説明

治療薬剤としての置換アリール−インドール化合物とそのキヌレニン/キヌラミン様代謝産物

本発明は、様々なリンカーにより置換インドール部分へ連結している置換アリール化合物、並びにこれら薬剤のキヌレニン/キヌラミン様代謝産物、それらの製法とこれらの化合物を含有する医薬組成物へ向けられる。さらに本発明は、神経変性障害や他の障害の治療のためにGSK3βキナーゼを阻害すること、及び/又はN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)チャネル活性を調節するための該化合物の医薬的な使用へ向けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、置換アリール化合物の新規ファミリー、それらを含有する医薬製剤、様々な疾患を治療するための医薬品の製造における該化合物の使用、並びに上記疾患を治療する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
[0002] 本発明は、グリコゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3β)を阻害するための新規化合物及び/又はNMDAチャネル活性のモジュレーターと、GSK3β活性及び/又はNMDAチャネル活性により媒介される生物学的状態を調節することにおけるそれらの使用、並びに、より特別には、神経変性疾患、II型糖尿病、癌、及び情動障害のような生物学的状態の治療におけるそのような化合物の使用に関する。さらに本発明は、GSK3β阻害剤及びNMDAモジュレーターを使用して神経変性障害を治療する方法に関する。
【0003】
[0003] GSK3βの同義語には、TauプロテインキナーゼI(TPK I)、FA(A因子)キナーゼ、キナーゼFA、及びATP−クエン酸リアーゼキナーゼ(ACLK)が含まれる。GSK3は、2つのアイソフォーム、即ち、GSK3α及びGSK3βで存在して、元はグリコゲンシンターゼをリン酸化する酵素として同定された、プロリン指向性のセリン/スレオニンキナーゼである。しかしながら、GSK3βは、グリコゲンシンターゼ、ホスファターゼ阻害剤1−2、cAMP依存性プロテインキナーゼのII型サブユニット、ホスファターゼ−1のG−サブユニット、ATP−クエン酸リアーゼ、アセチル補酵素Aカルボキシラーゼ、ミエリン塩基性タンパク質、微小管結合タンパク質、神経細線維タンパク質、N−CAM細胞接着分子、神経成長因子受容体、c−Jun転写因子、JunD転写因子、c−Myb転写因子、c−Myc転写因子、L−Myc転写因子、大腸腺腫症腫瘍抑制タンパク質、Tauタンパク質、及びβ−カテニンのような数多くのタンパク質を in vitro でリン酸化することが実証されてきた。
【0004】
[0004] GSK3β阻害剤は、神経伝達物質、グルタメートにより誘発される異常に高いレベルの興奮へ処されたニューロンの生存を高めるように作用する場合がある(Nonaka, S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA, 95 (3): 2642-7, 1998)。グルタメート誘導性の神経細胞の興奮毒性はまた、脳虚血、外傷性の脳損傷、及び細菌感染時にあるような急性傷害に関連した神経変性の主因であると考えられている。さらに、過度のグルタメートシグナル伝達は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、及び多発性硬化症(MS)のような疾患において見られる慢性的な神経細胞障害の一因であると考えられている(Thomas, RJ., J. Am. Geriatr Soc, 43: 1279-89, 1995)。
【0005】
[0005] N−メチル−D−アスパラギン酸受容体は、神経細胞の可塑性及び生存に不可欠であるが、その一方で、その過度の活性化は興奮毒性を引き起こして、神経変性を加速する場合がある。NMDARを in vitro(培養ラット海馬又は皮質ニューロン)と成体マウス脳の in vivo で刺激すると、セリン9残基でのGSK3βのプロテインホスファターゼ1(PPl)媒介性の脱リン酸化を介して、GSK3βを脱阻害した(Szatmari, E., et al, J. Biol. Chem., 280 (11) : 37526- 35, 2005)。NMDAが引き金になるGSK3β活性化は、NR2Bサブユニットを含有するNMDARによって媒介された。これらのデータは、GSK3βによるPP1活性化の増幅をもたらす、GSK3βとPP1の間のフィードバックループの存在を示唆する。NR2B−PP1−GSK3β−PP1回路の過度の活性化は、過剰なNMDAにより誘導される神経変性に寄与するのかもしれない。GSK3β阻害剤は、このGSK3β経路を使用する、インスリンのようなある種のホルモン及び増殖因子の作用を模倣する可能性がある。
【0006】
[0006] GSK3βは、アルツハイマー病の病理発生において重要なプレイヤーであるとみなされている。GSK−3は、アルツハイマー病の初期の特徴である、対らせんフィラメント(PHF)形成の原因となる、Tau、微小管結合タンパク質をリン酸化するキナーゼの1つとして同定された。明らかに、異常なTau過剰リン酸化は、微小管及びPHF形成の脱安定化の原因である。必然的に、GSK−3阻害剤は、上記や他の神経変性障害の治療に潜在的に有用であると考えられている。実際、GSK−3活性の脱調節は、最近、精神分裂病(Beasley, C, et al., Neurosci Lett., 302 (20): 117-20, 2001; Kozlovsky, N., et al., Eur. Neuropsychopharmacol, 12:13-25, 2002)、卒中、及びアルツハイマー病(AD)(Bhat, R. V. and Budd, S. L., Neurosignals, 11:251-61, 2002; Hernandez, F., et al., J. Neurochem. , 83: 1529-33, 2002; Lucas, J.J., et al., EMBO J, 20:15): 27-39, 2001; Mandelkow, E. M., et al., FEBS Lett., 314 (21): 315-21, 1992)が含まれる、いくつかのCNS障害及び神経変性疾患における関与が示唆されている。
【0007】
[0007] 従って、双極性障害(特に、躁うつ病)、糖尿病、アルツハイマー病、白血球減少症、FTDP−17(パーキンソン病に関連した前頭側頭型痴呆)、皮質基底核変性症、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、ピック病、ニーマン−ピック病C型、拳闘家痴呆、タングルのみを伴う痴呆、タングル及び石灰化を伴う痴呆、ダウン症候群、筋緊張性ジストロフィー、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、グアムのパーキンソン症−痴呆合併症、AIDS関連痴呆、脳炎後パーキンソン症、タングルを伴うプリオン病、亜急性硬化性汎脳炎、前頭葉変性症(FLD)、嗜銀性グレイン病、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)(中枢神経系におけるウイルス感染症の後期合併症)、炎症性疾患、癌、禿頭症のような皮膚障害、神経細胞傷害、精神分裂病、疼痛、特にニューロパシー疼痛のような、GSK3β活性に媒介される疾患の治療に有用であるはずのGSK3β阻害剤の群を提供することが望まれよう。GSK3β阻害剤はまた、精子の運動性を阻害するために使用し得るので、男性の避妊薬として使用することができる。
【0008】
[0008] グルタメートのようなイオンは、主にN−メチル−D−アスパラギン酸受容体を介して作用することによって、慢性疼痛及び神経毒性に関連したプロセスにおいて重要な役割を担う。従って、そのような作用の阻害は、イオンチャネルアンタゴニスト又はネガティブモジュレーターを利用することによって、CNS疾患の治療及び制御に有益になり得る。NMDA受容体活性は、長期の増強と長期の抑うつが含まれる、学習及び記憶のプロセスに影響を及ぼす中枢神経系においてシナプス可塑性をもたらす(Dingledine R., Crit. Rev. Neurobiol., 4(1) :1 96, 1988)。しかしながら、NMDA受容体の病理学的状態(脳虚血及び外傷性損傷のような)での長期化した活性化は神経細胞死を引き起こす(Rothman S. M. and Olney J. W., Trends Neurosci., 18(2) :57 8, 1995)。NMDA受容体媒介性の興奮毒性は、パーキンソン病及びアルツハイマー病のようないくつかの神経変性疾患の病因又は進行に寄与する場合がある。1980年代後期にNMDA受容体のオープンチャネルブロッカーが虚血性卒中の療法にポテンシャルを有することが示されてから、この受容体は、神経保護剤の開発への魅力的な治療標的とみなされてきた。残念ながら、これらの化合物の神経保護薬としての開発は、しばしば、その受容体からの遅い解離のようなその望まれない薬力学特性に関連したその精神的な副作用により制限される(Muir K. W. and Lees K. R. , Stroke, 26(3) : 503 13, 1995)。
【0009】
[0009] 既知のNMDAアンタゴニストには、ケタミン、デキストロモファン(dextromophan)、及び3−(2−カルボキシピペラジン−4−イル)−プロピル−1−ホスホン酸(「CPP」)が含まれる。これらの化合物は、ヘルペス後神経痛、脊髄損傷由来の中枢性疼痛、幻肢痛が含まれる、いくつかのニューロパシーにおいて症状緩和をもたらすことが報告されてきた(J. D. Kristensen, et al., Pain, 51:249 253 (1992); P. K. Eide, et al., Pain, 61:221 228 (1995); D. J. Knox, et al., Anaesth. Intensive Care 23:620 622 (1995); 及び M. B. Max, et al., Clin. Neuropharmacol. 18:360 368 (1995))が、これらの化合物の広汎な使用は、その望まれない副作用によって妨げられている。鎮痛用量でのそのような副作用には、眩暈、頭痛、幻覚、不快のような精神異常作用効果と、認知及び運動機能の混乱が含まれる。さらに、鎮痛用量よりごくわずかに高い用量では、より重篤な幻覚、鎮静、及び運動失調がもたらされる。従って、望まれない副作用がないか又はより少ない、及び/又はより軽度の副作用をもたらす新規のNMDAモジュレーターを提供することは、望ましいであろう。
【0010】
[0010] NMDA受容体は、サブユニットのヘテロメリックな組立てであり、NR1及びNR2と呼ばれる2つの主要なサブユニットファミリーがすでにクローン化されている。理論により束縛されないが、一般に、哺乳動物の中枢神経系(「CNS」)中の様々な機能性NMDA受容体は、NR1及びNR2サブユニットの組み合わせによってのみ形成されて、これらは、グリシン及びグルタメートの認識部位をそれぞれ発現すると考えられている。さらに、NR2サブユニットファミリーは、4種の個別のサブユニット型:NR2A、NR2B、NR2C、及びNR2Dへ分類される。Ishii, T., et al., J. Biol. Chem. , 268:2836-2843 (1993), 及び Laurie, D.J., et al., MoI. Brain Res., 51:23-32 (1997) は、この様々に生じる組み合わせにより、イオンゲート特性、マグネシウム感受性、薬理プロフィールのような生理学的及び薬理学的特性、並びに解剖学的な分布において異なる多様なNMDA受容体が産生される仕組みについて記載する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0011] 本発明は、式(I):
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、
[0012] R、R、及びRのそれぞれは、水素、カルボキシ、ニトロ、C−Cアルキルスルホニル、アミノスルホニル、C−Cアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、NR’R”、アリール、アリール−C1−4アルキル、又はアリール−C1−4アルコキシより独立して選択され、そして、R’とR”のそれぞれは、独立して、H又はC1−4アルキルであるか、又はR’=R”=ClCHCHであるか、又はNR’R”は、3〜8の環員を含有する飽和複素環式環を構成し;
Xは:
−(CH−Y−
{ここでYは、>NH、>C=O、>C=Sであるか又は何もなく;nは、0〜4であり;−(CH−のどの炭素も、ハロゲン、カルボキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、OH、NH、又はアシルより独立して選択される1〜2の置換基によって置換されてよい}であり;
Arは、3−インドール:
【0014】
【化2】

