説明

水性クレンジング化粧料

【課題】眼粘膜に対して刺激がなく、メイクなどの油脂汚れを容易に除去することができるとともに、拭き取り後にべたつき感を抑える水性クレンジング化粧料の提供。
【解決手段】(A)水、(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、(C)コハク酸ジエトキシエチル、(D)ポリエーテル変性シリコーン、並びに(E)直鎖状シリコーンおよび/又は環状シリコーンを含有してなる水性クレンジング化粧料とする。ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルが、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル及び/又はポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルであること、ポリエーテル変性シリコーンのHLBが、4〜8であることが好ましい。また、実質的にエタノールを含有せず、外観が透明であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メイクアップ技術の進化により、簡便なライトメイクアップから汗や油にも強いウォータープルーフ性の高いメイクアップまで多様化している。さらに、女性の社会進出が進み、ライフスタイルが多様化したことにより、メイクアップクレンジングの使用シーンも細分化されている。そのため、クレンジング剤型としては、従来のコールドクリームから、ジェルタイプ、化粧水タイプ及びミルクタイプ、更には油性メイクへのクレンジング力の高いオイルタイプなど多様に存在する。また、最近では、バイコンティニュアス相(等方性界面活性剤連続相)を利用してクレンジング力を向上させたリキッドタイプ(例えば、特許文献1〜3を参照)も注目されている。
【0003】
化粧水タイプのクレンジング化粧料は、みずみずしくべたつかない使用感や、コットンや不織布などに含浸させて拭き取るだけの簡便性から、従来より一定の需要があった。しかし、化粧水タイプのクレンジング化粧料において、クレンジング力を高めるためにオイルや極性の低い界面活性剤などの油性成分を配合すると透明溶解が困難となり、見た目の審美性に劣るとともに、安定性に問題があった。
【0004】
また、最近では、簡便性の高い不織布にクレンジング液を含浸させたシートタイプのクレンジング化粧料(例えば、特許文献4および5を参照)が高いニーズを有している。しかし、近年の流行であるウォータープルーフ性の高いアイメイクや、ヘビーメイクなどを十分に落とすことができなかった為、ライトメイク使用者に限られていた。
【0005】
その為、ヘビーメイクに対応したシートタイプのクレンジング化粧料として、シリコーン油、特定のHLB値を有するノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、高分子増粘剤を含有し、特定の粘度および乳化粒子径を有する水中油型乳化洗浄剤組成物を不織布に含浸させてなることを特徴とするシート状洗浄剤(特許文献6を参照)、セルロース含量が70質量%以上の繊維からなり、密度が0.15〜0.3g/cmである不織布に、水系増粘剤、沸点が160〜300℃の油剤、及び水を含有する水中油型乳化組成物を含浸してなるシート状クレンジング材(特許文献7を参照)、HLBが5〜8の界面活性剤、HLBが10〜15の界面活性剤およびIOBが0.1〜0.7の油分を含有してなる拭き取り用含浸洗浄料(特許文献8を参照)などが提案されている。
【0006】
しかしながら、これら試みに拠って拭き取りが容易にできるものの、拭き取り後に特有の油性感が残るため、拭き取り後のさっぱり感に劣るといった問題がある。また、クレンジング時に剤が眼粘膜に混入した時に好ましくない刺激が生じるといった問題も起こりえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−320884号公報
【特許文献2】特許第4274491号公報
【特許文献3】特開2008−266224号公報
【特許文献4】特開平11−49641号公報
【特許文献5】特開2002−154926号公報
【特許文献6】特開2005−343943号公報
【特許文献7】特開2005−145872号公報
【特許文献8】特開2002−68936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、眼粘膜に対して刺激がなく、メイクなどの油脂汚れを容易に除去することができるとともに、拭き取り後にべたつき感を抑える水性クレンジング化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)水、(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、(C)コハク酸ジエトキシエチル、(D)ポリエーテル変性シリコーン、並びに(E)直鎖状シリコーンおよび/又は環状シリコーンを含有してなる水性クレンジング化粧料、
〔2〕ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルが、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル及び/又はポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルであることを特徴とする前記〔1〕に記載の水性クレンジング化粧料、
