説明

水浄化装置

【課題】水の浄化効率の低下を抑制することができ、容易にメンテナンスすることができ、また、簡易に構成された水浄化装置を提供すること。
【解決手段】水浄化装置1では、水の流れ方向に見て、浄化装置4よりも上流側にフィルタ5が設けられているので、浄化装置4のオゾン混合器は、フィルタ5の目詰りに起因する圧力損失の影響を受けることがなく、オゾン混合器によるオゾンの水への混合効率の低下を抑制することができる。つまり、浄化装置4による水の浄化効率の低下を抑制することができる。フィルタ5では、内ケース77のメンテナンスにおいて、外ケース76を内ケース77から離脱させることで内ケース77が露出され、内ケース77に容易にアクセスすることができる。そのため、フィルタ5を容易にメンテナンスすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水を浄化するための水浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、井戸や河川などの水源から汲み上げた水や雨水を、洗濯用水や風呂水として利用したり、植物栽培のために散水したりしたいという要望がある。
ところが、昨今は、地層自体の変化や汚染物質の地下水脈への浸透などにより、井水の水質悪化が著しく、汲み出した井水をそのまま利用しにくいという事態が生じている。同様に、河川の水も水質悪化を生じていることが多い。ここでいう水質悪化とは、たとえば、水の濁度および色度が高くなることや、水から異臭が生じることなどである。
【0003】
このような水質悪化としては、たとえば、特許文献1に記載されているように、井水がいわゆる「赤水」である場合がある。「赤水」とは、井水中に鉄分やマンガン成分がイオンとして含まれるため、汲み出した井水が時間の経過と共に赤色に変化する水である。そのため、「赤水」は、洗濯用水や風呂水としての使用に適さず、また、植物栽培にも悪影響を及ぼす問題がある。
【0004】
上記のような水質の悪化した井水や河川の水などの汚染水の水質を改善するために、オゾン処理により、水中の鉄分を酸化して除去すると共に、オゾンの酸化作用で、井水中の雑菌、大腸菌、ウィルスなどを殺菌することができる受水型井水改善装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
また、水道水にオゾンを混合させることによって除菌・消臭性能に優れるオゾン水生成システムが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第2715244号公報
【特許文献2】特開2003−305348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載されたオゾンで水を浄化する装置およびシステムでは、水が装置内の水路を流れるときに水路内に生じる負圧を利用してオゾンを水路の水に吸引する構成が用いられている。このような構成を用いる場合、水路内の水の流れの状態に応じてオゾンの吸引量が変動する。たとえば、水路が途中で詰まると、水路内の水の流れに圧力損失が生じ、オゾンの吸引量が低下する。その場合、オゾンによる水の浄化効率が低下するという不具合が生じる。
【0006】
また、たとえば、インドネシアなどでは、水道設備のインフラが整っていない地域があり、このような地域においては、桶などで汲み出された赤水を含む井水もしくは河川の水や、溜められた雨水などが生活用水として利用されている。そのため、このような地域では、水浄化装置に対するニーズは高く、さらに、その構成は、オーナー自身が容易にメンテナンスできるように、なるべく簡単であることが望まれている。しかしながら、特許文献1に記載の水質改善装置では、大型の受水槽、第1段処理機および第2段処理機が複雑に組み合わされており、上述した要望を満たすことができない。
【0007】
この発明は、かかる背景のもとになされたもので、水の浄化効率の低下を抑制することができる水浄化装置を提供することを主たる目的としている。
また、この発明は、容易にメンテナンスすることができる水浄化装置を提供することも目的としている。
また、この発明は、簡易に構成された水浄化装置を提供することも目的としている。
【0008】
また、この発明は、安全性が向上された水浄化装置を提供することも目的としている。
そして、この発明は、水浄化性能を一定に維持することができる水浄化装置を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、被浄化水の貯水源から水を汲むためのポンプと、オゾンを発生するオゾン発生装置、および前記オゾン発生装置が発生するオゾンを水に混合するための気液混合器を有し、水を浄化するための浄化装置と、前記ポンプで汲まれる水を前記浄化装置へ導入するための導入路と、前記導入路の途中に設けられ、前記導入路を通過する水に含まれる異物を捕獲するためのフィルタと、前記浄化装置で浄化された浄水を前記貯水源へ戻すための返送路と、を含むことを特徴とする、水浄化装置である。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記フィルタは、水の流れ方向に見て、砂で異物を捕獲するための砂フィルタと、活性炭で異物を捕獲するための活性炭フィルタと、を順に備えていることを特徴とする、請求項1記載の水浄化装置である。
請求項3記載の発明は、前記貯水源は、生活水を溜める貯水タンクを含み、前記貯水タンクには、前記貯水タンクの水を取り出すためのユーザ用給水管が備えられ、前記貯水タンクは、前記ユーザ用給水管が開けられたときに重力で水が出るように高所に配置され、前記浄化装置は、前記貯水タンクよりも低い位置に配置され、前記フィルタは、前記浄化装置の下側に配置され、前記ポンプは、前記フィルタよりも低い位置に配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の水浄化装置である。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記フィルタは、上下方向に長手であり、その長手方向に水を通過させて異物を捕獲する本体部と、前記本体部に対して、前記本体部の上方から着脱され、装着時には前記本体部に外嵌されて、前記本体部を内部に収容する収容部と、を備えていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水浄化装置である。
請求項5記載の発明は、前記フィルタは、前記浄化装置よりも手前側に配置されていることを特徴とする、請求項4記載の水浄化装置である。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記本体部には、その長手方向寸法の1/10〜3/4に相当する量の砂または活性炭が装填されていることを特徴とする、請求項4または5記載の水浄化装置である。
請求項7記載の発明は、前記ポンプから前記フィルタまでの間を流れる水の圧力を検知するための圧力センサと、前記圧力センサが検知した圧力が第1の所定値に到達すると、前記ポンプの駆動を停止させ、前記ポンプの駆動停止時から、前記第1の所定値より低い第2の所定値へ前記圧力が低下するまでの経過時間が所定時間を超えると、前記フィルタが目詰りしたと判断し、前記水浄化装置全体の作動を停止させる制御装置と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の水浄化装置である。
【0013】
請求項8記載の発明は、前記制御装置は、前記経過時間に応じて、前記貯水源と前記水浄化装置との間を循環する水の循環流量を推測し、前記循環流量に応じて、前記オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間を変更させることを特徴とする、請求項7記載の水浄化装置である。
請求項9記載の発明は、前記制御装置は、前記ポンプの駆動を停止させてから前記圧力が前記第2の所定値まで低下すると、前記圧力が前記第2の所定値になってから所定の遅延時間が経過した後に前記ポンプの駆動を再開させることを特徴とする、請求項7または8記載の水浄化装置である。
【0014】
請求項10記載の発明は、前記制御装置は、所定期間内において前記ポンプの駆動を停止させた回数が所定回数に到達すると、前記フィルタが目詰りしたと判断し、前記水浄化装置全体の作動を停止させることを特徴とする、請求項9記載の水浄化装置である。
請求項11記載の発明は、前記制御装置は、所定期間内において前記ポンプの駆動を停止させた回数に応じて、前記貯水源と前記水浄化装置との間を循環する水の循環流量を推測し、前記循環流量に応じて、前記オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間を変更させることを特徴とする、請求項9記載の水浄化装置である。
