説明

欠陥強調・欠陥検出の方法および装置、プログラム

【課題】表示応答ばらつきなどを動的(過渡的)に検知することで欠陥の検出を行う欠陥検出方法、欠陥検出装置、および欠陥検出プログラムを提供すること。
【解決手段】液晶パネルの表示領域全体の表示を切り替える際に要する表示切替時間を時分割して複数の検査画像F〜F13を取得し、これらの検査画像F〜F13に対して、略球状の三次元空間的フィルタ処理を行うことで、各画素間における応答のばらつきなどの過渡的に変化する欠陥の検出が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等の表示デバイスやその応用製品であるプロジェクタ等の製造における検査工程等の各種製品の表示外観検査工程において、表示画像の各画素の応答ばらつきによる表示異常の検出を行うための技術である。
【背景技術】
【0002】
表示体の表示異常(欠陥)を検出する方法としては、表示体の画像領域における形成画像や表示体の画像領域が投影された投影画像を撮像し、この検査画像を目視で確認したり画像処理することによって行っていた。このような欠陥検出方法として、検査画像の各画素を対象にフィルタ設定を行い、このフィルタ処理により欠陥を強調して得られた欠陥強調値に基づいて欠陥か否かを判定する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
一方、表示体に入力する電気信号値と撮像した検査画像との間で比較処理を行い、欠陥を検出する方法(特許文献2)も知られている。ただしこの方法では、各画素の透過率が同時に変化するような場合、比較検出することが困難であるため、判定精度が低下していた。
【0003】
【特許文献1】特開平9−274163号公報
【特許文献2】特開2006−84496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の欠陥検査方法はいずれも、主として静的な欠陥を対象とするものであるが、例えば液晶パネルの各液晶セルの電気特性のバラツキなどに起因して、画面表示を全黒状態から全白状態に切り換えた際に液晶セル間の応答がばらつく場合がある。このような欠陥は、各液晶セルの電気特性を検出したとしてもその検出が困難であり、このような応答のばらつきなどの欠陥検出を行うには、従来の静止画像における欠陥検出では限界があった。すなわち、このような欠陥は、極めて低コントラストであることが多いため検出が難しく、動的(過渡的)に検知してはじめて検出可能となるものと考えられる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、表示応答ばらつきなどを動的(過渡的)に検知することで欠陥の検出を行う欠陥検出方法、欠陥検出装置、および欠陥検出プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の欠陥強調方法は、表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調方法であって、前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像工程と、前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択工程と、前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ2つ以上選択する前後画像選択工程と、前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択工程と、前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定工程と、前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、前記検査対象画素の輝度値と各セットの2つの比較画素の平均輝度値との差分を求め、各セットの差分のうち、その絶対値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、表示を切り替える際に要する表示切替時間を時分割して複数の検査画像を取得し、これらの検査画像に対して、三次元空間的にフィルタ処理を行うことで、表示体の表示画像の各画素間における応答のばらつきなどの過渡的に変化する欠陥の検出が可能となる。すなわち、各検査画像から順次選択する検査対象画像からさらに選択した画素(検査対象画素)を中心としてこの画素と輝度値を比較する複数の比較画素が略球状に並ぶようにフィルタ設定を行う。なお、球の直径は、検査対象画素が含まれる検査対象画像に検査対象画素を中心に略円形環状に配置された各比較画素が構成する直径にほぼ相当する。このような略球状フィルタ処理を各検査画像それぞれにおいて順次選択した各画素毎に行うことにより、この略球状フィルタの内側空間の範囲で輝度差を生じている欠陥を検出可能となる。具体的には、検査対象画素上に欠陥が有り、各比較画素上には欠陥が無い場合に欠陥強調値が大きくなるので、欠陥を検出できる。
【0008】
ここで、本発明では、比較画素を検査対象画素を挟んで点対称に配置されたもの同士でセットとし、各セットの比較画素の平均輝度と検査対象画素の輝度とを比較しているので、表示体に照射される光束の照明ムラやレンズ等による画像の周辺光量の低下等に起因するシェーディングの影響を軽減でき、欠陥をより高精度に検出することができる。すなわち、シェーディングの影響によって、セットの2つの比較画素の一方は輝度値が高くなり、他方は小さくなることが多い。従って、これらの2つの比較画素の平均輝度値を求めることでシェーディングの影響を平滑化でき、シェーディングによるノイズによって誤検出となることを回避できる。
なお、本発明では、各セットの平均輝度値と対象画素の輝度値とのそれぞれの差分のうち絶対値が最小の値を欠陥強調値としているので、周囲よりも明るい明欠陥、周囲よりも暗い暗欠陥の両方を検出可能となる。このように求めた欠陥強調値から、明欠陥を検出する場合は明欠陥用の閾値を適用し、暗欠陥を検出する場合は暗欠陥用の閾値を適用することで、欠陥強調結果に基づく欠陥の判定が可能となる。
なお、前後画像として、各検査画像のうち検査対象画像の前後それぞれ2枚ずつを選択し、検査対象画像を含めて合計5枚の検査画像にフィルタを適用することにより、欠陥検出の処理時間と検出精度とを両立できる。
【0009】
本発明の欠陥強調方法は、表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調方法であって、前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像工程と、前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択工程と、前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ2つ以上選択する前後画像選択工程と、前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択工程と、前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定工程と、前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、前記検査対象画素の輝度値から各セットの2つの比較画素の平均輝度値を引いた際の差分を求め、各セットの差分のうち、値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、時系列の複数の検査画像のそれぞれにおける各画素に略球状の三次元空間的フィルタ処理を行うことで、前述と同様にこの略球状フィルタの内側空間の範囲で輝度差を生じている欠陥を検出可能となり、表示画像の各画素間における応答のばらつきなどの過渡的に変化する欠陥の検出が可能となる。
