説明

水晶振動板および水晶振動子

【課題】 小型化した場合でも直列抵抗値等の特性を良好に保つことのできる水晶振動板および水晶振動子を提供する。
【解決手段】 水晶振動板1は平面視略矩形状で薄板状の水晶振動板であって、長辺方向を水晶結晶軸のX軸に、短辺方向をZ‘軸方向にとっており、当該水晶振動板の長辺方向の稜部と短辺方向の各々の稜部が面取りされた構成であるとともに、前記矩形の四隅において表裏主面が近接した稜部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水晶振動子に用いるATカット水晶振動板等の厚み系振動モードをもちいる薄板状水晶振動板および当該水晶振動板を用いた水晶振動子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子はモバイル通信機器、電子機器分野等に用いられ、特にATカット水晶振動板を用いた水晶振動子は周波数温度特性が比較的安定しているので、汎用されている。周知のとおり、ATカット水晶振動板はその外周端部をコンベックス加工あるいはベベル加工等の面取り処理を施すことにより、水晶振動板中央部分の励振領域で励起された振動エネルギーは外周端部において減衰させることができる。このような構成の水晶振動板の表裏面に励振電極を形成し、パッケージに格納する。パッケージとの接合は導電性接合材により水晶振動板の端部を電気的機械的に接続して行う。特開2003−174353号(特許文献1)はこのような面取り処理を行った水晶振動板が開示されている。特許文献1においては、四角形状の四辺の各々に対応する縁部の厚さが漸減するように形成された漸減部を形成することにより、端部において振動エネルギーの損失を抑制することで、水晶振動子の直列抵抗値を小さくしている。
【0003】
ところで電子機器は小型化が進んでおり、これに従って水晶振動子も小型化が要求されている。このように水晶振動子の小型化すなわち水晶振動板が小型化された場合、上述のような面取り処理を行ったとしても、振動エネルギーが十分には減衰しきれず、直列抵抗値を悪化させてしまうことがあった。例えば共振周波数が35MHz以下の水晶振動子においてはこのような影響が現れ、特に16MHz以下の低周波領域においては、直列抵抗値の悪化がより顕著に現れていた。
【特許文献1】特開2003−174353号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小型化した場合でも直列抵抗値等の特性を良好に保つことのできる水晶振動板を提供するとともに、当該水晶振動板を用いた特性の良好な水晶振動子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明者は、水晶振動板の面取り構成について、鋭意工夫検証を行った結果、矩形状水晶振動板の短辺と長辺および矩形四隅領域の面取り量を好適に調整すること等により、小型化された水晶振動板においても効率よく振動エネルギーを減衰させることを見いだしたものであり、次の各構成により上記課題を解決するものである。
【0006】
すなわち請求項1に示すように、平面視略矩形状で薄板状の水晶振動板であって、当該水晶振動板の長辺方向の稜部と短辺方向の各々の稜部が面取りされた構成であるとともに、前記矩形の四隅において表裏主面が近接した稜部が形成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項1によれば、矩形の四隅の面取り加工量を多くし、表面と裏面が近接する稜部を当該四隅端部に形成している。これにより水晶振動板の中央部分に対して、四隅領域においては急激にその厚さが減少している構成となる。このような構成により水晶振動板の中央部分で励振された振動エネルギーを極めて効率的に減衰させることができる。また当該構成に付加して、水晶振動板の長辺方向や短辺方向に沿ったそれぞれの稜部が各々面取りされる構成としている。このようなそれぞれの稜部の面取り構成により、四隅領域の厚さを急激に減少させたことによる振動エネルギー減衰効果をより効果的に発揮させることができ、相乗的な減衰効果を得ることができる。
【0008】
また請求項2に示すように、平面視略矩形状の薄板状ATカット水晶振動板であって、当該水晶振動板の長辺方向の稜部と短辺方向の各々の稜部が面取りされた構成であるとともに、前記矩形の四隅において表裏主面が近接した稜部を形成し、かつ、水晶振動板の長辺方向両端であって、短辺の中央部分の厚さをb、水晶振動板の短辺方向両端であって長辺中央部分の厚さをcとしたとき、c/bが1〜1.4の範囲にあることを特徴としている。
【0009】
水晶振動板の周縁部分を面取りすることにより、周縁部分の振動エネルギー減衰効果が得られることは周知事項であるが、本発明のような四隅領域において表裏主面の厚さを急激に減少させ、表裏が近接した構成であって、面取り量が明確に開示されているものはない。面取り量が過小であると振動エネルギーが周縁部分に残ることになり、また面取り量が過大であると、励振領域自体を減少させてしまうことになり、いずれの場合も、当該水晶振動板の直列抵抗値低下が懸念される。そこで本発明者は四隅領域において表裏主面の厚さを急激に減少させ、表裏を近接させた構成において、各領域の面取り量に対する直列抵抗の変化について調べた。なお、直列抵抗の測定にあたっては、図12に示すように、試作した水晶振動板の表裏面に矩形状の励振電極および引出電極を形成し、アッセンブリした状態でインピーダンスアナライザ、ネットワークアナライザを用いて測定を行う。これら励振電極および引出電極は水晶振動板に接して約30オングストロームのCr層が形成され、その上面に約2000〜3000オングストロームのAu層が形成された複数層構成である。なお、これら膜構成は後述する検証実験においても適用している。
