説明

機能膜の加工方法、及びそれを利用したインクジェット記録ヘッドの製造方法

【課題】微細化適正・高生産性・ダメージレス化を両立させる機能膜の加工方法、及びそれを利用したインクジェト記録ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 例えば、基板(例えば振動板200)上に凸状パターン204を形成し(図1(C)参照)、凸状パターン204上及び凸状パターン204の非形成領域上に機能膜(例えばPZT膜206)を形成した後(図1(D))、凸状パターン204上に形成された機能膜(例えばPZT膜206)を凸状パターン204が少なくとも露出するまで研磨する(図1(E)参照)。これにより、微細化適正・高生産性・ダメージレス化を両立させつつ、凸状パターン204の非形成領域に沿った機能膜(例えばPZT膜206)の加工を施すことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、圧電材料膜、金属膜などの機能膜を加工する方法、及びそれを利用したインクジェット記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の目的で利用される機能膜は、通常、所望の形状に加工を施して使用されている。このような加工方法としては、例えば、ブラスト法、スクリーン印刷法、穴明きマスク加工法、レーザ加工法、エッチング法(ドライ、ウエット)など種々の加工方法がある。
【0003】
機能膜に微細なパターニングを必要とするものとしては、インクジェット記録ヘッド(以下、単に「記録ヘッド」という場合がある)が挙げられる。このインクジェット記録ヘッドは、主走査方向に往復移動させ、複数のノズルから選択的にインク滴を吐出し、副走査方向に搬送されて来る記録紙等の記録媒体に文字や画像等を印刷するインクジェット記録装置に利用されるものである。
【0004】
このような記録ヘッドには圧電方式やサーマル方式等がある。例えば圧電方式の場合では、上記機能膜として、数十μmという厚い圧電体(PZT)の膜を圧電アクチュエーターとして使用する場合が多い。厚いPZT板を形成するには通常バルク焼成PZT基板をラッピングにより薄板化(例えば、約30μm程度まで)した後、金属電極着膜・ダイシングによる個片化・ブラストによる個別パターニングを行う。
【0005】
しかしヘッドの長尺化が進むにつれて、PZT基板での対応(複数基板のつなぎ合わせ)がコスト面で厳しくなっている。そのような中、最近では一括大面積成膜が可能なスパッタ法やエアロゾルデポジション(AD)法によるPZT膜形成が盛んに検討され、その膜特性の向上も著しい。このような成膜による方法では従来のバルクPZTの場合と異なり、ヘッド構成部材(薄いSUS板やSi板から成る振動板)に直接成膜される。
【0006】
そのためPZT膜の加工(パターニング)も成膜後に行なわれる。この加工方法にも、ブラスト法や、エッチング法などのいくつかの方法がある。
【0007】
例えば、ブラスト法ではPZT膜の加工寸法精度(微細化適性)および下地基板へのダメージが懸念される。
【0008】
一方、エッチング法にはエッチング法としてドライエッチング法とウェットエッチング法がある。ドライエッチング法ではエッチングレートが非常に遅く生産性の点で実用化は難しい。一方ウェットエッチング法では、PZT膜の加工寸法精度(微細化適性)および下地基板へのダメージが懸念される。
【0009】
また、PZT膜の加工につていは、その他、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1では、PZT膜上の個別金属電極膜のみをパターニングすることで、変移領域を規定している(PZT膜自体はパターニングしていない)が提案されている。特許文献2では、型原盤にあらかじめ形成された溝にSo−Gel法で埋め込んだPZT膜を振動板側に転写することで、所定パターンのPZT膜を形成することが提案されている。特許文献3では、圧電プレート(PZT基板)をサンドブラスト法にてパターニング加工した後、振動板に接着することが提案されている。非特許文献4では、Cl2/BCl3ガスプラズマを用いた反応性イオンエッチング(RIE:エッチングレートは240nm/min.)にてPZT膜を加工することが提案されている。非特許文献5では、2stepウェットエッチング(buffered HF+HCl)にてPZT膜をエッチングすること(HCl処理は金属フッ化物を除去するために行う)が提案されている。
【特許文献1】特開2000−103067公報
【特許文献2】特開2000−79686公報
【特許文献3】特開2003−48323公報
【非特許文献4】Proc. Of 1999 Dry Process Symposium,p.179
【非特許文献5】Mat.Res.Soc.Symp.Proc. Vol.657 2001 Material Research Society
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記提案も含め従来の加工方法では、1)必要な加工寸法精度(微細化適性)が得られない、2)加工速度が遅かったり、PZT膜を加工後に振動版に貼り付けなくてならず、適用する箇所へ直接成膜してからの加工が施せなく生産性が低い、3)加工の際、PZT膜自身や、下層(振動板や電極)などにダメージを与えてしまう、などの問題があり、一長一短の加工方法が多く、昨今の技術要求レベルからすると未だ十分ではないのが現状で、これら微細化適正・高生産性・ダメージレス化を全て両立する加工法が望まれているのが現状である。
【0011】
これらは、PZT膜のみならず、他の機能膜についても同様な問題があり、改善が望まれている。
【0012】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑み、微細化適正・高生産性・ダメージレス化を両立させる機能膜の加工方法、及びそれを利用したインクジェト記録ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の機能膜の加工方法は、
基板上に、凸状パターンを形成する工程と、
前記凸状パターン上及び前記凸状パターン非形成領域上に、機能膜を形成する機能膜形成工程と、
前記凸状パターン上に形成された前記機能膜を前記凸状パターンが少なくとも露出するまで研磨する研磨工程と、
を有することを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載の発明では、凸状パターン上及び凸状パターン非形成領域上に形成された機能膜のうち、少なくとも凸状パターン上に形成された機能膜のみを研磨する。この研磨処理のみで、機能膜が凸状パターン非形成領域の形状に沿って加工(パターニング)されることとなる。しかも、この処理は、適用する箇所へ直接機能膜を形成してから行える。このため、加工寸法精度(微細化適性)も優れ、生産性にも優れる。また、研磨処理は、凸状パターン上に形成された機能膜のみを少なくとも研磨するので、実際研磨されるのは機能膜の縁周部のみで機能的に必要とされる機能膜の中心部は研磨されず機能膜に直接ダメージ(例えば砥粒によるスクラッチなど)を与えたり、下層(基板など)にダメージを与えることがない。従って、ダメージレス化も図れる。
【0015】
また、請求項2に記載の機能膜の加工方法は、請求項1に記載の機能膜の加工方法において、前記凸状パターンの厚みは、前記機能膜の膜厚よりも厚いことを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の発明では、研磨工程の際、確実に、機能的に必要とされる機能膜の中心部が研磨されず、機能膜に直接ダメージを与えられることがなくなる。
