説明

気液混合流噴射装置

【目的】 洗浄動作を1台の装置で、確実かつ安価に行えるようにすると共に、各流体を、対象物に対し最適な流量で噴射する。
【構成】 第一ノズル(高速旋回ノズル)20と第二ノズル(拡散ノズル)21を用い、第一ノズル20からは、大流量の圧縮空気と小流量の洗浄液とをそれぞれ単独あるいはノズル20近傍で混合して噴射し、第二ノズル21からは大流量の圧縮空気と大流量の洗浄液とをそれぞれ単独あるいは混合して拡散噴射するできるようにした気液混合流噴射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水・ケミカル類等のそれぞれ異なる2種類以上の洗浄液を切り換えてポンプで圧送し、単独あるいは大流量圧縮空気と混合してノズルにより噴射させる方式の気液混合流噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願出願人が先に出願した下記特許文献1には、可撓性チューブと、該チューブと同心のラッパ状ガイドとから構成されると共に、流体噴射時には、前記チューブが前記ガイド内周面に沿って旋回するノズルであって、大流量の圧縮空気と小流量の洗浄液とをそれぞれ単独あるいはノズル近傍で混合して前記チューブ先端より旋回噴射するノズルを備えた気液混合流噴射装置が記載されている。
【特許文献1】特願2004−213605号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1の装置では、車両洗浄時、小流量の水を大流量の圧縮空気に混合し噴射しているため、水が水滴状となり、またその水滴が大流量の圧縮空気により加速され、強い衝撃力となり、さらに、チューブが高速でガイド内周に沿って旋回しながら噴射され、所謂擦られるという状態となるので、使用する水量を極力少なくして強力な洗浄効果を得られ、意匠の複雑なホイールや、水をあまり掛けすぎると不都合の生じるドアモール周り、エンジンルームなどを洗浄する場合であるとか、またクリーミーな泡洗剤を対象物に噴射したりする場合等には非常に最適な装置であった。
【0004】
しかしながら、このノズルだけでは、車両のボディー表面の汚れを予めざっと洗い流し予備洗浄をしようとすると、逆に水の量が少ないため、予備洗浄に掛かる時間が長くなり効率が悪くなるという問題や、固化しやすいワックスを噴射する場合、ノズルの口径が小さく、管路詰まりを起こしやすいという問題があった。
【0005】
このような課題を解決するために本発明は、各種洗浄液を貯留する複数のタンクと、前記洗浄液を圧送するためのポンプと、可撓性チューブと、該チューブと同心のラッパ状ガイドとから構成されると共に、流体噴射時には、前記チューブが前記ガイド内周面に沿って旋回するノズルであって、大流量の圧縮空気と小流量の洗浄液とをそれぞれ単独あるいはノズル近傍で混合して前記チューブ先端より旋回噴射する第一ノズルと、大流量の圧縮空気と大流量の洗浄液とをそれぞれ単独あるいは混合して拡散噴射する第二ノズルと、各ノズルへの圧縮空気及び各洗浄液の圧送を切り換える管路切換手段と、圧縮空気及び各洗浄液の噴射を選択する操作部と、該操作部からの信号を受け、前記ポンプ及び管路切換手段とを制御する制御手段とを備えた気液混合流噴射装置を提供することを要旨とするものである。
【0006】
また、前記第一ノズルから噴射される洗浄液の流量を調整するための流量調整手段をノズル近傍に設けることにより、より好ましい態様となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の装置は、形状が複雑、あるいは多量の水がかかると不都合な部位などの洗浄に最適であるばかりでなく、大流量の水を拡散させながら噴射することができるため、車両のボディーの予備洗浄あるいは濯ぎなども容易にでき、また固化しやすいワックスなどの噴射による管路詰まりを極力抑制することができる。
さらに、圧縮空気と混合して噴射される液体の流量を手元で調整でき、各洗浄液に最も適した最適流量での噴射が可能になる。
