説明

水素貯蔵および一体型燃料電池アセンブリ

水素は、温度に依存した速度で、水素を吸収し脱着する材料内に貯蔵される。1または2以上の水素吸蔵材料を、燃料電池スタック(120)と熱的に接近して設置することができるように、ハウジング(111)が設けられる。この配置は、燃料電池スタック(120)および水素貯蔵ユニット(200)を交互に有し、水素吸蔵材料と燃料電池スタック(120)の間で熱整合させることができる。また、本発明では、一つのユニット内に異なる材料を混合することで、水素の供給を調整することができる。高効率ユニットの場合、必要に応じて、断熱材が設置される。一組の水素貯蔵ユニットによって取り囲まれた一つの燃料電池スタック(120)を有する、個々の電力モジュール(1420)によって、車両または他の電力消費装置(1400)に電力を分散させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に水素貯蔵に関し、特に水素貯蔵装置と、燃料電池のような水素消費装置を含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池を電力発生手段および輸送手段用に使用した場合、従来の燃焼系システムとは異なり、効率的で比較的環境に優しい装置が提供される。大部分の燃料電池は、水素で作動するため、水素貯蔵ユニットは、燃料電池の重要な部材であり、この部材により、必要な際に、燃料電池に水素を供給することができる。水素は、大気条件下では気体であり、体積エネルギー密度が小さいため、そのような水素を貯蔵することは、容易ではない。標準状態での気体の体積エネルギー密度を超える体積エネルギー密度で、水素を保管することが可能な水素貯蔵技術を提供することに関して、多くの研究がなされている。また、水素貯蔵装置は、経済的であり、軽量であることが重要であり、燃料電池を汚染したり、燃料電池の作動に影響を及ぼしたりせず、さらに容易に再充填することができる必要がある。
【0003】
水素を貯蔵するある装置は、10,000psi(69MPa)程度の圧力で作動するように提供される。一つの問題は、特に高圧下において、水素が容易に金属を通過して拡散してしまうことであり、この場合、可燃または爆発の危険が生じる。多くのタンク容器材料は、高圧条件では、長期間にわたって水素の拡散を防ぐことはできない。また、通常高圧タンク容器は、重くて重厚になりやすく、これは、特に輸送用途では、大きな問題となる。また、高圧で貯蔵された水素は、気体の圧縮エネルギーの破壊的な放出に関連した、安全上の危険を伴う。
【0004】
別の装置では、水素は、極低温域で液体として貯蔵される。これらの装置は、極めて扱いにくく、水素の液体化に関する、極めて重大なエネルギー上の欠点を有する。これは、液体水素は、20Kの温度に維持する必要があるため、通常の環境下で生じる水素の揮発に関する効率および安全上の問題を含んでいるからである。
【0005】
水素を貯蔵するさらに別の装置は、水素を吸蔵する材料を含み、この材料は、吸着によって水素を吸蔵する。このような材料の一例は、水素を格子間化合物として、水素と化学的に結合する、マグネシウムおよびマグネシウム系合金の水素化物、または水素化物とアミド/イミドの複合材のような、水素含有化合物である。例えば、金属水素化物は、水素を吸収して、水素を気体として放出し得る固体を生成する。また水素は、分子状水素の物理吸着によって貯蔵されても良く、例えば、炭素および金属有機骨格の高表面積材料に物理吸着される。また、水素は、他の化合物と反応して水素を放出する水素含有化合物内に貯蔵されても良い。この種の材料の一例には、水と反応するNaBHを使用することができる。これらの材料の場合、水素の貯蔵に、必ずしも高圧および高温は必要ではないが、提案されている水素吸蔵材料系の多くは、全般に、水素ガスシステムおよび液体貯蔵システムよりも重く、重量が問題となる。
【0006】
また、燃料電池と金属水素化物の間の熱の取り扱いも問題となる。通常、燃料電池は、周囲温度よりも高い温度で作動され、これにより排熱が生じる。水素化物は、その使用状態に応じて、熱を発生させたり、熱を吸収したりする。従って、例えば、通常の金属水素化物による水素の吸収は、発熱反応であるため、これにより水素化物が加熱され、通常の水素の脱離は、吸熱反応であるため、これにより水素化物が冷却されることになる。また、通常の場合、吸収および脱離の速度は、温度とともに上昇する。安全上の面から、この挙動は、好ましい。すなわち、水素化物からの水素発生によって、水素化物の温度が抑制され、これにより、水素の更なる脱離が抑制されるからである。しかしながら、多量の水素が必要な場合、熱を燃料貯蔵ユニットに供給して、高い脱離速度を維持しなければならなくなる。金属水素化物、および他の多くの水素吸蔵材料に関する別の問題は、通常の場合、脱離には、水素内の利用可能な化学エネルギーの約1/6が必要となり、燃料電池−金属水素化物システムから利用できる電力が減少してしまうことである。
【0007】
近年、水素貯蔵に関して、新たな分類の複合材料が提案されている。本願では、これらの材料を「分解再結合材料」または「D−R材料」と称するが、これらの材料は、分解する際には水素を放出して、水素を含まない異なる化学量論を有する、他の化合物または元素になるのに対して、水素吸収時には可逆的に再結合して、元の化合物になる材料である。例えば、アルカリ土類アルミニウム水素化物(アラネート)があり、NaAlHは、NaAl、AlおよびHに分解する際に水素を放出し、MgFeHは、MgH、FeおよびHに分解する際に水素を放出する。
【0008】
D−R材料は、従来の金属水素化物に比べて、より少ない材料量で、単位体積当たりにより多くの水素を貯蔵することができるが、D−R材料の使用に関しては、いくつかの問題がある。まず、D−R材料の床から、水素の吸収および発生を行う場合、金属水素化物の場合と同様、水素の十分な流束を得るには、床に向かう十分な熱流束が必要となり、充填の際には、水素の急速な吸収のために、床からの十分な熱流束が必要となる。第2に、D−R材料には、従来の金属水素化物燃料貯蔵ユニットよりも高い温度、すなわち80℃以上の温度が必要となる。高温が必要となるのは、反応プロセスの速度、およびD−R材料の分解成分の拡散に関連した速度のためである。すなわち、例えばアラネートNaAlHの場合、一部のAlおよび/またはNa種は、原子スケールでは長い距離を拡散する必要がある。一方、例えば、金属合金を含む金属水素化物の場合、分解は不要である。固体/気体反応においては、室温での反応種の拡散は遅く、温度が上昇するとより急速となる。従って、熱を考慮した場合、水素を吸蔵するD−R材料床を使用することは、一部制限される。
【0009】
これまでの水素化物を用いた従来の燃料電池システムにおける熱の取り扱いは、熱輸送媒体を使用するものであり、これにより必要な熱輸送が可能となる。例えば、従来のシステムでは、燃料電池と燃料貯蔵ユニットの間で水が循環される。これには、いくつかの問題がある。まず一つは、水を循環させるため、システムに複雑性が追加され、システムのコストおよびエネルギーの面で不利になることである。第2に、水は、燃料電池および燃料貯蔵ユニットに対して腐食性であり、さらにいくつかの水素化物は、水と容易に反応してしまうことである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
燃料電池システムの水素貯蔵能の向上を実現するためには、1または2以上の以下の問題を解決しなければならない。まず、燃料電池−水素貯蔵システムの貯蔵および供給の要求を満たすことができるように、水素吸蔵材料を通る熱流束を十分に大きくする必要がある。第2に、燃料電池および水素吸蔵材料の温度を、最適な特性が得られるレベルに維持する必要がある。第3に、水素貯蔵ユニットを、経済的で、現在の燃料電池貯蔵ユニットよりも少ない補助的な電力で済むようにすることである。また、その他の要望を満たす必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、水素吸蔵材料へのおよび水素吸蔵材料からの改良された熱輸送が可能な水素貯蔵を提供することにより、従来の課題を克服する。本発明のある実施例では、水素吸蔵材料は、内部空間内でセグメント化されており、これにより水素吸蔵能を調整することができ、材料の交換を容易に行うことができる。
【0012】
本発明のある態様では、水素を貯蔵する機器が提供される。当該機器は、ハウジングを有し、該ハウジングは、少なくとも一つの内部空間と、この内部空間とハウジングとをつなぐ少なくとも一つの通路とを有する。少なくとも一つの内部空間は、水素を吸蔵する第1の材料と、第1の材料よりも高い熱伝導率を有する第2の材料とを有する。ある実施例では、第1の材料は、水素を吸蔵する少なくとも2つの材料を含む。別の実施例では、第2の材料は、燒結金属、金属発泡剤および金属ウールからなる群から選定される。さらに別の実施例では、さらに内部空間は、可撓性ダイアフラムの形状を取り得るスプリングを有する。さらに別の実施例では、多孔質材料が水素の流束を抑制するフィルタとなり、この材料が気体流束を妨げる機能を果たす。水素吸蔵材料は、空間内で混合されても良く、あるいは異なる内部空間に隔離されても良い。
