説明

油圧制御装置

【課題】構成の大型化を招くことなく、無段変速機の急変速動作時に無段変速機の油室に十分な流量の作動油を応答よく供給することができる油圧制御装置を提供する。
【解決手段】油圧ポンプ22は、セカンダリプーリ油室32cに至る油圧ライン66へ作動油を吐出する。アキュムレータ28は、油圧ポンプ22から吐出された作動油を蓄える。切替弁64は、アキュムレータ28から油圧ライン66への作動油の供給を許容または遮断する。セカンダリプーリ油室32cに作動油が流入する減速動作が所定の変速速度以上で実行されるときに、油圧ポンプ22が吐出した作動油をセカンダリプーリ油室32cへ供給するとともに、切替弁64がアキュムレータ28から油圧ライン66への作動油の供給を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧制御装置に関し、特に、変速比を変更する変速動作の実行時に作動油が流入または流出する無段変速機の油室に作動油を供給する油圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の油圧制御装置の関連技術が下記特許文献1に開示されている。特許文献1による油圧制御装置は、エンジンにより駆動され作動油を無段変速機のセカンダリ油圧室へ供給可能な機械式油ポンプと、電動モータにより駆動され作動油をセカンダリ油圧室へ供給可能な電気式油ポンプと、機械式油ポンプが吐出する作動油を蓄圧可能な蓄圧容器と、機械式油ポンプとセカンダリ油圧室との連通を開閉する第1の電磁弁と、蓄圧容器と電気式油ポンプとの連通を開閉する第2の電磁弁と、を備える。第1の電磁弁及び第2の電磁弁を閉弁しているときは、機械式油ポンプから吐出された作動油が蓄圧容器内に蓄圧される。無段変速機が急変速する場合は、第1の電磁弁を閉弁することで機械式油ポンプからセカンダリ油圧室への作動油の供給を停止するとともに、第2の電磁弁を開弁して電気式油ポンプを駆動することで蓄圧容器内に蓄圧された作動油を電気式油ポンプへ供給し、電気式油ポンプがこの供給された作動油を吸入してセカンダリ油圧室へ吐出する。この電気式油ポンプの吐出流量によって、無段変速機が急変速する場合におけるセカンダリ油圧室への作動油の所要流量を賄っている。
【0003】
その他の関連技術として、下記特許文献2,3による油圧制御装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−193661号公報
【特許文献2】特開2005−226802号公報
【特許文献3】特開平8−14076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、無段変速機の急変速動作時には、電気式油ポンプが蓄圧容器内に蓄圧された作動油を吸入して無段変速機のセカンダリ油圧室へ吐出することで、セカンダリ油圧室への作動油の所要流量を賄っている。しかし、電気式油ポンプは、急激な吐出流量変化の要求に対する応答性が低いため、急変速動作時にセカンダリ油圧室への吐出流量を急激に増大させることが困難であり、セカンダリ油圧室への所要流量を十分に賄うことが困難である。その結果、変速動作の応答性の低下を招くことになる。また、特許文献1においては、機械式油ポンプと電気式油ポンプとの2系統の油ポンプを有するため、油圧制御装置の構成の大型化を招くことになる。
【0006】
本発明は、構成の大型化を招くことなく、無段変速機の急変速動作時に無段変速機の油室に十分な流量の作動油を応答よく供給することができる油圧制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る油圧制御装置は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る油圧制御装置は、変速比を変更する変速動作の実行時に作動油が流入または流出する無段変速機の油室に作動油を供給する油圧制御装置であって、前記油室に至る油圧ラインへ作動油を吐出する油圧ポンプと、油圧ポンプから吐出された作動油を蓄える蓄圧装置と、蓄圧装置から前記油室への作動油の供給を許容または遮断する切替手段と、を備え、前記油室に作動油が流入する方向の変速動作が所定の変速速度以上で実行されるときに、油圧ポンプが吐出した作動油を前記油室へ供給するとともに、切替手段が蓄圧装置から前記油室への作動油の供給を許容することを要旨とする。
【0009】
本発明によれば、無段変速機の急変速動作時に、油圧ポンプの応答性低下に起因して生じる無段変速機の油室への所要流量の不足分を蓄圧装置からの供給流量により十分に補うことができる。その結果、油圧制御装置の構成の大型化を招くことなく、無段変速機の急変速動作時に無段変速機の油室に十分な流量の作動油を応答よく供給することができる。
【0010】
本発明の一態様では、前記油圧ラインから前記油室へ作動油を調圧して供給する調圧手段を備え、切替手段は、蓄圧装置から前記油圧ラインへの作動油の供給を許容または遮断することで、蓄圧装置から前記油室への作動油の供給を許容または遮断するものであり、前記油室に作動油が流入する方向の変速動作が所定の変速速度以上で実行されるときに、油圧ポンプが吐出した作動油を調圧手段で調圧して前記油室へ供給するとともに、切替手段が蓄圧装置から前記油圧ラインへの作動油の供給を許容することで蓄圧装置が蓄えた作動油を調圧手段で調圧して前記油室へ供給することが好適である。これによって、無段変速機の油室の圧力をより精度よく制御することができる。
