記熱可塑性樹脂(D)のうち重量平均分子量が1000〜50000のものが挙げられる。
【0072】
反応性基を有するオリゴマー(B12)は、ビニル基、エポキシ基、ブロック化されていてもよいイソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する。これらのうち好ましいものは、ビニル基、エポキシ基、ブロック化されていてもよいイソシアネート基、カルボキシル基、およびこれらの組合せである。
【0073】
本発明で使用する熱可塑性樹脂(B2)は上記熱可塑性樹脂(D)のうち重量平均分子量が10,000以上のものが好ましく、20,000〜1,000,000のものがさらに好ましい。
【0074】
本発明の樹脂粒子分散液には、目的とする用途に応じて必要により公知の添加剤(たとえば可塑剤、粘度調整剤、反応促進剤、重合開始剤、充填剤、増粘剤、耐熱もしくは耐候安定剤、レベリング剤、消泡剤、防腐剤、着色料など)を任意に含有させることができる。
【0075】
粘度調整剤としては、たとえば、ポリエーテル系等の高分子型粘度調整剤、ウレタン変性ポリエーテル系等の会合型粘度調整剤、セルロース系粘度調整剤、各種ワックス、およびシリコーン系粘度調整剤が挙げられる。
配合量は樹脂粒子分散液に対して0.05重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%である。
【0076】
反応促進剤としては、反応性基がたとえばイソシアネート基である場合、アミン化合物や金属含有化合物が挙げられ、反応性基がたとえばビニル基である場合、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
配合量は樹脂粒子分散液に対して0.05重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜3重量%である。
【0077】
耐候安定剤としては、たとえばフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、オクチル化ジフェニルアミン、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート等のヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
配合量は樹脂粒子分散液に対して0.05重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%である。
【0078】
レベリング剤としては特に限定されないが、たとえば低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、エチレン−アクリル共重合体、エチレン−メタクリル共重合体などのオレフィン共重合体、(メタ)アクリル共重合体、シリコーン系重合体、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
配合量は樹脂粒子分散液に対して0.2重量%〜6重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%である。
【0079】
必要により用いる着色料としては特に限定されないが、たとえば無機顔料、有機顔料、染料などが挙げられる。無機顔料としてはたとえば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化クロム、フェライト等が挙げられる。有機顔料としてはアゾレーキ系、モノアゾ系、ジスアゾ系、キレートアゾ系等のアゾ顔料、ベンジイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、チオインジゴ系、ペリレン系、キノフタロン系、アンスラキノン系等の多環式顔料が挙げられる。染料としてはニグロシン系、アニリン系が挙げられる。
配合量は樹脂粒子分散液に対して0.5重量%〜30重量%、好ましくは1.0重量%〜10重量%である。
【0080】
本発明の樹脂粒子分散液の塗装方法は特に制限はないが、一般的な塗料の塗装方法、たとえば刷毛塗り、アプリケーターやバーコーターによる塗布、スプレー、静電スプレー法、静電スプレー法の他、特定の微小領域に塗布する場合はインクジェット法でもかまわない。
【0081】
樹脂粒子分散液を塗工した後、樹脂前駆体(B1)を反応させるための硬化条件は硬化塗膜の外観と塗膜強度の観点から50〜250℃で行うのが好ましく、さらに好ましくは80〜240℃である。
【0082】
本発明における塗膜の膜厚には特に制限はないが、外観と密着性の観点から好ましくは0.1〜100μm、さらに好ましくは0.5〜50μmである。
【0083】
本発明における樹脂粒子分散液を塗装する際の膜厚には特に制限はないが、立体的な意匠性の観点から好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜200μmである。
【0084】
