説明

毛髪成長及び皮膚シワの改善を促進するペプチド、並びにこれを含む化粧品組成物

本発明は、特定アミノ酸配列を含むヒトチモシンβ−4(Tβ4)の活性を示すペプチド及びその用途に関する。本発明のヒトTβ4由来ペプチドは、ヒトTβ4と同一な機能または作用ができて、その生理活性度も天然チモシンβ−4(Tβ4)とほぼ等しい水準である。また、本発明のTβ4由来ペプチドは、天然Tβ4と比較し、安定性に非常に優れ、皮膚透過度も非常に高い。したがって、本発明のペプチドを含む組成物は、Tβ4活性が要求される疾患または状態を治療、予防または改善するに非常に優れた効能を発揮する。また、本発明のペプチドは、医薬、医薬外品、化粧品、歯磨き、口腔清浄用組成物または口腔保護用組成物に非常に有利に適用でき、最も好ましくは、化粧品に適用される。特に、毛髪促進用途の化粧品に適用することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトチモシンβ−4(Tβ4)由来ペプチド及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、毛嚢の成長過程において、多様な成長因子により複雑に調節される小器官である。毛嚢の分化過程及びこれに係る毛周期は、毛髪が成長する段階である成長期(anagen)、毛髪の消滅につながる退化期(catagen)、成長停止期である休止期(telogen)、及び新規毛髪が発生して成長する発生期に分けられる(Paus, R., et. Al and Cotsarelis, G. (1999) The biology of hair follicles. N. Engl. J. Med. 341, 491-497)。
【0003】
生長期/成長期(Anagen stage)は、毛髪が成長する段階であって、これはさらに2段階に分けられる。即ち、毛髪が毛球から毛嚢に出ようと毛髪を生成する段階と、硬いケラチンが毛嚢の中で作られる段階であって、退化期まで自己成長を続ける。成長期の毛髪の寿命は、3〜6年であり、全体毛髪(10〜15万個)の80〜90%を占めて、成長段階において髪の毛は、一ヶ月に1〜1.5cm程度成長する。
【0004】
退化期(catagen stage)は、成長期が終わって、毛髪の形態を維持しながら代謝過程が遅くなる時期であって、この時期に毛髪は、徐々に成長する。また、この段階では、ケラチンは作らない。退化期の寿命は、1〜1.5ヶ月であって、全体毛髪の1%を占める。毛球部が収縮して毛乳頭に分かれ、毛嚢に取り囲まれて上方に上がっていく。この時、細胞分裂は、停止している。
【0005】
休止期(telogen stage)は、毛乳頭が萎縮されて、毛嚢は次第に収縮され、毛根は上方に押し上げられ抜けてしまう(毛根部は、上方に上がっており、毛嚢の深さは、1/3となっている)。この時期は、髪の毛がなくなる時期であって、次の成長期段階が始まるまでの寿命は、3〜4ヶ月、全体毛髪の4〜14%に該当(分娩後30〜40%)し、この時期の毛髪は、強いコーミングや刺激だけでも抜けやすくなっている。
【0006】
最後に、発生期は、成長期初には毛嚢に取り囲まれていた毛球部が、毛乳頭と結合して新しい毛髪を成長させる。次に、新しい毛髪は、休止期に入った毛髪を上方に押し上げて、自然脱毛させる。
【0007】
しかしながら、このような毛周期は、常に同じパターンで繰り返されるものではなく、病、遺伝、体質、年齢など、あらゆる状況によって変わるものである。例えば、休止期に入ったまま発生期を迎えるとか、成長期を迎えたが、硬毛までは至らないとか、柔軟な硬毛の状態で退化期に入るなど、様々な状況があり得る。
【0008】
さらに、社会が複雑多様化されるにつれて、環境汚染、ストレス、各種化学物質などのように、人間の脱毛を誘発する要因もだんだん増えていく趨勢であって、これにより、脱毛で苦しむ人も増加する趨勢である。
【0009】
ところが、現在、確実に脱毛が防止できるとか、脱毛された毛髪の成長を促進できるような物質の開発が十分になされていない状況である。したがって、毛髪の成長を促進できる物質などの開発が切実に求められている。
【0010】
一方、チモシンβ−4(Tβ4)は、1981年、牛の胸腺から発見された。Tβ4は、44個のアミノ酸からなっており、分子量は、4.982kDa、理論的な等電点は、5.1であって、弱酸性を帯びるタンパク質である。Tβ4には、グルタミン酸とリシン残基など、極性を帯びたアミノ酸が多く存在して、陰性電荷を帯びるアスパラギン酸とグルタミン酸がトータル11個、リシンとアルギニン酸残基がトータル9個存在する。図1は、Tβ4の仮想的な2次構造を示したもので、2個の螺旋構造が内在されている。
【0011】
このようなTβ4は、細胞の移動と分化の調節子として重要な機能を行い、傷の回復と新生血管生成に関与すると知られている(Frohm, M., Gunne, H., Bergman, A. C., Agerberth, B., Bergman, T., Boman, A., Liden, S., Jornvall, H., and Boman, H. G. (1996) Biochemical and antibacterial analysis of human wound and blister fluid. Eur. J. Biochem. 237, 86-92)。
【0012】
しかしながら、このようなTβ4の場合、天然タンパク質の形態をそのまま利用する場合、生物学的に非常に不安定で、物理化学的にも不均質であるため、治療効果が減少する場合があり、また、皮膚内透過率も比較的低いという問題点があった。
【0013】
したがって、Tβ4の安定性、透過率などを高められる方法が切実に求められている状況である。
【0014】
本明細書全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述の従来技術の問題点を解決するために、本発明者らは、天然ヒトチモシンβ−4(Tβ4)と同一な機能または作用ができる多様な種類のヒトTβ4由来ペプチドを製造及びスクリーニングして、その中、生理活性に優れるだけではなく、安定性にも優れているペプチドを選別することにより、本発明を完成した。
【0016】
したがって、本発明の目的は、ヒトチモシンβ−4の活性を示すペプチドを提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、チモシンβ−4有効性(Tβ4-effective)の疾患または状態の予防または治療用組成物を提供することにある。
【0018】
本発明のまた他の目的は、チモシンβ−4有効性の疾患または状態を予防または治療する方法を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、チモシンβ−4−有効性(Tβ4-effective)の疾患または状態を予防または治療用組成物を製造するための、ヒトチモシンβ−4(Tβ4)の活性を示すペプチドの用途を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、さらに明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一様態によると、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、ヒトチモシンβ−4(Tβ4)の活性を示すペプチドを提供する。
【0022】
本発明の他の様態によると、本発明は、ヒトチモシンβ−4の活性を示す本発明のペプチドを有効成分として含む、チモシンβ−4−有効性(thymosin β-4-effective)の疾患または状態の予防または治療用組成物を提供する。
【0023】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、ヒトチモシンβ−4の活性を示す本発明のペプチドを有効成分として含む組成物を対象に投与する段階を含む、チモシンβ−4−有効性(Tβ4-effective)の疾患または状態を予防または治療する方法を提供する。