【0015】
請求項12記載の発明は、前記貯水源と前記水浄化装置との間を循環する水の循環流量を検知するための流量センサと、前記流量センサが検知した循環流量に応じて、前記オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間を変更させる制御装置と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の水浄化装置である。
請求項13記載の発明は、前記オゾン発生装置の周囲の湿度を検知する湿度センサと、前記湿度センサが検知した湿度に応じて、前記オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間を変更させる制御装置と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の水浄化装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、この水浄化装置では、水の流れ方向に見て、浄化装置よりも上流側にフィルタが設けられている。これに対し、浄化装置よりも下流側にフィルタが設けられる構成では、フィルタに目詰りが生じた場合、浄化装置における気液混合器の下流側で圧力損失が生じ、気液混合器でのオゾンの吸込量が低下する。そのため、気液混合器によるオゾンの水への混合効率、すなわち、浄化装置による水の浄化効率が低下するおそれがある。しかし、本発明では、浄化装置よりも上流側にフィルタが設けられているので、気液混合器は、フィルタの目詰りに起因する圧力損失の影響を受けることがなく、気液混合器によるオゾンの水への混合効率の低下を抑制することができる。つまり、浄化装置による水の浄化効率の低下を抑制することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、このフィルタでは、水の流れ方向に見て、砂フィルタと、活性炭フィルタと、が順に備えられている。そのため、フィルタを流れる水は、先ず、砂フィルタの砂によって、酸化により固化した鉄分やマンガン成分が捕獲される。その後、活性炭フィルタの活性炭によって、砂フィルタを通過した水に残留するフミン酸などの有機物が捕獲される。一般的に、固化した鉄分やマンガン成分は、有機物よりも大きい異物であるので、このフィルタでは、水の流れ方向に見て、大きい異物を先に捕獲してから小さい異物を捕獲することで、効果的に水から異物を捕獲することができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、高さ方向において、上から順に、貯水タンク、浄化装置、フィルタおよびポンプが配置されている。
貯水タンクが高所に配置されることで、重力を利用して、ユーザはユーザ用給水管から容易に水を取り出すことができる。
そして、水浄化装置の中で浄化装置が貯水タンクに最も近い位置に配置されるので、貯水タンクと浄化装置との間、すなわち返送路での水頭を小さく抑えることができる。これにより、返送路、すなわち水の流れ方向に見て、浄化装置における気液混合器の下流側において、水頭に起因する圧力損失を小さく抑えることができる。そのため、気液混合器によるオゾンの水への混合効率の低下を抑制することができる。つまり、浄化装置による水の浄化効率の低下を一層抑制することができる。
【0019】
また、浄化装置は、水浄化装置において上方に配置されるので、ユーザの目線位置の近傍に浄化装置を配置する構成が可能となり、浄化装置の操作性を向上させることができる。そして、フィルタを、ユーザの目線位置の近傍にある浄化装置の下側に配置することで、フィルタへのアクセスが容易となり、たとえば、フィルタのメンテナンスに係る操作性を向上させることができる。
【0020】
さらに、比較的重量物であるポンプをフィルタよりも低い位置、つまり水浄化装置の下部に配置することで水浄化装置の姿勢を安定させることができる。
また、浄化装置、フィルタおよびポンプを高さ方向に並べて配置することで、設置面積の低減を図ることができる。
請求項4記載の発明によれば、このフィルタにおいて、異物を捕獲する本体部は、上下方向に長手(縦長)であり、長手方向に水を通過させる。そのため、本体部では、たとえば、水平方向に水を通過させる場合と比べて、水の通過距離を長くすることができ、異物の捕獲効率を高めることができる。
【0021】
また、本体部を縦長とすることで、本体部において異物を実際に捕獲する砂や活性炭といった捕獲部材を、上方に隙間が設けられるように、高さ方向に重ねて本体部に装填することができる。これにより、本体部のメンテナンスにおいて本体部全体を振ると、上述した隙間を利用して捕獲部材が攪拌される。そのため、捕獲部材が捕獲した異物が捕獲部材から除去され、捕獲部材の性能を容易に回復させることができる。つまり、いわゆる逆洗(本体部において水を逆流させて捕獲部材から異物を除去すること。)が不要となり、逆洗のための構成を省いて水浄化装置を簡易に構成することができる。
【0022】
そして、このフィルタでは、収容部が、本体部に対して、その上方から着脱され、装着時には本体部に外嵌される。これにより、本体部のメンテナンスにおいて、収容部を本体部から離脱させることで本体部が露出され、本体部に容易にアクセスすることができるので、フィルタを容易にメンテナンスすることができる。
請求項5記載の発明によれば、フィルタが浄化装置よりも手前側に配置されているので、フィルタの上方には障害物がなく、フィルタの収容部を、本体部に対して、その上方から円滑に着脱することができる。
【0023】
請求項6記載の発明によれば、フィルタの本体部には、その長手方向寸法の1/10〜3/4に相当する量の砂または活性炭(捕獲部材という。)が装填されるので、それ以外の部分では適度な隙間を形成することができる。これにより、本体部のメンテナンスにおいて本体部全体を振ると、上述した隙間を利用して、捕獲部材が良好に攪拌される。そのため、捕獲部材が捕獲した異物が捕獲部材から効果的に除去され、捕獲部材の性能を良好に回復させることができる。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、ポンプからフィルタまでの間は、水の流れ方向に見て、フィルタの上流側に位置するので、フィルタの目詰りに起因する圧力損失の影響を最も受け易い領域である。つまり、水浄化装置において、ポンプからフィルタまでの間を流れる水の圧力を検知することで、その他の領域の水の圧力を検知する場合に比べて、フィルタの目詰りを正確に判断することができる。
【0025】
また、制御装置は、ポンプからフィルタまでの間を流れる水の圧力が第1の所定値に到達するとポンプの駆動を停止させるので、水の圧力が第1の所定値を超えてさらに上昇することを防止でき、装置の安全性を向上させることができる。
そして、制御装置は、ポンプの駆動停止時から上述した水の圧力が第2の所定値へ低下するまでの経過時間が所定時間を超えると、フィルタの目詰りを判断する。つまり、この水浄化装置では、水の圧力と上述した経過時間を監視することで、複雑な構成を用いずに、容易にフィルタの目詰りを判断することができる。
【0026】
さらに、制御装置は、フィルタの目詰りを判断すると、水浄化装置全体の作動を停止させるので、装置の安全性を確保しつつ、ユーザにフィルタの目詰りを確実に報知することができる。
請求項8記載の発明によれば、制御装置は、上述した経過時間に応じて、貯水源と水浄化装置との間を循環する水の循環流量を推測する。つまり、複雑な構成を用いずに、上述した経過時間を用いて簡易に循環流量を推測することができる。
【0027】
また、制御装置は、この循環流量に応じて、オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間(オゾン発生時間)を変更させる。たとえば、循環流量が低い場合は、気液混合器での水の流速も低いので、気液混合器によるオゾンの水への混合効率が低下する。そのため、制御装置は、この混合効率の低下を補償するために、オゾン発生量を増大させる、またはオゾン発生時間を延長させる。このように、気液混合器によるオゾンの水への混合効率、すなわち水の浄化効率が循環流量に応じて変動することを簡易に抑制し、水浄化装置の水浄化性能を一定に維持することができる。
【0028】
請求項9記載の発明によれば、制御装置は、ポンプの駆動を停止させてから水の圧力が第2の所定値まで低下すると、その時から所定の遅延時間が経過した後にポンプの駆動を再開させる。これに対し、水の圧力が第2の所定値まで低下してからすぐにポンプの駆動を再開させる場合では、ポンプにチャタリングが生じるため、チャタリング防止のためのバッファータンクを備えなければならない。しかしながら、本発明では、制御装置が、水の圧力が第2の所定値まで低下した時から所定の遅延時間が経過した後に、ポンプの駆動を再開させるので、バッファータンクを用いなくても、再開時におけるポンプのチャタリングを防止することができる。そのため、水浄化装置を簡易に構成することができる。