【0017】
また、請求項3に記載の機能膜の加工方法は、請求項1に記載の機能膜の加工方法において、前記凸状パターンの材料は、樹脂材料、及びガラス材料から選択されることを特徴としている。
【0018】
請求項3に記載の発明では、凸状パターンの材料として上記材料を適用することで、簡易に凸状パターンを形成可能であり、生産性がより向上する。
【0019】
また、請求項4に記載の機能膜の加工方法は、請求項1に記載の機能膜の加工方法において、前記凸パターンを形成する工程が、樹脂材料をホトリソグラフィー法で形成されたレジストをマスクに反応性イオンエッチングすることでパターニングする工程、又は、感光性樹脂材料をホトリソグラフィー法でパターニングする工程であることを特徴としている。
【0020】
請求項4に記載の発明では、半導体プロセスのホトリソグラフィー法を用いてパターニングするため、寸法および位置合わせの精度が高くなる。
【0021】
また、請求項5に記載の機能膜の加工方法は、請求項1に記載の機能膜の加工方法において、前記研磨工程が、研磨速度が速い第1研磨工程と、研磨面を平滑に仕上げる第2研磨工程と、からなることを特徴としている。
【0022】
請求項5に記載の発明では、上記第1研磨工程を施した後は機能膜には凹部があり、これを上記第1研磨工程とは別に第2研磨工程で平滑化することで、機能膜表面にスクラッチ等のダメージが発生しにくくなり、電気絶縁不良等の発生率が減少する。
【0023】
また、請求項6に記載の機能膜の加工方法は、請求項1に記載の機能膜の加工方法において、前記研磨工程を施した後、前記凸状パターンを除去する凸状パターン除去工程を有することを特徴としている。
【0024】
請求項6に記載の機能膜の加工方法では、凸状パターンを耐熱性が悪い材料(例えば樹脂材料)で形成した場合には、それを除去することで、後処理として高温な熱処理を施すことも可能となり、生産プロセスの自由度が増す。
【0025】
請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、インク滴を吐出するノズルと、前記ノズルと連通し、インクが充填される圧力室と、前記圧力室の一部を構成する振動板と、前記圧力室へインク流路を介して供給するインクをプールするインクプール室と、前記振動板を変位させる圧電素子と、を有するインクジェット記録ヘッドの製造方法であり、
前記振動板上に、凸状パターンを形成する工程と、
前記凸状パターン上及び前記凸状パターン非形成領域上に、前記圧電素子を構成する圧電材料膜を形成する圧電材料膜形成工程と、
前記凸状パターン上に形成された前記圧電材料膜を前記凸状パターンが少なくとも露出するまで研磨する研磨工程と、
を有することを特徴としている。
【0026】
請求項7に記載の発明では、機能膜としての圧電材料膜の加工に、上記請求項1に記載の機能膜の加工方法を適用したものであり、上述のように、圧電材料膜を、微細化適正・高生産性・ダメージレスを両立させつつ形成することができる。
【0027】
また、請求項8〜12に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、上記請求項2〜6に記載の機能膜の加工方法を適用したものであり、同様である。
【0028】
また、請求項13に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記圧電材料膜形成工程を施した後、さらに、前記圧電膜上に金属膜を形成する金属膜形成工程を有し、
前記研磨工程は、前記金属膜と共に前記圧電材料膜を研磨する工程であることを特徴としている。
【0029】
請求項13に記載の発明では、圧電材料膜の加工と同時に、金属膜の加工も行えるので、生産性がより向上する。
【0030】
また、請求項14に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記圧電材料膜を結晶化する結晶化工程を有することを特徴としている。
【0031】
請求項14に記載の発明では、振動板上で、圧電材料膜の成膜から結晶化まで行えるため、生産性に優れる。但し、耐熱性を有さない材料(例えば樹脂材料)で形成した場合には、凸状パターンを耐熱性を有さない材料(例えば樹脂材料)で形成した場合には、それを除去した後、結晶化処理が施される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、微細化適正・高生産性・ダメージレス化を両立させる機能膜の加工方法、及びそれを利用したインクジェト記録ヘッドの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例を基に詳細に説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る機能膜の加工方法の工程を示す説明図である。
【0035】
本実施形態は、機能膜としてPZT膜(圧電材料膜)を適用した場合について説明する。まず、図1(A)に示すように、振動板200(例えばSUS基板)を準備する。なお、図示しないが、振動板は、圧電素子基板に設けられており、実際には流路も形成されている場合もある。
【0036】
次に、図1(B)に示すように、PZT膜206の下部電極202となる金属膜を例えばスパッタ法にて着膜する。電極材料としては、例えば圧電素子であるPZT材料(PZT膜)との親和性が高く、耐熱性がある、Au、Ir、Ru、Pt等が挙げられる。
【0037】
次に、図1(C)に示すように、下部電極202が設けられた振動板200上に、樹脂層(例えば40μm)を形成し、パターニングを施して、樹脂性の凸状パターン204を形成する。このとき、振動板200上には、凸状パターン204とその非形成領域ができている。
【0038】
ここで、樹脂性の凸状パターン204の形成方法としては、例えば、1)熱硬化性樹脂塗布・硬化熱処理・Si含有レジストのホトリソ・樹脂層のRIE(反応性イオンエッチング)・レジスト剥離、2)蒸着重合ポリイミドの着膜・熱処理・Si含有レジストのホトリソ・蒸着重合ポリイミドのRIE・レジスト剥離、3)感光性樹脂塗布・ホトリソ(露光/現像)・硬化熱処理、4)感光性ドライフィルム貼り付け・ホトリソ(露光/現像)、などが挙げられる。このように、半導体プロセスのホトリソグラフィー法を用いてパターニングするため、寸法および位置合わせの精度が高くなる。また、蒸着重合ポリイミドは脱ガス特性に優れるため、凸状パターン204の構成材料として好適に適用できる。なお、凸状パターン204の構成材料は、樹脂材料に限られず、例えば、ガラス材料などでもよく、加工容易な材料から選択することがよい。
【0039】
次に、図1(D)に示すように、振動板200上に形成された凸状パターン204及びその非形成領域上に、PZT膜206を例えば厚み30μmで成膜する。この成膜にはスパッタ法やSol−Gel法を適用する。
【0040】
次に、図1(E)に示すように、振動板200の上面(PZT膜206形成面)側から、凸状パターン204上に形成されたPZT膜206に対し研磨処理(第1研磨工程)を施して、凸状パターン204の上面を露出させる。このとき、凸状パターン204の厚みがPZT膜206の膜厚よりも厚くしているので、凸状パターン204の非形成領域上に形成されたPZT膜206の表面(縁周部は除く)は確実に研磨されず、研磨時のダメージ(砥粒によるスクラッチ等)を受けることなく、高信頼性化が寄与される。また、最終的に得られるPZT膜206の膜厚は研磨量によらず成膜時の膜厚のみで規定されるため、バラツキを小さくできる。
【0041】