【0011】
本発明の一態様では、油圧ポンプから前記油圧ラインへの作動油の流れを許容するとともに前記油圧ラインから油圧ポンプへの作動油の流れを遮断する第1の逆止手段を備えることが好適である。第1の逆止手段により油圧ラインから油圧ポンプへの作動油の逆流を防止することができる。
【0012】
本発明の一態様では、前記油圧ラインから蓄圧装置への作動油の流れを許容するとともに蓄圧装置から前記油圧ラインへの作動油の流れを遮断する第2の逆止手段を備えることが好適である。第2の逆止手段により蓄圧装置から油圧ラインへの作動油の逆流を防止することができる。
【0013】
本発明の一態様では、無段変速機は、エンジンの動力を変速するものであり、エンジンは、所定の自動停止条件が成立したときに自動停止されるものであり、エンジンの自動停止時に、切替手段が蓄圧装置から前記油室への作動油の供給を許容することが好適である。これによって、エンジンの自動停止時に、油圧ポンプを駆動することなく無段変速機の油室に作動油を供給することができる。
【0014】
本発明の一態様では、無段変速機へ動力を伝達可能なエンジンを始動するための油圧モータを備え、切替手段は、蓄圧装置から油圧モータへの作動油の供給を許容または遮断することも可能であり、油圧モータによりエンジンを始動するときに、切替手段が蓄圧装置から油圧モータへの作動油の供給を許容することが好適である。これによって、蓄圧装置に蓄えられた作動油のエネルギーを利用してエンジンを始動することができる。
【0015】
本発明の一態様では、油圧ポンプは、エンジンの動力または負荷の動力を利用して前記油圧ラインへ作動油を吐出する可変吐出容量ポンプであることが好適である。また、本発明の一態様では、油圧ポンプは、電動モータの動力を利用して前記油圧ラインへ作動油を吐出するものであることが好適である。
【0016】
本発明の一態様では、無段変速機は、プライマリプーリ及びセカンダリプーリへのベルトの掛かり径を変化させることで変速比を変更する変速動作を実行し、さらに、当該変速動作の実行時にセカンダリプーリ油室にて作動油が流入または流出するものであり、油圧ポンプは、前記セカンダリプーリ油室に至る油圧ラインへ作動油を吐出するものであり、切替手段は、蓄圧装置から前記セカンダリプーリ油室への作動油の供給を許容または遮断するものであり、前記セカンダリプーリ油室に作動油が流入する方向の変速動作が所定の変速速度以上で実行されるときに、油圧ポンプが吐出した作動油を前記セカンダリプーリ油室へ供給するとともに、切替手段が蓄圧装置から前記セカンダリプーリ油室への作動油の供給を許容することが好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る油圧制御装置40を含む車両の駆動システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る油圧制御装置40は、無段変速機14に作動油を供給するものである。
【0019】
無段変速機14は、入力軸26に連結されたプライマリプーリ30と、出力軸36に連結されたセカンダリプーリ32と、プライマリプーリ30及びセカンダリプーリ32に巻き掛けられた略V字型断面の無端ベルト34と、を備えるベルト式無段変速機である。入力軸26(プライマリプーリ30)には、エンジン10の発生する動力がトルクコンバータ及び前後進切替装置(ともに図示せず)を介して伝達される。無段変速機14は、入力軸26に伝達された動力を変速して出力軸36へ伝達する。出力軸36に伝達された動力は、出力軸36に連結された車輪(図示せず)へ伝達されることで、例えば車両の駆動等の負荷の駆動に用いられる。
【0020】
プライマリプーリ30は、入力軸26方向に移動可能なプライマリ可動シーブ30aとプライマリ固定シーブ30bとを含んで構成されている。同様に、セカンダリプーリ32は、出力軸36方向に移動可能なセカンダリ可動シーブ32aとセカンダリ固定シーブ32bとを含んで構成されている。プライマリ可動シーブ30aには、プライマリプーリ油室30cに供給された作動油の圧力Ppによって入力軸26方向の推力が作用する。同様に、セカンダリ可動シーブ32aには、セカンダリプーリ油室32cに供給された作動油の圧力Psによって出力軸36方向の推力が作用する。プライマリ可動シーブ30a及びセカンダリ可動シーブ32aに作用する推力によりプライマリ可動シーブ30a及びセカンダリ可動シーブ32aが軸方向に移動することで、無端ベルト34がプライマリプーリ30及びセカンダリプーリ32に巻き掛かる部分の回転半径(掛かり径)が変化する。これによって、無段変速機14の変速比γ(=プライマリプーリ30の回転速度Nin/セカンダリプーリ32の回転速度Nout)が連続的に変化する。
【0021】