〔3〕ポリエーテル変性シリコーンのHLBが、4〜8であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の水性クレンジング化粧料、
〔4〕実質的にエタノールを含有しないことを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の水性クレンジング化粧料、
〔5〕洗い流さないことを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の水性クレンジング化粧料、並びに
〔6〕外観が透明であることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕の何れかに記載の水性クレンジング化粧料
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水性クレンジング化粧料は、眼粘膜に対して刺激がなく、ヘビーメイクなどの油脂汚れであっても容易に除去することができるとともに、拭き取り後にべたつき感を抑えるといった効果を奏する。また、本発明の水性クレンジング化粧料は、製剤安定性に優れることから、審美性の高い透明な外観を維持するという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の水性クレンジング化粧料は、(A)水、(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、(C)コハク酸ジエトキシエチル、(D)ポリエーテル変性シリコーン、並びに(E)直鎖状シリコーンおよび/又は環状シリコーンを含有する。
【0012】
(A)成分の水は、化粧料原料として使用できるものであれば特に限定はされないが、通常、精製水が用いられる。本発明における(A)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、水性とする観点から、化粧料中、70〜97質量%が好ましく、より好ましくは75〜97質量%である。その理由は、70質量%未満の場合、べたつき感が生じて使用感に劣り、また、97質量%を超えて配合すると、十分なクレンジング効果が得られないからである。
【0013】
(B)成分の脂肪酸部としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などを例示することができ、具体的には、ポリオキシエチレン脂肪酸モノグリセリル、および/又はポリオキシエチレン脂肪酸ジグリセリルなどを例示することができる。これらの成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。これら成分に重合される酸化エチレンの付加モル数は、特に限定されないが、油性汚れの除去の観点、水への溶解性及び安全性の観点から、2〜50が好ましく、より好ましくは、4〜20である。
【0014】
好適な(B)成分としては、眼粘膜に対して刺激なく良好なクレンジング力を発揮する観点から、炭素数が8〜16のポリオキシエチレン脂肪酸モノグリセリルを用いることが好ましく、中でも、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルを用いることがより好ましい。
【0015】
尚、(B)成分は、市販品をそのまま使用することができる。具体的には、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルとしては、例えば、CETIOL HE810(商品名,コグニス ジャパン社製)、ソフチゲン767(商品名,サソール社製)、L.A.S(商品名,ガテフォッセ社製)などを例示することができる。また、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルとしては、例えば、CETIOL HE(商品名,コグニス ジャパン社製)、MファインオイルCOG−7M(商品名,ミヨシ油脂社製)、グリセロックスHE(商品名,クローダジャパン社製)などを例示することができる。
【0016】
(B)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、優れたクレンジング効果を付与する観点から、化粧料中、0.1〜8質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%以下である。その理由は、0.1質量%未満であると優れたクレンジング効果を得ることが出来ず、8質量%を越えて配合すると眼粘膜刺激を引き起こしてしまうからである。
【0017】
(C)成分のコハク酸ジエトキシエチルの含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、所望のクレンジング力を付与する観点から、化粧料中、0.1〜8質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。その理由は、0.1質量%未満であると所望のクレンジング力を付与出来ず、また、8質量%を超えて配合すると、拭き取り後にべたつき感が生じてしまうからである。
【0018】