【0010】
請求項2に関連する検証
検証には複数の周波数のATカット水晶振動板を用いたが、その外形寸法は長辺(X軸方向)が1.8〜2.2mm、短辺(z‘軸方向)1.1〜1.6mmである。また水晶振動板に形成された励振電極寸法は長辺が1.1〜1.5mm、短辺が1〜1.3mmである。なお、水晶振動板および励振電極の外形寸法は周知のとおり、輪郭系等のスプリアス振動モードに深く関連するので、当該モードとのカップリングを避けるために適宜周波数毎に上記範囲で各外形寸法を調整している。また、以下で使用する各記号は図2で示す各部位の寸法を示している。図2は水晶振動板の平面図であり、aは水晶振動板の振動領域となる中央部分Aの厚さ寸法、bは水晶振動板の長辺方向両端であって短辺の中央部分Bの厚さ寸法、cは水晶振動板の短辺方向両端であって長辺中央部分Cの厚さ寸法、dは水晶振動板の四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側に入った部分Dの厚さ寸法である。なお、これらA乃至Dの位置はこれらの近傍領域も含む。また図2においてこれらA乃至Dは丸囲み表示されている。
【0011】
検証に用いたサンプルA−1の水晶振動板は、その共振周波数が9.8MHzであり、c/aが約0.55、d/aが0.0のサンプルについてc/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。また同じくサンプルA−2として、その共振周波数が10.135MHzのものについて検証を行った。このc/aは約0.7、d/aが約0.04であり、c/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。また同じくサンプルB−1として、共振周波数が13.363MHzのものについて検証を行った。c/aは約0.58、d/aが約0.1であり、c/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。またサンプルC−1として、共振周波数が16.384MHzのものについて検証を行った。c/aは約0.83、d/aが約0.3であり、c/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。またサンプルD−1として、共振周波数が22.5MHzのものについて検証を行った。c/aは約0.83、d/aが約0.65であり、c/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。さらにサンプルD−2として共振周波数が32MHzのものについて検証を行った。c/aは約0.98、d/aが0.96であり、c/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。
【0012】
図3は上記各サンプルの直列抵抗値の推移を示すグラフである。各サンプルは共振周波数が異なるため、直列抵抗値の絶対値は異なり、低周波数ほど直列抵抗値は高くなるが、いずれも各サンプルで若干のバラツキはあるものの、c/bが1〜1.4の範囲において良好な値を示し、その範囲外においてはいずれも直列抵抗値が悪化(上昇)する傾向を示していることが理解できる。
【0013】
以上の検証実験により、ATカット水晶振動板の長辺方向の稜部と短辺方向の各々の稜部が面取りされた構成であるとともに、前記矩形の四隅において表裏主面が近接した構成において、c/bが1〜1.4の範囲により、良好な直列抵抗を得ることができる。またより好ましくは、c/bが1.02〜1.25の範囲であるとさらに直列抵抗値が良好であり、好ましい範囲となる。
【0014】
前述のとおり、c/bが1〜1.4の範囲であれば良好な直列抵抗値を得ることができるが、検証実験を進めるなかで、特に35MHz以下の比較的低周波の周波数帯においては、前述のd寸法がその直列抵抗値に影響を与え、特にd/bが所定の範囲である場合に特に良好な直列抵抗値を得ることができることを発明者は知見した。
【0015】
請求項3は請求項2記載の水晶振動板において、共振周波数が9.8MHz以上15MHz未満のATカット水晶振動板の場合に、図2に示すように、前記水晶振動板の長辺方向両端であって、短辺の中央部分の厚さをb(但し、bおよびdは水晶振動板中央部分の厚さa未満、以降も同じ)、水晶振動板の四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側部分の厚さをdとしたとき、d/bが0以上0.28未満の範囲にある構成を開示している。
【0016】
また請求項4は請求項2記載の水晶振動板において、共振周波数が15MHz以上20MHz未満のATカット水晶振動板の場合に、前記水晶振動板の長辺方向両端であって、短辺の中央部分の厚さをb、水晶振動板の四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側部分の厚さをdとしたとき、d/bが0.28以上0.5未満の範囲にある構成を開示している。
【0017】
また請求項5は請求項2記載の水晶振動板において、共振周波数が20MHz以上35MHz以下のATカット水晶振動板の場合に、前記水晶振動板の長辺方向両端であって、短辺の中央部分の厚さをb、水晶振動板の四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側部分の厚さをdとしたとき、d/bが0.5以上1.0以下の範囲にある構成を開示している。
【0018】
