欠陥検査方法及びその装置
【課題】
電子顕微鏡で画像を撮像するとき,焦点を合わせるために動作させるZ座標の走査範囲を短くして,焦点を合わせる時間を短縮する。
【解決手段】
走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所のSEM画像を順次取得することを、最初の所定の数の箇所においては電子ビームの焦点位置を試料の表面の法線方向に所定の範囲走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせてから試料を撮像し、最初の所定の数の箇所において試料の表面に合わせた電子ビームの焦点位置の情報を用いて試料の表面の曲面形状を推定し、最初の所定の数の箇所で撮像した後は、電子ビームの焦点を試料の表面に合わせるために電子ビームの焦点位置を法線方向へ走査する範囲を推定した曲面情報を用いて最初の所定の数の箇所において走査した所定の範囲よりも狭い範囲で走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせて前記試料を撮像するようにした。
電子顕微鏡で画像を撮像するとき,焦点を合わせるために動作させるZ座標の走査範囲を短くして,焦点を合わせる時間を短縮する。
【解決手段】
走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所のSEM画像を順次取得することを、最初の所定の数の箇所においては電子ビームの焦点位置を試料の表面の法線方向に所定の範囲走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせてから試料を撮像し、最初の所定の数の箇所において試料の表面に合わせた電子ビームの焦点位置の情報を用いて試料の表面の曲面形状を推定し、最初の所定の数の箇所で撮像した後は、電子ビームの焦点を試料の表面に合わせるために電子ビームの焦点位置を法線方向へ走査する範囲を推定した曲面情報を用いて最初の所定の数の箇所において走査した所定の範囲よりも狭い範囲で走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせて前記試料を撮像するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製品,磁気ヘッド,磁気ディスク,太陽電池,光モジュール,発光ダイオード,液晶表示パネルなど基板上に成膜,レジスト塗布,露光,現像,エッチングなどを繰り返して形成するデバイスの出来栄え,例えば,形成したパターンの寸法や,発生した欠陥の大きさや形状などを検査するために用いる欠陥検査方法及びその装置に関する。具体的には,例えば,電子顕微鏡や光学顕微鏡にデジタルカメラを用いた欠陥検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,半導体製品,磁気ヘッド,磁気ディスク,太陽電池,光モジュール,発行ダイオード,液晶表示パネルなどの出来栄え,例えば,形成したパターンの寸法や,発生した欠陥の大きさや形状などを検査するために,電子顕微鏡が広く活用されている。
【0003】
電子顕微鏡で基板上のパターンや欠陥を観察するためには,観察対象である基板を載せているステージを,指定したXY座標が画像の中央付近に位置するように移動させる。次にステージのZ座標を動作させてパターンや欠陥に焦点を合わせて画像を撮像する。
【0004】
特許文献1には,焦点を合わせるためにZ座標(ステージの基板載置面の法線方向)を動作させる走査範囲を短くするために,フォーカスマップと称するZ座標のオフセットを予め登録しておき,そのオフセットを基準に焦点を合わせる方法が記載されている。この方法は,ある任意の基板に対して,基板上の様々な位置で焦点が合うZ座標を計測し,計測したXYZ座標群に対して,曲面を近似して,近似した曲面をフォーカスマップとして,予め電子顕微鏡に登録しておく。次に別の基板を電子顕微鏡で観察するとき,あるXY座標に対して,焦点が合うZ座標は,予め登録しておいたフォーカスマップのXY座標に対するZ座標と類似であると仮定し,そのZ座標を中心にZ座標を動作させて焦点を合わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−194272号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】著者S. Lee, G. Wolberg, S. Y. Shin:論文名“Scattered Data Interpolation with Multilevel B-Splines”,雑誌名IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics, Vol. 3, No. 3, pages 228-244 (1997年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子顕微鏡で基板上のパターンや欠陥を観察する場合、電子顕微鏡の被写界深度は狭く,焦点を合わせるために,ゆっくりZ座標を動作させる必要があり,焦点を合わせるために時間がかかることが解決すべき問題となっている。
【0008】
特許文献1に記載されている方法では、基板ごとにXY座標に対するZ座標が類似であるという仮定が十分に満たされないとき,焦点を合わせる時間が遅くなる問題がある。
【0009】
本発明は,基板ごとにXY座標に対するZ座標が類似していない場合でも,焦点を合わせるためにZ座標を動作させる走査範囲を短くでき,その結果,焦点を合わせる時間を短縮する欠陥検査方法及びその装置を提供する。
【0010】
また,特許文献1に記載されている方法では,予め任意の基板に対して,多数のXY座標に対するZ座標を計測し,フォーカスマップを登録する煩わしい作業が必要であったが,本発明は,そのような煩わしい作業は必要がない欠陥検査方法及びその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明では、欠陥検査装置を、収束させた電子ビームを試料に照射して走査することにより試料のSEM画像を取得する走査電子顕微鏡と、この走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た試料のSEM画像を処理する画像処理手段と、この画像処理手段で試料のSEM画像を処理した結果を画面上に出力する出力手段と、走査電子顕微鏡と画像処理手段と出力手段とを制御する制御手段とを備えて構成し、制御手段は、走査電子顕微鏡を制御してこの走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所を順次撮像するときに、最初の所定の数の箇所においては電子ビームの焦点位置を試料の表面の法線方向に所定の範囲を走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせてから試料を撮像し、最初の所定の数の箇所において試料の表面に合わせた電子ビームの焦点位置の情報を用いて試料の表面の曲面形状を推定し、最初の所定の数の箇所で撮像した後は、電子ビームの焦点を試料の表面に合わせるために電子ビームの焦点位置を法線方向へ走査する範囲を推定した曲面情報を用いて最初の所定の数の箇所において走査した所定の範囲よりも狭い範囲で走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせて試料を撮像するようにした。
【0012】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームを試料上の複数の箇所に順次照射して走査することにより試料の複数の箇所のSEM画像を順次取得し、この走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所を順次撮像して得た試料の複数の箇所のSEM画像を処理して試料を検査し、試料のSEM画像を処理した結果を出力する欠陥検査方法において、走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所のSEM画像を順次取得することを、最初の所定の数の箇所においては電子ビームの焦点位置を試料の表面の法線方向に所定の範囲走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせてから試料を撮像し、最初の所定の数の箇所において試料の表面に合わせた電子ビームの焦点位置の情報を用いて試料の表面の曲面形状を推定し、最初の所定の数の箇所で撮像した後は、電子ビームの焦点を試料の表面に合わせるために電子ビームの焦点位置を法線方向へ走査する範囲を推定した曲面情報を用いて最初の所定の数の箇所において走査した所定の範囲よりも狭い範囲で走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせて前記試料を撮像するようにした。
【0013】
更に、上記した課題を解決するために、本発明では、走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームの焦点を試料表面に合わせて電子ビームを走査することにより試料表面を撮像することを試料上の複数の箇所に亘って順次行うことにより試料の複数の箇所のSEM画像を順次取得し、この順次取得した試料の複数の箇所のSEM画像を処理して試料を検査し、
この検査した結果を出力する欠陥検査方法において、走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームの焦点を試料表面に合わせることを、最初の所定の数の箇所においては電子ビームの焦点位置を試料の表面の法線方向に所定の範囲走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせてから試料を撮像し、最初の所定の数の箇所で撮像した後は最初の所定の数の箇所で電子ビームの焦点を試料の表面に合わせた情報を用いて最初の所定の数の箇所において走査した所定の範囲よりも狭い範囲で走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせて試料を撮像するようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,欠陥検査方法及びその装置において、様々な基板に対して,焦点を合わせるために動作させるZ座標の走査範囲を短くでき,その結果,焦点を合わせる時間を短縮できる。また,予め任意の基板に対して,多数のXY座標に対するZ座標を計測し,フォーカスマップを登録するといった煩わしい作業を必要とせずに画像を撮像することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電子顕微鏡装置の概要の一例を示すブロック図である。
【図2】画像撮像プログラムのフローチャートの一例を示すフロー図である。
【図3】撮像座標データの一例を示す図である。
【図4】撮像座標データを図示したマップの一例を示すウェハの平面図である。
【図5】撮像順序決定プログラムのフローチャートの一例を示すフロー図である。
【図6】基準座標の一例を示すウェハの平面図である。
【図7】初期撮像座標群の一例を示すウェハの平面図である。
【図8】整列後の撮像座標データの一例を示す図である。
【図9】初期撮像座標群の画像を撮像した後の撮像座標データの一例を示す図である。
【図10】曲面を近似した後の撮像座標データの一例を示す図である。
【図11】時間軸に対する概念図の一例を示すグラフである。
【図12】画像撮像プログラムのフローチャートの一例を示すフロー図である。
【図13】時間軸に対する概念図の一例を示すグラフである。