【0015】
又はそのキヌレニン/キヌラミン代謝産物:
【0016】
【化3】

【0017】
{ここで、それぞれのRは、独立して、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、OH、上記に定義されるようなNR’R”、ニトロ、アリール、アリール−C1−4アルキル、又はアリール−C1−4アルコキシである}である]で表される化合物とその塩
[0013] [但し:
[0014] Xが−(CH−NH−であり、Arが3−インドールであり、Rが4−メチルスルホニルであり、そしてRとそれぞれのRが水素であるならば、そのとき、Rは、2−ニトロであり得ない;
[0015] Xが未置換−(CH−NH−であり、Arが3−インドールであり、Rが4−ニトロであり、そしてRとそれぞれのRが水素であるならば、そのときRは、2−ブロモであり得ない;
[0016] Xが置換又は未置換の−(CH−NH−であり、そしてArが3−インドール又は2−アミノベンゾイルであるならば、そのときRとRは、2,4−ジニトロであり得ない;
[0017] そして、Xが未置換−(CH−NH−であり、Arが3−インドールであり、Rが5−メトキシであるならば、そのとき、RとRは、2,4−ジニトロであり得ない]に関する。
【0018】
[0018] 別の側面において、本発明は、少なくとも1つの医薬的に許容される希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント、及び/又は担体と、上記に定義されるような本発明の化合物とその医薬的に許容される塩からなる群の少なくとも1員(member)を含む医薬製剤を提供する。
【0019】
[0019] なお別の態様において、本発明は、GSK3β活性又はNMDAチャネル活性により媒介されるか又は過度のGSK3β若しくはNMDA活性に関連した疾患、障害、又は生物学的状態の予防又は治療のための、上記に定義されるような本発明の化合物とその医薬的に許容される塩の少なくとも1つの有効量の投与を含む。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0020] 本発明の化合物は、インドールとその代謝産物に基づく。アミノ酸のトリプトファンとメラトニンのような他のインドール誘導体は、「キヌレニン経路」を介して生物学的に変換される(Beadle, G. W., et al., Proc. Natl. Acad. Sci . USA, 33:155-8, 1947, Heidelberger, C, et al., J. Biol. Chem., 179:143, 1949 を参照のこと)。すべての食餌トリプトファンの95%以上は、キヌレニンへ代謝される(Wolf, H., J. Clin. Lab. Invest., 136 (Suppl) : 1-86, 1974)。末梢組織、特に肝臓において、トリプトファン又はメラトニンのインドール環は、トリプトファンジオキシゲナーゼ又はインドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼのいずれかにより修飾されて、それぞれホルミルキヌレニン又はN1−アセチル−N2−ホルミル−5−メトキシキヌラミン(AFMK)の形成をもたらす。次いで、ホルミラーゼは、ホルミルキヌレニンをキヌレニン経路(Mehler & Knox 1950)の主要化合物であるL−キヌレニンへ、そしてAFMKをN1−アセチル−5−メトキシキヌラミン(AMK)へ迅速に変換する。
【0021】
[0021] 本発明は、式(I):
【0022】
【化4】

【0023】
[式中、
[0022] R、R、及びRのそれぞれは、水素、カルボキシ、ニトロ、C−Cアルキルスルホニル、アミノスルホニル、C−Cアルキルアミノスルホニル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、NR’R”、アリール、アリール−C1−4アルキル、又はアリール−C1−4アルコキシより独立して選択され、R’とR”のそれぞれは、独立して、H又はC1−4アルキルであるか、又はR’=R”=ClCHCHであるか、又はNR’R”は、3〜8の環員を含有する飽和複素環式環を構成し;
Xは:
−(CH−Y−
{ここでYは、>NH、>C=O、>C=Sであるか又は何もなく;nは、0〜4であり;−(CH−のどの炭素も、ハロゲン、カルボキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、OH、NH、又はアシルより独立して選択される1〜2の置換基によって置換されてよい}であり;
Arは、3−インドール:
【0024】
【化5】