このように、本装置を用いれば、車両等の洗浄が1台の装置で全て行うことができるようになり、非常に便利である。
【実施例】
【0008】
以下、図面を基に、本発明の実施例について説明する。図1は本発明の実施例の全体構成図である。図において、1は装置本体で、底部には給水源2と接続されフロート給水弁3により常時水位が一定に保たれるようになっている水タンク4と、ケミカル入りタンク5〜7が設けてある。尚、本実施例では、本装置を車両洗浄装置として使用する場合について説明するため、各ケミカルタンクを、それぞれワックスタンク5、消泡剤タンク6、泡洗剤タンク7とする。
【0009】
それぞれのタンク内には吸込管路8が分岐され電磁弁9〜12を介して挿入されており、吸込管路8の他方はポンプ13の吸込側に接続されている。そして、ポンプ13の吐出側には吐出管路14が接続されており、さらに吐出管路14は、電磁弁15、16を介し、第一給液管路17及び第2給液管路18に分岐されている。
【0010】
各給液管路17、18は本体1外に延設され、それら先端には、それぞれ流量調整弁19を備えた手元開閉弁付の第一ノズル20と、流体を拡散噴射できる比較的口径の大きい第二ノズル21とが接続されている。
【0011】
また、ポンプ13の吐出側と吸込側とには、それぞれを連通する帰還管路22が設けてあり、途中に流量調整可能なアンローダーバルブ23を介して、余水を流すことによりポンプ13にかかる負荷を軽減できるようになっている。
【0012】
さらに、本体1内の圧縮空気導入管路24に、圧縮空気供給源25から圧縮空気を導入し、電磁弁26、27を介して、第一空気管路28、第二空気管路29に適宜供給できるようにしてある。そして、第一空気管路17は本体1外に延設され、第一ノズル20の流量調整弁19の下流側に接続してあり、また、第二空気管路29は第二給液管路18に接続してある。
【0013】
図2は第一ノズル20の要部断面図で、噴射口30には、それを覆うように所定長さの可撓性チューブ31が密着固定され、また噴射口根元部にはラッパ状をなすガイド管32が螺着されており、流体が噴射口30より噴射されると、チューブ31がガイド管32内壁に沿って高速で旋回するようになっている。このように構成されたノズルを使用することにより、洗浄に使用すると、強力な洗浄力を得ることができ、またケミカルの噴霧に使用すると、噴霧される流体が微粒子となり、良好な噴霧効果を得ることができるようになる。しかしながら、ノズルはこれに限定されるものではなく、ワンタッチカプラ33により種々のノズルに変更可能となっている。
【0014】
図3は本体1上部に設けられた操作部34詳細図で、各ノズルの位置に合わせ、左側に泡洗剤スイッチ35、旋回洗浄スイッチ36が、右側に水濯ぎスイッチ37、消泡濯ぎスイッチ38、ワックススイッチ39、空気混合スイッチ40が、それぞれ選択可能に配置されている。また、中央には、各ノズル共通に使用するスタート/一時停止スイッチ41、終了スイッチ42が配置されている。
【0015】
図4はブロック図で、43はリレーやマイコンからなる制御手段であり、操作部34の各スイッチ35〜42からの信号を受け、ポンプ13や各電磁弁9〜12、15、16、26、27を制御できるようになっている。
【0016】
次に本装置を使用し、洗浄する場合の各種動作を説明する。
【0017】
ここでは、洗車作業に関する手順を例に説明する。手順としては、車両表面全体の砂埃等をざっと落とす予備洗浄、ドアモール周り等の水気を嫌う部分及びホイール等の形状が複雑で入り組んだ場所の部分洗浄、泡洗剤をボディー表面に噴射する洗剤噴射、泡洗剤がボディー表面に留まった状態で行うボディー表面手洗い、消泡剤による濯ぎ、ワックス掛け、余分なワックスを水で洗い流すワックス濯ぎ、各ドアと車体との間等の隙間に入り込んでタオルでは拭き取りが困難な残留水を吹き飛ばす予備乾燥とする。
【0018】