変速比γを増大させる変速動作(ダウンシフト)の実行時には、プライマリ可動シーブ30aがプライマリ固定シーブ30bから離れる方向に移動するとともに、セカンダリ可動シーブ32aがセカンダリ固定シーブ32bに近づく方向に移動する。そのため、ダウンシフトの実行時には、プライマリプーリ油室30cの容積が減少してプライマリプーリ油室30cから作動油が流出するとともに、セカンダリプーリ油室32cの容積が増大してセカンダリプーリ油室32cに作動油が流入する。一方、変速比γを減少させる変速動作(アップシフト)の実行時には、プライマリ可動シーブ30aがプライマリ固定シーブ30bに近づく方向に移動するとともに、セカンダリ可動シーブ32aがセカンダリ固定シーブ32bから離れる方向に移動する。そのため、アップシフトの実行時には、プライマリプーリ油室30cの容積が増大してプライマリプーリ油室30cに作動油が流入するとともに、セカンダリプーリ油室32cの容積が減少してセカンダリプーリ油室32cから作動油が流出する。
【0022】
無段変速機14のプライマリプーリ油室30c及びセカンダリプーリ油室32cに供給される油圧は、油圧制御装置40によって供給され、それらの油圧は電子制御装置42によって制御される。
【0023】
次に、油圧制御装置40の主な構成について説明する。油圧ポンプ22は、その吐出容量を変化させることができる可変吐出容量ポンプであり、エンジン10に連結されている。エンジン10が車両(車輪輪)を駆動するための動力を発生しているときには、エンジン10の動力の一部が油圧ポンプ22の回転軸に伝達される。また、車両の減速時には、車両の動力の一部が油圧ポンプ22の回転軸に伝達される。油圧ポンプ22は、エンジン10の動力または車両(負荷)の動力を利用して回転駆動することで、リザーバ23に貯溜された作動油を吸入して作動油にエネルギーを与えて、セカンダリプーリ油室32cに至る油圧ライン66へ吐出する。油圧ポンプ22の吐出側には、油圧ポンプ22から油圧ライン66への作動油の流れを許容するとともに油圧ライン66から油圧ポンプ22への作動油の流れ(逆流)を遮断する逆止弁(チェック弁)24が設けられている。
【0024】
プライマリレギュレータバルブ25は、油圧ライン66とセカンダリレギュレータバルブ(図示せず)に至る油路27との間に設けられており、油圧ライン66における作動油の圧力(以下ライン圧とする)PLが設定圧力PL0となるように調整する。ライン圧PLが設定圧力PL0よりも高い場合は、プライマリレギュレータバルブ25が開くことで、油圧ライン66内の作動油が油路27へ流出して油圧ライン66が減圧される。一方、ライン圧PLが設定圧力PL0以下の場合は、プライマリレギュレータバルブ25が閉じることで、油圧ライン66から油路27への作動油の流れが遮断される。油路27に供給された作動油は、セカンダリレギュレータバルブで調圧されてから、前後進切替装置のクラッチ、トルクコンバータ、及び潤滑系等の油圧負荷へ供給される。
【0025】
挟圧力調整バルブ37は、油圧ライン66とセカンダリプーリ油室32cとの間に設けられており、油圧ライン66からセカンダリプーリ油室32cへ作動油を調圧して供給することで、セカンダリプーリ油室32cの圧力Psが設定圧力Ps0(Ps0≦PL0)となるように調整する。セカンダリプーリ油室32cの圧力Psが設定圧力Ps0より低い場合は、挟圧力調整バルブ37が開くことで、油圧ライン66内の作動油がセカンダリプーリ油室32cに流入してセカンダリプーリ油室32cが増圧される。一方、セカンダリプーリ油室32cの圧力Psが設定圧力Ps0以上の場合は、挟圧力調整バルブ37が閉じることで、油圧ライン66からセカンダリプーリ油室32cへの作動油の流れが遮断される。セカンダリプーリ油室32cに供給された作動油の圧力Psによって、無端ベルト34を挟圧するためのプーリ推力(ベルト挟圧力)を発生させることができ、無端ベルト34の滑りを抑制することができる。なお、油圧ライン66からプライマリプーリ油室30cに供給する作動油の圧力や流量を制御することで無段変速機14の変速比γを制御する変速制御弁等の構成については、公知技術を適用可能であるため、図1では図示を省略している。
【0026】
油圧スタータ(油圧モータ)52は、減速機構54を介してエンジン10に連結されている。油圧スタータ52は、作動油のエネルギーが供給されることで動力を発生し、この動力によってエンジン10を始動することが可能である。油圧スタータ52の発生した動力は減速機構54で減速されてからエンジン10に伝達されるため、油圧スタータ52によりエンジン10のクランキングを行う際のトルクを増大させることができる。
【0027】
蓄圧装置として設けられたアキュムレータ28は、油圧ポンプ22から油圧ライン66へ吐出された作動油のエネルギーを蓄えることが可能である。圧力センサ29は、アキュムレータ28に蓄圧された作動油の圧力Pcを検出する。油圧ライン66とアキュムレータ28との間には、油圧ライン66からアキュムレータ28への作動油の流れを許容するとともにアキュムレータ28から油圧ライン66への作動油の流れ(逆流)を遮断する逆止弁(チェック弁)34が設けられている。さらに、油圧ライン66とアキュムレータ28との間には、切替弁64が逆止弁34と並列に設けられている。ここでの切替弁64は、アキュムレータ28から油圧ライン66への作動油の供給を許容するとともにアキュムレータ28から油圧スタータ52への作動油の供給を遮断する第1状態(図1の左側の状態)と、アキュムレータ28から油圧ライン66への作動油の供給を遮断するとともにアキュムレータ28から油圧スタータ52への作動油の供給を許容する第2状態(図1の右側の状態)と、アキュムレータ28から油圧ライン66への作動油の供給、及びアキュムレータ28から油圧スタータ52への作動油の供給を遮断する第3状態(図1の中央の状態、閉状態)と、に選択的に切り替わることが可能である。