【0024】
本発明の他の様態によると、本発明は、チモシンβ−4−有効性(Tβ4-effective)の疾患または状態を予防または治療用組成物を製造するための、ヒトチモシンβ−4(Tβ4)の活性を示す本発明のペプチドの用途を提供する。
【0025】
本発明者らは、天然ヒトチモシンβ−4(Tβ4)と同一な機能または作用ができる多様な種類のTβ4由来ペプチドを製造及びスクリーニングして、その中、生理活性に優れるだけではなく、安定性にも優れているペプチドを選択した。さらに、選択したヒトTβ4由来ペプチドのアミノ酸配列を変形し、熱、酸及びアルカリなどの物理化学的因子に対する安定性がより増加された変形ペプチドを開発した。
【0026】
配列番号1のアミノ酸配列を含む本発明のペプチドは、天然Tβ4のアクチン付着部位である。
【0027】
本発明のペプチドは、ヒトTβ4由来の配列番号1のアミノ酸配列を含む。好ましくは、本発明におけるペプチドは、必須的に配列番号1のアミノ酸配列から構成されている。最も好ましくは、本発明におけるペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列から構成されている。
【0028】
本明細書において用語‘ペプチド’は、ペプチド結合により、アミノ酸残基がお互い結合されて形成された線形の分子を意味する。
【0029】
本発明のペプチドは、当業界に公知された化学的合成方法、特に固相合成技術(solid-phase synthesis techniques)により製造できる(Merrifield, J. Amer. Chem. Soc. 85:2149-54(1963); Stewart, et al., Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd. ed., Pierce Chem. Co.: Rockford, 111(1984))。
【0030】
本発明のペプチドは、Tβ4関連活性を保有して、生体に適用時、天然Tβ4が発揮する作用または機能を発揮する。本明細書において、用語“Tβ4−関連活性”は、従来天然Tβ4に対して究明された全ての活性、例えば、細胞増殖と分化促進、新生血管生成及び傷の治療などの活性を意味する。本発明のペプチドは、天然Tβ4の作用を真似るように制作されたものであるため、天然Tβ4の多様な生体内活性を全て発揮できる。
【0031】
本発明で利用されるペプチドは、天然Tβ4と同一な機能または作用をするだけではなく、生理活性度も類似しているため、Tβ4−有効性の疾患または状態の予防または治療に有利に利用できる。下記の試験例1で立証されたように、本発明のペプチドは、天然Tβ4とほぼ等しい生理活性度を示す(参照:図5)。
【0032】
本明細書で使用される用語“Tβ4−有効性の疾患または状態”は、天然のTβ4により治療または予防できる疾患または状態を意味する。好ましくは、本発明のペプチドにより治療または予防効能が発揮される活性は、抗炎症活性、細胞の増殖と分裂促進、角質細胞の生理活性促進、傷の治癒、コラーゲン、エラスチン、ラミニンまたはヒアルロン酸の合成促進、歯周疾患の治療または皮膚状態の改善で表現できる。
【0033】
より好ましい具現例によると、本発明の組成物は、皮膚状態の改善の効能または活性を有する。特に、本発明の組成物で有効成分として利用されるペプチドは、天然Tβ4より分子量が遥かに少ないため、皮膚浸透率に非常に優れている。したがって、本発明の組成物を局所的に皮膚に塗布する場合、皮膚状態の改善を大きく達成することができる。より好ましくは、本発明の組成物による皮膚状態の改善は、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、脱毛の防止または毛髪成長の促進、アトピー疾患の治療、皮膚保湿の改善、シミの除去、またはニキビの治療であり、最も好ましくは、シワの改善または毛髪成長の促進である。
【0034】
例えば、本発明で有効成分として利用されるペプチドは、繊維芽細胞または角質細胞の増殖を促進し、これらの細胞からプロコラーゲン、ラミニン、ヒアルロン酸及びフィブロネクチンの合成増加を誘導し、皮膚の角質細胞層、上皮層及び真皮層を再生または成長させることにより、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、皮膚保湿の改善、及びアトピー疾患の治療効能を奏する。
【0035】
また、本発明で有効成分として利用されるペプチドは、毛髪成長を促進するに非常に有用である。下記の試験例5で立証されたように、本発明のペプチドは、動物モデルにおいて、対照群(非処理群)に比べ、約25〜30%の毛髪成長促進効果を示す。
【0036】
本発明のペプチドは、それ自体が天然Tβ4より非常に優れた安定性を示すが、ペプチドのアミノ酸残基を変形させることで、より一層安定性を向上させることができる。本発明の好ましい具現例によると、 配列番号1のアミノ酸配列において、少なくとも一つのアミノ酸は、アセチル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ホルミル基、パルミトイル基、ミリスチル基、ステアリル基またはポリエチレングリコール、最も好ましくは、アセチル基の保護基が結合されている。
【0037】
本明細書において用語‘安定性’は、インビボ安定性だけではなく、貯蔵安定性(例えば、常温貯蔵安定性)も意味する。上述の保護基は、生体内の蛋白質切断酵素の攻撃から本発明のペプチドを保護する作用をする。
【0038】
より好ましくは、前記保護基が結合されるアミノ酸は、配列番号1のアミノ酸配列において、N−末端またはC−末端、最も好ましくは、N−末端にあるLys残基である。また、好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列でC−末端にあるGln残基の−COOHは、−OHまたは−NH2に変形させて、ペプチドの安定性を増加させることができる。
【0039】
本発明によるペプチド、好ましくは、保護基が結合された変形ペプチドは、N−末端及び/またはC−末端が保護されているため、37℃温度で優れた熱安定性(または長期間温度安定性)を示し、また、酸とアルカリなどの物理化学的因子に対する安定性に優れている。したがって、本発明のペプチドは、長期保存性に優れているため、医薬品、医薬外品、化粧品及び口腔用品のような、長期間貯蔵が要求される製品に有利に適用できる。
【0040】
本発明の組成物は、薬剤学的組成物と化粧品組成物として製造できる。
【0041】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の組成物は、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの薬剤学的有効量、及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む薬剤学的組成物である。
【0042】
本明細書において用語‘薬剤学的有効量’は、上述のペプチドの効能または活性を達成するに十分な量を意味する。
【0043】
本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常的に利用されるものであって、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含むことができる。適合する薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences (19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0044】
本発明の薬剤学的組成物は、経口または非経口、好ましくは、非経口で投与でき、非経口投与の場合は、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、局所投与、経皮投与などにより投与できる。
