説明

水平多関節ロボット

【課題】角速度センサーを用いて制振制御を行う水平多関節ロボットにおいて、該角速度センサーに接続される電気配線の耐久性を高めることの可能な水平多関節ロボットを提供する。
【解決手段】ロボット10は、第2水平アーム15に設置され基台11に対する第1水平アーム12の角速度を得るための角速度センサー30を備え、第1水平アーム12の角速度に基づく第1モーター13の駆動によって第1水平アーム12を制振する。ロボット10は、基台11と第2水平アーム15とに端部が連結されるとともに、第1水平アーム12の外側、且つ第2水平アーム15の外側に配設されて、基台11内と第2水平アーム15内とに通じる通路を有する配線ダクト33に、第2水平アーム15に内蔵された第2モーター16に接続される電気配線35と、角速度センサー30に接続される電気配線36とが引き回されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、角速度センサーを備えた水平多関節ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のように、アームの角速度を検出する角速度センサーを用いてアームに生じた振動を抑える水平多関節ロボットが知られている。特許文献1に記載の水平多関節ロボットでは、基台に対して回動可能な第1アームが、第1駆動源の駆動力を受けて回動するとともに、該第1駆動源の回転角が、第1角度センサーによって検出される。さらに、基台に対する第1アームの角速度が、該第1アームに搭載される角速度センサーによって検出される。そして、第1アームに生じた振動が抑えられるように、角速度センサーが検出した角速度に基づいて、第1駆動源の駆動量が制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−242794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1アームに生じた振動は、通常、第1アームに連結された他のアームによって増幅されて、その後、水平多関節ロボットのエンドエフェクターに伝わる。それゆえに、こうしたエンドエフェクターの振動を抑えるためには、上述のような制動制御を第1駆動源に対して行うことが効果的である。
【0005】
一方、上述の角速度センサーを駆動するためには、角速度センサーに電源を供給する配線や角速度センサーの検出信号を送信する配線など、角速度センサーとコントローラーとの間に各種の電気配線を接続することが必要になる。他方、このような電気配線とは、角速度センサーの他、駆動源にも必要とされるものであって、通常、中空の基台を通して外部のコントローラーに接続されている。そして、上述した角速度センサーが第1アームに設置される構成となれば、こうした角速度センサーに必要とされる電気配線も、基台を通して第1アームとコントローラーとの間に接続されることとなる。
【0006】
この際、第1アームが基台に対して描く軌道には、通常、他のアームが基台に対して描く軌道と比較して、小さい曲率の軌道が多く含まれる。そのため、第1アームから引き出される電気配線に対しては、他のアームから引き出される電気配線と比較して、折り曲げられる機会が多くなり、また、折り曲げ箇所における曲率が小さくもなる。それゆえに、角速度センサーを用いて制振制御を行う水平多関節ロボットには、こうした角速度センサーに接続される電気配線の耐久性を高めることが望まれている。
【0007】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、角速度センサーを用いて制振制御を行う水平多関節ロボットにおいて、該角速度センサーに接続される電気配線の耐久性を高めることの可能な水平多関節ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水平多関節ロボットは、基台に連結される第1アームと、少なくとも前記第1アームを介して前記基台に連結される第2アームと、前記基台に内蔵されて前記第1アームを水平方向に回動する第1駆動源と、前記第2アームに内蔵されて前記第2アームを水平方向に回動する第2駆動源と、前記第2アームに設置された角速度センサーとを備え、
前記角速度センサーより得られた角速度に基づいて前記第1駆動源を駆動し、前記第1アームを制振する。
【0009】
この水平多関節ロボットによれば、角速度センサーを第2アーム内に設置することにより、当該角速度センサーに接続される電気配線を第2アームから引き出すことが可能になる。第2アームが基台に対して描く軌道は、第1アームが基台に対して描く軌道に比べて、一般に曲率が大きい。そのため、角速度センサーに接続される電気配線の折り曲げられる機会を少なくすること、角速度センサーに接続される電気配線の折り曲げ箇所の曲率が小さくなることを抑えること、それらが可能となるため、該電気配線の耐久性を高めることが可能となる。
【0010】
この水平多関節ロボットは、前記基台に一端が連結されて前記第2アームに他端が連結されるとともに、前記第1アームの外側、且つ前記第2アームの外側に配設されて、前記基台内と前記第2アーム内とに通じる通路を有する配管部材を備え、前記配管部材には、前記第2駆動源に接続される電気配線と、前記角速度センサーに接続される電気配線とが引き回されている。
