説明

治療薬を制御して送達する放射線架橋されたポリマーを含有する埋め込み可能又は挿入可能な医療装置

(a)治療薬と、(b)患者に投与する際に治療薬の放出を制御するポリマー放出領域と、を備える埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。ポリマー放出領域には放射線架橋されるポリマーを含み、ポリマー放出領域は、少なくとも10,000ラドの放射線量で架橋される。放射線架橋されるポリマーは、例えば、放射線架橋されるメチレン含有ポリマーであることが可能である。ポリマー放出領域を、例えば、(a)治療薬を含む担持領域又は(b)治療薬を含む治療薬含有領域上に設置する障壁領域とすることができる。本発明は、さらにそうした医療装置を形成する方法、そうした医療装置を使用して患者内で治療薬を放出する方法、及びそうした医療装置からの治療薬放出を調節する方法も対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数の治療薬を制御して送達するための埋め込み可能又は挿入可能な医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの医療装置が、身体に治療薬を送達するために開発されている。
【0003】
いくつかの送達方法の下では、治療薬を(a)ポリマー担持層内及び/又は(b)埋め込み可能又は挿入可能な医療装置と関連したポリマー障壁層下で供給するものもある。一旦医療装置が患者の所望の位置に配置されると、治療薬は医療装置からポリマー担持及び/又は障壁層の性質により異なる速度で放出される。
【0004】
望ましい治療薬の放出特性は、治療する特定の症状、選択した特定の治療薬、投与する特定の部位等を含む個別々の当面する治療により異なる。その結果、治療薬の放出速度範囲を定めることのできる、ポリマー障壁層及び担持層を含むポリマー層が引続き必要である。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、新規の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置を対象とし、該装置により治療薬を制御して放出する。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、埋め込み可能又は挿入可能な医療装置には(a)治療薬及び(b)治療薬を患者に投与する際その放出を制御するポリマー放出領域、を備える。ポリマー放出領域は、放射線架橋されるポリマーを備え、ポリマー放出領域は少なくとも10,000ラドの放射線量、より典型的には少なくとも100,000ラド、さらに典型的には1,000,000ラドで架橋される。
【0007】
ポリマー放出領域を、例えば、(a)治療薬を有する担持領域又は(b)治療薬を有する治療薬含有領域上に設置された障壁領域とすることができる。
【0008】
埋め込み可能又は挿入可能な医療装置の例として、カテーテル、ガイドワイヤ、バルーン、フィルタ、ステント、ステントグラフト、代用血管、血管パッチ、シャントが挙げられる。埋め込み可能又は挿入可能な医療装置を、例えば、冠状血管系、末梢血管系、食道、気管、大腸、胆道、尿道、前立腺、又は脳へ埋め込み又は挿入するように構成してもよい。
【0009】
治療薬は任意の数のカテゴリーから選択できるが、該カテゴリーには、抗血栓剤、抗増殖剤、抗炎症剤、遊走阻害剤、細胞外基質産生及び構成に影響を与える薬剤、抗腫瘍剤、抗分裂剤、麻酔剤、抗凝血剤、血管細胞成長促進剤、血管細胞成長阻害剤、高脂血治療剤、血管拡張剤、内因性の血管作動メカニズムを阻害する薬剤等が含まれる。
【0010】
ポリマー放出領域は、必要であれば、1つ又は複数の追加ポリマーをさらに有することができる。
【0011】
実施例によっては、放射線架橋されるポリマーのガラス転移温度は、架橋前は、周囲温度未満又は周囲温度付近である。
【0012】
放射線架橋されるメチレン基含有ポリマーは、本発明と関連して使用するのに有利な特定の放射線架橋されるポリマーである。
【0013】
メチレン基含有ポリマーとして環状又は線状が可能である。該ポリマーは、例えば、(a)複数の(‐CH‐)n骨格基(nが4以上)又は(b)複数の‐CH=CH‐骨格基を有することができ、例えば、メチレン含有ポリマーが1つ又は複数の1,3‐ジエンの反応生成物である場合、又はオレフィンメタセシス反応の生成物(例えば、非環式ジエンのメタセシス重合反応又は開環メタシス重合反応)である場合がある。
【0014】
メチレン含有ポリマーは、共重合反応の生成物であることも可能で、該生成物として(a)非環式不飽和炭化水素モノマー(例えば、αオレフィンであることが可能)及び、(b)追加のモノマー(例えば、非環式モノマー、アミノアルキルメタクリレート・モノマー、ビニルエーテルモノマー、環状エーテルモノマー、不飽和エステルモノマー、及びハロゲン化不飽和炭化水素から選択できる)、を含む。具体例として、非環式不飽和モノマーをエチレンとし、追加モノマーをアルキルアクリレートとすることができる。コポリマーとしては、例えば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー又は交互コポリマーが可能である。
【0015】
本発明の別の態様によれば、治療薬を患者内で放出する方法を提供し、該方法には:(a)ここで記述するような埋め込み可能又は挿入可能な医療装置を提供すること、及び(b)該埋め込み可能又は挿入可能な医療装置を患者に埋め込む又は挿入すること、を含む。例えば、医療装置を患者の冠状血管系、末梢血管系、食道、気管、大腸、胆道、尿道、前立腺、又は脳に埋め込み又は挿入してもよい。より具体的な例として、医療装置を患者の血管系に挿入して、例えば、再狭窄治療用の治療薬を放出してもよい。
【0016】
本発明のさらなる別の態様によれば、ここで記述するような埋め込み可能又は挿入可能な医療装置を提供する方法を提供し、該方法には:(a)メチレン含有ポリマーを有するコーティングを埋め込み可能又は挿入可能な医療装置の表面に塗布すること;及び(b)該コーティングに少なくとも10,000ラド、より典型的には少なくとも100,000ラド、さらにより典型的には1,000,000ラドの放射線量を該コーティングに照射すること、を含む。この放射線量は、ガンマ線照射及び電子ビーム照射等の様々な放射線の種類を使用して提供できる。実施例によっては、医療装置から治療薬を放出する速度を、架橋で使用する放射線量を加減して調節する。
【0017】
本発明の1効果は、埋め込み可能又は挿入可能な医療装置を提供でき、それにより治療薬を制御して放出できるようになることである。
【0018】
本発明の別の効果は、放射線架橋技術を用いてかかる装置を提供でき、そのためクリーンで安価であることである。
【0019】
本発明の別の効果は、かかる装置に関連する薬品放出特性を、使用する放射線量を修正することで変更できるため、放出領域の化学的組成を改質せずに済むことである。
【0020】
さらなる本発明の別の効果は、放射線架橋を用いるため、形成する放出領域での不純物となる可能性がある化学架橋剤を添加する必要がないことである。
【0021】