【図14】近似した曲面を表示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す画面の正面図である。
【図15】曲面と実測値の誤差を表示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す画面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は,実施例1に係る欠陥検査方法及びその装置の一例として,走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)の概要の一例を示した図である。走査電子顕微鏡は一次電子208を発生させる電子源201と,一次電子を加速するための加速電極202と,一次電子を収束するための集束レンズ203と,ビームを絞るためのアパーチャ212と、一次電子を二次元走査偏向する偏向器204と,ビームを基板206に照射するのを一時ストップさせるためのブランキング電極221と、一次電子をウエハなどの基板206上に収束させるための対物レンズ205とを備えている。207は基板206を搭載する駆動ステージである。210は基板206より発生した二次電子信号209を検出する検出器であり,220a,220bはそれぞれ反射電子信号219を検出する反射電子検出器である。同図では,反射電子検出器220a,220bは対向して二つ設置されており,それぞれ基板206から放出された反射電子信号の異なる成分を検出する。211は検出された信号をデジタル化するためのデジタル変換部(A/D変換部)である。これらの各部位は,バス218を介して全体制御部213に接続されている。
【0018】
本実施例に係る走査電子顕微鏡には,そのほかに,中央演算処理装置(CPU)214,一次記憶装置215,二次記憶装置216,キーボード,マウス,ディスプレイ,プリンタ,ネットワークインターフェースなどの入出力部217が備わっている。また,二次記憶装置216には,基板206の面内で画像を撮像すべき座標群が記された撮像座標データ230,駆動ステージを移動させて,画像を撮像する画像撮像プログラム231,撮像座標データを整列させて撮像する順序を決定する撮像順序決定プログラム232,画像を撮像するXY座標とそのときに焦点が合ったZ座標からBスプライン曲面や応答曲面など曲面を近似する曲面近似プログラム233、撮像して得た画像(SEM画像)を処理して欠陥を抽出し欠陥の画像特徴量を求めて欠陥を分類したり、撮像して得た画像を処理して画像に含まれるパターンの寸法やパターン間の寸法を求めるなどの処理を行うための画像処理プログラム234などが格納されている。これらのプログラムは,二次記憶装置216から一次記憶装置215に読み出され,中央演算処理装置(CPU)214で計算される。
【0019】
図2は,画像撮像プログラム231のフローチャートの一例である。画像撮像プログラム231では,まずステップS301で撮像座標データ230を読み込み,ステップS302で読み込んだ撮像座標データ230に記された座標群に対して撮像する順序を決める。ここで、ステップS301で読込む撮像座標データ230は、基板206上に形成された回路パターンの設計データ(CADデータ)であっても良いし、または、他の検査装置で検査して検出した欠陥(パターン欠陥、異物欠陥など)の位置情報であってもよい。
【0020】
本フローチャートでは,座標群を撮像する順番に(X1,Y1),(X2,Y2),・・・,(XN,YN),・・・,(X座標数,Y座標数)と定義する。また,座標(XN,YN)を撮像するときに焦点が合ったZ座標をZNと定義し,その3次元座標を(XN,YN,ZN)と定義する。次にステップS303で変数Nにゼロを代入し,ステップS304で変数Nに1をインクリメントする。次にステップS305の条件分岐で変数Nが撮像座標データ230に記された座標群の数を超えたら,プログラムを終了する。
【0021】
一方,ステップS305の条件分岐で変数Nが座標群の数を超えていなかったら,ステップS306に処理を進める。ステップS306では変数NとSステップ302の中で定める初期撮像数を比較し,ステップS307,ステップS308,ステップS310のいずれかに処理を進める。変数Nが初期撮像数に1を加えた値より小さい場合,ステップS310へ進み,変数Nが初期撮像数に1を加えた値と等しい場合,ステップS307へ進み,変数Nが初期撮像数に1を加えた値より大きい場合,ステップS308へ進む。
【0022】
ステップS310では,変数Nが1から初期撮像数までの場合に実行され,座標(XN,YN)が撮像できるようにステージを動かし,Z座標を(基点−β)から(基点+β)までの範囲を走査し,焦点を合わせる。ここで,基点とは基板表面の平均的なZ座標の推定値を意味し,また,βは後述するαより大きな既定値である。一方,ステップS307では,変数Nが初期撮像数に1を加えた場合に実行され,すでに画像が撮像された3次元のN個の座標(X1,Y1,Z1)から(XN-1,YN-1,ZN-1)に対して,Bスプライン曲面を近似し,近似した曲面をフォーカスマップとする。
【0023】
ステップS308では,近似した曲面の座標(XN,YN)に対するZN’を算出する。ZN’は座標(XN,YN)に対して画像を撮像するときに焦点が合うであろうZ座標の予測値である。
【0024】
ステップS309では,座標(XN,YN)が撮像できるようにステージを動かし,Z座標を(ZN’−α)から(ZN’+α)までの範囲を走査し,焦点を合わせる。焦点があったZ座標をZNとする。フォーカスマップを生成し,ZN’を算出することで,αを上述のβより小さく設定でき,その結果,Z座標の走査範囲を短くでき,焦点を合わせる時間を短くできる。ステップS311では,焦点の合った座標(XN,YN)の画像を撮像し,撮像して得られた画像はステップS312で画像処理プログラム234に基づいて処理されて、撮像した座標(XN,YN)の画像から欠陥を求めてその欠陥の特徴量を抽出して欠陥を分類する画像処理、又は、画像の特徴量から欠陥又はパターン又はパターン間の寸法を求める画像処理が行われ、ステップS313では,ステップS307でフォーカスマップを生成,あるいは更新するために,3次元座標(XN,YN,ZN)を二次記憶装置216に登録し,ステップS304に戻る。
【0025】
図14は,ステップS307で近似した曲面を表示するグラフィカルユーザインターフェースの一例である。グラフィカルユーザインターフェース800は,近似した曲面,すなわちフォーカスマップを表示する部分820,検査対象のウエハ番号を表示する部分810,表示するフォーカスマップの種類を選択する部分840,フォーカスマップと同時に表示する欠陥を選択する部分841,フォーカスマップを表示するときの目盛りを表示する部分842を有する。フォーカスマップを表示する部分820には,ウエハの外枠821が描かれ,ウエハの方向が分かるように,ノッチ822が描かれている。また,フォーカスマップは,ウエハ全面ではなく,集積回路など製品が形成される領域だけに対して計算されるため,その領域823が表示されている。
【0026】
領域823には,フォーカスマップの偏りがわかるように,色付けされ,また,等高線が描かれている。色付けの定義は,目盛り842として表示されている。また,表示するフォーカスマップは,選択部分840で"Front","All","Difference"のいずれか一つを選択する。"Front"を選ぶと,初期撮像座標群を基に,ステップS307で近似した曲面がフォーカスマップとして表示される。"All"を選ぶと,入力したすべての座標群から,ステップS307と同様に,Bスプライン曲面を近似し,その結果が表示される。
"Difference"を選択すると,"All"を選んだ場合に表示される曲面と,"Front"を選んだ場合に表示される曲面を,その座標毎に差分を算出した結果が表示される。また,このグラフィカルユーザインターフェースでは,フォーカスマップと同時に画像を撮像した座標を同時に表示できる。画像を撮像する座標を同時に表示するか否かは,選択部分841で選択する。選択方法は,"Front"と"Others"の組合せで,両方とも選択しない場合,"Front"だけ選択する場合,"Others"だけを選択する場合,両方選択する場合の4通りがある。"Front"を選択すると,星印831で示した初期撮像座標群がフォーカスマップに重ねて表示される。"Others"を選択すると,三角832で示した初期撮像座標群を除いた他の座標がすべて表示される。
【0027】
図15は,ステップS307で近似した曲面と,画像撮像時に焦点を合わせたときのZ座標の間の誤差を表示するグラフィカルユーザインターフェースの一例である。
【0028】
グラフィカルユーザインターフェース900は,グラフ表示部分920,検査対象のウエハ番号を表示する部分910,表示するデータを選択する部分931,近似した曲面,すなわちフォーカスマップと,実際に画像撮像時に焦点を合わせたときのZ座標の間の誤差を数1に示すRMSE(Root Mean Square Error)として表示する部分932,ステップS309で焦点を合わせるために走査する範囲αの値を表示および入力する部分933,ステップS309で焦点が合うZ座標が走査する(ZN’−α)から(ZN’+α)までの範囲に入らず,焦点合わせを失敗する確率を推定した結果を表示および入力する部分934を有する。
【0029】
【数1】
【0030】
グラフ表示部分920には,画像撮像時に焦点を合わせたときのZ座標を横軸に,フォーカスマップによる予測値を縦軸にとり,撮像する座標ごとに打点した散布図を表示している。直線921は,縦軸と横軸が同じである直線で,直線921に打点が近いほど,フォーカスマップの精度がよいことがわかる。この精度を定量的に示した結果が,RMSE表示部分932に表示した値である。散布図中に2本描かれている破線922は,Z座標が走査する範囲の+αと−αを示した直線である。破線922の描画は,αの値を表示および入力する部分933に入力した値と連動する。
【0031】
散布図に打点する元データは,データ選択部分931で,"with Front"ないしは"without Front"のいずれか一つを選択して決まる。"with Front"を選択すると,画像を撮像するすべてのXY座標に対応するZ座標が対象となる。ただし,"with Front"には,フォーカスマップを生成するときの初期撮像座標群が含まれる。"without Front"を選択すると,画像を撮像するすべての座標群から初期撮像座標群を除いたXY座標に対応するZ座標が対象となる。
【0032】
また,αの値を表示および入力する部分933と,焦点合わせの失敗確率を表示および入力する部分934の値は,連動する。たとえば,この散布図の例のように,RMSEが22.7ナノメートルである場合に,αの値として,22.7の3.99倍の値,すなわち90.6を入力すると,失敗確率,すなわち2つの破線922より外側に打点してしまう確率は,100ppmとなる。この計算は,RMSEを標準偏差と同じと仮定し,αを標準偏差の3.99倍としたことと等価である。すなわち,数2に示す正規分布の確率密度関数に対して,+αより大きい,ないしは−αより小さくなる確率を,数3のように計算した結果である。数2の中でσは標準偏差,すなわち,ここではRMSE,μは,ZN’とZNの差の平均値である。
【0033】
【数2】
【0034】
【数3】
【0035】
図3は,S301で読込む撮像座標データ230の一例である。撮像座標データ230は,複数のXY座標を有し,それぞれの座標には通し番号が付与されている。最左列のPoint2301が座標の通し番号,2列目のX2302がX座標,3列目のY2303がY座標である。この例では,122個の座標が記されているが,本発明は,122個の座標に限ったものではなく,複数個であれば何個でもよい。