【0013】
本発明の別の態様では、燃料電池と水素吸蔵材料の間で熱整合(matching)が改良された燃料電池水素貯蔵システムが提供される。
【0014】
本発明のさらに別の態様では、複数の水素貯蔵ユニットの間に交互に設置された、複数の燃料電池スタックが提供される。
【0015】
本発明のある態様では、水素で作動する燃料電池スタックと、水素を貯蔵する少なくとも一つの内部空間、および前記少なくとも一つの内部空間から前記燃料電池スタックまでの通路を有し、前記燃料電池スタックの一つの側の相当部分で熱接触する、少なくとも一つのハウジングと、を含む機器が提供される。前記少なくとも一つの内部空間から燃料電池スタックに水素を放出させるための熱は、少なくとも一部が前記燃料電池スタックから生じた熱によって提供される。ある実施例では、燃料電池スタックおよびハウジングの少なくとも一部が、断熱材によって取り囲まれる。別の実施例では、ハウジングによって、気体を循環するギャップが提供され、燃料電池スタックおよびハウジングからの熱輸送が制御される。
【0016】
本発明の別の態様では、水素で作動する燃料電池スタックと、水素を貯蔵する少なくとも一つの内部空間、および前記少なくとも一つの内部空間から前記燃料電池スタックまでの通路を有し、前記燃料電池スタックの一つの側の相当部分で熱接触する、少なくとも一つのハウジングと、前記燃料電池および前記少なくとも一つのハウジングからの熱輸送を制御する装置とを含む機器が提供される。前記少なくとも一つの内部空間から燃料電池スタックに水素を放出するための熱は、少なくとも一部が前記燃料電池スタックで生じた熱の熱伝導によって提供される。
【0017】
本発明のさらに別の態様では、2または3以上の電力モジュールを有する電力システムが提供される。電力モジュールの各々は、前記2または3以上の電力モジュールの他の少なくとも一つと電気的に接続される。前記電力モジュールの各々は、水素で作動する燃料電池スタックと、水素を貯蔵する1または2以上の内部空間、および前記1または2以上の内部空間から前記燃料電池まで、放出された水素を供給する出口を有し、前記燃料電池と熱接触する、少なくとも一つのハウジングとを有する。水素を放出するための熱は、少なくとも一部が前記燃料電池スタックから生じる熱の熱伝導によって提供される。電力モジュールは、電力の必要な装置に電力を供給するため、相互に配線されても良い。
【0018】
これらの特徴物、ならびに以下の詳細な説明から当業者に明らかな各種補助的提供物および特徴物は、本発明の実行装置によって得られ、その実施例は、一例としてのためだけに示された添付図面を参照することにより説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面内の同じ参照符号は、ある部品、態様または特徴が、複数の図面において共通していることを示している。
【0020】
図1には、本発明の一体型水素−電力発生システム100の第1の実施例の概略的な斜視図を示す。システム100は、水素貯蔵アセンブリ10と、燃料電池アセンブリ20とを有し、アノード107およびカソード109に、電気的接続を提供する。システム100の水素は、燃料供給配管101によって提供され、水素は、燃料貯蔵アセンブリ10に制御可能に提供される。システムの酸化剤は、酸化剤供給配管103によって提供される。ある実施例では、酸化剤は、空気中の酸素であり、この場合、酸化剤供給配管103には、加圧大気が供給される。燃料と酸化剤との反応で生じた排出生成物、主に水および排気ガスまたは未反応ガスは、排出配管105を介してシステム100から除去される。
【0021】
燃料供給配管101から燃料貯蔵アセンブリ10への水素の流束は、1または2以上のバルブ102によって制御される。本発明のある実施例では、単一のバルブ102によって、燃料貯蔵アセンブリ10に向かう全ての水素の流束が制御される。別の実施例では、燃料貯蔵アセンブリ10は、2または3以上の燃料貯蔵サブアセンブリに区画され、これらのサブアセンブリでは、異なるバルブ102によって流束が制御される。さらに別の実施例では、バルブ102は、非接続バルブであって、システム100は、例えば可動システム内に収容され、バッテリと同じ態様で使用される。
【0022】
燃料電池アセンブリ20は、これに限られるものではないが、高分子電解質膜型(PEM)燃料電池または固体酸化物型燃料電池のアセンブリであることが好ましい。あるいは、アセンブリ20内の燃料電池は、低温PEM型燃料電池、高温PEM型燃料電池、アルカリ電解質型燃料電池、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池またはこれらのいかなる組み合わせであっても良い。
【0023】
燃料貯蔵アセンブリ10および燃料電池アセンブリ20は、大きな接触表面積が得られるように配置される。特に、燃料貯蔵アセンブリ10は、参照符号110a、110b、110c、110dおよび110eで示された、いくつかの個々の燃料貯蔵ユニット110と、参照符号120a、120b、120cおよび120dで示された、いくつかの個々の燃料電池スタック120とを有する。燃料貯蔵ユニット110a、110b、110c、110dおよび110e、ならびに燃料電池スタック120a、120b、120cおよび120dは、各燃料電池スタックが2つの燃料貯蔵ユニットと接するように、交互に配置されている。従って、例えば、燃料電池スタック120aは、燃料貯蔵ユニット110 aと110bの間にある。燃料貯蔵アセンブリ10は、いかなる数の燃料貯蔵ユニット110を含んでも良く、燃料電池スタック120は、いかなる数の燃料電池を含んでも良い。
【0024】
燃料貯蔵ユニット110は、異なる種類であっても良く、燃料電池スタック120は、異なる種類であっても良く(例えば、高温PEM型および低温PEM型)、燃料電池の数は、同じであっても異なっていても良い。本発明のある実施例では、燃料貯蔵ユニット110b、110cおよび110dは、同じ「内部部材」であり、それぞれ2つの燃料電池スタック120と接しており、燃料貯蔵ユニット110aおよび110eは、同じ「エンド部材」であり、それぞれ1つの燃料電池スタック120とのみ接している。この配置では、小型の燃料貯蔵ユニット/燃料電池システムが得られ、燃料貯蔵ユニットと燃料電池の間の熱抵抗が小さくなる。また、この配置によって、自由表面積に対する燃料電池スタックと接触する燃料貯蔵ユニットの割合が増大し、燃料貯蔵ユニットと燃料電池スタックの間の熱輸送が増大する。
【0025】
以降に示すように、水素は、各燃料貯蔵ユニット110に供給され、酸化剤は、酸化剤供給配管103を介して各燃料電池スタック120に供給される。各燃料貯蔵ユニット110に貯蔵されている水素は、必要な際に、1または2以上の燃料電池スタック120によって導出される。特に、後に示すように、燃料電池スタック120は、溝を有しており、燃料貯蔵ユニット110からの燃料、および酸化剤供給配管103からの酸化剤は、各燃料電池スタック120の内部で電気化学的に反応し、この溝によって、水および排出ガスが排出配管105に誘導される。燃料電池スタックとシステムの間の電気的接続によって、アノード107とカソード109の間が電気的に接続される。
【0026】
通常の場合、本発明の燃料貯蔵ユニット/燃料電池システムは、少なくとも一つの個々の燃料貯蔵ユニット110と、一つの燃料電池120とを有する。一実施例では、システム100は、これに限られるものではないが、単一の燃料電池と接する単一の燃料貯蔵ユニット(おのおのがエンド部材);一つの燃料貯蔵ユニットエンド部材と、一つの燃料電池エンド部材とを有する、交互に等しい数の燃料貯蔵ユニットおよび燃料電池; 2つの燃料貯蔵ユニットエンド部材(図1に示す)または2つの燃料電池エンド部材を有し、交互に設置された燃料貯蔵ユニットと燃料電池;を有する。
【0027】
システム100は、任意部材として、図1に一部を除去した状態で示されている、断熱層130を有しても良く、これによりシステム100の熱の一部が保持される。断熱層130は、システム100の一部または全部を覆い、システム100の作動環境およびシステムの作動温度を最適にして、システム100からの熱損失を抑制する必要がある場合に提供される。
【0028】