【0028】
電子制御装置42は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、入出力ポートと、を備える。この電子制御装置42には、アクセル開度センサ(図示せず)により検出されたアクセル開度Aを示す信号、エンジン回転センサ(図示せず)により検出されたエンジン回転速度Neを示す信号、車速センサ(図示せず)により検出された車速Vを示す信号、及び圧力センサ29からのアキュムレータ28の圧力Pcを示す信号等が入力ポートを介して入力されている。一方、電子制御装置42からは、エンジン10の運転状態を制御するためのエンジン制御信号、油圧ポンプ22の吐出容量を制御するための吐出容量制御信号、ライン圧PLを制御するためのライン圧制御信号、無段変速機14の変速比γを制御するための変速制御信号、セカンダリプーリ油室32cの圧力(ベルト挟圧力)Psを制御するための挟圧力制御信号、及び切替弁64の第1〜3状態を切り換えるための切替制御信号が出力ポートを介してエンジン10、油圧ポンプ22、プライマリレギュレータバルブ25、変速制御弁(図示せず)、挟圧力調整バルブ37、及び切替弁64へそれぞれ出力されている。
【0029】
次に、本実施形態に係る駆動システムの動作について説明する。
【0030】
エンジン10が動力を発生しているときは、エンジン10の動力を利用して油圧ポンプ22が回転駆動され、油圧ポンプ22から油圧ライン66へ作動油が吐出される。油圧ポンプ22から油圧ライン66に吐出された作動油は、プライマリレギュレータバルブ25及びセカンダリレギュレータバルブを介して前後進切替装置のクラッチ、トルクコンバータ、及び潤滑系等の油圧負荷へ供給されるとともに、挟圧力調整バルブ37を介してセカンダリプーリ油室32cへ供給される。その際には、プライマリレギュレータバルブ25によりライン圧PLが設定圧力PL0に制御され、挟圧力調整バルブ37によりセカンダリプーリ油室32cの圧力(ベルト挟圧力)Psが設定圧力Ps0に制御される。なお、ここでは、切替弁64は第3状態に制御されており、アキュムレータ28から油圧ライン66への作動油の供給が遮断されていることで、アキュムレータ28からセカンダリプーリ油室32cへの作動油の供給が遮断されている。
【0031】
さらに、ライン圧PLをアキュムレータ28の圧力Pcより高く制御し、油圧ポンプ(可変吐出容量ポンプ)22の吐出容量を増大させることで、油圧ポンプ22から油圧ライン66に吐出された作動油を、逆止弁34を介してアキュムレータ28にも供給することができ、アキュムレータ28の蓄圧を行うことができる。ここでのアキュムレータ28の蓄圧を行う(油圧ポンプ22の吐出容量を増大させる)条件としては、例えば車両の減速時を挙げることができる。
【0032】
図2に、電子制御装置42により実行されるアキュムレータ蓄圧処理の一例を示す。まずステップS1において、圧力センサ29で検出されたアキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0より低いか否かが判定される。アキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0以上の場合(ステップS1の判定結果がNOの場合)は、ステップS1に戻る。一方、アキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0より低い場合(ステップS1の判定結果がYESの場合)は、ステップS2に進む。ステップS2では、車両が減速状態にあるか否かが判定される。ここでは、例えば車速Vの時間変化率dV/dtやブレーキ操作量B(図示しないセンサにより検出)に基づいて、車両が減速状態にあるか否かを判定することができる。車両が減速状態にない場合(ステップS2の判定結果がNOの場合)は、ステップS1に戻る。一方、車両が減速状態にある場合(ステップS2の判定結果がYESの場合)は、ステップS3に進む。ステップS3では、ライン圧PLをアキュムレータ28の圧力Pcより高く制御し、油圧ポンプ22の吐出容量を増大させることで、アキュムレータ28の蓄圧を行う。このように、車両の減速時にアキュムレータ28の蓄圧を行うことで、車両の運動エネルギーを利用してアキュムレータ28に作動油のエネルギーを効率よく蓄えることができる。ただし、車両の減速時以外でも、アキュムレータ28の蓄圧を行うことが可能である。
【0033】