また、各セットの比較画素の平均輝度と検査対象画素の輝度とを比較しているので、シェーディングの影響を軽減でき、シェーディングによるノイズによって誤検出となることを回避できる。
なお、本発明では、検査対象画素の輝度値から各セットの平均輝度値をそれぞれ引いた際の差分のうち最小値を欠陥強調値としているので、周囲よりも明るい明欠陥を検出可能となる。このように輝度の各差分を求めることで、明欠陥を良好に強調できるから、明欠陥の検出精度を向上させることができる。
【0011】
本発明の欠陥強調方法は、表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調方法であって、前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像工程と、前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択工程と、前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ2つ以上選択する前後画像選択工程と、前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択工程と、前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定工程と、前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、各セットの2つの比較画素の平均輝度値から前記検査対象画素の輝度値を引いた際の差分を求め、各セットの差分のうち、値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、時系列の複数の検査画像のそれぞれにおける各画素に略球状の三次元空間的フィルタ処理を行うことで、前述と同様にこの略球状フィルタの内側空間の範囲で輝度差を生じている欠陥を検出可能となり、表示画像の各画素間における応答のばらつきなどの過渡的に変化する欠陥の検出が可能となる。
また、各セットの比較画素の平均輝度と検査対象画素の輝度とを比較しているので、シェーディングの影響を軽減でき、シェーディングによるノイズによって誤検出となることを回避できる。
なお、本発明では、各セットの平均輝度値からそれぞれ検査対象画素の輝度値を引いた際の差分のうち最小値を欠陥強調値としているので、周囲よりも暗い暗欠陥を検出可能となる。このように輝度の各差分を求めることで、暗欠陥を良好に強調できるから、暗欠陥の検出精度を向上させることができる。
【0013】
本発明の欠陥強調方法は、表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調方法であって、前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像工程と、前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択工程と、前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ2つ以上選択する前後画像選択工程と、前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択工程と、前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定工程と、前記選択した検査対象画素の輝度値と前記各比較画素の輝度値との各差分を求め、これらの差分のうち絶対値が最小となるものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、時系列の複数の検査画像のそれぞれにおける各画素に略球状の三次元空間的フィルタ処理を行うことで、前述と同様にこの略球状フィルタの内側空間の範囲で輝度差を生じている欠陥を検出可能となり、表示画像の各画素間における応答のばらつきなどの過渡的に変化する欠陥の検出が可能となる。
ここで、前記の各発明とは異なり、比較画素をセットに分けずに、各比較画素のそれぞれと検査対象画素との輝度差に基づいて欠陥強調値を求めているため、各比較画素の輝度値のうち絶対値が最小となる値と検査対象画素の輝度値とを比較することで欠陥強調値を求めることが可能となり、計算コストを節減できる。これにより、検査時間を短縮できる。
なお、本発明では、各セットの平均輝度値のそれぞれと対象画素の輝度値との各差分のうち絶対値が最小の値を欠陥強調値としているので、周囲よりも明るい明欠陥、周囲よりも暗い暗欠陥の両方を検出可能となる。このように求めた欠陥強調値から、明欠陥を検出する場合は明欠陥用の閾値を適用し、暗欠陥を検出する場合は暗欠陥用の閾値を適用することで、欠陥強調結果に基づく欠陥の判定が可能となる。
なお、前述の発明と同様に、検査対象画素の輝度値から各セットの平均輝度値をそれぞれ引いた際の各差分のうち最小値を欠陥強調値とすれば、周囲よりも明るい暗欠陥を検出可能となり、各セットの平均輝度値からそれぞれ検査対象画素の輝度値を引いた際の各差分のうち最小値を欠陥強調値とすれば、周囲よりも暗い暗欠陥を検出可能となる。このように明欠陥、暗欠陥毎に輝度差を求めることで、明欠陥、暗欠陥のそれぞれを良好に強調できるから、欠陥の検出精度を向上させることができる。
【0015】
前述した各発明における欠陥強調方法では、前記撮像工程では、前記表示切替時間の前後それぞれの定常状態における表示画像をも撮像することが好ましい。
【0016】
この発明によれば、表示切替時間における検査画像に加えて、表示切替の前後それぞれの定常状態を示す検査画像を取得し、これら定常状態の検査画像を含めて各検査画像を時系列に配置した状態でフィルタ処理をすることにより、表示切替の瞬間や、表示状態がほぼ飽和した状態における過渡的な欠陥をも強調できる。このように、定常状態の検査画像と表示切替中の検査画像とを前記したフィルタにより横断的に比べることで、欠陥の検出精度を向上させることができる。
【0017】
前述した各発明における欠陥強調方法では、液晶パネルを検査対象である前記表示体とし、前記液晶パネルの液晶セルにおいて保持電荷が最大の状態から無電荷状態となるまでの時間に応じて前記表示切替時間を決めることが好ましい。
【0018】
この発明によれば、各液晶セルの電荷保持容量に応じた最大の電荷が液晶セルに保持されているオン状態(例えば全黒画像)からオフ状態(例えば全白画像)となるまでの時間に応じて各検査画像の撮像タイミングを設定するので、表示切替の際に生じ得る過渡的な欠陥を確実に捉えることができる。
【0019】
次に、本発明の第1の欠陥検出方法は、前述した各発明に係る欠陥強調方法による欠陥強調工程と、前記各検査画像毎に、前記欠陥強調値が所定の閾値を超える画素をカウントし、このカウントした数と前記表示切替時間の始期からの経過時間とに基づいて欠陥か否かを判定する欠陥判定工程と、を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明は、前述した欠陥強調方法による工程で得られた欠陥強調値を用いて欠陥を判定する。
この発明によれば、時系列で取得された各検査画像毎に、当該画像を構成する各画素のうちその欠陥強調値が所定の閾値を超える画素をカウントし、このカウント数に当該画像が取得された経過時間を加味して欠陥か否かを判定するので、時間経過により変わる表示特性等に応じた適切な欠陥判定が可能となる。