【0045】
本発明の薬剤学的組成物の適合した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応感応性のような要因により様々である。一方、本発明の薬剤学的組成物の好ましい投与量は、1日当たり、0.0001〜100μgである。
【0046】
本発明の薬剤学的組成物は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/または賦形剤を利用して製剤化することにより、単位容量形態に製造されるか、または多用量容器内に入れて製造できる。この際、剤形は、オイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤またはカプセル剤の形態であってもよく、分散剤または安定化剤をさらに含むことができる。
【0047】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の組成物は、(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むペプチドの化粧品学的有効量、及び(b)化粧品学的に許容される担体を含む化粧品組成物である。
【0048】
本明細書において用語‘化粧品学的有効量’は、上述の本発明の組成物の皮膚改善効能を達成するに十分な量を意味する。
【0049】
本発明の化粧品組成物は、当業界で通常的に製造されるいかなる剤形にも製造でき、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどに剤形化することができるが、これに限定されるものではない。より詳しくは、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレーまたはパウダーの剤形に製造することができる。
【0050】
本発明の剤形がペースト、クリームまたはゲルである場合は、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、または酸化亜鉛などが利用できる。
【0051】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、またはポリアミドパウダーが利用でき、特にスプレーの場合は、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進体をさらに含むことができる。
【0052】
本発明の剤形が溶液または乳濁液である場合は、担体成分として、溶媒、溶解化剤または乳濁化剤が利用されて、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、またはソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0053】
本発明の剤形が懸濁液である場合は、担体成分として、水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガーまたはトラガカントなどが利用できる。
【0054】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イソチオネート、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、またはエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが利用できる。
【0055】
本発明の化粧料組成物に含まれる成分は、有効成分としてのペプチドと担体成分の他に、化粧料組成物に通常的に利用される成分を含むが、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常的な補助剤を含むことができる。
【0056】
本発明で有効成分として利用されるペプチドは、ヒトTβ4と同一な機能または作用をすることができて、その生理活性度も天然チモシンβ−4(Tβ4)とほぼ等しい水準である。また、本発明のペプチドは、天然Tβ4と比較し、安定性に非常に優れ、皮膚透過度も非常に高い。したがって、本発明のペプチドを含む組成物は、Tβ4活性が要求される疾患または状態を治療、予防または改善するに非常に優れた効能を発揮する。また、本発明のペプチドは、医薬、医薬外品、化粧品、歯磨き、口腔清浄用組成物または口腔保護用組成物に非常に有利に適用でき、最も好ましくは、化粧品に適用される。特に、毛髪促進用途の化粧品に適用することが好ましい。
【0057】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
合成例1:
Fmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu)-Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-CTL-resinの合成
クロロトリチルクロライドレジン(chloro trityl chloride resin;CTL resin, Nova Biochem Cat No. 01-64-0021)700mgを反応容器に入れて、メチレンクロライド(MC)10mlを加えて3分間攪拌した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10ml入れて3分間攪拌した後、再び溶媒を除去した。反応器に10mlのジクロロメタン溶液を入れて、Fmoc-Gln(trt)-OH 200mmole、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)400mmoleを入れた後、攪拌してよく溶かして、1時間攪拌しながら反応させた。反応後、洗浄して、メタノールとDIEA(2:1)をDCMに溶かして10分間反応した後、過量のDCM/DMF(1:1)で洗浄した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10ml入れて3分間攪拌した後、再び溶媒を除去した。脱保護溶液(20%のピペリジン/DMF)10mlを反応容器に入れて、10分間常温で攪拌した後、溶液を除去した。同量の脱保護溶液を入れて、再び10分間反応を維持した後、溶液を除去し、DMFで2回、MCで1回、再びDMFで3分間1回洗浄して、Gln-(trt)-CTLレジンを製造した。新しい反応器に10mlのDMF溶液を入れて、Fmoc-Thr(tBu)-OH 200mmole、HoBt 200mmole、Bop 200mmoleを入れた後、攪拌してよく溶解させた。反応器に400mmoleのDIEA(N,N’−Diisopropyl ethylamine)を分画で2回にかけて入れて、全ての固体が溶解されるまで少なくとも5分間攪拌した。溶解されたアミノ酸混合溶液を、脱保護されたレジンが入っている反応容器に入れて、1時間常温で攪拌しながら反応させた。反応液を除去し、DMF溶液で5分間ずつ3回攪拌して除去した。反応レジンを少量取って、カイザーテスト(Ninhydrine test)を利用して反応程度を点検した。20%ピペリジン/DMF溶液で上記と同様に脱保護反応し、Thr(tBu)-Gln(trt)-CTL resinを製造した。DMFとMCで十分洗浄し、再びカイザーテストを行った後、上記と同様に下記のアミノ酸付着実験を行った。即ち、図1のように選定されたアミノ酸配列に基づき、Fmoc-Glu(tBu)-OH, Fmoc-Thr(tBu)-OH, Fmoc-Lys(Boc)-OH, Fmoc-Lys(Boc)-OH, Fmoc-Leu-OH, Fmoc-Lys(Boc)-OHの順に連鎖反応を行った。製造されたペプチジルレジンをDMF、MC及びメタノールでそれぞれ3回洗浄し、窒素空気を徐々に流して乾燥した後、P25下で真空に減圧して完全に乾燥し、Fmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu)-Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-CTL-resinを製造した。
