説明

油圧ショベルのROPSキャノピ

車格の異なる油圧ショベルの各機種間で共通的に使用可能な油圧ショベルのROPSキャノピである。このために、2本の支柱(31,32)で屋根構造(40)を支持して構成したROPSキャノピ(50A)を基本型ROPSキャノピとし、該基本型ROPSキャノピ(50A)は、より上位機種のROPSキャノピに適合するように少なくとも1本の追加分の支柱(51,52,53,54,55,56)を取着可能(50a,50b,50c,50d,50e,50f)に構成した。追加する支柱(51,52,53,54,55,56)はアドオンで取着可能(57,58b)とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、油圧ショベルのROPSキャノピに関する。
【背景技術】
都市土木工事に多用される小型の油圧ショベルにおいては、1ヶ所の作業現場での稼動期間が短いことに由来して作業現場間の移動に係る機動性が重視される傾向があり、このため、運転席の保護に、軽量で着脱容易な、2本支柱を有する簡易構造のキャノピが装着される例が多い。しかしながら近年では、車両が転覆した場合のオペレータの安全を確保するために、それらキャノピ仕様においても、統一された強度基準、例えばISO規格等に規定された強度基準であるROPS(Rollover Protective Structure)に適合させるという、安全性向上の要求が高まっている。
【発明の開示】
その場合にROPSキャノピは、名前のとおりに車両が転覆(以下、ロールオーバーと言う。)した際にも耐える強度が必要であるから、キャノピ本体の強度と同キャノピ本体を支持する部材の強度とが共に必要である。この要求を解決する手段として、例えば、本願の譲受人が既に出願した、未公開の日本特願2002−308639号(第7−8頁、第1−2図参照)がある。
以下、図11〜図12に基づき、上記日本出願に記載したROPSキャノピの例を説明する。圧ショベル60は、旋回フレーム65の後端部に取着されたカウンタウエイト61によって、旋回フレーム65の前端部に取着された作業機69にかかる荷重とバランスをとっている。また、カウンタウエイト61は鋳造製で、外面を略円弧状に成形されており、その下部には略円弧状に左右方向に延びる延長部71,72が形成され、中央下部に突起部73がそれぞれ形成されている。延長部71,72および突起部73の下面にそれぞれ形成された下部取付け座71a,72a,73aが、旋回フレーム65の後端部の上面にボルト74,75,76によって取着されている。
また、カウンタウエイト61の上面には、ROPSキャノピ62の鋳造製の下部取付けブラケット83が載置され、カウンタウエイト61の上面に穿設された複数の図示しないボルト穴と、ブラケット83のボルト穴83Aとに挿通した複数のボルト88でナット(図示せず)により締結して取り付けている。また、下部取付けブラケット83の左右の支柱取付部84a,84bに、屋根82を支持する左右の支柱81a,81bが挿通され、固着されている。
さらに、図12に示すように、カウンタウエイト61の中央部には点検穴78が形成されており、これにより、カウンタウエイト61の前方近傍に配設された図示しないエンジンの点検整備作業が容易となるとしている。
図11〜12における構成によると、旋回フレーム65上に取着されたカウンタウエイト61の上面にROPSキャノピ62が強固に載置され、また、ROPSキャノピ62の支柱81a,81bは真直ぐな太いパイプが使用してあり、且つ、下部取付けブラケット83は鋳造製で、左右の支柱取付部84a,84bを滑らかな形状に成形することによって応力集中が軽減されるので、これらによって、ROPSキャノピ62は所定強度を十分に確保できるとしている。
しかしながら、上記日本出願のROPSキャノピにおいて、車両がロールオーバーした際に、ROPSキャノピ62は車両の質量によって破壊されない強度を有する必要があり、それに起因して次のような問題がある。
車両がロールオーバーした際にROPSキャノピに加わる荷重は車両の質量に略比例する。従って、例えば、仕様格付け(以下、車格と言う。)の異なる油圧ショベルの各機種間で運転席を共通化しても、ROPSキャノピはそれぞれの機種毎にその車両質量に対応した所要の強度にしなければならない。この結果、機種毎に固有のROPSキャノピを準備しなければならない。ところが、ROPSキャノピはオプション仕様で装着されるから、上記理由のため、機種毎に異なる仕様のROPSキャノピそれぞれの在庫が必要であり、それによって、ROPSキャノピの総在庫量が増大して、在庫管理コストが増大するという問題がある。また、機種毎に固有のROPSキャノピそれぞれに適正な在庫量を維持するためには、固有のROPSキャノピそれぞれの生産単位数量(以下、生産のロットサイズと言う。)が極めて小さくなり、これによって生産コストが高くなるという問題もある。
