説明

機器管理システム、機器管理装置、機器管理方法および機器管理プログラム、ならびに、映像機器、情報送信方法および情報送信プログラム

【課題】 ネットワークで接続された映像機器の、記録時の条件を略リアルタイムで容易に知ることができ、問題に迅速に対応する。
【解決手段】 映像機器10は、記録媒体11から再生した記録時の条件などを示すデータや、機器10の記録時の設定などをメモリ20に記憶する。機器管理装置30は、機器10で発生するエラー内容や、記録媒体11の記録条件と機器10の設定との相性による不具合情報などが格納されたDB34を有する。記録媒体11の再生時に機器10で発生したエラーを示す情報が、SNMPエージェント18によりTrapコマンドでSNMPマネージャ31に送信される。SNMPマネージャ31は、このコマンドに応じてSNMPエージェント18と通信し、メモリ20に記憶されたデータを取得し、取得されたデータに基づきDB34を参照して、エラー内容及び不具合情報を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像機器の状態をネットワークを介して管理するようにした機器管理システム、機器管理装置、機器管理方法および機器管理プログラム、ならびに、映像機器、情報送信方法および情報送信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放送局や映像の制作プロダクションなどでは、スタジオ内に複数台の映像記録再生機器を設置している場合が多く、また、このようなスタジオを多数、有する場合もある。近年では、ネットワーク環境の発達により、多数の映像機器をLAN(Local Atra Network)などのネットワークで接続し、集中的に管理することが行われている。
【0003】
すなわち、従来から、ネットワークで接続された映像機器の動作状態に関する情報や、ネットワークで接続された映像機器に装填された記録媒体の記録可能時間を、インターネットなどネットワークを介して取得するようにしたシステムは、存在していた。このようなシステムでは、ネットワークで接続された映像機器について、動作状態や装填された記録媒体の記録可能時間といった情報を集中的に管理することができる。
【0004】
特許文献1には、このような、ネットワークを介して接続された複数の映像記録再生機器について、データ記録可能な時間を問い合わせることができるようにした技術が記載されている。
【特許文献1】特開2001−320659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような従来のシステムでは、ネットワークに接続先の映像機器において記録または再生時にトラブルが発生した際に、発生したトラブルの原因が機器の動作状態に起因するものであれば、有効な情報を得ることができる。
【0006】
しかしながら、従来のシステムでは、映像機器そのものは正常であるが、ビデオデータの記録条件、例えば用いる記録媒体のフォーマットや、信号を記録する際の条件(例えばビットレートや信号フォーマットといったビデオフォーマット)などに起因するトラブルが発生した場合、有効な情報が得られなかったという問題点があった。
【0007】
すなわち、近年では、ビデオデータを記録するための記録媒体として、従来の磁気テープに加えて、記録可能な光ディスクなどが用いられることが多くなっていいる。このようなディスク状記録媒体は、多種類の記録フォーマットに対応可能である。また、近年では、記録されるビデオデータの信号フォーマットも、より多彩になってきている。着脱可能な記録媒体を用いた場合など、記録媒体を交換した際に、交換された記録媒体に記録されているビデオデータの信号フォーマットや記録フォーマットが交換前の記録媒体のものと異なっている場合もあり得る。そのため、スタジオ内などで映像記録再生機器にトラブルが発生しても、記録条件に関する情報が得られないと、直ぐに対処することが困難であることが考えられる。
【0008】
したがって、この発明の目的は、ネットワークで接続された映像機器について、記録時の条件を略リアルタイムで容易に知ることができ、問題に迅速に対応することができるようにした機器管理システム、機器管理装置、機器管理方法および機器管理プログラム、ならびに、映像機器、情報送信方法および情報送信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、記録媒体から記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを読み出し、読み出したメタデータを、エラー発生時にネットワークを介して送信するようにされた映像機器と、映像機器から送信されたメタデータをネットワークを介して受信し、受信されたメタデータを用いて映像機器で発生したエラーを解析するようにした機器管理装置とからなることを特徴とする機器管理システムである。
【0010】
また、請求項14に記載の発明は、映像機器のエラー発生時に映像機器からネットワークを介して送信された、記録媒体から読み出された記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを受信し、受信されたメタデータを用いて映像機器で発生したエラーを解析するようにしたことを特徴とする機器管理装置である。
【0011】
また、請求項27に記載の発明は、映像機器のエラー発生時に映像機器からネットワークを介して送信された、記録媒体から読み出された記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを受信し、受信されたメタデータを用いて映像機器で発生したエラーを解析するようにしたことを特徴とする機器管理方法である。
【0012】
また、請求項28に記載の発明は、映像機器のエラー発生時に映像機器からネットワークを介して送信された、記録媒体から読み出された記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを受信し、受信されたメタデータを用いて映像機器で発生したエラーを解析するようにした機器管理方法をコンピュータ装置に実行させることを特徴とする機器管理プログラムである。
【0013】
また、請求項29に記載の発明は、記録媒体から記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを読み出し、読み出したメタデータを、エラー発生時に、メタデータを用いてメタデータの送信元機器のエラーを解析する機器管理装置に対して、ネットワークを介して送信するようにしたことを特徴とする映像機器である。
【0014】
また、請求項37に記載の発明は、記録媒体から記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを読み出し、読み出したメタデータを、エラー発生時に、メタデータを用いてメタデータの送信元機器のエラーを解析する機器管理装置に対して、ネットワークを介して送信するようにしたことを特徴とする情報送信方法である。
【0015】
また、請求項38に記載の発明は、記録媒体から記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを読み出し、読み出したメタデータを、エラー発生時に、メタデータを用いてメタデータの送信元機器のエラーを解析する機器管理装置に対して、ネットワークを介して送信するようにした情報送信方法をコンピュータ装置に実行させることを特徴とする情報送信プログラムである。
【0016】
上述したように、請求項1、14、27および28に記載の発明は、映像機器のエラー発生時に映像機器からネットワークを介して送信された、記録媒体から読み出された記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを受信し、受信されたメタデータを用いて映像機器で発生したエラーを解析するようにしているため、映像機器で発生した、記録媒体へのデータの記録時の条件に起因するエラーに対し、ネットワークを介して解析し、対処することができる。
【0017】
また、請求項29、37および38に記載の発明は、記録媒体から記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを読み出し、読み出したメタデータを、エラー発生時に、メタデータを用いてメタデータの送信元機器のエラーを解析する機器管理装置に対して、ネットワークを介して送信するようにしているため、機器管理装置は、映像機器で発生した、記録媒体へのデータの記録時の条件に起因するエラーに対し、ネットワークを介して解析し、対処することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明は、映像機器から機器管理装置に対して、記録媒体に関するメタデータを送信するようにしているため、映像機器の記録時や再生時にトラブルが発生した場合に、機器管理装置側で、映像機器に装填された記録媒体に起因するエラー原因を調査することができる効果がある。
【0019】
例えば、この発明の実施の一形態では、映像機器に装填された記録媒体にデータを記録した際に用いられた機器やファームウェアのバージョン、当該記録媒体に記録済みのデータ量やファイル数などをエラー原因の解析に用いることができる効果がある。
【0020】
一例として、機器管理装置により、記録媒体にデータを記録した際のファームウェアのバージョンと、当該記録媒体が装填された映像機器のファームウェアのバージョンとを比較することが考えられる。この場合には、例えばより新しいファームウェアのバージョンを用いて記録された記録媒体を、古いバージョンのファームウェアを用いた映像機器で再生しようとしようとすると、記録媒体に記録されたフォーマットなどの一部が映像機器側で解釈できずに、エラーが発生する可能性があるとして、エラー原因の推定や、エラーに対する対処を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施の一形態について説明する。この発明では、記録可能な光ディスクなどの、映像機器に対して容易に脱着可能とされたリムーバブルメディアをビデオデータの記録媒体として用いる場合に、当該記録媒体に対する記録条件を、ネットワークを介して送信できるようにしている。そして、映像機器から送信された記録条件の受信側では、受信された記録条件と、予め用意された、当該条件に関する情報とを比較して、記録条件を送信した映像機器側に発生したトラブルなどの解決に利用する。
【0022】
なお、ここでいう記録条件は、例えば、記録に用いる記録媒体のフォーマット時の条件や、当該記録媒体にビデオデータを記録した際のビデオデータのフォーマット、記録時に用いたソフトウェア(ファームウェア)の情報、例えばソフトウェアのバージョン情報やファイルシステムに関する情報といった、記録媒体に関連する条件を指すものとする。
【0023】
また、この発明の実施の一形態では、映像機器と映像機器を管理するための管理センタとがTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)をプロトコルとして用いて接続され、上述の記録条件は、TCP/IP上でSNMP(Simple Network Management Protocol)をプロトコルとして通信される。SNMPは、TCP/IPによりネットワークに接続された機器を管理するためのプロトコルである。SNMPは、IP(Internet Protocol)上で用いられるプロトコルUDP(User Datagram Protocol)により実現される。
【0024】
先ず、理解を容易とするために、この発明の説明に先立って、図1〜図9を用いてSNMPについて概略的に説明する。SNMPでは、システム管理者により起動されるネットワーク監視端末(SNMPマネージャと称される)と、SNMPが実装されるネットワーク上の機器(SNMPエージェントと称される)との間のプロトコルが規定される。SNMPでは、MIB(Management Information Base)と称されるSNMPエージェントが持つ情報に、SNMPマネージャがアクセスすることで、機器の状態の把握や機器に設定される定義情報の変更が可能とされる。SNMPを用いることによって、複雑に構成されるネットワークの管理を、SNMPマネージャから容易に行うことが可能とされる。
【0025】