ここで、本実施形態では、研磨処理として、例えば、大粒径(例えば1μm以上)のスラリー(研磨剤)を使用した研磨処理(高速ラフ研磨)を施すことができる。上述のように、本実施形態では、凸状パターン204の非形成領域上に形成されたPZT膜206の表面(縁周部は除く)は研磨されないので、PZT膜206にダメージを与えることなく、高速研磨処理を施すことができ、生産性の向上が図れる。
【0042】
次に、図1(F)に示すように、PZT膜206上(露出した凸状パターン204上も含む)に、上部電極210となる金属膜208をスパッタ法にて着膜する。電極材料としては、例えば圧電素子であるPZT材料との親和性が高く、耐熱性がある、Au、Ir、Ru、Pt等が挙げられる。
【0043】
次に、図1(G)に示すように、金属膜208上にホトレジスト212を露光・現像プロセスにて形成する。
【0044】
次に、図1(H)に示すように、金属膜208をRIE法にてパターニングする。
【0045】
次に、図1(I)に示すように、ホトレジスト212を有機溶媒もしくは酸素プラズマにて剥離する。このようにして、パターニングされた上部電極210を形成する。
【0046】
次に、図1(J)に示すように、樹脂性の凸状パターン204を、有機溶媒もしくは酸素プラズマにて除去する。そして、熱処理(例えば約700℃)を施し、PZT膜206を結晶化させる。このように、振動板200上でPZT膜206の成膜から結晶化まで行え、生産効率がよい。
【0047】
なお、図1(J)において、樹脂性の凸状パターン204を除去したが、これはPZT膜206の結晶化温度が用いた樹脂性の凸状パターン204の耐熱温度よりも高くなるためである。このように、凸状パターン204を除去することで、制約がなくなるので、後工程での生産プロセスに自由度が増す。
【0048】
次に、図1(K)に示すように、FPC基板214をはんだバンプ216を介して接続して、振動板200と共に圧電素子として機能するPZT膜206が実装される。なお、本実施形態ではFPC接続の例について示したが、薄膜プロセスを用いて電気接続してもよい。
【0049】
以上、説明した本実施形態では、凸状パターン204上及び凸状パターン204の非形成領域上に形成されたPZT膜206した後、凸状パターン204上に形成されたPZT膜206のみを研磨している。そして、この研磨処理のみで、PZT膜206が凸状パターン204の非形成領域の形状に沿って加工(パターニング)されることとなる。しかも、この処理は、振動板200上で直接機能膜を形成してから行える。このため、加工寸法精度(微細化適性)も優れ、生産性にも優れる。
【0050】
また、上述のように、この研磨処理では、凸状パターン204の非形成領域上に形成されたPZT膜206の表面(縁周部は除く)は研磨されないため、研磨時のダメージ(砥粒によるスクラッチ等)を受けることがない。このため、生産性の向上が図れると共に、ダメージレス化も実現できる。
【0051】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係る機能膜の加工方法の工程を示す説明図である。
【0052】
本実施形態では、図2(A)〜図2(E)で示す工程を施すが、これらは第1実施形態(図1(A)〜図1(E)参照)と同様なので、説明を省略する。
【0053】
次に、図2(F)に示すように、PZT膜206には凹部を有しているため、さらに研磨処理(第2研磨工程)を施し、突出している凸状パターン204及びPZT膜206の上面を研磨し完全平坦化する。このとき、凹部の残し膜厚が最終PZT膜の厚さになる。なお、この第2研磨処理(第2研磨工程)によってPZT膜206の膜厚を制御することもできる。
【0054】
ここで、本実施形態では、第2研磨処理として、例えば、小粒径(例えば、1μm未満、もっと好ましくは0.1μm以下)のスラリー(研磨剤)を使用した研磨処理(低ダメージファイン研磨)を施すことができる。本実施形態では、PZT膜206を平坦化するので、凸状パターン204の非形成領域上に形成されたPZT膜206の表面(縁周部は除く)も多少は研磨されてしまう。そこで、この第2研磨処理を適用して、PZT表面のダメージも最小限に抑制して、PZT膜206の平坦化を施す。
【0055】
次に、図2(G)〜図2(L)で示す工程を施すが、これらは第1実施形態(図1(F)〜図1(K)参照)と同様なので、説明を省略する。
【0056】
以上、説明した実施形態では、第1実施形態で処理工程上できてしまう、PZT膜206の凹部に第2研磨処理を施すことで、PZT膜206へのダメージを与えることなく、平坦化が可能となる。
【0057】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係る機能膜の加工方法の工程を示す説明図である。
【0058】
本実施形態は、第1実施形態において、凸状パターン204を除去しない以外は、同様なので、説明を省略する。具体的には、本実施形態における図3(A)〜図3(I)で示す工程が第1実施形態における図1(A)〜図1(I)に示す工程に相当し、本実施形態における図3(J)で示す工程が第1実施形態における図1(K)に示す工程である。
【0059】
本実施形態は、PZT膜206の結晶化温度が凸状パターン204の構成材料が耐熱温度よりも低い場合(言い換えれば、凸状パターン204を、当該結晶化温度よりも高い耐熱温度を有する材料(例えば耐熱性樹脂やガラス材料)で構成した場合)に適用され、さらなる生産性の向上が図れる。また、本実施形態は、PZT膜206の結晶化(熱処理)が不要の場合にも適用できる。
【0060】
(第4実施形態)
図4は、本発明の第4実施形態に係る機能膜の加工方法の工程を示す説明図である。
【0061】
本実施形態は、第2実施形態において、凸状パターン204を除去しない以外は、同様なので、説明を省略する。具体的には、本実施形態における図4(A)〜図4(J)で示す工程が第2実施形態における図2(A)〜図2(J)に示す工程に相当し、本実施形態における図4(K)で示す工程が第1実施形態における図1(K)に示す工程である。
【0062】
本実施形態でも、PZT膜206の結晶化温度が凸状パターン204の構成材料が耐熱温度よりも低い場合(言い換えれば、凸状パターン204を、当該結晶化温度よりも高い耐熱温度を有する材料(例えば耐熱性樹脂やガラス材料)で構成した場合)に適用され、さらなる生産性の向上が図れる。また、本実施形態は、PZT膜206の結晶化(熱処理)が不要の場合にも適用できる。
【0063】
(第5実施形態)
図5は、本発明の第5実施形態に係る機能膜の加工方法の工程を示す説明図である。
【0064】
本実施形態は、PZT膜206を研磨する前に、上部電極210となる金属膜208を形成し、PZT膜206と共に金属膜208も研磨して、同時にパターニングを施す形態である。まず、本実施形態では、図5(A)〜図5(D)で示す工程を施すが、これらは第1実施形態(図1(A)〜図1(D)参照)と同様なので説明を省略する。
【0065】
次に、図5(E)に示すように、PZT膜206の全面に上部電極210となる金属膜208をスパッタ法にて着膜する。
【0066】
次に、図5(F)に示すように、振動板200の上面(PZT膜206形成面)側から、凸状パターン204上に形成されたPZT膜206を金属膜208と共に研磨処理を施して、凸状パターン204の上面を露出させる。この研磨処理は、第1実施形態の図1(E)で示す工程と同様に行われる。そして、この研磨処理により、金属膜208はパターニングされ、上部電極210が形成される。
【0067】
次に、図5(G)〜図5(H)で示す工程を施すが、これらは第1実施形態(図1(AJ)〜図1(K)参照)と同様なので説明を省略する。
【0068】