次に請求項3乃至請求項5に関する検証について説明する。検証には複数の周波数のATカット水晶振動板を用いたが、その外形寸法は長辺(X軸方向)が1.8〜2.2mm、短辺(z‘軸方向)1.1〜1.6mmである。また水晶振動板に形成された励振電極寸法は長辺が1.1〜1.5mm、短辺が1〜1.3mmである。なお、前述のとおり、bは水晶振動板の長辺方向両端であって、かつ短辺の中央部分Bの厚さ寸法、dは水晶振動板の四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側に入った部分Dの厚さ寸法である。
【0019】
請求項3に関連する検証
検証に用いたサンプルEの水晶振動板は、その共振周波数が9.8MHzであり、c/bが約1.2のサンプルについてd/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。また同じくサンプルFとして、共振周波数が12MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.1であり、d/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。またサンプルGとして、共振周波数が14.318MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.1であり、d/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。
【0020】
図4は上記各サンプル(共振周波数が9.8MHz以上15MHz未満水晶振動板)の直列抵抗値の推移を示すグラフである。各サンプルは共振周波数が異なるため、直列抵抗値の絶対値は異なるが、いずれも各サンプルで若干のバラツキはあるものの、d/bが0〜0.28未満の範囲において良好な値を示し、その範囲外においてはいずれも直列抵抗値が悪化する傾向を示していることが理解できる。なお、面取り量が大きい場合はd寸法が0になるため、d/bも0になる。上記検証例ではサンプルEについてはd/bが0となる場合があることを示している。
【0021】
請求項4に関連する検証
また15MHz以上20MHz未満の周波数についてもd/bを変化させた場合について検証を行った。検証に用いたサンプルHの水晶振動板は、その共振周波数が15.360MHzであり、c/bが約1.05のサンプルについてd/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。また同じくサンプルIとして、共振周波数が18.543MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.1であり、d/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。またサンプルJとして、共振周波数が20MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.03であり、d/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。
【0022】
図5は上記各サンプル(共振周波数が15MHz以上20MHz未満のATカット水晶振動板)の直列抵抗値の推移を示すグラフである。各サンプルは共振周波数が異なるため、直列抵抗値の絶対値は異なるが、いずれも各サンプルで若干のバラツキはあるものの、d/bが0.28〜0.5未満の範囲において良好な値を示し、その範囲外においてはいずれも直列抵抗値が悪化する傾向を示していることが理解できる。
【0023】
請求項5に関連する検証
また20MHz以上35MHz以下の周波数についてもd/bを変化させた場合について検証を行った。検証に用いたサンプルJ2の水晶振動板は、その共振周波数が21.4MHzであり、c/bが約1.05のサンプルについてd/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。また同じくサンプルJ3として、共振周波数が26MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.1であり、d/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。またサンプルJ4として、共振周波数が32MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.0であり、d/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。またサンプルJ5として、共振周波数が35MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.0であり、d/bを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。
【0024】
図6は上記各サンプル(共振周波数が20MHz以上35MHz未満のATカット水晶振動板)の直列抵抗値の推移を示すグラフである。各サンプルは共振周波数が異なるため、直列抵抗値の絶対値は異なるが、いずれも各サンプルで若干のバラツキはあるものの、d/bが0.5〜1.0の範囲において良好な値を示し、その範囲外においてはいずれも直列抵抗値が悪化する傾向を示していることが理解できる。
【0025】
本発明はさらに、請求項2の構成についてd/aとの関係についても開示している。すなわち請求項6に示すように、共振周波数が9.8MHz以上12MHz未満のATカット水晶振動板において、前記水晶振動板の中央部分の厚さをa、水晶振動板の四隅領域であって、四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側の厚さをdとしたとき、d/aが0〜0.2未満(但し、dは水晶振動板中央部分の厚さa未満、以降も同じ)の範囲にあることを特徴とする請求項2記載の水晶振動板である。
