説明

水平移動式車両用内装材の成形装置及び成形方法

【課題】 水平移動式車両用内装材の成形装置及び成形方法を提供する。
【解決手段】 表皮材を予熱させるための予熱手段;予熱された表皮材を垂直に着脱させる固定部を備えて、移動自在に構成される移送手段;移送手段を通じて移送された表皮材のエッジを真空吸着して固定させる吸着部、表皮材に転写させるためのエンボス紋が形成されたベース部材、表皮材のエッジをクランピングして表皮材とベース部材との間の内部空間をシーリングさせる固定部材、表皮材をベース部材に真空吸着させるための真空ホールを備えて、地面に垂直に設けられる第1金型;第1金型に平行に設けられて射出基材が流入される第2金型;第1金型と第2金型のうちいずれか一つを水平移動させて相互型合わせまたは分離させる金型移動手段;を備える水平移動式車両用内装材の成形装置及び成形方法。これにより、水平方式で動作する金型で表皮材と基材との一体成形が可能であり、また予熱過程で伸びた表皮材の原緞が荷重により下方に撓む現象を防止でき、それだけでなく表皮材の完壁なシーリングを通じて表皮材が折り畳まるか、または寄らないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平移動式車両用内装材の成形装置及び成形方法に係り、さらに詳細には、水平移動する1対の左右金型を利用して射出基材と表皮材とを一体に成形することによって車両用内装材を製造でき、金型に垂直にクランピングされる表皮材の撓みを防止して表皮材の原緞の厚さに関係なく成形を可能にする水平移動式車両用内装材の成形装置及び成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両用内装材としては、ドア・トリム、ピラー、トランクマット、パッケージ・トリム、ヘッドライナーなどがあり、これらの内装材は、車種によって内装材の美感や質感のために表面にエンボス紋が形成された軟質の表皮材が硬質の基材に付着されて製作される。すなわち、車種によっては硬質の基材のみを射出成形した内装材が利用されることもあるが、高級車種では硬質の基材に織物などの軟質の原緞が表皮材として付着されて使用されている。
【0003】
このような硬質の基材材質としては、PP(POLY−PROPYLENE)、PPフェルト、PPボード、ABS、ウッドストック(WOODSTOCK)、レジンフェルトなどが主に使われ、その基材表面に接着される軟質の表皮材としては、不織布や織物またはPVC、TPOからなるスキン紙の裏面にP.E FOAM、P.PFOAM、P.U FOAMなどが付着されたものを主に使用している。
【0004】
従来の一般的な車両用内装材の成形方法は、エンボスが形成された表皮材を金型に挿入した後、基材となる樹脂(熱可塑性樹脂であって、一般的にPP)を後方射出する方法を主に使用するが、このような方式は金型内で原緞が伸び、高温の射出熱及び圧力によって表皮材のエンボスが損傷しつつ外観品質が低下するという問題点があった。これを解決するために、特許文献1のように、上金型を真空金型で製作して、原緞をあらかじめ予熱した後、上金型の底面に真空吸着させることによって上下金型の型合わせ時の原緞の損傷を防止した。また上金型底面にあらかじめエンボス紋を加工して、成形過程で原緞にエンボスが転写されるようにすることで、エンボスの損傷なしに外観品質を向上させる方案を考案した。
【0005】
しかし、かかる方式は、表皮材及び射出基材を垂直移動させて成形する垂直型金型装置には容易に適用できるが、表皮材及び射出基材を水平移動させて成形する水平型金型装置には適用し難い。
【0006】
一般的に原緞を真空吸着するためには、上金型が通気性真空金型にならねばならず、上金型の底面と原緞との間のシーリング構造を通じて空気漏れを防止せねばならない。かかる点のため、基本的に原緞は通気性原緞を使用できず、それによって一般的に0.5〜1mmさの延伸率の優秀なTPOやPVCで構成されたスキン層と、2〜3mm厚さの耐熱性の優秀なPPフォーム層とで形成される二重構造の原緞を使用するか、またはスキン層だけで形成される単一構造の原緞を使用する。
【0007】
そして、かかる原緞に対しては、真空吸着が円滑に行われるように、金型挿入前に300℃以上の高熱で予熱を行い、このように予熱された原緞を金型に挿入すれば、平坦な原緞ではない膨脹して下側に伸びる形態となる。そして、従来の垂直型金型装置では、このように下側に延びた凹状の原緞を水平に挿入するので、成形過程に特別な問題がない。
【0008】
しかし、水平型金型装置では、前記のように予熱によって膨脹した原緞を垂直に挿入するので、伸びた原緞の長さと重量によって原緞が下側に撓みつつ折り曲げられるという問題が発生する。特にスキン層だけで形成される薄い原緞の場合、その折り曲げられる程度がさらに激しくなる。
【0009】
それ以外にも、原緞を予熱した後、最大限短時間に金型に挿入することが重要であるが、垂直型金型装置では手動でインサートできるが、水平型金型装置では全体の原緞挿入工程を自動で具現せねばならないという問題点がある。
【0010】
かかる問題によって、表皮材と基材とを一体に成形して内装材を製造する工程では、まだ垂直型金型装置に関する技術のみ開発されており、水平型金型装置に関する技術開発はほとんどない事情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国特許公開第10−2008−0033598号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前述したような従来技術上の諸般問題点を解決するためになされたものであり、水平方式で動作する金型で表皮材と基材との一体成形を可能にすることを主要な解決課題とする。
【0013】
また本発明は、予熱過程で伸びた表皮材の原緞が荷重により下側に撓む現象を防止し、また完壁なシーリングを通じて表皮材が折り畳まるか、または寄らないようにすることをさらに他の解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための手段として、本発明による水平移動式車両用内装材の成形装置は、表皮材を予熱させるための予熱手段と、予熱された表皮材を垂直に着脱させる固定部を備えて、移動自在に構成される移送手段と、移送手段を通じて移送された表皮材のエッジを真空吸着して固定させる吸着部、表皮材に転写させるためのエンボス紋が形成されたベース部材、表皮材のエッジをクランピングして表皮材とベース部材との間の内部空間をシーリングさせる固定部材、表皮材をベース部材に真空吸着させるための真空ホールを備えて、地面に垂直に設けられる第1金型と、前記第1金型に平行に設けられて射出基材が流入される第2金型と、第1金型と第2金型のうちいずれか一つを水平移動させて互いに型合わせまたは分離させる金型移動手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による水平移動式車両用内装材の成形装置は、表皮材を垂直に着脱させる固定部と、表皮材を予熱させるためのヒーティング部とを備えて、移動自在に構成される移送手段と、移送手段を通じて移送された表皮材のエッジを真空吸着して固定させる吸着部、表皮材に転写させるためのエンボス紋が形成されたベース部材、表皮材のエッジをクランピングして表皮材とベース部材との間の内部空間をシーリングさせる固定部材、表皮材をベース部材に真空吸着させるための真空ホールを備えて、地面に垂直に設けられる第1金型と、前記第1金型に平行に設けられて射出基材が流入される第2金型と、第1金型と第2金型のうちいずれか一つを水平移動させて相互型合わせまたは分離させる金型移動手段と、を備える。