【0029】
請求項10記載の発明によれば、制御装置は、所定期間内においてポンプの駆動を停止させた回数が所定回数に到達すると、フィルタの目詰りを判断し、水浄化装置全体の作動を停止させる。つまり、未だ使用できる状態にあるフィルタが早期に交換されるような無駄を省いてフィルタを効果的に使用することができつつ、装置の安全性を向上させることができる。
【0030】
また、水浄化装置全体の作動を停止させることで、ユーザにフィルタの目詰りを確実に報知することができる。
請求項11記載の発明によれば、制御装置は、上述した所定期間内におけるポンプの駆動停止回数に応じて、貯水源と水浄化装置との間を循環する水の循環流量を推測する。つまり、複雑な構成を用いずに、上述したポンプの駆動停止回数を用いて簡易に循環流量を推測することができる。
【0031】
また、制御装置は、この循環流量に応じて、オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間(オゾン発生時間)を変更させる。たとえば、循環流量が低い場合は、気液混合器での水の流速も低いので、気液混合器によるオゾンの水への混合効率が低下する。そのため、制御装置は、この混合効率の低下を補償するために、オゾン発生量を増大させる、またはオゾン発生時間を延長させる。このように、気液混合器によるオゾンの水への混合効率、すなわち水の浄化効率が循環流量に応じて変動することを簡易に抑制し、水浄化装置の水浄化性能を一定に維持することができる。
【0032】
請求項12記載の発明によれば、流量センサにより、貯水源と水浄化装置との間を循環する水の循環流量を正確に検知することができる。
また、制御装置は、流量センサが検知した循環流量に応じて、オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間(オゾン発生時間)を変更させる。たとえば、循環流量が低い場合は、気液混合器での水の流速も低いので、気液混合器によるオゾンの水への混合効率が低下する。そのため、制御装置は、この混合効率の低下を補償するために、オゾン発生量を増大させる、またはオゾン発生時間を延長させる。このように、気液混合器によるオゾンの水への混合効率、すなわち水の浄化効率が循環流量に応じて変動することを、流量センサを用いて確実に抑制し、水浄化装置の水浄化性能を一定に維持することができる。
【0033】
請求項13記載の発明によれば、湿度センサにより、オゾン発生装置の周囲の湿度を正確に検知することができる。オゾン発生装置は、電極の放電によりオゾンを発生させるものが一般的であるので、周囲の湿度が高くなると、電極が湿気を帯びることでオゾンの発生効率が低下する。つまり、オゾン発生装置の周囲の湿度は、オゾン発生効率すなわち水の浄化効率に影響を与えるものである。
【0034】
そして、制御装置は、湿度センサが検知したオゾン発生装置の周囲の湿度に応じて、オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間(オゾン発生時間)を変更させる。たとえば、オゾン発生装置の周囲の湿度が高い場合は、オゾン発生効率が低いので、制御装置は、この発生効率の低下を補償するために、オゾン発生装置の出力を増加させる、またはオゾン発生時間を延長させる。このように、水の浄化効率がオゾン発生装置のオゾン発生効率に応じて変動することを、湿度センサを用いて確実に抑制し、水浄化装置の水浄化性能を一定に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
<全体構成>
図1は、この発明の一実施形態に係る水浄化装置1の構成例を示すシステム図である。なお、方向について言及する場合には、図示した方向矢印を参照する(他の図においても同様とする。)。
【0036】
この発明の水浄化装置1は、主として家庭用であり、この水浄化装置1を家屋2に設置する場合、図1に示すように、貯水タンク3を、家屋2の屋根と略同じ高さに、たとえば、専用に組んだ鉄塔などの上に設置し、貯水タンク3よりも低い位置に水浄化装置1が配置される。詳しくは、水浄化装置1において、ユーザが操作する頻度が多い浄化装置4、フィルタ5およびポンプ6は、家屋2に隣接して配置されている。浄化装置4、フィルタ5およびポンプ6といった、水浄化装置1の構成部材については、以降で詳説する。
【0037】
貯水タンク3には、水源7(たとえば、井戸や河川など)から水(被浄化水)を汲み出すためのタンク用ポンプ8を含む貯水管9が接続されており、タンク用ポンプ8の駆動力により、貯水管9を介して貯水タンク3内に水が溜められる。また、貯水タンク3は、その上面を開放することで雨水が自然に溜められる構成であってもよい。
水浄化装置1は、ポンプ6から延びる吸込管10と、浄化装置4から延びる浄水給水管11(返送路)とを介して、貯水タンク3に連結されている。なお、吸込管10および浄水給水管11も、水浄化装置1の構成部材である。
【0038】
そのため、後述するように、貯水タンク3内の水は、ポンプ6の駆動力により、吸込管10を介して水浄化装置1内へと汲み出され、水浄化装置1によって浄化された後に、浄水給水管11を介して貯水タンク3へ戻される。つまり、貯水タンク3と水浄化装置1との間で、貯水タンク3内の水が、浄化されながら循環される。このように、貯水タンク3内の水が浄化循環されるため、貯水タンク3には浄水を生活水として溜めておくことができる。
【0039】
また、貯水タンク3には、貯水タンク3から下方に延び、途中で屈曲して家屋2の内部に延びるユーザ用給水管12の一端が接続され、ユーザ用給水管12の他端側には蛇口13が設けられている。上述したように、貯水タンク3は、比較的高所に配置されているので、ユーザが蛇口13を開いてユーザ用給水管12の他端側を開放すると、貯水タンク3内の水が、重力によって、ユーザ用給水管12を介して蛇口13まで到達する。そのため、ユーザは、たとえば、汲み出しポンプなどの特別な装置を設けずとも、蛇口13を開くという簡単な操作をするだけで貯水タンク3内の水を容易に取り出すことができる。
<水浄化装置>
図2は、水浄化装置1を前側上方かつ右側から見た斜視図である。図3は、水浄化装置1を前側下方かつ右側から見た斜視図である。図4は、水浄化装置1の正面図である。図5は、水浄化装置1の右側面図である。
【0040】
図2に示すように、水浄化装置1は、上述した浄化装置4、フィルタ5、ポンプ6、吸込管10および浄水給水管11と、原水給水管14(導入路)、設置台15および設置壁16とを備えている。水浄化装置1におけるこれらの構成部材のうち、浄化装置4、フィルタ5、ポンプ6、吸込管10、浄水給水管11および原水給水管14は、貯水タンク3と水浄化装置1との間を循環する水の循環流路を構成するものである。具体的には、水の循環(流れ方向)に見て、順に、吸込管10、ポンプ6、原水給水管14、浄化装置4および浄水給水管11が直列配置される。フィルタ5は、原水給水管14の途中に介挿される。一方、設置台15および設置壁16は、浄化装置4、フィルタ5、ポンプ6、吸込管10、浄水給水管11および原水給水管14を所定の位置に支持するためのものである。
【0041】
以下に、各構成部材について説明する。
設置台15は、縦長の中空直方体状に形成されており、底面の4つ角には、下方へ突出する脚17がそれぞれ設けられている。各脚17が地面に接することで、設置台15は安定して設置される。なお、各脚17の長さは個別に調節可能であり、平坦でない地面でも、各脚17の長さを調節することで設置台15の姿勢を安定させることができる。また、設置台15の前側壁は、開閉自在な扉18となっており、これを開放すると設置台15の内部が露出され、内部のメンテナンスを行うことができる。
【0042】
設置壁16は、設置台15の上側壁の後端部から上方に延びる縦長の薄板状に形成されている。
設置台15および設置壁16は、これらを一体として側面から見ると、略椅子形状をなし、水浄化装置1の骨格部分を構成している。
浄化装置4は、左右方向に長い略直方体形状に形成されており、設置壁16の前側面の上端部に配置されている。浄化装置4には、その外殻をなす筐体19の左側面側から原水給水管14が接続され、筐体19の右側面側から浄水給水管11が接続されている。また、筐体19の前側面には、操作パネル20が設けられており、操作パネル20上の各種ボタンを操作することで、浄化装置4を含む水浄化装置1全体の運転を制御することができる。なお、操作パネル20の地面からの高さは、たとえば、約150cmであり、操作パネル20は、一般的なユーザの目線位置の近傍に配置されている。そのため、操作パネル20を含め、浄化装置4全体の操作性を向上させることができる。そして、筐体19の右側面、詳しくは、浄水給水管11と浄化装置4との接続部分よりも上方の位置には、電源スイッチ21が設けられている。電源スイッチ21は、浄化装置4の電源のON/OFFのみならず、操作パネル20やポンプ6を含めた水浄化装置1の全ての電装部品の電源をON/OFFするためのものである。なお、この電源スイッチ21と上述した電装部品とをつなぐワイヤーハーネスなどの配線系統は、設置壁16内部に収容されている。なお、浄化装置4の内部に配置される部品については、以降で詳説する。