【0036】
図4は,図3に示した撮像座標データ230を視覚的に図示した一例である。丸枠320は基板を表し,基板には座標系の基準となるノッチ321がある。この例では,ノッチ321を下側にした場合に,半導体製品や磁気ヘッドなどが作られる最下端にX軸322,最左端にY軸323が定義されている。このXY座標系に対して,撮像座標データ230を読み込み,座標群を打点したものが,黒塗りの三角形である。例えば,三角形331は,図3の通し番号 (Point) 2301が1の座標(81.4,46.2),三角形332は,図3の通し番号(Point) 2301が2の座標(107.3,46.2)を表している。
【0037】
図5は,図2に示した画像撮像プログラムのステップS302,すなわち撮像順序を決めるための撮像順序決定プログラム232のフローチャートの一例である。ステップS401では,複数のXY座標を有する基準座標を二次記憶装置216から読み込む。基準座標とは,フォーカスマップを生成するためにZ座標を測定しておくことを推奨する座標群である。ステップS402では,ステップS401で読み込んだ各基準座標から最も近距離の撮像座標を撮像座標データ230の中から選び出す。次にステップS403では,選ばれた複数の撮像座標をはじめに撮像するように撮像座標データを整列し,撮像順序とする。
【0038】
図6は,撮像順序決定プログラム232のステップS401で読み込む基準座標を視覚的に図示した一例である。この例では10個の打点410が基準座標である。基準座標は,ウエハ周辺のエッジ部付近に配置するとともに,全面に散らばるように配置することが望ましい。ここで示した基準座標は,予め二次記憶装置216に登録しておいてもよいし,入出力部217を用いて,基板を観察する度に設定してもよい。また,この例では,基準座標として10個の座標を示したが,10個に限定したものではなく,複数の座標であれば,何個でも構わない。
【0039】
図7は,撮像順序決定プログラム232のステップS402で選ばれた撮像座標を視覚的に図示した一例である。この例では,図4に三角形で示した座標群の中で,図6の10個の打点から,それぞれ最短距離に位置する撮像座標が選ばれている。10個の星印420が選ばれた撮像座標である。
【0040】
図8は,撮像順序決定プログラム232で決定した撮像順序の一例である。この例では,図3に示した撮像座標データ2301、2302及び2303のうち,図7の星印420で示した10個の座標が上位に記されている。ここで,星印420で示され,上位に記された座標群を,初期撮像座標群810と称する。
【0041】
図9は,図2に示した画像撮像プログラム231のステップS312で登録した3次元座標の一例である。この例では,図8に示した初期撮像座標群810をすべて撮像し終わった段階,すなわち,(X1,Y1,Z1)から(X10,Y10,Z10)まで登録された結果である。図8で示した撮像順序に整列された撮像座標データ801,802及び803に,撮像が完了した10個のZ座標,すなわち焦点が合ったZ座標901が追記されている。
【0042】
図10は,図2に示した画像撮像プログラム231のステップS307,すなわち曲面近似プログラム233で曲面を近似した結果の一例である。ここでは,(X1,Y1,Z1)から(X10,Y10,Z10)まで登録された結果に対して,Bスプライン曲面を近似した結果である。Bスプライン曲面近似とは,非特許文献1に記載されているように,順序づけられた16個の制御点の位置ベクトルで滑らかな自由曲面を生成する方法で,CAD(Computer Aided Design)ツールで広く利用されている方法である。表の最右列Z’1001が近似したBスプライン曲面上でのXY座標に対するZ座標である。この例では,Bスプライン曲面近似を用いたが,本発明は,Bスプライン曲面に限らず,応答曲面やBezier曲面を近似してもよい。
図11は,図2に示した画像撮像プログラムを実行することで,焦点を合わせるためにZ座標を走査する範囲が変化する様子を示した模式図の一例である。この模式図では,撮像座標として,紙面の都合で9個の座標に減らして図示した。横軸は時間軸であり,縦軸は焦点を合わせるために動かすZ座標である。破線501は基板表面のZ座標を表している。縦に描いた矢印511から519は,撮像座標ごとに,焦点を合わせるために走査するZ方向の範囲を表している。
【0043】
画像撮像プログラムを実行すると,撮像順序が決定された後,1番目に撮像する座標に対して,矢印511の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。矢印511の中心は,基点の高さとなる。焦点があったZ座標が,星印521である。次に,2番目に撮像する座標に対して,矢印512の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。矢印512の中心は,基点の高さとなる。焦点があったZ座標が,星印522である。次に,3番目に撮像する座標に対して,矢印513の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。矢印513の中心は,基点の高さとなる。焦点があったZ座標が,星印523である。次に,4番目に撮像する座標に対して,矢印514の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。矢印514の中心は,基点の高さとなる。焦点があったZ座標が,星印524である。
【0044】
1番目から4番目までの撮像座標が,この模式図では,初期座標群である。そこで,次に,1番目から4番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524のZ座標に対して,曲面を近似する。5番目から9番目までの撮像座標に対して,近似した曲面のZ座標,すなわち5番目から9番目までの撮像座標に対して,焦点が合うであろうZ座標の予測値が一点鎖線530である。
【0045】
次に,5番目の撮像座標に対して,一点鎖線530が中心に位置するように,矢印515の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。一点鎖線530は,矢印515の中心で交差する。焦点があったZ座標が三角形525である。次に,6番目の撮像座標に対して,一点鎖線530が中心に位置するように,矢印516の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形526である。次に,7番目の撮像座標に対して,一点鎖線530が中心に位置するように,矢印517の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形527である。次に,8番目の撮像座標に対して,一点鎖線530が中心に位置するように,矢印518の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形528である。次に,9番目の撮像座標に対して,一点鎖線530が中心に位置するように,矢印519の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形529である。
【0046】
このように、本実施例によれば、初期撮像座標群の焦点位置情報に基づいて近似した曲面を求め、この曲面を中心としてZ方向の捜査範囲を狭めることにより、より短い時間で焦点合わせを行うことができる。
【実施例2】
【0047】
実施例1では,画像撮像プログラム231の中で,初期撮像座標群の画像撮像が完了した時点で,1度だけ曲面を近似し,フォーカスマップを生成する例を示した。一方,実施例2では,随時フォーカスマップを更新する例を示す。
【0048】
図12は,画像撮像プログラム231のフローチャートで,図2とは別の一例である。画像撮像プログラムでは,まずステップS1201で撮像座標データ230を読み込み,ステップS1202で読み込んだ撮像座標データ230に記された座標群に対して撮像する順序を決める。次にステップS1203で変数Nにゼロを代入し,ステップS1204で変数Nに1をインクリメントする。次にステップS1205の条件分岐で変数Nが撮像座標データ230に記された座標群の数を超えたら,プログラムを終了する。
【0049】
一方,ステップS1205の条件分岐で変数Nが座標群の数を超えていなかったら,ステップS1206に処理を進める。ステップS1206では変数NとステップS1202の中で定める初期撮像数を比較し,ステップS1207とステップS1210のいずれかに処理を進める。変数Nが初期撮像数に1を加えた値より小さい場合,ステップS1210へ進み,それ以外の場合,ステップS1207へ進む。
【0050】
ステップS1210では,変数Nが1から初期撮像数までの場合に実行され,座標(XN,YN)が撮像できるようにステージを動かし,Z座標を(基点−β)から(基点+β)までの範囲を走査し,焦点を合わせる。ここで,基点とは基板表面の平均的なZ座標の推定値を意味し,また,βは後述するγより大きな既定値である。一方,ステップS1207では,変数Nが初期撮像数に1を加えた場合に実行され,すでに画像が撮像された3次元のN個の座標(X1,Y1,Z1)から(XN-1,YN-1,ZN-1)に対して,Bスプライン曲面を近似し,近似した曲面をフォーカスマップとする。
【0051】
ステップS1208では,近似した曲面の座標(XN,YN)に対するZN’を算出する。ZN’は座標(XN,YN)に対して画像を撮像するときに焦点が合うであろうZ座標の予測値である。ステップS1209では,座標(XN,YN)が撮像できるようにステージを動かし,Z座標を(ZN’−γ)から(ZN’+γ)までの範囲を走査し,焦点を合わせる。焦点があったZ座標をZNとする。フォーカスマップを生成し,ZN’を算出することで,γを上述のβより小さく設定でき,その結果,Z座標の走査範囲を短じかくでき,焦点を合わせる時間を短くできる。また,図2のステップS1209で示したαより,γは処理が進む,すなわち,撮像する画像が増えるにつれて,小さくできる。
【0052】
ステップS1211では,焦点の合った座標(XN,YN)の画像を撮像し,撮像して得られた画像はステップS1212で画像処理プログラム234に基づいて処理されて、撮像した座標(XN,YN)の画像から欠陥を求めてその欠陥の特徴量を抽出して欠陥を分類する画像処理、又は、画像の特徴量から欠陥又はパターン又はパターン間の寸法を求める画像処理が行われ、ステップS1213では,ステップS1207でフォーカスマップを生成,あるいは更新するために,3次元座標(XN,YN,ZN)を二次記憶装置216に登録し,ステップS1204に戻る。
【0053】
図13は,図12に示した画像撮像プログラムを実行することで,焦点を合わせるためにZ座標を走査する範囲が変化する様子を模式図の一例である。この模式図では,撮像座標として,紙面の都合で9個の座標に減らして図示した。横軸は時間軸であり,縦軸は焦点を合わせるために動かすZ座標である。破線501は基板表面のZ座標を表している。縦に描いた矢印511から515,および矢印546から549は,撮像座標ごとに,焦点を合わせるために走査する範囲を表している。
【0054】
画像撮像プログラム231を実行すると,撮像順序が決定された後,1番目に撮像する座標に対して,矢印511の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が,星印521である。次に,2番目に撮像する座標に対して,矢印512の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が,星印522である。次に,3番目に撮像する座標に対して,矢印513の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が,星印523である。次に,4番目に撮像する座標に対して,矢印514の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が,星印524である。1番目から4番目までの撮像座標が,この模式図では,初期座標群である。