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、車格の異なる油圧ショベルの各機種間で共通的に使用可能な油圧ショベルのROPSキャノピを提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、第1構成は、油圧ショベルのROPSキャノピにおいて、2本の支柱で屋根構造を支持して構成したROPSキャノピを基本型ROPSキャノピとし、該基本型ROPSキャノピは、より上位機種のROPSキャノピに適合するように少なくとも1本の支柱を追加して取着可能に構成している。
第1構成によると、次の効果を奏する。基本型ROPSキャノピを車格が下位機種の油圧ショベルに適用し、車格がより上位の油圧ショベルの各機種には、基本型ROPSキャノピに所定数の支柱を追加して取着することにより強度を高めたROPSキャノピを適用することが可能となる。これにより、基本型ROPSキャノピを、車格の異なる油圧ショベルの各機種間で共通的に使用することができるため、基本型ROPSキャノピは車格の異なる油圧ショベルの各機種間で共通的に在庫量を維持すれば良いから、在庫管理コストを大幅に低減することができると共に、基本型ROPSキャノピの生産のロットサイズを大きくできるので、生産コストを大幅に低減できる。また、追加分の支柱は上記各機種毎に任意に設定可能であると共に、追加分の支柱も共通化して上記各機種毎に追加の数量を設定することも可能であるから、さらに在庫管理コストおよび生産コストを低減できる。
第2構成は、第1構成において、追加する支柱はアドオンで取着可能としている。第2構成によると、第1構成における効果に加えて、次の効果を奏する。追加分の支柱の着脱が容易であるため、現場での基本型ROPSキャノピと、より上位機種用のキャノピとの間での仕様変更作業が容易に短時間でできる。また、これにより、油圧ショベルの稼働時間の低下を防げる。さらに、基本型ROPSキャノピと、追加分の支柱を取着したROPSキャノピとは共に、予めメーカ側で確認した強度をROPSキャノピ取着現場でも確実に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の第1実施形態に係るROPSキャノピを適用した油圧ショベルの側面図。
図2は第1実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図。
図3は本発明の第2実施形態に係るROPSキャノピを適用した油圧ショベルの要部側面図。
図4は第2実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図。
図5は本発明の第3実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図
図6は本発明の第4実施形態に係るROPSキャノピを適用した油圧ショベルの要部側面図。
図7は第4実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図。
図8は本発明の第5実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図。
図9は本発明の第6実施形態に係るROPSキャノピを適用した油圧ショベルの要部側面図。
図10は第6実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図。
図11は本発明にいたる途中段階でのROPSキャノピを適用した油圧ショベルの側面図。
図12は図11のROPSキャノピの構成を表す斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明に係る油圧ショベルのROPSキャノピの実施形態について、図1〜図10を参照して詳述する。
先ず図1、図2により、第1実施形態を説明する。図1は第1実施形態に係るROPSキャノピを適用した油圧ショベルの側面図で、図2は第1実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図である。なお、前出の図面に記載した構成要素と略同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略し、以後も同様とする。
