説明

欠陥検出装置を備えた流体センサ

【課題】破断及び/又はクラック(ひび割れ)を高い信頼性で確実に検出できると同時に信頼性の高いエラー識別も達成できるように改善を行うこと。
【解決手段】流体センサがさらに付加的にセンサチップ上に配設されている少なくとも1つの破損検出素子と破損検出回路を有し、前記破損検出回路をセンサチップ内及び/又はセンサチップ上の特に測定面と固定面の間の境界領域における破断及び/又はクラックを識別できるように調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性媒体、特にガスの検出のための流体センサであって、該流体センサは、流動性媒体が被着可能なチップ表面を備えたセンサチップを有しており、前記チップ表面は測定面と固定面を有しており、前記測定面上には少なくとも1つの加熱素子と少なくとも1つの温度検出器を備えた中央センサ回路の導体路が被着されている形式の流体センサに関している。
【背景技術】
【0002】
例えば化学や機械工学の技術分野における多くのプロセスではガス濃度を高い信頼性で検出したり、及び/又はガス質量、特に空気質量を定めて供給しなければならない。これに対しては特に燃焼プロセスが重要であり、これは閉ループ制御された条件の下で行われる。この場合の重要な例としては特に触媒方式の排ガス浄化機能を備えた自動車の内燃機関における燃料の燃焼があげられる。燃料セル毎に正確に定められた組成のガスの供給も適用領域としてあげられる。また安全性に係わる適用もあげられる。そのため例えば乗員に水素漏出の警告のために燃料セルと車両内に水素センサが適用される可能性もある。空気はほぼ4%の水素成分から発火性となりそれよりも高い成分のもとでは爆発の危険性がある。そのため水素センサは例えば相応の警告装置又は相応の自動通報装置に結合され得る。またこの種のセンサの安全性に係わる適用も考えられる。
【0003】
この場合はガス流及び/又はガス濃度の測定のために様々なタイプのセンサが用いられる。この種のセンサの1つのクラスはセンサチップを供えたセンサである。従来技術から公知のこのクラスのセンサはいわゆる熱膜式空気質量流量計(HFM)であり、このセンサは例えばドイツ連邦共和国特許出願 DE 196 01 791 A 明細書にその実施形態が開示されている。この種のホットフィルム式空気質量センサでは通常は薄いセンサ薄膜を有するセンサチップ、例えばシリコンセンサチップが用いられる。このセンサ薄膜上には典型的には少なくとも1つの加熱抵抗が設けられており、この加熱抵抗は2つ以上の温度測定抵抗(温度検出器)によって取り囲まれている。薄膜上を通流する空気流においては温度分布に変化が生じる。このことは温度抵抗によっても検出され、駆動制御−評価回路を用いて評価可能である。そのため例えば温度抵抗の抵抗値の差分から空気質量流量が確定され得る。このセンサタイプの種々異なる変化例は従来技術からも公知である。
【0004】
流量の検出のほかにもそのつどのガス状の流体の組成成分である構成要素の検出や測定も重要な役割を果たしている。センサ原理は、異なる流体構成要素の異なる熱容量及び/又は熱伝導性に起因しており、これについては例えば"M.Arndt"による公知文献"Micromachined Thermal Conductivity Hydrogen Detector for Automotive Applications, Sensors, 2002. Proceedings of IEEE"に記載がある。そのため例えば空気/水素混合気における水素の検出のために次のような事実が有効利用されている。すなわち水素が空気ないし空気構成要素よりも高い熱伝導性を有していることである。ホットフィルム式空気質量センサ(HFM)に類似して構成されたセンサ構造部の場合には、例えば空気−水素混合気が薄膜又は狭幅な格子を通ってセンサ測定室に達する。ガス状流体内における水素の存在は、加熱される薄膜の温度若しくはその熱伝導性(これは雰囲気に放出される)を変える。そこからは再び測定信号が生成され、この信号は水素濃度を反映している。
【0005】