以上、説明したように、本実施形態では、PZT膜206と金属膜208とを同時にパターニングしているので、別途、上部電極210を形成するために金属膜208をパターニングする必要がないため、さらなる生産性の向上が図れる。
【0069】
(第6実施形態)
以下、上記第1〜第5実施形態が適用され得るインクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置について詳細に説明する。また、以下、PZT膜は圧電素子46と称して説明する。また、本実施形態は、PZT膜(上部電極)の電気的接続は、薄膜プロセスにて施している。
【0070】
なお、本実施形態において、記録媒体は記録紙Pとして説明をする。また、記録紙Pのインクジェット記録装置10における搬送方向を副走査方向として矢印Sで表し、その搬送方向と直交する方向を主走査方向として矢印Mで表す。また、図において、矢印UP、矢印LOが示されている場合は、それぞれ上方向、下方向を示すものとし、上下の表現をした場合は、上記各矢印に対応しているものとする。また、図中、便宜上、平滑化された圧電素子46(PZT膜)を示すが、平滑化処理(上記第1〜5実施形態における第2研磨処理)を施さなければ、圧電素子46(PZT膜)は凹部を有している。
【0071】
まず、最初にインクジェット記録装置10の概要を説明する。図6で示すように、インクジェット記録装置10は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクジェット記録ユニット30(インクジェット記録ヘッド32)を搭載するキャリッジ12を備えている。このキャリッジ12の記録紙Pの搬送方向上流側には一対のブラケット14が突設されており、そのブラケット14には円形状の開孔14A(図7参照)が穿設されている。そして、その開孔14Aに、主走査方向に架設されたシャフト20が挿通されている。
【0072】
また、主走査方向の両端側には、主走査機構16を構成する駆動プーリー(図示省略)と従動プーリー(図示省略)が配設されており、その駆動プーリーと従動プーリーに巻回されて、主走査方向に走行するタイミングベルト22の一部がキャリッジ12に固定されている。したがって、キャリッジ12は主走査方向に往復移動可能に支持される構成である。
【0073】
また、このインクジェット記録装置10には、画像印刷前の記録紙Pを束にして入れておく給紙トレイ26が設けられており、その給紙トレイ26の上方には、インクジェット記録ヘッド32によって画像が印刷された記録紙Pが排出される排紙トレイ28が設けられている。そして、給紙トレイ26から1枚ずつ給紙された記録紙Pを所定のピッチで副走査方向へ搬送する搬送ローラー及び排出ローラーからなる副走査機構18が設けられている。
【0074】
その他、このインクジェット記録装置10には、印刷時において各種設定を行うコントロールパネル24と、メンテナンスステーション(図示省略)等が設けられている。メンテナンスステーションは、キャップ部材、吸引ポンプ、ダミージェット受け、クリーニング機構等を含んで構成されており、吸引回復動作、ダミージェット動作、クリーニング動作等のメンテナンス動作を行うようになっている。
【0075】
また、各色のインクジェット記録ユニット30は、図7で示すように、インクジェット記録ヘッド32と、それにインクを供給するインクタンク34とが一体に構成されたものであり、インクジェット記録ヘッド32の下面中央のインク吐出面32Aに形成された複数のノズル56(図8参照)が、記録紙Pと対向するようにキャリッジ12上に搭載されている。したがって、インクジェット記録ヘッド32が主走査機構16によって主走査方向に移動しながら、記録紙Pに対してノズル56から選択的にインク滴を吐出することにより、所定のバンド領域に対して画像データに基づく画像の一部が記録される。
【0076】
そして、主走査方向への1回の移動が終了すると、記録紙Pは、副走査機構18によって副走査方向に所定ピッチ搬送され、再びインクジェット記録ヘッド32(インクジェット記録ユニット30)が主走査方向(前述とは反対方向)に移動しながら、次のバンド領域に対して画像データに基づく画像の一部が記録されるようになっており、このような動作を複数回繰り返すことによって、記録紙Pに画像データに基づく全体画像がフルカラーで記録される。
【0077】
以上のような構成のインクジェット記録装置10において、次にインクジェット記録ヘッド32について詳細に説明する。図8はインクジェット記録ヘッド32の構成を示す概略平面図であり、図9は図8のX−X線概略断面図である。この図8、図9で示すように、インクジェット記録ヘッド32には、インクタンク34と連通するインク供給ポート36が設けられており、そのインク供給ポート36から注入されたインク110は、インクプール室38に貯留される。
【0078】
インクプール室38は天板40と隔壁42とによって、その容積が規定されており、インク供給ポート36は、天板40の所定箇所に複数、列状に穿設されている。また、列をなすインク供給ポート36の間で、天板40よりも内側のインクプール室38内には、圧力波を緩和する樹脂膜製エアダンパー44(後述する感光性ドライフィルム96)が設けられている。
【0079】
天板40の材質は、例えばガラス、セラミックス、シリコン、樹脂等、インクジェット記録ヘッド32の支持体になり得る強度を有する絶縁体であれば何でもよい。また、天板40には、後述する駆動IC60へ通電するための金属配線90が設けられている。この金属配線90は、樹脂膜92で被覆保護されており、インク110による侵食が防止されるようになっている。
【0080】
隔壁42は樹脂(後述する感光性ドライフィルム98)で成形され、インクプール室38を矩形状に仕切っている。また、インクプール室38は、圧電素子46と、その圧電素子46によって上下方向に撓み変形させられる振動板48を介して、圧力室50と上下に分離されている。つまり、圧電素子46及び振動板48が、インクプール室38と圧力室50との間に配置される構成とされ、インクプール室38と圧力室50とが同一水平面上に存在しないように構成されている。
【0081】
したがって、圧力室50を互いに接近させた状態に配置することが可能であり、ノズル56をマトリックス状に高密度に配設することが可能となっている。また、このような構成にしたことにより、キャリッジ12の主走査方向への1回の移動で、広いバンド領域に画像を形成することができるので、その走査時間が短くて済む。すなわち、少ないキャリッジ12の移動回数及び時間で記録紙Pの全面に亘って画像形成を行う高速印刷が実現可能となっている。
【0082】
圧電素子46は、圧力室50毎に振動板48の上面に接着されている。振動板48は、SUS等の金属で成形され、少なくとも上下方向に弾性を有し、圧電素子46に通電されると(電圧が印加されると)、上下方向に撓み変形する(変位する)構成になっている。なお、振動板48は、ガラス等の絶縁性材料であっても差し支えはない。圧電素子46の下面には一方の極性となる下部電極52(配線としての機能も兼ねる)が配置され、圧電素子46の上面には他方の極性となる上部電極54が配置されている。そして、この上部電極54に駆動IC60が金属配線86により電気的に接続されている。
【0083】
また、圧電素子46(上部電極54を含む)は、低透水性絶縁膜80(本実施例ではSiOX膜を適用)で被覆保護されている。圧電素子46を被覆保護している低透水性絶縁膜80は、水分透過性が低くなる条件で着膜するため、水分が圧電素子46の内部に侵入して信頼性不良となること(PZT膜内の酸素を還元することにより生ずる圧電特性の劣化)を防止できる。なお、下部電極52と接触する金属(SUS等)製の振動板48は、低抵抗なGND配線としても機能するようになっている。
