説明

水密膜

障壁層および複合層を含む水密膜では、シーラントが複合層と障壁層との間にメッシュ状に配置される。複合層と障壁層との間のシーラントメッシュにより、障壁層中に漏れが発生した場合に、障壁層の移動が防止される。それによって、侵入水が移動する面積の大きさを制限することができる。したがって、侵入水による損傷が比較的小さい面積に制限され、こうして損傷点をより簡単に位置確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の序文に記載の、障壁層、および障壁層の一側面上に配置された複合層を含む水密膜に基づく。
【0002】
本発明はさらに、水密膜、水密成形部分を含む成形部分、ならびにベースをシールする方法に基づく。
【背景技術】
【0003】
ベースを透水に対してシールするための水密膜は建設産業では周知である。たとえば、特許文献1には、障壁層がベース上に配置され、注入されたコンクリートが複合層に浸透することによって複合層が注入されたコンクリートと確実に結合される、複合層に連結された障壁層が記載されている。
【0004】
しかし、こうしたシールの欠点は、障壁層が複合層から剥離する可能性があり、その間に間隙が形成されることがあることである。さらに、生産による障壁層と複合層の結合が完全に行われないことがあり、そうでないと注入されるコンクリートが複合層に完全に浸透しない。それがすべて間隙になる可能性があり、それによって液体が広がることがある。たとえば、内部に成長する根、材料疲労によって、または引張力あるいはせん断力によって、障壁層に漏れが発生した場合、侵入水がこうした連続の間隙によって障壁層に影響を与えることがある。その結果、一方で、広範な領域が侵入水による影響を受け、他方で漏れの正確な位置確認が困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4065924号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】CD Rompp Chemie Lexikon、Version 1.0、Georg Thieme Verlag、Stuttgart
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、障壁層に沿った間隙の拡大および侵入水による影響を受ける面積の大きさを最小限に抑えることができるように上記のタイプの水密膜を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、請求項1の特徴によって、これを達成することができる。
【0009】
したがって、本発明の核心は、障壁層および複合層を備え、複合層と障壁層との間にシーラントが断続的に配置された水密膜にある。
【0010】
本発明の利点は、とりわけ、複合層と障壁層との間のシーラントが、障壁層中に漏れが発生した場合に障壁層が影響を受けるのを阻止し、または防止することに見ることができる。とりわけ、コンクリートと混合された複合層と障壁層との間に形成される間隙がシーラントによって遮断される。その結果、侵入水による影響を受ける面積の大きさが制限される。したがって、侵入水による損傷が比較的小さい面積に限定されて、損傷点をより簡単に位置確認することができる。これは、たとえば、亀裂が入る損傷点を取り除くのに特に有利である。
【0011】
シーラントがメッシュ状に構成される場合は、特に適している。こうしたメッシュ状構成は、結果として多様なメッシュセルが設けられ、個々のメッシュセルがすべてシーラントで取り囲まれる点で有利である。水が侵入した場合、こうしたメッシュセル内で障壁層に漏れが発生した場合、メッシュセルに沿ったシーラントがメッシュセルの外側への広がりを妨げ、連結するメッシュセルが液体の広がりをさらに妨げ、特に阻止する。
【0012】
シーラントが複合層に部分的に侵入する場合も有利である。その結果、液体がそれを通って広がることができる複合層中の間隙がシーラントによって遮断される。
【0013】
本発明の追加の有利な構成はサブクレームから作成される。
【0014】
本発明の追加の態様は追加の独立クレームの主題である。本発明の特に好ましい実施形態は従属クレームの主題である。
【0015】
以下に、図面に基づいて、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。様々な図で同じ要素には同じ参照番号が与えられる。媒体の流れる方向は矢印で示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来技術からの複合層に連結された障壁層を示す断面図である。
【図2】液状コンクリートが複合層に加えられる前の水密膜を示す断面図である。
【図3】コンクリートに連結された水密膜を示す断面図である。シーラントがコンクリートと混合された複合層と障壁層との間の間隙内に侵入する液体の広がりを阻止している。