前述したような典型的なチップ状ガスセンサは僅かな熱伝導性を備えたセンサ薄膜(たとえシリコン薄膜)と囲繞形のチップ固定面を有するように構成されている。このセンサ薄膜上に導電性の構造部が配設される。しかしながらこの種のセンサの具体的な使用においては特にセンサ薄膜とチップ固定面の間の移行領域において多くはその箇所の構造若しくは作動条件に伴う熱的緊張及び/又は機械的緊張に基づいてチップのクラック(ひび割れ)及び/又は破断が頻繁に発生する。この破断ないしクラックは経験上チップ固定面への移行部におけるセンサ薄膜のエッジ部分若しくはこのエッジ部分に沿って発生しやすい。この種の破断はセンサの完全な故障や部分的な故障及び/又は誤った信号の送出につながる。このようなクラック又は破断がセンサの導体路に発生しない限り、センサは大抵の場合引き続き電気信号を生成する。しかしながらこの信号は例えばセンサ薄膜の熱伝導性の変化及び/又はチップ固定面と薄膜の熱伝導の変化に基づいて改ざんされ得る。この種のセンサの多くは安全性に係る適用領域に使用されるので(例えば燃料セル内)この種のエラー表示は許容できるものではない。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願 DE 196 01 791 A 明細書
【非特許文献1】"M.Arndt"による公知文献"Micromachined Thermal Conductivity Hydrogen Detector for Automotive Applications, Sensors, 2002. Proceedings of IEEE"
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は前述したような破断及び/又はクラック(ひび割れ)を高い信頼性で確実に検出できると同時に信頼性の高いエラー識別も達成できるように改善を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は本発明により、前記流体センサがさらに付加的にセンサチップ上に配設されている少なくとも1つの破損検出素子と破損検出回路を有しており、
前記破損検出回路は、センサチップ内及び/又はセンサチップ上の特に測定面と固定面の間の境界領域における破断及び/又はクラックを識別できるように調整されて解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明による流動媒体の検出のための流体センサは、前述したような破断及び/又はクラック(ひび割れ)を高い信頼性で確実に検出でき、それによってエラー識別も高い信頼性で達成できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は次のような考察に基づいている。すなわち流体センサにおいて測定機能に必要とされる導体路を薄膜上に実現することである。これらの導体路は薄膜かないしは薄膜と固定面の間の移行部と僅かな箇所でしか交差していない。薄膜とチップ固定面の間の境界近傍にクラックが形成されると(但しこのクラックは導体路は破断していなのでそれに伴うセンサの全破損には至っていない)、このクラックないし破断の検出はこれまでの技術では実務上非常に手間がかかっていた。従ってこの検出は例えばさらなる信号ソースを用いた妥当性検査や光学的検査及び/又は測定履歴の支援のもとでしか行うことができない。
【0010】
それに対して本発明により提案された流体センサも従来技術のように、流動性媒体の被着可能なチップ表面を備えたセンサチップを有している。このチップ表面は測定面と固定面を含んでいる。例えばそれは上記したようにシリコンチップであってもよい。測定面の領域においてはセンサチップが例えば次のように構成可能である。すなわち測定面の領域のセンサチップが固定面の領域のものよりも少なくとも1サイズのオーダー分だけ少ない横方向の熱伝導性を有するように構成可能である。このことは例えば冒頭に述べた熱膜式空気質量流量計チップのように、薄いセンサ薄膜を備えたセンサチップを用いることで達成することが可能である。この薄膜は、数μmの厚さしか有していない。この場合はセンサ薄膜を取り囲む空気の僅かな熱伝導性(約0.026W/mk)が活用される。また代替的に、測定すべき流動性媒体にさらされる測定面を備えた測定領域として多孔性領域をチップ内に形成してもよい(例えばシリコンチップの多孔化)。このようにすれば、約156W/mKの熱伝導性を有するシリコン基板に比べて、囲繞された空胴に基づく0.1〜2W/mkの横方向伝導性しか有さない測定領域を作成することができる。測定面上(ないしは当該測定面近傍)には少なくとも1つの加熱素子と少なくとも1つの温度検出素子を備えた中央センサ回路の導体路が被着される。さらに本発明による流体センサは付加的にセンサチップ上に配設された少なくとも1つの破損検出素子と破損検出回路を有している。この破損検出回路はセンサチップ内及び/又はセンサチップ上、特に測定面と固定面の間の移行領域における破断及び/又はクラックを識別できるように設定調整されている。