【0025】
又はそのキヌレニン/キヌラミン代謝産物:
【0026】
【化6】

【0027】
{ここで、それぞれのRは、独立して、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、OH、上記に定義されるようなNR’R”、ニトロ、アリール、アリール−C1−4アルキル、又はアリール−C1−4アルコキシである}である]で表される化合物とその塩[但し:
[0023] Xが−(CH−NH−であり、Arが3−インドールであり、Rが4−メチルスルホニルであり、そしてRとそれぞれのRが水素であるならば、そのとき、Rは、2−ニトロであり得ない;
[0024] Xが未置換−(CH−NH−であり、Arが3−インドールであり、Rが4−ニトロであり、RとそれぞれのRが水素であるならば、そのときRは、2−ブロモであり得ない;そして
[0025] Xが置換又は未置換の−(CH−NH−であり、そしてArが3−インドール又は2−アミノベンゾイルであるならば、そのときRとRは、2,4−ジニトロであり得ない;
[0026] そして、Xが未置換−(CH−NH−であり、Arが3−インドールであり、Rが5−メトキシであるならば、そのとき、RとRは、2,4−ジニトロであり得ない]に関する。
【0028】
[0027] 好ましい態様において、Yは、>NHであり、R、R及びRのそれぞれは、水素、カルボキシ、ニトロ、C−Cアルキルスルホニル、ハロゲン、及びシアノより独立して選択され、そしてそれぞれのRは、水素及びC1−4アルコキシより独立して選択される。
【0029】
[0028] 上記に示す化合物の一般群内にある好ましい化合物には、2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−メチルスルホニル−フェニルエチルアミン;N−(4−メチルスルホニル−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン;N−(2−ブロモ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン;N−(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン;N−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン;2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ブロモ−4−ニトロ−フェニルエチルアミン;2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−ブロモ−フェニルエチルアミン;2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−シアノ−フェニルエチルアミン;N−(2−ニトロフェニル)−トリプタミン;N−(4−カルボキシ−2−ニトロフェニル)−トリプタミン;N−(2−カルボキシ−4−ニトロフェニル)−トリプタミン;N−(2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン;N−(4−カルボキシ−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン;N−(2−カルボキシ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン;N−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−トリプタミン;N−(2−ニトロ−4−ブロモフェニル)−トリプタミン、N−(3,4−ジシアノフェニル)−トリプタミン、N−(3,4−ジシアノフェニル)−5−メトキシトリプタミン、及び2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロフェニルエチルアミンが含まれる。
【0030】
[0029] 特に好ましい化合物には、N−(4−メチルスルホニル−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン;N−(2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン;N−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−トリプタミン;2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−メチルスルホニル−フェニルエチルアミン;及びN−(2−ニトロフェニル)−トリプタミンが含まれる。
【0031】
[0030] 別の側面において、本発明は、少なくとも1つの医薬的に許容される希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント、及び/又は担体と、上記に定義されるような本発明の化合物とその医薬的に許容される塩からなる群の少なくとも1員を含む医薬製剤を提供する。
【0032】
[0031] 本発明による医薬製剤は、好ましくは、以下の特性:
(i)それは、経口、直腸、非経口、経頬、局所、肺内(例、吸入による)、鼻腔内、又は経皮投与に適用される;
(ii)それは、単位剤形であり、それぞれの単位投与量は、約0.001〜約100mg/kgの範囲内にある、少なくとも1つの式(I)で表される化合物の量を含んでなる;
(iii)それは、制御放出製剤であり、ここで少なくとも1つの式(I)で表される化合物は、予め決定された制御速度で放出される;
の少なくとも1つにより特徴付けられる。
【0033】
[0032] 疾患又は障害を治療するのに有用な式(I)で表される化合物の量は、治療すべき状態の性質及び重症度、選択される特別な投与の方法、投与の頻度、患者の年齢、性別、体重、及び一般状態、並びに当業者に明白である他の要因に伴って変動する可能性がある。一般に、単位投与量を経口により投与するならば、1日につき約0.01mg/kg〜約50mg/kgの範囲内、好ましくは、約0.05mg〜約10mg/kgの範囲内である。経口投与のより好ましい投与量は、1日につき約0.5〜約10mg/kgの範囲内である。化合物を非経口的又は経皮的に投与するならば、約0.005〜約15mg/kgの範囲内の単位投与量が概して望まれる。
【0034】
[0033] 経口投与では、医薬製剤は、例えば、錠剤、口腔崩壊錠剤、カプセル剤、乳剤、溶液剤、シロップ剤、又は懸濁液剤として利用してよい。非経口投与では、製剤は、アンプル剤として、また他のやり方では、水性又は油性の担体中の懸濁液剤、溶液剤、又は乳剤として利用することができる。薬剤を懸濁させる、可溶化する、及び/又は分散させることの必要性は、当然ながら、特別な態様において使用される担体中の活性化合物の溶解度や他の事柄についての事実を考慮する。製剤は、追加的に、生理学的に適合可能な保存剤及び抗酸化剤を含有することができる。局所適用のための製剤、例えば、クリーム剤、ローション剤、又はペースト剤では、有効成分を慣用の油性又は乳化性の賦形剤と混合することができる。
【0035】
[0034] 医薬製剤は、ココア脂や他のグリセリドのような慣用の坐剤基剤とともに坐剤として利用することもできる。あるいは、製剤は、予め選択した時間にわたり体内でゆっくり活性組成物を放出させるデポー剤の形態で利用可能にすることができる。
【0036】
[0035] 本発明の化合物は、慣用の経頬、鼻腔内、肺内、又は経皮の送達系を使用することによって投与することもできる。
【0037】
[0036] 式(I)で表される化合物又はその塩は、他の治療薬剤、具体的には、抗不安剤、トランキライザー、鎮痛薬、情緒安定化剤、抗パーキンソン病剤(ドパミン作用薬と非ドパミン作用薬)、抗アルツハイマー病薬、又は抗糖尿病剤と組み合わせて投与することができる。本明細書に使用する「組み合わせにおいて」は、本発明の化合物を1以上の追加の治療薬剤と物理的に組み合わせること、又はそれらを別々の物理形態において、しかし時間的には所与の時間内に体内でともに作用するほど十分に接近して投与することのいずれかを意味すると企図される。式Iで表される化合物と組み合わせて投与し得る好適な抗不安剤の例には、フルニトラゼパム、ジアゼパム、及びアルプラゾラムが含まれ;好適なトランキライザーには、クロナゼパム、ゾルピデム、トラゾドン、及びメラトニンが含まれ;好適な鎮痛薬には、アスピリン、イブプロフェン、及びジクロフェナクが含まれ;好適な情緒安定化剤には、リチウム、バルプロ酸ナトリウム、及びカルバマゼピンが含まれ;好適な抗パーキンソン病剤には、レボドーパ/カルビドーパ、カベルゴリン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、エンタカポン(COMT阻害剤)、セレジリン、及びラサジリン(MAO−B阻害剤)が含まれ;そして好適な抗糖尿病剤には、メトホルミン、アカルボース、及びグリピジドが含まれる。これらの既知の治療薬剤は、本発明の化合物と物理的に組み合わせても、本発明の化合物と組み合わせるが別々の物理形態で投与してもよい。
【0038】
[0037] 式Iで表される化合物とその塩は、動物又はヒトにおいてGSK3β活性又はNMDAチャネル活性を阻害するために投与される。より特別には、該化合物は、GSK3β活性又はNMDAチャネル活性により媒介されるか又は過度のGSK3β活性又はNMDAチャネル活性に関連した疾患、障害、又は状態を予防するか又は治療するために投与することができる。そのような疾患、障害、及び状態には、双極性障害(特に、躁うつ病)、アルツハイマー病、パーキンソン病、FTDP−17(パーキンソン病に関連した前頭側頭型痴呆)、皮質基底核変性症、進行性核上麻痺、多系統萎縮症、ピック病、ニーマン−ピック病C型、拳闘家痴呆、タングルのみを伴う痴呆、タングル及び石灰化を伴う痴呆、グアムのパーキンソン症−痴呆合併症、AIDS関連痴呆、脳炎後パーキンソン症、タングルを伴うプリオン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、亜急性硬化性汎脳炎、前頭葉変性症(FLD)、嗜銀性グレイン病、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)(中枢神経系におけるウイルス感染症の後期合併症)、神経細胞傷害、及び精神分裂病のような中枢神経系(CNS)の障害及び外傷と神経変性疾患;糖尿病;白血球減少症;ダウン症候群;筋緊張性ジストロフィー;炎症性疾患;癌と他の増殖性障害;禿頭症のような皮膚障害;癌;疼痛(ニューロパシー疼痛と慢性疼痛が含まれる);偏頭痛、うつ病のような精神疾患;不安症;及び卒中が含まれる。
【0039】
[0038] 本発明を以下の実施例によりさらに例示するが、これらは、例示目的のためにのみ提供するのであって、限定することを企図するものではない。
【0040】
実施例1
2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−メチルスルホニル−フェニルエチルアミン
【0041】
【化7】

