気液接触器および気液接触方法
【解決手段】
本発明は、気液接触器ならびに排水洗浄のシステムおよび方法に関する。特に、等間隔に離間された複数の平坦な液体ジェットを生成するノズルアレイを有する個別供給ノズルバンクに関する。液体ジェットは、気体による乱れを最小限に抑えるような形状を持つ。本発明の実施形態は、液体流入口および液体流出口、ならびに、気体流入口および気体流出口を含む複数のモジュールを備える気液接触器に関する。ノズルアレイは、液体流入口および気体流入口と連通している。ノズルアレイは、液体の補充を高速に行いつつ、気体流による乱れを最小限に抑えると共に気体流と液体流との間の相互作用を最大限に高めるような形状を持つ複数の平坦な液体ジェットを等間隔に離間させて生成する。
本発明は、気液接触器ならびに排水洗浄のシステムおよび方法に関する。特に、等間隔に離間された複数の平坦な液体ジェットを生成するノズルアレイを有する個別供給ノズルバンクに関する。液体ジェットは、気体による乱れを最小限に抑えるような形状を持つ。本発明の実施形態は、液体流入口および液体流出口、ならびに、気体流入口および気体流出口を含む複数のモジュールを備える気液接触器に関する。ノズルアレイは、液体流入口および気体流入口と連通している。ノズルアレイは、液体の補充を高速に行いつつ、気体流による乱れを最小限に抑えると共に気体流と液体流との間の相互作用を最大限に高めるような形状を持つ複数の平坦な液体ジェットを等間隔に離間させて生成する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)の一部継続出願であり、当該特許出願に基づく優先権を主張する。また、米国特許仮出願第61/100,564号(発明の名称:「気体状汚染物質を除去するシステム」、出願日:2008年9月26日)、米国特許仮出願第61/100,606号(発明の名称:「気液接触システムおよび気液接触方法」、出願日:2008年9月26日)、および、米国特許仮出願第61/100,591号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2008年9月26日)の恩恵を主張する。上記特許文献はいずれも、全ての記載内容を参照により本願に組み込まれるものとする。また、本願は、米国特許出願第12/012,568号(発明の名称:「二相反応器」、出願日:2008年2月4日)の主題に関連している。当該米国特許出願は、米国特許出願第11/057,539号(発明の名称:「二相反応器」、出願日:2005年2月14日)の継続出願であり、すでに米国特許第7,379,487号として特許されている。両出願共に、記載内容は全て参照により本願に組み込まれるものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、気液接触器ならびに排水洗浄のシステムおよび方法に関する。特に、等間隔に離間された複数の平坦な液体ジェットを生成するノズルアレイに関する。液体ジェットは、液体の補充を高速に行いつつ、気体流による乱れを最小限に抑えると共に気体流と液体流との相互作用を最大限に高めるような形状を持つ。
【背景技術】
【0003】
気体を液体に吸収させる処理工程は、さまざまな気液接触システムにおいて鍵となる処理工程である。気液接触器は、気液反応器としても知られており、二相の間の界面領域が液体表面上およびバルク液体内に形成される表面体積反応器に分類することができる。表面気液反応器としては、回転ディスクおよび液体ジェット接触器等、多くの例が挙げられる。回転ディスク型生成器では、ディスク(回転子)が部分的に液体内に浸漬されており気体流に暴露されている。溶液の薄膜が、回転子表面上に形成されると共に、並流試薬の気体流と接触する。ディスクが回転すると、液体試薬と気体との接触が新しくなる。体積型の気液反応器では、気相が小さい泡となってバルク液体中に分散する。このような気泡は、球状または不規則な形状を持ち、気体スパージャによって液体中に導入され得る。気泡は、物質移動を大きくするべく、機械的に撹拌され得る。
【0004】
多くの気液接触システムでは、液相への気相の移動速度は、液相物質移動係数「k」、界面の表面積「A」、および、バルク流体と気液界面との間の濃度傾斜「ΔC」によって制御される。このため、液体へ気体が吸収される実際の速度は以下の式によって表される。
【数1】
式中、変数は反応器の単位体積当たりの気体吸収速度(モル/(cm3s))、φは単位界面面積当たりの平均吸収速度(モル/cm2s))、aは単位体積当たりの気液界面面積(cm2/cm3またはcm−1)、pおよびpiは試薬気体のバルク気体内および界面上での分圧(バール)、CL*は既存の気相分圧piと平衡となっている液相側濃度(モル/cm3)、CL(モル/cm3)はバルク液体内に溶解した気体の平均濃度、kG(モル/cm2*s*バール)およびkL(cm/s)は気相側物質移動係数および液相側物質移動係数である。
【0005】
関連技術分野では、気体接触システムにおいて物質移動および比表面積を最大限に大きくする方法として多くの方法が開発されている。主なものでは、気体スパージャ、濡れ壁ジェット、および、噴霧または霧化を利用する。気液接触器の選択は、気体流/液体流、物質移動、および、化学反応の性質等の反応条件に応じて決まる。関連技術分野で利用されている気液反応器の一部の物質移動特性を表1にまとめている。気体吸収速度を最適化するためには、「kL」、「a」、および、「CL*−CL」のパラメータを最大値にする必要がある。多くの気液反応システムでは、CL*の溶解度が非常に低いので、濃度傾斜の制御に限度がある。このように、高効率の気液流反応器を設計する上で主に考慮すべきパラメータは、物質移動、および、界面表面積と反応器体積との比であり、後者は比表面積というパラメータとしても知られている。
【表1】
さまざまな気液接触反応器において、性能は界面接触面積に左右される。例えば、化学酸素ヨウ素レーザ(Chemical Oxygen Iodine Laser:COIL)は、塩素ガス(Cl2)および塩基性過酸化水素(BHP)から成る化学燃料に基づきレーザエネルギーを生成する。この反応によってデルタ状態の一重項酸素が生成され、一重項酸素によってCOILが駆動される。現在の技術水準では、液状のBHPの円形噴流とCl2ガスとを混合させて、デルタ状態の一重項酸素を生成している。通常の生成器では、噴流の直径は、350ミクロンのオーダ以下である。噴流を形成するべく、液状のBHPは、高密度で孔が形成されているノズルプレートを加圧下で通って押し出される。この結果、Cl2ガスに接触する界面表面積が大きくなる。表面積が大きくなると、生成器のサイズはより小型になり、レーザキャビティに分配され得る励起酸素の収率が高くなる。噴流をより小型にして且つより高密度で配置すると、比表面積は改善されるが、詰まりおよび破損が発生しやすくなってしまう。塩素と塩基性過酸化水素との反応によって塩基性過酸化水素を生成するのに用いられるアルカリ金属水酸化物の塩素塩が生成されるので、詰まりは深刻な問題である。また、詰まりが発生すると塩基性過酸化水素のモル濃度範囲に制限が課され、一重項酸素の収率およびレーザ出力が低減してしまう。COILシステムの構成要素のうち最も重量が大きいのは、この化学燃料である。燃料の生成につきものの問題が発生すると、重量が大きくなり、COILレーザの効率が全体的に低下してしまう。このため、現在の設計水準よりも効率が高く重力が小さいCOILレーザが必要である。
【0006】
別の例を挙げると、気液接触器は、好気性発酵プロセスにおいても利用される。好気性発酵では、酸素が最も重要な試薬の1つである。酸素は、水溶液に対する溶解度は低いが、培養成長を維持するために需要は高い。商業用の発酵槽(>10,000L)では、物質移動容量係数kLaを高めるべく、撹拌気泡分散を利用する。撹拌によって、溶解した酸素のバルク液体内の移動が促進され、気泡の合体が分解され、気泡の周囲を取り囲む境界層が低減される。このようなシステムでは、反応器内の気泡の数を大きくすると共に気泡の直径のサイズを小さくすることによって、界面面積を大きくする。しかし、微生物への酸素の物質移動は依然として、気泡の界面表面積が比較的小さいことと、および、気泡の滞留時間が短いことによって制限されてしまう。現在のスパージャシステム(気泡拡散方式)では、物質移動容量係数kLaが比較的小さい(約0.2/s)ので、上述したような物質移動の問題を解消するべく、界面表面積を最大限に大きくする新しい方法が所望されている。
【0007】
産業上の用途向けにシステムを設計するに当たっては、コストおよび効率の両方に考慮しなければならない。従来の認識では一般的に、両方が同時に最適化される可能性はないとされている。気液接触器の場合、従来の認識は、化学処理、生物学的処理、汚染制御、または、動的な流動システムにおいて気相化学物質を液相に反応または溶解させることを必要とする同様の処理等、産業上の用途に留まっているのが一般的である。
【0008】
一例として、汚染制御に利用される場合、湿式処理で対象化合物を除去する標準的な方法としては、液相の微細液滴を気相の流れに対して180度反対方向で落下させる向流流動システムが挙げられる。通常は、重力を利用して液相を塔の底部にある捕捉用汚水槽へと導く。気相の流れは、同じ塔の内部を上方向に向いている。この気相はこの後、さらに処理されるべく捕捉されるか、または、大気中に放出される。
【0009】
塔は、より大規模な化学的処理を内部で可能とするべく、所望の処理のサイズに対して線形に、長さまたは直径を増減させる必要がある。現在の論理的方法論では、単一ユニットプロセスの資本コストは一般的にサイズに対して線形に増減しないので、単一ユニットプロセスの規模を大きくする。
【0010】
標準的な向流型、重力型、または、エアロゾル/液滴型の気液接触器の別の問題点として、重力の影響が液滴の浮力よりも大きくなるように気体流の速度を十分に遅くしなければならない点が挙げられる。いずれにしても、接触時間が長いために一般的に液体状の反応物は大部分が蒸発してしまい、二次的な処理または放出の前にこの蒸気の大部分を捕捉する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、関連技術の限界および欠点に起因して生じる問題のうち1以上の問題を実質的に解決する気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法を提供する。
【0012】
本発明の利点として、物質移動容量係数が高くなり、この結果として小型化が実現されるので、低圧吸着処理が可能となって、システム全体にわたって必要なポンプ機能が最小限に抑えられる点が挙げられる。
【0013】
本発明の別の利点として、関連技術に比べてシステムの占有面積が小さい気液接触器が提供される点が挙げられる。
【0014】
本発明のさらに別の利点として、モジュール設計の気液接触器が提供される点が挙げられる。
【0015】
本発明のさらに別の利点として、平坦なジェットの比表面積が大きくなり(例えば、厚みの小さい平坦な液体ジェットが実現される)、性能が改善された気液接触器が提供される点が挙げられる。
【0016】
本発明の別の利点として、反応機能または清浄機能が同一である従来のシステムと比較すると、サイズ、占有面積、および工場施設が小型で、接触面積が大きいので、コストおよび用地の影響が非常に小さく、品質およびユニット間の整合性が高いモジュール式システムが提供される点が挙げられる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、以下に記載し、一部のものについては以下の説明から明らかになるか、または本発明を実施することによって分かるものである。本発明の目的およびその他の利点は、本明細書および特許請求の範囲、ならびに、添付図面に具体的に記載した構成によって実現および達成される。
【0018】
本発明の実施形態は、装置に関する。当該装置は、チャンバと、チャンバに結合されている気体流入口および気体流出口と、チャンバに結合されている流体プレナムとを備える。当該装置はさらに、個別供給ノズルバンクを備える。個別供給ノズルバンクは、液体プレナムに結合されているノズルアレイを有する。ノズルアレイは、実質的に平面的な液体ジェットを複数提供し、各液体ジェットは、平面シート状の液体を含む。複数の液体ジェットはまた、実質的に平行な平面内に位置している。当該装置はさらに、反応チャンバに結合されている気体流体分離器を備える。
【0019】
本発明の別の実施形態は、個別供給ノズルバンク装置に関する。当該装置は、実質的に平面的な複数の液体ジェットを提供する複数のノズルを備える。複数の液体ジェットは、平面シート状の液体を含む。複数のノズルは、実質的に平行な平面内に位置する。供給チャンバは、複数のノズルに結合されており、少なくとも1つの流入口が供給チャネルに結合されている。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態は、気液接触器で気相分子を処理する方法に関する。当該方法は、ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、実質的に平面的な複数の液体ジェットを形成する段階を備える。複数の液体ジェットは、平面シート状の液体を含み、実質的に平行な平面内に位置している。反応性または可溶性の気相分子を含む気体を、気液接触器に供給する。当該方法はさらに、気相分子と複数の液体ジェットとの間の物質移動相互作用によって気相分子の少なくとも一部を除去する。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態は、気液接触器で気相分子を処理する方法に関する。当該方法は、ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、実質的に平面的な複数の液体ジェットを形成する段階を備える。複数の液体ジェットは、実質的に平面シート状の液体を含み、当該液体は、水性スラリーを含む。反応性または可溶性の気相分子を含む気体を、気液接触器に供給する。当該方法はさらに、気相分子と複数の液体ジェットとの間の物質移動相互作用によって気相分子の少なくとも一部を除去する。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態は、気液接触器で気相分子を処理する方法に関する。当該方法は、不安定な液体ジェットを複数形成する段階を備える。不安定な液体ジェットは、複数の個別供給ノズルバンクを用いて形成され、複数の液滴が分布している。反応性または可溶性の気相分子を含む気体を、気液接触器に供給する。当該方法はさらに、気相分子と分布している複数の液滴との間の物質移動相互作用によって気相分子の少なくとも一部を除去する。
【0023】
上述した概略的な説明および後述する詳細な説明は共に、本発明を例示および説明するためのものであると理解されたく、要求に応じて本発明についてさらに説明を行うものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
添付図面は、本発明のさらなる理解のために提供されており、本明細書に組み込まれてその一部を成すものであり、本発明の実施形態を図示し、以下の説明と共に参照することによって本発明の原理を説明するものである。
【0025】
図面は以下の通りである。
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る向流装置を示す断面斜視図である。
【0027】
【図2】本発明の別の実施形態に係る並流装置を示す断面斜視図である。
【0028】
【図3A】図1および図2のノズル装置を示す斜視図である。
【0029】
【図3B】図3Aのノズル装置を示す分解斜視図である。
【0030】
【図4A】図3Bのノズルバンクを示す斜視図である。
【0031】
【図4B】図4AのノズルバンクをラインA−A´に沿って示す断面図である。
【0032】
【図5】図4Aおよび図6のノズルバンクを示す底面図である。
【0033】
【図6】本発明の実施形態に係る装置を示す斜視図である。
【0034】
【図7A】例1に係る装置を示す図である。
【0035】
【図7B】例1に係るノズルプレートの出口側を示す図である。
【0036】
【図7C】例1に係るノズルプレートの入口側を示す図である。
【0037】
【図7D】例1に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【0038】
【図7E】例1に係るジェットを側面から見た様子を示す写真である。
【0039】
【図8A】例2に係るシステムを示す図である。
【0040】
【図8B】例2に係るノズルバンクを示す図である。
【0041】
【図9】例2に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【0042】
【図10A】例3に係るチャネル挿入体を示す断面斜視図である。
【0043】
【図10B】図10Aのチャネル挿入体をラインB−B´に沿って示す断面斜視図である。
【0044】
【図11】例3に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【0045】
【図12A】例4に係るノズルバンクを示す斜視図である。
【0046】
【図12B】図12Aのノズルバンクを示す断面斜視図である。
【0047】
【図12C】図12Aのノズルバンクを示す底面図である。
【0048】
【図12D】例4に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【0049】
【図13A】例5に係る装置を示す斜視図である。
【0050】
【図13B】図13Aのノズルバンクを示す底面図である。
【0051】
【図13C】例5に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【0052】
【図13D】例5に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、気液接触器ならびに排水洗浄のシステムおよび方法に関する。特に、等間隔に離間された複数の平坦な液体ジェットを生成するノズルアレイに関する。液体ジェットは、気体による乱れを最小限に抑えるような形状を持つ。また、さまざまな実施形態からは、モジュールとしてまとめられる複数の小規模の単一ユニットプロセスが直接提供される。単一ユニットプロセスは、従来技術の欠陥を解消するように設計されている。単一ユニットプロセスをモジュール化することによって、システムは、プロセスの規模を受け入れられるように単にモジュールを整数倍することによって拡大/縮小させることができるので、小型化が可能となる。
【0054】