プライマリプーリ30及びセカンダリプーリ32への無端ベルト34の掛かり径を変化させて無段変速機14の変速比γを変更する変速動作を実行するときは、変速制御弁(図示せず)によりプライマリプーリ油室30cにおいて流入または流出する作動油の流量を制御する。その際には、セカンダリプーリ油室32cにおいても作動油が流入または流出する。無段変速機14の変速比γを急激に増大させる急減速動作(ダウンシフト)を実行するときは、セカンダリプーリ油室32cの容積が急激に増大するため、セカンダリプーリ油室32cに流入する作動油の所要流量も増大する。油圧ポンプ22からの吐出流量のみでセカンダリプーリ油室32cへの所要流量を賄おうとすると、油圧ポンプ22の最大吐出容量を増大させる必要がある。さらに、油圧ポンプ22は、急激な吐出流量変化の要求に対する応答性が低いので、急減速動作時におけるセカンダリプーリ油室32cへの所要流量を賄うために、急減速動作時以外においても大流量の作動油を吐出する必要がある。その結果、油圧ポンプ22から吐出される作動油の無駄流量(油圧負荷へ供給されることなくリザーバ23へドレインされる流量)が増大するとともに、油圧ポンプ22の大型化を招くことになる。
【0034】
これに対して本実施形態では、セカンダリプーリ油室32cに流入する作動油の所要流量が増大する急減速動作の実行時に、油圧ポンプ22が吐出した作動油をセカンダリプーリ油室32cへ供給するとともに、切替弁64を第1状態に切り替えてアキュムレータ28から油圧ライン66への作動油の供給を許容することで、アキュムレータ28からセカンダリプーリ油室32cへの作動油の供給を許容する。これによって、油圧ポンプ22が吐出した作動油を挟圧力調整バルブ37で調圧してセカンダリプーリ油室32cへ供給するとともに、アキュムレータ28が蓄えた作動油を挟圧力調整バルブ37で調圧してセカンダリプーリ油室32cへ供給する。
【0035】
図3に、電子制御装置42により実行される急減速動作時の処理の一例を示す。この処理は、セカンダリプーリ油室32cに作動油が流入する減速動作(ダウンシフト)が所定の変速速度以上で行われるときに実行される。例えば、アクセル開度Aが所定開度以上でありキックダウンが行われるときや、車速が所定速度以下且つ車両減速度が所定減速度以上であり車両停止前に変速比γを最大変速比まで変化させる減速動作が行われるときや、目標変速比の時間変化率が所定の時間変化率以上であるときは、電子制御装置42は、減速動作が所定の変速速度以上で行われると判定し、図3に示す処理を実行する。
【0036】
まずステップS11において、油圧ポンプ22の吐出容量が最大吐出容量に制御されるとともに、切替弁64が第3状態から第1状態に切り替えられる。これによって、油圧ポンプ22からセカンダリプーリ油室32cへ供給可能な作動油の流量が増大するとともに、アキュムレータ28に蓄えられた作動油がセカンダリプーリ油室32cへ供給される。このセカンダリプーリ油室32cに供給された作動油の圧力Psによってベルト挟圧力を発生させることができる。次にステップS12において、変速制御が実行される。ここでは、変速比γが目標変速比に一致するように図示しない変速制御弁の制御が行われる。次にステップS13において、切替弁64が第1状態から第3状態に切り替えられる。ここでは、例えば圧力センサ29で検出されたアキュムレータ28の圧力Pcが所定圧力Pc1より低くなったときに、アキュムレータ28内に作動油がほとんど残っていないと判定し、切替弁64を第3状態に切り替える。これによって、アキュムレータ28から油圧ライン66への作動油の供給が遮断されることで、アキュムレータ28からセカンダリプーリ油室32cへの作動油の供給が遮断される。
【0037】
このように、本実施形態では、減速動作が所定の変速速度以上で行われるときに、油圧ポンプ22が吐出した作動油をセカンダリプーリ油室32cへ供給するとともに、切替弁64を第1状態に切り替えてアキュムレータ28が蓄圧した作動油をセカンダリプーリ油室32cへ供給することで、セカンダリプーリ油室32cへの所要流量を油圧ポンプ22からの吐出流量及びアキュムレータ28からの供給流量により賄う。アキュムレータ28は瞬時に大流量を流すことができるので、急減速動作時に油圧ポンプ22の応答性低下に起因して生じるセカンダリプーリ油室32cへの所要流量の不足分をアキュムレータ28からの供給流量により十分に補う(アシストする)ことができる。したがって、急減速動作時にセカンダリプーリ油室32cへ十分な流量の作動油を応答よく供給することができるので、変速動作の応答性を向上させることができるとともに、ベルト挟圧力を安定して発生させることができる。さらに、急減速動作時にアキュムレータ28からセカンダリプーリ油室32cへ作動油を供給することで、油圧ポンプ22の最大吐出容量を減少させることができる。したがって、油圧ポンプ22から吐出される作動油の無駄流量を減少させることができるとともに、油圧ポンプ22の小型化を実現することができる。その結果、油圧制御装置40の高効率化及び小型化を実現することができる。
【0038】
さらに、本実施形態では、減速動作が所定の変速速度以上で行われるときに、油圧ポンプ22が吐出した作動油だけでなくアキュムレータ28が蓄圧した作動油も挟圧力調整バルブ37で調圧してセカンダリプーリ油室32cへ供給している。そのため、セカンダリプーリ油室32cへの所要流量の不足分をアキュムレータ28からの供給流量により補う際に、セカンダリプーリ油室32cの圧力(ベルト挟圧力)Psをより精度よく制御することができる。なお、2Lクラスのエンジン10を想定した場合は、急変速動作時に必要な作動油量は約300cc(フル変速を1.5秒で行ったとき)であり、その作動油量を賄うためのアキュムレータ28のサイズ(ガス容積)は700〜800ccである。