【図4】本発明による水密膜のシーラントの構成を示す斜視図である。
【図5】水密膜中にメッシュ状に配置されたシーラントによる侵入水の広がりの抑制を示す斜視図である。
【図6】水密膜および絶縁材料の層を含む成形部分を示す斜視図である。
【図7】水密成形部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明をわかりやすくするのに重要な要素だけが示されている。
【0018】
図1は、従来技術からの複合層に連結された障壁層を通る断面図を示している。複合層の障壁層からの剥離、またはコンクリートの複合層への不完全な浸透により、障壁層に沿って間隙が発生することがある。漏れが発生した場合、侵入水が連続する間隙によって障壁層の大きい面積に影響を与える可能性がある。こうした間隙の1つがコンクリート層中の亀裂につながると、侵入水がこの亀裂を通ってコンクリートに侵入することがある。その場合、水の排出点は全く漏れの位置を示さない。
【0019】
図2aから2dは、障壁層2、および障壁層の一側面に配置された複合層3、ならびに複合層と障壁層との間に断続的に配置されたシーラント4を含む、本発明による水密膜1を示している。
【0020】
シーラント4には、液体10、特に水が、障壁層2に沿った上記の間隙11を通過するのを低減し、または阻止するのに適したすべての材料が適切である。
【0021】
シーラント4が、特にコンクリート7によって生じるアルカリ性pH範囲内で安定しており、そのシーリング機能を行うことができることも有利である。また、障壁層2中に漏れ9が発生した場合に、侵入する液体10の可能性のある添加物に対して、シーラントが大きい抵抗を有する場合も有利である。こうした添加物は通常は、特に塩水を含む地下水の場合は、塩、水酸化カルシウム、硫黄を含む化合物、ならびに溶剤である。
【0022】
シーラント4は、有利には熱可塑材、または熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーは、それによって、シーラントが水平および垂直の移動、特に障壁層2および複合層3の移動に対して良好な弾性を有する利点がある。シーラントの良好な弾性によって、シーラントの亀裂または剥離が防止され、したがってシール不良が防止される。
【0023】
本文書では、加硫エラストマーの機械的特性と熱可塑材の加工性を組み合わせたプラスチックを熱可塑性エラストマーと定義する。通常、こうした熱可塑性エラストマーは、ハードおよびソフトセグメントを有するブロックコポリマーであり、または対応する熱可塑性成分およびエラストマー成分を有するいわゆるポリマーアロイである。
【0024】
好ましい熱可塑材および熱可塑性エラストマーは、特に、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリブテン(PB);エチレン-プロピレン-ジエン/ポリプロピレンコポリマーなどオレフィン(TPE-O、TPO)に基づく熱可塑性エラストマー;オレフィン(TPE-V、TPV)に基づく架橋熱可塑性エラストマー;芳香族ハードセグメントおよびポリエステルソフトセグメント(TPU-ARES)、ポリエーテルソフトセグメント(TPU-ARES)、ポリエステルおよびポリエーテルソフトセグメント(TPU-AREE)、またはポリカーボネートソフトセグメント(TPU-ARCE)を有するTPUなど熱可塑性ポリウレタン(TPE-U、TPU);ポリエステルソフトセグメント(TPC-ES)、ポリエーテルソフトセグメント(TPC-ET)、またはポリエステルおよびポリエーテルソフトセグメント(TPC-EE)を有するTPCなど熱可塑性コポリエステル(TPE-E、TPC);スチレン/ブタジエンブロックコポリマー(TPS-SBS)、スチレン/イソプレンブロックコポリマー(TPS-SIS)、スチレン/エチレン-ブチレン/スチレンブロックコポリマー(TPS-SEBS)、スチレン/エチレン-プロピレン/スチレンブロックコポリマー(TPS-SEPS)などスチレンブロックコポリマー(TPE-S、TPS);および熱可塑性コポリアミド(TPE-A、TPA)からなるグループから選択される。
【0025】
追加の有利なシーラント4は、アクリレート化合物、ポリウレタンポリマー、シランで末端処理した(silane-terminated)ポリマー、およびポリオレフィンからなるグループから選択されるシーラントである。
【0026】
好ましいアクリレート化合物は、特に、アクリル酸およびメタクリル酸エステルの、特にアクリル単量体に基づくアクリレート化合物である。
【0027】
用語「ポリウレタンポリマー」は、いわゆるジイソシアネート重付加法によって製造されるすべてのポリマーを含む。これには、ウレタン族から概ね、または完全にフリーなポリマーも含まれる。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレア、ポリウレア、ポリエステルポリウレア、ポリイソシアヌレート、およびポリカルボジイミドである。