本発明の塗装が行われる被塗工物としては、アクリル樹脂やフッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂等の樹脂基板、およびアルミ等の金属基板などが挙げられる。
【0085】
本発明の樹脂粒子分散液を塗工して得られる塗膜は、弾性塗膜であり、樹脂粒子により塗膜表面が凹凸形状となっていることが特徴である。本特徴を生かして本弾性塗膜は艶消し塗料、特定の触感を有するコーティング物(例えば自動車内装部材)等として使用することが出来る。
【0086】
本発明の弾性塗膜は、微小圧縮硬度計[例えば、製膜硬度計DUH−200(島津製作所製)、微小圧縮試験機PCT−200(島津製作所製)、及びフィッシャースコープH100C(フィッシャーインスツルメント製)等が挙げられ、以下同様である。]を用いて弾性塗膜の表面から突出した突起物の頂上部に該弾性塗膜の表面に対して垂直方向に荷重をかけ、該突起物の頂上部の該弾性塗膜の表面からの高さが10%減少した時点の25℃における荷重値が、好ましくは0.1〜2.0mNである特徴を有している。
【0087】
また、本発明の弾性塗膜は、微小圧縮硬度計を用いて、弾性塗膜の表面から突出した突起物の頂上部に該弾性塗膜の表面に対して垂直方向に荷重をかけ、該突起物の頂上部の該弾性塗膜の表面からの高さが40%減少した後の25℃における回復率(復元量/変形量)が、好ましくは30〜100%、さらに好ましくは60〜100%である特徴を有している。
【実施例】
【0088】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、特に記載のないかぎり、「部」は「重量部」、%は重量%を意味する。
【0089】
<製造例1>ウレタンプレポリマー、樹脂前駆体(B−1)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、ジメチルシリコーンの両末端を水酸基で変性したシリコーンジオール(Mn2,000、ヒドロキシル価56)171.4部を投入し3mmHgの減圧下で120℃に加熱して2時間脱水を行った。続いてイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと記載)28.6部を投入し、110℃で10時間反応を行いイソシアネート含量(以下、NCO%と記載)1.8%のウレタンプレポリマー、樹脂前駆体(B−1)200部を合成した。
【0090】
<製造例2>ウレタンプレポリマー、樹脂前駆体(B−2)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと記載)2.7部を投入し3mmHgの減圧下で120℃に加熱して2時間脱水を行った。続いてウレタンプレポリマー、樹脂前駆体(B−1)98.0部を投入し、70℃で20時間反応を行い、炭素−炭素2重結合含量1.0モル%、NCO%=0.9%のウレタンプレポリマー、樹脂前駆体(B−2)を合成した。
【0091】
<製造例3>樹脂前駆体(B−3)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと記載)5.3部を投入し3mmHgの減圧下で120℃に加熱して2時間脱水を行った。続いてウレタンプレポリマー、樹脂前駆体(B−1)94.7部を投入し、70℃で20時間反応を行い、炭素−炭素2重結合含量2.0モル%の樹脂前駆体(B−3)を合成した。
【0092】
<製造例4>鎖伸長剤(e)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン(以下、IPDAと記載)54部とメチルエチルケトン(以下、MEKと記載)46部、およびノルマルヘキサン200部を仕込み、70℃で10時間反応を行った後、分液により水を除去し、IPDA1分子とMEK2分子からなるジケチミン化合物[鎖伸長剤(e−1)]を得た。
【0093】
<製造例5>微粒子分散液(J−1)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、スチレン化フェノールポリエチレンオキサイド付加物(エレミノールHB−12、三洋化成工業社製)180部とウレタンプレポリマー、樹脂前駆体(B−1)250部を投入し、攪拌下で反応容器に水を滴下した。水を31部投入したところで、系が乳白色に乳化した。更に水を224部滴下し、乳濁液を得た。加熱して、系内温度70℃まで昇温した後、ポリエチレングリコール(分子量400)150部を水446部に溶解した液を70℃を維持したまま2時間かけて滴下した。滴下後、70℃で5時間、90℃で5時間反応・熟成してウレタン樹脂水性分散液[J−1]を得た。樹脂微粒子(B0−1)をレーザー式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は、0.2μmであった。
【0094】
<製造例6>微粒子分散液(J−2)の製造
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)31部、スチレン139部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(J−2)を得た。樹脂微粒子(B0−2)をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.02μmであった。