【0016】
そして、前記移送手段の固定部は、表皮材のエッジを真空吸着することによって着脱するように構成されることを特徴とする。
【0017】
また、前記固定部材は、表皮材のエッジを支持するクランプと、クランプを上下移動させる垂直シリンダーと、垂直シリンダーを左右移動させる水平シリンダーと、を備えることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明による水平移動式車両用内装材の成形装置は、前記クランプから突出して表皮材のエッジを支持する支持ピンと、前記支持ピンが挿入されるように第1金型に凹状に形成されるピンホールと、をさらに備える。
【0019】
また、本発明による水平移動式車両用内装材の成形装置は、第1金型から突出して表皮材のエッジを支持する支持ピンと、前記支持ピンが挿入されるようにクランプに凹状に形成されるピンホールと、をさらに備える。
【0020】
そして前記真空ホールは、ベース部材を貫通する大径ホールと、大径ホールから延びて表皮材とベース部材との間の内部空間に連通する小径ホールとの2段構造になっていることが望ましい。
【0021】
本発明による水平移動式車両用内装材の成形装置は、表皮材を膨脹させるために、表皮材とベース部材との間の内部空間にエアが注入されるエア噴射口と、エア噴射口を通じて表皮材とベース部材との間の内部空間に注入されるエアをイオン化させるためのイオン化部材をさらに備えることが望ましい。
【0022】
また、本発明による水平移動式車両用内装材の成形装置は、表皮材の予熱温度を測定する温度センサーと、表皮材の測定温度があらかじめ設定された値になれば、表皮材とベース部材との間の内部空気をあらかじめ設定された速度で吸入できるように順次に開放されるソレノイドバルブと、をさらに備える。
【0023】
また、本発明による水平移動式車両用内装材の成形装置は、表皮材の予熱時間を測定するタイマーと、表皮材の予熱時間があらかじめ設定された値になれば、表皮材とベース部材との間の内部空気をあらかじめ設定された速度で吸入できるように順次に開放されるソレノイドバルブと、をさらに備える。
【0024】
そして、本発明による水平移動式車両用内装材の成形方法は、表皮材が移送手段に垂直に付着される第1段階と、表皮材が付着された移送手段が地面に垂直に設けられた第1金型に移動する第2段階と、移送手段から脱着された表皮材が第1金型に真空吸着方式で固定される第3段階と、第1金型の内周面に設けられて、エンボス紋が形成されたベース部材と表皮材との間の内部空間をシーリングさせる第4段階と、表皮材とベース部材との間の内部空気を吸入して、表皮材をベース部材に真空吸着させる第5段階と、第2金型の内部に基材を射出させる第6段階と、第1及び第2金型を型合
わせした後、加圧及び冷却させる第7段階と、を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明による水平移動式車両用内装材の成形方法は、前記第1段階で、表皮材が移送手段に固定される前にあらかじめ予熱されるように構成される。
【0026】
また、本発明による水平移動式車両用内装材の成形方法は、移送手段に備えられたヒーティング部を通じて表皮材を予熱させる第4−1段階をさらに含む。
【0027】
本発明による水平移動式車両用内装材の成形方法は、温度センサーを利用して表皮材の温度を測定する第4−2段階と、表皮材の測定温度があらかじめ設定された値になれば、表皮材とベース部材との間の内部空気を吸入するソレノイドバルブをあらかじめ設定された速度で開放して、表皮材を順次に吸入する第4−3段階と、をさらに含んで構成されることが望ましい。
【0028】
本発明による水平移動式車両用内装材の成形方法は、表皮材に対する予熱時間を測定する第4−4段階と、表皮材の予熱時間があらかじめ設定された値になれば、表皮材とベース部材との間の内部空気を吸入するソレノイドバルブをあらかじめ設定された速度で開放して、表皮材を順次に吸入する第4−5段階と、をさらに含んで構成される。
【0029】
そして、前記第4段階は、垂直シリンダーを通じてクランプを上下移動させて表皮材のエッジを支持する段階と、水平シリンダーを通じて垂直シリンダーを第1金型内側に移動させて、表皮材とベース部材との間の内部空間をシーリングさせる段階と、を含むことを特徴とする。
【0030】
そして、前記第5段階で、表皮材がベース部材に真空吸着された以降、第1金型及び第2金型を型合わせして表皮材に対する1次エンボス転写が行われ、第7段階により、表皮材に対する2次エンボス転写が行われることが望ましい。
【0031】
そして、前記第6段階は、型合わせされた第1金型及び第2金型が一定間隔で分離された以降、第2金型に基材を射出させるように構成される。
【0032】
また、前記第6段階は、型合わせされた第1金型及び第2金型が分離されると同時に、第2金型に基材を射出させるように構成される。
【0033】
そして、第5段階で、ベース部材を貫通する真空ホールを通じて表皮材とベース部材との間の内部空気が真空吸入され、前記真空ホールは、真空吸入のための大径ホールと、大径ホールから延びて表皮材とベース部材との間の内部空間に連通する小径ホールとの2段構造になっていることを特徴とする。
【0034】
また、本発明による水平移動式車両用内装材の成形方法は、第1金型及び第2金型を分離させる前に、表皮材の復元率を向上させるために第1及び第2金型の内部を減圧させる第8段階をさらに含むことが望ましい。
【0035】
また、本発明による水平移動式車両用内装材の成形方法は、表皮材とベース部材との間の内部空間にエアを注入して表皮材を膨脹させる第4ないし第6段階と、前記膨脹される表皮材が第2金型により支持されれば、真空吸入を始めて、表皮材とベース部材との間の内部空気を循環させる第4ないし第7段階とをさらに含み、前記エアは、表皮材とベース部材との間の内部空間に注入される前にイオン化されることが望ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、水平方式で動作する金型で表皮材と基材との一体成形が可能であり、また予熱過程で伸びた表皮材の原緞が荷重により下方に撓む現象を防止でき、それだけでなく表皮材の完壁なシーリングを通じて表皮材が折り畳まるか、または寄らないようにする効果がある。