【0039】
また、本実施形態では、エンジン10の燃費性能を向上させるために、車両の走行状態に応じてエンジン10を自動停止したり自動再始動する制御が電子制御装置42により行われる。エンジン10の自動停止の条件としては、シフトレバーがNポジションまたはPポジションの場合は、例えば「車両が停止状態」かつ「アクセルオフ」(アクセルペダルが踏み込まれていない状態)が成立したときを挙げることができ、シフトレバーがDポジションの場合は、例えば「車両が停止状態」かつ「アクセルオフ」かつ「ブレーキオン」(ブレーキペダルが踏み込まれている状態)が成立したときを挙げることができる。一方、エンジン10の自動再始動の条件としては、例えばこうした自動停止の条件が成立しなくなったときを挙げることができる。エンジン10の自動停止時には、油圧ポンプ22の回転駆動も停止されるため、油圧ポンプ22からセカンダリプーリ油室32cへ作動油を供給できなくなる。その結果、セカンダリプーリ油室32cの圧力(ベルト挟圧力)Psの低下を招くことになる。
【0040】
そこで、本実施形態では、エンジン10の自動停止時にも、切替弁64を第1状態に切り替えてアキュムレータ28から油圧ライン66への作動油の供給を許容することで、アキュムレータ28からセカンダリプーリ油室32cへの作動油の供給を許容する。これによって、アキュムレータ28が蓄えた作動油を挟圧力調整バルブ37で調圧してセカンダリプーリ油室32cへ供給する。
【0041】
図4に、電子制御装置42により実行されるエンジン自動停止時の処理の一例を示す。まずステップS21において、圧力センサ29で検出されたアキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0以上であるか否かが判定される。アキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0以上の場合(ステップS21の判定結果がYESの場合)は、ステップS22において、切替弁64が第3状態から第1状態に切り替えられることで、アキュムレータ28に蓄圧された作動油がセカンダリプーリ油室32cへ供給される。これによって、ベルト挟圧力を発生させることができる。一方、アキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0より低い場合(ステップS21の判定結果がNOの場合)は、ステップS23において、エンジン10の再始動が行われる。ここでは、図示しない電動スタータによりエンジン10のクランキングが行われる。エンジン10の再始動後は、油圧ポンプ22の吐出容量を増大させてアキュムレータ28の蓄圧を行う。
【0042】
このように、本実施形態では、エンジン10の自動停止時に、アキュムレータ28が蓄圧した作動油をセカンダリプーリ油室32cへ供給することで、油圧ポンプ22が停止していてもベルト挟圧力を発生させることができる。したがって、ベルト挟圧力を発生させるために電動モータ等で油圧ポンプを駆動する必要がなくなり、油圧制御装置40の効率を向上させることができる。なお、エンジン10の自動停止時におけるベルト挟圧力の保持に必要な作動油量は、急変速動作時に必要な作動油量と比べて少ないため、アキュムレータ28により十分に賄うことができる。
【0043】
また、本実施形態では、切替弁64を第2状態に切り替えてアキュムレータ28から油圧スタータ52への作動油の供給を許容することで、油圧スタータ52は、アキュムレータ28に蓄えられた作動油のエネルギーを利用してエンジン10の始動を行うことができる。
【0044】
図5に、電子制御装置42により実行されるエンジン始動時の処理の一例を示す。まずステップS31において、圧力センサ29で検出されたアキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0以上であるか否かが判定される。アキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0以上の場合(ステップS31の判定結果がYESの場合)は、ステップS32において、切替弁64が第3状態から第2状態に切り替えられることで、アキュムレータ28に蓄圧された作動油が油圧スタータ52へ供給される。これによって、油圧スタータ52が動力を発生してエンジン10のクランキングを行う。一方、アキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0より低い場合(ステップS31の判定結果がNOの場合)は、ステップS33において、図示しない電動スタータによりエンジン10の始動が行われる。
【0045】