【0011】
この水平多関節ロボットによれば、第2駆動源に接続される電気配線と角速度センサーに接続される電気配線とが、配管部材が有する通路を通じて第2アーム内から基台内まで引き回されている。このような構成であれば、角速度センサーに接続される電気配線を折り曲げるためには、第2駆動源に接続される電気配線と配管部材とを同時に折り曲げる必要がある。そのため、角速度センサーに接続される電気配線の折り曲げられる機会を少なくすること、角速度センサーに接続される電気配線の折り曲げ箇所の曲率が小さくなることを抑えること、それらが可能となるため、該電気配線の耐久性をさらに高めることが可能となる。
【0012】
この水平多関節ロボットにおいて、前記第2アーム内には、前記第2アームに対して変位する変位部材に第3駆動源の駆動力を伝達するベルトが配設されており、前記角速度センサーが、前記ベルトよりも上方に配置されている。
【0013】
ここで、第3の駆動源によって駆動されるベルトの下方に角速度センサーが設置されている場合、該ベルトから発生した異物が落下して角速度センサーに付着してしまう虞がある。この点、上記構成によれば、ベルトから異物が発生したとしても、その異物が角速度センサーに付着してしまうことを抑えることができる。
【0014】
この水平多関節ロボットでは、前記配管部材と前記第2アームとの連結部分が該第2アームにおける上側に設けられている。
ここで、第2アームと配管部材との連結部分が第2アームにおける水平方向側の部位に設けられていると、該連結部分や配管部材における第2アーム側の端部周辺の部位が、第2アームの回動経路に重なってしまうため、第2アームが回動するときの障害となってしまう虞がある。この点、上記構成によれば、第2アームと配管部材との連結部分や配管部材における第2アーム側の端部周辺の部位は、第2アームの回動経路に重なることにない位置に配置されている。その結果、第2アームの円滑な回動を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるロボットの正面構造を示す正面図。
【図2】第2水平アームの内部構造を示す斜視図であって、アームカバーを取り外した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる水平多関節ロボットの一実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。
図1に示されるように、水平多関節ロボットであるロボット10では、床面等に設置される基台11の上端部に、鉛直方向に沿う軸心C1を中心にして、基台11に対して回動する第1アームとしての第1水平アーム12の基端部が連結されている。基台11内には、第1水平アーム12を回動させる第1駆動源としての第1モーター13と、該第1モーターの回転軸13aに連結され、その出力軸14aが第1水平アーム12に連結固定された減速機14とが設置されている。そして第1水平アーム12は、第1モーター13の駆動力が減速機14を介して伝達されることによって、基台11に対して水平方向に回動、すなわち水平旋回する。第1水平アーム12は、鋳鉄などの金属材料で形成されており、その長さ方向及び旋回方向などに高い剛性を有している。
【0017】
第1水平アーム12の先端部には、鉛直方向に沿う軸心C2を中心にして第1水平アーム12に対して回動する第2アームとしての第2水平アーム15が有するアーム本体15aの基端部が連結されている。第2水平アーム15内には、第2水平アーム15を回動させる第2駆動源としての第2モーター16と、該第2モーター16の回転軸16aに連結され、その出力軸17aが第1水平アーム12に連結固定された減速機17とが設置されている。そして第2水平アーム15は、第2モーター16の駆動力が減速機17を介して伝達されることによって、軸心C2を中心にして第1水平アーム12に対して水平方向に回動、すなわち水平旋回する。第2水平アーム15は、鋳鉄などの金属材料で形成されており、その長さ方向及び旋回方向などに高い剛性を有している。
【0018】
第2水平アーム15は、その基端部から先端部にかけてアーム本体15aの上側を第2モーター16などを含めて覆うアームカバー18を有している。アームカバー18は、例えば樹脂材料で形成され、第2モーター16などの装置を保護する一方、それらの装置から発生する粉塵が周辺に飛散することを抑制する。本実施形態の第2水平アーム15は、アーム本体15aとアームカバー18とによって構成されている。
【0019】
第2水平アーム15の先端部には、アーム本体15aとアームカバー18とを貫通し、第2水平アーム15に対して変位する変位部材としての上下回転軸19が設けられている。上下回転軸19は、円柱状の軸体であって、その周表面には図示しないボールねじ溝とスプライン溝とがそれぞれ形成されている。図2に示されるように、上下回転軸19は、そのスプライン溝が第2水平アーム15の先端部に配置されたスプラインナット19Sの中心に嵌め合わされるように挿通され、そのボールねじ溝がこれも第2水平アーム15の先端部に配置されたボールねじナット19Bの中心に螺合されるように挿通されている。これにより上下回転軸19は、第2水平アーム15に対して回転可能に、かつ、上下方向に移動可能に支持されている。