【0028】
シーラント4がコンタクト接着剤および/または溶融接着剤の場合も有利である。それによって、シーラントと障壁層2、または複合層3の良好な結合および良好な接着が確保され、したがって、シーラントの剥離が防止され、よってシール不良が防止される。
【0029】
コンタクト接着剤および溶融接着剤は、一般に当業者に周知であり、非特許文献1に記載されている。
【0030】
シーラント4が、水と接触すると体積が何倍かに、通常は元の体積の200〜1000%に膨張する膨張物質を含む場合も有利である。体積の膨張の他に、幾つかの膨張物質は水と化学反応を起こすこともできる。こうした膨張物質の例は、ポリウレタン、特に水分によって硬化して弾性製品を形成する、シラン変性(silane-modified)ポリマーに基づく膨張物質である。膨張物質の他の例は、ベントナイト-ブチルゴムである。
【0031】
有利には、膨張物質は、被覆のために水と遅れて反応し、特に濡れたコンクリートと接触中に膨張物質が膨張せず、または少しだけ膨張し、液体10、特に水が水密膜1の裏側を流れた場合にまだ膨張する余裕がある状態の膨張物質である。水密膜1が影響を受けた場合に、膨張物質が膨張するために、シーラント4を障壁層2および/またはコンクリートと混合された複合層3に対してより強く押しつけることができ、さらに、膨張物質の体積膨張によって間隙11が減少される。いずれも水が障壁層2に沿って間隙11を通過するのを低減し、特に阻止するのに役立つ。
【0032】
シーラント4は表面構造および/またはメッシュ状に配置されることが好ましい。
【0033】
こうした表面構造が、たとえば図4aおよび4eに示されており、これに関連して、用語「表面構造」は、空間内の材料の配置および設計を指し、材料の表面組成物を指すものではない。
【0034】
個々の表面は任意の大きさおよび形状を有することができ、均一に構成されてもされなくてもよい。表面構造の構成の利点は、1つには、特に、個々の表面が均一に構成され、同じ形状および表面を有する場合に、製造が比較的簡単なことである。他方では、大きい表面積のために、シーラント4の障壁層2または複合層3への良好な結合および良好な接着が確保され、それによってシーラント4が剥離する危険性が低減され、したがってシール不良が低減される。
【0035】
シーラントがメッシュ線12を形成するシーラント4のメッシュ状の構成が、たとえば図4b、4c、および4dに示されている。メッシュ状の構成は構造化してもしなくてもよい。メッシュ状の構成、特に構造化したメッシュ状の構成は、結果として、表面構造の構成と比較して少ないシーラント4しか必要とせずにすむ点で有利である。他の利点は、メッシュ状の構成によって、多様なメッシュセル13が設けられ、それぞれ個々のメッシュセル13がすべてシーラント4によって取り囲まれることである。液体10がこうしたメッシュセル13に侵入した場合、メッシュセル13に沿ったシーラント4がメッシュセルの外側に広がるのを妨げ、特に阻止し、それによって連結するメッシュセルが液体10の広がりをさらに妨げ、特に阻止する。これが図5の一例で示されており、セクションライニングの密度は侵入する液体10の量に対応する。
【0036】
特に複合層3が多孔性材料の場合、シーラント4は複合層3中に、図2bで示したように部分的に、または図2cで示したように完全に侵入してもよい。図2aで示したように、シーラント4が複合層3に全く侵入しなくてもよい。
【0037】
シーラント4が複合層3に完全に侵入する場合は、特に複合層3がシーラント4よりも厚い厚さを有することが有利である。その結果、シーラントが複合層の厚さを完全に貫通せず、それによって、シーラントが障壁層2から離れた方に向いた複合層3の側部の表面に到達しない利点を有することができる。こうしたシーラント4は、特にシーラントが永久粘着性のシーラントの場合は、水密膜1のロールオンとオフ(rolling on and off)中、輸送中、およびコンクリート7を加える前に水密膜上を歩く際に不利であり得る。
【0038】
とりわけ、シーラントは複合層3の厚さの4.0〜80%、好ましくは5〜50%、特に10〜30%だけ侵入することができる。
【0039】
これは、結果としてシーラントと複合層のより良好な結合およびより良好な接着が行われる点で特に有利である。さらに、その結果、複合層の領域、特にコンクリート7が僅かに浸透し、したがって侵入する液体10に対して透過性になりやすい障壁層2付近の複合層の領域をシールすることができる。
【0040】
したがって、シーラント4は、好ましくは、複合層3への侵入を可能にする安定性を有するが、複合層に部分的にしか、通常は複合層の厚さの80%未満しか侵入しない。本文書では、安定性は、シーラント4の流出に対する抵抗性として定義される。
【0041】