【0055】
そこで,次に,1番目から4番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524のZ座標に対して,曲面を近似し,5番目の撮像座標に対して,近似した曲面のZ座標,すなわち5番目の撮像座標に対して,焦点が合うであろうZ座標を予測する。次に,5番目の撮像座標に対して,矢印515の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。矢印515の中心は,近似した曲面に対する撮像座標のZ座標である。この撮像座標に対して,焦点があったZ座標が三角形525である。
【0056】
次に,1番目から5番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524および三角形525のZ座標に対して,曲面を近似し,6番目の撮像座標に対して,矢印546の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形526である。次に,1番目から6番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524および三角形525,526のZ座標に対して,曲面を近似し,7番目の撮像座標に対して,矢印547の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形527である。次に,1番目から7番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524および三角形525,526,527のZ座標に対して,曲面を近似し,8番目の撮像座標に対して,矢印548の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形528である。次に,1番目から8番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524および三角形525,526,527,528のZ座標に対して,曲面を近似し,9番目の撮像座標に対して,矢印549の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形529である。
【0057】
このように,図12の画像撮像プログラムでは,図2と異なり,新たな座標で画像を撮像する前に,既に画像を撮像した座標で焦点があったZ座標の情報をすべて使って曲面を近似することで,後半ほど精度の高いフォーカスマップを生成でき,焦点を合わせるために走査するZ座標の範囲を短くできる。この効果は、撮像箇所数が多いほど顕著になり、より短い時間での焦点合わせを実現できる。
【0058】
上記した実施例では毎回フォーカスマップを更新していたが、これを10回おき、又は20回おきなど。複数回処理するごとに行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0059】
201・・・電子源 202・・・加速電極 203・・・集束レンズ 204・・・偏向器 205・・・対物レンズ 206・・・基板(例えばウエハ) 207・・・駆動ステージ 208・・・一次電子 209・・・二次電子信号 210・・・二次電子検出器 211・・・デジタル変換部 213・・・全体制御部 214・・・中央演算処理装置CPU 215・・・一次記憶装置 216・・・二次記憶装置 217・・・入出力部 218・・・バス 219・・・反射電子信号 220a,220b・・・反射電子検出器 320・・・基板 321・・・ノッチ 501・・・基板の表面。
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製品,磁気ヘッド,磁気ディスク,太陽電池,光モジュール,発光ダイオード,液晶表示パネルなど基板上に成膜,レジスト塗布,露光,現像,エッチングなどを繰り返して形成するデバイスの出来栄え,例えば,形成したパターンの寸法や,発生した欠陥の大きさや形状などを検査するために用いる欠陥検査方法及びその装置に関する。具体的には,例えば,電子顕微鏡や光学顕微鏡にデジタルカメラを用いた欠陥検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,半導体製品,磁気ヘッド,磁気ディスク,太陽電池,光モジュール,発行ダイオード,液晶表示パネルなどの出来栄え,例えば,形成したパターンの寸法や,発生した欠陥の大きさや形状などを検査するために,電子顕微鏡が広く活用されている。
【0003】
電子顕微鏡で基板上のパターンや欠陥を観察するためには,観察対象である基板を載せているステージを,指定したXY座標が画像の中央付近に位置するように移動させる。次にステージのZ座標を動作させてパターンや欠陥に焦点を合わせて画像を撮像する。
【0004】
特許文献1には,焦点を合わせるためにZ座標(ステージの基板載置面の法線方向)を動作させる走査範囲を短くするために,フォーカスマップと称するZ座標のオフセットを予め登録しておき,そのオフセットを基準に焦点を合わせる方法が記載されている。この方法は,ある任意の基板に対して,基板上の様々な位置で焦点が合うZ座標を計測し,計測したXYZ座標群に対して,曲面を近似して,近似した曲面をフォーカスマップとして,予め電子顕微鏡に登録しておく。次に別の基板を電子顕微鏡で観察するとき,あるXY座標に対して,焦点が合うZ座標は,予め登録しておいたフォーカスマップのXY座標に対するZ座標と類似であると仮定し,そのZ座標を中心にZ座標を動作させて焦点を合わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−194272号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】著者S. Lee, G. Wolberg, S. Y. Shin:論文名“Scattered Data Interpolation with Multilevel B-Splines”,雑誌名IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics, Vol. 3, No. 3, pages 228-244 (1997年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子顕微鏡で基板上のパターンや欠陥を観察する場合、電子顕微鏡の被写界深度は狭く,焦点を合わせるために,ゆっくりZ座標を動作させる必要があり,焦点を合わせるために時間がかかることが解決すべき問題となっている。
【0008】
特許文献1に記載されている方法では、基板ごとにXY座標に対するZ座標が類似であるという仮定が十分に満たされないとき,焦点を合わせる時間が遅くなる問題がある。
【0009】
本発明は,基板ごとにXY座標に対するZ座標が類似していない場合でも,焦点を合わせるためにZ座標を動作させる走査範囲を短くでき,その結果,焦点を合わせる時間を短縮する欠陥検査方法及びその装置を提供する。
【0010】
また,特許文献1に記載されている方法では,予め任意の基板に対して,多数のXY座標に対するZ座標を計測し,フォーカスマップを登録する煩わしい作業が必要であったが,本発明は,そのような煩わしい作業は必要がない欠陥検査方法及びその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明では、欠陥検査装置を、収束させた電子ビームを試料に照射して走査することにより試料のSEM画像を取得する走査電子顕微鏡と、この走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た試料のSEM画像を処理する画像処理手段と、この画像処理手段で試料のSEM画像を処理した結果を画面上に出力する出力手段と、走査電子顕微鏡と画像処理手段と出力手段とを制御する制御手段とを備えて構成し、制御手段は、走査電子顕微鏡を制御してこの走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所を順次撮像するときに、最初の所定の数の箇所においては電子ビームの焦点位置を試料の表面の法線方向に所定の範囲を走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせてから試料を撮像し、最初の所定の数の箇所において試料の表面に合わせた電子ビームの焦点位置の情報を用いて試料の表面の曲面形状を推定し、最初の所定の数の箇所で撮像した後は、電子ビームの焦点を試料の表面に合わせるために電子ビームの焦点位置を法線方向へ走査する範囲を推定した曲面情報を用いて最初の所定の数の箇所において走査した所定の範囲よりも狭い範囲で走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせて試料を撮像するようにした。
【0012】
また、上記した課題を解決するために、本発明では、走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームを試料上の複数の箇所に順次照射して走査することにより試料の複数の箇所のSEM画像を順次取得し、この走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所を順次撮像して得た試料の複数の箇所のSEM画像を処理して試料を検査し、試料のSEM画像を処理した結果を出力する欠陥検査方法において、走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所のSEM画像を順次取得することを、最初の所定の数の箇所においては電子ビームの焦点位置を試料の表面の法線方向に所定の範囲走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせてから試料を撮像し、最初の所定の数の箇所において試料の表面に合わせた電子ビームの焦点位置の情報を用いて試料の表面の曲面形状を推定し、最初の所定の数の箇所で撮像した後は、電子ビームの焦点を試料の表面に合わせるために電子ビームの焦点位置を法線方向へ走査する範囲を推定した曲面情報を用いて最初の所定の数の箇所において走査した所定の範囲よりも狭い範囲で走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせて前記試料を撮像するようにした。
【0013】
更に、上記した課題を解決するために、本発明では、走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームの焦点を試料表面に合わせて電子ビームを走査することにより試料表面を撮像することを試料上の複数の箇所に亘って順次行うことにより試料の複数の箇所のSEM画像を順次取得し、この順次取得した試料の複数の箇所のSEM画像を処理して試料を検査し、