【0026】
また請求項7に示すように、共振周波数が12MHz以上15MHz未満のATカット水晶振動板において、前記水晶振動板の中央部分の厚さをa、水晶振動板の四隅領域であって、四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側の厚さをdとしたとき、d/aが0.01〜0.4未満の範囲にあることを特徴とする請求項2記載の水晶振動板である。
【0027】
また請求項8に示すように、共振周波数が15MHz以上20MHzのATカット水晶振動板において、前記水晶振動板の中央部分の厚さをa、水晶振動板の四隅領域であって、四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側の厚さをdとしたとき、d/aが0.2〜0.55未満の範囲にあることを特徴とする請求項2記載の水晶振動板である。
【0028】
また請求項9に示すように、共振周波数が20MHz以上35MHz以下のATカット水晶振動板において、前記水晶振動板の中央部分の厚さをa、水晶振動板の四隅領域であって、四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側の厚さをdとしたとき、d/aが0.5〜1.0の範囲にあることを特徴とする請求項2記載の水晶振動板である。
【0029】
上記請求項6乃至請求項9についての検証を行った。検証には複数の周波数のATカット水晶振動板を用いたが、その外形寸法は長辺(X軸方向)が1.8〜2.2mm、短辺(z‘軸方向)1.1〜1.6mmである。また水晶振動板に形成された励振電極寸法は長辺が1.1〜1.5mm、短辺が1〜1.3mmである。なお、前述のとおり、aは水晶振動板の振動領域となる中央部分Aの厚さ寸法、dは水晶振動板の四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側に入った部分Dの厚さ寸法である。
【0030】
請求項6に関連する検証
検証に用いたサンプルKの水晶振動板は、その共振周波数が9.8MHzであり、c/bが約1.2のサンプルについてd/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。また同じくサンプルLとして、共振周波数が10.135MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.2であり、d/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。またサンプルMとして、共振周波数が11.5MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.1であり、d/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。
【0031】
図7は上記各サンプルの直列抵抗値の推移を示すグラフである。各サンプルは共振周波数が異なるため、直列抵抗値の絶対値は異なるが、いずれも各サンプルで若干のバラツキはあるものの、d/aが0〜0.2の範囲において良好な値を示し、その範囲外においてはいずれも直列抵抗値が悪化する傾向を示していることが理解できる。なお、面取り量が大きい場合はd寸法が0になるため、d/aも0になる。上記検証例ではサンプルKとLについてはd/aが0となる場合があることを示している。
【0032】
請求項7に関連する検証
検証に用いたサンプルNの水晶振動板は、その共振周波数が12MHzであり、c/bが約1.1のサンプルについてd/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。また同じくサンプルOとして、共振周波数が13MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.1であり、d/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。またサンプルPとして、共振周波数が14.745MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.15であり、d/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。
【0033】
図8は上記各サンプルの直列抵抗値の推移を示すグラフである。各サンプルは共振周波数が異なるため、直列抵抗値の絶対値は異なるが、いずれも各サンプルで若干のバラツキはあるものの、d/aが0.01〜0.4未満の範囲において良好な値を示し、その範囲外においてはいずれも直列抵抗値が悪化する傾向を示していることが理解できる。
【0034】
請求項8に関連する検証
検証に用いたサンプルQの水晶振動板は、その共振周波数が15MHzであり、c/bが約1.2のサンプルについてd/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。また同じくサンプルRとして、共振周波数が16.384MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.05であり、d/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。またサンプルSとして、共振周波数が18.543MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.1であり、d/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。さらにサンプルTとして、振周波数が20MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.04であり、d/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。