図1に一例が示されるように、SNMPでは、互いにネットワーク2で接続されたSNMPマネージャ1とSNMPエージェント3との間で通信が行われる。SNMPマネージャ1は、SNMPにより監視を行う機器側に搭載されるソフトウェアモジュールである。また、SNMPエージェント3は、SNMPにより監視される機器側に搭載されるソフトウェアモジュールであり、ここに、SNMPエージェント3が搭載された機器の情報が集められ、SNMPのプロトコルに翻訳されて、SNMPマネージャ1に対して通信される。
【0026】
ネットワーク2には、SNMPエージェント3をそれぞれ搭載した機器を複数、接続することができる。SNMPマネージャ1は、ネットワーク2に接続された複数の機器が有するSNMPエージェント3とそれぞれ通信を行い、ネットワーク2により構成されるシステム全体の監視情報を収集する機能を有する。
【0027】
SNMPエージェント3からSNMPマネージャ1に対して情報を通知する際に、通知する情報の項目を予め定義しておく必要がある。SNMPでは、この項目(すなわち変数)をMIB(Management Information Base)と称する。MIBに格納される情報のそれぞれは、オブジェクトと称される。オブジェクトは、図2に一例が示されるように、ノード(節)およびノードに接続されるブランチ(枝)により構成されるツリー構造を有する。オブジェクトは、ノードに対応し、ノードに接続されるブランチにより、他の階層のオブジェクトと関連付けられる。オブジェクトのそれぞれには、階層上での位置を示すOID(Object ID)が付される。MIBに格納されているデータ(オブジェクト)には、このOIDを用いてアクセスすることができる。
【0028】
OIDは、「1.3.6.1.2.1.4」のように、ピリオドで区切られた数字で表される。例えば、MIBの階層構造上で、インターネットを示すOIDは、「1.3.6.1」で表されることが分かる。なお、ある階層のオブジェクトは、ブランチで接続されたより下位階層のオブジェクトをグループ化したものになっている。
【0029】
MIBにおいて定義されるサブツリーのうち、RFC(Request For Comments)により定義されるサブツリーを標準MIBと称し、各ベンダにより独自に拡張されるサブツリーをプライベート(Private)MIBと称する。プライベートMIBのOIDは、「1.3.6.1.4」である。また、標準MIBにおいて、特にIP(Internet Protocol)ネットワークに接続されるデバイスが管理するべき情報として、サブツリーMIB−2がRFCにより定義される。サブツリーMIB−2のOIDは、「1.3.6.1.2.1」で表される。また、MIB−2階層の下位オブジェクトである、IPの使用に関する設定が格納されるIPグループは、OID「1.3.6.1.2.1.4」で表される。
【0030】
一方、プライベートMIBを示すサブツリーprivate下のグループenterprises以下に、各ベンダが機器固有の機能を管理するためのMIBが格納される。図2の例では、サブツリーenterprisesに対して、aaa社が値「xxx」で定義され、aaa社の例えば製品グループbbbbが値「yyyy」で定義される。さらに、製品グループbbbbがさらにカテゴライズされ、そのうち1のカテゴリ(カテゴリCommonとする)が値「z」で定義される。すなわち、aaa社の製品グループbbbb内のカテゴリCommonのMIBは、OID「1.3.6.1.4.1.xxx.yyyy.z」で表される。すなわち、このOID「1.3.6.1.4.1.xxx.yyyy.z」を用いてMIBにアクセスすることで、「aaa社の製品グループbbbb内のカテゴリCommon」に関するデータ(オブジェクト)を取得することができる。
【0031】
なお、OIDは、各ベンダ含めて全てのMIBそれぞれにユニークな値が与えられている。そのため、SNMPマネージャ1は、各種のMIBを混在して使用することができる。
【0032】
SNMPで用いられるコマンド(PDU:Protocol Data Units)について説明する。SNMPでは、基本的に、コマンドGetRequest、コマンドGetResponse、コマンドSetRequest、コマンドGetNextRequestおよびコマンドTrapの5個のコマンドを用いてSNMPマネージャ1とSNMPエージェント3との間での通信が行われる。
【0033】
コマンドGetRequestは、SNMPマネージャ1からSNMPエージェント3に対して情報の取得を要求するコマンドである。SNMPマネージャ1は、定期的にこのコマンドGetRequestをSNMPエージェント3に送信する、ポーリングと称される方法で、指定されたSNMPエージェント3に対して情報の取得を要求する。特定のSNMPエージェント3を指定するためには、OIDを用いる。コマンドGetResponseは、SNMPエージェント3がSNMPマネージャ1に対して返答を返すコマンドである。
【0034】
図3は、コマンドGetRequest、コマンドGetresponse、コマンドSetRequestおよびコマンドGetNextRequestで共通の構造を示す。これらのコマンドは、先頭からフィールドPDU Type、フィールドRequest ID、フィールドError Status、フィールドError IndexおよびフィールドObject Dataが配置され、フィールドObject Dataは、フィールドObject1、フィールドObject2、・・・のように、複数のオブジェクトを配置できる。
【0035】
図3のコマンドの構造に対して、先頭側にフィールドVersionと、フィールドCommunityとが付加されて、SNMPデータグラムが構成される。フィールドVersionは、SNMPのバージョンがセットされる。また、フィールドCommunityは、SNMPマネージャ1とSNMPエージェント3との間でパスワードとして利用可能な値がセットされる。なお、上述したように、SNMPは、IP上のUDPによって実現されるので、実際には、SNMPデータグラムに対して、先頭側に、IPヘッダとUDPヘッダとがさらに付加される。
【0036】
フィールドPDU Typeは、コマンドの種別を示す。フィールドPDU Typeが値「0」でコマンドGetRequest、値「1」でコマンドGetNextRequest、値「2」でコマンドGetResponse、値「3」でコマンドSetRequestをそれぞれ示す。なお、フィールドPDU Typeの値が「4」のときは、コマンドTrapを示す。
【0037】
フィールドRequest IDは、SNMPマネージャ1からの要求と、SNMPエージェント3からの応答とを関連付けるための値がセットされる。例えば、SNMPマネージャ1からフィールドRequest IDが値「R」にセットされたコマンドGetRequesがSNMPエージェント3に送信された場合、当該コマンドに対応するSNMPエージェント3からの返答コマンドGetResponseのフィールドrequest IDにも、対応する値「R」がセットされる。
【0038】
フィールドError Statusは、SNMPマネージャ1とSNMPエージェント3との間でやりとりされるコマンド上のエラーがエラーコードで示される。エラーが無く正常に動作しているときは、値「noError」がセットされる。フィールドError Indexは、コマンド上のエラーが発生した場合、コマンド内に含まれるどのデータにエラーが発生したのかを示す値がセットされる。
【0039】
フィールドObjectは、OIDと、OIDに対応する値がセットされる。OIDおよび値の組は、複数、記述することができる。例えば、コマンドGetRequestにおいて、フィールドObjectにOIDを記述し、対応する値に「NULL」を指定すると、このコマンドGetRequestに対する返答コマンドGetResponseにおいて、OIDに対して、当該OIDが示すMIBデータが値として付加されて返信される。
【0040】
図4は、コマンドGetRequestおよびコマンドGetResponseを用いた通信を概略的に示す。なお、以下では、OID「1.3.6.1.2.1.1.5」が対象機器名が格納されるMIBを示し、OID「1.3.6.1.2.1.1.6」が対象機器の設置場所名が格納されるMIBを示すものとする。
【0041】
SNMPマネージャ1は、OID「1.3.6.1.2.1.1.5」で示される機器の機器名を知る場合、コマンドGetRequestにOID「1.3.6.1.2.1.1.5」をセットし、値「NULL」を指定して送信する。このコマンドGetRequestは、OID「1.3.6.1.2.1.1.5」で示される機器のSNMPエージェント3に受信され、SNMPエージェント3は、当該コマンドGetRequestの返答としてコマンドGetResponseにOID「1.3.6.1.2.1.1.5」に当該機器名を示す値「ABCD001」を指定して、SNMPマネージャ1に返信する。SNMPマネージャ1は、このコマンドGetResponseを受け取り、値「ABCD001」を取得する。また、SNMPマネージャ1が対象機器の機器名と設置場所名とを知りたい場合、コマンドGetrequestにOID「1.3.6.1.2.1.1.5」とOID「1.3.6.1.2.1.1.6」とをセットし、それぞれ値「NULL」を指定して送信する。
【0042】
コマンドGetNextRequestは、フィールドPDU Typeの値以外はコマンドGetRequestと同一である。コマンドGetNextRequestに対する返答コマンドGetResponseにおいて、コマンドGetNextRequestにより問い合わされたOIDの、辞書式に見て次に位置するオブジェクトが返される。図5は、コマンドGetNextRequestを用いた通信の例を示す。SNMPマネージャ1から送信されたOID「1.3.6.1.2.1.1.4」および値「NULL」がセットされたコマンドGetNextRequestに対して、SNMPエージェント3は、辞書式に次のOID「1.3.6.1.2.1.1.5」および対応する値をセットしたコマンドGetResponseを返信する。
【0043】
コマンドSetRequestの場合、SNMPマネージャ1側でOIDに値を付加してSNMPエージェント3に送信する。SNMPエージェント3側では、受信されたコマンドSetRequestにおいて、フィールドObjectに記述されたOIDが示すMIBデータに、OIDに付加された値を書き込む。そして、SNMPエージェント3からSNMPマネージャ1に対して、コマンドSetRequestに対する返答コマンドGetResponseにおいて、OIDに対して、当該OIDが示すMIBデータが値として付加されて返信される。図6は、コマンドSetRequestを用いた通信の例を示す。
【0044】
図7は、コマンドTrapの構造を示す。コマンドTrapのフィールドPDU Typeの値は、上述したように「4」となる。フィールドEnterpriseは、このコマンドTrapを定義した管理エンタープライズすなわちベンダの値が記述される。図2の例では、OID「1.3.6.1.4.1.xxx.yyyy」がフィールドEnterpriseに記述される。フィールドAgent IP Addressは、コマンドTrapの送信元のIPアドレスがセットされる。フィールドGeneric Trap TypeおよびフィールドSpecific Trap Typeには、SNMPマネージャ1に対して当該コマンドTrapで通知される対象機器のイベントを示す値がセットされる。フィールドGeneric Trap Typeには、予め数種類のイベントが定義されており、フィールドGeneric Trap Typeに定義されていないコマンドTrapを用いる場合、フィールドSpecific Trap Typeに、当該コマンドTrapの値がセットされる。
【0045】
図8は、コマンドTrapを用いた通信の例を示す。フィールドGeneric Trap Typeの値「coldStart」や「authenticationFailure」は、予め定義されたイベントである。一方、フィールドGeneric Trap Typeの値「enterpriseSpecific」は、フィールドGeneric Trap Typeとして定義されていないイベントを示す。この場合、フィールドSpecific Trap Typeに、例えば各ベンダ毎に定義された値(図7の例では、値「proV1ErrStatLevel」、値「proV1ErrStatCode」、値「proV1ErrStatDescr」)がセットされる。
【0046】