本発明のこれら及び他の実施例及び効果については、以下の詳細な説明及びクレームに目を通せば当業者には即座に明白になるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一実施例によれば、埋め込み可能又は挿入可能な医療装置を提供し、該医療装置には(a)治療薬及び(b)患者に投与する際に治療薬の放出を制御するポリマー放出領域を備える。放射線架橋されるポリマー放出領域は、典型的には少なくとも10,000ラド(0.01メガラド)、より典型的には少なくとも100,000ラド(0.1メガラド)、さらに典型的には少なくとも1,000,000ラド(1メガラド)の放射線量で架橋される。放射線架橋されるポリマー放出領域を、反応種を発生可能な任意の放射線感受性ポリマーから形成し、該反応種に電離放射線が照射されると、反応種は順に架橋反応を起こす(かかるポリマーを、ここでは“放射線架橋可能なポリマー”と称す)。例えば、放射線架橋されるポリマー放出領域を、メチレン含有ポリマーから形成してもよく、該ポリマーは(i)周囲温度での破断伸びが少なくとも25%である、(ii)架橋前、周囲温度で結晶性又は非結晶性、又は両方である、(iii)周囲温度未満又は周囲温度付近のガラス転移温度を有する、可能性がある。
【0023】
“放出領域”は治療薬の放出速度を調節する領域を意味する。放出領域は通常担持領域又は障壁領域のいずれかである。“担持領域”は、少なくとも1種類の治療薬を含み、そこから治療薬を放出する領域である。“障壁領域”は、治療薬の供給源と放出対象部位との間に配置され、治療薬を放出する速度を制御する領域である。
【0024】
ポリマー放出領域を医療装置において多くの構造で存在させられる。例えば、ポリマー放出領域を医療装置全体に設置、又は医療装置の一部だけに設置できる。医療装置の部分を、例えば、(a)1つ又は複数の医療装置の層(例えば、1つ又は複数のコーティング層、(b)1つ又は医療装置の構成要素又はその部分、等とすることが可能である。
【0025】
例えば、本発明の実施例によっては、外側の担持層を少なくとも埋め込み可能又は挿入可能な医療装置の一部分上に配置する。該装置を患者に埋め込む又は挿入すると、担持層から治療薬が制御されて放出される。別の実施例では、治療薬含有層及び障壁層を少なくとも埋め込み可能又は挿入可能な医療装置の一部分上に配置し、障壁層を治療薬含有層上に配置する。その結果、障壁層は、医療装置を埋め込み又は挿入する際に医療装置からの治療薬放出を制御する役割を果たす。
【0026】
本発明に関連して使用する好適な埋め込み可能又は挿入可能な医療装置として、カテーテル(例えば、バルーンカテーテル等の腎臓カテーテル又は血管カテーテル)、ガイドワイヤ、バルーン、フィルタ(例えば、大静脈フィルタ)、ステント(冠血管ステント、脳血管、尿道、尿管、胆管、気管、消化管、食道ステントを含む)、ステントグラフト、脳動脈瘤塞栓コイル(ググリエルミデタッチャブルコイル、及び金属製コイルを含む)、代用血管、心筋プラグ、パッチ、ペースメーカ及びペースメーカリード、心臓弁、生検装置等、又は任意の被覆基材(例えば、ガラス、金属、ポリマー、セラミック及びそれらの組み合わせから成ることが可能)で身体に埋め込まれ又は挿入されて、手術で使用され又は移植片となり、そこから治療薬を放出する該基材、等が挙げられる。
【0027】
本発明と関連して使用することを考慮した医療装置には、任意の哺乳類の組織又は器官の全身治療又は局所治療のいずれかに使用される薬品を送達する医療装置を含む。限定されない例としては、腫瘍;器官で、以下を含むがこれに限定されない、心臓、冠状動脈及び末梢血管系(総じて“血管系”と称す)、肺、気管、食道、脳、肝臓、腎臓、膀胱、尿道、尿管、眼、腸、胃、膵臓、卵巣、及び前立腺;骨格筋;平滑筋;胸;軟骨;及び骨、が挙げられる。
【0028】
本発明と関連して使用するのに特に好適な一医療装置として、治療薬を血管系内に送達して再狭窄の治療を行なう血管ステントがある。本明細書で、“治療”とは疾病又は病勢を予防する、又は疾病又は病勢に関連する症状を軽減又は除去する、又は疾病又は病勢を大幅に又は完全に除去することを言う。好適な被験体(即ち、患者)は哺乳類の被験体であり、より好適にはヒトの被験体である。
【0029】
本発明の医療装置のポリマー放出領域内にある放射線架橋可能なポリマーの有効な破断伸びは、周囲温度で少なくとも25%である。“伸び”とは、引張状態での試験片の長さの伸び率のことで、ここでは元の長さの割合で示している。この“破断伸び”とは、試験片が引張状態で破断又はそうでなければ衰える点で観察される伸び量である。周囲温度は、典型的には25℃〜45℃であり、より典型的には体温(例えば、35℃〜40℃)である。
【0030】
放射線架橋可能なポリマーのガラス転移温度は周囲温度付近又は周囲温度未満でもよく、架橋前では、より典型的には30℃、20℃、−20℃、−40℃未満、さらには−60℃未満でもよい。
【0031】
本発明と関連して使用するのに有効なポリマーとして、メチレン含有ポリマーがある。“メチレン含有ポリマー”とは、複数の(‐CH‐)n基をポリマー鎖に含むポリマーであり、nは1以上の整数である。典型的には、本発明と関連して使用するメチレン含有ポリマーは10以上のモノマー、より典型的には50、100、500又はそれ以上のモノマーから形成される。
【0032】
本発明と関連して使用するメチレン含有ポリマーを様々な構造で提供してもよく、該構造には、環状、線状及び分岐状構造が含まれる。分岐状構造としては、星型構造(例えば、1分岐点から3鎖以上が出る構造)、櫛型構造(例えば、主鎖及び複数の分岐している側鎖を有するグラフトポリマー)、及び樹木型構造(樹枝状又は高分岐ポリマー等)が挙げられる。こうした構造は単独のモノマーから形成でき(即ち、ホモポリマーが可能)、又は複数のモノマーから形成でき(即ち、コポリマーが可能)、それらを例えばランダムに、規則的な方法で(例えば、交互に)、又はブロックで分布させることが可能である。
【0033】
典型的には、メチレン含有ポリマーは、直鎖状、分枝状及び環状アルケン等1つ又は複数の不飽和炭化水素モノマーを用いて形成される。例として、エチレン及びその他のαオレフィン(例えば、C3‐C20αオレフィンで、プロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、4‐メチルペンテン、1‐ヘキセン、1‐ヘプテン、1‐オクテン及び1‐オクタデセン等の、分岐又は非分岐オレフィンが可能)、ジオレフィン(例えば、トランスブタジエン、シスイソプレン及びトランスイソプレン)、及び環状オレフィン(例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロへキセン、シクロオクテン等のC4‐C20シクロオレフィン)が挙げられる。
【0034】
多くの化学合成技術が不飽和炭化水素モノマーの重合に関して知られており、該重合として、ラジカル重合、カオチン重合、アニオン重合、チーグラ・ナッタ重合、メタロセン重合、ニトロキシドを用いた重合(NMP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加フラグメンテーション連鎖移動(RAFT)重合、及びオレフィンメタセシス重合が挙げられる。
【0035】
多数の実施例において、メチレン含有ポリマーには、複数の(‐CH‐)n基の他にも基を含む。
【0036】
