説明

治療薬II

式(I)の化合物、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩、そのような化合物を製造するための方法、肥満、精神障害、認知障害、記憶障害、統合失調症、てんかん、および関連する状態、ならびに痴呆のような神経障害、多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびアルツハイマー病、ならびに疼痛関連障害の治療におけるそれらの使用、およびそれらを含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明が属する技術分野
本発明はある種の式IのN−シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール−N′−キナゾリン−2−イルシクロアルキルジアミン、そのような化合物を製造する方法、肥満、精神および神経障害の治療におけるそれらの使用、およびそれらを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
メラニン濃縮ホルモン(MCH)は15年以上前に魚類から初めて単離された環状ペプチドである。哺乳動物では、MCH遺伝子発現は視床下部腹部不確帯および側部視床下部領域に局在する(Breton et al.,Molecular and Cellular Neurosciences,4巻,271−284(1993))。後者の脳領域は摂食および摂水のような行動の制御、覚醒および運動活性に関連する(Baker,B.,Trends Endocrinol.Metab.5:120−126(1994),5巻,No.3,120−126(1994))。哺乳動物における生物学的活性は十分に説明されていないが、最近の研究は、MCHが摂食および体重増加を促進することを示唆している(US5,849,708)。したがって、MCHおよびそのアゴニストはAIDS、腎臓病、または化学療法による神経性食欲不振および体重減少の治療薬として提案されている。同様に、MCHアンタゴニストは、肥満および強迫性摂食および過剰な体重を特徴とするその他の障害の治療薬として使用することができる。MCH投射は痛覚処理に重要な領域である、脊髄を含む脳全体にわたり見出されていて、式Iの化合物のような、MCH1rを介して作用する物質が疼痛の治療に有用であることを示唆する。
【0003】
ヒトではMCHの2種の受容体(MCH(MCH1r(Shimomura et al.Biochem Biophys Res Commun 1999 Aug11;261(3):622−6)&MCH2r(Hilol et al.J Biol Chem.2001 Jun8;276(23):20125−9))が同定されているが、げっ歯類では1種(MCH1r)だけしか存在しない(Tan et al.Genomics.2002 Jun;79(6):785−92)。MCH1rを欠くマウスでは、MCHに反応した摂食促進は見られず、やせた表現型が見られ、この受容体がMCHの摂食作用の媒介に関与することを暗示する(Marsh et al.Proc Natl Acad Sci USA.2002 Mar5;99(5):3240−5)。さらに、MCH受容体アンタゴニストはMCHの摂食作用を遮断すること(Takekawa et al.Eur J Pharmacol.2002 Mar8;438(3):129−35)、および飼料誘発肥満ラットにおいて体重&脂肪過多を減少させる(Borowsky et al.Nat Med.2002 Aug;8(8):825−30)ことが示されている。MCH1rの分布および配列の保存は、ヒトおよびげっ歯類におけるこの受容体の類似の役割を暗示する。したがって、MCH受容体アンタゴニストは過剰な摂食および体重を特徴とする肥満およびその他の障害の治療薬として提案されている。
【0004】
US5,874,438は、2,2′−架橋ビス−2,4−ジアミノキナゾリンが痴呆、鬱病、筋強直性ジストロフィーまたは喘息の治療に有用である、アパミン‐感受性カリウムチャンネル遮断薬であることを開示する。N2,N2′−(1,3−シクロヘキサンジイルビス(メチレン)ビス(N4,N4′−ジエチル−2,4−キナゾリンジアミンが例示される。
【0005】
WO97/20823の請求項1は非常に広範な範囲からなり、あいまいであると判断され、したがって欧州特許局による調査は不可能であった。調査は実施例に限定された。この文献は、式iのキナゾリン:
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Xは−O−、S(O)または式−N(R)の基であり、alkはボンドまたは低級アルキレンであり、XはとりわけC〜Cシクロアルキレンであるか、またはalkはボンドまたは低級アルキレンであり、RはとりわけHまたは低級アルキルであり、Rはとりわけアミノによって置換され、ここで置換はとりわけ(炭素環または複素環)アリール、または(炭素環または複素環)アリール−低級アルキルによるものであり、RおよびRはとりわけHまたは低級アルキルであり、そしてAは広範な置換基である)を開示する。該化合物はNPY5アンタゴニストであると主張され、したがってとりわけ肥満および糖尿病の治療に有用である。実施例の大部分はナフタレンスルホンアミド、アミドであるか、またはキナゾリル環に4−アニリノ置換基を有する。しかし、この特許出願に例示された化合物のどれもが本出願の範囲内に含まれない。
【0008】
WO03/028641は、式iiの化合物:
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、とりわけQは4−置換されたアミノ−2−キナゾリルであり、それは5、6、7または8位で置換されず、Lはとりわけ1,4−ジアミノシクロヘキシルであり、ここでそれぞれのアミンとシクロヘキシル環間に付加的なアルキレン基があり、Yはボンド、メチレン、カルボニル、またはスルホニルであり、そして、Rはとりわけヘテロアリールである)がMCH受容体アンタゴニストであることを開示する。
【0011】
同時係属中の特許出願WO2004/087680は、式iiiの化合物:
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、Qは置換されたキナゾリルであり、Lは1,4−ジアミノシクロヘキシルまたは1,3−ジアミノシクロペンチルであり、ここでそれぞれのアミンとシクロヘキシル環間に付加的なアルキレン基があり、YはC(O)NR、C(S)NR、C(O)O、ボンドまたはCHであり、Rはとりわけフェニルまたはヘテロシクリルである)がMCH受容体アンタゴニストであることを開示する。
【発明の開示】
【0014】
当該技術分野において公知の化合物より、強力であり、選択性が高く、生物学的有効性が高く、そして毒性が低いMCH受容体アンタゴニストの必要性が依然として存在する。本発明は肥満および関連する障害、精神障害、神経障害ならびに疼痛の治療に有用なMCH1rアンタゴニストである付加的な化合物を提供する。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は式Iの化合物:
【0016】
【化4】

【0017】
{式中、Rはa)場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、b)場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、c)ハロ、d)シアノ、e)NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりO原子を含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、f)CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に飽和された3〜7員複素環を表す)、またはg)場合により1以上のフルオロによって置換された−OSO1〜4アルキル基を表し;
nは0、1、2または3を表し;
はHまたはシアノまたは場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
はHまたはC1〜4アルキル基を表し;
は(CH3〜10シクロアルキル基を表し、式中、pは0または1であり、そしてシクロアルキル基は単環または二環であってもよく、場合によりそれぞれRおよびRを持つ2つの窒素が、同じ炭素原子に結合しないという条件で架橋されてもよく、ここで炭素の1つはOに入れ替わっていてもよく、;但し、Lは1,3−シクロペンチルまたは1,4−シクロヘキシルを表さず;
はHまたは場合により1以上の以下のものによって置換されたC1〜4アルキル基:フルオロ、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、を表し;
はアルキレン鎖(CHを表し、式中sは1、2または3を表し、ここでアルキレン鎖は場合により1以上の以下のもの:フルオロ、またはC1〜4アルキルによって置換され;
はまた、Rに縮合した5〜6員炭素環を表してもよく;
はフェニルまたはナフチルまたは、チエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、5H−ピロロ[2,3−b]ピラジニル、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジニル、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジニル、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル、1H−インダゾリルから選択される複素環基を表し、式中それぞれのRは場合により1以上の以下のもの:a)シアノ、b)ハロ、c)場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、d)場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、e)S(O)基(式中、aは0、1または2であり、そしてRはフェニルであって場合によりシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)、またはf)(CH基(式中、zおよびwは0または1であり、そしてRはフェニル、またはチエニル、ピリジル、チアゾリル、ピラゾリルから選択される複素環基を表し、ここでそれぞれのRは場合により1以上の以下のもの:シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)によって置換される}、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩に関する。
【0018】
本発明は一般式(I)の化合物:
【0019】
【化5】

