説明

殺虫性ベンズアミジン類

【課題】殺虫殺ダニ剤として優れた殺虫殺ダニ効果を示す新規なベンズアミジン類を提供すること。
【解決手段】式


で表されるベンズアミジン類および殺虫殺ダニ剤としてのその利用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なベンズアミジン類およびその殺虫剤としての利用に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ベンズアミド類が殺虫剤として有用であることが記載されている。
【特許文献1】PCT国際公開WO 2005/021488パンフレット
【特許文献2】PCT国際公開WO 2005/073165パンフレット
【発明の開示】
【0003】
本発明者らは、殺虫剤としてより高い効果を示し且つより高い安全性を示す新規化合物を創製すべく鋭意研究を行った結果、今回、優れた殺虫活性を有する下記式(I)で表される新規なベンズアミジン類を見出した。
【0004】
【化3】

式中、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、置換されていてもよいアリール、アラルキル、アルキルアミノカルボニルまたはジアルキルアミノアルキルを示し、
は水素またはアルキルを示し、
とRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により1個のO原子を含む、5または6員のヘテロ環を形成してもよい、
は水素、アルキル、ハロアルキル、シアノまたはアリールを示し、
とRは、夫々が結合するN原子とC原子と一緒になって、置換されていてもよい5または6員のヘテロ環を形成してもよい、
、X、XおよびXは同一でも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、ニトロまたはシアノを示し、
Aはアルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコキシカルボニルアルキルまたはシクロアルキルメチルを示し、そして
nは0または1を示す。
【0005】
本発明の式(I)の化合物は、例えば下記製法(a)および(f)により得ることができる。
【0006】
製法(a):{式(I)中、XとXの少なくとも一方が電子吸引性基を示し、nが0を示す場合}
式(II)
【0007】
【化4】

(式中、R、R、R、X、X、XおよびXは前記と同義である。但し、XとXの少なくとも一方が電子吸引性基を示す。halはハロゲンを示す。)
で表される化合物を、
式(III)
【0008】
【化5】

(式中、Aは前記と同義である)
で表される化合物と反応させる方法。
【0009】
製法(b):{式(I)中、nが1を示す場合}
式(Ib)
【0010】
【化6】

(式中、R、R、R、X、X、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物を酸化させる方法。
【0011】
製法(c):{式(I)中、Rが水素、アルキルまたはアリールを示す場合}
式(IV)
【0012】
【化7】

(式中、X、X、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物を、
式(V)
【0013】
【化8】

(式中、RおよびRは前記と同義であり、そしてR31は水素、アルキルまたはアリールを示す)
で表される化合物と反応させる方法。
【0014】
製法(d):{式(I)中、Rがパーフルオロアルキルを示す場合}
式(VI)
【0015】
【化9】

(式中、X、X、X、XおよびAは前記と同義であり、そしてR32はパーフルオロアルキルを示す)
で表される化合物を、
式(VII)
【0016】
【化10】

(式中、RおよびRは前記と同義である)
で表される化合物と反応させる方法。
【0017】
製法(e):{式(I)中、Rがシアノを示す場合}
式(VIII)
【0018】
【化11】

(式中、X、X、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物を、前記式(VII)と反応させる方法。
【0019】
製法(f):{式(I)中、Rがアルキルアミノカルボニルを示す場合}
式(If)
【0020】
【化12】

(式中、R、R、X、X、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物を、式(X)
【0021】
【化13】

(式中、R11はアルキルアミノカルボニルを示す)
で表される化合物と反応させる方法。
【0022】
本発明によれば、前記式(I)のベンズアミジン類は強力な殺虫作用を示す。
【0023】
本明細書において、
「アルキル」は、例えば、メチル、エチル、n−もしくはiso−プロピル、n−、iso−、sec−もしくはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル等の直鎖状または分枝状のC1−12アルキルを示し、好ましくはC1−6アルキルを示す。
【0024】
「アルケニル」は、例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1,3−ブタンジエニル、2−ペンテニル等のC2−5アルケニルを示し、好ましくはC2−4アルケニルを示す。
【0025】
「アルキニル」は、例えば、エチニル、1−プロピニル、プロパルギルのC2−3アルキニルを示し、好ましくはこれらのC2−3アルキニルを示す。
【0026】
「アルコキシ」、「ハロアルキル」、「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノカルボニル」、「ジアルキルアミノアルキル」、「ハロアルコキシ」、「アルコキシカルボニル」、「アルコキシカルボニル」および「アルコキシカルボニルアルキル」における各アルキル部分は、上記「アルキル」で説明したと同様のものを例示することができる。
【0027】
「シクロアルキル」は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルのC3−8シクロアルキルを示し、好ましくは、C3−6シクロアルキルを示す。
【0028】
「アリール」はフェニル、α−またはβ−ナフチルを示し、好ましくはフェニルを示す。
【0029】
「アラルキル」は、例えば、ベンジル、フェネチル、α−メチルベンジルを示し、好ましくは、ベンジルを示す。
【0030】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を示し、好ましくは、フッ素、塩素および臭素を示す。
【0031】
「ハロアルキル」および「ハロアルコキシ」における各ハロゲン部分は、上記「ハロゲン」で説明したと同様のものを例示することができる。
【0032】
1個のN原子を含み、また場合により1個のO原子を含む、5または6員のヘテロ環は、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリンを示す。
【0033】
本発明の式(I)の化合物において、
が水素、C1−6アルキル、C2−4アルケニル、C2−3アルキニル、C1−4アルコキシ、C3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルキル、C2−4(総炭素数)アルコキシアルキル、置換されていてもよいC6−10アリール、C7−8アラルキル、C1−2アルキル−アミノカルボニルまたはC2−4(総炭素数)ジアルキルアミノ−C1−2アルキルを示し、
が水素またはC1−4アルキルを示し、
とRが、それらの結合しているN原子と一緒になって、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリンを形成してもよく、
が水素、C1−6アルキル、C1−4ハロアルキル、シアノまたはフェニルを示し、
とRが、夫々の結合するN原子とC原子と一緒になって、オキソ置換されていてもよいピロリジンまたはピペリジンを形成してもよく、
、X、XおよびXが同一でも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、C1−2アルキル、C1−2ハロアルキル、C1−2ハロアルコキシ、C1−2アルコキシ−カルボニル、ニトロまたはシアノを示し、
AがC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−2ハロアルキル、C1−2アルコキシ−カルボニルメチルまたはC3−6シクロアルキル−メチルを示し、そして
nが0または1を示す、
場合の化合物を好適なものとして挙げることができる。
【0034】
中でも、式(I)の化合物において、
が水素、C1−4アルキル、アリル、プロパルギル、C1−2アルコキシ、シクロアルキル、シクロヘキシル、フルオロ置換−C1−2アルキル、メトキシエチル、トリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメチル置換されていてもよいベンジル、エチルアミノカルボニルまたはジメチルアミノエチルを示し、
が水素またはC1−2アルキルを示し、
とRが、それらの結合しているN原子と一緒になって、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリンを形成してもよく、
が水素、C1−4アルキル、フルオロ置換−C1−3アルキル、シアノまたはフェニルを示し、
とRが、夫々の結合するN原子とC原子と一緒になって、オキソ置換されていてもよいピロリジンまたはピペリジンを形成してもよく、
、X、XおよびXが同一でも異なっていてもよく、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、ニトロまたはシアノを示し、
AがC1−3アルキル、アリル、フルオロ置換−C1−2アルキル、C1−2アルコキシ−カルボニルメチルまたはシクロプロピルメチルを示し、そして
nが0または1を示す、
場合の化合物が特に好適である。
【0035】
前記製法(a)は、出発原料として例えば、N′−(2,5−ジクロロ−4−ニトロフェニル)−N,N−ジエチル−2,2,2−トリフルオロエタンイミダミドと2,2,2−トリフルオロエタンチオールを用いる場合、下記の反応式で表すことができる。
【0036】
【化14】