図1〜図2において、油圧ショベル1は、下部走行体3の上部に上部旋回体10を旋回自在に搭載しており、上部旋回体10は底部に旋回フレーム11を有し、旋回フレーム11の前端部には作業機5が取着されており、作業機5とバランスをとる目的で旋回フレーム11の後部には、後端部にカウンタウエイト12が、また該カウンタウエイト12の前方近傍にエンジン13がそれぞれ配設されている。カウンタウエイト12は、所定高さHを有する中央基底部12aと、該中央基底部12aの左右に上方に向けて角状に立設した支持部12b,12cとで構成されており、この左右支持部12b,12cを増量分のカウンタウエイトとして活用することによって中央基底部12aの高さHを抑制している。さらに、カウンタウエイト12の左右支持部12b,12cの上面には、運転席21が配設されたフロアフレーム20の後端部に設けたフランジ部20aが所定数のボルト(詳細は、第2実施形態の図4を参照して後述する。)で締結されており、フランジ部20aの上面にROPSキャノピ50Aが所定数のボルト59で締結されている。
ROPSキャノピ50Aは、支柱構造30に屋根構造40を所定数のクランプ41とボルト42で取着して構成されている。支柱構造30は、底部にベース部材33を有しており、該ベース部材33の上面左右に有する取付部材33a,33bに左右の支柱31,32の下端部を嵌挿し固着することによって、左右支柱31,32を立設している。また、該左右の支柱31,32それぞれの上端部には左右連結部材31a,32aを嵌挿して固着し、該左右連結部材31a,32aの間にクロスパイプ34を嵌挿して固着している。また、左右の連結部材31a,32aに前方向に向うアームパイプ35,36の後端部をそれぞれ嵌挿して固着し、該左右のアームパイプ35,36の前端部に連結部材35a,36aをそれぞれ嵌挿して固着し、該左右の連結部材35a,36aの間にクロスパイプ37を嵌挿して固着している。さらに、左右の連結部材35a,36aの前部には、U字型の前縁パイプ38の左右端部をそれぞれ嵌挿して固着している。
上記の構成による支柱構造30において、支柱構造30の節に相当する各部位、即ち、連結部材35a,36a、連結部材31a,32a、及びベース部材33の取付部材33a,33bには、それぞれピン結合用のピン穴50a、50b、50c、50d、50e、50fが形成されている。
第1実施形態の構成によると、次の効果を奏する。ROPSキャノピ50Aは、通常のROPSキャノピと同様に使用することができる外に、必要に応じて、ピン穴50a、50b、50c、50d、50e、50fに補強用の支柱等を追加的に(アドオンして)取着することが可能となっている。このため、ROPSキャノピ50Aを基本型として油圧ショベルの1つの機種に適用し、さらに、ROPSキャノピ50Aに補強用の支柱等を追加的に取着して他の上位機種(重量が大きい)にも適用することが可能となり、これによって、ROPSキャノピ50Aを車格の異なる機種間で共通的に使用することができる。
次に図3、図4により、第1実施形態の基本型のROPSキャノピを他の上位機種に適用する例として第2実施形態の説明をする。図3は第2実施形態に係るROPSキャノピを適用した油圧ショベルの要部側面図で、図4は第2実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図である。
図3、図4において、油圧ショベル1は、カウンタウエイト12の左右支持部12b,12cの上面にフロアフレーム20の後端部のフランジ部20aを所定数のボルト20bで締結している。該フランジ部20aの上面には、第1実施形態で説明したROPSキャノピ50Aのベース部材33を所定数のボルト59で締結している。さらに、該ROPSキャノピ50Aの前部の左右いずれか一側(本例では右側)に支柱52を追加的に取着して、ROPSキャノピ50Bを構成している。
支柱52は下端部及び上端部にピン結合用のヨーク52a,52bがそれぞれ固着されており、該下端部のヨーク52aは、フロアフレーム20を介して旋回フレーム11の座面11bにボルト58aで取着されたブラケット58の上面にピン58bで結合され、上端部のヨーク52bは、ROPSキャノピ50Aのピン穴50bにピン57、ワッシャ57a及びナット57bで締め付けて結合されている。
第2実施形態の構成によると、第1実施形態における効果に加えて、次の効果を奏する。
(1)基本型のROPSキャノピ50A単独では、屋根構造40が左右の支柱31,32の前方に張出した所謂片持ち梁となっていて、屋根構造40に加わる荷重によって左右の支柱31,32に曲げモーメントが加わるが、本実施形態に係るROPSキャノピ50Bにおいては、ROPSキャノピ50Aの前部に支柱52を追加的に取着することによって、上記曲げモーメントが大幅に軽減される。従って、基本型のROPSキャノピ50Aを共通的に使用して、より強度の高いROPSキャノピ50Bを構成できるので、基本型のROPSキャノピ50Aのより上位機種への適用を可能にしている。
(2)追加的に取着する支柱52はピン57、58bで結合する構成としたから、予め工場で確認したROPSキャノピ50Bとしての強度が取着現場においても確実に再現できる。
(3)さらに、ROPSキャノピ50Aを各機種共通の基本型ROPSキャノピとして、生産及び在庫することができるから、生産コスト及び在庫管理コストの大幅な低減を図ることができる。