【0011】
前記少なくとも1つの破損検出素子と破損検出回路は有利には流体センサの残りの機能性に依存することなく信頼性と安全性の高い破断及び/又はクラックの検出を可能にするために共に作用している。例えば少なくとも1つの破損検出要素は少なくとも1つの破損検出器導体路を含み得る。この少なくとも1つの破損検出器導体路は例えば測定面と固定面の間の移行領域における曲折状パターン及び/又は蛇行状パターンの少なくとも1つの領域に延在する。その場合には有利には少なくとも1つの破損検出器導体路が当該の少なくとも1つの領域において測定面と固定面の間の境界と複数回交差する。このようにすれば測定面と固定面の間の破断及び/又はひび割れしやすい境界が特に効果的にカバーされ、この領域におけるエラーが効果的に検出できる。
【0012】
代替的に又は付加的に、少なくとも1つの破損検出器導体路は、少なくとも1つの第1の導体路区分と少なくとも1つの第2の導体路区分を含んでおり、この場合第1の導体路区分は測定面上で該測定面と固定面の間の境界に対して少なくともほぼ平行に延在しており、さらに前記第2の導体路区分は固定面上で測定面と固定面の間の境界に対して少なくともほぼ平行に延在している。このようにすれば2つの平行する導体路区分によって1つの帯状部がカバーされる。この帯状部は測定面と固定面の間の境界に対して平行に延在し、さらに当該の特別にクリティカルな領域を効果的にカバーする。
【0013】
この場合特に有利には、少なくとも1つの破損検出素子は、少なくとも1つの領域において測定面と固定面の間の境界から10〜100μmの間隔、有利には20〜50μmの間隔、特に有利には25μmの間隔をおいて離間するように測定面上に配設されている。例えば前述した蛇行状パターン若しくは曲折状パターンは境界から25μmのだけ離れて当該測定面内まで延在する。代替的若しくは付加的に前述した少なくとも1つの第1の導体路区分は境界から有利には25μmの間隔だけ離して測定面上に配設してもよい。
【0014】
相応に有利には、少なくとも1つの破損検出素子は、少なくとも1つの領域において測定面と固定面の間の境界から10〜100μmの間隔、有利には20〜50μmの間隔、特に有利には25μmの間隔をおいて離間するように固定面上に配設されている。例えば前記蛇行状パターン及び/又は曲折状パターンは、境界から有利には25μmだけ固定面上に延在してもよい。代替的又は付加的に前述した少なくとも1つの第2の導体路区分は測定面と固定面の間の境界から有利には25μmの間隔だけ離して固定面上に配設されてもよい。
【0015】
前述した構成例による流体センサの破損検出回路はさらに抵抗値を検出するための少なくとも1つの回路を有し得る。この構成は少なくとも1つの破損検出素子が少なくとも1つの破損検出器導体路を含んでいると特に有利である。例えば前記破損検出回路はさらに少なくとも1つの閾値回路を有しており、該閾値回路は、検出された抵抗値を少なくとも1つの閾値と比較し、該比較結果に依存して少なくとも1つの制御信号を生成するように構成されている。このようにすれば例えば検出した抵抗値の突発的で急峻な上昇によって、少なくとも1つの破損検出素子、有利には少なくとも1つの破損検出器導体路に影響を及ぼす破断及び/又はクラックが検出できるようになる。この種の抵抗値検出回路ないしはこの種の閾値回路は、技術的にも例えば流体センサの妥当性検査を実施することで破断を検出する前述したような回路よりも遙かに低コストで簡単に実現することが可能である。
【実施例】
【0016】
次に本発明を図面に基づき以下の明細書で詳細に説明する。
【0017】
図1には従来技術から公知の流体センサ110の実施例が示されている。この流体センサはここでは水素センサとして構成されている。この種の流体センサ110は例えば冒頭に述べた"M.Arndt"による公知文献からも公知である。この流体センサはガス混合気が被着可能なチップ表面114を備えたセンサチップ112を含んでいる。