本発明の実施形態は、気液接触器、蒸留装置、吸収装置、清浄装置、排出装置等の装置に関する。当該装置は、チャンバと、当該チャンバに結合されている気体流入口と、当該チャンバに結合されている気体流出口とを備える。流体プレナムは、反応チャンバに結合されている。当該装置は、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように複数のノズルを備えるとしてよい。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。反応チャンバにはさらに、気体流体分離器が結合されている。気体流体分離器は、当該装置内の気体と流体とを分離する。
【0055】
別の実施形態によると、当該装置は、少なくとも1つの個別供給ノズルバンクを備える。個別供給ノズルバンクは、液体プレナムに結合されているノズルアレイを有しており、ノズルアレイは、実質的に平面的な液体ジェットを複数提供する。複数の液体ジェットはそれぞれ、平面シート状の液体を含み、複数の液体ジェットは実質的に平行な平面内に位置している。
【0056】
本実施形態によると、2つ以上の個別供給ノズルバンクを利用して、互いに隣接するように配置するとしてよい。このようなノズルバンクに含まれるノズルは、複数の異なる構成を持つとしてよいが、例えば、ジグザグ状構成、非ジグザグ状構成を持つとしてよく、ノズルはサイズ、例えば、切り込み深さが不均一であるとしてもよい。ジグザグ状構成の一例を挙げると、第1のノズルバンクの第1のノズル列、第2のノズルバンクの第2のノズル列、および、第3のノズルバンクの第3のノズル列は、第2のノズル列が、第1のノズル列と第3のノズル列との間に配置され、両者に対してオフセットされるように配置される。
【0057】
個別供給ノズルバンクは、液体プレナムとの間で流体が連通するように構成されているノズルアレイを有する。ノズルアレイは、実質的に平面的な液体ジェットを複数提供し、複数の液体ジェットは、実質的に平面シート状の液体として形成されており、実質的に平行な平面内に位置している。当該ノズルは、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように構成されているとしてよい。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。当該装置は、気体流入口から注入される気体が並流方向または向流方向に流れるように構成され得る。
【0058】
本実施形態によると、流体プレナムは、少なくとも1つの側方チャネルに結合されている主要供給チャネルを有する。側方チャネルは、個別供給ノズルバンクに結合されており、流体をノズルに供給する。この流体は、液体、気体、または、液体および気体の混合物であってよく、液体は、水性スラリー等の固体を含むとしてよい。
【0059】
好ましい実施形態によると、個別供給ノズルバンクは、ノズルプレートに結合されている供給チャンバを有する。供給チャンバは、ノズルプレートに結合されている第1の側壁と、ノズルプレートおよび第1の側壁に結合されている第2の側壁と、ノズルプレートおよび第2の側壁に結合されている第3の側壁と、ノズルプレート、第3の側壁、および第1の側壁に結合されている第4の側壁とを含む。第1の側壁、第2の側壁、第3の側壁および第4の側壁、ならびに、ノズルプレートは、ノズルプレートの反対側の端部に開口を持つチャンバを形成する。開口は、流体が供給されるように供給管に結合されている。この結合は、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、レーザ溶接等の溶接によって成されているとしてよい。
【0060】
好ましい実施形態によると、供給チャンバは挿入体を含む。挿入体は、ノズルプレート内の各ノズルに個別に液体流を供給するように構成されている複数の供給チャネルを含む。供給管は、少なくとも1つの端部に開口を持ち、プレナムの少なくとも1つの側方チャネルに結合されている。供給管は、Oリングの封止部または溶接結合部によって結合されている。チャンバは、厚みが少なくとも約1cmである。チャンバは、ノズルバンクより上の高さが、約1cmから約8cmの範囲内である。
【0061】
好ましい実施形態によると、ノズルプレートは、実質的にU字形状、V字形状、または、その他の形状を持つ構成要素を含む。ノズルは、より好ましい実施形態によると、楕円形状である。ある実施形態によると、楕円形状のノズルは、短径が約0.5mmから約1.5mmの範囲内であり、長径が約0.75mmから約5mmの範囲内である。好ましい実施形態によると、楕円形状のノズルは、短径が約0.6mmから約1.0mmの範囲内であり、長径が約1.5mmから約2.5mmの範囲内である。ノズルは、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)を参照しつつ説明したように、切り込み深さが、例えば、0.054インチ、0.056インチ、0.058インチ、および、これらの組み合わせとなるように構成されるとしてよい。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。好ましい実施形態によると、ノズルアレイは、等間隔で離間された複数のノズルから構成される。少なくとも1つのノズルは、投影断面積が約0.25mm2から約20mm2の範囲内である。
【0062】
ノズルバンクおよび流動チャンバは、例えば、銅、ニッケル、クロム、スチール、アルミニウム、コーティング金属、および、これらの組み合わせといったさまざまな材料で形成され得る。また、このような材料としてはさらに、構造用ポリマー、ポリイミド、これらの合成物、および、これらの組み合わせが挙げられるとしてよい。
【0063】
本発明の別の実施形態は、気液接触器で気相分子を処理する方法に関する。当該方法は、ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、実質的に平面的な複数の液体ジェットを形成する段階を備える。複数の液体ジェットは、実質的に平面シート状の液体を含み、実質的に平行な平面内に位置している。反応性または可溶性の気相分子を供給し、当該気相分子と液体ジェットとの間の物質移動相互作用によって気相分子の少なくとも一部を除去する。別の実施形態によると、液体は水性スラリーを含むとしてよい。水性スラリーは、固体濃度が約0.2%(w/w)から約30%(w/w)の範囲内であるとしてよい。好ましい実施形態では、水溶液は、固体濃度が約10%(w/w)から約25%(w/w)の範囲内である。
【0064】
気相分子は、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように、複数の異なる気相分子を含むとしてよい。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。例えば、気相分子は、硫黄酸化物、窒素酸化物、二酸化炭素、アンモニア、酸性気体、アミン、ハロゲン、および、酸素のうち少なくとも1つを含むとしてよい。好ましい実施形態では、気相分子は、石炭火力発電所等の燃焼プロセスで発生する二酸化炭素を含む。
【0065】
液体ジェットは、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように、汚染物質および/または他の流体を分離するべく吸着流体を含むとしてよい。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。例えば、液体ジェットは、水、アンモニア、アンモニウム塩、アミン、アルカノールアミン、アルカリ塩、アルカリ土類塩、過酸化物、次亜塩素酸塩、および、これらの組み合わせを含むとしてよい。好ましい実施形態では、液体ジェットは、カルシウム塩溶液およびマグネシウム塩溶液を含む。液体ジェットは、海水溶液、または、ブライン溶液を含むとしてよい。
【0066】
ある実施形態によると、物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約1sec−1から約1500sec−1の範囲内である。好ましい実施形態では、物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約5sec−1から約150sec−1の範囲内である。より好ましい実施形態では、物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約10sec−1から約100sec−1の範囲内である。物質移動相互作用は、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されている。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。
【0067】
本発明のある実施形態によると、ガスを供給する際の流量はさまざまな値に設定するとしてよく、例えば、対容量比は約100min−1から約1000min−1の範囲内である。また、好ましい実施形態では、装置に流入する流体の流量は、例えば、2psiから約15psiの間で変動するとしてよい。アレイの平坦な液体ジェットは、速度が15m/sec未満であり、より好ましくは、約5m/secから約15m/secの範囲内である。
【0068】
本発明のある実施形態では、アレイの平坦な液体ジェットは、幅が約1cmよりも大きく、例えば、好ましい実施形態では、約1cmから約15cmの範囲内であるとしてよい。平坦な液体ジェットは、厚みが約10μmから約1000μmの範囲内であってよく、より好ましくは、約10μmから約250μmの範囲内であってよく、さらに好ましくは、約10μmから約100μmの範囲内であってよい。平坦な液体ジェットは、長さが約5cmから約30cmの範囲内であってよく、より好ましくは、約5cmから約20cmの範囲内であってよい。全てのジェットが、厚み、幅、および、長さについて上述した範囲を満たしている必要はないことに留意されたい。しかし、好ましい実施形態によると、複数のジェットは、幅、長さ、および、厚みにおいて、略一定である。
【0069】
本発明のさらに別の実施形態によると、気液接触器で気相分子を処理する方法に関する。当該方法は、ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、複数の液滴が分布している不安定な液体ジェットを複数形成する段階を備える。当該方法は、少なくとも1つの反応性または可溶性の気相分子を含む気体を供給する段階と、気相分子と分布している複数の液滴との間の物質移動相互作用によって気相分子の少なくとも一部を除去する段階とを備える。
【0070】
本実施形態によると、複数の動作条件を組み合わせることによって、例えば、プレナム圧を高くすると共に高密度で複数のノズルを配置してノズルアレイを形成することによって、複数の液滴が分布した複数のジェット同士を衝突させる。好ましい実施形態によると、液滴の分布は、高密度で、略均一である。分布している液滴は、サイズが約50ミクロンから約2mmの範囲内であり、液体部分容積の範囲は0.5%から20%である。プレナム圧が大きくなると、ノズルに供給される液体の速度は速くなり、結果として水に関して競合することになり、平坦なジェットが不安定になる。ジェットにおける不安定性は、少なくとも2通りの現れ方がある。第1の現れ方として、水流と同軸方向および横軸方向(ノズル間競合の方向)の両方向に沿って、ジェットがパルス化する。ジェットのパルス化は、プレナム流量が高いことに起因して発生し、隣接するノズル間で競争が発生して、ジェットの幅が変動する。競争によって各ノズルの流量が変動して、ジェットのパルス化が発生する。第2の現れ方として、最適条件下にある場合にこのような種類のジェットで見られる線形シート不安定性の発生が加速される。
【0071】
本発明の別の実施形態によると、ジェットは、パルス化と各ジェットの線形シート不安定性とによって隣接するジェット同士が衝突して液滴の分布が形成されるように、互いに離間されて配置される。このように衝突することによって、速度が高速化し、例えば、約5m/sから約10m/s以上の範囲内となる。液滴の速度が高速化するのは、ノズルから流出する際のジェットの初期速度が、例えば、約5m/sから約10m/s以上の範囲内と高いためである。液滴の速度を高速化すると共に液滴のサイズにバラツキを持たせると、外力、例えば、気流または重力によって生じる力が液滴に及ぼす影響が最小限に抑えられ、全体的な液滴の運動量が不変となる。さらに、液滴の速度は、表面積が大きくなったので、反応を高めるのに十分な程度に低い。
【0072】
液滴生成器は、ノズルの切り込み深さ(DOC)、ノズル間距離、ノズルバンク間距離、動作プレナム圧のうち少なくとも1つを調整して、表面張力および/または粘度を低減する促進剤を利用して、および、自然に発生するジェットの不安定性を増幅するべくこれらを組み合わせることによって、実現され得る。例えば、ノズルの切り込み深さが小さくなると、ジェットの不安定性を与えるための動作圧は小さくなる。また、ノズル間距離が小さくなっても、ジェットの不安定性を与えるための動作圧は小さくなる。動作プレナム圧が大きくなると、ジェットの速度が高くなり、コリジョンによってジェットに不安定性が与えられる。また、促進剤も用いられて、ジェットの幅を大きくする傾向がある表面張力を低減するとしてよい。このため、ジェット間の衝突が多くなり、自然に発生するジェットの不安定性が増幅される。最後に、粘度を低減する促進剤は、流体の感受性を高める傾向があり、ジェットが変形するので、自然に発生するジェットの不安定性が増幅される傾向がある。
【0073】
好ましい実施形態によると、気液接触器は、DOCが0.052のノズルを複数有し、ノズル間距離が約2mmで、ノズルバンク間距離が約2cmで、安定化部を有さないノズルアレイを備える。各ノズルについては、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)にさらに詳しく説明されている。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。気液接触器は、プレナム圧を15psi以上に設定して動作して、バラバラになる複数の不安定なジェットを生成する。気液接触器は、プレナム圧を約17psiから約75psiの範囲内に設定して動作することが好ましく、プレナム圧を約17psiから約30psiの範囲内に設定して動作することがより好ましい。
【0074】
別の好ましい実施形態によると、気液接触器は、DOCが0.054のノズルを複数有し、ノズル間距離が約2mmで、ノズルバンク間距離が約2cmで、安定化部を有さないノズルアレイを備える。各ノズルについては、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)にさらに詳しく説明されている。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。気液接触器は、プレナム圧を13psi以上に設定して動作して、バラバラになる複数の不安定なジェットを生成する。気液接触器は、プレナム圧を約15psiから約73psiの範囲内に設定して動作することが好ましく、プレナム圧を約15psiから約28psiの範囲内に設定して動作することがより好ましい。
【0075】
さらに別の好ましい実施形態によると、気液接触器は、DOCが0.056のノズルを複数有し、ノズル間距離が約2mmで、ノズルバンク間距離が約2cmで、安定化部を有さないノズルアレイを備える。気液接触器は、プレナム圧を11psi以上に設定して動作して、バラバラになる複数の不安定なジェットを生成する。気液接触器は、プレナム圧を約11psiから約71psiの範囲内に設定して動作することが好ましく、プレナム圧を約13psiから約26psiの範囲内に設定して動作することがより好ましい。
【0076】
ノズルのDOCが大きくなると、つまり、ノズル寸法が大きくなると、ジェットに不安定性を与えるために必要なプレナム圧の値が小さくなる。これは、DOCが大きくなるか、または、ノズルサイズが大きくなると、ノズルを通過する流体の速度が速くなるためである。
【0077】
以下では本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態の例を添付図面に図示している。
【0078】
図1は、本発明の実施形態に係る向流装置を示す断面斜視図である。
【0079】
図1を参照しつつ説明すると、向流装置の概略を参照番号100で図示する。装置100の動作を説明すると、気体流は参照番号102で示されており、流体流は参照番号104で示されている。複数の個別供給ノズルバンク106は、互いに隣接するように配置されている。個別供給ノズルバンク106は、第1の側方チャネル110および第2の側方チャネル112に結合されている主要供給チャネル108を有する流体プレナムとの間で流体が連通するように構成されているノズルアレイを有する。当該装置は、チャンバ114と、気体流入口116と、気体流出口118と、液体流入口120と、液体流出口122とを備える。当該装置はさらに、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように気液分離器(不図示)を備える。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。個別供給ノズルバンクは、実質的に平面状の液体ジェット124を複数提供するように構成されている。各液体ジェットは、実質的に平面シート状の液体を含む。複数の液体ジェットは、互いに略平行な平面内に位置する。
【0080】
図2は、本発明の実施形態に係る並流装置を示す断面斜視図である。図2を参照しつつ説明すると、並流装置の概略を参照番号200で図示する。装置200の動作を説明すると、気体流は参照番号202で示されており、流体流は参照番号204で示されている。複数の個別供給ノズルバンク106は、互いに隣接するように配置されている。個別供給ノズルバンク106は、第1の側方チャネル110および第2の側方チャネル112に結合されている主要供給チャネル108を有する流体プレナムとの間で流体が連通するように構成されているノズルアレイを有する。当該装置は、チャンバ114と、気体流入口208と、気体流出口と、液体流入口120と、液体流出口とを備える。当該装置はさらに、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように気液分離器(不図示)を備える。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。個別供給ノズルバンクは、実質的に平面状の液体ジェット206を複数提供するように構成されている。各液体ジェットは、実質的に平面シート状の液体を含む。複数の液体ジェットは、互いに略平行な平面内に位置する。
【0081】
図3Aはノズル装置を示す斜視図である。図3Bは、図3Aのノズル装置を示す分解斜視図である。図4Aは、図3Bのノズルバンクを示す斜視図である。図4Bは、図4AのノズルバンクをラインA−A´に沿って示す断面図である。図5は、図4Bの個別供給ノズルバンクを示す底面図である。
【0082】