【0020】
{式中、
はシアノ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、ハロ、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりO原子を含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
nは0、1、2または3を表し;
はHまたはシアノまたは場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
はHまたはC1〜4アルキル基を表し;
は(CH3〜10シクロアルキル基を表し、式中pは0または1であり、そしてシクロアルキル基は単環または二環であってもよく、場合によりそれぞれRおよびRを持つ2つの窒素が、同じ炭素原子に結合しないという条件で架橋されてもよく、ここで炭素の1つはOに入れ替わっていてもよく、または−N(R)−L−基、もしくはL−N(R)基は2〜9炭素原子およびそれぞれRおよびRを持つ窒素を含有する飽和された複素環を一緒に表し、そしてそれは単環または二環であってもよく;但し、Lは1,3−シクロペンチルまたは1,4−シクロヘキシルを表さず;
はHまたは場合により1以上の以下のものによって置換されたC1〜4アルキル基:フルオロまたは場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、を表し;
はアルキレン鎖(CHを表し、式中sは1、2または3を表し、ここでアルキレン鎖は場合によりフルオロまたはC1〜4アルキルの1以上によって置換され;
はまた、Rに縮合した5〜6員炭素環を表してもよく;
はアリールまたは、チエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、1H−インダゾールから選択される複素環基を表し、それらのそれぞれは、場合により1以上の以下のもの:シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、またはS(O)基(式中、aは0、1または2であり、そしてRはフェニルであって場合によりシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)、または(CH基(式中、zは0または1であり、そしてRはフェニル、またはチエニル、ピリジル、チアゾリル、ピラゾリルから選択される複素環基を表し、ここでそれぞれのRは場合により1以上のシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)によって置換される}、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩に関する。
【0021】
式Iの化合物の特定の群では、Lは(CH3〜10シクロアルキル基を表し、式中pは0または1であり、そしてシクロアルキル基は単環または二環であってもよく、場合によりそれぞれRおよびRを持つ2つの窒素が、同じ炭素原子に結合しないという条件で架橋されてもよく、ここで炭素の1つはOに入れ替わっていてもよく、または−N(R)−L−基、もしくはL−N(R)基は2〜9炭素原子およびそれぞれRおよびRを持つ窒素を含有する飽和された複素環を一緒に表し、そしてそれは単環または二環であってもよい。
【0022】
別の側面では、本発明は式Iの化合物:
{式中、Rはシアノ、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、ハロ、シアノ、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
nは0、1、2または3を表し;
はHまたはシアノまたは場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
はHまたはC1〜4アルキル基を表し;
は(CH5〜6シクロアルキル基を表し、式中、pは0または1であり、ただし、それぞれRおよびRを持つ2つの窒素間に3つの炭素原子が存在し、ここでシクロアルキル基の炭素の1つはOに入れ替わっていてもよく;
はHまたは場合により1以上の以下のものによって置換されたC1〜4アルキル基:フルオロ、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、を表し;
はアルキレン鎖(CHを表し、式中sは1、2または3を表し、ここでアルキレン鎖は場合により1以上の以下のもの:フルオロ、またはC1〜4アルキルによって置換され;
はまた、Rに縮合した5〜6員炭素環を表してもよく;
はアリールまたは、チエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、1H−インダゾールから選択される複素環基を表し、それらのそれぞれは、場合により1以上の以下のもの:シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、または(CH基(式中、zは0または1であり、そしてRはフェニルまたはチエニル、ピリジル、チアゾリル、ピラゾリルから選択される複素環基を表し、ここでそれぞれのRは場合により1以上のシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)、またはS(O)基(式中、aは0、1または2であり、そしてRはフェニルであって、場合により、シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)によって置換される}、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩を提供する。
【0023】
式Iの化合物の特定の群は、式IA:
【0024】
【化6】

【0025】
{式中、Rはクロロ、フルオロ、メトキシまたはNR基(式中、RおよびRは独立してC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
nは0、または1を表し、そしてn=1の場合、置換基は6または7位のいずれかに結合し;
はHまたはシアノまたはC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
はHを表し;
AはCHを表し、tは1であり;
はHを表し;
はCH、C(CHまたはCFを表し;そして;
はアリール、またはチエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、1H−インダゾールから選択される複素環基を表し、それらのそれぞれは、場合により1以上の以下のもの:シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、またはS(O)基(式中、aは0、1または2であり、そしてRはフェニルであって場合によりシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)、または(CH基(式中、zは0または1であり、そしてRはフェニル、またはチエニル、ピリジル、チアゾリル、ピラゾリルから選択される複素環を表し、ここでそれぞれのRは場合により1以上のシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)によって置換される}、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩によって表される。
【0026】
式Iの化合物の別の特定の群は式IB:
【0027】
【化7】

【0028】
{式中、RはH、シアノ、メトキシ、イソプロポキシ、ジメチルアミノ、クロロまたはフルオロを表し;
はH、シアノ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)を表し、RはHを表し;
AはCHを表し、tは1であり;
はHを表し;
はCH、C(CHまたはCFを表し;そして;
はアリールまたは、チエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、1H−インダゾールから選択される複素環基を表し、それらのそれぞれは、場合により1以上の以下のもの:シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、またはS(O)基(式中、aは0、1または2であり、そしてRはフェニルであって場合によりシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)、または(CH基(式中、zは0または1であり、そしてRはフェニル、またはチエニル、ピリジル、チアゾリル、ピラゾリルから選択される複素環基を表し、ここでそれぞれのRは場合により1以上のシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)によって置換される}、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩によって表される。
【0029】
式Iの化合物の別の特定の群は、式IC:
【0030】
【化8】

【0031】
{式中、Rはシアノ、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、ハロ、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
nは0、1、2または3を表し;
はH、シアノ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
はHまたはC1〜4アルキル基を表し;
は(CH7〜10シクロアルキル基を表し、式中、pは0または1であり、そしてシクロアルキル基はそれぞれRおよびRを持つ2つの窒素が同じ炭素原子に結合しないという条件で縮合した二環、または架橋された二環であり、ここで炭素の1つはOに入れ替わっていてもよく;
はHまたは場合により1以上の以下のものによって置換されたC1〜4アルキル基:フルオロ、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、を表し;
はアルキレン鎖(CHを表し、式中sは1、2または3を表し、ここでアルキレン鎖は場合により1以上の以下のもの:フルオロ、またはC1〜4アルキルによって置換されるか;
またはLはさらにRに縮合した5〜6員炭素環を表してもよく;
はアリール、またはチエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、1H−インダゾールから選択される複素環基を表し、それらのそれぞれは場合により1以上の以下のもの:シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、またはS(O)基(式中、aは0、1または2であり、そしてRはフェニルであって場合よりシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)、または(CH基(式中、zは0または であり、そしてRはフェニルまたはチエニル、ピリジル、チアゾリル、ピラゾリルから選択される複素環を表し、ここでそれぞれのRは場合により1以上のシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)によって置換される}、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩によって表される。
【0032】
とりわけ、RはH、シアノ、フルオロ、メトキシ、イソプロポキシ、クロロまたはジメチルアミノを表す。
とりわけ、RはH、メチル、メトキシ、イソプロポキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ジメチルアミノ、1−ピロリジニルまたは1−モルホリニルを表す。
【0033】
とりわけ、Rは1以上の以下のものを表す:3−チエニル、1−メチルピロール−2−イル、1−メチルインドール−3−イル、2,4−ジメトキシピリミジン−5−イル、2−(フェニルスルホニル)−1,3−チアゾール−5−イル、1−メチル−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]−2−チエニル、1−[(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]−1H−インドール−3−イル}、5−(2−チエニル)チエン−2−イル、5−ピリジン−2−イル−2−チエニル、1,2,3−チアジアゾール−4−イル、4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルおよびキノリン−2−イルを表す。とりわけ、Rは1以上の以下のもの:3,4−ジクロロフェニル、6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル、および2−(トリフルオロメトキシ)フェニルを表す。
【0034】
式IBの化合物の1種の特定の群では、RはH、フルオロ、クロロまたはジメチルアミノを表し;RはH、メチル、メトキシ、イソプロポキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ジメチルアミノ、1−ピロリジニルまたは1−モルホリニルを表し、LはCHを表し、AはCHであり;tは1であり;RおよびRはそれぞれHであり、そしてRは以下の1つを表す:3−チエニル、1−メチルピロール−2−イル、1−メチルインドール−3−イル、2,4−ジメトキシピリミジン−5−イル、2−(フェニルスルホニル)−1,3−チアゾール−5−イル、1−メチル−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−3−イル]−2−チエニル、1−[(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イル)メチル]−1H−インドール−3−イル}、5−(2−チエニル)チエン−2−イル、5−ピリジン−2−イル−2−チエニル、1,2,3−チアジアゾール−4−イル、4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルおよびキノリン−2−イル。
【0035】
とりわけ式Iの化合物では、pは0であり、Lは1,3−シクロヘキシルである。
とりわけ式I、IA、IBおよびICの化合物では、窒素原子が結合しているシクロアルキル炭素原子の立体化学はS、Sである。
【0036】
とりわけ式Iの化合物では、Lは:
【0037】
【化9】

【0038】
【化10】

【0039】
から選択される。
上記において、ページの左に向いたフリーボンドはRを持つ窒素に結合し、ページの右に向いたフリーボンドはRを持つ窒素に結合することは理解されるであろう。疑いを避けるために、Qが:
【0040】
【化11】

【0041】
を表す場合、本発明の特定の化合物は:
【0042】
【化12】

【0043】
(式中、Q、R、R、LおよびRは先に定義した通りである)である。
式Iの化合物の特定の群では、Lは(CH7〜10シクロアルキル基を表し、式中pは0または1であり、そしてシクロアルキル基は縮合しているか、または二環であり、場合によりそれぞれRおよびRを持つ2つの窒素が、同じ炭素原子に結合しないという条件で架橋されてもよく、ここで炭素の1つはOに入れ替わっていてもよく、あるいは−N(R)−L−基、もしくはL−N(R)基は一緒に2〜9炭素原子およびそれぞれRおよびRを持つ窒素を含有する飽和された複素環を表す。
【0044】
あるいは、N(R)−L−N(R)は6〜8炭素原子を含有する二環中で一緒に結合し、そしてR、R、R、R、R、L、mおよびnは先に定義した通りである
が二環である例としては:
【0045】
【化13】

【0046】
が挙げられる。
上記において、ページの左に向いたフリーボンドはRを持つ窒素(またはキノリン環)に結合し、ページの右に向いたフリーボンドはRを持つ窒素(またはL2もしくはR5)に結合することは理解されるであろう。
【0047】
疑いを避けるために、Qが:
【0048】
【化14】