【0059】
合成例2:
Fmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu)-Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-Rink amide Resinの合成
Fmoc-Rink amide resin(Nova Biochem Cat No. 01-64-0013)1.42g(1mmole)を正確に測量して反応容器に入れ、メチレンクロライド(MC)10mlを加えて3分間攪拌した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10ml入れて3分間攪拌した後、再び溶媒を除去した。20%のピペリジン/DMF溶液10mlを反応容器に入れて、10分間常温で攪拌した後、溶液を除去した。同量の20%ピペリジン/DMF溶液を入れて、再び10分間反応を維持した後、溶液を除去し、DMFで2回、MCで1回、再びDMFで3分間1回洗浄した。新しい反応器に10mlのDMF溶液を入れて、Fmoc-Gln(trt)-OH 2mmole、HoBt 2mmole、及びBop 2mmoleを入れた後、攪拌してよく溶解させた。反応器に4mmoleのDIEAを分画で2回にかけて入れて、全ての固体が溶解されるまで少なくとも5分間攪拌した。溶解されたアミノ酸混合溶液を、脱保護されたレジンが入っている反応容器に入れて、1時間常温で攪拌しながら反応させた。反応液を除去し、DMF溶液で5分間ずつ3回攪拌して除去した。反応レジンを少量取って、カイザーテスト(Ninhydrine test)を利用して反応程度を点検した。20%ピペリジン/DMF溶液で上記と同様に2回脱保護反応し、Gln(trt)-Rink amide resinを製造した。DMFとMCで十分洗浄し、再びカイザーテストを行った後、上記と同様に下記のアミノ酸付着実験を行った。即ち、図1のように選定されたアミノ酸配列に基づき、Fmoc-Glu(tBu)-OH, Fmoc-Thr(tBu)-OH, Fmoc-Lys(Boc)-OH, Fmoc-Lys(Boc)-OH, Fmoc-Leu-OH, Fmoc-Lys(Boc)-OHの順に連鎖反応を行った。製造されたペプチジルレジンをDMF、MC及びメタノールでそれぞれ3回洗浄し、窒素空気を徐々に流して乾燥した後、P25下で真空に減圧して完全に乾燥し、Fmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu)-Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln (trt)-CTL-resinを製造した。
【0060】
実施例1:
Fmoc-Octapeptide (Fmoc-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-OH)の合成
前記合成例1で製造されたFmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu) -Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-CTL resinを、TFA:TIS:水(95:2.5:2.5)で構成された溶液で1時間反応させた後、フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、十分量の冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、さらに2回冷たいエーテルで洗浄した。窒素雰囲気下で十分乾燥して、精製前のFmoc-オクタペプチド(Fmoc-KLKKTETQ)1.1gを合成した(収率91.9%)。分子量測定器を利用して測定時、1198.5(理論値1197.4)が得られた。
【0061】
実施例2: Ac-Octapeptide(Ac-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-OH)の合成及び精製
前記合成例1で製造されたFmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu) -Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-CTL resinをDMFで十分膨らました後、溶液を除去し、20%ピペリジン/DMF溶液で10分間ずつ2回反応させた後、よく洗浄し、保護されたFmocを除去した。新しい反応器に無水酢酸2ml、HoBt 610mg、及びBop 1.77gを入れて、1.56mlのDIEAを分画で2回にかけて入れた後、十分に攪拌した。レジン反応器に予め混合した無水酢酸溶液を投入し、30分間反応を維持した。DMF、MC及びメタノールの順に3回ずつ洗浄した後、完全に乾燥した。丸底フラスコに、完全に乾燥したペプチジルレジンを入れた。予め調製した脱漏溶液[トリフルオロ化酢酸(TFA) 95%、蒸留水2.5%、及びチオアニソール2.5%]30mlを入れて、常温で時々振りながら2時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、さらに2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のアセチルオクタペプチド(Ac-KTKKTETQ)0.93gを合成した(収率91.4%)。
【0062】
精製前のペプチドを、大容量高性能液体クロマトグラフィを利用して分取し、主ペプチドのみを集め蒸留して、アセトニトリルを除去した後、凍結乾燥により、精製された合成ペプチド0.72gを得た。最終結果物のペプチドは、高性能液体クロマトグラフィを利用して分析した時(図3)、96%の純度を示し、最終収率は70.9%で、非常に優れた結果を示した。さらに、主ピーク部位を選定して分子量測定器で測定した結果、1018.0(理論的計算時1017.2)が得られ、所望のペプチドのAc- KTKKTETQが効果的によく合成されたことを確認することができた(図4)。
【0063】
実施例3:
Formyl-Octapeptide (Formyl-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-OH)の合成
前記合成例1で製造されたFmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu) -Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-CTL resinをDMFで十分膨らました後、溶液を除去し、20%ピペリジン/DMF溶液で10分間ずつ2回反応させた後、よく洗浄し、保護されたFmocを除去した。新しい反応器に無水酢酸2ml、HoBt 610mg、及びBop 1.77gを入れて、1.56mlのDIEAを分画で2回にかけて入れた後、十分に攪拌した。レジン反応器に予め混合した無水酢酸溶液を投入し、30分間反応を維持した。DMF、MC及びメタノールの順に3回ずつ洗浄した後、完全に乾燥した。丸底フラスコに、完全に乾燥したペプチジルレジンを入れた。予め調製した脱漏溶液[トリフルオロ化酢酸(TFA) 95%、蒸留水2.5%、及びチオアニソール2.5%]30mlを入れて、常温で時々振りながら2時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、さらに2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のホルミルオクタペプチド(Formyl-KTKKTETQ)0.88gを合成した(収率87.7%)。分子量測定器を利用して測定時、1003.6(理論値1003.2)が得られた。
【0064】
実施例4:
Palmitoyl-Octapeptide (Palmitoyl-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-OH)の合成
合成例1により製造されたFmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu) -Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-CTL resinをDMFで十分膨らました後、溶液を除去し、20%ピペリジン/DMF溶液で10分間ずつ2回反応させた後、よく洗浄し、保護されたFmocを除去した。パルミトイルクロライド1.5mmolをDMF 5mlに溶解した後、膨らましたレジンが入っている反応容器に入れて、DIPEA 1.56mlを入れた後、35℃で1時間反応を維持した。DMF 30mlで3回、DCM 30mlで4回洗浄し、窒素雰囲気下で乾燥した後、五酸化リン(P2O5)を利用して減圧状態で乾燥し、側鎖がパルミトイル基で保護されたオクタペプチドを製造した。丸底フラスコに、完全に乾燥したペプチジルレジン1gを入れた。予め調製した脱漏溶液[TEA 95%、蒸留水2.5%、及びチオアニソール2.5%]30mlを入れて、常温で時々振りながら1時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、さらに2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のパルミトイルオクタペプチド(Palmitoyl- KTKKTETQ)1.4gを合成した(収率113.9%)。分子量測定器を利用して測定時、1230.2(理論値1229.6)が得られた。
【0065】
実施例5〜6:
Stearyl-Octapeptide(Stearyl-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-OH)及び Myristyl-Octapeptide(Myristyl-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-OH)の合成
合成例1により製造されたFmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu) -Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-CTL resinを二つのバッチ反応器にそれぞれ入れて、DMFで十分膨らました後、溶液を除去し、20%ピペリジン/DMF溶液で10分間ずつ2回反応させた後、よく洗浄して、保護されたFmocを除去した。容器にそれぞれミリスチルクロライド1.5mmol(ミリスチルオクタペプチドの場合)とステアリルクロライド1.5mmol(ステアリルオクタペプチドの場合)をDMF 5mlに溶解した後、膨らました各バッチのレジンを各反応容器に入れて、DIPEA 1.56mlを入れた後、35℃で1時間反応を維持した。DMF 30mlで3回、DCM 30mlで4回洗浄し、窒素雰囲気下で乾燥した。五酸化リン(P2O5)を利用して減圧状態で乾燥し、側鎖がそれぞれミリスチル基、ステアリル基で保護されたオクタペプチドを製造した。丸底フラスコに、完全に乾燥したペプチジルレジン1gを入れた。予め調製した脱漏溶液[TEA 81.5%、蒸留水5%、チオアニソール5%、フェノール5%、EDT 2.5%及びTIS 1%]10mlを入れて、常温で時々振りながら1時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、さらに2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のミリスチルオクタペプチド(Myristyl-KTKKTETQ)1.01g(収率84.1%)と、ステアリルオクタペプチド(Stearyl-KTKKTETQ)1.1g(収率87.5%)を合成した。分子量測定器を利用して測定時、ミリスチルオクタペプチドの場合は、1202.4(理論値1201.5)が、ステアリルオクタペプチドの場合は、1258.5(理論値1257.7)が得られた。
【0066】
実施例7: Fmoc-Octapeptide(Fmoc-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-NH2)の合成
前記合成例2で製造されたFmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu) -Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-Rink amide resinを、TFA:TIS:水(95:2.5:2.5)で構成された溶液で1時間反応させた後、フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、十分量の冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、さらに2回冷たいエーテルで洗浄した。窒素雰囲気下で十分乾燥して、精製前のFmoc-オクタペプチド(Fmoc-KLKKTETQ-NH2)0.98gを合成した(収率81.9%)。分子量測定器を利用して測定時、1196.9(理論値1196.4)が得られた。
【0067】
実施例8:Ac-Octapeptide (Ac-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-NH2)の合成
前記合成例2で製造されたFmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu) -Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-Rink amide resinをDMFで十分膨らました後、溶液を除去し、20%ピペリジン/DMF溶液で10分間ずつ2回反応させた後、よく洗浄し、保護されたFmocを除去した。新しい反応器に無水酢酸2ml、HoBt 610mg、及びBop 1.77gを入れて、1.56mlのDIEAを分画で2回にかけて入れた後、十分に攪拌した。レジン反応器に予め混合した無水酢酸溶液を投入し、30分間反応を維持した。DMF、MC、メタノールの順に3回ずつ洗浄した後、完全に乾燥した。丸底フラスコに、完全に乾燥したペプチジルレジンを入れた。予め調製した脱漏溶液[トリフルオロ化酢酸(TFA) 95%、蒸留水2.5%、及びチオアニソール2.5%]30mlを入れて、常温で時々振りながら2時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、さらに2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のアセチルオクタペプチド(Ac-KTKKTETQ-NH2)0.87gを合成した(収率85.6%)。
【0068】
精製前のペプチドを、大容量高性能液体クロマトグラフィを利用して分取し、主ペプチドのみを集め蒸留して、アセトニトリルを除去した後、凍結乾燥により、精製された合成ペプチド0.72gを得た。最終結果物のペプチドは、高性能液体クロマトグラフィを利用して分析した時、96%の純度を示し、最終収率は70.9%で、非常に優れた結果を示した。さらに、主ピーク部位を選定して分子量測定器で測定した結果、1016.9(理論的計算時1016.2)が得られ、所望のペプチドの Ac-KTKKTETQ-NH2 が効果的によく合成されたことを確認することができた。
【0069】
実施例9:
Formyl-Octapeptide(Formyl-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-NH2)の合成