【0084】
更に、圧電素子46は、その低透水性絶縁膜80の上面が、樹脂絶縁膜82で被覆保護されている。これにより、圧電素子46において、インク110による侵食の耐性が確保されるようになっている。これら低透水性絶縁膜80及び樹脂絶縁膜82は、圧電素子46を被覆保護すると共に圧電素子46が設けられていない領域の下部電極52(配線)も被覆保護しており、層間絶縁膜としても機能させている。また、金属配線86も、樹脂保護膜88(第2樹脂絶縁膜)で被覆保護され、インク110による侵食が防止されるようになっている。
【0085】
また、圧電素子46の上方は、樹脂絶縁膜82で被覆保護され、樹脂保護膜88が被覆されない構成になっている。樹脂絶縁膜82は、柔軟性がある樹脂層であるため、このような構成により、圧電素子46(振動板48)の変位阻害が防止されるようになっている(上下方向に好適に撓み変形可能とされている)。つまり、圧電素子46上方の樹脂層は、薄い方がより変位阻害の抑制効果が高くなるので、樹脂保護膜88を被覆しないようにしている。
【0086】
駆動IC60は、隔壁42で規定されたインクプール室38の外側で、かつ天板40と振動板48との間に配置されており、振動板48や天板40から露出しない(突出しない)構成とされている。したがって、インクジェット記録ヘッド32の小型化が実現可能となっている。
【0087】
また、その駆動IC60の周囲は樹脂材58で封止されている。この駆動IC60を封止する樹脂材58の注入口40Bは、図10で示すように、製造段階における天板40において、各インクジェット記録ヘッド32を仕切るように格子状に複数個穿設されており、後述する圧電素子基板70と流路基板72とを結合(接合)後、樹脂材58によって封止された(閉塞された)注入口40Bに沿って天板40を切断することにより、マトリックス状のノズル56(図8参照)を有するインクジェット記録ヘッド32が1度に複数個製造される構成になっている。
【0088】
また、この駆動IC60の下面には、図9、図11で示すように、複数のバンプ62がマトリックス状に所定高さ突設されており、振動板48上に圧電素子46が形成された圧電素子基板70の金属配線86にフリップチップ実装されるようになっている。したがって、圧電素子46に対する高密度接続が容易に実現可能であり、駆動IC60の高さの低減を図ることができる(薄くすることができる)。これによっても、インクジェット記録ヘッド32の小型化が実現可能となっている。
【0089】
また、図8において、駆動IC60の外側には、バンプ64が設けられている。このバンプ64は、天板40に設けられる金属配線90と、圧電素子基板70に設けられる金属配線86とを接続しており、当然ながら、圧電素子基板70に実装された駆動IC60の高さよりも高くなるように設けられている。
【0090】
したがって、インクジェット記録装置10の本体側から天板40の金属配線90に通電され、その天板40の金属配線90からバンプ64を経て金属配線86に通電され、そこから駆動IC60に通電される構成である。そして、その駆動IC60により、所定のタイミングで圧電素子46に電圧が印加され、振動板48が上下方向に撓み変形することにより、圧力室50内に充填されたインク110が加圧されて、ノズル56からインク滴が吐出する構成である。
【0091】
インク滴を吐出するノズル56は、圧力室50毎に1つずつ、その所定位置に設けられている。圧力室50とインクプール室38とは、圧電素子46を回避するとともに、振動板48に穿設された貫通孔48Aを通るインク流路66と、圧力室50から図9において水平方向へ向かって延設されたインク流路68とが連通することによって接続されている。このインク流路68は、インクジェット記録ヘッド32の製造時に、インク流路66とのアライメントが可能なように(確実に連通するように)、予め実際のインク流路66との接続部分よりも少し長めに設けられている。
【0092】
以上のような構成のインクジェット記録ヘッド32において、次に、その製造工程について、図12乃至図18を基に詳細に説明する。図12で示すように、このインクジェット記録ヘッド32は、圧電素子基板70と流路基板72とを別々に作成し、両者を結合(接合)することによって製造される。そこで、まず、圧電素子基板70の製造工程について説明するが、圧電素子基板70には、流路基板72よりも先に天板40が結合(接合)される。
【0093】
図13(A)で示すように、まず、貫通孔76Aが複数穿設されたガラス製の第1支持基板76を用意する。第1支持基板76は撓まないものであれば何でもよく、ガラス製に限定されるものではないが、ガラスは硬い上に安価なので好ましい。この第1支持基板76の作製方法としては、ガラス基板のフェムト秒レーザー加工や、感光性ガラス基板(例えば、HOYA株式会社製PEG3C)を露光・現像する等が知られている。
【0094】
そして、図13(B)で示すように、その第1支持基板76の上面(表面)に接着剤78を塗布し、図13(C)で示すように、その上面に金属(SUS等)製の振動板48を接着する。このとき、振動板48の貫通孔48Aと第1支持基板76の貫通孔76Aとは重ねない(オーバーラップさせない)ようにする。なお、振動板48の材料として、ガラス等の絶縁性基板を用いても差し支えない。
【0095】
ここで、振動板48の貫通孔48Aは、インク流路66の形成用とされる。また、第1支持基板76に貫通孔76Aを設けるのは、後工程で薬液(溶剤)を第1支持基板76と振動板48との界面に流し込むためで、接着剤78を溶解して、その第1支持基板76を振動板48から剥離するためである。更に、第1支持基板76の貫通孔76Aと振動板48の貫通孔48Aとを重ねないようにするのは、製造中に使用される各種材料が第1支持基板76の下面(裏面)から漏出しないようにするためである。
【0096】
次に、図13(D)で示すように、振動板48の上面に積層された下部電極52をパターニングする。具体的には、金属膜スパッタ(膜厚500Å〜3000Å)、ホトリソグラフィー法によるレジスト形成、パターニング(エッチング)、酸素プラズマによるレジスト剥離である。この下部電極52が接地電位となる。
【0097】
次に、図13(E)に示すように、下部電極52が設けられた振動板48上に樹脂層を形成し、パターニングを施して樹脂性の凸状パターン47を形成する。次に、振動板200上に形成された凸状パターン47及びその非形成領域上に、圧電素子46(PZT膜)をスパッタ法やSol−Gel法で成膜する。そして、図13(F)に示すように、圧電素子46のパターニング、上部電極54の成膜・パターニングを行う。この圧電素子46の成膜・パターニングは、上記第1〜5実施形態に従って行われる。上部電極54の成膜・パターニングも同様である。
【0098】
その後、図13(G)で示すように、上面に露出している下部電極52と上部電極54の上面に低透水性絶縁膜(SiOx膜)80を積層し、更に、その低透水性絶縁膜(SiOx膜)80の上面に、耐インク性と柔軟性を有する樹脂絶縁膜82、例えばポリイミド系、ポリアミド系、エポキシ系、ポリウレタン系、シリコン系等の樹脂膜を積層して、それらをパターニングすることで、圧電素子46と金属配線86を接続するための開口84(コンタクト孔)を形成する。
【0099】
具体的には、Chemical Vapor Deposition(CVD)法にてダングリングボンド密度が高い低透水性絶縁膜(SiOx膜)80を着膜する、感光性ポリイミド(例えば、富士フイルムアーチ社製の感光性ポリイミド Durimide7520)を塗布・露光・現像することでパターニングを行う、CF4系ガスを用いたReactive Ion Etching(RIE)法で上記感光性ポリイミドをマスクとしてSiOx膜をエッチングする、という加工を行う。なお、ここでは低透水性絶縁膜としてSiOx膜を用いたが、SiNx膜、SiOxNy膜等であってもよい。