実施例によっては、例えば、メチレン含有ポリマーには、複数の(‐CH‐)n基の他にも複数の‐CH=CH‐基を含む。
【0037】
‐CH=CH‐基を多くの方法を用いて導入できる。一例として、コポリマーに非環式の不飽和炭化水素モノマー(例えば、エチレン又はαオレフィン)及び‐C C‐基を有するモノマー(例えば、アセチレン)を含有して形成できる。
【0038】
別の具体例として、1,3‐ジエン(例えば、ブタジエン又はイソプレン)を、例えばチーグラ・ナッタ重合等の既知の技術を用いて重合させ、不飽和ポリマー、例えば、ポリイソプレン、

及びポリブタジエン

を生成できる。nは整数である。シスイソプレンではガラス転移温度(Tg)は約−63℃、トランスブタジエンではTgは約−66℃、シスブタジエンではTgは約−58℃である。トランスブタジエンではTgは約102℃であり、そのためあまり好ましくない。これらのポリマーは、複数の(‐CH‐)n基(nは2)及び複数の>C=C<基も同じく有するメチレン含有ポリマーの例である。
【0039】
別の具体例として、非環式ジエンのメタセシス重合、例えば、1‐4ペンタジエン、1‐5ヘキサジエン、1‐7オクタジエン等の1‐(n‐1)Cnジエンがある。例えば、1‐5ヘキサジエンのメタセシス重合では、

を生成する。このポリマーは、複数の(‐CH‐)n基(nは2である)及び複数の>C=C<基も同じく有するメチレン含有ポリマーの例である。
【0040】
さらに別の具体例として、環状オレフィンの開環メタセシス重合(例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロへキセン、シクロオクテン等のC4‐C20シクロオレフィン)が挙げられる。市販されている開環メタシス重合の1製品として、Vestenamer(登録商標)(デグサ社(Degussa Corp.)製、ニュージャージー州パーシパニー市)の製品名で発売されている。Vestenamer(登録商標)は、環状ポリオクテナマーと直鎖状ポリオクテナマーの混合物であり、以下

により表される。これらのポリマーは、複数の(‐CH‐)n基(nは6)及び複数の>C=C<も同じく有するメチレン含有ポリマーの例である。製造過程で、メタセシス反応でシクロオクテンを重合させ、説明した環状のポリオクテナマーと直鎖状ポリオクテナマーの混合物が製造される。シス/トランス比により最終製品の結晶化度が判定されるが、この比は重合条件により制御される。具体的な市販されている2製品として、結晶化度が23℃で30%、融点が54℃、ガラス転移温度が−65℃であるVestenamer(登録商標)グレード8012と、結晶化度が23℃で10%、融点が<36℃、ガラス転移温度が−75℃であるVestenamer(登録商標)グレード6213がある。
【0041】
他の実施例においては、複数の(‐CH‐)n基の他にも基を、不飽和炭化水素モノマーではないモノマーの存在下で重合させて、メチレン含有ポリマーに導入する。例えば、コポリマーを、不飽和炭化水素モノマーを1つ又は複数の以下のモノマーと共に重合させて形成できる。該モノマーとして:(a)非環式モノマーで、アルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、sec‐ブチルアクリレート、tert‐ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、及びヘキサデシルアクリレート)、ハロアルキルアクリレート(例えば、2,2,2‐トリフルオロエチルアクリレート)、シアノアルキルアクリレート(例えば、2‐シアノエチルアクリレート)、及びアルコキシアルキルアクリレート(例えば、2‐メトキシエチルアクリレート及び2‐エトキシエチルアクリレート)等、(b)メタクリレートで、アミノアルキルメタクリレート等(例えば、ジエチルアミノエチルメタクリレート及び2‐tert‐ブチル‐アミノエチルメタクリレート)、(c)ビニルエーテルで、アルキルビニルエーテル等(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2‐エチルヘキシルビニルエーテル及びドデシルビニルエーテル)、(d)環状エーテルで、テトラヒドロフラン、トリメチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エピブロモヒドリン、エピクロロヒドリン、1,2‐エポキシブタン、1,2‐エポキシオクタン及び1,2‐エポキシデカン等、(e)追加のエステルとして、エチレンアジパート、テトラメチレンアジパート、エチレンマロネート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート及びビニルトリフルオロアセテート等、(f)ハロゲン化不飽和炭化水素で、ビニルフルオライド、ビニリデンクロライド、ビニリデンフルオライド、シス‐クロロブタジエン、トランス‐クロロブタジエン等、及び(g)他のモノマーとして、ε‐カプロラクトン、1‐ビニル‐2‐ピロリドン及びメチルスチレン等、がある。コポリマーを、ランダム、交互又はブロックコポリマー、典型的にはランダム又は交互コポリマーとすることが可能である。
【0042】
コポリマーのいくつかの具体例として、以下のランダムコポリマーが挙げられる:(a)アルドリッチ社(Aldrich)より市販されているエチレン及びブチルアクリレート、(b)アルドリッチ社より市販されているエチレン及びメチルアクリレート、及び(c)アルドリッチ社より市販されているエチレン、メチルアクリレート及びアクリル酸。
【0043】
理論により制約されることを望まないが、メチレン含有ポリマーが架橋される主要なメカニズムは、高エネルギー放射線照射の結果発生するCH結合切断から進行し始めると考えられている。この結果遊離基が形成され、互いに結合することが可能である。遊離基が同じポリマー分子に存在する場合には、分子間架橋が形成される。遊離基が異なるポリマー分子に存在する場合には、分子内架橋が形成される。ポリマーに炭素‐炭素二重結合を含む場合には、該二重結合の切断から形成される遊離基から同様な反応が起こる。
【0044】
放射線は十分に高エネルギーである限り、基本的に如何なる種類の放射線を使用しても、本発明の放出領域内で、放射線架橋可能なポリマーを架橋できる。好適とされる供給する高エネルギー放射線として、ガンマ線、X線、及び電子ビームが挙げられる。
【0045】
所望の架橋程度を獲得するために、本発明に関連して使用する放射線量を典型的には少なくとも0.01メガラド、より典型的には少なくとも0.1メガラド及びさらに典型的には0.25メガラドとする。具体例として、0.25メガラド〜50メガラド、0.5メガラド〜30メガラド、1メガラド〜25メガラド、及び10メガラド〜20メガラドの範囲が挙げられる。
【0046】
先に言及したように、放射線架橋はクリーンで安価である。その上、架橋密度、延いては医療装置の放出特性を、使用する放射線量を修正するだけで変更できる。その結果、通常必要とされる組成に関する付随的な変更をせずに、放出特性の修正を行える。
【0047】
さらに、架橋した製品における不純物の発生源となる可能性がある架橋剤を必要とせずに、架橋できる。それでも、所望であれば、反応ガス、液体又は固体を装置内で照射中に供給して、治療薬の溶出速度に影響を与える別の化学反応を開始させる、又はコーティング上に特色のある化学的表面(例えば、滑性コーティング、抗血栓性コーティング等)を作成することができる。