前記合成例2で製造されたFmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu) -Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-Rink amide resinをDMFで十分膨らました後、溶液を除去し、20%ピペリジン/DMF溶液で10分間ずつ2回反応させた後、よく洗浄し、保護されたFmocを除去した。新しい反応器に無水酢酸2ml、HoBt 610mg、及びBop 1.77gを入れて、1.56mlのDIEAを分画で2回にかけて入れた後、十分に攪拌した。レジン反応器に予め混合した無水酢酸溶液を投入し、30分間反応を維持した。DMF、MC、メタノールの順に3回ずつ洗浄した後、完全に乾燥した。丸底フラスコに、完全に乾燥したペプチジルレジンを入れた。予め調製した脱漏溶液[トリフルオロ化酢酸(TFA) 95%、蒸留水2.5%、及びチオアニソール2.5%]30mlを入れて、常温で時々振りながら2時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、さらに2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のホルミルオクタペプチド(Formyl-KTKKTETQ-NH2)0.89gを合成した(収率88.8%)。分子量測定器を利用して測定時、1002.8(理論値1002.2)が得られた。
【0070】
実施例10:
Palmitoyl-Octapeptide(Palmitoyl-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-NH2)の合成
前記合成例2で製造されたFmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu) -Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-Rink amide resinをDMFで十分膨らました後、溶液を除去し、20%ピペリジン/DMF溶液で10分間ずつ2回反応させた後、よく洗浄し、保護されたFmocを除去した。パルミトイルクロライド1.5mmolをDMF 5mlに溶解した後、膨らましたレジンが入っている反応容器に入れて、DIPEA 1.56mlを入れた後、35℃で1時間反応を維持した。DMF 30mlで3回、DCM 30mlで4回洗浄し、窒素雰囲気下で乾燥した後、五酸化リン(P2O5)を利用して減圧状態で乾燥し、側鎖がパルミトイル基で保護されたオクタペプチドを製造した。丸底フラスコに、完全に乾燥したペプチジルレジン1gを入れた。予め調製した脱漏溶液[TEA 95%、蒸留水2.5%、及びチオアニソール2.5%]30mlを入れて、常温で時々振りながら1時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、さらに2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のパルミトイルオクタペプチド(Palmitoyl-KTKKTETQ-NH2)1.3gを合成した(収率105.8%)。分子量測定器を利用して測定時、1229.4(理論値1228.6)が得られた。
【0071】
実施例11〜12:
Stearyl-Octapeptide(Stearyl-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-NH2)及びMyristyl-Octapeptide(Myristyl-Lys-Leu-Lys-Lys-Thr-Glu-Thr-Gln-NH2)の合成
前記合成例2で製造されたFmoc-Lys(Boc)-Leu-Lys(Boc)-Lys(Boc)-Thr(tBu) -Glu(tBu)-Thr(tBu)-Gln(trt)-Rink amide resinを二つのバッチ反応器にそれぞれ入れて、DMFで十分膨らました後、溶液を除去し、20%ピペリジン/DMF溶液で10分間ずつ2回反応させた後、よく洗浄して、保護されたFmocを除去した。容器にそれぞれミリスチルクロライド1.5mmol(ミリスチルオクタペプチドの場合)とステアリルクロライド1.5mmol(ステアリルオクタペプチドの場合)をDMF 5mlに溶解した後、膨らました各バッチのレジンを各反応容器に入れて、DIPEA 1.56mlを入れた後、35℃で1時間反応を維持した。DMF 30mlで3回、DCM 30mlで4回洗浄し、窒素雰囲気下で乾燥した。五酸化リン(P2O5)を利用して減圧状態で乾燥し、側鎖がそれぞれミリスチル基、ステアリル基で保護されたオクタペプチドを製造した。丸底フラスコに、完全に乾燥したペプチジルレジン1gを入れた。予め調製した脱漏溶液[TEA 81.5%、蒸留水5%、チオアニソール5%、フェノール5%、EDT 2.5%及びTIS 1%]10mlを入れて、常温で時々振りながら1時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、さらに2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のミリスチルオクタペプチド(Myristyl-KTKKTETQ-NH2)0.98g(収率81.6%)と、ステアリルオクタペプチド(Stearyl-KTKKTETQ-NH2)1.02g(収率81.2%)を合成した。分子量測定器を利用して測定時、ミリスチルオクタペプチドの場合は、1201.4(理論値1200.5)が、ステアリルオクタペプチドの場合は、1257.2(理論値1256.7)が得られた。
【0072】
実施例13:ナノ化ペプチドの製造
前記実施例2から得られたアセチルデカペプチド50mgを正確に秤量した後、蒸留水500mlで十分に攪拌して溶解した。ペプチド溶液を、レシチン5g、オレイン酸ナトリウム(sodium oleate)0.3ml、エタノール50ml及び少量のオイルと共に混合した後、総量が1Lとなるように蒸留水で調節した後、マイクロ流動化装置(microfluidizer)を利用して高圧で乳化し、大きさ100nm程度のナノソームを製造した。製造されたナノソームは、最終濃度が約50ppmで、化粧品製造用として使用された。
【0073】
剤形例1:柔軟化粧水
前記実施例13で製造されたアセチルデカペプチドナノソームを含み、下記組成からなる柔軟化粧水を、一般的な化粧水製造方法により製造した。
【0074】
【表1】

【0075】
剤形例2:栄養クリーム
前記実施例13で製造されたアセチルデカペプチドナノソームを含み、下記組成からなる栄養クリームを、一般的な栄養クリームの製造方法により製造した。
【0076】
【表2】

【0077】
剤形例3:栄養化粧水
前記実施例13で製造されたアセチルデカペプチドナノソームを含み、下記組成からなる栄養化粧水を、一般的な化粧水製造方法により製造した。
【0078】
【表3】

【0079】
剤形例4:エッセンス
前記実施例13で製造されたアセチルデカペプチドナノソームを含み、下記組成からなるエッセンスを、一般的なエッセンス製造方法により製造した。
【0080】
【表4】

【0081】
剤形例5〜7:ヘアトナー(Hair Toner)の製造
前記実施例2で製造及び精製されたアセチルオクタペプチドを含むヘアトナーを製造した。下記のような組成からなるヘアトナーを、一般的なヘアトナーの製造方法により製造した。
【0082】
【表5】

【0083】
試験例1:生理活性度の測定実験
