説明

汚れ検出装置及び洗浄装置

【課題】車両に搭載された太陽電池システムの受光面における汚れを簡易な方法で検出する汚れ検出装置及びこれを備える洗浄装置を提供すること。
【解決手段】車両に搭載された太陽電池システム20の受光面21における汚れを検出する汚れ検出装置30であって、車両の車速を検出する車速検出手段34と、太陽電池システム20の受光面21における汚れによって生じ得る所定事象を検出する所定事象検出手段と、を備え、車速検出手段34により検出された車速と、所定事象検出手段により検出された所定事象の経時変化と、に基づいて太陽電池システム20の受光面21における汚れを検出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された太陽電池システムの受光面における汚れを検出する汚れ検出装置、及びこれを備える洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池システムの受光面における汚れを検出する装置としては、太陽電池モジュールを並列接続し、各モジュールの発電電力を評価することにより、特定のモジュールの汚れや故障等を検出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−128070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の装置では、何らかの日射遮蔽物による発電電力への影響と、受光面の汚れによる影響とを判別することができない。
【0004】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、車両に搭載された太陽電池システムの受光面における汚れを簡易な方法で検出する汚れ検出装置及びこれを備える洗浄装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、車両に搭載された太陽電池システムの受光面における汚れを検出する汚れ検出装置であって、車両の車速を検出する車速検出手段と、太陽電池システムの受光面における汚れによって生じ得る所定事象を検出する所定事象検出手段と、を備え、車速検出手段により検出された車速と、所定事象検出手段により検出された所定事象の経時変化と、に基づいて太陽電池システムの受光面における汚れを検出する、ことを特徴とするものである。
【0006】
この本発明の第1の態様によれば、車速を検出する車速検出手段を備え、太陽電池システムの受光面における汚れによって生じうる発電量の減少等の所定事象が、車両が走行又は静止している状態に応じて、どのように経時変化するかによって汚れを検出するから、所定事象が、何らかの日射遮蔽物の存在により生じたものであるか、汚れにより生じたものであるかを判断できる。
【0007】
また、本発明の第1の態様において、所定事象検出手段は、例えば、太陽電池システムの発電量を予測する発電量予測手段と、太陽電池システムの実際の発電量を検出する発電量検出手段と、を備え、予測された発電量と検出された実際の発電量との乖離を所定事象として検出する手段である。この場合、発電量予測手段は、例えば、日射強度を検出する日射強度検出部と、太陽電池システムの温度を検出する温度検出部とを有し、検出された日射強度と太陽電池システムの温度とに基づいて発電量を予測する手段である。
【0008】
また、本発明の第1の態様において、所定事象検出手段は、例えば、太陽電池システムの受光面を撮像する撮像手段を有し、撮像手段の画像データ中に存在する特徴部分を所定事象として検出する手段である。この場合、画像データ中に存在する特徴部分は、例えば、基準となる画像データよりも画像が暗い部分である。
【0009】
また、本発明の第1の態様において、例えば、太陽電池システムの受光面は光透過パネルによって形成され、この場合、所定事象検出手段は、光透過パネルの裏面に設置され、光透過パネルの表面に向けて発光すると共に光透過パネルの表面で反射された反射光の強さを検出可能な発光受光手段を有し、発光受光手段により検出された反射光の強さが基準値以上であることを前記所定事象として検出する手段である。
【0010】
また、本発明の第1の態様において、好ましくは、車速検出手段により検出された車速がゼロでない場合、所定事象を第1の所定時間計測し、第1の所定時間の前後で所定事象が変化しないときに前記太陽電池システムの受光面における汚れを検出することを特徴とするものである。ここで、第1の所定時間は、車両の走行により、例えば日射遮蔽物の影響がなくなるのに必要な程度の時間である。
【0011】
また、本発明の第1の態様において、好ましくは、車速検出手段により検出された車速がゼロの場合、所定事象を第2の所定時間計測し、第2の所定時間の前後で所定事象が変化しないときに太陽電池システムの受光面における汚れを検出することを特徴とするものである。ここで、第2の所定時間は、日射角度の変化により日射遮蔽物の影響が変化するのに必要な程度の、第1の所定時間より長い時間である。
【0012】
また、本発明の第1の態様において、乗員に情報を報知する報知手段を更に備え、太陽電池システムの受光面における汚れを検出したときに、報知手段により乗員に汚れの存在を報知することを特徴とするものとしてもよい。