【0043】
フィルタ5は、たとえば、上下寸法が約50cmの縦長円筒状に形成された砂フィルタ22および活性炭フィルタ23で構成されており、設置台15の上側壁の上面に、右から順に砂フィルタ22および活性炭フィルタ23が並べて配置されている。フィルタ5は、側面視において、浄化装置4よりも手前側に配置されており(図5参照)、その上端は、浄化装置4の底面に対して僅かに下方に位置している。つまり、フィルタ5は、ユーザの目線位置の近傍にある浄化装置4の下側に位置するので、フィルタ5へのアクセスが容易となり、たとえば、フィルタ5のメンテナンスに係る操作性を向上させることができる。砂フィルタ22および活性炭フィルタ23については、以降で詳説する。
【0044】
ポンプ6は、設置台15内部の右下端部に配置されている。ポンプ6は、比較的重量物であるので、このポンプ6をフィルタ5よりも低い位置、つまり水浄化装置1の下部に配置することで水浄化装置1の姿勢を安定させることができる。そして、このポンプ6は、インペラ(図示せず)と、このインペラを回転させるためのモータ(図示せず)と、圧力センサ37と、バッファータンク38とを備えている。ポンプ6は、上述したように吸込管10に接続され、後述するように、原水給水管14にも接続されている。そのため、モータ(図示せず)の駆動によってインペラ(図示せず)が回転されると、吸込管10側の水がインペラ(図示せず)に吸い込まれ、原水給水管14側へと吐出される。圧力センサ37は、吐出側流路圧力、つまり原水給水管14(詳しくは、後述する上流管24)での水の圧力が、所定の上限値(第1の所定値)以上になるとONし、所定の下限値(第2の所定値)未満になるとOFFするセンサである。バッファータンク38は、ポンプ6の駆動(インペラの回転)の開始時に生じるチャタリング(駆動の不連続)を解消するためのものである。
【0045】
吸込管10は、貯水タンク3(図1参照)から下方に延び、設置台15の右側壁を、その前側下端部位置で貫通して設置台15内部に延び、その後に後側へ屈曲してポンプ6に接続されている。
原水給水管14は、設置台15内部に配置され、複数の屈曲部を有しており、その途中には、水の流れ方向に見て、上述した砂フィルタ22および活性炭フィルタ23が順に介挿されている。ここで、説明の便宜上、原水給水管14において、砂フィルタ22よりも上流側の部分を上流管24とし、砂フィルタ22と活性炭フィルタ23との間の部分を中流管25とし、活性炭フィルタ23よりも下流側の部分を下流管26とする。
【0046】
上流管24は、ポンプ6から上方へ延び、設置台15の上壁の手前で前後に分岐する。上流管24において、分岐位置から前側へ延びる部分は、上流管24の本流として、途中で屈曲して上方へ延び、設置台15の上側壁を貫通して砂フィルタ22に接続される。一方、上述した分岐位置で後側へ延びる部分(上流管支流部分28とする。)は、設置台15の後側壁の手前で屈曲して左側へ延び、そして再度屈曲してから下方に延びた後、さらに屈曲して前側に延び、後述する中流管支流部分30および下流管支流部分31に合流する。上流管支流部分28において、上述した分岐位置近傍には、上流切替バルブ33が介挿されている。上流切替バルブ33を開くと、上流管24と上流管支流部分28とが連通する一方で、上流切替バルブ33を閉じると、上流管24と上流管支流部分28との間が遮断される。なお、水浄化装置1の通常動作状態では、上流切替バルブ33は閉じられている。
【0047】
中流管25は、砂フィルタ22から下方に延び、設置台15の上側壁を貫通してから屈曲して左側に延びる。その後、中流管25は、その本流として引き続き左側へ延びる部分と、下方へ延びる部分(中流管支流部分30とする。)とに分岐する。中流管25は、設置台15の左側壁の手前で屈曲して上方へ延び、設置台15の上側壁を貫通して活性炭フィルタ23に接続される。中流管支流部分30は、下方に延びてから屈曲して左側へ延び、設置台15の左側壁を貫通して、機外に設けられた排水口(図示せず)に連結される。また、上述したように、中流管支流部分30の途中には、上流管支流部分28および下流管支流部分31が合流される。中流管支流部分30において、中流管25との分岐位置近傍には、中流切替バルブ34が介挿されている。中流切替バルブ34を開くと、中流管25と中流管支流部分30とが連通する一方で、中流切替バルブ34を閉じると、中流管25と中流管支流部分30との間が遮断される。なお、水浄化装置1の通常動作状態では、中流切替バルブ34は閉じられている。
【0048】
図3に示すように、下流管26は、活性炭フィルタ23から下方に延びて設置台15の上側壁を貫通し、引き続き下方へ延びる部分(下流管支流部分31とする。)と、本流として後側へ延びる部分とに分岐する。下流管支流部分31は、途中で屈曲して後側へ延び、上述したように、上流管支流部分28および中流管支流部分30に合流する。一方、下流管26は、図5に示すように、後側へ延びてから屈曲して上方へ延び、設置台15の上側壁を貫通してから浄化装置4の底面の手前までさらに上方へ延びる。そして、図4に示すように、下流管26は、さらに屈曲ながら浄化装置4の左側面に回りこみ、浄化装置4に接続される。また、図2に示すように、下流管支流部分31において、下流管26との分岐位置近傍には、下流切替バルブ35が介挿されている。下流切替バルブ35を開くと、下流管26と下流管支流部分31とが連通する一方で、下流切替バルブ35を閉じると、下流管26と下流管支流部分31との間が遮断される。なお、水浄化装置1の通常動作状態では、下流切替バルブ35は閉じられている。
【0049】
このような原水給水管14において、上流切替バルブ33、中流切替バルブ34および下流切替バルブ35を閉じられた状態では、上流管24、中流管25および下流管26と、砂フィルタ22および活性炭フィルタ23とが連通している。そのため、ポンプ6が駆動されると、ポンプ6によって汲み出された水は、上流管24、中流管25および下流管26(原水給水管14)と、その途中の砂フィルタ22および活性炭フィルタ23とを通って、浄化装置4へ導入される。一方、上流切替バルブ33、中流切替バルブ34および下流切替バルブ35を開くと、さらに、上流管24、中流管25および下流管26と、対応する上流管支流部分28、中流間支流部分30および下流管支流部分31とがそれぞれに連通する。これにより、砂フィルタ22および活性炭フィルタ23内の水や上流管24、中流管25および下流管26内の水を、中流管支流部分30を介して、上述した排水口(図示せず)へと排出すること(水抜き)ができる。なお、原水給水管14では、水の流れ方向に見て、上流管24における上述した分岐位置よりも上流側の位置と、下流管26における上述した分岐位置よりも下流側の位置(図5参照)には、メインバルブ36がそれぞれ介挿されている。そのため、水抜きをするときには、予め各メインバルブ36を閉じて、ポンプ6および浄化装置4側から原水給水管14内に水が不用意に浸入しないようにする。
【0050】
浄水給水管11は、上述したように浄化装置4の右側面から右側へ延びた後に屈曲し、上方の貯水タンク3に接続される。
<浄化装置>
図6は、浄化装置4の内部の正面側斜視図である。図7は、浄化装置4の内部構成を説明するためのシステム図である。なお、図7では、説明の便宜上、一部を抜き出して拡大表示している。
【0051】
図6に示すように、筐体19内には、水平方向へ延びる遮断壁39が設けられ、遮断壁39によって、筐体19の内部空間は、上側の電装品領域40と下側の水路領域41とに区画されている。
電装品領域40には、オゾン発生装置42および制御部43(制御装置)が筐体19の奥側(つまり後側)に配置されている。水路領域41には、オゾン混合器44(気液混合器)および連結管45(まとめて水路46とする。)が、筐体19の手前側(つまり前側)に配置されている。
【0052】
オゾン発生装置42は、その内部に放電素子回路(図示せず)および電極板(図示せず)を有しており、制御部43と電気的に接続されている。