複合層3の部分、特に複合層と障壁層との間にシーラント4が存在しない部分を障壁層2に直接連結することができる。
【0042】
「直接連結」は、2つの材料の間にさらなる層または物質が存在せず、2つの材料が直接的に互いに連結され、または互いに接着されるものと定義される。2つの材料の間の移行部には、2つの材料が互いに混合された状態で存在することができる。
【0043】
複合層3を障壁層2に本質的に固定して配置することができる。これは特に製造の際に、水密膜1、複合層3、および障壁層2を、熱処理、圧力、物理的吸収、または任意の他の力の物理的作用によって互いに直接連結することによって実行することができる。とりわけ、これは、接着剤による障壁層と複合層の化学結合が不要である利点があり、水密膜1の生産コストに効果をもたらす。とりわけ、複合層と障壁層を積層によって互いに連結することができる。積層により、特に複合層が不織材料の場合、複合層と障壁層のより強い結合を行うことができる。さらに、積層による水密膜の生産における結合の質は、接着剤による結合の場合よりも信頼性が高く、生産パラメータの変動が少ない。
【0044】
しかしながら、複合層3と障壁層2を互いに接着剤によって結合することも可能である。
【0045】
さらに、障壁層2および/または複合層3が可撓性プラスチック層の場合も有利である。
【0046】
これは、一方では、障壁層2または複合層3が水平および垂直の移動に対して良好な弾性を有する利点がある。他方では、それによって経済的な生産、ならびに、風化、特に低温および水分に対する良好な抵抗が可能になる。さらに、可撓性プラスチック層は、特に障壁層および複合層が可撓性プラスチック層で構成される場合、水密膜1のロールオンを可能にし、それによって水密膜の輸送が容易になり、水密膜をベース6に設置しやすくなる。
【0047】
障壁層2を、高液圧でも十分なシールを保証するすべての材料で構成することができる。
【0048】
したがって、障壁層2が、水圧に対して高い抵抗を有し、引裂き伝播試験および穿孔試験で良好な値を示す場合に有利であり、建設現場で機械的応力を受ける場合に特に有利である。
【0049】
障壁層2が熱可塑材層、好ましくはポリエチレン層の場合に特に有利である。これは環境の影響に耐える高能力をもたらす。
【0050】
障壁層2は、好ましくは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、クロロスルホン化ポリエチレン、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、およびその混合物からなるグループで構成される材料から選択される。
【0051】
障壁層2は厚さ0.1〜5mm、特に0.5〜2.5mm、かつ好ましくは0.8〜1.5mmを有することができる。
【0052】
たとえば、障壁層2のコロナ処理、フッ素化、熱衝撃(flame impingement)など表面処理によって、複合層3とシーラント4、特にシーラントの接着性を向上させることができる。
【0053】
障壁層2が被覆を有して、複合層3から離れた方に向いた側面のラドンシーリング(radon sealing)を向上させる場合はさらに有利である。こうした被覆は、通常、金属被覆であり、特にアルミニウムからなる被覆である。プラスチック層に加えてラドンシーリングを向上させるための被覆を塗布して、被覆を機械的損傷から保護することも有利である。たとえば、低密度ポリエチレン(LDPE)からなる障壁層は、複合層3から離れた方に向いた側面にアルミニウムからなる被覆を有することができ、被覆は障壁層から離れた方に向いた側面に低密度ポリエチレン(LDPE)からなる追加の層を有する。
【0054】
たとえば図2dおよび4dで示したように、障壁層2がシーラント4を受けるためのエンボシング5、特に溝14を有する格子状エンボシングを有する場合も有利である。これは、特に障壁層2とシーラント4との間の接触表面積の増加によってシーラントと障壁層の結合が向上し、より良好な接着が得られ、それによってシーラントが剥離して、シールが不良になる危険性が低減される利点がある。
【0055】
さらに、障壁層と複合層の結合をシーラントに近い領域で向上させることができ、特にスルーゴーイング(through-going)にすることができる。
【0056】
溝14を有する格子状エンボシング5により、上記の利点を有するシーラント4の格子状構成が可能になる。
【0057】
また、図4eで示したようにポケット15を有するエンボシング5も可能であり、製造の際に、溝14を有する格子状エンボシングと比較して、水密膜1がポケット内に連結され、シーラント4が比較的簡単に塗布される利点がある。
【0058】
エンボシング5は、通常、深さ0.1〜10mm、好ましくは0.5〜5mmを有し、溝14またはポケット15の間の距離は0.5〜30mm、好ましくは1〜10mmでもよい。
【0059】