【0013】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の汚れ検出装置と、太陽電池システムの受光面を洗浄する洗浄手段と、を備え、汚れ検出装置により汚れを検出したときに、洗浄手段により自動的に前記太陽電池システムの受光面の洗浄を行なうことを特徴とする洗浄装置である。
【0014】
この本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様の汚れ検出装置を用いて適正に汚れを検出して自動的に洗浄を行なうことができる。この結果、余分なエネルギー消費を抑制することができる。
【0015】
また、本発明の第2の態様において、乗員に情報を報知する報知手段を備え、洗浄手段により自動的に太陽電池システムの受光面の洗浄を行なった後、更に汚れ検出装置により汚れが検出された場合に、洗浄できなかった旨を乗員に報知することを特徴とするものとしてもよい。こうすれば、汚れが洗浄できなかった、すなわち故障等により生じた所定事象を検出した可能性がある旨を乗員に報知することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両に搭載された太陽電池システムの受光面における汚れを簡易な方法で検出する汚れ検出装置及びこれを備える洗浄装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1の(A)(B)は、本発明の第1実施例に係る汚れ検出装置30を備える洗浄装置10の全体構成の一例を示す図である。図1(A)は、洗浄装置10の構成を模式的に示す図であり、図1(B)は、洗浄装置10を搭載する車両の概観図である。図示するように、洗浄装置10は、太陽電池システム20と、汚れ検出装置30と、洗浄部40と、報知部50とを備える。
【0019】
太陽電池システム20は、車両上部に配置され、日光等の照射光のエネルギーを電気エネルギーに変換し、車両に電力を供給している。太陽電池システム20は、例えば、ガラスにより形成された光透過パネル21と、光透過パネル21に配置され、単結晶シリコン材にて形成された複数の太陽電池モジュール22A、22B、22Cとを有する。
【0020】
汚れ検出装置30は、例えば、太陽電池モジュール22A、22B、22Cからの電力ラインに設置された電力計31A、31B、31Cと、フロントガラス内側に設置された日射計32と、光透過パネル21の裏面に設置され、太陽電池システム20の受光面付近の温度を検出する温度センサ33と、車速を検出する車速センサ34と、これらのセンサ類からの出力が入力され、汚れ検出装置30全体を制御する電子制御ユニット(以下、ECU:Electronic Control Unitという)35と、を備える。ここで、電力計31A、31B、31Cは、具体的には、電流計と電圧計を組み合わせた1組のものである。また、日射計32は、例えば内部に配置された温度センサの温度上昇により日射強度を検出するセンサである。また、車速センサ34は、例えば、各車輪に取り付けられた車輪速センサである。
【0021】
ECU35は、例えば、各種プログラムを実行するCPU36と、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)37と、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)38とを備えるコンピュータである。
【0022】
洗浄部40は、ECU35からの指示信号を受信して太陽電池システム20の受光面における汚れを洗浄するものであり、ウォッシャー液を噴射するノズル41とワイパー42とを備える。
【0023】
報知部50は、ECU35からの指示信号を受信して太陽電池システム20の受光面における汚れを洗浄手段により洗浄できなかった旨を乗員に報知するものであり、例えば、ナビゲーションシステムのディスプレイが共用される。また、独立した表示灯であってもよく、スピーカーにより音声で報知するものでもよい。
【0024】
次に、汚れ検出装置30が太陽電池システム20の受光面、すなわち光透過パネル21における汚れを検出し、これに伴って洗浄装置10が自動的に洗浄を行なう動作について説明する。図2は、ECU35により所定時間(例えば、数秒〜数十分等)毎に実行される汚れ検出・自動洗浄フローの一例を示すフローチャートである。
【0025】
ECU35のCPU36は、まず、電力計31A、31B、31Cからの電力値P、P、P、日射計32からの日射強度S、温度センサ33からの温度T、車速センサ34からの車速Vを入力する(S100)。
【0026】
次に、日射強度Sと温度Tとから、予めROM37に記憶された発電量予想用マップを用いて、各モジュールの予想発電量Pを導出する(S102)。図3に、発電量予想マップの一例を示す。図示するように、予想発電量Pは、日射強度Sの増加に応じて増加し、温度Tの上昇に応じて減少する傾向に、且つ配線等による種々のロスを考慮して定められている。また、各モジュールは同一平面上に同一面積をもって設置されているため、同条件下における予想発電量Pは互いに等しいものとした。