図7に示すように、オゾン発生装置42には、筐体19外の空気をオゾン発生装置42内に吸い込むための吸気管48、吸気管48に挿入されたフィルタ49、オゾン供給管50、および、オゾン供給管50に挿入された逆止弁51が設けられている。具体的には、吸気管48は、オゾン発生装置42の吸気口52に接続され、オゾン供給管50は、オゾン発生装置42の排気口53に接続されている。制御部43によってオゾン発生装置42がONにされると、吸気口52からオゾン発生装置42内に取り込まれた空気に対し、電極板(図示せず)で放電(たとえば、沿面放電、無声放電など)されることにより、オゾンが生成される。吸気口52から流入する空気に含まれる塵埃は、フィルタ49によって捕獲されるため、オゾン発生装置42に塵埃が混入して、放電素子(図示せず)や電極板(図示せず)が破損することを防止することができる。発生されたオゾンは、オゾン供給管50を介してオゾン混合器44へ供給される。
【0053】
制御部43は、上述したオゾン発生装置42だけでなく、電源スイッチ21や操作パネル20(図2参照)などにも電気的に接続されている(制御部43と電気的に接続される電装部品については、以降で詳説する。)。
図6に示すように、連結管45は、左右方向に略水平に延びる円管であり、その左端部は、筐体19の左側面から外部に露出されて原水給水管14に接続されている。連結管45の右端部は、オゾン混合器44の後述する流入口47に接続されている。
【0054】
オゾン混合器44は、その左端に水の流入口47、右端に水の流出口54を有する水流路55を備えている。
図7に示すように、水流路55は、その途中が絞られ、内径が狭くされた絞り部56を有している。また、絞り部56には、気体通路57が接続されている。気体通路57は、その途中に逆止弁58を有し、その下方に3方分岐59を有している。3方分岐59の側方に開口した入口60(拡大図参照)には、オゾン発生装置42から延びるオゾン供給管50が接続されている。具体的には、オゾン供給管50は、オゾン発生装置42から下方に延びて、遮断壁39に形成された貫通穴71を貫通した後、斜め右側下方へ延びてオゾン混合器44の入口60に接続されている(図6参照)。そのため、オゾン発生装置42からのオゾンが入口60を介して気体通路57内に流入する。また、気体通路57の上端には、出口61が開口されており、気体通路57は、出口61を介して、絞り部56に対してT字状に連通している(拡大図参照)。
【0055】
水流路55も、連結管45と同様に、左右方向に略水平に延びるように形成されている。そのため、水路46は、全体として左右方向に略水平に延びるように形成され、水は、左側から右側へ向かって流れる。そして、流入口47から水流路55内に流入する水は、絞り部56においてその流速が増す。この流速の増した水の流れによって、絞り部56内は負圧になるので、この負圧により、気体通路57内に流入したオゾンは、出口61から水流路55内へ吸い込まれ、たとえば、直径が50μm以下の超微細気泡(いわゆるマイクロバブル)として水に混入される。このように、水流路55に絞り部56を設けてベンチュリ構造にすると、たとえば、ブロアなどの装置を設けず、絞り部56内の水の流れにより発生する負圧を利用して、水流路55内にオゾンを効率的に取り込むことができる。
【0056】
そして、浄化装置4においてオゾン混合器44でオゾンが混合され、オゾンによる除菌・殺菌が行なわれて浄化された水(浄化水)は、浄水給水管11を流れ、貯水タンク3に戻される。なお、浄化水中の残存オゾンを、たとえば、オゾン脱臭カラム(図示せず)によって分解してもよい。これによって、浄化水中にはオゾンが存在せず、ユーザは安心して浄化水を使用することができる。もちろん、オゾン脱臭カラムを用いなくても、貯水タンク3に溜められた状態で、浄化水中の残存オゾンは自然分解されるので、ユーザが使用するときに浄化水中にオゾンが存在することはない。
【0057】
水流路55に接続された気体通路57には、逆止弁58が介挿されている。逆止弁58は、気体通路57内を下から上へ流れる流れ(特にオゾンの流れ)は許容するが、上から下へ流れる流れ(特に水の流れ)を防止するためのものである。これにより、水流路55からの水が3方分岐59およびオゾン供給管50を介してオゾン発生装置42内に浸入することが防止される。つまり、水の浸入によってオゾン発生装置42のオゾン発生効率が低下されることが防止される。
【0058】
3方分岐59には、上述した入口60の他に、下方に向かって開口された排水口62が備えられており、排水口62には、気体通路57へ浸入した水を排水するための排水管63が接続されている(拡大図参照)。
排水管63は、3方分岐59から下方に伸びており、その途中には、オゾン供給中に、排水管63を通って空気が流入することを抑制するためのドレン弁64が設けられている。また、排水管63の下端の出口には、出口から流れ出る水を受けるための水受け皿65が備えられている。
【0059】
排水管63は、気体通路57に浸入した水を外部に排水するためのものである。上述したように、気体通路57には逆止弁58が介挿されているため、通常時、気体通路57に浸入した水は、逆止弁51によって塞き止められるが、時間の経過と共に逆止弁51から漏れ出した水が、3方分岐59を経て、排水管63へ流れ落ちる場合がある。たとえそのような場合であっても、排水管63が設けられているので、逆止弁51で塞き止めることができなかった水を外部に排水することができる。
【0060】
ドレン弁64は、オゾン供給中に、排水管63の水の流れ方向とは逆方向に空気が流入することを抑制するための弁である。これにより、オゾン供給中において、外部の空気が排水管63を介して気体通路57内に侵入してオゾンの濃度を薄めることが防止される。
水受け皿65は、その内部が、水受け皿65の周面壁の高さより低い仕切り壁66によって2つの部屋に仕切られており、その2つの部屋の一方の部屋が、排水管63の出口から排水される水を受ける水受け室67であり、他方の部屋が、水受け室67から仕切り壁66を超えて溢れ出した水が入ってくる溢水室68である。排水管63の出口から排水された水は、いったん水受け室67で受けられ、その水位が仕切り壁66の高さ以下の場合には、溢水室68に溢れ出さず、時間の経過と共に蒸発する。一方、その水位が仕切り壁66の高さを超える場合には、その超えた分が、溢水室68に溢れ出す。溢れ出した水は、溢水室68に設けられた排出管69を介して、筐体19から外部に排出される。
【0061】
また、水受け皿65の周面壁の、仕切り壁66の上端部よりやや低い位置には、水漏れセンサ70が設けられている。水漏れセンサ70は、水受け室67に溜められた水の水位が、所定水位以上であると検知するとONし、それ以外の場合にはOFFするセンサである。水漏れセンサ70のON/OFF信号は、制御部43へ与えられるようになっており、水漏れセンサ70がONして所定の時間経過すると、制御部43は、ポンプ6およびオゾン発生装置42をOFFし、排水管63から水受け室67に排出される水の量を調整する。
【0062】
以上より、この水浄化装置1では、水の流れ方向に見て、浄化装置4よりも上流側にフィルタ5が設けられている。これに対し、浄化装置4よりも下流側にフィルタ5が設けられる構成では、フィルタ5に目詰りが生じた場合、浄化装置4におけるオゾン混合器44の下流側で圧力損失が生じ、オゾン混合器44でのオゾンの吸込量が低下する。そのため、オゾン混合器44によるオゾンの水への混合効率、すなわち、浄化装置4による水の浄化効率が低下するおそれがある。しかし、本発明では、浄化装置4よりも上流側にフィルタ5が設けられているので、オゾン混合器44は、フィルタ5の目詰りに起因する圧力損失の影響を受けることがなく、オゾン混合器44によるオゾンの水への混合効率の低下を抑制することができる。つまり、浄化装置4による水の浄化効率の低下を抑制することができる。
【0063】
また、この水浄化装置1では、高さ方向において、上から順に、貯水タンク3、浄化装置4、フィルタ5およびポンプ6が配置されているので、水浄化装置1の中で浄化装置4が貯水タンク3に最も近い位置に配置される。そのため、貯水タンク3と浄化装置4との間、すなわち浄水給水管11での水頭を小さく抑えることができる。これにより、浄水給水管11、すなわち水の流れ方向に見て、浄化装置4におけるオゾン混合器44の下流側において、水頭に起因する圧力損失を小さく抑えることができる。そのため、オゾン混合器44によるオゾンの水への混合効率の低下を抑制することができる。つまり、浄化装置4による水の浄化効率の低下を一層抑制することができる。また、浄化装置4、フィルタ5およびポンプ6を高さ方向に並べて配置することで、設置面積の低減を図ることができる。
<フィルタ>
図8は、フィルタ5の砂フィルタ22および活性炭フィルタ23の共通の構成を説明するための分解斜視図である。図9は、砂フィルタ22および活性炭フィルタ23の側断面図である。
【0064】
図8に示すように、砂フィルタ22および活性炭フィルタ23は、それぞれ、ベース部75、外ケース76および内ケース77を備えている。