【0049】
を表す場合、Lが二環である化合物の例としては:
【0050】
【化15】

【0051】
【化16】

【0052】
(式中、Q、R、R、LおよびRは先に定義した通りである)が挙げられる。
“薬剤的に受容できる塩”という用語は、そのような塩が可能な場合、薬剤的に受容できる酸および塩基付加塩を包含する。式Iの化合物の適切な薬剤的に受容できる塩は、たとえば、十分に塩基性である、式Iの化合物の酸付加塩、たとえば塩酸、臭化水素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸またはマレイン酸のような無機または有機酸との酸付加塩;またはたとえば十分に酸性である、式Iの化合物の塩、たとえばナトリウム、カルシウムもしくはマグネシウム塩のようなアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩、またはメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンもしくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンのような有機塩基との塩である。
【0053】
本明細書および添付の特許請求の範囲を通して、与えられた化学式または名称は、その異性体およびエナンチオマーが存在する場合、すべてのその立体および光学異性体およびラセミ体、ならびに個々のエナンチオマーの異なる割合の混合物、ならびに薬剤的に受容できるその塩を包含することになる。異性体は慣用の技術、たとえばクロマトグラフィーまたは分別結晶化を使用して分離することができる。エナンチオマーはラセミ体の分離、たとえば分別結晶化、分割またはHPLCによって分離することができる。ジアステレオマーは異性体混合物の分離、たとえば分別結晶化、HPLCまたはフラッシュクロマトグラフィーによって分離することができる。あるいは、立体異性体はラセミ化またはエピマー化を引き起こさない条件下、キラル出発物質からキラル合成により、またはキラル試薬による誘導体化により作製することができる。すべての立体異性体は本発明の範囲内に包含される。
【0054】
以下の定義は本明細書および添付の特許請求の範囲を通して、適用されることになる。
特記しない限り、“アルキル”という用語は直鎖または分枝鎖アルキル基のいずれかを示す。上記アルキルの例としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、およびt−ブチルが挙げられる。好ましいアルキル基はメチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよび第3ブチルである。
【0055】
特記しない限り、“アルコキシ”という用語はO−アルキル基を示し、ここでアルキルは先に定義した通りである。
特記しない限り、“ハロ”という用語はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味することになる。
【0056】
アリールはRの定義ではフェニルまたはナフチルを意味し、それらのそれぞれは場合により先に記載の通りに置換される。
場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基の例としては、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、フルオロメトキシおよび4,4,4−トリフルオロブトキシが挙げられる。
【0057】
場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基の例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、およびフルオロメチルが挙げられる。
アルキル基が場合により1以上のフッ素原子によって置換されたOSO1〜4アルキル基の例としては、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、n−プロピルスルホニルオキシ、n−ブチルスルホニルオキシ、4,4,4−トリフルオロブチル−1−スルホニルオキシおよび3,3,3−トリフルオロプロピル−1−スルホニルオキシが挙げられる。
【0058】
およびRが独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すNR基の例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、−エチル−−メチルアミノおよびジイソプロピルアミノが挙げられる。
【0059】
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒に場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表すNR基の例としては、ピロリジノ、モルホリノおよびピペリジノが挙げられる。
【0060】
およびRが独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すCONR基の例としては、−メチルカルバモイル、−エチルカルバモイル、−プロピルカルバモイル、−ジメチルカルバモイル、−エチル−−メチルカルバモイルおよび−ジエチルカルバモイルが挙げられる。
【0061】
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒に飽和された3〜7員複素環を表すを表すCONR基の例としては、ピロリジノカルボニルおよびピペリジノカルボニルが挙げられる。
【0062】
本発明の具体的な化合物は:
N−(4−メチルキナゾリン−2−イル)−N′−(3−チエニルメチル)−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジアミン;
,N−ジメチル−N−{−3−[(3−チエニルメチル)アミノ]−トランス−シクロヘキシル}キナゾリン−2,4−ジアミン;
−{−3−[(1−ベンゾチエン−3−イルメチル)アミノ]−トランス−シクロヘキシル}−N,N−ジメチルキナゾリン−2,4−ジアミン;
,N−ジメチル−N−(−3−{[(1−メチル−1H−インドール−3−イル)メチル]アミノ}−トランス−シクロヘキシル}キナゾリン−2,4−ジアミン;
,N−ジメチル−N−2−((1S,3S)−3−{[2−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]アミノ}シクロヘキシル)キナゾリン−2,4−ジアミン;
,N−ジメチル−N−2−[(1S,3S)−3−({[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]メチル}アミノ)−シクロヘキシル]キナゾリン−2,4−ジアミン;および
2−{(1S,3S)−3−[(3,4−ジクロロベンジル)アミノ]シクロヘキシル}−N−N−ジメチルキナゾリン−2,4−ジアミン;
ならびに薬剤的に受容できるその塩である。
【0063】
製造の方法
本発明の化合物は、下記の方法のいずれかに従って、以下に概説したように製造することができる。しかし、本発明はこれらの方法に限定されず、化合物は先行技術における構造的に関連した化合物に関して記載されたように製造することもできる。
【0064】
式Iの化合物は式IIの化合物:
【0065】
【化17】

【0066】
(式中、R、R、R、R、L、およびnは先に定義した通りである)と式IIIのアルデヒドまたはケトン:
【0067】
【化18】

【0068】
(式中、Rは先に定義した通りであり、L2′は化合物IIとIIIの反応後に、還元アルキル化条件下で、還元によりLを生じる基を表す)を反応させることにより製造することができる。たとえば、式IIの化合物と式IIIの化合物は、0℃〜250℃の範囲、好ましくは50℃〜150℃の範囲の温度で、場合により不活性溶媒、たとえばメタノール、ジクロロメタンまたは酢酸の存在下、還元剤、たとえばシアノボロヒドリドナトリウムまたは場合によりポリマーに支持されたシアノボロヒドリドの存在下で一緒に反応することができる。
【0069】
式IIの化合物は式IVの化合物:
【0070】
【化19】