【0100】
次いで、図13(H)で示すように、開口84内の上部電極54と樹脂絶縁膜82の上面に金属膜を積層し、金属配線86をパターニングする。具体的には、スパッタ法にてAl膜(厚さ1μm)を着膜する、ホトリソグラフィー法でレジストを形成する、塩素系のガスを用いたRIE法にてAl膜をエッチングする、酸素プラズマにてレジスト膜を剥離する、という加工を行い、上部電極54と金属配線86(Al膜)とを接合する。なお、図示しないが、下部電極52の上にも開口84が設けられ、上部電極52と同様に金属配線86と接続されている。
【0101】
そして更に、図13(I)で示すように、金属配線86及び樹脂絶縁膜82の上面に樹脂保護膜88(例えば、富士フイルムアーチ社製の感光性ポリイミド Durimide7320)を積層してパターニングする。この樹脂保護膜88は、樹脂絶縁膜82と同種の樹脂材料で構成される。また、このとき、圧電素子46の上方で、金属配線86がパターニングされていない部位には、樹脂保護膜88を積層しないようにする(樹脂絶縁膜82のみが積層されるようにする)。
【0102】
ここで、圧電素子46の上方(樹脂絶縁膜82の上面)に樹脂保護膜88を積層しないのは、振動板48(圧電素子46)の変位(上下方向の撓み変形)が阻害されるのを防止するためである。また、圧電素子46の上部電極54から引き出す(上部電極54に接続される)金属配線86が樹脂製の保護膜88で被覆されると、その樹脂保護膜88は、金属配線86が積層される樹脂絶縁膜82と同種の樹脂材料で構成されているため、金属配線86を被覆するそれらの接合力が強固になり、界面からのインク110の侵入による金属配線86の腐食を防止することができる。
【0103】
なお、この樹脂保護膜88は、樹脂絶縁膜82と同種の樹脂材料となっているため、下層の樹脂絶縁膜82に対する接合力が強固となっている。また、樹脂保護膜88は、隔壁42(感光性ドライフィルム98)とも同種の樹脂材料となっているため、この隔壁42(感光性ドライフィルム98)に対する接合力も強固になっている。したがって、それぞれの界面からのインク110の侵入がより一層防止され、インク漏れや金属配線86の侵食を防止した構成である。また、このように、同種の樹脂材料で構成されると、それらの熱膨張率が略等しくなるので、熱応力の発生が少なくて済む利点もある。
【0104】
次に、図13(J)で示すように、金属配線86にバンプ62を介して駆動IC60をフリップチップ実装する。このとき、駆動IC60は、予め半導体ウエハプロセスの終りに実施されるグラインド工程にて、所定の厚さ(70μm〜300μm)に加工されている。駆動IC60が厚すぎると、隔壁42のパターニングやバンプ64の形成が困難になったりする。
【0105】
駆動IC60を金属配線86にフリップチップ実装するためのバンプ62の形成方法には、電界メッキ、無電界メッキ、ボールバンプ、スクリーン印刷等が適用できる。こうして、圧電素子基板70が製造され、この圧電素子基板70に、例えばガラス製の天板40が結合(接合)される。なお、以下の図14では、説明の便宜上、配線形成面を下面として説明するが、実際の工程では上面になる。
【0106】
ガラス製天板40の製造においては、図14(A)で示すように、天板40自体が支持体となる程度の強度を確保できる厚み(0.3mm〜1.5mm)を持っているので、別途支持体を設ける必要がない。まず、図14(B)で示すように、天板40の下面に金属配線90を積層してパターニングする。具体的には、スパッタ法にてAl膜(厚さ1μm)を着膜する、ホトリソグラフィー法でレジストを形成する、塩素系のガスを用いたRIE法にてAl膜をエッチングする、酸素プラズマにてレジスト膜を剥離する、という加工である。
【0107】
そして、図14(C)で示すように、金属配線90が形成された面に樹脂膜92(例えば、富士フイルムアーチ社製の感光性ポリイミド Durimide7320)を積層してパターニングする。なお、このとき、一部の金属配線90には、バンプ64を接合するため、樹脂膜92を積層しないようにする。
【0108】
次に、図14(D)で示すように、天板40の金属配線90が形成された面に、ホトリソグラフィー法でレジストをパターニングする。金属配線90が形成されていない面は、保護用レジスト94で全面を覆う。ここで、保護用レジスト94を塗布するのは、次のウエット(SiO2)エッチング工程で、天板40が金属配線90を形成した面の裏面からエッチングされるのを防止するためである。なお、天板40に感光性ガラスを用いた場合には、この保護用レジスト94の塗布工程を省略することができる。
【0109】
次いで、図14(E)で示すように、天板40にHF溶液によるウエット(SiO2)エッチングを行い、その後、保護用レジスト94を酸素プラズマにて剥離する。そして、図14(F)で示すように、天板40に形成された開口40A部分に感光性ドライフィルム96(例えば、日立化成工業株式会社製Raytec FR−5025:25μm厚)を露光・現像によりパターニングする(架設する)。この感光性ドライフィルム96が圧力波を緩和するエアダンパー44となる。
【0110】
そして次に、図14(G)で示すように、樹脂膜92に感光性ドライフィルム98(100μm厚)を積層して露光・現像によりパターニングする。この感光性ドライフィルム98がインクプール室38を規定する隔壁42となる。なお、隔壁42は、感光性ドライフィルム98に限定されるものではなく、樹脂塗布膜(例えば、化薬マイクロケム社のSU−8レジスト)としてもよい。このときには、スプレー塗布装置にて塗布し、露光・現像をすればよい。
【0111】
そして最後に、図14(H)で示すように、樹脂膜92が積層されていない金属配線90にバンプ64をメッキ法等で形成する。このバンプ64が駆動IC60側の金属配線86と電気的に接続するため、図示するように、感光性ドライフィルム98(隔壁42)よりもその高さが高くなるように形成されている。
【0112】
こうして、天板40の製造が終了したら、図15(A)で示すように、この天板40を圧電素子基板70に被せて、両者を熱圧着により結合(接合)する。すなわち、感光性ドライフィルム98(隔壁42)を感光性樹脂層である樹脂保護膜88に接合し、バンプ64を金属配線86に接合する。
【0113】
このとき、感光性ドライフィルム98(隔壁42)の高さよりもバンプ64の高さの方が高いので、感光性ドライフィルム98(隔壁42)を樹脂保護膜88に接合することにより、バンプ64が金属配線86に自動的に接合される。つまり、半田バンプ64は高さ調整が容易なので(潰れやすいので)、感光性ドライフィルム98(隔壁42)によるインクプール室38の封止とバンプ64の接続が容易にできる。
【0114】
隔壁42とバンプ64の接合が終了したら、図15(B)で示すように、駆動IC60に封止用樹脂材58(例えば、エポキシ樹脂)を注入する。すなわち、天板40に穿設されている注入口40B(図10参照)から樹脂材58を流し込む。このように樹脂材58を注入して駆動IC60を封止すると、駆動IC60を水分等の外部環境から保護できるとともに、圧電素子基板70と天板40との接着強度を向上させることができ、更には、後工程でのダメージ、例えば、できあがった圧電素子基板70をダイシングによってインクジェット記録ヘッド32に分割する際の水や研削片によるダメージを回避することができる。
【0115】