【0021】
また、本発明の第2の欠陥検出方法は、前記表示切替時間の始期からの時間経過に伴って値が減少する減衰曲線閾値を仮定し、前記各検査画像毎に、前記欠陥強調値が所定の閾値を超える画素をカウントし、このカウントした数が前記減衰曲線閾値の値を超えた際に欠陥と判定する欠陥判定工程を備えることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、例えば液晶の電荷放出特性等に応じて減衰曲線を設定することで、その表示体の特性に応じた適切な欠陥判定が可能となる。
【0023】
本発明の欠陥強調装置は、表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調装置であって、前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像手段と、前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択手段と、前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ1つ以上選択する前後画像選択手段と、前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択手段と、前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定手段と、前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、前記検査対象画素の輝度値と各セットの2つの比較画素の平均輝度値との差分を求め、各セットの差分のうち、その絶対値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明の欠陥強調装置は、表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調装置であって、前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像手段と、前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択手段と、前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ1つ以上選択する前後画像選択手段と、前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択手段と、前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定手段と、前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、前記検査対象画素の輝度値から各セットの2つの比較画素の平均輝度値を引いた際の差分を求め、各セットの差分のうち、値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備えることを特徴とする。
【0025】
本発明の欠陥強調装置は、表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調装置であって、前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像手段と、前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択手段と、前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ1つ以上選択する前後画像選択手段と、前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択手段と、前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定手段と、前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、各セットの2つの比較画素の平均輝度値から前記検査対象画素の輝度値を引いた際の差分を求め、各セットの差分のうち、値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備えることを特徴とする。
【0026】
本発明の欠陥強調装置は、表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調装置であって、前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像手段と、前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択手段と、前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ1つ以上選択する前後画像選択手段と、前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択手段と、前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定手段と、前記選択した検査対象画素の輝度値と前記各比較画素の輝度値との各差分を求め、これらの差分のうち絶対値が最小となるものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の欠陥検出装置は、前述の各発明に係る欠陥強調装置による欠陥強調手段と、各検査画像毎に、前記欠陥強調値が所定の閾値を超える画素をカウントし、このカウントした数と前記表示切替時間の始期からの経過時間とに基づいて欠陥か否かを判定する欠陥判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0028】
本発明の欠陥検出装置は、前述の各発明に係る欠陥強調装置による欠陥強調手段と、前記表示切替時間の始期からの時間経過に伴って値が減少する減衰曲線閾値を仮定し、前記各検査画像毎に、前記欠陥強調値が所定の閾値を超える画素をカウントし、このカウントした数が前記減衰曲線閾値の値を超えた際に欠陥と判定する欠陥判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0029】
これらの各欠陥検出装置においても、前記欠陥検出方法と同様の作用効果を奏することができる。
【0030】
本発明のプログラムは、前述の各欠陥強調方法または各欠陥検出方法のいずれかをコンピュータ装置により実行可能に構成されたことを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、前述の欠陥強調方法または欠陥検出方法のいずれかを実行可能なため、前述と略同様の作用および効果を享受できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
〔1.欠陥検出装置の全体構成〕
図1は、欠陥検出装置1の構成を示す図である。
欠陥検出装置1は、検査対象である画像表示デバイスとしての液晶パネル10の表示外観検査を行い液晶パネル10の表示欠陥を検出する装置である。この欠陥検出装置1は、図1に示すように、光学系2と、スクリーン3と、撮像装置としてのCCDカメラ4と、パネル制御装置5と、制御装置6とを備える。
【0033】