次に図5により、第1実施形態の基本型のROPSキャノピを他の上位機種に適用する例として第3実施形態の説明をする。図5は、第3実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図である。
図5において、ROPSキャノピ50Aの前部左右に支柱51,52を追加的に取着してROPSキャノピ50Cを構成している。
支柱52は第2実施形態で前述したとおりであり、支柱51は下端部及び上端部にピン結合用のヨーク51a,51bがそれぞれ固着されており、下端部のヨーク51aは、フロアフレーム20を介して旋回フレーム11の座面11aにボルト58aで取着されたブラケット58にピン58bで結合され、上端部のヨーク51bは、ROPSキャノピ50Aのピン穴50aにピン57、ワッシャ57a及びナット57bで締め付けて結合されている。
第3実施形態の構成によると、第2実施形態における効果に加えて、ROPSキャノピ50Cにおいては、屋根構造40に加わる荷重によって左右の支柱31,32に加わる曲げモーメントがさらに軽減されるから、基本型のROPSキャノピ50Aを共通的に使用して、より強度の高いROPSキャノピ50Cを構成でき、上位機種への適用範囲を広げることができる。
次に図6、図7により、第1実施形態の基本型のROPSキャノピを他の上位機種に適用する例として第4実施形態の説明をする。図6は第4実施形態に係るROPSキャノピを適用した油圧ショベルの要部側面図で、図7は第4実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図である。
図6、図7において、基本型のROPSキャノピ50Aの前部左右に支柱51,52を追加的に取着し、さらに、ROPSキャノピ50Aの左右いずれか一側(本例では右側)に斜め支柱54を追加的に取着してROPSキャノピ50Dを構成している。
支柱51,52は第2実施形態で前述したとおりであり、斜め支柱54は下端部及び上端部にピン結合用のヨーク54a,54bがそれぞれ固着されており、該下端部のヨーク54aは、フロアフレーム20を介して旋回フレーム11の座面11bにボルト58aで取着されたブラケット58にピン58bで結合され、上端部のヨーク54bは、ROPSキャノピ50Aのピン穴50dにピン57、ワッシャ57a及びナット57bで締め付けて結合されている。
第4実施形態の構成によると、第3実施形態における効果に加えて、ROPSキャノピ50Dは、対角位置にあるブラケット58のピン穴とROPSキャノピ50Aのピン穴50dとの間に斜め支柱54を取着しているから、屋根構造40に加わる荷重によって左右の支柱31,32に加わる曲げモーメントがより一層軽減される。これによって、本実施形態に係るROPSキャノピ50Dは上位機種への適用範囲をさらに広げることができる。
次に図8により、第1実施形態の基本型のROPSキャノピを他の上位機種に適用する例として第5実施形態の説明をする。図8は、第5実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図である。
図8において、ROPSキャノピ50Aの前部左右に支柱51,52を追加的に取着し、さらに、ROPSキャノピ50Aの左右に斜め支柱53,54を追加的に取着してROPSキャノピ50Eを構成している。
支柱51,52及び斜め支柱54は第4実施形態で前述したとおりであり、斜め支柱53は下端部及び上端部にピン結合用のヨーク53a,53bがそれぞれ固着されており、下端部のヨーク53aは、フロアフレーム20を介して旋回フレーム11の座面11aにボルト58aで取着されたブラケット58にピン58bで結合され、上端部のヨーク53bは、ROPSキャノピ50Aのピン穴50cにピン57、ワッシャ57a及びナット57bで締め付けて結合されている。
第5実施形態の構成によると、第4実施形態における効果に加えて、次の効果を奏する。
ROPSキャノピ50Eを横方向から見た時に、支柱31,32、アームパイプ35,36、追加支柱51,52、斜め支柱53,54、及び車体によって三角形が形成されており、このため、屋根構造40に荷重が加わった場合に、上記各部材には圧縮又は引張りの軸力のみが加わり、曲げモーメントが加わることがない。これにより、本実施形態に係るROPSキャノピ50Eは大きな車両質量を有する上位機種の油圧ショベルにも適用することができる。
次に図9、図10により、第1実施形態の基本型のROPSキャノピを他の上位機種に適用する例として第6実施形態の説明をする。図9は第6実施形態に係るROPSキャノピを適用した油圧ショベルの要部側面図で、図10は第6実施形態に係るROPSキャノピの構成を表す斜視図である。
図9、図10において、基本型のROPSキャノピ50Aの左右に斜め支柱53,54,55,56を追加的に取着してROPSキャノピ50Fを構成している。