次に、図15(C)で示すように、第1支持基板76の貫通孔76Aから接着剤剥離溶液を注入して接着剤78を選択的に溶解させることで、その第1支持基板76を圧電素子基板70から剥離処理する。これにより、図15(D)で示すように、天板40が結合(接合)された圧電素子基板70が完成する。そして、この状態から、天板40が圧電素子基板70の支持体となる。
【0116】
一方、流路基板72は、図16(A)で示すように、まず、貫通孔100Aが複数穿設されたガラス製の第2支持基板100を用意する。第2支持基板100は第1支持基板76と同様、撓まないものであれば何でもよく、ガラス製に限定されるものではないが、ガラスは硬い上に安価なので好ましい。この第2支持基板100の作製方法としては、ガラス基板のフェムト秒レーザー加工や、感光性ガラス基板(例えば、HOYA株式会社製PEG3C)を露光・現像する等が知られている。
【0117】
そして、図16(B)で示すように、その第2支持基板100の上面(表面)に接着剤104を塗布し、図16(C)で示すように、その上面(表面)に樹脂基板102(例えば、厚さ0.1mm〜0.5mmのアミドイミド基板)を接着する。そして次に、図16(D)で示すように、その樹脂基板102の上面を金型106に押し付け、加熱・加圧処理する。その後、図16(E)で示すように、金型106を樹脂基板102から離型処理することにより、圧力室50やノズル56等が形成される流路基板72が完成する。
【0118】
こうして、流路基板72が完成したら、図17(A)で示すように、圧電素子基板70と流路基板72とを熱圧着により結合(接合)する。そして次に、図17(B)で示すように、第2支持基板100の貫通孔100Aから接着剤剥離溶液を注入して接着剤104を選択的に溶解させることで、その第2支持基板100を流路基板72から剥離処理する。
【0119】
その後、図17(C)で示すように、第2支持基板100が剥離された面を、アルミナを主成分とする研磨材を使用した研磨処理又は酸素プラズマを用いたRIE処理することにより、表面層が取り除かれ、ノズル56が開口される。そして、図17(D)で示すように、そのノズル56が開口された下面に撥水剤としてのフッ素材108(例えば、旭ガラス社製のCytop)を塗布することにより、インクジェット記録ヘッド32が完成し、図17(E)で示すように、インクプール室38や圧力室50内にインク110が充填可能とされる。
【0120】
なお、感光性ドライフィルム96(エアダンパー44)は、天板40の内側のインクプール室38内に設けられるものに限定されるものではなく、例えば図18で示すように、天板40の外側に設けられる構成としてもよい。すなわち、インク110の充填工程の直前に、インクプール室38の外側から天板40に感光性ドライフィルム96(エアダンパー44)を貼り付ける構成としてもよい。
【0121】
以上のようにして製造されるインクジェット記録ヘッド32を備えたインクジェット記録装置10において、次に、その作用を説明する。まず、インクジェット記録装置10に印刷を指令する電気信号が送られると、給紙トレイ26から記録紙Pが1枚ピックアップされ、副走査機構18により、所定の位置へ搬送される。
【0122】
一方、インクジェット記録ユニット30では、すでにインクタンク34からインク供給ポート36を介してインクジェット記録ヘッド32のインクプール室38にインク110が注入(充填)され、インクプール室38に充填されたインク110は、インク流路66、68を経て圧力室50へ供給(充填)されている。そして、このとき、ノズル56の先端(吐出口)では、インク110の表面が圧力室50側に僅かに凹んだメニスカスが形成されている。
【0123】
そして、キャリッジ12に搭載されたインクジェット記録ヘッド32が主走査方向に移動しながら、複数のノズル56から選択的にインク滴を吐出することにより、記録紙Pの所定のバンド領域に、画像データに基づく画像の一部を記録する。すなわち、駆動IC60により、所定のタイミングで、所定の圧電素子46に電圧を印加し、振動板48を上下方向に撓み変形させて(面外振動させて)、圧力室50内のインク110を加圧し、所定のノズル56からインク滴として吐出させる。
【0124】
こうして、記録紙Pに画像データに基づく画像の一部が記録されたら、副走査機構18により、記録紙Pを所定ピッチ搬送させ、上記と同様に、インクジェット記録ヘッド32を主走査方向に移動しながら、再度複数のノズル56から選択的にインク滴を吐出することにより、記録紙Pの次のバンド領域に、画像データに基づく画像の一部を記録する。そして、このような動作を繰り返し行い、記録紙Pに画像データに基づく画像が完全に記録されたら、副走査機構18により、記録紙Pを最後まで搬送し、排紙トレイ28上に記録紙Pを排出する。これにより、記録紙Pへの印刷処理(画像記録)が完了する。
【0125】
ここで、このインクジェット記録ヘッド32は、インクプール室38が、振動板48(圧電素子46)を間に置いて圧力室50の反対側(上側)に設けられている。換言すれば、インクプール室38と圧力室50の間に振動板48(圧電素子46)が配置され、インクプール室38と圧力室50が同一水平面上に存在しないように構成されている。したがって、圧力室50が互いに近接配置され、ノズル56が高密度に配設されている。
【0126】
このような振動板48を間に置いて圧力室50と反対側にインクプール室38を設けると共に、振動板48を間に置いて圧電素子46がインクプール室38側に設けて、高密度化を図った構成において、上記第1〜第5実施形態を適用することで、微細化適正・高生産性・ダメージレス化を両立させて、圧電素子46(PZT膜)が低コスト且つ高品質で、微細化された圧電素子46が形成されている。
【0127】
以上、インクジェット記録ヘッド32を構成する圧電素子基板70及び流路基板72は、常に硬い支持基板76、100上でそれぞれ製造され、かつ、それらの製造工程において、支持基板76、100がそれぞれ不要となった時点で、各支持基板76、100が取り除かれるという製造方法が採用されているので、極めて製造しやすい構成となっている。なお、製造された(完成した)インクジェット記録ヘッド32は、天板40によって支持されるので(天板40が支持体とされるので)、その剛性は確保される。
【0128】
その他、上記実施例のインクジェット記録装置10では、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクジェット記録ユニット30がそれぞれキャリッジ12に搭載され、それら各色のインクジェット記録ヘッド32から画像データに基づいて選択的にインク滴が吐出されてフルカラーの画像が記録紙Pに記録されるようになっているが、本発明におけるインクジェット記録は、記録紙P上への文字や画像の記録に限定されるものではない。
【0129】
すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成するなど、工業的に用いられる液滴噴射装置全般に対して、本発明に係るインクジェット記録ヘッド32を適用することができる。
【0130】
また、本実施形態のインクジェット記録装置10では、主走査機構16と副走査機構18を有するPartial Width Array(PWA)の例で説明したが、本発明におけるインクジェット記録は、これに限定されず、紙幅対応のいわゆるFull Width Array(FWA)であってもよい。むしろ、本発明は、高密度ノズル配列を実現するのに有効なものであるため、1パス印字を必要とするFWAには好適である。
【0131】