図3Aから図5を参照しつつ説明すると、ノズル装置では、複数の個別供給ノズルバンク106が互いに隣接するように配置されている。個別供給ノズルバンク106は、第1の側方チャネル110および第2の側方チャネル112に結合されている主要供給チャネル108を有する流体プレナムとの間で流体が連通するように構成されているノズルアレイを有する。個別供給ノズルバンク106は、Oリング封止部材または関連技術分野で公知のその他の封止部材のような封止機構126によって、第1の側方チャネル110および第2の側方チャネル112に結合されている。本実施形態によると、第1の側方チャネル110は、第1の側方チャネルを利用可能とするためのアクセスプレート128を有する。第2の側方チャネル112も同様に、アクセスプレート130を有する。アクセスプレート(128、130)は、ネジ、リベット等の取着機構によって接続されている。言うまでも無く、アクセスプレート(128、130)はさらに、対応する側方チャネルに溶接されているとしてもよい。第1の側方チャネル110および第2の側方チャネル112は、接続箇所132において、ネジ、リベット、溶接等の取着機構によって主要供給チャネル108に結合されている。関連技術分野で公知のように、全ての接続箇所において封止層を用いて、例えば、可鍛性物質等の漏れを防ぐとしてよい。取着プレート134を用いて、当該ノズル装置を反応チャンバに結合するとしてよい。
【0083】
図4Aから図5を参照しつつ説明すると、個別供給ノズルバンク106は、ステンレス鋼管142で形成された。管は、縦方向に半分に切断された。ノズル140は、管142に切り込みを入れて形成された。ノズル140の間隔144は、所望の用途に応じた適切な範囲内に収まる値であってよく、例えば、約1mm以上の範囲であってよい。好ましい実施形態では、約1cm以上であってよい。管には、複数のノズルを形成した。管142は、プレート146に取着、例えば、溶接された。プレート146は、供給本体148に取着された。この結果、チャンバが形成された。チャンバの長さが大きくなると、実施例を挙げて説明するが、ノズルの安定性が高くなり、ノズルの指向性が高くなる。チャンバの寸法は、適宜調整するとしてよい。
【0084】
また、本実施形態によると、ジェットの品質を改善するべく、任意で分割部材を利用するとしてもよい。1以上の分割部材150を利用するとしてよい。分割部材150によって、図4Bのノズルバンクの断面図に示すように、複数の分離した供給チャネル152が形成されるとしてよい。図5および図6を参照しつつ説明すると、複数の個別供給ノズルバンクが利用されている様子が示されている。本実施形態によると、8個のノズルバンク(106、156、158、160、162、164、166、168)を組み合わせてアレイを構成した。当該アレイは、液体ジェット間を通過して、各ノズルアレイから気体が流出するように構成されている。言うまでも無く、個別ノズルバンクの数は、装置の規模および所望の気体流および速度に応じて、増減し得るとしてよい。
【0085】
また、本実施形態によると、隣接するノズルバンクのノズルは、互い違いになるように構成された。例えば、ノズルバンク106のノズルは、ノズルバンク156のノズルからオフセットされており、アレイ全体で交互にこのように配置されているので、隣接するノズルバンクの平坦なジェットは互い違いに位置することになる。隣接するノズルバンク間(中心線から中心線まで)の距離は、参照番号155で図示されており、範囲は約1.2以上であるとしてよい。隣接するノズル間の距離は、参照番号144で示されており、範囲は約1mmから約10mmまでであるとしてよい。隣接するノズルバンクのノズル同士の間の距離は、参照番号154で示されており、範囲は約0.5mmから約5mmまでであるとしてよい。言うまでも無く、さまざまな点で構成を変更するとしてよく、例えば、アレイを構成しているノズルバンクのうち隣接するノズルバンク間の距離を変更するとしてもよいし、ノズル間の距離を変更するとしてもよい。好ましい実施形態によると、このような構成要素間の距離は、等間隔である。
【0086】
<実施例>
<実施例1>
実施例1では、単一ジェット試験装置に基づき、通常動作条件下において水がノズルから流出する様子を説明した。当該装置は、図7Aから図7Cを参照しつつ説明する。
【0087】
図7Aから図7Cを参照しつつ説明すると、当該装置の概略を参照番号700で示す。当該装置は、動作チャンバ702と、液体流入口704と、流体流出口708と、気体流入口713と、気体流出口714とを備える。流体流出口708は、再循環ループに接続されており、ポンプ(不図示)および流体流入口704に結合されている。ノズルプレート712の上方のプレナム709の流体圧を測定するべく、圧力ゲージ(不図示)を装着する。プレナムは、プレート712の上方に形成されている密閉されたチャンバであり、寸法は幅が226mm、高さは28.5mm、奥行きは20mmである。ノズルプレート712は、3個のノズルバンク714、716、および718を有する。この構成によると、各ノズルバンクにはノズルが3つ設けられている。具体的には、ノズルバンク716には、第1のノズル720、第2のノズル722、および、第3のノズル724が設けられている。ノズル同士の間は等間隔で離間しており、第1のノズル720と第2のノズル722との間の距離は4mmである。ノズルバンク714、716、および718は、等間隔に離間している。この実施例では、ノズルバンク714とノズルバンク716との間の距離は約5cmである。
【0088】
各ノズル(720、722、724)は、管(不図示)に切り込み深さ(DOC)を0.056インチとして切り込みを入れることによって形成された。この後、管を切断してプレートにレーザ溶接することによって、ノズルバンクを備えるプレートを形成した。管は、ステンレス鋼材料から形成されており、厚みは0.90mmであった。ノズルプレートは、ステンレス鋼材料から形成されており、厚みは4.72mmであった。各ノズルはまた、長径が2.67mmで短径が1.2mmとなるように形成される。この実施例によると、ノズルバンク714およびノズルバンク718は、ビーズ状の蝋、つまり、高融点のパラフィンで充填することによって塞いだ。さらに、ノズルバンク716については、ノズル720およびノズル724もまた、同じ蝋材料で充填して、ノズル722の1つのみを動作可能とした。プレート712はこの後、装置700内に図7Aに示すように配置された。液体プレナム709はプレート712の上方に配置され、プレート712全体を略水平方向に液体が流れるように構成される。ノズル722の開口と液体プレナムとの面積比は、約1:350となる。
【0089】
動作を説明すると、液体流入口704を用いて、外囲条件下の水道水をプレナム内に709に供給した。プレナム709内の圧力を示す圧力ゲージの値が約7psiとなった。図7Dは、実施例1で形成されるジェットの面を示す写真である。図7Eは、実施例1で形成されるジェットを側面からみた様子を示す写真である。
【0090】
図7Dおよび図7Eを参照しつつ説明すると、水がノズル722から流出して、平坦なジェット725を形成する。ジェット725は、長さが約12cmとなるように形成される。この長さは、参照番号726で表される測定値である。ジェットの長さは、ノズルの流出口からジェットが底部で再び1つになる箇所までの距離を測定した値である。部分728に示すように、線形シート不安定性がこの部分から始まり、ジェットが分散し始めている。分散長さは、ジェットの分散が始まった箇所からの長さである。ジェットの安定領域は、参照番号730によって図示されている。不安定領域は、参照番号732で示されており、本明細書に記載するように複数のジェットの位置が互いに近接している場合に重要になる。
【0091】
<実施例2>
実施例2によると、アレイ状のジェットは、図8Aに示す試験台装置によって形成された。当該システムの概略は、参照番号800で示す。当該システム800は、流体用排水ます802と、流体ポンプ804と、1つのノズルバンク806に接続されている配管設備を備える。流体は、再循環するようになっており、排水ます802からポンプへと流れてノズルバンク806を通過し、平坦なジェット808となった。平坦なジェット808は、排水ますに再び溜められた。ポンプから延びている配管網は、ノズルバンクのすぐ上流に接続されており、ノズルバンクの両側からの供給を可能とするように構成された。圧力ゲージ810は、流体経路のT字部分に配設され、ノズルバンクに供給される流体圧を測定した。
【0092】
図8Bは、実施例2で用いたノズルバンクを示す図である。当該ノズルバンクの概略を、参照番号812で示す。ノズルバンク812は、長さが8インチで直径が0.5インチのステンレス鋼の管から形成された。この管の4インチの位置にある中央部分814は、幅が0.375インチの楕円を形成するように圧縮された。ノズルバンクには、複数のノズル816が設けられた。この実施例によると、ワイヤ放電加工(EDM)を用いて管に切り込みを入れて、32個のノズルを形成した。各ノズル816は、約2mmの等間隔で互いから離間させた。この実施例では、ノズルを1つおきにテープで塞いで、16個のノズルを利用したので、各ノズル間の距離は4mmとなった。
【0093】
図9は、実施例2で形成されたジェットを示す写真である。
【0094】
図9を参照しつつ説明すると、実施例2の装置の動作では、100%(w/w)のエチレングリコールを外囲温度でノズルバンクを通過させて流した。ノズルバンクの圧力を示す圧力ゲージ810の値は約11psiとなった。図9に示すように、内部ジェットは、ノズルバンク812の左側の1cmの格子スケールで表されているように、ノズルバンク812から約5cm離れた箇所で一点にまとまった。外側ジェットは、ノズルバンク812から約20cm離れた箇所で一点にまとまった。この実施例において、ジェットが一点に集中すると、ノズルバンクを互い違いになるように配置することに関して、問題が発生する。また、ジェットが一点に集まるために、ジェットの表面積は限られてしまっていた。
【0095】
<実施例3>
実施例3によると、実施例2の試験台装置によってアレイ状のジェットを形成した。この実施例では、ノズルバンク812は、図10Aから図10Bに示すチャネル挿入体で変更された。
【0096】
図10Aは、実施例3に係るチャネル挿入体を示す断面斜視図である。図10Bは、図10Aのチャネル挿入体をラインB−B´に沿って示す断面斜視図である。
【0097】
図10Aおよび図10Bを参照しつつ説明すると、チャネル挿入体の概略を参照番号1000で示す。チャネル挿入体1000は、ノズルバンク812の内壁に、反対側のノズルバンクの壁を利用して止めネジ(不図示)によって固定された。チャネル挿入体1000は、アルミニウムブロックから形成された。このブロックに、ノズルバンク812に形成されたノズルの開口と一致するような複数のチャネル1002を機械加工で形成した。チャネル挿入体に形成された個別チャネル1002は、幅が約0.039インチ、長さが約0.175インチ、奥行きが約0.19インチであった。チャネル挿入体の端部は、ノズルバンク内の流体の流れを容易にするべく斜めに形成され、片側は管の内部構造に合うように丸く形成されていた。本実施例によると、利用するノズルは5個で、残りのノズルはテープで塞いだ。ノズル間の間隔は4mmであった。
【0098】
図11は、実施例3で形成されたジェットを示す写真である。
【0099】
図11を参照しつつ説明すると、実施例3に係る装置の動作では、チャネル挿入体1000を利用しつつ、100%(w/w)のエチレングリコールを外囲温度でノズルバンクを通過させて流した。ノズルバンクの圧力を示す圧力ゲージの値は、この実施例でも、11psiとなった。図示されているように、互いに平行で平坦なジェット1100が複数形成された。平坦なジェットの安定領域は名目上、15cmであった。ジェットは、安定領域より下方では、まとまりがなくなって互いに混ざり合う。この場合、ジェットが安定しているので、ジェットを互い違いに配置することができるようになる。
【0100】
<実施例4>
実施例4によると、アレイ状の平坦なジェットを実施例2で説明したシステムを用いて生成した。異なるノズルバンクを使用した。図12Aから図12Cを参照しつつ説明する。ノズルバンクの概略を、参照番号1200で示す。ノズルバンク1200は、直径が0.25インチのステンレス鋼管で形成された。この管は、長さが10cmで、長手方向に半分に切断された。ノズル1202は、上述したように、ワイヤEDMを利用して管1204に切り込みを入れて形成された。ノズル間の間隔1203は、図12Cに示すように、管に沿って約0.6cmであった。管には16個のノズルが形成された。この管をステンレス鋼製のプレート1206に溶接した。プレート1206は、機械加工されたステンレス鋼製の供給本体1208に溶接した。この結果、チャンバが形成された。供給管の中心線からノズル管までの距離は、約4cmであった。チャンバの幅は、テーパー形状を持つので、供給管の最上部においては1.016cmであり、ノズル管においては0.25インチとなった。ノズルバンク1200の内部には、ステンレス鋼製の分離部材1210を溶接した。各ノズル1402は、図8Bのノズルバンクの断面図に示したように、別個の供給チャネル1212を持つように構成された。このノズルバンクでは、各チャネルの高さは約1.21インチで、分離部材1210は約0.201インチの間隔で配置されている。
【0101】
図12Dは、実施例4で形成されるジェットを示す写真である。
【0102】
図12Dを参照しつつ説明すると、実施例4に係る装置の動作では、100%(w/w)のエチレングリコールを外囲温度でノズルバンクを通過させて流した。ノズルバンクの圧力を示す圧力ゲージの値は、この実施例でも、11psiとなった。図示されているように、互いに略平行で平坦なジェットが複数形成された。平坦なジェットの安定領域は名目上、15cmであった。ジェットは、安定領域より下方では、まとまりがなくなって互いに混ざり合う。この場合、ジェットが安定しているので、ジェットを互い違いに配置することができるようになる。
【0103】
また、この実施例では別の実験も行った。この実験では、分離部材1210を有さないノズルバンクを利用した。つまり、この構成によると、ノズルバンクは本例と同一であるが、分離部材1210が設けられなかった。平行なジェットを生成するためのノズルバンクの高さの最小値は5cmであり、高さが5cm未満になると平坦なジェットは、実施例2で示したように、1つにまとまってしまうことが観察された。
【0104】
ノズルバンクの高さを5cmから8cmの間で設定した場合についても試験が行われた。つまり、供給管の中心線からノズル管までの距離が約5cmから約8cmで、内部分離部材1210は設けられなかった。ノズルバンクの高さを6cmとした場合にノズルバンクで形成されたジェットが、ノズルバンクの高さを5cmとした場合に形成されたジェットよりもわずかに平行である度合いが高いことが観察された。また、ノズルバンクの高さを6cm以上にして形成されたジェットは(ジェットの平行の度合いに関して)大きな改善は見られなかった。
【0105】
<実施例5>
実施例5によると、ジェット試験装置を用いて、水がノズルバンクアレイから流出して向流方向に流れている窒素ガスと相互作用する様子を説明する。当該装置は、図1に示す装置と同様に、動作チャンバと、流体プレナムと、気体流入口と、気体流出口と、流体プレナムに結合されている液体流入口と、流体流出口とを備えていた。
【0106】
しかし、この実施例では、図13Aに示すように7個のノズルバンク(1302、1304、1306、1308、1310、1312、1314)をアレイ状にまとめて、各ノズルバンク間を気体が通過するように構成した。各ノズルバンクは、実施例4で説明したものであった。図13Aを参照しつつ説明すると、液体プレナムは、供給バンクのうち2つについて、支持部材1320に結合されている第1の供給プレナム1316および第2の供給プレナム1318を有していた。この実施例によると、各ノズルバンクには複数のノズル1322が形成された。図13Bを参照しつつ説明すると、バンク1302のノズルは、バンク1304のノズルとはオフセットされており、アレイ全体で交互にこのように配置されているので、図13Bに示すように、隣接するノズルバンクの平坦なジェットは互い違いに位置することになる。隣接するノズルバンク間(中心線から中心線まで)の距離は、参照番号1324で図示されており、この実施例では12.5mmあった。隣接するノズル間の距離は、参照番号1326で示されており、この実施例では6mmである。隣接するノズルバンクのノズル同士の間の距離は、参照番号1328で示されており、この実施例では3mmである。
【0107】
ノズルバンクは、ノズルバンクを供給対象とする2つの側方プレナム(1316および1318)から成る供給プレナム内に配設されている。側方プレナムは、ステンレス鋼から機械加工で形成され、観察およびノズルバンク清浄のために取り外し可能なアクリル窓を含む。ノズルバンクは、Oリング1330を用いて側方プレナム内に封止されている。ノズルバンクおよび側方プレナムは、1つのステンレス鋼製の供給管(不図示)に取り付けられている。プレナム構造にはステンレス鋼製のフランジが取り付けられて、反応器の実装を可能とする。
【0108】
図13Cは、実施例5で形成されるジェットを示す写真である。図13Dは、実施例5で形成されるジェットを示す別の写真である。
【0109】
図13Cおよび図13Dを参照しつつ動作を説明すると、ノズルバンクアレイに水を流して、アレイ状の平坦で互い違いのジェットを生成する。流体プレナム上の圧力ゲージの測定値は、ノズルバンクに供給される圧力が11psiであった。図13Cは、向流がなく、真空環境下で動作する場合のジェットを示す。気体は、反応容器の底部で導入され、ジェットの流れと反対向きになるように流れ、ノズルバンク間を通って反応器外へと流出した。図13Dは、100Torr且つ13m/sで向流で窒素ガスを供給しつつ動作する場合のジェットを示す。このようなアレイの場合には、外囲雰囲気条件でも真空条件でもジェットが非常に安定することが観察された。上述した向流がジェットに対して導入される場合、ジェットの挙動にほとんど差異は見られなかった。ジェットの最上部の表面は、向流があっても、平坦なままであった。ジェットは、真空でも、上述した流れであっても、相互に作用したり1つにまとまることはなかった。
【0110】
当業者には、本発明の意図または範囲から逸脱することなく本発明をさまざまな点で変形および変更し得ることが明らかであろう。このため、本発明は、請求項およびその均等物の範囲内に含まれる限りにおいて、本発明の変形例および変更例も含むものことを意図している。