複合層3は、すべての材料、特に液状コンクリート7が容易に侵入し、硬化したコンクリート7と良好な結合を形成する材料で構成することができる。
【0060】
本文書では、用語「複合層」は注入したコンクリート7と確実に結合することができる層として定義される。
【0061】
したがって、コンクリート7がコンクリートの硬化前に複合層と接触状態になった場合、複合層3はコンクリート7との本質的に固定した結合に関与することができる。
【0062】
複合層3が多孔性材料で構成される場合は有利である。多孔性構造は複合層の弾性を助ける働きをする。したがって、張力およびせん断力により良好に耐えることができる。対照的に、液状コンクリートを良好に吸収し、したがって、液状、ならびに硬化したコンクリート7との良好な結合が得られる。これは、コンクリートが複合層上で滑らないように、大きい表面の傾斜角の場合に特に有利である。
【0063】
好ましくは、複合層3は繊維材料である。本願明細書全体で、繊維材料は繊維でできた材料として定義される。繊維は、有機あるいは合成の材料を含み、またはそれで構成される。特にこれらは、セルロース、綿繊維、タンパク繊維、または合成繊維である。合成繊維として、主に、ポリエステル、またはエチレンのホモポリマーあるいはコポリマー、および/あるいはプロピレンもしくはレーヨンで構成された繊維を挙げることができる。これに関連して、繊維は、短繊維、または長繊維、スパン、織繊維、あるいは不織繊維、もしくはフィラメントでもよい。さらに、繊維は、真直ぐになされた繊維、または伸長された繊維でもよい。また、機可形状および組成物が互いに異なる繊維の使用も有利である。
【0064】
さらに、繊維材料は中間空間を含む。こうした中間空間は適切な製造方法によって生成される。中間空間は、少なくとも部分的に開放され、液状コンクリートが侵入できることが好ましい。
【0065】
繊維から作製される要素を当業者に周知の最も広範な方法で製造することができる。特に使用される要素は、織布、織物、編物である。
【0066】
繊維材料は、スパン繊維、またはフィラメントで構成されるばら材料(loose material)でもよく、材料の全般的な凝集力は、繊維に特有の接着性によって与えられる。これに関連して、個々の繊維は好ましい方向性を有することができ、またはそれらは不定方向でもよい。繊維から作成される要素をニードリング、メッシングによって、または強い水噴射による旋回によって、機械的に凝固させることができる。
【0067】
フェルトまたは不織材料は、繊維材料として特に好ましい。
【0068】
繊維材料で構成されたこうした層は、多孔性材料について上述したのと同じ利点をもたらし、製造コストが低い。さらに、多孔性材料と同様に、それらは、上記のように、熱処理、圧力、物理的吸収、または任意の他の力の物理的作用によって、障壁層2上に本質的に固定して配置することができる利点がある。
【0069】
また、繊維材料は、全般的に非常に均一に製造することができ、それによってコンクリート7が同程度に侵入することができる。
【0070】
複合層3が、シーラント4、および特に障壁層2を機械的応力から保護することができる場合も有利である。とりわけ、水密膜1が配置されるとき、液状コンクリートの注入前または注入中に、たとえば水密膜上を歩く際に、外装鉄の配置によって、または液状コンクリートの設置による過剰な機械的応力が加えられる可能性がある。したがって、複合層3が幾らかの面重量を有して、機械的応力に対する幾らかの圧力抵抗を有する場合は有利である。
【0071】
有利には、複合層3は熱可塑性材料であり、材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、およびその組み合わせを含むグループから選択される。
【0072】
さらに、複合層3は、厚さ0.5〜30mm、好ましくは2〜10mmを有することができる。
【0073】
水密膜1を任意の方法で製造することができる。特に水密膜を市販の機械で製造することができる。水密膜を、たとえば、押出し、および/または圧延、ならびに/もしくは積層によって連続製品として単一行程のステップで製造することができ、たとえば、ローラ上に巻き取ることができる。押出機あるいは圧延機の質量温度は、好ましくは、押出し、および/または圧延、ならびに/あるいは積層中に、100℃〜200℃、好ましくは120℃〜170℃、かつ特に130℃〜150℃でもよい。
【0074】
通常は障壁層と複合層3の連結の直前に、シーラント4を障壁層2上に溝付きノズルを通して注入することができる。シーラント4が水密膜1の製造温度に適合する組成物および安定性を有することが有利である。
【0075】
とりわけ、通常はシーラント4が障壁層に塗布された直後、またはそれと同時に、複合層3が障壁層2に積層によって連結される。
【0076】
さらに、本発明は、上述したような水密膜1、および絶縁材料17からなる層を含む成形部分16を含む。
【0077】
