説明

水循環式コンプレッサにおける冷却水温度制御方法

【課題】簡便な制御手段により水循環式コンプレッサの冷却水の温度制御を行って、過冷や過熱を防止してコンプレッサの円滑及び安全性を確保する水循環式コンプレッサにおける冷却水温度制御方法を提供する。
【解決手段】圧縮機本体5の吐出空気温度が5℃以下になると温度センサ1によりクーラ2のモータ3のスイッチ4をOFFにして冷却水の過冷を防止すると共に60℃以上になるとスイッチ4をONにして過熱を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
圧縮機本体の冷却に水を用いる水循環式コンプレッサにおいて、使用される水の氷結や過熱を防止して圧縮機本体の冷却を円滑に行わせるようにした水循環式コンプレッサにおける冷却水温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンプレッサとしてはその本体の冷却に冷却水を要する所謂水循環式コンプレッサが環境保全の点からも広く使用されている。この種類のコンプレッサでは外気温度の変化やコンプレッサの使用状態に応じて温度変化する冷却水の温度管理をすることが圧縮機の円滑及び安全運転において必要である。勿論、水循環式でない油を用いたコンプレッサにおいても圧縮空気を冷却するアウタークーラや油冷却のためのオイルクーラ等が使用され、これ等のクーラの作動制御を行うことが従来より行われていた。その公知技術の1つとして「特許文献1」が挙げられる。
【特許文献1】特開2005−207370(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記の「特許文献1」の「特開2005−207370」の「圧縮機ユニット」は、その系路に配置されているアウタクーラやオイルクーラの制御をインバータ制御によって行うものである。
作動制御にインバータを用いることは広く使用される技術であり、細かい制御が可能であるが、そのための装置構造が複雑となり高価なものとなり、高頻度のメンテナンスも必要である。
【0004】
勿論、水循環式コンプレッサにおいても冷却水を温度制御するためのクーラの制御方法としてインバータ制御が採用可能であるが、前記のような問題点があり、より簡便で安価な制御方法が望まれる。
【0005】
水循環式コンプレッサに使用される冷却水としては外気温度の低下等により冷却水が氷結することを防止する必要があると共に、外気温度の高温化等に伴って冷却水の温度が非常に高くなることを防止する必要がある。
一方、冷却水用のクーラはモータによって作動されているため、このモータを冷却水の温度変化に対応してON−OFF制御することにより、冷却水の氷結や過熱を簡単に防止できることが可能であると判断される。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みて発明されたものであり、クーラのモータのON−OFFによって冷却水の低温化や高温化を防止して圧縮機本体が円滑で、かつ安全な管理を行い、かつ装置構造が簡便で、かつ安価に実施できる水循環式コンプレッサにおける冷却水温度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、水循環式コンプレッサにおける冷却水の温度制御方法であって、該方法は、圧縮機本体からの吐出空気の温度が5℃以下の場合に冷却水のクーラの作動を停止し、60℃以上の場合は前記クーラを作動すべく制御するものからなり、前記クーラのON−OFF制御が、温度検出センサの検出信号により前記クーラの作動用モータのスイッチのON−OFFによって行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1の水循環式コンプレッサにおける冷却水温度制御方法によれば、吐出空気温度を検出して、この温度の変化によってクーラのモータのスイッチのON−OFFを行って冷却水の温度制御をすることにより圧縮機本体の正常化を図り、かつ装置構造を簡便なものとして安価に実施できるようにする効果を挙げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の水循環式コンプレッサにおける冷却水温度制御方法の実施の形態を図面を参照して詳述する。
図1は水循環式コンプレッサ100の本発明の説明上必要とする主構成要素と、その系路を示す構成図である。なお、図1において空気及び水の混合と水のみと空気のみの系路を夫々クロス線と斜線と空白線で示し、それ等の区別を明確にしている。
【0010】
圧縮機本体5にはエアクリーナ6から空気(外気)が導入され、圧縮が行われる。圧縮機本体5で圧縮された吐出空気(空気と水の混合体)は逆止弁7及び温度センサ1を介してレシーバタンク8に送られる。空気と水との混合体からなる圧縮空気は、レシーバタンク8内で気液分離される。気液分離されてレシーバタンク8内に蓄溜している水はクーラ2に送られ、冷却されて再び圧縮機本体5内に導入されて冷却水として機能する。一方、レシーバタンク8内の圧縮空気はドライヤ9等を介して使用側に送られる。
【0011】
クーラ2はモータ3により作動され、モータ3にはON−OFF用のスイッチ4が設けられている。従って、スイッチ4をOFFにすることによりクーラ2は作動停止し、スイッチ4をONにすることによってクーラ2は作動する。即ち、クーラ2はスイッチのON−OFF動作によって作動及び停止するように構成されている。
【0012】
圧縮機本体5に導入される冷却水が外気温度等の影響により5℃以下になると、水は氷結を始め、全体系路が作動不能となる。よって、冷却水は5℃以下になるのを防止することが必要となる。また、冷却水が60℃以上になると冷却水としての機能が大幅に低下し、各部の膨張によって隙間が生じ、圧縮機としての圧縮機能が大幅に低下する。
【0013】
以上により、本発明では温度センサ1の吐出空気の検出温度を5℃及び60℃とし、5℃の場合には図2の(a)に示すようにクーラ2のモータ3のスイッチ4をOFFにして冷却水が5℃以下になるのを防止するように構成されている。一方、検出温度が60℃になったら図2の(b)に示すようにスイッチ4をONにしてクーラ2を作動して冷却水の温度が60℃以上になるのを防止し、圧縮機本体5の作動の円滑化を図るようにしている。
【0014】
以上のように、本発明の水循環式コンプレッサにおける冷却水温度制御方法は、単に温度センサによる2つの検出温度によってモータのスイッチのON−OFFを行うだけの簡便な方法によって冷却水の温度制御を行うものであり、インバータ制御に較べて極めて簡便であり、安価に実施でき、かつメンテナンスも高頻度に行う必要がなく、信頼性の向上も図れる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、以上のように水循環式コンプレッサに適用されるものであるが、その形式や大きさに無関係に適用されその使用範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の水循環式コンプレッサにおける冷却水温度制御方法を説明するためのコンプレッサの主構成要素と、その系路を示す模式的構成図。
【図2】本発明の水循環式コンプレッサにおける冷却水温度制御方法の動作を説明するための模式図(a)、(b)。
【符号の説明】
【0017】
1 温度センサ
2 クーラ
3 モータ
4 スイッチ
5 圧縮機本体
6 エアクリーナ
7 逆止弁
8 レシーバタンク
9 ドライヤ
100 水循環式コンプレッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水循環式コンプレッサにおける冷却水の温度制御方法であって、該方法は、圧縮機本体からの吐出空気の温度が5℃以下の場合に冷却水のクーラの作動を停止し、60℃以上の場合は前記クーラを作動すべく制御するものからなり、前記クーラのON−OFF制御が、温度検出センサの検出信号により前記クーラの作動用モータのスイッチのON−OFFによって行うようにしたことを特徴とする水循環式コンプレッサにおける冷却水温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−68369(P2009−68369A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235460(P2007−235460)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000174987)三井精機工業株式会社 (60)
【Fターム(参考)】