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)の一部継続出願であり、当該特許出願に基づく優先権を主張する。また、米国特許仮出願第61/100,564号(発明の名称:「気体状汚染物質を除去するシステム」、出願日:2008年9月26日)、米国特許仮出願第61/100,606号(発明の名称:「気液接触システムおよび気液接触方法」、出願日:2008年9月26日)、および、米国特許仮出願第61/100,591号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2008年9月26日)の恩恵を主張する。上記特許文献はいずれも、全ての記載内容を参照により本願に組み込まれるものとする。また、本願は、米国特許出願第12/012,568号(発明の名称:「二相反応器」、出願日:2008年2月4日)の主題に関連している。当該米国特許出願は、米国特許出願第11/057,539号(発明の名称:「二相反応器」、出願日:2005年2月14日)の継続出願であり、すでに米国特許第7,379,487号として特許されている。両出願共に、記載内容は全て参照により本願に組み込まれるものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、気液接触器ならびに排水洗浄のシステムおよび方法に関する。特に、等間隔に離間された複数の平坦な液体ジェットを生成するノズルアレイに関する。液体ジェットは、液体の補充を高速に行いつつ、気体流による乱れを最小限に抑えると共に気体流と液体流との相互作用を最大限に高めるような形状を持つ。
【背景技術】
【0003】
気体を液体に吸収させる処理工程は、さまざまな気液接触システムにおいて鍵となる処理工程である。気液接触器は、気液反応器としても知られており、二相の間の界面領域が液体表面上およびバルク液体内に形成される表面体積反応器に分類することができる。表面気液反応器としては、回転ディスクおよび液体ジェット接触器等、多くの例が挙げられる。回転ディスク型生成器では、ディスク(回転子)が部分的に液体内に浸漬されており気体流に暴露されている。溶液の薄膜が、回転子表面上に形成されると共に、並流試薬の気体流と接触する。ディスクが回転すると、液体試薬と気体との接触が新しくなる。体積型の気液反応器では、気相が小さい泡となってバルク液体中に分散する。このような気泡は、球状または不規則な形状を持ち、気体スパージャによって液体中に導入され得る。気泡は、物質移動を大きくするべく、機械的に撹拌され得る。
【0004】
多くの気液接触システムでは、液相への気相の移動速度は、液相物質移動係数「k」、界面の表面積「A」、および、バルク流体と気液界面との間の濃度傾斜「ΔC」によって制御される。このため、液体へ気体が吸収される実際の速度は以下の式によって表される。
【数1】
式中、変数は反応器の単位体積当たりの気体吸収速度(モル/(cm3s))、φは単位界面面積当たりの平均吸収速度(モル/cm2s))、aは単位体積当たりの気液界面面積(cm2/cm3またはcm−1)、pおよびpiは試薬気体のバルク気体内および界面上での分圧(バール)、CL*は既存の気相分圧piと平衡となっている液相側濃度(モル/cm3)、CL(モル/cm3)はバルク液体内に溶解した気体の平均濃度、kG(モル/cm2*s*バール)およびkL(cm/s)は気相側物質移動係数および液相側物質移動係数である。
【0005】
関連技術分野では、気体接触システムにおいて物質移動および比表面積を最大限に大きくする方法として多くの方法が開発されている。主なものでは、気体スパージャ、濡れ壁ジェット、および、噴霧または霧化を利用する。気液接触器の選択は、気体流/液体流、物質移動、および、化学反応の性質等の反応条件に応じて決まる。関連技術分野で利用されている気液反応器の一部の物質移動特性を表1にまとめている。気体吸収速度を最適化するためには、「kL」、「a」、および、「CL*−CL」のパラメータを最大値にする必要がある。多くの気液反応システムでは、CL*の溶解度が非常に低いので、濃度傾斜の制御に限度がある。このように、高効率の気液流反応器を設計する上で主に考慮すべきパラメータは、物質移動、および、界面表面積と反応器体積との比であり、後者は比表面積というパラメータとしても知られている。
【表1】
さまざまな気液接触反応器において、性能は界面接触面積に左右される。例えば、化学酸素ヨウ素レーザ(Chemical Oxygen Iodine Laser:COIL)は、塩素ガス(Cl2)および塩基性過酸化水素(BHP)から成る化学燃料に基づきレーザエネルギーを生成する。この反応によってデルタ状態の一重項酸素が生成され、一重項酸素によってCOILが駆動される。現在の技術水準では、液状のBHPの円形噴流とCl2ガスとを混合させて、デルタ状態の一重項酸素を生成している。通常の生成器では、噴流の直径は、350ミクロンのオーダ以下である。噴流を形成するべく、液状のBHPは、高密度で孔が形成されているノズルプレートを加圧下で通って押し出される。この結果、Cl2ガスに接触する界面表面積が大きくなる。表面積が大きくなると、生成器のサイズはより小型になり、レーザキャビティに分配され得る励起酸素の収率が高くなる。噴流をより小型にして且つより高密度で配置すると、比表面積は改善されるが、詰まりおよび破損が発生しやすくなってしまう。塩素と塩基性過酸化水素との反応によって塩基性過酸化水素を生成するのに用いられるアルカリ金属水酸化物の塩素塩が生成されるので、詰まりは深刻な問題である。また、詰まりが発生すると塩基性過酸化水素のモル濃度範囲に制限が課され、一重項酸素の収率およびレーザ出力が低減してしまう。COILシステムの構成要素のうち最も重量が大きいのは、この化学燃料である。燃料の生成につきものの問題が発生すると、重量が大きくなり、COILレーザの効率が全体的に低下してしまう。このため、現在の設計水準よりも効率が高く重力が小さいCOILレーザが必要である。
【0006】
別の例を挙げると、気液接触器は、好気性発酵プロセスにおいても利用される。好気性発酵では、酸素が最も重要な試薬の1つである。酸素は、水溶液に対する溶解度は低いが、培養成長を維持するために需要は高い。商業用の発酵槽(>10,000L)では、物質移動容量係数kLaを高めるべく、撹拌気泡分散を利用する。撹拌によって、溶解した酸素のバルク液体内の移動が促進され、気泡の合体が分解され、気泡の周囲を取り囲む境界層が低減される。このようなシステムでは、反応器内の気泡の数を大きくすると共に気泡の直径のサイズを小さくすることによって、界面面積を大きくする。しかし、微生物への酸素の物質移動は依然として、気泡の界面表面積が比較的小さいことと、および、気泡の滞留時間が短いことによって制限されてしまう。現在のスパージャシステム(気泡拡散方式)では、物質移動容量係数kLaが比較的小さい(約0.2/s)ので、上述したような物質移動の問題を解消するべく、界面表面積を最大限に大きくする新しい方法が所望されている。
【0007】
産業上の用途向けにシステムを設計するに当たっては、コストおよび効率の両方に考慮しなければならない。従来の認識では一般的に、両方が同時に最適化される可能性はないとされている。気液接触器の場合、従来の認識は、化学処理、生物学的処理、汚染制御、または、動的な流動システムにおいて気相化学物質を液相に反応または溶解させることを必要とする同様の処理等、産業上の用途に留まっているのが一般的である。
【0008】
一例として、汚染制御に利用される場合、湿式処理で対象化合物を除去する標準的な方法としては、液相の微細液滴を気相の流れに対して180度反対方向で落下させる向流流動システムが挙げられる。通常は、重力を利用して液相を塔の底部にある捕捉用汚水槽へと導く。気相の流れは、同じ塔の内部を上方向に向いている。この気相はこの後、さらに処理されるべく捕捉されるか、または、大気中に放出される。
【0009】
塔は、より大規模な化学的処理を内部で可能とするべく、所望の処理のサイズに対して線形に、長さまたは直径を増減させる必要がある。現在の論理的方法論では、単一ユニットプロセスの資本コストは一般的にサイズに対して線形に増減しないので、単一ユニットプロセスの規模を大きくする。
【0010】
標準的な向流型、重力型、または、エアロゾル/液滴型の気液接触器の別の問題点として、重力の影響が液滴の浮力よりも大きくなるように気体流の速度を十分に遅くしなければならない点が挙げられる。いずれにしても、接触時間が長いために一般的に液体状の反応物は大部分が蒸発してしまい、二次的な処理または放出の前にこの蒸気の大部分を捕捉する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、関連技術の限界および欠点に起因して生じる問題のうち1以上の問題を実質的に解決する気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法を提供する。
【0012】
本発明の利点として、物質移動容量係数が高くなり、この結果として小型化が実現されるので、低圧吸着処理が可能となって、システム全体にわたって必要なポンプ機能が最小限に抑えられる点が挙げられる。
【0013】
本発明の別の利点として、関連技術に比べてシステムの占有面積が小さい気液接触器が提供される点が挙げられる。
【0014】
本発明のさらに別の利点として、モジュール設計の気液接触器が提供される点が挙げられる。
【0015】
本発明のさらに別の利点として、平坦なジェットの比表面積が大きくなり(例えば、厚みの小さい平坦な液体ジェットが実現される)、性能が改善された気液接触器が提供される点が挙げられる。
【0016】
本発明の別の利点として、反応機能または清浄機能が同一である従来のシステムと比較すると、サイズ、占有面積、および工場施設が小型で、接触面積が大きいので、コストおよび用地の影響が非常に小さく、品質およびユニット間の整合性が高いモジュール式システムが提供される点が挙げられる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、以下に記載し、一部のものについては以下の説明から明らかになるか、または本発明を実施することによって分かるものである。本発明の目的およびその他の利点は、本明細書および特許請求の範囲、ならびに、添付図面に具体的に記載した構成によって実現および達成される。
【0018】
本発明の実施形態は、装置に関する。当該装置は、チャンバと、チャンバに結合されている気体流入口および気体流出口と、チャンバに結合されている流体プレナムとを備える。当該装置はさらに、個別供給ノズルバンクを備える。個別供給ノズルバンクは、液体プレナムに結合されているノズルアレイを有する。ノズルアレイは、実質的に平面的な液体ジェットを複数提供し、各液体ジェットは、平面シート状の液体を含む。複数の液体ジェットはまた、実質的に平行な平面内に位置している。当該装置はさらに、反応チャンバに結合されている気体流体分離器を備える。
【0019】
本発明の別の実施形態は、個別供給ノズルバンク装置に関する。当該装置は、実質的に平面的な複数の液体ジェットを提供する複数のノズルを備える。複数の液体ジェットは、平面シート状の液体を含む。複数のノズルは、実質的に平行な平面内に位置する。供給チャンバは、複数のノズルに結合されており、少なくとも1つの流入口が供給チャネルに結合されている。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態は、気液接触器で気相分子を処理する方法に関する。当該方法は、ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、実質的に平面的な複数の液体ジェットを形成する段階を備える。複数の液体ジェットは、平面シート状の液体を含み、実質的に平行な平面内に位置している。反応性または可溶性の気相分子を含む気体を、気液接触器に供給する。当該方法はさらに、気相分子と複数の液体ジェットとの間の物質移動相互作用によって気相分子の少なくとも一部を除去する。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態は、気液接触器で気相分子を処理する方法に関する。当該方法は、ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、実質的に平面的な複数の液体ジェットを形成する段階を備える。複数の液体ジェットは、実質的に平面シート状の液体を含み、当該液体は、水性スラリーを含む。反応性または可溶性の気相分子を含む気体を、気液接触器に供給する。当該方法はさらに、気相分子と複数の液体ジェットとの間の物質移動相互作用によって気相分子の少なくとも一部を除去する。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態は、気液接触器で気相分子を処理する方法に関する。当該方法は、不安定な液体ジェットを複数形成する段階を備える。不安定な液体ジェットは、複数の個別供給ノズルバンクを用いて形成され、複数の液滴が分布している。反応性または可溶性の気相分子を含む気体を、気液接触器に供給する。当該方法はさらに、気相分子と分布している複数の液滴との間の物質移動相互作用によって気相分子の少なくとも一部を除去する。
【0023】
上述した概略的な説明および後述する詳細な説明は共に、本発明を例示および説明するためのものであると理解されたく、要求に応じて本発明についてさらに説明を行うものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
添付図面は、本発明のさらなる理解のために提供されており、本明細書に組み込まれてその一部を成すものであり、本発明の実施形態を図示し、以下の説明と共に参照することによって本発明の原理を説明するものである。
【0025】
図面は以下の通りである。
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る向流装置を示す断面斜視図である。
【0027】
【図2】本発明の別の実施形態に係る並流装置を示す断面斜視図である。
【0028】
【図3A】図1および図2のノズル装置を示す斜視図である。
【0029】
【図3B】図3Aのノズル装置を示す分解斜視図である。
【0030】
【図4A】図3Bのノズルバンクを示す斜視図である。
【0031】
【図4B】図4AのノズルバンクをラインA−A´に沿って示す断面図である。
【0032】
【図5】図4Aおよび図6のノズルバンクを示す底面図である。
【0033】
【図6】本発明の実施形態に係る装置を示す斜視図である。
【0034】
【図7A】例1に係る装置を示す図である。
【0035】
【図7B】例1に係るノズルプレートの出口側を示す図である。
【0036】
【図7C】例1に係るノズルプレートの入口側を示す図である。
【0037】
【図7D】例1に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【0038】
【図7E】例1に係るジェットを側面から見た様子を示す写真である。
【0039】
【図8A】例2に係るシステムを示す図である。
【0040】
【図8B】例2に係るノズルバンクを示す図である。
【0041】
【図9】例2に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【0042】
【図10A】例3に係るチャネル挿入体を示す断面斜視図である。
【0043】
【図10B】図10Aのチャネル挿入体をラインB−B´に沿って示す断面斜視図である。
【0044】
【図11】例3に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【0045】
【図12A】例4に係るノズルバンクを示す斜視図である。
【0046】
【図12B】図12Aのノズルバンクを示す断面斜視図である。
【0047】
【図12C】図12Aのノズルバンクを示す底面図である。
【0048】
【図12D】例4に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【0049】
【図13A】例5に係る装置を示す斜視図である。
【0050】
【図13B】図13Aのノズルバンクを示す底面図である。
【0051】
【図13C】例5に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【0052】
【図13D】例5に係るジェットを正面から見た様子を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、気液接触器ならびに排水洗浄のシステムおよび方法に関する。特に、等間隔に離間された複数の平坦な液体ジェットを生成するノズルアレイに関する。液体ジェットは、気体による乱れを最小限に抑えるような形状を持つ。また、さまざまな実施形態からは、モジュールとしてまとめられる複数の小規模の単一ユニットプロセスが直接提供される。単一ユニットプロセスは、従来技術の欠陥を解消するように設計されている。単一ユニットプロセスをモジュール化することによって、システムは、プロセスの規模を受け入れられるように単にモジュールを整数倍することによって拡大/縮小させることができるので、小型化が可能となる。
【0054】
本発明の実施形態は、気液接触器、蒸留装置、吸収装置、清浄装置、排出装置等の装置に関する。当該装置は、チャンバと、当該チャンバに結合されている気体流入口と、当該チャンバに結合されている気体流出口とを備える。流体プレナムは、反応チャンバに結合されている。当該装置は、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように複数のノズルを備えるとしてよい。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。反応チャンバにはさらに、気体流体分離器が結合されている。気体流体分離器は、当該装置内の気体と流体とを分離する。
【0055】
別の実施形態によると、当該装置は、少なくとも1つの個別供給ノズルバンクを備える。個別供給ノズルバンクは、液体プレナムに結合されているノズルアレイを有しており、ノズルアレイは、実質的に平面的な液体ジェットを複数提供する。複数の液体ジェットはそれぞれ、平面シート状の液体を含み、複数の液体ジェットは実質的に平行な平面内に位置している。
【0056】
本実施形態によると、2つ以上の個別供給ノズルバンクを利用して、互いに隣接するように配置するとしてよい。このようなノズルバンクに含まれるノズルは、複数の異なる構成を持つとしてよいが、例えば、ジグザグ状構成、非ジグザグ状構成を持つとしてよく、ノズルはサイズ、例えば、切り込み深さが不均一であるとしてもよい。ジグザグ状構成の一例を挙げると、第1のノズルバンクの第1のノズル列、第2のノズルバンクの第2のノズル列、および、第3のノズルバンクの第3のノズル列は、第2のノズル列が、第1のノズル列と第3のノズル列との間に配置され、両者に対してオフセットされるように配置される。
【0057】