絶縁材料は、特に断熱および/または遮音材料であり、通常は発砲ポリスチレン、発砲ポリウレタン、ミネラルウール、または多泡ガラス、あるいはその組み合わせである。
【0078】
絶縁材料17からなる層は、通常、厚さ1〜50cmを有する。
【0079】
通常、成形部分16は、図6で示したように、前もって製作された部分要素、特にプレートである。こうした成形部分は、絶縁材料および水密膜1を作業ステップで加えることができる限り有利である。こうした成形部分は、透水性絶縁材料に特に適しており、それによって障壁層2が液体の移動を防ぐ。
【0080】
さらに、本発明は、障壁層2、および障壁層の一側面上に配置された複合層3、ならびに複合層と障壁層との間に断続的に配置されたシーラント4を含む水密成形部分18を備え、それによって障壁層が水密絶縁材料で構成される。
【0081】
水密絶縁材料は上記の絶縁材料に相当し、絶縁材料が水不透過性であるという条件を有する。水密絶縁材料19からなる層は、通常、厚さ1〜50cmを有する。
【0082】
水密成形部分18の複合層3およびシーラント4は、水密膜1について上述した複合層およびシーラントに相当する。
【0083】
通常、成形部分は、図7で示したように、前もって製作された部分要素、特にプレートである。水密成形部分18は、成形部分16について上述したのと同じ利点を提供する。
【0084】
さらに、本発明は、以下のステップを含む、ベース6をシールする方法を含む。
i) 上記のように水密膜1をベース6上に加え、それによって水密膜の障壁層2が直接ベースに接触される。
ii) 液状コンクリート7を水密膜1の複合層3上に加える。
【0085】
本文書では、液状コンクリートは硬化前のコンクリート7として定義される。コンクリート7は構造物の一部、特にたとえば、ビルディング、ガレージ、トンネル、投棄場、集水域、堤防、または工業ビルディングの要素など、地上または地下レベルの構造物でもよい。
【0086】
液状コンクリート7は、通常、複合層3内、かつ/またはその上に注入され、複合層中に侵入することができる。液状コンクリートが複合層に完全に浸透した場合は特に有利である。コンクリートの硬化後、通常、硬化コンクリート7と複合層3との間の本質的に固定された結合が形成され、したがって、特に液状のコンクリートが複合層に完全に浸透したときに、水密膜1が形成される。
【0087】
しかし、液状コンクリートが複合層に完全に浸透しない場合も有利である。コンクリートの硬化後、障壁層2に面する複合層3の一部が形成され、前記複合層3にはコンクリート7が浸透しておらず、したがって、水平および垂直の移動、特に障壁層と複合層の移動に対して複合層3のコンクリートが浸透した部分よりも大きい弾性を有する。コンクリートが浸透していない複合層の比較的高い弾性は、シーラント4および/または障壁層2の亀裂あるいは剥離に反作用することができる。さらに、したがって、コンクリート7中の亀裂により良好に架橋することができる。
【0088】
その場合、ベース6は水平でも水平でなくてもよい。さらに、ベース6は地球、構造物、または型枠でもよい。通常、ベースは木または鋼桁で作製された垂直に位置付けられた型枠である。ベースも絶縁材料でもよい。
【0089】
通常、方法は、さらに水密膜1をベース6に締結するステップを含む。このステップは、特に水密膜が通常は機械的締結かつ/またはセメンティングによってベース上に設置された後に行われる。
【0090】
さらに、本発明は、ベース6のシーリングについて上述したように水密膜1の使用を含む。
【0091】
当然ながら、本発明は、図で示し、記載した実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0092】
1 水密膜
2 障壁層
3 複合層
4 シーラント
5 エンボシング
6 ベース
7 コンクリート
8 コンクリートと混合された複合層
9 漏れ
10 液体
11 間隙
12 メッシュ線
13 メッシュセル
14 溝
15 ポケット
16 成形部分
17 絶縁材料からなる層
18 水密成形部分
19 水密絶縁材料からなる層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障壁層(2)と、
前記障壁層(2)の一側面上に配置された複合層(3)と、
を備える水密膜(1)であって、
シーラント(4)が前記複合層(3)と前記障壁層(2)との間に断続的に配置されることを特徴とする水密膜(1)。
【請求項2】
前記シーラント(4)が熱可塑材または熱可塑性エラストマーである、請求項1に記載の水密膜。
【請求項3】
前記シーラント(4)がアクリレート化合物、ポリウレタンポリマー、シランで末端処理したポリマー、およびポリオレフィンからなるグループから選択される、請求項1又は2に記載の水密膜。
【請求項4】
前記シーラント(4)がコンタクト接着剤および/または溶融接着剤である、請求項1から3のいずれか1項に記載の水密膜。