【0048】
本発明に関連して用いる架橋のための放射線量を、実施例によっては、十分高くして医療装置を殺菌することも可能である。これは、治療薬に対して効果的である、というのも治療薬は、熱、蒸気及び/又は反応性化学薬品を加える必要があるエチレンオキシド又は他の殺菌方法と共に使用できないからである。
【0049】
架橋前に、放出領域に対応する装置又は装置の一部(例えば、装置のコーティング、装置の構成要素、又は装置全体)を多数の既知の方法を用いて形成できる。
【0050】
例えば、ポリマー放出領域の構成要素が熱可塑性の特性を有する場合、様々な標準的な熱可塑性の加工技術を使用してポリマー放出領域を形成できる。加工方法としては、圧縮成形、射出成形、ブロー成形、回転成形、真空成形及びカレンダリング、同様に、シート、繊維、棒、管及び様々な長さの他の断面形状の押出し成形等がある。熱可塑特性を有するポリマーの一例として、約54℃の融点を有するV estenamer(登録商標)グレード8012がある。
【0051】
一具体例として、ステント構造体全体を、上記方法を用いて押出し成形できる。別の例として、既存のステント上にコーティング層を押出し成形することでコーティングを提供できる。さらに別の例として、コーティングを基礎となるステント構造体と共に共押出し成形できる。
【0052】
治療薬が加工条件下でも安定している場合は、治療薬をポリマーと混合して、熱可塑性加工を施し、治療薬を含有する担持領域を生成できる。安定していない場合は、治療薬を含有する担持領域を下記のように加工後に治療薬を導入することにより形成できる。
【0053】
別の実施例では、ポリマー放出領域を溶剤ベースの方法を用いて形成する。該方法では、ポリマー放出領域の構成要素を1つ又は複数の溶媒種を含む溶媒系にまず溶解し、次にその結果得られた混合物を使用してポリマー放出領域を形成する。
【0054】
選択される溶媒系としては、ポリマー放出領域の構成要素に対して良好な溶媒が好ましく、また治療薬が含まれている場合は、治療薬に対しても同様に良好な溶媒が好ましい。特定の溶媒系を乾燥速度及び表面張力等の他の特性に基づき選択してもよい。
【0055】
好適な溶媒ベースの方法として、溶媒キャスト法、スピンコーティング法、ウェブコーティング法、溶媒スプレー法、ディッピング法、気中懸濁等の機械的懸濁により被覆を行う方法、インクジェット法、静電法、及びこれら加工法の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
溶媒ベースの加工方法を使用した場合、溶媒及びポリマー放出領域の構成要素(例えば、Vestenamer(登録商標)等のメチレン含有ポリマー)を含有する混合物を基体に塗布して放出領域を形成するのが好ましい。
【0057】
実施例によっては、基体は放出層を塗布する埋め込み可能又は挿入可能な医療装置全体又は一部である。他の実施例では、基体を鋳型とし、該鋳型からポリマー放出領域を溶媒排出後に取り外す。こうした鋳型ベースの方法は、特に、鋳型である基体から容易に取り外せる、シート、管、シリンダ等の単純な物体を形成するのに適している。別の方法、例えば、繊維形成法では、ポリマー放出領域を、基体又は鋳型を用いずに形成する。
【0058】
必要に応じて、上記した方法等の方法を繰り返して又は組み合わせて、放出領域を所望の厚さに形成できる。放出領域の厚さは他の方法でも同様に変更できる。例えば、溶媒の噴霧時に、厚さを、噴霧流量の増加、被覆する基体と噴霧ノズルとの間の移動速度を落とす、繰り返し通過させる等、被覆加工パラメータを修正することで厚くできる。
【0059】
担持領域を(例えば、障壁領域に対向して)形成する場合、治療薬をポリマー混合物に含め、そうして治療薬を担持領域に同時に設置できる。別の実施例では、治療薬を予め形成した放出領域に導入する。例えば、治療薬を溶媒に溶解し、その結果得られた溶液を、例えば、上記の1つ又は複数の塗布方法(例えば、ディッピング法、スプレー法等)を用いて、予め形成した放出領域に密着させることができる。
【0060】
上述のように、障壁層を治療薬含有領域の上に形成できる。実施例によっては、治療薬含有領域は1つ又は複数のポリマーから成り、該ポリマーは、例えば本出願の他の箇所で記載したポリマーから選択できる。これらの事例では、例えば、上記で言及した溶媒ベースの方法(例えば、ディッピング法、スプレー法等)を用いて、治療薬含有領域を設置できる。別の実施例では、障壁層の下に治療薬含有領域を関連するポリマーなしで設置する。この場合、治療薬を単に溶媒又は液体に溶解又は分散して、その結果得られた溶液/分散液を、また例えば上記で言及した1つ又は複数の塗布方法(例えば、ディッピング法、スプレー法等)を用いて、基体に塗布できる。
【0061】
放出領域を溶媒ベースの方法を用いて形成した場合、塗布後に乾燥させて溶媒を除去するのが好ましい。放出領域が、基礎となる医療装置上に被覆した放出層である場合は、放出層を典型的には基礎となる医療装置と乾燥処理中にさらになじませる。
【0062】
本発明のポリマー放出領域を形成する際に、1つ又は複数の放射線架橋されるポリマーを、要望通りに、提供できる。放射線架橋されるポリマー(例えば、メチレン含有ポリマー)の他に、ポリマーを加えて、例えば、放出層の強度又は拡散特性を操作することができる。
【0063】
ポリマーは、例えば、架橋された又は架橋されていない、線状又は分岐状の、天然又は合成の、熱可塑性又は熱硬化性の、ホモポリマー又はコポリマーでもよい。ポリマーには以下を含む:ポリカルボン酸ポリマー及びポリアクリル酸を含むコポリマー;アセタールポリマー及びコポリマー;アクリレート及びメタクリレートポリマー及びコポリマー(例えば、n‐ブチルメタクリレート);セルロースポリマー及びコポリマーでセルロースアセテート、ニトロセルロース、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セロファン、レーヨン、レーヨントリアセテート、及びカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロースエーテル;ポリオキシメチレンポリマー及びコポリマー;ポリイミドポリマー及びコポリマーでポリエーテル・ブロック・イミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド及びポリエーテルイミド等;ポリスルホンポリマー及びコポリマーでポリアリルスルホン及びポリエーテルスルホンを含むもの;ポリアミドポリマー及びコポリマーでナイロン6,6,ポリカプロラクタム及びポリアクリルアミドを含むもの;樹脂で、アルキド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アリル樹脂及びエポキシド樹脂を含むもの;ポリカーボネート;ポリアクリロ二トリル;ポリビニルピロリドン(架橋された及び架橋されていない);ビニルモノマーのポリマー及びコポリマーで、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド等のポリハロゲン化ビニル、エチレン・ビニルアセテート・コポリマー(EVA)、