【0020】
図2に示されるように、第2水平アーム15内には、第3駆動源としての回転モーター20が設置されている。回転モーター20は、その駆動力がベルト21を介してスプラインナット19Sに伝達される。すなわち上下回転軸19は、上記回転モーター20によってスプラインナット19Sが正逆回転されることによって、鉛直方向に沿う自らの軸心C3を中心にして正逆回転される。
【0021】
第2水平アーム15内には、第3駆動源としての昇降モーター23が設置されている。昇降モーター23は、その駆動力がベルト24を介してボールねじナット19Bに伝達される。すなわち上下回転軸19は、上記昇降モーター23によってボールねじナット19Bが正逆回転されることによって、鉛直方向に昇降移動する。そして、その昇降移動によってその下端部である作業部25を上下方向に昇降させる。
【0022】
上下回転軸19の作業部25には、ツール、例えば被搬送物を把持するものや被加工物を加工するもの等の取り付けが可能になっている。そして、ロボットは、作業部25に取り付けられた各ツールによって、部品を搬送したり、部品を加工したりするようになっている。
【0023】
また、図2に示されるように、第2水平アーム15内には、第2水平アーム15の角速度を測定する角速度センサー30が設置されている。角速度センサー30は、本実施形態では、水晶型振動子を用いた振動型のジャイロスコープである。角速度センサー30は、第2水平アーム15内に立設されている複数の支持脚31によって、その姿勢が調整可能に支持されている。
【0024】
ここで、上記回転モーター20及び昇降モーター23の少なくとも一方が駆動されることによってベルト21,24から異物が発生するとその異物がベルト21,24の下方へと落下する。そのため、該ベルト21,24の下方に角速度センサー30が配設されているとなれば、その発生した異物が角速度センサー30に付着しやすくなる。これに対して、本実施形態では、上記支持脚31に支持されている角速度センサー30は、第1水平アーム12及び第2水平アーム15の回動角度に関わらず、常にベルト21,24の上方に配置されている。そのため、回転モーター20及び昇降モーター23の少なくとも一方が駆動されたとしても、ベルト21,24から落下した異物が角速度センサー30に付着することを抑えることができる。
【0025】
また、図2に示されるように、第2水平アーム15における上側には、他端が基台11に連結された配管部材として可撓性を有する配線ダクト33の一端が連結されている。この配線ダクト33は、筒状をなしており、上記一端が第2水平アーム15に対して回転自在に連結されているとともに上記他端が基台11に対して回転自在に連結されている。配線ダクト33には、第2水平アーム15内と基台11内とに通じる通路34が形成されている。そして、第2水平アーム15内に設置された第2モーター16に接続される電気配線35及び角速度センサー30に接続される電気配線36は、上記通路34を通じて第2水平アーム15内から基台11内まで引き回されている。
【0026】
なお、図1及び図2では省略したが、回転モーター20に接続される電気配線及び昇降モーター23に接続される電気配線も、上記通路34を通じて基台11内まで引き回されている。また、この通路34内においては、電気配線36に対して他の電気配線が電気的な影響を与えることがないように、電気配線の構成部品の材質や各電気配線の配置等が考慮されていることが好ましい。
【0027】
ところで、配線ダクト33と第2水平アーム15との連結部分は、該第2水平アーム15の水平方向側、言い換えれば図1における紙面の手前側あるいは奥側に設けることも可能である。しかしながら、こうした構成は、該連結部分や配線ダクト33における第2水平アーム15側の端部周辺の部位が、第2水平アーム15の回動経路と重なってしまうため、第2水平アーム15が回動する際に障害となってしまう虞がある。この点、本実施形態では、第2水平アーム15と配線ダクト33との連結部分が、該第2水平アーム15における上側に設けられている。そのため、配線ダクト33における第2水平アーム15側の端部周辺の部位が第2水平アーム15の回動経路に重なることがないように、連結部分が設けられている。これにより、第2水平アーム15の円滑な回動が実現される。
【0028】
また、角速度センサー30は、第2水平アーム15の角速度を検出するセンサーであることから、第2水平アーム15に設置されていればよい。とはいえ、第2水平アーム15内ではなく、第2水平アーム15の外側に設置するとなれば、配線ダクト33の通路34を通じて電気配線を引き回すためには、角速度センサー30に接続された電気配線を第2
水平アーム15内に引き回すための構成が別途必要となる。本実施形態のように、角速度センサー30を第2水平アーム15内に設置することによって、電気配線36を第2水平アーム15内に引き回すための構成が必要なくなることから、第2水平アーム15の構成、ひいてはロボット10の構成の簡素化を図ることができる。
【0029】