また、本実施形態では、機能膜としてPZT膜を適用した形態を説明したが、これに限定されるわけではなく、例えば、BaTiO3(BTO)、(Ba,Sr)TiO3(BST)、SrBi2Ta29(SBT)、ZnO、Irなどの難エッチング材料膜が好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の第1実施形態に係る機能膜の加工方法の工程を示す説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る機能膜の加工方法の工程を示す説明図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る機能膜の加工方法の工程を示す説明図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る機能膜の加工方法の工程を示す説明図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る機能膜の加工方法の工程を示す説明図である。
【図6】本発明の第6実施形態に係るインクジェット記録装置を示す概略斜視図
【図7】キャリッジに搭載されたインクジェット記録ユニットを示す概略斜視図
【図8】インクジェット記録ヘッドの構成を示す概略平面図
【図9】図8のX−X線概略断面図
【図10】インクジェット記録ヘッドとして切断される前の天板を示す概略平面図
【図11】駆動ICのバンプを示す概略平面図
【図12】インクジェット記録ヘッドを製造する全体工程の説明図
【図13−1】圧電素子基板を製造する工程(A)〜(F)を示す説明図
【図13−2】圧電素子基板を製造する工程(G)〜(J)を示す説明図
【図14−1】天板を製造する工程(A)〜(D)を示す説明図
【図14−2】天板を製造する工程(E)〜(H)を示す説明図
【図15−1】圧電素子基板に天板を接合する工程(A)〜(B)を示す説明図
【図15−2】圧電素子基板に天板を接合する工程(C)〜(D)を示す説明図
【図16】流路基板を製造する工程を示す説明図
【図17−1】圧電素子基板に流路基板を接合する工程(A)〜(B)を示す説明図
【図17−2】圧電素子基板に流路基板を接合する工程(C)〜(E)を示す説明図
【図18】エアダンパーの配置が異なるインクジェット記録ヘッドを示す説明図
【符号の説明】
【0133】
10 インクジェット記録装置
30 インクジェット記録ユニット
32 インクジェット記録ヘッド
36 インク供給ポート
38 インクプール室
40 天板
42 隔壁
44 エアダンパー
46 圧電素子
47 凸状パターン
48 振動板
50 圧力室
56 ノズル
60 駆動IC
66 インク流路
68 インク流路
70 圧電素子基板
72 流路基板
76 第1支持基板
80 低透水性絶縁膜(保護膜)
82 樹脂絶縁膜(保護膜)
88 樹脂保護膜(第2樹脂絶縁膜)
86 金属配線
90 金属配線
100 第2支持基板
110 インク
200 振動板
202 下部電極
204 凸状パターン
206 PZT膜(圧電材料膜)
208 金属膜
210 上部電極
212 ホトレジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、凸状パターンを形成する工程と、
前記凸状パターン上及び前記凸状パターン非形成領域上に、機能膜を形成する機能膜形成工程と、
前記凸状パターン上に形成された前記機能膜を前記凸状パターンが少なくとも露出するまで研磨する研磨工程と、
を有することを特徴とする機能膜の加工方法。
【請求項2】
前記凸状パターンの厚みは、前記機能膜の膜厚よりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の機能膜の加工方法。
【請求項3】
前記凸状パターンの材料は、樹脂材料、及びガラス材料から選択されることを特徴とする請求項1に記載の機能膜の加工方法。
【請求項4】
前記凸パターンを形成する工程は、樹脂材料をホトリソグラフィー法で形成されたレジストをマスクに反応性イオンエッチングすることでパターニングする工程、又は、感光性樹脂材料をホトリソグラフィー法でパターニングする工程であることを特徴とする請求項1に記載の機能膜の加工方法。
【請求項5】
前記研磨工程は、研磨速度が速い第1研磨工程と、研磨面を平滑に仕上げる第2研磨工程と、からなることを特徴とする請求項1に記載の機能膜の加工方法。
【請求項6】
前記研磨工程を施した後、前記凸状パターンを除去する凸状パターン除去工程を有することを特徴とする請求項1に記載の機能膜の加工方法。
【請求項7】
インク滴を吐出するノズルと、
前記ノズルと連通し、インクが充填される圧力室と、
前記圧力室の一部を構成する振動板と、
前記圧力室へインク流路を介して供給するインクをプールするインクプール室と、
前記振動板を変位させる圧電素子と、
を有するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
前記振動板上に、凸状パターンを形成する工程と、
前記凸状パターン上及び前記凸状パターン非形成領域上に、前記圧電素子を構成する圧電材料膜を形成する圧電材料膜形成工程と、
前記凸状パターン上に形成された前記圧電材料膜を前記凸状パターンが少なくとも露出するまで研磨する研磨工程と、
を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記凸状パターンの厚みは、前記機能膜の膜厚よりも厚いことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記凸状パターンの材料は、樹脂材料、及びガラス材料から選択されることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記凸パターンを形成する工程は、樹脂材料をホトリソグラフィー法で形成されたレジストをマスクに反応性イオンエッチングすることでパターニングする工程、又は、感光性樹脂材料をホトリソグラフィー法でパターニングする工程であることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項11】
前記研磨工程は、研磨速度が速い第1研磨工程と、研磨面を平滑に仕上げる第2研磨工程と、からなることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記研磨工程を施した後、前記凸状パターンを除去する凸状パターン除去工程を有することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記圧電材料膜形成工程を施した後、さらに、前記圧電膜上に金属膜を形成する金属膜形成工程を有し、
前記研磨工程は、前記金属膜と共に前記圧電材料膜を研磨する工程であることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記圧電材料膜を結晶化する結晶化工程を有することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図16】
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【図17−1】
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【図17−2】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−13372(P2006−13372A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191956(P2004−191956)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】