個別供給ノズルバンクは、液体プレナムとの間で流体が連通するように構成されているノズルアレイを有する。ノズルアレイは、実質的に平面的な液体ジェットを複数提供し、複数の液体ジェットは、実質的に平面シート状の液体として形成されており、実質的に平行な平面内に位置している。当該ノズルは、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように構成されているとしてよい。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。当該装置は、気体流入口から注入される気体が並流方向または向流方向に流れるように構成され得る。
【0058】
本実施形態によると、流体プレナムは、少なくとも1つの側方チャネルに結合されている主要供給チャネルを有する。側方チャネルは、個別供給ノズルバンクに結合されており、流体をノズルに供給する。この流体は、液体、気体、または、液体および気体の混合物であってよく、液体は、水性スラリー等の固体を含むとしてよい。
【0059】
好ましい実施形態によると、個別供給ノズルバンクは、ノズルプレートに結合されている供給チャンバを有する。供給チャンバは、ノズルプレートに結合されている第1の側壁と、ノズルプレートおよび第1の側壁に結合されている第2の側壁と、ノズルプレートおよび第2の側壁に結合されている第3の側壁と、ノズルプレート、第3の側壁、および第1の側壁に結合されている第4の側壁とを含む。第1の側壁、第2の側壁、第3の側壁および第4の側壁、ならびに、ノズルプレートは、ノズルプレートの反対側の端部に開口を持つチャンバを形成する。開口は、流体が供給されるように供給管に結合されている。この結合は、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、レーザ溶接等の溶接によって成されているとしてよい。
【0060】
好ましい実施形態によると、供給チャンバは挿入体を含む。挿入体は、ノズルプレート内の各ノズルに個別に液体流を供給するように構成されている複数の供給チャネルを含む。供給管は、少なくとも1つの端部に開口を持ち、プレナムの少なくとも1つの側方チャネルに結合されている。供給管は、Oリングの封止部または溶接結合部によって結合されている。チャンバは、厚みが少なくとも約1cmである。チャンバは、ノズルバンクより上の高さが、約1cmから約8cmの範囲内である。
【0061】
好ましい実施形態によると、ノズルプレートは、実質的にU字形状、V字形状、または、その他の形状を持つ構成要素を含む。ノズルは、より好ましい実施形態によると、楕円形状である。ある実施形態によると、楕円形状のノズルは、短径が約0.5mmから約1.5mmの範囲内であり、長径が約0.75mmから約5mmの範囲内である。好ましい実施形態によると、楕円形状のノズルは、短径が約0.6mmから約1.0mmの範囲内であり、長径が約1.5mmから約2.5mmの範囲内である。ノズルは、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)を参照しつつ説明したように、切り込み深さが、例えば、0.054インチ、0.056インチ、0.058インチ、および、これらの組み合わせとなるように構成されるとしてよい。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。好ましい実施形態によると、ノズルアレイは、等間隔で離間された複数のノズルから構成される。少なくとも1つのノズルは、投影断面積が約0.25mm2から約20mm2の範囲内である。
【0062】
ノズルバンクおよび流動チャンバは、例えば、銅、ニッケル、クロム、スチール、アルミニウム、コーティング金属、および、これらの組み合わせといったさまざまな材料で形成され得る。また、このような材料としてはさらに、構造用ポリマー、ポリイミド、これらの合成物、および、これらの組み合わせが挙げられるとしてよい。
【0063】
本発明の別の実施形態は、気液接触器で気相分子を処理する方法に関する。当該方法は、ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、実質的に平面的な複数の液体ジェットを形成する段階を備える。複数の液体ジェットは、実質的に平面シート状の液体を含み、実質的に平行な平面内に位置している。反応性または可溶性の気相分子を供給し、当該気相分子と液体ジェットとの間の物質移動相互作用によって気相分子の少なくとも一部を除去する。別の実施形態によると、液体は水性スラリーを含むとしてよい。水性スラリーは、固体濃度が約0.2%(w/w)から約30%(w/w)の範囲内であるとしてよい。好ましい実施形態では、水溶液は、固体濃度が約10%(w/w)から約25%(w/w)の範囲内である。
【0064】
気相分子は、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように、複数の異なる気相分子を含むとしてよい。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。例えば、気相分子は、硫黄酸化物、窒素酸化物、二酸化炭素、アンモニア、酸性気体、アミン、ハロゲン、および、酸素のうち少なくとも1つを含むとしてよい。好ましい実施形態では、気相分子は、石炭火力発電所等の燃焼プロセスで発生する二酸化炭素を含む。
【0065】
液体ジェットは、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように、汚染物質および/または他の流体を分離するべく吸着流体を含むとしてよい。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。例えば、液体ジェットは、水、アンモニア、アンモニウム塩、アミン、アルカノールアミン、アルカリ塩、アルカリ土類塩、過酸化物、次亜塩素酸塩、および、これらの組み合わせを含むとしてよい。好ましい実施形態では、液体ジェットは、カルシウム塩溶液およびマグネシウム塩溶液を含む。液体ジェットは、海水溶液、または、ブライン溶液を含むとしてよい。
【0066】
ある実施形態によると、物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約1sec−1から約1500sec−1の範囲内である。好ましい実施形態では、物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約5sec−1から約150sec−1の範囲内である。より好ましい実施形態では、物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約10sec−1から約100sec−1の範囲内である。物質移動相互作用は、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されている。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。
【0067】
本発明のある実施形態によると、ガスを供給する際の流量はさまざまな値に設定するとしてよく、例えば、対容量比は約100min−1から約1000min−1の範囲内である。また、好ましい実施形態では、装置に流入する流体の流量は、例えば、2psiから約15psiの間で変動するとしてよい。アレイの平坦な液体ジェットは、速度が15m/sec未満であり、より好ましくは、約5m/secから約15m/secの範囲内である。
【0068】
本発明のある実施形態では、アレイの平坦な液体ジェットは、幅が約1cmよりも大きく、例えば、好ましい実施形態では、約1cmから約15cmの範囲内であるとしてよい。平坦な液体ジェットは、厚みが約10μmから約1000μmの範囲内であってよく、より好ましくは、約10μmから約250μmの範囲内であってよく、さらに好ましくは、約10μmから約100μmの範囲内であってよい。平坦な液体ジェットは、長さが約5cmから約30cmの範囲内であってよく、より好ましくは、約5cmから約20cmの範囲内であってよい。全てのジェットが、厚み、幅、および、長さについて上述した範囲を満たしている必要はないことに留意されたい。しかし、好ましい実施形態によると、複数のジェットは、幅、長さ、および、厚みにおいて、略一定である。
【0069】
本発明のさらに別の実施形態によると、気液接触器で気相分子を処理する方法に関する。当該方法は、ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、複数の液滴が分布している不安定な液体ジェットを複数形成する段階を備える。当該方法は、少なくとも1つの反応性または可溶性の気相分子を含む気体を供給する段階と、気相分子と分布している複数の液滴との間の物質移動相互作用によって気相分子の少なくとも一部を除去する段階とを備える。
【0070】
本実施形態によると、複数の動作条件を組み合わせることによって、例えば、プレナム圧を高くすると共に高密度で複数のノズルを配置してノズルアレイを形成することによって、複数の液滴が分布した複数のジェット同士を衝突させる。好ましい実施形態によると、液滴の分布は、高密度で、略均一である。分布している液滴は、サイズが約50ミクロンから約2mmの範囲内であり、液体部分容積の範囲は0.5%から20%である。プレナム圧が大きくなると、ノズルに供給される液体の速度は速くなり、結果として水に関して競合することになり、平坦なジェットが不安定になる。ジェットにおける不安定性は、少なくとも2通りの現れ方がある。第1の現れ方として、水流と同軸方向および横軸方向(ノズル間競合の方向)の両方向に沿って、ジェットがパルス化する。ジェットのパルス化は、プレナム流量が高いことに起因して発生し、隣接するノズル間で競争が発生して、ジェットの幅が変動する。競争によって各ノズルの流量が変動して、ジェットのパルス化が発生する。第2の現れ方として、最適条件下にある場合にこのような種類のジェットで見られる線形シート不安定性の発生が加速される。
【0071】
本発明の別の実施形態によると、ジェットは、パルス化と各ジェットの線形シート不安定性とによって隣接するジェット同士が衝突して液滴の分布が形成されるように、互いに離間されて配置される。このように衝突することによって、速度が高速化し、例えば、約5m/sから約10m/s以上の範囲内となる。液滴の速度が高速化するのは、ノズルから流出する際のジェットの初期速度が、例えば、約5m/sから約10m/s以上の範囲内と高いためである。液滴の速度を高速化すると共に液滴のサイズにバラツキを持たせると、外力、例えば、気流または重力によって生じる力が液滴に及ぼす影響が最小限に抑えられ、全体的な液滴の運動量が不変となる。さらに、液滴の速度は、表面積が大きくなったので、反応を高めるのに十分な程度に低い。
【0072】
液滴生成器は、ノズルの切り込み深さ(DOC)、ノズル間距離、ノズルバンク間距離、動作プレナム圧のうち少なくとも1つを調整して、表面張力および/または粘度を低減する促進剤を利用して、および、自然に発生するジェットの不安定性を増幅するべくこれらを組み合わせることによって、実現され得る。例えば、ノズルの切り込み深さが小さくなると、ジェットの不安定性を与えるための動作圧は小さくなる。また、ノズル間距離が小さくなっても、ジェットの不安定性を与えるための動作圧は小さくなる。動作プレナム圧が大きくなると、ジェットの速度が高くなり、コリジョンによってジェットに不安定性が与えられる。また、促進剤も用いられて、ジェットの幅を大きくする傾向がある表面張力を低減するとしてよい。このため、ジェット間の衝突が多くなり、自然に発生するジェットの不安定性が増幅される。最後に、粘度を低減する促進剤は、流体の感受性を高める傾向があり、ジェットが変形するので、自然に発生するジェットの不安定性が増幅される傾向がある。
【0073】
好ましい実施形態によると、気液接触器は、DOCが0.052のノズルを複数有し、ノズル間距離が約2mmで、ノズルバンク間距離が約2cmで、安定化部を有さないノズルアレイを備える。各ノズルについては、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)にさらに詳しく説明されている。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。気液接触器は、プレナム圧を15psi以上に設定して動作して、バラバラになる複数の不安定なジェットを生成する。気液接触器は、プレナム圧を約17psiから約75psiの範囲内に設定して動作することが好ましく、プレナム圧を約17psiから約30psiの範囲内に設定して動作することがより好ましい。
【0074】
別の好ましい実施形態によると、気液接触器は、DOCが0.054のノズルを複数有し、ノズル間距離が約2mmで、ノズルバンク間距離が約2cmで、安定化部を有さないノズルアレイを備える。各ノズルについては、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)にさらに詳しく説明されている。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。気液接触器は、プレナム圧を13psi以上に設定して動作して、バラバラになる複数の不安定なジェットを生成する。気液接触器は、プレナム圧を約15psiから約73psiの範囲内に設定して動作することが好ましく、プレナム圧を約15psiから約28psiの範囲内に設定して動作することがより好ましい。
【0075】
さらに別の好ましい実施形態によると、気液接触器は、DOCが0.056のノズルを複数有し、ノズル間距離が約2mmで、ノズルバンク間距離が約2cmで、安定化部を有さないノズルアレイを備える。気液接触器は、プレナム圧を11psi以上に設定して動作して、バラバラになる複数の不安定なジェットを生成する。気液接触器は、プレナム圧を約11psiから約71psiの範囲内に設定して動作することが好ましく、プレナム圧を約13psiから約26psiの範囲内に設定して動作することがより好ましい。
【0076】
ノズルのDOCが大きくなると、つまり、ノズル寸法が大きくなると、ジェットに不安定性を与えるために必要なプレナム圧の値が小さくなる。これは、DOCが大きくなるか、または、ノズルサイズが大きくなると、ノズルを通過する流体の速度が速くなるためである。
【0077】
以下では本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態の例を添付図面に図示している。
【0078】
図1は、本発明の実施形態に係る向流装置を示す断面斜視図である。
【0079】
図1を参照しつつ説明すると、向流装置の概略を参照番号100で図示する。装置100の動作を説明すると、気体流は参照番号102で示されており、流体流は参照番号104で示されている。複数の個別供給ノズルバンク106は、互いに隣接するように配置されている。個別供給ノズルバンク106は、第1の側方チャネル110および第2の側方チャネル112に結合されている主要供給チャネル108を有する流体プレナムとの間で流体が連通するように構成されているノズルアレイを有する。当該装置は、チャンバ114と、気体流入口116と、気体流出口118と、液体流入口120と、液体流出口122とを備える。当該装置はさらに、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように気液分離器(不図示)を備える。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。個別供給ノズルバンクは、実質的に平面状の液体ジェット124を複数提供するように構成されている。各液体ジェットは、実質的に平面シート状の液体を含む。複数の液体ジェットは、互いに略平行な平面内に位置する。
【0080】
図2は、本発明の実施形態に係る並流装置を示す断面斜視図である。図2を参照しつつ説明すると、並流装置の概略を参照番号200で図示する。装置200の動作を説明すると、気体流は参照番号202で示されており、流体流は参照番号204で示されている。複数の個別供給ノズルバンク106は、互いに隣接するように配置されている。個別供給ノズルバンク106は、第1の側方チャネル110および第2の側方チャネル112に結合されている主要供給チャネル108を有する流体プレナムとの間で流体が連通するように構成されているノズルアレイを有する。当該装置は、チャンバ114と、気体流入口208と、気体流出口と、液体流入口120と、液体流出口とを備える。当該装置はさらに、米国特許出願第12/459,685号(発明の名称:「気液接触器ならびに排水清浄のシステムおよび方法」、出願日:2009年7月6日)に記載されているように気液分離器(不図示)を備える。当該米国特許出願の記載内容は全て、参照により本願に組み込まれる。個別供給ノズルバンクは、実質的に平面状の液体ジェット206を複数提供するように構成されている。各液体ジェットは、実質的に平面シート状の液体を含む。複数の液体ジェットは、互いに略平行な平面内に位置する。
【0081】
図3Aはノズル装置を示す斜視図である。図3Bは、図3Aのノズル装置を示す分解斜視図である。図4Aは、図3Bのノズルバンクを示す斜視図である。図4Bは、図4AのノズルバンクをラインA−A´に沿って示す断面図である。図5は、図4Bの個別供給ノズルバンクを示す底面図である。
【0082】
図3Aから図5を参照しつつ説明すると、ノズル装置では、複数の個別供給ノズルバンク106が互いに隣接するように配置されている。個別供給ノズルバンク106は、第1の側方チャネル110および第2の側方チャネル112に結合されている主要供給チャネル108を有する流体プレナムとの間で流体が連通するように構成されているノズルアレイを有する。個別供給ノズルバンク106は、Oリング封止部材または関連技術分野で公知のその他の封止部材のような封止機構126によって、第1の側方チャネル110および第2の側方チャネル112に結合されている。本実施形態によると、第1の側方チャネル110は、第1の側方チャネルを利用可能とするためのアクセスプレート128を有する。第2の側方チャネル112も同様に、アクセスプレート130を有する。アクセスプレート(128、130)は、ネジ、リベット等の取着機構によって接続されている。言うまでも無く、アクセスプレート(128、130)はさらに、対応する側方チャネルに溶接されているとしてもよい。第1の側方チャネル110および第2の側方チャネル112は、接続箇所132において、ネジ、リベット、溶接等の取着機構によって主要供給チャネル108に結合されている。関連技術分野で公知のように、全ての接続箇所において封止層を用いて、例えば、可鍛性物質等の漏れを防ぐとしてよい。取着プレート134を用いて、当該ノズル装置を反応チャンバに結合するとしてよい。
【0083】