図2には、図1の2−2線断面図を示す。この図には、燃料貯蔵ユニット110a、110bおよび110cと、燃料電池スタック120aおよび120bの分解図が示されている。図2には、本発明の特定の実施例として、燃料貯蔵ユニット110と燃料電池120の間の気体の移動が示されているが、本発明の範囲は、これに限定されるものではない。各燃料貯蔵ユニット110は、対応するハウジング111を有し、このハウジングは、水素吸蔵材料200を収容する開放空間219と、1または2以上の入口216と、1または2以上の出口215と、を有し、出口215は、燃料貯蔵ユニット110の一つと対面するそれぞれの面213上に設置されている。システム100を相互に保持するため、燃料貯蔵アセンブリ10と燃料電池アセンブリ20を横断するように、ボルト201が設置されている。ハウジング111は、金属であることが好ましく、これに限られるものではないが、アルミニウム、軽量金属合金等である。ハウジング111の別の実施例には、これに限られるものではないが、熱伝導性プラスチックおよび樹脂、固体カーボン、カーボンファイバ、複合材料、隣接する燃料電池スタック120と燃料貯蔵ユニット110の間に高い熱伝導性を提供する、真空または熱制御断熱構造が含まれる。
【0029】
水素吸蔵材料200は、水素を吸蔵する1または2以上の種類の材料であっても良く、これには、これに限られるものではないが、アミド、イミド、ナノチューブおよび他の吸着剤、ガラス微細球、化学的水素化物、液体または固体炭化水素ならびに化学的に反応する水素含有化合物が含まれる。本発明の範囲内で、水素吸蔵材料は、相変化、すなわち液体水素を利用しても良い。これらの材料の各々は、水素を脱着する際に熱を吸収する。従って、燃料貯蔵アセンブリ10への熱輸送によって、燃料貯蔵アセンブリ10により供給される水素量を制御することができる。
【0030】
より一般的には、本発明の範囲内の水素吸蔵材料200には、これに限られるものではないが、以下の個々の成分または成分の混合物が含まれる。すなわち、これに限られるものではないが、アラネート(アルカリ土類アルミニウム水素化物)を含む水素化物、ボロン水素化物、マグネシウム水素化物、これに限られるものではないが、希土類ニッケル水素化物またはアルミニウム水素化物を含む合金水素化物;これに限られるものではないが、アミド、イミド、金属水素化物、触媒、ならびに、これに限られるものではないが、構成成分と水素の発熱および吸熱化学反応によって、水素が吸収および放出される合金を含む水素含有化合物;これに限られるものではないが、活性炭素を含む炭素含有材料、カーボンナノファイバもしくはナノチューブ、金属有機骨格、または他の高表面積水素吸収材料;ガラス微細球;である。追加の水素吸蔵材料成分には、第2の化合物との発熱反応によって水素を放出する、水素含有化合物の混合物が含まれ、例えば、これに限られるものではないが、水と反応するボロン水素化物、およびアンモニアと反応するアルカリ土類アルミニウム水素化物がある。また、本発明の範囲の水素貯蔵には、圧縮気体状または液体状の水素を貯蔵する内部空間を用いることが含まれる。
【0031】
材料200の一つの種類は、これに限られるものではないが、アラネートのようなD−R材料、金属水素化物を含む水素化物であり、あるいは、異なる材料の混合物である。各ハウジング111は、以降に示すように、異なる量、組成の混合物を含み、また材料密度は、異なっていても良い。特に材料200は、例えば、ある材料の低温特性と、別の材料の高温特性とを組み合わせても良く、これによりいくつかの所望の温度依存特性、例えば、良好な低温始動特性を有する燃料貯蔵アセンブリ10が得られ、または追加の活性熱輸送器を使用せずに、一体型システムの熱の取り扱いを最適化することが可能となる。
【0032】
本発明のある実施例では、水素化物を混合することにより、あるいは空間間でこれらを分離することにより得られた複合水素化物を用いることにより、燃料貯蔵ユニットを迅速に充填させることができる。特に、一つの燃料貯蔵ユニット内の2または3以上の水素化物材料の混合物は、水素化物成分の熱力学的特性と速度論的な特性の間に、相乗的な整合が得られるように選定され、水素の充填時間が分のオーダーで有意に抑制される。例えば、RENi5−系水素化物のような希土類(RE)からの水素化物の等の低温水素化物を使用した場合、床を室温または室温近傍の温度にして、システムを充電することができる。水素化反応の熱は、貯蔵ユニットを介して伝達され、より高温でより良好な水素吸収特性を示す他の水素吸蔵材料の温度が上昇する。従って、低温水素化物の反応熱を用いて、他の水素吸蔵部材による吸収を促進することができる。ある別の実施例では、異なる材料または異なる材料混合物を収容する空間の間の水素の流束は、バルブを制御することにより静的または動的に制御される。
【0033】
別の実施例では、1または2以上の空間219に、液相アラネートが充填される。アラネートは、従来の水素化物とは異なり、低温(182℃)で溶融する。この実施例では、ハウジング111は、アラネートの分解を防ぐことが可能な十分に高い水素圧力で、床への水素化物の自由流束が可能となる温度に加熱される。例えば、融点が182℃のNaAlHアラネートの場合、水素分解圧力は、120気圧である。従って、高水素圧力下で、燃料貯蔵ユニットに溶融アラネートを担持させることにより、複雑なまたは多孔質な空間を水素吸蔵材料で充填することが容易となる。ある実施例では、アルミニウム発泡剤、または熱伝導性金属、炭素または複合構造を含む床が提供され、水素化物への熱輸送が改善される。これらの構造は、液相水素吸蔵材料を使用することにより、充填することができる。
【0034】
図2には、本発明の一実施例を示すが、この図は、PEM燃料電池スタックの分解図を示している。各燃料電池120a−120dは、同じ構造を有し、一組の対向する面121および123には、それぞれ開口127および129が設けられており、さらに各燃料電池120a−120dには、開口125が設けられている。開口127および129は、開口215と位置が揃えられており、各々は、一つの燃料貯蔵ユニット110から燃料電池への水素の経路を提供する。開口125は、酸化剤供給配管103に接続されている。あるいは、2または3以上の開口125を設けて、酸化剤を燃料電池スタック120に供給しても良い。
【0035】
各燃料電池スタック120は、水素と酸素の電気化学反応が生じる膜電解質アセンブリ(MEA)221と、集電およびガス分配が生じるバイポーラ板223との交互構造を有する。システム100の燃料電池/水素化物交互配置によって、各燃料貯蔵ユニットの材料200から、隣接する燃料電池に流束が提供される。従って、図2の実施例では、燃料電池120aは、燃料貯蔵ユニット110aの出口215aと位置が合わせされた開口127と、燃料貯蔵ユニット110bの出口215bと位置が合わせされた開口129とを有し、燃料電池120bは、燃料貯蔵ユニット110bの出口215aと位置が合わせされた開口127と、燃料貯蔵ユニット110cの出口215bと位置が合わせされた開口129とを有する。
【0036】
MEA221およびバイポーラ板223は、気体分散システムを形成する開口を有し、空気中の酸素が開口125から空間124に供給され、水素は、開口127および129から空間122に供給される。また、空間124は、端部124eを有し、この端部は、排出配管105と流体的に連通されている。従って、例えば、燃料貯蔵ユニット110aの表面213aと、燃料貯蔵ユニット110bの表面213bとによって、それぞれ、開口127および129を介して、空間122に水素が提供され、一方、空気中の酸素は、開口125から空間124に供給される。これらの気体分散システムは、ハウジング111またはこの目的用のセパレータ板と一体化しても良い。燃料電池120からの排出ガスには、MEA221から空間124に拡散してきた水素と酸素の結合の結果生じた水と、空気からの未使用成分、例えば窒素および未使用酸素とが含まれる。排出ガスは、空間124から回収され、端部124eを介して排出配管105に流通される。
【0037】
バイポーラ板223は、電荷をMEA221の間に輸送することができるため、面121のアノードと面123のカソードに電荷が提供される。隣接するMEA221とバイポーラ板223の間には、シール305が設置されており、気体が燃料電池120からリークすることが抑制される。数本のボルト210が燃料貯蔵ユニット110の穴(図示されていない)を貫通しており、ナット203または他の締付機構を用いて、システム100が相互に保持される。
【0038】
別の代替実施例では、選択触媒を含むMEAのアノードおよびカソードの双方の側に、水素またはメタノールが空気または酸化剤と混合された気体を供給する、混合燃料電池に使用する熱輸送のため、一体型燃料貯蔵ユニット/燃料電池スタック構造が使用される。
【0039】
システム100は、ハウジング111を隣接する燃料電池と電気的に接続させることにより、燃料貯蔵ユニット110を介して、燃料電池スタック120に電気的な接続を提供する。あるいは、ハウジング111は、燃料電池スタック120と電気的に絶縁されても良く、この場合、電気的な接触は、燃料電池スタックの端部に直接提供される。
【0040】