【0037】
前記製法(b)は、出発原料として例えば、N′−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−N,N−ジエチル−2,2,2−トリフルオロエタンイミダミドと酸化剤としてm−クロロ過安息香酸を用いる場合、下記の反応式で表すことができる。
【0038】
【化15】

【0039】
前記製法(c)は、出発原料として例えば、2−クロロ−4−メチル−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]アニリンとN,N−ジメチルアセトアミドを用いる場合、下記の反応式で表すことができる。
【0040】
【化16】

【0041】
前記製法(d)は、出発原料として例えば、N−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−2,2,2−トリフルオロエタンイミドイルクロライドとジエチルアミンを用いる場合、下記の反応式で表すことができる。
【0042】
【化17】

【0043】
前記製法(e)は、出発原料として例えば、1−{[クロロ(シアノ)メチレン]アミノ}−4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゼンとジエチルアミンを用いる場合、下記の反応式で表すことができる。
【0044】
【化18】

【0045】
前記製法(f)は、出発原料として例えば、N′−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−2,2,2−トリフルオロエタンイミダミドとエチルイソシアネートを用いる場合、下記の反応式で表すことができる。
【0046】
【化19】

上記製法(a)において原料として用いられる式(II)の化合物は、下記式
式(XI)
【0047】
【化20】

(式中、X、X、X、Xおよびhalは前記と同義である)
で表される化合物を出発物質として、後に詳述する製法(c)、(d)または(e)の方法に従って、式(V)、式(XXIX)または式(XXX)の化合物と反応させることにより、最終的に式(II)に対応する化合物を得ることができる。
【0048】
前記式(XI)の化合物は、例えば、5−フルオロ−2,4ジニトロアニリン、2,5−ジクロロ−4−ニトロアニリン、5−クロロ−2−ニトロ−4−トリフルオロメチルアニリン等が挙げられ、これらは何れも市販品として入手可能な化合物である。
【0049】
前記式(III)のチオール類としては例えば、メタンチオール、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、シクロプロピルメタンチオール、2,2,2−トリフルオロエタンチオール、メチルメルカプトアセテート、フェニルメタンチオール等が挙げられ、何れも市販品として入手可能な化合物である。
【0050】
製法(a)の反応は、適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、エーテル類、例えば、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチル−イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;酸アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド(HMPA)等を挙げることができる。
【0051】
製法(a)は塩基の存在下に行うことができ、塩基の例として無機塩基としてアルカリ金属の、水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩等、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。
【0052】
製法(a)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約0〜約100℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0053】
製法(a)を実施するにあたっては、式(II)の化合物1モルに対し、希釈剤としてDMFを用い、1モル量ないし若干の過剰量の式(III)の化合物と塩基として1モル量ないし若干の過剰量の炭酸カリウム存在下、室温にて攪拌させることにより、目的化合物を得ることができる。
【0054】
製法(b)における式(Ib)の化合物は、製法(a)、(c)、(d)、(e)または(f)により製造することができる本発明化合物の式(I)に包含されるスルフィド体である。
【0055】
製法(b)における酸化反応に用いられる酸化剤としては、例えば、過酸化水素、m−クロロ過安息香酸等を挙げることができる。
【0056】
製法(b)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、水;脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;有機酸類、例えば、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸等を挙げることができる。
【0057】
製法(b)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約0〜約100℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0058】
製法(b)を実施するにあたっては、式(Ib)の化合物1モルに対し、希釈剤としてジクロロメタンを用い、1モル量ないし若干の過剰量の酸化剤存在下、室温にて攪拌させることにより、目的化合物を得ることができる。
【0059】
製法(c)における式(IV)の化合物の内、下記式(IV−A)で表されるアニリン誘導体は新規なものである。
式(IV−A)
【0060】
【化21】

式中、X、X、XおよびXは前記と同義である。
【0061】
式(IV)の化合物は、例えば、下記の製法(g)〜(k)により得ることができる。
【0062】
製法(g)
式(XII)
【0063】
【化22】

(式中、X、X、X、Xおよびhalは前記と同義である)
で表される化合物を前記式(III)の化合物と塩基存在下にて反応させて、下記式(XIII)
【0064】
【化23】

(式中、X、X、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物を得、そして式(XIII)の化合物を還元する式(IV)の化合物の製法。
【0065】
上記式(XII)の化合物は、例えば、2−フルオロ−1−メチル−4−ニトロベンゼン、4−フルオロ−1−メチル−2−ニトロベンゼン、メチル 2−フルオロ−4−ニトロベンゾエート、メチル 4−フルオロ−2−ニトロベンゾエート等が挙げられ、これらは容易に入手可能な化合物である。
【0066】
上記の還元反応は例えば、新実験化学講座14、III(発行所;丸善株式会社)1333−1335pに記載されるような方法等、有機化学の分野で広く知られた方法によって、式(IV)の化合物を得ることができる。
【0067】
製法(h)
式(XIV)
【0068】
【化24】

(式中、X、X、X、Xおよびhalは前記と同義である)
で表される化合物をフタルイミドカリウムと反応させて、式(XV)
【0069】
【化25】

(式中、X、X、X、Xおよびhalは前記と同義である)
で表される化合物を得、次いで、上記式(XV)の化合物を前記式(III)の化合物と塩基存在下にて反応させて、式(XVI)
【0070】
【化26】

(式中、X、X、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物を得、そして、上記式(XVI)の化合物をヒドラジンと反応させる式(IV)の化合物の製法。
【0071】
上記式(XIV)の化合物は、例えば、2,4−ジフルオロ−ベンゾニトリル、
2,4,5−トリフルオロ−ベンゾニトリル、1−ジフルオロメチル−2,4−ジフルオロベンゼン等が挙げられ、これらは何れも市販品として入手可能な化合物である。またJ.Org..Chem.,40,1975,574−578記載の方法等、有機化学の分野で広く知られた方法によって、公知の2,4−ジフルオロベンズアルデヒドより合成できる。
【0072】
上記式(XIV)の化合物と式(XV)の化合物との反応は、適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、エーテル類、例えば、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;酸アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド(HMPA)等を用いることができる。
【0073】
この反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約50〜約200℃、好ましくは、約80〜約120℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0074】
また、実施するにあたっては、式(XIV)の化合物1モルに対し、希釈剤としてDMFを用い、1モル量ないし若干の過剰量のフタルイミドカリウムを加熱攪拌させることによって式(XV)の化合物を得ることができる。
【0075】
上記式(XV)の化合物と式(III)の化合物との反応は、前記の製法(a)と同様の条件下で行うことができる。
【0076】
上記式(XVI)の化合物とヒドラジンとの反応は、適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール等を用いることができる。
【0077】
この反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−20〜約120℃、好ましくは、約0〜約80℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0078】
また、実施するにあたっては、式(XVI)の化合物1モルに対し、希釈剤としてエタノールを用い、1モル量ないし若干の過剰量のヒドラジン水和物を加熱攪拌させることによって、式(IV)の化合物を得ることができる。
【0079】
製法(i):{式(IV)中、XおよびXが水素を示し、そしてXおよびXがフッ素以外のハロゲンを示す場合}
式(XVII)
【0080】
【化27】

(式中、X21およびX41はフッ素以外のハロゲンを示す)
で表される化合物をニトロ化して、式(XVIII)
【0081】
【化28】

(式中、X21およびX41は前記と同義である)
で表される化合物を得、次いで上記式(XVIII)の化合物を還元し、式(XIX)
【0082】
【化29】

(式中、X21およびX41は前記と同義である)
で表される化合物を得、次いで上記式(XIX)の化合物を酸性条件下で無水フタル酸と反応させて、式(XX)
【0083】
【化30】