図4Aから図5を参照しつつ説明すると、個別供給ノズルバンク106は、ステンレス鋼管142で形成された。管は、縦方向に半分に切断された。ノズル140は、管142に切り込みを入れて形成された。ノズル140の間隔144は、所望の用途に応じた適切な範囲内に収まる値であってよく、例えば、約1mm以上の範囲であってよい。好ましい実施形態では、約1cm以上であってよい。管には、複数のノズルを形成した。管142は、プレート146に取着、例えば、溶接された。プレート146は、供給本体148に取着された。この結果、チャンバが形成された。チャンバの長さが大きくなると、実施例を挙げて説明するが、ノズルの安定性が高くなり、ノズルの指向性が高くなる。チャンバの寸法は、適宜調整するとしてよい。
【0084】
また、本実施形態によると、ジェットの品質を改善するべく、任意で分割部材を利用するとしてもよい。1以上の分割部材150を利用するとしてよい。分割部材150によって、図4Bのノズルバンクの断面図に示すように、複数の分離した供給チャネル152が形成されるとしてよい。図5および図6を参照しつつ説明すると、複数の個別供給ノズルバンクが利用されている様子が示されている。本実施形態によると、8個のノズルバンク(106、156、158、160、162、164、166、168)を組み合わせてアレイを構成した。当該アレイは、液体ジェット間を通過して、各ノズルアレイから気体が流出するように構成されている。言うまでも無く、個別ノズルバンクの数は、装置の規模および所望の気体流および速度に応じて、増減し得るとしてよい。
【0085】
また、本実施形態によると、隣接するノズルバンクのノズルは、互い違いになるように構成された。例えば、ノズルバンク106のノズルは、ノズルバンク156のノズルからオフセットされており、アレイ全体で交互にこのように配置されているので、隣接するノズルバンクの平坦なジェットは互い違いに位置することになる。隣接するノズルバンク間(中心線から中心線まで)の距離は、参照番号155で図示されており、範囲は約1.2以上であるとしてよい。隣接するノズル間の距離は、参照番号144で示されており、範囲は約1mmから約10mmまでであるとしてよい。隣接するノズルバンクのノズル同士の間の距離は、参照番号154で示されており、範囲は約0.5mmから約5mmまでであるとしてよい。言うまでも無く、さまざまな点で構成を変更するとしてよく、例えば、アレイを構成しているノズルバンクのうち隣接するノズルバンク間の距離を変更するとしてもよいし、ノズル間の距離を変更するとしてもよい。好ましい実施形態によると、このような構成要素間の距離は、等間隔である。
【0086】
<実施例>
<実施例1>
実施例1では、単一ジェット試験装置に基づき、通常動作条件下において水がノズルから流出する様子を説明した。当該装置は、図7Aから図7Cを参照しつつ説明する。
【0087】
図7Aから図7Cを参照しつつ説明すると、当該装置の概略を参照番号700で示す。当該装置は、動作チャンバ702と、液体流入口704と、流体流出口708と、気体流入口713と、気体流出口714とを備える。流体流出口708は、再循環ループに接続されており、ポンプ(不図示)および流体流入口704に結合されている。ノズルプレート712の上方のプレナム709の流体圧を測定するべく、圧力ゲージ(不図示)を装着する。プレナムは、プレート712の上方に形成されている密閉されたチャンバであり、寸法は幅が226mm、高さは28.5mm、奥行きは20mmである。ノズルプレート712は、3個のノズルバンク714、716、および718を有する。この構成によると、各ノズルバンクにはノズルが3つ設けられている。具体的には、ノズルバンク716には、第1のノズル720、第2のノズル722、および、第3のノズル724が設けられている。ノズル同士の間は等間隔で離間しており、第1のノズル720と第2のノズル722との間の距離は4mmである。ノズルバンク714、716、および718は、等間隔に離間している。この実施例では、ノズルバンク714とノズルバンク716との間の距離は約5cmである。
【0088】
各ノズル(720、722、724)は、管(不図示)に切り込み深さ(DOC)を0.056インチとして切り込みを入れることによって形成された。この後、管を切断してプレートにレーザ溶接することによって、ノズルバンクを備えるプレートを形成した。管は、ステンレス鋼材料から形成されており、厚みは0.90mmであった。ノズルプレートは、ステンレス鋼材料から形成されており、厚みは4.72mmであった。各ノズルはまた、長径が2.67mmで短径が1.2mmとなるように形成される。この実施例によると、ノズルバンク714およびノズルバンク718は、ビーズ状の蝋、つまり、高融点のパラフィンで充填することによって塞いだ。さらに、ノズルバンク716については、ノズル720およびノズル724もまた、同じ蝋材料で充填して、ノズル722の1つのみを動作可能とした。プレート712はこの後、装置700内に図7Aに示すように配置された。液体プレナム709はプレート712の上方に配置され、プレート712全体を略水平方向に液体が流れるように構成される。ノズル722の開口と液体プレナムとの面積比は、約1:350となる。
【0089】
動作を説明すると、液体流入口704を用いて、外囲条件下の水道水をプレナム内に709に供給した。プレナム709内の圧力を示す圧力ゲージの値が約7psiとなった。図7Dは、実施例1で形成されるジェットの面を示す写真である。図7Eは、実施例1で形成されるジェットを側面からみた様子を示す写真である。
【0090】
図7Dおよび図7Eを参照しつつ説明すると、水がノズル722から流出して、平坦なジェット725を形成する。ジェット725は、長さが約12cmとなるように形成される。この長さは、参照番号726で表される測定値である。ジェットの長さは、ノズルの流出口からジェットが底部で再び1つになる箇所までの距離を測定した値である。部分728に示すように、線形シート不安定性がこの部分から始まり、ジェットが分散し始めている。分散長さは、ジェットの分散が始まった箇所からの長さである。ジェットの安定領域は、参照番号730によって図示されている。不安定領域は、参照番号732で示されており、本明細書に記載するように複数のジェットの位置が互いに近接している場合に重要になる。
【0091】
<実施例2>
実施例2によると、アレイ状のジェットは、図8Aに示す試験台装置によって形成された。当該システムの概略は、参照番号800で示す。当該システム800は、流体用排水ます802と、流体ポンプ804と、1つのノズルバンク806に接続されている配管設備を備える。流体は、再循環するようになっており、排水ます802からポンプへと流れてノズルバンク806を通過し、平坦なジェット808となった。平坦なジェット808は、排水ますに再び溜められた。ポンプから延びている配管網は、ノズルバンクのすぐ上流に接続されており、ノズルバンクの両側からの供給を可能とするように構成された。圧力ゲージ810は、流体経路のT字部分に配設され、ノズルバンクに供給される流体圧を測定した。
【0092】
図8Bは、実施例2で用いたノズルバンクを示す図である。当該ノズルバンクの概略を、参照番号812で示す。ノズルバンク812は、長さが8インチで直径が0.5インチのステンレス鋼の管から形成された。この管の4インチの位置にある中央部分814は、幅が0.375インチの楕円を形成するように圧縮された。ノズルバンクには、複数のノズル816が設けられた。この実施例によると、ワイヤ放電加工(EDM)を用いて管に切り込みを入れて、32個のノズルを形成した。各ノズル816は、約2mmの等間隔で互いから離間させた。この実施例では、ノズルを1つおきにテープで塞いで、16個のノズルを利用したので、各ノズル間の距離は4mmとなった。
【0093】
図9は、実施例2で形成されたジェットを示す写真である。
【0094】
図9を参照しつつ説明すると、実施例2の装置の動作では、100%(w/w)のエチレングリコールを外囲温度でノズルバンクを通過させて流した。ノズルバンクの圧力を示す圧力ゲージ810の値は約11psiとなった。図9に示すように、内部ジェットは、ノズルバンク812の左側の1cmの格子スケールで表されているように、ノズルバンク812から約5cm離れた箇所で一点にまとまった。外側ジェットは、ノズルバンク812から約20cm離れた箇所で一点にまとまった。この実施例において、ジェットが一点に集中すると、ノズルバンクを互い違いになるように配置することに関して、問題が発生する。また、ジェットが一点に集まるために、ジェットの表面積は限られてしまっていた。
【0095】
<実施例3>
実施例3によると、実施例2の試験台装置によってアレイ状のジェットを形成した。この実施例では、ノズルバンク812は、図10Aから図10Bに示すチャネル挿入体で変更された。
【0096】
図10Aは、実施例3に係るチャネル挿入体を示す断面斜視図である。図10Bは、図10Aのチャネル挿入体をラインB−B´に沿って示す断面斜視図である。
【0097】
図10Aおよび図10Bを参照しつつ説明すると、チャネル挿入体の概略を参照番号1000で示す。チャネル挿入体1000は、ノズルバンク812の内壁に、反対側のノズルバンクの壁を利用して止めネジ(不図示)によって固定された。チャネル挿入体1000は、アルミニウムブロックから形成された。このブロックに、ノズルバンク812に形成されたノズルの開口と一致するような複数のチャネル1002を機械加工で形成した。チャネル挿入体に形成された個別チャネル1002は、幅が約0.039インチ、長さが約0.175インチ、奥行きが約0.19インチであった。チャネル挿入体の端部は、ノズルバンク内の流体の流れを容易にするべく斜めに形成され、片側は管の内部構造に合うように丸く形成されていた。本実施例によると、利用するノズルは5個で、残りのノズルはテープで塞いだ。ノズル間の間隔は4mmであった。
【0098】
図11は、実施例3で形成されたジェットを示す写真である。
【0099】
図11を参照しつつ説明すると、実施例3に係る装置の動作では、チャネル挿入体1000を利用しつつ、100%(w/w)のエチレングリコールを外囲温度でノズルバンクを通過させて流した。ノズルバンクの圧力を示す圧力ゲージの値は、この実施例でも、11psiとなった。図示されているように、互いに平行で平坦なジェット1100が複数形成された。平坦なジェットの安定領域は名目上、15cmであった。ジェットは、安定領域より下方では、まとまりがなくなって互いに混ざり合う。この場合、ジェットが安定しているので、ジェットを互い違いに配置することができるようになる。
【0100】
<実施例4>
実施例4によると、アレイ状の平坦なジェットを実施例2で説明したシステムを用いて生成した。異なるノズルバンクを使用した。図12Aから図12Cを参照しつつ説明する。ノズルバンクの概略を、参照番号1200で示す。ノズルバンク1200は、直径が0.25インチのステンレス鋼管で形成された。この管は、長さが10cmで、長手方向に半分に切断された。ノズル1202は、上述したように、ワイヤEDMを利用して管1204に切り込みを入れて形成された。ノズル間の間隔1203は、図12Cに示すように、管に沿って約0.6cmであった。管には16個のノズルが形成された。この管をステンレス鋼製のプレート1206に溶接した。プレート1206は、機械加工されたステンレス鋼製の供給本体1208に溶接した。この結果、チャンバが形成された。供給管の中心線からノズル管までの距離は、約4cmであった。チャンバの幅は、テーパー形状を持つので、供給管の最上部においては1.016cmであり、ノズル管においては0.25インチとなった。ノズルバンク1200の内部には、ステンレス鋼製の分離部材1210を溶接した。各ノズル1402は、図8Bのノズルバンクの断面図に示したように、別個の供給チャネル1212を持つように構成された。このノズルバンクでは、各チャネルの高さは約1.21インチで、分離部材1210は約0.201インチの間隔で配置されている。
【0101】
図12Dは、実施例4で形成されるジェットを示す写真である。
【0102】
図12Dを参照しつつ説明すると、実施例4に係る装置の動作では、100%(w/w)のエチレングリコールを外囲温度でノズルバンクを通過させて流した。ノズルバンクの圧力を示す圧力ゲージの値は、この実施例でも、11psiとなった。図示されているように、互いに略平行で平坦なジェットが複数形成された。平坦なジェットの安定領域は名目上、15cmであった。ジェットは、安定領域より下方では、まとまりがなくなって互いに混ざり合う。この場合、ジェットが安定しているので、ジェットを互い違いに配置することができるようになる。
【0103】
また、この実施例では別の実験も行った。この実験では、分離部材1210を有さないノズルバンクを利用した。つまり、この構成によると、ノズルバンクは本例と同一であるが、分離部材1210が設けられなかった。平行なジェットを生成するためのノズルバンクの高さの最小値は5cmであり、高さが5cm未満になると平坦なジェットは、実施例2で示したように、1つにまとまってしまうことが観察された。
【0104】
ノズルバンクの高さを5cmから8cmの間で設定した場合についても試験が行われた。つまり、供給管の中心線からノズル管までの距離が約5cmから約8cmで、内部分離部材1210は設けられなかった。ノズルバンクの高さを6cmとした場合にノズルバンクで形成されたジェットが、ノズルバンクの高さを5cmとした場合に形成されたジェットよりもわずかに平行である度合いが高いことが観察された。また、ノズルバンクの高さを6cm以上にして形成されたジェットは(ジェットの平行の度合いに関して)大きな改善は見られなかった。
【0105】
<実施例5>
実施例5によると、ジェット試験装置を用いて、水がノズルバンクアレイから流出して向流方向に流れている窒素ガスと相互作用する様子を説明する。当該装置は、図1に示す装置と同様に、動作チャンバと、流体プレナムと、気体流入口と、気体流出口と、流体プレナムに結合されている液体流入口と、流体流出口とを備えていた。
【0106】
しかし、この実施例では、図13Aに示すように7個のノズルバンク(1302、1304、1306、1308、1310、1312、1314)をアレイ状にまとめて、各ノズルバンク間を気体が通過するように構成した。各ノズルバンクは、実施例4で説明したものであった。図13Aを参照しつつ説明すると、液体プレナムは、供給バンクのうち2つについて、支持部材1320に結合されている第1の供給プレナム1316および第2の供給プレナム1318を有していた。この実施例によると、各ノズルバンクには複数のノズル1322が形成された。図13Bを参照しつつ説明すると、バンク1302のノズルは、バンク1304のノズルとはオフセットされており、アレイ全体で交互にこのように配置されているので、図13Bに示すように、隣接するノズルバンクの平坦なジェットは互い違いに位置することになる。隣接するノズルバンク間(中心線から中心線まで)の距離は、参照番号1324で図示されており、この実施例では12.5mmあった。隣接するノズル間の距離は、参照番号1326で示されており、この実施例では6mmである。隣接するノズルバンクのノズル同士の間の距離は、参照番号1328で示されており、この実施例では3mmである。
【0107】
ノズルバンクは、ノズルバンクを供給対象とする2つの側方プレナム(1316および1318)から成る供給プレナム内に配設されている。側方プレナムは、ステンレス鋼から機械加工で形成され、観察およびノズルバンク清浄のために取り外し可能なアクリル窓を含む。ノズルバンクは、Oリング1330を用いて側方プレナム内に封止されている。ノズルバンクおよび側方プレナムは、1つのステンレス鋼製の供給管(不図示)に取り付けられている。プレナム構造にはステンレス鋼製のフランジが取り付けられて、反応器の実装を可能とする。
【0108】
図13Cは、実施例5で形成されるジェットを示す写真である。図13Dは、実施例5で形成されるジェットを示す別の写真である。
【0109】
図13Cおよび図13Dを参照しつつ動作を説明すると、ノズルバンクアレイに水を流して、アレイ状の平坦で互い違いのジェットを生成する。流体プレナム上の圧力ゲージの測定値は、ノズルバンクに供給される圧力が11psiであった。図13Cは、向流がなく、真空環境下で動作する場合のジェットを示す。気体は、反応容器の底部で導入され、ジェットの流れと反対向きになるように流れ、ノズルバンク間を通って反応器外へと流出した。図13Dは、100Torr且つ13m/sで向流で窒素ガスを供給しつつ動作する場合のジェットを示す。このようなアレイの場合には、外囲雰囲気条件でも真空条件でもジェットが非常に安定することが観察された。上述した向流がジェットに対して導入される場合、ジェットの挙動にほとんど差異は見られなかった。ジェットの最上部の表面は、向流があっても、平坦なままであった。ジェットは、真空でも、上述した流れであっても、相互に作用したり1つにまとまることはなかった。
【0110】
当業者には、本発明の意図または範囲から逸脱することなく本発明をさまざまな点で変形および変更し得ることが明らかであろう。このため、本発明は、請求項およびその均等物の範囲内に含まれる限りにおいて、本発明の変形例および変更例も含むものことを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバに結合されている気体流入口と、
前記チャンバに結合されている気体流出口と、
前記反応チャンバに結合されている流体プレナムと、
個別供給ノズルバンクと、
前記反応チャンバに結合されている気体流体分離器と
を備え、
前記個別供給ノズルバンクは、前記液体プレナムに結合されているノズルアレイを有しており、前記ノズルアレイは、実質的に平面的な液体ジェットを複数提供し、前記複数の液体ジェットはそれぞれ、平面シート状の液体を含み、前記複数の液体ジェットは、実質的に平行な平面内に位置している装置。
【請求項2】
前記流体プレナムは、少なくとも1つの側方チャネルに結合されている主要供給チャネルを有しており、前記少なくとも1つの側方チャネルは個別供給ノズルバンクに結合されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数の個別供給ノズルバンクをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ノズルバンクは、
ノズルバンクと、
前記ノズルバンクに結合されている供給チャンバと
を有し、
前記チャンバは、
前記ノズルバンクに結合されている第1の側壁と、
前記ノズルバンクおよび前記第1の側壁に結合されている第2の側壁と、
前記ノズルバンクおよび前記第2の側壁に結合されている第3の側壁と、
前記ノズルバンク、前記第3の側壁、および前記第1の側壁に結合されている第4の側壁と
を含み、