前記実施例2で製造及び精製されたアセチルオクタペプチドの生理活性度は、Falcoらの方法(Falco, et al. (1988) Oncogene., 2, 573)を参照し、BALB/MK角質細胞株を利用した[3H]-thymidineの吸収率で測定した。BALB/MK角質細胞株を、250ml容量の組織培養用フラスコを利用して、100%FBS(fetal bovine serum)が含有されたEMEM(Eagle's minimal essential media, Gibco, U.S.A.)で培養した。培養されたBALB/MK角質細胞株を、0.25%トリプシン溶液で培養容器の底から取り外した後、遠心分離して細胞沈殿物のみを集めた。これを、FBSが含有されていないEMEM培養液に再び懸濁した後、24ウェル組織培養用平板に、各ウェル当たり2×104細胞/0.3ml培養液になるように入れて、24時間37℃、7%CO2条件下で培養した。前記実施例2で製造されたアセチルオクタペプチドを、0.2%牛血漿アルブミン(w/v)が含有されたEMEM培養液で2ng/mlの濃度から2倍ずつ連続的に希釈し、各ウェルに0.3mlずつ添加した後、37℃、7%CO2条件下でさらに6時間培養した。その後、各ウェルに0.5μ Ciの[3H]-thymidine(Amersham, TRK 686, 68 Ci/mmol)を入れて、一晩中培養した。培養が完了した後、培養上清液を除去して、PBS(phosphate buffered saline)で1回洗浄した。各ウェルに0.25%トリプシン溶液0.1mlずつを入れて、37℃で5分間放置した後、細胞を培養板から分離した。10%FBSが含有されたEMEM培養液0.5mlずつを各ウェルに添加して、細胞捕集器(12 well cell harvester, Millipore, U.S.A.)を使用して、細胞をガラス繊維フィルタに付着させた。フィルタを1mlの蒸留水で1回、1mlのエタノールで1回洗浄した後、60℃で30分間放置して乾燥した。乾燥されたフィルタを、2mlの閃光カクテル(scintillation cocktail)と共に閃光バイアル(scintillation vial)に入れて、30分間常温で放置した後、閃光計数器(Beckman, U.S.A)で細胞内に吸収された放射能量を測定し、その結果を図5に示した。
【0084】
図5から分かるように、本発明のアセチルオクタペプチド及びオクタペプチドは、チミジンの角質細胞への挿入(incorporation)を濃度依存的に促進させていることが分かる。従って、本発明のアセチルオクタペプチド及びオクタペプチドは、Tβ−4Fと同様に、高い生理活性度(biological activities)を有していることが分かる。
【0085】
試験例2:安定性実験
精製されたオクタペプチドの安定性を確認するために、10μg/mlとなるように、オクタペプチドとアセチルオクタペプチドを50 mM Tris-HCl (pH 8.0)緩衝溶液に溶かして用意した。対照群として、1μg/mlの濃度で大腸菌から生産された組換えチモシンβ−4を同一緩衝溶液に用意した。用意した溶液をガラスバイアルに入れて、37℃で静置した。37℃で静置された溶液を、0、1、10、25、50、75、そして100日目にサンプリングして、BALB/MK角質細胞株に対する[3H]-thymidine incorporation assayを行って、残っているペプチドと組換えチモシンβ−4の活性を測定した。この時、0日のサンプル活性を100%と基準し、その測定された残余活性を計算して図6に示した。
【0086】
図6から分かるように、天然Tβ−4の場合、時間が経過するにつれて、活性度が急激に減少するが、本発明によるオクタペプチドの場合は、活性度が長く持続されることを確認することができた。特に、N−末端がアセチル基で保護されたアセチルオクタペプチドは、非常に優れた安定性を示した。
【0087】
試験例3:本発明のペプチドのHaCaT角質細胞成長能力の分析
本発明のペプチドに対する角質細胞の成長効果を分析するために、Rizzinoらの方法(Rizzino, et al. Cancer Res., 48:4266(1988))などを参照し、HaCaT角質細胞株を利用したSRB(Sulforhodamine B)の比色法を利用して測定した。HaCaT角質細胞株(The Korean Cell Line Bank)を、100%FBS(fetal bovine serum)の含有されたEMEM(Eagle's minimal essential media, Gibco, U.S.A.)が入っている250ml容量の組織培養用フラスコを利用して培養した。培養されたHaCaT角質細胞株を、0.25%トリプシン溶液で培養容器の底から取り外した後、遠心分離して細胞沈殿物のみを集めた。これを、FBSが含有されていないEMEM培養液に再び懸濁した後、96ウェル組織培養用平板に、各ウェル当たり4×103細胞となるように入れて、24時間37℃、7%CO2条件下で培養した。24時間後、血清を完全に排除した同一な培養液で培地を入れ替えた後、標準を取るための空試料、ヒトのチモシンβ−4、アセチルオクタペプチドを、水と10%DMSOに滅菌状態で溶解した後、10ngと1,000ngの濃度で72時間、上記の同一条件で培養した。培養が完了した後、培養上清液を除去して、PBSで1回洗浄した。洗浄溶液を除去した後、比色SRB溶液(Sigma-Aldrich)で処理し、PBSで十分洗浄した後、顕微鏡で細胞を観察し、生存細胞の状態を観察して(図7)、紫外線590nmで吸光度を測定し、細胞の生存状態を、ペプチドを処理しなかった場合に対する相対値で示した(図8)。
【0088】
一方、6日間、本発明のアセチルオクタペプチド(1μg/ml)をHaCaT細胞株に処理して、皮膚シワ改善の標識因子であるプロコラーゲンの量の変化を観察した(図9)。プロコラーゲンの量は、Procollagen ELISAキット(Takara、Japan)を利用して測定した。また、72時間本発明のアセチルオクタペプチド5μmoleをHaCaT細胞株に処理して、皮膚シワ改善のまた他の標識因子であるヒアルロン酸(図10)の濃度を測定した。ヒアルロン酸の濃度は、Hyaluronic acid ELISAキット(Echelon Biosciences Inc, USA)を利用して測定した。
【0089】
図7及び8から分かるように、本発明のペプチドは、対照群に比べ、高い細胞生存率を示すことが分かる。本発明のペプチドをHaCaT角質細胞株に処理した場合、細胞内プロコラーゲンとヒアルロン酸の含量が処理量に依存的に増加することが分かる(図9、図10)。
【0090】
したがって、本発明のペプチドは、非常に優れた皮膚改善効能を奏することが分かる。
【0091】
試験例4:本発明のペプチドによる皮膚厚さの変化の測定
本発明のペプチドの化粧品としての有用性と生体内効能を調べるために、製造した化粧品組成物をマウス皮膚に適用した。
【0092】
実験に使用したBalb Cマウス(Central Lab. Animal, Inc., Korea)は、6週齢の雄で、購入後、一週間の安定期を経た後、背中部位を、チオグリコール酸含有クリームを利用して部分除毛した。除毛後、マウスを二つのグループに分け、一つのグループは、剤形例2のアセチルオクタペプチドを含有したナノソームを含むクリームで、他のグループは、ペプチドの入っていない空クリームで、朝8時30分と夜6時に、100mgずつを除毛した部位に塗布した。5日間クリームを処理後、動物を頚椎脱骨で致死させた後、皮膚の組織を切断してパラフィンで固定し、microtombにより4μm厚の薄片試料を作った後、スライドに固定し、ヘマトキシリン・エオシン染色をして、光学顕微鏡で検鏡した(図11)。
【0093】
図11から分かるように、本発明のアセチルオクタペプチドを含有するナノソーム化粧品は、マウスの角質細胞層及び上皮細胞層を成長させることができることが明確に分かる。したがって、本発明のペプチドを化粧品として皮膚に適用すると、優れた皮膚シワ改善及び弾力改善効能を奏することが分かる。
【0094】
試験例5:毛髪成長効果実験
正常の8週齢C3H/HeNマウスを、理髪器と除毛剤を使用して、背中部位の毛を完璧に除去した。一日後にアセチルオクタペプチドを含む剤形例5の化粧水を皮膚に十分塗布し、対照群として、ペプチドの入っていない空試料化粧水を皮膚に十分塗布した。25日間同じ方法で塗布し、背中における発毛効果を観察した。
【0095】
発毛効果を観察した結果、図12から分かるように、初期発毛の時間的な効果と共に、毛の長さ及び数などを換算してみると、対照群に比べ、約25〜30%の増加効果があることが分かった。