(式中、X21およびX41は前記と同義である)
で表される化合物を得、次いで上記式(XX)の化合物を前記式(III)の化合物と反応させて、式(XXI)
【0084】
【化31】

(式中、X21、X41およびAは前記と同じ)
で表される化合物を得、そして上記式(XXI)の化合物をヒドラジンと反応させることによる、式(IV−i)
【0085】
【化32】

(式中、X21、X41およびAは前記と同義である)
で表される化合物の製法。
【0086】
上記式(XVII)の化合物は、例えば、2,4−ジクロロ−1−フルオロベンゼン、
4−ブロモ−2−クロロ−1−フルオロベンゼン、2,4−ジブロモ−1−フルオロベンゼン、2−クロロ−1−フルオロ−4−ヨードベンゼン等が挙げられ、これらは何れも市販品として入手可能な化合物である。
【0087】
上記ニトロ化反応は例えば、新実験化学講座14、III(発行所;丸善株式会社)1266−1277pに記載される方法に従って行うことができる。
【0088】
上記の還元反応は例えば、新実験化学講座14、III(発行所;丸善株式会社)1333−1335pに記載される方法に従って行うことができる。
【0089】
上記式(XIX)の化合物と無水フタル酸との反応は、適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、有機酸類、例えば、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等ないし芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等に酸触媒を添加して用いることができる。
【0090】
この反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約20〜約150℃、好ましくは、約60〜約120℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0091】
また、実施するにあたっては、式(XIX)の化合物1モルに対し、希釈剤として酢酸を用い、1モル量ないし若干の過剰量の無水フタル酸を、加熱攪拌させることによって式(XX)の化合物を得ることができる。
【0092】
上記式(XX)の化合物と前記式(III)の化合物との反応は、前記製法(a)と同様の条件下で行うことができる。
【0093】
また、上記式(XXI)とヒドラジンとの反応は、前記製法(h)の式(XVI)の化合物とヒドラジンとの反応と同様の条件下で行うことができる。
【0094】
製法(j)
式(XXII)
【0095】
【化33】

(式中、X、X、X、Xおよびhalは前記と同義である)
で表される化合物を、前記式(III)の化合物と塩基存在下にて反応させて、式(XXIII)
【0096】
【化34】

(式中、X、X、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物を得、次いで上記式(XXIII)の化合物を加水分解して、式(XXIV)
【0097】
【化35】

(式中、X、X、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物を得、次いで上記式(XXIV)の化合物をハロゲン化剤と反応させて、式(XXV)
【0098】
【化36】

(式中、X、X、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物を得、そして上記式(XXV)の化合物をアジ化ナトリウムと反応させることにより得られるアシルアジド化合物を転位反応(Curtis転移)させ、次いで、加水分解反応を行うことによる式(IV)の化合物の製法。
【0099】
式(XXII)の化合物は、例えば、3−フルオロ−4−トリフルオロメチル安息香酸、5−フルオロ−2−トリフルオロメチル安息香酸等の安息香酸化合物から、常法により容易に得ることができる。また、これらの安息香酸化合物は何れもよく知られたものである。
【0100】
上記式(XXII)の化合物と前記式(III)の化合物との反応は、前記(a)と同様の条件下で行うことができる。
【0101】
上記加水分解反応は例えば、新実験化学講座14、II(発行所;丸善株式会社)930−938pに記載される方法に従って行うことができる。
【0102】
上記ハロゲン化反応は例えば、新実験化学講座14、II(発行所;丸善株式会社)1106−1111pに記載される方法に従って行うことができる。
【0103】
上記転移反応は例えば、新実験化学講座14、III(発行所;丸善株式会社)1391−1393pに記載される方法に従って行うことができる。
【0104】
製法(k):{式(IV)中、Xが水素を示し、そしてXまたはXが、フッ素以外のハロゲンを示す場合、もしくはXがフッ素以外のハロゲンを示し、そしてXまたはXが水素を示す場合}
式(XXVI)
【0105】
【化37】

(式中、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物、または式(XXVII)
【0106】
【化38】

(式中、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物をハロゲン化剤と反応させる、式(IV−k1)
【0107】
【化39】

式(IV−k2)
【0108】
【化40】

式(IV−k3)
【0109】
【化41】

または、式(IV−k4)
【0110】
【化42】

【0111】
(上記各式中、X、X、X、X21、X41およびAは前記と同義であり、そしてX11はフッ素以外のハロゲンを示す)
で表される化合物の製法。
【0112】
上記式(XXVI)または式(XXVII)の化合物は、前記製法(g)、(h)または(j)により合成することができ、例えば、
4−アミノ−2−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)ベンゾニトリル
2−アミノ−4−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)ベンゾニトリル
3−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)−4−トリフルオロメチルアニリン
5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)−2−トリフルオロメチルアニリン
4−ジフルオロメチル−3−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)アニリン
2−ジフルオロメチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)アニリン
4−メチル−3−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)アニリン
2−メチル−5−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)アニリン
メチル 4−アミノ−2−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)ベンゾエート
メチル 2−アミノ−4−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)ベンゾエート
等を挙げることができる。
【0113】
上記反応で用いられるハロゲン化剤の例としては塩素、臭素、ヨウ素、N−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸イミド等を挙げることができる。
【0114】
上記反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族ハロゲン化炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等;酸アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド(HMPA)等を用いることができる。
【0115】
上記反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約200℃、好ましくは、約0〜約100℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0116】
また実施するにあたっては、式(XXVI)、もしくは(XXVII)の化合物1モルに対し、希釈剤としてDMFを用い、1モル量ないし若干の過剰量のN−ハロゲン化コハク酸イミドを、室温にて攪拌させることによって式(IV−k1)、(IV−k2)、(IV−k3)または(IV−k4)の化合物を得ることができる。
【0117】
製法(c)における式(IV)の化合物の内、特に下記式で表される化合物は、新規なものである。
式(IV−A)
【0118】
【化43】

式中、X、X、XおよびXは前記と同義である。
製法(c)におけるもう一方の原料の式(V)の化合物は公知化合物であり、一般には、カルボン酸クロライドとアミン類との反応により容易に得ることができる。
【0119】
製法(c)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、トルエン、キシレン等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等を挙げることができる。
【0120】
製法(c)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約50〜約150℃、好ましくは、約80〜約120℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0121】
製法(c)を実施するにあたっては、一般式(IV)の化合物1モルに対し、1モル量ないし若干の過剰量の一般式(V)の化合物を過剰量のオキシ塩化リン中で加熱攪拌させることにより、目的化合物を得ることができる。
【0122】
製法(d)において、式(VI)の化合物は、式(XXVIII)
【0123】
【化44】

(式中、X、X、X、X、R32およびAは前記と同義である)
で表される化合物を、トリフェニルホスフィンと四塩化炭素を反応させることにより得られる。
【0124】
上記式(XXVIII)の化合物は、前記式(IV)の化合物を、式(XXIX)
【0125】
【化45】