【0042】
2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−メチルスルホニル−フェニルエチルアミンの合成の一般手順
[0039] アルゴン雰囲気下に保った100mlの三つ首丸底フラスコ中で250mg(1.14ミリモル、1当量)のメチル−4−フルオロ−3−ニトロベンゼンスルホンを20mlのエタノールに溶かした。次いで、キヌラミンジヒドロブロミド(371mg,1当量)を磁気撹拌下に1分量で加えた。15分後、この反応物へNaCO(326mg,3当量)を加えた。
【0043】
[0040] 反応経過をHPLC−MSにより追跡すると、6時間後に、完全な変換を示した。次いで、黄色い沈殿を濾過により採取し、水と冷EtOHで洗浄してから、真空下に40℃で乾燥させた。
【0044】
[0041] 所望の生成物(300mg)を黄色い固形物として回収した。1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 3.20 (s, 3H, SO2CH3), 3.38 (br t, J = 6.8 Hz, 2H, NHCH2CH2), 3.77-3.81 (m, 2H, NHCH2CH2), 6.51-6.55 (m, 1H, 芳香族 H), 6.76 (dd, J1 = 1.2 Hz, J2 = 8.4 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.22-7.27 (m, 3H, 1 芳香族 H + NH2), 7.35 (d, J= 9.6 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.76 (dd, J1 = 1.4 Hz, J2 = 8.4 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.92 (dd, J1= 2.1 Hz, J2 = 9.0 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.49 (d, J = 2.1 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.72 (br t, J = 5.9 Hz, 1H, NHCH2CH2)。
【0045】
実施例2
N−(4−メチルスルホニル−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン
【0046】
【化8】

【0047】
N−(4−メチルスルホニル−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミンの合成の一般手順
[0042] アルゴン雰囲気下に保った100mlの三つ首丸底フラスコ中で、483mg(2.20ミリモル、1当量)のメチル−4−フルオロ−3−ニトロベンゼンスルホンを40mlのエタノールに溶かした。次いで、5−メトキシトリプタミン塩酸塩(500mg,1当量)を磁気撹拌下に1分量で加えた。15分後、この反応物へNaCO(466mg,2当量)を加えた。油浴を使用して、この反応物を50℃へ加熱した。反応経過をHPLC−MSにより追跡すると、3時間後に、完全な変換を示した。橙色の沈殿を濾過により採取し、水と冷EtOHで洗浄してから、真空下に40℃で乾燥させた。所望の生成物(350mg)を橙色の固形物として回収した。
【0048】
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 3.05 (t, J = 7.1 Hz, 2H, NHCH2CH2), 3.20 (s, 3H, SO2CH3), 3.71-3.75 (m, 5H, OCH3 + NHCH2CH2), 6.71 (dd, J1 = 2.6 Hz, J2= 8.8 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.07 (d, J= 2.4 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.22-7.24 (m, 2H, 芳香族 H), 7.28 (d, J = 9.0 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.89 (dd, J1 = 2.0 Hz, J2= 8.9 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.47 (d, J = 2.6 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.64 (br t, J = 5.7 Hz, 1H, NHCH2CH2), 10.73 (br s, 1H, NH)。
【0049】
実施例3
N−(2−ブロモ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン
【0050】
【化9】

【0051】
実施例4
N−(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン
【0052】
【化10】

【0053】
実施例5
N−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン
【0054】
【化11】

【0055】
N−(2−ブロモ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン、N−(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン、及びN−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−5-メトキシトリプタミンの合成の一般手順
[0043] 1当量の1−フルオロ−2R−4R−ベンゼンをエタノール中に室温で1当量の5−メトキシトリプタミンと反応させて、所望の生成物を以下のように得た:
(N−(2−ブロモ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン):R=Br,R=NO;反応時間3時間;クロマトグラフ処理した生成物に関する収率:70%。
【0056】
(N−(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン):R=NO,R=Br;反応時間3時間;単離生成物(濾過により採取した)に関する収率:50%。
【0057】
N−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン):R=CN,R=NO;反応時間3時間;単離生成物(濾過により採取した)に関する収率:50%。
【0058】
化合物:N−(2−ブロモ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン、N−(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン、及びN−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミンのNMRスペクトル。
【0059】
N−(2−ブロモ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 2.96 (t, J = 7.7 Hz, 2H, CH2), 3.54-3.59 (m, 2H, CH2-NH), 3.74 (s, 3H, OCH3), 6.62 (br t, J = 5.8 Hz, 1H, CH2-NH), 6.70 (dd, J1 = 2.5 Hz, J2= 8.7 Hz, 1H, 芳香族 H), 6.83 (d, J = 9.2 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.03 (d, J = 2.2 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.18-7.22 (m, 2H, 芳香族 H), 8.04 (dd, J1 = 2.2 Hz, J2= 9.2 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.25 (d, J = 2.5 Hz, 1H, 芳香族 H), 10.69 (br s, 1H, NH)。
【0060】
N−(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 3.01 (t, 2H, J = 6.9 Hz, CH2), 3.59-3.64 (m, 2H, CH2-NH), 3.73 (s, 3H, OCH3), 6.70 (dd, J1 = 2.8 Hz, J2 = 8.7 Hz, 1H, 芳香族H), 7.03-7.07 (m, 2H, 芳香族 H), 7.19-7.22 (m, 2H, 芳香族 H), 7.60 (dd, J1 = 2.1 Hz, J2 = 9.6 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.11 (d, J = 2.8 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.20 (br t, J = 5.6 Hz, 1H, CH2-NH), 10.71 (br s, 1H, NH)。
【0061】
N−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 2.97 (t, 2H, J = 7.4 Hz, CH2), 3.58-3.63 (m, 2H, CH2-NH), 3.76 (s, 3H, OCH3), 6.71 (dd, J1 = 2.5 Hz, J2 = 8.8 Hz, 1H, 芳香族H), 6.93 (d, J = 9.6 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.04 (d, J = 2.2 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.17- 7.23 (m, 2H, 芳香族H), 7.59 (br t, J = 6.0 Hz, 1H, CH2- NH), 8.15 (dd, J1 = 3.0 Hz, J2 = 9.4 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.41 (d, J = 2.9 Hz, 1H, 芳香族 H), 10.70 (br s, 1H, NH)。
【0062】
実施例6
2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ブロモ−4−ニトロ−フェニルエチルアミン
【0063】
【化12】

