櫛歯型アクチュエータ
【課題】櫛歯同士の貼り付きが生じない櫛歯型アクチュエータを提供する。
【解決手段】光偏向器は、可動板101と、可動板101を回転軸111の回りに傾斜可能に支持する一対のトーションバー102と、トーションバー102が接続された固定部103を有している。可動板101は、複数の導電性の可動櫛歯104,107を有している。固定部103は、複数の複合固定櫛歯105,108を有している。複合固定櫛歯105は、複数の導電性の固定櫛歯105bを有している。複合固定櫛歯105はまた、外部衝撃などによる可動櫛歯104と固定櫛歯105bの接触を防止する複数の導電性のストッパー105aを有している。
【解決手段】光偏向器は、可動板101と、可動板101を回転軸111の回りに傾斜可能に支持する一対のトーションバー102と、トーションバー102が接続された固定部103を有している。可動板101は、複数の導電性の可動櫛歯104,107を有している。固定部103は、複数の複合固定櫛歯105,108を有している。複合固定櫛歯105は、複数の導電性の固定櫛歯105bを有している。複合固定櫛歯105はまた、外部衝撃などによる可動櫛歯104と固定櫛歯105bの接触を防止する複数の導電性のストッパー105aを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、櫛歯型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信におけるスイッチング素子や光学機器内で光ビームを走査する光スキャナ等にMEMS技術を利用したマイクロミラーデバイスが利用されている。MEMSミラーには通常、大振れ角、低電力駆動という特性が求められており、そのために櫛歯型の静電アクチュエータを利用する方法が知られている。
【0003】
櫛歯型アクチュエータを利用したMEMSミラーの例が例えば特開平11−52278号公報に開示されている。
【0004】
図12に、この先行技術のMEMSミラーを示す。ミラー2はトーションバー3a,3bにより支持基板1に固定され、パッド4a,4bに接続されている。ミラー2の少なくとも周辺領域あるいは表面には、導電性を有する電極5が設けられている。支持基板1から絶縁層6を介して導電性材料で構成される固定電極7a,7bが形成され、パッド8a,8bに接続されている。固定電極7a,7bは、ミラー電極5の平面高さより高い平面内に位置している。ミラー電極5と固定電極7a,7bは、それぞれの凹凸を互いに対向させ、各平面上で相互に重ならない位置に形成される。パッド4a,4bおよびパッド8a,8bを介してミラー電極5及び固定電極7a,7bに電圧を印加することで静電力が加わり、ミラー2はトーションバー3a,3bの捩れにより垂直方向に揺動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−52278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術に示したような櫛歯型アクチュエータは、従来の平行平板型アクチュエータに比べて、静電ギャップを小さくすることで大きな静電トルクを発生させることが可能であり、MEMSミラーの大振れ角化、低電圧化に有利である。
【0007】
一方で、櫛歯型アクチュエータは静電ギャップが小さいことから、平行平板型アクチュエータに比べて、外的な衝撃に対して弱い。動作時に衝撃による外力により櫛歯間の静電ギャップに変動が生じると、櫛歯側面の静電引力のバランスがずれて変動が増長される。そのバランスのずれにより、ミラー板のミラー面法線回りの回転及び、各櫛歯の曲げ変形が生じる。それらの変動が大きくなると、電極間でプルインが生じて櫛歯同士が接触してしまう場合がある。通常、電位差を持った電極同士が直接接触すると電極間に瞬時に大電流が流れる。その結果、電極同士の融着による貼り付きが生じて復帰不能な状態となることがある。
【0008】
このような現象を防ぐひとつの手法は、静電ギャップを十分に広げることであるが、これでは、必要以上に静電トルクを抑えたような設計にせざるを得ない。
【0009】
したがって、櫛歯の接触による貼り付きが生じない櫛歯型アクチュエータが求められる。
【0010】
本発明は、このような実状を考慮して成されたものであり、その目的は、櫛歯同士の接触による貼り付きが生じない櫛歯型アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による櫛歯型アクチュエータは、可動板と、前記可動板を回転軸の回りに傾斜可能に支持する一対の弾性部材と、前記弾性部材が接続された固定部と、前記可動板に設けられた複数の導電性の可動櫛歯と、前記固定部に設けられた複数の導電性の固定櫛歯と、前記可動櫛歯と前記固定櫛歯の接触を防止する複数の導電性のストッパーを有している。前記ストッパーと前記可動櫛歯は同電位にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、櫛歯同士の接触による貼り付きが生じない櫛歯型アクチュエータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の櫛歯型アクチュエータを用いた光偏向器の上面図である。
【図2】図1の光偏向器のA−A’断面図である。
【図3】図1に示した櫛歯構造の斜視図である。
【図4】位置ずれが生じていない状態にある可動櫛歯に働く静電引力を示している。
【図5】位置ずれが生じた状態にある可動櫛歯に働く静電引力を示している。
【図6】第1実施形態の変形例の櫛歯構造の斜視図である。
【図7】第2実施形態の櫛歯構造の斜視図である。
【図8】図3の櫛歯構造をもつ櫛歯型アクチュエータを駆動した時のB−B’断面の電気力線の概念図である。
【図9】図7の櫛歯構造をもつ櫛歯型アクチュエータを駆動した時のC−C’断面の電気力線の概念図である。
【図10】第2実施形態の変形例の櫛歯構造の斜視図である。
【図11】図10の櫛歯構造をもつ櫛歯型アクチュエータを駆動した時のD−D’断面の電気力線の概念図である。
【図12】従来の櫛歯型アクチュエータの上面図(a)及び断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
(構成)
本実施形態は、櫛歯型アクチュエータを用いた光偏向器である。図1に、本実施形態の光偏向器の上面図を示し、図2に、図1の光偏向器のA−A’断面図を示す。また図3に、図1と図2に示した櫛歯構造(可動櫛歯と複合固定櫛歯)の斜視図を示す。
【0015】
図2に示すように、光偏向器は、構造的には、デバイス層として利用される第一層201と第二層202と支持層203と、それらの間に介在する二つの絶縁層204,205とから構成される。第一層201と第二層202と支持層203は導電性材料で構成されており、絶縁層204,205を介して積層されている。絶縁層204,205は第一層201と第二層202と支持層203を電気的に分離している。第一層201と第二層202と支持層203は例えばP、Au、B等の不純物がドープされて導電性を持ったシリコンで構成され、絶縁層204,205は例えばシリコン酸化膜によって構成される。
【0016】