【0027】
そして、各モジュールの発電量P、P、Pと、予想発電量Pと、の差をとることにより、乖離PAdif1、Bdif1Cdif1を求める(S104)。これらの乖離が閾値Ps以上であるか否かを判定し(S106)、乖離がすべて閾値Ps未満である場合は、本フローの1ルーチンを終了する。閾値Psは、誤差により発生する程度の乖離よりも若干大きい値に設定した。
【0028】
続いて、車速Vが値0であるか否かを判定する(S108)。車速Vが値0でない場合は、第1の所定時間(例えば、0コンマ数秒〜数秒程度の時間)経過後、再度、電力計31A、31B、31Cからの電力値P、P、PCを入力する(S110)。そして、これと予想発電量Pとの差をとることにより、乖離PAdif2、Bdif2Cdif2を求め、前述した乖離PAdif1、Bdif1Cdif1とそれぞれ比較して変化しておらず、且つ閾値Ps以上のものを、汚れによる乖離の発生と判断する(S112)。すなわち、光透過パネル21において当該乖離を生じたモジュール上の部分に汚れがあると判断する。具体的には、例えば、PAdif1=PAdif2≧Psのとき、モジュール22A上の部分に汚れありと判断する。第1の所定時間を上記のように設定するのは、車速が値0でない、すなわち車両が走行中であるから、日射遮蔽物が存在しても、走行に応じて速やかに日射遮蔽物が影を落とす部分が変化するものと推測されることに基づく。また、トンネル等を走行して比較的広範囲に亘って日射が遮蔽される場合は、日射計32の出力値に影響を及ぼすため、そもそも乖離が余り発生しないと考えられる。
【0029】
車速Vが値0の場合は、第2の所定時間(例えば、数十分〜数時間程度の時間)経過後、再度、電力計31A、31B、31Cからの電力値P、P、P、日射計32からの日射強度S、温度センサ33からの温度T、車速センサ34からの車速Vを入力する(S114)。そして、車速Vが値0か否かを再度判定し(S116)、値0でない場合は、本フローの1ルーチンを終了する。これは、車両が発進したことを意味し、S114以下の駐停車時の処理が無意味となるからである。車速Vが値0の場合は、駐停車継続中であると判断し、S110と同様に、入力した電力値P、P、Pと予想発電量Pとの差をとることにより、乖離PAdif2、Bdif2Cdif2を求め、前述した乖離PAdif1、Bdif1Cdif1と比較して変化しておらず、且つ上述した閾値Ps以上のものを、汚れによる乖離の発生と判断する(S118)。すなわち、光透過パネル21のうちそのモジュール上の部分に汚れが存在すると判断する。第2の所定時間を上記のように設定するのは、この程度の時間が経過すれば、これに伴って日射角度が変化し、日射遮蔽物が影を落とす部分が変化する、すなわち各モジュールの発電量が変化すると推測されることに基づく。
【0030】
こうして、発電電力の乖離を評価すると、汚れが検出されたか否かを判定し(S120)、検出されない場合は、本フローの1ルーチンを終了する。汚れが検出された場合は、光透過パネル21において汚れのある部分に該当するモジュールを特定し、これをRAM38に記憶する(S122)。
【0031】
次に、ECU35は、ノズル41によりウォッシャー液を噴射すると共に、汚れのある部分を重点的に洗浄するようワイパー42のアクチュエータに指示する(S124)。
【0032】
洗浄を行なうと、上述したS100〜118の汚れ判定処理を再度実行し、再度汚れが検出された場合は、モジュールの故障等の可能性があるため、報知部50により乗員に報知し(S126、128)、本フローの1ルーチンを終了する。
【0033】
このように、本発明の第1実施例に係る、汚れ検出装置30においては、車速Vが値0か否かを判定することにより車両が走行しているか否かで場合分けし、日射遮蔽物が影を落とす部分が変化するのに必要な第1又は第2の所定時間経過後に発電量の乖離を評価するから、光透過パネル21の汚れを適正に検出することができる。
【0034】
また、本発明の第1実施例に係る、洗浄装置10においては、汚れ検出装置30において適正に検出された汚れを自動的に洗浄するから、余分なエネルギー消費を抑制し、適正に洗浄を行なうことができる。また、洗浄できなかった際は、故障等の可能性があるため、これを乗員に報知している。
【実施例2】
【0035】
図4は、本発明の第2実施例に係る汚れ検出装置230の全体構成の一例を示す図である。汚れを検出する対象の太陽電池については、第1実施例の太陽電池システム20と同様の構成であるものとし、同一の符号を用いて説明する。図示するように、汚れ検出装置230は、太陽電池システム20の光透過パネル21を2方向から撮像するカメラ231と、車速を検出する車速センサ234と、カメラ231からの画像データ及び車速センサ234からの車速Vが入力され、汚れ検出装置230全体を制御する電子制御ユニット(以下、ECU:Electronic Control Unitという)235と、を備える。カメラ231は、例えば、周知のCCDカメラである。
【0036】