第2の実施例の燃料貯蔵ユニット310は、図1の3−3線断面図として、図3Aに示されている。図3Bは、材料200を含まない燃料貯蔵ユニットの断面図であり、図4は、4−4線の上面図であり、図5Aは、5−5線の上部断面図である。多くの実施例において、燃料貯蔵ユニット310は、全般に、本願に示した燃料貯蔵ユニット110の1または2以上の実施例と似通っているが、以下に示す点が異なっており、本願に示すように、燃料電池スタック120に水素を提供するために使用される。燃料貯蔵ユニット310は、ハウジング111に空間219を有する。ハウジングは、いくつかの円筒状空間303を有し、各々の空間は、カバー310を有し、通路305によって接続されている。図3A、3Bおよび5Aに示すように、通路305は、空間219を入口216と出口215とに接続し、円筒状空間303と接続された通路304、入口216まで延びる通路302、および出口215まで延びる通路306を有する。空間219をより小さな空間303に区画することによって、材料200を調整し、燃料貯蔵ユニット310内の熱輸送を改善することができる。
【0041】
ある実施例では、空間303は、円形断面を有する同様に定形された空間の配列であって、カバー301は、ネジプラグのように取り外し可能であることが好ましく、または溶接板であっても良い。円形の断面によって、高圧下での材料の担持に対して優れた強度が得られる。通路304および305は、空間303の全長に対して垂直に開口されたより小さな穴で形成され、これにより水素流束の経路が提供される。また、いくつかの円筒状空間に材料を区画することにより、燃料貯蔵ユニットを介して水素吸蔵材料の分布を制御することが助長され、さらに、例えば、水素化物の吸収−脱着の繰り返しにより機械的に劣化した使用済み材料の一部を置換することが容易になる。
【0042】
図5Bには、図3Aの5−5線の上部断面として、第3の実施例の燃料貯蔵ユニット310’が示されている。多くの実施例では、燃料貯蔵ユニット310’は、全般に、本願の燃料貯蔵ユニット110または310の1または2以上の実施例と同様であるが、以下の点が異なっており、本願に示したように、燃料電池スタック120に水素を供給する際に使用される。燃料貯蔵ユニット310’は、材料200−1および材料200−2で表された、2つの異なる水素貯蔵材料を収容する空間303を有し、これらの空間は、それぞれ異なる相互接続組を有する。すなわち、材料200−1を収容する各空間303は、通路302−1を介して水素供給側に接続され、通路306−1を介して出口215−1に接続されている。材料200−2を収容する各空間303は、通路302−2を介して水素供給側に接続され、通路306−2を介して出口215−2に接続されている。各通路302−1および302−2は、制御可能なバルブを有することが好ましく、これにより2つの異なる材料200−1および200−2に、水素を別個に制御して、流通させることが可能になる。
【0043】
第4の実施例の燃料貯蔵ユニット610は、3−3線の断面図として図6Aに示されている。また、図6Bには、図6Aの6B−6B線の上部断面図が示されている。多くの実施例において、燃料貯蔵ユニット610は、全般に、本願に示した燃料貯蔵ユニット110、310または310’の1または2以上の実施例と同様であるが、以下に示す点が異なっており、本願に示すように、燃料電池スタック120に水素を提供する際に使用される。燃料貯蔵ユニット610は、通路601と接続された円筒状空間603の2次元配列を有し、この配列は、ボルト201を受ける穴605を有する。燃料貯蔵ユニット310と同様、通路601は、全ての空間603を入口216および出口215に接続する。また、空間603は、異なる水素吸蔵材料を有し、これらは、200−1、200−2、200−3、200−4および200−5で表されている。
【0044】
ある実施例では、材料200は、異なる空間303または603に異なる水素化物を含み、これにより燃料貯蔵アセンブリ10の熱特性が調整される。すなわち、例えば、燃料貯蔵ユニット110は、いくつかの空間303または603を有し、これらの空間は、比較的低い温度で脱着する、AB5水素化物(MmNi)(ここでAは、強い水素化物を構成する元素を表し、Bは、弱い水素化物を形成する元素を表す)、AB(Ti,Fe,Mn)またはAB2(Ti,Zn,Mn,Fe)水素化物のような「室温」金属水素化物を収容し、他のサブ空間は、より多くの水素を含有し、より高温で水素を脱着するNaAlHおよびMgFeHを含む複合水素化物のようなD−R材料を収容する。あるいは、空間303または603のような1または2以上の空間は、同じ空間に混合水素化物を収容しても良い。ある実施例では、3分の2の空間303には、アラネートが提供され、残りの3分の1の空間には、これに限られるものではないが、AB2またはAB5が収容される。始動の際の水素は、室温水素化物から燃料電池に供給される。貯蔵システムの温度が上昇した際には、燃料電池の排熱を利用することによって、分解再結合材料からの水素の脱着速度が上昇し、これにより、より多くの貯蔵された水素が提供される。
【0045】
本発明の別の実施例では、高温での燃料電池の使用を可能にするため、第2の化合物との発熱反応によって、水素を放出する水素含有化合物の混合物を含む材料200が提供される。例えば、ボロン水素化物は、水と反応して水素および熱を放出する。この反応による熱の放出によって、周囲温度よりも高い温度に達するまで十分に作動しない、高温PEMおよび他の燃料電池を作動させることが可能となる。
【0046】
個々の空間303に材料200を充填させる配置には多くの方法があり、例えば、図7A乃至7Gの実施例には、それぞれ、水素化物充填物700A乃至700Gが示されている。通常の場合、これらの充填物は、燃料貯蔵ユニット内に材料200を保持したまま、燃料貯蔵ユニット110に、および燃料貯蔵ユニット110からの水素流束を提供するとともに、水素化物材料とハウジング111の間に、改善された熱輸送を提供する。本発明では、例えば、燃料貯蔵アセンブリ10内の充填物700A乃至700Eの1または2以上の組み合わせを用いて、例えば、同様のまたは異なる充填物を有する特定の燃料貯蔵アセンブリ内の個々の空間303が提供される。
【0047】
充填物700A(図7)では、材料200によって空間303が充填される。充填物700Bでは、通路304の近傍にフィルタ材料701が提供され、材料200が空間303から移動することが防止される。特に、充填物701aは、柱303内に設置され、充填物701bは、通路304内に設置される。あるいは、充填物701aおよび701bが、両方提供されても良い。充填材料701aは、多孔質焼結粉末のような溶融フィルタ、またはこれに限られるものではないが、ステンレス鋼、アルミニウム銅、真ちゅう、ガラス、アルミニウム酸化物もしくは他の酸化物の粗いウールであることが好ましい。充填材料701bは、これに限られるものではないが、ステンレス鋼、アルミニウム銅、真ちゅう、ガラス、アルミニウム酸化物もしくは他の酸化物を含む、溶融フィルタロッドであることが好ましい。また、充填材料701は、それぞれ、図7C乃至7Gに示すような、充填物700C乃至700Gに提供される。
【0048】
充填物700Cおよび700E(それぞれ、図7Cおよび7E)では、材料200を取り囲むようにフィルタ材料703が提供される(図7C)。フィルタ材料703は、これに限られるものではないが、材料701aまたは溶融円筒管を含む。充填物700Dおよび700Fでは、充填材料705は、これに限られるものではないが、溶融ロッド状の材料701aまたは701bであることが好ましい。
【0049】
また、充填物にスプリングを加えて、材料200の空間303の壁との接触を維持しても良く、これにより、水素吸蔵材料の移動および/または収縮が抑制される。水素化物は、水素吸収の際に膨張し、水素放出の際に収縮するため、空間303内では、多少の水素化物材料200の動きが生じる。この動きは、空間303の壁との熱接触の損失につながる。また、材料200は、収縮し、凝集しない場合は連結され、その後の水素吸収の際に、材料200が膨張して、空間303に大きな力が加わるようになる。これらの力によって、燃料貯蔵アセンブリ10が損傷する可能性がある。図7Eには、水素化物材料200の全長に沿って配置された、いくつかのスプリング707を有する充填物700Eを示すが、これにより、水素化物材料は、空間303の壁の方に押され、よりよい接触が生じ、空間303の壁に、追加の熱輸送が提供されるようになり、材料200の移動および収縮が回避されるとともに、水素吸収の際に、材料200が膨張する力が弱められる。スプリングの形状には、これに限られるものではないが、相互に反発し合う2枚の金属ディスクが含まれる。図7Fには、中央フィルタ705を収容する中央部分を貫通する穴に、スプリング709を有する充填物700Fを示す。図7Gには、別の充填物700Gが示されているが、この充填物は、粉末移動バリア繊維または発泡剤のような、材料711とともに分散された材料200を有し、これにより、追加の熱輸送が可能となり、材料の移動が抑制される。材料711の一例には、これに限られるものではないが、炭素、金属、金属コートされた酸化物繊維、発泡剤、ウールまたはフレークを含む、繊維、ウール、発泡剤が含まれる。