ここで、検査対象となる液晶パネル10は、透過型の液晶パネルであり、例えば、TFT基板と対向基板との間に液晶分子が密閉封入された構成を有し、光学系2からの光束を透過させる画像表示部11と、この画像表示部11の外周を囲んで設けられ光束を透過させない外周フレーム部12とを有して構成されている。そして、液晶パネル10は、例えば、欠陥検出装置1内のパネル設置部(図示略)に設置した状態でパネル制御装置5と電気的に接続し、パネル制御装置5によりTFT基板と対向基板との間に所定の電圧値(0Vも含む)の電圧が印加されることで液晶分子の配設状態を変化させ、入射光束を透過若しくは遮断することにより所定の光学像を形成する。なお、本実施形態の液晶パネル10は、電圧を印加しない(電圧値が0V)状態において、入射光束を全て透過して白表示を実施するノーマリーホワイトとされている。なお、液晶パネル10は、電圧を印加しない状態において入射光束を遮断して黒表示を実施するノーマリーブラックであっても構わない。
【0034】
光学系2は、光源から射出された光束を液晶パネル10に照射し、液晶パネル10を介した光束をスクリーン3に向けて拡大投射する光学系である。この光学系2は、図1に示すように、光源装置21と、光源装置21から射出された光束を集光して液晶パネル10に照射する集光レンズ22と、液晶パネル10にて形成された光学像をスクリーン3に向けて拡大投射する投射レンズ23とを備える。
これらのうち、光源装置21は、具体的な図示は省略するが、放電発光を実施する光源ランプと、光源ランプから射出された光束を反射するリフレクタとを備える。そして、光源ランプから放射された光束は、リフレクタにて集光レンズ22に向けて射出される。
なお、光源装置21としては、放電発光型の光源装置に限らず、LED(Light Emitting Diode)素子、レーザダイオード、有機EL(Electro Luminescence)素子、シリコン発光素子等の各種固体発光素子を採用してもよい。
【0035】
スクリーン3は、投射レンズ23により拡大投射された光学像(表示画像)を反射して投影する反射型スクリーンとして構成されている。なお、スクリーン3としては、反射型スクリーンに限らず、入射した光学像を透過して投影する透過型スクリーンとして構成してもよい。
【0036】
CCDカメラ4は、制御装置6による制御の下、スクリーン3の投射面を撮像し、撮像した画像に応じた信号を制御装置6に出力する。このCCDカメラ4は、具体的な図示は省略するが、エリアセンサであるCCDと、光束を集光してCCDに照射する集光レンズと、制御装置6による制御の下、CCDによる入射光束の受光時間を変更可能とするシャッター等を備える。
なお、CCDカメラ4のCCDは、液晶パネル10の解像度以上の解像度を有しているものが好ましい。
パネル制御装置5は、制御装置6による制御の下、液晶パネル10に所定の電圧値の電圧を印加し、液晶パネル10に所定の光学像を形成させる。
【0037】
〔2.制御装置の構成〕
図2は、制御装置6の概略構成を示すブロック図である。
制御装置6は、例えば、所定のプログラムを読み込んで実行するCPU(Central Processing Unit)等を備えたコンピュータで構成され、欠陥検出装置1全体を制御する。この制御装置6は、図2に示すように、制御部6Aと、メモリ6Bとを備える。
制御部6Aは、メモリ6Bに記憶された制御プログラムにしたがって所定の処理(欠陥検出処理)を実行する部分であり、画像表示制御手段61と、画像データ取得手段62と、領域抽出手段63と、欠陥強調手段64と、欠陥判定手段65とを備えて構成されている。
【0038】
画像表示制御手段61は、所定の電圧値で液晶パネル10を駆動させるための所定の制御信号をパネル制御装置5に出力する。なお、パネル制御装置5は、画像表示制御手段61から出力された制御信号にしたがって、検査用電圧値で液晶パネル10を駆動し、液晶パネル10に検査画像を形成させる。
【0039】
画像データ取得手段62は、液晶パネル10によって検査画像が形成されている際に、所定の制御信号を出力してCCDカメラ4にスクリーン3の投射面(検査画像を含む)を撮像させる。また、画像データ取得手段62は、CCDカメラ4から出力される電気信号を入力してコンピュータにて読取可能な信号(デジタル信号)に変換し、画素毎に画素値(輝度値)に関する情報を含んだ検査画像データ(撮像画像データ)を取得する。そして、画像データ取得手段62は、取得した検査画像データをメモリ6Bに記憶させる。
取得した検査画像データは、液晶パネル10の画像表示部11に対応する検査対象部と、液晶パネル10の外周フレーム部12に対応する検査非対象部とが含まれた画像データとして記憶されている。
【0040】
領域抽出手段63は、メモリ6Bに予め格納しておいた領域抽出用の画像を用いて、画像データ取得手段62で取得された撮像画像から領域の抽出を行う。本実施形態では、この領域抽出手段63により抽出された領域からなる画像を対象にして検査を行う。
なお、領域抽出用の画像は、液晶パネル10の画像表示部11の最外周部を点灯させた状態で撮像した画像であり、領域抽出手段63は、この最外周撮像画像を用いて特開2005−266042号公報に記載された領域通出処理と同様の処理を行う。この処理の概略としては、最外周撮像画像の四隅の座標値を画像データ取得手段62による取得画像の四隅の座標値として設定し、この取得画像の四隅の座標値と所定の方形領域の四隅の座標値とが一致するように二次元射影変換を行い投影させることによって四隅および辺が歪曲補正された検査画像を生成する。そして、この四隅および辺が歪曲補正された検査画像を画像変換処理により所望の大きさの方形領域まで投影させることにより、収差を除去した検査画像を生成する。
【0041】
欠陥強調手段64は、検査対象画像選択手段641と、前後画像選択手段642と、画素選択手段643と、比較画素設定手段644と、欠陥強調値算出手段645とを有して構成されている。
この欠陥強調手段64は、前述の手段61〜63によって得られた複数の検査画像に対して所定のフィルタ処理を行うことにより、欠陥を強調する。
図3、図4は、本実施形態で使用される欠陥強調フィルタの構成を示す。後述するように、本実施形態では液晶パネル10を全黒表示から全白表示へと切り替える際に液晶パネル10の投影画像を複数回撮像し、前述の手段61〜63によって複数の検査画像を得ており、時系列的に得られた各検査画像に対してフィルタ設定を行っている。
【0042】
図3のように、本実施形態では、(A)〜(E)の5つのフィルタによりフィルタ設定を行っている。図3(C)のフィルタは複数の検査画像から選択した1つの検査画像に適用され、この(C)が適用される画像の時系列的に前段となる2枚の検査画像のそれぞれに対して(A)、および(B)が適用され、(C)が適用された画像の時系列的に後段となる2枚の検査画像のそれぞれに対して(D)、および(E)が適用される。
なお、(C)のフィルタを適用する検査画像は検査対象画像選択手段641によって選択され、(A)、(B)、(D)、(E)の各フィルタをそれぞれ適用する検査画像は前後画像選択手段642によって選択される。
【0043】
ここで、(C)のフィルタの中央の検査対象画素Oは、検査対象画像選択手段641により選択された検査画像の各画素から順次、画素選択手段643によって選択される。
また、各比較画素S0〜S45は、検査対象画像選択手段641および前後画像選択手段642によって選択された各検査画像の画素から、比較画素設定手段644により、検査対象画素Oから所定距離離れた位置にそれぞれ設定される。
すなわち、図3(A)〜(E)のフィルタによって、図4に示すように、(C)のフィルタの検査対象画素Oを中心とする三次元空間的なフィルタが構成されている。中央のフィルタ(C)が適用される画像と、フィルタ(A)、(E)がそれぞれ適用される各画像との間の距離は、図3(C)において検査対象画素Oと比較画素S17〜S28のそれぞれとの間の距離とほぼ等しく、図3(A)〜(E)の5つのフィルタが適用されるそれぞれの検査画像に跨って、距離Dを半径とする略球状のフィルタが設定されている。