【0096】
以上、本発明の望ましい具現例を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。

【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】チモシンβ−4(Tβ4)の1次構造及び仮想的な2次構造を示している。
【図2】本発明の一実施例によるペプチドの合成過程を示す概略図である。
【図3】本発明のアセチルオクタペプチドの高性能液体クロマトグラフィ分析結果を示すグラフである。
【図4】本発明のアセチルオクタペプチドを、質量分析器を利用して分析した結果を示すグラフである。
【図5】本発明のオクタペプチド及びアセチルオクタペプチドの生理活性度を測定した結果を示すグラフである。
【図6】本発明のアセチルオクタペプチドの安定性を測定した結果を示すグラフである。
【図7】本発明のアセチルオクタペプチドの、ヒト角質細胞の増殖を促進する作用を示す顕微鏡写真である。
【図8】本発明のアセチルオクタペプチドの、角質細胞の増殖を促進する結果を示すグラフである。
【図9】本発明のアセチルオクタペプチドを利用した細胞培養時、プロコラーゲン生成量の増加を示したグラフである。
【図10】本発明のアセチルオクタペプチドを利用した細胞培養時、ヒアルロン酸の生成量の増加を示したグラフである。
【図11】本発明のアセチルオクタペプチドを含む化粧品組成物を適用したBalbCマウスの皮膚厚さの変化を示す顕微鏡写真である。
【図12】本発明のアセチルオクタペプチドのマウス毛髪成長促進効果を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列を含み、ヒトチモシンβ−4(Tβ4)の活性を示すペプチド。
【請求項2】
前記ペプチドのC−末端は、ヒドロキシ基(-OH)またはアミノ基(-NH2)に変形されたことを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記ペプチドのN−末端は、アセチル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ホルミル基、パルミトイル基、ミリスチル基、ステアリル基及びポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択される保護基により保護されたことを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
ヒトチモシンβ−4の活性を示す請求項1乃至3のいずれか一つの項に記載のペプチドを有効成分として含む、チモシンβ−4−有効性(thymosin β-4-effective)の疾患または状態の予防または治療用組成物。
【請求項5】
前記組成物は、(a)請求項1乃至3のいずれか一つの項に記載のペプチドの薬剤学的有効量、及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む薬剤学的組成物であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、(a)請求項1乃至3のいずれか一つの項に記載のペプチドの化粧品学的有効量、及び(b)化粧品学的に許容される担体を含む化粧品組成物であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、皮膚状態の改善のためのものであることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記皮膚状態の改善は、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、脱毛の防止または毛髪成長の促進、アトピー疾患の治療、皮膚保湿の改善、シミの除去またはニキビの治療であることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記皮膚状態の改善は、シワの改善または毛髪成長の促進であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
ヒトチモシンβ−4の活性を示す請求項1乃至3のいずれか一つの項に記載のペプチドを有効成分として含む組成物を対象に投与する段階を含む、チモシンβ−4−有効性(Tβ4-effective)の疾患または状態を予防または治療する方法。
【請求項11】
前記組成物は、(a)請求項1乃至3のいずれか一つの項に記載のペプチドの薬剤学的有効量、及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む薬剤学的組成物であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物は、(a)請求項1乃至3のいずれか一つの項に記載のペプチドの化粧品学的有効量、及び(b)化粧品学的に許容される担体を含む化粧品組成物であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物は、皮膚状態の改善のためのものであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記皮膚状態の改善は、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、脱毛の防止または毛髪成長の促進、アトピー疾患の治療、皮膚保湿の改善、シミの除去またはニキビの治療であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記皮膚状態の改善は、シワの改善または毛髪成長の促進であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
チモシンβ−4−有効性(Tβ4-effective)の疾患または状態を予防または治療用組成物を製造するための、ヒトチモシンβ−4(Tβ4)の活性を示す請求項1乃至3のいずれか一つの項に記載のペプチドの用途。
【請求項17】
前記組成物は、(a)請求項1乃至3のいずれか一つの項に記載のペプチドの薬剤学的有効量、及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む薬剤学的組成物であることを特徴とする、請求項16に記載の用途。
【請求項18】
前記組成物は、(a)請求項1乃至3のいずれか一つの項に記載のペプチドの化粧品学的有効量、及び(b)化粧品学的に許容される担体を含む化粧品組成物であることを特徴とする、請求項16に記載の用途。
【請求項19】
前記組成物は、皮膚状態の改善のためのものであることを特徴とする、請求項16に記載の用途。
【請求項20】
前記皮膚状態の改善は、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、脱毛の防止または毛髪成長の促進、アトピー疾患の治療、皮膚保湿の改善、シミの除去またはニキビの治療であることを特徴とする、請求項19に記載の用途。
【請求項21】
前記皮膚状態の改善は、シワの改善または毛髪成長の促進であることを特徴とする、請求項20に記載の用途。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−512685(P2009−512685A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536522(P2008−536522)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004352
【国際公開番号】WO2007/049905
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(508119046)ケアジェン シーオー エルティーディー (5)
【氏名又は名称原語表記】CAREGENE CO.,LTD
【Fターム(参考)】