【0035】
図9は上記各サンプルの直列抵抗値の推移を示すグラフである。各サンプルは共振周波数が異なるため、直列抵抗値の絶対値は異なるが、いずれも各サンプルで若干のバラツキはあるものの、d/aが0.2〜0.55の範囲において良好な値を示し、その範囲外においてはいずれも直列抵抗値が悪化する傾向を示していることが理解できる。
【0036】
請求項9に関連する検証
また20MHz以上35MHz以下の周波数についてもd/bを変化させた場合について検証を行った。検証に用いたサンプルUの水晶振動板は、その共振周波数が21.4MHzであり、c/bが約1.2のサンプルについてd/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。また同じくサンプルXとして、共振周波数が26MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.1であり、d/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。またサンプルYとして、共振周波数が32MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.0であり、d/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。またサンプルZとして、共振周波数が35MHzのものについて検証を行った。c/bは約1.0であり、d/aを変化させた場合の直列抵抗値の推移について調べた。
【0037】
図10は上記各サンプルの直列抵抗値の推移を示すグラフである。各サンプルは共振周波数が異なるため、直列抵抗値の絶対値は異なるが、いずれも各サンプルで若干のバラツキはあるものの、d/aが0.5〜1.0の範囲において良好な値を示し、その範囲外においてはいずれも直列抵抗値が悪化する傾向を示していることが理解できる。
【0038】
上述の水晶振動板において、請求項10に示すように、前記矩形の四隅が曲率を有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の水晶振動板であってもよい。なお、当該曲率は水晶振動板の平面視四隅に形成しても良いし、断面でみて稜部分に曲率を設ける構成であってもよい。
【0039】
請求項10によれば、水晶振動板の四隅において稜が形成されやすいが、このような場合四隅に曲率を形成することにより、機械的強度を向上させるとともに、面取りによるエネルギー減衰効果をより効率的に発揮させることができる。
【0040】
また請求項11に示すように、水晶振動板がATカット水晶板であり、長辺方向が水晶結晶軸のX軸に、短辺方向がZ‘軸に沿った構成であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の水晶振動板であってもよい。
【0041】
本発明は上述の水晶振動板をパッケージに収納した水晶振動子についても提案している。すなわち、請求項12に示すように、請求項1乃至11のいずれかに記載の水晶振動板の表裏面に励振電極を形成するとともに、当該水晶振動板をパッケージに収納し、前記矩形の四隅を当該パッケージの保持領域として導電接合したことを特徴とする水晶振動子である。
【0042】
水晶振動板には表裏に励振電極を形成するとともに、当該励振電極から引出電極を水晶振動板端部に導出し、パッケージ等と電気的機械的接続を行う。当該接続は導電フィラーの入った樹脂接着剤で行うことが多いが、その接着領域によって水晶振動子の特性に影響を与える。本発明によれば、水晶振動板の表裏主面が近接した稜部を矩形の四隅に形成し、当該四隅部分で樹脂接着剤により導電接合を行っている。これにより、振動領域の振動エネルギーを十分減衰させることのできる四隅の稜部を支持領域とすることができ、支持による悪影響を受けることのない水晶振動子を得ることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、矩形状水晶振動板の短辺と長辺の面取り量あるいは矩形四隅領域の面取り量の関係を好適に調整すること等により、小型化された水晶振動板においても効率よく振動エネルギーを減衰させることができる。よって、水晶振動板が小型化された場合でも直列抵抗値等の特性を良好に保つことのできる水晶振動板を得ることができ、特に比較的低周波領域の直列抵抗値を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明による好ましい実施の形態について図面に基づいて説明する。
本発明による第1の実施の形態を共振周波数が10.135MHzの水晶振動板を例にとり図1とともに説明する。図1は本実施の形態を示す斜視図である。
【0045】