【0095】
<製造例7>樹脂粒子の製造
ビーカー内にウレタンプレポリマー、樹脂前駆体(B−2)480部、ジビニルベンゼン100部、重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル12部、キシレン140部、および鎖伸長剤(e−1)25部とを混合しておき、ポリビニルアルコール[「PVA−235」、(株)クラレ製]3部を溶解した水1616部、および微粒子分散液[J−1]404部を添加し、25℃でウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数9,000rpmで1分間混合した。
混合液をフィルムエバポレータで減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤した後、70℃で12時間反応を行い水性分散液を得た。次いで分級後乾燥し、樹脂粒子(A−1)を得た。外殻層(B)の厚みは0.13μmであった。
【0096】
<製造例8>
製造例7において微粒子分散液[B0−1]の替わりに微粒子分散液[B0−2]を使用し、それ以外は実施例2と同様にして、樹脂粒子(A−2)を得た。外殻層(B)の厚みは0.05μmであった。
【0097】
<比較製造例9>
ビーカー内にジビニルベンゼン100部、重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル0.8部とを混合しておき、ポリビニルアルコール[「PVA−235」、(株)クラレ製]20部を溶解した水1616部を添加し、25℃でウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用し、回転数9,000rpmで1分間混合した。
混合液を70℃で12時間反応を行った後、フィルムエバポレータで減圧度−0.05MPa(ゲージ圧)、温度40℃、回転数100rpmの条件で30分間脱溶剤して水性分散液を得た。次いで分級後乾燥し、比較用の樹脂粒子(R−1)を得た。
【0098】
<実施例1〜7、比較例1〜4>樹脂粒子分散液の製造
ビーカー内に表1に示した量の樹脂粒子(A−1)、(A−2)、樹脂前駆体(B−1)〜(B−3)、ポリスチレン(重量平均分子量:37,000、重量平均分子量/数平均分子量:1.01)(B−4)、分散媒体(U)としてのトルエン、および硬化触媒としてのラジカル重合開始剤(日本油脂製パーヘキシルI)(c−1)またはウレタン化触媒(ジブチルチンジラウレート)(c−2)とを混合し、室温下に30分間超音波を照射し、表1に記載の樹脂粒子分散液(F−1)〜(F−7)を得た。(B−1)〜(B−4)はトルエンに溶解していた。
また、表1に示した量の樹脂粒子(R−1)、およびシリカ粒子(R−2)を用いて実施例1〜7と同様にして、比較粒子分散液(F−1’)〜(F−4’)を得た。
【0099】
【表1】

【0100】
樹脂粒子分散液(F−1)〜(F−7)、比較粒子分散液(F−1’)〜(F−4’)を厚み0.5mmの黒色ポリプロピレン板上にキャスト厚100μmで塗布した後、100℃で3時間加熱させ、表2に記載の実施例1〜7、比較例1〜4の塗膜を得た。
【0101】
本発明の樹脂粒子(C−1)〜(C−7)、比較例の樹脂粒子(R−1)〜(R−4)の特性値、及び評価結果を表1に示した。特性値の測定方法、及び評価方法は以下の通りである。
実施例1〜7は、比較例1〜4に比べて、樹脂粒子の破壊や塗工面の破壊が発生しないことがわかる。
【0102】
【表2】

【0103】
<体積平均粒子径、粒度分布>
体積平均粒子径および粒度分布の測定は、エレクトロゾーン法で行い、以下の条件で測定した。
粒度分布 :CV(標準偏差を中心粒子径で除した値を百分率にて表した数値)で表記した。
装置 :ベックマン・コールター社製 マルチタイザーIII
測定範囲 :0.4μm〜1200μm
【0104】
<形状係数(SF−2)>
樹脂粒子の形状係数は、電子顕微鏡を用い倍率500倍に拡大した樹脂粒子の像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報を解析して式(1)より算出した。
(SF−2)=100×(P)2/{4π×(Y)} (1)
〔式中、(P)は樹脂粒子の周囲長を示し、(Y)は樹脂粒子の投影面積を示す。〕
【0105】
<粒子の圧縮特性>
樹脂粒子(A−1)〜(A−2)、(R−1)、(R−2)について、10%変位時圧縮弾性率及び、圧縮変形回復率を以下の方法で測定し、結果を表1に記載した。
<10%変位時圧縮弾性率>
微小圧縮試験機 PCT−200((株)島津製作所製)を使用し、25℃雰囲気下、試料台上で粒子の中心方向に対し該粒子に荷重をかけ、粒子径の10%まで変位した際の荷重値、変位値から上記で記載した次式にて算出される10%変位時圧縮弾性率を測定した。
[10%変位時圧縮弾性率]=3F/(2SR)1/2