【請求項5】
前記シーラント(4)が表面構造および/またはメッシュ状に配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載の水密膜。
【請求項6】
前記シーラント(4)が前記複合層(3)の厚さの0〜80%、好ましくは5〜50%、特に10〜30%だけ侵入する、請求項1から5のいずれか1項に記載の水密膜。
【請求項7】
前記複合層(3)の一部が前記障壁層(2)に直接連結される、請求項1から6のいずれか1項に記載の水密膜。
【請求項8】
前記障壁層(2)および/または前記複合層(3)が可撓性プラスチック層である、請求項1から7のいずれか1項に記載の水密膜。
【請求項9】
前記障壁層(2)が熱可塑性層、好ましくはポリエチレン層である、請求項1から8のいずれか1項に記載の水密膜。
【請求項10】
前記障壁層(2)が厚さ0.1〜5mm、好ましくは0.5〜2.5mm、特に0.8〜1.5mmを有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の水密膜。
【請求項11】
前記障壁層(2)がエンボシング(5)、特にシーラント(4)を受けるための格子状エンボシングを有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の水密膜。
【請求項12】
前記複合層(3)が多孔性材料からなる、請求項1から11のいずれか1項に記載の水密膜。
【請求項13】
前記複合層(3)が繊維材料、特にフェルトまたは不織材料である、請求項1から12のいずれか1項に記載の水密膜。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項項に記載の水密膜(1)および絶縁材料(17)からなる層を含む成形部分(16)。
【請求項15】
請求項1から8、および11から13のいずれか1項に記載の障壁層(2)、前記障壁層(2)の一側面上に配置された複合層(3)、ならびに前記複合層(3)と前記障壁層(2)との間に断続的に配置されたシーラント(4)を備え、前記障壁層(2)が水密絶縁材料からなる、水密成形部分(18)。
【請求項16】
i)請求項1から13のいずれか1項に記載の水密膜(1)をベース(6)上に設置し、前記水密膜(1)の前記障壁層(2)が前記ベース(6)に直接接触するステップと、
ii)液状コンクリート(7)を前記水密膜(1)の前記複合層(3)上に加えるステップと、
を含む、ベース(6)をシールする方法。

【図1】
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【図2a)】
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【図2b)】
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【図2c)】
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【図2d)】
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【図3a)】
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【図3b)】
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【図3c)】
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【図3d)】
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【図4a)】
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【図4b)】
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【図4c)】
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【図4d)】
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【図4e)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−505982(P2012−505982A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531482(P2011−531482)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063444
【国際公開番号】WO2010/043661
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】