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルメチルエーテル等のポリビニルエーテル、ポリスチレン、スチレン‐無水マレイン酸コポリマー、スチレン‐ブタジエンコポリマー、スチレン‐エチレン‐ブタジエンコポリマー(例えば、ポリスチレン‐ポリエチレン/ブチレン‐ポリスチレン(SEBS)コポリマー、Kraton(登録商標)Gシリーズポリマーとして発売)、アクリロニトリル‐スチレンコポリマー、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレンコポリマー、スチレン‐ブタジエンコポリマー及びスチレン‐イソブチレンコポリマー(例えばSIBS等のポリイソブチレン‐ポリスチレン・ブロックコポリマー)、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、及びポリビニルアセテート等のポリビニルエステルを含むもの;ポリベンゾイミダゾール;アイオノマー;ポリアルキレンオキシドポリマー及びコポリマーで、ポリエチレンオキシド(PEO)を含むもの;グリコサミノグリカン;ポリエステルで、ポリエチレンテレフタレート及び脂肪族ポリエステルを含み、脂肪族ポリエステルとして、ラクチド(乳酸やd‐、l‐及びメソ‐ラクチドを含む)、イプシロンカプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含む)、ヒロドキシブチレート、ヒドロキシバレレート、パラ‐ジオキサノン、トリメチレンカーボネート(及び、そのアルキル誘導体)、1,4‐ジオキセパン‐2‐オン、1,5‐ジオキセパン‐2‐オン、6,6‐ジメチル‐1,4‐ジオキサン‐2‐オン(ポリ乳酸及びポリカプロラクトンのコポリマーは1つ特定の例である)のポリマー及びコポリマー等;ポリエーテルポリマー及びコポリマーで、ポリフェニレンエーテル等のポリアリールエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンを含むもの;ポリフェニレンスルフィド;ポリイソシアネート;ポリオレフィンポリマー及びコポリマーで、ポリプロピレン、ポリエチレン(低及び高密度、低及び高分子量)、ポリブチレン(ポリブテ−1−エン及びポリイソブチレン等)等のポリアルキレン、ポリ−4−メチル‐ペンテ−1−エン、エチレン‐アルファ‐オレフィンコポリマー、エチレン‐メチルメタクリレートコポリマー及びエチレン‐ビニルアセテートコポリマーを含むもの;フッ素化ポリマー及びコポリマーで、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロチレン‐co‐ヘキサフルオロプロペン)(FEP)、変性エチレン‐テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(ポリビニリデンフルオロリド)(PVDF)を含むもの;シリコンポリマー及びコポリマー;ポリウレタン;p‐キシリレンポリマー;ポリイミノカーボネート;ポリエチレンオキシド‐ポリ乳酸コポリマー等のコポリ(エーテル‐エステル);ポリフォスファジン;ポリアルキレンオキザレート;ポリオキサミド及びポリオキサエステル(アミン及び/又はアミド基を含有するものを含む);ポリオルトエステル;ポリペプチド、タンパク質、多糖類及び脂肪酸(及びそのエステル)等のバイオポリマーで、フィブリン、フィブリノゲン、コラーゲン、エラスチン、キトサン、ゼラチン、デンプン、ヒアルロン酸等のグリコサミノグリカンを含むもの;同様に、上記の組み合わせ及びコポリマー。
【0064】
“治療薬”、“薬学上の活性剤”、“薬学上の活性物質”、“薬品”及び他の関連用語をここでは同義的に用い、遺伝子治療薬、非遺伝子治療薬及び細胞を含んでもよい。治療薬を単独で又は組み合わせて使用してもよい。治療薬は、例えば、非イオン性である、又は本質的に陰イオン性及び/又は陽イオン性でもよい。
【0065】
本発明と関連して使用する例示的な非遺伝子治療薬として挙げられるのは:(a)抗血栓剤で、ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、及びPPack(デキストロフェニルアラニン・プロリン・アルギニン・クロロメチルケトン)等;(b)抗炎症剤で、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミン等;(c)抗腫瘍剤/抗増殖剤/抗分裂剤で、パクリタキセル、5‐フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクラスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、アンジオペプチン、平滑筋細胞増殖を阻害可能なモノクローナル抗体、及びチミジンキナーゼ阻害剤等;(d)麻酔剤で、リドカイン、ブピバカイン及びロピバカイン等;(e)抗凝血剤で、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、ヒルジン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗剤、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体 、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、抗血小板剤及びダニ抗血小板ペプチド等;(f)血管細胞成長促進剤で、成長因子、転写活性化因子、及び翻訳促進剤等;(g)血管細胞成長抑制剤で、成長因子抑制剤、成長因子受容体拮抗剤、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒素から成る二官能性分子、抗体と細胞毒素から成る二官能性分子等;(h)プロテインキナーゼ及びチロシンキナーゼ阻害剤(例えば、チロホスチン、ゲニステイン、キノキサリン);(i)プロスタサイクリン類縁体;(j)高脂血治療薬;(k)アンジオポイエチン;(l)抗菌剤で、トリクロサン、セファロスポリン、アミノグリコシド及びニトロフラントイン等;(m)細胞毒性剤、細胞増殖抑制剤及び細胞増殖影響因子等;(n)血管拡張剤;及び(o)内因性の血管作動メカニズムを阻害する薬剤、である。
【0066】
本発明と関連して使用する例示的な遺伝子治療薬として、アンチセンスDNA及びRNAと同様に、以下をコードするDNAが挙げられる:(a)アンチセンスRNA、(b)欠陥又は欠損の内因性分子と置換されるtRNA又はrRNA、(c)血管新生因子で、酸性及び塩基性線維芽細胞成長因子、血管内皮増殖因子、上皮細胞増殖因子、形質転換増殖因子α及びβ、血小板由来内皮増殖因子、血小板由来増殖因子、腫瘍壊死因子α、肝細胞成長因子及びインスリン様成長因子等の成長因子を含むもの、(d)CD阻害剤を含む細胞周期阻害剤、及び(e)チミジンキナーゼ(“TK”)及び細胞増殖の阻害に役立つその他の薬剤。また重要な例として、骨形態形成タンパク質(“BMP”)ファミリーをコードするDNAがあり、該BMP群にはBMP‐2、BMP‐3、BMP‐4、BMP‐5、 BMP‐6(Vgr‐1)、BMP‐7(OP‐1)、BMP‐8、BMP‐9、BMP‐10、BMP‐11、BMP‐12、BMP‐13、BMP‐14、BMP‐15、BMP‐16を含む。現在好適とされるBMPとして、BMP‐2、BMP‐3、BMP‐4、BMP‐5、BMP‐6及びBMP‐7がある。これらの2量体タンパク質を、ホモ2量体、ヘテロ2量体として、又はそれらの組み合わせ、単独又は他の分子と共に提供可能である。或いは、又は加えて、BMPの上流又は下流での作用を誘導可能な分子を提供することも可能である。そうした分子として、任意の“ヘッジホッグ”タンパク質、又はそれらをコードするDNAが挙げられる。