そして、基台11内まで引き回された各電気配線は、基台11内でまとめられることによって、上記第1モーター13に接続される電気配線37とともに、基台11の外部に設置されロボット10を統括制御するコントローラー40まで引き回すことが可能である。
【0030】
コントローラー40は、角速度センサー30から入力される信号に基づいて、第2水平アーム15の振動が抑制されるように第1モーター13の駆動量を制御する。例えば、コントローラー40は、第1モーター13の回転角度を第1モーター13に搭載されたエンコーダーから取得し、さらに、第2モーター16の回転角度を第2モーター16に搭載されたエンコーダーから取得する。そして、コントローラー40は、第2水平アーム15の角速度、第1モーター13の回転角度、第2モーター16の回転角度等に基づいて第1水平アーム12の角速度を推定し、第1水平アーム12の振動が抑制されるように第1モーター13の駆動量を制御する。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態に係るロボット10によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)上記実施形態のロボット10によれば、第1モーター13の駆動量を制御するための角速度センサー30が第2水平アーム15に設けられていることから、該角速度センサー30に接続される電気配線36が第2水平アーム15から引き出されている。ここで、第2水平アーム15が基台11に対して描く軌跡は、第1水平アーム12が基台11に対して描く軌跡に比べて、基台11に対する曲率が大きい。そのため、角速度センサー30に接続される電気配線36の折り曲げられる機会を少なくすること、角速度センサー30に接続される電気配線の折り曲げ箇所の曲率が小さくなることを抑えること、それらが可能となるため、該電気配線36の耐久性を高めることが可能となる。
【0032】
(2)上記実施形態のロボット10によれば、第2モーター16に接続される電気配線35と角速度センサー30に接続される電気配線36とが、配線ダクト33が有する通路34を通じて第2水平アーム15内から基台11内まで引き回されている。こうした構成のように、第2水平アーム15と基台11とに連結された配線ダクト33を用いて、角速度センサー30に接続される電気配線36を第2水平アーム15から基台11まで引き回すことができる。こうした電気配線36を折り曲げるためには、当該電気配線36に加えて、配線ダクト33も折り曲げる必要があるため、電気配線36が折り曲げられる機会を少なくすること、折り曲げ箇所の曲率が小さくなることを抑えることが可能である。その結果、電気配線の耐久性をさらに高めることが可能となる。
【0033】
また、第2モーター16及び角速度センサー30に接続される電気配線35.36の各々が基台11内に引き回されることで、基台11内には第1モーター13に接続される電気配線37だけでなく、第2モーター16、角速度センサー30に接続される電気配線35,36が引き回されている。そのため、これらの電気配線35〜37をまとめて基台11の外部へ引き回すことも可能である。
【0034】
(3)上記実施形態では、角速度センサー30が第2水平アーム15内に配置されている。これにより、例えば、角速度センサー30をアーム本体15aの下面に設置した場合のように、該角速度センサー30に接続される電気配線36を第2水平アーム15に引き回すための構成が必要ない。その結果、第2水平アーム15の構成、ひいてはロボット10の構成の簡素化を図ることができる。
【0035】
(4)上記実施形態のロボット10によれば、ベルト21,24の上方に角速度センサー30が配置されていることから、ベルト21,24から落下した異物が角速度センサー30に付着してしまうことを抑えることができる。
【0036】
(5)上記実施形態のロボット10によれば、第2水平アーム15と配線ダクト33との連結部分が、第2水平アーム15における上側に設けられていることから、配線ダクト33における第2水平アーム15側の端部周辺の部位が、第2水平アーム15の回動経路とは重なることがない位置に配置されている。その結果、第2水平アーム15の円滑な回動を実現することができる。
【0037】
なお、上記実施の形態は、以下のように適宜変更して実施することも可能である。
・上記実施形態では、第2水平アーム15と配線ダクト33との連結部分が、第2水平アーム15における上側、すなわち第2水平アーム15の回動経路と重ならない位置に設けられている。これを変更して、第2モーター16及び角速度センサー30に接続される電気配線35,36が通路34を通じて基台11内に引き回すうえでは、第2水平アーム15の回動経路と重なるように連結部分を設けられていてもよい。こうした構成であっても上記(1)〜(4)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0038】
・上記実施形態では、角速度センサー30は、回転モーター20及び昇降モーター23の駆動力を伝達するベルト21,24の上方に配置した。これを変更して、角速度センサー30を上記ベルト21,24の下方に配置してもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(3)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0039】