(式中、R32は前記と同義である)
で表される化合物と塩基存在下にて反応させることにより得られる。
【0126】
上記式(XXIX)の化合物の具体例としては、例えばトリフルオロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブタン酸無水物等を挙げることができる。
【0127】
上記式(IV)の化合物と式(XXIX)の化合物との反応は、適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチル−イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;エルテル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等;酸アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド(HMPA)等を挙げることができる。
【0128】
この反応は塩基存在下で行うことができ、その例として無機塩基としてアルカリ金属の、水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩等、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等;有機塩基としてアルコラート、第3級アミン類、ジアルキルアミノアニリン類およびピリジン類、例えば、トリエチルアミン、1,1,4,4−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)等;を挙げることができる。
【0129】
また、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約100℃、好ましくは、約0〜約40℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0130】
実施するにあたっては、式(IV)の化合物1モルに対し、希釈剤としてジクロロメタンを用い、1モル量ないし若干の過剰量の式(XXIX)で表される化合物と塩基として1モル量ないし若干の過剰量のトリエチルアミン存在下、室温にて攪拌させることによって式(XXVIII)の化合物を得ることができる。
【0131】
上記式(XXVIII)の化合物とトリフェニルホスフィンおよび四塩化炭素との反応は、適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族ハロゲン化炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等を挙げることができる。
【0132】
この反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約0〜約100℃、好ましくは、約20〜約60℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0133】
また実施するにあたっては、一般式(XXVIII)の化合物1モルに対し、希釈剤としてジクロロメタンを用い、若干の過剰量のトリフェニルホスフィンと若干の過剰量の四塩化炭素存在下、加熱攪拌させることによって式(VI)の化合物を得ることができる。
【0134】
製法(d)におけるもう一方の原料の式(VII)の化合物は、よく知られた化合物であり、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、2,2,2−トリフルオロエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、シクロプロピルアミン、アリルアミン、プロパルギルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、シクロヘキシルエチルアミン、アニリン、4−トリフルオロアニリン、ベンジルアミン、4−トリフルオロベンジルアミン、O−メチルヒドロキシルアミン、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン、2−メトキシエチルアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン等を挙げることができる。
【0135】
製法(d)の反応では適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチル−イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等;酸アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド(HMPA)等;を挙げることができる。
【0136】
製法(d)の反応は塩基の存在下に行うことができ、塩基の例として無機塩基としてアルカリ金属の、水素化物、水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩等、例えば、水素化ナトリウム、水素化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等;有機塩基としてアルコラート、第3級アミン類、ジアルキルアミノアニリン類およびピリジン類、例えば、トリエチルアミン、1,1,4,4−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(DBU)等;を挙げることができ、また式(VII)の化合物を2当量以上用いることで1当量分を塩基として用いることができる。
【0137】
製法(d)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約100℃、好ましくは、約0〜約40℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0138】
例えば製法(d)を実施するにあたっては、式(VI)の化合物1モルに対し、希釈剤としてアセトニトリルを用い、2モル量以上の過剰量の式(VII)の化合物を室温にて攪拌させることにより目的化合物を得ることができる。
【0139】
製法(e)における式(VIII)の化合物は、前記式(IV)の化合物を、式(XXX)
【0140】
【化46】