【0050】
図8Aおよび8Bには、例えば図2に示すようなシステム100の動作について、より詳しく示されている。図8Aは、水素を充填するシステムの詳細を示しており、図8Bは、電力を発生するシステムの詳細を示している。図8Aに示すように、システム100の充電を行う場合、バルブ102’が開かれ、水素源から燃料供給配管101を通って、高圧水素が各燃料貯蔵ユニット110に供給され、これが、材料200の圧力、温度および燃料貯蔵ユニットでの水素量に応じて、水素と反応する。燃料貯蔵ユニット110が充電されると、バルブ102’が閉じられる。システム100で電力を発生させるため、各燃料電池スタック120には、空気中の酸素、純酸素または別の酸化剤ガスが供給され、材料200の圧力、温度および燃料貯蔵ユニットの水素量に応じて、燃料貯蔵ユニット110から分離した水素が燃料電池スタック120に供給される。
【0051】
従来技術から明らかなように、前述のほとんどの材料を含む多くの水素吸蔵材料では、水素吸収は、発熱反応である。従って、燃料貯蔵ユニットへの水素の流通によって、水素吸蔵材料の温度が上昇し、あるいは、水素吸蔵材料の温度を維持するため、水素吸蔵材料からの熱流束が必要となる。水素吸蔵材料の水素放出は、吸熱反応である。従って、水素吸蔵材料からの水素放出によって、水素吸蔵材料の温度が低下し、あるいは水素吸蔵材料の温度を維持するため、水素貯蔵への熱流束が必要となる。通常の場合、吸収および脱着の速度は、温度依存性を示し、より高温では、速度がより大きくなる。従って、高速水素放出のためには、水素吸蔵材料に熱を提供することが好ましい。
【0052】
また、図8Aおよび8Bには、符号Qで、システム100内の燃料電池スタック120と燃料貯蔵ユニット110の間の熱の流れが示されている。示されている熱流束によって、システム100の特性が向上する。なお熱は、示された方向以外の他の方向に流れることは明らかであろう。ハウジング111は、これに限られるものではないが、金属、または材料200に良好な熱流束を提供する他の材料であることが好ましい。燃料貯蔵ユニット110の充電の際、材料200から熱が放出され、この熱は、水素化物材料200から燃料電池スタック120に流れ、燃料電池が加熱される(図8A)。電力を発生させるためのシステム100の作動時には、燃料電池内での水素と酸素の結合の結果、燃料電池120内で排熱が生じ、材料200は、吸熱的に水素を放出する。図8Bに示すように、熱は、燃料電池スタック120から燃料貯蔵ユニット110に流れると同時に、燃料電池の必要な冷却が可能となり、水素の脱着の際に、材料200への熱の供給が可能になる。
【0053】
電力発生の際に、燃料電池アセンブリ20で生じた熱は、主に熱伝導によって、燃料貯蔵アセンブリ10に提供される。燃料貯蔵アセンブリ10には、水素の脱着を継続するため、追加の熱が必要であるが、水素化物と燃料電池の熱接触によってこれが可能となり、高いシステム効率が得られる。
【0054】
本発明のある実施例では、材料200は、アラネートまたはアミドであり、燃料電池スタック120は、これに限られるものではないが、80℃から250℃の範囲で作動する高分子電解質膜を含む、高温PEM型燃料電池である。有益な速度で燃料電池に水素を供給するため、アラネートには、80℃以上の温度が必要であり、この温度は、高温PEM型燃料電池の最も効率的な作動温度に近い。同様に、アミドには、150〜250℃の温度範囲が必要である。システム100は、高温PEM型燃料電池からの排熱により、アラネートまたはアミドをこれらの温度に維持することができる。燃料電池から水素化物への、排熱の直接輸送によって、水素から放出されるエネルギーの有効利用が可能となる。
【0055】
一体型水素電力発生システム100’の第2の実施例は、側面図として図9に、断面図として図10に示されており、このシステムは、ジャケット900で形成された断熱層130と、熱輸送媒体入口903と、熱輸送媒体出口905と、水素入口907と、空気入口909と、水および排出ガス出口911と、カソード902と、アノード904とを有する。システム100’は、電力モジュールであり、単一のユニットとして、または以下に示すように、より大きな電力システムを構成するため、組み合わされた形態で使用される。図10には、ジャケット900の断面図を示すが、このジャケットは、燃料電池120および燃料電池スタックのいずれかの側にある燃料貯蔵ユニット110aの組を取り囲む断熱剤と、各燃料貯蔵ユニット110aから突出したフィン1001とを有し、熱輸送媒体と接触している。以下に示すように、入口903から流入し、出口905、ジャケット900およびフィン1001に流れる熱輸送媒体は、燃料貯蔵ユニットのアクティブな熱輸送制御を可能にする。
【0056】
ジャケット900を介しての熱輸送媒体の流束の制御によって、燃料貯蔵ユニットを加熱または冷却することが可能となり、これによりシステム100’の温度を制御することが可能となる。燃料電池効率、および水素化物の作動特性の温度依存性のため、高温化によって、より良好なシステム特性が得られる。従って、例えば、燃料電池120が高温PEM型燃料電池であって、材料200がNaAlHまたはNaAlHのようなアラネートを有する場合、150℃から170℃の作動温度が好ましい。熱輸送媒体入口903を介して、空気を加熱または冷却することにより、作動温度が50℃から250℃に維持される。最も効率的な作動では、熱の大部分が燃料電池の排熱によって提供される。
【0057】
あるいは、別の構成では、図2に示すように、ジャケット900は、より多くの数の燃料電池および水素化物を取り囲んでも良く、燃料貯蔵ユニット110は、空間303もしくは603のような、同じもしくは異なる材料200もしくは充填物700を含む単一の空間またはいくつかの空間を有する。別の熱輸送システムは、米国特許第4,771,823号に示されている気体ギャップシステムのような、真空または制御された真空システムによって提供される。別の実施例では、そのような気体ギャップシステムは、燃料貯蔵ユニット110と燃料電池スタック120の間に配置され、燃料貯蔵ユニット110と燃料電池スタック120の間の熱流束が制御される。
【0058】
個々の一体型水素電力システムは、例えば図11乃至13に示すような電気的な接続によって、電気的に接続され、これにより必要な電気的特性が提供される。図11には、システム1110aおよび1110bで示された、個々の水素電力システム1110の直列配置1100を示すが、これらは、配線1101によって電気的に接続されている。図12には、システム1210a、1210bおよび1210cで示された、個々の水素電力システム1210の並列配置1200を示すが、これらは、配線1201によって電気的に接続されている。
【0059】
水素電力システムの並列と直列の電気接続を組み合わせて、必要な電気的特性を発生させても良い。例えば、図13には、システム1310a、1310b、1310cおよび1310dで示された、個々の水素電力システム1310と配線1301との直列/並列配置1300の組み合わせが示されている。
【0060】
多くの実施例において、各システム1110、1210および1310は、全般に、前述のシステム100または100’の1または2以上の実施例と同様である。従って、例えば、各システム1110、1210および1310は、全般に、水素吸蔵アセンブリ10と、前述の燃料電池アセンブリ20とを有する。例えば、ある配置1100の実施例では、システム1110a、1110bおよび1110cは、同一である。配置1100の別の実施例では、2または3以上のシステム1110 a、1110bおよび1110cは、例えば、異なる燃料貯蔵ユニット110および燃料電池スタック120を有し、あるいは異なる数の燃料貯蔵ユニット110または燃料電池スタック120水素貯蔵アセンブリ10を有し、あるいは一つのシステムが断熱層を有し、別のシステムが断熱層を有さないなど、異なる断熱層130を有する。
【0061】
配置1100、1200および1300によって、電力システムは、従来の燃料電池システムよりも多く分散させることが可能になる。従って、例えば、自動車に電力を供給する1または2以上の数の燃料電池スタックの代わりに、配置1100、1200および1300を使用することにより、燃料電池をいかなる空間にも設置することが可能となる。
【0062】
例えば図11乃至13に示したジュール配置では、これに限られるものではないが、車両を含む多くの用途のため、空間をより効率的に使用することができる。また、これらの配置のモジュール性によって、これに限られるものではないが、システム1110、1210および1310を含む、1または2以上の個々の一体型水素電力発生システムを、電力の需要に応じて、いかなるときにもより効率的な方法で作動させることが可能となる。
【0063】