コマンドTrapは、SNMPエージェント3からSNMPマネージャ1に対して、自発的に情報を送信する。上述したように、ポーリングでは、SNMPマネージャ1からSNMPエージェント3に対して情報の取得を要求し、その応答として、SNMPエージェント3からSNMPマネージャ1へのデータの返信が行われる。このコマンドTrapを用いることにより、SNMPエージェント3からSNMPマネージャ1に自発的に情報が返され、SNMPエージェント3SNMPエージェント3側で発生した情報を、最短時間でSNMPマネージャ1に通知することができる。
【0047】
図9に概略的に示されるように、SNMPマネージャ1は、管理端末4上に搭載されるソフトウェアである。管理端末4は、一般的には、例えばパーソナルコンピュータのような、汎用のコンピュータ装置で構成される。汎用のコンピュータ装置の構成については、周知であるので、繁雑さを避けるために、ここでの説明を省略する。なお、管理端末4は、ソフトウェアとしてのSNMPマネージャ1を搭載且つ実行が可能であれば、汎用のコンピュータ装置に限られず、例えば管理端末4としての機能に特化した専用機として構成することもできる。一方、SNMPエージェント3は、管理の対象となる機器5に例えば内蔵され、機器5のファームウェア6と通信を行い、機器5の内部情報を収集する。
【0048】
上述したように、管理端末4に搭載されたSNMPマネージャ1から機器5に内蔵されるSNMPエージェント3に対して、ポーリングによりコマンドGetRequestが送信され、管理端末4により機器5の情報が定期的に取得される。また、機器5に内蔵されるSNMPエージェント3は、例えば機器5の内部状態に応じて、必要に応じてコマンドTrapを自発的にSNMPマネージャ1に対して送信する。例えば、SNMPエージェント3は、機器5の状態を常時診断し、エラーが発生したと診断されたら、コマンドTrapを用いて、SNMPマネージャ1に対してエラー情報を通知する。これにより、管理端末4は、機器5のエラー発生のタイミングに応じて機器5のエラー情報を取得することができる。
【0049】
次に、この発明の実施の一形態による機器情報管理について説明する。図10は、この発明の実施の一形態に適用可能な機器情報管理システムの一例の構成を示す。映像機器10は、図9の機器5に対応するもので、例えば放送局や制作スタジオ内のスタジオ100に設置され、着脱可能な記録媒体11に対するビデオデータの記録や、記録媒体11に記録されたビデオデータの再生を行う。また、映像機器10は、SNMPエージェント18(図1、図9のSNMPエージェント3に対応)が搭載される。
【0050】
一方、管理センタ101には、図9の管理端末4に対応する機器管理装置30が設置され、機器管理装置30とスタジオ100に設置された映像機器10とが例えばLAN(Local Area Network)により接続され、TCP/IPをプロトコロルとして用いて互いに通信を行うことができるようにされている。機器管理装置30は、例えばパーソナルコンピュータなどの汎用のコンピュータ装置からなり、SNMPマネージャ31(図1、図9のSNMPマネージャ1に対)が搭載される。SNMPマネージャ31は、例えば一般的なSNMPマネージャを適用することができる。機器管理装置30は、ネットワークを介して映像機器10とSNMPを用いて通信を行い、映像機器10の状態を管理する。
【0051】
なお、図10では、スタジオ100内に映像機器10が1台設置され、1台の映像機器10と機器管理装置30とが1対1で接続されているように示しているが、これはこの例に限定されない。すなわち、通常、スタジオ100内には複数台の映像機器10、10、・・・が設置される。また、このようなスタジオ100が複数、存在する場合もある。このような場合、スタジオ100内の各映像機器10、10、・・・が互いにネットワークで接続され、当該ネットワークに機器管理装置30がさらに接続される。スタジオ100が複数、存在する場合にも同様にして、複数のスタジオ100、100、・・・内の各映像機器10、10、・・・が互いにネットワークで接続されると共に、各スタジオ100、100、・・・もそれぞれネットワークで接続される。接続された全ての映像機器10、10、・・・を1台の機器管理装置30で管理することができる。
【0052】
先ず、映像機器10について説明する。映像機器10の全体は、CPU(Central Processing Unit)17により制御される。CPU17は、図示されないROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)が接続され、ROMに予め記憶されたプログラム(ファームウェア:図9のファームウェア6に対応)やデータに従い、映像機器10の各部を制御する。RAMは、CPU17のワークメモリとして用いられる。ROMには、SNMPエージェント18を実行するためのプログラムも記憶される。例えば映像機器10の起動時に、CPU17により、SNMPエージェント18を起動するためのプログラムがROMから読み出され、RAM上に展開される。
【0053】
なお、ROMは、データの書き換えが可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などを用いると、ファームウェアなどの更新が容易で、好ましい。また、図10では、映像機器10が1個のCPU17により制御されているように示されているが、これはこの例に限定されない。例えば映像機器10が複数のCPUを有し、この複数のCPUが互いに連携的に映像機器10を制御するようにしてもよい。
【0054】
CPU17に対してメモリ20が接続される。メモリ20は、上述したCPU17のワークメモリとしてのRAMでもよい。メモリ20上のパース処理領域20Aは、CPU17が後述するメタデータを解釈する際にバッファとして用いられる領域である。さらに、メモリ20には、後述するCPU17により取得される各種データがデータ種類毎に領域20B、20Cおよび20Dにそれぞれ記憶される。また、MIB領域20Eは、MIB形式のデータが記憶される。
【0055】
また、CPU17に対して、ネットワークを介して通信を行うための通信手段が接続される(図示しない)。映像機器10は、上述した映像機器10と機器管理装置30とを接続するためのネットワーク(LAN)が接続され、CPU17は、この通信手段を制御することで、映像機器10と機器管理装置30との間での通信を行う。
【0056】
記録ビデオ信号処理部16は、入力されたビデオデータに対して圧縮符号化処理など、所定のビデオ信号処理を施し出力する。記録ビデオ信号処理部16の出力は、信号多重化処理部15に供給される。信号多重化処理部15は、記録ビデオ信号処理部16から供給された記録ビデオデータが入力されると共に、CPU17からメタデータなどが供給される。信号多重化処理部15は、供給されたこれらのデータを記録フォーマットにマッピングし、記録データとして出力する。記録データは、記録/再生部12に供給される。
【0057】
記録/再生部12は、供給された記録データに対してエラー訂正符号化処理や記録符号化処理など、所定の記録信号処理を施して記録信号を生成し、記録媒体11に記録する。また、記録媒体11に記録されたデータを再生し、再生信号を復調して得られたデータに対して記録符号の復号化処理やエラー訂正符号の復号化処理を施し、再生データとして出力する。
【0058】
なお、映像機器10に適用可能な記録媒体11の種類は特に限定されない。例えば、記録可能な光ディスク、磁気テープおよび半導体メモリといった、映像機器10に対して着脱自在とされた記録媒体を記録媒体11として用いることができる。また、記録媒体11は、例えばハードディスクドライブといった、映像機器10において固定的に用いられる記録媒体であってもよい。
【0059】
記録/再生部12から出力された再生データは、信号分解処理部13に供給され、ビデオデータ、オーディオデータおよびメタデータがそれぞれ取り出される。ビデオデータは、再生ビデオ信号処理部14に供給され、圧縮符号化されたビデオデータの伸長処理などの所定のビデオ信号処理を施され、出力される。メタデータは、CPU17に供給され、メモリ20のパース処理領域20Aに書き込まれる。パース処理領域20Aに書き込まれたメタデータは、CPU17により解釈される。
【0060】
また、CPU17は、記録ビデオ信号処理部16、再生ビデオ信号処理部14および記録/再生部12など映像機器10の各部から記録条件を示すデータや再生状態を示すデータ、エラー情報などのデータを取得する。取得されたデータは、メモリ20に記憶される。
【0061】
例えば、CPU17は、記録時には、記録ビデオ信号処理部16、信号多重化処理部15および記録/再生部12から、記録の際の諸条件を示すデータを取得する。また、CPU17は、記録媒体11にデータを記録する際に用いるソフトウェアの情報を、メディアメタデータとして信号多重化処理部15に供給する。ソフトウェアの情報は、例えば当該ソフトウェアのバージョン情報や、ファイルシステムに関する情報などである。取得されたメディアメタデータは、メモリ20のメディアメタデータ領域20Dに記憶される。
【0062】
なお、記録ビデオ信号処理部16から取得できるデータに基づくメタデータは、例えば、圧縮符号化の方式やフォーマット、圧縮符号化されたビデオデータのデータレート、ビデオデータの解像度などが考えられる。記録/再生部12から取得できるデータに基づくメタデータは、例えば、記録媒体11の種類やフォーマット情報などが考えられる。
【0063】
同様に、CPU17は、記録/再生部12、信号分解処理部13および再生ビデオ信号処理部14から、再生の際の諸条件や再生状態を示すデータを取得する。また、CPU17は、映像機器10の各種設定や状態を示す機器設定・状態データを取得し、メモリ20の機器設定・状態データ領域20Bに記憶される。
【0064】
一方、CPU17は、例えば診断プログラムにより映像機器10の各部を定期的に診断し、機器の状態を示す情報や、映像機器10にエラーが発生している場合はエラー情報を収集する。一例として、CPU17は、記録媒体11に対するデータの記録時および再生時に発生したエラーをモニタする。CPU17は、エラーが発生したことを検知すると、エラー内容を示すエラーデータを生成する。エラーデータは、メモリ20のエラーデータ領域20Cに記憶される。
【0065】
このような映像機器10の構成において、記録時に、記録ビデオ信号処理部16で所定に信号処理された記録ビデオデータが信号多重化処理部15に供給される。図示されないオーディオ処理部で所定に信号処理された記録オーディオデータを、さらに信号多重化処理部15に供給してもよい。また、ビデオデータと共に時系列メタデータが入力される場合、入力された時系列メタデータも、信号多重化処理部15に供給することができる。時系列メタデータは、例えばビデオカメラからビデオデータと共にリアルタイムで映像機器10に対して供給される、ビデオカメラの各種設定情報や各種状態情報に基づく。また、メモリ20からメディアメタデータ20Dが所定のタイミングで読み出され、信号多重化処理部15に供給される。
【0066】
信号多重化処理部15は、供給されたこれらのデータを、記録フォーマットにマッピングする。例えば、ビデオデータおよびオーディオデータ、ならびに、時系列メタデータが入力される場合は、当該時系列メタデータも含めて、それぞれ配置される。一方、メディアメタデータ20Dは、非時系列メタデータとして、例えば個別のファイルとされる。信号多重化処理部15から出力された記録データは、記録/再生部12に供給され、記録媒体11に記録される。
【0067】
また、再生時には、記録媒体11に記録されたデータが記録/再生部12により再生され、再生データとして信号分解処理部13に供給される。信号分解処理部13では、再生データからビデオデータ、オーディオデータおよび非時系列メタデータを分離する。分離されたビデオデータは、再生ビデオ信号処理部14で所定に信号処理されて出力される。分離されたオーディオデータは、図示されない信号処理部で所定に信号処理されて出力される。
【0068】
非時系列メタデータは、CPU17に供給され、メモリ20のパース処理領域20Aに書き込まれる。記録媒体11に時系列メタデータが記録されている場合には、当該時系列メタデータも分離され、例えばメモリ20のパース処理領域20Aに書き込まれる。CPU17は、パース処理領域20Aに書き込まれたメタデータを解釈し、解釈されたメタデータをパース処理領域20Aに対してさらに書き込む。解釈されたメタデータのうち、非時系列メタデータは、上述したように、メディアメタデータ領域20Dに書き込むようにされる。
【0069】