図1に示すように、光偏向器は、可動板101と、可動板101を回転軸111の回りに傾斜可能に支持する一対のトーションバー102と、トーションバー102が接続された固定部103を有している。可動板101はトーションバー102を介して固定部103に接続されている。トーションバー102は、回転軸111を中心軸としてねじれ変形可能な弾性部として機能し、したがって、可動板101は、トーションバー102によって、固定部103に対して回転軸111の回りに傾斜可能に支持されている。回転軸111は、トーションバー102の内部を通って延びており、例えばトーションバー102の中心軸に一致する。
【0017】
可動板101は、その上面に反射面110を有している。反射面110は例えば金の薄膜などで構成される。また可動板101は、複数の導電性の可動櫛歯104,107を有している。可動櫛歯104,107は、それぞれ可動板101の両側から外側に向かって、可動板101の面(例えば反射面110が形成された上面)に平行かつ回転軸111に垂直な方向に延在している。可動櫛歯104,107は、回転軸111に平行な方向に間隔を置いて配置されている。
【0018】
固定部103は、複数の複合固定櫛歯105,108を有している。複合固定櫛歯105,108は、それぞれ固定部103の両側から内側に向かって、固定部103の面に平行かつ回転軸111に垂直な方向に延在している。複合固定櫛歯105,108は、回転軸111に平行な方向に間隔を置いて配置されている。
【0019】
代表的に複合固定櫛歯105について述べると、図2と図3に示すように、複合固定櫛歯105は、複数の導電性の固定櫛歯105bと、複数の導電性のストッパー105aを有している。固定櫛歯105bとストッパー105aは絶縁部105cを介して機械的に接続されている。ストッパー105aは、外部衝撃などによる可動櫛歯104と固定櫛歯105bの接触を防止する機能を有する。このため、ストッパー105aは固定櫛歯105bよりも櫛歯隣接方向の断面幅(回転軸111に平行な方向の寸法)が大きくなっている。ストッパー105aと固定櫛歯105bは長さ(延在方向の寸法)が同じであり、いずれも直方体形状をしている。ストッパー105aの櫛歯隣接方向の断面幅は一定である。
【0020】
図1に示すように、可動櫛歯104,107は、非傾斜時の可動板101の面に平行な平面への投影において、それぞれ、複合固定櫛歯105,108の間にすき間を置いて配置されている。代表的に可動櫛歯104と複合固定櫛歯105について述べると、図2に示すように、可動板101が傾斜していない状態において、可動櫛歯104は、高さ方向(非傾斜時の可動板101の面の法線方向)に関して、ストッパー105aとは同じ位置にあり、固定櫛歯105bとは異なる位置にある。可動櫛歯104と固定櫛歯105bは、回転軸111に平行な方向に一定の静電ギャップをもって配置されている。
【0021】
本実施形態では、非傾斜時の可動板101の面に平行な平面への投影において、可動櫛歯104,107がそれぞれ複合固定櫛歯105,108の間に配置されているが、反対に、複合固定櫛歯105,108がそれぞれ可動櫛歯104,107の間に配置されていてもよい。
【0022】
複合固定櫛歯105は、構造的には、第一層201と絶縁層204と第二層202から構成されている。ストッパー105aは第一層201から構成され、固定櫛歯105bは第二層202から構成されている。ストッパー105aと固定櫛歯105bは、絶縁層204から構成された絶縁部105cによって電気的に絶縁されている。固定櫛歯105bは、第二層202から構成された固定電極配線106を通して外部の電圧源に接続される。固定櫛歯105bは、第二層202を材料として、固定電極配線106と一体的に形成されている。ストッパー105aは、導電性の第一層201を材料として、可動板101とトーションバー102と固定部103の第一層部103aと可動櫛歯104と一体に形成されている。したがって、ストッパー105aと固定部103の第一層部103aとトーションバー102と可動板101と可動櫛歯104は互いに電気的に接続されており、外部に配線を取り出すことにより同電位とすることが可能となっている。
【0023】
ここまでは、可動櫛歯104と複合固定櫛歯105と固定電極配線106について記したが、可動櫛歯107と複合固定櫛歯108と固定電極配線109についてもそれぞれの関係は同じとなっている。つまり、可動櫛歯107と複合固定櫛歯108と固定電極配線109の構成は、可動櫛歯104と複合固定櫛歯105と固定電極配線106の構成と同様になっている。複合固定櫛歯108の固定櫛歯は、固定電極配線109は外部の電圧源に接続される。したがって、複合固定櫛歯105の固定櫛歯105bと複合固定櫛歯108の固定櫛歯には、独立に電位を与えることが可能となっている。
【0024】
本実施形態の光偏向器は例えば以下の方法によって作製される。第一層201と絶縁層204と第二層202から成るSOI基板を用意する。まず、熱酸化により絶縁層205を形成し、例えばTMAHなどにより絶縁層205を第二層202のパターンにエッチングする。次に、支持層203となる別に用意したシリコン基板を絶縁層205に直接接合により接合する。これを支持層203側に支持層開口に対応したマスクをして絶縁層204に達するまでDeep RIEエッチングすることで、支持層203と絶縁層205によってマスクされた第二層202の形状が形成される。続けて、絶縁層204,205の露出部をHFによるエッチングなどを利用して取り除く。最後に、反射面側から第一層201の形状をDeep RIEによりエッチングし、反射面110を蒸着することで完成となる。最終的に第一層201と第二層202が例えば数μmから数十μm程度に薄くする必要がある場合には、第一層201の厚い基板を用意して、接合工程の後に研磨により薄膜化してもよい。ここに説明した作製方法は単なる一例であり、作製方法はこれに限定されるものではない。
【0025】
(作用・効果)
以下に本実施形態の駆動方法を記す。固定部103の第一層部103aと接続した配線は、例えばグラウンド電位に接続する。第一層201は全て一体に形成されているため、トーションバー102と可動板101と可動櫛歯104は全てグラウンド電位となる。また、周囲の電位を安定させるためには固定部103の第二層部103bと支持層203もグランド電位に落とすことが望ましい。一方で、固定櫛歯105bには固定電極配線106を介して任意の電圧V1が与えられる。これにより、可動櫛歯104と固定櫛歯105bの間に静電引力が生じる。電極間のアライメントが理想的に出来ている場合、つまり各櫛歯間の静電ギャップが同一である場合においては個々の可動櫛歯104と固定櫛歯105bの側面に働く力の合力は反射面110と垂直な方向となり、可動櫛歯104は反射面110と垂直な方向に引き寄せられる。そのため、トーションバー102を軸として回転軸111を中心とした回転動作をし、可動板101を傾斜させることが出来る。ここまでは可動櫛歯104と複合固定櫛歯105と固定電極配線106で示したが、可動櫛歯107と複合固定櫛歯108と固定電極配線109も同様の関係となっており、固定電極配線109にも任意の電圧V2を印加することが出来る。V1,V2の電圧によって可動板101は基板平面に対して回転軸111回りの両方向に駆動することが可能である。ここで、外部から反射面110にレーザー光などの光ビームを当てると任意の方向に偏向することが出来る。
【0026】