【0067】
遺伝子治療薬を運ぶ媒介体として(a)プラスミド、(b)アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス及びレンチウイルス等のウイルススベクター、及び(c)脂質、リポソーム、陽イオン性脂質等の非ウイルスベクター等が挙げられる。
【0068】
本発明と関連して使用する細胞として、幹細胞等のヒト由来細胞(自己系又は同種異系の)、又は動物由来細胞(異種の)を含み、必要であれば、該細胞を遺伝子操作して対象とするタンパク質を生成できる。
【0069】
多くの治療薬が、必ずしも上記の治療薬を除くことなく、血管の処方計画に関して使用する候補物質、例えば、動脈の再狭窄を標的にした薬剤とされている。こうした薬剤は本発明を実施する際に有用であり、1つ又は複数の以下を含む:(a)カルシウム‐チャネル遮断剤で、ジルチアゼム及びクレンチアゼム等のベンゾチアゼピン、ニフェジピン、アムロジピン及びニカルジピン等のジヒドロピリジン、及びベラパミル等のフェニルアルキルアミンを含むもの、(b)セロトニン経路モジュレーターで以下を含むもの:ケタンセリン及びナフチドロフリル等の5HT拮抗剤、同様にフルオキセチン等の5HT取り込み阻害剤、(c)環状ヌクレオチド経路作用薬で、シロスタゾール及びジピリダモール等のホスホジエステラーゼ阻害剤、フォルスコリン等のアデニレート/グアニル酸シクラーゼ活性化物質、同様にアデノシン類縁体を含むもの、(d)カテコールアミン・モジュレーターで、プラゾシン及びブナゾシン等のα‐拮抗剤、プロプラノロール等のβ‐拮抗剤、及びラベタロール及びカルベジロール等のα/β‐拮抗剤を含むもの、(e)エンドセリン受容体拮抗剤、(f)酸化窒素供与体/放出分子で、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド及び亜硝酸アミノ等の有機硝酸塩/亜硝酸塩、ニトロプルシドナトリウム等の無機ニトロソ化合物、モルシドミン及びリンシドミン等のシドノンイミン、ジアゼニウムジオレート及びアルカンジアミンの一酸化窒素付加体等のNONOate、低分子量化合物(例えば、S‐ニトロソ誘導体のカプトプリル、グルタチオン及びN‐アセチルペニシルアミン)、及び高分子量化合物(S‐ニトロソ誘導体のタンパク質、ペプチド、オリゴ糖、多糖、合成ポリマー/オリゴマー及び天然ポリマー/オリゴマー)を含むS‐ニトロソ化合物、同じくC‐ニトロソ化合物、O‐ニトロソ化合物、N‐ニトロソ化合物及びL‐アルギニンを含むもの、(g)シラザプリル、フォシノプリル及びエナラプリル等のACE(アンギテオンシン変換酵素)阻害剤、(h)サララシン及びロサルチン等のATII受容体拮抗剤、(i)アルブミン及びポリエチレンオキシド等の血小板粘着抑制剤、(j)アスピリン及びチエノピリジン(チクロピジン、クレピドグレル)を含む血小板凝集抑制剤、及びアブシキシマブ、エプチフィバチド及びチロフィバン等のGP IIb/IIIa阻害剤、(k)凝固経路モジュレーターで、ヘパリン、低分子量ヘパリン、硫酸デキストラン及びβ‐シクロデキストリンテトラデカスルフェート等のヘパリノイド、ヒルジン、ヒルログ、PPACK(D‐phe‐L‐プロピル‐L‐arg‐クロロメチルケトン)及びアルガトロバン等のトロンビン阻害剤、アンチスタチン及びTAP(ダニ抗凝固ペプチド)等のFXa阻害剤、ワルファリン等のビタミンK阻害剤、同じく活性化プロテインCを含むもの、(l)アスピリン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン及びスルフィンピラゾン等のシクロオキシゲナーゼ経路阻害剤、(m)デキサメタゾン、プレドニゾロン、メタプレドニゾロン(methprednisolone)及びヒドロコルチゾン等の天然及び合成コルチコステロイド、(n)ノルジヒドログアイアレチン酸及びコーヒー酸等のリポキシゲナーゼ経路阻害剤、(o)ロイコトリエン受容体拮抗剤、(p)E‐及びP‐セレクチンの拮抗剤、(q)VCAM‐1及びICAM‐1との相互作用の阻害剤、(r)プロスタグランジン及びその類似体で、PGE1及びPGI2等のプロスタグランジン、及びシプロステン、エポプロステノール、カルバサイクリン、イロプロスト及びベラプロスト等のプロスタサイクリン類似体を含むもの、(s)ビスホスフォネートを含むマクロファージ活性化抑制剤、(t)ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シムバスタチン及びセリバスタチン等のHMG‐CoA還元阻害剤、(u)魚油及びω3脂肪酸、(v)プロブコール、ビタミンC及びE、エブセレン、トランス‐レチノイン酸及びSOD擬態薬等のフリーラジカル捕捉剤/酸化防止剤、(w)様々な成長因子に影響を与える薬剤で、bFGF抗体及びキメラ融合タンパク質等のFGF経路作用薬、トラピジル等のPDGF受容体拮抗剤、アンジオペプチン及びオクレオチド等のソマトスタチン類似体を含むIGF経路作用薬、ポリアニオン薬剤(ヘパリン、フコイジン)、デコリン、及びTGF‐β抗体等のTGF‐β経路作用薬、EGF抗体、受容体拮抗剤及びキメラ融合タンパク質等のEGF経路作用薬、サリドマイド及びその類似体等のTNF‐α経路作用薬、スロトロバン、バピプロスト、ダゾキシベン及びリドグレル等のトロンボキサンA2(TXA2)経路モジュレーター、同じくチルホスチン、ゲニステイン、キノキサリン誘導体等のタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤を含むもの、(x)マリマスタット、イロマスタット及びメタスタット等のMMP経路阻害剤、(y)サイトカラシンB等の細胞運動能阻害剤、(z)抗増殖剤/抗腫瘍剤で、プリン類似体(例えば、塩素化プリンヌクレオチド類似体である6‐メルカプトプリン又はクラドリビン)、ピリミジン類似体(例えば、シタラビン及び5‐フルオウラシル)及びメトトレキサート等の代謝拮抗剤、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホン酸、エチレンイミン、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン)、ニトロソウレア、シスプラチン、微小管動態に影響を与える薬剤(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、コルヒチン、パクリタキセル及びエポチロン)、カスパーゼ活性化因子、プロテアソーム阻害剤、血管形成阻害剤(例えば、エンドスタチン、アンギオスタチン及びスクアラミン)、ラパマイシン、セリバスタチン、フラボピリドール及びスラミン、を含むもの、(aa)ハロフジノン又は他のキナゾリノン誘導体及びトラニラスト等の基質沈着/組織化経路阻害剤、(bb)VEGF(血管内皮細胞増殖因子)及びRGDペプチド等の内皮化促進剤、及び(cc)ペントキシフィリン等の血液流動モジュレーター。