この検査した結果を出力する欠陥検査方法において、走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームの焦点を試料表面に合わせることを、最初の所定の数の箇所においては電子ビームの焦点位置を試料の表面の法線方向に所定の範囲走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせてから試料を撮像し、最初の所定の数の箇所で撮像した後は最初の所定の数の箇所で電子ビームの焦点を試料の表面に合わせた情報を用いて最初の所定の数の箇所において走査した所定の範囲よりも狭い範囲で走査して電子ビームの焦点を試料の表面に合わせて試料を撮像するようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,欠陥検査方法及びその装置において、様々な基板に対して,焦点を合わせるために動作させるZ座標の走査範囲を短くでき,その結果,焦点を合わせる時間を短縮できる。また,予め任意の基板に対して,多数のXY座標に対するZ座標を計測し,フォーカスマップを登録するといった煩わしい作業を必要とせずに画像を撮像することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電子顕微鏡装置の概要の一例を示すブロック図である。
【図2】画像撮像プログラムのフローチャートの一例を示すフロー図である。
【図3】撮像座標データの一例を示す図である。
【図4】撮像座標データを図示したマップの一例を示すウェハの平面図である。
【図5】撮像順序決定プログラムのフローチャートの一例を示すフロー図である。
【図6】基準座標の一例を示すウェハの平面図である。
【図7】初期撮像座標群の一例を示すウェハの平面図である。
【図8】整列後の撮像座標データの一例を示す図である。
【図9】初期撮像座標群の画像を撮像した後の撮像座標データの一例を示す図である。
【図10】曲面を近似した後の撮像座標データの一例を示す図である。
【図11】時間軸に対する概念図の一例を示すグラフである。
【図12】画像撮像プログラムのフローチャートの一例を示すフロー図である。
【図13】時間軸に対する概念図の一例を示すグラフである。
【図14】近似した曲面を表示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す画面の正面図である。
【図15】曲面と実測値の誤差を表示するグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す画面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は,実施例1に係る欠陥検査方法及びその装置の一例として,走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)の概要の一例を示した図である。走査電子顕微鏡は一次電子208を発生させる電子源201と,一次電子を加速するための加速電極202と,一次電子を収束するための集束レンズ203と,ビームを絞るためのアパーチャ212と、一次電子を二次元走査偏向する偏向器204と,ビームを基板206に照射するのを一時ストップさせるためのブランキング電極221と、一次電子をウエハなどの基板206上に収束させるための対物レンズ205とを備えている。207は基板206を搭載する駆動ステージである。210は基板206より発生した二次電子信号209を検出する検出器であり,220a,220bはそれぞれ反射電子信号219を検出する反射電子検出器である。同図では,反射電子検出器220a,220bは対向して二つ設置されており,それぞれ基板206から放出された反射電子信号の異なる成分を検出する。211は検出された信号をデジタル化するためのデジタル変換部(A/D変換部)である。これらの各部位は,バス218を介して全体制御部213に接続されている。
【0018】
本実施例に係る走査電子顕微鏡には,そのほかに,中央演算処理装置(CPU)214,一次記憶装置215,二次記憶装置216,キーボード,マウス,ディスプレイ,プリンタ,ネットワークインターフェースなどの入出力部217が備わっている。また,二次記憶装置216には,基板206の面内で画像を撮像すべき座標群が記された撮像座標データ230,駆動ステージを移動させて,画像を撮像する画像撮像プログラム231,撮像座標データを整列させて撮像する順序を決定する撮像順序決定プログラム232,画像を撮像するXY座標とそのときに焦点が合ったZ座標からBスプライン曲面や応答曲面など曲面を近似する曲面近似プログラム233、撮像して得た画像(SEM画像)を処理して欠陥を抽出し欠陥の画像特徴量を求めて欠陥を分類したり、撮像して得た画像を処理して画像に含まれるパターンの寸法やパターン間の寸法を求めるなどの処理を行うための画像処理プログラム234などが格納されている。これらのプログラムは,二次記憶装置216から一次記憶装置215に読み出され,中央演算処理装置(CPU)214で計算される。
【0019】
図2は,画像撮像プログラム231のフローチャートの一例である。画像撮像プログラム231では,まずステップS301で撮像座標データ230を読み込み,ステップS302で読み込んだ撮像座標データ230に記された座標群に対して撮像する順序を決める。ここで、ステップS301で読込む撮像座標データ230は、基板206上に形成された回路パターンの設計データ(CADデータ)であっても良いし、または、他の検査装置で検査して検出した欠陥(パターン欠陥、異物欠陥など)の位置情報であってもよい。
【0020】
本フローチャートでは,座標群を撮像する順番に(X1,Y1),(X2,Y2),・・・,(XN,YN),・・・,(X座標数,Y座標数)と定義する。また,座標(XN,YN)を撮像するときに焦点が合ったZ座標をZNと定義し,その3次元座標を(XN,YN,ZN)と定義する。次にステップS303で変数Nにゼロを代入し,ステップS304で変数Nに1をインクリメントする。次にステップS305の条件分岐で変数Nが撮像座標データ230に記された座標群の数を超えたら,プログラムを終了する。
【0021】
一方,ステップS305の条件分岐で変数Nが座標群の数を超えていなかったら,ステップS306に処理を進める。ステップS306では変数NとSステップ302の中で定める初期撮像数を比較し,ステップS307,ステップS308,ステップS310のいずれかに処理を進める。変数Nが初期撮像数に1を加えた値より小さい場合,ステップS310へ進み,変数Nが初期撮像数に1を加えた値と等しい場合,ステップS307へ進み,変数Nが初期撮像数に1を加えた値より大きい場合,ステップS308へ進む。
【0022】
ステップS310では,変数Nが1から初期撮像数までの場合に実行され,座標(XN,YN)が撮像できるようにステージを動かし,Z座標を(基点−β)から(基点+β)までの範囲を走査し,焦点を合わせる。ここで,基点とは基板表面の平均的なZ座標の推定値を意味し,また,βは後述するαより大きな既定値である。一方,ステップS307では,変数Nが初期撮像数に1を加えた場合に実行され,すでに画像が撮像された3次元のN個の座標(X1,Y1,Z1)から(XN-1,YN-1,ZN-1)に対して,Bスプライン曲面を近似し,近似した曲面をフォーカスマップとする。
【0023】
ステップS308では,近似した曲面の座標(XN,YN)に対するZN’を算出する。ZN’は座標(XN,YN)に対して画像を撮像するときに焦点が合うであろうZ座標の予測値である。
【0024】
ステップS309では,座標(XN,YN)が撮像できるようにステージを動かし,Z座標を(ZN’−α)から(ZN’+α)までの範囲を走査し,焦点を合わせる。焦点があったZ座標をZNとする。フォーカスマップを生成し,ZN’を算出することで,αを上述のβより小さく設定でき,その結果,Z座標の走査範囲を短くでき,焦点を合わせる時間を短くできる。ステップS311では,焦点の合った座標(XN,YN)の画像を撮像し,撮像して得られた画像はステップS312で画像処理プログラム234に基づいて処理されて、撮像した座標(XN,YN)の画像から欠陥を求めてその欠陥の特徴量を抽出して欠陥を分類する画像処理、又は、画像の特徴量から欠陥又はパターン又はパターン間の寸法を求める画像処理が行われ、ステップS313では,ステップS307でフォーカスマップを生成,あるいは更新するために,3次元座標(XN,YN,ZN)を二次記憶装置216に登録し,ステップS304に戻る。
【0025】
図14は,ステップS307で近似した曲面を表示するグラフィカルユーザインターフェースの一例である。グラフィカルユーザインターフェース800は,近似した曲面,すなわちフォーカスマップを表示する部分820,検査対象のウエハ番号を表示する部分810,表示するフォーカスマップの種類を選択する部分840,フォーカスマップと同時に表示する欠陥を選択する部分841,フォーカスマップを表示するときの目盛りを表示する部分842を有する。フォーカスマップを表示する部分820には,ウエハの外枠821が描かれ,ウエハの方向が分かるように,ノッチ822が描かれている。また,フォーカスマップは,ウエハ全面ではなく,集積回路など製品が形成される領域だけに対して計算されるため,その領域823が表示されている。
【0026】
領域823には,フォーカスマップの偏りがわかるように,色付けされ,また,等高線が描かれている。色付けの定義は,目盛り842として表示されている。また,表示するフォーカスマップは,選択部分840で"Front","All","Difference"のいずれか一つを選択する。"Front"を選ぶと,初期撮像座標群を基に,ステップS307で近似した曲面がフォーカスマップとして表示される。"All"を選ぶと,入力したすべての座標群から,ステップS307と同様に,Bスプライン曲面を近似し,その結果が表示される。
"Difference"を選択すると,"All"を選んだ場合に表示される曲面と,"Front"を選んだ場合に表示される曲面を,その座標毎に差分を算出した結果が表示される。また,このグラフィカルユーザインターフェースでは,フォーカスマップと同時に画像を撮像した座標を同時に表示できる。画像を撮像する座標を同時に表示するか否かは,選択部分841で選択する。選択方法は,"Front"と"Others"の組合せで,両方とも選択しない場合,"Front"だけ選択する場合,"Others"だけを選択する場合,両方選択する場合の4通りがある。"Front"を選択すると,星印831で示した初期撮像座標群がフォーカスマップに重ねて表示される。"Others"を選択すると,三角832で示した初期撮像座標群を除いた他の座標がすべて表示される。
【0027】
図15は,ステップS307で近似した曲面と,画像撮像時に焦点を合わせたときのZ座標の間の誤差を表示するグラフィカルユーザインターフェースの一例である。
【0028】
グラフィカルユーザインターフェース900は,グラフ表示部分920,検査対象のウエハ番号を表示する部分910,表示するデータを選択する部分931,近似した曲面,すなわちフォーカスマップと,実際に画像撮像時に焦点を合わせたときのZ座標の間の誤差を数1に示すRMSE(Root Mean Square Error)として表示する部分932,ステップS309で焦点を合わせるために走査する範囲αの値を表示および入力する部分933,ステップS309で焦点が合うZ座標が走査する(ZN’−α)から(ZN’+α)までの範囲に入らず,焦点合わせを失敗する確率を推定した結果を表示および入力する部分934を有する。
【0029】
【数1】
【0030】
グラフ表示部分920には,画像撮像時に焦点を合わせたときのZ座標を横軸に,フォーカスマップによる予測値を縦軸にとり,撮像する座標ごとに打点した散布図を表示している。直線921は,縦軸と横軸が同じである直線で,直線921に打点が近いほど,フォーカスマップの精度がよいことがわかる。この精度を定量的に示した結果が,RMSE表示部分932に表示した値である。散布図中に2本描かれている破線922は,Z座標が走査する範囲の+αと−αを示した直線である。破線922の描画は,αの値を表示および入力する部分933に入力した値と連動する。