本実施形態に示すような櫛歯型アクチュエータでは、大振れ角化や低電力化を達成するためには駆動力を高めることが要求される。そのためには、静電ギャップを縮小したり、櫛歯数を増やしたり櫛歯長を広げたりして対向面積を大きくしたりすることで静電容量を大きくし、かつトルクを大きくするために回転軸から遠い位置に配置するのがよい。特にデバイスの小型化、アレイ化等が求められて櫛歯の設置領域が限られる場合には、櫛歯をより密にし、細い櫛歯をより狭い静電ギャップで敷き詰めることが必要となってくる。
【0027】
しかし、例えば外部衝撃等により可動板101を回転軸112の回りに変動させる力が加わることで、可動櫛歯104と固定櫛歯105bが相対的にずれると櫛歯側面方向の力は完全には打ち消されなくなり、櫛歯間の静電ギャップが狭い方へ働く力が生じる。位置ずれの有無による駆動時に可動櫛歯に加わる静電引力の違いを図4と図5に示す。図4は、可動櫛歯104に位置ずれが生じていない理想的な状態を示しており、櫛歯側面に働く静電引力F1,F2は同じ大きさで左右方向に釣り合っている。一方、図5は、櫛歯隣接方向への外的衝撃による力F3によって可動櫛歯104に位置ずれが生じた状態を示しており、この場合には静電ギャップが小さい側の静電引力F1が逆側の静電引力F2よりも大きくなる。この結果として、図1に示す回転軸112を中心とする可動板101の回転動作や、個々の可動櫛歯104や複合固定櫛歯105の曲がりが生じる。これらの変動が一定以上に大きくなるとプルインが生じて可動櫛歯104と複合固定櫛歯105が接触してしまう。このような接触は駆動力を高めるために櫛歯を密に配列したり、回転軸から離したりするほど顕著に起こりやすくなる。
【0028】
通常、動作中に上記のような接触が生じないように設計がなされるが、駆動力を落とす必要が生じる。さらに、実際には使用条件を超えるような意図しない大きな衝撃が加わり接触が生じてしまうことがある。図12に示した従来の櫛歯アクチュエータの場合、接触するのは電位差を持った櫛歯電極同士となる。電位差を持った電極が接触すると大電流が流れ電極同士が融着し貼り付いてしまうため、その時点で復帰不能な状態となる。
【0029】
本実施形態では、可動櫛歯104と複合固定櫛歯105の接触が起こったとしても、可動櫛歯104と接触するのは、可動櫛歯104と同電位にあるストッパー105aに限られ、固定櫛歯105bが可動櫛歯104と直接接触することはない。そのため、櫛歯電極同士の貼り付きは生じない。つまり、強い衝撃が加わって一時的に櫛歯同士が接触したとしても即時に復帰不能な状態とはならない。
【0030】
なお、上記のような櫛歯電極の接触は例えば輸送中に発生する静電気等による過電圧などによっても引き起こされる。また、衝撃により櫛歯の変動が生じた場面の例を示したが、製造誤差などにより櫛歯の初期的な位置がずれている場合にも同様に、回転軸112を中心とする可動板101の回転動作や、個々の可動櫛歯104と複合固定櫛歯105の曲がりは生じる。そのような場合においても、可動櫛歯104と接触するのは、可動櫛歯104と同電位にあるストッパー105aのみであるので、櫛歯の貼り付き生じない。
【0031】
したがって、本実施形態により、櫛歯の貼り付きが発生しにくく信頼性の高い櫛歯型アクチュエータ、及びそれを搭載した製品を提供することが出来る。
【0032】
なお、これまでに示した実施形態では、第一層201と第二層202をシリコンで構成しているが、それに限定するものではなく、例えばポリシリコンなどで構成してもよい。絶縁層204,205についてもシリコン酸化膜である必要は無く、例えばシリコン窒化膜などを使用してもよい。支持層203については例えばAu接合や接着により接合することも可能であり、強度が保たれていればなくても問題ない。ストッパーが反射面側にある必要はなく、第一層201と第二層202の構成は入れ替わっても問題ない。また、ストッパーを設けるのは固定櫛歯側にのみ限定されたものではなく、可動櫛歯側であってもよい。また、ストッパーは必ずしも可動櫛歯と同じ厚さでなくてもよく、可動櫛歯と対向する部分を持っていればよい。
【0033】
<第1実施形態の変形例>
(構成)
図6に、本実施形態の変形例における櫛歯構造を示す。ここに示す可動櫛歯304と複合固定櫛歯305は、図1〜図3における可動櫛歯104と複合固定櫛歯105にそれぞれ対応するものであり、その他の構造は図1と図2と同様である。ストッパー305aと固定櫛歯305bと絶縁部305cはいずれも、非傾斜時の可動板101の面に平行な平面への投影における形状が矩形ではなく、先端に向かうほど細くなる台形をしている。つまり、ストッパー305aと固定櫛歯305bはいずれも先端に近付くにつれて回転軸111に平行な方向の寸法が小さくなっている。可動櫛歯304も同様に、先端に近付くにつれて回転軸111に平行な方向の寸法が小さくなっている。複合固定櫛歯305において、非傾斜状態の可動板101の面の法線方向に平行かつ回転軸111に平行な同一断面において、ストッパー305aは固定櫛歯305bよりも櫛歯隣接方向の断面幅が大きくなっている。ここでは、同一断面においてストッパー305aが固定櫛歯305bよりも櫛歯隣接方向の断面幅が大きければよく、例えばストッパー305aの先端付近は固定櫛歯305bの付け根側よりも幅が細くてもよい。
【0034】
(作用・効果)
先端を細い構造とすることで同一のピッチをもつ矩形の櫛歯と比較して静電引力を保ちつつ相対的に櫛歯の接触方向の曲げ剛性を高めることが出来る。よって、外的衝撃等に対して櫛歯自身の曲げによって2次的に引き起こされる可動板101の不安定性を減らすことが出来る。この例においても第1実施形態と同様に、外的衝撃等によって可動櫛歯304と複合固定櫛歯305の接触が生じたとしても、同電位である可動櫛歯304とストッパー305aが接触するため、櫛歯電極同士の貼り付きは生じない。
【0035】
したがって、本変形例によれば、動作中の外的衝撃に対する不安定さを軽減し、かつ第1実施形態と同等の貼り付き防止効果をもった櫛歯型アクチュエータを提供することが出来る。
【0036】
<第2実施形態>
(構成)
図7に、第2実施形態の櫛歯構造を示す。ここに示す可動櫛歯404と複合固定櫛歯405は、図1〜図3における可動櫛歯104と複合固定櫛歯105にそれぞれ対応するものであり、その他の構造は図1と図2と同様である。複合固定櫛歯405は、第1実施形態と同様に、絶縁部405cを介して機械的に接続されたストッパー405aと固定櫛歯405bを有している。ストッパー405aは、櫛歯隣接方向の断面幅は部分的に異なっている。具体的には、ストッパー405aの櫛歯隣接方向の断面幅は、先端部分と、付け根付近かつ可動櫛歯404に対向している部分でのみ、固定櫛歯405bよりも大きくなっており、その他の部分では固定櫛歯405bと同じになっている。
(作用・効果)
図8に、第1実施形態の櫛歯アクチュエータを駆動させたときの図3に示すB−B’断面に生じる電気力線の概念図を示す。電位を持つ固定櫛歯105bから伸びた電気力線の一部はグラウンド電位である可動櫛歯104に吸収され、一部は同じくグラウンド電位であるストッパー105aに吸収される。固定櫛歯105bと可動櫛歯104との静電ギャップに対して、ストッパー105aの櫛歯隣接方向の断面幅が相対的に大きくなるほどストッパー105aに吸収される電界の割合は多くなる。つまり、可動櫛歯に働く静電引力が相対的に小さくなり駆動力が減少する。
【0037】