で表される化合物と塩基存在下にて反応させて、式(XXXI)
【0141】
【化47】

(式中、X、X、X、XおよびAは前記と同義である)
で表される化合物を得、次いで上記式(XXXI)の化合物を熱分解することにより得られる。上記式(XXX)の化合物は、Chem.Ber.,118,1985,1632−1643記載の方法によって得られる。
【0142】
上記式(IV)の化合物と、式(XXX)の化合物との反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、脂肪族、環脂肪族および芳香族炭化水素類(場合によっては塩素化されてもよい)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等;エーテル類、例えば、エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DGM)等;ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチル−イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等;ニトリル類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等;エルテル類、例えば、酢酸エチル、酢酸アミル等を挙げることができる。
【0143】
この反応は塩基の存在下で行うことができ、その例として有機塩基としてピリジン類、例えばピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)等;を挙げることができる。
【0144】
この反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−40〜約100℃、好ましくは、約0〜約40℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0145】
また実施するにあたっては、一般式(5)の化合物1モルに対し、希釈剤としてジクロロメタンを用い、1モル量ないし若干の過剰量の一般式(13)の化合物と塩基として2モル量ないし若干の過剰量のピリジン存在下、室温にて攪拌させることによって一般式(14)の化合物を得ることができる。
【0146】
熱分解反応は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約150〜約300℃、好ましくは、約180〜約220℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0147】
また実施するにあたっては、式(XXXI)の化合物を、希釈剤を用いず直接加熱攪拌させることによって式(VIII)の化合物を得ることができる。
【0148】
製法(e)の反応は、前記製法(c)と同様の反応条件下で行うことができる。
【0149】
製法(f)における原料の式(If)の化合物は前記製法(a)、(c)、(d)または(e)により製造することができる本発明化合物の式(I)に包含されるものである。
【0150】
もう一方の原料の式(IX)の化合物は、よく知られた化合物であり、例えば、エチルイソシアネート、フェニルイソシアネート等を挙げることができる。
【0151】
製法(f)の反応は適当な希釈剤中で実施することができ、その際に使用される希釈剤の例としては、エーテル類、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等;酸アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド(HMPA)等を挙げることができる。
【0152】
製法(f)は塩基の存在下で行うことができ、その塩基の例として無機塩基としてアルカリ金属の水素化物等、例えば、水素化ナトリウム、水素化リチウム等を用いることができる。
【0153】
製法(f)は、実質的に広い温度範囲内において実施することができる。一般には、約−20〜約200℃、好ましくは、約0〜約100℃の間で実施できる。また、該反応は常圧の下で行うことが望ましいが、加圧または減圧下で操作することもできる。
【0154】
製法(f)を実施するにあたっては、式(If)で表される化合物1モルに対し、希釈剤としてDMFを用い、1モル量ないし若干の過剰量の式(IX)で表される化合物と1モル量ないし若干の過剰量の水素化ナトリウム存在下、室温にて攪拌させることにより、目的化合物を得ることができる。
【0155】
本発明の式(I)の化合物は強力な殺虫作用を現す。従って、本発明の式(I)の化合物は殺虫剤として使用することができる。そして、本発明の式(I)の活性化合物は、栽培植物に対し薬害を与えることなく、有害昆虫に対し的確な防除効果を発揮する。また、本発明の化合物は、広範な種々の害虫、例えば、有害な吸汁性昆虫、咀しゃく性昆虫およびその他の植物寄生害虫、貯蔵害虫、衛生害虫等の防除のために使用することができ、それらの駆除撲滅のために適用することができる。
【0156】
そのような害虫類の例としては、以下の如き害虫類を例示することができる。
【0157】
昆虫類として、鞘翅目害虫、例えば、アズキゾウムシ(Callosobruchus Chinensis)、コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)、オオニジユウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctomaculata)、トビイロムナボソコメツキ(Agriotes fuscicollis)、ヒメコガネ(Anomala rufocuprea)、コロラドポテトビートル(Leptinotarsa decemlineata)、ジアブロテイカ(Diabrotica spp.)、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ヒラタキクイムシ(Lyctus bruneus);
鱗翅目害虫、例えば、マイマイガ(Lymantria dispar)、ウメケムシ(Malacosoma neustria)、アオムシ(Pieris rapae)、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、ヨトウ(Mamestra brassicae)、ニカメイチユウ(Chilo suppressalis)、アワノメイガ(Pyrausta nubilalis)、コナマダラメイガ(Ephestia cautella)、コカクモンハマキ(Adoxophyes orana)、コドリンガ(Carpocapsa pomonella)、カブラヤガ(Agrotisfucosa)、ハチミツガ(Galleria mellonella)、コナガ(Plutella maculipennis)、ヘリオティス(Heliothis virescens)、ミカンハモグリガ(Phyllocnistis citrella);
半翅目害虫、例えば、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki)、ヤノネカイガラムシ(Unaspis yanonensis)、モモアカアブラムシ(Myzus persicas)、リンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、ニセダイコンアブラムシ(Phopalosiphum pseudobrassicas)、ナシグンバイイ(Stephanitis nashi)、アオカメムシ(Nazara spp.)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorm)、キジラミ(Pshylla spp.);
アザミウマ目害虫、例えば、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ミカンキイロアザミウマ(Franklinella occidental);
直翅目害虫、例えば、チヤバネゴキブリ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、ケラ(Gryllotalpa africana)、バツタ(Locusta migratoria migratoriaodes);
等翅目害虫、例えば、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus);
双翅目害虫、例えば、イエバエ(Musca domestica)、ネツタイシマカ(Aedes aegypti)、タネバエ(Hylemia platura)、アカイエカ(Culex pipiens)、シナハマダラカ(Anopheles slnensis)、コガタアカイエカ(Culex tritaeniorhychus)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等を挙げることができる。
【0158】
また、ダニ類として、例えば、ニセナミハダニ(Tetranychus cinnabarinus)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、ホコリダニ(Tarsonemus spp.)等を挙げることができる。
【0159】
さらに、センチュウ類として、例えば、サツマイモコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、マツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus lignicolus Mamiya et Kiyohara)、イネシンガレセンチュウ(Aphelenchoides besseyi)、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、ネグサレセンチュウ(Pratylenchus spp.)等を挙げることができる。
【0160】
さらに、獣医学の分野において、本発明の新規化合物を種々の有害な動物寄生虫(内部および外部寄生虫)、例えば、昆虫類およびぜん虫に対して有効に使用することができる。
【0161】
そのような動物寄生虫の例としては、以下の如き害虫を例示することができる。
【0162】
昆虫類としては、例えば、ウマバエ(Gastrophilus spp.)、サシバエ(Stomoxys spp.)、ハジラミ(Trichodectes spp.)、サシガメ(Rhodnius spp.)、イヌノミ(Ctenocephalidescanis)、トコジラミ(Cimx lecturius)等を挙げることができる。
【0163】
ダニ類としては、例えば、カズキダニ(Ornithodoros spp.)、マダニ(Ixodes spp.)、オウシマダニ(Boophilus spp.)等を挙げることができる。
【0164】
本発明ではこれらすべてを包含する害虫類に対する殺虫作用を有する物質を殺虫剤と呼ぶ。
【0165】
本発明の活性化合物は、殺虫剤として使用する場合、通常の製剤形態にすることができる。製剤形態としては、例えば、液剤、エマルジョン、水和剤、粒状水和剤、懸濁剤、粉剤、泡沫剤、ペースト、錠剤、粒剤、エアゾール、活性化合物浸潤 − 天然および合成物、マイクロカプセル、種子用被覆剤、燃焼装置を備えた製剤(例えば、燃焼装置としては、くん蒸および煙霧カートリッジ、かん、コイルなど)、ULV[コールドミスト(cold mist)、ウォームミスト(warm mist)]等を挙げることができる。
【0166】
これらの製剤はそれ自体既知の方法で製造することができる。例えば、活性化合物を、展開剤、即ち、液体の希釈剤または担体;液体ガス希釈剤または担体;固体の希釈剤または担体と、そして場合によっては界面活性剤、即ち、乳化剤および/または分散剤および/または泡沫形成剤等と共に混合することによって製造することができる。
【0167】
展開剤として水を用いる場合には、例えば有機溶媒をまた補助溶媒として使用することができる。
【0168】
液体希釈剤または担体としては、例えば、芳香族炭化水素類(例えば、キシレン、トルエン、アルキルナフタレン等)、クロル化芳香族またはクロル化脂肪族炭化水素類(例えば、クロロベンゼン類、塩化エチレン類、塩化メチレン類)、脂肪族炭化水素類(例えば、シクロヘキサン等、パラフィン類(例えば鉱油留分類))、アルコール類(例えば、ブタノール、グルコールおよびそれらのエーテル、エステル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、強極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)、水などを挙げることができる。
【0169】
液化ガス希釈剤または担体は、常温常圧ではガスであるもの、例えば、ブラン、プロパン、窒素ガス、二酸化炭素、ハロゲン化炭化水素類のようなエアゾール噴射剤を挙げることができる。
【0170】
固体希釈剤としては、例えば、粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルガイド、モンモリロナイトまたは珪藻土等)、粉砕合成鉱物(例えば、高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等)などを挙げることができる。
【0171】
粒剤のための固体担体としては、例えば、粉砕且つ分別された岩石(例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石、白雲石等)、無機または有機物粉の合成粒、有機物質(例えば、おがくず、ココやしの実のから、とうもろこしの穂軸、タバコの茎等)の細粒体などを挙げることができる。
【0172】
乳化剤および/または泡沫剤としては、例えば、非イオンおよび陰イオン乳化剤[例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル(例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル)、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アリールスルホン酸塩等]、アルブミン加水分解生成物などを挙げることができる。
【0173】
分散剤としては、例えば、リグニンサルファイト廃液、メチルセルロースが包含される。
【0174】
固着剤も、製剤(粉剤、粒剤、乳剤)に使用することができ、該固着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、天然または合成ポリマー(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコールそしてポリビニルアセテート等)などを挙げることができる。
【0175】
着色剤を使用することもでき、該着色剤としては、例えば、無機顔料(例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルーなど)、アリザリン染料、アゾ染料または金属フタロシアニン染料のような有機染料、そしてさらに、鉄、マンガン、ボロン、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛の塩のような微量要素を挙げることができる。
【0176】
該製剤は、一般には、前記活性成分を0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%の範囲内の量で含有することができる。
【0177】
本発明の式(I)活性化合物は、それらの商業上有用な製剤形態でおよびそれらの製剤から調製された使用形態で、他の活性化合物、例えば、殺虫剤、毒餌、殺菌剤、殺ダニ剤、殺センチュウ剤、殺カビ剤、生長調製剤、除草剤などとの混合剤として存在することもできる。ここで、上記殺虫剤としては、例えば、有機リン剤、カーバメート剤、カーボキシレート系薬剤、クロル化炭化水素系薬剤、微生物より生産される殺虫性物質などを挙げることができる。
【0178】
さらに、本発明の式(I)の活性化合物は、協力剤との混合剤としても存在することができ、かかる製剤および使用形態は商業上有用なものを挙げることができる。該協力剤はそれ自体活性である必要はなく、活性化合物の作用を増強する化合物である。
【0179】
本発明の式(I)の活性化合物の商業上有用な使用形態における含有量は広い範囲内で変えることができる。
【0180】
本発明の式(I)の活性化合物の実際の使用上の濃度は、例えば、0.0000001〜100重量%、好ましくは、0.00001〜1重量%の範囲内とすることができる。
【0181】
本発明の式(I)の化合物は使用形態に適合した通常の方法で使用することができる。
【0182】
本発明の活性化合物は、衛生害虫、貯蔵物に対する害虫に使用するに際して、石灰物質上のアルカリに対する有効な安定性を有しており、しかも木材および土壌における優れた残効性を示す。
【実施例】
【0183】
次に、実際例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれのみに限定されるべきものではない。
【0184】
合成例1(最終物合成)
【0185】
【化48】

【0186】
N′−{2−クロロ−4−ニトロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−N,N−ジエチル−2,2,2−トリフルオロエタンイミダミドの合成
N′−(2,5−ジクロロ−4−ニトロフェニル)−N,N−ジエチル−2,2,2−トリフルオロエタンイミダミド0.8g(2.2mmol)のDMF50ml溶液に2,2,2−トリフルオロエタンチオール0.4g(3.4mmol)、炭酸カリウム0.5g(3.6mmol)を加え、室温で15時間攪拌した。反応溶液を氷水にあけて、酢酸エチルで抽出、溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、淡黄色の油状の目的化合物0.85g(収率87%、nD20 1.5743)を得た。
【0187】
合成例2(最終物合成)
【0188】
【化49】