【0031】
散布図に打点する元データは,データ選択部分931で,"with Front"ないしは"without Front"のいずれか一つを選択して決まる。"with Front"を選択すると,画像を撮像するすべてのXY座標に対応するZ座標が対象となる。ただし,"with Front"には,フォーカスマップを生成するときの初期撮像座標群が含まれる。"without Front"を選択すると,画像を撮像するすべての座標群から初期撮像座標群を除いたXY座標に対応するZ座標が対象となる。
【0032】
また,αの値を表示および入力する部分933と,焦点合わせの失敗確率を表示および入力する部分934の値は,連動する。たとえば,この散布図の例のように,RMSEが22.7ナノメートルである場合に,αの値として,22.7の3.99倍の値,すなわち90.6を入力すると,失敗確率,すなわち2つの破線922より外側に打点してしまう確率は,100ppmとなる。この計算は,RMSEを標準偏差と同じと仮定し,αを標準偏差の3.99倍としたことと等価である。すなわち,数2に示す正規分布の確率密度関数に対して,+αより大きい,ないしは−αより小さくなる確率を,数3のように計算した結果である。数2の中でσは標準偏差,すなわち,ここではRMSE,μは,ZN’とZNの差の平均値である。
【0033】
【数2】
【0034】
【数3】
【0035】
図3は,S301で読込む撮像座標データ230の一例である。撮像座標データ230は,複数のXY座標を有し,それぞれの座標には通し番号が付与されている。最左列のPoint2301が座標の通し番号,2列目のX2302がX座標,3列目のY2303がY座標である。この例では,122個の座標が記されているが,本発明は,122個の座標に限ったものではなく,複数個であれば何個でもよい。
【0036】
図4は,図3に示した撮像座標データ230を視覚的に図示した一例である。丸枠320は基板を表し,基板には座標系の基準となるノッチ321がある。この例では,ノッチ321を下側にした場合に,半導体製品や磁気ヘッドなどが作られる最下端にX軸322,最左端にY軸323が定義されている。このXY座標系に対して,撮像座標データ230を読み込み,座標群を打点したものが,黒塗りの三角形である。例えば,三角形331は,図3の通し番号 (Point) 2301が1の座標(81.4,46.2),三角形332は,図3の通し番号(Point) 2301が2の座標(107.3,46.2)を表している。
【0037】
図5は,図2に示した画像撮像プログラムのステップS302,すなわち撮像順序を決めるための撮像順序決定プログラム232のフローチャートの一例である。ステップS401では,複数のXY座標を有する基準座標を二次記憶装置216から読み込む。基準座標とは,フォーカスマップを生成するためにZ座標を測定しておくことを推奨する座標群である。ステップS402では,ステップS401で読み込んだ各基準座標から最も近距離の撮像座標を撮像座標データ230の中から選び出す。次にステップS403では,選ばれた複数の撮像座標をはじめに撮像するように撮像座標データを整列し,撮像順序とする。
【0038】
図6は,撮像順序決定プログラム232のステップS401で読み込む基準座標を視覚的に図示した一例である。この例では10個の打点410が基準座標である。基準座標は,ウエハ周辺のエッジ部付近に配置するとともに,全面に散らばるように配置することが望ましい。ここで示した基準座標は,予め二次記憶装置216に登録しておいてもよいし,入出力部217を用いて,基板を観察する度に設定してもよい。また,この例では,基準座標として10個の座標を示したが,10個に限定したものではなく,複数の座標であれば,何個でも構わない。
【0039】
図7は,撮像順序決定プログラム232のステップS402で選ばれた撮像座標を視覚的に図示した一例である。この例では,図4に三角形で示した座標群の中で,図6の10個の打点から,それぞれ最短距離に位置する撮像座標が選ばれている。10個の星印420が選ばれた撮像座標である。
【0040】
図8は,撮像順序決定プログラム232で決定した撮像順序の一例である。この例では,図3に示した撮像座標データ2301、2302及び2303のうち,図7の星印420で示した10個の座標が上位に記されている。ここで,星印420で示され,上位に記された座標群を,初期撮像座標群810と称する。
【0041】
図9は,図2に示した画像撮像プログラム231のステップS312で登録した3次元座標の一例である。この例では,図8に示した初期撮像座標群810をすべて撮像し終わった段階,すなわち,(X1,Y1,Z1)から(X10,Y10,Z10)まで登録された結果である。図8で示した撮像順序に整列された撮像座標データ801,802及び803に,撮像が完了した10個のZ座標,すなわち焦点が合ったZ座標901が追記されている。
【0042】
図10は,図2に示した画像撮像プログラム231のステップS307,すなわち曲面近似プログラム233で曲面を近似した結果の一例である。ここでは,(X1,Y1,Z1)から(X10,Y10,Z10)まで登録された結果に対して,Bスプライン曲面を近似した結果である。Bスプライン曲面近似とは,非特許文献1に記載されているように,順序づけられた16個の制御点の位置ベクトルで滑らかな自由曲面を生成する方法で,CAD(Computer Aided Design)ツールで広く利用されている方法である。表の最右列Z’1001が近似したBスプライン曲面上でのXY座標に対するZ座標である。この例では,Bスプライン曲面近似を用いたが,本発明は,Bスプライン曲面に限らず,応答曲面やBezier曲面を近似してもよい。
図11は,図2に示した画像撮像プログラムを実行することで,焦点を合わせるためにZ座標を走査する範囲が変化する様子を示した模式図の一例である。この模式図では,撮像座標として,紙面の都合で9個の座標に減らして図示した。横軸は時間軸であり,縦軸は焦点を合わせるために動かすZ座標である。破線501は基板表面のZ座標を表している。縦に描いた矢印511から519は,撮像座標ごとに,焦点を合わせるために走査するZ方向の範囲を表している。
【0043】
画像撮像プログラムを実行すると,撮像順序が決定された後,1番目に撮像する座標に対して,矢印511の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。矢印511の中心は,基点の高さとなる。焦点があったZ座標が,星印521である。次に,2番目に撮像する座標に対して,矢印512の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。矢印512の中心は,基点の高さとなる。焦点があったZ座標が,星印522である。次に,3番目に撮像する座標に対して,矢印513の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。矢印513の中心は,基点の高さとなる。焦点があったZ座標が,星印523である。次に,4番目に撮像する座標に対して,矢印514の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。矢印514の中心は,基点の高さとなる。焦点があったZ座標が,星印524である。
【0044】
1番目から4番目までの撮像座標が,この模式図では,初期座標群である。そこで,次に,1番目から4番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524のZ座標に対して,曲面を近似する。5番目から9番目までの撮像座標に対して,近似した曲面のZ座標,すなわち5番目から9番目までの撮像座標に対して,焦点が合うであろうZ座標の予測値が一点鎖線530である。
【0045】
次に,5番目の撮像座標に対して,一点鎖線530が中心に位置するように,矢印515の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。一点鎖線530は,矢印515の中心で交差する。焦点があったZ座標が三角形525である。次に,6番目の撮像座標に対して,一点鎖線530が中心に位置するように,矢印516の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形526である。次に,7番目の撮像座標に対して,一点鎖線530が中心に位置するように,矢印517の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形527である。次に,8番目の撮像座標に対して,一点鎖線530が中心に位置するように,矢印518の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形528である。次に,9番目の撮像座標に対して,一点鎖線530が中心に位置するように,矢印519の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形529である。
【0046】
このように、本実施例によれば、初期撮像座標群の焦点位置情報に基づいて近似した曲面を求め、この曲面を中心としてZ方向の捜査範囲を狭めることにより、より短い時間で焦点合わせを行うことができる。
【実施例2】
【0047】
実施例1では,画像撮像プログラム231の中で,初期撮像座標群の画像撮像が完了した時点で,1度だけ曲面を近似し,フォーカスマップを生成する例を示した。一方,実施例2では,随時フォーカスマップを更新する例を示す。
【0048】
図12は,画像撮像プログラム231のフローチャートで,図2とは別の一例である。画像撮像プログラムでは,まずステップS1201で撮像座標データ230を読み込み,ステップS1202で読み込んだ撮像座標データ230に記された座標群に対して撮像する順序を決める。次にステップS1203で変数Nにゼロを代入し,ステップS1204で変数Nに1をインクリメントする。次にステップS1205の条件分岐で変数Nが撮像座標データ230に記された座標群の数を超えたら,プログラムを終了する。
【0049】
一方,ステップS1205の条件分岐で変数Nが座標群の数を超えていなかったら,ステップS1206に処理を進める。ステップS1206では変数NとステップS1202の中で定める初期撮像数を比較し,ステップS1207とステップS1210のいずれかに処理を進める。変数Nが初期撮像数に1を加えた値より小さい場合,ステップS1210へ進み,それ以外の場合,ステップS1207へ進む。
【0050】
ステップS1210では,変数Nが1から初期撮像数までの場合に実行され,座標(XN,YN)が撮像できるようにステージを動かし,Z座標を(基点−β)から(基点+β)までの範囲を走査し,焦点を合わせる。ここで,基点とは基板表面の平均的なZ座標の推定値を意味し,また,βは後述するγより大きな既定値である。一方,ステップS1207では,変数Nが初期撮像数に1を加えた場合に実行され,すでに画像が撮像された3次元のN個の座標(X1,Y1,Z1)から(XN-1,YN-1,ZN-1)に対して,Bスプライン曲面を近似し,近似した曲面をフォーカスマップとする。
【0051】
ステップS1208では,近似した曲面の座標(XN,YN)に対するZN’を算出する。ZN’は座標(XN,YN)に対して画像を撮像するときに焦点が合うであろうZ座標の予測値である。ステップS1209では,座標(XN,YN)が撮像できるようにステージを動かし,Z座標を(ZN’−γ)から(ZN’+γ)までの範囲を走査し,焦点を合わせる。焦点があったZ座標をZNとする。フォーカスマップを生成し,ZN’を算出することで,γを上述のβより小さく設定でき,その結果,Z座標の走査範囲を短じかくでき,焦点を合わせる時間を短くできる。また,図2のステップS1209で示したαより,γは処理が進む,すなわち,撮像する画像が増えるにつれて,小さくできる。