CPU17は、メモリ20の領域20A、20B、20Cおよび20Dに記憶されたデータのうち、MIBとして有効なデータをMIB形式に変換することができる。データのMIBへの変換は、例えば、予めOIDが定義されたデータ項目に対して値を書き込むことで行われる。また、データは、プライベートMIBグループに属するMIBに変換される。この変換処理は、映像機器10のファームウェアにより行われる。MIB形式に変換されたデータは、メモリ20のMIB領域20Eに書き込まれる。
【0070】
なお、CPU17は、接続された例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなる表示装置19に対し、取得されたメタデータを当該メタデータに対する処理前に表示させることができる。これに限らず、CPU17によりメモリ20のパース処理領域20Aを用いて所定にデータ処理された結果のメタデータを表示装置19に表示させることもできる。
【0071】
次に、機器管理装置30について説明する。機器管理装置30は、上述したように、汎用のコンピュータ装置を用いることができ、コンピュータ装置上のソフトウェアが機能的に動作する。機器管理装置30に対して、SNMPマネージャ31とエラー解析ソフトウェア32とが搭載される。さらに、機器管理装置30は、例えばハードディスクドライブといった記録媒体を有し、この記録媒体(ハードディスクドライブとする)に対して、MIB定義ファイル33とエラー内容データベース34とが格納される。
【0072】
機器管理装置30は、図示されない通信手段を有し、これらSNMPマネージャ31とエラー解析ソフトウェア32とに従った図示されないCPUの制御に基づき、映像機器10と通信を行うと共に、通信して取得されたデータに基づきMIB定義ファイル33やエラー内容データベース34を参照しながら所定に処理を行い、映像機器10の管理などを行う。
【0073】
MIB定義ファイル33は、上述した、映像機器10においてMIB形式に変換されるデータ項目のそれぞれについて、OIDを定義するファイルである。MIB定義ファイル33においては、少なくとも、映像機器10がカテゴリ毎に定義されると共に、映像機器10におけるデータ項目を定義する。SNMPマネージャ31は、SNMPエージェント18との通信で得られたデータについて、このMIB定義ファイル33を参照することで、当該データの意味を知ることができる。なお、それぞれの映像機器10は、IPアドレスにより特定することができる。
【0074】
映像機器10のカテゴリは、ユーザが任意に定義することができる。例えば、映像機器10の型番毎にカテゴリ分類することができる。この場合には、当該OIDに対して機種名などが対応付けられることになる。また、映像機器10の設置場所で分類してもよい。これに限らず、映像機器10が用いる記録媒体の種類(磁気テープ、光ディスクなど)毎や、映像機器10が携帯可能であるか否かなど、他の条件でカテゴリ分類してもよい。
【0075】
映像機器10におけるデータ項目は、例えば以下の7項目が考えられる。項目(1)〜(4)は、機器設定・状態データに対応し、項目(5)〜(7)は、メディアメタデータに対応する。
(1)搭載されているファームウェアのバージョン
(2)検出されたエラーコード
(3)記録可能なビデオフォーマット
(4)記録可能な最大ファイル数
(5)記録媒体11に記録済みのファイル数
(6)記録媒体11に記録されたビデオデータを記録時の、映像機器のファームウェアのバージョン
(7)記録媒体11に記録されているビデオデータのフォーマット
【0076】
これらのデータ項目のそれぞれに対して、予めデータの表現形式が定義される。一例として、(1)や(6)のファームウェアのバージョンについては、例えば文字列またはIntegerが選択できる。文字列で表現する場合には、「0.73a」といった数字以外の表示が可能である。一方、Integerで表現する場合は、バージョン番号の比較が容易である。(2)のエラーコードについては、文字列またはenumのような列挙型が選択できる。文字列で定義しておけば、エラーの内容を文字列で表現することができる。列挙型で表現する場合は、エラーコードを予め決めておいて、その番号を返すことになる。enumを用いると、SNMPマネージャ31側の処理が容易となる。(3)や(7)のフォーマットについては、enumなどの列挙型で表現し、フォーマット種別に応じて対応する番号を返すようにする。(4)や(5)のファイル数については、Integerで表現し、取り得る範囲を定義する。
【0077】
図11および図12は、2図で1の図面を構成し、MIB定義ファイル33の一例の内容を示す。なお、この図11および図12は、実際のMIB定義ファイルの内容から一部を抜き出して示し、例えば外部参照や定義部分などの記述が省略されている。また、図11および図12の記述において、「--」で始まる行は、コメントを示す。一般的には、MIB定義ファイル33の先頭には、ヘッダおよび著作権などが記述される。「BEGIN」は、MIB定義の開始を示す。定義の終端は、「END」で示される。図11の例では、「XXXX-PRO-MIB」というMIBの定義が開始されることが記述される。
【0078】
ブロック200において、キーワード「MODULE-IDENTIFY」は、OID「proV1MIB」の下に定義されるMIBの属性を示す。図11の例では、「LAST-UPDATE」が最終変更日時、「ORGANIZATION」がそのMIBを管理する組織、「CONTACT-INFO」がそのMIBに関する問い合わせ先、「DESCRIPTION」が詳細をそれぞれ示す。なお、MIBの属性は、この例に限定されない。また、各ブロックの最後に記述される括弧{}は、そのブロックにおいて記述されるOIDの位置が括弧内に記述される。ブロック200の場合、「::={professionalV1 1}」により、OID「proV1MIB」がOID「professionalV1」の1番目のブランチに接続されることが定義される。
【0079】
ブロック201において、キーワード「OBJECT-IDENTIFY」によりOID「proV1Common」が定義され、「::={professionalV1 2}」により、当該OID「proV1Common」がOID「professionalV1」の2番目のブランチに接続されることが定義される。同様にして、ブロック202において、キーワード「OBJECT-IDENTIFY」によりOID「proV1ProductInfo」が定義され、「::={proV1Common 1}」により、当該OID「proV1ProductInfo」がOID「proV1Common」の1番目のブランチに接続されることが定義される。
【0080】
次のブロック203では、キーワード「OBJECT-TYPE」によりOID「proV1ProductInfoTable」が定義され、「::={proV1ProductInfo 1}」により、当該OID「proV1ProductInfoTable」が先に定義されたOID「proV1ProductInfo」の1番目のブランチに接続されることが定義される。また、このオブジェクトは、テーブルとして構成されるので、テーブルを定義するためのOID「proV1ProdIdInfoEntry」が続けて記述される(ブロック204)。「::={proV1ProdIdInfoTable 1}」により、当該OIDがOID「proV1ProdIdInfoTable」の1番目のブランチに接続されることが定義される。そして、次に記述されるブロック205に、テーブル「proV1ProdIdInfo」の構成要素が羅列される。この図12の例では、製品のシリアル番号(proV1ProIdInfoDevID)、製造者名(proV1ProIdInfoManufact)および型名(proV1ProIdInfoModel)などがテーブル「proV1ProdIdInfo」の構成要素として定義されている。
【0081】
次のブロック206では、キーワード「OBJECT-TYPE」により、テーブル「proV1ProdIdInfoTable」の構成要素の属性が定義されるOID「proV1ProdIdInfoIdx」が定義され、「::={proV1ProdIdInfoEntry 1}」により、当該OID「proV1ProdIdInfoIdx」がOID「proV1ProdIdInfoEntry」の1番目のブランチに接続されることが定義される。なお、OID「proV1ProdIdInfoIdx」は、テーブルの引数として用いられる。
【0082】
ブロック207において、キーワード「OBJECT-TYPE」により、製品のシリアル番号(proV1ProIdInfoDevID)の属性を定義するOID「proV1ProdIdInfoDevID」が定義され、「=::{proV1ProdIdInfoEntry 2}」により、当該OID「proV1ProdIdInfoDevID」がOID「proV1ProdIdInfoEntry」の2番目のブランチに接続されることが定義される。このブロック207では、シリアル番号は、最大255文字の文字列で表現され、読み取り専用であることが定義される。
【0083】
MIB定義ファイル33では、以上のようにして、オブジェクト(MIBデータ)のOID、オブジェクトの項目、当該オブジェクトが属する上位のオブジェクトなどが定義される。
【0084】
エラー内容データベース34は、映像機器10側から送られてくるエラー情報に対応したエラー内容とが格納される。例えば、エラー情報が数値化されたエラーコードである場合には、エラーコードが示すエラー内容が文字列情報として格納される。エラー情報が文字列情報である場合には、当該エラー情報のより詳細なエラー内容が格納される。エラー内容に対してエラーコードおよび文字列情報をそれぞれ対応付けることで、エラー情報がエラーコードおよび文字列情報の何れであっても対応可能なようにできる。
【0085】
エラー内容データベース34には、さらに、各スタジオ100、100、・・・に設置された映像機器10、10、・・・の機器情報が格納される。例えば、各映像機器10、10、・・・の設置場所や機種名などが格納される。各映像機器10、10、・・・のファームウェアの種類やバージョンなどを格納してもよい。
【0086】
エラー内容データベース34には、さらにまた、ファームウェアのバージョンの組み合わせなどに対する、既知の不具合情報が格納される。例えば、記録媒体11にデータを記録する際に用いられたファームウェアのバージョンと、映像機器10のファームウェアのバージョンとの組み合わせにより発生する、既知の不具合情報が格納される。また、既知の不具合情報として、エラー情報に対応して、映像機器10のメモリ20に格納されたデータのうち何れのデータを調べればよいかを示す情報や、当該不具合に対する対応方法の情報も格納される。この不具合情報は、新たな不具合が報告される毎に入力され、蓄積的に格納される。
【0087】
なお、ここではMIB定義ファイル33およびエラー内容データベース34が単一のハードディスクドライブに格納されるように説明したが、これはこの例に限定されず、MIB定義ファイル33とエラー内容データベース34とをそれぞれ独立したハードディスクドライブに格納することができる。また、MIB定義ファイル33およびエラー内容データベース34は、機器管理装置30に直接的に接続されるのに限らず、例えば一方または両方がネットワークを介して接続される他のコンピュータ装置上にあってもよい。
【0088】
エラー解析ソフトウェア32は、SNMPエージェント31が映像機器10側のSNMPエージェント18と通信して取得したエラー情報に基づきエラー内容データベース34を参照し、映像機器10で発生したエラーの解析を行う。
【0089】
なお、図示しないが、機器管理装置30は、FTP(File Transfer Protocol)が搭載され、FTPにより、映像機器10のメモリ20内のデータにアクセスすることができるようにされている。
【0090】
このような構成において、機器管理装置30は、SNMPマネージャ31により映像機器10のSNMPエージェント18と通信を行い、MIB領域20Eに書き込まれたデータを取得する。取得されたデータに基づきMIB定義ファイル33を参照し、当該データが映像機器10に発生したエラー情報であれば、当該データをエラー解析ソフトウェア32に送る。エラー解析ソフトウェア32は、受け取ったデータに基づきエラー内容データベース34を参照し、映像機器10で発生したエラーの解析を行う。
【0091】
エラー解析を行った結果得られたエラー内容や、既知の不具合に関する情報は、所定の方法でスタジオ100側に送られる。例えば、映像機器10が設置されるスタジオ100内に、機器管理装置30と接続される表示装置25を設け、この表示装置25に対してエラー内容などの情報を表示することができる。これに限らず、エラー内容を映像機器10に対して直接的に送信してもよいし、スタジオ100内に設置され機器管理装置30とネットワークなどで接続されたコンピュータ装置などに電子メールなどで送信することもできる。