【0189】
N′−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)スルフィニル]フェニル}−N,N−ジエチル−2,2,2−トリフルオロエタンイミダミドの合成
N′−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−N,N−ジエチル−2,2,2−トリフルオロエタンイミダミド0.4g(1.0mmol)のジクロロメタン50ml溶液にm−クロロ過安息香酸0.3g(純度70%、1.2mmol)、を氷冷下加えそのまま室温に戻し10時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水で反応液を2回洗浄し溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、白色結晶の目的化合物0.3g(収率72%、mp 103−105℃)を得た。
【0190】
合成例3(最終物合成)
【0191】
【化50】

【0192】
N′−{2−クロロ−4−メチル−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−N,N−ジメチルエタンイミダミドの合成
2−クロロ−4−メチル−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]アニリン0.58g(2.2mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド0.4g(4.5mmol)、オキシ塩化リン1ml(11mmol)の混合溶液を100℃で3時間攪拌した。反応溶液を冷却後、氷水にあけNaOH水溶液にてアルカリ性とした後、酢酸エチルで抽出した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、白色結晶の目的化合物0.18g(収率24%、mp66−71℃)を得た。
【0193】
合成例4−1(原料合成)
【0194】
【化51】

【0195】
N−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−2,2,2−トリフルオロアセトアミドの合成
4−アミノ−5−フルオロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゾニトリル4.0g(16.0mmol)のジクロロメタン50ml溶液にトリエチルアミン2.0g(19.8mmol)を加え、氷冷下で無水トリフルオロ酢酸4.0g(19.0mmol)のジクロロメタン20ml溶液を滴下し、そのまま室温に戻し1時間攪拌した。反応終了後、飽和食塩水で反応液を洗浄し溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、淡黄色の油状の目的化合物4.0g(収率78%)を得た。
【0196】
合成例4−2(原料合成)
【0197】
【化52】

【0198】
N−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−2,2,2−トリフルオロエタンイミドイルクロライドの合成
上記で得られたN−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−2,2,2−トリフルオロアセトアミド11.5g(33.2mmol)のジクロロメタン100ml溶液にトリフェニルホスフィン12.0g(45.8mmol)を加え、約30℃で四塩化炭素8.0g(52.0mmol)を滴下し、その後5時間加熱還流した。反応終了後溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、淡黄色の油状の目的化合物10.2g(収率84%)を得た。
【0199】
合成例4−3(最終物合成)
【0200】
【化53】

【0201】
N′−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−N,N−ジエチル−2,2,2−トリフルオロエタンイミダミドの合成
ジエチルアミン0.2g(2.7mmol)のアセトニトリル30ml溶液に上記で得られたN−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−2,2,2−トリフルオロエタンイミドイルクロライド0.2g(0.5mmol)のアセトニトリル10ml溶液を滴下し、1時間室温で攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、無色の油状の目的化合物0.15g(収率68%、nD20 1.5187)を得た。
【0202】
合成例5−1(原料合成)
【0203】
【化54】

【0204】
4−[(4−クロロ−5H−1,2,3−ジチアゾール−5−イリデン)アミノ]−5−フルオロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゾニトリルの合成
4−アミノ−5−フルオロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゾニトリル3.2g(12.8mmol)のジクロロメタン50ml溶液に4,5−ジクロロ−1,2,3−ジチアゾール−1−イウム クロライド3.0g(14.4mmol)を加え、2時間室温で攪拌した。その後室温でピリジン2.2g(27.8mmol)のジクロロメタン20ml溶液を滴下し、そのまま室温で1時間攪拌した。反応終了後、飽和食塩水で反応液を洗浄し溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色結晶の目的化合物4.1g(収率83%)を得た。
【0205】
合成例5−2(原料合成)
【0206】
【化55】

【0207】
1−{[クロロ(シアノ)メチレン]アミノ}−4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゼンの合成
上記で得られた4−[(4−クロロ−5H−1,2,3−ジチアゾール−5−イリデン)アミノ]5−フルオロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゾニトリル3gを200℃にて5分間加熱攪拌した。冷却後、反応物をジクロロメタンに溶かし込み、不溶物を濾過で除いた。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、白色結晶の目的化合物1.8g(収率72%)を得た。
【0208】
合成例5−3(最終物合成)
【0209】
【化56】

【0210】
1−シアノ−4−{[シアノ(ジエチルアミノ)メチレン]アミノ}−5−フルオロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゼンの合成
ジエチルアミン0.2g(2.7mmol)のアセトニトリル30ml溶液に上記で得られた1−{[クロロ(シアノ)メチレン]アミノ}−4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゼン0.3g(0.9mmol)のアセトニトリル10ml溶液を滴下し、1時間室温で攪拌した。反応終了後溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、無色の油状の目的化合物0.2g(収率60%、nD20 1.5538)を得た。
【0211】
合成例6−1(原料合成)
【0212】
【化57】

【0213】
1−メチル−4−ニトロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゼンの合成
2−フルオロ−1−メチル−4−ニトロベンゼン1.1g(7.1mmol)、2,2,2−トリフルオロエタンチオール1.0g(8.6mol)、炭酸カリウム1.19g(8.6mmol)のDMF溶液を50度で1時間攪拌した。反応溶液を水にあけ酢酸エチルで抽出した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、白色結晶の目的化合物0.49g(収率27%)を得た。
【0214】
合成例6−2(原料合成)
【0215】
【化58】

【0216】
4−メチル−3−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]アニリンの合成
上記で得られた1−メチル−4−ニトロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゼン1.0g(4mmol)、塩化ニッケル1.9g(8mmol)のメタノール溶液を0℃に冷却し、ホウ素化水素ナトリウム0.6g(16mmol)を少しずつ加えた。室温にて1時間攪拌した。溶媒を留去し残渣に2規定塩酸を加えた。ついで28%アンモニア水を加え酢酸エチルで抽出した。溶媒を減圧留去し残渣をヘキサンで洗い結晶0.4g(収率45%)を得た。
【0217】
合成例7−1(原料合成)
【0218】
【化59】

【0219】
4−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−2,5−ジフルオロベンゾニトリルの合成
2,4,5−トリフルオロベンゾニトリル16.0g(101.6mmol)のDMF100ml溶液にフタルイミドカリウム20.0g(108.0mmol)を加え、100℃で5時間加熱攪拌した。冷却後、反応溶液を氷水にあけて、酢酸エチル、THF混合溶媒で抽出し、溶媒を減圧留去した。残った結晶を少量の酢酸エチルで洗浄し、白色結晶の目的化合物24.7g(収率85%)を得た。
【0220】
合成例7−2(原料合成)
【0221】
【化60】

【0222】
4−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−5−フルオロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゾニトリルの合成
上記で得られた4−(1、3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−2,5−ジフルオロベンゾニトリル8.5g(29.9mmol)のDMF100ml溶液に炭酸カリウム5.0g(36.2mmol)を加え、2、2、2−トリフルオロエタンチオール3.5g(30.1mmol)のDMF100ml溶液を、氷冷下1時間かけて滴下した。室温に戻し1時間攪拌した後、反応溶液を氷水にあけて、酢酸エチルで抽出した。溶媒を減圧留去した残渣は未精製のまま次の反応に用いた、茶褐色のスラリー状の目的化合物11.0g(収率97%)を得た。
【0223】
合成例7−3(原料合成)
【0224】
【化61】