ECU235は、例えば、各種プログラムを実行するCPU236と、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)237と、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)238とを備えるコンピュータである。
【0037】
次に、汚れ検出装置230が太陽電池システム20の受光面、すなわち光透過パネル21における汚れを検出する動作について説明する。図5は、ECU235により所定時間(例えば、数秒〜数十分等)毎に実行される汚れ検出・自動洗浄フローの一例を示すフローチャートである。
【0038】
ECU235のCPU236は、まず、カメラ231からの画像データ及び、車速センサ234からの車速Vを入力する(S200)。
【0039】
次に、画像データ中で、光透過パネル21における、日射遮蔽物による影、又は汚れに相当すると推測される画像の暗い、特徴部分を特定し、RAM238に記憶する(S202)。この特定は、予めROM237に記憶された基本画像データに対して画像全体の輝度平均を考慮して補正を行なった基準となる画像データと、入力された画像データと、を比較して、輝度が閾値B以上低下している部分を、当該部分として特定するものとした。また、それぞれの画像データに対しては座標を付与し、比較計算及び特徴部分の特定にはこの座標を用いている。
【0040】
そして、特徴部分が存在するか否かを判定し(S204)、存在しない場合は、影も汚れも存在しないと判断して、本フローの1ルーチンを終了する。
【0041】
特徴部分が存在する場合は、車速Vが値0であるか否かを判定する(S206)。車速Vが値0でない場合は、第1の所定時間(例えば、0コンマ数秒〜数秒程度の時間)経過後、再度、カメラ231からの画像データを入力して(S208)、S202と同様に特徴部分の特定を行い、S202において特定した特徴部分と比較して、特徴部分の位置(座標)が変化していなければ、これを光透過パネル21における汚れと判断する(S210)。第1の所定時間を上記のように設定するのは、実施例1と同様の趣旨である。また、トンネル等を走行して比較的広範囲に亘って日射が遮蔽される場合は、画像全体が、特徴部分を特定できない程度に暗くなると考えられる。
【0042】
車速Vが値0の場合は、第2の所定時間(例えば、数十分〜数時間程度の時間)経過後、再度、カメラ231からの画像データ及び車速センサ234からの車速Vを入力する(S212)。そして、車速Vが値0か否かを再度判定し(S214)、値0でない場合は、本フローの1ルーチンを終了する。これは、車両が発進したことを意味し、S212以下の駐停車時の処理が無意味となるからである。車速Vが値0の場合は、駐停車継続中であると判断し、S202と同様に特徴部分の特定を行い、S202において特定した特徴部分と比較して、特徴部分の位置(座標)が変化していなければ、これを光透過パネルにおける汚れと判断する(S216)。第2の所定時間を上記のように設定するのは、実施例1と同様の趣旨である。
【0043】
このように、本発明の第2実施例に係る、汚れ検出装置230においては、車速Vが値0か否かを判定することにより車両が走行しているか否かで場合分けし、日射遮蔽物が影を落とす部分が変化するのに必要な第1又は第2の所定時間経過後に画像データ中の特徴部分の位置(座標)の変化を判定するから、光透過パネル21の汚れを適正に検出することができる。
【実施例3】
【0044】
図6は、本発明の第3実施例に係る汚れ検出装置330の全体構成の一例を示す図である。汚れを検出する対象の太陽電池については、第1実施例の太陽電池システム20と同様の構成であるものとし、同一の符号を用いて説明する。図示するように、汚れ検出装置330は、光透過パネル21の裏面であって、太陽電池モジュール22A、22B、22Cの間、及び端部に設置された、複数の発光・受光装置331と、車速センサ334と、発光・受光装置331からの検出データ及び車速センサ234からの車速Vが入力され、汚れ検出装置330全体を制御する電子制御ユニット(以下、ECU:Electronic Control Unitという)335と、を備える。
【0045】
発光・受光装置331は、図7に示す通り、光透過パネル21の裏面から表面に向けて所定強度の光を短時間照射し、光透過パネル21の表面で反射された反射光の強度を検出する発光・受光動作を行なう。
【0046】
ECU335は、例えば、各種プログラムを実行するCPU336と、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)337と、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)338とを備えるコンピュータである。
【0047】
次に、汚れ検出装置330が太陽電池システム20の受光面、すなわち光透過パネル21における汚れを検出する動作について説明する。図8は、ECU335により所定時間(例えば、数秒〜数十分等)毎に実行される汚れ検出・自動洗浄フローの一例を示すフローチャートである。
【0048】
ECU335のCPU336は、まず、発光・受光装置331に発光・受光動作を行なうよう指示すると共に車速センサ334からの車速Vを入力する(S300)。
【0049】