【0044】
なお、本実施形態では5つのフィルタにより欠陥強調フィルタが構成されているが、例えば(C)のフィルタが適用される検査画像からフィルタ(A)、(E)がそれぞれ適用される検査画像とのそれぞれの間に2つ以上のフィルタが介在してもよい。すなわち、欠陥強調フィルタは、擬似的な球断面をそれぞれ表す任意の枚数のフィルタによって構成されていればよい。
図5、図6はそれぞれ、この略球状に設定される各フィルタの概念図である。
【0045】
各比較画素S1〜S45は、各フィルタ(A)〜(E)において検査対象画素Oを中心に点対称に配置されている。例えば、図3に示すように、(C)のフィルタの各比較画素S17〜S28は、検査対象画素Oを挟んで(C)の平面内で点対称に配置されている。また、(A)のフィルタの比較画素S0〜S8は、(E)のフィルタの比較画素S37〜S45とそれぞれ点対称に配置されている。さらに、(B)のフィルタの比較画素S0〜S8は、(D)のフィルタの比較画素S37〜S45とそれぞれ点対称に配置されている。
【0046】
このような欠陥強調フィルタは、検査対象画素と比較画素との輝度値の比較により、明欠陥および暗欠陥をそれぞれ強調する。ここで、本実施形態では、各比較画素S0〜S45をそれぞれ点対称に配置されたもの同士で各セットに分け、各セットの比較画素の平均輝度値と検査対象画素Oの輝度値との差分に基づいて、検査対象画素Oにおける欠陥強調値を算出する。
すなわち、欠陥強調値算出手段645により、下記の(式1)を計算し、検査対象画素の輝度値Oと各セットの比較画素の平均輝度値との差分T〜T22を求める。本実施形態では、明欠陥と暗欠陥との両方を同時に強調するので、下記の(式1)とは逆に、各セットの比較画素の平均輝度値から検査対象画素の輝度値Oを引いた際の差分を求めても良い。
【0047】
【数1】

【0048】
この(式1)を計算したら、下記の(式2)により、上記の差分T〜T22のうち絶対値で最小となる値をその検査対象画素Oにおける欠陥強調値Koとする。
【0049】
【数2】

【0050】
欠陥判定手段65は、欠陥強調手段64によって得られた欠陥強調値が所定の閾値を超える画素を検査画像毎にカウントする手段を有して構成されている。このカウント数に基づいて、欠陥の判定を行う。なお、欠陥判定手段65が参照する閾値としては、後述するように、画素毎の欠陥強調値と比較される所定の閾値と、減衰曲線閾値とがある。
【0051】
〔3.欠陥検出装置による欠陥検出方法〕
次に、本実施形態における表示異常検査の処理方法(欠陥検出方法)について説明する。
図8は、本実施形態の表示異常検査の各工程を示す。制御部6A(図2)の画像表示制御手段61および画像データ取得手段62により、検査画像取得工程ST1(STはステップの略。以下同様)を実施し、領域抽出手段63により領域抽出処理工程ST2を実施する。そして、欠陥強調手段64により欠陥強調処理工程ST3を実施し、欠陥判定手段65により欠陥判定を行うことで、表示異常検査が行われる。
【0052】
〔3−1.検査画像取得工程〕
図9は、検査画像取得工程ST1の詳細工程を示す。検査画像取得工程ST1では、液晶パネル10の表示を全黒画像から全白画像へと切替え、その表示切替の過渡状態を含む複数の検査画像を取得する。先ず、検査画像の取得回数および撮像するタイミングを検査対象とする液晶パネル10の特性などに応じて設定する(ST11)。
ここで、検査画像の取得回数とは液晶パネル10が全黒画像とされた電圧ONの状態から電圧OFFの状態とし、表示が完全に切り替わるまでの過渡状態中(表示切替時間TM)に何回撮像するかをいい、すなわち、液晶パネル10を検査対象とする本実施形態では、液晶パネル10に印加する電圧をOFFの状態としてから、各液晶画素セルにおける電荷がなくなるまでに何回撮像するかをいう。本実施形態では、1秒間の過渡状態中に、0.1秒毎に10回撮像することとする。また、本実施形態では、過渡状態の前後それぞれにおいて2回ずつ撮像することにより、定常状態を示す検査画像も取得する。
【0053】
検査画像取得工程ST1では具体的に、液晶パネル10の液晶セルをすべてON状態として全黒画像とし、この状態で、表示切替前の定常状態を示す2枚の検査画像を取得する(ST13)。
次いで、液晶パネル10の液晶セルをすべてOFF状態として全白画像への表示切替を開始し(ST14)、この表示切替開始からの過渡状態における検査画像を前記工程S11での設定に応じて10枚取得する(ST15)。この10枚取得する間に、液晶パネル10の表示画像は全白画像に切り替わり、この表示切替後の定常状態を示す2枚の検査画像を取得する(ST16)。これにより、合計14枚の検査画像が取得される。以上のように、各検査画像の撮像工程を実施する。
〔3−2.領域抽出処理工程〕
これら14枚の検査画像のそれぞれについて、次の領域抽出処理工程ST2(図8)において領域抽出処理を実施する。
【0054】
〔3−3.欠陥強調処理工程〕
次いで、領域抽出処理を経た各検査画像のそれぞれについて、欠陥強調処理を行う(ST3)。
図10は、以上の工程ST1,ST2により取得された各検査画像F〜F13を時系列に配置した状態を示す。これらの各検査画像、すなわち表示切替前の定常状態を示す検査画像FおよびF、過渡状態における検査画像F〜F11、および表示切替後の定常状態を示す検査画像F12およびF13のそれぞれに対して、図3に示したフィルタを適用する。
【0055】
この欠陥強調処理では先ず、検査対象画像選択手段641によって検査画像Fを選択するとともに、前後画像選択手段642により、検査画像F、F、F、Fを選択し、図10に示すように、検査画像Fに対しフィルタ1(図3(A))を、検査画像Fに対しフィルタ2(図3(B))を、検査画像Fに対しフィルタ3(図3(C))を、検査画像Fに対しフィルタ4(図3(D))を、検査画像Fに対しフィルタ5(図3(E))をそれぞれ適用する。このとき、各検査画像F〜Fの同座標エリアをそれぞれ対象としてフィルタを適用する。
すなわち、画素選択手段643により、検査画像Fから選択した画素が検査対象画素Oとして設定されるとともに、この検査対象画素Oの周囲に、比較画素設定手段644により、各比較画素S0〜S45がそれぞれ設定される。
【0056】
そして、これらのフィルタ1〜5による処理は、欠陥強調値算出手段645により、前述した(式1)および(式2)を計算することで行う。これによって検査対象画素Oにおける欠陥強調値Koが算出される。この欠陥強調処理は、検査画像Fにおいて検査対象画素Oを1画素ずつ順次移動した位置に設定して処理を繰り返すことで、検査画像Fにおける全画素についてそれぞれ実施する。このように順次選択される検査画像Fの各画素に対応して比較画素S0〜S45をそれぞれ設定することで、検査画像F、F、F、Fのすべての画素が検査画像Fの画素と比較される。このようにして検査画像Fの画素毎に算出された欠陥強調値は、メモリ6Bに強調結果画像データとして格納される。
【0057】
図11は、上記のように検査画像F〜Fにそれぞれフィルタを適用した際の検査画像Fに係る強調結果画像1を示す。図11の検査画像F〜Fの各画素にそれぞれ示した数値は、輝度値の一例である。この例では、強調結果画像1に示すように、検査画像Fの一部の画素における欠陥強調値が「0」ではなく、欠陥候補として強調されている。
図12は、本実施形態の欠陥強調フィルタ(図3)により形成される略球状の三次元空間を示す。本実施形態の欠陥強調フィルタにより、この略球状の範囲に存在する欠陥100を強調することが可能となる。