また、これに限られるものではないが、システム100、100’、1110、1210および1310を含む本発明の水素電力システムは、バッテリーと同様の方法で使用することができる。すなわち、例えば、システム1310aのような個々の水素電力システムは、適切に充電することができる。あるいは、単一のシステム100のような一つの水素電力システム、またはシステム1110aおよび1110bのような2以上の個々の水素電力システムの群を、物理的に結合して、電力消費装置に取り外し可能に取り付けることにより、消耗したシステムを充電されたシステムと交換することが可能となり、同じまたは異なる装置を用いて、消耗したシステムの外部充電を行うことが可能となる。
【0064】
電力消費装置内の一体化水素電力システムの実施例は、例えば、図14A、14Bおよび15に示されている。図14Aは、水素電力装置1400のある実施例の斜視図であり、この装置は、スクータ1410および電力モジュール1420を備える。スクータ1400は、電動スクータであり、スロットル1414と、制御ケーブル1417と、コネクタ1417を有する電力ケーブル1415と、電動車輪1413と、床ボード1411とを有する。電力モジュール1420は、一体型水素電力発生システム1421と、水素配管コネクタ1423と、空気入口1425と、排出部1427(図示されていない)と、電源出力1429とを有する。
【0065】
電力モジュール1420は、例えば、図示されていないラッチ機構またはヒンジカバーを用いて、床ボード1411に脱着可能に取り付けられており、コネクタ1417は、電源出力1429と脱着可能に嵌め合わされている。また必要に応じて、モジュール1420の移動を容易にするためのハンドル1422が取り付けられても良い。制御ケーブル1414を介して、スロットル1415信号に、ユーザによる負荷が提供された場合、必要な原動力が増大または減少する。その後、システムの燃料電池の水素の消費によって、システム1421から必要な電力が提供される。
スクータ1400において、電力モジュール1420以外の機械的および電気的な部材は、例えば、シャーパーイメージ(Sharper Image)社のCity Bugのような、従来のバッテリー電源スクータと同様である。
【0066】
多くの実施例では、システム1421は、全般に、システム100または100’の1または2以上の実施例と同様である。あるいは、システム1421は、全般に、1または2以上の配置1100、1200または1300と同様であっても良い。
【0067】
システム1421において水素が欠乏してきた場合、図14Bの斜視図に示すように、スクータ1400からモジュール1420が取り外される。特に、電源プラグ1417が電源出力1429から取り外され、モジュール1420は、ラッチ(図示されていない)を解放することによって、床ボード1411から取り外される。次に、モジュール1420は、加圧水素源(図示されていない)につながれた配管1431と、結合器1433とを有する水素供給配管1430に接続される。結合器1433は、燃料入口1423に接続され、モジュール1420が充電される。充電後、入口1423から結合器1433が取り外され、モジュール1420が再度スクータ1410の方に運搬され、モジュールが床ボード1411に取り付けられ、電源プラグ1417が電源出力1429に接続される。
【0068】
図15には、自動車1500内の一体型燃料電池システムの別の実施例の斜視図を示すが、この自動車は、前輪1518および後輪1519を有するボディ1510を有し、自動車には、電力モジュール1520、すなわち後輪駆動モジュール1520a、補助電力モジュール1520bおよび前輪駆動モジュール1520cが取り付けられる。各電力モジュール1520は、1または2以上の一体型水素電力発生システム1530を有しても良く、このシステムは、電力供給ケーブル1527を介して相互接続されており、電気的な配置1521が構成される。各電力モジュール1520は、電気的な酸化剤制御ユニット1523と、電源ケーブル1525とを有する。電力供給ケーブル1527は、例えば、配置1100、1200または1300のうちの一つの配置で、各モジュール1520内で個々のモジュール1530の電気端子を接続する。電気的酸化剤制御ユニット1523は、電圧を変換して、電気モータ1517への電源出力を制御するとともに、各システム1530への、空気の流束のような酸化剤の供給を制御する。ある実施例では、各システム1530への空気流束は、各システムのファン(図示されていない)によって提供される。別の実施例では、空気流束は、集中ファンおよびダクト(図示されていない)によって提供される。
【0069】
また自動車1500は、燃料供給部と、モジュール1520間を接続する電気制御配線とを有する。水素配管コネクタ1511は、各システム1530の水素貯蔵ユニットに水素を提供する燃料配管1513に接続され、制御ケーブル1515は、自動車の制御器(図示されていない)を、自動車の加速を規制する電気的酸化剤制御ユニット1523に接続する。あるいは、ユニット1523は、自動車のブレーキ動作を規制しても良い。
【0070】
電源ケーブル1525は、配置1521から自動車1500に電力を供給する。従って、例えば、後輪駆動モジュール1520aは、電気モータ1517に電力を提供し、後輪1519が駆動される。補助電力モジュール1520bは、エアーコンディショナ、ラジオ、または他の自動車1500内機器に電力を供給し、前輪駆動モジュール1520bは、電気モータ1517に電力を提供し、前輪1518が駆動される。
【0071】
自動車1500内の各システムは、同じ参照符号1530で示されているが、これは、各システム1530が、酸化剤入口、燃料入口、排出ガスの出口および電力接続を有する同じ一体型水素電力発生システムであることを示していること、さらに、システムは、必ずしも同一である必要はないことは明らかである。本発明のある実施例では、例えば、各システム1530は、例えば前述のシステム100、100’または1420のような他のシステムと同一である。別の実施例では、各システム1530は、システム100、100’または1420のいくつかの異なる実施例のうちの一つであり、例えば、異なる燃料電池タイプ、水素吸蔵材料、または燃料電池スタックの数および水素貯蔵ユニットを含む。重要なことは、いくつかのシステム1530が、自動車1500内のいくつかの位置に分散されていることであり、これにより、自動車1500内の空間を効率的に利用することができ、自動車1500の重量を有効に分散させることが可能になる。
【0072】
自動車1500には、従来の自動車と同様の方法で燃料が充填される。水素の量が低下した場合、ガソリンスタンドの燃料供給配管がコネクタ1511に接続され、各システム1530に加圧水素が供給される。燃料は、システム100について示したように、各システム1530内に貯蔵された水素から燃料電池に供給される。各システム1530への空気供給は、モジュール1420を参照して示したように、ベントを介してガスを局部的に取り込み、排出させることにより、局部的に行われる。あるいは、空気または酸化剤は、各システム1530とは別の、単一のもしくは複数のポンプユニット(図示されていない)を用いて供給しても良い。
【0073】
別の実施例では、自動車1500は、自動車に必要な全ての電力を提供する一つのモジュール1520を有し、または2または3以上のモジュールを有する。別の実施例では、自動車1500は、1または2以上のモジュール1520を有し、このモジュールは、スクータ1400のシステム1420と同様の方法で取り外すことができる。
【0074】
全般に、システム100、100’または配置1100、1200または1300は、これに限られるものではないが、宇宙システム、ロボット車両、遠隔操作飛行機、民間航空機、潜水艦、民間船舶を含む全ての水上運搬機、車、トラック、スクータ、原動機付き自転車、電動自転車、オートバイ、ゴルフカート、車いす、遠隔検知システム用、分散型電源用、荷物運搬用、キャンピング用、およびトレーラハウスを含む車両、携帯電話、CSおよびDVDプレーヤ、ビデオ、デジタルカメラ、ラップトップコンピュータ、携帯PDAおよびGPSシステムなどの携帯電力装置、芝刈り機、エッジトリマー、リーフブロワー、フラッシュライト、クリスマスライト、携帯電動工具を含む園芸用機器を含む用途に使用される。
【0075】
本出願において、「ある実施例」または「一つの実施例」とは、実施例に関して示された特定の特徴物、構造または特性が、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれることを意味する。従って、本明細書において、多くの箇所で使用されている「ある実施例では」または「一実施例では」という用語は、必ずしも全てが同じ実施例であるとは限らない。またこの開示から、特定の特徴物、構造または特性が、1または2以上の実施例において、好適な方法で組み合わされても良いことは、当業者には明らかである。
【0076】