【0037】
また本発明によれば、表皮材に対するエンボス転写工程が2段階で行われるように構成することによって、表皮材の表面にエンボス紋をさらに鮮明に転写できるようになる。
【0038】
また本発明によれば、表皮材のシーリングされた空間にエアを注入して膨脹させることによって、表皮材が折り畳まるか、または寄らないようになり、またイオン化したエアを注入して循環させることによって、表皮材に対するクリーニング効果を期待することができる。
【0039】
また本発明によれば、真空吸入のための真空ホールを2段構造で構成することによって、真空吸入をさらに円滑にすると同時に、真空吸入過程で表皮材の表面にホール跡などが残らないようにする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態による水平移動式車両用内装材の成形装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態による水平移動式車両用内装材の成形装置を示す断面図である。
【図3】本発明による車両用内装材の成形装置のシリンダー構造を示す断面図である。
【図4】本発明による車両用内装材の成形装置のシリンダー構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による水平移動式車両用内装材の成形方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態による水平移動式車両用内装材の成形方法を示す工程順序図である。
【図7】本発明の第2実施形態による水平移動式車両用内装材の成形方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明による水平移動式車両用内装材の成形装置及び成形方法についての望ましい実施形態を詳細に説明する。
【0042】
図1及び図2には、本発明の各実施形態による車両用内装材の成形装置が図示されており、図3及び図4には、本発明による車両用内装材の成形装置で各実施形態によるシリンダー構造が図示されている。
【0043】
まず、図面を参照して本発明の第1実施形態による水平移動式車両用内装材の成形装置について説明する。
【第1実施形態】
【0044】
図1を参照すれば、本発明の第1実施形態による水平移動式車両用内装材の成形装置は、表皮材50を予熱するための予熱手段(図示せず)、予熱された表皮材50を垂直に着脱した状態に移動させる移送手段60、移送手段60を通じて移送された表皮材50をクランピングする第1金型10、第1金型10に平行に設けられて射出基材が流入される第2金型(図示せず)、そして第1金型と第2金型のうちいずれか一つを水平移動させて相互型合わせまたは分離させる金型移動手段(図示せず)を備えて構成される。
【0045】
ここで、第2金型と金型移動手段とは、水平方式で設置及び移動が行われるという点を除いては、車両用内装材の成形のための一般的な構造になっているので、本発明では主に第1金型10の構造について説明する。
【0046】
前記予熱手段は、通常の車両用内装材の成形のための予熱装置に該当するので、詳細な説明は省略する。
【0047】
そして、前記移送手段60には予熱された表皮材50を垂直に着脱させる固定部62が備えられ、かかる移送手段60の固定部62は、表皮材50のエッジを真空吸着することで着脱するように構成されることが望ましい。また前記移送手段60は、表皮材50を固定部62に付着させた状態で第1金型10に移動できるように構成されるが、例えば、図1及び図2に図示されたようにロボットジグ構造で構成されうる。
【0048】
そして、前記第1金型10は、移送手段60から表皮材50を垂直に移送されるように地面に垂直に設けられ、射出基材が流入される第2金型も、前記第1金型に型合わせされるように地面に垂直に設けられる。そして、前記金型移動手段は、第1金型と第2金型のうちいずれか一つを水平移動させて相互型合わせまたは分離させるようになる。
【0049】
かかる第1金型10は、移送手段60を通じて移送された表皮材50のエッジを真空吸着して固定させる吸着部14、表皮材50のエッジをクランピングしてシーリングさせる固定部材20、表皮材50に転写させるためのエンボス紋が形成されたベース部材12、表皮材50をベース部材12に真空吸着させるための真空ホール16を備えて構成される。
【0050】
前記吸着部14は、移送手段60の固定部62に対応するように第1金型10のエッジ付近に設けられて、真空吸着方式で表皮材50のエッジを第1金型10に臨時固定させるための構成要素である。
【0051】
したがって、移送手段60の固定部62に、真空吸着方式で表皮材50のエッジが垂直に固定された状態で、移送手段60が第1金型10に移動して、表皮材50の他側エッジが第1金型10の吸着部14に接するようになる。この時、移送手段60の固定部62で表皮材50への吸着が解除されると同時に、第1金型10の吸着部14で表皮材50への真空吸着を行うことによって、移送手段60により表皮材50が第1金型10へ移送されるように構成される。
【0052】
そして、前記第1金型10の内周面には、表皮材50の転写のためのエンボス紋が形成されるベース部材12が形成される。前記ベース部材12は、第1金型10の内周面にエッチングまたはレーザー加工などの方法で表皮材50に転写させようとするエンボス紋が加工されることで形成される。
【0053】
一方、前記吸着部14による表皮材50の真空吸着は、移送手段60から表皮材50を移送されるための構成要素であり、かかる吸着部14による固定だけでは、表皮材50とベース部材12との間の内部空間をシーリングさせ難い。したがって、吸着部14により臨時で固定された表皮材50は、前記固定部材20のクランピングにより第1金型10にシーリング状態に固定されうる。
【0054】
かかる固定部材20は、表皮材50のエッジをクランピングして表皮材50とベース部材12との間の内部空間をシーリングさせるための要素であって、表皮材50のエッジを支持するクランプ24、クランプ24を上下移動させる垂直シリンダー22、そして、垂直シリンダー22を左右移動させる水平シリンダー23を備えて構成される。
【0055】
したがって、前記クランプ24が第1金型10の吸着部14により固定された表皮材50のエッジを支持すれば、垂直シリンダー22を通じてクランプ24を上昇または下降移動させた後、水平シリンダー23を利用して垂直シリンダー22を第1金型10の内側に移動させることによって、表皮材50のエッジをクランピングして表皮材50とベース部材12との間の内部空間をさらに完壁にシーリングさせることができる。
【0056】
一方、前記固定部材20を通じて表皮材50をクランピングした状態で表皮材50のエンボス転写のための真空吸着が行われる場合、固定部材20によりクランピングされた表皮材50のエッジ部分が、真空吸着過程で第1金型10の内側に吸入されて入ってしまう恐れがある。これを防止するために、本発明では、真空吸着過程で表皮材50のエッジを第1金型10に固定させるための支持ピン及びピンホールがさらに備えられるように構成されることが望ましい。