図9に、本実施形態の櫛歯アクチュエータを駆動させたときの図7に示すC−C’断面に生じる電気力線の概念図を示す。本実施形態では櫛歯中腹部であるC−C’断面ではストッパー405aの櫛歯隣接方向の断面幅は固定櫛歯405bと等しく、櫛歯隣接方向に突き出した部分は存在しない。そのため第1実施形態と比較してストッパー405aによる電界の吸収を抑えることが出来る。
【0038】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に動作中の外部衝撃等による回転軸112を中心とする可動板101の回転動作や、個々の可動櫛歯404や複合固定櫛歯405の曲がりによる接触が生じたときに、最初に可動櫛歯404に接触するのは、可動櫛歯404と同電位であるストッパー405aである。そのため、動作条件を超えるような衝撃が加わっても貼り付きは生じず、即時に復帰不能な状態とはならない。
【0039】
よって、本実施形態では第1実施形態と同等に櫛歯の貼り付きが発生しにくく、より大振れ角、低電圧化に有利な櫛歯型アクチュエータを提供することが出来る。
【0040】
なお、ここでは、可動櫛歯404とストッパー405aと固定櫛歯405bはいずれも、非傾斜時の可動板101の面に平行な平面への投影において、矩形を組み合わせた形状をしているが、それぞれの形状を特に制限するものではなく、例えば櫛歯、ストッパーの一部が台形や三角形などであってもよい。また、ストッパー405aと固定櫛歯405bの長さは必ずしも等しくなくてもよい。
【0041】
<第2実施形態の変形例>
(構成)
図10に、本実施形態の変形例における櫛歯構造を示す。ここに示す可動櫛歯504と複合固定櫛歯505は、図1〜図3における可動櫛歯104と複合固定櫛歯105にそれぞれ対応するものであり、その他の構造は図1と図2と同様である。ストッパー505aは固定櫛歯505bと長さが異なっており、複合固定櫛歯505の付け根付近にのみ存在し、部分的に可動櫛歯504に対向している。ストッパー505aの櫛歯隣接方向の断面幅は一定であり、可動櫛歯504よりも大きい。また、絶縁部505cも固定櫛歯505bとストッパー505aが挟み込む部分のみにある。固定櫛歯505bは、付け根付近を除き、単独で存在している。
(作用・効果)
図11に、本実施形態の櫛歯アクチュエータを駆動させたときの図10に示したD−D’断面に生じる電気力線の概念図を示す。本変形例では複合固定櫛歯505の付け根付近を除く部分にはストッパー505aが存在しないため、電界は吸収されず、大部分を駆動力とすることが出来る。そのため、第1実施形態、第2実施形態と比較して駆動力を大きくすることが出来る。
【0042】
本実施形態においても、固定櫛歯505bの接触方向の剛性が可動板101の回転軸112を中心とする回転動作や可動櫛歯504の曲がりの剛性に比較して十分に強く設計されている場合、つまり、固定櫛歯505bの曲がりが櫛歯接触の主要因でない場合には、動作中の外部衝撃により可動櫛歯504と複合固定櫛歯505の接触が生じても最初に接触するのは、同電位である可動櫛歯504とストッパー505aである。そのため櫛歯同士の貼り付きは生じず、即時に復帰不能な状態とはならない。
【0043】
駆動力を変えずに固定櫛歯505bの接触方向の剛性を相対的に高めるには、ピッチは変えずに固定櫛歯505bを可動櫛歯504に対して相対的に太くする、櫛歯形状を台形にするなどの方法がある。また、櫛歯を配置出来るスペースが確保出来る場合には櫛歯は太く、短くして数を増やした方がよい。
【0044】
本変形例によれば、固定櫛歯の接触方向の剛性が十分に確保出来る場合において、櫛歯の貼り付きが発生しにくく、より大振れ角、低電圧化に有利な櫛歯型アクチュエータを提供することが出来る。
【0045】
なお、ここでは、可動櫛歯504とストッパー505aと固定櫛歯505bはいずれも、非傾斜時の可動板101の面に平行な平面への投影において、矩形を組み合わせた形状をしているが、それぞれの形状を特に制限するものではなく、例えば櫛歯、ストッパーの一部が台形や三角形などであってもよい。
【0046】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。ここにいう様々な変形や変更は、上述した実施形態を適当に組み合わせた実施も含む。
【符号の説明】
【0047】
101…可動板、102…トーションバー、103…固定部、103a…第一層部、103b…第二層部、104…可動櫛歯、105…複合固定櫛歯、105a…ストッパー、105b…固定櫛歯、105c…絶縁部、106…固定電極配線、107…可動櫛歯、108…複合固定櫛歯、109…固定電極配線、110…反射面、111,112…回転軸、201…第一層、202…第二層、203…支持層、204,205…絶縁層、304…可動櫛歯、305…複合固定櫛歯、305a…ストッパー、305b…固定櫛歯、305c…絶縁部、404…可動櫛歯、405…複合固定櫛歯、405a…ストッパー、405b…固定櫛歯、405c…絶縁部、504…可動櫛歯、505…複合固定櫛歯、505a…ストッパー、505b…固定櫛歯、505c…絶縁部、F1,F2…静電引力、F3…外的衝撃による力、V1,V2…電圧。
【技術分野】
【0001】
本発明は、櫛歯型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信におけるスイッチング素子や光学機器内で光ビームを走査する光スキャナ等にMEMS技術を利用したマイクロミラーデバイスが利用されている。MEMSミラーには通常、大振れ角、低電力駆動という特性が求められており、そのために櫛歯型の静電アクチュエータを利用する方法が知られている。
【0003】
櫛歯型アクチュエータを利用したMEMSミラーの例が例えば特開平11−52278号公報に開示されている。
【0004】
図12に、この先行技術のMEMSミラーを示す。ミラー2はトーションバー3a,3bにより支持基板1に固定され、パッド4a,4bに接続されている。ミラー2の少なくとも周辺領域あるいは表面には、導電性を有する電極5が設けられている。支持基板1から絶縁層6を介して導電性材料で構成される固定電極7a,7bが形成され、パッド8a,8bに接続されている。固定電極7a,7bは、ミラー電極5の平面高さより高い平面内に位置している。ミラー電極5と固定電極7a,7bは、それぞれの凹凸を互いに対向させ、各平面上で相互に重ならない位置に形成される。パッド4a,4bおよびパッド8a,8bを介してミラー電極5及び固定電極7a,7bに電圧を印加することで静電力が加わり、ミラー2はトーションバー3a,3bの捩れにより垂直方向に揺動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−52278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術に示したような櫛歯型アクチュエータは、従来の平行平板型アクチュエータに比べて、静電ギャップを小さくすることで大きな静電トルクを発生させることが可能であり、MEMSミラーの大振れ角化、低電圧化に有利である。
【0007】
一方で、櫛歯型アクチュエータは静電ギャップが小さいことから、平行平板型アクチュエータに比べて、外的な衝撃に対して弱い。動作時に衝撃による外力により櫛歯間の静電ギャップに変動が生じると、櫛歯側面の静電引力のバランスがずれて変動が増長される。そのバランスのずれにより、ミラー板のミラー面法線回りの回転及び、各櫛歯の曲げ変形が生じる。それらの変動が大きくなると、電極間でプルインが生じて櫛歯同士が接触してしまう場合がある。通常、電位差を持った電極同士が直接接触すると電極間に瞬時に大電流が流れる。その結果、電極同士の融着による貼り付きが生じて復帰不能な状態となることがある。