ベース部75は、設置台15の上側壁において、外ケース76および内ケース77を支持するものである。ベース部75は、取付部78、内ケース支持部79および外ケース支持部80を一体的に備えている。取付部78は、平面視正方形状の薄板状に形成されている。平面視における取付部78の中心位置には、取付部78を肉厚方向に貫通する取出穴81が形成され、取出穴81から所定距離を隔てた位置には、取付部78を肉厚方向に貫通する取込穴82(図9参照)が形成されている。また、平面視における取付部78の4つ角には、ねじ穴がそれぞれ形成されている。内ケース支持部79は、取出穴81を円中心として、取付部78の上面から上方に突出する環状に形成されている。取込穴82は、内ケース支持部79の径外に位置している(図9参照)。外ケース支持部80は、取出穴81を円中心として、取付部78の上面から上方に突出する環状に形成されている。外ケース支持部80は、内ケース支持部79よりも大径であり、取込穴82は、外ケース支持部80の径内に位置している(図9参照)。外ケース支持部80の外周面には、ねじ部が形成されている。砂フィルタ22および活性炭フィルタ23の各ベース部75は、取付部78のねじ穴に挿通したねじによって、設置台15の上側壁において対応する位置に固定されている(図2参照)。
【0065】
外ケース76は、砂フィルタ22および活性炭フィルタ23のそれぞれの外郭を形成するものであり、外ケース支持部80とほぼ等しい外径を有し、上下方向両端が開口され、上下方向に長手の中空円筒状に形成されている。外ケース76の上端部には、大キャップ84が、接着などによって外嵌されており、上述した外ケース76の上端の開口部は大キャップ84によって塞がれている。ここで、外ケース76と大キャップ84とが収容部として機能する。外ケース76の大部分は、透明または半透明の樹脂等で形成されており、それ以外の部分、詳しくは、外ケース76の下端部は、その内周面にねじ部が形成されている。このねじ部を上述した外ケース支持部80のねじ部に噛み合わせることにより、外ケース76が縦長の姿勢でベース部75に組み付けられる(図9参照)。
【0066】
内ケース77は、内ケース支持部79とほぼ等しい外径を有し、かつ外ケース76と上下方向における長さがほぼ等しく、上下方向両端が開口された中空円筒状に形成されている。内ケース77は、不透明の樹脂等で形成されており、上下方向両端部には、キャップ83が、接着によってそれぞれ外嵌されている。ここで、内ケース77と、内ケース77の上下方向両端部に外嵌された2つのキャップ83とが本体部として機能する。キャップ83において、内ケース77の上下方向両端の各開口に対向する部分には、網が張られており、網目を介して、内ケース77の内部は、外部に連通している。内ケース77の下端側のキャップ83を内ケース支持部79に内嵌することにより、内ケース77が縦長の姿勢でベース部75に組み付けられる(図9参照)。
【0067】
上述したように、外ケース76は、内ケース77よりも大径なので、図9に示すように、外ケース76は、ベース部75に取り付けられた状態で、内ケース77に外嵌された状態、換言すれば内ケース77を内部に収容した状態となる。この状態において、外ケース76の内周面と内ケース77の外周面との間には、径方向において等しい間隔が設けられている。つまり、外ケース76の内周面と内ケース77の外周面との間には、環状の隙間が形成されている。なお、砂フィルタ22および活性炭フィルタ23において、各部品の組付け部分はシールされており、内部は液密的に保たれている。
【0068】
外ケース76が内ケース77に外嵌された状態において、大キャップ84は、内ケース77の上端縁に対して当接せず、つまり上方に間隔を隔てている。そのため、上述した外ケース76の内周面と内ケース77の外周面との間の隙間と内ケース77の上端面とは連通している。
砂フィルタ22において、取込穴82には、原水給水管14の上流管24が接続され、取出穴81には、中流管25の一端が接続される。活性炭フィルタ23において、取込穴82には、中流管25の他端が接続され、取出穴81には、下流管26が接続される。そのため、砂フィルタ22および活性炭フィルタ23のそれぞれにおいて、取込穴82から流入した水は、外ケース76の内周面と内ケース77の外周面との間の隙間を通って外ケース76内を上昇する。そして、外ケース76内を上昇した水は、大キャップ84に対向することでその進路が径方向内側へと変更されることにより、内ケース77の上端側のキャップ83の上述した網目を介して内ケース77内に進入し、内ケース77内を下降する。内ケース77内を下降して、内ケース77の下端側のキャップ83まで到達した水は、このキャップ83の上述した網目を介してさらに下降し、取出穴81から原水給水管14(砂フィルタ22においては中流管25、活性炭フィルタ23においては下流管26)へ流入する。
【0069】
砂フィルタ22において、内ケース77には砂(たとえば、マンガン砂)が装填されている。また、活性炭フィルタ23において、内ケース77には活性炭が装填されている。砂および活性炭(以下では、まとめて捕獲部材ということがある。)の装填量は、ともに、内ケース77の上下方向寸法の1/10〜3/4に相当する量である。つまり、砂フィルタ22および活性炭フィルタ23において、内ケース77の上部には、隙間が形成されている(図示破線矢印参照)。なお、各内ケース77に外嵌されたキャップ83の上述した網目は、砂および活性炭よりも細かくなるように設定されている。そのため、各内ケース77に装填された砂および活性炭が、その内ケース77から漏れ出すことはない。
【0070】
砂フィルタ22において、砂が装填された内ケース77を通過する水は、その砂によって、酸化により固化した鉄分やマンガン成分が捕獲される。なお、この砂がマンガン砂である場合は、固化していない鉄分やマンガン成分の捕獲も可能である。また、活性炭フィルタ23において、活性炭が装填された内ケース77を通過する水は、その活性炭によって、砂フィルタ22を通過した水に残留するフミン酸などの有機物が捕獲される。一般的に、固化した鉄分やマンガン成分は、有機物よりも大きい異物であるので、このフィルタ5では、水の流れ方向に見て、大きい異物を先に捕獲してから小さい異物を捕獲することで、効果的に水から異物を捕獲することができる。そして、これらの異物が除去された水が浄化装置4へ送られるので、浄化装置4における水の浄化効率を向上させることができる。また、異物を捕獲する各内ケース77は、上下方向に長手(縦長)であり、長手方向に水を通過させるので、内ケース77では、たとえば水平方向に水を通過させる場合と比べて、水の通過距離を長くすることができ、異物の捕獲効率を高めることができる。そして、内ケース77を縦長とすることで、上述した捕獲部材を、上方に隙間が設けられるように、高さ方向に重ねて内ケース77に装填することができる。
【0071】
砂フィルタ22および活性炭フィルタ23において長時間水が通過すると、それぞれに装填された砂および活性炭には上述した異物が付着する。特に、内ケース77内における上述した隙間には、異物が堆積される。所定量以上の異物が付着すると、砂および活性炭の異物捕獲性能が低下するため、定期的に砂フィルタ22および活性炭フィルタ23のそれぞれをメンテナンスする必要がある。その場合、図3に示すように、水浄化装置1の作動を停止させた状態で、先ず、原水給水管14の各メインバルブ36(図5も併せて参照)を閉じる。そして、上流切替バルブ33、中流切替バルブ34および下流切替バルブ35を開いて、砂フィルタ22および活性炭フィルタ23内の水抜きをおこなう。これにより、内ケース77内の水と、上述した外ケース76の内周面と内ケース77の外周面との間の隙間にある水とが共に機外へ排出される。そして、外ケース76の下端部のねじ部と外ケース支持部80のねじ部との噛み合いを解除し、大キャップ84と一体で、外ケース76を縦長の姿勢で上方に移動させる(図3の砂フィルタ22を参照)。外ケース76が内ケース77から離脱されると、内ケース77が外部に露出される(図3の活性炭フィルタ23を参照)。外部に露出された内ケース77を掴んで内ケース支持部79(図8参照)から取り外し、この内ケース77を、たとえば、水中に漬けた状態で振る。これにより、各内ケース77内における捕獲部材は、装填状態において予め設けられた隙間(図9の破線矢印参照)を利用して攪拌され、付着した異物が除去される。
【0072】
このように、外ケース76を内ケース77から離脱させることで内ケース77が露出され、内ケース77に容易にアクセスすることができるので、フィルタ5を容易にメンテナンスすることができる。