【0064】
実施例7
2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−ブロモ−フェニルエチルアミン
【0065】
【化13】

【0066】
実施例8
2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−シアノ−フェニルエチルアミン
【0067】
【化14】

【0068】
2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ブロモ−4−ニトロ−フェニルエチルアミン、2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−ブロモ−フェニルエチルアミン、及び2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−シアノ−フェニルエチルアミンの合成の一般手順
[0044] 3×125mg(3×1当量)のキヌラミンジヒドロブロミドをアルゴン雰囲気下にカローセル(Carousel)パラレル合成機の3つの異なるフラスコ中で3×1mlの無水エタノールに溶かした。トリエチルアミン(3×0.1ml,3×2当量)も各フラスコに加えた。次いで、2−ブロモ−1−フルオロ−4−ニトロベンゼン(85mg,1当量)、4−ブロモ−1−フルオロ−2−ニトロベンゼン(85mg,1当量)、及び2−フルオロ−5−ニトロベンゾニトリル(65mg,1当量)を3つの並列フラスコ(A、B、及びC)の1つにそれぞれ加えて、得られた混合物をそのまま磁気撹拌下に室温で反応させた。反応の経過は、TLC(ジクロロメタンを溶出液とする)によって追跡した。反応A、B、及びCは、いずれも16時間後に完了した。次いで、この3つの反応混合物を減圧で濃縮して、生じる残渣を、ジクロロメタンを溶出液として使用するシリカゲル(ほぼ10グラム)のカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0069】
[0045] 2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ブロモ−4−ニトロ−フェニルエチルアミンを黄色い固形物として収率30%で入手し、2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−ブロモ−フェニルエチルアミンを橙色の固形物として収率40%で採取して、2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−シアノ−フェニルエチルアミンを黄色い固形物として収率40%で単離した。
【0070】
実施例9
N−(2−ニトロフェニル)−トリプタミン:
【0071】
【化15】

【0072】
手順:
[0046] 250mlの丸底フラスコに、DMF(1当量)、トリプタミン(1当量)、2−ニトロフルオロベンゼン(1当量)を入れて、10分間撹拌した。次いで、炭酸カリウム(1.1当量)を室温で加えた。撹拌を2時間続けた。TLCをモニタリングした。この反応混合物を氷水へ注いで、15分間撹拌した。生じる固形物を濾過して、水で洗浄した。粗製の材料をメタノールより結晶化させた。収率は、60%であった。NMR: (CDCl3) δ 3.2 (t, 2H, CH2), 3.6 (t, 2H, CH2NH), 6.6 (t, 1H, 4'-H), 6.8(d, 1H, 7-H) , 7.1-7.3 (m, 3H, 2-H, 5-H,6-H), 7.4 (m, 2H, 4-H, 6'-H), 7.6 (d, 1H, 5'-H) 8.1 (m, 3H, 3'-H, 2XNH)。
【0073】
実施例10
N−(4−カルボキシ−2−ニトロフェニル)−トリプタミン
【0074】
【化16】

【0075】
手順:
[0047] 250mlの丸底フラスコに、DMF(10当量)、トリプタミン(1当量)、及び4−カルボキシ−2−ニトロフルオロベンゼン(1当量)を加えて、10分間撹拌した。次いで、炭酸カリウム(2.5当量)を室温で加えた。撹拌を2時間続けた。TLCをモニタリングした。この反応混合物を氷水へ注ぎ、酢酸でpH=5へ中和して、15分間撹拌した。生じる固形物を濾過して、水で洗浄した。粗製の材料をトルエンより結晶化させた。収率は、50%であった。NMR: (CDCl3) δ 3.3 (t, 2H, CH2), 3.5 (t, 2H, CH2NH) , 6.8 (d, 1H, 6'-H), 7.2 (m, 2H, 5-H, 6-H) , 7.4 (d, 1H, 7-H) , 7.6 (d, 1H, 4-H) , 8.0 (d, 1H, 5'-H ), 8.4 (bs, 1H, NH), 8.6 (s, 1H, NH) , 8.8 (s, 1H, 3'-H)。
【0076】
実施例11
N−(2−カルボキシ−4−ニトロフェニル)−トリプタミン
【0077】
【化17】

【0078】
手順:
[0048] 250mlの丸底フラスコに、DMF(10当量)、トリプタミン(1当量)、2−カルボキシ−4−ニトロフルオロベンゼン(1当量)を加えて、10分間撹拌した。次いで、炭酸カリウム(2.5当量)を室温で加えた。撹拌を2時間続けた。TLCをモニタリングした。この反応混合物を氷水へ注ぎ、酢酸でpH=5へ中和して、15分間撹拌した。生じる固形物を濾過して、水で洗浄した。粗製の材料をトルエンより結晶化させた。収率は、50%であった。NMR: (CDCl3) δ 3.1 (t, 2H, CH2), 3.6 (t, 2H, CH2NH), 6.7 (d,lH, 5'-H ), 7.0 (m, 3H, 2-H, 5-H, 6-H) , 7.4 (d, 1H, 7-H) , 7.5 (d, 1H, 4-H) , 8.1 (d, 1H, 4'-H), 8.8 (d, 1H, 3'-H) , 8.9 (bs, 1H, NH), 10.4 (S, 1H, NH)。
【0079】
実施例12
N−(2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン:
【0080】
【化18】

【0081】
手順:
[0049] 250mlの丸底フラスコに、DMF(10当量)、5−メトキシ−トリプタミン(1当量)、及び2−ニトロフルオロベンゼン(1当量)を加えて、10分間撹拌した。次いで、炭酸カリウム(1.1当量)を室温で加えた。撹拌を2時間続けた。TLCをモニタリングした。この反応混合物を氷水へ注いで、15分間撹拌した。生じる固形物を濾過して、水で洗浄した。粗製の材料をメタノールより結晶化させた。収率は、60%であった。
【0082】
NMR: (CDCl3) δ 3.2 (t, 2H, CH2), 3.6 (t, 2H, CH2NH), 3.8 (s, 3H, OCH3), 6.6 (t, 1H, 4'-H), 6.8 (d, 2H, 6-H, 7-H), 7.0 (d, 1H, 4-H), 7.1 (s, 1H, 2-H), 7.3 (d, 1H, 6'-H), 7.9 (bs, 1H, NH), 8.2 (m, 2H, 3'-H, NH)。
【0083】
実施例13
N−(4−カルボキシ−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン
【0084】
【化19】

【0085】
手順:
[0050] 250mlの丸底フラスコに、DMF(10当量)、5−メトキシトリプタミン(1当量)、及び4−カルボキシ−2−ニトロフルオロベンゼン(1当量)を加えて、10分間撹拌した。次いで、炭酸カリウム(2.5当量)を室温で加えた。撹拌を2時間続けた。TLCをモニタリングした。この反応混合物を氷水へ注ぎ、酢酸でpH=5へ中和して、15分間撹拌した。生じる固形物を濾過して、水で洗浄した。粗製の材料をトルエンより結晶化させた。収率は、40%であった。NMR: (CDCl3) δ 3.5(m, 4H, 2xCH2) , 3.8 (s, 3H, OCH3), 6.7 (d, 1H, 6'-H), 6.9 (bs, 1H,- 7-H) , 6.95 (s, 1H, 2H), 7.1 (s, 1H, 4-H), 7.3 (d, 1H, 5'-H), 8.0 (bs, 1H, 6-H) , 8.4 (bs, 1H, 3'- H), 8.8 (s, 1H, NH), 10.4 (s, 1H ,NH)。
【0086】
実施例14
N−(2−カルボキシ−4−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン
【0087】
【化20】