【0008】
このような現象を防ぐひとつの手法は、静電ギャップを十分に広げることであるが、これでは、必要以上に静電トルクを抑えたような設計にせざるを得ない。
【0009】
したがって、櫛歯の接触による貼り付きが生じない櫛歯型アクチュエータが求められる。
【0010】
本発明は、このような実状を考慮して成されたものであり、その目的は、櫛歯同士の接触による貼り付きが生じない櫛歯型アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による櫛歯型アクチュエータは、可動板と、前記可動板を回転軸の回りに傾斜可能に支持する一対の弾性部材と、前記弾性部材が接続された固定部と、前記可動板に設けられた複数の導電性の可動櫛歯と、前記固定部に設けられた複数の導電性の固定櫛歯と、前記可動櫛歯と前記固定櫛歯の接触を防止する複数の導電性のストッパーを有している。前記ストッパーと前記可動櫛歯は同電位にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、櫛歯同士の接触による貼り付きが生じない櫛歯型アクチュエータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の櫛歯型アクチュエータを用いた光偏向器の上面図である。
【図2】図1の光偏向器のA−A’断面図である。
【図3】図1に示した櫛歯構造の斜視図である。
【図4】位置ずれが生じていない状態にある可動櫛歯に働く静電引力を示している。
【図5】位置ずれが生じた状態にある可動櫛歯に働く静電引力を示している。
【図6】第1実施形態の変形例の櫛歯構造の斜視図である。
【図7】第2実施形態の櫛歯構造の斜視図である。
【図8】図3の櫛歯構造をもつ櫛歯型アクチュエータを駆動した時のB−B’断面の電気力線の概念図である。
【図9】図7の櫛歯構造をもつ櫛歯型アクチュエータを駆動した時のC−C’断面の電気力線の概念図である。
【図10】第2実施形態の変形例の櫛歯構造の斜視図である。
【図11】図10の櫛歯構造をもつ櫛歯型アクチュエータを駆動した時のD−D’断面の電気力線の概念図である。
【図12】従来の櫛歯型アクチュエータの上面図(a)及び断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
(構成)
本実施形態は、櫛歯型アクチュエータを用いた光偏向器である。図1に、本実施形態の光偏向器の上面図を示し、図2に、図1の光偏向器のA−A’断面図を示す。また図3に、図1と図2に示した櫛歯構造(可動櫛歯と複合固定櫛歯)の斜視図を示す。
【0015】
図2に示すように、光偏向器は、構造的には、デバイス層として利用される第一層201と第二層202と支持層203と、それらの間に介在する二つの絶縁層204,205とから構成される。第一層201と第二層202と支持層203は導電性材料で構成されており、絶縁層204,205を介して積層されている。絶縁層204,205は第一層201と第二層202と支持層203を電気的に分離している。第一層201と第二層202と支持層203は例えばP、Au、B等の不純物がドープされて導電性を持ったシリコンで構成され、絶縁層204,205は例えばシリコン酸化膜によって構成される。
【0016】
図1に示すように、光偏向器は、可動板101と、可動板101を回転軸111の回りに傾斜可能に支持する一対のトーションバー102と、トーションバー102が接続された固定部103を有している。可動板101はトーションバー102を介して固定部103に接続されている。トーションバー102は、回転軸111を中心軸としてねじれ変形可能な弾性部として機能し、したがって、可動板101は、トーションバー102によって、固定部103に対して回転軸111の回りに傾斜可能に支持されている。回転軸111は、トーションバー102の内部を通って延びており、例えばトーションバー102の中心軸に一致する。
【0017】
可動板101は、その上面に反射面110を有している。反射面110は例えば金の薄膜などで構成される。また可動板101は、複数の導電性の可動櫛歯104,107を有している。可動櫛歯104,107は、それぞれ可動板101の両側から外側に向かって、可動板101の面(例えば反射面110が形成された上面)に平行かつ回転軸111に垂直な方向に延在している。可動櫛歯104,107は、回転軸111に平行な方向に間隔を置いて配置されている。
【0018】
固定部103は、複数の複合固定櫛歯105,108を有している。複合固定櫛歯105,108は、それぞれ固定部103の両側から内側に向かって、固定部103の面に平行かつ回転軸111に垂直な方向に延在している。複合固定櫛歯105,108は、回転軸111に平行な方向に間隔を置いて配置されている。
【0019】
代表的に複合固定櫛歯105について述べると、図2と図3に示すように、複合固定櫛歯105は、複数の導電性の固定櫛歯105bと、複数の導電性のストッパー105aを有している。固定櫛歯105bとストッパー105aは絶縁部105cを介して機械的に接続されている。ストッパー105aは、外部衝撃などによる可動櫛歯104と固定櫛歯105bの接触を防止する機能を有する。このため、ストッパー105aは固定櫛歯105bよりも櫛歯隣接方向の断面幅(回転軸111に平行な方向の寸法)が大きくなっている。ストッパー105aと固定櫛歯105bは長さ(延在方向の寸法)が同じであり、いずれも直方体形状をしている。ストッパー105aの櫛歯隣接方向の断面幅は一定である。
【0020】
図1に示すように、可動櫛歯104,107は、非傾斜時の可動板101の面に平行な平面への投影において、それぞれ、複合固定櫛歯105,108の間にすき間を置いて配置されている。代表的に可動櫛歯104と複合固定櫛歯105について述べると、図2に示すように、可動板101が傾斜していない状態において、可動櫛歯104は、高さ方向(非傾斜時の可動板101の面の法線方向)に関して、ストッパー105aとは同じ位置にあり、固定櫛歯105bとは異なる位置にある。可動櫛歯104と固定櫛歯105bは、回転軸111に平行な方向に一定の静電ギャップをもって配置されている。
【0021】
本実施形態では、非傾斜時の可動板101の面に平行な平面への投影において、可動櫛歯104,107がそれぞれ複合固定櫛歯105,108の間に配置されているが、反対に、複合固定櫛歯105,108がそれぞれ可動櫛歯104,107の間に配置されていてもよい。
【0022】
複合固定櫛歯105は、構造的には、第一層201と絶縁層204と第二層202から構成されている。ストッパー105aは第一層201から構成され、固定櫛歯105bは第二層202から構成されている。ストッパー105aと固定櫛歯105bは、絶縁層204から構成された絶縁部105cによって電気的に絶縁されている。固定櫛歯105bは、第二層202から構成された固定電極配線106を通して外部の電圧源に接続される。固定櫛歯105bは、第二層202を材料として、固定電極配線106と一体的に形成されている。ストッパー105aは、導電性の第一層201を材料として、可動板101とトーションバー102と固定部103の第一層部103aと可動櫛歯104と一体に形成されている。したがって、ストッパー105aと固定部103の第一層部103aとトーションバー102と可動板101と可動櫛歯104は互いに電気的に接続されており、外部に配線を取り出すことにより同電位とすることが可能となっている。