同様に、しばしば本発明の多くの特徴は、説明を簡略化して、本発明の1または2以上の各種態様を理解することを目的として、単一の実施例、図面または記載にまとめられていることは、前述の本発明の実施例から明らかである。しかしながら、開示された方法は、各請求項に記載のもの以外の特徴物が、特許請求の範囲に必要であることを意味すると解してはならない。むしろ、特許請求の範囲は、本発明の態様が、前述の開示された単一の実施例の全ての特徴物よりも少なくても良いことを反映している。従って、詳細な説明に続く特許請求の範囲の記載は、明示的にこの詳細な説明に取り込まれており、各請求項は、本発明の別の実施例として、独自に主張されるものである。
【0077】
本発明の思想から逸脱せずに、他の更なる変更を行うことができることは、当業者には明らかであり、そのような変更および改変は、本発明の範囲に属するものである。従って例えば、本発明では、発熱的に水素を貯蔵し、吸熱的に水素を放出する水素吸蔵材料について示したが、本発明の水素貯蔵ユニットは、異なる熱特性を有する材料を含んでも良く、例えば、水素の吸収または放出の際に温度変化を示さない材料、あるいは吸熱的に水素を貯蔵し、発熱的に水素を放出する材料を含んでも良い。別の代替実施例では、燃料貯蔵アセンブリ10を用いて、燃焼エンジンに水素を供給しても良く、この場合、直接熱接触によって、排熱が燃焼エンジンから燃料貯蔵ユニットに提供される。いずれの場合も、燃料貯蔵ユニット10から水素を高流速で取り出すために必要となる熱は、電力発生器からの排熱により供給される。本発明の範囲内で、記載の方法に別のステップを加えても良く、あるいはステップを削除しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一体型燃料電池システムの第1の実施例の概略的な斜視図である。
【図2】図1の2−2断面図であって、いくつかの水素化物貯蔵床と燃料電池の分解組立状態を示した図である。
【図3A】図1の3−3断面図であって、本発明の燃料貯蔵ユニットハウジングおよび燃料貯蔵ユニットの第2の実施例を詳細に示した図である。
【図3B】図1の3−3断面図であって、本発明の燃料貯蔵ユニットハウジングの第2の実施例を詳細に示した図である。
【図4】本発明の燃料貯蔵ユニットハウジングの第2の実施例の上面図である。
【図5A】本発明の水素床ユニットハウジングの第2の実施例の上断面図である。
【図5B】本発明の水素床ユニットハウジングの第3の実施例の上断面図である。
【図6A】稠密円筒状燃料貯蔵ユニットを有する、本発明の燃料貯蔵ユニットハウジングの第4の実施例を示す図であって、3−3断面を示した図である。
【図6B】稠密円筒状燃料貯蔵ユニットを有する、本発明の燃料貯蔵ユニットハウジングの第4の実施例を示す図であって、図6Aの6B−6B断面を示した図である。
【図7A】図2の3−3断面図であって、燃料貯蔵ユニットの内部空間の実施例を示した図である。
【図7B】図2の3−3断面図であって、燃料貯蔵ユニットの内部空間の実施例を示した図である。
【図7C】図2の3−3断面図であって、燃料貯蔵ユニットの内部空間の実施例を示した図である。
【図7D】図2の3−3断面図であって、燃料貯蔵ユニットの内部空間の実施例を示した図である。
【図8A】水素が充填された図2のシステムの詳細を示した図である。
【図8B】電力を発生する図2のシステムの詳細を示した図である。
【図9】断熱材を有する第2のシステムの実施例の側面図である。
【図10】断熱材が取り除かれた第2のシステムの実施例の10−10断面図である。
【図11】第2の実施例のシステムが個々に直列に配線された交互配置を示す図である。
【図12】第2の実施例のシステムが個々に並列に配線された交互配置を示す図である。
【図13】第2の実施例のシステムが個々に直列/並列の組み合わせで配線された交互配置を示す図である。
【図14A】スクータ内の取り外し可能な一体型燃料電池システムの一実施例の斜視図である。
【図14B】補給のために取り外された図14Bの燃料電池システムの斜視図である。
【図15】自動車内の一体型燃料電池システムの別の実施例の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を貯蔵する機器であって、
少なくとも一つの内部空間および少なくとも一つの通路を有するハウジングであって、前記少なくとも一つの通路は、前記少なくとも一つの内部空間から前記ハウジングを貫通する、ハウジングを有し、
前記少なくとも一つの内部空間の少なくとも一つは、
水素を吸収する第1の材料と、
該第1の材料よりも大きな熱伝導率を有する第2の材料と、
を有することを特徴とする機器。
【請求項2】
前記第1の材料は、水素を吸収する少なくとも2つの材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記第2の材料は、燒結金属、金属発泡剤および金属ウールからなる群から選定されることを特徴とする請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記少なくとも一つの内部空間の前記少なくとも一つは、さらにスプリングを有することを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記第1の材料は、水素を吸収する少なくとも2つの材料を含むことを特徴とする請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記第2の材料は、燒結金属、金属発泡剤、金属ウール、炭素発泡剤、金属コートされた炭素繊維および炭素ウールからなる群から選定されることを特徴とする請求項5に記載の機器。
【請求項7】
前記第2の材料は、前記少なくとも一つの内部空間からの前記少なくとも一つの通路の各々を、実質的に被覆することを特徴とする請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記ハウジングは、さらに前記通路内に多孔質材料を有することを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項9】
前記少なくとも一つの内部空間は、複数の相互接続された円筒状空間を有することを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項10】
前記少なくとも一つの内部空間は、2または3以上の空間を有し、前記2または3以上の空間のうち第1のものは、水素を吸収する第1の材料を有し、前記2または3以上の空間のうち第2のものは、水素を吸収する第2の材料を有することを特徴とする請求項1に記載の機器。
【請求項11】
1または2以上の燃料電池スタックであって、各々が2つの燃料電池スタック側を有し、水素および酸素で作動する、1または2以上の燃料電池スタックと、
1または2以上のハウジングであって、各々が少なくとも一つの燃料電池スタック側の相当部分で接触し、水素を貯蔵する少なくとも一つの内部空間、および前記少なくとも一つの内部空間から、前記1または2以上の燃料電池スタックの少なくとも一つまでの通路を有する、1または2以上のハウジングと、
を有する機器であって、
前記少なくとも一つの内部空間から前記燃料電池スタックに水素を放出するため、前記燃料電池スタックで生じた熱によって、熱の少なくとも一部が提供されることを特徴とする機器。
【請求項12】
前記1または2以上の燃料電池スタックは、一つの燃料電池スタックであり、
前記1または2以上のハウジングは、2つのハウジングであり、
前記一つの燃料電池スタックは、前記2つのハウジングの間に設置されることを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項13】
前記1または2以上のハウジングは、2または3以上のハウジングであり、
前記1または2以上の燃料電池スタックの各々は、前記2または3以上のハウジングの間に設置されることを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項14】
さらに、前記燃料電池スタックおよび前記少なくとも一つのハウジングの少なくとも一部を取り囲む断熱材を有することを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項15】
前記断熱材は、前記燃料電池スタックおよび前記少なくとも一つのハウジングを実質的に取り囲むとともに、気体を循環させるギャップを提供し、
前記気体を前記ギャップを介して循環させることにより、前記少なくとも一つのハウジングの温度が制御されることを特徴とする請求項14に記載の機器。
【請求項16】
前記1または2以上の内部空間の少なくとも一つは、水素吸蔵材料を収容することを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項17】
前記少なくとも一つの内部空間は、複数の相互接続された円筒状空間を有することを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項18】
前記少なくとも一つの内部空間は、2または3以上の空間を有し、