【0018】
このチップ表面は、測定面116と固定面118を有している。当該実施例ではセンサチップ112は例えばシリコンチップであり、このチップは測定面116の領域において酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素からなる薄膜を有している。
【0019】
測定面116の上には加熱素子導体路122と温度検出器導体路124を備えた中央センサ回路120が被着されている。前記導体路122,124の接続パッド126は駆動制御−評価回路128と接続されており、この駆動制御−評価回路128は前述したような原理に従って水素濃度を求めている。
【0020】
いわゆる薄膜上のひび割れである"薄膜クラック"の問題をわかりやすく示すために、図1においては4つの異なる箇所にそれぞれクラック130,132,134,136が象徴的に描かれている。これらの異なる箇所にあるクラック130,132,134,136のうち(これらは通常は測定面116と固定面118の間の境界領域に発生する)、符号130で示されているタイプのクラックのみが図1に示されている従来技術に相応する回路を用いて検出される。なぜならこのクラック130だけが中央センサ回路120の導体路122,124を直接遮断しているからである。
【0021】
それに対して図2a〜図4に示されている本発明による流体センサ110の構成では、破損検出素子140と破損検出回路142が設けられている。この装置は当該図面中では特に接続パッド126と駆動制御−評価回路128と破損検出回路142の間の接続で概略的に示されているだけである。破損検出素子140は本発明による当該実施例においては導体路124,126から分離された別個の導体路144,146を有している。これらの別個の破損検出導体路144,146は、測定面116と固定面118の間の境界138の近傍に配設されている。それゆえにこの境界138近傍の測定面116におけるクラックは、高い確率で当該破損検出導体路144,146を破断し得る。この破断は破損検出回路142を用いて電気的に容易に検出できる。それに応じてこの破損検出回路142は、当該実施例では簡単な閾値回路148を含み、破損検出導体路144,146の抵抗が閾値を上回っているかどうかを検出する。この閾値を上回っている場合には、エラー信号が生成され、例えばインターフェース150を介して送出され得る。このようにして例えば流体センサ110の状態が"薄膜のひび割れ"に置換えられる。
【0022】
この場合破損検出回路142は、図2aによる当該実施例中にのみ示され、その他の図面では必要に応じて補足され得る。種々異なる実施形態は特に破損検出素子140の破損検出導体路144の正確な位置と形態に当てはまる。その場合基本的には特に以下のパラメータ、
−破損検出導体路144,146の寸法(幅、長さ、高さ、蛇行状曲折部の数など)
−破損検出導体路144,146の固定面118までの延長
−破損検出導体路144,146の形態(蛇行状形態、曲折状形態、矩形状、円形状、ジグザグ形態など)
−蛇行状ないし曲折状部位の数(任意の導体路配置のためのクラックの正確な局所化のための)
が変更可能である。
【0023】
図2aには特に有利な実施形態が示されており、この実施形態は全てのタイプの(ひび割れ)が検出可能である。この実施形態では、破損検出素子140が2つの破損検出導体路144,146を有している。それによりこれらの破損検出導体路144,146は、破損検出素子140を2つの独立した電流循環回路に分割形成している。このことは次のような利点をもたらす。すなわち中央センサ回路120の導体路122,124の交差ないし横断を必要としない。これらの導体路122,124は図1の従来技法のように従来と同じく、2つの相対向している縁部において測定面116から延在可能である。さらに付加的に破損検出導体路144,146はヒートシンクとしても機能する。
【0024】