【0023】
ここまでは、可動櫛歯104と複合固定櫛歯105と固定電極配線106について記したが、可動櫛歯107と複合固定櫛歯108と固定電極配線109についてもそれぞれの関係は同じとなっている。つまり、可動櫛歯107と複合固定櫛歯108と固定電極配線109の構成は、可動櫛歯104と複合固定櫛歯105と固定電極配線106の構成と同様になっている。複合固定櫛歯108の固定櫛歯は、固定電極配線109は外部の電圧源に接続される。したがって、複合固定櫛歯105の固定櫛歯105bと複合固定櫛歯108の固定櫛歯には、独立に電位を与えることが可能となっている。
【0024】
本実施形態の光偏向器は例えば以下の方法によって作製される。第一層201と絶縁層204と第二層202から成るSOI基板を用意する。まず、熱酸化により絶縁層205を形成し、例えばTMAHなどにより絶縁層205を第二層202のパターンにエッチングする。次に、支持層203となる別に用意したシリコン基板を絶縁層205に直接接合により接合する。これを支持層203側に支持層開口に対応したマスクをして絶縁層204に達するまでDeep RIEエッチングすることで、支持層203と絶縁層205によってマスクされた第二層202の形状が形成される。続けて、絶縁層204,205の露出部をHFによるエッチングなどを利用して取り除く。最後に、反射面側から第一層201の形状をDeep RIEによりエッチングし、反射面110を蒸着することで完成となる。最終的に第一層201と第二層202が例えば数μmから数十μm程度に薄くする必要がある場合には、第一層201の厚い基板を用意して、接合工程の後に研磨により薄膜化してもよい。ここに説明した作製方法は単なる一例であり、作製方法はこれに限定されるものではない。
【0025】
(作用・効果)
以下に本実施形態の駆動方法を記す。固定部103の第一層部103aと接続した配線は、例えばグラウンド電位に接続する。第一層201は全て一体に形成されているため、トーションバー102と可動板101と可動櫛歯104は全てグラウンド電位となる。また、周囲の電位を安定させるためには固定部103の第二層部103bと支持層203もグランド電位に落とすことが望ましい。一方で、固定櫛歯105bには固定電極配線106を介して任意の電圧V1が与えられる。これにより、可動櫛歯104と固定櫛歯105bの間に静電引力が生じる。電極間のアライメントが理想的に出来ている場合、つまり各櫛歯間の静電ギャップが同一である場合においては個々の可動櫛歯104と固定櫛歯105bの側面に働く力の合力は反射面110と垂直な方向となり、可動櫛歯104は反射面110と垂直な方向に引き寄せられる。そのため、トーションバー102を軸として回転軸111を中心とした回転動作をし、可動板101を傾斜させることが出来る。ここまでは可動櫛歯104と複合固定櫛歯105と固定電極配線106で示したが、可動櫛歯107と複合固定櫛歯108と固定電極配線109も同様の関係となっており、固定電極配線109にも任意の電圧V2を印加することが出来る。V1,V2の電圧によって可動板101は基板平面に対して回転軸111回りの両方向に駆動することが可能である。ここで、外部から反射面110にレーザー光などの光ビームを当てると任意の方向に偏向することが出来る。
【0026】
本実施形態に示すような櫛歯型アクチュエータでは、大振れ角化や低電力化を達成するためには駆動力を高めることが要求される。そのためには、静電ギャップを縮小したり、櫛歯数を増やしたり櫛歯長を広げたりして対向面積を大きくしたりすることで静電容量を大きくし、かつトルクを大きくするために回転軸から遠い位置に配置するのがよい。特にデバイスの小型化、アレイ化等が求められて櫛歯の設置領域が限られる場合には、櫛歯をより密にし、細い櫛歯をより狭い静電ギャップで敷き詰めることが必要となってくる。
【0027】
しかし、例えば外部衝撃等により可動板101を回転軸112の回りに変動させる力が加わることで、可動櫛歯104と固定櫛歯105bが相対的にずれると櫛歯側面方向の力は完全には打ち消されなくなり、櫛歯間の静電ギャップが狭い方へ働く力が生じる。位置ずれの有無による駆動時に可動櫛歯に加わる静電引力の違いを図4と図5に示す。図4は、可動櫛歯104に位置ずれが生じていない理想的な状態を示しており、櫛歯側面に働く静電引力F1,F2は同じ大きさで左右方向に釣り合っている。一方、図5は、櫛歯隣接方向への外的衝撃による力F3によって可動櫛歯104に位置ずれが生じた状態を示しており、この場合には静電ギャップが小さい側の静電引力F1が逆側の静電引力F2よりも大きくなる。この結果として、図1に示す回転軸112を中心とする可動板101の回転動作や、個々の可動櫛歯104や複合固定櫛歯105の曲がりが生じる。これらの変動が一定以上に大きくなるとプルインが生じて可動櫛歯104と複合固定櫛歯105が接触してしまう。このような接触は駆動力を高めるために櫛歯を密に配列したり、回転軸から離したりするほど顕著に起こりやすくなる。
【0028】
通常、動作中に上記のような接触が生じないように設計がなされるが、駆動力を落とす必要が生じる。さらに、実際には使用条件を超えるような意図しない大きな衝撃が加わり接触が生じてしまうことがある。図12に示した従来の櫛歯アクチュエータの場合、接触するのは電位差を持った櫛歯電極同士となる。電位差を持った電極が接触すると大電流が流れ電極同士が融着し貼り付いてしまうため、その時点で復帰不能な状態となる。
【0029】
本実施形態では、可動櫛歯104と複合固定櫛歯105の接触が起こったとしても、可動櫛歯104と接触するのは、可動櫛歯104と同電位にあるストッパー105aに限られ、固定櫛歯105bが可動櫛歯104と直接接触することはない。そのため、櫛歯電極同士の貼り付きは生じない。つまり、強い衝撃が加わって一時的に櫛歯同士が接触したとしても即時に復帰不能な状態とはならない。
【0030】
なお、上記のような櫛歯電極の接触は例えば輸送中に発生する静電気等による過電圧などによっても引き起こされる。また、衝撃により櫛歯の変動が生じた場面の例を示したが、製造誤差などにより櫛歯の初期的な位置がずれている場合にも同様に、回転軸112を中心とする可動板101の回転動作や、個々の可動櫛歯104と複合固定櫛歯105の曲がりは生じる。そのような場合においても、可動櫛歯104と接触するのは、可動櫛歯104と同電位にあるストッパー105aのみであるので、櫛歯の貼り付き生じない。
【0031】
したがって、本実施形態により、櫛歯の貼り付きが発生しにくく信頼性の高い櫛歯型アクチュエータ、及びそれを搭載した製品を提供することが出来る。
【0032】
なお、これまでに示した実施形態では、第一層201と第二層202をシリコンで構成しているが、それに限定するものではなく、例えばポリシリコンなどで構成してもよい。絶縁層204,205についてもシリコン酸化膜である必要は無く、例えばシリコン窒化膜などを使用してもよい。支持層203については例えばAu接合や接着により接合することも可能であり、強度が保たれていればなくても問題ない。ストッパーが反射面側にある必要はなく、第一層201と第二層202の構成は入れ替わっても問題ない。また、ストッパーを設けるのは固定櫛歯側にのみ限定されたものではなく、可動櫛歯側であってもよい。また、ストッパーは必ずしも可動櫛歯と同じ厚さでなくてもよく、可動櫛歯と対向する部分を持っていればよい。