前記2または3以上の空間の第1のものは、水素を吸収する第1の材料を収容し、
前記2または3以上の空間の第2のものは、水素を吸収する第2の材料を収容することを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項19】
前記水素吸蔵材料は、水素化物、高表面積材料、水素含有化合物、金属、合金またはそれらの混合物を有することを特徴とする請求項16に記載の機器。
【請求項20】
前記水素化物は、アラネート、複合水素化物、ボロン水素化物、イオン性水素化物、チタン水素化物、アルミニウム水素化物、マグネシウム水素化物および合金水素化物からなる群から選定されることを特徴とする請求項19に記載の機器。
【請求項21】
前記合金水素化物は、希土類−ニッケル系水素化物、ジルコニウム−マンガン系水素化物またはチタン−鉄−系水素化物であることを特徴とする請求項20に記載の機器。
【請求項22】
前記水素含有化合物は、アミドおよびイミドからなる群から選定されることを特徴とする請求項19に記載の機器。
【請求項23】
前記水素含有化合物は、シリコン系水素化合物または炭素系水素化合物を有することを特徴とする請求項19に記載の機器。
【請求項24】
前記水素吸蔵材料は、構成成分間の発熱化学反応および吸熱化学反応に応じて、水素を取り込んだり、放出したりすることを特徴とする請求項16に記載の機器。
【請求項25】
前記高表面積材料は、活性炭素、炭素、ナノファイバ、ナノチューブ、金属有機骨格(frameworks)、または高表面積水素吸収材料からなる群から選定されることを特徴とする請求項19に記載の機器。
【請求項26】
前記水素吸蔵材料は、ガラス微細球であることを特徴とする請求項16に記載の機器。
【請求項27】
前記水素吸蔵材料は、発熱反応によって水素を放出する水素含有化合物と第2の化合物との混合物であることを特徴とする請求項16に記載の機器。
【請求項28】
前記水素含有化合物は、ボロン水素化物であり、前記第2の化合物は水であることを特徴とする請求項27に記載の機器。
【請求項29】
前記水素含有化合物は、アルカリ土類−アルミニウム水素化物であり、前記第2の化合物は、アンモニアであることを特徴とする請求項27に記載の機器。
【請求項30】
前記少なくとも一つの内部空間は、圧縮水素ガスを貯蔵することを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項31】
前記少なくとも一つの内部空間は、液体水素を貯蔵することを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項32】
さらに、前記燃料電池および前記少なくとも一つのハウジングを取り囲む真空気密容器と、気体源とを有し、前記真空気密容器に制御可能な圧力が提供されることを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項33】
さらに、前記燃料電池と前記少なくとも一つのハウジングの間に設置された真空気密容器と、気体源とを有し、前記真空気密容器に制御可能な圧力が提供されることを特徴とする請求項11に記載の機器。
【請求項34】
前記少なくとも一つの内部空間の前記少なくとも一つは、さらにスプリングを有することを特徴とする請求項16に記載の機器。
【請求項35】
前記水素吸蔵材料は、少なくとも2つの水素吸蔵材料を含むことを特徴とする請求項16に記載の機器。
【請求項36】
前記水素吸蔵材料は、第1の材料を有し、
前記少なくとも一つの内部空間の少なくとも一つは、さらに、前記第1の材料よりも大きな熱伝導率を有する第2の材料を有することを特徴とする請求項16に記載の機器。
【請求項37】
前記第2の材料は、燒結金属、金属発泡剤および金属ウールからなる群から選定されることを特徴とする請求項36に記載の機器。
【請求項38】
前記第2の材料は、燒結金属、金属発泡剤、金属ウール、炭素発泡剤、金属コートされた炭素繊維および炭素ウールからなる群から選定されることを特徴とする請求項36に記載の機器。
【請求項39】
前記第2の材料は、前記少なくとも一つの内部空間からの前記少なくとも一つの通路の各々を実質的に覆うことを特徴とする請求項36に記載の機器。
【請求項40】
前記ハウジングは、さらに前記通路内に多孔質材料を有することを特徴とする請求項16に記載の機器。
【請求項41】
2つの側を有し、水素で作動する少なくとも一つの燃料電池スタックと、
水素を貯蔵する少なくとも一つの内部空間、および該少なくとも一つの内部空間から前記燃料電池スタックまでの通路を有し、前記2つの側の一方の相当部分で接触する少なくとも一つのハウジングと、
前記燃料電池スタックおよび前記少なくとも一つのハウジングからの熱損失を制御する装置と、
を有する機器であって、
前記少なくとも一つの内部空間から前記燃料電池スタックに水素を放出するため、前記燃料電池スタックで生じた熱の熱伝導によって、熱の少なくとも一部が提供されることを特徴とする機器。
【請求項42】
前記少なくとも一つの燃料電池スタックは、一つの燃料電池スタックであり、
前記少なくとも一つのハウジングは、2つのハウジングであり、
前記一つの燃料電池は、前記2つのハウジングの間に設置されることを特徴とする請求項41に記載の機器。
【請求項43】
前記少なくとも一つのハウジングは、2または3以上のハウジングであり、
前記少なくとも一つの燃料電池スタックの各々は、前記2または3以上のハウジングの間に設置されることを特徴とする請求項41に記載の機器。
【請求項44】
前記装置は、前記燃料電池および前記少なくとも一つのハウジングの少なくとも一部を取り囲む断熱材を有することを特徴とする請求項41に記載の機器。
【請求項45】
前記断熱材は、前記燃料電池および前記少なくとも一つのハウジングを実質的に取り囲むとともに、気体を循環させるギャップを提供し、
前記気体を前記ギャップを介して循環させることにより、前記少なくとも一つのハウジングの温度が制御されることを特徴とする請求項44に記載の機器。
【請求項46】
前記装置は、前記燃料電池および前記少なくとも一つのハウジングを取り囲む真空気密容器と、気体源とを有し、前記真空気密容器に制御可能な圧力が提供されることを特徴とする請求項41に記載の機器。
【請求項47】
さらに、前記燃料電池と前記少なくとも一つのハウジングの間に設置された真空気密容器と、ガス源とを有し、前記真空気密容器に制御可能な圧力が提供されることを特徴とする請求項41に記載の機器。
【請求項48】
前記1または2以上の内部空間の少なくとも一つは、水素吸蔵材料を含むことを特徴とする請求項41に記載の機器。
【請求項49】
2または3以上の電力モジュールであって、各々が該2または3以上の電力モジュールの他の少なくとも一つに電気的に接続された電力モジュールを有する装置の電源システムであって、
前記電力モジュールの各々は、
水素で作動する燃料電池スタックと、
水素を貯蔵する1または2以上の内部空間、および該1または2以上の内部空間から放出された水素を前記燃料電池に提供する出口を有し、前記燃料電池と接触する少なくとも一つのハウジングと、
を有し、
前記燃料電池によって、水素を放出するための熱の少なくとも一部が提供され、前記2または3以上の電力モジュールから配線を介して電力が提供されることを特徴とする電源システム。
【請求項50】
前記2または3以上の電力モジュールの少なくとも一つは、さらに断熱材を有することを特徴とする請求項49に記載の電源システム。
【請求項51】
前記1または2以上の内部空間の少なくとも一つは、水素吸蔵材料を有することを特徴とする請求項49に記載の電源システム。
【請求項52】
前記2または3以上の電力モジュールの少なくとも一つは、前記装置に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項49に記載の電源システム。
【請求項53】
前記装置は、スクータであることを特徴とする請求項52に記載の電源システム。
【請求項54】
前記2または3以上の電力モジュールの少なくとも一つは、前記装置内に設置することができることを特徴とする請求項49に記載の電源システム。
【請求項55】
前記装置は、自動車であることを特徴とする請求項52に記載の電源システム。
【請求項56】
添付図面に示され、添付図面を参照して本願に実質的に示された機器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−512611(P2008−512611A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530421(P2007−530421)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/031429
【国際公開番号】WO2006/029027
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(507069151)
【Fターム(参考)】