(D)成分のポリエーテル変性シリコーンのHLBは、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、4〜8であることが好ましく、より好ましくは4〜6である。その理由は、HLBが4未満であると、系への溶解性が低いため白濁し、審美性の高い透明な外観を維持することができず、また、HLBが8を超えると系全体のバランスが損なわれ安定性が損なわれるためである。
【0019】
ポリエーテル変性シリコーンのポリエーテル基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基などを例示することができる。また、本発明においては、分子内にポリエーテルとポリシロキサンが交互に結合した直鎖状ブロック共重合体および、ポリシロキサンの側鎖にポリエーテル基が結合した側鎖変性タイプのいずれも使用できるが、側鎖変性タイプのものを用いることが系の安定性維持の観点からより好ましい。また、ポリエーテル変性シリコーンの分子量はいずれであっても特に限定されない。
【0020】
尚、(D)成分は、市販品をそのまま使用することができる。具体的には、SH3773M(HLB=8,PEG−12ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、SH3775M(HLB=5,PEG−12ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、SH3749(HLB=8,PEG/PPG−20/20ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、SS2910(HLB=4,PEG−10ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、BY25−339(HLB=8.5,PEG/PPG−30/10ジメチコン;東レ・ダウコーニング社製)、KF−6012(HLB=7,PEG/PPG−20/22ブチルエーテルジメチコン;信越化学社製)、KF−6015(HLB=4.5,PEG−12ジメチコン;信越化学社製)、KF−6016(HLB=4.5,PEG−9メチルエーテルジメチコン;信越化学社製)、KF−6017(HLB=4.5,PEG−10ジメチコン;信越化学社製)、KF−6028(HLB=4,PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン;信越化学社製)、SILSOFT305(HLB=5〜8、PEG/PPG−5/3ジメチコン;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、SILSOFT805(HLB=5〜8PEG‐8ジメチコン;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)、SILSOFT810(HLB=5〜8PEG‐8ジメチコン;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)などが例示でき、中でもSH3775M、SS2910、KF−6017が特に好ましい。
【0021】
(D)成分の含有量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは、0.2〜3質量%である。その理由は、0.1質量%未満であるとシリコーンオイルの可溶化が不十分であり、5質量%を越えて配合すると使用後にべたつき感が生じて好ましくないからである。
【0022】
(E)成分としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチルシリコーンオイル)、フェニルメチルポリシロキサン(フェニル変性シリコーンオイル)、高重合メチルポリシロキサンなどの直鎖状シリコーン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状シリコーンなどを例示することができ、ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンを用いることが、使用感の観点からより好ましい。これら(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0023】
(E)成分の含有量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは、0.2〜3質量%である。その理由は、0.1質量%未満であると所望のクレンジング力が得られず、5質量%を越えて配合すると系の安定性を損なわれるとともに、使用後の肌感触に劣るために好ましくないからである。
【0024】
本発明の水性クレンジング化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧料に用いられる成分、例えば、紫外線吸収剤、粉体、酸化防止剤、防腐剤、香料、着色剤、キレート剤、清涼剤、増粘剤、植物抽出液、ビタミン類、中和剤、アミノ酸、pH調製剤、美白剤、抗炎症剤、殺菌剤などの添加剤などを適宜、その用途、目的に応じて配合することができる。
【0025】
また、本発明の水性クレンジング化粧料には、実質的にエタノールを含有させないことが好ましい。これにより、施術後にぬるま湯による洗い流しや後洗顔を行わずとも、皮膚や粘膜への刺激を低減させることが可能となる。尚、本発明における「実質的にエタノールを含有させない」とは、「別途、エタノールを含有させることはしない」という意味であり、各配合成分中に含まれる微量のエタノールまでを除外するものではない。