【0057】
例えば、図3に図示されたように、表皮材50のエッジを支持するための支持ピン25がクランプ24から内側に突出するように構成され、第1金型10の端部には、前記支持ピン25が挿入されるピンホール26が凹状に形成されるように構成されうる。または図4に図示されたように、表皮材50のエッジを支持するための支持ピン27が第1金型10の端部から外側に突出するように構成され、クランプ24には、前記支持ピン27が挿入されるピンホール28が内側に凹状に形成されるように構成されてもよい。
【0058】
また本発明による車両用内装材の成形装置は、表皮材50とベース部材12との間の内部空気を真空吸入するために、ベース部材12を貫通する真空ホール16をさらに備えて構成されることが望ましい。
【0059】
この時、前記真空ホール16は、真空吸入のための大径ホール17と、大径ホール17から延びて表皮材50とベース部材12との間の内部空間に連通する小径ホール18との2段構造になっている。
【0060】
すなわち、前記大径ホール17は、表皮材50とベース部材12との間の内部空気をさらに円滑に真空吸入できるように、相対的に大きい直径、例えば、10mm以上の直径で形成され、また前記大径ホール17から延びた小径ホール18は、真空吸入過程で表皮材50に不要な跡などを残さないために相対的に小さな直径、例えば、0.2mm以下の直径で形成されることが望ましい。
【0061】
また、前記第1金型10の一側端部には、表皮材50を膨脹させるために表皮材50とベース部材12との間の内部空間にエアが注入されるエア噴射口42が形成され、前記エア噴射口42は、エアを供給するエア供給手段40に連結されるように構成される。したがって、エア供給手段40から供給されるエアは、エア噴射口42を通じて表皮材50とベース部材12との間の内部空間に注入される。
【0062】
例えば、図1に図示されたように、前記エア噴射口42がそれぞれの真空ホール16に連通するように構成され、エア供給手段40から供給されるエアがエア噴射口42を通じて第1金型10の内部に注入された後、それぞれの真空ホール16を通じて表皮材50とベース部材12との間の内部空間に注入されるように構成されてもよい。
【0063】
このように、エア噴射口42を通じて注入されるエアにより、第1金型10にシーリング状態にクランピングされた表皮材50が十分に膨脹されることによって、成形過程で表皮材(特に、クランピングされた表皮材のエッジ部分)50の過度な伸率による白化や破裂問題を防止できるようになる。
【0064】
一方、本発明では、表皮材50を膨脹させるためにエア噴射口42を通じてエアが注入されている途中で、表皮材50が十分に膨脹すれば、望ましくは、膨脹した表皮材50が第2金型について支持されれば、表皮材50とベース部材12との間の内部空間に対するエア注入と真空吸入とが同時に行われるように構成できる。
【0065】
すなわち、エア噴射口42を通じるエア注入と、真空ホール16を通じる真空吸入とが同時に行われるようにして、表皮材50とベース部材12との間の内部空気を連続的に循環させることによって、表皮材50及びベース部材12の表面をクリーニングさせる効果も期待できる。
【0066】
例えば、エア供給手段40から供給されるエアがエア噴射口42を通じて第1金型10の内部に注入された後、一部真空ホール16を通じて表皮材50とベース部材12との間の内部空間に注入され、同時に他の真空ホール16を通じて真空吸入が行われるように構成されてもよい。
【0067】
また、エア噴射口42を通じて注入されるエアによるクリーニング効果をさらに強化するために、本発明では、エア噴射口42を通じて表皮材50とベース部材12との間の内部空間に注入されるエアをイオン化させるためのイオン化部材(図示せず)をさらに備えて構成できる。すなわち、エア供給手段40を通じて供給されるエアがイオン化部材を経つつイオン化した後、エア噴射口42を通じて表皮材50とベース部材12との間の内部空間に注入されることによって、表皮材50及びベース部材12の表面に対するクリーニング効果をさらに強化できるようになる。
【0068】
一方、一般的に一体成形のための表皮材50は、エンボス紋が形成される相対的に薄いスキン層と、前記スキン層を支持してクッション感を発生させる相対的に厚いフォーム層の二重構造になってもよく、またはフォーム層なしに薄いスキン層の単一構造になってもよい。
【0069】
そして、スキン層とフォーム層とで構成される表皮材50は、原緞の厚さが相対的に厚いため、前記第1実施形態の場合のように、あらかじめ予熱した後、垂直に第1金型10に装着しても折り畳まるか、または寄らない。しかし、スキン層だけで構成された表皮材50は原緞が非常に薄いため、あらかじめ予熱した後で垂直に第1金型10に装着すれば、予熱により伸びた部分が下側に撓みつつ折り畳まるか、または寄るという問題が発生できる。
【0070】
通例的に利用される垂直移動方式の成形装置では、表皮材50が水平に挿入されて装着されるので、前記の問題が発生する恐れがないが、本発明のような水平移動方式の成形装置では、表皮材50が垂直に挿入されて装着されるため、重要な問題になる。
【第2実施形態】
【0071】
以下では、図2を参照してかかる問題を解決するための本発明の第2実施形態による車両用内装材の成形装置について説明する。
【0072】
本発明の第2実施形態では、移送手段70で、表皮材50が付着される固定部72の反対側に、表皮材50を予熱するためのヒーティング部74をさらに備えるように構成して、表皮材50があらかじめ予熱していない状態で第1金型10に装着された以後に、前記ヒーティング部74を通じて予熱されるように構成されうる。
【0073】
すなわち、本発明では、図1に図示された第1実施形態のように、表皮材50が移送手段60に固定される前に別途の予熱手段を通じてあらかじめ予熱されるように構成されてもよく、または、図2に図示された第2実施形態のように、移送手段70を通じて第1金型10へ移送された状態で、移送手段70に備えられたヒーティング部74を通じて予熱されるように構成されてもよい。このために、前記移送手段70には、予熱された表皮材50を垂直に着脱させる固定部72以外にも、表皮材50を予
熱させるためのヒーティング部74が別途にさらに備えられることが望ましい。
【0074】
スキン層とフォーム層との厚い構造になっている表皮材50に対しては、図1に図示された第1実施形態を適用できるが、スキン層だけで形成される薄い構造の表皮材50に対しては、図2に図示された第2実施形態を適用することが望ましい。
【0075】
このような本発明の第2実施形態による内装材の成形装置は、表皮材50をあらかじめ予熱するための予熱手段を別途に備えず、移送手段70にヒーティング部74を備えるという点を除いては、前述した第1実施形態の構成と同一である。