【0052】
ステップS1211では,焦点の合った座標(XN,YN)の画像を撮像し,撮像して得られた画像はステップS1212で画像処理プログラム234に基づいて処理されて、撮像した座標(XN,YN)の画像から欠陥を求めてその欠陥の特徴量を抽出して欠陥を分類する画像処理、又は、画像の特徴量から欠陥又はパターン又はパターン間の寸法を求める画像処理が行われ、ステップS1213では,ステップS1207でフォーカスマップを生成,あるいは更新するために,3次元座標(XN,YN,ZN)を二次記憶装置216に登録し,ステップS1204に戻る。
【0053】
図13は,図12に示した画像撮像プログラムを実行することで,焦点を合わせるためにZ座標を走査する範囲が変化する様子を模式図の一例である。この模式図では,撮像座標として,紙面の都合で9個の座標に減らして図示した。横軸は時間軸であり,縦軸は焦点を合わせるために動かすZ座標である。破線501は基板表面のZ座標を表している。縦に描いた矢印511から515,および矢印546から549は,撮像座標ごとに,焦点を合わせるために走査する範囲を表している。
【0054】
画像撮像プログラム231を実行すると,撮像順序が決定された後,1番目に撮像する座標に対して,矢印511の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が,星印521である。次に,2番目に撮像する座標に対して,矢印512の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が,星印522である。次に,3番目に撮像する座標に対して,矢印513の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が,星印523である。次に,4番目に撮像する座標に対して,矢印514の範囲でZ座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が,星印524である。1番目から4番目までの撮像座標が,この模式図では,初期座標群である。
【0055】
そこで,次に,1番目から4番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524のZ座標に対して,曲面を近似し,5番目の撮像座標に対して,近似した曲面のZ座標,すなわち5番目の撮像座標に対して,焦点が合うであろうZ座標を予測する。次に,5番目の撮像座標に対して,矢印515の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。矢印515の中心は,近似した曲面に対する撮像座標のZ座標である。この撮像座標に対して,焦点があったZ座標が三角形525である。
【0056】
次に,1番目から5番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524および三角形525のZ座標に対して,曲面を近似し,6番目の撮像座標に対して,矢印546の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形526である。次に,1番目から6番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524および三角形525,526のZ座標に対して,曲面を近似し,7番目の撮像座標に対して,矢印547の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形527である。次に,1番目から7番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524および三角形525,526,527のZ座標に対して,曲面を近似し,8番目の撮像座標に対して,矢印548の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形528である。次に,1番目から8番目までの撮像座標と,星印521,522,523,524および三角形525,526,527,528のZ座標に対して,曲面を近似し,9番目の撮像座標に対して,矢印549の範囲を決定し,Z座標を動かして,焦点を合わせる。焦点があったZ座標が三角形529である。
【0057】
このように,図12の画像撮像プログラムでは,図2と異なり,新たな座標で画像を撮像する前に,既に画像を撮像した座標で焦点があったZ座標の情報をすべて使って曲面を近似することで,後半ほど精度の高いフォーカスマップを生成でき,焦点を合わせるために走査するZ座標の範囲を短くできる。この効果は、撮像箇所数が多いほど顕著になり、より短い時間での焦点合わせを実現できる。
【0058】
上記した実施例では毎回フォーカスマップを更新していたが、これを10回おき、又は20回おきなど。複数回処理するごとに行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0059】
201・・・電子源 202・・・加速電極 203・・・集束レンズ 204・・・偏向器 205・・・対物レンズ 206・・・基板(例えばウエハ) 207・・・駆動ステージ 208・・・一次電子 209・・・二次電子信号 210・・・二次電子検出器 211・・・デジタル変換部 213・・・全体制御部 214・・・中央演算処理装置CPU 215・・・一次記憶装置 216・・・二次記憶装置 217・・・入出力部 218・・・バス 219・・・反射電子信号 220a,220b・・・反射電子検出器 320・・・基板 321・・・ノッチ 501・・・基板の表面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収束させた電子ビームを試料に照射して走査することにより前記試料のSEM画像を取得する走査電子顕微鏡と、
該走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た該試料のSEM画像を処理する画像処理手段と、
該画像処理手段で前記試料のSEM画像を処理した結果を画面上に出力する出力手段と、
前記走査電子顕微鏡と前記画像処理手段と前記出力手段とを制御する制御手段と
を備えた欠陥検査装置であって、
前記制御手段は前記走査電子顕微鏡を制御して該走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所を順次撮像するときに、最初の所定の数の箇所においては前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に所定の範囲を走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせてから前記試料を撮像し、前記最初の所定の数の箇所において前記試料の表面に合わせた前記電子ビームの焦点位置の情報を用いて前記試料の表面の曲面形状を推定し、前記最初の所定の数の箇所で撮像した後は、前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせるために前記電子ビームの焦点位置を前記法線方向へ走査する範囲を前記推定した曲面情報を用いて前記最初の所定の数の箇所において走査した前記所定の範囲よりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせて前記試料を撮像することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記試料上の最初の所定の数の箇所を設定し、該設定した箇所において前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に所定の範囲を走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせてから前記試料を撮像することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記推定した曲面情報を用いて前記最初の所定の数の箇所において走査した前記所定の範囲よりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせた焦点位置の情報を用いて前記推定した試料の表面の曲面形状を修正することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記試料の表面の曲面形状を推定することを、前記最初の所定の数の箇所において前記試料の表面に合わせた前記電子ビームの焦点位置の情報を用いてBスプライン曲面を近似することにより行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記推定した前記試料表面の曲面形状を前記画面上に表示することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームを試料上の複数の箇所に順次照射して走査することにより前記試料の複数の箇所のSEM画像を順次取得し、
該走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所を順次撮像して得た該試料の複数の箇所のSEM画像を処理して前記試料を検査し、
該試料のSEM画像を処理した結果を出力する
欠陥検査方法であって、
前記走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所のSEM画像を順次取得することを、最初の所定の数の箇所においては前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に所定の範囲走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせてから前記試料を撮像し、前記最初の所定の数の箇所において前記試料の表面に合わせた前記電子ビームの焦点位置の情報を用いて前記試料の表面の曲面形状を推定し、前記最初の所定の数の箇所で撮像した後は、前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせるために前記電子ビームの焦点位置を前記法線方向へ走査する範囲を前記推定した曲面情報を用いて前記最初の所定の数の箇所において走査した前記所定の範囲よりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせて前記試料を撮像することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項7】
前記試料上の最初の所定の数の箇所を予め記憶されていたデータに基づいて設定し、該設定した箇所において前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に所定の範囲を走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせてから前記試料を撮像することを特徴とする請求項6記載の欠陥検査方法。
【請求項8】
前記推定した曲面情報を用いて前記最初の所定の数の箇所において走査した前記所定の範囲よりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせた焦点位置の情報を用いて前記推定した試料の表面の曲面形状を修正することを特徴とする請求項6記載の欠陥検査方法。
【請求項9】