【0092】
次に、この発明の実施の一形態による機器情報管理システムにおけるエラー検出および解析の際の一例の動作について説明する。図13のフローチャートにおいて、左側(ステップS10〜ステップS17)は映像機器10側の処理を示し、判断処理などはCPU17により行われる。一方、右側(ステップS20〜ステップS25)は機器管理装置30側の処理を示し、各処理は、機器管理装置30に搭載されたSNMPマネージャ31およびエラー解析ソフトウェア32で行われる。
【0093】
先ず、ステップS10で、映像機器10において記録媒体11の装填が待機される。記録媒体11が装填されたら、処理はステップS11に移行され、記録媒体11が正常にマウントできたか否かが判断される。この場合、正常にマウントできた記録媒体11は、映像機器10で再生可能であるため、この記録媒体11が正常にマウントできたか否かの判断は、装填された記録媒体11がこの映像機器10で再生可能であるか否かの判断を含む。記録媒体11が正常にマウントできない場合、映像機器10においてエラーが発生している。ステップS11で、記録媒体11が正常にマウントできないと判断されたら、処理はステップS13に移行され、後述するようにしてコマンドTrapが発行される。
【0094】
一方、ステップS11で、記録媒体11が正常にマウントされたと判断されれば、処理はステップS12に移行され、記録媒体11に記録時のメタデータ(メディアメタデータ)が記録媒体11から読み出され、メモリ20のメディアメタデータ領域20Dに一時的に記憶される。
【0095】
なお、ここでは、ステップS11のマウントの判断において、記録媒体11が映像機器10で再生可能か否かでマウント可能か否かを判断しているが、これはこの例に限定されない。記録媒体11の記録フォーマットや、映像機器10の仕様によっては、記録媒体11に記録されたデータの一部が再生可能で、他の部分が再生不能であるような場合も考えられる。例えば、記録媒体11上のファイル管理情報は再生可能であるが、ビデオデータが再生不能である場合が考えられる。この場合には、記録媒体11は、再生可能であるがマウントは正常に行われていないと考えることができる。このような場合、上述のステップS11とステップS12の処理の順序を入れ替えて、ステップS10で記録媒体11の映像機器10に装填されたら、ステップS12の記録媒体11に記録時のメタデータを読み出すようにし、その後、ステップS11のマウントの可否の判断を行うようにしてもよい。
【0096】
ステップS12でメディアメタデータが取得されたら、処理はステップS14に移行され、記録媒体11に対するデータの記録を開始しようとしたか否かが判断される。例えば、ステップS14では、ユーザが映像機器10の図示されない操作パネルに対して、記録開始を指示する操作がなされたか否かが判断される。記録開始を指示する操作がなされた場合、記録媒体11に対するデータの記録を開始しようとしたと判断できる。
【0097】
ステップS14で記録を開始しようとしたと判断されたら、処理はステップS15に移行され、記録媒体11へのデータの記録が正常に開始されたか否かが判断される。記録媒体11への記録が正常に開始されなかった場合、映像機器10においてエラーが発生している。ステップS15で、記録媒体11に対するデータの記録が正常に開始されなかったと判断されたら、処理はステップS13に移行され、後述するようにしてコマンドTrapが発行される。
【0098】
一方、正常に記録が開始されたと判断されれば、エラーが発生していないので、この図13のフローチャートによる一連の処理が終了される。
【0099】
また、上述のステップS14で、記録を開始しようとしていないと判断されたら、処理はステップS16に移行され、記録媒体11が映像記録装置10から取り出されたか否かが判断される。記録媒体11が映像記録装置10から取り出されていないと判断されたら、処理はステップS14に移行され、記録開始が待機される。一方、記録媒体11が映像記録装置10から取り出されたと判断されたら、一連の処理が終了される。
【0100】
上述したステップS11およびステップS15で、映像機器10においてエラーが発生したと判断された場合は、処理はステップS13に移行される。ステップS13では、映像機器10におけるエラーの発生を、映像機器10から機器管理装置30に通知するために、SNMPエージェント18により、コマンドTrapが発行され、SNMPマネージャ31に対して送信される(SEQ100)。
【0101】
また、このとき、CPU17により、メモリ20上の例えば機器設定・状態データ、エラーデータおよびメディアメタデータがそれぞれMIB形式に変換され、MIB領域20Eに書き込まれる。なお、データのMIB形式への変換タイミングは、この例に限られない。例えば、それぞれのデータが必要となった時点で、MIB形式への変換を行ってもよいし、データが取得された時点で予めMIB形式に変換しておくことも考えられる。
【0102】
SNMPエージェント18が発行するコマンドTrapには、上述したように、SNMPで規定される送信元のIPアドレスがフィールドAgent IP Addressにセットされている。SNMPマネージャ31は、後述するようにして、このコマンドTrapに対応して、エラー情報を問い合わせるようなコマンドGetRequestを発行しSNMPエージェント18に対して送信することで、映像機器10で発生したエラーの情報を得ることができる。
【0103】
これに限らず、コマンドTrapにエラー情報をセットして送信することもできる。例えば、コマンドTrapのフィールドGeneric Trap Typeに値「enterpriseSpecific」をセットし、フィールドSpecific Trap TypeにこのコマンドTrapがエラー情報を通知するものであることを示す値をセットすると共に、エラー情報のOIDと対応する値とがセットされる。
【0104】
SNMPマネージャ31は、このコマンドTrapを受け取ると、ステップS20でコマンドGetRequestを発行してSNMPエージェント18に対して送信し(SEQ101)、SNMPエージェント18に対して、上述したステップS12で映像機器10において取得されたメディアメタデータを問い合わせる。例えば、SNMPマネージャ31は、コマンドGetRequestのオブジェクトフィールドに、予め定義されたメディアメタデータのOIDを指定し、値に「NULL」を指定して、SNMPエージェント18に対して送信する。
【0105】
SNMPエージェント18は、このコマンドGetRequestに応じて、コマンドGetResponseを発行し、SNMPマネージャ31に対して返信する(SEQ102)。例えば、SNMPエージェント18は、コマンドGetRequestのオブジェクトフィールドにセットされたOIDに従い、メディアメタデータがMIB形式に変換されメモリ20のMIB領域20Eに書き込まれたデータを読み出し、コマンドGetResponseのオブジェクトフィールドに、当該OIDに対応する値としてセットして、SNMPマネージャ31に対して返信する。このとき、上述のステップS11において、記録媒体11が正常にマウントされていないと判断されている場合には、例えばコマンドGetResponseのフィールドErrorStatusやフィールドErrorIndexにその旨示す値がセットされ、返信される。
【0106】
このコマンドGetRequestがSNMPマネージャ31に受信され、SNMPマネージャ31により、記録媒体11のメディアメタデータが取得される。
【0107】
次のステップS21で、SNMPマネージャ31は、予めエラー情報として定義されたOIDをオブジェクトフィールドにセットしたコマンドGetRequestを発行してSNMPエージェント18に対して送信し(SEQ103)、SNMPエージェント18に対して、エラー種類データ(エラー情報)を問い合わせる。
【0108】
エラー情報は、映像機器10においてエラーの発生時に、例えばCPU17により、映像機器10において発生したエラーを示すエラー情報が数値化されたエラーコードとして生成される。エラー情報を、エラー内容を概略的に示す文字列として生成してもよい。生成されたエラー情報は、一時的にメモリ20のエラーデータ領域20Cに記憶される。エラーデータ領域20Cに記憶されたエラー情報は、MIB形式に変換されてMIB領域20Eに書き込まれる。SNMPエージェント18は、エラー情報として予め定義されたOIDに対してMIB領域20Eに書き込まれたエラー情報をセットして、コマンドGetResponseを発行し、SNMPマネージャ31に対して返信する(SEQ104)。
【0109】
このコマンドGetRequestがSNMPマネージャ31に受信され、SNMPマネージャ31により、映像機器10のエラー情報が取得される。
【0110】
なお、上述したステップS13で、コマンドTrapに既にエラー情報がセットされている場合には、このステップS21およびSEQ103およびSEQ104の処理を省略することができる。これに限らず、コマンドTrapに既にエラー情報がセットされている場合に、このステップS21およびSEQ103およびSEQ104で、より詳細なエラー情報をSNMPマネージャ31に送信することもできる。
【0111】
次のステップS22で、SNMPマネージャ31は、予め機器設定・状態データとして定義されたOIDをオブジェクトフィールドにセットしたコマンドGetRequestを発行してSNMPエージェント18に対して送信し(SEQ105)、SNMPエージェント18に対して、映像機器10の機器設定・状態データを問い合わせる。
【0112】
SNMPエージェント18は、このコマンドGetRequestに応じて、コマンドGetResponseを発行し、SNMPマネージャ31に対して返信する(SEQ106)。例えば、SNMPエージェント18は、コマンドGetRequestのオブジェクトフィールドにセットされたOIDに従い、機器設定・状態データがMIB形式に変換されメモリ20のMIB領域20Eに書き込まれたデータを読み出し、コマンドGetResponseのオブジェクトフィールドに、当該OIDに対応する値としてセットして、SNMPマネージャ31に対して返信する。
【0113】
なお、上述したステップS20、S21およびS22の処理の順序は、上述の例に限らず、任意に入れ替えることができる。
【0114】
機器管理装置30において、次のステップS23で、SNMPマネージャ31により上述したステップS20〜ステップS22で発行されたコマンドGetRequestに応じて取得されたメディアメタデータ、エラー情報および機器設定・状態データに基づき、映像機器10で発生したエラーの原因が解析される。SNMPマネージャ31により取得されたこれらのデータがエラー解析ソフトウェア32に供給される。エラー解析ソフトウェア32は、供給されたこれらのデータと、エラー内容データベース34に蓄積されたデータに基づきエラー原因を解析する。エラー原因解析のより具体的な例については、後述する。
【0115】
ステップS23でエラー原因が解析できたら、次のステップS24で、解析結果の通知や表示が行われる。例えば、エラー解析ソフトウェア32は、解析結果を、機器管理装置30からエラーが発生した映像機器10が設置されているスタジオ100の表示装置25に供給することができる。表示装置25に限らず、機器管理装置30とネットワーク接続されたコンピュータ装置などに解析結果を送信することもできる。コンピュータ装置に解析結果を送信する場合、解析結果データをそのままの状態で送信することも考えられるが、電子メールなどの手段を用いることも可能である。
【0116】
また、次のステップS25に示されるように、SNMPマネージャ31が解析結果をオブジェクトフィールドに書き込んだコマンドSetRequestを発行し、SNMPエージェント18に対して送信する(SEQ107)こともできる。OIDを適当に定義しておくことで、映像機器10側にステップS17で示されるように、映像機器10の表示手段にエラー解析結果を表示させたり、映像機器10を所定に制御することが可能である。
【0117】
次に、上述したエラー解析について、より具体的に説明する。以下では、説明のために、5種類のエラーが定義され、それぞれのエラーを示すエラー情報が値「1」〜「5」のエラーコードで表現されるものとする。それぞれのエラーコードの意味は、下記の通りである。