【0026】
本発明の水性クレンジング化粧料は、拭き取り後に洗い流さずに使用することができる。洗い流さないことにより、肌の乾燥を防ぎ、保湿感を維持できるためである。なお、洗い流す場合は、水またはお湯で洗い流す程度がよく、水性洗顔料などで二度洗いしないことが好ましい。より好ましい使用方法としては、コットンや不織布などに水性クレンジング化粧料を含浸させて適用部位に施術する方法、若しくは、水性クレンジング化粧料を適用部位に施術後、コットンや不織布などで拭き取る方法などを例示することができる。
【0027】
上記した如く、本発明の水性クレンジング化粧料は、メイクなどの油脂汚れを除去する効果に優れるのみならず、安定性にも優れた効果を奏することから、審美性の高い透明な外観を維持することができるものである。ここで、透明とは、直径5cmの円状のガラス容器に中味を入れたときに、ガラス越しに対岸が目視できる程度の透明度をいう。
【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「質量%」を表す。また、表中、ポリオキシエチレンの付加モル数は括弧内に表記する。
【0029】
(試料の調製1)
表1〜表3に記した組成に従い、実施例1〜5および比較例1〜8の各水性クレンジング化粧料を常法に準じてそれぞれ調製し、下記評価に供した。結果をそれぞれ表1〜表3に併記する。
尚、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0030】
(試験例1:メイク汚れ(ファンデーション)除去の評価)
黒色のウレタン布(商品名:サプラーレ、出光石油化学社製)2cm×10cmに、リキッドファンデーション(商品名:ディアファーヌプリュスクレームタンドゥスール<ナチュラル>、ピアセラボ社製)0.3gを全面に均一に塗り延ばし1昼夜乾燥した。次いで、各実施例および各比較例で得られた水性クレンジング化粧料3mLをコットンに含浸させ、摩擦感テスター(KES−SE、カトーテック社製)を用いて、上記試料含有コットンに25gfの荷重をかけてウレタン布上を10cm引っ張った。
【0031】
尚、評価は、ウレタン布におけるファンデーションの除去された面積値を画像解析により求め、下記式により除去率を算出して下記評価基準に従って評価した。
除去率(%)=(ファンデーションが除去された面積値/ウレタン布の面積値)×100
【0032】
<メイク汚れ(ファンデーション)除去の評価基準>
◎:除去率が、80%以上
○:除去率が、50%以上80%未満
△:除去率が、20%以上50%未満
×:除去率が、20%未満
【0033】
(試験例2:メイク汚れ(マスカラ)除去の評価)
ウォータープルーフマスカラを常用する女性評価パネル20名により、各実施例および各比較例で得られた水性クレンジング化粧料を実際にマスカラを拭き取るように使用してもらい、マスカラ除去効果について下記の評価基準に従って官能評価した。
【0034】
<メイク汚れ(マスカラ)除去の評価基準>
◎:20名中16名以上が除去効果に優れると回答
○:20名中11〜15名が除去効果に優れると回答
△:20名中6〜10名が除去効果に優れると回答
×:20名中5名以下が除去効果に優れると回答
【0035】
(試験例3:刺激の評価)
化粧を施した女子評価パネル20名により、各実施例および各比較例で得られた水性クレンジング化粧料をコットンに含浸させ、実際に化粧を拭き取るように使用してもらい、クレンジング施術時の「眼粘膜刺激」について下記の評価基準に従って官能評価した。また、「眼粘膜刺激」とは、目元をクレンジング中に眼に沁みることで感じる「ピリピリ感」又は「チクチク感」のことを言う。
【0036】
<眼粘膜刺激の評価基準>
◎:20名中16名以上が眼粘膜刺激はないと回答
○:20名中11〜15名が眼粘膜刺激はないと回答
△:20名中6〜10名が眼粘膜刺激はないと回答
×:20名中5名以下が眼粘膜刺激はないと回答
【0037】
(試験例4:使用感の評価)
前記同評価パネル20名により、試験例2におけるクレンジング直後のべたつき感、および1時間後の肌のしっとり感について下記の評価基準に従って官能評価した。
【0038】
<べたつき感の評価基準>
◎:20名中16名以上がべたつき感はないと回答
○:20名中11〜15名がべたつき感はないと回答
△:20名中6〜10名がべたつき感はないと回答
×:20名中5名以下がべたつき感はないと回答
【0039】
(試験例5:外観の評価)
調製した水性クレンジング化粧料を直径3cm、容積50mlのガラス管に充填し、1時間後の外観状態を観察した。
【0040】
<外観の評価基準>
○:透明である
△:微白濁する
×:白濁、沈殿もしくは分離する
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
表1〜表3の結果から、各実施例の水性クレンジング化粧料は、各比較例のものと対比して、ファンデーションおよびウォータープルーフマスカラの除去効果に格段優れた効果を有しているにもかかわらず、眼粘膜刺激、べたつき感がないことが分かる。また、各実施例の水性クレンジング化粧料は、製剤安定性に優れることから、審美性の高い透明な外観を維持し続けていることが分かる。