図13は、図12に示した欠陥100のように過渡的に生じている欠陥の例を示す。すなわち、電圧ON状態から電圧OFFとして全画素の表示切替を行う際、一部の画素で応答が遅れ、画素間の応答速度にばらつきが生じている。このような過渡的な欠陥が検査対象画素Oを含み、欠陥強調フィルタの内部空間に収まっている場合に、その検査対象画素Oの欠陥強調値は「0」以外の値となる。
【0058】
以上説明した検査画像Fに係る欠陥強調処理と同様の欠陥強調処理を各検査画像に順次適用することで、各検査画像F〜F11のそれぞれに係る強調結果画像を取得する。
すなわち、検査対象画像選択手段641により、検査画像F〜F11を順次選択し、これに伴い、選択した検査画像の前後2つの検査画像を前後画像選択手段642によって選択していくことで、図14に示すように、5枚を一組とする各検査画像にそれぞれフィルタ(図3)が適用され、これら5枚の検査画像のうち検査対象画素Oが設定され時系列で中心となる検査画像に係る強調結果画像が順次取得される。
【0059】
〔3−4.欠陥判定工程〕
以上の欠陥強調処理工程ST3で得られた強調結果に基づいて、欠陥判定工程ST4(図8)を行う。この工程ST4では、欠陥判定手段65(図2)によって適宜な閾値が設定され、この閾値により、強調結果画像における欠陥候補から欠陥と判定するものが抽出される。
すなわち、欠陥判定手段65は、各検査画像F〜F11のそれぞれの強調結果画像毎に所定の閾値を適用し、この閾値を超える欠陥強調値とされた画素をカウントする。なお、この所定の閾値は、検査画像の状況に合わせて最適な値が設定され、例えば、欠陥強調値(輝度値)の平均値avrと、その標準偏差σを求め、以下の式3で設定してもよい。
【0060】
欠陥閾値 wslevel=avr+α・σ+β ・・・(式3)
【0061】
下記の表1は、各検査画像F〜F11の強調結果から(式3)の欠陥閾値により抽出された画素数(Cnt1〜Cnt10)を示す。
【0062】
【表1】

【0063】
そして、表1に示したカウント数Cnt1〜Cnt10と、検査画像F〜F11のそれぞれの取得時における表示切替開始時からの経過時間とに基いて、表示異常(欠陥)の判定を行う。
すなわち、図7の減衰曲線閾値により、各検査画像F〜F11のそれぞれの強調結果画像から得られたカウント数Cnt1〜Cnt10を評価する。つまり、カウント数がこの減衰曲線閾値の値を超えた際に、欠陥と判定する。
【0064】
〔4.本実施形態による効果〕
本実施形態によれば、次のような効果がある。
液晶パネル10の表示を切り替える際に要する表示切替時間TM(図9)を時分割して複数の検査画像F〜F13を取得し、これらの検査画像F〜F13に対して、三次元空間的にフィルタ処理を行うことで、各画素間における応答のばらつきなどの過渡的に変化する欠陥100の検出が可能となる。
【0065】
また、比較画素S0〜S45を検査対象画素Oを挟んで点対称に配置されたもの同士でセットとし、各セットの比較画素S0〜S45の平均輝度と検査対象画素Oの輝度とを比較しているので、シェーディングの影響を軽減でき、欠陥をより高精度に検出することができる。2つの比較画素の平均輝度値を求めることでシェーディングの影響を平滑化でき、シェーディングによるノイズによって誤検出となることを回避できる。
【0066】
〔本発明の他の実施形態〕
以下、本発明の他の実施態様および変形例を示す。
前記実施形態では、明欠陥の強調処理と、暗欠陥の強調処理との両方を行っていたが、明欠陥および暗欠陥をそれぞれ別々に強調することで、検出精度を向上させることができる。すなわち、明欠陥を強調する際には、前記(式1)のように各差分T〜T22を求め、これらの差分T〜T22のうち最小値を欠陥強調値として算出する。また、暗欠陥を強調する際には、前記(式1)とは減算向きを逆にして、比較画素の輝度値から検査対象画素の輝度値を引くことで各差分T〜T22を求め、これらの差分T〜T22のうち最小値を欠陥強調値として算出する。つまり、このように明欠陥、暗欠陥をそれぞれ別々に強調する場合は、検査画像F〜F11毎に、明欠陥の強調結果画像と暗欠陥の強調結果画像とがそれぞれ生成される。
そして、欠陥判定工程において、明欠陥用に設定された閾値を超える欠陥強調値とされた画素数をカウントし、また、暗欠陥用に設定された閾値を超える欠陥強調値とされた画素数をカウントし、これらのカウント数を図7の閾値などで評価すれば、明欠陥、暗欠陥をそれぞれ高精度に検出できる。
【0067】
なお、明欠陥、暗欠陥のいずれかのみ検出すればよい場合には、明欠陥または暗欠陥のいずれか一方の欠陥強調値のみを算出し、かつ、前記(式3)のような閾値を適用する欠陥候補抽出処理についても明欠陥、暗欠陥のいずれかについてのみ、行えば良い。
【0068】
また、前記実施形態では、前記の(式1)のように各セットの比較画素の平均輝度値と検査対象画素の輝度値との差分に基づいて欠陥強調値を算出していたが、これに限らず、例えば次の(式4)によって各差分T〜T44を求め、これらの差分T〜T44のうち絶対値で最小となる値を欠陥強調値とする処理を行っても良い。なお、明欠陥、暗欠陥を個別に強調する場合は、(式4)と同様に差分T〜T44を求めてこれらT〜T44のうち最小値を明欠陥の欠陥強調値とするとともに、(式4)とは減算向きを逆にして差分T〜T44を求めてこれらT〜T44のうち最小値を暗欠陥の欠陥強調値とすればよい。
【0069】
(式4)
=O−S1
=O−S2



44=O−S45
【0070】
さらに、前記(式3)のような閾値により抽出された画素のカウント数に適用される閾値としては、図7のような経過時間に応じて値が減少する減衰曲線閾値に限らず、図15のような二値化された閾値を使用し、経過時間に関わらず、所定のカウント数を超える場合に欠陥と判定しても問題ない。
【0071】
ここで、前記実施形態では連続撮影した静止画像としての検査画像F〜F13を使用したが、これに限らず、本発明は動画像(1フレームごと)に対しても適用することができる。
また、前記実施形態では液晶パネル10の表示を全黒画像から全白画像へと階調変化させる例を示したが、これに限らず、全白画像から全黒画像や、全黒画像から全白画像を経て全黒画像、及び全白画像から全黒画像を経て全白画像へとそれぞれ階調変化する最中の画像を取得し、これらの検査画像に基づいて検査を行っても良い。
なお、前記実施形態では検査対象画像に加えて時系列で前後2枚ずつ、合計5枚の検査画像において3次元空間を仮定し略球状のフィルタを設定していたが、検査対象画像に加えて前後1枚ずつ、合計3枚の検査画像において3次元的なフィルタ設定を行い、これによって過渡的な欠陥を検出することも検討できる。
【0072】
前記実施形態では、液晶パネル10の表示画像をスクリーンに投影し、その投影画像をCCDカメラ4で撮影して検査していたが、これに限らず、液晶パネル10の画像領域に形成された表示画像を直接CCDカメラで撮影して検査を行ってもよい。この際、液晶パネル10の画像領域を照明する光源の位置は、液晶パネル10を挟んでCCDカメラの反対側の位置でも、CCDカメラ側に配置されて落射照明とされていてもよい。
【0073】
本発明における欠陥の検出対象としては、前記のようなTFT素子を用いた液晶パネル10に限られるものではなく、その他のダイオード素子等を用いた液晶パネルやプラズマディスプレイ、EL(electro-luminescence)ディスプレイ、DMD(Digital Micromirror Device)パネルなどの表示デバイス、ならびにそれらを使用した表示装置・製品の検査に利用することができるものであり、これらに使用した場合でも本発明の範囲から除外されるものでないことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態における欠陥検出装置の構成概略図。