【0071】
(式中、R、R、およびnは先に定義した通りであり、Xはハロ、とりわけクロロまたはブロモである)と式Vの化合物:
【0072】
【化20】

【0073】
を0℃〜250℃の範囲、好ましくは50℃〜150℃の範囲の温度で、ピリジン中、または場合により不活性溶媒、たとえばトルエンまたはジオキサンの存在下、接触クロスカップリング系、たとえば、Pd(OAc)および2−(ジ−ブチルホスホリノ)ビフェニルまたはBINAPの存在下、場合により塩基、たとえばNaOBuまたはCsCOの存在下で反応させることにより製造することができる。
【0074】
ある種の式IIおよびVの化合物は新規であり、有用な中間体として、本発明の別の側面として主張される。
場合により式Vの1つまたは両方の窒素は、式IVの化合物との反応の前に保護されてもよく、その後得られた式IIの化合物は式IIIの化合物との反応の前に脱保護される。アミン保護基、たとえばt−Boc、Cbzまたはフタルイミド基は当業者に公知である。
【0075】
本発明の化合物は慣用の技術を使用して、それらの反応混合物から単離することができる。
代わりの、およびある種の場合において、より都合のよい方法で本発明の化合物を得るために、先に述べた個々の製法の段階は異なる順番で行われてもよく、および/または個々の反応は全体的な経路の異なる時期に行われてもよい(すなわち、化学的変換は、上記の特定の反応と関連したもののための異なる中間体に対して行われてもよい)ことを当業者は認めるであろう。
【0076】
“不活性溶媒”という用語は、所望する生成物の収率に有害な影響を与える様式で出発物質、試薬、中間体または生成物と反応しない溶媒を表す。
【0077】
医薬製剤
本発明の化合物は、薬剤的に受容できる剤形で、遊離酸、または薬剤的に受容できる有機または無機塩基付加塩としてのいずれかで活性成分を含有する医薬製剤の形状で、通常経口、非経口、静脈内、筋肉内、皮下を介して、または他の注射可能な方法で、口腔内、直腸内、膣内、経皮および/または経鼻経路により、および/または吸入により投与されることになる。治療されることになる障害および患者、ならびに投与経路に依存して、組成物は種々の投与量で投与されてもよい。
【0078】
ヒトの治療的処置における本発明の化合物の適切な1日投与量は、約0.001〜10mg/kg体重、好ましくは0.01〜1mg/kg体重である。経口製剤、錠剤またはカプセル剤はとりわけ好ましく、それらは当業者に公知の方法によって製剤することができ、0.5mg〜500mgの範囲、たとえば1mg、3mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mgおよび250mgの活性化合物の投与量を提供する。
【0079】
本発明の別側面に従って、いずれかの本発明の化合物、または薬剤的に受容できるその誘導体を、薬剤的に受容できるアジュバント、希釈剤および/またはキャリアと混合して含有する医薬製剤がさらに提供される。
【0080】
本発明の化合物はまた、肥満、精神障害、神経障害および疼痛に関連した障害の治療に有用な別の治療薬と組み合わせてもよい。
【0081】
薬理学的特性
式(I)の化合物は肥満、精神病のような精神障害、不安、不安‐抑鬱障害、鬱病、認知障害、記憶障害、統合失調症、てんかん、および関連する状態、ならびに痴呆のような神経障害、多発性硬化症、レイノー症候群、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびアルツハイマー病の治療に有用である。該化合物は、免疫、心臓血管、生殖および内分泌障害、ならびに呼吸および消化器系に関連した疾患の治療に潜在的に有用である。
【0082】
該化合物はまた、タバコ消費の中止、ニコチン依存症の治療および/またはニコチン禁断症状の治療、ニコチン渇望を低下させるための物質として、および禁煙物質として潜在的に有用である。該化合物はまた、通常喫煙の中止に伴う体重増加を抑制するために有用であってもよい。該化合物はまた、下痢の治療および予防のための物質として潜在的に有用である。該化合物はまた、耽溺性物質への渇望/逆戻りを低下させるための物質として潜在的に有用であり、そのような耽溺性物質には、ニコチン、アルコール、コカイン、アンフェタミン、オピエート、ベンゾジアゼピンおよびバルビツレートのような精神運動賦活剤が挙げられるが、それらに限定されない。該化合物はまた、薬物中毒および/または薬物乱用を治療するための物質として潜在的に有用である。
【0083】
本発明の化合物はまた、薬物療法誘発体重増加、たとえば抗精神病(neuroleptic)治療薬(複数の治療薬)によって引き起こされた体重増加を妨げるか、または逆行させるために使用してもよい。本発明の化合物はまた、喫煙中止に伴う体重増加を防止するか、または逆行させるために使用してもよい。
【0084】
したがって、乱用物質に対する渇望を低下させることにおいて活性であり、乱用物質により引き起こされた交感神経反応の程度を亢進せず、そして好ましい薬物動態学的作用を有する、化合物および治療方法を提供することが好ましい。
【0085】
該化合物はまた疼痛障害を治療するための物質として潜在的に有用であり、そのような疼痛障害には急性および慢性侵害性、炎症性および神経障害性疼痛および偏頭痛が挙げられるが、それらに限定されない。
【0086】
別の側面では、本発明は薬物として使用のための先の特許請求の範囲のいずれかで主張したような式Iの化合物を提供する。
別の側面では、本発明は肥満、精神病のような精神障害、不安、不安‐抑鬱障害、鬱病、双極性障害、ADHD、認知障害、記憶障害、統合失調症、てんかん、および関連する状態、痴呆のような神経障害、多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびアルツハイマー病、ならびに急性および慢性侵害性、炎症性および神経障害性疼痛および偏頭痛を含むがそれらに限定されない疼痛関連障害の治療または予防が必要な患者に、薬理学的有効量の式Iの化合物を投与することを含む、そのような疾患の治療または予防のための薬物の製造における式Iの化合物の使用を提供する。
【0087】
さらに別の側面では、本発明は肥満、精神病のような精神障害、不安、不安‐抑鬱障害、鬱病、双極性障害、ADHD、認知障害、記憶障害、統合失調症、てんかん、および関連する状態、ならびに痴呆のような神経障害、多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病およびアルツハイマー病、ならびに急性および慢性侵害性、炎症性および神経障害性疼痛および偏頭痛を含むがそれらに限定されない疼痛関連障害の治療または予防が必要な患者に、薬理学的有効量の式Iの化合物を投与することを含む、そのような疾患を治療する方法を提供する。
【0088】
本発明の化合物は、肥満の治療にとりわけ適する。
別の側面では、本発明は肥満、II型糖尿病、メタボリックシンドロームを治療することおよびII型糖尿病を予防することが必要な患者に、薬理学的有効量の式Iの化合物を投与することを含む、そのような治療および予防の方法を提供する。
【0089】
組み合わせ治療
本発明の化合物は、高血圧、高脂血症、脂質代謝異常、糖尿病および肥満のようなアテローム性動脈硬化症の発生および進行に伴う障害の治療に有用である別の治療薬と組み合わせてもよい。たとえば、本発明の化合物は熱発生、脂肪分解、脂肪吸収、飽満、または腸運動性に影響を与える化合物と組み合わせて使用してもよい。本発明の化合物は、LDL:HDLの比を減少させる別の治療薬、またはLDL‐コレステロールの循環レベルの減少を引き起こす物質と組み合わせてもよい。糖尿病患者では、本発明の化合物はまた、微小血管病に関連する合併症を治療するために使用される治療薬と組み合わせてもよい。
【0090】
本発明の化合物はメタボリックシンドロームまたは2型糖尿病およびそれに伴う合併症の治療のための別の療法と一緒に使用してもよく、そのような療法にはビグアニド剤、インスリン(合成インスリン類似体)および経口抗高脂血症剤(これらは食事グルコース調節剤とアルファ‐グルコシダーゼ阻害剤に分割される)が挙げられる。
【0091】
本発明の別の側面では、式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグが、PPAR調節物質と一緒に投与されてもよい。PPAR調節物質には、PPARアルファおよび/またはガンマアゴニスト、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグが挙げられるが、それらに限定されない。適切なPPARアルファおよび/またはガンマアゴニスト、薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグは当該技術分野で公知である。
【0092】
さらに、本発明の組み合わせはスルホニル尿素と一緒に使用してもよい。本発明はまた、コレステロール低下剤と組み合わせた本発明の化合物を包含する。本明細書で言及したコレステロール低下剤には、HMG‐CoAレダクターゼ(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムAレダクターゼ)の阻害剤が挙げられるが、それらに限定されない。適切なHMG‐CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンである。
【0093】
本明細書では、“コレステロール低下剤”は、活性または不活性にかかわらず、HMG‐CoAレダクターゼ阻害剤の化学的改変物、たとえばエステル、プロドラッグおよび代謝産物も包含する。
【0094】
本発明はまた、回腸胆汁酸輸送系阻害剤(IBAT阻害剤)と組み合わせた本発明の化合物を包含する。本発明はまた、胆汁酸結合レジンと組み合わせた本発明の化合物を包含する。
【0095】
本発明の付加的な別の側面に従って、場合により薬剤的に受容できる希釈剤またはキャリアと一緒の、有効量の式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグの投与を、場合により薬剤的に受容できる希釈剤またはキャリアと一緒の以下の:
CETP(コレステリルエステル輸送蛋白質)阻害剤;
コレステロール吸収アンタゴニスト;
MTP(ミクロソーム輸送蛋白質)阻害剤;
ニコチン酸誘導体(徐放および組み合わせ製品を含む);
植物ステロール化合物;
プロブコール;
抗肥満化合物[たとえば、オルリスタット(EP 129,748)およびシブトラミン(GB 2,184,122およびUS 4,929,629);
抗高血圧化合物、たとえばアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、アドレナリン作動性遮断薬、アルファアドレナリン作動性遮断薬、ベータアドレナリン作動性遮断薬、アルファ/ベータ混合アドレナリン作動性遮断薬、アドレナリン作動性刺激薬、カルシウムチャンネル遮断薬、AT−1遮断薬、塩類利尿薬、利尿薬または血管拡張薬;
CB1アンタゴニストまたは逆アゴニスト;
別のメラニン濃縮ホルモン(MCH)アンタゴニスト;
PDK阻害剤;または
核受容体、たとえばLXR、FXR、RXR、およびRORアルファの調節因子;
SSRI;
セロトニンアンタゴニスト;
から選択される1以上の物質または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグの同時、連続または別個の投与を一緒に含む組み合わせ治療が必要な、ヒトのような温血動物への、そのような組み合わせ治療が提供される
したがって、本発明の付加的な態様では、2型糖尿病およびそれに伴う合併症の治療が必要なヒトのような温血動物において、そのような状態を治療するための方法が提供され、該方法は上記動物に有効量の式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグを、有効量の、この組み合わせの節で記載された別のクラスの化合物の1種に由来する化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグと一緒に同時、連続または別個投与で投与することを含む。
【0096】
したがって、本発明の付加的な態様では、高脂肪血状態の治療が必要なヒトのような温血動物において、そのような状態を治療するための方法が提供され、該方法は上記動物に有効量の式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグを、有効量の、この組み合わせの節で記載された別のクラスの化合物の1種に由来する化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグと一緒に同時、連続または別個投与で投与することを含む。
【0097】
本発明の別の側面に従って、式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグ、およびこの組み合わせの節で記載された別のクラスの化合物の1種に由来する化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグを薬剤的に受容できる希釈剤またはキャリアと一緒に含有する、医薬組成物が提供される。
【0098】
本発明の別の側面に従って、式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグ、およびこの組み合わせの節で記載された別のクラスの化合物の1種に由来する化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグを含有するキットが提供される。
【0099】
本発明の別の側面に従って、以下のものを含有するキットが提供される:
a)第1の単位剤形における、式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグ;
b)第2の単位剤形における、この組み合わせの節で記載された別のクラスの化合物の1種に由来する化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグ;および
c)上記第1および第2剤形を含有する容器手段。
【0100】
本発明の別の側面に従って、以下のものを含有するキットが提供される:
a)第1の単位剤形における、薬剤的に受容できる希釈剤またはキャリアと一緒の、式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグ;
b)第2の単位剤形における、この組み合わせの節で記載された別のクラスの化合物の1種に由来する化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグ;および
c)上記の第1および第2剤形を含有する容器手段。
【0101】
本発明の別の態様に従って、ヒトのような温血動物において、メタボリックシンドロームまたは2型糖尿病およびそれに伴う合併症の治療における使用のための医薬品の製造における、式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグ、およびこの組み合わせの節で記載された別の化合物の1種、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグの使用が提供される。
【0102】