【0225】
4−アミノ−5−フルオロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゾニトリルの合成
上記で得られた4−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−5−フルオロ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]ベンゾニトリル40.0g(105.2mmol)のエタノール150ml溶液にヒドラジン−水和物7.0g(139.8mmol)を加え、5時間加熱還流した後、室温に戻し不溶物を濾過した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルに溶かし、1規定水酸化ナトリウム溶液で洗浄した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、白色結晶の目的化合物10.0g(収率38%)を得た。
【0226】
合成例8−1(原料合成)
【0227】
【化62】

【0228】
1,5−ジクロロ−2−フルオロ−4−ニトロベンゼンの合成
2,4−ジクロロ−1−フルオロベンゼン5.0g(30mmol)を濃硫酸40ml中、氷冷下攪拌しているところに、硝酸カリウム3.1g(30mmol)を加えた。室温に戻し、12時間攪拌した後、氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することにより目的化合物6.2g(収率97%)を得た。
【0229】
合成例8−2(原料合成)
【0230】
【化63】

【0231】
2,4−ジクロロ−5−フルオロアニリンの合成
塩化ニッケル六水和物10.7(45mmol)のメタノール500ml溶液に、氷冷下、水酸化ホウ素ナトリウム5.1g(135mmol)を徐々に加えた。室温に戻し、1時間攪拌した後に、上記で得られた1,5−ジクロロ−2−フルオロ−4−ニトロベンゼン19.0g(90mmol)を加え、氷冷した。そこに水素化ホウ素ナトリウム12.0g(317mmol)を徐々に加えた。1時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣に、1規定の塩酸水溶液150ml、アンモニア水150ml、酢酸エチル200mlを順に加え攪拌した。不溶物をセライトで濾過し、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し目的化合物14.8g(収率91%)を得た。
【0232】
合成例8−3(原料合成)
【0233】
【化64】

【0234】
2−(2,4−ジクロロ−5−フルオロフェニル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの合成
2,4−ジクロロ−5−フルオロアニリン3.0g(16.7mmol)とフタル酸無水物2.5g(16.7mmol)の混合物を酢酸40ml中で4時間加熱還流した。室温まで冷却後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をヘキサンで洗浄、濾別し、目的化合物3.5g(収率68%)を得た。
【0235】
合成例8−4(原料合成)
【0236】
【化65】

【0237】
2−{2,4−ジクロロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの合成
上記で得られた2−(2,4−ジクロロ−5−フルオロフェニル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン2.6g(8.6mmol)と炭酸カリウム1.79g(12.9mmol)のDMF20ml溶液に、アルゴン雰囲気下、氷冷し、2,2,2−トリフルオロエタンチオール1.0g(8.6mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。溶液を酢酸エチルで希釈した後、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、目的化合物2.8g(収率80%)を得た。
【0238】
合成例8−5(原料合成)
【0239】
【化66】

【0240】
2,4−ジクロロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]アニリンの合成
上記で得られた2−{2,4−ジクロロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン2.8g(6.9mmol)のエタノール30ml溶液にヒドラジン一水和物0.38g(7.6mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。沈殿を濾別し、溶媒を減圧留去して、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し目的化合物1.4g(収率73%)を得た。
【0241】
合成例9−1(原料合成)
【0242】
【化67】

【0243】
メチル 3−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]−4−(トリフルオロメチル)ベンゾエートの合成
メチル 3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゾエート14.0g(63.0mmol)のアセトニトリル200ml溶液に2,2,2−トリフルオロエタンチオール10.0g(86.1mmol)、炭酸カリウム12.0g(86.8mmol)を加え、室温で15時間攪拌した。反応溶液を濾過して不溶物を取り除いた後、濾液を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、淡褐色の油状の目的化合物10.9g(収率54%)を得た。
【0244】
合成例9−2(原料合成)
【0245】
【化68】

【0246】
3−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]−4−(トリフルオロメチル)安息香酸の合成
上記で得られたメチル 3−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]−4−(トリフルオロメチル)ベンゾエート7.2g(22.6mmol)のジオキサン10ml溶液に水酸化ナトリウム2.0g(50.0mmol)を溶かした水100mlを加え、室温で15時間攪拌した。反応水溶液をトルエンで洗浄した後、水層に濃塩酸を加えpH1とし、析出した結晶を濾過した。濾取した結晶を乾燥させて、白色結晶の目的化合物5.2g(収率75%)を得た。
【0247】
合成例9−3(原料合成)
【0248】
【化69】

【0249】
3−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]−4−(トリフルオロメチル)安息香酸クロライドの合成
上記で得られた3−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]−4−(トリフルオロメチル)安息香酸7.1g(23.3mmol)の1,2−ジクロロエタン50ml溶液にDMF3滴、塩化チオニル4.0g(33.6mmol)を加え、5時間加熱還流した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、淡黄色の目的化合物7.4g(収率98%)を得た。
【0250】
合成例9−4(原料合成)
【0251】
【化70】

【0252】
3−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]−4−(トリフルオロメチル)アニリンの合成
アジ化ナトリウム1.4g(21.5mmol)の50ml水溶液にトルエン30ml、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド200mgを加え、氷冷下激しく攪拌しながら上記で得られた3−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]−4−(トリフルオロメチル)安息香酸クロライド6.0g(18.6mmol)のトルエン30ml溶液をゆっくり滴下して加えた。滴下終了後、室温に戻しそのまま1時間激しく攪拌を続け、有機層を分離し硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾過して除いた後、濾液のトルエン溶液をそのまま5時間加熱還流し、室温に戻した後に酢酸20ml、水20mlの混合液をゆっくり滴下して加えた。滴下終了後、そのまま再度1時間加熱還流を行い、反応液を室温に戻した後、飽和食塩水、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水で洗浄した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、白色結晶の目的化合物2.0g(収率39%)を得た。
【0253】
合成例10(原料合成)
【0254】
【化71】

【0255】
2−クロロ−4−メチル−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]アニリンおよび2−クロロ−4−メチル−3−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]アニリンの合成
4−メチル−3−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ)]アニリン0.56g(2.5mmol)とN−クロロコハク酸イミド0.41g(3mmol)の酢酸溶液を70℃で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離して、2種類の異性体の目的化合物をそれぞれ0.07g(収率11%)得た。
【0256】
合成例11(最終物合成)
【0257】
【化72】

【0258】
N′−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−N−[(エチルアミノ)カルボニル]−2,2,2−トリフルオロエタンイミダミドの合成
N′−{4−シアノ−2−フルオロ−5−[(2,2,2−トリフルオロエチル)チオ]フェニル}−2,2,2−トリフルオロエタンイミダミド0.2g(0.6mmol)のDMF50ml溶液にエチルイソシアネート0.05g(0.7mmol)を加え、室温で水素化ナトリウム(純度60%)0.05g(1.3mmol)を少しずつ加えた。そのまま室温で15時間攪拌を続けた後、反応溶液を氷水にあけ酢酸エチルで抽出、溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、無色の油状の目的化合物0.15g(収率62%、nD20 1.5215)を得た。
【0259】
上記に例示した原料合成および最終物合成の合成例と同様にして、得られる本発明の式(I)の化合物を第1表および第2表に示し、また式(IV−A)の化合物を第3表に示す。
【0260】
尚、上記合成例の内、最終物合成に係わる目的化合物も、第1表に示す。
【0261】
【表1】



