【図2】前記実施形態の欠陥検出装置が備える制御装置の構成ブロック図。
【図3】前記実施形態の欠陥強調フィルタを示す図。
【図4】前記実施形態の欠陥強調フィルタを示す図。
【図5】前記実施形態の欠陥強調フィルタの概念図。
【図6】前記実施形態の欠陥強調フィルタの概念図。
【図7】前記実施形態の欠陥判定で用いる閾値を示すグラフ。
【図8】前記実施形態の欠陥検出工程を示すフローチャート。
【図9】前記実施形態の検査画像取得工程を示すフローチャート。
【図10】前記実施形態の欠陥強調工程を説明する図。
【図11】前記実施形態の欠陥強調処理により得られた強調結果画像の例を示す図。
【図12】前記実施形態の欠陥強調フィルタにより強調可能な欠陥の例を示す図。
【図13】前記実施形態の欠陥強調フィルタにより強調可能な欠陥の例を示す図。
【図14】前記実施形態の欠陥強調処理が各検査画像に対して繰り返されることを示す図。
【図15】欠陥判定で用いる閾値の他の例を示すグラフ。
【符号の説明】
【0075】
1・・・欠陥検出装置、4・・・CCDカメラ、10・・・液晶パネル(表示体)、64・・・欠陥強調手段、65・・・欠陥判定手段、100・・・欠陥、641・・・検査対象画像選択手段、642・・・前後画像選択手段、643・・・画素選択手段、644・・・比較画素設定手段、645・・・欠陥強調値算出手段、F〜F13・・・検査画像、O・・・検査対象画素、S0〜S45・・・比較画素、ST1・・・検査画像取得工程(撮像工程)、ST2・・・領域抽出処理工程、ST3・・・欠陥強調処理工程、ST4・・・欠陥判定工程、TM・・・表示切替時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調方法であって、
前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像工程と、
前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択工程と、
前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ2つ以上選択する前後画像選択工程と、
前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択工程と、
前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定工程と、
前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、
前記検査対象画素の輝度値と各セットの2つの比較画素の平均輝度値との差分を求め、各セットの差分のうち、その絶対値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備える
ことを特徴とする欠陥強調方法。
【請求項2】
表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調方法であって、
前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像工程と、
前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択工程と、
前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ2つ以上選択する前後画像選択工程と、
前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択工程と、
前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定工程と、
前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、
前記検査対象画素の輝度値から各セットの2つの比較画素の平均輝度値を引いた際の差分を求め、各セットの差分のうち、値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備える
ことを特徴とする欠陥強調方法。
【請求項3】
表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調方法であって、
前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像工程と、
前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択工程と、
前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ2つ以上選択する前後画像選択工程と、
前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択工程と、
前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定工程と、
前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、
各セットの2つの比較画素の平均輝度値から前記検査対象画素の輝度値を引いた際の差分を求め、各セットの差分のうち、値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備える
ことを特徴とする欠陥強調方法。
【請求項4】
表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調方法であって、
前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像工程と、
前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択工程と、
前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ2つ以上選択する前後画像選択工程と、
前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択工程と、
前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定工程と、
前記選択した検査対象画素の輝度値と前記各比較画素の輝度値との各差分を求め、これらの差分のうち絶対値が最小となるものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出工程、とを備える
ことを特徴とする欠陥強調方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の欠陥強調方法において、
前記撮像工程では、前記表示切替時間の前後それぞれの定常状態における表示画像をも撮像する
ことを特徴とする欠陥強調方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の欠陥強調方法において、
液晶パネルを検査対象である前記表示体とし、
前記液晶パネルの液晶セルにおいて保持電荷が最大の状態から無電荷状態となるまでの時間に応じて前記表示切替時間を決める
ことを特徴とする欠陥強調方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の欠陥強調方法による欠陥強調工程と、