また、上述したように、フィルタ5の各内ケース77は、その長手方向寸法の1/10〜3/4に相当する量の砂または活性炭が装填することで、上述した隙間を、捕獲部材が良好に攪拌されるのに適した大きさに形成することができる。そのため、メンテナンスにおいて内ケース77全体を振ると、捕獲部材が捕獲した異物が捕獲部材から効果的に除去され、捕獲部材の性能を簡易かつ良好に回復させることができる。また、内ケース77全体を振ることで捕獲部材の性能を回復させることにより、いわゆる逆洗(内ケース77において水を逆流させて捕獲部材から異物を除去すること。)が不要となり、逆洗のための構成を省いて水浄化装置1を簡易に構成することができる。
【0073】
メンテナンスが終了すると、上述した取り外しとは逆の手順で内ケース77および外ケース76がベース部75に取り付ける。外ケース76は、ベース部75に取り付けられた内ケース77に対して、その上方から装着される。上述したように、フィルタ5は、浄化装置4よりも手前側に配置されているので、フィルタ5の上方には障害物がなく、外ケース76を、内ケース77に対して、その上方から円滑に着脱することができる。
<水浄化装置の制御>
水浄化装置1では、上述した制御部43によって、動作が制御される。図10は、水浄化装置1の電気的構成を示すブロック図であって、この発明に関連する部分を示した図である。
【0074】
制御部43は、たとえば、マイクロコンピュータなどで構成されており、CPU90と、ROM91と、RAM92と、タイマ93とを備えている。ここで、タイマ93は、水浄化装置1での各動作時間を計測するものである。また、制御部43は、操作パネル20、オゾン発生装置42、ポンプ6、水漏れセンサ70、圧力センサ37および電源スイッチ21と、それぞれ電気的に接続されている。
【0075】
操作パネル20には、ユーザに対して各種表示を行なうための電源LED95、オゾンLED96および異常LED97や、上述した各種ボタンなどがそれぞれ設けられている。
水浄化装置1の運転制御では、ユーザによる操作パネル20の各種ボタンの操作に応じて、制御部43の制御により、オゾン発生装置42が動作されてオゾンを発生し、さらにポンプ6が駆動されて水浄化装置1内を水が流れる。これによって、水浄化装置1内を流れる水にオゾンが混合され、水の浄化運転が行なわれる。これに併せて、電源LED95およびオゾンLED96が点灯されることで、浄化運転中であることがユーザに報知される。また、フィルタ5の目詰りが生じると異常LED97が点灯し、フィルタ5のメンテナンスを促す旨がユーザに報知される。
【0076】
次に、フィルタ5の目詰りに係る制御について説明する。
図11は、フィルタ5の目詰り検知に係る制御のフローチャートである。上述したように、砂フィルタ22および活性炭フィルタ23において長時間水が通過すると、それぞれに装填された砂および活性炭では、異物が付着することで異物捕獲性能が低下する。さらに、付着した異物によって砂フィルタ22および活性炭フィルタ23では目詰りが生じる。フィルタ5において目詰りが生じると、水浄化装置1と貯水タンク3との間を循環する水の流速(循環流量)が低下する。そして、フィルタ5の目詰りの度合いがひどくなると、水が循環しなくなり、さらに、フィルタ5よりも上流側、具体的には、浄水給水管11の上流管24(図2参照)において局部的に水圧が上昇し、上流管24が破裂する不具合が生じ得る。
【0077】
このような不具合を未然に防ぐために、制御部43は、以下に述べる目詰り検知制御を行う(図11とともに図10も併せて参照)。
目詰り検知制御は、水浄化装置1の運転制御と同期して行われる。目詰り検知制御において、制御部43は、先ず、タイマ93の計測データをリセットする(ステップS1)。そして、制御部43は、ポンプ6を駆動(ON)させ、かつ、オゾン発生装置42を動作(ON)させて、水の浄化運転を実施する(ステップS2)。圧力センサ37が検知する上流管24内(ポンプ6からフィルタ5までの間)の水圧が所定の上限値未満であれば(ステップS3のYES)、制御部43は、浄化運転を継続する。一方、上述した水圧が上昇して上限値に到達すると(ステップS3のNO)、制御部43は、タイマ93による時間計測を実施する(ステップS4)。また、制御部43は、ポンプ6の駆動およびオゾン発生装置42の動作を停止(OFF)させて浄化運転を中止する(ステップS5)。浄化運転の停止により水浄化装置1内では水が流れなくなるので、上流管24において上昇していた水圧は、徐々に低下する。この水圧が所定の下限値まで低下しない場合は(ステップS6のNO)、制御部43は、浄化運転を中止した状態で、引き続き、水圧を監視する。一方、この水圧が、下限値に到達すると(ステップS6のYES)、制御部43は、その到達時点でタイマ93による時間計測を中止する(ステップS7)。そして、タイマ93が計測した時間、つまり水圧が上限値に到達して浄化運転を中止した時から、その後水圧が低下して下限値に到達した時までの経過時間が所定時間を超えると(ステップS8のYES)、制御部43は、フィルタ5が目詰りしたと判断し、異常LED97を点灯させ、電源スイッチ21をOFFにする(ステップS9)。これにより、水浄化装置1全体の動作が停止される。この状態においても、異常LED97は継続して点灯している。一方、上述した経過時間が所定時間を超えていないと(ステップS8のNO)、制御部43は、浄化運転が1回中止されたという情報をRAM92に記憶させる(ステップS10)。そして、制御部43は、RAM92を参照し、所定期間内において浄化運転中止の累積回数が所定回数に到達したのであれば(ステップS11のNO)、フィルタ5が目詰りしたと判断し、ステップS9の処理を実施する。なお、この累積回数は、フィルタ5のメンテナンスが行われるとリセットされる。一方、この累積回数が所定回数に到達していないのであれば(ステップS11のYES)、制御部43は、フィルタ5が目詰りしていないと判断し、水圧が下限値に到達した時点を基準として所定の遅延時間だけ待機し、浄化運転の中止状態を維持する(ステップS12)。そして、遅延時間が経過した後、制御部43は、ステップS1に戻り、目詰り検知制御を継続する。これにより浄化運転も再開される。
【0078】
このようなフィルタ5の目詰り検知において、フィルタ5の目詰りに起因する圧力損失の影響を最も受け易い領域である上流管24内を流れる水の圧力を検知することで、その他の領域の水の圧力を検知する場合に比べて、フィルタ5の目詰りを正確に判断することができる。そして、水の圧力と上述した経過時間を監視することで、複雑な構成を用いずに、容易にフィルタ5の目詰りを判断することができる。
【0079】
また、制御部43は、上述した圧力が上限値に到達するとポンプ6の駆動を停止させるので、水の圧力が上限値を超えてさらに上昇することを防止でき、装置の安全性を向上させることができる。さらに、制御部43は、フィルタ5の目詰りを判断すると、水浄化装置1全体の作動を停止させるので、装置の安全性を確保しつつ、ユーザにフィルタ5の目詰りを確実に報知することができる。
【0080】
また、浄化運転を再開する場合、制御部43は、水の圧力が下限値まで低下した時から所定の遅延時間が経過した後に、ポンプ6の駆動を再開させるので、上述したバッファータンク38を用いなくても、このようなマイコン制御だけで、再開時におけるポンプ6のチャタリングを防止することができる。そのため、水浄化装置1を簡易に構成することができる。
【0081】
また、制御部43は、所定期間内において浄化運転停止回数(ポンプ6の駆動停止回数)が所定回数に到達すると、フィルタ5の目詰りを判断し、水浄化装置1全体の作動を停止させるので、未だ使用できる状態にあるフィルタ5が早期に交換されるような無駄を省いてフィルタ5を効果的に使用することができつつ、装置の安全性を向上させることができる。
【0082】
そして、制御部43は、先程の経過時間に応じて水浄化装置1と貯水タンク3との間を流れる水の循環流量を推測し、浄化運転を再開するときには、推測した循環流量に応じて、オゾン発生装置42のオゾン発生量を変更させる。具体的には、循環流量が低い場合は、オゾン混合器44での水の流速も低いので、オゾン混合器44によるオゾンの水への混合効率が低下する。そのため、制御部43は、この混合効率の低下を補償するために、オゾン発生量を増大させる、またはオゾン発生装置42の運転時間(オゾン発生時間)を延長させる。オゾン発生量を増大させる、またはオゾン発生時間を延長させるための手段として、たとえば、オゾン発生装置42の上述した電極板(図示せず)に適用されるデューティー比を増大させて、電極板での放電量を増大させる。
【0083】
このように、複雑な構成を用いずに、上述した経過時間を用いて簡易に循環流量を推測することができ、また、循環流量が低い場合には、オゾン発生量を増大させる、またはオゾン発生時間を延長することで、オゾン混合器44によるオゾンの水への混合効率、すなわち水の浄化効率が循環流量に応じて変動することを簡易に抑制し、水浄化装置1の水浄化性能を一定に維持することができる。