図2a及び図2bによる実施例では破損検出導体路144,146が蛇行状に構成されている。この場合これらの破損検出導体路144,146はそれぞれ1つの直線状導体路区分152を有している。この直線状導体路区分152は当該実施例においては測定面116と固定面118の間の境界138から約25μmの間隔をおいて当該境界138と平行に延在している。さらにこの破損検出導体路144,146は蛇行状の導体路区分154も有しており、該蛇行状導体路区分154は前記境界138を多数箇所で直角に横断している(図2bの拡大図参照)。
【0025】
図2aによる実施例のセンサチップ112は、ほぼ矩形に構成されている。この場合測定面116は当該実施例においては典型的に1mmのエッジ長さを有している。破損検出導体路144,146は当該実施例では境界138から約25μm幅の領域を超えて測定面116内に延在し、さらにほぼ同じ量だけ固定面118内にも延在している。このようにして破損検出導体路144,146はそれぞれ、測定面116と固定面118の間の境界138を中心に約50μmの幅の帯状の領域を覆っている。もちろんこれ以外の破損検出導体路144,146の寸法も可能である。
【0026】
図3による実施例においても破損検出素子140は2つの破損検出導体路144,146を有している。ここでの破損検出導体路144,146も導体路ループの形態で構成されており、これらの導体路はそれぞれ接続パッド126を用いてコンタクト可能である。この場合破損検出導体路144,146の接続パッド126はそれぞれ測定面116の相互に相対向している側におかれている。
【0027】
しかしながらこの図3による実施例は図2aによる実施例とは異なって破損検出導体路144,146は蛇行状の経過は何も有していない。それどころかここでの破損検出導体路144,146の導体路ループはそれぞれ第1の導体路区分156と第2の導体路区分158を有しており、この場合第1の導体路区分156は測定面116上で境界138に対して平行に延在しており、さらに第2の導体路区分158は固定面118上で境界138に対して平行に延在している。その場合当該実施例における第1の導体路区分156は境界138から約25μmだけ離間されており、それに対して第2の導体路区分158は境界138から約100μmだけ離間されている。このような配置構成を用いることによって、そこに示されているクラック130,132,136は検出され得る。しかしながら境界138に対してほぼ平行に延在するクラックだけ、例えば134は、当該変化実施例の構成では信頼性の高い検出が難しい。
【0028】
図4には流体センサ110の第3の実施例が示されている。この流体センサ110も2つの破損検出導体路144,146を備えた破損検出素子140を有している。この図4による実施例では、図2a及び図3による実施例とは異なって当該の破損検出導体路144,146が導体路ループとして構成されているのではなく、それぞれ相互に相対向している測定面116の側に接続パッド126を有している。このように構成することでこの実施形態では図2aの実施例による直線状導体路区分152が省かれている。それゆえにこの実施形態を用いることにより、符号130,132,134で表されているクラックタイプが高い信頼性で検出できる。それに対して符号136で表されているクラックタイプは(これは境界138に対してほぼ直角に延在する)、高い信頼性での検出は困難である。この場合には前述の図2a、図2b及び図3による実施例の時のように、破損検出回路142が破損検出導体路144,146の抵抗測定の他に有利には駆動制御−評価回路128の情報も利用する。これは図2a中矢印160によって表されている。このようにすれば、もちろん導体路122,124の領域内のクラックも破断検出に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来技術に相応する水素センサの構造を表した図
【図2a】破損検出素子と破損検出回路を備えた本発明による水素センサの実施例を示した図
【図2b】図2aによる水素センサの部分図
【図3】図2に代替する水素センサの変化実施例を示した図
【図4】図2及び図3に代替する水素センサの変化実施例を示した図
【符号の説明】
【0030】
110 流体センサ
112 センサチップ
114 チップ表面
116 測定面
118 固定面
120 中央センサ回路
122 加熱素子導体路
124 温度検出器導体路
126 接続パッド
128 駆動制御−評価回路
130 クラック
132 クラック
134 クラック
136 クラック
138 境界