水晶振動板1は、水熱合成法により育成された人工水晶から周知のATカット切断方位で切り出された薄板状で矩形のATカット水晶振動板であり、その外形寸法は長辺寸法2.2mm、短辺寸法1.6mmで、厚さaは約0.189mmである。なお、図1においてはその厚さを強調して記載している。また本実施の形態においては長辺方向を水晶結晶軸のX軸に、短辺方向をZ‘軸方向にとっており、このような薄板状の水晶振動板の各稜を面取りしている。図2は水晶振動板の平面図であるが、図中Aは水晶振動板の振動領域となる中央部分を示し、Bは水晶振動板の長辺方向中央部であって、かつ短辺方向端部を示している。またCは水晶振動板の短辺方向中央部であって、かつ短辺方向端部を示し、Dは水晶振動板の四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側に入った部分を示している。上記Aの領域を除いて、B,CそしてD近傍の四隅端のそれぞれの部位における全ての稜部分を面取り加工する。本実施の形態においては、四隅端は表裏面による稜が形成された状態にまで面取り加工されており、またB部分の厚さbは0.104mm、C部分の厚さcは0.11mm、そしてD部分の厚さdは0.008mmとなっている。従って、c/bは1.067、d/bは0.077、そしてd/aは0.042となっている。当該水晶振動板に矩形状の電極形成を行い、前述と同様の特性測定を行った結果、水晶振動板を用いた水晶振動子の直列抵抗値は150Ωであった。なお、矩形状の電極はその寸法が長辺1.3mm、短辺1.2mm、その厚さは下地Cr層が約30オングストローム、上層のAu層が3000オングストロームで設定している。
【0046】
また他の水晶振動板の寸法例として、共振周波数が12MHzの水晶振動板であって、その外形寸法は長辺寸法2.2mm、短辺寸法1.5mmであり、厚さaが約0.15mmの水晶振動板を例示する。本例においては、四隅端は表裏面が近接することによる稜が形成された状態にまで面取り加工されており、図11に示すように平面でみて四隅端が面取りされ、曲率が形成された状態となっている。またB部分の厚さbは0.094mm、C部分の厚さcは0.103mm、そしてD部分の厚さdは0.024mmとなっている。従って、c/bは1.096、d/bは0.255、そしてd/aは0.160となっている。当該水晶振動板に矩形状の電極形成を行い、前述と同様の特性測定を行った結果、水晶振動板を用いた水晶振動子の直列抵抗値は100Ωであった。なお、矩形状の電極はその寸法が長辺1.2mm、短辺1.1mm、その厚さは下地Cr層が約30オングストローム、上層のAu層が2000オングストロームで設定している。
【0047】
さらに他の水晶振動板の寸法例として、共振周波数が18.543MHzの水晶振動板であって、その外形寸法は長辺寸法1.9mm、短辺寸法1.15mmであり、厚さaが約0.102mmの水晶振動板を例示する。本例においては、四隅端は表裏面が近接することによる稜が形成された状態にまで面取り加工されており、図11に示すように平面でみて四隅端が面取りされ、曲率が形成された状態となっている。またB部分の厚さbは0.078mm、C部分の厚さcは0.085mm、そしてD部分の厚さは0.03mmとなっている。従って、c/bは1.089、d/bは0.385、そしてd/aは0.294となっている。当該水晶振動板に矩形状の電極形成を行い、前述と同様の特性測定を行った結果、水晶振動板を用いた水晶振動子の直列抵抗値は80Ωであった。なお、矩形状の電極の構成は上記12MHzのものとほぼ同様の設定としている。
【0048】
さらに他の水晶振動板の寸法例として、共振周波数が21.4MHzの水晶振動板であって、その外形寸法は長辺寸法1.9mm、短辺寸法1.30mmであり、厚さ約0.092mmの水晶振動板を例示する。本例においても、四隅端は表裏面が近接することによる稜が形成された状態にまで面取り加工されており、図11に示すように平面でみて四隅端が面取りされ、曲率が形成された状態となっている。またB部分の厚さbは0.073mm、C部分の厚さcは0.077mm、そしてD部分の厚さdは0.06mmとなっている。従って、c/bは1.05、d/bは0.822、そしd/aは0.652となっている。当該水晶振動板に電極形成を行い、前述と同様の特性測定を行った結果、水晶振動板を用いた水晶振動子の直列抵抗値は80Ωであった。
【0049】
また他の水晶振動板の寸法例として、共振周波数が32MHzの水晶振動板であって、その外形寸法は長辺寸法1.8mm、短辺寸法1.25mmであり、厚さ約0.056mmの水晶振動板を例示する。本例においても、四隅端は表裏面が近接することによる稜が形成された状態にまで面取り加工されており、図11に示すように平面でみて四隅端が面取りされ、曲率が形成された状態となっている。またB部分の厚さbは0.055mm、C部分の厚さcは0.055mm、そしてD部分の厚さdは0.054mmとなっている。従って、c/bは1.0、d/bは0.98、そしd/aは0.96となっている。当該水晶振動板に電極形成を行い、前述と同様の特性測定を行った結果、水晶振動板を用いた水晶振動子の直列抵抗値は80Ωであった。
【0050】
このような面取り加工は、個々の水晶振動板に対し順次機械加工を行う方法であったり、複数の水晶振動板を一括して機械加工する方法であったり、さらにはフォトリソグラフィー技術を用いたエッチング処理による方法をあげることができる。例えば個々の水晶振動板に対し順次機械加工を行う方法は、矩形状の水晶振動板の一端をチャッキング装置で挟持し、平面的に回転する砥面に対し所定角度で水晶振動板の稜を接触させることにより当該稜を面取り加工することができる。チャッキング装置の反転動作あるいはチャッキング部位の切替等により、必要な全ての稜に対して面取り加工を施すことができる。本方法によれば、NC制御により必要な面取り量、面取り角度等を高精度で制御できるので、所望の特性の水晶振動板を得ることができる。
【0051】