【0076】
したがって、あらかじめ予熱されていない表皮材50が固定部72を通じて真空吸着方式で移送手段70に付着された状態で、移送手段70の移動により第1金型10の吸着部14に真空吸着される。そして、固定部材20により表皮材50が第1金型10にクランピングされてシーリングされた状態で、移送手段70に備えられたヒーティング部74を通じて表皮材50が予熱される。
【0077】
この時、前記移送手段70のヒーティング部74を通じて予熱される表皮材50がスキン層の薄い構造になっている場合には、予熱される過程で伸びた部分が荷重により下方に撓むという問題が発生しうる。
【0078】
かかる問題を解決するために、本発明の第2実施形態では、表皮材50の予熱温度を測定する温度センサー(図示せず)と、表皮材50の測定温度があらかじめ設定された値になれば、表皮材50とベース部材12との間の内部空気をあらかじめ設定された速度で吸入するソレノイドバルブ(図示せず)とがさらに備えられるように構成することが望ましい。
【0079】
前記温度センサーは、移送手段70のヒーティング部74を通じて表皮材50を予熱する過程で表皮材50の温度を測定するためのものであって、例えば、非接触式赤外線温度センサーなどが適用されうる。そして、前記ソレノイドバルブは、温度センサーを通じて測定された表皮材50の温度があらかじめ設定された値になれば、あらかじめ設定された速度で開放されつつ表皮材50とベース部材12との間の内部空気を順次に吸入して、表皮材50が急激に下方に撓む現象を防止するための構成要素である。
【0080】
したがって、温度センサーにより測定された温度が、表皮材50原緞が急激に伸びる臨界温度になれば、ソレノイドバルブが表皮材50とベース部材12との間の内部空気を真空吸入し始める。この時、ソレノイドバルブが瞬間的に完全に開放されながら真空吸入を行う場合には、十分に予熱されていない状態で表皮材50をベース部材12に完全に真空吸着させるようになる。したがって、かかる問題を防止するために、前記ソレノイドバルブは、あらかじめ設定された速度によって順次に開放されながら表皮材50の撓み量ほどのみ吸入されるように構成されることによって、予熱過程で表皮材50が荷重により撓む問題を解決できるようになる。
【0081】
また本発明の第2実施形態では、前記温度センサーの代りに表皮材50の予熱時間を測定するタイマー(図示せず)を備え、ソレノイドバルブが表皮材50の予熱時間があらかじめ設定された値になれば、表皮材50とベース部材12との間の内部空気をあらかじめ設定された速度で吸入するように構成されてもよい。
【0082】
すなわち、表皮材50に対する予熱時間に比べる原緞の撓み量をあらかじめ計算し、タイマーにより該当時間を測定した後、ソレノイドバルブがあらかじめ設定された速度で順次に開放されながら真空吸入できるようになる。
【0083】
次いで、添付した図面を参照して前記のように構成される成形装置を利用した水平移動式車両用内装材の成形方法について説明する。
【0084】
図5及び図6には、本発明の第1実施形態による水平移動式車両用内装材の成形方法が図示されており、図7には、本発明の第2実施形態による水平移動式車両用内装材の成形方法が図示されている。
【0085】
本発明による水平移動式車両用内装材の成形方法は、第1金型10及び第2金型を利用して水平移動方式で表皮材50と射出基材とを一体に成形する方法に係り、図1ないし図4に図示された車両用内装材の成形装置を利用して成形するように構成されるので、各構成要素の構成及び図面符号は前述した通りである。
【0086】
まず、図5及び図6を参照して、本発明の第1実施形態による水平移動式車両用内装材の成形方法について説明する。かかる第1実施形態による車両用内装材の成形方法は、図1に図示された第1実施形態の成形装置を利用する。
【0087】
図5及び図6を参照すれば、まず別途の予熱手段を利用して表皮材50をあらかじめ予熱し(S10)、かかる予熱された表皮材50を移送手段60に垂直に固定させる(S12)。このために、前記移送手段60には予熱された表皮材50を垂直に着脱させる固定部62が備えられ、かかる移送手段60の固定部62は、表皮材50のエッジを真空吸着することによって着脱自在に構成されることが望ましい。
【0088】
そして、前記移送手段60は表皮材50を固定部62に付着させた状態で第1金型10に移動して、表皮材50を第1金型10へ移送する(S14)。このために、前記第1金型10は、移送手段60から表皮材50を垂直に移送されるように地面に垂直に設けられる。また射出基材が流入される第2金型も、前記第1金型に型合わせされるように地面に垂直に設けられ、金型移動手段は、第1金型と第2金型のうちいずれか一つを水平移動させて相互型合わせまたは分離させるようになる。
【0089】
したがって、移送手段60の固定部62に真空吸着方式で表皮材50のエッジが垂直に固定された状態で、移送手段60が第1金型10に移動して表皮材50の他側エッジが第1金型10の吸着部14に接する。この時、移送手段60の固定部62で表皮材50への吸着が解除されると同時に、第1金型10の吸着部14で表皮材50への真空吸着を行うことによって、移送手段60により移送された表皮材50が第1金型10に臨時固定されるように構成される(S16)。
【0090】
そして、第1金型10の吸着部14により臨時固定された表皮材50は、そのエッジが第1金型10にクランピングされることで、表皮材50とベース部材12との間の内部空間がシーリングされるように構成される(S18)。
【0091】
すなわち、垂直シリンダー22を通じてクランプ24を上側または下側に移動させれば、クランプ24が表皮材50のエッジを支持し、この時、水平シリンダー23を利用して垂直シリンダー22を第1金型10の内側に移動させることで、表皮材50とベース部材12との間の内部空間をさらに完壁にシーリングさせることができる。
【0092】
一方、固定部材20により表皮材50とベース部材12との間の内部空間がシーリングされた後、表皮材50とベース部材12との間の内部空間にエアを注入して表皮材50を膨脹させる工程がさらに含まれうる(S40)。
【0093】
すなわち、第1金型10にシーリング状態にクランピングされた表皮材50が注入されるエアにより十分に膨脹されることによって、成形過程で表皮材(特に、クランピングされた表皮材のエッジ部分)50の過度な伸率による白化や破裂問題を防止できるようになる。
【0094】
そして、前記のように表皮材50を膨脹させるためにエアが注入されて表皮材50が十分に膨脹した場合(S42)、望ましくは、膨脹した表皮材50が第2金型について支持されれば、表皮材50とベース部材12との間の内部空間へのエア注入及び吸入が同時に行われるように構成されうる(S44)。
【0095】