まず、作業者は予備洗浄を行うため、第二ノズル21を手にし、操作部34の水濯ぎスイッチ37を押し、続けてスタットスイッチを押す。すると、ポンプ13が駆動すると共に、電磁弁9、16が開かれる。これにより、水タンク4内の水がポンプ13により吸い込まれ、第二給液管路18を通って、第二ノズル21よりある程度の圧力で拡散噴射されるので、第二ノズル21をボディー表面に向け、ボディー表面の砂埃等を落とす作業を行う。この時、ボディー表面の汚れが激しければ操作部34の空気混合スイッチ40を押すと、電磁弁27が開かれ、第二給液管路18に圧縮空気が送り込まれるようになり、第二ノズル21からは水が圧縮空気と混合され、波動が生じ、より強力な洗浄が行えるようになっている。
【0019】
予備洗浄が終了したら、一旦、操作部34の一時停止スイッチ41を押す。すると、ポンプ13が停止すると共に、電磁弁9、16が閉じられ、噴射流体が選択できる状態となる。そして、次に、ドアモール周り及びホイールを洗浄するため、第二ノズル21を第一ノズル20に持ち替え、旋回洗浄スイッチ36を押し、続けてスタートスイッチ41を押す。するとポンプ13が駆動すると共に、電磁弁9、15、26が開かれる。これにより、水タンク4内の水がポンプ13により吸い込まれ、第一給液管路17を通って、第一ノズル20に送り込まれるのであるが、同時に圧縮空気が第一空気管路28に送り込まれ、第一ノズル20近傍で水と混合され、波動プラス高速旋回噴射されるようになるので、第一ノズル20をドアモール周り又はホイールに向け、手元弁を開放して部分洗浄を行う。この時、水気を嫌う部分の洗浄を行う場合には、流量調整弁19を絞って水の混合比を下げ、そうでない部分を洗浄する場合には、水の混合比を上げる。このようにすることにより、種々の部分洗浄が行えるのである。
【0020】
部分洗浄が終了したら、再び、操作部34の一時停止スイッチ41を押す。すると、ポンプ13が停止すると共に、電磁弁9、15、26が閉じられ、噴射流体が選択できる状態となる。そして、次に、泡洗剤をボディーに噴射するため、そのまま第一ノズル20を持ち、泡洗剤スイッチ35を押し、続けてスタートスイッチ41を押す。するとポンプ13が駆動すると共に、電磁弁9、12、15、26が開かれる。これにより、水タンク4内の水がポンプ13により吸い込まれると共に泡洗剤タンク7内の泡洗剤が負圧により吸引され、第一給液管路17を通って、第一ノズル20に送り込まれるのであるが、同時に圧縮空気が第一空気管路28に送り込まれ、第一ノズル20近傍で泡洗剤と混合され、泡が潰れず、非常にクリーミーな状態で噴射されるようになるので、第一ノズル20をボディー表面に向け、手元弁を開放して泡洗剤噴射を行う。この時、泡の状態は、流量調整弁19の調整により可能であるため、適宜弁19を調整すれば好みの泡洗剤が噴射可能である。
【0021】
泡噴射が終了したら、操作部34の一時停止スイッチ41を押す。すると、ポンプ13が停止すると共に、電磁弁9、12、15、26が閉じられるので、この間にスポンジ等を使用してボディーの手洗いを行う。そして、次に泡洗剤により浮き上がったボディーの汚れを洗い流すため、第一ノズル20を第二ノズル21に持ち替え、消泡濯ぎスイッチ38を押し、続けてスタートスイッチ41を押す。するとポンプ13が駆動すると共に、電磁弁9、11、16が開かれる。これにより、水タンク4内の水がポンプ13により吸い込まれると共に消泡剤タンク6内の消泡剤が負圧により吸引され、第二給液管路18を通って、第二ノズル21よりある程度の圧力で拡散噴射されるので、第二ノズル21をボディー表面に向け、泡及び汚れを落とす作業を行う。この時、水での濯ぎではなく、消泡剤での濯ぎを行っているため、地面に落ちた泡は直ぐに消え、作業の効率を低下させることがない。
【0022】
消泡濯ぎが終了したら、操作部34の一時停止スイッチ41を押す。すると、ポンプ13が停止すると共に、電磁弁9、11、16が閉じられ、噴射流体が選択できる状態となる。そして、次に、ワックスをボディーに噴射するため、そのまま第二ノズル21を持ち、ワックススイッチ38を押し、続けてスタートスイッチ41を押す。するとポンプ13が駆動すると共に、電磁弁9、10、16が開かれる。これにより、水タンク4内の水がポンプ13により吸い込まれると共にワックスタンク7内のワックスが負圧により吸引され、第二給液管路18を通って、第二ノズル21に送り込まれるので、第二ノズル21をボディー表面に向け、ワックス噴射を行う。