また、複数の水晶振動板を一括して機械加工する方法として、円筒状であって両端が球面の内壁を有する加工バレルを用意し、この加工バレルに水晶振動板と研磨剤を所定量混在した状態で投入し、所定時間当該加工バレルを回転かつ揺動させることにより、当該バレルの内壁曲率により水晶振動板の各稜が面取り加工される。本方法によれば、多少の加工バラツキは存在するが、全体としてほぼ均質な面取り加工を行うことができ、良好な特性の水晶振動板を得ることができる。
【0052】
次にこのような水晶振動板に電極を形成し、表面実装型の水晶振動子に組み立てた構成について図10とともに説明する。
【0053】
表面実装型水晶振動子は、上部が開口した凹部を有するセラミックパッケージ2と、当該パッケージの中に収納される圧電振動板である矩形水晶振動板1と、パッケージの開口部に接合されるリッド(図示せず)とからなる。
【0054】
セラミックパッケージ2はアルミナ等のセラミックと導電材料を積層した構成であり、断面でみて凹形の電子素子収納部20を有する構成である。電子素子収納部周囲の堤部21の上面は平坦であり、当該堤部上の全面に周状の第1の金属膜層21aが形成されている。当該第1の金属膜層21aの上面も平坦になるよう形成されており、タングステン、ニッケル、金の層構成を有している。タングステンはメタライズ技術によりセラミック焼成時に一体的に形成され、その後ニッケル、金の各層はメッキ技術により形成される。
【0055】
セラミックパッケージ外周の4角には上下方向に伸長するキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。当該キャスタレーションは円弧状の切り欠きが上下方向に形成された構成であり、ウェハからの小割切断時に必要となる。
【0056】
なお、第1の金属膜層21aはセラミックパッケージに形成されたビアホール(図示せず)あるいは前記キャスタレーション部分に形成された導電膜により、セラミックパッケージ下面(裏面)に形成された外部接続電極(図示せず)に電気的に接続され、最終的にアース接続される。
【0057】
セラミックパッケージ2の内部底面の長辺方向一端には電極パッド22,23が形成されており、これら電極パッドは連結電極(図示せず)を介して、パッケージ外部の底面に形成された外部接続電極(図示せず)にそれぞれ入出力端子として引き出されている。また、同長辺方向他端には補助支持台24,25が形成されている。
【0058】
前記電極パッド22,23間には圧電振動板であるATカット水晶振動板1が搭載されている。ATカット水晶振動板1には、その表裏に一対の励振電極11,12(裏面の12は図示せず)が形成された構成であり、当該励振電極から引出電極11a,12a(裏面の12aは図示せず)が外周端部に引き出されている。当該引出電極11a,12aは、水晶振動板の四隅領域すなわち本発明において急激に厚さの減少している領域に引き出されている。これら各電極はCrからなる下地金属層にAu層とCrの薄膜層からなる構成である。なお、ATカット水晶振動板1に示された点線は面取り状態を示している(図1参照)。
【0059】
前記セラミックパッケージの電極パッド22,23と前記引出電極は導電性樹脂接着剤(導電フィラーを添加した樹脂接着剤)Sにより導電接合されている。これによりATカット水晶振動板は長辺方向一端を片持ち保持される構成となっている。
【0060】
セラミックパッケージ2を気密封止するリッドは平面視矩形状の平板構成である。当該リッドは、コバールからなるコア材に第2の金属膜層として金属ろう材が形成された構成であり、例えば、ニッケル層、コバールコア材、銀ろう層の多層構成であり第2の金属膜層である銀ろう層がセラミックパッケージの第1の金属膜層と接合される構成となる。
【0061】
セラミックパッケージ2の電子素子収納部20にATカット水晶振動板1を格納し、電極パッド22、23とATカット水晶振動板1の引出電極とを導電性樹脂接着剤(導電フィラーを添加した樹脂接着剤)Sにより導電接合する。その後、真空雰囲気中あるいは不活性ガス雰囲気中にて気密封止を行う。気密封止方法は、前述の電子ビーム等のエネルギービームであっても良いし、シーム溶接を用いた接合であっても良い。またリッドに形成された銀ろうに代えて、より融点の低いろう材を用い加熱炉等により加熱を行う雰囲気加熱方法であってもよい。
【0062】
なお、本発明による水晶振動板を用いた水晶振動子の構成は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば円筒形の容器に封入されたシリンダー型水晶振動子等他の形態の水晶振動子に適用してもよい。
【0063】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形
で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎ
ず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであ
って、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属す
る変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
水晶振動子の量産に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施形態による水晶振動板の斜視図。
【図2】水晶振動板の厚さ測定部位を示す平面図。
【図3】比較データを示す図。
【図4】比較データを示す図。
【図5】比較データを示す図。
【図6】比較データを示す図。
【図7】比較データを示す図。
【図8】比較データを示す図。
【図9】比較データを示す図。