エラーコード「1」:ファイルのヘッダメタデータの一部が認識できない。
エラーコード「2」:インデックスファイルのパースエラー。
エラーコード「3」:再生できないビデオフォーマットの発見。
エラーコード「4」:フォーマットが不適切で記録できない。
エラーコード「5」:ファイル数超過で記録できない。
【0118】
エラーコード「1」の、ファイルのヘッダメタデータの一部が認識できない場合について説明する。このエラーは、記録媒体11に対するデータの記録時に用いられたソフトウェア(ファームウェア)のバージョンがある水準以上であって、記録媒体11を再生しようとしている映像機器10のソフトウェア(ファームウェア)のバージョンがある水準以下である場合に、発生する可能性がある。この場合、エラーの原因は、記録媒体11に記録されたメタデータが、記録媒体11が装填された映像機器10のファームウェアのバージョンでは認識できないデータを含んでいることであると考えられる。
【0119】
図14は、ヘッダメタデータが認識できないデータの例を示す。この図14の例では、データは、KLV(Key Length Value)符号化されて記録媒体11に記録されている。KLV符号化のフォーマットは、SMPTE 335M/RP210Aのメタデータ辞書に規定されるものであって、SMPTE 335M/RP210Aに準拠した、KLV符号化されたデータ項目を示す識別子である「K(Key)」部と、以降に続くデータ長をバイト単位で表す「L(length)部」と、本体のデータが格納される領域である「V(Value)」部とからなる。
【0120】
「K」部の値は、例えば製造年代が古かったり、ファームウェアのバージョンが低い映像機器10では、解釈できない場合がある。「K」部が解釈できないと、KLV符号化されたデータの全体が解釈できないことになる。
【0121】
図14の例では、ビデオデータの先頭側にヘッダ情報としてヘッダメタデータが付加され、末尾側にフッタ情報としてフッタメタデータが付加されている。映像機器10は、例えばヘッダメタデータを解釈することで、続けて格納されるビデオデータの内容を知ることができ、ビデオデータの復号化などの処理を行うことができる。図14では、ヘッダメタデータ内の最初の4個のKLV符号化データは、当該記録媒体11が装填された映像機器10により認識可能であるが、5個目のKLV符号化データは、「K」部が映像機器10において認識不能とされている。このような場合、後続するビデオデータを再生できない可能性がある。
【0122】
このようなエラーコード「1」に対する対応方法の第1の例としては、記録媒体11に記録されたメタデータに、当該記録媒体11が装填された映像機器10が認識できないパターンがあることを、当該エラーの原因を示す情報と共に通知する方法が考えられる。
【0123】
エラーコード「1」に対する対応方法の第2の例としては、上述した第1の例の方法に加えて、映像機器10におけるメモリ20上のパース処理領域20Aに書き込まれた、記録媒体11から読み出された、処理前のメタデータを例えばFTPなどにより取得て解釈し、当該記録媒体11に記録されたデータを正常に再生可能なファームウェアのバージョンを通知することが考えられる。上述した図12の例では、ヘッダメタデータ部分全体をパース処理領域20Aに書き込む。エラー解析ソフトウェア32は、FTPなどでこのパース処理領域20Aに書き込まれたヘッダメタデータを取得し、解釈する。
【0124】
エラー解析ソフトウェア32は、さらに、エラー内容データベース34を参照し、スタジオ100、100、・・・に設置された映像機器10、10、・・・の情報に基づき、当該記録媒体11を正常に再生可能な機種名や機器番号を通知することもできる。
【0125】
このようなエラー解析および対応を実行するために用いるMIBデータは、
(1)映像機器10のファームウェアのバージョン
(2)映像機器10が検出したエラー情報(この場合、例えば「Unknown Header Format」または対応するエラーコード「1」)
(3)記録媒体11に対するデータの記録時に用いられたファームウェアのバージョン
となる。
【0126】
エラー解析ソフトウェア32は、エラーコード「1」を受け取ると、SNMPマネージャ31に対して、上述した図13のフローチャートのステップS20〜ステップS22で取得されたデータから、これらのデータを抽出してエラーの解析を行う。
【0127】
そして、(1)の映像機器10のファームウェアのバージョンと、(2)の映像機器10が検出したエラー情報とから、記録媒体11に記録されたデータのヘッダデータが認識できないことが原因であることを検出する。また、(1)の映像機器10のファームウェアのバージョンと、(3)の記録媒体11に対するデータの記録時に用いられたファームウェアのバージョンとを比較し、比較結果に基づき、記録媒体11に記録時に用いられたファームウェアのバージョンの方が映像機器10のファームウェアのバージョンよりも高いことを検出する。
【0128】
これらの検出結果に基づき、エラー解析ソフトウェア32は、エラーコード「1」のエラー原因が、上述した「記録媒体11に記録されたメタデータが、記録媒体11が装填された映像機器11のファームウェアのバージョンでは認識できないデータを含んでいることである」ことを想定することができる。
【0129】
エラーコード「2」の、インデックスファイルのパースエラーの場合について説明する。このエラーは、記録媒体11に記録されているファイルを管理するインデックス情報が記述されたインデックスファイルを、映像機器10が解釈できない場合のエラーである。すなわち、映像機器10は、記録媒体11の再生自体は可能であるが、インデックス情報を取得できないので、記録媒体11に何が記録されているか、あるいは、記録媒体11から再生されたデータをどのように処理するかが分からない可能性がある。換言すれば、映像機器10は、記録媒体11を再生可能であるが、マウントできない状態であるといえる。
【0130】
このエラーは、記録媒体11に対するデータの記録時に用いられたソフトウェア(ファームウェア)のバージョンがある水準以上であって、記録媒体11を再生しようとしている映像機器10のソフトウェア(ファームウェア)のバージョンがある水準以下である場合に、発生する可能性がある。この場合、エラーの原因は、記録媒体11に、映像機器10のファームウェアのバージョンで定義されていないビデオフォーマットを含むため、インデックスファイルを解釈できないと考えられる。
【0131】
例えば、記録媒体11に記録されたデータは、図15に一例が示されるように、ディレクトリROOTの下に、階層的に管理され、ディレクトリPROAV以下に階層的に設けられた1または複数のディレクトリに対して、ビデオデータやビデオデータの編集情報がそれぞれ記録されているものとする。ディレクトリCLPRの下に設けられるディレクトリC0001、C0002、・・・に、個々の映像カットが格納される。ディレクトリC0001、C0002、・・・下に格納される映像カットは、それぞれビデオデータ、オーディオデータ、時系列メタデータなどの複数のファイルから構成され、このファイル構成を示す情報や、ファイルそれぞれの種類を示す情報がディレクトリPROAV下のインデックスファイルINDEX.XMLに格納されるものとする。
【0132】
この記録媒体11が装填された映像機器10は、このインデックスファイルINDEX.XMLをメモリ20上のパース処理領域20Aに書き込んで解釈することで、映像カットをどのように再生するかを知ることができるものとする。すなわち、インデックスファイルINDEX.XMLは、映像カットを構成するファイルに対するメタデータが格納される。
【0133】
映像機器10は、ファイルシステムが対応すれば、記録媒体11に構築されたディレクトリ構造や、個々のファイルを読み出すことはできる。しかしながら、インデックスファイルINDEX.XML内に、映像機器10の例えばファームウェアで定義されていないパラメータがあった場合、映像機器10は、インデックスファイルINDEX.XMLを解釈できないことになり、結果的に、映像カットの再生ができない。
【0134】
一例として、インデックスファイルINDEX.XML内に、記録媒体11に記録されたビデオデータのビデオフォーマットを定義する記述として、DVフォーマット、ビットレート25Mbps(Mega bits per second)、カラープロファイル(4:1:1)のビデオフォーマットを示す「type="DV25DATA_411"」が記述されているものとする。「""」内の記述がビデオフォーマットを示す。映像機器10のファームウェアなどで、このフォーマットが定義されていない場合、エラーコード「2」が出力される。
【0135】
このようなエラーコード「2」に対する対応方法の第1の例としては、記録媒体11に記録されたメタデータ(インデックスファイル)に、当該記録媒体11が装填された映像機器10が認識できないパラメータがあることを、当該エラーの原因を示す情報と共に通知する方法が考えられる。
【0136】
エラーコード「2」に対する対応方法の第2の例としては、上述した第1の例の方法に加えて、映像機器10におけるメモリ20上のパース処理領域20Aに書き込まれた、記録媒体11から読み出された、処理前のインデックスファイルINDEX.XMLを例えばFTPなどにより取得て解釈し、当該記録媒体11に記録されたデータを正常に再生可能なファームウェアのバージョンを通知することが考えられる。さらに、エラー内容データベース34を参照し、スタジオ100、100、・・・に設置された映像機器10、10、・・・の情報に基づき、当該記録媒体11を正常に再生可能な機種名や機器番号を通知することもできる。
【0137】
このようなエラー解析および対応を実行するために用いるMIBデータは、
(1)映像機器10のファームウェアのバージョン
(2)映像機器10が検出したエラー情報(この場合、例えば「Unknown Video Format」または対応するエラーコード「2」)
(3)記録媒体11に対するデータの記録時に用いられたファームウェアのバージョン
となる。
【0138】
エラー解析ソフトウェア32は、エラーコード「2」を受け取ると、SNMPマネージャ31に対して、上述した図13のフローチャートのステップS20〜ステップS22で取得されたデータから、これらのデータを抽出してエラーの解析を行う。
【0139】
そして、(1)の映像機器10のファームウェアのバージョンと、(2)の映像機器10が検出したエラー情報とから、記録媒体11に記録されたインデックスファイルに、映像機器10において未知のビデオフォーマットが存在することが原因であることを検出する。また、(1)の映像機器10のファームウェアのバージョンと、(3)の記録媒体11に対するデータの記録時に用いられたファームウェアのバージョンとを比較し、比較結果に基づき、記録媒体11に記録時に用いられたファームウェアのバージョンの方が映像機器10のファームウェアのバージョンよりも高いことを検出する。
【0140】
これらの検出結果に基づき、エラー解析ソフトウェア32は、エラーコード「2」のエラー原因が、上述した「記録媒体11に、映像機器10のファームウェアのバージョンで定義されていないビデオフォーマットを含むため、インデックスファイルを解釈できない」ことを想定することができる。
【0141】
エラーコード「3」の、再生できないビデオフォーマットを発見した場合について説明する。このエラーは、映像機器10のファームウェアなどで定義されているが、映像機器10では再生できないビデオフォーマットがインデックスファイルに記述されている場合に発生する。より具体的には、映像機器10は、上述した、ビデオフォーマットを示す「type="DV25DATA_411"」の記述中、ビデオフォーマットを示す「""」内に記述された値が定義されており、且つ、解釈されたビデオフォーマットの再生に映像機器10が対応していない場合に、エラーコード「3」が発生する可能性がある。
【0142】
すなわち、記録媒体11にデータを記録した際に用いられた映像機器または映像機器のフォームウェアでは、扱うことが可能なビデオフォーマットであって、記録媒体11が装填された映像機器10または当該映像機器10のファームウェアでは、フォーマットの認識は可能だが扱うことができないビデオフォーマットのビデオデータが当該記録媒体11に記録されている場合に、このエラーコード「3」のエラーが発生する可能性がある。
【0143】
このようなエラーコード「3」に対する対応方法の第1の例としては、記録媒体11に、当該記録媒体11が装填された映像機器10が再生できないビデオフォーマットが記録されていることを通知する方法が考えられる。