前記試料の表面の曲面形状を推定することを、前記最初の所定の数の箇所において前記試料の表面に合わせた前記電子ビームの焦点位置の情報を用いてBスプライン曲面を近似することにより行うことを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項10】
前記推定した前記試料表面の曲面形状を前記画面上に表示することを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項11】
走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームの焦点を試料表面に合わせて該電子ビームを走査することにより該試料表面を撮像することを前記試料上の複数の箇所に亘って順次行うことにより前記試料の複数の箇所のSEM画像を順次取得し、
該順次取得した前記試料の複数の箇所のSEM画像を処理して前記試料を検査し、
該検査した結果を出力する
欠陥検査方法であって、
前記走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームの焦点を試料表面に合わせることを、最初の所定の数の箇所においては前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に所定の範囲走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせてから前記試料を撮像し、前記最初の所定の数の箇所で撮像した後は前記最初の所定の数の箇所で前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせた情報を用いて前記最初の所定の数の箇所において走査した前記所定の範囲よりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせて前記試料を撮像することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項12】
前記最初の所定の数の箇所で撮像した後に前記試料を撮像するときには、それより先に前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせた焦点位置の情報を用いて、それより先に前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせるために前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に走査した範囲と同じかそれよりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面に合わせることを特徴とする請求項11記載の欠陥検査方法。
【請求項13】
前記撮像する最初の所定の数の箇所は、前記試料上で予め指定された箇所であることを特徴とする請求項11記載の欠陥検査方法。
【請求項1】
収束させた電子ビームを試料に照射して走査することにより前記試料のSEM画像を取得する走査電子顕微鏡と、
該走査電子顕微鏡で試料を撮像して得た該試料のSEM画像を処理する画像処理手段と、
該画像処理手段で前記試料のSEM画像を処理した結果を画面上に出力する出力手段と、
前記走査電子顕微鏡と前記画像処理手段と前記出力手段とを制御する制御手段と
を備えた欠陥検査装置であって、
前記制御手段は前記走査電子顕微鏡を制御して該走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所を順次撮像するときに、最初の所定の数の箇所においては前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に所定の範囲を走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせてから前記試料を撮像し、前記最初の所定の数の箇所において前記試料の表面に合わせた前記電子ビームの焦点位置の情報を用いて前記試料の表面の曲面形状を推定し、前記最初の所定の数の箇所で撮像した後は、前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせるために前記電子ビームの焦点位置を前記法線方向へ走査する範囲を前記推定した曲面情報を用いて前記最初の所定の数の箇所において走査した前記所定の範囲よりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせて前記試料を撮像することを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記試料上の最初の所定の数の箇所を設定し、該設定した箇所において前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に所定の範囲を走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせてから前記試料を撮像することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記推定した曲面情報を用いて前記最初の所定の数の箇所において走査した前記所定の範囲よりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせた焦点位置の情報を用いて前記推定した試料の表面の曲面形状を修正することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記試料の表面の曲面形状を推定することを、前記最初の所定の数の箇所において前記試料の表面に合わせた前記電子ビームの焦点位置の情報を用いてBスプライン曲面を近似することにより行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記推定した前記試料表面の曲面形状を前記画面上に表示することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームを試料上の複数の箇所に順次照射して走査することにより前記試料の複数の箇所のSEM画像を順次取得し、
該走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所を順次撮像して得た該試料の複数の箇所のSEM画像を処理して前記試料を検査し、
該試料のSEM画像を処理した結果を出力する
欠陥検査方法であって、
前記走査電子顕微鏡で試料上の複数の箇所のSEM画像を順次取得することを、最初の所定の数の箇所においては前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に所定の範囲走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせてから前記試料を撮像し、前記最初の所定の数の箇所において前記試料の表面に合わせた前記電子ビームの焦点位置の情報を用いて前記試料の表面の曲面形状を推定し、前記最初の所定の数の箇所で撮像した後は、前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせるために前記電子ビームの焦点位置を前記法線方向へ走査する範囲を前記推定した曲面情報を用いて前記最初の所定の数の箇所において走査した前記所定の範囲よりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせて前記試料を撮像することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項7】
前記試料上の最初の所定の数の箇所を予め記憶されていたデータに基づいて設定し、該設定した箇所において前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に所定の範囲を走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせてから前記試料を撮像することを特徴とする請求項6記載の欠陥検査方法。
【請求項8】
前記推定した曲面情報を用いて前記最初の所定の数の箇所において走査した前記所定の範囲よりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせた焦点位置の情報を用いて前記推定した試料の表面の曲面形状を修正することを特徴とする請求項6記載の欠陥検査方法。
【請求項9】
前記試料の表面の曲面形状を推定することを、前記最初の所定の数の箇所において前記試料の表面に合わせた前記電子ビームの焦点位置の情報を用いてBスプライン曲面を近似することにより行うことを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項10】
前記推定した前記試料表面の曲面形状を前記画面上に表示することを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項11】
走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームの焦点を試料表面に合わせて該電子ビームを走査することにより該試料表面を撮像することを前記試料上の複数の箇所に亘って順次行うことにより前記試料の複数の箇所のSEM画像を順次取得し、
該順次取得した前記試料の複数の箇所のSEM画像を処理して前記試料を検査し、
該検査した結果を出力する
欠陥検査方法であって、
前記走査電子顕微鏡で収束させた電子ビームの焦点を試料表面に合わせることを、最初の所定の数の箇所においては前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に所定の範囲走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせてから前記試料を撮像し、前記最初の所定の数の箇所で撮像した後は前記最初の所定の数の箇所で前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせた情報を用いて前記最初の所定の数の箇所において走査した前記所定の範囲よりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせて前記試料を撮像することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項12】
前記最初の所定の数の箇所で撮像した後に前記試料を撮像するときには、それより先に前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせた焦点位置の情報を用いて、それより先に前記電子ビームの焦点を前記試料の表面に合わせるために前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面の法線方向に走査した範囲と同じかそれよりも狭い範囲で走査して前記電子ビームの焦点位置を前記試料の表面に合わせることを特徴とする請求項11記載の欠陥検査方法。
【請求項13】
前記撮像する最初の所定の数の箇所は、前記試料上で予め指定された箇所であることを特徴とする請求項11記載の欠陥検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図4】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−94430(P2012−94430A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242181(P2010−242181)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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