【0033】
<第1実施形態の変形例>
(構成)
図6に、本実施形態の変形例における櫛歯構造を示す。ここに示す可動櫛歯304と複合固定櫛歯305は、図1〜図3における可動櫛歯104と複合固定櫛歯105にそれぞれ対応するものであり、その他の構造は図1と図2と同様である。ストッパー305aと固定櫛歯305bと絶縁部305cはいずれも、非傾斜時の可動板101の面に平行な平面への投影における形状が矩形ではなく、先端に向かうほど細くなる台形をしている。つまり、ストッパー305aと固定櫛歯305bはいずれも先端に近付くにつれて回転軸111に平行な方向の寸法が小さくなっている。可動櫛歯304も同様に、先端に近付くにつれて回転軸111に平行な方向の寸法が小さくなっている。複合固定櫛歯305において、非傾斜状態の可動板101の面の法線方向に平行かつ回転軸111に平行な同一断面において、ストッパー305aは固定櫛歯305bよりも櫛歯隣接方向の断面幅が大きくなっている。ここでは、同一断面においてストッパー305aが固定櫛歯305bよりも櫛歯隣接方向の断面幅が大きければよく、例えばストッパー305aの先端付近は固定櫛歯305bの付け根側よりも幅が細くてもよい。
【0034】
(作用・効果)
先端を細い構造とすることで同一のピッチをもつ矩形の櫛歯と比較して静電引力を保ちつつ相対的に櫛歯の接触方向の曲げ剛性を高めることが出来る。よって、外的衝撃等に対して櫛歯自身の曲げによって2次的に引き起こされる可動板101の不安定性を減らすことが出来る。この例においても第1実施形態と同様に、外的衝撃等によって可動櫛歯304と複合固定櫛歯305の接触が生じたとしても、同電位である可動櫛歯304とストッパー305aが接触するため、櫛歯電極同士の貼り付きは生じない。
【0035】
したがって、本変形例によれば、動作中の外的衝撃に対する不安定さを軽減し、かつ第1実施形態と同等の貼り付き防止効果をもった櫛歯型アクチュエータを提供することが出来る。
【0036】
<第2実施形態>
(構成)
図7に、第2実施形態の櫛歯構造を示す。ここに示す可動櫛歯404と複合固定櫛歯405は、図1〜図3における可動櫛歯104と複合固定櫛歯105にそれぞれ対応するものであり、その他の構造は図1と図2と同様である。複合固定櫛歯405は、第1実施形態と同様に、絶縁部405cを介して機械的に接続されたストッパー405aと固定櫛歯405bを有している。ストッパー405aは、櫛歯隣接方向の断面幅は部分的に異なっている。具体的には、ストッパー405aの櫛歯隣接方向の断面幅は、先端部分と、付け根付近かつ可動櫛歯404に対向している部分でのみ、固定櫛歯405bよりも大きくなっており、その他の部分では固定櫛歯405bと同じになっている。
(作用・効果)
図8に、第1実施形態の櫛歯アクチュエータを駆動させたときの図3に示すB−B’断面に生じる電気力線の概念図を示す。電位を持つ固定櫛歯105bから伸びた電気力線の一部はグラウンド電位である可動櫛歯104に吸収され、一部は同じくグラウンド電位であるストッパー105aに吸収される。固定櫛歯105bと可動櫛歯104との静電ギャップに対して、ストッパー105aの櫛歯隣接方向の断面幅が相対的に大きくなるほどストッパー105aに吸収される電界の割合は多くなる。つまり、可動櫛歯に働く静電引力が相対的に小さくなり駆動力が減少する。
【0037】
図9に、本実施形態の櫛歯アクチュエータを駆動させたときの図7に示すC−C’断面に生じる電気力線の概念図を示す。本実施形態では櫛歯中腹部であるC−C’断面ではストッパー405aの櫛歯隣接方向の断面幅は固定櫛歯405bと等しく、櫛歯隣接方向に突き出した部分は存在しない。そのため第1実施形態と比較してストッパー405aによる電界の吸収を抑えることが出来る。
【0038】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に動作中の外部衝撃等による回転軸112を中心とする可動板101の回転動作や、個々の可動櫛歯404や複合固定櫛歯405の曲がりによる接触が生じたときに、最初に可動櫛歯404に接触するのは、可動櫛歯404と同電位であるストッパー405aである。そのため、動作条件を超えるような衝撃が加わっても貼り付きは生じず、即時に復帰不能な状態とはならない。
【0039】
よって、本実施形態では第1実施形態と同等に櫛歯の貼り付きが発生しにくく、より大振れ角、低電圧化に有利な櫛歯型アクチュエータを提供することが出来る。
【0040】
なお、ここでは、可動櫛歯404とストッパー405aと固定櫛歯405bはいずれも、非傾斜時の可動板101の面に平行な平面への投影において、矩形を組み合わせた形状をしているが、それぞれの形状を特に制限するものではなく、例えば櫛歯、ストッパーの一部が台形や三角形などであってもよい。また、ストッパー405aと固定櫛歯405bの長さは必ずしも等しくなくてもよい。
【0041】
<第2実施形態の変形例>
(構成)
図10に、本実施形態の変形例における櫛歯構造を示す。ここに示す可動櫛歯504と複合固定櫛歯505は、図1〜図3における可動櫛歯104と複合固定櫛歯105にそれぞれ対応するものであり、その他の構造は図1と図2と同様である。ストッパー505aは固定櫛歯505bと長さが異なっており、複合固定櫛歯505の付け根付近にのみ存在し、部分的に可動櫛歯504に対向している。ストッパー505aの櫛歯隣接方向の断面幅は一定であり、可動櫛歯504よりも大きい。また、絶縁部505cも固定櫛歯505bとストッパー505aが挟み込む部分のみにある。固定櫛歯505bは、付け根付近を除き、単独で存在している。
(作用・効果)
図11に、本実施形態の櫛歯アクチュエータを駆動させたときの図10に示したD−D’断面に生じる電気力線の概念図を示す。本変形例では複合固定櫛歯505の付け根付近を除く部分にはストッパー505aが存在しないため、電界は吸収されず、大部分を駆動力とすることが出来る。そのため、第1実施形態、第2実施形態と比較して駆動力を大きくすることが出来る。
【0042】
本実施形態においても、固定櫛歯505bの接触方向の剛性が可動板101の回転軸112を中心とする回転動作や可動櫛歯504の曲がりの剛性に比較して十分に強く設計されている場合、つまり、固定櫛歯505bの曲がりが櫛歯接触の主要因でない場合には、動作中の外部衝撃により可動櫛歯504と複合固定櫛歯505の接触が生じても最初に接触するのは、同電位である可動櫛歯504とストッパー505aである。そのため櫛歯同士の貼り付きは生じず、即時に復帰不能な状態とはならない。
【0043】
駆動力を変えずに固定櫛歯505bの接触方向の剛性を相対的に高めるには、ピッチは変えずに固定櫛歯505bを可動櫛歯504に対して相対的に太くする、櫛歯形状を台形にするなどの方法がある。また、櫛歯を配置出来るスペースが確保出来る場合には櫛歯は太く、短くして数を増やした方がよい。
【0044】
本変形例によれば、固定櫛歯の接触方向の剛性が十分に確保出来る場合において、櫛歯の貼り付きが発生しにくく、より大振れ角、低電圧化に有利な櫛歯型アクチュエータを提供することが出来る。
【0045】