本発明の別の態様に従って、ヒトのような温血動物において、高脂肪血状態の治療における使用のための医薬品の製造における、式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグ、およびこの組み合わせの節で記載された別の化合物の1種、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグの使用が提供される。
【0103】
本発明の別の側面に従って、場合により薬剤的に受容できる希釈剤またはキャリアと一緒の、有効量の式Iの化合物、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグの投与と、場合により薬剤的に受容できる希釈剤またはキャリアと一緒の、有効量の、この組み合わせの節で記載された別の化合物の1種、または薬剤的に受容できるその塩、溶媒和物、そのような塩の溶媒和物もしくはプロドラッグの同時、連続または別個投与を一緒に含む組み合わせ治療が必要な、ヒトのような温血動物へのそのような組み合わせ治療が提供される。
【実施例】
【0104】
有効実施例
本発明はここで下記の実施例によりさらに詳細に記載されることになり、それらは本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0105】
略語
aq. 水性
Ac アセチル
BINAP rac−2,2’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル
Bu ブチル
DCM ジクロロメタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
ELS 蒸発光散乱
Et エチル
HEK ヒト胚腎臓
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LC 液体クロマトグラフィー
MS 質量分析
Pol−BHCN (ポリスチリルメチル)トリメチルアンモニウムシアノボロヒドリド(負荷 4.1〜4.3mmol BHCN/g)
Pol−CHO 4−ベンジルオキシベンズアルデヒドポリスチレン(負荷 約2.66mmol CHO/g)
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
Tris トリスヒドロキシメチルアミノメタン
t tert
rt. 室温
sat. 飽和された
br ブロード
bs ブロードシングレット
bt ブロードトリプレット
d ダブレット
dd ダブレットオブダブレット
m マルチプレット
q カルテット
s シングレット
t トリプレット
tt トリプレットオブトリプレット
td トリプレットオブダブレット
bd ブロードダブレット
【0106】
一般的実験手順
フラッシュカラムクロマトグラフィーは、MERCK順相シリカゲル60A(40〜63mm)または、FLASH12+MまたはFLASH25+Mまたは40+Mを備えたBiotage Horizon Pioneer(登録商標)HPFCシステムを使用した。マススペクトルは、空気圧補助エレクトロスプレイインターフェースを備えたWaters Micromass ZQ単一四重極(LC−MS)で記録した。精製は、Kromasil 10mm C8 250mmx20mmカラムを備えた、UV検出付きのWaters Prep LC 2000、またはWaters Symmetry(登録商標)100mmx19mm C18 5mmカラムを備えたセミプレパラティブHPLC、Shimadzu LC−8A、Shimadzu SPD−10A UV−可視検出器で行った。
【0107】
自動HPLC精製は、UV、ELSおよびMS検出ならびにAce C8 5m 10 cmx21,2idカラムを備えた、Waters Fraction Lynxシステムを使用して行った。移動相は、A:95%CHCNおよびB:5%CHCN+95%0,1M NHOAc、グラジエントは100%B〜100%A、10分間、流速25mL/分であった。
【0108】
HNMRおよび13CNMRスペクトルは、Varian Unity Plus 400mHz,またはVarian Inova 500MHzまたはVarian Unity Plus 600MHzまたはBruker Avance 300MHzで、298Kにおいて得た。化学シフトは、内部標準として溶媒残留ピークを用いて、ppmで示す:CDCl d7.26、d77.2;MeOH−d d3.31、d49.0;DMSO−d d2.50;d39.5ppm。マイクロ波加熱は、Personal Chemistry、Uppsala、SwedenのSmith Creatorにおけるシングルノード加熱を使用して行った。
【0109】
アナリティカルキラルHPLCは、Chiralcel OJ(250x4.6mm i.d.)カラムを使用し、移動相としてEtOH:EtH 100:0.1、流速1mL/分、254または350nmにおけるUV検出により行った。
【0110】
市販の、または公開された方法により製造した出発物質の名称/参照番号(CAS no)。
2−クロロ−4−メチルキナゾリン、6141−14−6;シクロヘキサン1,3−ジアミン、3385−21−5;3−チオフェンカルボアルデヒド、498−62−4;ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボアルデヒド、5381−20−4;1−メチルインドール−3−カルボアルデヒド、19012−03−4;rac−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、98327−87−8;2−トリフルオロメトキシベンズベンズアルデヒド、94651−33−9;6−(トリフルオロメチル)ニコチンアルデヒド、386704−12−7;3,4−ジクロロベンズアルデヒド、6287−38−3。
【0111】
中間体の製造
ジベンジルトランス−シクロヘキサン−1,3−ジイルビスカーバメート
D−酒石酸(15.77g、105mmol)はHO(80mL)中のシクロヘキサン−1,3−ジアミン(12g、105mmol、シス/トランス〜2.6:1)の撹拌溶液に添加した。得られた混合物は、約60°Cに加熱し、MeOH(800mL)をゆっくり添加した。混合物は室温に戻し、3日間放置した。沈殿はろ過し、ろ液は濃縮し、1M NaOH(40mL)に再溶解した。撹拌溶液に、0°Cでベンジルクロロホルメート(9.56g、56mmol)および1M NaOH(40mL)を添加した。5分後、1,4−ジオキサン(40mL)を添加し、混合物を室温でさらに18時間撹拌した。混合物はHOで希釈し、CHClで抽出した。有機層はMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。Biotage Horizon 40+M SiOカラムで精製し、白色固体として標題化合物5.61g(14%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)d 7.36−7.26(m,5H),5.06(bs,2H),3.77(b,2H),1.73−1.42(m,8H)。
LC−MS[M+H] 383.4
【0112】
(+)ジベンジル−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジイルビスカーバメート
ジベンジル−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジイルビスカーバメートのエナンチオマーは、プレパラティブキラルクロマトグラフィーにより分離した。7.27gをEtOHに溶解(56mg/mL)し、EtOH:EtN 100/0.1、12mL/分で溶出する、Chiralcel OJ(250x20mm i.d.)への2mL(112mg)注入を繰り返し,標題化合物3.75g、99.3%ee、[a]20+2.7(c 1.26、MeOH)および(−)ジベンジル−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジイルビスカーバメート2.45g、83%eeを得た。
【0113】
(1S,3S)−シクロヘキサン−1,3−ジアミン二塩酸塩
EtOH(5mL)中の(+)ジベンジル−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジイルビスカーバメート(0.24mmol、0.090g)および10%Pd‐活性炭(0.010g)はH雰囲気下で撹拌した。1時間後、セライトにより混合物をろ過し、濃縮して、標題化合物44mg(100%)を得た。化合物はMeOH/EtOから再結晶化し、絶対配置はX線結晶学により決定した。
【0114】
実施例
実施例1
N−(4−メチルキナゾリン−2−イル)−N′−(3−チエニルメチル)−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジアミン
a)ジベンジルトランス−シクロヘキサン−1,3−ジイルビスカーバメート
D−酒石酸(15.77g、105mmol)はHO(80mL)中のシクロヘキサン−1,3−ジアミン(12g、105mmol、シス/トランス〜2.6:1)の撹拌溶液に添加した。得られた混合物は、約60°Cに加熱し、MeOH(800mL)をゆっくり添加した。混合物は室温に戻し、3日間放置した。沈殿はろ過し、ろ液は濃縮し、1M NaOH(40mL)に再溶解した。撹拌溶液に、0°Cでベンジルクロロホルメート(9.56g、56mmol)および1M NaOH(40mL)を添加した。5分後、1,4−ジオキサン(40mL)を添加し、混合物を室温でさらに18時間撹拌した。混合物はHOで希釈し、CHClで抽出した。有機層はMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。Biotage Horizon 40+M SiOカラムで精製し、白色固体として標題化合物5.61g(14%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)d7.36−7.26(m,5H),5.06(bs,2H),3.77(b,2H),1.73−1.42(m,8H)。
LC−MS[M+H]383.4
b)ベンジル(3−{ベンジルオキシカルボニル−[4−メチルキナゾリン−2−イル]アミノ}−トランス−シクロヘキシル)カーバメート
トルエン/THF(23mL/10mL)中の2−クロロ−4−メチルキナゾリン(1.70g、9.57mmol)、ジベンジル−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジイルビスカーバメート(4.0g、10.5mmol)、CsCO(6.96g、21.38mmol)、Pd(OAc)(0.213g、0.95mmol)およびBINAP(0.592g、0.95mmol)は、出発物質が消費されたことをLC/MSが示すまで、窒素雰囲気下、90℃で撹拌した。反応混合物は室温に戻し、MeOHで希釈し、セライトでろ過した。ろ液は蒸発乾固させた。残渣はヘプタン:EtOAc(1:1)で溶出するSiOカラムで精製し、ビス−およびモノ−Cbz−保護化合物の混合物として標題化合物0.840gを得た。
LC−MS[M+H]525および391
c)N−(4−メチルキナゾリン−2−イル)−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジアミン
ベンジル(3−{ベンジルオキシカルボニル−[4−メチルキナゾリン−2−イル]アミノ}−トランス−シクロヘキシル)カーバメート(1.25g、2.38mmol)はMeOH(50mL)に溶解した。Pd−C(10%、57.7%HOを含有)(250mg)を添加し、混合物は、出発物質が消費されたことをLC/MSが示すまで、水素雰囲気下、室温で撹拌した。反応混合物はセライトでろ過し、蒸発乾固させた。残渣はMeCNに溶解し、HPLC(溶離液A:0.1%TFAを含有するHO;溶離液B:MeCN;グラジエント:5%〜85%の溶離液B)で精製し、標題化合物0.306g(50%)を得た。
HNMR(300.1MHz,CDCl)d7.81−7.84(d,1H),7.54−7.65(m,2H),7.16−7.21(m,1H),5.23(brd,1H),4.45(brs,1H),3.11(m,1H),2.74(s,3H),1.60−2.04(m,8H),1.25−1.33(m,1H)。13CNMR(CDCl)d169.4,158.3,152.1,133.7,126.3,125.4,122.2,119.7,46.3,46.2,40.4,35.2,30.9,21.7,20.0.
LC−MS[M+H]257
d)N−(4−メチルキナゾリン−2−イル)−N′−(3−チエニルメチル)−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジアミン
N−(4−メチルキナゾリン−2−イル)−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジアミン(51mg、0.2mmol)、チオフェン−3−カルボキシアルデヒド(22mg、0.2mmol)およびトリアセトキシボロヒドリドナトリウム(90mg、0.4mmol)はCHCl(5ml)に添加した。混合物は室温で48時間撹拌した。LC−MSに基づいてすべての出発物質が消費された後、反応は飽和NHClで停止し、混合物は水で洗浄した。有機層を分離し、溶媒を留去した。残渣は、CHCl/MeOH 10:1で溶出するプレパックSi−カラム(Isolute、5g)で精製し、標題生成物20mg(28%)を得た。
HNMR(400MHz,MeOH−d)d 7.97(d,1H),7.68(t,1H),7.55(d,1H),7.42−7.36(m,2H),7.26(t,1H),7.13(d,1H),4.43(m,1H),4.17(d,2H),3.30−3.24(m,1H),2.77(s,3H),2.51−2.43(m,1H),2.13−2.06(m,1H),1.88−1.72(m,5H),1.62−1.51(m,1H)
13CNMR(101MHz,MeOH−d)d170.2,158.2,151.6,134.0,133.3,127.8,126.8,126.0,125.6,125.2,122.6,119.5,52.6,45.8,42.9,32.8,29.6,28.9,20.5,19.4
LC−MS[M+H]353.0
【0115】
実施例2
,N−ジメチル−N−{−3−[(3−チエニルメチル)アミノ]−トランス−シクロヘキシル}キナゾリン−2,4−ジアミン
a)ベンジル(3−{ベンジルオキシカルボニル−[4−(ジメチルアミノ)キナゾリン−2−イル]アミノ}−トランス−シクロヘキシル)カーバメート
トルエン:THF(25mL:13mL)中の(2−クロロ−キナゾリン−4−イル)−ジメチル−アミン(2.73g、13.12mmol、製造法はWO03028641を参照されたい)、ジベンジル−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジイルビスカーバメート(5.52g、14.43mmol、製造法は実施例1aを参照されたい)、CsCO(9.62g、30mmol)、Pd(OAc)(0.295g、1.31mmol)、およびBINAP(0.817g、1.31mmol)は90℃、窒素下で、出発物質が消費されたことをLC−MSが示すまで撹拌した。反応混合物は室温に戻し、MeOH(200mL)で希釈し、セライトでろ過した。その後、ろ液は蒸発乾固させた。残渣はヘプタン:EtOAc(1:1)で溶出するSiOカラムで精製し、ビス−およびモノ−Cbz−保護化合物の混合物として標題化合物2.61g、4.71mmol(収率36%)を得た。