【0045】
これに対し、実施例1から、単純に(B)成分を配合しない比較例1、実施例3から単純に(D)成分を配合しない比較例3、及び実施例3から(D)成分を同量の別のシリコーン系界面活性剤に置き換えた比較例4,5の水性クレンジング化粧料は、系のバランスが悪く安定なものが得られない。したがって、べたつき感も高く、メイク汚れ除去効果が低いことが分かる。また、実施例2から、単純に(C)成分を配合しない比較例2、実施例4から単純に(E)成分を配合しない比較例6、及び実施例5から(B)成分を別の界面活性剤に置き換えた比較例7,8の水性クレンジング化粧料は、特にマスカラに対するメイク汚れ除去効果が低くなるとともに、べたつき感が生じたり、眼粘膜に対して好ましくない刺激を引き起こしたりしていることが分かる。
【0046】
以下、本発明に係る水性クレンジング化粧料の処方例を示す。尚、含有量は質量%である。
【0047】
(処方例1)
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル 1.0
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル 2.0
PEG−10ジメチコン
(SS2910;東レ・ダウコーニング社製) 1.5
コハク酸ジエトキシエチル 2.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 1.0
ジプロピレングリコール 5.0
1,2−オクタンジオール 0.1
リン酸二水素ナトリウム 0.09
リン酸水素二ナトリウム 0.01
酢酸トコフェロール 0.1
ダイズエキス 0.1
フェノキシエタノール 0.2
精製水 86.9
合 計 100.0
【0048】
(処方例2)
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル 2.0
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル 2.0
PEG−9メチルエーテルジメチコン
(KF−6016;信越化学社製) 2.0
コハク酸ジエトキシエチル 1.5
デカメチルシクロペンタシロキサン 1.5
1,3−ブチレングリコール 5.0
PEG20000 1.0
1,2−オクタンジオール 0.05
クエン酸 0.05
クエン酸三ナトリウム 0.2
フェノキシエタノール 0.3
酢酸トコフェロール 0.1
精製水 84.3
合 計 100.0
【0049】
(処方例3)
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル 3.0
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル 1.0
PEG−8ジメチコン(SILSOFT 805;モメンティブ・
パフォーマンス・ケミカルズ・ジャパン社製) 2.0
コハク酸ジエトキシエチル 4.0
オクタメチルシクロテトラシロキサン 1.5
ジプロピレングリコール 5.0
グリセリン 3.0
1,2−オクタンジオール 0.05
クエン酸 0.05
クエン酸三ナトリウム 0.2
フェノキシエタノール 0.3
酢酸トコフェロール 0.1
精製水 79.8
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水、(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、(C)コハク酸ジエトキシエチル、(D)ポリエーテル変性シリコーン、並びに(E)直鎖状シリコーンおよび/又は環状シリコーンを含有してなる水性クレンジング化粧料。
【請求項2】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルが、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル及び/又はポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルであることを特徴とする請求項1に記載の水性クレンジング化粧料。
【請求項3】
ポリエーテル変性シリコーンのHLBが、3〜7であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性クレンジング化粧料。
【請求項4】
実質的にエタノールを含有しないことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の水性クレンジング化粧料。
【請求項5】
洗い流さないことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の水性クレンジング化粧料。
【請求項6】
外観が透明であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の水性クレンジング化粧料。

【公開番号】特開2011−126805(P2011−126805A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285541(P2009−285541)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】