140 破損検出素子
142 破損検出回路
144 破損検出導体路
146 破損検出導体路
148 閾値回路
150 インターフェース
152 直線状導体路区分
154 蛇行状導体路区分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性媒体、特にガスの検出のための流体センサ(110)であって、
該流体センサ(110)は、流動性媒体が被着可能なチップ表面(114)を備えたセンサチップ(112)を有しており、
前記チップ表面(112)は測定面(116)と固定面(118)を有しており、
前記測定面(116)上には少なくとも1つの加熱素子(122)と少なくとも1つの温度検出器(124)を備えた中央センサ回路(120)の導体路(122,124)が被着されている形式の流体センサにおいて、
前記流体センサ(110)がさらに付加的にセンサチップ(112)上に配設されている少なくとも1つの破損検出素子(140)と破損検出回路(142)を有しており、
前記破損検出回路(142)は、センサチップ(112)内及び/又はセンサチップ(112)上の特に測定面(116)と固定面(118)の間の境界(138)領域における破断及び/又はクラック(130,132,134,136)を識別できるように調整されていることを特徴とする流体センサ。
【請求項2】
少なくとも1つの破損検出素子(140)は少なくとも1つの破損検出器導体路(144、146)を含んでいる、請求項1記載の流体センサ。
【請求項3】
少なくとも1つの破損検出器導体路(144、146)は、測定面(116)と固定面(118)の間の境界(138)領域における曲折状パターン及び/又は蛇行状パターンの少なくとも1つの領域内を延在している、請求項1または2記載の流体センサ。
【請求項4】
少なくとも1つの破損検出器導体路(144、146)は、測定面(116)と固定面(118)の間の少なくとも1つの境界(138)領域において多数箇所で有利には直角に横断している、請求項1から3いずれか1項記載の流体センサ。
【請求項5】
少なくとも1つの破損検出器導体路(144、146)は、少なくとも1つの第1の導体路区分(156)と少なくとも1つの第2の導体路区分(158)を含んでおり、この場合第1の導体路区分(156)は測定面(116)上で該測定面(116)と固定面(118)の間の境界(138)に対して少なくともほぼ平行に延在しており、さらに前記第2の導体路区分(158)は固定面(118)上で測定面(116)と固定面(118)の間の境界(138)に対して少なくともほぼ平行に延在している、請求項2から4いずれか1項記載の流体センサ。
【請求項6】
少なくとも1つの破損検出素子(140)は、少なくとも1つの領域において測定面(116)と固定面(118)の間の境界(138)から10〜100μmの間隔、有利には20〜50μmの間隔、特に有利には25μmの間隔をおいて離間するように測定面(116)上に配設されている、請求項1から5いずれか1項記載の流体センサ。
【請求項7】
少なくとも1つの破損検出素子(140)は、少なくとも1つの領域において測定面(116)と固定面(118)の間の境界(138)から10〜100μmの間隔、有利には20〜50μmの間隔、特に有利には25μmの間隔をおいて離間するように固定面(118)上に配設されている、請求項1から5いずれか1項記載の流体センサ。
【請求項8】
前記破損検出回路(142)は、抵抗を検出するための少なくとも1つの回路を有している、請求項1から7いずれか1項記載の流体センサ。
【請求項9】
前記破損検出回路(142)はさらに少なくとも1つの閾値回路(148)を有しており、該閾値回路(148)は、検出された抵抗値を少なくとも1つの閾値と比較し、該比較結果に依存して少なくとも1つの制御信号を生成するように構成されている、請求項1から8いずれか1項記載の流体センサ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−240533(P2007−240533A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60018(P2007−60018)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】