【0144】
エラーコード「3」に対する対応方法の第2の例としては、上述の第2の例の方法に加えて、エラー内容データベース34を参照し、スタジオ100、100、・・・に設置された映像機器10、10、・・・の情報に基づき、当該ビデオフォーマットを正常に再生可能な機種名や機器番号を通知することが考えられる。
【0145】
このようなエラー解析および対応を実行するために用いるMIBデータは、
(1)映像機器10のファームウェアのバージョン
(2)映像機器10が検出したエラー情報(この場合、例えば「Unknown Video Format」または対応するエラーコード「3」)
(3)記録媒体11に対するデータの記録時に用いられたファームウェアのバージョン
となる。
【0146】
エラー解析ソフトウェア32は、エラーコード「3」を受け取ると、SNMPマネージャ31に対して、上述した図13のフローチャートのステップS20〜ステップS22で取得されたデータから、これらのデータを抽出してエラーの解析を行う。
【0147】
そして、(1)の映像機器10のファームウェアのバージョンと、(2)の映像機器10が検出したエラー情報とから、映像機器10が対応しているビデオフォーマットを検出する。また、(1)の映像機器10のファームウェアのバージョンと、(3)の記録媒体11に対するデータの記録時に用いられたファームウェアのバージョンとから、記録媒体11に記録されているビデオデータのビデオフォーマットを検出し、また、これらを比較することで、記録媒体11に記録されているビデオデータのフォーマットに映像機器10が対応しているか否かを検出する。
【0148】
これらの検出結果に基づき、エラー解析ソフトウェア32は、エラーコード「3」のエラー原因が、上述した「記録媒体11に記録されたビデオデータのビデオフォーマットが、記録媒体11が装填された映像機器10のファームウェアのバージョンでは再生できないビデオフォーマットである」ことを想定することができる。
【0149】
エラーコード「4」の、フォーマットが不適切で記録できない場合について説明する。このエラーは、記録媒体11に記録しようとしたビデオフォーマット設定とは同一の記録媒体11上で混在して記録することが禁止されたビデオフォーマットを示すデータが記録媒体11に記録されている場合に、発生する可能性がある。エラーの原因は、記録媒体11のフォーマットとして混在を禁止したビデオフォーマットのデータが記録されないように、映像機器10または記録媒体11がなされていることが考えられる。
【0150】
より具体的には、映像機器10は、上述した、ビデオフォーマットを示す「type="DV25DATA_411"」の記述中、ビデオフォーマットを示す「""」内に記述された値が定義されており、且つ、当該ビデオフォーマットが映像機器10で記録しようとしているフォーマットと異なる場合にエラーコード「4」が発生する。
【0151】
このようなエラーコード「4」に対する対応方法の第1の例としては、映像機器10が装填された記録媒体11に記録しようとしているビデオデータのフォーマットが、記録媒体11に記録できないフォーマットであることを通知する方法が考えられる。
【0152】
エラーコード「4」に対する対応方法の第2の例としては、上述した第1の例の方法に加えて、エラー内容データベース34を参照し、スタジオ100、100、・・・に設置された映像機器10、10、・・・の情報に基づき、当該ビデオフォーマットのビデオデータを正常に記録可能な機種名や機器番号を通知することが考えられる。
【0153】
このようなエラー解析および対応を実行するために用いるMIBデータは、
(1)映像機器10が記録可能なビデオフォーマット
(2)映像機器10が検出したエラー情報(この場合、例えば「混在禁止Video Format」または対応するエラーコード「4」)
(3)記録媒体11に記録されているビデオデータのビデオフォーマット
となる。
【0154】
エラー解析ソフトウェア32は、エラーコード「4」を受け取ると、SNMPマネージャ31に対して、上述した図13のフローチャートのステップS20〜ステップS22で取得されたデータから、これらのデータを抽出してエラーの解析を行う。
【0155】
そして、(1)の映像機器10が記録可能なビデオフォーマットと、(2)の映像機器10が検出したエラー情報とから、映像機器10が対応しているビデオフォーマットを検出する。また、(3)の記録媒体11に記録されているビデオデータのビデオフォーマットを検出する。これらの検出結果に基づき、エラー解析ソフトウェア32は、エラーコード「4」のエラー原因が、上述した「記録媒体11に記録しようとしたビデオフォーマット設定とは同一の記録媒体11上で混在して記録することが禁止されたビデオフォーマットを示すデータが、記録媒体11に記録されている」ことを想定することができる。
【0156】
エラーコード「5」の、ファイル数超過で記録できない場合について説明する。このエラーは、映像機器10の機種によって、あるいは、映像機器10のフォームウェアがある水準以下であって、記録媒体11に記録済みのファイル数に比して、映像機器10が記録可能なファイル数が少ないか、または、記録を行うことによって映像機器10の記録可能ファイル数を超過するおそれがある場合に、発生する可能性がある。この場合、エラーの原因は、映像機器10の機種または映像機器10に搭載されるファームウェア(ファイルシステム)では、新たな記録を行うことにより、管理可能なファイル数の上限を超えてしまうため記録できないことが考えられる。
【0157】
このようなエラーコード「5」に対する対応方法の第1の例としては、当該映像機器10の機種または映像機器10に搭載されるファームウェア(ファイルシステム)のバージョンではファイル数制限の上限に達するため記録できないことを通知することが考えられる。
【0158】
エラーコード「5」に対する対応方法の第2の例としては、上述した第1の例に加えて、記録可能な映像機器10のファームウェア(ファイルシステム)のバージョン、機種名または機器番号を通知することが考えられる。
【0159】
このようなエラー解析および対応を実行するために用いるMIBデータは、
(1)映像機器10が1記録媒体11に記録可能な最大ファイル数
(2)映像機器10のファームウェアバージョン
(3)映像機器10が検出したエラー情報(エラーコード「5」)
(4)記録媒体11に記録済みのファイル数
(5)記録媒体11に対するデータの記録時に用いられたファームウェア(ファイルシステム)のバージョン
となる。
【0160】
エラー解析ソフトウェア32は、エラーコード「5」を受け取ると、SNMPマネージャ31に対して、上述した図13のフローチャートのステップS20〜ステップS22で取得されたデータから、これらのデータを抽出してエラーの解析を行う。なお、(4)の記録媒体11に記録済みのファイル数を示す情報は、例えば記録媒体11に対するデータの記録時に用いられたファイルシステム、例えばUDF(Universal Disk Format)などのファイル管理領域に記録されている。ファイル管理領域の情報をメディアメタデータとして定義しておくことで、SNMPマネージャ31側から情報を取得するようにできる。
【0161】
なお、UDFは、ISO(International Organization for Standarization)13346のサブセットで、データの可搬性と実装の容易性を目的として、OSTA(Optical Storage Technology Association)によって提案された汎用のディスクフォーマットである。
【0162】
そして、(1)の映像機器10が1記録媒体11に記録可能な最大ファイル数と、(2)の映像機器10のファームウェアバージョンと、(4)の記録媒体11に記録済みのファイル数とから、映像機器10が記録媒体11に記録可能なファイル数の最大数に達しているか否かを検出する。この検出結果に基づき、エラーコード「5」のエラー原因が、上述した「新たな記録を行うことにより、管理可能なファイル数の上限を超えてしまう」または「記録媒体11に記録されているファイル数が映像機器10が管理可能なファイル数の上限に達している」ことを想定することができる。
【0163】
この発明の実施の一形態では、上述のようにして、映像機器10で発生したエラーを示すエラーコードに基づきエラー内容データベース34を参照してエラーの解析を行い、可能性のあるエラー原因について示すことができる。
【0164】
なお、上述した「1」〜「5」のエラーコードやエラーコードに対応するエラー内容、エラーコードに基づきエラー内容データベース34を参照して得られた、可能性のあるエラー原因、エラーに対する対処方法などは一例であって、この例に限定されるものではない。例えば、さらに多数のエラーコードおよび対応する内容などを定義することができる。
【0165】
なお、上述したこの発明の実施の一形態では、機器管理システムが1台の機器管理装置30を有し、複数の映像機器10、10、・・・がこの1台の機器管理装置30で集中的に管理されるように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、機器管理システムが互いにネットワークで接続された複数の機器管理装置30、30、・・・を有し、複数の映像機器10、10、・・・をこれら複数の機器管理装置30、30、・・・で連携的に管理するようにしてもよい。
【0166】
また、上述では、機器管理装置30が1台のコンピュータ装置で構成されるように説明したが、これはこの例に限定されず、機器管理装置30は、複数台のコンピュータ装置が連携的に動作するように構成されたコンピュータシステムであってもよい。
【0167】
さらに、上述では、機器管理装置30は、各映像機器10、10、・・・の情報を収集する際の通信プロトコルとしてTCP/IP上のSNMPを用いるとして説明したが、これはこの例に限定されず、SNMP以外のプロトコルを用いることもできる。機器管理装置30が映像機器10を特定するために用いる情報も、IPアドレスに限らず、他の情報、例えば機器10、10、・・・それぞれに固有に割り当てられた機器IDを用いるようにしてもよい。
【0168】
さらにまた、上述では、機器管理装置30により管理される映像機器10がスタジオ100内に設置されているように説明したが、これはこの例に限らず、映像機器10は、例えば携帯型ビデオカメラのように、主にスタジオ100の外で使用されるようなものでもよい。
【0169】
また、上述では、映像機器10に対して、SNMPエージェント18やこの発明の実施の一形態によるファームウェアが搭載されているように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、所定の条件を満たしている既存の映像機器に対して、ネットワークや記録媒体を通じてこの発明の実施の一形態によるファームウェアを供給し、供給されたファームウェアによりROMを書き換えるようにできる。
【0170】
さらに、上述では、機器委管理装置30は、映像機器10の機器設定・状態データを、エラー発生時などの度に、映像機器10からネットワークを介して送信されることで取得しているが、これはこの例に限定されない。例えば、機器管理装置30が機器設定・状態データを予め取得してデータベースに格納しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】SNMPについて説明するための略線図である。
【図2】SNMPについて説明するための略線図である。
【図3】SNMPについて説明するための略線図である。
【図4】SNMPについて説明するための略線図である。
【図5】SNMPについて説明するための略線図である。
【図6】SNMPについて説明するための略線図である。
【図7】SNMPについて説明するための略線図である。
【図8】SNMPについて説明するための略線図である。
【図9】SNMPについて説明するための略線図である。
【図10】この発明の実施の一形態に適用可能な機器情報管理システムの一例の構成を示すブロック図である。
【図11】MIB定義ファイルの一例の内容を示す略線図である。
【図12】MIB定義ファイルの一例の内容を示す略線図である。
【図13】この発明の実施の一形態による機器情報管理システムにおけるエラー検出および解析の際の一例の動作を示すフローチャートである。
【図14】ヘッダメタデータが認識できないデータの例を示す略線図である。
【図15】記録媒体に記録されたデータの一例の管理構造を説明するための略線図である。
【符号の説明】
【0172】
1,31 SNMPマネージャ
2 ネットワーク
3,18 SNMPエージェント
10 映像機器