次に、複数の発光・受光装置331が検出した反射光の強度の平均を計算し、この平均値よりも閾値(率)L[%]以上強い反射光を受信した所定発光・受光装置331を特定し、RAM338に記憶する(S302)。この所定発光・受光装置331に相当する部分では、日射遮蔽物による影、又は汚れによって、光透過パネル21の表面における光の反射率が上昇した可能性がある。なお、閾値(率)Lは、任意に定めてよい。
【0050】
そして、所定発光・受光装置331が存在するか否かを判定し(S304)、存在しない場合は、影も汚れも存在しないと判断して、本フローの1ルーチンを終了する。
【0051】
所定発光・受光装置331が存在する場合は、車速Vが値0であるか否かを判定する(S306)。車速Vが値0でない場合は、第1の所定時間(例えば、0コンマ数秒〜数秒程度の時間)経過後、再度、発光・受光装置331に発光・受光動作を行なうよう指示して(S308)、S302と同様に所定発光・受光装置331の特定を行い、これがS302において特定した所定発光・受光装置331と同一のものであれば、この発光・受光装置331上に光透過パネル21における汚れがあると判断する(S310)。第1の所定時間を上記のように設定するのは、実施例1と同様の趣旨である。また、トンネル等を走行して比較的広範囲に亘って日射が遮蔽される場合は、光透過パネル21の表面全体に亘って反射率が上昇するため、反射光の強度の平均自体が上昇し、所定発光・受光装置331は特定されないと考えられる。
【0052】
車速Vが値0の場合は、第2の所定時間(例えば、数十分〜数時間程度の時間)経過後、再度、発光・受光装置331に発光・受光動作を行なうよう指示すると共に車速センサ234からの車速Vを入力する(S312)。そして、車速Vが値0か否かを再度判定し(S314)、値0でない場合は、本フローの1ルーチンを終了する。これは、車両が発進したことを意味し、S312以下の駐停車時の処理が無意味となるからである。車速Vが値0の場合は、駐停車継続中であると判断し、S302と同様に所定発光・受光装置331の特定を行い、S302において特定した所定発光・受光装置331と同一のものであれば、この発光・受光装置331上に光透過パネル21における汚れがあると判断する(S316)。第2の所定時間を上記のように設定するのは、実施例1と同様の趣旨である。
【0053】
このように、本発明の第3実施例に係る、汚れ検出装置330においては、車速Vが値0か否かを判定することにより車両が走行しているか否かで場合分けし、日射遮蔽物が影を落とす部分が変化するのに必要な第1又は第2の所定時間経過後に、平均値よりも閾値(率)L[%]以上強い反射光を検出した所定発光・受光装置331が同一であるか否かを判定するから、光透過パネル21の汚れを適正に検出することができる。
【0054】
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0055】
例えば、本発明の第1実施例に係る汚れ検出装置30は、洗浄装置10に組み込まれたものとして例示したが、単独で車両に搭載されて動作するものとしても同様の効果を奏するものである。一方、第2実施例に係る汚れ検出装置230や第3実施例に係る汚れ検出装置330は、単独で車両に搭載されて動作するものとして例示したが、洗浄装置10に組み込まれて動作するものとしても同様の効果を奏するものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、少なくとも太陽電池を搭載する車両に利用できる。搭載される車両の外観、重量、サイズ、走行性能、及び太陽電池の種類等は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施例に係る汚れ検出装置30を備える洗浄装置10の全体構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る汚れ検出装置30のECU35により実行される汚れ検出・自動洗浄フローの一例を示すフローチャートである。
【図3】汚れ検出・自動洗浄フローの実行の際に用いられる発電量予想マップの一例を示す。
【図4】本発明の第2実施例に係る汚れ検出装置230の全体構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施例に係る汚れ検出装置230のECU235により実行される汚れ検出・自動洗浄フローの一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施例に係る汚れ検出装置330の全体構成の一例を示す図である。
【図7】発光・受光装置331が発光・受光動作を行なう様子を示す図である。
【図8】本発明の第3実施例に係る汚れ検出装置330のECU335により実行される汚れ検出・自動洗浄フローの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
10 洗浄装置
20 太陽電池システム
21 光透過パネル
22A、22B、22C 太陽電池モジュール
30、230、330 汚れ検出装置
31A、31B、31C 電力センサ
32 日射計
33 温度センサ