このように、本実施形態では、アキュムレータ28が蓄圧した作動油を油圧スタータ52へ供給することで、エンジン10の始動を行うことができる。その際には、急変速動作時やエンジン10の自動停止時に作動油をセカンダリプーリ油室32cへ供給するアキュムレータと、エンジン10の始動時に作動油を油圧スタータ52へ供給するアキュムレータとを共用化することができるので、油圧制御装置40のコスト削減及び小型化を図ることができる。さらに、出力密度の高い油圧を利用してエンジン10の始動を行うため、電動スタータによりエンジン10の始動を行う場合と比較して、瞬時にエンジン10の始動に利用可能な仕事率を増大させることができる。したがって、エンジン10の初爆までの時間を短縮することができ、エンジン10の始動を速やかに行うことができる。
【0046】
以上の実施形態の説明では、油圧ポンプ22がエンジン10に連結されている場合について説明した。ただし、本実施形態では、図6に示すように、油圧ポンプ22が電動モータ68に連結されていてもよい。図6に示す構成例では、油圧ポンプ22は、電動モータ68の動力を利用して回転駆動することで、リザーバ23に貯溜された作動油を吸入して作動油にエネルギーを与えて、セカンダリプーリ油室32cに至る油圧ライン66へ吐出する。
【0047】
電動モータ68により油圧ポンプ22を回転駆動する場合は、図2のフローチャートのステップS3において、ライン圧PLをアキュムレータ28の圧力Pcより高く制御し、電動モータ68の回転速度を増大させて油圧ポンプ22からの吐出流量を増大させることで、アキュムレータ28の蓄圧を行うことができる。また、図3のフローチャートのステップS11では、電動モータ68の回転速度を増大させることで、油圧ポンプ22からセカンダリプーリ油室32cへ供給可能な作動油の流量を増大させることができる。
【0048】
図7に、電子制御装置42により実行されるエンジン自動停止時の処理の他の例を示す。ステップS41,S42は、図4のフローチャートのステップS21,S22とそれぞれ同様である。そして、アキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0より低い場合は、ステップS43において、電動モータ68を回転駆動することで、油圧ポンプ22が吐出した作動油をセカンダリプーリ油室32cへ供給して、ベルト挟圧力を発生させる。
【0049】
図8に、電子制御装置42により実行されるエンジン始動時の処理の他の例を示す。まずステップS51において、圧力センサ29で検出されたアキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0以上であるか否かが判定される。アキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0より低い場合(ステップS51の判定結果がNOの場合)は、ステップS52において、ライン圧PLをアキュムレータ28の圧力Pcより高く制御し、電動モータ68の回転速度を増大させて油圧ポンプ22からの吐出流量を増大させることで、アキュムレータ28の蓄圧を行う。そして、ステップS51に戻る。一方、アキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0以上の場合(ステップS51の判定結果がYESの場合)は、ステップS53において、切替弁64を第3状態から第2状態に切り替えてアキュムレータ28に蓄圧された作動油を油圧スタータ52へ供給することで、油圧スタータ52の動力を利用してエンジン10の始動を行う。
【0050】
また、本実施形態では、圧力センサ29の代わりに、アキュムレータ28に蓄圧された作動油の圧力Pcに応じた信号を出力する圧力スイッチを設けることもできる。ここでの圧力スイッチは、例えばアキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0以上の場合にH(ハイ)レベルの信号を出力し、アキュムレータ28の圧力Pcが設定圧力Pc0より低い場合にL(ロー)レベルの信号を出力することができる。
【0051】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係る油圧制御装置を含む車両の駆動システムの概略構成を示す図である。
【図2】電子制御装置により実行されるアキュムレータ蓄圧処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】電子制御装置により実行される急減速動作時の処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】電子制御装置により実行されるエンジン自動停止時の処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】電子制御装置により実行されるエンジン始動時の処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る油圧制御装置を含む車両の駆動システムの他の概略構成を示す図である。
【図7】電子制御装置により実行されるエンジン自動停止時の処理の他の例を示すフローチャートである。
【図8】電子制御装置により実行されるエンジン始動時の処理の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