LC−MS[M+H]554
b)N−(3−アミノ−トランス−シクロヘキシル)−N,N−ジメチル−キナゾリン−2,4−ジアミン
ベンジル(3−{ベンジルオキシカルボニル−[4−(ジメチルアミノ)キナゾリン−2−イル]アミノ}−トランス−シクロヘキシル)カーバメート(2.61g、4.71mmol)はMeOH(50mL)に溶解した。Pd−C(10%、57.7%HOを含有)(500mg)を添加し、出発物質が消費されたことをLC−MSが示すまで、混合物は、水素雰囲気下、室温で撹拌した。反応混合物はセライトでろ過し、蒸発乾固させ、標題化合物1.12g(83%)を得た。
HNMR(300.1MHz,CDCl)d7.78−7.80(d,1H),7.43−7.51(m,2H),6.70−7.05(m,1H),4.32(br,1H),3.28(s,6H),3.11(m,1H),1.90(m,1H),1.51−1.71(m,7H),1.23−1.25(m,1H)。
13CNMR(75.5MHz,CDCl)d170.7,164.8,156.9,133.0,126.4,123.7,120.7,111.8,46.7,46.4,42.2,40.4,35.2,31.2,20.1。LC−MS[M+H]286
c)N,N−ジメチル−N−{−3−[(3−チエニルメチル)アミノ]−トランス−シクロヘキシル}キナゾリン−2,4−ジアミン
MeOH:DCM(1:2、6%HOAc含有、8mL)中のN−(3−アミノ−トランス−シクロヘキシル)−N,N−ジメチル−キナゾリン−2,4−ジアミン(0.200g、0.70mmol)およびチオフェン−3−カルボアルデヒド(0.078g、0.70mmol)は周囲温度で75分間撹拌し、その後MeOH(5mL)中のNaBHCN(0.176g、2.8mmol)を添加した。反応混合物は室温で一晩撹拌し、その後0.5当量の付加的なチオフェン−3−カルボアルデヒドを添加した。温度を50oCまで上げ、出発物質が消費されたことをTLCが示すまで、この温度で撹拌した。メタノール(10mL)を添加し、反応混合物を濃縮した。残渣は初めに1% Et3Nを含有するDCM:MeOH(10:1)で溶出するSiOで精製し、MeCNに溶解し、さらにプレパラティブHPLC(溶離液A:0.1% TFAを含有するHO;溶離液B:MeCN;グラジエント:10%〜90%の溶離液B)で精製し、0.106g(40%)の標題化合物を得た。
HNMR(300.1 MHz,CDCl)d7.81−7.84(d,1H),7.47−7.51(m,2H),7.25−7.28(m,1H),7.05−7.13(m,s,3H),4.43(br,1H),3.85(s,2H),3.29(s,6H),2.93−2.97(m,1H),1.27−1.99(m,9H)。
LC−MS[M+H]382。
【0116】
実施例3
−{−3−[(1−ベンゾチエン−3−イルメチル)アミノ]−トランス−シクロヘキシル}−N,N−ジメチルキナゾリン−2,4−ジアミン
MeOH:DCM(1:2、1%HOAc含有、20mL)中のN−(3−アミノ−トランス−シクロヘキシル)−N,N−ジメチル−キナゾリン−2,4−ジアミン
(0.237g、0.83mmol、実施例2b由来)およびベンゾ[b]チオフェン−3−カルボアルデヒド(0.135g、0.83mmol)は周囲温度で1.5時間撹拌し、その後MeOH(4mL)中のNaBHCN(0.104g、1.66mmol)の溶液を添加した。反応混合物は、出発物質が消費されたことをTLCが示すまで、室温で撹拌した。メタノール(10mL)を添加し、反応混合物を濃縮した。残渣は2% EtNを含有するDCM:MeOH(98:2)、最後に2% EtNを含有するDCM:MeOH(9:1)で溶出するSiOで精製し、標題化合物0.310g(86%)を得た。この物質をMeCNに溶解し、さらにHPLC(溶離液A:0.1% TFAを含有するHO;溶離液B:MeCN;グラジエント:10%〜80%の溶離液B)で精製し、0.200g(56%)の標題化合物を得た。
HNMR(300.1MHz,MeOD−d)d7.82(d,1H),7.76(m,1H),7.45(t,1H),7.05−7.33(m,5H),7.01(t,1H),4.32(brs,1H),3.96(s,2H),3.18(s,6H),2.90(m,1H),1.3−2.1(m,8H)。
13CNMR(75.5MHz,MeOD−d)d164.7,158.0,153,3,140.7,138.5,134.6,132.3,128.7,128.0,126.6,124.2,123.9,123.3,122.5,121.4,120.0,111.8,51.9,46.0,43.8,40.9,36.6,31.3,31.2,19.8。
LC−MS[M+H]432.2。
【0117】
実施例4
,N−ジメチル−N−(−3−{[(1−メチル−1H−インドール−3−イル)メチル]アミノ}−トランス−シクロヘキシル}キナゾリン−2,4−ジアミン;
1,2−ジクロロエタン(3mL)およびTHF(1mL)中のN−(3−アミノ−トランス−シクロヘキシル)−N,N−ジメチル−キナゾリン−2,4−ジアミン(0.24g、0.84mmol、実施例2b由来)、1−メチルインドール−3−カルボアルデヒド(0.134g、0.84mmol)およびNaBH(OAc)(0.267g、1.26mmol)は、窒素雰囲気下、周囲温度で1日撹拌した。飽和NaHCO溶液(5mL,aq.)を添加し、混合物をDCM(2x10mL)で抽出した。合わせた有機層は濃縮し、残渣はプレパラティブHPLC(溶離液A:0.1%TFAを含有するHO;溶離液B:MeCN;グラジエント:20%〜80%の溶離液B)で精製し、標題化合物32mg(9%)を得た。
HNMR(300.1MHz,MeOD−d)d8.09(d,1H),7.60−7.71(m,2H),7.48(d,1H),7.25−7.31(m,3H),7.10(t,1H),6.99(t,1H),4.36−4.46(m,3H),3.70(s,3H),3.43(s,6H),2.43(brd 1H),1.64−2.30(m,11H),1.50−1.63(m,1H)。
13CNMR(75.5MHz,MeOD−d)d164.4,138.4,135.1,131.8,128.6,128.5,123.5,123.3,121.0,120.4,119.2,111.9,110.7,105.7,53.4,48.0,47.6,42.6,40.5,34.2,33.0,30.3,30.2,20.6。LC−MS[M+H]429
【0118】
実施例5
,N−ジメチル−N−((1S,3S)−3−{[2−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]アミノ}シクロヘキシル)キナゾリン−2,4−ジアミン
標題化合物は、N−(3−アミノ−トランス−シクロヘキシル)−N,N−ジメチル−キナゾリン−2,4−ジアミン(40mg、0.140mmol、実施例2b由来)および2−トリフルオロメトキシベンズアルデヒド(27mg、0.142mmol)ボロヒドリドナトリウム(26mg、0.69mmol)から、実施例6に従って製造した。収率:標題化合物41mg(64%)。
HNMR(500MHz,CDCl)d7.81(m,1H),7.49(m,1H),7.43(d,1H),7.38−7.34(m,2H),7.15−7.11(m,2H),7.03(m,1H),4.95(bs,1H),4.43(m,1H),3.83(d,1H),3.81(d,1H),3.26(s,6H),2.93(m,1H),190−1.70(m,5H),1.65−1.55(m,2H),1.41(m,1H)。
13CNMR(100MHz,CDCl)d164.9,157.9,154.1,147.9,139.6,132.0,129.2,129.0,125.8,125.2,122.1,120.7,119.6,118.7,112.0,52.1,50.5,45.9,41.7,37.7,32.0,31.9,20.1。LC−MS[M+H]460.1。
【0119】
実施例6
,N−ジメチル−N−[(1S,3S)−3−({[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]メチル}アミノ)−シクロヘキシル]キナゾリン−2,4−ジアミン
2mLメタノール中のN−(3−アミノ−トランス−シクロヘキシル)−N,N−ジメチル−キナゾリン−2,4−ジアミン(35mg、0.123mmol、実施例2b由来)、6−(トリフルオロメチル)ニコチンアルデヒド(22mg、0.125mmol)の溶液は一晩反応させた。ボロヒドリドナトリウム(23mg、0.61mmol)を添加し、混合物を30分間撹拌後、2M HCl 1mLを添加した。5分後、混合物は2M NaOHおよび20mLの水の添加によりアルカリ性にした。混合物はEtOAcで3回抽出し、合わせた有機層は水で洗浄し、NaSOで乾燥し、留去した。粗物質は、DCM:MeOH:TEA 100:5:1を用いて、プレパック5gIsoluteシリカゲルカラムのクロマトグラフィーにかけた。収率:標題化合物41mg(75%)。
HNMR(500MHz,CDCl)d8.67(s,1H),7.87(d,1H),7.80(d,1H),7.58(d,1H),7.47(m,1H),7.42(d,1H),7.02(m,1H),5.07(bs,1H),4.39(m,1H),3.92(d,1H),3.89(d,1H),3.25(s,6H),2.93(m,1H),1.90−1.70(m,5H),1.65−1.53(m,2H),1.40(m,1H)。
13CNMR(100MHz,CDCl)d165.2,158.0,153.9,150.0,147.4,147.1,146.7,146.4,140.1,137.1,132.4,126.1,126.0,125.3,123.2,120.1,120.3,120.1,117.8,112.3,52.6,48.3,46.1,41.9,37.7,32.0,20.2。LC−MS[M+H]445.1
【0120】
実施例7
−{(1S,3S)−3−[(3,4−ジクロロベンジル)アミノ]シクロヘキシル}−N,N−ジメチルキナゾリン−2,4−ジアミン
標題化合物は、N−(3−アミノ−トランス−シクロヘキシル)−N,N−ジメチル−キナゾリン−2,4−ジアミン(35mg、0.123mmol、実施例2b由来)、3,4−ジクロロベンズアルデヒド(22mg、0.125mmol)およびボロヒドリドナトリウム(23mg、0.61mmol)から、実施例6に従って製造した。収率:標題化合物36mg(66%)。
HNMR(500MHz,CDCl)d7.82(m,1H),7.51(m,1H),7.48−7.44(m,2H),7.34(d,1H),7.17(dd,1H),7.05(m,1H),4.43(m,1H),3.80(d,1H),3.78(d,1H),3.28(s,6H),2.94(m,1H),1.90−1.70(m,5H),1.65−1.55(m,2H),1.41(m,1H)。
13CNMR(100MHz,CDCl)d165.2,158.0,147.0,141.7,132.4,130.7,130.4,130.1,127.6,126.1,125.2,120.1,52.4,50.3,46.4,46.1,41.2,37.8,32.0,20.2,11.7。
LC−MS[M+H]444.1/446.1/448.1。
【0121】
薬理学的特性
MCH1受容体結合
アッセイは、ヒトメラニン濃縮ホルモン受容体1(MCH1r)を発現するCHO−K1細胞から調製した膜で行った。アッセイは、96−ウェルプレートフォーマット、最終反応容量200μl/ウェルで行った。それぞれのウェルには結合バッファー(50mM Tris、3mM MgCl、0.05%ウシ血清アルブミン(BSA)で希釈した6μg膜蛋白質が含まれ、放射標識125I−MCH(IM344 Amersham)を添加し、1ウェルにつき10000cpm(カウント/分)とした。それぞれのウェルは、DMSOで調製した適切な濃度の競合的アンタゴニスト2μlを含有し、30℃で60分間放置した。非特異的結合は1μM MCH(メラニン濃縮ホルモン、H−1482 Bachem)とのインキュベーション後に残存するものとして測定した。反応は、Micro96 Harvester(Skatron Instruments,Norway)を使用して、GF/Aフィルターに反応物を移すことにより停止した。フィルターはアッセイバッファーで洗浄した。フィルター上に保持された放射リガンドは、1450 Microbeta TRILUX(Wallac,Finland)を使用して定量した。
【0122】
非特異的結合は測定された全体値から減じた。最大結合は、非特異的結合の測定値を減じた後の、任意の競合物質の非存在下で測定されたものであった。種々の濃度での化合物の結合は、方程式:
y=A+((B−A)/1+((C/x)UD)))
に従ってプロットし、IC50は以下のような場合、見積もった:
Aは曲線の最下部プラトー、すなわち最終の最少y値であり、
Bは曲線のプラトーの頂上、最終の最大y値であり、
Cは曲線の中央におけるx値である。これはA+B=100の場合、logEC50値を表す。
Dは勾配因子である。
xは最初の既知のx値である。
yは最初の既知のy値である。
【0123】
本明細書において例示された化合物は、先に述べたヒトMCHr結合アッセイにおいて、2μM未満のIC50を有した。好ましい化合物は、1μM未満の活性を有した。たとえば、以下のIC50は、実施例4の化合物に対して得られた:0.015μM.
アッセイはラットメラニン濃縮ホルモン受容体1(MCH1r)を安定発現するHEK293細胞から調製された膜で行った(Lembo et al.Nature Cell Biol 1 267−271)。アッセイは、96−ウェルプレートフォーマット、最終反応容量200μl/ウェルで行った。それぞれのウェルは結合バッファー(50mM Tris、3mM MgCl、0.05%ウシ血清アルブミン(BSA)で希釈した5μg膜蛋白質を含有し、放射標識125I−MCH(IM344 Amersham)を添加して、1ウェルにつき10000cpm(カウント/分)とした。それぞれのウェルは、DMSOで調製した適切な濃度の競合的アンタゴニスト2μlを含有し、室温で60分間放置した。非特異的結合は1μM MCH(メラニン濃縮ホルモン、H−1482 Bachem)とのインキュベーション後に残存するものとして測定した。反応は、Micro96 Harvester(Skatron Instruments,Norway)を使用して、GF/Aフィルターに反応物を移すことにより停止した。フィルターはアッセイバッファーで洗浄した。フィルター上に保持された放射リガンドは、1450 Microbeta TRILUX(Wallac,Finland)を使用して定量した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