斜め支柱53,54は第5実施形態で前述したとおりであり、斜め支柱55,56は下端部及び上端部にピン結合用のヨーク55a,56aと55b,56bがそれぞれ固着されており、該下端部の各ヨーク55a,56aはそれぞれROPSキャノピ50Aのベース部材33の取付部材33a,33bのピン穴50e、50fに、上端部の各ヨーク55b,56bはそれぞれROPSキャノピ50Aのピン穴50a、50bに、いずれもピン57、ワッシャ57a及びナット57bで締め付けて結合されている。
第6実施形態の構成によると、第5実施形態における効果に加えて、次の効果を奏する。
(1)ROPSキャノピ50Fを横方向から見た時に、支柱31,32、アームパイプ35,36、斜め支柱53,54、斜め支柱55,56、及び車体によって三角形が形成されており、このため、屋根構造40に荷重が加わった場合に、上記各部材には圧縮又は引張りの軸力のみが加わり、曲げモーメントが加わることがない。これにより、本実施形態に係るROPSキャノピ50Fは大きな車両質量を有する上位機種の油圧ショベルにも適用することができる。
(2)追加的に取着する支柱が斜め支柱53,54,55,56のみであるから、図9で類推される如く運転席21からの視界性が阻害されることは少ない。
(3)ROPSキャノピ50Fの車両本体への着脱は、ベース部材33を締結するボルト59と支柱53,54を取着するピン58b、58bのみによって可能であり、これにより、本実施形態に係るROPSキャノピ50Fは着脱が容易である。
以上の第1〜第6実施形態の構成において、ROPSキャノピ50Aを基本型ROPSキャノピとして、基本型ROPSキャノピ50Aを各機種間で共通的に使用し、各種の強度を有するROPSキャノピ50A,50B,50C,50D,50E,50Fを構成することができる。このため、それらを車両質量の異なる油圧ショベルの各機種に適用することができる。
なお、上記の第1〜第6実施形態の構成において、追加分の各支柱51,52,53,54,55,56の取着形態の例をROPSキャノピ50B,50C,50D,50E,50Fで示しているが、これらの例に限ることなく、上記追加分の各支柱はROPSキャノピ50Aの左右それぞれの側で別個に任意の形態で取着してよい。
また、追加分の各支柱51,52,53,54,55,56はROPSキャノピ50Aにピン57で取着する構成としているが、ピン57に限ることなく、例えば、ネジ穴を有する取付け面にボルトで取着(いずれも図示せず。)してもよいし、又はUボルト(図示せず。)等によって取着してもよい。
さらに、ROPSキャノピ50Aはカウンタウエイト12の左右支持部12b,12cで支持される例で説明したが、これに限ることなく、旋回フレーム11上に立設したフレーム(図示せず。)で支持されるように構成してもよい。
以上の結果、車格の異なる油圧ショベルの各機種間で共通的に使用できる油圧ショベルのROPSキャノピを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
本発明は、車格の異なる油圧ショベルの各機種間で共通的に使用可能な油圧ショベルのROPSキャノピとして有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ショベルのROPSキャノピにおいて、
2本の支柱(31,32)で屋根構造(40)を支持して構成したROPSキャノピ(50A)を基本型ROPSキャノピとし、
該基本型ROPSキャノピ(50A)は、より上位機種のROPSキャノピに適合するように少なくとも1本の支柱(51,52,53,54,55,56)を追加して取着可能(50a,50b,50c,50d,50e,50f)に構成した
ことを特徴とする油圧ショベルのROPSキャノピ。
【請求項2】
請求の範囲1記載の油圧ショベルのROPSキャノピにおいて、
前記追加する支柱(51,52,53,54,55,56)はアドオンで取着可能(57,58b)とした
ことを特徴とする油圧ショベルのROPSキャノピ。
【請求項3】
運転席の後部に設けた2本の支柱で屋根構造を支持した油圧ショベルのROPSキャノピにおいて、
該屋根構造の支持部材に設けた第1の支柱連結部材と、旋回フレームに設けた第2の支柱連結部材とにより、
前記第1の支柱連結部材と第2の支柱連結部材との間に支柱を追加取付可能にした
ことを特徴とする油圧ショベルのROPSキャノピ。

【国際公開番号】WO2004/076264
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502946(P2005−502946)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002357
【国際出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】