前記第1の側壁、前記第2の側壁、前記第3の側壁および前記第4の側壁、ならびに、前記ノズルバンクは、前記ノズルバンクの反対側の端部に開口を持つチャンバを形成しており、前記開口は、流体が供給されるように構成されている供給管に結合されている請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記供給チャンバはさらに、挿入体を含む請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記供給チャンバはさらに、前記ノズルアレイの各ノズルに個別に液体流を供給するように構成されている複数の供給チャネルを含む請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記チャンバは、厚みが約1cm以上の範囲内である請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記チャンバは、前記ノズルバンクより上の高さが、約1cmから約8cmの範囲内である請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記供給管は、少なくとも1つの端部に開口を持ち、前記少なくとも1つの側方チャネルに結合されている請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記供給管は、Oリングの封止部または溶接部によって前記少なくとも1つの側方チャネルに結合されている請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの側方チャネルは、第1の側方チャネルおよび第2の側方チャネルを含む請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの側方チャネルは、第1の側方チャネルおよび第2の側方チャネルを含み、前記第1の側方チャネルは前記供給管の第1の端部に結合されており、前記第2の側方チャネルは前記供給管の第2の端部に結合されている請求項4に記載の装置。
【請求項13】
前記ノズルアレイは、複数の楕円形状のノズルを含む請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の楕円形状のノズルは、短径が約0.5mmから約1.5mmの範囲内であり、長径が約0.75mmから約5mmの範囲内である請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記複数の楕円形状のノズルは、短径が約0.6mmから約1.0mmの範囲内であり、長径が約1.5mmから約2.5mmの範囲内である請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記複数のノズルの切り込み深さは、0.054インチ、0.056インチ、0.058インチ、および、これらの組み合わせから成る群から選択される請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、モジュラー式の気液接触器を備える請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記ノズルアレイは、等間隔に離間している複数のノズルを含む請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記気体流入口からの気体は、並流方向に流れる請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記気体流入口からの気体は、向流方向に流れる請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、気液接触器、蒸留器、および、ジェットポンプ装置から成る群から選択される請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記ノズルバンクおよび前記流動チャンバは、銅、ニッケル、クロム、スチール、アルミニウム、コーティング金属、および、これらの組み合わせから成る群から選択される材料を有する請求項4に記載の装置。
【請求項23】
前記ノズルバンクおよび前記流動チャンバは、構造用ポリマー、ポリイミド、これらの合成物、および、これらの組み合わせのうち少なくとも1つを有する請求項1に記載の装置。
【請求項24】
複数の個別供給ノズルバンクをさらに備え、各ノズルバンクはノズルアレイを有し、2つの隣接するノズルバンクのノズルはジグザグ状に配置されている請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記ノズルアレイは、約0.1cmより長く離間している少なくとも2つのノズルを含む請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記ノズルアレイは、一列に並べられている複数のノズルを含む請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記ノズルアレイは、約0.25mm2から約20mm2の範囲内の投影断面積を持つ少なくとも1つのノズルを含む請求項1に記載の装置。
【請求項28】
実質的に平面的な複数の液体ジェットを提供する複数のノズルと、
前記複数のノズルに結合されている供給チャンバと、
前記供給チャネルに結合されている少なくとも1つの流入口と
を備え、
前記複数の液体ジェットはそれぞれ、平面シート状の液体を含み、前記複数の液体ジェットは実質的に平行な平面内に位置している個別供給ノズルバンク装置。
【請求項29】
前記複数のノズルのうち少なくとも1つは、楕円形状を持つ請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記供給チャンバは、
前記ノズルバンクに結合されている第1の側壁と、
前記ノズルバンクおよび前記第1の側壁に結合されている第2の側壁と、
前記ノズルバンクおよび前記第2の側壁に結合されている第3の側壁と、
前記ノズルバンク、前記第3の側壁、および、前記第1の側壁に結合されている第4の側壁と
を有し、
前記第1の側壁、前記第2の側壁、前記第3の側壁、および、前記第4の側壁、ならびに、前記ノズルバンクは、前記ノズルバンクとは反対側の端部に開口を持つチャンバを形成しており、前記開口は、流体が供給されるように構成されている供給管に結合されている
請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記供給チャンバはさらに、挿入体を含む請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記供給チャンバはさらに、前記ノズルアレイの各ノズルに個別に液体流を供給するように構成されている複数の供給チャネルを含む請求項30に記載の装置。
【請求項33】
気液接触器で気相分子を処理する方法であって、
ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、実質的に平面的な複数の液体ジェットを形成する段階と、
少なくとも1つの反応性または可溶性の気相分子を含む気体を供給する段階と、
前記気相分子と前記複数の液体ジェットとの間の物質移動相互作用によって前記気相分子の少なくとも一部を除去する段階と
を備え、
前記複数の液体ジェットはそれぞれ、平面シート状の液体を含み、前記複数の液体ジェットは実質的に平行な平面内に位置している方法。
【請求項34】
前記物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約1sec−1から約1500sec−1の範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約5sec−1から約150sec−1の範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約10sec−1から約100sec−1の範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記気体を供給する段階は、気体流量と反応チャンバの容積との比が約100min−1から約1000min−1の範囲内である気体を供給する段階を有する請求項33に記載の方法。
【請求項38】
等間隔に離間されるアレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットを形成する段階は、約2psiから約30psiの範囲内の液圧で前記平坦な複数の液体ジェットを形成する段階を有する
請求項33に記載の方法。
【請求項39】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、幅が約1cmよりも大きい請求項33に記載の方法。
【請求項40】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、幅が約1cmから約15cmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項41】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、厚みが約10μmから約1000μmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項42】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、厚みが約10μmから約250μmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項43】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、厚みが約10μmから約100μmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項44】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、長さが約5cmから約30cmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項45】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、長さが約5cmから約20cmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項46】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、速度が15m/sec未満である請求項33に記載の方法。
【請求項47】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、速度が約5m/secから約15m/secの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項48】
前記気相分子は、硫黄酸化物、窒素酸化物、二酸化炭素、アンモニア、酸性気体、アミン、ハロゲン、および、酸素のうち少なくとも1つを含む請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記気相分子は、硫黄酸化物を含む請求項38に記載の方法。
【請求項50】
前記気相分子は、二酸化炭素を含む請求項38に記載の方法。
【請求項51】
前記気相分子は、窒素酸化物を含む請求項38に記載の方法。
【請求項52】
前記気相分子は、アミンを含む請求項38に記載の方法。
【請求項53】
前記気相分子は、塩素を含む請求項38に記載の方法。
【請求項54】
前記平面的な複数の液体ジェットは、水、アンモニア、アンモニウム塩、アミン、アルカノールアミン、アルカリ塩、アルカリ土類塩、過酸化物、および、次亜塩素酸塩のうち少なくとも1つを含む請求項38に記載の方法。
【請求項55】
前記平面的な複数の液体ジェットは、カルシウム塩溶液およびマグネシウム塩溶液のうち少なくとも1つを含む請求項38に記載の方法。
【請求項56】
前記平面的な複数の液体ジェットは、海水を含む請求項38に記載の方法。
【請求項57】
前記平面的な複数の液体ジェットは、ブラインを含む請求項38に記載の方法。
【請求項58】
気液接触器で気相分子を処理する方法であって、
ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、実質的に平面的な複数の液体ジェットを形成する段階と、
少なくとも1つの反応性または可溶性の気相分子を含む気体を供給する段階と、
前記気相分子と前記複数の液体ジェットとの間の物質移動相互作用によって前記気相分子の少なくとも一部を除去する段階と
を備え、
前記複数の液体ジェットはそれぞれ、平面シート状の液体を含み、前記複数の液体ジェットは実質的に平行な平面内に位置しており、前記実質的に平面的な複数の液体ジェットは、水性スラリーで形成されている方法。
【請求項59】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、厚みが約10μmから約1000μmの範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項60】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、厚みが約10μmから約250μmの範囲内である
請求項58に記載の方法。
【請求項61】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、長さが約5cmから約30cmの範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項62】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、長さが約5cmから約20cmの範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項63】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、速度が15m/sec未満である請求項58に記載の方法。
【請求項64】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、速度が約5m/secから約10m/secの範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記スラリーは、粒径が最高約500ミクロンである請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記スラリーは、粒径が最高約300ミクロンである請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記スラリーは、粒径が最高約80ミクロンである請求項58に記載の方法。
【請求項68】
前記スラリーは、固体濃度が約0.2%(w/w)から約30%(w/w)の範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項69】
前記固体濃度は、約10%(w/w)から約25%(w/w)の範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項70】
前記気相分子は、硫黄酸化物、窒素酸化物、二酸化炭素、アンモニア、酸性気体、アミン、ハロゲン、および、酸素のうち少なくとも1つを含む請求項58に記載の方法。
【請求項71】
前記気相分子は、硫黄酸化物を含む請求項58に記載の方法。
【請求項72】
前記気相分子は、二酸化炭素を含む請求項58に記載の方法。
【請求項73】
前記気相分子は、窒素酸化物を含む請求項58に記載の方法。
【請求項74】
前記気相分子は、アミンを含む請求項58に記載の方法。
【請求項75】
前記気相分子は、塩素を含む請求項58に記載の方法。
【請求項76】
前記平面的な複数の液体ジェットは、水、アンモニア、アンモニウム塩、アミン、アルカノールアミン、アルカリ塩、アルカリ土類塩、過酸化物、および、次亜塩素酸塩のうち少なくとも1つを含む請求項58に記載の方法。
【請求項77】
前記平面的な複数の液体ジェットは、カルシウム塩溶液およびマグネシウム塩溶液のうち少なくとも1つを含む請求項58に記載の方法。
【請求項78】
前記平面的な複数の液体ジェットは、海水を含む請求項58に記載の方法。
【請求項79】
前記平面的な複数の液体ジェットは、ブラインを含む請求項58に記載の方法。
【請求項80】
気液接触器で気相分子を処理する方法であって、
ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、複数の液滴が分布している不安定な液体ジェットを複数形成する段階と、
少なくとも1つの反応性または可溶性の気相分子を含む気体を供給する段階と、
前記気相分子と分布している前記複数の液滴との間の物質移動相互作用によって前記気相分子の少なくとも一部を除去する段階と
を備える方法。
【請求項81】
前記分布している複数の液滴は、サイズが約50μmから約2mmの範囲内である液滴を含む請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記分布している複数の液滴は、実質的に均一に分布している複数の液滴を含む請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記不安定な液体ジェットを複数形成する段階は、プレナム圧を約13psiから約75psiの範囲内にして動作する段階を有する請求項80に記載の方法。
【請求項84】
複数の前記不安定な液体ジェットのうち少なくとも1つは、速度が15m/secよりも高い請求項80に記載の方法。
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバに結合されている気体流入口と、
前記チャンバに結合されている気体流出口と、
前記反応チャンバに結合されている流体プレナムと、
個別供給ノズルバンクと、
前記反応チャンバに結合されている気体流体分離器と
を備え、
前記個別供給ノズルバンクは、前記液体プレナムに結合されているノズルアレイを有しており、前記ノズルアレイは、実質的に平面的な液体ジェットを複数提供し、前記複数の液体ジェットはそれぞれ、平面シート状の液体を含み、前記複数の液体ジェットは、実質的に平行な平面内に位置している装置。
【請求項2】
前記流体プレナムは、少なくとも1つの側方チャネルに結合されている主要供給チャネルを有しており、前記少なくとも1つの側方チャネルは個別供給ノズルバンクに結合されている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
複数の個別供給ノズルバンクをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ノズルバンクは、
ノズルバンクと、
前記ノズルバンクに結合されている供給チャンバと
を有し、
前記チャンバは、
前記ノズルバンクに結合されている第1の側壁と、
前記ノズルバンクおよび前記第1の側壁に結合されている第2の側壁と、
前記ノズルバンクおよび前記第2の側壁に結合されている第3の側壁と、
前記ノズルバンク、前記第3の側壁、および前記第1の側壁に結合されている第4の側壁と