【0088】
手順:
[0051] 250mlの丸底フラスコに、DMF(10当量)、5−メトキシトリプタミン(1当量)、2−カルボキシ−4−ニトロフルオロベンゼン(1当量)を加えて、10分間撹拌した。次いで、炭酸カリウム(2.5当量)を室温で加えた。撹拌を2時間続けた。TLCをモニタリングした。この反応混合物を氷水へ注ぎ、酢酸でpH=5へ中和して、15分間撹拌した。生じる固形物を濾過して、水で洗浄した。粗製の材料をトルエンより結晶化させた。収率は、40%であった。NMR: (CDCl3) δ 3.1 (t, 2H, CH2), 3.6 (t, 2H, NH), 3.8 (s, 3H, OCH3), 6.6 (m, 2H, 4-H, 5'-H), 6.7 (m, 5H, Ar-H), 8.1 (d, 1H, 5-H), 8.7 (d, 1H, 3'-H), 8.9 (bs, 1H, NH), 10.5 (s, 1H, NH)。
【0089】
実施例15
N−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−トリプタミン
【0090】
【化21】

【0091】
実施例16
N−(2−ニトロ−4−ブロモフェニル)−トリプタミン
【0092】
【化22】

【0093】
N−(2−ニトロ−4−ブロモフェニル)−トリプタミン及びN−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−トリプタミンの合成の一般手順
[0052] 2×500mg(2×1当量)のトリプタミンをアルゴン雰囲気下にカローセルパラレル合成機の2つの異なるフラスコ中で2×2mlの無水エタノールに溶かした。4−ブロモ−1−フルオロ−2−ニトロベンゼン(690mg,1当量)と2−フルオロ−5−ニトロベンゾニトリル(520mg,1当量)を2つの並列フラスコ(A及びB)の1つにそれぞれ加えて、得られた混合物をそのまま磁気撹拌下に室温で反応させた。反応の経過は、TLC(ジクロロメタンを溶出液とする)によって追跡した。反応A及びBは、それぞれ8時間後と2時間後に完了した。次いで、この2つの混合物を約15mlのジエチルエーテルで希釈して、生じる沈殿を濾過により採取して、追加のEtOで洗浄した。TLC分析がすべての沈殿に出発材料の微量残留を示したので、各反応混合物をシリカゲル(ほぼ20グラム)のカラムクロマトグラフィーにより精製した。石油エーテル/ジクロロメタン(8:2)の混合物を、出発のニトロ芳香族誘導体が溶出されるまで使用して;引き続き、ジクロロメタンを使用することによって、標的生成物を溶出させた。N−(2−ニトロ−4−ブロモフェニル)−トリプタミンを赤い固形物として収率55%で採取して、最後に、N−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−トリプタミンを黄色い固形物として収率40%で入手した。
【0094】
化合物、N−(2−ニトロ−4−ブロモフェニル)−トリプタミン及びN−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−トリプタミンのNMRスペクトル
N−(2−ニトロ−4−ブロモフェニル)−トリプタミン
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 3.07 (t, 2H, J = 6.9 Hz, CH2), 3.62-3.68 (m, 2H, CH2-NH), 6.98 (t, J = 6.9 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.06-7.10 (m, 2H, 芳香族 H), 7.26 (br s, 1H, 芳香族 H), 7.35 (d, J = 8.0 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.58 (d, J = 8.3 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.62 (dd, J1 = 2.2 Hz, J2= 8.8 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.13 (d, J = 2.2 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.20 (br t, J = 5.4 Hz, 1H, CH2-NH), 10.87 (br s, 1H, NH)。
【0095】
N−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−トリプタミン
1H NMR (DMSO-d6, 400MHz) δ 3.01 (t, 2H, J = 7.2 Hz, CH2), 3.59-3.64 (m, 2H, CH2-NH), 6.93 (d, J = 9.6 Hz, 1H, 芳香族 H), 6.99 (t, J = 7.4 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.08 (t, J = 6.9 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.21 (br s, 1H, 芳香族 H), 7.34 (d, J = 8.0 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.55-7.60 (m, 2H, 芳香族 H + CH2-NH), 8.15 (dd, J1= 2.1 Hz, J2 = 9.5 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.39 (d, J = 2.1 Hz, 1H, 芳香族 H), 10.85 (br s, 1H, NH)。
【0096】
実施例17
N−(3,4−ジシアノフェニル)−トリプタミン
【0097】
【化23】

【0098】
N−(3,4−ジシアノフェニル)−トリプタミンの合成の一般手順
[0053] アルゴン雰囲気下で、100mlの三つ首丸底フラスコに、熱EtOH(12ml)に溶かしたトリプタミン(1.10g,1当量)を入れた。次いで、この溶液へ4−フルオロ−フタハロニトリル(1.00g,1当量)を1分量で加えた。生じる混合物をそのまま磁気撹拌下に室温で25時間反応させた。反応経過は、TLCとHPLC−MSにより追跡した。次いで、溶媒をロータリーエバポレーションにより除去して、粗生成物を、ジクロロメタンで溶出させることによるシリカゲルカラムでクロマトグラフ処理した。生成物(880mg,収率35%)をオフホワイトの固形物として回収した。
【0099】
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 3.13 (t, J = 6.3 Hz, 2H, CH2CH2NH), 3.51-3.56 (m, 2H, CH2CH2NH), 4.54 (br t, J = 5.3 Hz, 1H, CH2CH2NH), 6.69 (dd, J1 = 2.3 Hz, J2= 8.6 Hz, 1H, 芳香族 H), 6.79 (d, J = 2.5 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.06 (d, J = 2.3 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.14-7.18 (m, 1H, 芳香族 H), 7.23-7.27 (m, 1H, 芳香族H), 7.41 (br d, J = 8.1 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.46 (d, J = 8.8 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.57 (br d, J = 8.1 Hz, 1H, 芳香族 H), 8.08 (br s, 1H, NH)。
【0100】
実施例18
N−(3,4−ジシアノフェニル)−5−メトキシトリプタミン
【0101】
【化24】

【0102】
N−(3,4−ジシアノフェニル)−5−メトキシトリプタミンの合成の一般手順
[0054] アルゴン雰囲気下で、100mlの三つ首丸底フラスコに、EtOH(20ml)に溶かした5−メトキシトリプタミン(1.33g,1当量)を入れた。次いで、この溶液を室温へ冷やして、4−フルオロ−フタロニトリル(1.00g,1当量)を1分量で加えた。生じる混合物をそのまま磁気撹拌下に室温で20時間反応させた。反応経過は、TLCとHPLC−MSにより追跡した。次いで、溶媒をロータリーエバポレーションにより除去して、粗生成物を、ジクロロメタンで溶出させることによるシリカゲルカラムでクロマトグラフ処理した。生成物(490mg,収率22%)を白い固形物として回収した。
【0103】
1H NMR (CDCl3, 400MHz) δ 3.09 (t, J = 6.6 Hz, 2H, CH2CH2NH), 3.50-3.54 (m, 2H, CH2CH2NH), 3.85 (s, 3H, OCH3), 4.55 (br t, J = 5.1 Hz, 1H, CH2CH2NH), 6.69 (dd, J1= 2.3 Hz, J2 = 8.8 Hz, 1H, 芳香族 H), 6.80 (d, J = 2.8 Hz, 1H, 芳香族 H), 6.90 (dd, J1 = 2.0 Hz, J2= 8.8 Hz, 1H, 芳香族 H), 6.98 (d, J = 2.9 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.03 (d, J = 2.3 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.30 (d, J = 8.8 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.47 (d, J = 8.8 Hz, 1H, 芳香族 H), 7.97 (br s, 1H, NH)。
【0104】
実施例19
2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロフェニルエチルアミン
【0105】
【化25】