11 記録媒体
17 CPU
18 SNMPエージェント
20 メモリ
20A パース処理領域
20B 機器設定・状態データ領域
20C エラーデータ領域
20D メディアメタデータ領域
20E MIB領域
30 機器管理装置
33 MIB定義ファイル
34 エラー内容データベース
100 スタジオ
101 管理センタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体から該記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを読み出し、読み出した該メタデータを、エラー発生時にネットワークを介して送信するようにされた映像機器と、
上記映像機器から送信された上記メタデータを上記ネットワークを介して受信し、受信された該メタデータを用いて上記映像機器で発生した上記エラーを解析するようにした機器管理装置と
からなることを特徴とする機器管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の機器管理システムにおいて、
上記機器管理装置は、
上記映像機器から送信されるデータの項目を定義する定義情報を有し、該定義情報は、少なくとも、上記メタデータの項目のうち上記映像機器で発生するエラーを解析するために用いる項目を定義する定義情報を含むことを特徴とする機器管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の機器管理システムにおいて、
上記記録時の記録条件は、上記記録媒体に対するデータの記録時に用いられたソフトウェアの情報であることを特徴とする機器管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の機器管理システムにおいて、
上記記録時の記録条件は、上記記録媒体に記録されたデータのフォーマットを示す情報であることを特徴とする機器管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の機器管理システムにおいて、
上記記録時の記録条件は、上記記録媒体の管理情報であることを特徴とする機器管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の機器管理システムにおいて、
上記機器管理装置は、
上記記録媒体に対する記録および/または再生を行う際に上記映像機器で発生する可能性のあるエラーの情報と、上記メタデータとを対応付けて予め格納したデータベースを有し、
上記映像機器から送信された上記メタデータに基づき該データベースを参照することで、上記映像機器で発生したエラーを解析するようにしたことを特徴とする機器管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の機器管理システムにおいて、
上記データベースは、上記エラーの情報と上記メタデータとの組み合わせで生じる既知の不具合情報がさらに格納されていることを特徴とする機器管理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の機器管理システムにおいて、
上記映像機器は、さらに、上記記録媒体に対する記録および/または再生を行う際の該映像機器の状態を示す情報を、エラー発生時に上記ネットワークを介して上記機器管理装置に送信するようにされ、
上記機器管理装置は、上記映像機器から送信された上記状態を示す情報を上記ネットワークを介して受信し、受信された該状態を示す情報と上記メタデータとを用いて、上記映像機器で発生した上記エラーを解析するようにしたことを特徴とする機器管理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の機器管理システムにおいて、
上記機器管理装置は、
上記映像機器から送信されるデータの項目を定義する定義情報を有し、該定義情報は、上記メタデータの項目および上記状態を示す情報の項目のうち、少なくとも上記映像機器で発生するエラーを解析するために用いる項目を定義する定義情報を含むことを特徴とする機器管理システム。
【請求項10】
請求項8に記載の機器管理システムにおいて、
上記状態を示す情報は、上記映像機器で発生したエラーを示すエラー情報であることを特徴とする機器管理システム。
【請求項11】
請求項8に記載の機器管理システムにおいて、
上記状態を示す情報は、上記映像機器に搭載された、上記記録媒体に対する記録および/または再生の際に用いられるソフトウェアの情報であることを特徴とする機器管理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の機器管理システムにおいて、
上記メタデータは、上記記録媒体に対するデータの記録時に用いられたソフトウェアの情報が含まれ、
上記機器管理装置は、上記映像機器に搭載されたソフトウェアの情報と、上記記録媒体に対するデータの記録時に用いられたソフトウェアの情報とを比較し、比較結果に基づき、上記映像機器に発生したエラーを解析するようにしたことを特徴とする機器管理システム。
【請求項13】
請求項1に記載の機器管理システムにおいて、
上記記録媒体は、上記映像機器に対して着脱可能であることを特徴とする機器管理システム。
【請求項14】
映像機器のエラー発生時に該映像機器からネットワークを介して送信された、記録媒体から読み出された該記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを受信し、受信された該メタデータを用いて上記映像機器で発生した上記エラーを解析するようにしたことを特徴とする機器管理装置。
【請求項15】
請求項14に記載の機器管理装置において、
上記映像機器から送信されるデータの項目を定義する定義情報を有し、該定義情報は、少なくとも、上記メタデータの項目のうち上記映像機器で発生したエラーを解析するために用いる項目を定義する定義情報を含むことを特徴とする機器管理装置。
【請求項16】
請求項14に記載の機器管理装置において、
上記記録時の記録条件は、上記記録媒体に対するデータの記録時に用いられたソフトウェアの情報であることを特徴とする機器管理装置。
【請求項17】
請求項14に記載の機器管理装置において、
上記記録時の記録条件は、上記記録媒体に記録されたデータのフォーマットを示す情報であることを特徴とする機器管理装置。
【請求項18】
請求項14に記載の機器管理装置において、
上記記録時の記録条件は、上記記録媒体の管理情報であることを特徴とする機器管理装置。
【請求項19】
請求項14に記載の機器管理装置において、
上記記録媒体に対する記録および/または再生を行う際に上記映像機器で発生する可能性のあるエラーの情報と、上記メタデータとを対応付けて予め格納したデータベースを有し、
上記映像機器から送信された上記メタデータに基づき該データベースを参照することで、上記映像機器で発生した上記エラーを解析するようにしたことを特徴とする機器管理装置。
【請求項20】
請求項19に記載の機器管理装置において、
上記データベースは、上記エラーの情報と上記メタデータとの組み合わせで生じる既知の不具合情報がさらに格納されていることを特徴とする機器管理装置。
【請求項21】
請求項14に記載の機器管理装置において、
上記映像機器から該映像機器のエラー発生時にさらに送信された、上記記録媒体に対する記録および/または再生を行う際の該映像機器の状態を示す情報を、上記ネットワークを介して受信し、受信された該状態を示す情報と上記メタデータとを用いて上記映像機器で発生した上記エラーを解析するようにしたことを特徴とする機器管理装置。
【請求項22】
請求項21に記載の機器管理装置において、
上記映像機器から送信されるデータの項目を定義する定義情報を有し、該定義情報は、上記メタデータの項目および上記状態を示す情報の項目のうち、少なくとも上記映像機器で発生するエラーを解析するために用いる項目を定義する定義情報を含むことを特徴とする機器管理装置。
【請求項23】
請求項21に記載の機器管理装置において、
上記状態を示す情報は、上記映像機器で発生したエラーを示すエラー情報であることを特徴とする機器管理装置。
【請求項24】
請求項21に記載の機器管理装置において、
上記状態を示す情報は、上記映像機器に搭載されたソフトウェアの情報であることを特徴とする機器管理装置。
【請求項25】
請求項24に記載の機器管理装置において、
上記メタデータは、上記記録媒体に対するデータの記録時に用いられたソフトウェアの情報が含まれ、
上記映像機器に搭載されたソフトウェアの情報と、上記記録媒体に対するデータの記録時に用いられたソフトウェアの情報とを比較し、比較結果に基づき上記映像機器で発生したエラーを解析するようにしたことを特徴とする機器管理装置。
【請求項26】
請求項14に記載の機器管理装置において、
上記記録媒体は、上記映像機器に対して着脱可能であることを特徴とする機器管理装置。
【請求項27】
映像機器のエラー発生時に該映像機器からネットワークを介して送信された、記録媒体から読み出された該記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを受信し、受信された該メタデータを用いて上記映像機器で発生した上記エラーを解析するようにしたことを特徴とする機器管理方法。
【請求項28】
映像機器のエラー発生時に該映像機器からネットワークを介して送信された、記録媒体から読み出された該記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを受信し、受信された該メタデータを用いて上記映像機器で発生した上記エラーを解析するようにした機器管理方法をコンピュータ装置に実行させることを特徴とする機器管理プログラム。
【請求項29】
記録媒体から該記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを読み出し、読み出した該メタデータを、エラー発生時に、該メタデータを用いて該メタデータの送信元機器のエラーを解析する機器管理装置に対して、ネットワークを介して送信するようにしたことを特徴とする映像機器。
【請求項30】
請求項29に記載の映像機器において、
上記記録時の記録条件は、上記記録媒体に対するデータの記録時に用いられたソフトウェアの情報であることを特徴とする映像機器。
【請求項31】
請求項29に記載の映像機器において、
上記記録時の記録条件は、上記記録媒体に記録されたデータのフォーマットを示す情報であることを特徴とする映像機器。
【請求項32】
請求項29に記載の映像機器において、
上記記録時の記録条件は、上記記録媒体の管理情報であることを特徴とする映像機器。
【請求項33】
請求項29に記載の映像機器において、
さらに、上記記録媒体に対する記録および/または再生を行う際の状態を示す情報を上記機器管理装置に対して送信するようにしたことを特徴とする映像機器。
【請求項34】
請求項33に記載の映像機器において、
上記状態を示す情報は、発生した上記エラーを示すエラー情報であることを特徴とする映像機器。
【請求項35】
請求項33に記載の映像機器において、
上記状態を示す情報は、搭載された、上記記録媒体に対する記録および/または再生の際に用いられるソフトウェアの情報であることを特徴とする映像機器。
【請求項36】
請求項29に記載の映像機器において、
上記記録媒体は、着脱可能であることを特徴とする映像機器。
【請求項37】
記録媒体から該記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを読み出し、読み出した該メタデータを、エラー発生時に、該メタデータを用いて該メタデータの送信元機器のエラーを解析する機器管理装置に対して、ネットワークを介して送信するようにしたことを特徴とする情報送信方法。
【請求項38】
記録媒体から該記録媒体に対するデータの記録時の記録条件を示すメタデータを読み出し、読み出した該メタデータを、エラー発生時に、該メタデータを用いて該メタデータの送信元機器のエラーを解析する機器管理装置に対して、ネットワークを介して送信するようにした情報送信方法をコンピュータ装置に実行させることを特徴とする情報送信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−148498(P2006−148498A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335176(P2004−335176)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】