【図10】比較データを示す図。
【図11】水晶振動板の面取り構成を示す平面図。
【図12】水晶振動子のパッケージ開口した状態の平面図
【符号の説明】
【0066】
1 水晶振動板
2 セラミックパッケージ
22、23 電極パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形状の薄板状水晶振動板であって、当該水晶振動板の長辺方向の稜部と短辺方向の各々の稜部が面取りされた構成であるとともに、前記矩形の四隅において表裏主面が近接した稜部が形成されたことを特徴とする水晶振動板。
【請求項2】
平面視略矩形状の薄板状ATカット水晶振動板であって、当該水晶振動板の長辺方向の稜部と短辺方向の各々の稜部が面取り された構成であるとともに、前記矩形の四隅において表裏主面が近接した稜部を形成し、かつ、水晶振動板の長辺方向両端であって、短辺の中央部分の厚さをb、水晶振動板の短辺方向両端であって長辺中央部分の厚さをcとしたとき、c/bが1〜1.4(但し、bおよびcは水晶振動板中央部分の厚さa未満)の範囲にあることを特徴とする水晶振動板。
【請求項3】
共振周波数が9.8MHz以上15MHz未満のATカット水晶振動板において、前記水晶振動板の長辺方向両端であって、短辺の中央部分の厚さをb、水晶振動板の四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側部分の厚さをdとしたとき、d/b(但し、bおよびdは水晶振動板中央部分の厚さa未満)が0以上0.28未満の範囲にあることを特徴とする請求項2記載の水晶振動板。
【請求項4】
共振周波数が15MHz以上20MHz未満のATカット水晶振動板において、前記水晶振動板の長辺方向両端であって、短辺の中央部分の厚さをb、水晶振動板の四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側部分の厚さをdとしたとき、d/b(但し、bおよびdは水晶振動板中央部分の厚さa未満)が0.28以上0.5未満の範囲にあることを特徴とする請求項2記載の水晶振動板。
【請求項5】
共振周波数が20MHz以上35MHz以下のATカット水晶振動板において、前記水晶振動板の長辺方向両端であって、短辺の中央部分の厚さをb、水晶振動板の四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側部分の厚さをdとしたとき、d/b(但し、bおよびdは水晶振動板中央部分の厚さa未満)が0.5以上1.0以下の範囲にあることを特徴とする請求項2記載の水晶振動板。
【請求項6】
共振周波数が9.8MHz以上12MHz未満のATカット水晶振動板において、前記水晶振動板の中央部分の厚さをa、水晶振動板の四隅領域であって、四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側の厚さをdとしたとき、d/aが0以上0.2未満(但し、dは水晶振動板中央部分の厚さa未満)の範囲にあることを特徴とする請求項2記載の水晶振動板。
【請求項7】
共振周波数が12MHz以上15MHz未満のATカット水晶振動板において、前記水晶振動板の中央部分の厚さをa、水晶振動板の四隅領域であって、四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側の厚さをdとしたとき、d/a(但し、dは水晶振動板中央部分の厚さa未満)が0.01以上0.4未満の範囲にあることを特徴とする請求項2記載の水晶振動板。
【請求項8】
共振周波数が15MHz以上20MHz未満のATカット水晶振動板において、前記水晶振動板の中央部分の厚さをa、水晶振動板の四隅領域であって、四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側の厚さをdとしたとき、d/a(但し、dは水晶振動板中央部分の厚さa未満)が0.2以上0.55未満の範囲にあることを特徴とする請求項2記載の水晶振動板。
【請求項9】
共振周波数が20MHz以上35MHz以下のATカット水晶振動板において、前記水晶振動板の中央部分の厚さをa、水晶振動板の四隅領域であって、四隅端から長辺方向と短辺方向にそれぞれ0.1mm内側の厚さをdとしたとき、d/a(但し、dは水晶振動板中央部分の厚さa未満)が0.5以上1.0未満の範囲にあることを特徴とする請求項2記載の水晶振動板。
【請求項10】
前記矩形の四隅が曲率を有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の水晶振動板。
【請求項11】
水晶振動板がATカット水晶板であり、長辺方向が水晶結晶軸のX軸に、短辺方向がZ‘軸に沿った構成であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の水晶振動板。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の水晶振動板の表裏面に励振電極を形成し、また当該励振電極を前記矩形の四隅領域に導出する引出電極を形成するとともに、当該水晶振動板をパッケージ収納し、当該パッケージの保持領域と前記引出電極とを導電接合したことを特徴とする水晶振動子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−60798(P2006−60798A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211928(P2005−211928)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】