{式中、Rはa)場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、b)場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、c)ハロ、d)シアノ、e)NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりO原子を含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、f)CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に飽和された3〜7員複素環を表す)、またはg)場合により1以上のフルオロによって置換された−OSO1〜4アルキル基を表し;
nは0、1、2または3を表し;
はHまたはシアノまたは場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
はHまたはC1〜4アルキル基を表し;
は(CH3〜10シクロアルキル基を表し、式中、pは0または1であり、そしてシクロアルキル基は単環または二環であってもよく、それぞれRおよびRを持つ2つの窒素が同じ炭素原子に結合しないという条件で場合により架橋されてもよく、ここで炭素の1つはOに入れ替わっていてもよく、;但し、Lは1,3−シクロペンチルまたは1,4−シクロヘキシルを表さず;
はH、または場合により1以上の以下のもの:フルオロまたは1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、によって置換されたC1〜4アルキル基を表し;
はアルキレン鎖(CHを表し、式中、sは1、2または3を表し、ここでアルキレン鎖は場合により1以上の以下のもの:フルオロ、またはC1〜4アルキルによって置換され;
はまた、Rに縮合した5〜6員炭素環を表してもよく;
はフェニルまたはナフチルまたは、チエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、5H−ピロロ[2,3−b]ピラジニル、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジニル、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジニル、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル、1H−インダゾリルから選択される複素環基を表し、式中それぞれのRは場合により1以上の以下のもの:a)シアノ、b)ハロ、c)場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、d)場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、e)S(O)基(式中、aは0、1または2であり、そしてRは場合によりシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換されたフェニルである)、またはf)(CH基(式中、zおよびwは0または1であり、そしてRはフェニル、またはチエニル、ピリジル、チアゾリル、ピラゾリルから選択される複素環基を表し、ここでそれぞれのRは場合により1以上の以下のもの:シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)によって置換される}、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物:
{式中、Rはシアノ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、ハロ、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
nは0、1、2または3を表し;
はHまたはシアノまたは場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
はHまたはC1〜4アルキル基を表し;
は(CH5〜6シクロアルキル基を表し、式中、pは0または1であり、ただし、それぞれRおよびRを持つ2つの窒素間に3つの炭素原子が存在し、ここでシクロアルキルの炭素の1つはOによって入れ替わっていてもよく;
はHまたは1以上の以下のもの:フルオロまたは場合によりフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、によって場合により置換されたC1〜4アルキル基を表し;
はアルキレン鎖(CHを表し、式中sは1、2または3を表し、ここでアルキレン鎖は場合により1以上の以下のもの:フルオロ、またはC1〜4アルキルによって置換され;
はまた、Rに縮合した5〜6員炭素環を表してもよく;
はアリールまたは、チエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、1H−インダゾールから選択される複素環基を表し、それらのそれぞれは、場合により1以上の以下のもの:シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、または(CH基(式中、zは0または1であり、そしてRはフェニルまたはチエニル、ピリジル、チアゾリル、ピラゾリルから選択される複素環基を表し、ここでそれぞれのRは場合により1以上のシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)、またはS(O)基(式中、aは0、1または2であり、そしてRは場合によりシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換されたフェニルである)によって置換される}、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩。
【請求項3】
式IA:
【化2】