すなわち、表皮材50とベース部材12との間の内部空間へのエア注入と、ベース部材12を貫通する真空ホール16を通じる真空吸入とが同時に行われるようにして、表皮材50とベース部材12との間の内部空気を連続的に循環させることによって、表皮材50及びベース部材12の表面をクリーニングさせる効果も期待できる。
【0096】
また前記表皮材50とベース部材12との間の内部空間に対するクリーニング効果をさらに強化するために、エアが表皮材50とベース部材12との間の内部空間に注入される前にイオン化されるように構成してもよい。
【0097】
そして、表皮材50の膨脹工程または表皮材50とベース部材12との間の内部空間に対するクリーニング工程が終了すれば、これ以上のエア注入を中断し、このようにエア注入は中断されても真空吸入は行われる続ける(S46)。したがって、表皮材50とベース部材12との間の内部空気がこれ以上循環できず、真空ホール16を通じて第1金型10の外部に真空吸入されて排出されれば、表皮材50は、エンボス紋が加工されたベース部材12に真空吸着される(S48)。
【0098】
ここで、前記表皮材50を真空吸着させるためにベース部材12を貫通して形成される真空ホール16は、真空吸入のための大径ホール17と、大径ホール17から延びて表皮材50とベース部材12との間の内部空間に連通する小径ホール18との2段構造になっている。
【0099】
そして、前述したように、表皮材50がベース部材12の底面に真空吸着されれば、第1金型10と第2金型とを型合わせすることによって、表皮材50に対する1次エンボス転写が行われる(S50)。
【0100】
すなわち、真空吸着による表皮材50とベース部材12との間の単純接触だけではエンボス転写が十分に行われ難いため、表皮材50に対する真空吸着が行われると同時に第1金型10と第2金型とを型合わせすることによって、第2金型が表皮材50を支持するようにしてエンボス転写をさらに充実に行わせることが望ましい。
【0101】
一方、第1金型10と第2金型との間には、基材が射出流入されるための一定間隔の空いている空間が形成されていて、第1金型10と第2金型とが相互型合わせされるとしても、第2金型が表皮材50の一側面を接触支持できないという恐れもありうる。
【0102】
通例的に基材の厚さが2.5tである場合に、表皮材50の厚さは0.5tほどになるので、相互型合わせされた第1金型10と第2金型との間には総3tの空間が形成される。しかし、前記表皮材50の厚さ0.5tは、金型で内装材の成形工程中に圧縮された厚さに該当し、金型に圧力を加える前の実際表皮材50の厚さはスキン層とフォーム層とを含んで通例的に3tを超える。
【0103】
したがって、基材の射出流入なしに表皮材50のみ挿入された状態で第1金型10と第2金型とを型合わせしても、第1金型10に真空吸着された表皮材50の一側面を第2金型が接触支持できるようになるので、前記のように表皮材50に対する1次エンボス転写が行われる。
【0104】
このように第1金型10と第2金型との型合わせを通じて1次エンボス転写が行われた後、型合わせされた第1金型10と第2金型とを分離させ(S52)、射出装置(図示せず)を利用して第2金型の内部に基材を射出させる(S54)。この時、基材射出のための第1金型10と第2金型との分離は、第1金型10と第2金型との隙間に基材が流入されるほどの微小間隔で分離される。かかる微小分離間隔は、表皮材50の材質及び厚さによって任意に設定でき、望ましくは、5〜30mmほどに分離されるが、これは基材の流動性を確保すると同時に、射出時に高温高圧の樹脂によって表皮材50が破壊される問題を防止するためである。
【0105】
また、型合わせされた第1金型10と第2金型とが一定間隔で完全に分離された以降、第2金型に基材を射出させるように構成してもよく、または型合わせされた第1金型10と第2金型とが分離されると同時に、第2金型に基材を射出させるように構成されてもよい。
【0106】
次いで、第1金型10と第2金型とを型合わせして加圧及び冷却工程を通じて、表皮材50に対する2次エンボス転写が行われる(S56)。かかる1次及び2次工程で形成される2段階のエンボス転写工程を通じて、表皮材50に対するエンボス転写がさらに明らかで効率的に行われうる。
【0107】
そして、前記2次エンボス転写及び基材の冷却工程がいずれも完了した後、第1金型10と第2金型とを直ちに分離せず、表皮材50の復元率を向上させるために金型の内部を減圧させる工程を経ることが望ましい(S58)。
【0108】
すなわち、スキン層とフォーム層との二重構造で形成される表皮材50の場合に、前記フォーム層はクッション感がおきるように弾力的な材質からなるが、内装材の成形過程で強い圧力によりフォーム層の復元率が阻害される恐れがある。このようにフォーム層の復元率が阻害されれば、内装材の成形が完了した後、フォーム層のクッション感が発生しなくなって品質が落ちる恐れがある。したがって、かかる問題を防止するために、内装材の成形が完了した後、第1金型10と第2金型とを分離させていない状態で減圧過程を経るように構成することによって、フォーム層の復元率を回復させることができる。
【0109】
そして、かかる過程がいずれも完了すれば、固定部材20による表皮材50のクランピングを解除した後、第1金型10と第2金型とを分離させて内装材を抽出する(S60)。
【0110】
次いで、図7を参照して、本発明の第2実施形態による水平移動式車両用内装材の成形方法について説明する。かかる第2実施形態による車両用内装材の成形方法は、図2に図示された第2実施形態の成形装置を利用する。
【0111】
図7を参照すれば、本発明の第2実施形態による内装材の成形方法は、表皮材50をあらかじめ予熱していない状態で、移送手段70を通じて第1金型10に移送した後、移送手段70に備えられたヒーティング部74を通じて表皮材50を予熱させるという点を除いては、前述した第1実施形態の成形方法と同一に構成される。
【0112】
したがって、あらかじめ予熱されていない表皮材50が真空吸着方式で移送手段70に固定された状態で(S20)、移送手段70が第1金型10に移動して(S22)、表皮材50が第1金型10の吸着部14に真空吸着される(S24)。そして、固定部材20により表皮材50が第1金型10にクランピングされてシーリングされた状態で(S26)、移送手段70に備えられたヒーティング部74を通じて表皮材
50が予熱される(S28)。
【0113】
この時、前記移送手段70のヒーティング部74を通じて予熱される表皮材50がスキン層の薄い構造になっている場合には、予熱される過程で伸びた部分が荷重により下方に撓むという問題が発生しうる。
【0114】
かかる問題を解決するために、表皮材50が移送手段70のヒーティング部74を通じて予熱される過程で、温度センサーを利用して表皮材50の温度を測定し(S30)、測定された表皮材50の温度があらかじめ設定された値になれば(S31)、ソレノイドバルブが表皮材50とベース部材12との間の内部空気を真空吸入し始める(S36)。この時、前記ソレノイドバルブは、あらかじめ設定された速度によって順次に開放されながら表皮材50の撓み量ほどのみ吸入されるように構成されることによって、予熱過程で表皮材50が荷重により撓むという問題を解決できるようになる。