【0262】
【表2】






















【0263】
【表3】


※=1H−NMR(CDC13,δ)3.43(2H,ddd,J=9.6Hz)4.2(2H,m)6.98(1H,s)7.32(1H,s)
【0264】
生物試験例1:ハスモンヨトウ幼虫に対する試験
供試薬液の調製
溶剤:ジメチルホルムアミド 3重量部
乳化剤:ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 1重量部
適当な活性化合物の調合物を作るために、活性化合物1重量部を上記量の乳化剤を含有する上記量の溶剤と混合し、その混合物を水で所定濃度まで希釈した。
【0265】
試験方法
サツマイモの葉を所定濃度の水希釈した供試薬液に浸漬し、薬液の風乾後、直径9cmのシャーレに入れ、ハスモンヨトウ3令幼虫を10頭放ち、25℃の定温室に置き、2日および4日後にサツマイモの葉を追加し、7日後に死虫数を調べ殺虫率を算出した。
【0266】
本試験では1区2シャーレの結果を平均した。
【0267】
試験結果
上記生物試験例1において、代表例として、前記化合物番号I−62の化合物が有効成分濃度500ppmで殺虫率100%の防除効果を現した。
【0268】
生物試験例2:ナミハダニに対する試験(散布試験)
試験方法
直径6cmのポットに栽培した本葉2枚展開期のインゲンの葉に、ナミハダニの成虫を50〜100頭接種し、1日後に上記で調製した活性化合物の所定濃度の水希釈液を、スプレーガンを用いて充分量散布した。散布後温室内に置いて7日後に殺ダニ率を算出した。
【0269】
試験結果
代表例として、前記化合物No.I−3、I−4、I−7、I−9、I−10、I−15、I−16、I−29、I−30、I−31、I−32、I−33、I−34、I−37、I−38、I−39、I−40、I−41、I−42、I−43、I−44、I−49、I−50、I−51、I−52、I−53、I−54、I−55、I−65、I−68、I−69、I−70、I−71、I−75、I−81、I−82、I−91、I−92、I−93、I−94、I−101、I−102、I−105、I−115、I−116、I−117、I−118、I−147、I−148、I−155、I−156、I−157、II−229、II−230の化合物が有効成分濃度100ppmで殺ダニ率98%以上の防除効果を現した。
【0270】
生物試験例3:ウリハムシに対する試験(散布試験)
試験方法
キュウリ葉を上記で調整した活性化合物の所定濃度の水稀釈液に浸漬し、薬液の風乾後、滅菌消毒した黒土土壌を入れたプラスチックカップに入れ、ウリハムシ2令幼虫を5頭放虫した。7日後に死虫数を調べ、殺虫率を算出した。
【0271】
試験結果
代表例として、前記化合物No.I−16、I−29、I−30、I−31、I−32、I−33、I−34、I−37、I−38、I−40、I−41、I−42、I−51、I−52、I−53、I−55、I−62、I−65、I−75の化合物が、有効成分濃度500ppmで殺虫率100%の防除効果を現した。
【0272】
生物試験例4:ナミハダニに対する試験(潅注試験)
試験方法
直径6cmのポットに栽培した本葉2枚展開期のインゲンの葉に、ナミハダニの成虫を50−100頭摂取し、1日後に上記で調整した活性化合物の所定濃度の水稀釈液を、ピペットを用いて、ポット内に一定量潅注処理した。処理後温室内に置いて7日後に殺ダニ率を算出した。
【0273】
試験結果
代表例として、前記化合物No.I−4、I−165、I−166の化合物が、有効成分1.5mg/potで殺虫率98%以上の防除効果を現した。
【0274】
製剤例1(粒剤)
本発明化合物(No.I−16)10部、ベントナイト(モンモリロナイト)30部、タルク(滑石)58部およびリグニンスルホン酸塩2部の混合物に、水25部を加え、良く捏化し、押し出し式造粒機により10〜40メッシュの粒状とし、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0275】
製剤例2(粒剤)
0.2〜2mmの範囲内の粒径分布を有する粘土鉱物粒95部を回転混合機に入れ、回転下、液体希釈剤とともに本発明化合物(No.I−19)5部を噴霧し均等にしめらせた後、40〜50℃で乾燥して粒剤とする。
【0276】
製剤例3(乳剤)
本発明化合物(No.I−30)30部、キシレン55部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル8部およびアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム7部を混合攪拌して乳剤とする。
【0277】
製剤例4(水和剤)
本発明化合物(No.I−31)15部、ホワイトカーボン(含水無晶形酸化ケイ素微粉末)と粉末クレーとの混合物(1:5)80部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部およびアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物3部を粉砕混合し、水和剤とする。
【0278】
製剤例5(水和顆粒)
本発明化合物(No.I−32)20部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩30部およびベントナイト15部、焼成ケイソウ土粉末35部を充分に混合し、水を加え、0.3mmのスクリーンで押し出し乾燥して、水和顆粒とする。
【0279】
(産業上の利用可能性)
本発明の新規なベンズアミジン類は前記の実施例に示したとおり、殺虫剤として優れた殺虫作用を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

(式中、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキル、置換されていてもよいアリール、アラルキル、アルキルアミノカルボニルまたはジアルキルアミノアルキルを示し、
は水素またはアルキルを示し、
とRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、場合により1個のO原子を含む、5または6員のヘテロ環を形成してもよい、
は水素、アルキル、ハロアルキル、シアノまたはアリールを示し、
とRは、夫々が結合するN原子とC原子と一緒になって、置換されていてもよい5または6員のヘテロ環を形成してもよい、
、X、XおよびXは同一でも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、ニトロまたはシアノを示し、
Aはアルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコキシカルボニルアルキルまたはシクロアルキルメチルを示し、そして
nは0または1を示す)
で表されるベンズアミジン類。
【請求項2】
が水素、C1−6アルキル、C2−4アルケニル、C2−3アルキニル、C1−4アルコキシ、C3−6シクロアルキル、C1−4ハロアルキル、C2−4(総炭素数)アルコキシアルキル、置換されていてもよいC6−10アリール、C7−8アラルキル、C1−2アルキル−アミノカルボニルまたはC2−4(総炭素数)ジアルキルアミノ−C1−2アルキルを示し、
が水素またはC1−4アルキルを示し、
とRが、それらの結合しているN原子と一緒になって、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリンを形成してもよく、
が水素、C1−6アルキル、C1−4ハロアルキル、シアノまたはフェニルを示し、
とRが、夫々の結合するN原子とC原子と一緒になって、オキソ置換されていてもよいピロリジンまたはピペリジンを形成してもよく、
、X、XおよびXが同一でも異なっていてもよく、水素、ハロゲン、C1−2アルキル、C1−2ハロアルキル、C1−2ハロアルコキシ、C1−2アルコキシ−カルボニル、ニトロまたはシアノを示し、
AがC1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−2ハロアルキル、C1−2アルコキシ−カルボニルメチルまたはC3−6シクロアルキル−メチルを示し、そして
nが0または1を示す、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素、C1−4アルキル、アリル、プロパルギル、C1−2アルコキシ、シクロアルキル、シクロヘキシル、フルオロ置換−C1−2アルキル、メトキシエチル、トリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメチル置換されていてもよいベンジル、エチルアミノカルボニルまたはジメチルアミノエチルを示し、
が水素またはC1−2アルキルを示し、
とRがそれらの結合しているN原子と一緒になって、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリンを形成してもよく、
が水素、C1−4アルキル、フルオロ置換−C1−3アルキル、シアノまたはフェニルを示し、
とRが夫々の結合するN原子とC原子と一緒になって、オキソ置換されていてもよいピロリジンまたはピペリジンを形成してもよく、
、X、XおよびXが同一でも異なっていてもよく、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、ニトロまたはシアノを示し、
AがC1−3アルキル、アリル、フルオロ置換−C1−2アルキル、C1−2アルコキシ−カルボニルメチルまたはシクロプロピルメチルを示し、そして
nが0または1を示す、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を有効成分として含有する殺虫、殺ダニ剤。
【請求項5】

【化2】

(式中、X、X、XおよびXは前記と同じ)
で表されるアニリン誘導体。

【公開番号】特開2007−308392(P2007−308392A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136726(P2006−136726)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】