【0070】
本発明の実施に有用な多数のさらなる治療薬が、NeoRx社に付与された米国特許第5,733,925で開示もされており、その全開示は参照によりここに引用される。
【0071】
本発明の医療装置と関連して、様々な治療薬の負荷が使用でき、負荷量については、当業者が容易に決定できるが、最終的には、例えば、治療される状態、治療薬自体の性質、治療薬を意図した対象に投与する手段等により異なる。
【0072】
医療装置が持続的な放出特性を有すると多くの場合有益である。“持続的な放出特性”は、医療装置から放出される総量の25%未満が身体への埋め込み/挿入の期間である、投与当初の1、2、3日又はそれより長い日数内に発生するという、放出特性を意味する。逆に言えば、これは、医療装置から放出される総量の75%より多くの量が、該装置が埋め込み/挿入されていた期間後に発生することを意味する。
【0073】
本発明の放出層と関連する放出特性を、以下を含む多くの方法で修正可能である:(a)放射線架橋されるポリマーの種類、分子量及び/又は相対量を変える、(b)放射線架橋されるポリマーの他に放出層内に1つ又は複数のポリマーを備える、(c)放出領域の空孔率を変化させる、及び(d)溶剤ベースの方法を用いて放出領域を形成する場合、ポリマー放出領域を加工する際に用いる溶剤の種類及び相対量を変える。例えば、放出領域の厚さを変化させることで治療薬の放出も制御できる。さらに、多くの放出領域を採用してこの目的を達成できる。さらに、担持領域を採用する場合、治療薬の濃度勾配を担持領域内に設定して、治療薬の放出を制御できる。
【0074】
しかしながら、放出層の放出特性を典型的には、使用する放射線量を(それにより得られる架橋の程度)変化させて修正する。したがって放出領域の化学組成を改質する必要がない。
【0075】
本発明を、以下の限定されない実施例を参照してより詳細に説明する。

実施例1
【0076】
溶液として用意するのは、(a)25重量%のテトラヒドロフラン(THF)、(b)74重量%トルエン、(c)0.25重量%のパクリタキセル、及び(d)0.75重量%のVestenamer(登録商標)6213又はVestenamer(登録商標)8012で、デグサ社(ニュジャージー州パーシパニー市)製の直鎖状及び環状ポリオクテナマーの混合物を含有する溶液である。全ての溶液を、(1)パクリタキセル及びテトラヒトロフランを混合、(2)ポリマーを添加、(3)トルエンを添加、(4)完全に混合(例えば、一晩)、及び(5)濾過して調製する。
【0077】
次に、この溶液をシリンジポンプに入れ、スプレーノズルに供給する。ステントをノズルに並行な保持装置に取付け、回転させて確実に均一に被覆する。使用するスプレー装置によっては、噴霧中にステント又はスプレーノズルのいずれかを移動させ、それによりノズルが構成要素に沿って移動しながら噴霧して1回又は複数回通過できるようにする。この方法で、担持コーティングを形成した後、例えば、予熱したオーブンに入れてステントを乾燥する。
【0078】
32個のステントをこの方法でVestenamer(登録商標)6213及びVestenamer(登録商標)8012其々でコーティングして形成する。これらの内、8個のステントは対照標準とし、8個は5メガラドの放射線を照射して架橋し、8個のステントには10メガラドの放射線を照射して架橋し、8個のステントには15メガラドの放射線を照射して架橋する。微視的評価では、コーティング品質は全ての放射線量で良好であったことが示された。

実施例2
【0079】
溶液として用意するのは、(a)25重量%のテトラヒドロフラン(THF)、(b)74重量%トルエン、(c)0.25重量%のパクリタキセル、及び(d)0.75重量%のアルドリッチ社(Aldrich)より入手可能なポリ(エチレン‐co‐ブチルアクリレート)コポリマーを含有する溶液である。溶液を、(1)コポリマーとトルエンを混合し約1時間70℃で加熱、(2)THFを添加、(3)パクリタキセルを添加、(4)完全に混合(例えば、一晩)、及び(5)濾過して調製する。
【0080】
次に、この溶液をシリンジポンプに入れ、スプレーノズルに供給する。ステントをノズルに並行な保持装置に取付け、回転させて確実に均一に被覆する。使用するスプレー装置によっては、噴霧中にステント又はスプレーノズルのいずれかを移動させ、それによりノズルが構成要素に沿って移動しながら噴霧して1回又は複数回通過できるようにする。この方法で、担持コーティングを形成した後、例えば、予熱したオーブンに入れてステントを乾燥する。
【0081】
32個のステントをこの方法で形成する。これらの内、8個のステントを対照標準とし、8個は2.5メガラドの放射線を照射して架橋し、8個のステントには5メガラド放射線を照射して架橋し、8個のステントには10メガラドの放射線を照射して架橋する。微視的評価では、コーティング品質は全ての放射線量で良好であったことが示された。
【0082】
ここでは各種の実施例を具体的に説明及び記述したが、本発明の変更例及び変形例は上記の教示により包含され、付記されたクレームの範囲内で、本発明の精神及び意図した範囲から逸脱することなく存在すると理解される。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)治療薬と、(b)患者に投与する際に前記治療薬の放出を制御するポリマー放出領域と、を備える埋め込み可能又は挿入可能な医療装置であって、
前記ポリマー放出領域は放射線架橋されるポリマーを含むこと、及び
前記ポリマー放出領域を少なくとも10,000ラドの放射線量で架橋すること、
を特徴とする埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項2】
前記放射線架橋されるポリマーが放射線架橋されるメチレン含有ポリマーであること、を特徴とする請求項1に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項3】
前記ポリマー放出領域を少なくとも100,000ラドの放射線量で架橋すること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項4】
前記ポリマー放出領域を少なくとも1,000,000ラドの放射線量で架橋すること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項5】
前記ポリマー放出領域は前記治療薬を含む担持領域であること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項6】
前記ポリマー放出領域は、前記治療薬を含む治療薬含有領域上に配置される障壁領域であること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項7】
前記ポリマー放出領域はコーティング層状であること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項8】
前記埋め込み可能又は挿入可能な医療装置をカテーテル、ガイドワイヤ、バルーン、フィルタ、ステント、ステントグラフト、代用血管、血管パッチ、及びシャントから選択すること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項9】