の請求項1または2に記載の化合物:
{式中、Rはクロロ、フルオロ、メトキシまたはNR基(式中、RおよびRは独立してC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
nは0、または1を表し、そしてn=1の場合、置換基は6または7位のいずれかに結合し;
はHまたはシアノまたはC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
mは0または1を表し;RはHを表し;
AはCHを表し、tは1であり;
はHを表し;
はCH、C(CHまたはCFを表し;そして;
はアリールまたは、チエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、1H−インダゾールから選択される複素環基を表し、それらのそれぞれは、場合により1以上の以下のもの:シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、またはS(O)基(式中、aは0、1または2であり、そしてRは場合によりシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換されたフェニルである)、または(CH基(式中、zは0または1であり、そしてRはフェニル、またはチエニル、ピリジル、チアゾリル、ピラゾリルから選択される複素環基を表し、ここでそれぞれのRは場合により1以上のシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)によって置換される}、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩。
【請求項4】
式IB:
【化3】

の請求項1〜3のいずれかに記載の化合物:
{式中、RはH、シアノ、メトキシ、イソプロポキシ、ジメチルアミノ、クロロまたはフルオロを表し;
はH、シアノ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)を表し、RはHを表し;
AはCHを表し、tは1であり;
はHを表し;
はCH、C(CHまたはCFを表し;そして;
はアリールまたは、チエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、1H−インダゾールから選択される複素環基を表し、それらのそれぞれは、場合により1以上の以下のもの:シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、またはS(O)基(式中、aは0、1または2であり、そしてRは場合によりシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換されたフェニルである)、または(CH基(式中、zは0または1であり、そしてRはフェニル、またはチエニル、ピリジル、チアゾリル、ピラゾリルから選択される複素環基を表し、ここでそれぞれのRは場合により1以上のシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)によって置換される}、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩。
【請求項5】
式IC:
【化4】

によって表される、請求項1に記載の化合物:
{式中、Rはシアノ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、ハロ、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
nは0、1、2または3を表し;
はH、シアノ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、NR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、場合によりOを含有する飽和された3〜7員複素環を表す)、CONR基(式中、RおよびRは独立してHまたはC1〜4アルキル基を表すか、またはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒に、飽和された3〜7員複素環を表す)を表し;
はHまたはC1〜4アルキル基を表し;
は(CH7〜10シクロアルキル基を表し、式中、pは0または1であり、そしてシクロアルキル基はそれぞれRおよびRを持つ2つの窒素が同じ炭素原子に結合しないという条件で縮合した二環、または架橋された二環であり、ここで炭素の1つはOに入れ替わっていてもよく;
はHまたは1以上の以下のもの:フルオロ、または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ、によって場合により置換されたC1〜4アルキル基を表し;
はアルキレン鎖(CHを表し、式中sは1、2または3を表し、ここでアルキレン鎖は場合により1以上の以下のもの:フルオロ、またはC1〜4アルキルによって置換されるか;
またはLはさらにRに縮合した5〜6員炭素環を表してもよく;
はアリールまたは、チエニル、フリル、ピリジル、ピロリル、キノリニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン、1H−ピロロ[3,2−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン、1H−インダゾールから選択される複素環基を表し、それらのそれぞれは場合により1以上の以下のもの:シアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基、またはS(O)基(式中、aは0、1または2であり、そしてRは場合よりシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基または場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換されたフェニルである)、または(CH基(式中、zは0または であり、そしてRはフェニルまたはチエニル、ピリジル、チアゾリル、ピラゾリルから選択される複素環基を表し、ここでそれぞれのRは場合により1以上のシアノ、ハロ、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルキル基、場合により1以上のフルオロによって置換されたC1〜4アルコキシ基によって置換される)によって置換される}、ならびにその光学異性体およびラセミ体、ならびに薬剤的に受容できるその塩。
【請求項6】
pが0であり、Lが1,3−シクロヘキシルである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
2つの窒素原子がシクロアルキル環上でトランスに配向される、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
窒素原子が結合したシクロアルキル炭素原子の立体化学がS、Sである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
1以上の以下の化合物:
N−(4−メチルキナゾリン−2−イル)−N′−(3−チエニルメチル)−トランス−シクロヘキサン−1,3−ジアミン;
,N−ジメチル−N−{−3−[(3−チエニルメチル)アミノ]−トランス−シクロヘキシル}キナゾリン−2,4−ジアミン;
−{−3−[(1−ベンゾチエン−3−イルメチル)アミノ]−トランス−シクロヘキシル}−N,N−ジメチルキナゾリン−2,4−ジアミン;
,N−ジメチル−N−(−3−{[(1−メチル−1H−インドール−3−イル)メチル]アミノ}−トランス−シクロヘキシル}キナゾリン−2,4−ジアミン;
,N−ジメチル−N−((1S,3S)−3−{[2−(トリフルオロメトキシ)ベンジル]アミノ}シクロヘキシル)キナゾリン−2,4−ジアミン;
,N−ジメチル−N−[(1S,3S)−3−({[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]メチル}アミノ)−シクロヘキシル]キナゾリン−2,4−ジアミン;および
2−{(1S,3S)−3−[(3,4−ジクロロベンジル)アミノ]シクロヘキシル}−N−N−ジメチルキナゾリン−2,4−ジアミン;
および薬剤的に受容できるその塩。
【請求項10】
薬物として使用のための請求項1〜9のいずれかに記載の式Iの化合物。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1つで定義した式Iの化合物、および薬剤的に受容できるアジュバント、希釈剤またはキャリアを含有する医薬製剤。
【請求項12】
肥満に関連した状態の治療または予防のための薬物の製造における、請求項1〜9のいずれか1つで定義した式Iの化合物の使用。
【請求項13】
肥満、精神障害、不安、不安‐抑鬱障害、鬱病、双極性障害、ADHD、認知障害、記憶障害、統合失調症、てんかん、および関連した状態、ならびに神経障害および疼痛関連障害を治療する方法であって、薬理学的有効量の請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物を、そのような治療が必要な患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項14】
肥満の治療における使用のための請求項1〜9のいずれか1つで定義した化合物。
【請求項15】
式IIの化合物:
【化5】

(式中、R、R、R、R、L、nおよびmは請求項1で先に定義したとおりである)と式IIIの化合物:
【化6】

(式中、Rは先に定義したとおりであり、L2′は、化合物IIとIIIの反応後に還元によってLを生じる基を表す)を還元アルキル化条件下で反応させることを含む、請求項1に記載の式Iの化合物の製造のための工程。
【請求項16】
式IIの中間体:
【化7】

(式中、R、R、R、R、L、nおよびmは請求項1で定義したとおりである)。
【請求項17】
肥満、II型糖尿病、メタボリックシンドロームの治療、およびII型糖尿病の予防の方法であって、薬理学的有効量の請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物を、そのような治療が必要な患者に投与することを含む、前記方法。

【公表番号】特表2007−517869(P2007−517869A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549186(P2006−549186)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000010
【国際公開番号】WO2005/070902
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】