なお、ここでは、可動櫛歯504とストッパー505aと固定櫛歯505bはいずれも、非傾斜時の可動板101の面に平行な平面への投影において、矩形を組み合わせた形状をしているが、それぞれの形状を特に制限するものではなく、例えば櫛歯、ストッパーの一部が台形や三角形などであってもよい。
【0046】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。ここにいう様々な変形や変更は、上述した実施形態を適当に組み合わせた実施も含む。
【符号の説明】
【0047】
101…可動板、102…トーションバー、103…固定部、103a…第一層部、103b…第二層部、104…可動櫛歯、105…複合固定櫛歯、105a…ストッパー、105b…固定櫛歯、105c…絶縁部、106…固定電極配線、107…可動櫛歯、108…複合固定櫛歯、109…固定電極配線、110…反射面、111,112…回転軸、201…第一層、202…第二層、203…支持層、204,205…絶縁層、304…可動櫛歯、305…複合固定櫛歯、305a…ストッパー、305b…固定櫛歯、305c…絶縁部、404…可動櫛歯、405…複合固定櫛歯、405a…ストッパー、405b…固定櫛歯、405c…絶縁部、504…可動櫛歯、505…複合固定櫛歯、505a…ストッパー、505b…固定櫛歯、505c…絶縁部、F1,F2…静電引力、F3…外的衝撃による力、V1,V2…電圧。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動板と、
前記可動板を回転軸の回りに傾斜可能に支持する一対の弾性部材と、
前記弾性部材が接続された固定部と、
前記可動板に設けられた複数の導電性の可動櫛歯と、
前記固定部に設けられた複数の導電性の固定櫛歯と、
前記可動櫛歯と前記固定櫛歯の接触を防止する複数の導電性のストッパーを有し、
前記ストッパーと前記可動櫛歯は同電位にある、櫛歯型アクチュエータ。
【請求項2】
前記ストッパーと前記可動櫛歯は電気的に接続されており、前記固定櫛歯と前記ストッパーは絶縁部を介して機械的に接続されている、請求項1に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項3】
前記可動櫛歯は前記ストッパーの間に配置されており、前記ストッパーは少なくとも、前記固定櫛歯よりも前記回転軸に平行な方向の寸法が大きく、かつ前記可動櫛歯に対向している部分を有している、請求項2に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項4】
前記ストッパーと前記固定櫛歯は長さが同じであり、前記ストッパーの前記回転軸に平行な方向の寸法は一定である、請求項3に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項5】
前記ストッパーと前記固定櫛歯は長さが同じであり、前記ストッパーと前記固定櫛歯と前記可動櫛歯はいずれも先端に近付くにつれて前記回転軸に平行な方向の寸法が小さくなっており、非傾斜状態の前記可動板の面の法線方向に平行かつ前記回転軸に平行な同一断面において、前記ストッパーは前記固定櫛歯よりも前記回転軸に平行な方向の寸法が大きい、請求項3に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項6】
前記ストッパーと前記固定櫛歯は長さが同じであり、前記ストッパーの前記回転軸に平行な方向の寸法は部分的に異なっている、請求項3に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項7】
前記ストッパーは前記固定櫛歯と長さが異なっている、請求項3に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項8】
前記櫛歯型アクチュエータは、絶縁層を介して積層された導電性材料で構成された第一層と第二層を有し、前記可動櫛歯と前記ストッパーは前記第一層から構成され、前記固定櫛歯は前記第二層から構成され、前記絶縁部は前記絶縁層から構成されている、請求項2に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項1】
可動板と、
前記可動板を回転軸の回りに傾斜可能に支持する一対の弾性部材と、
前記弾性部材が接続された固定部と、
前記可動板に設けられた複数の導電性の可動櫛歯と、
前記固定部に設けられた複数の導電性の固定櫛歯と、
前記可動櫛歯と前記固定櫛歯の接触を防止する複数の導電性のストッパーを有し、
前記ストッパーと前記可動櫛歯は同電位にある、櫛歯型アクチュエータ。
【請求項2】
前記ストッパーと前記可動櫛歯は電気的に接続されており、前記固定櫛歯と前記ストッパーは絶縁部を介して機械的に接続されている、請求項1に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項3】
前記可動櫛歯は前記ストッパーの間に配置されており、前記ストッパーは少なくとも、前記固定櫛歯よりも前記回転軸に平行な方向の寸法が大きく、かつ前記可動櫛歯に対向している部分を有している、請求項2に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項4】
前記ストッパーと前記固定櫛歯は長さが同じであり、前記ストッパーの前記回転軸に平行な方向の寸法は一定である、請求項3に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項5】
前記ストッパーと前記固定櫛歯は長さが同じであり、前記ストッパーと前記固定櫛歯と前記可動櫛歯はいずれも先端に近付くにつれて前記回転軸に平行な方向の寸法が小さくなっており、非傾斜状態の前記可動板の面の法線方向に平行かつ前記回転軸に平行な同一断面において、前記ストッパーは前記固定櫛歯よりも前記回転軸に平行な方向の寸法が大きい、請求項3に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項6】
前記ストッパーと前記固定櫛歯は長さが同じであり、前記ストッパーの前記回転軸に平行な方向の寸法は部分的に異なっている、請求項3に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項7】
前記ストッパーは前記固定櫛歯と長さが異なっている、請求項3に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【請求項8】
前記櫛歯型アクチュエータは、絶縁層を介して積層された導電性材料で構成された第一層と第二層を有し、前記可動櫛歯と前記ストッパーは前記第一層から構成され、前記固定櫛歯は前記第二層から構成され、前記絶縁部は前記絶縁層から構成されている、請求項2に記載の櫛歯型アクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−78206(P2013−78206A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216626(P2011−216626)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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