【0115】
または、表皮材50が移送手段70のヒーティング部74を通じて予熱される過程で、タイマーを利用して表皮材50の予熱時間を測定し(S33)、表皮材50の予熱時間があらかじめ設定された値になれば(S34)、ソレノイドバルブが、あらかじめ設定された速度によって順次に開放されながら、表皮材50の撓み量ほどのみ吸入されるように構成されてもよい(S36)。
【0116】
このように表皮材50に対するシーリング及び予熱が完了した以後には、表皮材50とベース部材12との間の内部空間にエアを注入して表皮材50を膨脹させる工程(S40)、膨脹した表皮材50が第2金型について支持されれば、表皮材50とベース部材12との間の内部空間に対するエア注入及び吸入を同時に行って表皮材50及びベース部材12の表面をクリーニングさせる工程(S44)、表皮材50をエンボス紋が加工されたベース部材12に真空吸着させる工程(S48)、及び第1金型10と第2金型とを型合わせすることによって、表皮材50に対する1次エンボス転写を行う工程(S50)が、前述した第1実施形態の成形方法と同様に行われる。
【0117】
その他にも、1次エンボス転写が行われた後、型合わせされた第1金型10と第2金型とを分離させて、第2金型の内部に基材を射出させる工程(S54)、第1金型10と第2金型とを型合わせして、加圧及び冷却工程を通じて表皮材50に対する2次エンボス転写を行う工程(S56)、表皮材50の復元率を向上させるために金型の内部を減圧させる工程(S58)、そして表皮材50のクランピングを解除し、第1金型10と第2金型を分離させて内装材を抽出する工程(S60)も、前述した第1実施形態の成形方法と同様に行われる。
【0118】
以上の説明で、本発明は特定の実施形態と関連して図示及び説明したが、特許請求の範囲により示された発明の思想及び領域から逸脱しない限度内で多様な改造及び変化が可能であるということを、当業者ならば容易に理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、ドア・トリム、ピラー、トランクマット、パッケージ・トリム、ヘッド
ライナーなどの車両用内装材関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0120】
10 上金型
12 ベース部材
14 吸着部
16 真空ホール
17 大径ホール
18 小径ホール
20 固定部材
22 垂直シリンダー
23 水平シリンダー
24 クランプ
25、27 支持ピン
26、28 ピンホール
30 真空吸入手段
32 吸入口
40 エア供給手段
42 エア噴射口
50 表皮材
60、70 移送手段
62、72 固定部
74 ヒーティング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮材を予熱させるための予熱手段と、
予熱された表皮材を垂直に着脱させる固定部を備えて、移動自在に構成される移送手段と、
移送手段を通じて移送された表皮材のエッジを真空吸着して固定させる吸着部、表皮材に転写させるためのエンボス紋が形成されたベース部材、表皮材のエッジをクランピングして表皮材とベース部材との間の内部空間をシーリングさせる固定部材、表皮材をベース部材に真空吸着させるための真空ホールを備えて、地面に垂直に設けられる第1金型と、
前記第1金型に平行に設けられて射出基材が流入される第2金型と、
第1金型と第2金型のうちいずれか一つを水平移動させて相互型合わせまたは分離させる金型移動手段と、
を備えることを特徴とする水平移動式車両用内装材の成形装置。
【請求項2】
表皮材を垂直に着脱させる固定部と、表皮材を予熱させるためのヒーティング部とを備えて、移動自在に構成される移送手段と、
移送手段を通じて移送された表皮材のエッジを真空吸着して固定させる吸着部、表皮材に転写させるためのエンボス紋が形成されたベース部材、表皮材のエッジをクランピングして表皮材とベース部材との間の内部空間をシーリングさせる固定部材、表皮材をベース部材に真空吸着させるための真空ホールを備えて、地面に垂直に設けられる第1金型と、
前記第1金型に平行に設けられて射出基材が流入される第2金型と、
第1金型と第2金型のうちいずれか一つを水平移動させて相互型合わせまたは分離させる金型移動手段と、
を備えることを特徴とする水平移動式車両用内装材の成形装置。
【請求項3】
前記移送手段の固定部は、表皮材のエッジを真空吸着することによって着脱するように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の水平移動式車両用内装材の成形装置。
【請求項4】
前記固定部材は、
表皮材のエッジを支持するクランプと、
クランプを上下移動させる垂直シリンダーと、
垂直シリンダーを左右移動させる水平シリンダーと、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の水平移動式車両用内装材の成形装置。
【請求項5】
前記クランプから突出して表皮材のエッジを支持する支持ピンと、
前記支持ピンが挿入されるように第1金型に凹状に形成されるピンホールと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の水平移動式車両用内装材の成形装置。
【請求項6】
第1金型から突出して表皮材のエッジを支持する支持ピンと、
前記支持ピンが挿入されるようにクランプに凹状に形成されるピンホールと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の水平移動式車両用内装材の成形装置。
【請求項7】
前記真空ホールは、
ベース部材を貫通する大径ホールと、大径ホールから延びて表皮材とベース部材との間の内部空間に連通する小径ホールとの2段構造になっていることを特徴とする請求項1または2に記載の水平移動式車両用内装材の成形装置。
【請求項8】
表皮材を膨脹させるために、表皮材とベース部材との間の内部空間にエアが注入されるエア噴射口をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の水平移動式車両用内装材の成形装置。
【請求項9】
エア噴射口を通じて表皮材とベース部材との間の内部空間に注入されるエアをイオン化させるためのイオン化部材をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の水平移動式車両用内装材の成形装置。
【請求項10】
表皮材の予熱温度を測定する温度センサーと、
表皮材の測定温度があらかじめ設定された値になれば、表皮材とベース部材との間の内部空気をあらかじめ設定された速度で吸入できるように順次に開放されるソレノイドバルブと、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の水平移動式車両用内装材の成形