・上記実施形態のロボット10には、電気配線36が引き回される通路34が形成された配線ダクト33が設けられている。これに限らず、ロボット10は、配線ダクト33が割愛されて、角速度センサー30から基台11に延びる電気配線が露出している構成であってもよい。こうした構成であっても、アームから延びる各種電気配線が一般には基台を介して外部に引き出されて、第1アームを制振するための角速度センサーが第2アームに設置される以上、上記(1)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0040】
・上記実施形態のロボット10は、第1水平アーム12と第2水平アーム15との間にさらにアームが介在する構成であってもよい。
・上記実施形態の角速度センサー30は、第2水平アーム15内に配置されている。しかし、角速度センサー30は、第2水平アーム15に設置されていればよいため、その設置位置は第2水平アーム15内に限られるものではない。こうした構成であっても上記(1)(2)に記載した効果を得ることができる。
【0041】
・上記実施形態のロボット10は、配管部材として、通路34が形成された筒状の配線ダクト33を有している。これに限らず、配管部材は、電気配線が収容されてロボット10の動作中も電気配線が絡まないものであればよく、その形状が筒状に限られるものではない。また、可撓性を有するものであればよく、その材質も特に限定されるものではない。
【0042】
・上記実施形態の角速度センサー30は、水晶型振動子を用いた振動型のジャイロスコープとした。これに限らず、角速度センサーは、基台11に対する第2水平アーム15の角速度が測定可能であればよく、回転型のジャイロスコープ、ガス型のジャイロスコープ、リングレーザジャイロスコープ等であってもよい。
【0043】
・第1水平アーム12の制振は、角速度センサー30の検出結果を用いて第1モーター
13の駆動量を制御する態様であればよく、例えば、角速度センサー30の検出結果と第2モーター16の回転角度とから第2水平アーム15の振動を検出し、該振動を第1水平アーム12の振動として推定して制振する態様であってもよい。また、例えば、第1水平アーム12と第2水平アーム15とが同一軸線上に固定されて、第1水平アーム12のみが回動する場合には、角速度センサー30の検出結果と第1モーター13の回転角度とから第1水平アーム12の振動を推定し、これを制振する態様であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…ロボット、11…基台、12…第1水平アーム、13…第1モーター、13a…回転軸、14…減速機、14a…出力軸、15…第2水平アーム、15a…アーム本体、16…第2モーター、16a…回転軸、17…減速機、17a…出力軸、18…アームカバー、19…上下回転軸、19B…ボールねじナット、19S…スプラインナット、20…回転モーター、21…ベルト、23…昇降モーター、24…ベルト、25…作業部、30…角速度センサー、31…支持脚、33…配線ダクト、34…通路、35,36,37…電気配線、40…コントローラー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に連結される第1アームと、
少なくとも前記第1アームを介して前記基台に連結される第2アームと、
前記基台に内蔵されて前記第1アームを水平方向に回動する第1駆動源と、
前記第2アームに内蔵されて前記第2アームを水平方向に回動する第2駆動源と、
前記第2アームに設置された角速度センサーとを備え、
前記角速度センサーより得られた角速度に基づいて前記第1駆動源を駆動し、前記第1アームを制振することを特徴とする水平多関節ロボット。
【請求項2】
前記基台に一端が連結されて前記第2アームに他端が連結されるとともに、前記第1アームの外側、且つ前記第2アームの外側に配設されて、前記基台内と前記第2アーム内とに通じる通路を有する配管部材を備え、
前記配管部材には、前記第2駆動源に接続される電気配線と、前記角速度センサーに接続される電気配線とが引き回されている
請求項1に記載の水平多関節ロボット。
【請求項3】
前記第2アーム内には、前記第2アームに対して変位する変位部材に第3駆動源の駆動力を伝達するベルトが配設されており、
前記角速度センサーが、前記ベルトよりも上方に配置されている
請求項2に記載の水平多関節ロボット。
【請求項4】
前記配管部材と前記第2アームとの連結部分が該第2アームにおける上側に設けられている
請求項2または3のいずれか一項に記載の水平多関節ロボット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−171051(P2012−171051A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35859(P2011−35859)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】