【0023】
ワックス噴射が終了したら、操作部34の一時停止スイッチ41を押す。すると、ポンプ13が停止すると共に、電磁弁9、10、16が閉じられ、噴射流体が選択できる状態となる。そして、次に、余分なワックスを洗い流すため、そのまま第二ノズル21を持ち、水濯ぎスイッチ37を押し、続けてスタートスイッチ41を押す。するとポンプ13が駆動すると共に、電磁弁9、16が開かれる。これにより、水タンク4内の水がポンプ13により吸い込まれ、第二給液管路18を通って、第二ノズル21に送り込まれるので、第二ノズル21をボディー表面に向け、水噴射を行う。これにより、余分なワックスが流れ、ボディーが白く濁るということを防止できる。
【0024】
水噴射が終了したら、操作部34の一時停止スイッチ41を押す。すると、ポンプ13が停止すると共に、電磁弁9、16が閉じられる。そして、次に各ドアと車体との隙間やドアノブなどの隙間に入り込んで拭き取りづらい部分に残留している水を吹き飛ばすため、第二ノズル21を第一ノズル20に持ち替え、旋回洗浄スイッチ36のみを押す。すると、電磁弁26開かれる。これにより、圧縮空気のみが第一空気管路28に送り込まれ、噴射されるようになるので、第一ノズル20を前記各隙間に向け、手元弁を開放して予備乾燥を行う。その後、終了スイッチ42を押して装置の使用を終了し、タオル等でボディー全体の水分を拭き取り、全洗車作業を終了とする。
【0025】
以上のようにして本装置を用いれば、いままでの洗車機では洗浄できなかった車両の隅々まで洗浄が可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例である装置の全体構成図である。
【図2】同装置のノズル要部断面図である。
【図3】同装置の操作部詳細図である。
【図4】同装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0027】
1 本体
4 水タンク
5 ワックスタンク
6 消泡剤タンク
7 泡洗剤タンク
9〜12 電磁弁
13 ポンプ
15〜16 電磁弁
19 流量調整弁
20 第一ノズル
21 第二ノズル
26〜27 電磁弁
31 チューブ
32 ガイド
34 操作部
43 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種洗浄液を貯留する複数のタンクと、
前記洗浄液を圧送するためのポンプと、
可撓性チューブと、該チューブと同心のラッパ状ガイドとから構成されると共に、流体噴射時には、前記チューブが前記ガイド内周面に沿って旋回するノズルであって、大流量の圧縮空気と小流量の洗浄液とをそれぞれ単独あるいはノズル近傍で混合して前記チューブ先端より旋回噴射する第一ノズルと、
大流量の圧縮空気と大流量の洗浄液とをそれぞれ単独あるいは混合して拡散噴射する第二ノズルと、
各ノズルへの圧縮空気及び各洗浄液の圧送を切り換える管路切換手段と、
圧縮空気及び各洗浄液の噴射を選択する操作部と、
該操作部からの信号を受け、前記ポンプ及び管路切換手段とを制御する制御手段とを備えた気液混合流噴射装置。
【請求項2】
前記第一ノズルから噴射される洗浄液の流量を調整するための流量調整手段をノズル近傍に設けたことを特徴とする請求項第1項記載の気液混合流噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−102604(P2006−102604A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290863(P2004−290863)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】