【0084】
また、上述した経過時間に代え、上述した所定期間内における浄化運転中止の累積回数に応じて循環流量を推測してもよい。これにより、経過時間と同様に、複雑な構成を用いずに、上述したポンプ6の駆動停止回数を用いて簡易に循環流量を推測することができ、水の浄化効率が循環流量に応じて変動することを簡易に抑制し、水浄化装置1の水浄化性能を一定に維持することができる。
【0085】
もちろん、推測に代え、流量センサ(図示せず)を用いて実際の循環流量を検知してもよい。これにより循環流量を正確に取得することができ、水の浄化効率が循環流量に応じて変動することを確実に抑制し、水浄化装置1の水浄化性能を一定に維持することができる。
また、オゾン発生装置42は、上述したように、電極板(図示せず)の放電によってオゾンを発生させるものであるので、オゾン発生装置42の周囲の湿度が高くなると、電極板が湿気を帯びることでオゾンの発生効率が低下する。つまり、オゾン発生装置42の周囲の湿度は、オゾン発生効率、すなわち水の浄化効率に影響を与えるものといえる。そこで、水浄化装置1は、オゾン発生装置42の周囲の湿度を検知する湿度センサ(図示せず)を備え、制御部43は、湿度センサ(図示せず)が検知したオゾン発生装置42の周囲の湿度に応じて、オゾン発生装置42のオゾン発生量または運転時間(オゾン発生時間)を変更させる。たとえば、オゾン発生装置42の周囲の湿度が高い場合は、オゾン発生効率が低いので、制御部43は、この発生効率の低下を補償するために、上述したデューティー比増大などの手段により、オゾン発生装置42の出力を増加させる、または、オゾン発生時間を延長させる。このように、水の浄化効率がオゾン発生装置42のオゾン発生効率に応じて変動することを、湿度センサを用いて確実に抑制し、水浄化装置1の水浄化性能を一定に維持することができる。
【0086】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、この発明に係る水浄化装置1の構成を、風呂水を利用して洗濯を行なう洗濯機などおける、風呂水の浄化処理などに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明の一実施形態に係る水浄化装置1の構成例を示すシステム図である。
【図2】水浄化装置1を前側上方かつ右側から見た斜視図である。
【図3】水浄化装置1を前側下方かつ右側から見た斜視図である。
【図4】水浄化装置1の正面図である。
【図5】水浄化装置1の右側面図である。
【図6】浄化装置4の内部の正面側斜視図である。
【図7】浄化装置4の内部構成を説明するためのシステム図である。
【図8】フィルタ5の砂フィルタ22および活性炭フィルタ23の共通の構成を説明するための分解斜視図である。
【図9】砂フィルタ22および活性炭フィルタ23の側断面図である。
【図10】水浄化装置1の電気的構成を示すブロック図であって、この発明に関連する部分を示した図である。
【図11】フィルタ5の目詰り検知に係る制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1 水浄化装置
3 貯水タンク
4 浄化装置
5 フィルタ
6 ポンプ
11 浄水給水管
12 ユーザ用給水管
14 原水給水管
22 砂フィルタ
23 活性炭フィルタ
37 圧力センサ
42 オゾン発生装置
43 制御部
44 オゾン混合器
76 外ケース
77 内ケース
83 キャップ
84 大キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被浄化水の貯水源から水を汲むためのポンプと、
オゾンを発生するオゾン発生装置、および前記オゾン発生装置が発生するオゾンを水に混合するための気液混合器を有し、水を浄化するための浄化装置と、
前記ポンプで汲まれる水を前記浄化装置へ導入するための導入路と、
前記導入路の途中に設けられ、前記導入路を通過する水に含まれる異物を捕獲するためのフィルタと、
前記浄化装置で浄化された浄水を前記貯水源へ戻すための返送路と、を含むことを特徴とする、水浄化装置。
【請求項2】
前記フィルタは、水の流れ方向に見て、砂で異物を捕獲するための砂フィルタと、活性炭で異物を捕獲するための活性炭フィルタと、を順に備えていることを特徴とする、請求項1記載の水浄化装置。
【請求項3】
前記貯水源は、生活水を溜める貯水タンクを含み、
前記貯水タンクには、前記貯水タンクの水を取り出すためのユーザ用給水管が備えられ、
前記貯水タンクは、前記ユーザ用給水管が開けられたときに重力で水が出るように高所に配置され、
前記浄化装置は、前記貯水タンクよりも低い位置に配置され、
前記フィルタは、前記浄化装置の下側に配置され、
前記ポンプは、前記フィルタよりも低い位置に配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載の水浄化装置。
【請求項4】
前記フィルタは、
上下方向に長手であり、その長手方向に水を通過させて異物を捕獲する本体部と、
前記本体部に対して、前記本体部の上方から着脱され、装着時には前記本体部に外嵌されて、前記本体部を内部に収容する収容部と、
を備えていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水浄化装置。
【請求項5】
前記フィルタは、前記浄化装置よりも手前側に配置されていることを特徴とする、請求項4記載の水浄化装置。
【請求項6】
前記本体部には、その長手方向寸法の1/10〜3/4に相当する量の砂または活性炭が装填されていることを特徴とする、請求項4または5記載の水浄化装置。
【請求項7】
前記ポンプから前記フィルタまでの間を流れる水の圧力を検知するための圧力センサと、
前記圧力センサが検知した圧力が第1の所定値に到達すると、前記ポンプの駆動を停止させ、前記ポンプの駆動停止時から、前記第1の所定値より低い第2の所定値へ前記圧力が低下するまでの経過時間が所定時間を超えると、前記フィルタが目詰りしたと判断し、前記水浄化装置全体の作動を停止させる制御装置と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の水浄化装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記経過時間に応じて、前記貯水源と前記水浄化装置との間を循環する水の循環流量を推測し、前記循環流量に応じて、前記オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間を変更させることを特徴とする、請求項7記載の水浄化装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記ポンプの駆動を停止させてから前記圧力が前記第2の所定値まで低下すると、前記圧力が前記第2の所定値になってから所定の遅延時間が経過した後に前記ポンプの駆動を再開させることを特徴とする、請求項7または8記載の水浄化装置。
【請求項10】
前記制御装置は、所定期間内において前記ポンプの駆動を停止させた回数が所定回数に到達すると、前記フィルタが目詰りしたと判断し、前記水浄化装置全体の作動を停止させることを特徴とする、請求項9記載の水浄化装置。
【請求項11】
前記制御装置は、所定期間内において前記ポンプの駆動を停止させた回数に応じて、前記貯水源と前記水浄化装置との間を循環する水の循環流量を推測し、前記循環流量に応じて、前記オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間を変更させることを特徴とする、請求項9記載の水浄化装置。
【請求項12】
前記貯水源と前記水浄化装置との間を循環する水の循環流量を検知するための流量センサと、
前記流量センサが検知した循環流量に応じて、前記オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間を変更させる制御装置と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の水浄化装置。
【請求項13】
前記オゾン発生装置の周囲の湿度を検知する湿度センサと、
前記湿度センサが検知した湿度に応じて、前記オゾン発生装置のオゾン発生量または運転時間を変更させる制御装置と、を含むことを特徴とする、請求項1記載の水浄化装置。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−104962(P2008−104962A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290775(P2006−290775)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】