前記埋め込み可能又は挿入可能な医療装置を、冠状血管系、末梢血管系、食道、気管、大腸、胆道、尿道、前立腺、又は脳に埋め込み又は挿入するように構成すること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項10】
前記治療薬を、抗血栓剤、抗増殖剤、抗炎症剤、遊走阻害剤、細胞外基質産生及び構成に影響を与える薬剤、抗腫瘍剤、抗分裂剤、麻酔剤、抗凝血剤、血管細胞成長促進剤、血管細胞成長阻害剤、高脂血治療剤、血管拡張剤、内因性の血管作動メカニズムを阻害する薬剤から成る群の1つ又は複数から選択すること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項11】
前記ポリマー放出領域の破断伸びが周囲温度で少なくとも25%であること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項12】
前記メチレン含有ポリマーのガラス転移温度は、架橋前、周囲温度未満であること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項13】
前記メチレン含有ポリマーは、複数の(‐CH‐)n骨格基を含み、nは4以上であること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項14】
前記ポリマー放出領域は環状メチレン含有ポリマーを含むこと、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項15】
前記メチレン含有ポリマーは、複数の‐CH=CH‐骨格基をさらに含むこと、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項16】
前記メチレン含有ポリマーは、1つ又は複数の1,3‐ジエンの反応生成物であること、を特徴とする請求項15に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項17】
前記メチレン含有ポリマーは、オレフィンメタセシス反応の生成物であること、を特徴とする請求項15に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項18】
前記メチレン含有ポリマーは、非環式ジエンのメタセシス重合反応又は開環メタシス重合反応の生成物であること、を特徴とする請求項17に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項19】
前記メチレン含有ポリマーは、共重合反応の生成物であり、該生成物は(a)非環式不飽和炭化水素モノマー、及び(b)追加のモノマーを含むこと、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項20】
前記追加のモノマーを、非環式モノマー、アミノアルキルメタクリレート・モノマー、ビニルエーテルモノマー、環状エーテルモノマー、不飽和エステルモノマー、及びハロゲン化不飽和炭化水素から選択すること、を特徴とする請求項19に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項21】
前記非環式不飽和モノマーはαオレフィンであること、を特徴とする請求項19に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項22】
前記コポリマーを、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー又は交互コポリマーから選択すること、を特徴とする請求項19に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項23】
前記非環式不飽和モノマーはエチレンであり、前記追加モノマーはアルキルアクリレートであること、を特徴とする請求項19に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項24】
前記ポリマー放出領域は追加のポリマーをさらに含むこと、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置。
【請求項25】
(a)前記メチレン含有ポリマーを含むコーティングを埋め込み可能又は挿入可能な医療装置の表面に塗布すること、及び(b)前記コーティングに少なくとも10,000ラドの放射線量を照射すること、を特徴とする請求項2に記載の埋め込み可能又は挿入可能な医療装置を形成する方法。
【請求項26】
前記放射線量は少なくとも100,000ラドであること、を特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記放射線量は少なくとも1,000,000ラドであること、を特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記放射線量をガンマ線又は電子ビーム照射により提供すること、を特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記医療装置から治療薬を放出する速度を、架橋する放射線量を修正することにより調節すること、を特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記コーティングを、前記治療薬を含む治療薬含有領域上に塗布すること、を特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項31】
(a)請求項2に記載の前記埋め込み可能又は挿入可能な医療装置を提供すること、及び(b)患者に前記埋め込み可能又は挿入可能な医療装置を埋め込み又は挿入すること、を備えることを特徴とする患者内に治療薬を放出する方法。
【請求項32】
前記医療装置をカテーテル、ガイドワイヤ、バルーン、フィルタ、ステント、ステントグラフト、代用血管、血管パッチ、及びシャントから選択すること、を特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記医療装置を血管系に挿入すること、を特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記治療薬を再狭窄治療の際に放出すること、を特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記医療装置を患者に埋め込み又は挿入する際の前記治療薬を該装置から放出する速度を、持続的な放出特性に対応させること、を特徴とする請求項31に記載の方法。


【公表番号】特表2007−525235(P2007−525235A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509651(P2006−509651)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/010257
【国際公開番号】WO2004/091714
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(507017004)ボストン サイエンティフィック リミティッド (24)
【Fターム(参考)】