各検査画像毎に、前記欠陥強調値が所定の閾値を超える画素をカウントし、このカウントした数と前記表示切替時間の始期からの経過時間とに基づいて欠陥か否かを判定する欠陥判定工程と、を備える
ことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の欠陥強調方法による欠陥強調工程と、
前記表示切替時間の始期からの時間経過に伴って値が減少する減衰曲線閾値を仮定し、
前記各検査画像毎に、前記欠陥強調値が所定の閾値を超える画素をカウントし、このカウントした数が前記減衰曲線閾値の値を超えた際に欠陥と判定する欠陥判定工程と、を備える
ことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項9】
表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調装置であって、
前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像手段と、
前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択手段と、
前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ1つ以上選択する前後画像選択手段と、
前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択手段と、
前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定手段と、
前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、
前記検査対象画素の輝度値と各セットの2つの比較画素の平均輝度値との差分を求め、各セットの差分のうち、その絶対値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段、とを備える
ことを特徴とする欠陥強調装置。
【請求項10】
表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調装置であって、
前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像手段と、
前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択手段と、
前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ1つ以上選択する前後画像選択手段と、
前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択手段と、
前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定手段と、
前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、
前記検査対象画素の輝度値から各セットの2つの比較画素の平均輝度値を引いた際の差分を求め、各セットの差分のうち、値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段、とを備える
ことを特徴とする欠陥強調装置。
【請求項11】
表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調装置であって、
前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像手段と、
前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択手段と、
前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ1つ以上選択する前後画像選択手段と、
前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択手段と、
前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定手段と、
前記各比較画素を、前記検査対象画素を挟んで点対称位置に配置された2つの比較画素毎のセットに分け、
各セットの2つの比較画素の平均輝度値から前記検査対象画素の輝度値を引いた際の差分を求め、各セットの差分のうち、値が最小のものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段、とを備える
ことを特徴とする欠陥強調装置。
【請求項12】
表示体による表示画像を撮像した検査画像に対して欠陥強調処理を行い、各画素毎に得られた欠陥強調値に基づいて欠陥を検出する欠陥強調装置であって、
前記表示体が表示可能な略最大の階調から略最小の階調へと表示を切り替える際に、この表示切替に必要な表示切替時間を設定し、かつ前記表示切替時間を時分割した所定のタイミングで前記表示体の表示画像を撮像して複数の検査画像を得る撮像手段と、
前記複数の検査画像から1つを順次選択する検査対象画像選択手段と、
前記選択した検査対象画像の時系列で前後となる各検査画像を前後それぞれ1つ以上選択する前後画像選択手段と、
前記選択した検査画像から検査対象画素を順次選択する画素選択手段と、
前記選択した検査対象画像において前記検査対象画素の周囲にこの検査対象画素からほぼ所定距離離れた複数の比較画素を設定するとともに、前記選択した検査対象画像および前記前後の各検査画像を前記検査対象画像を時系列的な中心として、時間軸が前記各画像のそれぞれの平面に対して直交するように並べた際に、前記検査対象画素を中心として前記検査対象画像および前記前後の検査画像に亘る略球状の空間を仮定し、前記前後の検査画像にもそれぞれ、前記検査対象画素から前記ほぼ所定距離離れた比較画素を設定する比較画素設定手段と、
前記選択した検査対象画素の輝度値と前記各比較画素の輝度値との各差分を求め、これらの差分のうち絶対値が最小となるものをその検査対象画素の前記欠陥強調値とする欠陥強調値算出手段、とを備える
ことを特徴とする欠陥強調装置。
【請求項13】
請求項9から12のいずれかに記載の欠陥強調装置による欠陥強調手段と、
各検査画像毎に、前記欠陥強調値が所定の閾値を超える画素をカウントし、このカウントした数と前記表示切替時間の始期からの経過時間とに基づいて欠陥か否かを判定する欠陥判定手段と、を備える
ことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項14】
請求項9から12のいずれかに記載の欠陥強調装置による欠陥強調手段と、
前記表示切替時間の始期からの時間経過に伴って値が減少する減衰曲線閾値を仮定し、
前記各検査画像毎に、前記欠陥強調値が所定の閾値を超える画素をカウントし、このカウントした数が前記減衰曲線閾値の値を超えた際に欠陥と判定する欠陥判定手段と、を備える
ことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項15】
請求項1から6に記載の欠陥強調方法および請求項7、8に記載の欠陥検出方法、のいずれかをコンピュータ装置により実行可能に構成された
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−232837(P2008−232837A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73002(P2007−73002)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】