【0106】
[0055] 2mlの2−ニトロ−フルオロベンゼンを20ml DMF中に5gのキヌラミンと3gの炭酸カリウムと室温で反応させて、所望の生成物を得た;反応時間は、2時間であった。この反応混合物を250mlの水に入れて、撹拌した。これを酢酸エチル(2×100ml)へ抽出して、酢酸エチル層を水(50ml)で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、溶媒を蒸留して除去した。この粗製の材料を酢酸エチル及びヘキサンの混合物(1:9)で操作するカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0107】
関連の収量は、500mgであった。
【0108】
1H NMR (DMSO-d6/ 500MHz) δ 3.35 (t, 2H, NHCH2CH2, J=6.6Hz), 3.69 (q, 2H, NHCH2CH2, J=6.4Hz), 6.52 (t, 1H, 芳香族, J=7.6Hz), 6.68 (t, 1H, 芳香族, J=7.8Hz), 6.75 (d, 1H, 芳香族, J=8.3Hz), 7.13 (d, 1H, 芳香族, J=8.7Hz), 7.23 (m, 3H, 1 芳香族 H + NH2), 7.55 (t, 1H, 芳香族, J=7.8Hz), 7.77 (d, 1H, 芳香族, J=8.1Hz), 8.06 (d, 1H, 芳香族, J=8.7Hz), 8.23 (t, 1H, NHCH2CH2, J=5.6Hz)。
【0109】
本発明の化合物の生物学的試験
実験1
GSK3β活性の評価:
[0056] 化合物について、精製GSK3βに対する阻害を評価した。GSK3βを昆虫Sf9細胞において発現させて、それより精製した。1mg/ml BSA、10mM DTT中の酵素の1/100希釈に続き、5μlの40μM GS−2ペプチドを基質として、緩衝液において、15μM[γ−32P]ATP(3000Ci/ミリモル;1mCi/ml)の存在下に30μlの最終容量で化合物(10μM)をアッセイした。30℃で30分のインキュベーションの後で、上清の25μlアリコートを2.5×3cm片のWhatman P81ホスホセルロース紙上へスポットして、20秒後に、このフィルターを10mlのリン酸/1リットルの水の溶液において5回(各回少なくとも5分間)洗浄した。この湿ったフィルターを1mlのシンチレーション液の存在下で計数した。表1は、本出願の化合物によるGSK3β活性の阻害を提示する。
【0110】
【表1】

【0111】
本実験は、N−(2−ニトロフェニル)−トリプタミン、N−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−トリプタミン、N−(2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン、N−(2−カルボキシ−4−ニトロフェニル)−トリプタミン、N−(3,4−ジシアノフェニル)−トリプタミン、N−(3,4−ジシアノフェニル)−5−メトキシトリプタミン、N−(4−カルボキシ−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン、及び2−(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−シアノ−フェニルエチルアミンがGSK3β活性に対して有意な阻害活性を有することを明らかにした。
【0112】
実験2
サブ閾値量のL−ドーパの有無でMPTP処置マウスを使用する、抗パーキンソン活性の評価
[0057] 動物:6月齢の雄性C57BL/6マウス、体重22〜25gを使用した。実験室に到着後、マウスは、温度管理(21±1℃)された、一定の明暗スケジュール(12時間オン/12時間オフ、照明オンは、06.00と18.00時の間)の室において2週間そのまま馴らした。食餌と水への自由なアクセスをずっと維持した。それらを12匹の動物の群に収容して、明時間の間(08.00〜15.00時)だけ試験した。すべての検査は、通常の明かりの室で実施した。それぞれの試験チャンバ(即ち、活動検査ケージ)を厚さ12cmの壁とフロントパネルがある遮音性の木箱に入れて、薄明かり状態にした。
【0113】
[0058] 行動測定と装置:2系列の赤外線ビーム(一方が低くて一方が高い、2つの異なる高さ、それぞれ深さ1cmのおがくずの表面上2cmと8cmにある)内にそれぞれ置いた、Macrolon齧歯動物検査ケージ(40×25×15cm)からなる自動化デバイスを使用して、1−メチル4−フェニル1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)及び対照マウスの自発的及び/又は薬物誘発性の運動活性を測定した。以下のパラメータを測定した:移動反応(locomotion)は、赤外線ビームの低グリッドにより測定した。マウスが検査ケージを水平面で動き回るときにのみカウントが記録された。立ち上がり反応(rearing)は、少なくとも1つの高位ビームが妨害された時間全体を記録した。即ち、記録したカウント数は、立ち上がり反応に費やした時間の量に比例した。全体活動は、検査ケージが絶えず接触しているセンサー(平行錘の付いたレバーに載っている、蓄音機の針に似たピックアップ)により測定した。このセンサーは、移動反応と立ち上がり反応だけでなく、震え、揺れ、引っ掻き、及びグルーミングによりもたらされるような、検査ケージから受けるすべての種類の振動を記録した。
【0114】
[0059] 行動測定(移動反応、立ち上がり反応、及び全体活動):MPTP注射(2×40mg/kg,皮下、24時間の間隔)後12日目に、異なる化合物(3mg/kg)又は担体(1%メチルセルロース中0.1% Tween−80)をマウスに経口投与して、すぐ後に活動検査チャンバに入れて、その運動行動を60分間モニタリングした。60分後、マウスに5mg/kgのL−ドーパを(皮下)注射してから検査チャンバに再び入れて、活動測定をさらに300分間続けた。
【0115】
表2は、試験物質又は担体のいずれかを投与して、サブ閾値量のL−ドーパを投与したMPTP処置マウスと対照マウスの移動反応、立ち上がり反応、及び全体活動のカウントを提示する。
【0116】
【表2】

【0117】
2(2−アミノベンゾイル)−N−2−ニトロ−4−メチルスルホニル−フェニルエチルアミン、N−(4−メチルスルホニル−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン、N−(2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン、N−(2−ニトロフェニル)−トリプタミン、及びN−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−トリプタミン(3mg/kg)は、サブ閾値(不活性)量のL−ドーパと組み合わせるときのMPTP処置マウスの運動不足を有意に逆転させた。
【0118】
実験3
ラットの新鮮に単離した海馬ニューロンにおけるNMDA活性化電流の電気生理学的な特性決定
[0060] 海馬ニューロンの単離:ウィスターラット(12〜14日齢)を麻酔せずに断頭して、海馬を取り出した。これを150mM NaCl;5mM KCl;1.25mM NaHPO;2mM CaCl;2mM MgCl;26mM NaHCO;20mMグルコースを含有する溶液において薄片(0.2〜0.4mm)へ手動で切断した。薄片をこの溶液中で、室温で30分間プレインキュベートした。酵素処理は、アスペルギルス オリゼ(aspergillus oryzae)由来のプロテアーゼ(0.4mg/ml)を含有する、より低いCa2+濃度(0.5mM)の同じ溶液において行った。酵素溶液中でのインキュベーションは、32℃、10分以内で行った。その後、薄片を、通常のCa2+濃度を含有する酵素フリー溶液に保って、単離ニューロンを入手するために6〜8時間以内に使用した。この手順全体を通して、溶液は、95% Oと5% COガスの混合物で絶えず飽和させて、7.4のpHを維持した。細胞解離のために、この薄片を、150mM NaCl;5mM KCl;2mM CaCl;10mM n−2−ヒドロキシエチルピペラジン−n’−2−エタンスルホン酸(Hepes)を含有して、NaOHでpHを7.4に調整した細胞外溶液へ移した。海馬薄片のCA及びCA3領域より振動解離法(vibrodissociation method)によって単一細胞を単離した。それらは、直径10〜15μmを有して、樹状突起の小部分を保存していた。単離後、それらは、通常、1〜2時間のレコーディングに適していた。
【0119】
[0061] 生理食塩水と化学品:細胞外溶液の内容は以下の通りであった:130mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、20mM n−2−ヒドロキシエチルピペラジン−n’−2−エタンスルホン酸(Hepes);0.1μm TTX、10μmグリシン、300mM L−アスパラテート;pHは、NaOHで7.4に調整した。
【0120】
[0062] 細胞内溶液の含量は以下の通りであった:110mM CsF、20mM Tris−HCl(pH=7.2)。L−アスパラテート溶液とグリシン溶液は、実験の当日に調製した。
【0121】
試験物質は、DMSOに溶かした。
【0122】
[0063] 電流レコーディングとデータ解析:薬物含有溶液は、“ジャンピングテーブル(jumping table)”設定を使用する迅速“コンセントレーションクランプ(concentration clamp)”法に適用した。全細胞配置においてパッチクランプ技術を用いて電流を記録した。電流のレコーディングは、EPC−7 L/Mパッチクランプ増幅器を使用して実施した。
【0123】
[0064] NMDA活性化電流:電流は、3kHz(3極活動 Bessel 濾波器)で濾波して、NMDA活性化電流について6000μs/点の速度でデジタル式にサンプリングした。対照及び試験溶液中の10μMグリシンと300μM L−アスパラテートの存在下にNMDA誘発性の膜貫通電流を測定した。電流は、−70mVの保持電位で記録した。
【0124】
[0065] 計算:少なくとも4つの細胞について、1μMの物質での電流の阻害を平均した。物質の効果は、I/Io(ここでIは、物質の作用下での電流であり、Ioは、対照条件における電流である)の平均比として測定した。
【0125】
NMDA活性化電流に対する1μM試験物質の作用を表3に示す。
【0126】
【表3】