10 エンジン、14 無段変速機、22 油圧ポンプ、24,34 逆止弁、25 プライマリレギュレータバルブ、28 アキュムレータ、29 圧力センサ、30 プライマリプーリ、30c プライマリプーリ油室、32 セカンダリプーリ、32c セカンダリプーリ油室、37 挟圧力調整バルブ、40 油圧制御装置、42 電子制御装置、52 油圧スタータ、54 減速機構、64 切替弁、66 油圧ライン、68 電動モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速比を変更する変速動作の実行時に作動油が流入または流出する無段変速機の油室に作動油を供給する油圧制御装置であって、
前記油室に至る油圧ラインへ作動油を吐出する油圧ポンプと、
油圧ポンプから吐出された作動油を蓄える蓄圧装置と、
蓄圧装置から前記油室への作動油の供給を許容または遮断する切替手段と、
を備え、
前記油室に作動油が流入する方向の変速動作が所定の変速速度以上で実行されるときに、油圧ポンプが吐出した作動油を前記油室へ供給するとともに、切替手段が蓄圧装置から前記油室への作動油の供給を許容する、油圧制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧制御装置であって、
前記油圧ラインから前記油室へ作動油を調圧して供給する調圧手段を備え、
切替手段は、蓄圧装置から前記油圧ラインへの作動油の供給を許容または遮断することで、蓄圧装置から前記油室への作動油の供給を許容または遮断するものであり、
前記油室に作動油が流入する方向の変速動作が所定の変速速度以上で実行されるときに、油圧ポンプが吐出した作動油を調圧手段で調圧して前記油室へ供給するとともに、切替手段が蓄圧装置から前記油圧ラインへの作動油の供給を許容することで蓄圧装置が蓄えた作動油を調圧手段で調圧して前記油室へ供給する、油圧制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の油圧制御装置であって、
油圧ポンプから前記油圧ラインへの作動油の流れを許容するとともに前記油圧ラインから油圧ポンプへの作動油の流れを遮断する第1の逆止手段を備える、油圧制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載の油圧制御装置であって、
前記油圧ラインから蓄圧装置への作動油の流れを許容するとともに蓄圧装置から前記油圧ラインへの作動油の流れを遮断する第2の逆止手段を備える、油圧制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載の油圧制御装置であって、
無段変速機は、エンジンの動力を変速するものであり、
エンジンは、所定の自動停止条件が成立したときに自動停止されるものであり、
エンジンの自動停止時に、切替手段が蓄圧装置から前記油室への作動油の供給を許容する、油圧制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の油圧制御装置であって、
無段変速機へ動力を伝達可能なエンジンを始動するための油圧モータを備え、
切替手段は、蓄圧装置から油圧モータへの作動油の供給を許容または遮断することも可能であり、
油圧モータによりエンジンを始動するときに、切替手段が蓄圧装置から油圧モータへの作動油の供給を許容する、油圧制御装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1に記載の油圧制御装置であって、
油圧ポンプは、エンジンの動力または負荷の動力を利用して前記油圧ラインへ作動油を吐出する可変吐出容量ポンプである、油圧制御装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1に記載の油圧制御装置であって、
油圧ポンプは、電動モータの動力を利用して前記油圧ラインへ作動油を吐出するものである、油圧制御装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1に記載の油圧制御装置であって、
無段変速機は、プライマリプーリ及びセカンダリプーリへのベルトの掛かり径を変化させることで変速比を変更する変速動作を実行し、さらに、当該変速動作の実行時にセカンダリプーリ油室にて作動油が流入または流出するものであり、
油圧ポンプは、前記セカンダリプーリ油室に至る油圧ラインへ作動油を吐出するものであり、
切替手段は、蓄圧装置から前記セカンダリプーリ油室への作動油の供給を許容または遮断するものであり、
前記セカンダリプーリ油室に作動油が流入する方向の変速動作が所定の変速速度以上で実行されるときに、油圧ポンプが吐出した作動油を前記セカンダリプーリ油室へ供給するとともに、切替手段が蓄圧装置から前記セカンダリプーリ油室への作動油の供給を許容する、油圧制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−215592(P2008−215592A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58036(P2007−58036)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】