を含み、
前記第1の側壁、前記第2の側壁、前記第3の側壁および前記第4の側壁、ならびに、前記ノズルバンクは、前記ノズルバンクの反対側の端部に開口を持つチャンバを形成しており、前記開口は、流体が供給されるように構成されている供給管に結合されている請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記供給チャンバはさらに、挿入体を含む請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記供給チャンバはさらに、前記ノズルアレイの各ノズルに個別に液体流を供給するように構成されている複数の供給チャネルを含む請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記チャンバは、厚みが約1cm以上の範囲内である請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記チャンバは、前記ノズルバンクより上の高さが、約1cmから約8cmの範囲内である請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記供給管は、少なくとも1つの端部に開口を持ち、前記少なくとも1つの側方チャネルに結合されている請求項4に記載の装置。
【請求項10】
前記供給管は、Oリングの封止部または溶接部によって前記少なくとも1つの側方チャネルに結合されている請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの側方チャネルは、第1の側方チャネルおよび第2の側方チャネルを含む請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの側方チャネルは、第1の側方チャネルおよび第2の側方チャネルを含み、前記第1の側方チャネルは前記供給管の第1の端部に結合されており、前記第2の側方チャネルは前記供給管の第2の端部に結合されている請求項4に記載の装置。
【請求項13】
前記ノズルアレイは、複数の楕円形状のノズルを含む請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の楕円形状のノズルは、短径が約0.5mmから約1.5mmの範囲内であり、長径が約0.75mmから約5mmの範囲内である請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記複数の楕円形状のノズルは、短径が約0.6mmから約1.0mmの範囲内であり、長径が約1.5mmから約2.5mmの範囲内である請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記複数のノズルの切り込み深さは、0.054インチ、0.056インチ、0.058インチ、および、これらの組み合わせから成る群から選択される請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、モジュラー式の気液接触器を備える請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記ノズルアレイは、等間隔に離間している複数のノズルを含む請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記気体流入口からの気体は、並流方向に流れる請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記気体流入口からの気体は、向流方向に流れる請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、気液接触器、蒸留器、および、ジェットポンプ装置から成る群から選択される請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記ノズルバンクおよび前記流動チャンバは、銅、ニッケル、クロム、スチール、アルミニウム、コーティング金属、および、これらの組み合わせから成る群から選択される材料を有する請求項4に記載の装置。
【請求項23】
前記ノズルバンクおよび前記流動チャンバは、構造用ポリマー、ポリイミド、これらの合成物、および、これらの組み合わせのうち少なくとも1つを有する請求項1に記載の装置。
【請求項24】
複数の個別供給ノズルバンクをさらに備え、各ノズルバンクはノズルアレイを有し、2つの隣接するノズルバンクのノズルはジグザグ状に配置されている請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記ノズルアレイは、約0.1cmより長く離間している少なくとも2つのノズルを含む請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記ノズルアレイは、一列に並べられている複数のノズルを含む請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記ノズルアレイは、約0.25mm2から約20mm2の範囲内の投影断面積を持つ少なくとも1つのノズルを含む請求項1に記載の装置。
【請求項28】
実質的に平面的な複数の液体ジェットを提供する複数のノズルと、
前記複数のノズルに結合されている供給チャンバと、
前記供給チャネルに結合されている少なくとも1つの流入口と
を備え、
前記複数の液体ジェットはそれぞれ、平面シート状の液体を含み、前記複数の液体ジェットは実質的に平行な平面内に位置している個別供給ノズルバンク装置。
【請求項29】
前記複数のノズルのうち少なくとも1つは、楕円形状を持つ請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記供給チャンバは、
前記ノズルバンクに結合されている第1の側壁と、
前記ノズルバンクおよび前記第1の側壁に結合されている第2の側壁と、
前記ノズルバンクおよび前記第2の側壁に結合されている第3の側壁と、
前記ノズルバンク、前記第3の側壁、および、前記第1の側壁に結合されている第4の側壁と
を有し、
前記第1の側壁、前記第2の側壁、前記第3の側壁、および、前記第4の側壁、ならびに、前記ノズルバンクは、前記ノズルバンクとは反対側の端部に開口を持つチャンバを形成しており、前記開口は、流体が供給されるように構成されている供給管に結合されている
請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記供給チャンバはさらに、挿入体を含む請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記供給チャンバはさらに、前記ノズルアレイの各ノズルに個別に液体流を供給するように構成されている複数の供給チャネルを含む請求項30に記載の装置。
【請求項33】
気液接触器で気相分子を処理する方法であって、
ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、実質的に平面的な複数の液体ジェットを形成する段階と、
少なくとも1つの反応性または可溶性の気相分子を含む気体を供給する段階と、
前記気相分子と前記複数の液体ジェットとの間の物質移動相互作用によって前記気相分子の少なくとも一部を除去する段階と
を備え、
前記複数の液体ジェットはそれぞれ、平面シート状の液体を含み、前記複数の液体ジェットは実質的に平行な平面内に位置している方法。
【請求項34】
前記物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約1sec−1から約1500sec−1の範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約5sec−1から約150sec−1の範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記物質移動相互作用は、物質移動容積係数が約10sec−1から約100sec−1の範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記気体を供給する段階は、気体流量と反応チャンバの容積との比が約100min−1から約1000min−1の範囲内である気体を供給する段階を有する請求項33に記載の方法。
【請求項38】
等間隔に離間されるアレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットを形成する段階は、約2psiから約30psiの範囲内の液圧で前記平坦な複数の液体ジェットを形成する段階を有する
請求項33に記載の方法。
【請求項39】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、幅が約1cmよりも大きい請求項33に記載の方法。
【請求項40】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、幅が約1cmから約15cmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項41】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、厚みが約10μmから約1000μmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項42】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、厚みが約10μmから約250μmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項43】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、厚みが約10μmから約100μmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項44】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、長さが約5cmから約30cmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項45】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、長さが約5cmから約20cmの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項46】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、速度が15m/sec未満である請求項33に記載の方法。
【請求項47】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、速度が約5m/secから約15m/secの範囲内である請求項33に記載の方法。
【請求項48】
前記気相分子は、硫黄酸化物、窒素酸化物、二酸化炭素、アンモニア、酸性気体、アミン、ハロゲン、および、酸素のうち少なくとも1つを含む請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記気相分子は、硫黄酸化物を含む請求項38に記載の方法。
【請求項50】
前記気相分子は、二酸化炭素を含む請求項38に記載の方法。
【請求項51】
前記気相分子は、窒素酸化物を含む請求項38に記載の方法。
【請求項52】
前記気相分子は、アミンを含む請求項38に記載の方法。
【請求項53】
前記気相分子は、塩素を含む請求項38に記載の方法。
【請求項54】
前記平面的な複数の液体ジェットは、水、アンモニア、アンモニウム塩、アミン、アルカノールアミン、アルカリ塩、アルカリ土類塩、過酸化物、および、次亜塩素酸塩のうち少なくとも1つを含む請求項38に記載の方法。
【請求項55】
前記平面的な複数の液体ジェットは、カルシウム塩溶液およびマグネシウム塩溶液のうち少なくとも1つを含む請求項38に記載の方法。
【請求項56】
前記平面的な複数の液体ジェットは、海水を含む請求項38に記載の方法。
【請求項57】
前記平面的な複数の液体ジェットは、ブラインを含む請求項38に記載の方法。
【請求項58】
気液接触器で気相分子を処理する方法であって、
ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、実質的に平面的な複数の液体ジェットを形成する段階と、
少なくとも1つの反応性または可溶性の気相分子を含む気体を供給する段階と、
前記気相分子と前記複数の液体ジェットとの間の物質移動相互作用によって前記気相分子の少なくとも一部を除去する段階と
を備え、
前記複数の液体ジェットはそれぞれ、平面シート状の液体を含み、前記複数の液体ジェットは実質的に平行な平面内に位置しており、前記実質的に平面的な複数の液体ジェットは、水性スラリーで形成されている方法。
【請求項59】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、厚みが約10μmから約1000μmの範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項60】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、厚みが約10μmから約250μmの範囲内である
請求項58に記載の方法。
【請求項61】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、長さが約5cmから約30cmの範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項62】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、長さが約5cmから約20cmの範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項63】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、速度が15m/sec未満である請求項58に記載の方法。
【請求項64】
アレイ状の平坦な前記複数の液体ジェットのうち少なくとも1つは、速度が約5m/secから約10m/secの範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記スラリーは、粒径が最高約500ミクロンである請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記スラリーは、粒径が最高約300ミクロンである請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記スラリーは、粒径が最高約80ミクロンである請求項58に記載の方法。
【請求項68】
前記スラリーは、固体濃度が約0.2%(w/w)から約30%(w/w)の範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項69】
前記固体濃度は、約10%(w/w)から約25%(w/w)の範囲内である請求項58に記載の方法。
【請求項70】
前記気相分子は、硫黄酸化物、窒素酸化物、二酸化炭素、アンモニア、酸性気体、アミン、ハロゲン、および、酸素のうち少なくとも1つを含む請求項58に記載の方法。
【請求項71】
前記気相分子は、硫黄酸化物を含む請求項58に記載の方法。
【請求項72】
前記気相分子は、二酸化炭素を含む請求項58に記載の方法。
【請求項73】
前記気相分子は、窒素酸化物を含む請求項58に記載の方法。
【請求項74】
前記気相分子は、アミンを含む請求項58に記載の方法。
【請求項75】
前記気相分子は、塩素を含む請求項58に記載の方法。
【請求項76】
前記平面的な複数の液体ジェットは、水、アンモニア、アンモニウム塩、アミン、アルカノールアミン、アルカリ塩、アルカリ土類塩、過酸化物、および、次亜塩素酸塩のうち少なくとも1つを含む請求項58に記載の方法。
【請求項77】
前記平面的な複数の液体ジェットは、カルシウム塩溶液およびマグネシウム塩溶液のうち少なくとも1つを含む請求項58に記載の方法。
【請求項78】
前記平面的な複数の液体ジェットは、海水を含む請求項58に記載の方法。
【請求項79】
前記平面的な複数の液体ジェットは、ブラインを含む請求項58に記載の方法。
【請求項80】
気液接触器で気相分子を処理する方法であって、
ノズルアレイを含む個別供給ノズルバンクを複数用いて、複数の液滴が分布している不安定な液体ジェットを複数形成する段階と、
少なくとも1つの反応性または可溶性の気相分子を含む気体を供給する段階と、
前記気相分子と分布している前記複数の液滴との間の物質移動相互作用によって前記気相分子の少なくとも一部を除去する段階と
を備える方法。
【請求項81】
前記分布している複数の液滴は、サイズが約50μmから約2mmの範囲内である液滴を含む請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記分布している複数の液滴は、実質的に均一に分布している複数の液滴を含む請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記不安定な液体ジェットを複数形成する段階は、プレナム圧を約13psiから約75psiの範囲内にして動作する段階を有する請求項80に記載の方法。
【請求項84】
複数の前記不安定な液体ジェットのうち少なくとも1つは、速度が15m/secよりも高い請求項80に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【公表番号】特表2012−504044(P2012−504044A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529330(P2011−529330)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/058637
【国際公開番号】WO2010/037043
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(511067824)ニューマン システムズ グループ、インコーポレイティッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/058637
【国際公開番号】WO2010/037043
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(511067824)ニューマン システムズ グループ、インコーポレイティッド (3)
【Fターム(参考)】
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