装置。
【請求項11】
表皮材の予熱時間を測定するタイマーと、
表皮材の予熱時間があらかじめ設定された値になれば、表皮材とベース部材との間の内部空気をあらかじめ設定された速度で吸入できるように順次に開放されるソレノイドバルブと、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の水平移動式車両用内装材の成形装置。
【請求項12】
表皮材が移送手段に垂直に付着される第1段階と、
表皮材が付着された移送手段が地面に垂直に設けられた第1金型に移動する第2段階と、
移送手段から脱着された表皮材が第1金型に真空吸着方式で固定される第3段階と、
第1金型の内周面に設けられて、エンボス紋が形成されたベース部材と表皮材との間の内部空間をシーリングさせる第4段階と、
表皮材とベース部材との間の内部空気を吸入して、表皮材をベース部材に真空吸着させる第5段階と、
第2金型の内部に基材を射出させる第6段階と、
第1及び第2金型を型合わせした後、加圧及び冷却させる第7段階と、
を含むことを特徴とする水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項13】
第1段階で、表皮材が移送手段に固定される前にあらかじめ予熱されることを特徴とする請求項12に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項14】
移送手段に備えられたヒーティング部を通じて表皮材を予熱させる第4−1段階をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項15】
温度センサーを利用して表皮材の温度を測定する第4−2段階と、
表皮材の測定温度があらかじめ設定された値になれば、表皮材とベース部材との間の内部空気を吸入するソレノイドバルブをあらかじめ設定された速度で開放して、表皮材を順次に吸入する第4−3段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項16】
表皮材に対する予熱時間を測定する第4−4段階と、
表皮材の予熱時間があらかじめ設定された値になれば、表皮材とベース部材との間の内部空気を吸入するソレノイドバルブをあらかじめ設定された速度で開放して、表皮材を順次に吸入する第4−5段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の水平移動式車両用内装材の成形
方法。
【請求項17】
第4段階は、
垂直シリンダーを通じてクランプを上下移動させて表皮材のエッジを支持する段階と、
水平シリンダーを通じて垂直シリンダーを第1金型内側に移動させて、表皮材とベース部材との間の内部空間をシーリングさせる段階と、
を含むことを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか1項に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項18】
第5段階で、表皮材がベース部材に真空吸着された以降、第1金型及び第2金型を型合わせして表皮材に対する1次エンボス転写が行われ、
第7段階により、表皮材に対する2次エンボス転写が行われることを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか1項に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項19】
前記第6段階は、
型合わせされた第1金型及び第2金型が一定間隔で分離された以降、第2金型に基材を射出させるように構成されることを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか1項に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項20】
前記第6段階は、
型合わせされた第1金型及び第2金型が分離されると同時に、第2金型に基材を射出させるように構成されることを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか1項に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項21】
第5段階で、ベース部材を貫通する真空ホールを通じて表皮材とベース部材との間の内部空気が真空吸入され、
前記真空ホールは、真空吸入のための大径ホールと、大径ホールから延びて表皮材とベース部材との間の内部空間に連通する小径ホールとの2段構造になっていることを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか1項に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項22】
第1金型及び第2金型を分離させる前に、表皮材の復元率を向上させるために第1及び第2金型の内部を減圧させる第8段階をさらに含むことを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか1項に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項23】
表皮材とベース部材との間の内部空間にエアを注入して表皮材を膨脹させる第4ないし第6段階をさらに含むことを特徴とする請求項12ないし16のうちいずれか1項に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項24】
前記膨脹される表皮材が第2金型により支持されれば真空吸入を始めて、表皮材とベース部材との間の内部空気を循環させる第4ないし第7段階をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。
【請求項25】
前記エアは、表皮材とベース部材との間の内部空間に注入される前にイオン化されることを特徴とする請求項23に記載の水平移動式車両用内装材の成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−512773(P2012−512773A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512950(P2012−512950)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003121
【国際公開番号】WO2011/136428
【国際公開日】平成23年11月3日(2011.11.3)
【出願人】(510330507)ハンイル イファ カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】