34、234、334 車速センサ
35、235、335 ECU
36、236、336 CPU
37、237、337 ROM
38、238、338 RAM
40 洗浄部
41 ノズル
42 ワイパー
50 報知部
231 カメラ
331 発光・受光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された太陽電池システムの受光面における汚れを検出する汚れ検出装置であって、
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記太陽電池システムの受光面における汚れによって生じ得る所定事象を検出する所定事象検出手段と、を備え、
前記車速検出手段により検出された車速と、前記所定事象検出手段により検出された所定事象の経時変化と、に基づいて太陽電池システムの受光面における汚れを検出する、
ことを特徴とする汚れ検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の汚れ検出装置であって、
前記所定事象検出手段は、前記太陽電池システムの発電量を予測する発電量予測手段と、該太陽電池システムの実際の発電量を検出する発電量検出手段と、を備え、該予測された発電量と検出された実際の発電量との乖離を前記所定事象として検出する手段である、
汚れ検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の汚れ検出装置であって、
前記発電量予測手段は、日射強度を検出する日射強度検出部と、太陽電池システムの温度を検出する温度検出部とを有し、該検出された日射強度と太陽電池システムの温度とに基づいて発電量を予測する手段である、
汚れ検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の汚れ検出装置であって、
前記所定事象検出手段は、前記太陽電池システムの受光面を撮像する撮像手段を有し、該撮像手段の画像データ中に存在する特徴部分を前記所定事象として検出する手段である、
汚れ検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の汚れ検出装置であって、
前記画像データ中に存在する特徴部分は、基準となる画像データよりも画像が暗い部分である、
汚れ検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の汚れ検出装置であって、
前記太陽電池システムの受光面は光透過パネルによって形成され、
前記所定事象検出手段は、該光透過パネルの裏面に設置され、該光透過パネルの表面に向けて発光すると共に該光透過パネルの表面で反射された反射光の強さを検出可能な発光受光手段を有し、該発光受光手段により検出された反射光の強さが基準値以上であることを前記所定事象として検出する手段である、
汚れ検出装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の汚れ検出装置であって、
前記車速検出手段により検出された車速がゼロでない場合、前記所定事象を第1の所定時間計測し、該第1の所定時間の前後で前記所定事象が変化しないときに前記太陽電池システムの受光面における汚れを検出することを特徴とする、
汚れ検出装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の汚れ検出装置であって、
前記車速検出手段により検出された車速がゼロの場合、前記所定事象を第2の所定時間計測し、該第2の所定時間の前後で前記所定事象が変化しないときに前記太陽電池システムの受光面における汚れを検出することを特徴とする、
汚れ検出装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の汚れ検出装置であって、
乗員に情報を報知する報知手段を更に備え、
前記太陽電池システムの受光面における汚れを検出したときに、前記報知手段により乗員に汚れの存在を報知することを特徴とする、
汚れ検出装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の汚れ検出装置と、
前記太陽電池システムの受光面を洗浄する洗浄手段と、を備え、
前記汚れ検出装置により汚れを検出したときに、前記洗浄手段により自動的に前記太陽電池システムの受光面の洗浄を行なうことを特徴とする、
洗浄装置。
【請求項11】
請求項1ないし8に係る請求項10に記載の洗浄装置であって、
乗員に情報を報知する報知手段を備え、
前記洗浄手段により自動的に前記太陽電池システムの受光面の洗浄を行なった後、更に前記汚れ検出装置により汚れが検出された場合に、洗浄できなかった旨を乗員に報知することを特徴とする、
洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−110038(P2007−110038A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301984(P2005−301984)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】