【0127】
本実験は、N−(3,4−ジシアノフェニル)−トリプタミン、N−(2−ニトロフェニル)−トリプタミン、N−(2−カルボキシ−4−ニトロフェニル)−トリプタミン、N−(4−カルボキシ−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン、N−(2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン、N−(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)−5−メトキシトリプタミン、N−(3,4−ジシアノフェニル)−5−メトキシトリプタミン、N−(2−シアノ−4−ニトロフェニル)−トリプタミン、及びN−(2−ニトロ−4−ブロモフェニル)−トリプタミンがNMDA活性化電流に対して有意な遮断活性を有することを明らかにした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、R、R、及びRのそれぞれは、水素、カルボキシ、ニトロ、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、NR’R”、アリール、アリール−C1−4アルキル、又はアリール−C1−4アルコキシより独立して選択され、そしてR’とR”のそれぞれは、独立して、H又はC1−4アルキルであるか、又はR’=R”=ClCHCHであるか、又はNR’R”は、3〜8の環員を含有する飽和複素環式環を構成し;
Xは:
−(CH−Y−
{ここでYは、>NH、>C=O、>C=Sであるか又は何もなく;nは、0〜4であり;そして、−(CH−のどの炭素も、ハロゲン、カルボキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、OH、NH、又はアシルより独立して選択される1〜2の置換基によって置換されてよい}であり;
Arは、3−インドール:
【化2】

又はそのキヌレニン/キヌラミン代謝産物:
【化3】

{ここで、それぞれのRは、独立して、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、OH、上記に定義されるようなNR’R”、ニトロ、アリール、アリール−C1−4アルキル、又はアリール−C1−4アルコキシである}である]で表される化合物、又はその医薬的に許容される塩
[但し:
Xが未置換−(CH−NH−であり、そしてArが3−インドールであり、そしてRが4−メチルスルホニルであり、そしてRとRが水素であるならば、そのとき、Rは、ニトロであり得ない;
又は、Xが未置換−(CH−NH−であり、Arが3−インドールであり、Rが4−ニトロであり、そしてRとRが水素であるならば、そのときRは、2−ブロモであり得ない;
又は、Arが3−インドール又は2−アミノベンゾイルであり、Xが、置換又は未置換のいずれかの−(CH−NH−であるならば、RとRは、2,4−ジニトロであり得ない;
又は、Xが未置換−(CH−NH−であり、Arが3−インドールであり、Rが5−メトキシであるならば、そのとき、RとRは、2,4−ジニトロであり得ない]。
【請求項2】
Arが3−インドールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Arがキヌレニン/キヌラミン代謝産物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Yが−NH−である、請求項2又は3に記載の化合物。
【請求項5】
、R、及びRのそれぞれが、水素、カルボキシ、ニトロ、C−Cアルキルスルホニル、ハロゲン、及びシアノより独立して選択される、請求項2、3又は4に記載の化合物。
【請求項6】
それぞれのRが、水素及びC1−4アルコキシより独立して選択される、請求項2、3又は4に記載の化合物。
【請求項7】
活性物質として有効量の請求項1に記載の式Iで表される化合物又はその塩を、1以上の医薬的に許容される希釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント、賦形剤、又は担体と一緒に含有する医薬製剤。
【請求項8】
式Iで表される化合物のArが3−インドールである、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
式Iで表される化合物のArがキヌレニン/キヌラミン代謝産物である、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項10】
式Iで表される化合物のYが−NH−である、請求項8又は9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
式Iで表される化合物のR、R、及びRのそれぞれが、水素、カルボキシ、ニトロ、C−Cアルキルスルホニル、ハロゲン、及びシアノより独立して選択される、請求項8、9又は10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
式Iで表される化合物のそれぞれのRが、水素及びC1−4アルコキシより独立して選択される、請求項8、9又は10に記載の医薬製剤。
【請求項13】
以下の特性:
(i)それは、経口、直腸、非経口、経頬、肺内、鼻腔内、局所、又は経皮投与に適用される;
(ii)それは、単位剤形であり、それぞれの単位投与量は、約0.001〜約100mg/kg体重の範囲内にある、前記少なくとも1員の量を含んでなる;
(iii)それは、制御放出製剤であり、ここで前記少なくとも1員は、予め決定された制御速度で放出される;
の少なくとも1つにより特徴付けられる、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項14】
経口投与に適していて、そして、それぞれの単位投与量は、約0.5mg〜約50mgを含む、請求項13に記載の医薬製剤。
【請求項15】
非経口又は経皮投与に適していて、そして、それぞれの単位投与量は、約0.1mg〜約50mgを含む、請求項13に記載の医薬製剤。
【請求項16】
GSK3β活性又はNMDAチャネル活性により媒介される疾患、障害、又は生物学的状態を治療又は予防するための方法であって、請求項1に記載の化合物を前記疾患、障害、又は状態を治療又は予防するのに十分な量で投与することを含む、前記方法。
【請求項17】
CNS障害又は外傷、神経変性疾患、不安、精神疾患、疼痛、新生物疾患、偏頭痛、糖尿病、白血球減少症、ダウン症候群、筋緊張性ジストロフィー、炎症性疾患、又は卒中を含む疾患、障害、又は状態を治療又は予防するための方法であって、請求項1に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩の有効量を、そのような治療の必要な動物又はヒトへ投与することを含む、前記方法。
【請求項18】
前記化合物又は塩を、医薬的に許容される担体を含んでなる医薬組成物の一部として投与する、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物又は塩を、既知の神経弛緩薬、感情調整薬、抗不安剤、トランキライザー、鎮痛薬、情緒安定化剤、抗パーキンソン病薬、抗アルツハイマー病薬、又は抗糖尿病薬との組み合わせにおいて投与する、請求項16に記載の方法。


【公表番号】特表2010−505816(P2010−505816A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530968(P2009−530968)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004306
【国際公開番号】WO2008/041140
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(592100326)ヌリム・ファーマスーティカルズ・(1991)・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】NEURIM PHARMACEUTICALS (1991) LIMITED
【Fターム(参考)】