ここでFは圧縮荷重を表す。Sは圧縮変位、Rは粒子半径を表す。測定は25℃において行なった。圧縮荷重、圧縮変位は測定値を用いた。粒子半径は上記体積平均粒子径を用いた。
<圧縮変形回復率>
10mNまで荷重をかけた後、0.5mNまで除荷した時の復元量を最大荷重時の変位で除した値を百分率にて表した値。
【0106】
<塗膜の圧縮特性>
塗膜の弾性についての物性を以下の方法で測定し、結果を表2に記載した。
<10%変位時の荷重>
微小圧縮試験機 PCT−200((株)島津製作所製)を使用し、25℃雰囲気下、弾性塗膜の表面から突出した突起物の頂上部に該弾性塗膜の表面に対して垂直方向に荷重をかけ、頂上部の塗膜表面からの高さが10%減少した時点の荷重値を測定する。
<圧縮変形回復率>
微小圧縮硬度計を使用し、25℃雰囲気下、弾性塗膜の表面から突出した突起物の頂上部に該弾性塗膜の表面に対して垂直方向に荷重をかけ、頂上部の塗膜表面からの高さが40%減少した後の復元量を測定し、復元量/変形量で示される回復率を求める。
【0107】
<粒子の破壊と基板の傷付き>
上記圧縮変形回復率を測定した基板について、25℃で24時間経過後の圧縮部分の粒子形状を電子顕微鏡により観察し、粒子破壊有無を判定した。
判定基準:
○ 球状
△ 楕円球状
× 球状を保たない変形
また、同基板の裏面を観察し、傷付きの有無を確認した。
○ 傷付き無し
× 傷付き発生
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の樹脂粒子分散液は、艶消し塗料、特定の触感を有するコーティング物(例えば自動車内装部材)、その他基板上硬化物等に有用である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋構造を有するポリウレタン樹脂(a)からなるポリウレタン樹脂粒子(A)、樹脂前駆体(B1)又は熱可塑性樹脂(B2)、及び分散媒体(U)を必須成分としてなることを特徴とする樹脂粒子分散液。
【請求項2】
ポリウレタン樹脂粒子(A)の粒子直径10%変位時の25℃における圧縮弾性率が100〜2450MPaであり、かつ圧縮変形回復率が50〜100%である請求項1に記載の樹脂粒子分散液。
【請求項3】
ポリウレタン樹脂粒子(A)の形状係数(SF−2)が110〜300である請求項1又は2に記載の樹脂粒子分散液。
【請求項4】
ポリウレタン樹脂粒子(A)が、厚みが0.01〜0.2μmであり熱可塑性樹脂(D)からなる外殻層(C)、及び架橋構造を有するポリウレタン樹脂(a)からなる内殻(E)からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂粒子分散液。
【請求項5】
ポリウレタン樹脂(a)が、高分子ジオール成分としてシリコーンジオールを用いたポリウレタン樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂粒子分散液。
【請求項6】
樹脂前駆体(B1)が分散媒体(U)に溶解してなり、ポリウレタン樹脂粒子(A)が樹脂前駆体(B1)の分散媒体(U)の溶液中に分散してなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂粒子分散液。
【請求項7】
樹脂前駆体(B1)が、モノマー(B11)及びオリゴマー(B12)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂粒子分散液。
【請求項8】
オリゴマー(B12)が、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、およびメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する、請求項7に記載の樹脂粒子分散液。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂粒子分散液を、樹脂前駆体(B1)を使用した場合は、塗工後、樹脂前駆体(B1)を反応させることで得られ、熱可塑性樹脂(B2)を使用した場合は、塗工後得られる、樹脂粒子により塗膜表面が凹凸形状となった弾性塗膜。
【請求項10】
微小圧縮硬度計を用いて、弾性塗膜の表面から突出した突起物の頂上部に該弾性塗膜の表面に対して垂直方向に荷重をかけ、該突起物の頂上部の該弾性塗膜の表面からの高さが10%減少した時点の25℃における荷重値が0.1〜2mNである請求9に記載の弾性塗膜。
【請求項11】
微小圧縮硬度計を用いて、弾性塗膜の表面から突出した突起物の頂上部に該弾性塗膜の表面に対して垂直方向に荷重をかけ、該突起物の頂上部の該弾性塗膜の表面からの高さが40%減少した後の25℃における回復率(復元量/変形量)が30〜100%である請求9又は10に記載の弾性塗膜。



【公開番号】特開2008−285631(P2008−285631A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134637(P2007−134637)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】